説明

画像処理装置

【課題】
スキャン操作の都度にパスワードを複数種類入力設定する手間を減らし、簡単にスキャンデータの暗号化を行うことが可能な画像処理装置を提供する。
【解決手段】
読み取った画像に基づく画像データを生成する画像読取部と、画像データを暗号化し暗号化ファイルを生成する暗号化処理部と、暗号化ファイルの復号、又は復号化された暗号化ファイルの操作可否に関するパスワード情報を制限情報として予め格納する制限情報格納部と、画像データの暗号化に際し、画像データが生成される度に新規パスワード情報を取得する第一の手段と制限情報を利用する第二の手段との何れかを用いるかをユーザに対して選択させる選択部とを備え、暗号化処理部は、第一の手段に基づく新規パスワード情報又は第二の手段に基づく制限情報の何れかを用いて画像データの暗号化を行う画像処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の情報処理機能を有する画像処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
現在、広く使用されているスキャナ等の画像処理装置においては、原稿上の画像を読み取ることにより生成したスキャンデータを暗号化ファイルに変換して秘匿化し、電子メールに添付して送信したり、USB(Universal Serial Bus)ポートを介して接続された外部記憶装置に保存させたり、LAN(Local Aria Network)等のネッワーク経由でサーバに転送する、といった複数の情報処理機能を備えるものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、スキャンデータの暗号化に際しては、暗号化後の暗号化ファイルを開くために必要なオープンパスワードと、開いた暗号化ファイルから文字をコピーしたり、ページの削除や並べ替えといった操作を行うための操作権限を設定・変更するためのパーミッションパスワードとの、2種類のパスワードを設定するものがある。これらのパスワードは、画像を読み取るスキャン操作の都度にユーザにより入力設定される必要があり、その操作は手間がかかるものである。
【0004】
一般的に、一台のスキャナを共有する事業所なり部署内では、スキャンデータを事業所内なり部署内で秘匿化する必要はほとんどなく、暗号化ファイルの内容は、当該暗号化ファイルをやりとりする当事者以外の外部の第三者に対して秘匿されるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−63038号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、従来のスキャン操作の都度にパスワードを複数種類入力設定する手間を減らし、簡単にスキャンデータの暗号化を行うことが可能な画像処理装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明にかかる画像処理装置は、読み取った画像に基づく画像データを生成する画像読取部と、前記画像読取部により生成された前記画像データを暗号化し暗号化ファイルを生成する暗号化処理部と、前記暗号化処理部により生成された前記暗号化ファイルの復号、又は復号化された前記暗号化ファイルの操作可否に関するパスワード情報を制限情報として予め格納する制限情報格納部と、前記暗号化処理部による前記画像データの暗号化に際し、前記画像読取部により前記画像データが生成される度に新規パスワード情報を取得する第一の手段と前記制限情報格納部に既に格納されている前記制限情報を利用する第二の手段との何れかを用いるかをユーザに対して選択させる選択部とを備え、前記暗号化処理部は、前記選択部を介して選択された前記第一の手段に基づく前記新規パスワード情報又は前記第二の手段に基づく前記制限情報の何れかを用いて前記画像データの暗号化を行うことを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る他の画像形成装置は、読み取った画像に基づく画像データを生成する画像読取部と、前記画像読取部により生成された前記画像データを暗号化し暗号化ファイルを生成する暗号化処理部と、前記暗号化処理部により生成された前記暗号化ファイルの復号、又は復号化された前記暗号化ファイルの操作可否に関するパスワード情報を制限情報として複数のカテゴリー毎に予め格納する制限情報格納部と、前記暗号化処理部による前記画像データの暗号化に際し、前記画像読取部により前記画像データが生成される度に新規パスワード情報を取得する第一の手段と前記制限情報格納部に既に格納されている前記制限情報を利用する第二の手段との何れかを用いるかをユーザに対して選択させる第一の選択部と、前記第一の選択部を介して前記第二の手段が選択された場合、複数のカテゴリーから一のカテゴリーを前記ユーザに対して選択させる第二の選択部とを備え、前記暗号化処理部は、選択された一のカテゴリーに属する前記制限情報を用いて前記画像データの暗号化を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、スキャン操作の都度にオープンパスワードとパーミッションパスワードとの2種類の暗号化パスワードを入力設定する必要がなく、簡便にスキャンデータの暗号化を行うことが可能な画像処理装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】第1の実施形態にかかるスキャナの概観図である。
【図2】第1の実施形態にかかるスキャナの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図3】第1の実施形態にかかる処理のメインフローを説明するフローチャートである。
【図4】図3のステップS100における機能選択処理を説明するフローチャートである。
【図5】機能選択画面の構成例の一例を説明する図である。
【図6】図3のステップS200におけるドキュメントパスワード選択処理を説明するフローチャートである。
【図7】パスワード選択画面の構成例の一例を説明する図である。
【図8】パスワード入力画面の構成例の一例を説明する図である。
【図9】図3のステップS300における画像読取処理を説明するフローチャートである。
【図10】図3のステップS400におけるデータ暗号化処理を説明するフローチャートである。
【図11】図3のステップS500における選択機能実行処理を説明するフローチャートである。
【図12】第2の実施形態にかかるスキャナの機能を説明するための機能ブロック図である。
【図13】第2の実施形態にかかる処理のメインフローを説明するフローチャートである。
【図14】図13のステップS600におけるユーザ認証処理を説明するフローチャートである。
【図15】認証画面の構成例の一例を説明する図である。
【図16】ユーザ情報格納部に格納されている情報を説明する図である。
【図17】機能選択画面の構成例の一例を説明する図である。
【図18】図13のステップS700におけるドキュメントパスワード選択処理を説明するフローチャートである。
【図19】パスワード選択画面の構成例の一例を説明する図である。
【図20】操作パネルを介して表示されるアドレス帳の表示例の一例を説明する図である。
【図21】パスワード情報格納部に格納される情報を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
本実施形態の説明においては、原稿上の画像をスキャンすることで画像データたるスキャナデータを生成するスキャナを本発明の好適な画像処理装置の一例として説明する。
【0013】
図1は、本実施形態にかかるスキャナ600の概観図である。スキャナ600は、自動原稿搬送装置:ADF(Auto Document Feeder)110、及び画像読取部120を備える画像読取手段と、ユーザとスキャナ600との間での情報のやり取りを仲介する操作パネル130と、E−mail作成機能、ネットワーク通信機能、又は画像形成機能といった、各機能の実行モジュールを備えた付帯機能実行部140と、印刷媒体収納部150とを備える。
【0014】
ADF110は、少なくとも、読取対象の原稿を画像読取部120に搬送する為の原稿搬送機構を有する。すなわち、ADF110は、原稿給紙トレイ111上に原稿がセットされると後述するADFスイッチ121にてこれを検知し、制御部100からの読取指示に基づき、セットされた原稿を1枚ずつ自動的に画像読取部120に設定された所定の原稿読取位置まで搬送する。
【0015】
画像読取部120は、ADF110により原稿読取位置まで搬送された原稿に光を照射する光源と、原稿により反射された光を集光するレンズと、レンズで集光された光を受光し、受光した光を電気信号であるスキャンデータに変換するCCD(Charge Coupled Device)等の光電変換素子とを有し、原稿上の画像をスキャンし、読み取った画像に基づくスキャンデータを生成する。なお、画像のスキャンが終了した原稿は、原稿排紙トレイ112上に排出される。
【0016】
操作パネル130は、例えば、液晶ディスプレイ等の情報表示手段と、該液晶ディスプレイの近傍に配置された操作ボタン等の情報入力手段とを備え、ユーザとスキャナ600との間での情報のやり取りを仲介する。
【0017】
付帯機能実行部140は、画像読取部120で生成したスキャンデータに対する、FAX送信(Scan to FAX)、USBポート142に接続された移動性記憶媒体への格納(Scan to USB)、ネットワークインタフェースを介しての転送(Scan to Network)、又は電子メール送信(Scan to E−mail)といった付帯機能や、スキャンデータの印刷媒体への印刷(Copy)といった画像形成機能を実現する実行モジュールを備える。
【0018】
印刷媒体収納部150は、スキャンデータの印刷に用いられる印刷媒体を積層した状態で収納し、スキャナ600下部に着脱自在に装着されている。
【0019】
図2は、スキャナ600の機能を説明するための機能ブロック図である。スキャナ600は、制御部100と、画像読取部120と、操作パネル130と、FAX実行部141,USBポート142,ネットワークインタフェース143,E−mail作成部144を有する付帯機能実行部140と、画像データ格納部160と、暗号化処理部としてのデータ変換部170と、制限情報格納部としてのパスワード情報格納部180とを備える。
【0020】
制御部100は、例えば、各種演算を行うCPU(Central Processing Unit)や、例えば、CPUにより一時メモリ103として利用される揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)や、種々の制御プログラムを格納する不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)等のハードウェア資源から構成され、選択部としてのパスワード選択部101と、パスワード設定部102とを有し、CPUがROMに格納された種々の制御プログラムを実行することにより、スキャナ600を統括的に制御する。
【0021】
パスワード選択部101は、画像読取部120により生成したスキャンデータに基づくファイルの暗号化に際して、第二の手段である、スキャナ600に対して予め設定され、パスワード情報格納部180に格納されている制限情報としてのパスワード(以下、「プリセットパスワード」と称する)を用いて該ファイルを暗号化するか、又は第一の手段である、ユーザが個別に新規パスワード情報としてのパスワード(以下、「新規パスワード」と称する)を新たに設定して該ファイルを暗号化するかの何れかを選択するかを操作パネル130を介してユーザに問い合わせる。そして、パスワード選択部101は、操作パネル130を介してユーザにより選択された何れかの手段を回答として取得する。
【0022】
パスワード設定部102は、パスワード選択部101が取得したユーザからの回答に応じ、ユーザが第二の手段を選択した場合には、パスワード情報格納部180からプリセットパスワードを取得して一時メモリ103に格納させる。一方、パスワード設定部102は、ユーザが第一の手段を選択した場合には、操作パネル130を介して後述するパスワード設定画面を表示させ、ユーザに対して新規パスワードの入力設定を促し、入力設定された新規パスワードを一時メモリ103に格納させる。
【0023】
一時メモリ103は、上述したように、例えば、RAM等の揮発性メモリから構成され、パスワード設定部102により取得されたプリセットパスワード、ユーザにより操作パネル130を介して入力設定された新規パスワード等のパスワードを一時的に格納する。
【0024】
画像読取部120は、上述したように、制御部100からの指示に基づき原稿上の画像を読み取ることでスキャンデータを生成し、生成したスキャンデータを画像データ格納部160に格納させる。なお、画像読取部120は、原稿上の画像のスキャンが終了するとその旨を制御部100に通知する。また、画像読取部120に含まれるADFスイッチ121は、ADF110の原稿給紙トレイ111上に原稿がセットされるとこれを検知し、原稿がセットされた旨を制御部100に通知する。
【0025】
操作パネル130は、上述したように、ユーザとスキャナ600との間での情報のやり取りを仲介する。操作パネル130は、制御部100からの指示に基づき液晶ディスプレイ等の情報表示手段を介して、例えば、パスワード設定画面を表示する。そして、操作パネル130は、例えば、ユーザにより操作ボタン等の情報入力手段を介して新規パスワードが入力設定されると、これを受け付けるとともに、入力内容を制御部100に出力する。
【0026】
付帯機能実行部140は、上述したように、FAX実行部141,USBポート142,ネットワークインタフェース143,E−mail作成部144を備える。ここで、FAX実行部141は、電話回線を介して接続された他のファクシミリ装置とのFAX送信にかかる処理を実行する。USBポート142は、USBメモリといった移動性記憶媒体との接続を可能とするインタフェースである。ネットワークインタフェース143は、スキャナ600をLAN等のネットワークに接続可能とするインタフェースである。E−mail作成部144は、スキャンデータに基づくファイルを添付して送信する電子メールを作成する。
【0027】
画像データ格納部160は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリといった書き換え可能なメモリを備え、画像読取部120により生成されたスキャンデータを格納する。
【0028】
データ変換部170は暗号化処理部171を備え、制御部100からの指示に基づき画像データ格納部160から暗号化の対象となるスキャンデータを読み出す。そして、データ変換部170は暗号化処理部171において、一時メモリ103から取得したパスワードを用いて該スキャンデータを暗号化ファイルとし、制御部100に出力する。
【0029】
パスワード情報格納部180は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリといった書き換え可能なメモリを備え、スキャナ600に対して予め設定されたプリセットパスワードを格納する。
【0030】
次に、上記構成を備えたスキャナ600による処理について図3を用いて説明する。図3に示す動作は本実施形態にかかる処理のメインフローであり、該メインフローについて説明し、次いで、図3に示す各ステップについて詳細に説明する。
【0031】
まず、ステップS100において、制御部100は機能選択処理を実行し、ユーザが目的とする機能を操作パネル130を介して取得する。
【0032】
次に、パスワード選択部101は、ドキュメントパスワード選択処理を実行する(ステップS200)。すなわち、パスワード選択部101は、先のステップS100において、ユーザにより選択された機能が、スキャンデータのファイル化を要し、暗号化を必要とする処理の場合、第二の手段である、プリセットパスワードを用いて該ファイルを暗号化するか、又は第一の手段である、新規パスワードを用いて該ファイルを暗号化するかの何れかを選択するかを操作パネル130を介してユーザに問い合わせる。そして、パスワード設定部102は、第一手段、又は第二の手段の何れかの手段により得られたパスワードを一時メモリ103に格納させる。
【0033】
次に、制御部100は、画像読取部120を制御して画像読取処理を実行する(ステップS300)。画像読取部120は、制御部100からの指示に基づき原稿上の画像をスキャンすることでスキャンデータを生成し、生成したスキャンデータを画像データ格納部160に格納させる。
【0034】
そして、制御部100は、データ変換部170を制御してデータ暗号化処理を実行する(ステップS400)。データ変換部170は、制御部100からの指示に基づき画像データ格納部160から暗号化の対象となるスキャンデータを読み出す。そして、データ変換部170は暗号化処理部171において、一時メモリ103から取得したパスワードを用いて該スキャンデータを暗号化ファイルとし、制御部100に出力する。
【0035】
最後に、制御部100は、付帯機能実行部140を制御して、選択機能実行処理を実行する(ステップS500)。付帯機能実行部140は、制御部100から暗号化ファイルを取得するとともに、取得した暗号化ファイルを用いて先のステップS100において選択されたユーザが目的とする機能を実現する実行モジュールを実行する。
【0036】
次に、図3で示したメインフローの各ステップの処理について説明する。図4は、図3のステップS100における機能選択処理を説明するフローチャートである。
【0037】
まず、制御部100は、操作パネル130を介して例えば、図5に示すような機能選択画面をユーザに対して表示させる(ステップS101)。そして、制御部100は、ユーザにより選択された機能(以下、ユーザ選択機能と称する。)を取得し、一時メモリ103に格納させる(ステップS102)。
【0038】
図5は、“Copy”ボタンB1、“SCAN”ボタンB2、“FAX”ボタンB3の中でユーザにより“SCAN”ボタンB2が押下された後に表示される機能選択画面の構成例の一例を示すものである。図5に示すように、本実施形態においては、ユーザにより“SCAN”ボタンB2が押下された後に選択可能な機能の例として、“Scan to Network”ボタンB4、“Scan to E−mail”ボタンB5、“Scan to USB”ボタンB6、“Scan to FAX”ボタンB7の何れかの機能が選択可能とされる。なお、本実施形態の説明においては、“Scan to USB”ボタンB6がユーザにより選択されたものとして説明を続ける。
【0039】
次に、図3のステップS200におけるドキュメントパスワード選択処理について説明する。図6は、ドキュメントパスワード選択処理を説明するフローチャートである。
【0040】
まず、パスワード選択部101は、機能選択処理において、一時メモリ103に格納されたユーザ選択機能を取得する(ステップS201)。そして、パスワード選択部101は、取得したユーザ選択機能がスキャンデータのファイル化が必要か否かを判断する。ここで、例えば、ユーザ選択機能がScan to FAXである場合、スキャンデータはファイル化する必要がないため(ステップS202 N)、この場合、パスワード選択部101は何も行わず処理を終了する。一方、前述したように、ユーザ選択機能がScan to USBといった場合、スキャンデータはファイル化される必要があるため(ステップS202 Y)、パスワード選択部101は、例えば、図7に示すような、パスワード選択画面を操作パネル130を介して表示させる(ステップS203)。
【0041】
図7は、パスワード選択画面の構成例の一例を示すものである。パスワード選択画面は、第二の手段である、プリセットパスワードを用いて該ファイルを暗号化する場合に押下する、“プリセットを使う”ボタンB8と、第一の手段である、新規パスワードを用いて該ファイルを暗号化する場合に押下する、“個別に設定する”ボタンB9とを備え、ユーザは何れかの手段を選択して押下する。
【0042】
ユーザにより“プリセットを使う”ボタンB8が押下された場合(ステップS204 [プリセットを使う])、パスワード設定部102は、パスワード情報格納部180からプリセットパスワードを取得して(ステップS205)、一時メモリ103に格納させる(ステップS206)。例えば、パスワード情報格納部180に、オープンパスワードとして「takasaki01」、パーミッションパスワードとして「maebashi02」が格納されている場合、パスワード設定部102は、プリセットパスワードとして「open:takasaki01,permission:maebashi02」を一時メモリ103に格納させる。
【0043】
なお、上記プリセットパスワードは、スキャナ600を使用する組織のメンバーと、暗号化ファイルを受け取る当事者以外の外部の第三者に知られることはないため、暗号化ファイルの秘匿性が保証される。また、ファイルの暗号化に際し必要な手間が軽減されるため、ユーザによるパスワード設定の手間が避けられ、本来秘匿すべきスキャンデータを素の状態で利用する危険性を無くすことができる。
【0044】
一方、ユーザにより“個別に設定する”ボタンB9が押下された場合(ステップS204 [個別に設定する])、パスワード設定部102は、操作パネル130を介して例えば、図8に示すようなパスワード入力画面をユーザに対して表示させる(ステップS207)。そして、パスワード設定部102は、ユーザによりパスワード入力画面を介して入力された、オープンパスワード、及びパーミッションパスワードを取得し(ステップS208)、取得した両パスワードを一時メモリ103に格納させる(ステップS206)。
【0045】
図8は、パスワード入力画面の構成例の一例を示すものである。ユーザは、図中右側に示す英数字ボタンB11、及び上下左右キーボタンB12を用いてフォームF1にオープンパスワードたるファイルオープン用パスワード、フォームF2にパーミッションパスワードたる操作権限変更用パスワードをそれぞれ入力し、“決定”ボタンB10を押下することで入力内容を決定する。例えば、ユーザが、フォームF1に「karasugawa」、フォームF2に「hirosegawa」と入力した場合、パスワード設定部102は、両フォームの入力内容を取得して、「open:karasugawa,permission:hirosegawa」を一時メモリ103に格納させる。
【0046】
このように、スキャナ600に対して、パスワード選択機能を設けることにより、ユーザが個別に暗号化パスワードを設定したい作業については個別設定が可能であるため、ユーザの選択肢が増す上に、パスワードの個別設定によりファイル化した情報の堅牢性が増す。
【0047】
なお、暗号化の必要がないファイルの作成については、上記暗号化設定手順で文字列を入力しなければよいので、秘匿性のない情報の取り扱いが複雑になることはない。
【0048】
次に、図3のステップS300における画像読取処理について説明する。図9は、画像読取処理を説明するフローチャートである。
【0049】
制御部100は、ADFスイッチ121から原稿がセットされた旨の通知を受け(ステップS301 Y)、操作パネル130を介して図示せぬ“Start”ボタンの押下信号が入力されると(ステップS302 Y)、画像読取部120に対して原稿上の画像のスキャンを開始するよう指示を与える。
【0050】
指示を受けた画像読取部120は、原稿上の画像を読み取ることでスキャンデータを生成し(ステップS303)、生成したスキャンデータを画像データ格納部160に格納させる(ステップS304)。
【0051】
全ての原稿上の画像のスキャンが終了し、原稿給紙トレイ111上の原稿がなくなると(ステップS305 Y)、画像読取部120は制御部100に対して画像のスキャンが終了した旨を通知する(ステップS306)。
【0052】
次に、図3のステップS400におけるデータ暗号化処理について説明する。図10は、データ暗号化処理を説明するフローチャートである。
【0053】
制御部100は、画像読取部120から画像のスキャン終了通知を取得すると(ステップS401)、一時メモリ103に格納しているパスワードをデータ変換部170に出力する(ステップS402)。
【0054】
パスワードを取得したデータ変換部170は、画像データ格納部160に格納されている暗号化の対象のスキャンデータを読み出す(ステップS403)。
【0055】
次に、ステップS404において、データ変換部170は、入力されたパスワードを使って、読み出したスキャンデータを暗号化ファイルに変換し、暗号化したファイルを制御部100に出力する(ステップS405)。
【0056】
次に、図3のステップS500における選択機能実行処理について説明する。図11は、選択機能実行処理を説明するフローチャートである。
【0057】
制御部100は暗号化ファイルを取得すると(ステップS501)、一時メモリ103に格納されたユーザ選択機能を取得し(ステップS502)、取得した機能に該当する実行モジュールに暗号化ファイルを転送する(ステップS503)。なお、本実施形態においては、ユーザによりScan to USBの実行モジュールが選択した形態について説明しているので、ここでは、制御部100は、USBポート142に暗号化ファイルを転送する。
【0058】
暗号化ファイルを取得した各モジュールはそれぞれの機能を実行する(ステップS504)。USBポート142に転送された暗号化ファイルは、移動性記憶媒体に格納される。
【0059】
最後に制御部100が一時メモリ103を初期化して一連の処理は終了する(ステップS505)。
【0060】
以上のように、第1の実施形態によれば、暗号化ファイルの作成に要するパスワードをプリセットとして予めスキャナ600に対して設定しておくことにより、ユーザが暗号化ファイルの作成の都度にパスワードを入力する必要がなくなり、ユーザに対する負担が軽減されるとともに、暗号化ファイルの秘匿性が保証され、作業効率を向上させることができる。
【0061】
[第2の実施形態]
第2の実施形態では、第1の実施形態において説明したスキャナ600の構成に加え、各機能の実行モジュールやユーザの属性ごとにカテゴリー毎に分類されたプリセットパスワードを設定しておき、これを選択して利用する形態について説明する。なお、本実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一な箇所については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0062】
図12は、スキャナ600’の機能を説明するための機能ブロック図である。スキャナ600’は、制御部100’と、画像読取部120と、操作パネル130と、FAX実行部141,USBポート142,ネットワークインタフェース143,E−mail作成部144,アドレスデータ格納部145を有する付帯機能実行部140’と、画像データ格納部160と、暗号化処理部としてのデータ変換部170と、制限情報格納部としてのパスワード情報格納部180と、認証部190と、ユーザ情報格納部200とを備える。
【0063】
制御部100’は、例えば、各種演算を行うCPU(Central Processing Unit)や、例えば、CPUにより一時メモリ103として利用される揮発性メモリであるRAM(Random Access Memory)や、種々の制御プログラムを格納する不揮発性メモリであるROM(Read Only Memory)等のハードウェア資源から構成され、選択部としてのパスワード選択部101’と、パスワード設定部102’とを有し、CPUがROMに格納された種々の制御プログラムを実行することにより、スキャナ600を統括的に制御する。
【0064】
パスワード選択部101’は、、画像読取部120により生成したスキャンデータに基づくファイルの暗号化に際して、第二の手段である、1つ以上設定されているプリセットパスワードからユーザの条件に適合したものを用いて該ファイルを暗号化するか、第一の手段である、ユーザが個別に新規パスワード情報としてのパスワード(以下、「新規パスワード」と称する)を新たに設定して該ファイルを暗号化するかの何れかを選択するかを操作パネル130を介してユーザに問い合わせる。そして、パスワード選択部101’は、操作パネル130を介してユーザにより選択された何れかの手段を回答として取得する。
【0065】
パスワード設定部102’は、パスワード選択部101’が取得したユーザからの回答に応じ、ユーザが第二の手段を選択した場合には、パスワード情報格納部180から該ユーザが利用できるプリセットパスワードのグループを操作パネル130を介して表示させる。そして、パスワード設定部120’は、ユーザにより選択されたプリセットパスワードを一時メモリ103に格納させる。一方、パスワード設定部102’は、ユーザが第一の手段を選択した場合には、操作パネル130を介して後述するパスワード設定画面を表示させ、ユーザに対して新規パスワードの入力設定を促し、入力設定された新規パスワードを一時メモリ103に格納させる。
【0066】
アドレスデータ格納部145は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリといった書き換え可能なメモリを備え、E−mail作成部144により作成されたE−mailの宛先の情報であるアドレス帳を格納する。
【0067】
認証部190は、スキャナ600’を利用するユーザの認証を行う。すわなち、認証部190は、制御部100’から出力されたユーザIDとログインパスワードを用いてユーザ情報格納部200を参照し、取得したユーザIDとログインパスワードとの組み合わせが正しければ、該ユーザに設定されている情報を制御部100’に出力する。一方、取得したユーザIDとログインパスワードとの組み合わせが正しくなければ、ユーザのスキャナ600’へのログインを許否する。
【0068】
ユーザ情報格納部200は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)や、フラッシュメモリといった書き換え可能なメモリを備え、ユーザID、ログインパスワード、ユーザ名、グループ、付帯機能の利用権限情報等をそれぞれ関連付けて格納する。
【0069】
次に、上記構成を備えたスキャナ600’による処理について図13を用いて説明する。図13に示す動作は本実施形態にかかる処理のメインフローであり、該メインフローについて説明し、次いで、図13に示す各ステップについて詳細に説明する。
【0070】
まず、ステップS600において、制御部100’はユーザ認証処理を実行する。具体的には、制御部100’は、操作パネル130を介してログイン画面を表示させ、ユーザにより入力されたユーザID、ログインパスワードからなる入力データを取得後、これを認証部190に出力する。そして、制御部100’は、認証部190におけるユーザの認証が正しく行われたならば、スキャナ600’へのログインを許可するとともに、ユーザが目的とする機能を操作パネル130を介して取得する。
【0071】
次に、パスワード選択部101’は、ドキュメントパスワード選択処理を実行する(ステップS700)。すなわち、パスワード選択部101’は、先のステップS600において、ユーザにより選択された機能が、スキャンデータのファイル化を要し、暗号化を必要とする処理の場合、第二の手段である、プリセットパスワードを用いて該ファイルを暗号化するか、又は第一の手段である、新規パスワードを用いて該ファイルを暗号化するかの何れかを選択するかを操作パネル130を介してユーザに問い合わせる。そして、パスワード設定部102’は、第一手段、又は第二の手段の何れかの手段により得られたパスワードを一時メモリ103に格納させる。
【0072】
次に、制御部100’は、画像読取部120を制御して画像読取処理を実行する(ステップS300)。画像読取部120は、制御部100’からの指示に基づき原稿上の画像をスキャンすることでスキャンデータを生成し、生成したスキャンデータを画像データ格納部160に格納させる。
【0073】
そして、制御部100’は、データ変換部170を制御してデータ暗号化処理を実行する(ステップS400)。データ変換部170は、制御部100’からの指示に基づき画像データ格納部160から暗号化の対象となるスキャンデータを読み出す。そして、データ変換部170は暗号化処理部171において、一時メモリ103から取得したパスワードを用いて該スキャンデータを暗号化ファイルとし、制御部100’に出力する。
【0074】
最後に、制御部100’は、付帯機能実行部140’を制御して、選択機能実行処理を実行する(ステップS500)。付帯機能実行部140’は、制御部100’から暗号化ファイルを取得するとともに、取得した暗号化ファイルを用いて先のステップS600において選択されたユーザが目的とする機能を実現する実行モジュールを実行する。
【0075】
次に、図13で示したメインフローの各ステップの処理について説明する。図14は、図13のステップS600におけるユーザ認証処理を説明するフローチャートである。
【0076】
まず、制御部100’は、操作パネル130を介して例えば、図15に示すような認証画面をユーザに対して表示させる(ステップS601)。
【0077】
図15は、認証画面の構成例の一例を示すものである。ユーザは、図中右側に示す英数字ボタンB11、及び上下左右キーボタンB12を用いてフォームF3にユーザID、フォームF4にログインパスワードをそれぞれ入力し、“決定”ボタンB10を押下することで入力内容を決定する。
【0078】
ユーザにより、“決定”ボタンB10が押下されると、制御部100’は、ユーザにより入力されたユーザID、ログインパスワードからなる入力データを取得後(ステップS602)、これを認証部190に出力する(ステップS603)。
【0079】
認証部190は、制御部100’から出力されたユーザIDとログインパスワードを用いてユーザ情報格納部200を参照し(ステップS604)、取得したユーザIDとログインパスワードとの組み合わせが正しければ(ステップS605 Y)、ユーザ情報格納部200に格納されているユーザの利用権限を取得し(ステップS606)、制御部100’に出力する(ステップS607)。一方、取得したユーザIDとログインパスワードとの組み合わせが正しくなければ(ステップS605 N)、ユーザ認証処理はステップS601に戻る。
【0080】
ここで、ユーザ情報格納部200に格納されている情報について説明する。図16は、ユーザID、ログインパスワード、ユーザ名、グループ、付帯機能の利用権限情報等の格納イメージを示したものである。図16に示されるように、「ID」はユーザに一意に割り当てられるユーザIDを示す。また、「グループ」は1名以上のユーザをまとめたグループに付与された番号であり、各グループ毎に異なるプリセットパスワードが用意されている。
【0081】
本実施形態においては、例えば、ユーザ名「東京一郎」がスキャナ600’にログインする際のユーザIDは「671890081」、ログインパスワードは「harunire01」とされ、「東京一郎」がスキャナ600’で利用できる機能は、Copy,FAX,Scan to E−mail,Scan to USB,Scan to FAXであり、Scan to Networkは利用することができないものとする。
【0082】
再び、図14のステップS608に戻り、ログインしたユーザの利用権限を取得した制御部100’は、操作パネル130を介して例えば、図17に示すような機能選択画面をユーザに対して表示させる(ステップS608)。そして、制御部100’は、ユーザにより選択された機能(以下、ユーザ選択機能と称する。)を取得し、一時メモリ103に格納させる(ステップS609)。
【0083】
図17は、機能選択画面の構成例の一例を示すものである。図16において説明したように、ユーザ名「東京一郎」には、Scan to Networkを利用する権限は与えられていない。したがって、ここで表示される機能選択画面には、“Scan to Network”ボタンは表示されない。なお、本実施形態の説明においては、“Scan to USB”ボタンB6がユーザにより選択されたものとして説明を続ける。
【0084】
次に、図13のステップS700におけるドキュメントパスワード選択処理について説明する。図18は、ドキュメントパスワード選択処理を説明するフローチャートである。
【0085】
まず、パスワード選択部101’は、ユーザ認証処理において、一時メモリ103に格納されたユーザ選択機能を取得する(ステップS701)。そして、パスワード選択部101’は、取得したユーザ選択機能がスキャンデータのファイル化が必要か否かを判断する。ここで、例えば、ユーザ選択機能がScan to FAXである場合、スキャンデータはファイル化する必要がないため(ステップS702 N)、この場合、パスワード選択部101’は何も行わず処理を終了する。一方、前述したように、ユーザ選択機能がScan to USBといった場合、スキャンデータはファイル化される必要があるため(ステップS702 Y)、パスワード選択部101’は、例えば、図19に示すような、カテゴリー別に分類されたパスワード選択画面を操作パネル130を介して表示させる(ステップS703)。
【0086】
図19は、パスワード選択画面の構成例の一例を示すものである。パスワード選択画面は、第一の手段である、新規パスワードを用いて該ファイルを暗号化する場合に押下する、“個別に設定する”ボタンB16と、第二の手段である、“ユーザプリセットを使う”ボタンB13,“グループプリセットを使う”ボタンB14,“宛先プリセットを使う”ボタンB15を備え、ユーザは何れかの手段を選択して押下する。
【0087】
ここで、“ユーザプリセットを使う”ボタンB13はスキャナ600’を使用するユーザが各自固有に設定したプリセットパスワードを、“グループプリセットを使う”ボタンB14はユーザグループ毎に設定したプリセットパスワードを、“宛先プリセットを使う”ボタンB15は電子メールの宛先毎に設定したプリセットパスワードを意味する。
【0088】
ユーザにより“個別に設定する”ボタンB16が押下された場合(ステップS704 [個別に設定する])、パスワード設定部102’は、操作パネル130を介して例えば、図8に示すようなパスワード入力画面をユーザに対して表示させる(ステップS711)。そして、パスワード設定部102’は、ユーザによりパスワード入力画面を介して入力された、オープンパスワード、及びパーミッションパスワードを取得し(ステップS712)、取得した両パスワードを一時メモリ103に格納させる(ステップS705)。
【0089】
一方、ユーザにより“ユーザプリセットを使う”ボタンB13が押下された場合(ステップS704 [ユーザプリセットを使う])、パスワード設定部102’は、パスワード情報格納部180からユーザプリセットパスワードを取得して(ステップS721)、一時メモリ103に格納させる(ステップS705)。
【0090】
また、ユーザにより“グループプリセットを使う”ボタンB14が押下された場合(ステップS704 [グループプリセットを使う])、パスワード設定部102’は、パスワード情報格納部180からグループプリセットパスワードを取得して(ステップS731)、一時メモリ103に格納させる(ステップS705)。
【0091】
さらに、ユーザにより“宛先プリセットを使う”ボタンB15が押下された場合(ステップS704 [宛先プリセットを使う])、制御部100’はE−mail作成部144を起動させる(ステップS741)。
【0092】
起動したE−mail作成部144は、アドレスデータ格納部145からアドレス帳を取得し、操作パネル130を介して表示させる(ステップS742)。
【0093】
ここで、アドレス帳について説明する。図20は、操作パネル130を介して表示されるアドレス帳の表示例の一例を示すものである。図20に示すアドレス帳は、E−mailの送信先を選択するための“民鉄駅”ボタンB17,“地下鉄駅”ボタンB18,“モノレール駅”ボタンB19,“市役所”ボタンB20,及び“区役所”ボタンB20と、前の宛先ページを表示させるための前ページボタンB25、及び次の宛先ページを表示させるための次ページボタンB26とを備え、ユーザは、表示されたこれらのボタンを押下することによりE−mailの送信先を選択する。例えば、スキャンデータに基づく暗号化ファイルを電子メールに添付して「地下鉄駅」に送信したい場合、ユーザは“地下鉄駅”ボタンB18を押下することにより「地下鉄駅」を選択する。
【0094】
そして、E−mail作成部144は、ユーザにより選択された電子メールの送信先を取得する(ステップS743)。次に、E−mail作成部144は、取得した電子メールの送信先を新規電子メールの宛先に設定し(ステップS744)、この旨をパスワード設定部102’に通知する(ステップS745)。そして、パスワード設定部102’は通知された宛先に基づいてパスワード情報格納部180を検索し、宛先プリセットパスワードを取得後(ステップS746)、これを一時メモリ103に格納させる(ステップS705)。
【0095】
ここで、本実施形態にかかるパスワード情報格納部180に格納される情報について説明する。図21は、プリセットパスワードがユーザプリセット、グループプリセット、宛先プリセットのそれぞれのカテゴリー別に分類されて格納されている様子を示すものである。
【0096】
例えば、ユーザID「67189001」でログインしている、ユーザ名「東京一郎」が、前述の図19で例示したパスワード選択画面に於いて、ユーザプリセットを使う”ボタンB13を押下すると、一時メモリ103には、「open:03tokyo,permission:isho」が格納される。
【0097】
また、ユーザ名「東京一郎」が、前述の図19で例示したパスワード選択画面に於いて、“グループプリセットを使う”ボタンB14を押下すると、一時メモリ103には、「open:east,permission:nigiri」が格納される。
【0098】
さらに、ユーザ名「東京一郎」が、前述の図19で例示したパスワード選択画面に於いて、“宛先プリセットを使う”ボタンB15を押下し、前述の図20に示すアドレス帳から「地下鉄駅」を選択すると、一時メモリ103には、「open:subway22,permission:tire」が格納される。ところで、前述の図20に示すアドレス帳から「市役所」が選択されると、一時メモリ103には、デフォルト設定である「open:from_me_to_you,permission:mido」が格納される。
【0099】
なお、図13に示したステップS300の画像読取処理、ステップS400のデータ暗号化処理、及びステップS500の選択機能実行処理に関しては、第1の実施形態と同様に行うことができるため、ここでの説明は省略する。
【0100】
以上のように、第2の実施形態によれば、予め画像処理装置たるスキャナ側に、各機能の実行モジュールやユーザの属性ごとにカテゴリー毎に分類されたプリセットパスワードを設定しておき、これを選択して利用するため、第1の実施形態にかかる効果に加え、より暗号の堅牢性が高い画像処理装置を提供することができる。
【0101】
本発明の実施形態の説明において、画像処理装置の一例としてスキャナを用いて説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、多機能周辺装置(MFP)等にも適用することができる。
【符号の説明】
【0102】
100,100’ 制御部
101,101’ パスワード選択部
102,102’ パスワード設定部
103 一時メモリ
110 ADF
111 原稿給紙トレイ
112 原稿排紙トレイ
120 画像読取部
121 ADFスイッチ
130 操作パネル
140,140’ 付加機能実行部
141 FAX実行部
142 USBポート
143 ネットワークインタフェース
144 E−mail作成部
145 アドレスデータ格納部
150 印刷媒体収納部
160 画像データ格納部
170 データ変換部
171 暗号化処理部
180 パスワード情報格納部
190 認証部
200 ユーザ情報格納部
600,600’ スキャナ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
読み取った画像に基づく画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部により生成された前記画像データを暗号化し暗号化ファイルを生成する暗号化処理部と、
前記暗号化処理部により生成された前記暗号化ファイルの復号、又は復号化された前記暗号化ファイルの操作可否に関するパスワード情報を制限情報として予め格納する制限情報格納部と、
前記暗号化処理部による前記画像データの暗号化に際し、前記画像読取部により前記画像データが生成される度に新規パスワード情報を取得する第一の手段と前記制限情報格納部に既に格納されている前記制限情報を利用する第二の手段との何れかを用いるかをユーザに対して選択させる選択部とを備え、
前記暗号化処理部は、前記選択部を介して選択された前記第一の手段に基づく前記新規パスワード情報又は前記第二の手段に基づく前記制限情報の何れかを用いて前記画像データの暗号化を行うこと
を特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
読み取った画像に基づく画像データを生成する画像読取部と、
前記画像読取部により生成された前記画像データを暗号化し暗号化ファイルを生成する暗号化処理部と、
前記暗号化処理部により生成された前記暗号化ファイルの復号、又は復号化された前記暗号化ファイルの操作可否に関するパスワード情報を制限情報として複数のカテゴリー毎に予め格納する制限情報格納部と、
前記暗号化処理部による前記画像データの暗号化に際し、前記画像読取部により前記画像データが生成される度に新規パスワード情報を取得する第一の手段と前記制限情報格納部に既に格納されている前記制限情報を利用する第二の手段との何れかを用いるかをユーザに対して選択させる第一の選択部と、
前記第一の選択部を介して前記第二の手段が選択された場合、複数のカテゴリーから一のカテゴリーを前記ユーザに対して選択させる第二の選択部とを備え、
前記暗号化処理部は、選択された一のカテゴリーに属する前記制限情報を用いて前記画像データの暗号化を行うこと
を特徴とする画像処理装置。
【請求項3】
前記カテゴリーは、前記ユーザの識別情報、前記ユーザが属するグループ情報、又は前記暗号化ファイルの出力先情報に基づき分類されること
を特徴とする請求項2記載の画像処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−74378(P2013−74378A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210506(P2011−210506)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】