説明

画像処理装置

【課題】読み取った原稿を出力する出力条件を、簡単な操作で、ユーザが所望する出力条件に設定できる画像処理装置を提供する。
【解決手段】原稿Gが(a)に示す状態でセットされスキャンした場合、装置内に記憶されているディフォルトの印刷条件で原稿を印刷する。原稿Gが(a)に示す状態から180度回転してセットされスキャンした場合、原稿Gの二次元コードKに格納されている印刷条件で印刷する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、原稿に印刷条件(サイズ、解像度、N−up数など)を含むQRコード(登録商標、以下同様)が印刷されている場合、そのQRコードに含まれる印刷条件で原稿を複写する画像処理装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−187056号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された画像処理装置では、原稿は、QRコードに含まれる印刷条件で複写されるので、QRコードに含まれる印刷条件とは異なる印刷条件で複写できないという問題点があった。
【0005】
仮に、QRコードに含まれる印刷条件とは異なる印刷条件で複写するにしても、QRコードに含まれる印刷条件を適用しない指示と、QRコードに含まれる印刷条件とは異なる印刷条件(例えば、画像処理装置にディフォルト設定されている印刷条件や、ユーザ指定の新たな印刷条件)で複写する指示とを、画像処理装置に入力する必要があり、ユーザにとって手間であるという問題点があった。
【0006】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、読み取った原稿を出力する出力条件を、簡単な操作で、ユーザが所望する出力条件に設定できる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために、本発明の画像処理装置は、原稿を読み取る読取手段を備えたものであって、前記読取手段により読み取られた読み取りデータに含まれる識別画像の位置を検出する検出手段と、その検出手段により検出された識別画像の位置に応じて、前記読み取りデータを出力する場合に用いられる出力条件であって互いに異なる出力条件のなかから一の出力条件を選択する選択手段と、その選択手段により選択された一の出力条件で前記読み取りデータを出力する出力手段とを備えている。尚、前記読み取りデータには、読取手段により読み取られた読み取りデータ自体の他にも、読み取りデータ自体に基づいて作成される出力用データを作成する過程で作成される所定形式の画像データも含まれる。また、本発明は、画像処理制御装置、画像処理制御方法、画像処理制御装置を制御するコンピュータプログラム、該コンピュータプログラムを記録する記録媒体等の種々の態様で実現可能である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の画像処理装置によれば、原稿を読み取った読み取りデータから識別画像の位置を検出し、検出された識別画像の位置に応じて、読み取りデータを出力する場合に用いられる一の出力条件を選択し、選択された一の出力条件で読み取りデータを出力する。即ち、識別情報の位置は、読取手段に読み取らせる原稿の向きを調節すれば調節できるので、ユーザにとっては、読取手段に読み取らせる原稿の向きを調節する、という簡単な操作で、ユーザが所望する出力条件に設定にできるという効果がある。
【0009】
請求項2記載の画像処理装置によれば、請求項1に記載の画像処理装置の奏する効果に加え、識別画像の位置は、読み取りデータにおける所定位置を示す位置情報を取得し、その位置情報が示す所定位置に識別画像があるかを検出しているので、読み取りデータの全領域から識別情報の位置を検出する場合よりも、識別画像の位置の検出を高速に行うことができるという効果がある。
【0010】
請求項3記載の画像処理装置によれば、請求項1記載の画像処理装置の奏する効果に加え、読み取りデータから識別画像を抽出し、その抽出した識別情報から読み取りデータにおける所定位置を示す位置情報を取得する。そして、その取得した位置情報が示す所定位置に識別画像があるかを検出しているので、所定位置を示す位置情報を、本装置自体に記憶しておく必要が無く、メモリの消費容量を軽減できる。また、本装置に対し、同じ向きに原稿をセットさえすれば、出力タイミングに拘わらず、原稿を同じ出力結果で出力できる。更に、複数の本装置に対し、それぞれ同じ向きに原稿をセットさえすれば、本装置の各々から、原稿を同じ出力結果で出力できるという効果がある。
【0011】
請求項4記載の画像処理装置によれば、請求項1から3のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、読み取りデータを出力する場合に用いられる出力条件は、識別画像が所定位置にない場合、予め第1出力条件記憶手段に記憶されている第1出力条件を選択し、識別画像が所定位置にある場合、識別画像から取得して第2出力条件記憶手段に記憶されている第2出力条件を選択する。そのため、原稿を第1出力条件で出力させたい場合には、識別画像が所定位置に位置しないよう、原稿を第2出力条件で出力させたい場合には、識別画像が所定位置に位置するように、読取手段に読み取らせる原稿の向きを調節すれば良い。よって、ユーザにとっては、原稿を出力する出力条件を、第1出力条件と、第2出力条件と何れにするかを、簡単に設定できるという効果がある。また、第2出力条件は、識別画像に記憶されているので、本装置自体に予め記憶しておく必要が無く、メモリの消費容量を軽減できるという効果がある。
【0012】
請求項5記載の画像処理装置によれば、請求項4に記載の画像処理装置の奏する効果に加え、識別画像が含まれると判断された場合であって識別画像が所定位置にないとされた場合、または、識別画像が含まれないと判断された場合には、第1出力条件と、前記位置情報とを含む識別画像を生成する。そして、生成した識別画像は、識別画像が含まれないと判断された読み取りデータ、または、識別画像が所定位置にないとされた読み取りデータに合成する。そのため、合成された識別画像を含む原稿を出力する場合に、現在の出力結果と同じ出力結果で出力させたい場合には、合成された識別画像が所定位置に位置するように、読取手段に読み取らせる原稿の向きを調節さえすれば良い。よって、簡単な操作で、合成された識別画像を含む原稿を、現在の出力結果と同じ出力結果で出力できるという効果がある。
【0013】
請求項6記載の画像処理装置によれば、請求項5に記載の画像処理装置の奏する効果に加え、生成した識別画像は、識別画像が含まれないと判断された読み取りデータ、または、識別画像が所定位置にないとされた読み取りデータから抽出した余白領域に合成するので、合成する識別画像によって原稿の記載内容が隠蔽されることを防止できるという効果がある。
【0014】
請求項7記載の画像処理装置によれば、請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、原稿の天地方向における識別画像の位置を示す原稿位置情報を識別情報から取得し、その取得した原稿位置情報と、読み取りデータから検出された識別画像の位置とに基づいて、識別画像の位置が前記原稿位置情報に基づく位置となるように前記読み取りデータを回転して出力させる。よって、識別画像の位置が原稿位置情報に基づく位置と異なるように原稿を読み取らせた場合でも、識別画像の位置を原稿位置情報に基づく位置とを一致させるように原稿を読み取らせた場合と同じ方向に原稿を出力できるという効果がある。
【0015】
請求項8記載の画像処理装置によれば、請求項4から7のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、識別画像が含まれないと判断された読み取りデータの直前に読み取られた読み取りデータについて、識別画像が所定位置にあるかを検出した検出結果を、その読み取りデータの出力が終了してから所定時間内、記憶しておく。そして、識別画像が含まれないと判断された読み取りデータについては、記憶されている検出結果が識別画像が所定位置にないことを示している場合には第1出力条件を選択し、検出結果が識別画像が所定位置にあることを示している場合には第2出力条件を選択する。一の原稿についての出力が終了してから所定時間内に読み取られた次のデータは、出力が終了した原稿と関係がある可能性が高い。よって、今回の原稿に識別情報が含まれていない場合には、先の出力条件と同じ出力条件で出力することで、今回の出力結果と、先回の出力結果とに関係性を持たせることができる。
【0016】
請求項9記載の画像処理装置によれば、請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置の奏する効果に加え、第2出力条件に含まれる項目以外の項目が第1出力条件に含まれる場合には、第2出力条件に、第2出力条件に含まれる項目以外の項目について第1出力条件で設定されている値を加えて構成される第3出力条件を生成する。そして、その第3出力条件で、読み取りデータを出力するので、第2出力条件を反映しつつ、第2出力条件の項目が不足しているため出力できない、という事態が発生するのを防止できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施形態であるMFPの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の第1実施形態の概要を説明するための図である。
【図3】コピー処理を示すフローチャートである。
【図4】印刷条件設定処理を示すフローチャートである。
【図5】スキャン処理を示すフローチャートである。
【図6】画像ファイル生成条件設定処理を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第2実施形態を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の画像処理装置の一実施形態である多機能周辺装置(以下、「MFP(Multi Function Peripheral)」と称す)1の電気的構成を示したブロック図である。
【0019】
MFP1は、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャン機能、プリンタ機能、等の各種機能を有し、特に、スキャンした原稿を出力する場合の出力条件を、簡単な操作で、ユーザが所望する出力条件に設定できる装置である。
【0020】
MFP1には、CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、ADF19、プリンタ20、NCU21、モデム22、LAN I/F23が主に設けられている。
【0021】
CPU10、フラッシュメモリ11、RAM12は、バスライン24を介して互いに接続されている。また、LCD16、タッチパネル17、スキャナ18、ADF19、プリンタ20、NCU21、モデム22、LAN I/F23は、入出力ポート25を介してCPU10に接続されている。
【0022】
CPU10は、フラッシュメモリ11に記憶される固定値やプログラム、RAM12に記憶されているデータ、NCU23を介して送受信される各種信号などに従って、MFP1が有している各機能の制御や、入出力ポート25と接続された各部を制御する。
【0023】
フラッシュメモリ11は、書換可能な不揮発性のメモリであり、図3のコピー処理、図5のスキャン処理は、フラッシュメモリ11に記憶されているプログラムに従い、CPU10によって実行される。また、フラッシュメモリ11には、出力条件メモリ11aと、画像ファイルメモリ11bとが割り当てられている。
【0024】
出力条件メモリ11aには、スキャンした原稿を出力する場合の出力条件として、印刷条件、画像ファイル生成条件、等が記憶されている。印刷条件には、解像度、カラー/モノクロ、用紙サイズ、部数、レイアウト、等の項目が含まれる。画像ファイル生成条件には、解像度、カラー/モノクロ、レイアウト、画像データの保存形式、等の項目が含まれる。各項目には、ディフォルト値が設定されており、所定の指示が入力されない場合には、ディフォルト値を使ってスキャンした原稿が出力される。
【0025】
画像ファイルメモリ11bには、スキャン処理によって生成される画像ファイルが記憶されている。画像ファイルメモリ11bに記憶されている画像ファイルは、プリンタ20によって印刷したり、LAN I/F23を介して外部装置に送信できる。
【0026】
RAM12は、書き替え可能な揮発性のメモリであり、MFP1の各操作の実行時に各種のデータを一時的に記憶するためのメモリである。RAM13には、二次元コード検出フラグ12aと、保留出力条件有効フラグ12bと、保留出力条件メモリ12cとが割り当てられている。
【0027】
二次元コード検出フラグ12aは、スキャンした原稿内に出力条件を格納した二次元コードが存在しているかを示すフラグであり、存在していば「オン」、存在していない、及び、電源投入時に「オフ」に設定される。保留出力条件有効フラグ12bは、保留出力条件メモリ12cに記憶されている出力条件が有効かを示すフラグであり、保留出力条件メモリ12cに出力条件が記憶される場合に「オン」、一群の印刷が終了してから所定のタイムアウト時間が経過した場合、及び、電源投入時に「オフ」に設定される。保留出力条件メモリ12cには、二次元コードに格納されている印刷条件を使って印刷した場合に、その使用した印刷条件が記憶されている。
【0028】
LCD16は、各種機能の操作手順、ユーザへのコメント等を表示する。タッチパネル17は、LCD16の画面全域に設けられ、ユーザがタッチしたLCD16の画面上の位置を検出し、CPU10は、タッチした位置に応じてユーザからの指示を受付けることができる。
【0029】
スキャナ18は、フラットベッドタイプのイメージスキャナであり、コピー機能、ファクシミリ機能、スキャナ機能の実行時に、原稿台に置かれた原稿に対し、撮像素子を移動させて原稿を読み取る読取動作を行う。ADF19は、スキャナ18に原稿を自動搬送するものであり、ADF19により、スキャナ18は撮像素子を固定したまま、原稿の読取動作を行うことができる。プリンタ20は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能の実行時に、レーザー方式によって記録用紙に画像を印刷する印刷動作を行う。
【0030】
NCU21は、電話回線の制御を行うものであり、電話回線網を介して、外部装置と接続され、外部装置とのFAXデータの送受信は、電話回線網、NCU21を介して行われる。モデム22は、NCU21と接続され、ファクシミリ送信時に送信信号を電話回線網での伝送に適した形態に変調し、ファクシミリ受信時には電話回線網から送られてきた変調信号を復調する。LAN I/F23は、ローカルエリアネットワークを介して外部装置と接続するためのインターフェイスである。例えば、画像ファイルメモリ11bに記憶されている画像ファイルを、LAN I/F23を介して外部装置に送信できる。
【0031】
図2は、本発明の第1実施形態の概要を説明するための図である。図2(a)は、原稿Gを示し、図2(b)は、図2(a)に示す状態の原稿Gを、図2(a)に示す読取方向で読み取った場合のスキャン画像D1を示し、図2(c)は、図2(a)に示す原稿Gを180度回転させて、図2(a)に示す読取方向で読み取った場合のスキャン画像D2を示し、図2(d)は、図2(a)に示す原稿Gの左上片隅に印刷されている二次元コードKに格納されている情報を示している。
【0032】
第1実施形態は、コピー機能が指示され、原稿Gが図2(a)に示す状態でセットされスキャンされると、図2(b)に示すスキャン画像D1を生成し、この場合は、出力条件メモリ11aに記憶されているディフォルトの印刷条件で印刷する。一方、原稿Gが図2(a)に示す状態から180度回転してセットされスキャンされると、図2(c)に示すスキャン画像D2を生成し、この場合は、スキャン画像D2に存在する二次元コードKに格納されている印刷条件で印刷するものである。
【0033】
このように、第1実施形態によれば、ユーザは、ディフォルトの印刷条件で印刷したい場合、図2(a)に示す状態で原稿Gをセットし、二次元コードKに格納されている印刷条件で印刷したい場合、図2(a)に示す状態から原稿Gを180度回転して原稿Gをセットすれば良い。即ち、ユーザは、スキャナ18に対し、原稿をセットする向きを調節する、という簡単な操作で、所望する印刷条件を設定できる。
【0034】
図2(a)に示す原稿Gには、左上片隅に二次元コードKと、中央部に原稿の内容とが印刷されている。二次元コードKは、所謂QRコードによって構成されており、二次元コードKには、図2(d)に示すように、原稿における二次元コードの位置と、スキャン画像における二次元コードの位置と、出力条件(カラー/モノクロ、解像度、データ形式 等)とが格納されている。
【0035】
原稿における二次元コードの位置は、図2(a)に示すように、原稿Gにおける二次元コードKの上端左端の位置であり、原稿Gの上端左端を原点G0とし、二次元コードKの上端左端の位置P1を示す座標(a,b)が格納されている。
【0036】
スキャン画像における二次元コードKの位置は、図2(a)に示す原稿Gを180度回転してスキャンした場合のスキャン画像おける二次元コードKの位置である。第1実施形態においては、図2(c)に示すスキャン画像D2の上端左端を原点D0とし、二次元コードKの上端左端の位置P3を示す座標(c、d)が格納されている。
【0037】
出力条件は、図2(a)に示す原稿Gを出力した場合の出力条件であり、カラー/モノクロの別、解像度、データ形式、等の各項目毎に設定された値が格納されている。尚、出力条件には、原稿Gを印刷する場合の印刷条件と、原稿Gから所定形式の画像ファイルを生成する画像ファイル生成条件との両方が含まれている。
【0038】
ユーザは、例えば、図2(a)に示す原稿Gを、出力条件メモリ11aに記憶されているディフォルトの印刷条件で印刷したい場合、図2(a)に示す状態で原稿Gをセットする。この場合は、図2(b)に示すスキャン画像D1を生成し、スキャン画像D1から二次元コードKの位置P2を検出し、その検出した位置P2と、二次元コードKに格納されているスキャン画像における二次元コードKの位置P3とを比較し、両者が一致していないので、ディフォルトの印刷条件で原稿Gを印刷するものである。
【0039】
一方、二次元コードKに格納されている印刷条件で印刷したい場合には、原稿Gを図2(a)に示す状態から180度回転してセットする。この場合は、図2(c)に示すスキャン画像D2を生成し、スキャン画像D2から二次元コードKの位置P3を検出し、その検出した位置P3と、二次元コードKに格納されているスキャン画像における二次元コードKの位置P3とを比較し、両者が一致しているので、二次元コードKに格納されている印刷条件で原稿Gを印刷するものである。
【0040】
図3は、コピー処理を示すフローチャートである。コピー処理は、ユーザからコピー機能の実行指示が入力された場合に実行され、原稿を複写する処理である。尚、本実施形態では、原稿はADF19よって搬送される場合について説明する。
【0041】
CPU10は、保留出力条件有効フラグ12bがオンかを判断し(S1)、オンであれば(S1:Yes)、タイムアウト時間を経過したかを判断し(S2)、タイムアウト時間を経過していれば(S2:Yes)、保留出力条件有効フラグ12bをオフに設定し(S3)、S4の処理に移行する。一方、保留出力条件有効フラグ12bが既にオフの場合と(S1:No)、タイムアウト時間を経過していない場合とは(S2:No)、S3の処理をスキップしてS4の処理に移行する。
【0042】
前回の印刷から今回の印刷までの時間がタイムアウト時間(例えば60秒)を経過している場合には、今回の印刷と、前回の印刷との関係がない可能性が高いので、保留出力条件有効フラグ12bをオフに設定する。これにより、今回の印刷に、前回の印刷の印刷条件が反映されることがない。一方、タイムアウト時間を経過していない場合は、今回の印刷と、前回の印刷とが関係している可能性があるので、保留出力条件有効フラグ12bはオフにしない。これにより、今回の印刷に、前回の印刷の印刷条件が反映されることがある。
【0043】
CPU10は、原稿を1枚分スキャンすると(S4)、印刷条件設定処理によって印刷条件を設定し(S5)、その設定された印刷条件で印刷データを生成し(S6)、生成した印刷データをプリンタ20に出力する(S7)。これにより、S5の処理で設定された印刷条件で原稿を複写できる。
【0044】
尚、S4の処理で原稿をスキャンする場合には、最高解像度、カラーでスキャンしておき、S5の処理で設定された印刷条件に従って、S6の処理でスキャン画像から印刷データを作成する。一方、原稿をADF19ではなく、手動で原稿台に載置していく場合には、例えば、S4の処理において二次元コードを検出可能なレベルでプレスキャンし、S5の処理で印刷条件が設定された後に本スキャンし、その本スキャンしたスキャン画像に基づいて印刷データを生成しても良い。
【0045】
CPU10は、次の原稿があるかを判断し(S8)、原稿があれば(S8:Yes)、S4の処理に移行し、原稿がなければ(S8:No)、タイムアウト時間の計時を開始し(S9)、本処理を終了する。具体的には、S8の処理では、ADF19に設けられている原稿検知センサ(図示せず)によって、原稿の有無を検知している。尚、手動で原稿を原稿台に載置していく場合には、S8の処理において、次ページ有りかを、LCD16に表示し、ユーザの入力に基づいて判断できる。
【0046】
図4は、印刷条件設定処理を示すフローチャートである。印刷条件設定処理は、図4に示すS4の処理でスキャンした原稿の印刷条件を設定する処理である。CPU10は、スキャン画像を解析し(S21)、スキャン画像内に二次元コードが存在するかを判断する(S22)。二次元コードが、存在していると判断された場合には(S22:Yes)、CPU10は、二次元コード内に、出力条件が格納されているかを判断する(S23)。出力条件が格納されていれば(S23:Yes)、CPU10は、二次元コード検出フラグ12aをオンにして(S24)、S26の処理に移行する。
【0047】
尚、スキャン画像内に二次元コードが存在しない場合と(S22:No)、二次元コード内に印刷条件が格納されていない場合とは(S23:No)、二次元コード検出フラグ12aをオフにする(S25)。
【0048】
CPU10は、S26の処理において、スキャン画像内に存在していた二次元コードの位置と、その二次元コードに格納されているスキャン画像における二次元コードの位置とが一致するかを判断する(S26)。即ち、ユーザが、二次元コードに格納されている印刷条件での印刷を要求しているのかを判断する。具体的には、スキャン画像D1,D2から二次元コードKの位置P2,P3を検出し、その検出した位置P2,P3と、二次元コードKに格納されているスキャン画像における二次元コードKの位置P3とをそれぞれ比較し、両者が一致するかを判断する。
【0049】
尚、S26で、両者が一致するか判断する場合には、両者が完全一致する場合は勿論、検出した位置P2,P3が、二次元コードKの位置P3の位置に対して所定範囲内に含まれていれば、両者が一致すると判断する。これにより、原稿が、多少、ずれて読み取られたり、斜行して読み取られても、両者は一致する範疇であると判断できる。
【0050】
その結果、一致していると判断した場合、即ち、ユーザが二次元コードに格納されている印刷条件での印刷を要求している場合には(S27)、保留出力条件有効フラグ12bをオンに設定し(S27)、二次元コードに格納されている出力条件を取得し、保留出力条件メモリ12cに記憶する(S28)。これにより、次回印刷においても、今回の印刷で使用した印刷条件を利用することができる。
【0051】
CPU10は、S28で保留出力条件メモリ12cに記憶した出力条件のうちから、印刷に関する印刷条件を取得する(S29)。また、必要な印刷条件を出力条件メモリ11aから取得する(S30)。具体的には、S29で取得した印刷条件のうち、印刷条件として足りない項目(例えば、拡縮率、コントラスト、輝度、レイアウト等)があれば、その項目に設定されている値を、出力条件メモリ11aから取得する。或いは、S29で取得した印刷条件のうち、MFP1では対応できない印刷条件(例えば、S29で取得した印刷条件としての解像度が、MFP1では対応できない解像度である場合)であれば、出力条件メモリ11aから最も近い値を取得する。そして、S29の処理とS30の処理とで取得した印刷条件を今回の印刷条件として設定する(S31)。
【0052】
そして、CPU10は、スキャン画像内に存在していた二次元コードの位置と、その二次元コードに格納されている原稿における二次元コードの位置とが一致するかを判断する(S32)。尚、S32の判断は、上述したS26と同様に判断する。即ち、完全一致する場合は勿論、スキャン画像内に存在していた二次元コードの位置が、二次元コードに格納されている原稿における二次元コードの位置に対し、所定範囲内に含まれている場合にも一致すると判断する。
【0053】
その結果、一致しれていれば(S32:Yes)、本処理を終了し、一致していなければ(S32:No)スキャン画像を180度回転した後(S33)、本処理を終了する。このように、S32の処理において、両者が一致していないのは、図2(a)に示す原稿Gに対して、図2(c)に示すスキャン画像D2が生成されたためである。よって、この場合は、S33の処理によって、スキャン画像を180度回転させる。これにより、図2(a)に示す原稿Gに対して、図2(c)に示すスキャン画像D2が生成された場合でも、図2(b)に示すスキャン画像D1が生成された場合と同じ方向で、原稿が複写された記録用紙を出力できる。
【0054】
また、第1実施形態の場合、即ち、図2(d)に示す情報が二次元コードに格納されている場合は(以下、例1)、S32の判断は必ず否定され、S33の処理が実行される。一方、例えば、図2(d)に示す情報において、「スキャン画像における二次元コードの位置」を(c,d)に代えて、(a,b)にした場合には(以下、例2)、S32の判断は必ず肯定され、S33の処理は実行されずに、印刷条件設定処理を終了する。
【0055】
即ち、S32の判断結果は、原稿の二次元コードに格納された「原稿における二次元コードの位置」と「スキャン画像における二次元コードの位置」とが一致しているか否かにより決定される。よって、原稿の二次元コードに格納された「原稿における二次元コードの位置」と「スキャン画像における二次元コードの位置」の関係(一致または不一致)が常に同じであれば、S32の判断を行う必要はない。
【0056】
しかし、S32の判断をすることで、原稿に印刷された二次元コードに依存せず、例1の二次元コードが印刷された原稿、及び、例2の二次元コードが印刷された原稿を区別することなく、印刷条件設定処理を実行できる。
【0057】
一方、CPU10は、S26の処理において、スキャン画像内に存在していた二次元コードの位置と、その二次元コードに格納されているスキャン画像上における二次元コードの位置とが一致しないと判断した場合には(S26:Yes)、S34〜S44の処理を行う。
【0058】
この場合、CPU10は、保留出力条件有効フラグ12bがオンかを判断し(S34)、オンであれば(S34:Yes)、今回の印刷は、前回の印刷と関係があるとして、前回の印刷で設定した印刷条件を使用すべく、印刷に関する印刷条件を保留出力条件メモリ12cから取得する(S35)。尚、S34でオンと判断され、S35を実行する前に、保留出力条件と、ディフォルト条件とのうち、何れを使用するかを、ユーザに選択させ、選択された方を今回の印刷条件としても良い。
【0059】
そして、上述したS30の処理と同様に、必要な印刷条件を出力条件メモリ11aから取得し(S36)、S35の処理とS36の処理とで取得した印刷条件を、今回の印刷条件として設定する(S38)。これにより、例えば、複数枚の原稿を連続して印刷する場合に、1枚目で設定された印刷条件と同じ印刷条件で2枚目以降を出力したいが、2枚目以降に識別情報がない場合でも、1枚目で設定された印刷条件と同じ印刷条件で2枚目以降を印刷できる。
【0060】
一方、CPU10は、S34の処理の判断の結果、保留出力条件有効フラグ12bがオフであれば(S34:No)、今回の印刷は前回の印刷とは無関係であるとして、ディフォルトの印刷条件を出力条件メモリ11aから取得し(S37)、S37で取得した印刷条件を、今回の印刷条件として設定する(S38)。
【0061】
次に、CPU10は、再度、二次元コード検出フラグ12aがオンかを判断し(S39)、オンであれば(S39:Yes)、スキャン画像から二次元コードを消去し(S40)、S41の処理に移行する。これにより、スキャン画像に含まれる無用な二次元コードを消去できる。尚、二次元コード検出フラグ12aがオフである場合には(S39:No)、S40の処理はスキップしてS41の処理に移行する。
【0062】
CPU10は、S41の処理において、スキャン画像内から新たな二次元コードを付加可能な大きさの余白を特定し(S41)、その特定された余白を新たな二次元コードの付加位置として決定し(S42)、新たな二次元コードを生成する(S43)。尚、S41で、複数の余白を特定した場合、S42では、複数の余白のうち、左上に位置する余白を、新たな二次元コードの付加位置として決定する。
【0063】
新たな二次元コードには、S42の処理で決定した付加位置に相当する原稿上の位置(原稿における二次元コードの位置)と、その原稿の位置を180度回転させた位置に相当するスキャン画像上の位置と、S38の処理で設定した今回の印刷条件と、を格納して生成する。尚、第1実施形態では、「スキャン画像における二次元コードの位置」が、原稿Gを180度回転させた場合の位置である。そのため、S43で生成した二次元コードに「その原稿の位置を180度回転させた位置に相当するスキャン画像上の位置」を格納するが、この位置は、他の位置であっても良い。
【0064】
そして、CPU10は、S43の処理で生成した新たな二次元コードを、S42で決定した付加位置に付加し(S44)、本処理を終了する。これにより、新たな二次元コードが印刷された原稿を複写する場合に、この原稿の印刷条件が不明でも、設定されている印刷条件のディフォルト値が変更されていても、現在の印刷結果と同じ印刷結果で原稿を複写することができる。
【0065】
図5は、スキャン処理を示すフローチャートである。スキャン処理は、ユーザからスキャン機能の実行指示が入力された場合に実行され、スキャンした原稿の画像データを画像ファイルとして生成する処理である。尚、図3で説明したコピー処理と同一の処理ついては、同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0066】
CPU10は、S1〜S3の処理において、保留出力条件有効フラグ12bの設定を終了すると、生成する画像ファイルの名前を受け付けた後(S51)、原稿を1枚分スキャンする(S4)。そして、後述する画像ファイル生成条件設定処理によって、画像ファイル生成条件を設定する(S52)。そして、CPU10は、その設定された画像ファイル生成条件で、今回スキャンした原稿の画像データを生成し(S53)、生成した画像データを一旦RAM12に蓄積する(S54)。これにより、S52の処理で設定した画像ファイル生成条件で今回スキャンした原稿の画像データを生成できる。
【0067】
そして、CPU10は、次の原稿があるかを判断し(S8)、原稿があれば(S8:Yes)、S4の処理に移行し、原稿がなければ(S8:No)、RAM12に蓄積した画像データに基づいて画像ファイルを生成し(S55)、生成した画像ファイルを画像ファイルメモリ11bに記憶する(S56)。これにより、ユーザが所望する画像ファイル生成条件で画像ファイルを生成できる。
【0068】
図6は、画像ファイル生成条件設定処理を示すフローチャートである。画像ファイル生成条件設定処理は、図5に示すS4の処理でスキャンしたスキャン画像について、画像ファイル生成条件を設定する処理である。尚、図4で説明した印刷条件設定処理と同一の処理ついては、同一のステップ番号を付し、その説明は省略する。
【0069】
CPU10は、S21〜S25の処理によって、二次元コード検出フラグ12aの設定を行い、S26の処理において、ユーザが、二次元コードに格納されている画像ファイル生成条件で画像ファイルを生成することを要求しているのかを判断する。
【0070】
その結果、要求している場合には(S26:Yes)、図4で説明したのと同様に、S27,S28,S61〜S63,S32,S33の処理を行う。尚、S61〜S63の処理では、印刷条件ではなく、画像ファイル生成条件を取得、設定することはいうまでもない。
【0071】
CPU10は、S33の処理を実行した後、スキャン画像から二次元コードを消去し(S68)、本処理を終了する。画像ファイル生成条件設定処理では、生成された画像ファイルが、その後、どのような印刷条件で印刷されるか分からないので、スキャン画像から二次元コードを消去する。
【0072】
一方、S26の処理において、ユーザが二次元コードに格納されている画像ファイル生成条件で画像ファイルを生成することを要求していない場合には(S26:No)、図4で説明したのと同様に、S34,S64〜S67,S39の処理を行う。尚、S64〜S67の処理では、印刷条件ではなく、画像ファイル生成条件を取得、設定することはいうまでもない。
【0073】
また、画像ファイル生成条件設定処理では、上述した通り、生成された画像ファイルが、その後、どのような印刷条件で印刷されるか分からないので、図4の印刷条件設定処理のように、新たな二次元コードを付加する処理(図4のS41〜S44)は行わず、S39の処理において、二次元コード検出フラグ12aがオンであれば(S39:Yes)、スキャン画像から二次元コードを消去して(S68)、本処理を終了し、オンでなければ(S39:No)、本処理を終了する。
【0074】
図7は、本発明の第2実施形態を説明するための図である。第1実施形態では、原稿に印刷された二次元コードKを使用して出力条件を設定する場合について説明したが、第2実施形態では、二次元コードを使用しないで原稿の出力条件を設定する場合について説明する。
【0075】
図7(a)〜(d)は、同じ元原稿を90度ずつ回転させて、同じ方向にスキャンした場合に生成されるスキャン画像D1〜D4を示している。図7(e)は、フラッシュメモリ11に格納されている印刷条件設定テーブルTを示している。
【0076】
第2実施形態は、スキャン画像において、予め決められた所定位置に、所定のマークがあるかを検出し、その所定位置に所定のマークがあれば、その所定位置に応じて設定されている印刷条件で印刷するものである。この場合も、ユーザは、原稿をセットする位置を調節する、という簡単な操作で、原稿を印刷する場合の印刷条件を、所望の印刷条件に設定できる。
【0077】
第2実施例の原稿には、左上片隅にマークMと、中央部に原稿の内容とが印刷されているものとする。マークMは黒塗りの正方形で構成されている。尚、マークMは、本形態(形状、色を含む)に限定されず、記号、文字、数字等、どのような形態であっても良い。但し、マークMの形状については、マークMを90度ずつ360度回転させた場合、それぞれの形状が同一になる形状が好ましい。かかる形状であれば、マークMを簡単に特定できるからである。
【0078】
また、印刷条件設定テーブルTには、マークMの位置P1〜P4の各々に対応つけて、印刷条件A〜Dが設定されている。マークMの位置P1〜P4は、スキャン画像の上端左端を原点D0とし、そのスキャン画像におけるマークMの上端左端の位置を示す座標が格納されている。印刷条件A〜Dは、互いに異なる印刷条件が設定されている。例えば、解像度、出力部数、拡縮率、等の各項目の値が互いに異なるように設定されている。
【0079】
第2実施形態では、コピー機能が指示され、原稿がセットされると、そのセットの仕方によって、図7(a)〜図7(d)に示す何れかのスキャン画像D1〜D4を生成する。スキャン画像D1〜D2の何れかを生成すると、そのスキャン画像から、マークMの位置を検出する。
【0080】
例えば、スキャン画像のサイズから、今回のスキャン画像がスキャン画像D1またはスキャン画像D3である場合には、予め決められているマークMの位置P1,P3に、マークMが存在するかを判断する。そして、何れかの位置にマークMが存在していれば、そのマークMの位置に対応つけて記憶されている印刷条件で印刷する。一方、何れの位置にもマークMが存在していなければ、出力条件メモリ11aに設定されているディフォルトの印刷条件で印刷する。尚、スキャン画像のサイズから、スキャン画像がスキャン画像D2またはスキャン画像D4である場合にも同様である。この第2実施形態によれば、ユーザは、原稿をどの向きにセットするか、という簡単な操作で、4パターンの印刷条件の中から、所望の印刷条件で印刷できる。
【0081】
上述した実施形態において、MFP1が画像処理装置の一例、図4のS26が請求項1の検出手段の一例、図4のS29が請求項1の選択手段の一例、図3のS7が請求項1の出力手段の一例、図4のS21が請求項2の位置情報取得手段及び請求項3の抽出手段の一例、図1の出力条件メモリ11aが請求項4の第1出力条件記憶手段の一例、図1の保留出力条件メモリ12cが請求項4の第2出力条件記憶手段の一例、図4のS22が請求項5の識別画像判断手段の一例、図4のS43が請求項5の識別画像生成手段の一例、図4のS44が請求項5の合成手段の一例、図4のS41が請求項6の余白抽出手段の一例、図4のS32が請求項7の原稿位置情報取得手段の一例、図4のS33が請求項7の出力向き調節手段の一例、図1の二次元コード検出フラグ12aが請求項8の検出結果記憶手段の一例、図4のS30,S36が請求項9の項目判断手段の一例、図4のS31、S38が請求項9の第3出力条件生成手段の一例に相当する。
【0082】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変更が可能であることは容易に推察できるものである。
【0083】
上述した第1実施形態では、図4に示すS26の処理において、スキャン画像内に存在していた二次元コードの位置と、その二次元コードに格納されているスキャン画像における二次元コードの位置とが一致する場合に、S29の処理によって二次元コードKに格納されている印刷条件を使用して印刷する場合について説明した。しかしそれとは、逆に、一致しない場合に、二次元コードKに格納されている印刷条件を使用して印刷し、一致する場合に、出力条件メモリ11aに記憶されているディフォルトの印刷条件を使用して印刷するようにしても良い。この場合も、上述したのと同様な効果が得られる。
【0084】
また、上述した第1実施形態では、印刷条件と、画像ファイル生成条件とを区別することなく、二次元コードKに格納し、図4に示すS29の処理と、図6に示すS61の処理とにおいて、必要な出力条件を取得する場合について説明したが、予め、印刷条件と、画像ファイル生成条件とで必要な出力条件を区分けして格納しておいても良い。かかる場合には、二次元コードKから必要な設定条件だけを取得でき、出力条件を高速に設定することができる。
【0085】
また、上述した第1実施形態において、二次元コードに出力条件を格納させず、スキャン画像における二次元コードの位置(c,d)に対応付けられた出力条件と、(c,d)以外に対応付けられた出力条件とからなる出力条件設定テーブル(例えば、第2実施形態の印刷条件設定テーブルT)をフラッシュメモリ11に格納させておいても良い。かかる場合、図4のS28では、該出力条件設定テーブルからスキャン画像における二次元コードの位置(c,d)に対応付けられた出力条件を取得し、図4のS37では、出力条件設定テーブルから(c,d)以外に対応付けられた出力条件を取得すればよい。これにより、二次元コードに格納する情報を減量でき、二次元コードを小さく形成することができる。
【0086】
また、上述した第1実施形態では、二次元コードを、QRコードで構成する場合について説明したが、二次元コードは、例えば、バーコードなど、所定の情報を符号化して格納可能な識別画像であれば良い。かかる場合でも、上述した実施形態と、同様の効果を奏することができる。
【0087】
また、上述した第1実施形態において、図4のS40では、二次元コードを消去する場合について説明たが、必ずしも、二次元コードを消去しなくても良い。かかる場合には、印刷条件設定処理を高速にできる。
【0088】
また、上述した第1実施形態において、図4のS32,S33は、省略しても良い。第1実施形態の場合、図4のS26の処理で、S32の処理と等価な判断をしているからであり、かかる場合には、印刷条件設定処理を高速にできる。
【0089】
また、第1実施形態では、前回の印刷から今回の印刷の経過時間に応じて、今回の印刷に前回の印刷条件を反映させる場合について説明したが、前回の印刷から今回の印刷までの経過時間に拘わらず、今回の印刷に、前回の印刷条件を反映させないよう構成しても良い。かかる場合、保留出力条件有効フラグ12b、図4のS34〜S36は、不要となる。また、S26の判断で一致しない場合(S26:No)、または、S25の処理の後は、S37の処理を実行すれば良い。
【0090】
また、上述した第2実施形態において、スキャン画像からマークMの位置を検出し、検出されたマークMの位置が印刷条件設定テーブルTに記億されているかを判断し、記憶されていれば、そのマークMの位置に対応付けて記憶されている印刷条件に、印刷条件を設定し、記憶されていなければ、ディフォルトの印刷条件に設定しても良い。
【符号の説明】
【0091】
1 MFP
11a 出力条件メモリ
12a 二次元コード検出フラグ
12c 保留出力条件メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原稿を読み取る読取手段を備えた画像処理装置において、
前記読取手段により読み取られた読み取りデータに含まれる識別画像の位置を検出する検出手段と、
その検出手段により検出された識別画像の位置に応じて、前記読み取りデータを出力する場合に用いられる出力条件であって互いに異なる出力条件のなかから一の出力条件を選択する選択手段と、
その選択手段により選択された一の出力条件で前記読み取りデータを出力する出力手段とを備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記読み取りデータにおける所定位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段を備え、
前記検出手段は、前記位置情報取得手段により取得した位置情報が示す所定位置に前記識別画像があるかを検出し、
前記選択手段は、前記検出手段による検出結果に応じて、前記一の出力条件を選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記読取手段により読み取られた読み取りデータから識別画像を抽出する抽出手段と、
その抽出手段により抽出された識別画像に含まれている情報であって、前記読み取りデータにおける所定位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段とを備え、
前記検出手段は、前記位置情報取得手段により取得した位置情報が示す所定位置に前記識別画像があるかを検出し、
前記選択手段は、前記検出手段による検出結果に応じて、前記一の出力条件を選択することを特徴とする請求項1記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記読み取りデータを出力する場合に用いられる出力条件を示す第1出力条件を記憶する第1出力条件記憶手段と、
その第1出力条件記憶手段に記憶されている第1出力条件とは異なる出力条件を示す第2出力条件を前記読み取りデータに含まれる識別画像から取得する第2出力条件取得手段と、
その第2出力条件取得手段により取得した第2出力条件を記憶する第2出力条件記憶手段とを備え、
前記選択手段は、前記検出手段により前記識別画像が所定位置にないとされた場合、前記第1出力条件記憶手段に記憶されている第1出力条件を選択し、前記識別画像が所定位置にあるとされた場合、前記第2出力条件記憶手段に記憶されている第2出力条件を選択することを特徴とする請求項2又は3に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記読み取りデータに前記識別画像が含まれるかを判断する識別画像判断手段と、
前記識別画像判断手段により前記識別画像が含まれると判断された場合であって、前記検出手段により前記識別画像が所定位置にないとされた場合、または、前記識別画像判断手段により前記識別画像が含まれないと判断された場合、前記第1出力条件と前記位置情報とを含む識別画像を生成する識別画像生成手段と、
前記識別画像判断手段により前記識別画像が含まれないと判断された読み取りデータ、または、前記検出手段により前記識別画像が所定位置にないとされた読み取りデータに、前記識別画像生成手段により生成された識別画像を合成する合成手段とを備えていることを特徴とする請求項4に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記識別画像判断手段により前記識別画像が含まれないと判断された読み取りデータ、または、前記検出手段により前記識別画像が所定位置にないとされた読み取りデータにおける1以上の余白領域を抽出する余白抽出手段を備え、
前記合成手段は、前記識別画像生成手段により生成された識別画像を前記余白抽出手段により抽出された1の余白領域に合成することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記識別画像には、前記原稿の天地方向における前記識別画像の位置を示す原稿位置情報が含まれており、
前記識別画像から前記原稿位置情報を取得する原稿位置情報取得手段と、
その原稿位置情報取得手段により取得した原稿位置情報と、前記検出手段により検出された前記識別画像の位置とに基づいて、前記識別画像の位置が前記原稿位置情報に基づく位置となるように前記読み取りデータを回転して出力させる出力向き調節手段とを備えていることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記読み取りデータに前記識別画像が含まれるかを判断する識別画像判断手段と、
その識別画像判断手段により前記識別画像が含まれないと判断された読み取りデータの直前に前記読取手段により読み取られた読み取りデータについて、前記検出手段により前記識別画像が所定位置にあるかを検出した検出結果を、その読み取りデータの出力が終了してから所定時間内、記憶する検出結果記憶手段とを備え、
前記選択手段は、前記識別画像判断手段により前記識別画像が含まれないと判断された読み取りデータについて、前記検出結果記憶手段に記憶されている検出結果が前記識別画像が所定位置にないことを示している場合、前記第1出力条件を選択し、前記判断結果が前記識別画像が所定位置にあることを示している場合、前記第2出力条件を選択することを特徴とする請求項4から7のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第2出力条件に含まれる項目以外の項目が前記第1出力条件に含まれるかを判断する項目判断手段と、
その項目判断手段により含まれると判断された場合、前記第2出力条件に、前記第2出力条件に含まれる項目以外の項目について前記第1出力条件において設定されている値を加えて構成される第3出力条件を生成する第3出力条件生成手段とを備え、
前記選択手段は、前記第3出力条件生成手段により前記第3出力条件が生成された場合、その第3出力条件を選択することを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載の画像処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77933(P2013−77933A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215843(P2011−215843)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】