説明

画像化剤

本発明は、脳および身体の腫瘍を検出し評価するのに有用である新規なアミノ酸化合物を提供する。これらの化合物は、腫瘍に迅速に取り込まれ、長期に保持されるという有利な特性を有しており、フッ素−18、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−125、ヨウ素−131、臭素−75、臭素−76、臭素−77、臭素−82、アスタチン−210、アスタチン−211および他のアスタチンアイソトープなどのハロゲンアイソトープで標識することができる。これらの化合物は、既知のキレート化錯体を用いたテクネチウムおよびレニウムアイソトープで標識することもできる。対象に投与されると、本発明で開示の化合物はインビボで、高い特異性と選択性で腫瘍組織と結合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2005年6月23日出願の米国仮出願番号第60/693,385号および2005年10月19日出願の同第60/728,082号に関する優先権を主張するものである。それらを、本出願に相反しない範囲で参照により本明細書に組み込む。
【0002】
(連邦研究支援の承認)
本発明は、国立衛生研究所(National Institutes of Health)より付与された認可番号5−R21−CA−098891のもとでの政府支援によって行われた。政府は本発明において一定の権利を有するものである。
【0003】
(発明の背景)
本発明は、生体系、特に脳腫瘍および全身性腫瘍において特異的かつ選択的な結合性を有し、陽電子射出断層撮影法(PET)および単光子放出(SPECT)画像検査法で使用することができる新規なアミノ酸類似体に関する。
【背景技術】
【0004】
陽電子射出断層撮影法(PET)および単光子射出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いる、腫瘍を画像化するための代謝トレーサーとして用いる放射性標識アミノ酸の開発はこれまでかなりの期間行われている。放射性標識アミノ酸は様々な腫瘍タイプに適用されているが、頭蓋内腫瘍へのその適用は、他の画像診断法より優れた潜在的利点のため、相当な注目を集めてきた。脳腫瘍の外科的切除および/または放射線治療の後、CTやMRIなどの従来の画像検査法では、残留腫瘍または再発腫瘍と、治療介入による組織傷害とを信頼性高く識別することはできず、処置の有効性の監視や腫瘍再発の検出に最適ではない[非特許文献1;非特許文献2]。
【0005】
新生物の診断および画像化のための主要なPET用薬剤である2−[18F]フルオロデオキシグルコース(FDG)では、脳腫瘍の画像化に限界がある。放射線治療または外科的治療の後発生する可能性がある炎症組織と同じように、正常な大脳皮質組織は高い[18F]FDGの取り込みを示す;これらの因子は[18F]FDGで得られる画像の解釈を複雑にする可能性がある[非特許文献3; Conti, PS (1995)]。
【0006】
多くの報告は、放射性標識アミノ酸で画像化するPETおよびSPECTは、CT法またはMRI法より良好に正常脳内の腫瘍境界を規定し、それによって、より良好な治療計画が可能になることを示している[非特許文献4;非特許文献5]。さらに、いくつかの研究は、アミノ酸の取り込みの度合が腫瘍の異型度と相関しており、それは重要な徴候情報を提供する可能性がある[非特許文献5]。
【0007】
アミノ酸は腫瘍細胞の増殖に必須の栄養素である。陽電子放出アイソトープの炭素11およびフッ素18を含む様々なアミノ酸が調製されている。これらは脳腫瘍および全身性腫瘍を有する患者の腫瘍を画像化するための臨床腫瘍学的分野で使用できる潜在性があると評価されており、ある種の癌において2−[18F]FDGに対して優れた特徴を有している。これらのアミノ酸候補はさらに2つの主要カテゴリーに分けることができる。第1のカテゴリーは、[11C]バリン、L−[11C]ロイシン、L−[11C]メチオニン(MET)およびL−[1−11C]チロシン、ならびに2−[18F]フルオロ−L−チロシンおよび4−[18F]フルオロ−L−フェニルアラニンなどの構造的に似ている類似体などの放射性標識した天然由来のアミノ酸によって代表される。腫瘍細胞膜を通るこれらのアミノ酸の移動は主に、ナトリウム非依存性ロイシン型「L」アミノ酸輸送系による担体媒介輸送によって起こる。正常組織と比較した、これら天然由来の放射性標識アミノ酸の腫瘍内への取り込みの増大と保持の延長は、タンパク質中への大幅かつ迅速な局部的取り込みに一部起因している。これら放射性標識アミノ酸のうち、[11C]METが臨床的に腫瘍を検出するのに最も広く用いられている。[11C]METは脳腫瘍および全身性腫瘍を検出するのに有用であることが分かっているが、複数の経路を通してのインビボでの代謝の影響を受けやすく、多くの放射性標識代謝産物をもたらす。したがって、腫瘍代謝活性の信頼性のある測定に必要な精度を有する画像分析は不可能である。ヒトにおける[11C]METの腫瘍取り込みの動態解析の研究は、アミノ酸輸送が、タンパク質合成より感度の高い腫瘍細胞増殖の測定を提供できることを強く示唆している。
【0008】
11C]METに伴う欠点は第2のカテゴリーのアミノ酸を用いて克服することができる。これらは1−アミノシクロブタン−1−[11C]カルボン酸([11C]ACBC)などの非天然性アミノ酸である。[11C]METと比較した[11C]ACBCの利点は、それが代謝されないということである。炭素11アミノ酸を臨床用途に適用するための大きな限界は炭素11の半減期が20分間と短いことである。半減期が20分間であるということは、炭素11アミノ酸を生成するのに現地での粒子加速器を必要とする。さらに、炭素11アミノ酸の各バッチ生成により、単一線量だけまたは比較的少ない線量だけしか発生させることができない。したがって、炭素11アミノ酸は、広範な臨床用途での局部的分配には不適切な候補品である。
【0009】
炭素11の半減期の物理的限界を克服するために、我々は最近、いくつかの新規なフッ素18で標識した非天然性アミノ酸の開発に焦点をあてた。そのいくつかは特許文献1および特許文献2に開示されている。その開示を参照により本明細書に組み込む。これらには、アンチ−1−アミノ−3−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸(アンチ−[18F]FACBC)、シン−1−アミノ−3−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸(シン−[18F]FACBC)、シン−およびアンチ−1−アミノ−3−[18F]フルオロメチル−シクロブタン−1−カルボン酸(シン−およびアンチ−[18F]FMACBC)が含まれる。これらのフッ素−18アミノ酸は、画像技術の陽電子射出断層撮影法(PET)を用いたアミノ酸輸送をもとにして、インビボで脳腫瘍および全身性腫瘍を画像化するのに用いることができる。我々の開発では、主として「L」型の大型中性アミノ酸輸送系を用い、より少ない程度に「A」型アミノ酸輸送系を用いる担体媒介輸送によって、腫瘍毛細管を通って移動するフッ素18標識シクロブチルアミノ酸を用いる。我々の予備的評価では、「L」型輸送系のための主要基質である陽電子放射体で標識したシクロブチルアミノ酸は、脳腫瘍および全身性腫瘍を有する患者の腫瘍を画像化するのに臨床腫瘍学的に優れた潜在性を示した。11C(t1/2=20分間)ではなく、シクロブチル/分鎖アミノ酸の18F−標識を提案する主な理由は、臨床用途において、11C−標識放射性医薬品ではなく18Fを用いて得られる大きな運搬上および経済上の利益である。忙しい核医学部門で、18F標識放射性医薬品を用いる腫瘍画像化の利点は、主に18Fのより長い半減期(t1/2=110分間)によるものである。18Fのより長い半減期により、放射性トレーサーの単一生産ロットからの現地外での分配と複数線量が可能になる。さらに、これらの非代謝アミノ酸は、2−[18F]FDGPETでは十分に画像化されないある種の全身性固形癌に対する画像化剤としても、より広い用途を有している。特許文献3(これを参照により本明細書に組み込む)はさらに、18Fを用いた標識およびPET画像化での使用に適した2−アミノ−3−フルオロ−2−メチルプロパン酸(FAMP)や3−フルオロ−2−メチル−2−(メチルアミノ)プロパン酸(N−MeFAMP)などのα−アミノイソ酪酸(AIB)のフッ素化類似体の例を開示している。AIBは、主としてA型アミノ酸輸送系を介して細胞中へ活発に輸送される非代謝性のα,α−ジアルキルアミノ酸である。システムAのアミノ酸輸送は、細胞増殖および細胞分裂の際に増大し、腫瘍細胞において上方調節されることも示されている[非特許文献6;非特許文献7]。動物において実験的に誘発される腫瘍、およびヒトにおいて自発的に発生する腫瘍の研究は、正常組織に対して、放射性標識AIBの取り込みが増加していることが示されている[非特許文献8;非特許文献9]。AIBのN−メチル類似体、N−MeAIBは、AIBよりA型アミノ酸輸送系に対して、さらにより高い選択性を示す[非特許文献10]。N−MeAIBは炭素11で放射性標識され、ヒトにおいて代謝的に安定である[非特許文献11]。
【特許文献1】米国特許第5,808,146号明細書
【特許文献2】米国特許第5,817,776号明細書
【特許文献3】国際公開第03/093412号パンフレット
【非特許文献1】Buonocore, E(1992年)、Clinical Positron Emission Tomography. Mosby−Year Book, Inc. St. Louis, MO、17〜22頁
【非特許文献2】Langleben, DDら(2000年)、J. Nucl. Med. 41:1861〜1867頁
【非特許文献3】Griffeth, LKら(1993年)、Radiology. 186:37〜44頁
【非特許文献4】Ogawa, Tら(1993年)、Radiology. 186: 45〜53頁
【非特許文献5】Jager, PLら(2001年)、Nucl. Med., 42:432〜445頁
【非特許文献6】Palacin, Mら(1998年)、Physiol. Rev. 78:969〜1054頁
【非特許文献7】Bussolati, Oら(1996年)、FASEB J. 10:920〜926頁
【非特許文献8】Conti, PSら(1986年)、Eur. J. Nucl. Med. 12:353〜356頁
【非特許文献9】Uehara, Hら(1997年)、J. Cereb. Blood Flow Metab. 17:1239〜1253頁
【非特許文献10】Shotwell, MAら(1983年)、Biochim. Biophys. Acta. 737:267〜84頁
【非特許文献11】Nagren, Kら(2000年)、J. Labelled Cpd. Radiopharm. 43:1013〜1021頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上記したアミノ酸類似体のいくつかは、最近、脳腫瘍および全身性腫瘍を有する患者での腫瘍画像化剤として評価されているが、高い特異性と選択性で腫瘍細胞または腫瘍組織と結合でき、かつPETやSPECTでの腫瘍画像化に十分な量で容易に調製できる新規な画像化剤が依然として必要である。候補化合物を、インビトロでの細胞および動物モデルにおける有効性の確認研究からヒトでの適用に移行する際、使用する合成方法は、その化合物が定常的にかつ信頼性高く大量生産されるように適合するものでなければならない。こうした目的で、本出願は、一連の新規なアミノ酸組成物、これらの化合物の合成方法およびPETやSPECTでの腫瘍画像化のためのその使用方法を開示する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(発明の要旨)
本発明は、脳腫瘍および全身性腫瘍の検出および評価、ならびに他の使用に有用な新規なアミノ酸化合物を提供する。これらの化合物は、1−アミノ−シクロアルキル−1−カルボン酸の有利な特性、すなわちその腫瘍における迅速な取り込みおよび長期的保持と、フッ素18、ヨウ素−123、ヨウ素−124、ヨウ素−125、ヨウ素−131、臭素−75、臭素−76、臭素−77、臭素−82、アスタチン−210、アスタチン−211および他のアスタチンアイソトープなどの特定の有用なハロゲンアイソトープを含むハロゲン置換基の特性とを組み合わせる。さらにこれらの化合物は、既知のキレート化錯体を用いてテクネチウムおよびレニウムアイソトープで標識することができる。
【0012】
本発明のアミノ酸化合物は以下の一般式を有する:
式I
【0013】
【化4】

Y=(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、S、Seである。
【0014】
X=ハロ、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=F、Cl、Br、I、At、およびF−18、Br−76、I−123、I−124などの標識化合物を含むすべての異性体である)、Tc−99mおよびReキレートである。
【0015】
、RおよびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=非放射性のF、Cl、BrおよびIである)である。
【0016】
およびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99m、Reキレートである。
【0017】
=H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルである。
【0018】
本発明は、以下の式で表わされる化合物も含む:
式II
【0019】
【化5】

Y=(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、S、Seである。
【0020】
X=ハロ、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=F、Cl、Br、I、At、およびF−18、Br−76、I−123、I−124などの標識化合物を含むすべての異性体である)、Tc−99mおよびReキレートである。
【0021】
、RおよびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=非放射性のF、Cl、BrおよびIである)である。
【0022】
およびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99m、Reキレートである。
【0023】
=H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルである。
【0024】
本発明のアミノ酸化合物は、インビボで対象に投与した場合、標的腫瘍の組織または細胞に高い特異性と選択性で結合する。好ましいアミノ酸化合物は少なくとも2:1の標的と非標的の比を示し、インビボで安定であり、投与後1時間以内で標的にほぼ局在化する。腫瘍組織に対するその高い特異性と選択性のため、本発明の化合物は、所与の腫瘍部位に治療薬を送達するのに用いることもできる。好ましいアミノ酸化合物には、(1S,2R)−および(1R,2S)−1−アミノ−2−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸(2−[18F]FACBC)、(1S,2R)−および(1R,2S)−および(1S,2S)−および(1R,2R)1−アミノ−2−[18F]フルオロメチルシクロブチル−1−カルボン酸(2−FMACBC)が含まれる。
【0025】
上記に示した式IおよびIIにおけるF、Cl、Br、IまたはCのどれも安定なアイソトープまたは放射性アイソトープであり得る。特に有用な放射性同位元素標識は18F、123I、125I、131I、76Br、77Brおよび11Cである。本発明の化合物は、テクネチウムおよびレニウムで標識することもできる。テクネチウム−99mはSPECTの画像化に有用な放射性核種であることが分かっている。本発明の環状アミノ酸は、飽和しているか、または二重結合もしくは三重結合を有していてよい4〜6の炭素鎖を介してTc−99m金属クラスタと結合している。Tc−99m金属クラスタは、例えば、アルキルチオラト錯体、サイテクトレンまたはヒドラジノニコチンアミド錯体(HYNIC)であってよい。米国特許第5,817,776号は、[Tc−99m]テクネチウム含有化合物を合成する様々な方法を詳細に記載している。その開示を参照により本明細書に組み込む。
【0026】
適切な放射性アイソトープで標識した本発明の化合物は、PETおよび/またはSPECTを用いて腫瘍を画像化するのに有用であり、これは、診断目的として、または所与の腫瘍に対する任意の治療化合物の効能を評価するために役立てることができる。本発明の腫瘍の画像化方法は、(a)検出可能な量の標識した式IもしくはIIの化合物または薬学的に許容可能なその塩、エステルもしくはアミドを対象に導入する工程と、(b)標識した化合物が腫瘍組織と会合するのに十分な時間を与える工程と、(c)PETまたはSPECTを用いて、腫瘍と会合した標識化合物を検出する工程とを含む。
【0027】
本発明は、放射性標識した式IまたはIIの化合物と任意選択の薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む診断用組成物も提供する。式IまたはIIの化合物と、任意選択の薬学的に許容可能な担体または希釈剤を含む医薬組成物も本発明の範囲内である。その医薬組成物は対象での特異的な腫瘍部位への治療薬の送達に有用である。
【0028】
本明細書では式IおよびIIの化合物の作製方法も提供する。本明細書で開示する合成ストラテジーは、30%を超える減衰補正収率(最適化されていない)で最終生成物(例えば、2−FACBC)に転換させることができる環状スルファミダート前駆体を利用する。この合成ストラテジーの高い収率は主要な利点であり、それによって、3−FACBCについての合成ストラテジーとは対照的に、十分な量の式IまたはIIの化合物、特に2−[18F]FACBCを腫瘍画像化に使用することが可能になる。環状スルファミダート放射性標識前駆体は、アンチ−およびシン−3−[18F]FACBCの合成において通常用いられるトリフルオロメタンスルホン酸エステル放射性標識前駆体より反応性であり、水分の影響をより受けにくい。さらに、1−アミノ−シクロブチル−1−カルボン酸の2位がSN2ハロゲン置換の影響をより受けにくいネオペンチル炭素であるので、環状スルファミダート放射性標識前駆体は2位でF−18フルオリド標識する必要がある。したがって、以下の式を有する環状スルファミダート前駆体も本発明の範囲内である:
式III
【0029】
【化6】

Y=(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、S、Seである。
【0030】
、RおよびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル(ハロ=非放射性のF、Cl、BrおよびIである)である。
【0031】
=H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99mおよびReキレートである。
【0032】
=H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍を画像化するのに有用な新規なアミノ酸化合物ならびにそうした化合物の作製および使用方法に関する。
【0034】
本明細書で用いる用語および語句は概ね、当業界で周知の標準的な教科書、雑誌文献および文脈を参照すると見出せる当業界で認識されている意味を有する。以下の定義は、本発明に関連してその具体的な使用を明らかにするために提供されるものである。
【0035】
本明細書で用いる「薬学的に許容可能な塩」という用語は、過度の毒性、炎症、アレルギー反応等がなく患者の組織と接触させて用いるのに適しており、妥当な利益/リスク比に相応するものであり、かつ目的の用途に有効な本発明の化合物のカルボン酸塩または酸付加塩、ならびに、可能な場合、本発明の化合物の双性イオンの形態を指す。本明細書で用いる「薬学的に許容可能な塩」という用語は一般に、本発明の化合物の比較的非毒性の無機および有機酸付加塩を指す。脂肪族モノおよびジカルボン酸、例えば酢酸、フェニル置換アルカン酸、ヒドロキシアルカン酸およびアルカンジオン酸、芳香族酸ならびに脂肪族および芳香族スルホン酸などの非毒性の有機酸から誘導される塩も含まれる。これらの塩は、化合物の最終的な単離や精製の際にその場で調製するか、あるいは、精製されたそのフリーベースの化合物を適切な有機酸または無機酸と別個に反応させ、その生成した塩を単離して調製することができる。他の代表的な塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、吉草酸塩、オレイン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ホウ酸塩、安息香酸塩、乳酸塩、リン酸塩、トシレート、クエン酸塩、マレイン酸塩、フマル酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、ナフチレート、メシラート、グルコヘプトネート、ラクチオビオネート、ラウリルスルホン酸塩、プロピオン酸塩、ピバル酸塩、サイクラミン酸塩、イセチオン酸塩等が含まれる。これらは、ナトリウム、リチウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属およびアルカリ土類金属をもとにしたカチオン、ならびに、これらに限定されないが、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、メチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、エチルアミン等を含む非毒性アンモニウム、四級アンモニウムおよびアミンカチオンを含むことができる。例えば、Berge S. M,ら、Pharmaceutical Salts, J. Pharm. Sci. 66:1〜19頁(1977年)を参照されたい。これを参照により本明細書に組み込む。
【0036】
同様に、本明細書で用いる「薬学的に許容可能な担体」という用語は、医薬組成物または診断用組成物における本発明の活性成分の担体/安定剤/希釈剤として作用する有機または無機組成物である。いくつかの場合、薬学的に許容可能な担体は塩である。薬学的に許容可能な担体の他の例には、これらに限定されないが、水、リン酸緩衝生理食塩水、生理食塩水、pH調製剤(例えば酸、塩基、緩衝剤)、アスコルビン酸などの安定剤、等張剤(例えば、塩化ナトリウム)、水性溶媒、ポリソルベートまたはTWEEN80などの洗剤(イオン性および非イオン性)が含まれる。
【0037】
それ自体または他の基の一部として、本明細書で用いる「アルキル」という用語は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、t−ブチルおよびイソブチルなどの最大で10個の炭素、好ましくは6個の炭素、より好ましくは4個の炭素の直鎖、分鎖もしくは環状の飽和炭化水素を指す。本明細書で開示するアルキル基は、主鎖中の1個もしくは複数のC原子がヘテロ原子で置換されており、1個もしくは複数のH原子がハロゲンまたは−OHで置換されている任意選択で置換されたアルキル基も含む。それ自体または他の基の一部として、本明細書で用いる「アリール」という用語は、フェニル、ナフチルまたはテトラヒドロナフチルなどの環部分に5〜12個の炭素、環部分に好ましくは6〜10個の炭素を単環式または二環式の芳香族基を指す。アリール基は直鎖、分鎖または環状であってよい1個または複数のアルキル基で置換されていてよい。アリール基は、環位置で、それが存在する化合物または化合物の部分の機能にそれほど決定的に影響を及ぼさない置換基で置換されていてもよい。置換アリール基は、環の中の1個または複数の炭素が、1個または複数のヘテロ原子(例えばN、OまたはSであり、任意選択で、適切な原子価のための水素または置換基を有する)で置き換わっている複素芳香族環を有するものも含む。
【0038】
「アシル」基は−CO−基を含む基である。
【0039】
本明細書で用いる「アルコキシ」という用語は、鎖長がそれに限定されていない限り、酸素原子と結合している上記定義の通りの直鎖または分鎖アルキル基、これらに限定されないが、例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシなどを意味する。アルコキシ鎖は1〜6個の炭素原子の長さ、より好ましくは1〜4個の炭素原子の長さであることが好ましい。
【0040】
それ自体または他の基の一部として、本明細書で用いる「モノアルキルアミン」という用語は、上記定義の1個のアルキル基で置換されているアミノ基を指す。
【0041】
それ自体または他の基の一部として、本明細書で用いる「ジアルキルアミン」という用語は、上記定義の2個のアルキル基で置換されているアミノ基を指す。
【0042】
それ自体または他の基の一部として、本明細書で用いる「ハロ」という用語は塩素、臭素、フッ素またはヨウ素を指す。
【0043】
本明細書で用いる「複素環」または「複素環式環」という用語は、言及のない限り、炭素原子とN、OおよびSからなる群から選択される1〜3個のヘテロ原子からなる、飽和または不飽和の安定した5〜7員のモノ複素環式環系であって、その窒素およびイオウヘテロ原子が任意選択で酸化されていてよいモノ複素環式環系を表わす。特に有用なものは、1個の酸素もしくはイオウと結合した1個の窒素ヘテロ原子、または2個の窒素ヘテロ原子を含む環である。そうした複素環式環基の例には、ピペリジニル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、イミダジニル、イミダゾリジニル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、オキサゾリル、オキサゾジニル、イソキサゾリル、イソオキサゾジニル、チアゾリル、チアゾリジニル、イソチアゾリル、ホモピペリジニル、ホモピペラジニル、ピリダジニル、ピラゾイルおよびピラゾリジニルが含まれる。チアモルホリニル、ピペラジニル、およびモルホリニルが最も好ましい。
【0044】
本明細書で用いる「ヘテロ原子」という用語は、酸素原子(「O」)、イオウ原子(「S」)または窒素原子(「N」)を意味する。ヘテロ原子が窒素である場合、RおよびRが互いに独立に水素もしくはC1〜4アルキル、C2〜4アミノアルキル、C1〜4ハロアルキル、ハロベンジルであるか、またはRおよびRが一緒になってその環内にO、SもしくはNR(Rは水素またはC1〜4アルキルである)を任意選択で有する5〜7員の複素環式環を形成するNR部分を形成することを理解されよう。
【0045】
本発明の化合物は腫瘍結合剤およびNMDA受容体結合リガンドとして有用であり、放射性アイソトープはPETおよびSPECTによる画像化を含む腫瘍画像化技術のためのトレーサー化合物として特に有用である。XがAtである場合、その化合物は放射線治療に有用である。画像化剤として特に有用なものはF−18で標識した化合物である。その理由は、F−18が110分の半減期を有しており、それによって、放射能標識トレーサー中に取り込み、精製し、かつヒトまたは動物対象に投与するために十分な時間が与えられるからである。さらに、サイクロトロンから最大で半径約200マイル以上離れた設備でF−18標識した化合物を用いることができる。
【0046】
SPECT画像化には高エネルギー光子を放出するアイソトープトレーサー(γ−エミッター)を用いる。有用なアイソトープの範囲はPET用より大きいが、SPECTはより低い三次元分解能を提供する。それでも、SPECTは、類似体結合、局在化およびクリアランスの速度についての臨床的に重要な情報を得るために広く用いられる。SPECT画像化に有用なアイソトープは13.3時間の半減期を有する[123I]、γ−エミッターである。[123I]で標識した化合物は、製造場所から最大で約1000マイルまで送出するか、またはアイソトープ自体を現地での合成のために輸送することができる。アイソトープの放出の85%は159KeV光子である。これは現在用いられているSPECT装置で容易に測定される。
【0047】
したがって、PET画像化の代替法としてSPECT分析で用いるために、本発明の化合物は、[123I]で迅速かつ効率的に標識することができる。さらに、同一化合物を、どのアイソトープを用いても標識することができるので、同じトレーサーを用いたPETとSPECTにより得られた結果を比較することができる。
【0048】
他のハロゲンアイソトープを、PETもしくはSPECTの画像化に、または従来のトレーサー標識に役立てることができる。これらには、使用に適した半減期と放射特性を有する75Br、76Br、77Brおよび82Brが含まれる。一般に、上記したアイソトープのためにいずれかのハロゲン部分を置換するのには化学的手段がある。したがって、当業者は、安定したアイソトープハロゲン同族体を含む、本発明の化合物の任意のハロゲン化同族体の生化学的または生理学的活性を利用することができる。アスタチンは他のハロゲンアイソトープを代替することができ、[210At]は8.3時間の半減期を有するα粒子を放出する。したがって、At置換化合物は、結合が十分に腫瘍特異的である腫瘍の治療に有用である。
【0049】
本発明は、PETおよびSPECTを用いて腫瘍を画像化するための方法を提供する。その方法は、適切にアイソトープで標識された画像発生量の本発明の化合物を対象(実験および/または診断の目的のためのヒトまたは動物であってよい)に投与する工程と、次いで、[18F]または他の陽電子エミッターを用いた場合にはPETによって、あるいは[123I]または他のγエミッターを用いた場合にはSPECTによって化合物の分布を測定する工程とを含む。画像発生量は、スキャナーの検出感度やノイズレベル、アイソトープの寿命、対象の身体の大きさおよび投与経路を考慮して、PETまたはSPECTのスキャナーに画像を少なくとも提供することができる量である。上記のすべての変数は周知の例であり、必要以上の実験を用いることなく、当業者に知られている計算および測定によって明らかにされる。
【0050】
本発明の化合物は、構造中の任意の原子または原子の組合せのアイソトープで標識できることを理解されよう。本明細書では[18F]、[123I]および[125I]がPET、SPECTおよびトレーサー分析に特に有用であると強調してきたが、安定したアイソトープ同族体の生理学的または薬理学的特性によりもたらされるものを含む他の使用が考えられ、それらは当業者に明らかであろう。
【0051】
本発明の化合物は、Tc付加体を介してテクネチウム(Tc)標識することもできる。Tc、特にTc99mのアイソトープは腫瘍の画像化に用いられてきた。本発明は、腫瘍画像化に有用である本発明の化合物のTc−錯化付加体を提供する。その付加体は、飽和しているかまたは二重結合もしくは三重結合を有する4〜6個の炭素鎖によって環状アミノ酸と結合しているTc配位錯体である。二重結合が存在する場合、E(トランス)かまたはZ(シス)異性体のどちらかを合成することができ、どちらの異性体も用いることができる。Tcで標識した本発明の化合物は、アイソトープの有用期間を最大にするために、最後の段階で99mTcアイソトープを取り込んで合成される。
【0052】
本発明のアミノ酸化合物は以下の一般構造を有する:
式I
【0053】
【化7】

Y=(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、S、Seである。
【0054】
X=ハロ、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=F、Cl、Br、I、At、およびF−18、Br−76、I−123、I−124などの標識化合物を含むすべての異性体である)、Tc−99mおよびReキレートである。
【0055】
、RおよびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル(但し、ハロ=非放射性のF、Cl、BrおよびIである)である。
【0056】
およびR=独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99m、Reキレートである。
【0057】
=H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルである。
【0058】
以下に説明するように、短命なアイソトープの有用寿命を最大化し(すなわちアイソトープの最終段階での取り込み)、収率と純度を最大化するために、上記式のアミノ酸化合物を、標準的でない特殊な経路で合成する。スキーム1は、2−[18F]FACBC、すなわち(S)−(−)−アンチ−1−アミノ−2−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸((S)−(−)−アンチ−2−[18F]FACBC))および(R)−(+)−アンチ−1−アミノ−2−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−アンチ−2−[18F]FACBC))の合成を例示する。
【0059】
合成スキーム1の重要な特徴は、IaおよびIbなどの環状スルファミダート前駆体を用いて、高い放射化学的収率での2位へのF−18フルオリドの取り込みと、続く2−[18F]FACBCへの効率的な転換を可能にすることである。
【0060】
スキーム1に概要を示す合成ストラテジーは、約2〜5mgの保存安定性のある環状スルファミダート前駆体IaおよびIbが、30%を超える減衰補正収率の最終生成物[18F]22を99%超の放射化学的純度で提供できる点で特に有利である。これはアンチ−3−[18F]FACBC(以下のスキーム2を参照されたい)を合成するのに用いられる合成ストラテジー[McConathyら(2003年)Journal of Applied Radiation and Isotopes 28:657〜666頁]と良い対比をなしている。スキーム2に示す合成工程によれば、化合物10のアンチ−3−[18F]FACBC12への妥当な転換率(約24%放射化学的収率(RCY))を得るためには、約20mgの10を使用しなければならない。これに対して、本発明のアミノ酸化合物は、スキーム1および3に示す新規な合成ストラテジーによって、腫瘍画像化に用いるのに十分な量で容易に合成することができる。
【0061】
【化8】

スキーム2は、アンチ−3−[18F]FACBC標識前駆体、1−tert−ブチルカルバメート−3−ヒドロキシ−シクロブタン−1−カルボン酸メチルエステル(9)の合成とそのアンチ−[18F]FACBCへの転換の概要を示すものである。9をトリフルオロメタンスルホン酸無水物/ピリジンで処理するとシス1−tert−ブチルカルバメート−3−トリフルオロメタンスルホンオキシ−シクロブタン−1−カルボン酸メチルエステル(10)が得られる。続いて10をK18F/K222で処理し、次いで酸加水分解を施すとアンチ−[18F]FACBC(12)が得られる。この合成ストラテジーでは、10のアンチ−[18F]FACBC(12)への妥当な転換率(約24%放射化学的収率(RCY))を得るためには、約20mgの10を使用しなければならない。
【0062】
スキーム3は、アンチ−2−[18F]FACBC標識前駆体、シン−4−(ビス(4−メトキシフェニル)メチル)−2,3,4−オキサチアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸エステル2−オキシド(21)の合成とそのアンチ−2−[18F]FACBCへの転換の概要を示すものである。21をK18F/K222で処理し、続いて酸加水分解を施すとアンチ−2−[18F]FACBC(22)が得られる。
【0063】
【化9】

スキーム4は、アンチ−2−[18F]FACBC標識前駆体、シン−4−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4−オキサチアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル2,2−ジオキシド(34)の合成とそのアンチ−2−[18F]FACBCへの転換の概要を示すものである。34をK18F/K222で処理し、続いて酸加水分解を施すとアンチ−2−[18F]FACBC(22)が得られる。
【0064】
【化10】

合成スキーム5は、2−置換[18F]フルオロアルキル−1−アミノシクロブチルカルボン酸、(S)−(−)アンチ−1−アミノ−2−[18F]フルオロメチルシクロブチル−1−カルボン酸((S)−(−)−アンチ−2−[18F]FMACBC))および(R)−(+)アンチ−1−アミノ−2−[18F]フルオロメチルシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−アンチ−2−[18F]FMACBC))の合成を示す。合成スキーム5の重要な特徴は、36などのスルホニルエステル前駆体を用いて、高い放射化学的収率での2−メチル基へのF−18フルオリドのF−18フルオリドの高い放射化学的取り込みと、続く放射性標識中間体[18F]36の[18F]37への効率的な転換を可能にすることである。
【0065】
【化11】

スキーム6〜9は、本発明の2−置換放射性ヨウ化誘導体のための合成経路を示す。
【0066】
合成スキーム6は、(S)−(−)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードシクロブチル−1−カルボン酸((S)−(−)−アンチ−2−[123I]IACBC))および(R)−(+)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−アンチ−2−[123I]IACBC))の調製を表わす。合成スキーム6の重要な特徴は、21などの環状スルファミダート前駆体を用いて、2位へのI−123アイオダイドの取り込み、すなわち(38)を潜在的に>90%放射化学的収率で可能にすることである。
【0067】
【化12】

スキーム7〜9は、2−置換放射性ヨウ化ヨードビニル誘導体のための合成経路を示す。ヨードビニル誘導体は、ヨウ素がsp2混成炭素と結合しているため、ヨードアルキル誘導体すなわち38と比べてインビボで高い代謝安定性を有している。合成スキーム7は(S)−(−)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードメチレンシクロブチル−1−カルボン酸((S)−(−)−アンチ−2−[123I]IVACBC))および(R)−(+)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードメチレンシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−アンチ−2−[123I]IVACBC))の調製を示す。合成スキーム6の重要な特徴は、42などの有機スズ前駆体を100μg用いるだけで、2位へのI−123アイオダイドの取り込みが潜在的に>70%放射化学的収率で可能になることである。
【0068】
【化13】

スキーム8および9は2−置換放射性ヨウ化ヨードエテニル誘導体のための合成経路を示す。合成スキーム8は、シス−(S)−(−)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードエテニルシクロブチル−1−カルボン酸(シス−(S)−(−)−アンチ−2−[123I]IEACBC))および(シス−(R)−(+)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードエテニルシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−アンチ−2−[123I]IEACBC))の調製を示す。合成スキーム7の重要な特徴は、ウィッティヒ試薬を用いて、ヨードビニル部分のシス構造体を得ることである。合成スキーム9は、トランス−(S)−(−)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードエテニルシクロブチル−1−カルボン酸(トランス−(S)−(−)−アンチ−2−[123I]IEACBC))および(トランス−(R)−(+)アンチ−1−アミノ−2−[123I]ヨードエテニルシクロブチル−1−カルボン酸((R)−(+)−トランス−2−[123I]IEACBC))の調製を示す。合成スキーム9の重要な特徴は、水素化トリ−n−ブチルスズとAIBN試薬を用いて、ヨードビニル部分のトランス構造体を得ることである。
【0069】
【化14】

スキーム10および11は本発明の2−置換Tc−99m誘導体のための合成経路を示す。
【0070】
【化15】

【実施例】
【0071】
本明細書で開示の方法により合成した本発明のアミノ酸化合物はスペクトル解析によって特性評価する。スペクトル解析には高速原子衝撃質量分析およびH核磁気共鳴分析法分析を含む。精製に続いて、すべての非標識薬剤について、薄層クロマトグラフィーによって化学的純度の分析を実施する。すべての放射性標識薬剤について、当技術分野で周知の薄層ラジオクロマトグラフィー技術によって放射能均一度の分析を実施する。
【0072】
(実施例1)
2−FACBCの合成
シン−5−(2−ベンジルオキシシクロブタン)ヒダントイン(27)およびアンチ−5−(2−ベンジルオキシシクロブタン)ヒダントイン(28)。
【0073】
50mLの水の中の4当量の炭酸アンモニウム(1.97g、20.5ミリモル)および2当量の塩化アンモニウム(0.55g、10.2ミリモル)の溶液に、50mLのエタノール中の1当量のシクロブタノン26(0.9g、5.11ミリモル)を加えた。室温で15分間攪拌した後、1.2当量部のシアン化カリウム(0.4g、6.1ミリモル)を加え、反応混合物を70℃で終夜加熱した。溶媒を減圧下で除去し、クリーム色の粗固形物を水で完全に濯いで塩を除去した。生成物(0.7g、51%)をシン:アンチ異性体の9:1混合物として得た。
【0074】
シン−1−(N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−ベンジルオキシシクロブタン−1−カルボン酸(30)
12mLの3N水酸化ナトリウム中の化合物27および28(1.26g、5.1ミリモル)の懸濁液を密封したステンレス製容器中、110〜115℃で終夜加熱した。冷却した後、反応混合物を濃塩酸でpH6〜7に中和した。減圧下で水を除去した後、得られた固体を熱エタノールで抽出した。一緒にしたエタノール抽出物を濃縮し、残留物を50mLの9:1メタノール:トリエチルアミン中に溶解した。その溶液に、1.5当量部のジ−tert−ブチルジカーボネート(1.67g)を加え、溶液を室温で72時間攪拌した。溶媒を減圧下で除去し、粗生成物を、氷冷した80mLの酢酸エチルと氷冷した80mLの0.2N塩酸の混合物中で5分間攪拌した。有機層は保持し、水相を2×80mLの氷冷した酢酸エチルで抽出した。一緒にした有機層を3×60mLの水で洗浄し、続いて通常の後処理を行った。N−Boc酸30(887mg、54%)を、次の工程でさらに精製することなく使用するのに適した、淡黄色油状物として得た。
【0075】
シン−1−(N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−2−ベンジルオキシシクロブタン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(31)。
【0076】
2.5当量部のtert−ブチル2,2,2−トリクロロアセトアミド(1.5g、6.9ミリモル)を10mLのジクロロメタン中のN−Boc酸30(887mg、2.76ミリモル)の溶液に加えた。2日間攪拌した後、反応混合物をろ過し、ジクロロメタンで洗浄し、ろ液を減圧下で濃縮し、粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(1:8酢酸エチル:ヘキサン)によって精製した。N−Boctert−ブチルエステル31(634mg、61%)を無色油状物として得た。
【0077】
シン−1−(N−(tert−ブトキシカルボニル)アミノ)−3−ヒドロキシシクロブタン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(32)。
【0078】
10mLのCHOH中の31(350mg、0.93ミリモル)の溶液にアルゴン雰囲気下で105mgの10%Pd/Cを加えた。反応混合物を水素雰囲気下、室温で終夜攪拌した。次いでその懸濁液をセライト(Celite)(登録商標)でろ過し、減圧下で濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(4:1酢酸エチル:ヘキサン)による精製によってアルコール32(269mg、100%)を透明油状物として得た。
【0079】
シン−4−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4−オキサチアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル2−オキシド(33)。
【0080】
N−Bocアルコール32(48mg、0.17ミリモル)の溶液を、アルゴン雰囲気下で、1mLアセトニトリル中の2.5当量の塩化チオニル(50mg、30μL)の冷却(−40℃)溶液に加え、続いて0.5mLアセトニトリル中の5当量のピリジン(50mg、68μL)を加えた。10分間後、冷却浴を取り外し、反応を30分間続行した。反応混合物を10mLのEtOAcと10mLのHOに分配させた。水層を3×10mLのEtOAcでさらに抽出した。有機層を一緒にし、20mLのブラインで洗浄し、続いて通常の後処理を行った。シリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の12.5%EtOAc)によって環状スルファミダイト33を無色油状物(45mg、80%)として得た。
【0081】
シン−4−(tert−ブトキシカルボニル)−2,3,4−オキサチアザビシクロ[3.2.0]ヘプタン−6−カルボン酸tert−ブチルエステル2,2−ジオキシド(34)
2mLのCHCN中のスルファミダイト33(15mg、0.045ミリモル)の溶液を氷浴中で冷却し、1.1当量のNaIO(11mg)、触媒量のRuO・HO(約0.1mg)および1.2mLのHOで順次処理した。30分間攪拌した後、氷浴取り外し、反応を20分間続行した。反応混合物を10mLのEtOAc中に希釈し、10mLのNaHCO飽和水溶液で洗浄した。水層を2×10mLのEtOAcで抽出し、一緒にした有機層を10mLブラインで洗浄し、続いて通常の後処理を行った。粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(ヘキサン中の25%EtOAc)で精製して環状スルファミダート34を透明油状物(15mg、96%)として得た。
【0082】
(R,S)アンチ−1−アミノ−2−[18F]フルオロシクロブチル−1−カルボン酸((R,S)アンチ−2−[18F]FACBC)、22の調製
5mgのKCOを含有する0.6mL HO中に610mCiの非担体担持[18F]HF(30μA、30分間の衝撃、1.7Ci/ナノモルの理論比活性度)を含むガラス容器に、CHCN中の5mgのK222 Kryptofixの1mL溶液を加えた。アルゴンガス流下、110℃で溶媒を除去し、さらに1mLのCHCNを加え、続いてアルゴン流により蒸発させた。この乾燥を合計3回繰り返して残留HOを除去した。1mLの脱水CHCN中の2〜5mg部の環状スルファミダート前駆体34をバイアルに加え、反応混合物を90℃で10分間加熱した。溶媒をアルゴンガス流下、115℃で除去し、中間生成物を0.5mLの4N HClで、110℃で10分間処理した。ヒドロシレート水溶液を1分間冷却し、次いで約4mLの滅菌生理食塩水で希釈した。次いで水溶液をAG11A8イオン遅滞樹脂の7×120mmベッド、中性アルミナSepPak Plus(10mL水で予備調整)およびHLB Oasisカートリッジ(10mLエタノールで予備調整し、次いで20mL空気で通気乾燥した)からなるイオン遅滞(IR)カラム装置に移し、60mLの滅菌水で濯ぎ、次いでそれを投薬バイアルに取り付けた。生成物[18F]22を、イオン遅滞樹脂、アルミナSepPak PlusおよびHLB Oasisカートリッジを通して順次溶出させた。ガラスバイアルからIRカラム装置へ移した、3つの連続した約4mL部の滅菌生理食塩水を用いて実施した。カラム装置から溶出する放射性標識生成物を、0.22μm滅菌フィルターを経由して投薬バイアルへ送った。
【0083】
すべての放射線合成において、放射性TLC分析上の唯一のピークが22に対応し、生成物の放射化学的純度は99%を超えた。単離物の放射化学的収率(30%、最適化はしていない)は線量キャリブレータ(Capintec CRC−712M)を用いて測定した。
【0084】
(実施例2)
本発明の化合物の腫瘍結合特異性
本発明の化合物の腫瘍結合特異性(すなわち、取り込み細胞)を、Me−AIBおよびBCHなどの標準化合物と一緒に、当業界で入手できる様々な腫瘍細胞系を用いてインビボで評価した。これらのアッセイの詳細な説明は、Martarelloら(2002年)Journal of Medicinal Chemistry, 45:2250〜2259頁およびMcConathyら(2003年)Nuclear Medicine and Biology, 30:477〜490頁に見ることができる。これらのいわゆる「アミノ酸取り込み試験」は一般に、表現型的に異なる少なくとも5つのヒト腫瘍細胞系(例えば、A549肺癌、MB468乳癌、DU145前立腺癌、SKOV3卵巣癌およびU87グリア芽細胞腫)で、放射性標識化合物を用いて実施する。これらの腫瘍細胞系は、宿主として重症複合型免疫不全症(SCID)マウスを用いてインビトロでもインビボでも増殖させることができる。上記の腫瘍細胞系はWinship Cancer Institute of Emory Universityから入手できる。
【0085】
インビトロでのアミノ酸取り込み試験のためには、加湿インキュベーター(37℃、5%CO/95%空気)の中で、すべての細胞を、T−175培養フラスコ[Corning,Corning,NY]中で、ダルベッコ変法イーグル培地(DMEM)[Sigma,St.Louis,MO]中に単層培養密度(約1×10細胞/フラスコ)まで増殖させることができる。培地を10%ウシ胎仔血清[Hyclone,Logan,UT]および抗生物質(10,000U/mlペニシリンおよび10mg/mlストレプトマイシン)(Sigma,St.Louis,MO)で補充した。組織培養継代のために、穏やかなトリプシン処理によって単層細胞を取り外し、完全培地中に再懸濁させ、新しいT−フラスコ中に1:10で分割した。培養は毎週継代させ、2日〜3日毎に新鮮な培地を供給した。SCIDマウスでの腫瘍増殖を開始させるために、1×10の細胞を、27G注射針の1ml注射器を用いて、皮下(s.c.)でレシピエント動物の両方の横腹(鼠径部)に注射する。エクスビボでの実験は、ノギスによる測定で推定して500mg〜1gの重量の腫瘍を有する動物を用いて実施することができる(腫瘍重量=(π/6)abc、但し、a、bおよびcはそれぞれ腫瘍の長さ、幅および高さである)。
【0086】
インビトロでの試験では、各アミノ酸化合物の取り込み速度を各腫瘍株中で測定し、また各腫瘍細胞株の支配的な移動機序も測定する。トリプシン処理後、細胞を無血清培地中に再懸濁し、次いで血球計算板でカウントし、トリパンブルー染色により評価した生存率を得る。約1×10の細胞を、15mlのアミノ酸の存在しない培地中の各化合物(15μCi)に、37℃で、5、10、15、30および60分間曝露する。次いで細胞を150×gで5分間遠心分離し、5ml冷生理食塩水で濯ぎ、再遠心分離し、3ml生理食塩水中に再懸濁させ、12×75mmガラスバイアル(Fisher,Pittsburgh,PA)中に置く。バイアルをCobra−II γ線計測器(Packard,Meriden,CT)中に置き、細胞数当たりの活性度で測定する。阻害試験によって各株についての支配的な移動機序(L,AまたはASC)を判定する[上記のMartarelloら(2002年); McConathyら(2003年)]。これらの試験のために、細胞を、3つの阻害剤(2−アミノ−ノルボルニル−2−カルボン酸(BCH)、10mM;α−(メチルアミノ)−イソ酪酸(MeAIB)、10mM;およびアラニン−セリン−システイン混合物1:1:1、10mM)のうちの1つを含むアミノ酸の存在しない培地中に30分間曝露する。上記と同様にして生理食塩水洗浄を行い、ろ過した細胞の放射能をγ線計測器で測定する。30分間での対照の取り込みとの比較によって、大部分の輸送体が使用されていることが示される。
【0087】
腫瘍担持動物モデルで、本発明の化合物の腫瘍特異性と選択性をさらに評価する。これらのインビボでの動物試験で、各化合物の移動、蓄積および組織分布を評価し比較することができる。
【0088】
化合物の組織分布は、以下の通りヒトの腫瘍を有するSCIDマウス(平均重量、20〜25g)で測定する。候補の放射性リガンド(0.4mlの0.9%NaCl中に20uCi)を、腫瘍を有するマウスの尾静脈に注射する。動物を注射後5、30、60および120分間で屠殺(頸椎脱臼)する。組織(血液、心臓、肝臓、肺、腎臓、骨、甲状腺、筋肉、脳および腫瘍)を切除し、生理食塩水で濯ぎ、拭き取って乾かす。各組織を計量し、12×75mmガラスバイアル中に置き、放射能をγ線計測器で測定し、%線量/グラムを算出する。血液と筋肉の合計活性を、それらが全体重のそれぞれ7%と40%の割合であると仮定して算出する。
【0089】
【表1】

【0090】
【表2】

【0091】
【表3】

【0092】
【表4】

【0093】
【表5】

【0094】
【表6】

本発明のアミノ酸化合物は、腫瘍の臨床的画像化のために、[11C]−メチオニンならびに[18F]−フルオロデオキシグルコース(FDG)より優れたいくつかの利点を有している。これらの利点は:1)(S)−(−)−アンチ−2−[18F]FACBCおよび(R)−(+)−アンチ−2−[18F]FACBCは内生酵素によって代謝されず、放射性標識代謝産物が、[11C]メチオニンの場合のように画像の解釈に混乱もたらすことがないこと;2)(S)−(−)−アンチ−2−[18F]FACBCおよび(R)−(+)−アンチ−2−[18F]FACBCは[11C]メチオニンと比べて、良好な移動、蓄積および腫瘍画像化特性を有しているようであること;3)(S)−(−)−アンチ−2−[18F]FACBCおよび(R)−(+)−アンチ−2−[18F]FACBCによる腫瘍の画像化は、[18F]−フルオロ−2−デオキシ−D−グルコース(FDG)でのそれより、臨床的により有用な異なった情報を提供すること;4)[11C]ではなく[18F]で脂環式/分鎖の候補アミノ酸を標識すると、[18F](t1/2=110分間)のより長い半減期により、[11C](t1/2=20分間)と比べて、忙しい核医学部門では、腫瘍を臨床的に画像化するのに著しい運搬上および費用効率上の利益が得られること、ならびに5)アンチ−3−[18F]FACBCの合成に用いられる、水分の影響をより受けるトリフルオロメタンスルホン酸エステル放射性標識前駆体と比べて、より反応性があり、かつ水分の影響をより受けない環状スルファミダート放射性標識前駆体であるため、著しく高い放射化学的収率が可能であるため、(S)−(−)−アンチ−2−[18F]FACBCおよび(R)−(+)−アンチ−2−[18F]FACBCがアンチ−3−[18F]FACBCおよびシン−3−[18F]FACBCより優れた利点を有することと関係している。
【0095】
上記に例示したように、本発明のアミノ酸化合物は生理学的特徴(すなわち、腫瘍結合の特異性および選択性、インビボでの安定性等)を有している。アンチ−2−[18F]FACBCは、以下のデータに基づけば、PETを用いる場合の優れた腫瘍画像化剤である:1)ヒトU87神経膠腫細胞、ヒトDU145前立腺癌細胞、A549肺癌細胞、SKOV3卵巣癌細胞およびMB468乳癌細胞でインビボでの試験(表1)は、アンチ−2−[18F]FACBCが、「L」型の大型中性アミノ酸輸送系により高い取り込みを示すことを実証している;2)アンチ−2−[18F]FACBCを静脈内注射されたA549(肺)、DU145(前立腺)、SKOV3(卵巣)およびMDAMB468(乳房)腫瘍担持SCIDマウスで実施したインビボでの生体内分布試験(表2〜6)は、腫瘍中での迅速で長期的な放射能の蓄積を示し、注射(p.i)120分で、腫瘍の取り込みは良好であり(1.4〜3.4%線量/g)、腫瘍と筋肉の比は(2〜4)、腫瘍と脳の比は(15〜30)、腫瘍と腎臓の比は(1.5〜2.7)、腫瘍と肝臓の比は(2.4〜4)であった。これらのデータは、アンチ−2−[18F]FACBCが脳腫瘍と全身性腫瘍において臨床的に有用なデータを提供できることを示している。
【0096】
本発明は、立体異性体、ならびに光学異性体、例えば鏡像異性体の混合物、ならびに構造的非対称の結果としてもたらされる個々の鏡像異性体およびジアステレオマーも含む。
【0097】
式IおよびIIの化合物は、溶媒和していてもよく、特に水和していてもよい。水和は、化合物もしくは化合物を含む組成物の作製の際に得られることがあり、また、水和は、化合物の吸湿性により経時的に得られることもある。さらに、本発明の化合物は、水、エタノールなどの薬学的に許容可能な溶媒と、溶媒和しない形態でも溶媒和した形態でも存在することができる。一般に、本発明のためには、溶媒和した形態は溶媒和しない形態と同等であると考えられる。
【0098】
本発明の化合物を画像化剤として用いる場合、それらを123I、131I、18F、76Br、および77Brなどの適切な放射性ハロゲンアイソトープで標識しなければならない。本発明の放射性ハロゲン化化合物は、腫瘍を画像化させるのに必要な材料を備えたキットでも容易に提供することができる。例えば、最終生成物を、使用する場所またはその時間に作製することができるように、キットは、画像化するのに使用できるようにした適切なアイソトープ(例えば、18F)で標識された最終生成物または中間体化合物(例えば、スキーム1の化合物1aまたは1b)と、試薬(例えば、溶媒、脱保護剤)と一緒にした標識(例えば、K[18F]F)を含むことができる。
【0099】
本発明の画像化方法の第1の工程では、標識した式IまたはIIの化合物を、検出可能な量で組織または患者に導入する。化合物は一般に医薬組成物の一部であり、当業者に周知の方法により組織または患者に投与される。例えば、化合物は、経口、経直腸、非経口(静脈内、筋肉内または皮下)、嚢内、膣内、腹腔内、膀胱内、局所(粉剤、軟膏またはドロップ)、または頬側もしくは経鼻噴霧のいずれかで投与することができる。
【0100】
本発明の画像検査法では、標識化合物を、検出可能な量で患者に導入し、化合物が腫瘍の組織または細胞と会合するのに十分な時間を経た後、その標識化合物を患者の内部で非侵襲的に検出する。本発明の他の実施形態では、標識した式IまたはIIの化合物を患者に導入し、化合物が腫瘍組織と会合するのに十分な時間を与え、次いで患者からの組織試料を取り出し、患者からは別個に、その組織中の標識化合物を検出する。あるいは、組織試料を患者から取り出し、標識式IまたはIIの化合物を組織試料中に導入する。化合物が腫瘍組織と結合するのに十分な時間を経た後、化合物を検出する。「組織」という用語は、患者の身体の一部を意味する。組織の例には、脳、心臓、肝臓、血管および動脈が含まれる。検出可能な量は、選択した検出方法で検出するのに必要な標識化合物の量である。検出するために患者の中に導入すべき標識化合物の量は、当業者によって容易に決定される。例えば、選択した検出方法で化合物が検出されるまで、標識化合物の量を増加させて患者に与えることができる。化合物が検出されるように、化合物中に標識を導入する。
【0101】
標識化合物の患者への投与は全身的投与経路でも局部的投与経路でもよい。例えば、標識化合物は、身体全体に送達されるように患者に投与することができる。あるいは、標識化合物を、対象の特定の器官または組織に投与することができる。
【0102】
化合物が腫瘍と会合する十分な時間量を決定することは、当業者に周知である。必要な時間量は、検出可能量の標識した式IまたはIIの化合物を患者に導入し、次いで、投与後異なった時間で標識化合物を検出することによって容易に決定することができる。
【0103】
標識化合物を検出するための様々な方法は、当業者に周知である。例えば、放射性標識化合物を検出するために、磁気共鳴映像法(MRI)、陽電子射出断層撮影法(PET)または単光子射出コンピュータ断層撮影法(SPECT)を用いることができる。本発明の化合物を腫瘍画像化剤として用いる場合に、PETおよびSPECTが好ましい。化合物に導入される標識は所望の検出方法に依存することになる。例えば、検出方法としてPETを選択した場合、化合物は、11Cまたは18Fなどの陽電子放出原子を有していなければならない。
【0104】
放射性診断薬は、信頼性のある診断を確実にする十分な放射能と放射能濃度を有していなければならない。例えば、放射性金属がテクネチウム−99mである場合、通常投与の際に約0.5〜5.0ml中に0.1〜50mCiの量を含むことができる。式の化合物の量は、放射性金属と安定したキレート化合物を形成するのに十分な量にすることができる。
【0105】
放射性診断薬としての本発明の化合物は十分に安定であり、したがって、そのまますぐに投与してもよく、また使用時まで貯蔵することもできる。望むなら、放射性診断薬は、pH調製剤(例えば、酸、塩基、緩衝剤)、安定剤(例えば、アスコルビン酸)または等張剤(例えば、塩化ナトリウム)などの任意の添加剤を含むことができる。腫瘍の画像化は、本明細書の化合物を用いて定量的に実施し、それによって所与の腫瘍のためのその治療薬の効能を評価することもできる。
【0106】
画像化に好ましい化合物には、123I、124I、125I、131I、18F、76Br、77Brまたは11Cなどの放射性アイソトープが含まれる。
【0107】
本明細書で説明する合成スキームは、本発明の好ましい実施形態の例としての合成法を示す。しかし、当業者は本発明の実施にあたって、出発原料、試薬、溶媒、温度、固体基体、合成方法、精製方法、分析方法、および具体的に例示したもの以外の他の反応条件を、必要以上の実験をすることなく、用いることができることを理解されよう。そうした任意の原料や方法の当業界で周知の機能的均等物のすべては、本発明に含まれるものとする。使用される用語および表現は説明のための用語として用いるものであって限定的なものではなく、そうした用語および表現の使用において、示しかつ説明した特徴またはその一部のどんな均等物も排除しようとするものではなく、特許請求した本発明の範囲内で様々な変更が可能であることを理解されたい。したがって、好ましい実施形態および任意選択の特徴によって本発明を具体的に開示してきたが、当業者は、本明細書で開示した考え方の改変および変更を行うことができ、そうした改変形態および変更形態は、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲内であることを理解すべきである。
【0108】
本明細書で、ある置換基の群が開示される場合、群メンバーの任意の異性体および鏡像異性体を含む、その群およびすべての下位群のすべての個別メンバーが個別に含まれることを理解されたい。マーカシュ群または他のグルーピングを本明細書で用いる場合、その群のすべての個別のメンバーおよびその群に可能なすべての組合せおよび下位組合せは、個別にその開示に含まれるものとする。例えば式や化学名において、化合物が、本明細書で化合物の具体的な異性体または鏡像異性体が指定されずに記述される場合、その記述は、個別にまたは任意の組合せで、記述された化合物の各異性体および鏡像異性体を含むものとする。さらに、別段の指定のない限り、本発明で開示の化合物のすべての同位変異体は本開示に包含されるものとする。例えば、開示した分子中の任意の1個または複数の水素を、重水素または三重水素で置き換えることができることを理解されよう。分子の同位変異体は、分子のアッセイ、および分子またはその使用に関連する化学的または生物学的研究における標準品として一般に有用である。同一化合物を異なって称することができることが当業者に周知である場合、化合物の具体的な名称は例示的なものであるものとする。
【0109】
本明細書で開示の分子の多くは1つまたは複数のイオン性基[陽子をそこから取り外すことができる基(例えば、−COOH)かまたはそれに加えることができる基(例えば、アミン)、あるいは四級化できる基(例えば、アミン)]を含む。そうした分子およびその塩の可能なすべてのイオン形態は、本明細書の開示に個別に包含されるものとする。本明細書の化合物の塩に関しては、当業者は所与の用途のための本発明の塩の調製に適した使用可能な広範囲の対イオンの中から選択することができる。
【0110】
別段の指定のない限り、本明細書で記述するかまたは例示した成分のすべての処方または組合せを、本発明を実施するために用いることができる。
【0111】
明細書において、ある範囲、例えば温度の範囲、時間の範囲、組成物もしくは濃度の範囲が与えられている場合、すべての中間範囲および下位範囲、ならびに所与の範囲に含まれるすべての個別の値は本開示に包含されるものとする。
【0112】
本明細書で言及されるすべての特許および出版物は、本発明が関係する当業界の技術者の技術レベルを示すものである。出願日時点での最新技術を示すために、本明細書で引用した文献のその全体を参照により本明細書に組み込み、また、必要なら、従来技術の範囲内である特定の実施形態を排除するために、この情報を本明細書で用いることができるものとする。例えば、化合物が特許請求される場合、本明細書で引用する文献に使用可能な開示が提供されている化合物を含む出願者の発明に先行する技術において既知であり使用可能な化合物は、本明細書の特許請求の範囲の組成物には含まれないものと理解されたい。
【0113】
本明細書で用いる、「含む(comprising)」は、「含む(including)」、「含む(containing)」または「ことを特徴とする(characterized by)」と同義的なものであり、かつ包含的である、すなわち幅広く解釈できる(open−ended)ものであり、他の言及されていない要素または方法の工程を排除するものではない。本明細書で用いる「からなる(consisting of)」は、特許請求の範囲の要素で指定されていないどの要素、工程または成分も排除する。本明細書で用いる「本質的にからなる(consisting essentially of)」は、特許請求の範囲の基本的特徴および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない材料または工程を排除しない。本明細書のそれぞれ場合において、「含む(comprising)」、「本質的にからなる」および「からなる」という用語のいずれも、他の2つのうちのいずれかで置き換えることができる。本明細書で例示的に説明した本発明は、本明細書で具体的に開示されていない要素や限定がなくても適切に実施することができる。
【0114】
本明細書で引用した文献を、本出願の開示との不整合がない範囲で参照により本明細書に組み込む。特に、本発明を用いて作製できるアミノ酸類似体の例およびその詳細な合成方法を提供するために、米国特許第5,817,776号、同第5,808,146号およびWO03/093412が本明細書で引用されている。それらを参照により本明細書に組み込む。出発原料、追加の出発原料、追加の試薬、追加の合成方法、追加の分析方法および追加の本発明の使用の供給源に関する詳細を提供するために、本明細書で提供したいくつかの文献を参照により本明細書に組み込む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式:
【化1】

を有するアミノ酸類似体または薬学的に許容可能なその塩であって、ここで、Yは(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、SおよびSeからなる群から選択され;Xはハロゲン、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニル、ハロアルキニル、Tc−99mキレートおよびReキレートからなる群から選択され、ここで、XにおけるハロまたはハロゲンはF、Cl、Br、I、At、F−18、Br−76、I−123、I−124からなる群から選択され;R、RおよびRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニルからなる群から選択され、ここで、ハロは非放射性のF、Cl、BrおよびIであり、RおよびRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99mおよびReキレートからなる群から選択され;RはH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルからなる群から選択される、アミノ酸類似体または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項2】
Xが、ハロ、ハロアルキルC1〜C6、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニルC1〜C6およびハロアルキニルC1〜C6からなる群から選択される、請求項1に記載のアミノ酸類似体。
【請求項3】
、R、R、R、RおよびRが互いに独立に、水素、アルキルC1〜C6、アルケニルC1〜C6およびアルキニルC1〜C6からなる群から選択される、請求項2に記載のアミノ酸類似体。
【請求項4】
Xが、ハロゲン、ハロアルキルC1〜C6、ハロアルケニルC1〜C6およびハロアルキニルC1〜C6からなる群から選択され、ここで、ハロは18Fまたは123Iのいずれかである、請求項2または3に記載のアミノ酸類似体。
【請求項5】
Xが、ハロゲンまたはハロアルキルC1〜C4であり、R、R、R、R、RおよびRが互いに独立に、水素またはアルキルC1〜C4である、請求項4に記載のアミノ酸類似体。
【請求項6】
YがCHである、請求項4または5に記載のアミノ酸類似体。
【請求項7】
2−[18F]FACBCである、請求項6に記載のアミノ酸類似体。
【請求項8】
2−[123I]IACBCである、請求項6に記載のアミノ酸類似体。
【請求項9】
2−[18F]FMACBCである、請求項6に記載のアミノ酸類似体。
【請求項10】
2−[123I]IVACBCである、請求項6に記載のアミノ酸類似体。
【請求項11】
2−[123I]IEACBCである、請求項6に記載のアミノ酸類似体。
【請求項12】
〜Rが水素であり、YがCHであり、XがTc99mである、請求項1に記載のアミノ酸類似体。
【請求項13】
次式:
【化2】

の化合物または薬学的に許容可能なその塩であって、ここで、Yは(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、SおよびSeからなる群から選択され;Xはハロ、ハロアルキル、ハロシクロアルキル、ハロシクロアルケニル、ハロシクロアルキニル、ハロアシル、ハロアリール、ハロヘテロアリール、ハロアルケニル、ハロアルキニル、Tc−99mおよびReキレートからなる群から選択され、ここで、XにおけるハロはF、Cl、Br、I、At、F−18、Br−76、I−123およびI−124からなる群から選択され;R、RおよびRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルからなる群から選択され、ここで、ハロは非放射性のF、Cl、BrおよびIであり;RおよびRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99mおよびReキレートからなる群から選択され;RはH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルからなる群から選択される、化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項14】
Xが、ハロゲン、ハロアルキルC1〜C6、ハロアルケニルC1〜C6およびハロアルキニルC1〜C6からなる群から選択される、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
、R、R、R、RおよびRが互いに独立に、水素、アルキルC1〜C6、アルケニルC1〜C6およびアルキニルC1〜C6からなる群から選択される、請求項14に記載の化合物。
【請求項16】
XがハロゲンまたはハロアルキルC1〜C4であり、R、R、R、R、RおよびRが互いに独立に水素またはアルキルC1〜C4である、請求項15に記載の化合物。
【請求項17】
Xがハロゲンであり、R、R、R、R、RおよびRが水素であり、YがCHである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
Xが18Fである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
Xが123Iである、請求項17に記載の化合物。
【請求項20】
請求項1に記載のアミノ酸類似体の合成方法であって、該方法は、式IIIの化合物を試薬と反応させて式Iのアミノ酸類似体を得る工程を包含し、ここで、式IIIが、
【化3】

であり、ここで、Yは(CR,R)n(n=1〜4)、N、O、SおよびSeからなる群から選択され;R、RおよびRは独立に、H、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、ヘテロアリール、アリール、ハロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルからなる群から選択され、ここで、ハロは非放射性のF、Cl、BrおよびIからなる群から選択され;RはH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニル、ハロアルキニル、Tc−99mおよびReキレートからなる群から選択され;RはH、アルキル、ハロアルキル、シクロアルキル、ハロシクロアルキル、シクロアルケニル、ハロシクロアルケニル、シクロアルキニル、ハロシクロアルキニル、アシル、ハロアシル、アリール、ハロアリール、ヘテロアリール、ハロヘテロアリール、アルケニル、ハロアルケニル、アルキニルおよびハロアルキニルからなる群から選択される、方法。
【請求項21】
前記アミノ酸類似体が2−[18F]FACBCである、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
請求項1に記載の放射性標識化合物と薬学的に許容可能な担体とを含む、腫瘍を画像化するための診断用組成物。
【請求項23】
前記標識化合物が2−[18F]FACBCである、請求項22に記載の診断用組成物。
【請求項24】
陽電子射出断層撮影法または単光子射出コンピュータ断層撮影法による腫瘍の画像化方法であって、
a)腫瘍を有している疑いのある対象に画像生成量の請求項1に記載の標識化合物を投与する工程;
b)該標識化合物が該腫瘍と会合するのに十分な時間を与える工程;および
c)PETまたはSPECTによって、該対象における該標識化合物の分布を測定する工程
を包含する、方法。
【請求項25】
前記標識化合物が2−[18F]FACBCである、請求項24に記載の方法。

【公表番号】特表2009−505947(P2009−505947A)
【公表日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−518267(P2008−518267)
【出願日】平成18年6月19日(2006.6.19)
【国際出願番号】PCT/US2006/023699
【国際公開番号】WO2007/001940
【国際公開日】平成19年1月4日(2007.1.4)
【出願人】(598038968)エモリー・ユニバーシティ (19)
【Fターム(参考)】