説明

画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システム

【課題】 画像出力装置を効率的に利用しつつ、画像を出力するまでの時間を短くすることができる画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システムを提供する。
【解決手段】 本発明は、ネットワークを介して他の画像出力装置と通信する手段と、出力対象データを格納する手段と、データ管理情報を保持するデータ手段と、処理履歴情報を保持する手段と、利用者に出力する出力対象データを指定させる手段と、利用者により指定された出力対象データの格納先を特定し、特定した格納先から当該出力対象データを保持する手段と、出力対象データについて処理履歴情報に基づき格納先の画像出力装置に関する見直しを行う手段と、格納先の見直し判断の結果に従って出力対象データの処理を行う手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システムに関し、例えば、スキャナ機能、コピー機能、印刷機能などに対応した複合機(以下、MFP(MultiFunction Printer)とも呼ぶ)を複数備えたシステムに適用し得る。
【背景技術】
【0002】
従来、MFPやプリンタ等の出力対象の画像データ(以下、「出力対象データ」とも呼ぶ)を保持して出力する画像出力装置では、ユーザ単位やグループ単位等で区切られた記憶領域(以下、「ボックス」と呼ぶ)を備え、ボックスに蓄積した文書等のデータを出力(例えば、印刷出力や表示出力等)する機能に対応したものが存在する。
【0003】
また、従来、ボックス機能に対応した複数のMFPがネットワークで接続されている環境において、利用者がどのMFPに出力対象の文書データを蓄積したかを意識せず、任意のMFPで文書データの入出力を行うことができるシステムも存在する。このような従来システムでは、例えば、利用者が文書データを印刷出力しようとするMFPに、当該文書データが格納されていない場合には、他のMFPから受信して保持したものを出力する処理が行われる。
【0004】
また、このように、複数の画像出力装置に分散して出力対象データが配置されたシステムとしては、特許文献1の記載技術がある。特許文献1の記載技術では、印刷データ(出力対象データ)が複数のプリンタに分散して配置されたシステムにおいて、複数のプリンタに同一の印刷データを配置し、さらに、印刷データごとのプリンタの印刷順位を管理し、その印刷順位に応じたプリンタで印刷データの印刷出力を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−330950号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の複数接続された画像出力装置(例えば、MFP)を使用して、利用者が文書データを印刷するとき、利用者が文書データを印刷出力しようとする画像出力装置に、当該文書データが格納されていない場合には、他の画像出力装置から文書データを受信して、ユーザ所望の文書データを出力する処理が行われる。そして、従来技術では、各画像出力装置の記憶領域を有効に活用できない場合、各画像出力装置間での文書データの転送頻度が多くなったり、印刷のために管理するデータが増大することにより、印刷終了までの処理量や処理時間が増え、画像出力装置の利用効率が悪化するおそれがあった。
【0007】
上述のような問題点に鑑みて、画像出力装置を効率的に利用しつつ、画像を出力するまでの時間を短くすることができる複数接続可能な画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システムが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の本発明は、出力対象データに基づく画像を出力する出力手段を備える画像出力装置において、(1)ネットワークを介して他の画像出力装置と通信する通信手段と、(2)1又は複数の出力対象データを格納する出力対象データ格納手段と、(3)前記ネットワークに接続する各画像出力装置が格納する出力対象データを管理するためのデータ管理情報を保持するデータ管理情報保持手段と、(4)前記データ管理情報で管理される出力対象データごとの処理の履歴に関する処理履歴情報を保持する処理履歴情報保持手段と、(5)利用者に、出力する出力対象データを指定させる出力受付手段と、(6)前記出力受付手段で、利用者により指定された出力対象データの格納先を前記データ管理情報に基づいて特定し、特定した格納先から当該出力対象データを保持して前記出力手段に供給する出力対象データ保持手段と、(7)当該画像出力装置、又は、他の画像出力装置に格納された出力対象データについて、前記処理履歴情報に基づき、格納先の画像出力装置に関する見直しを行う配置判断手段と、(8)前記配置判断手段の判断結果に従って、出力対象データの処理を行う出力対象データ処理手段とを有することを特徴とする。
【0009】
第2の本発明の制御プログラムは、(1)出力対象データに基づく画像を出力する出力手段を備える画像出力装置に搭載されたコンピュータを、(2)ネットワークを介して他の画像出力装置と通信する通信手段と、(3)1又は複数の出力対象データを格納する出力対象データ格納手段と、(4)前記ネットワークに接続する各画像出力装置が格納する出力対象データを管理するためのデータ管理情報を保持するデータ管理情報保持手段と、(5)前記データ管理情報で管理される出力対象データごとの処理の履歴に関する処理履歴情報を保持する処理履歴情報保持手段と、(6)利用者に、出力する出力対象データを指定させる出力受付手段と、(7)前記出力受付手段で、利用者により指定された出力対象データの格納先を前記データ管理情報に基づいて特定し、特定した格納先から当該出力対象データを保持して前記出力手段に供給する出力対象データ保持手段と、(8)当該画像出力装置、又は、他の画像出力装置に格納された出力対象データについて、前記処理履歴情報に基づき、格納先の画像出力装置に関する見直しを行う配置判断手段と、(9)前記配置判断手段の判断結果に従って、出力対象データの処理を行う出力対象データ処理手段として動作させることを特徴とする。
【0010】
第3の本発明は、複数の画像出力装置を備える画像出力システムにおいて、それぞれの前記画像出力装置として、第1の本発明の画像出力装置を適用したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
画像出力装置を効率的に利用しつつ、画像を出力するまでの時間を短くすることができる画像出力システムを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】第1の実施形態に係る文書管理システムの全体構成について示した説明図である。
【図2】第1の実施形態に係るMFPのハードウェア構成等について示したブロック図である。
【図3】第1の実施形態に係るMFPで管理されるMFP管理情報の内容例について示した説明図である。
【図4】第1の実施形態に係るMFPで管理されるボックス管理情報の内容例について示した説明図である。
【図5】第1の実施形態に係るMFPで管理される文書管理情報の内容例について示した説明図である。
【図6】第1の実施形態に係るMFPで管理される文書利用履歴情報の内容例について示した説明図である。
【図7】第1の実施形態のMFPで実行される制御プログラムの機能的構成(MFPのソフトウェア構成)について示したブロック図である。
【図8】第1の実施形態の文書管理システムで、ボックスに新規に文書データを登録する場合のMFPの動作の例について示したフローチャートである。
【図9】第1の実施形態の文書管理システムで、ボックスから文書データを出力する場合の、MFPの動作の例について示したフローチャートである。
【図10】第1の実施形態のMFPで表示されるボックス選択画面の例について示した説明図である。
【図11】第1の実施形態に係る文書管理システムで、新たな文書データがボックスに登録された場合の管理情報の内容例について示した説明図である。
【図12】第1の実施形態のMFPで表示される文書データ選択画面の例について示した説明図である。
【図13】第1の実施形態に係る文書管理システムで、文書データの出力に伴い、再配置が行われた場合の管理情報の内容例について示した説明図である。
【図14】第2の実施形態に係るMFPで実行される制御プログラムの機能的構成(MFPのソフトウェア構成)について示したブロック図である。
【図15】第2の実施形態に係る文書管理システムで、文書データを再配置する場合のMFPの動作の例について示したフローチャートである。
【図16】第2の実施形態に係る文書管理システムで、文書データの出力に伴い、再配置が行われた場合の管理情報の内容例について示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(A)第1の実施形態
以下、本発明による画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システムの第1の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。なお、この実施形態の画像出力装置は、MFPである。
【0014】
(A−1)第1の実施形態の構成
図1は、この実施形態の文書管理システム1の全体構成を示すブロック図である。なお、図1において括弧内の符号は、後述する第2の実施形態でのみ用いられる符号である。
【0015】
文書管理システム1は、2台のPC20(20−1、20−2)と、3台のMFP10−(10−1〜10−3)とを有している。なお、文書管理システム1に配置されるPC20及びMFP10の数は限定されないものである。
【0016】
文書管理システム1を構成する各装置(PC20−1、20−2、MFP10−1〜10−3)は、ネットワークNに接続しており、ネットワークNを介して相互に接続することが可能となっている。
【0017】
PC20としては、例えば、既存のコンピュータ(PC)を適用することができる。PC20としては、例えば、CPU、RAM、HDD、モニタ(ディスプレイ)、キーボード、マウス等を備える既存コンピュータ(PC)を適用することができる。PC20は、利用者の操作に応じて、MFP10に対して、画像データ(印刷文書のデータ)を送信する処理や、MFP10に蓄積された文書をモニタ上に表示するといった操作を行う。
【0018】
MFP10は、印刷、スキャン、コピーといった複合機の基本機能に加えて、上述のボックス機能に対応している。また、MFP10は、複数のMFP10間でボックス内の文書データを共有する。さらに、それぞれのMFP10にはネットワーク上で一意に装置を識別するための識別子としてIPアドレスが割り当てられており、MFP10間で通信する際には、そのIPアドレスを用いたIP通信が行われるものとする。なお、MFP10間での識別子としては、IPアドレス以外(例えば、ホスト名等その他の識別情報)を用いるようにしても良い。
【0019】
ボックス文書格納領域115は、MFP10が備える記憶装置上に割り当てられた文書データDを管理・格納するために、ハードディスク110上に確保される記憶領域である。
【0020】
文書データDは、MFP10が原稿をスキャンして生成した画像データや、PC20などから受信した出力対象となる文書(画像)のデータである。図1では、例えば、MFP10−1のボックス文書格納領域115に、3つの文書データD3、データD13、データD19が記憶されている様子について示している。また、この実施形態の文書管理システム1では、個々の文書データDを識別するためにそれぞれに対して、文書IDを割り当てられているものとする。
【0021】
ネットワークNはPC20とMFP10を接続する通信路である。通信路の例としては有線LANなどを利用するようにしても良いが、無線LANなどを利用する構成としても良い。具体的な接続例としては、オフィスの各階に設置されたPC20とMFP10を有線LANで接続したり、地理的に離れた複数の拠点に設置されたPC20とMFP10をWANで接続するような構成としても良い。
【0022】
図2は、各MFP10の内部のハードウェア構成等について示したブロック図である。なお、図2において括弧内の符号は、後述する第2の実施形態でのみ用いられる符号である。この実施形態では、MFP10−1〜10−3は、全て、同じハードウェア構成であるものとして説明する。
【0023】
図2に示すように、MFP10は、共通バス101、CPU102、RAM103、ROM104、ネットワークインタフェース106、オペレータパネル107、プリントユニット108、スキャナユニット109、及びハードディスク110を備える。
【0024】
共通バス101は、MFP10内の各構成要素の間で、信号伝送を行うためのバスである。
【0025】
CPU102はマイクロプロセッサなどから構成され、ROM104に格納された制御プログラム105を実行することにより、MFP10全体の制御を行うものである。
【0026】
RAM(Random ACcess Memory)103は、CPU101の主メモリであって、制御プログラム105の実行に必要な情報を一時的に記憶する部分である。
【0027】
ROM(Read Only Memory)104は、CPU102で実行するプログラム等を格納する記憶領域であり、少なくとも、MFP10全体を制御するための制御プログラム105を記憶している。
【0028】
ネットワークインタフェース106は、当該MFP10をネットワークNに接続するためのインタフェースである。ネットワークインタフェース106の種類は限定されないものであるが例えば、イーサネット(登録商標)等に対応したインタフェースを適用することができる。
【0029】
オペレータパネル107は、利用者とのインタフェースの機能を担っており、利用者にMFP10からの情報を表示出力するための表示部と、利用者からの入力を受付けるための入力部を備えている。オペレータパネル107は、例えば、LCDパネルとスイッチの組み合わせやタッチ式の液晶パネル等を適用することができるが、適用する具体的なデバイスの構成は限定されないものである。
【0030】
プリントユニット108はローラ、帯電装置、露光装置、現像装置など、印刷用紙(媒体)に印刷(画像形成)するための機能を担っている。プリントユニット108については、例えば、既存のMFPと同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
【0031】
スキャナユニット109は、原稿の画像を読取る機能を担っている。スキャナユニット109は、例えば、ユニット上に設置された原稿に光を当て、反射光をCCD等の受光装置を用いて受光することで、原稿の画像(文字、図形や写真等)を読み取る。スキャナユニット109については、例えば、既存のMFP(複合機)と同様のものを適用することができるため、詳しい説明は省略する。
【0032】
ハードディスク110は、MFP10の処理に必要なデータを記憶する記憶媒体である。そして、図2に示すように、ハードディスク110には、MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、文書利用履歴情報114が記録されている。また、ハードディスク110上には、ボックス文書格納領域115が確保されている。
【0033】
なお、MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、及び文書利用履歴情報114の(以下、これらの情報を含む情報を「管理情報」とも呼ぶ)内容は、文書管理システム1内のMFP10−1〜10−3の間で共通の内容が、サーバとして機能するいずれかのMFP10で保持されているものとする。以下では、管理情報を一括して管理し、管理情報を提供するMFP10を「管理情報サーバ」とも呼び、管理情報サーバとして機能するMFP10から管理情報の提供を受けるMFP10を「管理情報クライアント」とも呼ぶものとする。具体的には、この実施形態では、MFP10−1が管理情報サーバとして機能し、MFP10−2、MFP10−3が管理情報クライアントとして機能するものとして説明する。そして、管理情報クライアントとして機能するMFP10−2、MFP10−3には、管理情報の代わりに、管理情報サーバ(MFP10−1)へのアクセス情報(例えば、MFP10−1のIPアドレス)が保持され、必要に応じてMFP10−1の管理情報へアクセスが行われるものとする。
【0034】
次に、MFP10において、CPU102により実行される制御プログラム105の機能的構成(MFP10のソフトウェア構成)について図7を用いて説明する。この実施形態では、MFP10−1〜10−3の機能的構成(ソフトウェア構成)は、全て同じであるものとして説明する。
【0035】
図7に示すように制御プログラム105は、機能的には、通信制御部1051、パネル制御部1052、画像変換部1053、プリンタ制御部1054、スキャナ制御部1055、ボックス管理部1056、文書利用履歴管理部1057、及び文書再配置制御部1058を有している。
【0036】
通信手段として機能する通信制御部1051はネットワークインタフェース106を制御し、ネットワークNを介して他のMFP10やPC20間とデータの送受信処理を行うものである。
【0037】
出力受付け手段等として機能するパネル制御部1052は、オペレータパネル107を制御し、オペレータパネル107へのメッセージ出力や、オペレータパネル107に備え付けられたキー(ソフトウェアキーとしても良い)が押下されたことを検知して、MFP10の各制御部に伝達する処理等を行うものである。
【0038】
画像変換部1053は、スキャナユニット109が原稿を読み取って生成した画像データを利用者に指定されたデータ形式(例えば、PDFやJPEG等)に変換する。また、画像変換部1053は、ボックス文書格納領域115に蓄積された文書データDをプリントユニット108で出力可能なイメージデータに変換する処理も行う。
【0039】
出力手段として機能するプリンタ制御部1054は画像変換部1053によって変換されたイメージデータについて、プリントユニット108を制御することによって媒体上に画像を形成するものである。
【0040】
スキャナ制御部1055はスキャナユニット109の機構部分の制御、読取った画像データを他の制御部に転送するものである。
【0041】
出力対象データ格納手段として機能するボックス管理部1056は、ボックス(ボックス文書格納領域115)に対する文書データDの入力(書き込み)、出力(読み込み)に関する制御を行う。
【0042】
処理履歴情報保持手段等として機能する文書利用履歴管理部1057は、ボックス管理部1056から指示により、文書データDの利用履歴を文書利用履歴情報114として記録する部分である。
【0043】
配置判断手段、及び出力対象データ処理手段として機能する文書再配置制御部1058は、文書データDに対する処理が終了するたびに、文書利用履歴管理部1057が記録した利用履歴をチェックし、文書データDの再配置要否を判断し、文書データDの再配置が必要であると判断した場合は文書データDの再配置処理の制御を行う。
【0044】
MFP管理情報111は、ボックスを共有するMFP10に関する情報である。
【0045】
図3は、MFP管理情報111で管理する情報の内容例について示した説明図である。
【0046】
図3に示すように、MFP管理情報111では、利用者がMFP10を管理しやすいようにするために付与したMFP識別名と、MFPのIPアドレスとを対応づけて管理するものとする。この実施形態の文書管理システム1では、MFP10−1のMFP識別名が「MFP_A」、MFP10−2のMFP識別名が「MFP_B」、MFP10−3のMFP識別名が「MFP_C」にそれぞれ設定されているものとする。
【0047】
ボックス管理情報112は、複数のMFP10間で共有するボックスに関する情報である。
【0048】
図4は、ボックス管理情報112の内容例について示した説明図である。
【0049】
図4に示すように、ボックス管理情報112には、ボックスを一意に識別するためのボックスID、利用者がボックスを管理しやすいようにするために付与したボックス名、ボックスの所有者、及びパスワードの情報が関連付けてボックスの数分管理されている。図4では、1行で1つのボックスに関する管理情報を記述している。
【0050】
ボックスIDの項目記述形式については限定されないものであるが、ここでは、図4に示すように、1、2、3、…、のような番号(各ボックスBXごとの一意の番号)で示されるものとする。なお、以下では、ボックスIDがN(Nは任意の番号)のボックスBXを、ボックスBXN呼ぶものとする。例えば、図4に記載されたボックスIDが1のボックスは、ボックスBX1となる。
【0051】
ボックス名の項目の記述形式についても限定されないものであるが、当該ボックスBXの用途を明確にするための任意の文字列が設定されるものとする。例えば、図4では、ボックスID1に対応するボックス名は「共有ボックス」、ボックスID2に対応するボックス名は「山田の個人Box」と設定されている。
【0052】
所有者の項目の記述形式については限定されないものであるが、ここでは、所有者の名前(漢字表記)や、未設定であること(すなわち、特定の所有者が設定されておらず、全ての利用者間で共有可能なボックスBXであること)を示す「−」が設定される。例えば、図4では、ボックスID1に対応する所有者の項目は「−」となっているので、当該ボックスBXについては所有者が未設定であることを示している。また、図4では、ボックスID2の所有者は「山田」となっている。なお、所有者の項目については、例えば、英数字の文字列で示されたユーザID等、他の形式を適用するようにしても良い。
【0053】
パスワードは、ボックスBXに対してアクセス制御を設定する場合に使用する認証情報である。ボックス管理情報112でパスワードが設定されたボックスBXに対して、PC20等からアクセスがあった場合、当該ボックスの文書データDにアクセスする際はパスワード認証を求められ、認証をパスしない限り当該文書データDへのアクセス(読み込み等)ができないように構成されているものとする。ボックス管理情報112において、ボックスBXに対するパスワードの設定は任意であり、利用者が他者に公開したくない文書を格納するボックスBXを用意したい場合に、パスワードの項目を設定する。
【0054】
文書管理情報113は、各MFP10に格納された文書データDに関する情報である。
【0055】
図5は、文書管理情報113の内容例について示した説明図である。
【0056】
文書管理情報113には、図5に示すように、文書データDごとに、文書ID、文書名、文書サイズ、格納MFPアドレス、ボックスIDの情報が登録管理されている。
【0057】
文書IDは、当該文書データDを一意に識別するためのIDである。
【0058】
文書名は、当該文書データDを管理しやすいようにするために、利用者が設定した名前である。ここでは、文書名は、当該文書データDの基となるファイルのファイル名(拡張子を含むファイル名)であるものとして説明する。
【0059】
なお、以下では、IDがN(Nは任意の番号)の文書データDを、文書データDNと呼ぶものとする。例えば、図5に記載された文書IDが3の文書データDは、文書データD3となる。
【0060】
文書サイズは、当該文書データDのサイズ(ハードディスク110上のデータサイズ)を示している。
【0061】
MFP格納アドレスは、当該文書データDが格納されているMFP10のアドレス(IPアドレス)を示している。
【0062】
文書利用履歴情報114は、MFP10が提供するボックスに対して利用者が文書データDを入出力した際の履歴である。
【0063】
図6は、文書利用履歴情報114の内容例について示した説明図である。
【0064】
図6に示すように、文書利用履歴情報114には、文書データDを入出力した履歴ごとに、文書ID、文書操作日時、利用者名、文書保存MFPアドレス、文書出力MFPアドレス、文書転送時間(MFP10間でネットワークを介して文書データDの転送が行われた場合のみ)、文書出力時間(文書データDを出力した場合のみ)、文書入出力手段の情報が記録される。
【0065】
文書IDは、当該履歴に係る文書データDの文書IDを示している。
【0066】
文書操作日時は、当該履歴に係る文書データDに対する操作が行われた日時を示している。
【0067】
利用者名は、当該履歴に係る操作を行った利用者の利用者名(ユーザ名)を示している。
【0068】
文書保存MFPアドレスは、当該履歴に係る文書データDが格納されているMFP10の識別情報(IPアドレス)を示している。
【0069】
文書出力MFPアドレスは、当該履歴に係る操作が文書データDの出力である場合、その出力先のMFP10識別情報(IPアドレス)を示している。当該履歴に係る操作が文書データDの出力でない場合は、文書出力MFPアドレスの項目には、空欄を示す「−」が設定されるものとする。
【0070】
文書転送時間は、当該履歴に係る操作に伴い、MFP10間での文書データDの転送が行われた場合の転送時間を示している。なお、当該履歴に係る操作に伴って、MFP10間での文書データDの転送が行われない場合(当該MFP10内で処理が完結する場合)、文書転送時間には、空欄を示す「−」が設定されるものとする。
【0071】
文書入出力手段は、当該履歴に係る操作における、文書データDの入力手段や出力手段に関する情報を示している。この実施形態では、例として、当該履歴に係る操作で、スキャナ制御部1055から原稿を読み込んで文書データDが生成され、いずれかのボックスBXに格納された場合には、文書入出力手段の項目は「Scan」となるものとする。また、当該履歴に係る操作で、いずれかのボックスBXに格納された文書データDの印刷が行われた場合には、文書入出力手段の項目は「Print」となるものとする。さらに、当該履歴に係る操作で、いずれかのPC20から供給(ダウンロード)されたデータに基づいて、いずれかのボックスBXへ、文書データDが格納された場合には、文書入出力手段の項目は「download」となるものとする。
【0072】
(A−2)第1の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第1の実施形態の文書管理システム1の動作を説明する。
【0073】
まず、ここでは、上述の通り、MFP10−1が管理情報サーバとして動作し、MFP10−2及びMFP10−3が、管理情報クライアントとして動作しているものとする。また、MFP10−1で管理されるMFP管理情報111、ボックス管理情報112の内容は、初期状態として図3、図4の内容となっているものとする。さらに、MFP10−1で管理される文書管理情報113、文書利用履歴情報114については、一件も情報が登録されていない状態であるものとする。
【0074】
次に、図8を用いて、ボックスBXに、新規に文書データDを登録する場合の各MFP10の動作の例について説明する。
【0075】
ここでは、いずれのMFP10−1〜10−3についても、図8のフローチャートに従って動作するものとする。すなわち、図8のフローチャートは、管理情報サーバとして動作するMFP10−1と、管理情報クライアントとして動作するMFP10−2、MFP10−3とで、異なる動作となるように表わされている。
【0076】
ここでは、具体例として、利用者(利用者名:鈴木)が、スキャンした画像データをボックスに格納する機能(以下、「ScanToBox」と呼ぶ)を利用した場合について説明する。そして、この具体例では、MFP10−1のボックスBX1(ボックスID:1、ボックス名:共有ボックス)に、文書データD3(文書ID:3、文書名:議事録.pdf)が格納されるものとする。
【0077】
まず、利用者により、MFP10のオペレータパネル107に対する操作開始され、ログイン操作に続いてScanToBox処理の開始が指示された場合、パネル制御部1052は、ボックス管理部1056に対して、ScanToBox処理に必要な情報をボックス管理部1056に要求する(S101)。
【0078】
MFP10では、利用者からボックスBXに関する操作を受付ける際に、利用者にログイン操作(例えば、ログインID、パスワード等の認証情報の入力)を要求して、認証処理等を行う。MFP10では、利用者によるログイン操作により、当該利用者の識別(利用者名の識別)を行うものとする。MFP10で、ログインIDやパスワード等の認証情報を利用者に入力させる手段についても限定されないものであり、例えば、キー入力や磁気カードの挿入等、既存の種々の方式を適用することができる。また、MFP10で、利用者のログイン(認証)を行う処理の詳細については限定されないものであり、例えば、他に認証サーバを設置して認証を行う等、既存の種々の方式を適用することができる。そして、各MFP10では、利用者からログイン操作を受けると、当該利用者には、ログイン操作を受付けた際の利用者名を所有者とするボックスBX、及び所有者名が空欄(−)となっているボックスBXのみにアクセス(文書データの登録及び出力)を許可するように成されているものとする。例えば、利用者名「鈴木」でMFP10へのログインが行われた場合には、ボックスBX1(ボックス名:「共有Box」)、及びボックスBX4(ボックス名:「鈴木の個人Box」)にのみアクセスが可能となる。そして、ログイン操作が終了すると、パネル制御部1052は、ボックスBXに関する選択メニュー画面を表示し、ここでは、ScanToBox処理が選択(例えば、ScanToBoxに対応するボタンが押下)されたものとする。
【0079】
次に、ボックス管理部1056は、要求された管理情報をローカルに保持しているか否か(すなわち、自装置が管理情報サーバとして動作しているか否か)を確認する(S102)。そして、自装置にローカルが保持されている場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、後述するステップS104から動作し、自装置にローカルが保持されていない場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2、MFP10−3)である場合)には、後述するステップS103から動作する。
【0080】
ステップS102で、管理情報をローカルに保持していないと判断された場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2又はMFP10−3)である場合)には、ボックス管理部1056は、管理情報サーバとして動作しているMFP10から、ScanToBoxの処理に必要な、管理情報(MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、文書利用履歴情報114)を受信し、受信した管理情報を要求元(パネル制御部1052)に返す(S103)。
【0081】
一方、ステップS102で、管理情報をローカルに保持していると判断された場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、ボックス管理部1056は、ハードディスク110からScanToBoxの処理に必要な、管理情報(MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、文書利用履歴情報114)を読み込み、要求元(パネル制御部1052)に返す(S104)。
【0082】
そして、上述のステップS103又はステップS104の処理で、ScanToBoxの処理に必要な管理情報を取得すると、パネル制御部1052は、取得した管理情報のうち、ボックス管理情報112と文書管理情報113の内容を利用して、利用者からScanToBoxの処理に必要な情報の受付処理が行われる。そして、ScanToBoxの処理に必要な情報受付が完了すると、パネル制御部1052は、各構成要素に、ScanToBoxの処理を開始するように制御する(S105)。
【0083】
パネル制御部1052は、具体的には、文書データDを登録するボックスBXを選択させる処理、文書データDの原稿読み取り方法(例えば、スキャナユニット109によるスキャン、メモリカード等)を選択させる処理、保存する文書データDのデータ形式(例えば、PDF、Tiff等)を選択させる処理、及び文書データDの文書名を入力させる処理等を行う。
【0084】
上述の具体例では、文書データDを登録するボックスBXとして、ボックスBX1(ボックスID:1、ボックス名:共有ボックス)が選択されたものとする。また、文書データDの原稿読み取り方法として、スキャナ制御部1055から原稿を読み込んで文書データDを登録することを示す「Scan」が選択されたものとする。さらに、保存する文書データDのデータ形式として「PDF」が選択されたものとする。さらにまた、文書データDの文書名として「議事録.pdf」が入力されたものとする。
【0085】
なお、利用者に文書データDを登録するボックスBXを選択させる場合には、図10のような画面(以下、「ボックス選択画面」と呼ぶ)を、オペレータパネル107に表示させて利用者にいずれかのボックスBXを選択させるようにしても良い。ボックス選択画面の具体的内容としては、例えば、図10に示すように、ボックスBX1〜BX4に対応するボタンBT1〜BT4をオペレータパネル107に表示し、利用者にいずれかのボタンBTを選択させるようにしても良い。各ボタンBTに表示する内容については限定されないものであるが、例えば、図10に示すようにボックスIDやボックス名を表示するようにしても良い。図10のようなボックス選択画面を表示することにより、利用者からは、どのMFP10からも所望のボックスBXに文書データDを格納することができる。
【0086】
次に、パネル制御部1052の制御(ScanToBoxの開始制御)に応じて、スキャナ制御部1055は、指定された設定情報に従って、スキャナユニット109を制御して、スキャナユニット109上に設置された原稿の画像を読み取り、読取った画像のデータ(例えば、ビットマップ形式のデータ)を、画像変換部1053に供給する(S106)。
【0087】
そして、スキャナ制御部1055から、原稿の画像データが供給されると、画像変換部1053は、指定された設定情報に従って画像変換(この例では、上述の通りPDF形式に変換)したデータを、ボックス管理部1056に供給する(S107)。
【0088】
そして、画像変換部1053からPDFデータが供給されると、ボックス管理部1056は、そのPDFデータについて、文書IDの割り当て(上述の具体例では、「3」)と、文書名の付与(上述の具体例では、「議事録.pdf」)を行って、指定されたボックスBXに保存(上述の具体例では、「ボックスBX1」に「文書データD3」として保存)される。実際には、文書データD3は、ハードディスク110のボックス文書管理領域115上に保存される。そして、ボックス管理部1056は、ボックス文書管理領域115に文書データD3を保存すると、ハードディスク110上の保存後のサイズを確認(ここでは、0.5MBであったものとする)して、文書管理部206に通知する(S108)。
【0089】
そして、その後ボックス管理部1056及び文書利用履歴管理部1057により、新たに登録された文書データD3について管理情報(文書管理情報113、文書利用履歴情報114、ボックス文書格納領域115)の更新が行われることになる。
【0090】
まず、ボックス管理部1056(及び文書利用履歴管理部1057)は、要求された管理情報をローカルに保持しているか否か(すなわち、自装置が管理情報サーバとして動作しているか否か)を確認する(S109)。そして、自装置にローカルが保持されている場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、後述するステップS111から動作し、自装置にローカルが保持されていない場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2、MFP10−3)である場合)には、後述するステップS110から動作する。
【0091】
次に、上述のステップS109で、管理情報をローカルに保持していないと判断された場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2又はMFP10−3)である場合)のボックス管理部1056及び文書利用履歴管理部1057の動作について説明する。この場合、ボックス管理部1056は、新規に保存した文書データDに関する文書管理情報112への登録情報を保持して、管理情報サーバとして動作するMFP10−1へ送信する。また、文書利用履歴管理部1057は、新規に文書データD03を保存した処理(ScanToBoxの処理)に関する文書利用履歴情報114への登録情報を保持して、管理情報サーバとして動作するMFP10−1へ送信する(S110)。そして、MFP10−1のボックス管理部1056及び文書利用履歴管理部1057では、管理情報クライアントとして動作するMFP10から受信した情報に基づいて、文書管理情報113及び文書利用履歴情報114の更新が行われる。
【0092】
次に、上述のステップS109で、管理情報をローカルに保持している判断された場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)のボックス管理部1056及び文書利用履歴管理部1057の動作について説明する。この場合、ボックス管理部1056は、新規に保存した文書データDに関する文書管理情報112への登録情報を保持して、自装置の文書管理情報112に登録する。また、文書利用履歴管理部1057は、今回のScanToBox処理に関する文書利用履歴情報114への登録情報を保持して、自装置の文書利用履歴情報114に登録する(S111)。なお、上述の具体例では、MFP−1により、上述のステップS109の処理が行われることになる。
【0093】
図11(a)は、上述の具体例で、MFP−1により図8のフローチャートの処理が実行された後の文書管理情報113の内容について示している。図11(a)に示すとおり、上述の具体例において、文書管理情報113に新規に登録される情報の内容(文書データD3に関する登録情報の内容)は、文書IDが「3」、文書名が「議事録.pdf」、文書サイズが「0.5MB」、格納MFPアドレスがMFP10−1のIPアドレス(10.192.168.103)、ボックスIDが「1」となる。
【0094】
図11(b)は、上述の具体例で、MFP−1により図8のフローチャートの処理が実行された後の文書利用履歴情報114の内容について示している。図11(b)に示すとおり、上述の具体例において、文書利用履歴情報114に新規に登録される情報の内容(新規に文書データD03を保存した処理(ScanToBoxの処理)に関する登録内容)は、例えば、文書IDが「3」、文書操作日時が「2010/01/05 18:24」、利用者名が「鈴木」、保存MFPアドレスがMFP10−1のIPアドレス(10.192.168.103)、出力MFPアドレスが空欄を示す「−」、文書転送時間が空欄を示す「−」、文書出力時間が空欄を示す「−」、文書入出力手段が「Scan」となる。
【0095】
次に図9を用いて、ボックスの文書出力に伴い文書データDの再配置が行われる場合の処理について説明する。図9では、ボックスBXの文書データDの出力処理(以下、「BoxToPrint」とも呼ぶ)に伴い文書データDの再配置が行われる場合の処理を説明している。
【0096】
ここでは、いずれのMFP10−1〜10−3についても、図9のフローチャートに従って動作するものとする。すなわち、図9のフローチャートは、管理情報サーバとして動作するMFP10−1と、管理情報クライアントとして動作するMFP10−2、MFP10−3とで、異なる動作となるように表わされている。
【0097】
ここでは、初期状態として、文書管理情報113の登録内容(各ボックスBXの内容)は、図5に示す内容であり、文書利用履歴情報114の内容は、図6に示す状態であるものとする。そして、以下では、具体例として、上述のような初期状態から、利用者(利用者名:山田)が、MFP10−3を操作し、文書データD7(文書ID:7、文書名:「新製品パンフレット.pdf」)を印刷するBoxToPrintの処理を実行した結果、文書データD7の再配置(他のMFP10への再配置)が行われる場合の処理について説明する。
【0098】
なお、上述の具体例では、文書利用履歴情報114上で、過去の転送回数が5回以上で、且つ、MFP10間の転送に要した時間の平均が15秒以上(文書サイズが所定以上という条件に置き換えても良い)となる文書データDについて再配置を行うように、各MFP10は設定されているものとする。ただし、この実施形態の文書管理システム1で、文書データDの再配置の条件は上述の条件に限定されるものではない。例えば、MFP10間の転送に要した時間が、60秒を超えている文書データDについては、過去の転送回数に関わらず、再配置を行うようにしても良い。また、過去のMFP10間の転送回数が多くとも、転送時間が十分短い(例えば、印刷出力する場合のプリンタのウォーミングアップ時間等と比較して十分短い時間である場合)文書データDについては、再配置を行わないようにしても良い。
【0099】
文書管理システム1では、上述のように、文書データDについて出力処理(BoxToPrint)を行う場合に、当該文書データDについて配置先(格納先)を見直し、必要な場合、再配置(格納先の変更)を行う処理が行われる。文書管理システム1で、文書データDの再配置を行うか否かの判定は、上述の通り、文書利用履歴情報114等の管理情報に基づいて行われる。文書管理システム1では、上述の通り、過去の転送回数や転送にかかる時間が所定以上である文書データDについて再配置を行うと判定するものとする。
【0100】
まず、利用者により、MFP10のオペレータパネル107に対する操作が開始され、ログイン操作に続いてBoxToPrint処理の開始が指示された場合、パネル制御部1052は、ボックス管理部1056に対して、BoxToPrintの処理に必要な管理情報をボックス管理部1056に要求する(S201)。
【0101】
次に、ボックス管理部1056は、要求された管理情報をローカルに保持しているか否か(すなわち、自装置が管理情報サーバとして動作しているか否か)を確認する(S202)。そして、自装置にローカルが保持されている場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、後述するステップS204から動作し、自装置にローカルが保持されていない場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2、MFP10−3)である場合)には、後述するステップS203から動作する。上述の具体例の場合は、管理情報クライアントであるMFP10−3が操作された場合を想定しているので、ステップS203へ進むことになる。
【0102】
上述のステップS202で、管理情報をローカルに保持していないと判断された場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2又はMFP10−3)である場合)には、ボックス管理部1056は、管理情報サーバとして動作しているMFP10から、BoxToPrintの処理に必要な、管理情報(MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、文書利用履歴情報114)を受信し、受信した管理情報を要求元(パネル制御部1052)に返す(S203)。
【0103】
上述の具体例では、管理情報クライアントであるMFP10−3が操作されると、MFP10−3のボックスの管理部1056は、管理情報サーバとして動作するMFP10−1から、BoxToPrintの処理に必要な管理情報を受信し、受信した管理情報を要求元(パネル制御部1052)に返すことになる。
【0104】
一方、上述のステップS203で、管理情報をローカルに保持していると判断された場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、ボックス管理部1056は、ハードディスク110からBoxToPrintの処理に必要な、管理情報(MFP管理情報111、ボックス管理情報112、文書管理情報113、文書利用履歴情報114)を読み込み、要求元(パネル制御部1052)に返す(S204)。
【0105】
そして、上述のステップS203又はステップS204の処理で、BoxToPrintの処理に必要な管理情報を取得すると、パネル制御部1052は、取得した管理情報のうち、ボックス管理情報112と文書管理情報113の内容を利用して、利用者からBoxToPrintの処理に必要な情報の受付処理を行う。そして、BoxToPrintの処理に必要な情報受付が完了すると、パネル制御部1052は、各構成要素に、BoxToPrintの処理を開始するように制御する(S205)。
【0106】
パネル制御部1052は、例えば、ボックス管理部1056から受け取ったボックス管理情報112と文書管理情報113を使用して、オペレータパネル107に各ボックスに保存されている文書データDの情報(例えば、文書名等)の情報を表示し、利用者からBoxToPrintの対象となる文書データDを選択させる処理等を行う。例えば、パネル制御部1052は、最初に利用者にいずれかのボックスBXを選択させ、さらにそのボックスBXに保存されている文書データDのリストを表示して、利用者にBoxToPrintの対象となる文書データDを選択させるようにしても良い。また、パネル制御部1052は、必要に応じて印刷用紙サイズなどを利用者に選択させる。上述の具体例では、利用者により、ボックスBX1(ボックスID:1)に保存された文書データD7(文書ID:7)が選択されることになる。
【0107】
なお、利用者にBoxToPrintの対象となる文書データDを選択させる場合には、図12のような画面(以下、「文書データ選択画面」と呼ぶ)を、オペレータパネル107に表示させて利用者にいずれかのボックスBXの文書データDを選択させるようにしても良い。ボックス選択画面の具体的内容としては、例えば、図12に示すように、ボックスBXごとに、それぞれの文書データDに対応するボタンBTの一覧を表示し、利用者にいずれかのボタンBTを押下させるようにしても良い。各ボタンBTに表示する内容については限定されないものであるが、例えば、図12に示すように文書IDや文書名を表示するようにしても良い。図12のような文書データ選択画面を表示することにより、利用者からは、どのMFP10からも所望の文書データDについて印刷出力することができる。なお、図12に示す文書データ選択画面では、利用者名「山田」でアクセス可能なボックスBX1(ボックス名:「共有Box」)、ボックスBX2(ボックス名:「山田の個人Box」)の文書データDについてのみ表示するように構成されている。
【0108】
次に、ボックス管理部1056は、上述のステップS203で取得した文書管理情報112を参照して、BoxToPrintの処理対象となる文書データDがローカルのボックス文書格納領域115に存在するか否かを判定する(S206)。当該文書データDがローカルのボックス文書格納領域115に存在すると判定された場合、当該MFP10は、後述するステップS208の処理に進み、そうでない場合には、後述するステップS207の処理に進む。
【0109】
上述の具体例では、MFP10−3で文書データD7についてBoxToPrintの処理が実行されるが、文書データD7は、MFP10−2に配置されている。したがって、上述の具体例では、MFP10−3で文書データD7についてBoxToPrintの処理が実行された場合には、上述のステップS206で、当該文書データDがローカルのボックス文書格納領域115に存在しないと判断され、BoxToPrintの処理対象の文書データD後述するステップS207の処理に移行することになる。
【0110】
ステップS206で、BoxToPrintの処理対象となる文書データDをローカルに保持していないと判断された場合には、ボックス管理部1056は、当該文書データDを保存している他のMFP10に転送を依頼して、当該文書データDを受信し、画像変換部1053に引き渡す。また、ボックス管理部1056は、文書転送時間(他のMFP10へ当該文書データDの転送を依頼してから、受信を完了するまでの時間)の計測も行い、計測した文書転送時間と、転送元MFP10のIPアドレスを、文書管理部206に通知する。(S207)。なお、他のMFP10から文書データDの送信の依頼(例えば、文書IDを付した依頼)を受けると、その送信依頼を受けたMFP10のボックス管理情報112は、その送信依頼に係る文書データDをボックス文書格納領域115から読み込んで、送信依頼元のMFP10に送信する処理を行う。
【0111】
上述の具体例の場合、MFP10−3のボックス管理部1056は、処理対象文書データD7(文書ID:7)の保存先であるMFP10−2のIPアドレス(10.192.16&104)を文書管理情報112から取得することになる。そして、上述の具体例の場合、MFP10−3のボックス管理部1056は、MFP10−2から、文書データD7を受信して、テンポラリの格納領域(例えばワークメモリ等)に保存し、保存が完了すると、画像変換部1053に転送することになる。
【0112】
上述のステップS206で、BoxToPrintの処理対象となる文書データDをローカルに保持していると判断された場合には、ボックス管理部1056は、ハードディスク110から、当該文書データDを読み込み、画像変換部1053に引き渡す(S208)。
【0113】
上述のステップS207又はステップS208の処理で、BoxToPrintの処理対象となる文書データDが供給されると、画像変換部1053は、その文書データDのデータを、プリントユニット108で出力可能なイメージデータ(例えば、ビットマップ形式等)に変換し、変換したイメージデータを、プリンタ制御部1054に供給する。また、画像変換部1053は、当該文書データDの変換処理を開始してから終了するまでの時間を計測し、その計測結果をボックス管理部1056に通知する(S209)。
【0114】
そして、イメージデータが供給されると、プリンタ制御部1054は、パネル制御部1052で指定された設定情報に従って、プリントユニット108を制御して、画像変換部1053から当該イメージデータの画像を、印刷用紙上に印刷する。また、プリンタ制御部1054は、文書出力時間(イメージデータについて印刷を開始してから終了するまでの時間)を計測して、ボックス管理部1056に通知する処理も行う(S210)。
【0115】
次に、文書再配置制御部1058は、ボックス管理部1056から文書利用履歴情報114を取得して、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データDの過去の使用履歴を確認して、当該文書データDの再配置の必要性を判断し(S211)、その判断結果に応じてその後の動作の判断を行う(S212)。そして、当該文書データDについて再配置を行うという判断結果だった場合には、文書再配置制御部1058は、後述するステップS216の処理から動作し、そうでない場合(当該文書データDについて再配置を行わないという判断結果だった場合)には、文書再配置制御部1058は、後述するステップS213の処理から動作する。
【0116】
上述の具体例では、当該文書データDについて、過去にMFP10間の転送回数が5回以上で、且つ、転送に掛かった時間の平均が15秒以上となる文書データDが存在する場合、当該文書データDについて、最適なMFP10への再配置を行うよう設定されている。そして、上述の具体例では、MFP10−2からMFP10−3への文書データD7(文書ID:7)の移動は5回目であり、更に文書データD(文書ID:7)の1回の転送に掛かる時間の平均は30秒程度となっており、上述の再配置条件を満たすため、文書データD7の再配置を行うべくステップS216へ進むことになる。
【0117】
上述のステップS211、S212で、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データDについて再配置を行うという判断結果だった場合には、文書再配置制御部1058は、当該文書データDの再配置を行う前にパネル制御部1052を介してオペレータパネル107に利用者に対して当該文書データDの再配置可否を選択させる画面を表示し(S216)、利用者の選択結果に応じてその後の動作の判断を行う(S217)。そして、当該文書データDについて再配置を行うという選択結果だった場合には、文書再配置制御部1058は、後述するステップS218の処理から動作し、そうでない場合(当該文書データDについて再配置を行わないという選択結果だった場合)には、文書再配置制御部1058は、後述するステップS213の処理から動作する。
【0118】
例えば、当該文書データDの文書名が「新製品パンフレット.pdf」であれば、「新製品パンフレット.pdfのデータについてこのMFPに移動させますか?」というメッセージと共に、「はい」と表示したボタンと、「いいえ」と表示したボタンを表示した画面を、オペレータパネル107に表示させるようにしても良い。そして、「はい」と表示されたボタンが押下された場合には、文書再配置制御部1058は、利用者は当該文書データDの再配置を行うことを選択したと判断するようにしても良い。また、「いいえ」と表示されたボタンが押下された場合には、文書再配置制御部1058は、利用者は当該文書データDの再配置を行わないことを選択したと判断するようにしても良い。なお、この実施形態では、上述の通り、文書データDの再配置を行う際に、利用者に選択させる処理を採用したが、利用者に特に選択をさせずに自動的に再配置を行ってもよい。
【0119】
上述のステップS216、S217で、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データDについて、利用者が再配置を行うという選択を行った場合には、文書再配置制御部1058は、文書管理部206を介して、上述のステップS207でテンポラリ領域に保存した当該文書データDを正式に、自装置のボックス文書格納飯域115に格納する(S218)。
【0120】
上述の具体例では、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データD7は、MFP10−3のボックス文書格納飯域115に格納されることになる。
【0121】
そして、文書再配置制御部1058は、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データDについて、オリジナルを保存していたMFP10へ削除を要求する(S219)。削除要求を受けたMFP10のボックス管理部1056は、ボックス文書格納領域115に格納されている当該文書データDを削除する。
【0122】
上述の具体例では、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データD7は、従前には、MFP10−2に格納されていたので、MFP10−3の文書再配置制御部1058から、MFP10−2に対して、文書データD7の削除が要求される。そして、要求を受けたMFP10−2のボックス管理部1056は、ボックス文書格納領域115に格納されていた文書データD7を削除する。
【0123】
一方、上述のステップS211、S212で、今回BoxToPrintの処理対象となった文書データDについて再配置を行わない判断結果だった場合には、文書再配置制御部1058は、ボックス管理部1056に対して、上述のステップS207でテンポラリの格納領域に保存した文書データDの削除を要求する。そして、ボックス管理部1056は、その要求に従って、当該文書データDを削除する(S213)。
【0124】
次に、上述のステップS213又はステップS219の処理が終了すると、ボックス管理部1056は、管理情報の更新処理を開始する。
【0125】
まず、ボックス管理部1056は、管理情報をローカルに保持しているか否か(すなわち、自装置が管理情報サーバとして動作しているか否か)を確認する(S214)。そして、自装置にローカルが保持されている場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、後述するステップS215から動作し、自装置にローカルが保持されていない場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2、MFP10−3)である場合)には、後述するステップS220から動作する。上述の具体例では、管理情報クライアントであるMFP10−3が操作されているので、ステップS220へ進むことになる。
【0126】
上述のステップS214で、管理情報をローカルに保持していないと判断された場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10−2又はMFP10−3)である場合)には、ボックス管理部1056は、管理情報サーバとして動作するMFP10のIPアドレスを取得して、今回のBoxToPrintの処理によって出力した文書データDに関する管理情報の更新を依頼して、更新処理を実行させ(S220)処理を終了する。そして、管理情報サーバとして動作するMFP10−1では、管理情報クライアントからの依頼に基づいて、今回のBoxToPrintの処理によって出力した文書データDに関する管理情報の更新を行うことになる。この場合、MFP10−1は、当該文書データDの再配置が行われていない場合には、文書利用履歴情報114のみを更新し、当該文書データDの再配置が行われていた場合には、さらにボックス管理情報112の情報も更新することになる。
【0127】
上述の具体例の場合、管理情報サーバとして動作するMFP10−1は、今回出力した文書データD7の利用履歴として、文書利用履歴情報114に、文書ID(7)、文書操作日時(2010/2/1309:00)、利用者名(山田)、保存MFPアドレス(10.192.168.104)、出力MFPアドレス(10.192.168.107)、文書転送時間(32秒)、文書出力時間(画像変換時間+印刷時間=30秒)、文書出力手段(Print)という情報を記録するものとする。なお文書の再配置が行われた場合は、前記情報の記録した上で更に、文書管理情報の更新を行う。また、上述の具体例では、文書データD7の再配置も行われているので、MFP10−1は、文書管理情報113において、文書データD7(文書ID:7)に対応する格納MFPアドレスをMFP10−2のアドレスからMFP10−3のアドレス(10.192.168.107)に変更する処理を行う。
【0128】
図13は、上述の具体例で、MFP10−3(及びMFP10−2)により図9のフローチャートの処理が実行された後の文書管理情報113の内容について示している。図13に示すとおり、上述の具体例において、文書管理情報113で再配置が実行された文書データD7(文書ID:7)の格納MFPアドレスが、MFP10−3のIPアドレス(10.192.168.107)となっている。
【0129】
一方、上述のステップS214で、管理情報をローカルに保持していると判断された場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、ボックス管理部1056及び文書利用履歴管理部1057は、上述のステップS220での説明と同様の更新処理を行って(S215)処理を終了する。
【0130】
上述の具体例では、上述のようなフローチャートの処理の結果、MFP10−3でBoxToPrintを実行する前は、MFP10−2のボックス文書格納領域115に存在していた文書データD7(文書ID:7)が、BoxToPrint実行後はMFP10−3のボックス文書格納領域115に再配置される。これにより、文書管理システム1全体の文書蓄積量は変わらないが、文書格納位置が変わる前にMFP10−3で文書データD(文書ID:7)を出力した場合は、文書転送時間(30秒)+文書出力時間(30秒)の計60秒掛かっていたところが、文書各位置変更後は文書出力時間の30秒だけとなる。
【0131】
(A−3)第1の実施形態の効果
第1の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0132】
MFP10では、文書データDの利用履歴(文書利用履歴情報114)に基づき、文書データDの配置先を見直し、必要な場合再配置を行う処置が行われる。これにより、文書管理システム1全体での文書格納領域の使用量を抑えつつ、利用者が文書データDの出力を要求してから、出力が開始されるまでの時間が短くなるという効果を奏することができる。
【0133】
例えば、オフィス等で、フロアごとにMFPが配置されている場合に、ある利用者が別のフロアに席が移動すると、従来技術では、当該利用者が移動先のフロアのMFPで過去に入力した文書データを出力する場合、元のフロアのMFPから毎回文書データDの受信を行う必要がある。しかし、第1の実施形態の文書管理システム1(MFP10)を適用すると、上述のような場合当該利用者が出力した文書データは、逐次移動先のフロアのMFP10へ再配置されることになるので、再配置された文書データDに関する出力時間は短縮されることになる。
【0134】
(B)第2の実施形態
以下、本発明による画像出力装置、制御プログラム、及び画像出力システムの第2の実施形態を、図面を参照しながら詳述する。
【0135】
(B−1)第2の実施形態の構成
第2の実施形態の文書管理システム1Aも、図1により示すことができる。以下、第2の実施形態について、第1の実施形態との差異を中心に説明する。
【0136】
第2の実施形態の文書管理システム1Aでは、MFP10(10−1〜10−3)がMFP10A(10A−1〜10A−3)に置き換わっている点で異なっている。
【0137】
第2の実施形態のMFP10Aのハードウェア構成についても図2を用いて説明することができる。第2の実施形態のMFP10Aでは、ROM104に搭載される制御プログラム105が制御プログラム105Aに置き換わっている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0138】
そして、第2の実施形態のMFP10Aにおいて、CPU102により実行される制御プログラム105Aの機能的構成(ソフトウェア構成)について図14を用いて説明する。
【0139】
第2の実施形態の制御プログラム105Aでは、文書再配置制御部1058が文書再配置制御部1058Aに置き換わり、さらに、文書グループ管理部1059が追加されている点で、第1の実施形態と異なっている。
【0140】
文書グループ管理部1059は、文書データDに関する管理情報(文書管理情報113、及び又は、文書利用履歴情報114)に基づいて、各文書データDをグループ化する処理を行う。この実施形態では、文書グループ管理部1059は、BoxToPrintの処理に基づいて文書再配置制御部1058Aにより再配置された文書データDについて、当該文書データDと同じグループに属する文書データDを検索するものとする。この実施形態では、文書グループ管理部1059は、当該文書データDについて、今回BoxToPrintの処理を行った利用者が所有者となっているボックスBXの文書データDを、同一グループとして検出するものとする。
【0141】
そして、文書再配置制御部1058Aは、文書グループ管理部1059で同一グループとして検出された文書データDについて、先にBoxToPrintの処理に基づいて再配置された文書データDと同じMFP10へ再配置を行う。言い換えると、文書再配置制御部1058Aは、任意の文書データDについて、出力処理の状況に応じて再配置が行われた場合、当該文書データDの再配置に付随して、当該文書データD同一グループに所属すると認められる文書データについても同じ配置先(MFP10)に再配置する処理を行う。
【0142】
(B−2)第2の実施形態の動作
次に、以上のような構成を有する第2の実施形態の文書管理システム1Aの動作について図15を用いて説明する。
【0143】
ここでは、いずれのMFP10A−1〜10A−3についても、図15のフローチャートに従って動作するものとする。すなわち、図15のフローチャートは、管理情報サーバとして動作するMFP10A−1と、管理情報クライアントとして動作するMFP10A−2、MFP10−3とで、異なる動作となるように表わされている。
【0144】
まず、当該MFP10Aで、当該文書データDについて、上述の図9のフローチャートに従って、任意の文書データDについて出力処理(BoxtoPrintの処理)が行われ、さらに、当該文書データDが、当該MFP10Aのローカルのボックス文書格納領域115に再配置されたものとする(S301)。すなわち、MFP10Aが、上述の図9のフローチャートに従って動作し、その結果BoxtoPrintの処理対象となった文書データDについて再配置が行われた場合にのみ、図15のフローチャートの処理は実行されることになる。
【0145】
そして、文書再配置制御部1058Aは、文書グループ管理部1059に対して、今回BoxtoPrintの処理の対象となった文書データD(今回再配置を行った文書データD)と同じグループと見なされる文書データDの情報が要求される。そして、文書再配置制御部1058Aにより、当該文書データDと同じグループの文書データDの検索が行われ、その検出結果が、文書再配置制御部1058Aに返される(S302)。具体的には、文書再配置制御部1058Aは、例えば、今回BoxtoPrintの処理の対象となった文書データDと、同一グループとなる文書データDの文書IDのリスト(以下、「グループ文書IDリスト」と呼ぶ)を得るものとする。
【0146】
そして、文書再配置制御部1058Aは、文書グループ管理部1059から受け取ったグループ文書IDリストに係る文書データDが、すべて、ローカルのボックス文書格納領域115に保存されているか否かを確認する(S303)。そして、文書再配置制御部1058Aは、グループ文書IDリストに係る文書データDが、すべてローカルのボックス文書格納領域115に保存されていると確認した場合には、後述するステップS306から動作し、そうでない場合(ローカル以外に保存されている文書データDがある場合)には、後述するステップS304から動作する。
【0147】
上述のステップS303で、グループ文書IDリストに係る文書データDが、すべてローカルのボックス文書格納領域115に保存されていると確認した場合には、文書再配置制御部1058Aは、グループ文書IDリストから、未だローカルのボックス文書格納領域115に保存されていない文書データD(文書ID)を選択する。そして、文書再配置制御部1058Aは、選択した文書データDについて、ボックス管理部1056を介して、その選択した文書データDを保存しているMFP10から受信して、ローカルのボックス文書格納領域115に保存する(S304)。一方、文書データDの送信要求を受けたMFP10のボックス管理部1056は、送信要求に係る文書データDをボックス文書格納領域115から読み込んで、要求元のMFP10へ送信する。
【0148】
そして、文書再配置制御部1058Aは、選択した文書データDについて、オリジナルを保存していたMFP10へ削除を要求し(S305)、上述のステップS303の処理に戻って動作する。そして、文書データDの削除要求を受けたMFP10のボックス管理部1056は、送信要求に係る文書データDをボックス文書格納領域115から削除する。
【0149】
一方、上述のステップS303で、グループ文書IDリストに係る文書データDが、すべてローカルのボックス文書格納領域115に保存されていると確認した場合には、ボックス管理部1056は、管理情報の更新処理を開始する。なお、上述のステップS303〜S304の処理で、一度も文書データDの転送処理(ステップS303、S304の処理)が行われなかった場合には、管理情報の更新処理(後述するステップS306〜S308の処理)は行われないことになる。
【0150】
管理情報の更新処理が開始されると、まず、ボックス管理部1056は、管理情報をローカルに保持しているか否か(すなわち、自装置が管理情報サーバとして動作しているか否か)を確認する(S306)。そして、自装置にローカルが保持されている場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10A−1)である場合)には、後述するステップS307から動作し、自装置にローカルが保持されていない場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10A−2、MFP10A−3)である場合)には、後述するステップS308から動作する。
【0151】
上述のステップS306で、管理情報をローカルに保持していないと判断された場合(自装置が、管理情報クライアント(MFP10A−2又はMFP10A−3)である場合)には、ボックス管理部1056は、管理情報サーバとして動作するMFP10へ、上述のステップS303〜S305で処理行った文書データDに関する情報の更新を依頼する。
【0152】
一方、上述のステップS306で、管理情報をローカルに保持していると判断された場合(自装置が、管理情報サーバ(MFP10−1)である場合)には、ボックス管理部1056Aは、上述のステップS303〜S305で処理行った文書データDに関する情報の更新を行って(S307)処理を終了する。
【0153】
上述の第1の実施形態では、上述の図9のフローチャートの動作の具体例として、MFP10−1に保存されている文書データD7について、MFP10−3で出力処理(BoxtoPrintの処理)が行われ、さらに、文書データD7が、MFP10−1に再配置される例について説明した。以下では、上述の具体例で、文書データD7が再配置された後、さらに、MFP10A−3が上述の図15のフローチャートに従って動作した場合について説明する。すなわち、ここでは、ボックス管理情報112の内容が、上述の図13の内容になっているものとして説明する。
【0154】
文書グループ管理部1059は、上述の通り、今回BoxToPrintの処理を行った利用者が所有者となっているボックスBXの文書データDを、同一グループとして検出するものとする。具体的には、文書グループ管理部1059は、まず、文書利用履歴管理部1057を介して、文書利用履歴管理部1057から今回文書データD7を出力した利用者の利用者名「山田」を読み込む。そして、文書グループ管理部1059は、ボックス管理部1056を介して、利用者名「山田」が所有者となっているボックスBX(ボックスBX2)に所属する文書データD(文書データD17)の文書IDのリスト(17)を得る。以上のような処理により、文書グループ管理部1059は、文書データD7に対するグループ文書IDリストとして、「17」という情報を得ることができる。
【0155】
そして、上述のステップS303〜S305により、グループ文書IDリストに対応する文書データD17が、文書データD7と同じくMFP10A−3に再配置される。
【0156】
そして、上述のステップS308により、MFP10A−3からMFP10A−1に対して、上述のステップS303〜S305の再配置処理に伴う文書管理情報113の更新が要求され、管理情報サーバとして動作するMFP10A−1でその要求に基づく更新処理が実行される。具体的には、その更新処理の結果、MFP10A−1で管理される文書管理情報113の内容は、図16のようになる。図16では、文書IDが17の行について、格納MFPアドレスの項目が、MFP10A−3のIPアドレス(10.192.168.107)に変更されている。
【0157】
(B−3)第2の実施形態の効果
第2の実施形態によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0158】
文書管理システム1Aでは、文書データDについて、出力処理の状況に応じて再配置が行われた場合、当該文書データDの再配置に付随して、当該文書データD同一グループに所属すると認められる文書データについても同じ配置先(MFP10)に再配置する処理を行っている。これにより、第2の実施形態では、特性が同じ文書データD(例えば、同じ利用者が所有者となっているボックスBXの文書データD)について、早い段階(出力処理が行われる前に)で再配置を行い、出力時間を短縮できるという効果を奏する。
【0159】
例えば、オフィス等で、フロアごとにMFPが配置されている場合に、ある利用者が別のフロアに席が移動すると、従来技術では、当該利用者が移動先のフロアのMFPで過去に入力した文書データを出力する場合、元のフロアのMFPから毎回文書データDの受信を行う必要がある。しかし、第2の実施形態の文書管理システム1A(MFP10A)を適用すると、上述のような場合当該利用者が出力した文書データについて一度再配置が行われた場合に、当該利用者と関連のある文書データD(例えば、当該利用者が所有者となっているボックスBXの文書データD)について、一括して移動先のフロアのMFP10Aへ再配置されることになる。
【0160】
(C)他の実施形態
本発明は、上記の各実施形態に限定されるものではなく、以下に例示するような変形実施形態も挙げることができる。
【0161】
(C−1)上記の各実施形態では、本発明の画像出力装置を、MFP(複合機)に適用した例について説明したが、その他の画像出力装置(例えば、スキャナを備えないプリンタ等)について適用するようにしても良い。
【0162】
(C−2)上記の各実施形態では、各MFPは文書データを格納するものとして説明したが、格納する出力対象となるデータは、例えば、単なる画像データとしても良く、文書に限定されないものである。
【0163】
また、上記の各実施形態では、各MFPは、PCからのダウンロードや、スキャナユニットによるスキャンにより、文書データの入力を受けるものとして説明したが、各MFPで文書データを入力する方法はこれに限定されないものである。MFPは、例えば、USBメモリ等の記録媒体により文書データの入力を受けるようにしても良いし、電子メール等の通信により文書データの入力を受けるようにしても良い。
【0164】
さらに、上記の各実施形態において、MFPは、文書データを印刷出力するものとして説明したが、本発明の画像出力装置では、画像を出力する手段については限定されないものである。例えば、上記の各実施形態のMFPで、文書データを単にディスプレイ(オペレータパネル等)に表示出力するようにしても良いし、USBメモリ等の記録媒体に書き込んで出力するようにしても良いし、電子メール等により送信出力するようにしても良い。
【0165】
(C−3)第2の実施形態の文書グループ管理部では、出力した文書データの利用者と、所有者名が一致するボックスの文書データについて同一グループとみなす例について説明したが、上述の通りグループ化する方式は限定されないものである。例えば、スキャナユニットで読み取った文書データとファックスで受信した文書データなど文書データの受信方法の違いによって文書データをグルーピングする方法を適用するようにしても良い。
【0166】
(C−4)第2の実施形態では、文書データの再配置を行った場合、元の格納場所にあった文書データは即座に削除するものとして説明しているが、当該文書データを削除するタイミングはこれに限定されるものではない。例えば、それぞれのMFPのボックス文書格納領域に格納されている文書データの容量が閾値以上になるまでは文書データの削除を行わず、閾値を超えた段階で、他の別のMFPにも複製が作成されている文書データで、且つ、当該MFP10での出力回数が少ない文書データから削除するといった構成としても良い。この場合、同一の内容の文書データについて、複数のMFPに配置されることになり、当該文書データについて格納しているMFPでは、他のMFPから受信しなくても、出力処理を行うことができる。例えば、複数の利用者により頻繁に利用される文書データについては、上述のように削除のタイミングを変更することにより、文書データを転送する頻度を低減することができる。なお、上述のように同一の文書データについて複数のMFPに配置されることになる場合、文書管理情報でも同一の文書IDの文書データについて、複数のMFPに格納されている旨が管理される必要がある。また、その場合、文書管理情報において、オリジナルの文書データをいずれのMFPに格納されたものとするかを管理する必要がある。例えば、文書管理情報のテーブルで、文書データごとに、オリジナルデータであるかコピーデータ(削除予定の文書データ)であるかを管理するフィールドを設けるようにしても良い。
【0167】
(C−5)第1の実施形態では、出力処理(BoxToPrint)を行う文書データについて配置先(格納先)を見直し、転送頻度が高い等の条件に基づいて必要な場合、再配置(格納先の変更)を行う処理を行うことについて説明したが、再配置を行う文書データは出力処理が行われたものに限定さないものである。例えば、ハードディスク容量の空き領域が所定以下のMFPから、ハードディスク容量の空きが所定以上のMFPへ、文書利用履歴情報に基づく出力回数が所定回数以下の文書データを再配置する処理を行うようにしても良い。
【0168】
(C−6)上記の各実施形態では、文書利用履歴情報に履歴情報が蓄積されるものとして説明したが、文書利用履歴情報で保持する履歴情報を、所定の件数以下としたり、所定の日時以降の履歴情報のみとする等制限するようにしても良い。このように、文書利用履歴情報の履歴情報を一定の基準で削除する制限を設けることにより、利用者の直近の利用状況に基づいた再配置を行うことができる。
【0169】
(C−7)上記の各実施形態では、文書データについて、出力処理の度に、画像変換部による画像変換を行い、印刷出力するイメージデータを生成していたが、一度生成したイメージデータについて文書データと共にMFPで保持しておき、次に当該文書データについて出力処理を行う際に、過去に変換したイメージデータが適用可能な場合には画像変換せずにそのまま出力するようにしても良い。
【0170】
(C−8)上記の各実施形態では、管理情報サーバとして動作するMFPで管理情報を管理しているが、管理情報を管理する装置を別途設けるようにしても良い。
【符号の説明】
【0171】
1…文書管理システム、20、20−1、20−2…PC、10、10−1〜10−3…MFP、101…共通バス、102…CPU、103…RAM、104…ROM、105…制御プログラム、106…ネットワークインタフェース、107…オペレータパネル、108…プリントユニット、109…スキャナユニット、110…ハードディスク、111…MFP管理情報、112…ボックス管理情報、113…文書管理情報、114…文書利用履歴情報、115…ボックス文書格納領域、1051…通信制御部、1052…パネル制御部、1053…画像変換部、1054…プリンタ制御部、1055…スキャナ制御部、1056…ボックス管理部、1057…文書利用履歴管理部、1058…文書再配置制御部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力対象データに基づく画像を出力する出力手段を備える画像出力装置において、
ネットワークを介して他の画像出力装置と通信する通信手段と、
1又は複数の出力対象データを格納する出力対象データ格納手段と、
前記ネットワークに接続する各画像出力装置が格納する出力対象データを管理するためのデータ管理情報を保持するデータ管理情報保持手段と、
前記データ管理情報で管理される出力対象データごとの処理の履歴に関する処理履歴情報を保持する処理履歴情報保持手段と、
利用者に、出力する出力対象データを指定させる出力受付手段と、
前記出力受付手段で、利用者により指定された出力対象データの格納先を前記データ管理情報に基づいて特定し、特定した格納先から当該出力対象データを保持して前記出力手段に供給する出力対象データ保持手段と、
当該画像出力装置、又は、他の画像出力装置に格納された出力対象データについて、前記処理履歴情報に基づき、格納先の画像出力装置に関する見直しを行う配置判断手段と、
前記配置判断手段の判断結果に従って、出力対象データの処理を行う出力対象データ処理手段と
を有することを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記配置判断手段は、前記出力対象データ保持手段により保持された出力対象データにについて、前記処理履歴情報に基づき、格納先の画像出力装置に関する見直しを行い、
前記出力対象データ処理手段は、前記配置判断手段で、前記出力手段により出力された出力対象データにについて、当該画像出力装置へ格納先の変更を行うと判断された場合に、当該出力対象データの格納先を当該画像出力装置に変更する処理を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
前記配置判断手段は、前記処理履歴情報に基づいて、前記出力対象データ保持手段により保持された出力対象データに関する過去の出力履歴を把握し、把握した出力履歴に基づいて、格納先の画像出力装置に関する見直しを行うことを特徴とする請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記配置判断手段は、前記出力対象データ保持手段により保持された出力対象データについて、過去の画像出力装置間の転送回数、及び又は、過去の画像出力装置間の転送に要した時間を利用して、格納先の画像出力装置に関する見直しを行うことを特徴とする請求項3に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記ネットワーク上で、共通となるデータ管理情報と処理履歴情報とを記憶する管理情報記憶手段と、
他の画像出力装置の要求に応じて、前記情報記憶手段に記憶されている情報の送信処理又は更新処理を行う管理情報処理手段とをさらに備え、
前記データ管理情報保持手段は、前記管理情報記憶手段からデータ管理情報を保持し、
前記処理履歴情報保持手段は、前記管理情報記憶手段から処理履歴情報を保持する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項6】
前記データ管理情報保持手段は、前記ネットワーク上で、共通となるデータ管理情報を記憶している外部装置からデータ管理情報を受信して保持し、
前記処理履歴情報保持手段は、前記ネットワーク上で、共通となる処理履歴情報を記憶している外部装置から処理履歴情報を受信して保持する
ことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像出力装置。
【請求項7】
出力対象データに基づく画像を出力する出力手段を備える画像出力装置に搭載されたコンピュータを、
ネットワークを介して他の画像出力装置と通信する通信手段と、
1又は複数の出力対象データを格納する出力対象データ格納手段と、
前記ネットワークに接続する各画像出力装置が格納する出力対象データを管理するためのデータ管理情報を保持するデータ管理情報保持手段と、
前記データ管理情報で管理される出力対象データごとの処理の履歴に関する処理履歴情報を保持する処理履歴情報保持手段と、
利用者に、出力する出力対象データを指定させる出力受付手段と、
前記出力受付手段で、利用者により指定された出力対象データの格納先を前記データ管理情報に基づいて特定し、特定した格納先から当該出力対象データを保持して前記出力手段に供給する出力対象データ保持手段と、
当該画像出力装置、又は、他の画像出力装置に格納された出力対象データについて、前記処理履歴情報に基づき、格納先の画像出力装置に関する見直しを行う配置判断手段と、
前記配置判断手段の判断結果に従って、出力対象データの処理を行う出力対象データ処理手段と
して動作させることを特徴とする制御プログラム。
【請求項8】
複数の画像出力装置を備える画像出力システムにおいて、それぞれの前記画像出力装置として、請求項1〜4のいずれかに記載の画像出力装置を適用したことを特徴とする画像出力システム。
【請求項9】
1つの請求項5に記載の画像出力装置と、1又は複数の請求項6に記載の画像出力装置とを備えることを特徴とする画像出力システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−111935(P2013−111935A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−262308(P2011−262308)
【出願日】平成23年11月30日(2011.11.30)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】