説明

画像出力装置、画像出力装置の制御方法、制御プログラム、記録媒体

【課題】プレビューの表示中に出力処理を一旦キャンセルする場合であっても、後に簡易な操作を行うだけで、キャンセル前のプレビューの状態を再現する。
【解決手段】複合機50は、プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも印刷処理の実行前に、印刷処理に対して設定される画像処理の処理条件を示す画像処理パラータと前記印刷処理に用いられる画像データとを含む印刷情報を、複合機50に挿入されているICカード60に記憶させる印刷情報処理部59dを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷等の出力処理を実行する前に出力処理の対象となる画像のプレビュー(サムネイル)を表示する画像出力装置、画像出力装置の制御方法、制御プログラム、記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙上に画像データの画像を印刷(出力)する画像形成モードと、設定されている処理条件(画像処理の処理条件)で前記画像のプレビューを印刷前に表示するプレビューモードとを設け、画像形成モードではエッジ強調処理を行う一方でプレビューモードではエッジ強調処理を中止することにより、モアレの発生を抑制する画像形成装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−135316号公報
【特許文献2】特開平6−125459号公報
【特許文献3】特開2004−201069号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の画像形成装置によれば、何らかの事情でユーザがプレビューを表示させたまま装置から離れた場合、表示されている内容が他の人に見られてしまい、セキュリティの面で好ましくない。
【0005】
これに対し、ジョブ(印刷処理)をキャンセルすればプレビューおよび画像データを消去できるので、ユーザはジョブを一旦キャンセルした上で画像形成装置から離れることにより、セキュリティ面の欠点を解消できる。
【0006】
しかし、ジョブをキャンセルしてしまうと、キャンセル前のプレビュー状態(印刷処理に対して設定されている処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現するためには手間がかかるという問題がある。つまり、画像データの入力作業(例えば原稿の読み取り)を再度行う必要があるし、キャンセル前に設定されていた処理条件を再設定する必要もある。また、キャンセル前に設定されていた処理条件をユーザが忘れてしまっている可能性もある。
【0007】
本発明は、以上の問題に鑑みてなされたものであり、出力処理にて出力される画像のプレビューを表示している時にユーザが出力処理を一旦キャンセルする場合であっても、後に簡易な操作を行うだけで、キャンセル前のプレビュー状態を再現できる画像出力装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するために、本発明は、画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置において、前記プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像データとを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる記憶処理を実行する出力情報処理部を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の構成によれば、ユーザは、前記出力処理を一旦キャンセルした後、原稿の再読取や処理条件の再選択等の手間な操作を行わなくても、前記外部記憶領域に記憶された出力情報を画像出力装置に入力するという操作だけで、出力処理に必要な画像データや前記処理条件を画像出力装置に入力でき、これによりキャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。つまり、簡易な操作によって、出力処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【0010】
また、本発明の画像出力装置において、前記プレビュー処理部は、前記出力情報が外部から入力された場合、入力された出力情報に含まれる画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、前記処理条件情報に含まれる処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっていてもよい。
【0011】
この構成によれば、前記出力処理をキャンセルした場合であっても、前記出力情報を前記画像出力装置へ入力するだけで、キャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。
【0012】
また、秘密性の高い画像を前記外部記憶領域に記憶させると情報漏洩のおそれがある。そこで、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記記憶処理を実行しないようになっていてもよい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0013】
また、前記画像データが画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアから入力された場合であって、前記リムーバルメディアを紛失してしまうと、前記画像データが秘密性の高い画像であれば、情報漏洩のおそれがある。そこで、本発明の画像出力装置においては、前記構成に加えて、前記画像データが画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアから入力されたデータである場合、前記出力情報処理部が、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定されると、前記リムーバブルメディアに記憶されている前記画像データを消去するようになっていてもよい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、前記記憶処理の後に前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えてもよく、この場合、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記リムーバブルメディアに記録された前記出力情報を消去するようになっていることが好ましい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0015】
また、本発明の画像出力装置は、秘密であることを示すマークを前記画像データに合成する合成処理を行う合成処理部を備え、前記秘密判定部が、前記合成処理の実行指示の入力を検出した場合、前記画像データの画像が秘密画像であると判定し、前記合成処理の実行指示の入力を検出しない場合、前記画像データの画像が秘密画像でないと判定するようになっていてもよい。
【0016】
さらに、本発明は、画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置において、前記出力処理の対象となる画像データと前記画像データを識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶部と、前記プレビュー処理の指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像識別情報とを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる記憶処理を実行する出力情報処理部とを備えることを特徴とする。
【0017】
本発明の構成によれば、ユーザは、前記出力処理を一旦キャンセルした後、原稿の再読取や処理条件の再選択等の手間な操作を行わなくても、前記外部記憶領域に記憶された出力情報を画像出力装置に入力するという操作だけで、出力処理に必要になる前記画像データの識別情報や前記処理条件を画像出力装置に入力でき、これによりキャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。つまり、簡易な操作によって、出力処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【0018】
さらに、本発明の画像出力装置において、前記プレビュー処理部は、前記出力情報が外部から入力された場合、入力された出力情報に含まれる画像識別情報に対応付けられている画像データを前記第1記憶部から読み出し、読み出した画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、前記処理条件情報に含まれる処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっていることを特徴とする。
【0019】
この構成によれば、前記出力処理をキャンセルした場合であっても、前記出力情報を前記画像出力装置へ入力するだけで、キャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。
【0020】
また、秘密性の高い画像を前記外部記憶領域に記憶させると情報漏洩のおそれがある。そこで、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記記憶処理を実行しないようになっていてもよい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0021】
また、前記出力情報が画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアから入力された場合であって、前記リムーバルメディアを紛失してしまうと、前記画像データが秘密性の高い画像であれば、情報漏洩のおそれがある。そこで、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、前記プレビュー処理部が、前記複合機に接続されたリムーバブルメディアから前記出力情報を入力した場合、入力された出力情報に含まれる画像識別情報に対応付けられている画像データを前記第1記憶部から読み出し、読み出した画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、入力された出力情報に含まれる処理条件情報に示される処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっており、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定されると、前記リムーバブルメディアに記憶されている出力情報を消去するようになっていてもよい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0022】
また、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、前記記憶処理の後に前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えてもよく、この場合、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記リムーバブルメディアに記録された前記出力情報を消去するようになっていることが好ましい。これにより、前述した情報漏洩の虞を抑制できるという効果を奏する。
【0023】
また、本発明の画像出力装置は、秘密であることを示すマークを前記画像データに合成する合成処理を行う合成処理部を備え、前記秘密判定部が、前記合成処理の実行指示の入力を検出した場合、前記画像データの画像が秘密画像であると判定し、前記合成処理の実行指示の入力を検出しない場合、前記画像データの画像が秘密画像でないと判定するようになっていてもよい。
【0024】
また、本発明の画像出力装置において、前記外部記憶領域は前記画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアであり、前記出力情報処理部は、前記出力情報を前記リムーバブルメディアに書き込むことによって前記記憶処理を実現するようになっていてもよい。
【0025】
この構成によれば、ユーザ所有のリムーバブルメディアに前記出力情報を書き込むことにより、前記出力情報の漏洩の危険を抑制できる。
【0026】
さらに、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザ識別情報を予め記憶する記憶部(第2記憶部)と、前記画像出力装置が前記リムーバブルメディアにアクセス可能になると、前記リムーバブルメディアからユーザ識別情報を読み出し、読み出したユーザ識別情報と前記記憶部に記憶されているユーザ識別情報とに基づき、ユーザ権限の有無を判定する認証処理部とを備え、前記出力情報処理部は、前記認証処理部によってユーザ権限無と判定された場合に前記記憶処理を行わず、前記認証処理部によってユーザ権限有と判定された場合に前記記憶処理を行うようになっていてもよい。
【0027】
本発明の構成によれば、ユーザ権限有と判定されない限り、前記リムーバブルメディアに前記出力情報が書き込まれることがないので、前記出力情報の漏洩をより一層抑制できるという効果を奏する。
【0028】
前記出力処理がキャンセルされずに前記出力処理が実行された場合は前記記憶処理が不要になる。そこで、本発明の画像出力装置において、前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うようになっていてもよい。あるいは、前記出力情報処理部は、前記出力処理が完了した事を検知すると、前記リムーバブルメディアに記憶されている前記出力情報を消去するようになっていてもよい。
【0029】
また、本発明の画像出力装置は、前記構成に加えて、ユーザを識別するユーザ識別情報と前記外部記憶領域のアドレスとの対応関係を予め記憶する記憶部(第3記憶部)と、外部からユーザ識別情報が入力されると、入力されたユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報に対応付けられているアドレスを前記記憶部(第3記憶部)から検出するアドレス検出部とを備え、前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うようになっており、前記記憶処理は、前記アドレス検出部にて検出されたアドレスに対応する外部記憶領域に前記出力情報を送信して記憶する処理であってもよい。
【0030】
この構成によれば、前記出力情報は、記憶部に予め登録されているユーザに対応付けられているアドレスに送信されるため、前記出力情報の漏洩の危険を抑制できる。
【0031】
また、本発明の画像出力装置において、前記出力処理は前記画像データの画像を印刷する印刷処理であり、前記出力処理部は印刷装置であってもよい。
【0032】
また、本発明は、画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置の制御方法において、前記プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像データとを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる工程を含むことを特徴とする。さらに、本発明は、画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置の制御方法において、前記出力処理の対象となる画像データと前記画像データを識別するための画像識別情報とを対応付けて第1記憶部に記憶させる工程と、前記プレビュー処理の指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像識別情報とを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる工程とを含むことを特徴とする。これにより、出力処理をキャンセルする場合であっても、簡易な操作によって、出力処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【0033】
さらに、本発明の画像出力装置の出力情報処理部はコンピュータによって実現されてもよく、この場合には、コンピュータを出力情報処理部として機能させる制御プログラム、および、この制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【発明の効果】
【0034】
本発明は、出力処理をキャンセルする場合であっても、簡易な操作によって、出力処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態の複合機を模式的に示した正面図である。
【図2】図1に示す複合機および当該複合機に挿入されるICカードの概略構成を示したブロック図である。
【図3】図1に示す複合機の処理の流れを示したフローチャートである。
【図4】図1に示す複合機の表示部にて表示される操作用の画面の一例を示す模式図である。
【図5】図1に示す複合機の表示部にて表示される画面であり、印刷画像のプレビューを示したプレビュー確認用画面の一例を示す模式図である。
【図6】図1に示す複合機の処理の流れを示したフローチャートであり、図3とは異なる処理の流れを示したフローチャートである。
【図7】図1に示す複合機の表示部にて表示される画面であり、印刷情報がICカードに保存されたことをユーザに通知するための画面である。
【図8】本実施形態の変形例の複合機を示したブロック図であり、コピーモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図9】(a)は、変形例において、コピーモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。(b)は、変形例において、コピーモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図10】変形例の複合機を示したブロック図であり、コピーモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示処理を行う際の画像データの流れを示したブロック図である。
【図11】(a)は、変形例において、コピーモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。(b)は、変形例において、コピーモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示が行われる際の画像処理装置内の一部を示したブロック図である。
【図12】(a)は、表示部の表示特性に応じたガンマ曲線の一例を示した図である。(b)は、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線を実線で示し、表示部の表示特性に応じたガンマ曲線を破線で示した図である。
【図13】変形例の複合機を示したブロック図であり、図8の構成とは異なる構成の複合機を示したブロック図である。
【図14】実施の形態5または6の複合機の概略構成を示したブロック図である。
【図15】秘密画像の一例を示した模式図である。
【図16】実施の形態5または6の複合機の処理の流れを示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0036】
[実施の形態1]
以下、本発明の一実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態の複合機50の概略構成を模式的に示した正面図であり、図2は、本実施形態の複合機50、および、複合機50に着脱されるICカード(integrated circuit card)60の概略構成を示したブロック図である。
【0037】
複合機(MFP)50は、画像データの画像を出力する出力処理を実行する画像出力装置である。なお、本実施形態では、出力の一形態として印刷を例にして説明する。つまり、本実施形態の印刷処理は出力処理の一形態である。そして、本実施形態の複合機50は、画像入力装置51にて読み取られた画像データの画像を印刷することも可能であるし、外部の端末装置(不図示)から受信した画像データの画像を印刷処理することも可能であるし、リムーバブルメディアから画像データを入力して、この画像データの画像を印刷することも可能である。
【0038】
複合機50は、図1および図2に示すように、画像入力装置51、画像処理装置52、印刷装置53、記憶装置54、カードスロット55、リーダライタ56、通信部57、操作パネル58、制御部59を有する。
【0039】
画像入力装置51は、原稿台に載置されている原稿を読み取って、当該原稿の画像を示した画像データを生成する装置である。より具体的に説明すると、画像入力装置51は、原稿台と、CCD(Charge Coupled Device)を含むスキャナ部とを有し、スキャナ部によって、原稿から反射してきた光を画像データ(画像信号)に変換する。
【0040】
画像処理装置52は、複合機50の外部から入力した画像データや画像入力装置51にて生成された画像データに対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである。
【0041】
印刷装置53は、電子写真方式のデジタルカラー印刷装置であり、画像処理装置52にて画像処理の施された後の画像データの画像を用紙(シート)に印刷(出力)するものである。
【0042】
記憶装置54は、複合機50に内蔵されているハードディスクであり、複合機50にて扱われる各種データを記憶するための記憶手段である。また、記憶装置54には、複合機50の使用権限を有するユーザに固有のユーザID(識別情報)が登録されている。
【0043】
カードスロット55は、ICカード60の挿入口である。つまり、本実施形態の複合機50は、リムーバブルメディアであるICカード60を装着可能であり、且つ、装着したICカード60を再び取り外すことが可能になっている。
【0044】
リーダライタ56は、カードスロット55に挿入されているICカード60に保存されている情報を読み出し、且つ、カードスロット55に挿入されているICカード60へ情報を書き込むための装置である。
【0045】
なお、図2に示すように、ICカード60は、個人情報記憶領域60aおよび印刷情報記憶領域60bを有している。個人情報記憶領域60aは、ICカード60を所有するユーザのユーザIDが保存されている記憶領域である。印刷情報記憶領域60bは、画像データと画像処理パラメータとからなる印刷情報が複合機50によって書き込まれる記憶領域である。印刷情報に含まれる画像データとは、印刷処理に用いるために複合機50に入力された画像データであり、画像処理パラメータとは、当該印刷処理に対して設定されている画像処理の処理条件を示す情報(値)である。印刷情報をICカード60へ書き込む点については後に詳述する。
【0046】
通信部57は、LANやインターネット等の通信ネットワークに接続されており、通信ネットワークを経由して外部装置との間で通信を実行する通信インターフェイスである。
【0047】
操作パネル58は、ユーザが複合機50を操作するための各種指示(コマンド)を入力し、各種設定を行うためのユーザインターフェイスである。操作パネル58には、入力および設定のためのボタン群と表示部58aとが備えられている。
【0048】
表示部58aは、カラー画像の表示が可能な液晶ディスプレイであり、複合機50に関する各種情報を表示するものである。また、表示部58aは、タッチパネルが取り付けられており、入力インターフェイスとしての機能も有している。つまり、表示部58aは、複合機50に対して各種指示の入力を行うためのメニュー画面、各種設定を行うための設定画面、操作ガイド等を表示するものである。
【0049】
また、ユーザによってプレビューモードが設定されている場合、表示部58aは、印刷処理が行われる前に、印刷処理に対して設定されている処理条件による画像処理を反映させた画像のプレビューを表示するようになっている。つまり、表示部58aは、印刷処理の実行命令の入力前に、ユーザからの入力指示によって設定された処理条件、または、初期設定されている処理条件に基づく画像処理を反映させた画像のプレビューを表示するようになっている。
【0050】
そして、複合機50のユーザは、表示部58aに表示されているプレビューから印刷結果を予想し、必要に応じて、操作パネル58を操作することによって、各種画像処理の処理条件の調整作業(再設定作業)を行う。調整された処理条件は表示部58aに表示されるプレビューに反映される。そして、プレビューから予想される印刷結果が許容できるもの、あるいは満足できるものとなった場合、利用者は印刷実行コマンドを入力し、これにより印刷処理が実行される。
【0051】
なお、前記の処理条件とは、複写モード,プリンタモード,送信モードなどのモードの種類、フルカラー、2色カラー、シングルカラーなどの出力カラーの種類、文字原稿、文字印刷写真原稿などの原稿種類、明るさや鮮やかさ等の画質レベル、印刷画像の拡大縮小率、レイアウト等を意味する。ユーザからの指示で処理条件が調整されている場合は調整された処理条件が設定され、調整されていない場合は初期設定されている処理条件が設定される。
【0052】
制御部59は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータから構成されるものであり、複合機50に備えられる各装置の制御を行い、且つ、複合機50に備えられる各装置間のデータ転送を行うものである。
【0053】
以上示した複合機50においては以下のようにして印刷処理が実行される。なお、以下では、画像入力装置51にて読み取られた画像データの画像を印刷する場合を例にして説明する。
【0054】
まず、ユーザが自己のICカード60をカードスロット55に挿入する。複合機50は、カードスロット55にICカード60が挿入されたことを検知すると、このICカード60に記憶されているユーザIDに基づいて認証処理を行う。そして、認証処理にてユーザ権限が認められたユーザのみが複合機50を操作でき、ユーザ権限が認められないユーザは複合機50を操作できない。
【0055】
その後、ユーザが画像入力装置51に原稿を載置して、プレビューモードを選択せず、通常印刷の指示を入力すると、画像入力装置51が原稿を読み取って画像データを生成し、当該画像データが記憶装置54に一旦記憶される。その後、画像処理装置52が、記憶装置54から画像データを入力し、設定されている処理条件に応じた画像処理を当該画像データに施し、画像処理装置52による処理後の画像データの画像が印刷装置53によって印刷されることになる。つまり、この場合、プレビュー表示が行われることなく印刷処理が実行される。
【0056】
これに対し、ユーザが画像入力装置51に原稿を載置して、通常印刷の指示を入力せず、プレビューモードを選択すると(図4のプレビュー確認ボタン500が押されると)、プレビュー処理が開始されることになる。具体的に、プレビューモードが選択されると(プレビューの指示が入力されると)、画像入力装置51が原稿を読み取って画像データを生成し、当該画像データが記憶装置54に一旦記憶され、その後、画像処理装置52が、記憶装置54から画像データを入力し、印刷処理に対して設定されている処理条件に応じた画像処理を当該画像データに反映した上で、当該画像データを表示用の画像データに変換する。そして、表示用の画像データの画像(プレビュー)が表示部58aに表示される。その後、利用者が印刷実行コマンドを入力すると、記憶装置54から画像データが読み出され、設定されている処理条件に応じた画像処理が当該画像データに施され、印刷処理が実行される。
【0057】
また、本実施形態では、プレビューモードが選択される場合、画像入力装置51から入力した画像データ、および、印刷処理に対して設定される処理条件を示す画像処理パラメータが、記憶装置54のみならず、カードスロット55に挿入されているICカード60に書き込まれるようになっている。具体的には、画像入力装置51によって原稿が読み取られると、画像入力装置51から入力された画像データと画像処理パラメータとからなる印刷情報が、記憶装置54およびICカード60の各々に書き込まれることになる。なお、本実施形態において、前記印刷情報に含まれる画像データは、前記印刷情報に含まれる画像処理パラメータによる画像処理が施される前の画像データである。
【0058】
さらに、プレビューが表示されている間、利用者によって前記処理条件が調整される度に、記憶装置54およびICカード60の各々に記憶されている印刷情報に含まれている画像処理パラメータが調整後の処理条件を示す内容に更新される。
【0059】
また、本実施形態では、プレビューが表示されており印刷処理の実行指示の入力前にカードスロット55からICカード60が抜き出された場合、印刷処理がキャンセルされるようになっている(つまり、記憶装置54の印刷情報は消去され、表示部58aのプレビュー表示も終了する)。
【0060】
但し、利用者が、前記印刷情報の記憶されたICカード60を再度カードスロット55に挿入した場合、ICカード60から印刷情報が読み出され、印刷情報に含まれる画像データの画像が印刷処理の対象として設定され、印刷情報に含まれる画像処理パラメータが前記印刷処理に対して設定され、この画像処理パラメータに基づく画像処理を反映させた画像のプレビューが表示部58aに表示されるようになっている。その後、利用者が印刷実行指示を入力すると印刷処理が実行される。
【0061】
これにより、ユーザは、ICカード60をカードスロット55から抜き出すことによって印刷処理を一旦キャンセルしても、ICカード60を再度カードスロット55へ挿入すれば、キャンセル前のプレビューの状態(キャンセル前に設定されていた処理条件に基づく画像処理を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。つまり、原稿の読み取りや処理条件の再設定といった手間な作業を行わなくても、簡易な操作(ICカード60の挿入)によって、印刷処理をキャンセルする前のプレビューの状態を再現でき、印刷処理をキャンセルする前の状態から前記印刷処理の設定作業を再開できる。
【0062】
以上示したプレビュー処理、ICカード60に対して印刷情報を書き込む処理、および、ICカード60から印刷情報を読み出す処理は制御部59によって実現されるものであるので、次に制御部59を詳細に説明する。
【0063】
図2に示すように、制御部59は、認証処理部59a、印刷制御部59b、プレビュー処理部59c、印刷情報処理部59d、アドレス検出部59eを備えている。
【0064】
認証処理部59aは、図示しないセンサによってカードスロット55にICカード60が挿入されたことを検出すると、ICカード60に記憶されているユーザIDに基づいて認証処理を行う。具体的に、認証処理は以下のようにして行われる。複合機50の記憶装置54には、ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザIDが予め登録(記憶)されている。そして、認証処理部59aは、カードスロット55にICカード60が挿入されたことを検出すると、リーダライタ56を制御することによって、ICカード60の個人情報記憶領域60aからユーザIDを読み出す。つぎに、認証処理部59aは、ICカード60から読み出したユーザIDと一致するユーザIDが記憶装置54に記憶されているか否かを判定する。
【0065】
そして、認証処理部59aは、ICカード60から読み出したユーザIDと一致するユーザIDが記憶装置54に記憶されていると判定した場合、ユーザ権限有と認定し、操作パネル58から入力されるコマンドや情報を有効なものとして扱う。これに対し、認証処理部59aは、ICカード60から読み出したユーザIDと一致するユーザIDが記憶装置54に記憶されていないと判定した場合、ユーザ権限有と認定せず、操作パネル58から入力されるコマンドや情報を全て無効なものとして扱う。つまり、認証処理にてユーザ権限が認められたユーザのみが複合機50を操作でき、ユーザ権限が認められないユーザは複合機50を操作できない。
【0066】
印刷制御部59bは、操作パネル58からの指示に応じて、画像を印刷する処理を印刷装置53に実行させるブロックである。
【0067】
プレビュー処理部59cは、プレビューの指示が入力された場合、印刷処理に対して設定されている処理条件に応じた画像処理を反映させた画像のプレビューを表示部58aに表示させる処理を行うようになっている。具体的に、プレビュー処理部59cは、記憶装置54に記憶されている印刷情報に含まれている画像データを読み出し、画像処理装置52を制御して当該画像データに画像処理を施す。そして、プレビュー処理部59cは、当該画像データを表示部58aに入力して、この画像データの画像をプレビューとして表示部58aに表示させる。
【0068】
印刷情報処理部59dは、プレビューの指示が入力された場合、リーダライタ56を介してICカード60の印刷情報記憶領域60bにアクセスし、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されているか否かを判定する。
【0069】
印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていると判定した場合、この印刷情報を読み出して記憶装置54に書き込むようになっている。
【0070】
これに対し、印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていないと判定した場合、画像入力装置101に原稿の読み取りを実行させる。そして、印刷情報処理部59dは、画像入力装置101によって生成される画像データと初期設定されている処理条件を示す画像処理パラメータとを含む印刷情報を記憶装置54に書き込み、且つ、リーダライタ56を介してICカード60にアクセスし、印刷情報記憶領域60bに印刷情報を書き込むようになっている。
【0071】
さらに、印刷情報処理部59dは、印刷処理に対して設定される処理条件が利用者によって調整される度、記憶装置54およびICカードの各々に書き込まれている印刷情報に含まれる画像処理パラメータを、調整後の処理条件に応じたものに更新する。
【0072】
また、印刷情報処理部59dは、印刷処理が実行されると、記憶装置54から印刷情報を消去し、且つ、リーダライタ56を制御してICカード60の印刷情報記憶領域60bから印刷情報を消去するようになっている。
【0073】
さらに、印刷情報処理部59dは、プレビュー表示中にICカード60がカードスロット55から抜き出された場合、印刷処理をキャンセルし、記憶装置54から印刷情報を消去するようになっている。
【0074】
アドレス検出部59eは、本実施の形態では処理を実行せず、後述する実施の形態3にて処理を実行するものであるため、ここでは説明せず実施の形態3にて説明する。
【0075】
つぎに、本実施形態の複合機50にて実行される印刷処理の流れを図3に基づいて説明する。なお、以下では、画像入力装置51にて生成された画像データの画像を印刷する処理(つまり複写処理)を例にして説明する。
【0076】
まず、ユーザがICカード60をカードスロット55に挿入すると、認証処理部59aは、リーダライタ56を介してICカード60からユーザIDを読み取り、このユーザIDに基づいて認証処理(個人認証)を行う(S101)。
【0077】
認証処理部59aは、S101の認証処理においてユーザ権限有と判定した場合(S102にてYES)、ユーザによる操作が可能な状態へと複合機50を移行させる。すなわち、表示部58aには、図4に示すような操作用のメニュー画面が表示され、利用者による各種指示の入力が可能になる。
【0078】
これに対し、認証処理部59aは、S101の認証処理においてユーザ権限無と判定さした場合(S102にてNO)、その後のユーザによる指示の入力を一切受け付けず、処理を終了する。
【0079】
S101の認証処理においてユーザ権限有と判定された後、ユーザが、プレビューモードを指定せず、通常印刷の指示を入力すると、プレビュー表示の無い通常印刷処理が行われ、処理が終了する(S103にてNO)。つまり、この場合、画像入力装置51が原稿の読み取りを行って画像データを生成し、プレビュー表示が行われること無く、印刷装置53が当該画像データの画像の印刷を行う。
【0080】
なお、本実施形態では、操作パネル58のスタートボタンが押されることによって通常印刷の指示が複合機50に入力されるようになっている。
【0081】
これに対し、S101の認証処理においてユーザ権限有と判定された後、ユーザが、プレビューモードを選択すると(S103にてYES)、印刷情報処理部59dが、ICカード60にアクセスし、ICカード60に印刷情報が記憶されているか否かを判定する(S104)。つまり、以前に印刷処理をキャンセル(中断)した場合はキャンセルした印刷処理に関する印刷情報がICカード60に記憶されていることから、S104では、以前にキャンセルされた印刷処理に関する印刷情報がICカード60に保存されているか否かを判定しているのである。
【0082】
なお、本実施形態では、図4に示されているプレビュー確認ボタン500が選択されることによってプレビューモードが選択(指定)されるようになっている。
【0083】
印刷情報処理部59dは、S104においてICカード60に印刷情報が記憶されていると判定した場合、ICカード60から印刷情報を読み出し(S106)、この印刷情報を記憶装置54に記憶させる。なお、S106の次のステップはS108である。
【0084】
これに対し、S104においてICカード60に印刷情報が記憶されていないと判定された場合、印刷情報処理部59dは画像入力装置51に原稿の読み取りを行わせる(S105)。なお、S105においては、画像入力装置51にて画像データが生成されると、印刷情報処理部59dが、生成された画像データと初期設定されている処理条件を示す画像処理パラメータとを含めた印刷情報を記憶装置54に記憶するようにもなっている。
【0085】
S105の後、印刷情報処理部59dは、記憶装置54に記憶された印刷情報と同じ印刷情報をICカード60に書き込む(S107)。なお、S107の次のステップはS108である。
【0086】
S108において、プレビュー処理部59cは、プレビュー用の画像データを生成するようになっている。具体的に、プレビュー処理部59cは、記憶装置54に記憶された印刷情報に含まれる画像データを、印刷処理にて印刷される画像の画像データとして設定する。そして、プレビュー処理部59cは、画像処理装置52を制御して、当該画像データに対して、印刷情報に含まれる画像処理パラメータに示される処理条件による画像処理を施し、当該画像データをプレビュー用(表示用)の画像データに変換するようになっている。
【0087】
その後、プレビュー処理部59cは、S108にて生成されたプレビュー用の画像データに基づいて、印刷画像のプレビューを表示部58aに表示させるようになっている(S109)。本実施形態では、図5に示すように、プレビューを示したプレビュー確認用画面が表示部58aに表示されることになる。
【0088】
表示部58aにてプレビューが表示されると、ユーザから画像処理の処理条件の調整の指示が操作パネル58を介して入力されることがある。ここで、処理条件の調整が行われた場合(S110にてYES)、印刷情報処理部59dは印刷情報に含まれる画像処理パラメータの更新を行う(S111)。具体的に説明すると、S111において、印刷情報処理部59dは、記憶装置54およびICカード60の各々に記憶されている印刷情報に含まれる画像処理パラメータを、調整後の処理条件に合致した内容になるように書き換えるようになっている。
【0089】
また、処理条件の調整が行われると、プレビュー処理部59cは、表示部58aにて表示されているプレビューに対して調整後の処理条件を反映させる(つまり、調整後の処理条件の画像処理を画像データに施し、この画像データの画像のプレビューを表示部58aに表示させる)。
【0090】
そして、操作パネル58から印刷実行指示が入力されると(S112にてYES)、印刷制御部59bは印刷装置53に印刷処理を実行させる(S113)。具体的に、印刷制御部59bは、記憶装置54から印刷情報に含まれる画像データを読み出し、画像処理装置52を制御することによって、印刷実行指示の入力時点で設定されている処理条件(印刷情報の処理条件)に基づく画像処理を前記画像データに施し、この画像データの画像を印刷する処理を印刷装置53に実行させる。
【0091】
なお、本実施形態では、図5に示されているコピー開始ボタン550が選択されることによって印刷実行指示が入力されるようになっている。
【0092】
また、表示部58aにてプレビューが表示されている間、印刷情報処理部59dは、印刷対象の全ての画像データの画像に対する印刷処理が完了したか否かを判定している(S114)。
【0093】
印刷情報処理部59dは、S114にて印刷処理が完了したと判定した場合、ICカード60に記憶されている印刷情報を消去して(S115)、処理をS117に移行する。
【0094】
S117において、印刷情報処理部59dは、記憶装置54に記憶されている印刷情報を消去して、全ての処理を完了する。これにより、表示部58aに表示されているプレビューは消去され、表示部58aには初期画面が表示されることになる。
【0095】
また、S114において、印刷情報処理部59dは、印刷処理が完了していないと判定した場合、さらにICカード60がカードスロット55に挿入されているか否かを判定する(S116)。
【0096】
そして、ICカード60がカードスロット55に挿入されていると判定された場合(S116にてYES)、S110以降の処理が繰り返される。つまり、印刷処理が完了しておらず、且つ、ICカード60がカードスロット55に挿入されたままの場合、印刷画像のプレビューを表示し、印刷実行指示を待機する状態が維持される。
【0097】
これに対し、ICカード60がカードスロット55に挿入されていないと判定された場合(S116にてNO)、印刷情報処理部59dは、実行命令待機中の印刷処理をキャンセルし、記憶装置54に記憶されている印刷情報を消去して(S117)、全ての処理を完了する。これにより、印刷処理が完了してない状態にてICカード60がカードスロット55から抜き出された場合(S116にてNO)、印刷処理がキャンセル(中止)され、且つ、表示部58aに表示されているプレビューも消去され、表示部58aには初期画面が表示されることになる。
【0098】
但し、抜き出されたICカード60には印刷情報が記憶されているので、後にユーザがICカード60をカードスロット55に挿入することによって、ICカード60に記憶されている印刷情報が読み出され(S104にてYES,S106)、当該印刷情報の画像データが印刷対象とされ、当該印刷情報に含まれる画像データに基づくプレビューが表示されるため、キャンセル前の状態(プレビューが表示されている状態)を再現できることになる。
【0099】
つまり、図3の処理によれば、利用者は、ICカード60を抜き出すことで印刷処理を一旦キャンセルしても、ICカード60に印刷情報が記憶されているため、ICカード60に記憶されている印刷情報を複合機50に読み込ませることで、中断前の状態から印刷処理の設定作業(プレビュー表示)を再開できる。
【0100】
また、ICカード60を抜き出すことで印刷処理がキャンセルされた場合、記憶装置54の印刷情報が消去され、且つ、表示部58aのプレビューが消去されて初期画面を表示するようになっているため、一旦キャンセルした印刷処理に関するデータが他人に漏洩してしまうことを抑制できる。
【0101】
以上示したように、本実施形態の複合機50は、画像データの画像を印刷する印刷処理を実行する印刷装置(出力処理部)53と、前記印刷処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記印刷処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部58aに表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部59cと、前記プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも前記印刷処理の実行前に、前記処理条件を示す画像処理パラメータと前記画像データとを含む印刷情報(出力情報)を、複合機50の外部の外部記憶領域(ICカード60)に記憶させる記憶処理を実行する印刷情報処理部59dとを備えている。
【0102】
これにより、ユーザは、前記印刷処理を一旦キャンセルした後、原稿の再読取や処理条件の再選択等の手間な操作を行わなくても、ICカード60に記憶された印刷情報を複合機50に入力するという操作だけで、印刷処理に必要な画像データや前記処理条件を複合機50に入力でき、これによりキャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。つまり、簡易な操作によって、印刷処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【0103】
また、本実施形態の複合機50は、ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザID(ユーザ識別情報)を予め記憶する記憶装置(記憶部)54と、複合機50がICカード60にアクセス可能になると、ICカード60からユーザIDを読み出し、読み出したユーザIDと記憶装置54に記憶されているユーザ識別情報とに基づき、ユーザ権限の有無を判定する認証処理部59aとを備えている。そして、印刷情報処理部59dは、認証処理部59aによってユーザ権限無と判定された場合に前記記憶処理を行わず、認証処理部59aによってユーザ権限有と判定された場合に前記記憶処理を行うようになっている。これにより、ユーザ権限有と判定されない限り、前記リムーバブルメディアに前記出力情報が書き込まれることがないので、前記印刷情報の漏洩を抑制できるという効果を奏する。
【0104】
さらに、本実施形態において、印刷情報処理部59dは、印刷処理が完了したことを検知するとICカード60に記憶された印刷情報を消去している。つまり、印刷処理が完了すると印刷情報は不要であるので、ICカード60から消去しているのである。また、これにより、ICカード60における印刷情報の有無により、ユーザは中断したままの状態の印刷処理の有無を確認できるという利点もある。
【0105】
[実施の形態2]
実施の形態1ではICカード60が抜き出された場合に印刷処理がキャンセルされるようになっているが、本実施形態では、図5の中断ボタン(キャンセルボタン)600が押された場合に、印刷処理がキャンセルされると共にプレビューの表示も終了し、キャンセルされた印刷処理に関する印刷情報がICカード60に書き込まれるようになっている。以下、本実施の形態について説明する。なお、実施の形態2においては、実施の形態1と共通する点については説明を省略し、実施の形態1との相違点のみを説明する。
【0106】
図2に示す制御部59に含まれる各ブロックのうち、認証処理部59a、印刷制御部59b、プレビュー処理部59cにて実行される処理内容は実施の形態1と同様であるので省略する。また、アドレス検出部59eは、本実施形態では処理を実行せず、実施の形態3で処理を実行するものであるため、ここではその説明を省略する。
【0107】
印刷情報処理部59dの処理内容については実施の形態1と若干異なる点があるため、以下詳細に説明する。
【0108】
まず、印刷情報処理部59dは、プレビューモードが選択された場合、リーダライタ56を介してICカード60の印刷情報記憶領域60bにアクセスし、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されているか否かを判定する。この点については実施の形態1と同様である。
【0109】
本実施形態では、印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていないと判定した場合、画像入力装置101に原稿の読み取りを実行させ、画像入力装置101によって生成される画像データと初期設定されている処理条件を示す画像処理パラメータとを含む印刷情報を記憶装置54に書き込むようになっているが、中断ボタン600が押されていない以上はICカード60の印刷情報記憶領域60bに印刷情報を書き込まない。
【0110】
また、本実施形態では、印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていると判定した場合、この印刷情報を読み出して記憶装置54に書き込んだ上で、印刷情報記憶領域60bから印刷情報を消去するようになっている。
【0111】
そして、印刷情報処理部59dは、印刷処理に対して設定される処理条件が利用者によって調整される度、記憶装置54に書き込まれている印刷情報に含まれる画像処理パラメータを、調整後の処理条件に応じたものに更新する。
【0112】
さらに、印刷情報処理部59dは、プレビュー表示中に中断ボタン600が押された場合(印刷処理がキャンセルされた場合)、印刷処理をキャンセルし、記憶装置54に記憶されている印刷情報をICカード60の印刷情報記憶領域60bに書き込んだ上で、記憶装置54の印刷情報を消去するようになっている。
【0113】
なお、印刷処理が実行された後に印刷情報処理部59dが記憶装置54から印刷情報を消去するようになっている点は実施形態1と同様である。
【0114】
つぎに、本実施形態の複合機50にて実行される印刷処理(複写処理)の流れを図6に基づいて説明する。図6に示されるS206〜S205は、図3のS101〜106と同様の内容であるため、その説明を省略する。
【0115】
S206において印刷情報処理部59dがICカード60から印刷情報を読み出し、この印刷情報が記憶装置54に書き込まれると、ICカード60に記憶されている当該印刷情報は印刷情報処理部59dによって消去される(S207)。なお、S207の次のステップはS208であり、S205の次のステップもS208である。
【0116】
また、図6に示されるS208〜S213は図3のS108〜S113とほぼ同様の内容であるため、その説明を省略する。なお、異なる点は、S111では、記憶装置54およびICカード60の各々に記憶されている印刷情報に含まれる画像処理パラメータが更新されるようになっているが、S211では、記憶装置54に記憶されている印刷情報に含まれる画像処理パラメータが調整後の処理条件に合致した内容になるように更新される点である。これは、S108〜S113では印刷情報は記憶装置54およびICカード60の各々に記憶されているが、S208〜S213では印刷情報は記憶装置54にしか記憶されていないことに起因する。
【0117】
そして、本実施形態においても、実施の形態1と同様、表示部58aにてプレビューが表示されている間、印刷情報処理部59dは、印刷対象の全ての画像データの画像に対する印刷処理が完了したか否かを判定している(S214)。
【0118】
印刷情報処理部59dは、S214にて印刷処理が完了したと判定した場合、記憶装置54に記憶されている印刷情報を消去して(S219)、全ての処理を完了する。これにより、表示部58aに表示されているプレビューは消去され、表示部58aには初期画面が表示されることになる。
【0119】
また、S214において、印刷情報処理部59dは、印刷処理が完了していないと判定した場合、さらに中断ボタン600が押されたか否かを判定する(S215)。中断ボタン600は、上述の通り、印刷処理のキャンセル(中断)を指示するためのボタンである。
【0120】
ここで、中断ボタン600が押されていないと判定された場合(S215にてNO)、S210以降の処理が繰り返される。つまり、印刷処理が完了しておらず、且つ、中断ボタン600が押されていない場合、印刷画像のプレビューを表示し、印刷実行指示を待機する状態が維持される。
【0121】
これに対し、中断ボタン600が押されたと判定された場合(S215にてYES)、印刷情報処理部59dは、記憶装置54に記憶されている印刷情報を読み出し、リーダライタ56を介して、当該印刷情報をICカード60の印刷情報記憶領域に書き込む処理を行う(S216)。また、本実施形態では、ICカード60のへの印刷情報の書き込みが完了すると、印刷情報処理部59dは、印刷情報がICカード60へ保存された事をユーザに通知するための通知画面を表示部58aに表示させる。図7は当該通知画面の一例を示す図である。これにより、ユーザは、ICカード60を抜きだれる状態になった事を知ることができる。
【0122】
S216の後、印刷情報処理部59dは、印刷実行指示を待機中の印刷処理をキャンセルして、記憶装置54に記憶されている印刷情報を消去して(S219)、全ての処理を完了する。これにより、表示部58aに表示されているプレビューも消去され、表示部58aには初期画面が表示される。
【0123】
以上示した実施形態によれば、印刷情報処理部59dは、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記印刷処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、ICカード60への印刷情報の記憶処理を行うようになっている。これにより、印刷処理がキャンセルされた場合にのみ印刷情報をICカード60に記憶できる。
【0124】
[実施の形態3]
実施の形態3は実施の形態2のバリエーションである。それゆえ、以下では、実施の形態2と同じ点については説明を省略し、実施の形態2と異なる点について説明する。
【0125】
本実施形態では、印刷情報をICカード60に記憶させるのではなく、所定のアドレス(メールアドレス)に、印刷情報を添付したメール(電子メール)を送信するものである。
【0126】
本実施形態において、図2に示す記憶装置54は、ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザIDと、所定のアドレスとが対応付けられて記憶されている。なお、所定のアドレスとしては、このアドレスに対応付けられているユーザIDのユーザの有するアドレスや当該ユーザの所属する部門のアドレス等が挙げられる。
【0127】
図2に示す制御部59に含まれる各ブロックのうち、認証処理部59a、印刷制御部59b、プレビュー処理部59cにて実行される処理内容は実施の形態2と同様であるので省略する。
【0128】
アドレス検出部59eは、図6の中断ボタン600が押された場合、リーダライタ56を介してICカード60に記憶されているユーザIDを読み出し、読み出したユーザIDと同一のユーザIDに対応付けられているアドレスを記憶装置54から検出するようになっている。
【0129】
印刷情報処理部59dの処理内容は、実施の形態2とほぼ同様であるが、S216において、ICカード60に印刷情報を書き込むのではなく、通信部57を制御して、所定のアドレスへ印刷情報を添付したメールを送信するようになっている。つまり、印刷情報処理部59dは、中断ボタン600が押されたと判定された場合(S215にてYES)、記憶装置54に記憶されている印刷情報を読み出し、アドレス検出部59eによって検出されたアドレスに印刷情報を添付したメールを送信するようになっている。
【0130】
そして、印刷処理が中断された後、ユーザは、所定のアドレスに送信された印刷情報をUSBメモリ(リムーバブルメディア)に転写し、当該USBメモリの印刷情報を複合機50に読み込ませればよい。この場合、制御部59は、この印刷情報を記憶装置54に記憶させ、図6のS208から処理を再開するようになっている。これにより、当該印刷情報に含まれる画像データに基づくプレビューが表示されるため、中断ボタンが押される前の状態(キャンセル前のプレビューが表示されている状態)を再現できることになる。
【0131】
つまり、本実施形態においても、中断ボタン600を押すことにより印刷処理を一旦キャンセルしても、所定のアドレスに対応する記憶領域に印刷情報が記憶されるため、後にこの印刷情報を複合機50に読み込ませることで、中断前の状態から印刷処理の設定作業(プレビュー表示)を再開できる。
【0132】
なお、所定のアドレスに送信された印刷情報を複合機50に読み取らせる手法としては、USBメモリに印刷情報を転写して当該ICカード60を複合機50の挿入する手法に限定されない。例えば、前記アドレスがユーザの有する携帯電話のアドレスであるような場合、携帯電話から複合機50へ印刷情報を送信することによって複合機50に印刷情報を読み込ませるという手法であってもよい。この手法の場合、図2に示される通信部57は、IrSimpleなどの赤外線通信規格やBluetooth(登録商標)のような無線通信方式、Felica(登録商標)のような非接触無線通信方式に基づく送受信が可能であり、携帯電話から通信部57へ印刷情報が転送されるようになっている。また、携帯電話と通信部57との間の通信手法は、前記した各方式に限定されるものではなく、公知の通信方式を適用できる。
【0133】
また、複合機50から所定のアドレスへの印刷情報の送信形態は、電子メールプロトコルによる通信に限定されるものではなく、FTP(ファイル転送プロトコル)による通信であってもよい。
【0134】
以上にて示したように、本実施形態の複合機50は、ユーザを識別するユーザIDとアドレスとの対応関係を予め記憶する記憶装置54を有している。そして、アドレス検出部59eは、外部から入力されたユーザIDと一致するユーザIDに対応付けられているアドレスを記憶装置54から検出するようになっている。さらに、印刷情報処理部59dは、アドレス検出部59eにて検出されたアドレスに印刷情報を送信することによって、このアドレスに対応する記憶領域に印刷情報を記憶させるようになっている。これにより、印刷情報は記憶装置54に予め登録されているユーザに対応付けられているアドレスに送信されるため、印刷情報の漏洩の危険を抑制できる。
【0135】
[実施の形態4]
実施の形態4は実施の形態1〜3の各々に対するバリエーションである。それゆえ、以下では、実施の形態1〜3と共通する点の説明は省略し、実施の形態1〜3と異なる点について説明する。
【0136】
実施の形態1〜3の印刷情報とは、印刷処理のために画像入力装置51から入力された画像データと、前記印刷処理に対して設定されている画像処理の処理条件を示す画像処理パラメータとを含む情報であった。これに対し、本実施形態の印刷情報は、印刷処理のために画像入力装置51から入力された画像データを識別するための識別子と前記画像処理パラメータとを含む情報であり、前記画像データを含んでいない。
【0137】
つぎに、本実施形態を図3の処理に適用するケースを説明する。まず、本実施形態の記憶装置54は、印刷情報を記憶するための印刷情報用記憶領域と、画像データを記憶するための画像用記憶領域とを有している。
【0138】
図3のS105において、印刷情報処理部59dは、S105で得られた画像データの識別子と画像処理パラメータとを含めた印刷情報を記憶装置54の印刷情報用記憶領域に書き込み、前記画像データと前記識別子とを対応付けて記憶装置54の画像用記憶領域に書き込むようになっている。図3のS107において、印刷情報処理部59dは、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶された印刷情報と同じ印刷情報をICカード60に書き込む。
【0139】
図3のS106では、印刷情報処理部59dはICカード60から印刷情報を読み出し、この印刷情報を記憶装置54の印刷情報用記憶領域に書き込むようになっている。
【0140】
図3のS113において、印刷制御部59bは、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報の識別子を読み出し、当該識別子に対応する画像データを記憶装置54の画像用記憶領域から読み出す。そして、印刷制御部59bは、画像処理装置52を制御することによって、印刷実行指示の入力時点で設定されている処理条件(印刷情報の処理条件)に基づく画像処理を前記画像データに施し、この画像データの画像を印刷する処理を印刷装置53に実行させる。
【0141】
また、印刷処理が完了した場合(S114にてYES)、印刷制御部59bは、S117において、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報を消去し、且つ、この印刷情報に示される識別子に対応する画像データを記憶装置54の画像用記憶領域から消去する。
【0142】
これに対し、印刷処理が完了せずにICカード60が抜き出された場合(S116にてNO)、印刷制御部59bは、S117において、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報を消去するが、この印刷情報に示される識別子に対応する画像データについては記憶装置54の画像用記憶領域から消去しない。
【0143】
これにより、実施の形態1と同様、利用者は、ICカード60を抜き出すことで印刷処理を一旦キャンセルしても、ICカード60に印刷情報が記憶されているため、ICカード60に記憶されている印刷情報を複合機50に読み込ませることで、中断前の状態から印刷処理の設定作業(プレビュー表示)を再開できることになる。また、以上の処理によれば、画像データをICカード60に記憶させる必要がなく、ICカード60に必要な記憶容量を削減できるというメリットもある。
【0144】
つぎに、本実施形態を図6の処理に適用するケースを説明する。このケースにおいても、記憶装置54は、印刷情報を記憶するための印刷情報用記憶領域と、画像データを記憶するための画像用記憶領域とを有している。
【0145】
図6のS205において、印刷情報処理部59dは、S105で得られた画像データの識別子と画像処理パラメータとを含めた印刷情報を記憶装置54の印刷情報用記憶領域に書き込み、前記画像データと前記識別子とを対応付けて記憶装置54の画像用記憶領域に書き込むようになっている。図6のS206では、印刷情報処理部59dはICカード60から印刷情報を読み出し、この印刷情報を記憶装置54の印刷情報用記憶領域に書き込むようになっている。
【0146】
図6のS213において、印刷制御部59bは、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報の識別子を読み出し、当該識別子に対応する画像データを記憶装置54の画像用記憶領域から読み出す。そして、印刷制御部59bは、画像処理装置52を制御することによって、印刷実行指示の入力時点で設定されている処理条件(印刷情報の処理条件)に基づく画像処理を前記画像データに施し、この画像データの画像を印刷する処理を印刷装置53に実行させる。
【0147】
また、印刷処理が完了した場合(S214にてYES)、印刷制御部59bは、S219において、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報を消去し、且つ、この印刷情報に示される識別子に対応する画像データを記憶装置54の画像用記憶領域から消去する。
【0148】
これに対し、印刷処理が完了せずに中断ボタン600が押された場合(S214にてNO)、印刷制御部59bは、S219において、記憶装置54の印刷情報用記憶領域に記憶されている印刷情報を消去するが、この印刷情報に示される識別子に対応する画像データについては記憶装置54の画像用記憶領域から消去しない。
【0149】
これにより、実施の形態2と同様、利用者は、ICカード60を抜き出すことで印刷処理を一旦キャンセルしても、ICカード60に印刷情報が記憶されているため、ICカード60に記憶されている印刷情報を複合機50に読み込ませることで、中断前の状態から印刷処理の設定作業(プレビュー表示)を再開できることになる。また、以上の処理によれば、画像データをICカード60に記憶させる必要がなく、ICカード60に必要な記憶容量を削減できるというメリットもある。
【0150】
なお、記憶装置54の画像用記憶領域に保存されている画像データは所定期間(例えば1日)記憶されるが、所定期間経過後に削除されるようになっていてもよい。
【0151】
また、本実施形態においても、実施の形態3と同様、印刷情報処理部59dは、中断ボタン600が押されたと判定された場合(S215にてYES)、記憶装置54に記憶されている印刷情報を読み出し、アドレス検出部59eによって検出されたアドレスに印刷情報を添付したメールを送信するようになっていてもよい。
【0152】
また、中断ボタン600が押されたと判定された場合、印刷情報処理部59dは、アドレス検出部59eによって検出されたアドレスに印刷情報を添付したメールを送信すると共に、ユーザIDと処理中断を示す情報とからなるログを記憶装置54に記憶しておいてもよい。そして、後に、当該ユーザIDのユーザが個人認証を行った場合、制御部59は、処理途中のデータが残っていることを示す画面を表示部58aに表示し、処理を継続するか否かの指示の入力をユーザに促すようになっていてもよい。処理を継続する場合、中断時にアドレスに送信した印刷情報を複合機50に転送するように促し、転送された印刷情報と記憶装置54の画像用記憶領域に保存されている画像データとを用いて、当該画像データの画像のプレビューを表示させるようになっている。
【0153】
なお、以上の識別子は、記憶装置54の画像用記憶領域に保存されている画像データを一意に識別するための情報であり、画像データに対して振られた通し番号や、ファイルシステム上のパス名、記憶装置54の画像用記憶領域における画像データの記憶位置を示した情報などを用いることができる。画像データは一般的にデータサイズが大きいため、画像データを識別する識別子をICカード60に記憶させるようにすることで、ICカード60に必要な記憶容量を削減することができる。
【0154】
以上示した実施形態の複合機50は、画像データの画像を印刷する印刷処理を実行する印刷装置53と、前記印刷処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記印刷処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部58aに表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部59cと、前記出力処理の対象となる画像データと前記画像データを識別するための識別子(画像識別情報)とを対応付けて記憶する記憶装置(第1記憶部)54と、前記プレビュー処理の指示が受け付けられた場合、少なくとも前記印刷処理の実行前に、前記処理条件を示す画像処理パラメータと前記識別子とを含む印刷情報を、ICカード60に記憶させる記憶処理を実行する印刷情報処理部59dとを備えている。
【0155】
これにより、ユーザは、前記印刷処理を一旦キャンセルした後、原稿の再読取や処理条件の再選択等の手間な操作を行わなくても、ICカード60に記憶された印刷情報を複合機50に入力するという操作だけで、印刷処理に必要になる前記識別子や前記画像処理パラメータを複合機50に入力でき、これによりキャンセル前のプレビュー状態(キャンセル前に設定されていた処理条件を反映させた画像のプレビューを表示させている状態)を再現することが可能になる。つまり、簡易な操作によって、印刷処理をキャンセルする前のプレビュー状態を再現できるという効果を奏する。
【0156】
なお、以上の各実施形態では、リムーバブルメディアの例としてICカード60を挙げて説明したが、当該リムーバブルメディアとしては、ICカード60に限定されるものではなく、メモリカード、光カードを用いることができる。また、使用可能なリムーバブルメディアはカード型のメディアに限定されるものではない。例えば、フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク系、CD−ROM、MO、MD、DVD、CD−R等の光ディスクを含むディスク系、あるいはマスクROM、EPROM、EEPROM、フラッシュROM等の半導体メモリ系のリムーバブルメディアを用いてもよい。また、リーダライタおよびカードスロットとしては、読出しおよび書き込みを適切に行えるように、使用するリムーバブルメディアの種類に適応した装置が選択される。
【0157】
さらに、以上にて示したようなリムーバブルメディアの代わりに、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistants)、スマートフォン、電子書籍端末等の携帯型端末装置を有線あるいは無線を介して複合機50に通信可能に接続し、当該携帯型端末装置に備えられるメモリに印刷情報を記憶させるようになっていてもよい。
【0158】
なお、以上の各実施形態においては、印刷処理を出力処理の一例として説明したが、出力処理は、ファクシミリ送信でもいいし、イメージ送信(画像を所定のファイル形式のデータに変換して所定の送信先に送信する処理)であってもよい。つまり、複合機50は、印刷処理のみならず、ファクシミリ送信処理やイメージ送信処理も実行することが可能であり、且つこれら送信処理の前に、送信処理の画像のプレビューを表示可能である。そして、送信処理の場合においても、図3や図6に示す処理と同様、送信処理の画像の画像データと画像処理パラメータとを含めた送信情報をICカード60に保存し、送信処理が中断された後にICカード60の送信情報を複合機50に読み込ませることによって、中断前の状態から作業を再開することが可能である。
【0159】
[変形例]
以上の各実施形態にて示した複合機の変形例を以下説明する。図8は変形例の複合機の概略構成を示すブロック図である。
【0160】
図8の複合機100は、コピーモード・プリントモード・ファクシミリ送信モード・ファクシミリ受信モード・イメージ送信モードの中からいずれかのモードが選択されると、選択されたモードを実行する画像形成装置である。
【0161】
コピーモード(複写モード)とは、画像データを読み込み(原稿を読み取って画像データを生成し)、この画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。また、プリントモードとは、複合機100に接続されている端末装置から送られてくる画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。ファクシミリ送信モードとは、原稿を読み取って得られる画像データを電話回線によって外部装置に送信する通常のファクシミリモードと、前記画像データをメールに添付してインターネットによって送信するインターネットファクシミリモードとを意味する。ファクシミリ受信モードとは、外部装置から画像データをファクシミリにて受信し、受信した画像データの画像を用紙に印刷するモードを意味する。イメージ送信モードとは、(1)原稿を読み取って生成した画像データを電子メールに添付して指定されたアドレスへ送信するモード(scan to e-mailモード)、(2)原稿を読み取って生成した画像データをユーザにより指定されたフォルダに送信するモード(scan to ftpモード)、(3)原稿を読み取って生成した画像データを画像形成装置に装着されたUSBメモリなどに送信するモード(scan to usbモード)を意味する。なお、本変形例においては、画像処理の動作上から、ファクシミリ送信モードとイメージ送信モードとを上記のように分類している。
【0162】
また、コピーモード・プリントモードが選択されている場合、利用者は、白黒画像を出力する白黒モード,フルカラーの画像を出力するフルカラーモード,利用者の所望する1色のみからなる単色画像を出力するシングルカラーモード,利用者の所望する1色と黒色とからなる2色画像を出力する2色カラーモードのいずれかを選択できるようになっている。
【0163】
例えば、コピーモードまたはプリントモードにおいて、利用者がシングルカラーモードを選択した場合、上記単色画像が印刷されることになる。また、コピーモードまたはプリントモードにおいて、利用者が2色カラーモードを選択した場合、上記2色画像の画像データが印刷される。なお、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、利用者は、R(赤),G(緑),B(青),C(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー)の中から所望の色を1つ選択することになる。
【0164】
また、本実施形態では、コピーモードにおいて、自動判別モードを設定することが可能である。この自動判別モードが設定されている場合、複合機100は、複写対象がカラー原稿か白黒原稿であるかを判別する自動カラー判別処理(ACS)を行い、カラー原稿と判別される場合は上記のフルカラーモードで出力処理を行い、白黒原稿と判別される場合は上記の白黒モードで出力処理を行うようになっている。
【0165】
複合機100は、図1に示されるように、画像入力装置101、画像処理装置102、印刷装置(画像出力装置)103、表示部104、受信装置105、送信装置106、記憶装置107、制御部108を有している。
【0166】
画像入力装置101は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、原稿を読み取り画像データを生成する画像読取手段である。より具体的に説明すると、画像入力装置101は、CCD(Charge Coupled Device)を備えたスキャナ部を有し、原稿から反射してきた光を、RGBに色分解された電気信号(アナログの画像信号)に変換し、この電気信号を画像処理装置に入力するものである。
【0167】
なお、画像入力装置101は、上記のフルカラーモード,シングルカラーモード,2色カラーモードのいずれのモードが選択されている場合であっても、フルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。また、画像入力装置101は、画像処理装置において前述した自動カラー判別処理が行われる場合であってもフルカラーにて原稿画像の読み取りを行う。
【0168】
画像処理装置102は、画像データ(画像信号)に対して画像処理を施す集積回路であり、ASIC(Application specific integrated circuit)から構成されるものである。画像処理装置102は、図8に示すように、A/D(アナログ/デジタル)変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、領域分離信号復号部10、画質調整部11、2色化処理部12、色補正部13、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、変倍部16、出力階調補正部17、中間調生成部18の各ブロックを有している。画像処理装置102に含まれる各ブロックの処理内容については後で詳述する。
【0169】
なお、画像処理装置102は、コピアモード、ファクシミリ送信モード、イメージ送信モードにおいて、画像入力装置101から送られてきた画像データに画像処理を行い、プリントモードにおいて、端末装置から送信されてきた画像データに画像処理を行い、ファクシミリ受信モードにおいて、外部装置から受信した画像データに画像処理を行うようになっている。そして、画像処理装置102は、コピアモード、プリントモード、ファクシミリ受信モードにおいて、画像処理を施した画像データを印刷装置103に送信し、ファクシミリ送信モードにおいて、画像処理を施した画像データを送信装置106に送信するようになっている。また、画像処理装置102は、イメージ送信モードのscan to e-mailモードにおいて、画像処理を施した画像データをメール処理部(不図示)に送信し、scan to ftpモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のフォルダに送信し、scan to usbモードにおいて、画像処理を施した画像データを所定のUSBメモリに送信するようになっている。
【0170】
印刷装置(プリンタ)103は、画像処理装置102から送られてきた画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷(形成)するものであり、例えば、電子写真方式またはインクジェット方式を用いたカラープリンタを挙げることができる。なお、本変形例においての「印刷」とは、プリントモードにおける印刷、コピアモードでの印刷、ファクシミリ受信モードでの印刷のいずれかを意味する。
【0171】
表示部104は、複合機100の操作パネル(不図示)に備えられている液晶ディスプレイであり、カラー画像の表示が可能な表示手段である。また、表示部104は、タッチパネルに覆われており、複合機100の入力インターフェイスとしての機能を有している。つまり、表示部104には、複合機100に対して各種コマンドの入力を行うためのGUI(グラフィカルユーザインターフェイス)や操作ガイドが表示される。
【0172】
また、本変形例の複合機100では、コピーモードまたはファクシミリ受信モードにおいて、印刷実行前に、印刷対象となる画像のプレビューを表示部104に表示することが可能になっている。さらに、本変形例の複合機100では、ファクシミリ送信モードまたはイメージ送信モードにおける送信実行前において、送信対象となる画像のプレビューを表示部104に表示することが可能になっている。
【0173】
また、コピーモードまたはイメージ送信モードにおいて、フルカラーモードが選択されている場合はフルカラー画像のプレビューが表示され、シングルカラーモードが選択されている場合は単色画像のプレビューが表示され、2色カラーモードが選択されている場合は2色画像のプレビューが表示されるようになっている。
【0174】
なお、表示部104は、液晶ディスプレイに限定されるものではなく、液晶ディスプレイ以外の表示手段(例えば、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイ等)であってもよい。
【0175】
受信装置105は、電話回線またはインターネットに接続しており、ファクシミリ通信によって外部装置から画像データを受信する装置である。また、送信装置106は、電話回線またはインターネットに接続しており、画像入力装置101にて入力された画像データをファクシミリ通信によって外部装置へ送信する装置である。
【0176】
記憶装置107は、画像処理装置102にて扱われる画像データを一旦保存するためのハードディスクである。
【0177】
制御部108は、CPU(Central Processing Unit)あるいはDSP(Digital Signal Processor)等のプロセッサを含むコンピュータであり、複合機100に備えられる各種ハードウェアを統括的に制御するものである。また、制御部108は、複合機100に備えられる各ハードウェア間のデータ転送を制御する機能も有する。
【0178】
つぎに、コピーモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードの各モードにおいて、画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を詳細に説明する。なお、本変形例の画像処理装置102には、或るモードaが選択されている時は動作する一方で前記モードaとは異なるモードbが選択されている時は動作しないようなブロックが存在する(モードa、モードbは、コピアモード、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードのいずれかである)。また、画像処理装置102には、選択されているモードに応じて処理内容を変更するブロックも存在する。さらに、画像処理装置102には、選択されているモードが同じであっても、印刷用(送信用)の画像データの処理時は動作する一方でプレビュー用の画像データの処理時は動作しないようなブロックや、印刷用(送信用)の画像データの処理時とプレビュー用の画像データの処理時とで処理内容を変更するブロックが存在する。そこで、以下では、画像処理装置102に含まれる各ブロックにて実行される処理の内容について、モード別に説明すると共に、印刷処理時(または送信処理時)とプレビュー表示時とで分けて説明する。
【0179】
(1)コピーモード
(1−1)印刷処理時(画像印刷ジョブ時)
以下では、図1に基づいて画像処理装置について説明するが、図1はコピーモード且つフルカラーモードにて印刷処理を行う際の画像処理装置内の画像データの流れを示したものである事を述べておく。
【0180】
A/D(アナログ/デジタル)変換部2は、画像入力装置101から送られてきたカラー画像信号(RGBアナログ信号)をデジタルの画像データ(RGBデジタル信号)に変換するブロックである。シェーディング補正部3は、A/D変換部2から送られてきた画像データに対して、画像入力装置101の照明系、結像系、撮像系で生じる各種の歪みを取り除く処理を施すブロックである。入力処理部4は、シェーディング補正部3より送られてくるRGBの画像データのそれぞれに対してγ補正処理などの階調変換処理を施すブロックである。
【0181】
原稿種別自動判別部5は、入力処理部4にてγ補正等の処理がなされたRGBの画像データ(RGBの濃度信号)に基づき、画像入力装置101にて読み取られた原稿の種別の判定を行う。ここで、判定される原稿の種別としては、文字原稿、印刷写真原稿、文字と印刷写真とが混在した文字印刷写真原稿等がある。また、原稿種別自動判別部5は、上記画像データに基づき、読み取られた原稿がカラー原稿であるか白黒原稿であるのかの判別を行う処理である自動カラー判別処理(ACS:Auto Color Selection)やブランク原稿であるか否か(無地の原稿であるか否か)の判定処理も行うことができる。なお、原稿種別自動判別部5から出力されるRGBの画像データは、領域分離処理部6および圧縮部7に入力するようになっている。
【0182】
領域分離処理部6は、原稿種別自動判別部から送られてくるRGBの画像データに基づき、入力画像の画素毎に、当該画素がどのような画像領域に分類されるのかを判別し、この判別結果を示す領域分離信号を生成する処理を行う。ここで、領域分離処理部6において判別される画像領域には、黒文字領域,色文字領域,網点領域等がある。なお、領域分離処理は、画素毎に画像領域の判定を行う形態ではなく、複数の画素よりなるブロック毎に画像領域の判定が行われる形態であってもよい。
【0183】
圧縮部7は、原稿種別自動判別部5から送られてくる画像データ(RGB信号)を符号化する処理を行うブロックである。なお、上記符号化は、例えばJPEG(Joint Photographic Experts Group)方式に基づいて行われる。
【0184】
領域分離信号圧縮部8は、画素毎に生成された領域分離信号に対して圧縮処理を施すブロックである。なお、領域分離信号圧縮部8における圧縮処理は、例えば、可逆圧縮方法であるMMR(Modified Modified Reed)方式、MR(Modified Reed)方式に基づいて行われる。
【0185】
制御部108は、圧縮部7から出力された符号化コード(符号化された画像データ)と領域分離信号圧縮部8から出力された領域分離信号コード(圧縮された領域分離信号)とを一旦記憶装置107に保存し、ファイリングデータとして管理する。そして、制御部108は、コピー出力動作が指示された場合、記憶装置107から上記の符号化コードおよび当該符号化コードに対応する領域分離信号コードを読み出し、復号部9、領域分離信号復号部10にそれぞれ引き渡す。
【0186】
なお、制御部108は、上記符号化コードの保存アドレスまたはデータ名と、領域分離信号コードの保存アドレスとを対応付けて管理テーブルに記入する。つまり、制御部108は、当該管理テーブルを用いて、符号化コードおよび領域分離信号コードの読み出しまたは書き込みの制御を行っている。
【0187】
復号部9は、上記符号化コードに対して復号化処理を施すことによって、上記符号化コードをRGBの画像データに伸張する。また、領域分離信号復号部10は、上記領域分離信号コードに対して復号化処理を施す。復号化した領域分離信号は、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18に引き渡される。そして、黒生成/下色除去部14、空間フィルタ部15、中間調生成部18においては、画像領域の種類に応じて画像処理内容の切替えが行われる。
【0188】
画質調整部11は、復号部9から送られてくるRGBの画像データについて、下地の検出を行って下地除去補正を行う。さらに、画質調整部11は、ユーザによって操作パネル(不図示)から入力される設定情報に基づいて、RGBのバランス(カラー調整、赤み青みといった全体のカラー調整)、明るさ、鮮やかさの調整を行う。
【0189】
さらに、画質調整部11は、シングルカラーモードが選択されている場合、RGBの画像データを、RGBの補色となるCMYの画像データに変換する処理を行う。ここで、シングルカラーモードにおいてのRGBの画像データからCMYの画像データへの変換処理は、下記の式1を用いることによって実行される。なお、式1における係数r1〜r3は〔表1〕に基づいて定められる。例えば、利用者がシングルカラーモードにおいて所望の色としてシアンを選択している場合、〔表1〕の「Cyan」の欄に属するr1〜r3の値が参照され、r1=1,r2=0,r3=0が選択されることになる。
【0190】
【数1】

【0191】
【表1】

【0192】
つまり、フルカラーモードの場合の画質調整部11からの出力は、図8に示されるように、RGBの画像データとなるところ、シングルカラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図9(a)に示されるように、CMYの画像データとなる。なお、2色カラーモードが選択されている場合の画質調整部11からの出力は、図9(b)に示されるように、RGBの画像データとなる。なお、図9(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置の一部のブロックを示したものであり、図9(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにて印刷処理が行われる際の画像処理装置の一部のブロックを示したものである。
【0193】
また、画質調整部11にて実行される鮮やかさの調整は、式1のマトリクスのr1〜r3およびa1〜a3の各値を変更した上で当該マトリクスを用いることによって実現可能である。それゆえ、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理(RGBからCMYへの変換)とについては、マトリクスを共用でき、画像処理回路を共用できる。よって、本実施形態では、上記の鮮やかさの調整と、シングルカラーモードにおける画像データの変換処理とが、同じ処理部(画質調整部)で行われるのである。
【0194】
2色化処理部12は、2色カラーモードが選択されている場合、図9(b)に示すように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データをCMYの画像データに変換する処理を行うブロックである。なお、2色化処理部12は、フルカラーモードが選択されている場合、図8に示されるように、画質調整部11から出力されたRGBの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。さらに、2色化処理部12は、シングルカラーモードが選択されている場合、図9(a)に示すように、画質調整部11から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま色補正部13へ引き渡す(スルーする)。
【0195】
色補正部13は、フルカラーモードが選択されている場合、2色化処理部12から出力されるRGBの画像データをCMYの画像データに変換する色補正処理を行うと共に、当該画像データに対して色再現性を高める処理を施すブロックである。なお、上記の色補正処理は、入力値(RGB)と出力値(CMY)とを対応付けたLUT(ルックアップテーブル)を作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0196】
また、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図9(a)(b)に示されるように、2色化処理部12から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま黒生成/下色除去部へ引き渡す(スルーする)。
【0197】
黒生成/下色除去部14は、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、色補正部13から出力されたCMYの画像データから黒(K)の画像データを生成する黒生成を行う一方、元のCMYの画像データから黒(K)の画像データを差し引いて新たなCMYの画像データを生成する処理を行うブロックである。これにより、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、図8および図9(b)に示されるように、CMYの画像データは黒生成/下色除去部14によってCMYKの4色の画像データに変換される。
【0198】
また、黒生成/下色除去部14は、シングルカラーモードが選択されている場合、図9(a)に示されるように、色補正部13から出力されたCMYの画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部へ引き渡す(スルーする)。
【0199】
なお、フルカラーモードまたは2色カラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部14の出力、および、黒生成/下色除去部14よりも後段の各ブロックの入出力は、図8のように、CMYKの画像データとなる。しかし、シングルカラーモードが選択されている場合、黒生成/下色除去部の出力、および、黒生成/下色除去部よりも後段の各ブロックの入出力は、図8とは異なり、CMYの画像データとなる。
【0200】
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されるCMYKまたはCMYの画像データに対して、領域分離信号(領域識別信号)を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0201】
変倍部16は、操作パネル(不図示)を介して利用者によって入力される変倍コマンド(印刷画像の倍率を示した情報)に基づいて、画像の拡大や縮小処理を行うブロックである。
【0202】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力された画像データに対して、用紙等の記録媒体に出力するための出力γ補正処理を行うブロックである。中間調生成部18は、誤差拡散法やディザ法を用いて、印刷装置103において画像を印刷するために必要な階調再現処理(中間調生成処理)を実行するものである。
【0203】
そして、中間調生成部18から出力されるCMYKまたはCMYの画像データは印刷装置103に引き渡され、印刷装置(画像出力装置)103は、当該画像データの画像を記録媒体(例えば紙等)上に印刷する。
【0204】
(1−2)プレビュー表示時
つぎに、コピーモードにて印刷対象画像のプレビューを表示する場合に画像処理装置102の各ブロックにて実行される処理の内容を図10に基づいて説明する。図10は、図8の画像形成装置と同じ画像形成装置を示すブロック図であり、コピアモード且つフルカラーモードにてプレビュー表示を行う際の画像データの流れを示した図である。
【0205】
なお、A/D変換部2、シェーディング補正部3、入力処理部4、原稿種別自動判別部5、領域分離処理部6、圧縮部7、領域分離信号圧縮部8、復号部9、画質調整部11、2色化処理部12の処理については、印刷処理時と同じであるため、以下ではその説明を省略する。
【0206】
領域分離信号復号部10は、図10に示すように、プレビュー表示時において、復号化した領域分離信号を空間フィルタ部15および出力階調補正部17に引き渡す。
【0207】
色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力する。なお、RGBの画像データは、スキャナ(画像入力装置101)の色空間に適合しているデータである。そして、色補正部13は、このRGBの画像データを表示部104の色空間に適合するR’G’B’の画像データへ変換する処理を行う。
【0208】
つまり、色補正部13は、スキャナの画像読取特性に適合したRGBの画像データを表示装置の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、RGBの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力値(RGB)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0209】
そして、本実施形態では、フルカラーモードにおいて、印刷処理時のRGBの画像データからCMYKの画像データへの変換処理と、プレビュー表示時のRGBの画像データからR’G’B’ の画像データへの変換処理とについて、画像処理回路を共用している。
【0210】
ここで、図10は、図8と同様、フルカラーモードが選択されている場合の複合機100を示したものであり、色補正部13は、フルカラーモードにおいて、RGBの画像データを入力するようになっている。しかし、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、図11(a)(b)に示すように、色補正部13はCMYの画像データを入力するようになっている。なお、図11(a)は、コピアモード且つシングルカラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものであり、図11(b)は、コピアモード且つ2色カラーモードにてプレビュー表示処理が行われる際の画像処理装置102の一部のブロックを示したものである。
【0211】
そして、色補正部13は、シングルカラーモードまたは2色カラーモードでは、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理を行う。つまり、色補正部13は、印刷処理の印刷特性に適合したCMYの画像データを表示部104の表示特性に適合したR’G’B’の画像データに変換する処理を行っているのである。なお、CMYの画像データをR’G’B’の画像データに変換する処理も、入力値(CMY)と出力値(R’G’B’)とを対応付けたLUTを作成し、作成したLUTから出力値をルックアップすることによって実現される。
【0212】
黒生成/下色除去部14は、図10および図11に示すように、シングルカラーモード,2色カラーモード,フルカラーモードのいずれのモードであっても、色補正部13から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の空間フィルタ部15へ引き渡す(スルーする)。
【0213】
空間フィルタ部15は、黒生成/下色除去部14より出力されたR’G’B’の画像データに対して、領域分離信号を基にデジタルフィルタによる空間フィルタ処理(強調処理、平滑化処理等)を行っている。つまり、空間フィルタ部15では、印刷処理時と同様、領域分離信号に基づいて、画像領域毎に異なる画像処理が実行される。
【0214】
変倍部16は、空間フィルタ部15から出力されたR’G’B’の画像データからなる画像の画素数を表示部104の画素数に変換する間引き処理(画素数を減少する処理)を行う。複合機100の操作パネルに備えられる表示部104は、印刷を行う画像データの解像度と比較すると低解像度であり、通常、極めて小型のディスプレイである。それゆえ、プレビュー表示時においては、画像データを間引く必要がある。また、変倍部16では、複合機100に備えられる操作パネル(不図示)より入力される変倍コマンド(表示倍率を示す情報、例えば2〜4倍等の固定倍率)に基づいて画像の拡大や縮小処理がなされる。
【0215】
出力階調補正部17は、変倍部16から出力されてきた画像データに対して、領域分離信号を基に出力γ補正処理を行っている。より具体的に説明すると、出力階調補正部17は、領域分離信号を基に、画像領域に応じて異なるガンマ曲線を選択し、画像領域毎に出力γ補正処理の内容を異ならせている。例えば、文字以外の領域に対しては、表示部104の表示特性に応じたガンマ曲線が選択され、文字領域に対しては、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線が選択される。ここで、図12(a)は、表示部104の表示特性に応じたガンマ曲線である。また、図12(b)の実線で示される曲線は文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線である。なお、図12(b)の破線は、表示部104の表示特性に応じたガンマ曲線であり、文字をくっきりと表示させるためのガンマ曲線と比較するために図示したものである。
【0216】
なお、本実施形態では、出力階調補正部17は、領域分離信号に基づいてガンマ曲線の選択を行っているが、領域分離信号による選択を行わないで図12(a)のガンマ曲線のみを用いて出力階調補正を行うようにしても良い。
【0217】
そして、中間調生成部18は、出力階調補正部17から出力されたR’G’B’の画像データに対して何も処理を行わず、当該画像データをそのまま後段の表示部104へ引き渡す(スルーする)。これにより、表示部104は、R’G’B’の画像データに基づいて、コピー対象となる画像のプレビューを表示できる。
【0218】
なお、出力階調補正部17において実行されている出力γ補正処理は、画質調整部11にて実行されてもよい。
【0219】
さらに、コピアモードのプレビュー表示時においてフルカラーモードが選択されているとき、または、コピアモードのプレビュー表示時において自動判別モードが選択され且つカラー原稿と判定されたとき、印刷処理や表示処理がフルカラーで行われる事を利用者に認識させるための識別情報(例えば「フルカラー」の文字)を表示部104に表示する。一方、複合機100は、コピアモードのプレビュー表示時において白黒モードが選択されているとき、または、コピアモードのプレビュー表示時において自動判別モードが選択され且つ白黒原稿と判定されたとき、印刷処理や表示処理が白黒モードで行われる事を利用者認識させるための識別情報(例えば「白黒」を示す文字)を表示部104に表示する。
【0220】
これにより、コピーしようとしている原稿の画像データがどのようなモードで処理されるのかをユーザに分かりやすく通知することができ、ユーザは後の処理の選択を適切に行うことができる。例えば、自動判別モードが選択されている場合、黒文字で書かれた原稿の一部に赤で記載された箇所があると原稿種別自動判別部5にてカラー原稿と判定されるが、ユーザがフルカラーで出力したくない場合、自動判別モードから白黒モードに変更して出力することが可能になる。
【0221】
以上示した変形例の複合機100においては、制御部108が図2の制御部59に対応し、記憶装置107が図2の記憶装置54に対応し、画像入力装置101が図2の画像入力装置51に対応し、画像処理装置102が図2の画像処理装置52に対応し、印刷装置103が図2の印刷装置53に対応し、表示部104が図2の表示部58aに対応する。つまり、本変形例では、制御部108が、図2に示す認証処理部59a、印刷制御部59b、プレビュー処理部59c、印刷情報処理部59d、アドレス検出部59eの機能を実行するようになっている。これにより、本変形例の複合機100においても、以上の各実施形態にて実現されるICカード60に対する印刷情報の書き込みや、ICカード60からの印刷情報の読み出しを実現でき、一旦印刷処理がキャンセルされる場合であっても、印刷情報の保存されたICカード60を再挿入すれば、キャンセル前のプレビューの状態を再現できる。
【0222】
なお、本変形例では、プレビュー指示が選択された場合、以下のような流れで印刷情報が記憶装置107およびICカード60に書き込まれることになる。スタートボタンが押されると、画像入力装置101が画像データを生成し、A/D変換部2から原稿種別自動判別部5までの処理が前記画像データに施される。その後、圧縮部7が当該画像データを圧縮し、圧縮後の画像データが画像処理パラメータとセットにされて、このセットが印刷情報として記憶装置107およびICカードの各々に記憶される。なお、図8の構成において、圧縮部7および複号部9は必須の構成ではないので、圧縮されていない画像データと画像処理パラメータとのセットが印刷情報として記憶装置107およびICカードに記憶されるようになっていてもよい。
【0223】
また、本変形例では、コピーモードにおけるプレビュー時の処理について説明したが、ファクシミリ送信モード、ファクシミリ受信モード、イメージ送信モードが選択されたときも、コピーモードと同様、モードに応じて信号変換、処理を選択してプレビューを行っても良い。
【0224】
また、本実施形態の複合機は図13に示すように変形されたものであてもよい。つまり、図13に示すように、複合機100aは、画像入力装置101にて画像データを読み取った後、領域分離処理および原稿種別判別処理を行う前に、読み取った画像データを符号化して一旦記憶装置107に格納しておき、記憶装置107から読み出して復号化した画像データについて原稿種別判別処理や領域分離処理を施すようになっていてもよい。
【0225】
[実施の形態5]
つぎに、実施の形態5について説明する。この実施の形態5は、以上にて示した実施の形態1のバリエーションであるので、実施の形態1と共通する事項の説明は極力省略し、実施の形態1と異なる事項を中心に説明する。なお、本実施形態において、実施の形態1と同じ部材については同じ参照符号を付している。
【0226】
図14は、本実施形態の複合機50、および、複合機50に着脱されるICカード60の概略構成を示したブロック図である。
【0227】
本実施形態の複合機50は、実施形態1の複合機(図1および図2)が有する構成部材と同じ構成部材を全て備えており、さらに秘密性判定部70(図14)を備えている。
【0228】
秘密性判定部(セキュリティ文書認識処理部)70は、画像入力装置51またはICカード60から複合機50に画像データが入力されると、入力された画像データの画像が秘密画像に該当するか否かを判定する判定処理を行うブロックである。ここで、秘密画像とは、秘密性が高く、セキュリティを重視しければならない画像であり、秘密性を表すマークが示されている画像を意味する。ここで、秘密性を表すマークとは、図15に示すように、マル秘や極秘といった所定文字、若しくは、地紋などの偽造防止パターン等を意味する。
【0229】
秘密性判定部70にて行われる判定処理は周知の手法(例えば特許文献2や特許文献3)を用いて実現できる。以下では秘密性判定部70にて実行される処理の一例を述べる。秘密性判定部70は、画像入力装置51またはICカード60から入力されて記憶装置54に保存された画像データに示される画像から特徴画像(例えば背景に埋め込まれた地紋パターン)を抽出し、当該特徴画像と予め記憶装置54に記憶させている特殊画像(秘密性を示す地紋パターン)とが一致するか否かを判断する。
具体的に、秘密性判定部70は、複合機50に入力された画像データに示される画像から抽出した特徴画像の特徴量(例えばドット密度)と前記特殊画像の特徴量とを比較して類似度を求め、前記類似度が閾値以上であれば前記特徴画像と前記特殊画像とが一致すると判断し、前記類似度が閾値未満であれば前記特徴画像と前記特殊画像とが一致しないと判断する。
そして、秘密性判定部70は、前記特徴画像と前記特殊画像とが一致すると判断した場合、入力された画像データの画像が秘密画像に該当すると判定し、前記特徴画像と前記特殊画像とが一致しないと判断した場合、入力された画像データの画像が秘密画像に該当しないと判定する。
【0230】
つぎに、本実施形態の印刷情報処理部59d(図14)の処理内容を説明する。
【0231】
印刷情報処理部59dは、プレビューの指示が入力された場合、リーダライタ56を介してICカード60の印刷情報記憶領域60bにアクセスし、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されているか否かを判定する。印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていないと判定した場合、画像入力装置51に原稿の読み取りを実行させることで画像入力装置51から画像データを複合機1へ入力し、当該画像データを含む印刷情報を記憶装置54に書き込む。これに対し、印刷情報処理部59dは、印刷情報記憶領域60bに印刷情報が記憶されていると判定した場合、この印刷情報をICカード60から複合機50に入力して記憶装置54に書き込む。
【0232】
そして、画像入力装置51から画像データが入力された場合、当該画像データの画像が秘密画像ではないと秘密性判定部70に判定されると、印刷情報処理部59dは、ICカード60の印刷情報記憶領域60bに当該画像データを含む印刷情報を書き込むようになっている。これに対し、画像入力装置51から画像データが入力された場合であって、当該画像データの画像が秘密画像であると秘密性判定部70に判定されると、印刷情報処理部59dは、当該画像データを含む印刷情報をICカード60に書き込まない。
【0233】
また、ICカード60から複合機50に印刷情報が入力された場合、当該印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像であると秘密性判定部70に判定されると、印刷情報処理部59dは、ICカード60の印刷情報記憶領域60から前記印刷情報を消去するようになっている。これに対し、ICカード60から複合機50に印刷情報が入力された場合であって、当該印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像でないと秘密性判定部70に判定されると、印刷情報処理部59dは、当該画像データを含む印刷情報をICカード60から消去せずそのままICカード60に保存する。
【0234】
つぎに、本実施形態の複合機50にて実行される処理の流れを図16に基づいて説明する。なお、図16のフローチャートにおいて、図3のフローチャートと同様の処理内容のステップについては、同じステップ番号を付してその説明を極力省略する。なお、図16の各ステップのうち、図3にはないステップは、S120,S121,S140〜S142である。
【0235】
図16に示されるフローチャートにおいて、最初に、印刷情報が記録されていないICカード60が複合機50に装着されると、実施の形態1と同じようにS101〜S105が行われる。つまり、画像入力装置51から画像データが読み取られ、印刷情報処理部59dが、当該画像データと初期設定されている処理条件を示す画像処理パラメータとを含めた印刷情報を記憶装置54に記憶するようになっている。
【0236】
そして、本実施形態では、S105の後、秘密性判定部70が判定処理(秘密性判定)を実行する(S120)。S120の判定処理ではS105にて読み取られた画像データの画像が秘密画像に該当するか否か判定する。S120にて前記の画像データの画像が秘密画像であると判定された場合(S121にてYES)、制御部59はS107をスキップしてS108に移行する。これに対し、S120にて前記の画像データの画像が秘密画像でないと判定された場合(S121にてNO)、制御部59は、S107の処理を実行し、その後、S108に移行するようになっている。
【0237】
これに対し、図16に示されるフローチャートにおいて、最初に、印刷情報が記録されているICカード60が複合機50に装着されると、実施の形態1と同じようにS101〜S104,S106が行われる。つまり、ICカード60から印刷情報が読み出され(S106)、この印刷情報は複合機50の記憶装置54に記憶されることになる。
【0238】
そして、本実施形態では、S106の後、秘密性判定部70が判定処理(秘密性判定)を実行する(S140)。S140の判定処理ではS106にてICカード60から読み取られた画像データの画像が秘密画像に該当するか否か判定する。S140にて前記の画像データの画像が秘密画像でないと判定された場合(S141にてNO)、制御部59はS142をスキップしてS108に移行する。これに対し、S140にて前記の画像データの画像が秘密画像であると判定された場合(S141にてYES)、制御部59は、ICカード60に記憶されている印刷情報を消去する(S142)。なお、ここで消去されるのは、ICカード60に記憶されている印刷情報であって、記憶装置54に記憶されている印刷情報ではない。そして、S142の後、S108に移行するようになっている。
【0239】
S108以降の処理は実施の形態1と同様である。但し、S107がスキップされた場合(S121にてYES)、若しくは、ICカード60から印刷情報が消去された場合(S142)、S111において、印刷情報処理部59dは、記憶装置54に記憶されている印刷情報に含まれる画像処理パラメータを、調整後の処理条件に合致した内容になるように書き換えるようになっている。また、S107がスキップされた場合(S121にてYES)、若しくは、ICカード60から印刷情報が消去された場合(S142)、印刷処理が完了しても(S114にてYES)、S115が実行されることなくS117に移行するようになっている。
【0240】
ICカード60を紛失してしまうとICカード60内のデータ流出の虞があるが、本実施形態の構成によれば、画像入力装置51から入力した画像データが秘密性の高い画像のデータの場合、ICカード60に当該画像データを記憶させないようになっている。さらに、本実施形態の構成によれば、ICカード60から入力した画像データが秘密性の高い画像のデータの場合、ICカード60から当該画像データを消去するようになっている。それゆえ、ICカード60を紛失しても、秘密性の高い情報の情報漏洩の危険性を抑制できるという効果を奏する。
【0241】
なお、本実施形態の画像処理装置52が図8の画像処理装置102(変形例)に相当する構成である場合、秘密性判定部70は、入力処理部4の後段において原稿種別自動判別部5と並列に設けられてもよい。この場合、画像入力装置51(画像入力装置101)にて読み取られ、A/D変換部2〜入力処理部4までの処理が実行された後の画像データを用いて、秘密性判定部70が判定処理を行うようになっている。
【0242】
また、本実施形態においても、実施の形態4にて説明したように、ICカード60に記憶する印刷情報を、画像データを識別するための識別子と画像処理パラメータとを含む情報としてもよい。この場合、図16のS101〜S117は実施の形態4のS101〜S117と同様である。そして、S120において、秘密性判定部70は、S105で得られた画像データに対して秘密性の判定処理を行う。また、S140において、秘密性判定部70は、ICカード60から読み出された印刷情報の識別子に対応する画像データに対して秘密性の判定処理を行う。なお、S107がスキップされた場合(S121にてYES)、若しくは、ICカード60から印刷情報が消去された場合(S142)、S111において、印刷情報処理部59dは、記憶装置54に記憶されている印刷情報に含まれる画像処理パラメータを、調整後の処理条件に合致した内容になるように書き換えるようになっている。また、S107がスキップされた場合(S121にてYES)、若しくは、ICカード60から印刷情報が消去された場合(S142)、印刷処理が完了しても(S114にてYES)、S115が実行されることなくS117に移行するようになっている。
【0243】
また、本実施形態では、画像入力装置50から画像データを入力した場合(S105)、秘密判定処理が行われた後にICカード60へ印刷情報を記憶する記憶処理を行うようになっているが、前記記憶処理を行った後に秘密判定処理を行うようになっていてもよい。具体的には、図16のS105の後、S120、S121、S107、S108の処理が行われる代わりに、以下に示す処理が行われるようになっていてもよい。
まず、S105の後、印刷情報処理部59dが、画像入力装置51から入力された画像データと初期設定されている処理条件を示す画像処理パラメータとを含めた印刷情報を、ICカード60および記憶装置54の各々に記憶するようになっている。その後、秘密性判定部70は、前記の印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像に該当するか否か判定する。
前記の印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像に該当すると判定された場合、印刷情報処理部59dは、ICカード60に記憶されている印刷情報を消去して、図16のS108以降の処理を実行するようになっている。これに対し、前記の印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像に該当しないと判定された場合、印刷情報処理部59dは、ICカード60に記憶されている印刷情報を消去せずに、図16のS108以降の処理を実行する。
以上にて示した構成によれば、ICカード60へ印刷情報を記憶した後に秘密判定処理を行うようになっており、前記印刷情報に含まれる画像データの画像が秘密画像と判定されると、ICカード60に記憶されている印刷情報を消去するようになっている。これにより、ICカード60を紛失しても、秘密性の高い情報の情報漏洩の危険性を抑制できるという効果を奏する。
【0244】
また、本実施形態では、ICカード60から複合機50へ入力された画像データの画像が秘密画像である場合(S141にてYES)、ICカード60から印刷情報が消去され(S142)、その後に記憶装置54の印刷情報を用いてS108以降の処理が行われるようになっているが、S108〜S116を行わずに処理を終了するようになっていてもよい。すなわち、図16のS141にてYESの場合、ICカード60から印刷情報が消去され(S142)、その後にS108〜S116がスキップされた上で、記憶装置54から印刷情報が消去され(S117)、処理を終了するようになっていてもよい。あるいは、ユーザに権限を付与し、ユーザの権限に応じて、S108以降の処理を行うようにするか、または、処理を終了するように制御しても良い。
【0245】
[実施の形態6]
つぎに、実施の形態6について説明する。この実施の形態6は、以上にて示した実施の形態5のバリエーションであるので、実施の形態5と共通する事項の説明は極力省略し、実施の形態5と異なる事項を中心に説明する。
【0246】
本実施形態の複合機50は、利用者が操作パネル58を操作してスタンプ機能(地紋合成機能)を選択している場合、画像入力装置51若しくはICカード60から入力された画像データに対して、秘密を示すマークを合成する処理(合成処理)を行う合成処理部(不図示)を有している。
【0247】
つまり、本実施形態では、スタンプ機能が選択されている場合、画像入力装置51若しくはICカード60から入力された画像データは前記マークが合成された上で記憶装置54に保存される。そして、プレビュー処理部59cは、記憶装置54に保存されている画像データの画像(マークの合成された画像)のプレビューを表示部58aに表示させ、印刷制御部59bは、記憶装置54に保存されている画像データの画像(マークの合成された画像)を印刷装置53に印刷させるようになっている。
【0248】
そして、本実施形態の秘密性判定部70aは、利用者にスタンプ機能が選択されている場合、画像入力装置51若しくはICカード60から入力されて印刷対象となる画像データの画像が秘密画像であると判定し、利用者にスタンプ機能が選択されていない場合、画像入力装置51若しくはICカード60から入力されて印刷対象となる画像データの画像が秘密画像でないと判定する。
【0249】
つぎに、本実施形態の複合機50にて実行される処理の流れを説明する。なお、本形態の処理の流れについては、実施の形態5の処理の流れと同様であり、図16のフローチャートを用いて説明することが可能であるので、当該フローチャートを用いて説明する。
【0250】
本実施形態においても、印刷情報が記録されていないICカード60が複合機50に装着されると、実施の形態1と同じようにS101〜S105が行われる。そして、S105の後、S105にて入力された画像データの画像が秘密画像に該当するか否かの判定処理(秘密性判定)を秘密性判定部70が実行する(S120)。なお、本実施形態のS120にて、秘密性判定部70aは、S105が実行されるまでの間において利用者にスタンプ機能が選択されている場合(前記の合成処理の実行指示が入力されている場合)、画像データの画像が秘密画像に該当すると判定する。これに対し、秘密性判定部70aは、S105が実行されるまでの間において利用者にスタンプ機能が選択していない場合(前記の合成処理の実行指示が入力されていない場合)、画像データの画像が秘密画像に該当しないと判定する。そして、S120以降の処理の流れについては、実施の形態5と同様であるのでその説明を省略する。
【0251】
また、印刷情報が記録されているICカード60が複合機50に装着されると、実施の形態1と同じようにS101〜S104,S106が行われる。そして、S106の後、S106にて入力された画像データの画像が秘密画像に該当するか否かの判定処理(秘密性判定)を秘密性判定部70aが実行する(S140)。なお、本実施形態のS140にて、秘密性判定部70aは、S105が実行されるまでの間において利用者にスタンプ機能が選択されている場合(前記の合成処理の実行指示が入力されている場合)、画像データの画像が秘密画像に該当すると判定する。これに対し、秘密性判定部70aは、S106が実行されるまでの間において利用者にスタンプ機能が選択されていない場合(前記の合成処理の実行指示が入力されていない場合)、画像データの画像が秘密画像に該当しないと判定する。
【0252】
以上にて説明した本実施形態の構成によれば、画像入力装置51から入力した画像データに秘密性を示すマークを合成する場合、ICカード60に当該画像データを記憶させないようになっている。さらに、ICカード60から入力した画像データに秘密性を示すマークを合成する場合、ICカード60から当該画像データを消去するようになっている。それゆえ、秘密性の高い画像データの漏洩(情報漏洩)の危険性を抑制できるという効果を奏する。
【0253】
[プログラムについて]
上述した制御部59、秘密性判定部70、画像処理装置52の各ブロックは、ハードウェアロジックによって構成してもよいし、次のようにCPUを用いてソフトウェアによって実現してもよい。
【0254】
すなわち、制御部59、秘密性判定部70、画像処理装置52は、各ブロックの各機能を実現する制御プログラムの命令を実行するCPU(central processing unit)、上記プログラムを格納したROM(read only memory)、上記プログラムを展開するRAM(random access memory)、上記プログラムおよび各種データを格納するメモリ等の記憶装置(記録媒体)などを備えている。そして、本実施形態は、上述した機能を実現するソフトウェアである制御プログラムのプログラムコード(実行形式プログラム、中間コードプログラム、ソースプログラム)をコンピュータで読み取り可能に記録した記録媒体から、複合機のコンピュータ(またはCPUやMPU)がプログラムコードを読み出し実行することによっても、達成可能である。
【0255】
なお、本実施の形態では、この記録媒体としては、マイクロコンピュータで処理が行われるために図示していないメモリ、例えばROMのようなものそのものであっても良いし、また、図示していないがプログラム読み取り装置が設けられ、そこに挿入されることで読み取り可能なプログラムメディアであっても良い。いずれの場合においても、格納されているプログラムコードはマイクロプロセッサがアクセスして実行させる構成であっても良いし、あるいは、いずれの場合もプログラムコードを読み出し、読み出されたプログラムコードは、マイクロコンピュータの図示されていないプログラム記憶エリアにダウンロードされて、そのプログラムコードが実行される方式であってもよい。このダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納されているものとする。
【0256】
ここで、上記プログラムメディアは、本体と分離可能に構成される記録媒体であり、磁気テープやカセットテープ等のテープ系、フレキシブルディスクやハードディスク等の磁気ディスクやCD−ROM,MO,MD,DVD,CD−R等の光ディスクを含むディスク系、ICカード(メモリカードを含む),光カード等のカード系、あるいは、マスクROM,EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory),EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory),フラッシュROM等の半導体メモリ系等の固定的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。
【0257】
また、本実施の形態の複合機50はインターネットを含む通信ネットワークを接続可能なシステム構成であることから、前記の記録媒体は、通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードするように流動的にプログラムコードを担持する媒体であっても良い。なお、このように通信ネットワークからプログラムコードをダウンロードする場合には、そのダウンロード用のプログラムは予め本体装置に格納しておくか、あるいは別な記録媒体からインストールされるものであっても良い。
【0258】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0259】
本発明は複合機に利用できる。
【符号の説明】
【0260】
50 複合機(画像出力装置)
51 画像入力装置
52 画像処理装置
53 印刷装置(出力処理部)
54 記憶装置(記憶部、第1記憶部、第2記憶部、第3記憶部)
55 カードスロット
56 リーダライタ
57 通信部
58 操作パネル
58a 表示部
59 制御部
59a 認証処理部
59b 印刷制御部
59c プレビュー処理部
59d 印刷情報処理部(出力情報処理部)
59e アドレス検出部
60 ICカード(リムーバブルメディア)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、
前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置において、
前記プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像データとを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる記憶処理を実行する出力情報処理部を備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項2】
前記外部記憶領域は前記画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアであり、
前記出力情報処理部は、前記出力情報を前記リムーバブルメディアに書き込むことによって前記記憶処理を実現するようになっていることを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項3】
ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザ識別情報を予め記憶する記憶部と、
前記画像出力装置が前記リムーバブルメディアにアクセス可能になると、前記リムーバブルメディアからユーザ識別情報を読み出し、読み出したユーザ識別情報と前記記憶部に記憶されているユーザ識別情報とに基づき、ユーザ権限の有無を判定する認証処理部とを備え、
前記出力情報処理部は、前記認証処理部によってユーザ権限無と判定された場合に前記記憶処理を行わず、前記認証処理部によってユーザ権限有と判定された場合に前記記憶処理を行うようになっていることを特徴とする請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項4】
前記出力情報処理部は、前記出力処理が完了した事を検知すると、前記リムーバブルメディアに記憶されている前記出力情報を消去することを特徴とする請求項2または3に記載の画像出力装置。
【請求項5】
前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項6】
ユーザを識別するユーザ識別情報と前記外部記憶領域のアドレスとの対応関係を予め記憶する記憶部と、
外部からユーザ識別情報が入力されると、入力されたユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報に対応付けられているアドレスを前記記憶部から検出するアドレス検出部とを備え、
前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うようになっており、
前記記憶処理は、前記アドレス検出部にて検出されたアドレスに対応する外部記憶領域に前記出力情報を送信して記憶させる処理であることを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項7】
前記プレビュー処理部は、前記出力情報が外部から入力された場合、入力された出力情報に含まれる画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、前記処理条件情報に含まれる処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっていることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項8】
前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、
前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記記憶処理を実行しないことを特徴とする請求項1に記載の画像出力装置。
【請求項9】
前記画像データが画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアから入力されたデータである場合、前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定されると、前記リムーバブルメディアに記憶されている前記画像データを消去することを特徴とする請求項8に記載の画像出力装置。
【請求項10】
前記記憶処理の後に、前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、
前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記リムーバブルメディアに記録された前記出力情報を消去することを特徴とする請求項2に記載の画像出力装置。
【請求項11】
秘密であることを示すマークを前記画像データに合成する合成処理を行う合成処理部を備え、
前記秘密判定部は、前記合成処理の実行指示の入力を検出した場合、前記画像データの画像が秘密画像であると判定し、前記合成処理の実行指示の入力を検出しない場合、前記画像データの画像が秘密画像でないと判定することを特徴とする請求項8から10のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項12】
画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、
前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置において、
前記出力処理の対象となる画像データと前記画像データを識別するための画像識別情報とを対応付けて記憶する第1記憶部と、
前記プレビュー処理の指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像識別情報とを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる記憶処理を実行する出力情報処理部とを備えることを特徴とする画像出力装置。
【請求項13】
前記外部記憶領域は前記画像出力装置に接続されるリムーバブルメディアであり、
前記出力情報処理は、前記出力情報を前記リムーバブルメディアに書き込むことによって前記記憶処理を実現するようになっていることを特徴とする請求項12に記載の画像出力装置。
【請求項14】
ユーザ権限を有するユーザを識別するユーザ識別情報を予め記憶する第2記憶部と、
前記画像出力装置が前記リムーバブルメディアにアクセス可能になると、前記リムーバブルメディアからユーザ識別情報を読み出し、読み出したユーザ識別情報と前記第2記憶部に記憶されているユーザ識別情報とに基づき、ユーザ権限の有無を判定する認証処理部とを備え、
前記出力情報処理部は、前記認証処理部によってユーザ権限無と判定された場合に前記記憶処理を行わず、前記認証処理部によってユーザ権限有と判定された場合に前記記憶処理を行うようになっていることを特徴とする請求項13に記載の画像出力装置。
【請求項15】
前記出力情報処理部は、前記出力処理が完了した事を検知すると、前記リムーバブルメディアに記憶されている前記出力情報を消去することを特徴とする請求項13または14に記載の画像出力装置。
【請求項16】
前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うことを特徴とする請求項12から14のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項17】
ユーザを識別するユーザ識別情報と前記外部記憶領域のアドレスとの対応関係を予め記憶する第3記憶部と、
外部からユーザ識別情報が入力されると、入力されたユーザ識別情報と一致するユーザ識別情報に対応付けられているアドレスを前記第3記憶部から検出するアドレス検出部とを備え、
前記出力情報処理部は、プレビューの指示が受け付けられ、且つ前記出力処理をキャンセルする指示が受け付けられた場合に、前記記憶処理を行うようになっており、
前記記憶処理は、前記アドレス検出部にて検出されたアドレスに対応する外部記憶領域に前記出力情報を送信して記憶する処理であることを特徴とする請求項12に記載の画像出力装置。
【請求項18】
前記プレビュー処理部は、前記出力情報が外部から入力された場合、入力された出力情報に含まれる画像識別情報に対応付けられている画像データを前記第1記憶部から読み出し、読み出した画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、入力された出力情報に含まれる処理条件情報に示される処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっていることを特徴とする請求項12から17のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項19】
前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、
前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記記憶処理を実行しないことを特徴とする請求項12に記載の画像出力装置。
【請求項20】
前記プレビュー処理部は、前記複合機に接続されたリムーバブルメディアから前記出力情報を入力した場合、入力された出力情報に含まれる画像識別情報に対応付けられている画像データを前記第1記憶部から読み出し、読み出した画像データの画像を前記出力処理にて出力する画像とし、入力された出力情報に含まれる処理条件情報に示される処理条件を前記出力処理に対して設定した上で、前記プレビュー状態に移行するようになっており、
前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定されると、前記リムーバブルメディアに記憶されている出力情報を消去することを特徴とする請求項19に記載の画像出力装置。
【請求項21】
前記記憶処理の後に、前記画像データの画像が秘密性の高い秘密画像であるか否かを判定する秘密性判定部を備えており、
前記出力情報処理部は、前記画像データの画像が秘密画像であると前記秘密性判定部に判定された場合、前記リムーバブルメディアに記録された前記出力情報を消去することを特徴とする請求項13に記載の画像出力装置。
【請求項22】
秘密であることを示すマークを前記画像データに合成する合成処理を行う合成処理部を備え、
前記秘密判定部は、前記合成処理の実行指示の入力を検出した場合、前記画像データの画像が秘密画像であると判定し、前記合成処理の実行指示の入力を検出しない場合、前記画像データの画像が秘密画像でないと判定することを特徴とする請求項19から21のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項23】
前記出力処理は前記画像データの画像を印刷する印刷処理であり、前記出力処理部は印刷装置であることを特徴とする請求項1から22のいずれか1項に記載の画像出力装置。
【請求項24】
画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、
前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置の制御方法において、
前記プレビューの指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像データとを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる工程を含むことを特徴とする画像出力装置の制御方法。
【請求項25】
画像データの画像を出力する出力処理を実行する出力処理部と、
前記出力処理の実行前にプレビューの指示を受け付けた場合、前記出力処理に対して設定されている画像処理の処理条件を反映させた前記画像のプレビューを表示部に表示させるプレビュー状態に移行するプレビュー処理部とを備える画像出力装置の制御方法において、
前記出力処理の対象となる画像データと前記画像データを識別するための画像識別情報とを対応付けて第1記憶部に記憶させる工程と、
前記プレビュー処理の指示が受け付けられた場合、少なくとも前記出力処理の実行前に、前記処理条件を示す処理条件情報と前記画像識別情報とを含む出力情報を、前記画像出力装置の外部の外部記憶領域に記憶させる工程とを含むことを特徴とする画像出力装置の制御方法。
【請求項26】
コンピュータを、請求項1または請求項12に記載の画像出力装置の出力情報処理部として機能させる制御プログラム。
【請求項27】
請求項26に記載の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−6407(P2013−6407A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−268389(P2011−268389)
【出願日】平成23年12月7日(2011.12.7)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】