説明

画像形成システム、画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラム

【課題】像担持体に印刷された画像を消去して再印刷する画像形成システムにおいて、印刷回数を像担持体に付加することにより、像担持体の再利用回数を管理することのできる画像形成システム、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムの提供を目的とする。
【解決手段】繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、像担持体に印刷回数を示す回数情報が付加される画像形成システムであって、前記像担持体上に画像を印刷する印刷手段と、前記像担持体上に前記回数情報を付加する回数情報付加手段と、前記印刷回数を認識する再利用回数認識手段と、前記像担持体上の画像を消去する画像消去手段とを有し、前記印刷手段は、前記画像消去手段によって画像が消去された前記像担持体上に新たに画像を印刷し、前記回数情報付加手段は、前記印刷回数に1を加えた回数情報を、前記像担持体に付加する、画像形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置、画像形成方法、画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、環境保護の観点及び紙の購入・廃棄コストの増大の観点から、印刷後の紙の再利用が望まれている。従来は、一度紙の表面に印刷した紙を集めて、再度裏面に印刷させて使用するなど、両面印刷を活用して対応していた。その場合、2枚の紙を1枚に減らすことができるに留まるため、環境負荷、コストを一気に下げるまでには至っていない。
【0003】
そこで、一度印刷した紙の上の画像を何らかの手段によって消去し、紙を何度も再利用する、いわゆるペーパーリユースの技術が嘱望されている。ペーパーリユースにはいくつかの方式があるが、その方式は大きく二つに分けられる。i)紙上の画像を形成しているトナーやインクを紙から引き離し、画像形成している材料そのものをなくす方式、ii)紙状に画像を形成しているトナーやインクは残っても、画像の濃度を呈している物質を変化させて、濃度を低下させることにより、紙の上の画像を目立たなくすることで紙を再利用する方式の二種類である。
【0004】
特許文献1において、加熱すると無色化する所定の塗料で記載されたアンケート用紙等に熱を加え、無色化する画像読取装置に関する技術が公開されている。この文献では、無色化したアンケート用紙が再利用される点について記載されている。この画像読取装置では、紙に記載された内容について電子化し、その後秘密保持の必要性に鑑み、同装置内で速やかに無色化を行う。
【0005】
また、特許文献2において、熱により無色化できるインク、及びそのインクを用いて印刷した紙を再利用するインクジェットプリンターに関する本出願人の技術が公開されている。当該プリンターにおいては、無色化可能な所定のインクで記載した紙をトレイにセットすると、プリンター内で無色化し、無色化した紙を給紙トレイに自動搬送する。プリント指示を受け付けたときにその給紙トレイから給紙することで、無色化から再印刷までの処理を一台のプリンターで賄うことができる。
【0006】
尚、特許文献3において、所定のインクで記載された用紙に機械的剪断力を加えるか、圧着せしめることによって画像を除去することのできるインク、及びそのインクを用いた画像消去方法に係る技術について、本出願人により出願され、公開されている。
【0007】
(特許文献1〜3参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のいずれの技術によっても、何度も再利用する紙の利用回数を管理していない。利用回数が増すごとに紙の劣化状況が増すと考えられ、それが画像形成装置の紙詰まりの原因になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであって、像担持体に印刷された画像を消去して再印刷する画像形成システムにおいて、印刷回数を像担持体に付加することにより、像担持体の再利用回数を管理することのできる画像形成システム、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
そこで上記課題を解決するため、本発明の画像形成システムは、繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、像担持体に再利用回数を示す情報が付加される画像形成システムであって、前記像担持体上に画像を印刷する印刷手段と、前記再利用回数を認識する再利用回数認識手段と、前記像担持体上の画像を消去する画像消去手段とを有し、前記印刷手段は、前記画像消去手段によって画像が消去された前記像担持体上に画像を印刷する時に、前記再利用回数に1を加えた印刷回数を示す情報を前記像担持体に付加することを特徴とする。
【0011】
また、上記課題を解決するため、本発明は、上記画像形成システムにおける画像形成装置、画像形成方法、前記画像形成方法をコンピュータに実行させる画像形成プログラムとしてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、像担持体に印刷された画像を消去して再印刷する画像形成システムにおいて、印刷回数を像担持体に付加することにより、像担持体の再利用回数を管理することのできる画像形成システム、画像形成装置、画像形成方法及び画像形成プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】第一の実施形態における画像形成システム1の機能ブロック図である。
【図2】第一回目の印刷が行われる場合における処理フローである。
【図3】画像形成システム1の処理に関する説明図である
【図4】n+1回目の印刷が行われる場合における処理フローである。
【図5】リユースカウントマークの例である。
【図6】第二の実施形態において画像消去装置3で行われる処理の処理フローである。
【図7】第三の実施形態における画像の縮小例である。
【図8】第四の実施形態における画像形成装置4の機能ブロック図である。
【図9】第五の実施形態における画像形成装置5の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(第一の実施形態)
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。図1は、第一の実施形態における画像形成システム1の機能ブロック図である。尚、以下の説明においては、便宜上、本実施の形態の説明に必要な構成要素が示されている。
【0015】
(画像形成システム1の構成と機能)
画像形成システム1は、画像形成装置2及び画像消去装置3からなるシステムであって、画像消去装置3において画像消去された紙について画像形成装置2で印刷し、再び画像消去装置3で画像消去することを繰り返して紙を再利用することを想定している。画像形成装置2は、一般的な印刷機能を有するフルカラープリンタであって、給紙トレイ101、カウント値読み取り部102、画像印刷部103、回数情報付加部104、排紙トレイ105を備える。画像消去装置3は、画像形成装置2において印刷された画像に対して画像消去処理を加える装置である。給紙トレイ111、読み込み部112、カウンタ113、リジェクト部114、画像消去部115、排紙トレイ116を備える。
【0016】
画像形成装置2は、インクジェット方式を採用するフルカラープリンタを想定しているが、電子写真方式、昇華方式、孔版印刷、オフセット印刷など作像方式は限定しない。画像形成装置2は、原則として画像消去装置3で消去することのできるインクを用いて印刷する装置である。給紙トレイ101は、画像形成装置2において使用する紙を搭載する。カウント値読み取り部102は、紙に印字された印刷回数であるカウント値を読み取る。画像印刷部103は、指示された印刷を実行する。回数情報付加部104は、紙に新たなカウント値を付加して印刷する。排紙トレイ105は、排出された印刷済みの紙を搭載する。
【0017】
給紙トレイ111は、画像形成装置2で印刷された紙であって画像消去の対象とする紙を搭載する。読み込み部112は、紙に印刷された画像その他の情報を読み取り、電子化してメモリに記憶する。カウンタ113は、紙に印字されたカウント値を読み取る。カウント値によって、リジェクト部114か、画像消去部115のどちらかに紙が搬送される。リジェクト部114は、印刷済みの紙をリジェクト(排出)する。画像消去部115は、印刷済みの紙に対し画像消去処理を施す。排紙トレイ116は、画像消去処理がされ排出された紙を搭載する。
【0018】
(画像形成装置2の処理)
ここで、画像形成装置2において、画像消去装置3で画像消去された紙を再利用して印刷する場合について説明する。画像形成システム1では、指示された画像のほかに、印刷回数であるカウント値を紙に印刷するが、画像は画像消去装置3で消去することのできるインクで印刷され、カウント値は画像消去装置3において消去されないインクで印刷されている。そのため、画像消去装置3で画像消去された用紙には、消去されなかったカウント値のみが印刷されたまま残っている。
【0019】
まず、給紙トレイ101に、画像消去装置3で画像消去された用紙がセットされる。カウント値読み取り部102において、画像消去済みの用紙に印刷されたカウント値を検出する。画像印刷部103で、画像消去済みの用紙に、新たに指示された画像の印刷を行う。その際、指示された画像については画像消去装置3で画像消去可能なインクを使用して印刷する。回数情報付加部104は、カウント値読み取り部102で検出したカウント値に1を加えた値を新たなカウント値として印刷するが、新たなカウント値については画像消去装置3で消去されないインクで印刷する。回数情報付加部104で回数情報が印刷された用紙は、排紙トレイ105に排紙される。
【0020】
当然ながら、画像形成装置2では、消去済みの用紙でない新たな用紙に印刷することも可能である。その場合、給紙トレイ101に給紙された新たな用紙からは、カウント値読み取り部102はカウント値を検出せず、印刷部103において印刷が行われるときに1回目の印刷回数であることを示すカウント値を印刷し、排紙トレイ104に排紙する。
【0021】
(画像消去装置3の処理)
画像消去装置3では以下の処理が行われる。給紙トレイ111に、画像形成装置2で印刷された印刷済み用紙がセットされる。読み込み部112は、必要に応じて印刷済み用紙に記載された画像その他の情報を読み取り、電子化したり、電子メールにて送信したりするが、詳細は後述する。カウンタ113が、用紙に印刷されたカウント値を読み取る。カウンタ113が、所定のカウント値(例えば10回)を超えると判断した場合、用紙が劣化している可能性が高いとして、リジェクト部114で用紙がリジェクトされる。カウント値が所定の数値に満たない場合、画像消去部115において、画像形成装置2で印刷された用紙に対して画像消去処理がなされる。画像消去された用紙は、排紙トレイ116に排紙される。
【0022】
(変形例)
尚、本実施形態では、画像印刷部103で画像が印刷された後、回数情報付加部104でカウント値を印刷するとしたが、画像印刷に先立ってカウント値を印刷する構成であってもよい。また、画像印刷部103によって、画像の印刷と同時に回数情報を印刷してもよい。
【0023】
印刷済みの用紙に対し画像消去装置3で画像消去し、画像形成装置2で新たな印刷を施す。この際にカウント値を用紙に印刷し、所定の印刷回数を超える用紙をリジェクトすることで、画像形成装置の紙詰まりを予防することができる。
【0024】
(第一回目の印刷における処理の流れ)
次に、画像形成システム1において、第一回目の印刷が行われる場合の処理について説明する。図2は、第一回目の印刷が行われる場合における処理フローであり、図3は、画像形成システム1の処理に関する説明図である。
【0025】
図2の処理フローにおいて、S101で画像形成装置2の給紙トレイ101に用紙がセットされる。セットされる用紙は、まだ一度も印刷がなされていない新たな用紙である。S102において、画像形成装置2が画像(A)の印刷指示を受け付ける。S103において、用紙には何も印刷されていないため、カウント値読み取り部102はカウント値を検出しない。S104で、画像印刷部103により画像(A)が印刷され、S105で第一回目の印刷であることを示すカウント値が画像に印刷される。画像(A)及びカウント値を印刷した画像の例を図3(a)に示す。画像(A)のほかに、一回目の印刷であることを示すカウント値が印刷されている。S106において、印刷が終了した用紙が排紙トレイ105に排紙される。
【0026】
尚、ここで印刷媒体を紙としたが、本発明では紙に限定されず、PET(Polyethylene terephthalate)やPVDF(PolyVinylidene DiFluoride)、PC(Polycarbonate)などの樹脂をベースとする紙類似のシートを用いることもできる。
【0027】
本実施例では、印刷の際に、周囲の物質の作用によって濃度が変化する特徴を持つロイコ染料をインクジェット用インクの色剤として用いる。ロイコ染料をインクの色剤とすることで、ある温度になると濃度が低下するため、温度変化によって画像の濃度を低下させ、画像の表示を薄くすることで、画像を消去する。しかし、一回目の印刷であることを示す印刷回数については、同様の方法で消去されないインクを用いて印刷する。
【0028】
画像(A)が印刷された紙は、ユーザが望む通常の使われ方をして、その目的が達成されたのち、通常は廃棄されるが、このシステムにおいては、廃棄するのではなく回収される。S107において用紙が回収され、S108で、回収された印刷済み用紙が画像消去装置3の給紙トレイ111にセットされる。
【0029】
S109で画像消去装置3が画像の消去指示を受け付けると、S110において、カウンタ113によりカウント値が読み取られる。ここでは一回目の印刷がなされた用紙が回収されたので、読み取られたカウント値は「1」である。S111で、画像消去部115により画像(A)が消去される。
【0030】
画像消去処理の処理方法について、図3(b)に示す。印刷済み用紙は、例えば60度から200度まで温度を制御できるヒートローラで加熱され、画像(A)はほぼ肉眼では判別不可能な程度までに濃度が低下する。判別不可能な濃度とは、紙上の画像濃度では、例えば紙の濃度+0.05程度である。
【0031】
図2に戻り、S112で、画像が消去された用紙が画像消去装置3の排紙トレイ116に排紙される。ここで排紙された、画像消去後の用紙の例を図3(c)に示す。用紙には第一回目の印刷回数を示すカウント値のみが消去されずに残っている。
【0032】
図2のS113において、画像形成装置2の給紙トレイ101に、画像消去処理がされた用紙がセットされる。S114で、画像形成装置2が画像(B)の印刷指示を受け付ける。S115において、カウント値読み取り部102が、第一回目の印刷回数を示すカウント値を読み取る。S116で用紙に画像(B)が印刷され、S117で二回目の印刷回数を示すカウント値を用紙に印刷する。二度目の印刷がされた用紙の例を図3(d)に示す。画像(B)を、画像消去装置3で消去可能な上述のインクを用いて印刷するとともに、二度目の印刷であることを示す印刷回数を消去不可能なインクで印刷する。印刷終了後、S118で、画像形成装置2の排紙トレイ105に用紙が排紙される。
【0033】
((n+1)回目の印刷における処理の流れ)
次に、画像形成システム1において、(n+1)回目の印刷が行われる場合の処理の流れについて説明する。図4は、(n+1)回目の印刷が行われる場合における処理フローである。
【0034】
S201において、画像形成装置2の給紙トレイ101に用紙がセットされる。用紙は既にn回の印刷がなされており、n回の印刷回数であることを示すカウント値が印刷されている。S202で、画像形成装置2が新たな印刷指示を受け付けると、S203で、カウント値読み取り部102がn回のカウント値を検出する。S204で、用紙に画像が印刷され、S205で(n+1)回の印刷回数であることを示すカウント値が用紙に印刷される。印刷された用紙は、S206において、排紙トレイ105に排紙される。
【0035】
S207で、画像が印刷された用紙が使用され、回収されると、S208において画像消去装置3の給紙トレイ111に用紙がセットされる。S209で、画像消去装置3が画像の消去指示を受け付ける。S210で、カウンタ113がカウント値を読み取り、(n+1)回の印刷回数であることを検知する。S211において、カウンタ113が読み取ったカウント値が所定の回数(例えば10回)以上である場合、用紙が劣化している可能性が高いとして、S213においてリジェクト部114で用紙がリジェクトされる。S211でカウント値が所定回数に満たない場合、S212で画像の消去処理が行われ、S214において用紙が排紙トレイ116に排紙される。排紙された用紙は、再度画像形成装置2に給紙されることで、再び印刷用紙として使用することができる。
【0036】
(変形例)
尚、本実施形態では、画像を画像消去装置3で消去することのできるインク、カウント値を画像消去装置3で消去することのできないインクで印刷することにより、画像消去処理を行ってもカウント値のみが残る構成とした。しかし、画像及びカウント値を画像形成装置3で消去することのできるインクで印刷しながらも、画像の部分のみに加熱することで、画像を消去する構成としてもよい。インクを使い分ける必要がなく、コスト上で有利である。
【0037】
尚、所定回数は使用状況によって異なるが、ユーザが事前に指定できるよう構成してもよい。
【0038】
再利用を繰り返すことで、劣化した紙が画像形成装置2または画像消去装置3の紙搬送経路内で詰まってしまい、ジャムの原因になることがある。本実施例ではそのような問題に対し、設定した印刷回数を超える用紙をリジェクトすることで、劣化した用紙については再利用のサイクルから省き、装置やユーザにかかる負担を軽減する。
【0039】
(リユースカウントマークの例)
画像形成装置2において、紙に付与するカウント値を表すマークについて、図5を用いて説明する。図5は、リユースカウントマークの例である。以下、紙に付与されたカウント値を表すマークを、リユースカウントマークとする。
【0040】
図5(a)は、リユースカウントマークを紙に印刷する場合の一例である。一度目の印刷で四角く区切られたマスのうち一つを黒く表示する。リユースカウントマークは画像消去装置3では消去されないため、画像形成装置2において二度目の印刷であることがカウント値読み取り部102により検出されると、二度目の印刷の際に別のマスが黒く表示される。一度目のリユースカウントマークとは別の位置に二度目のマークが印刷され、合計二箇所が黒く表示される。
【0041】
上述の実施例では、リユースカウントマークを印刷により紙に付与することとしてきたが、印刷回数分用紙をカットすることでリユースカウントマークを付与してもよい。図5(b)及び(c)は、用紙をカットすることによりリユースカウントマークを紙に付与する例である。(b)は用紙の一辺を印刷回数分切り抜いており、(c)では用紙の四隅を印刷回数分裁断している。尚、リユースカウントマークの付与に関しては、印刷回数が認識できる範囲で変形が可能であり、本実施例に限定されない。
【0042】
画像消去装置3で消去されないようにリユースカウントマークを用紙に付することで、画像形成装置2で印刷回数を認識することができ、再利用回数の管理に役立つ。
【0043】
(第二の実施形態)
以下、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、画像形成装置2で印刷する時に、画像の出力者、画像の上下情報、画像の印刷順序、画像の電子ファイルの送信先情報の少なくともいずれか一つの書誌情報を印刷する。画像消去装置3において印刷済みの画像を消去する前に、読み込み部112で画像を読み込み、電子化する。その時に画像形成装置3において印刷した書誌情報を検知し、書誌情報に基づいて所定の処理を行う。
【0044】
図6は、第二の実施形態において画像消去装置3で行われる処理の処理フローである。以下、用紙には画像のほかに、リユースカウントマーク、及び上述の書誌情報が印刷されていることを前提とする。
【0045】
S301において、画像消去装置3に印刷済みの用紙が給紙される。S302で画像消去装置に動作指示がされると、S303で読み込み部112において電子化が行われる。S304において、電子化の際に読み込み部112が書誌情報を検知すると、S305〜S308のいずれかに進む。用紙に上下を示す情報が付与されている場合、S305に進み、電子化の際に画像の向きをそろえる。電子化ファイルの順序を示す情報が付与されている場合、S306で電子化されたファイルを順序どおりに並べ替える。出力者情報及び電子化ファイルのファイル名を示す情報が付与されている場合、S307でこれらの情報に基づいて、電子化された画像を保管する。電子化された画像の送信先アドレスを示す情報が付与されている場合、S308において、示されたアドレスに電子化ファイルを送信する。
【0046】
S309において、書誌情報のすべてについて処理が終了すると、S310に進む。カウンタ113でカウント値が認識され、画像消去部115で画像が消去される。
【0047】
尚、書誌情報については画像消去装置3で消去可能なインクで印刷することを前提としているが、同装置で消去不可能なインクで印刷するよう構成してもよい。この構成により、特定の用紙について同一の処理及び管理を行うことが可能になる。
【0048】
また、書誌情報については画像形成装置2で画像形成時に指定してもよいし、外部に接続されたPCから指定してもよい。さらに、書誌情報については上述に限定されず、電子化の際にユーザが利用したい情報を印刷することができる。
【0049】
画像消去装置3に文書管理機能を持たせることで、画像を消去する前に電子化して利用することができるため、文書管理の利便性が向上する。
【0050】
(第三の実施形態)
以下、第三の実施形態について説明する。第三の実施形態において、印刷済みの用紙にリユースカウントマークのほかに書誌情報を印刷する場合について説明した。リユースカウントマーク及び書誌情報の印刷は、画像形成装置2で行われるが、その時に印刷指示された画像を縮小して表示する。図7は、第三の実施形態における画像の縮小例である。
【0051】
従来の画像形成装置であれば、図7(a)のように画像をそのまま印刷する。ただし書誌情報及びリユースカウントマークをそのまま用紙に印刷すると、画像と書誌情報等が重なってしまう可能性がある。そのため、印刷指示のあった画像を縮小して印刷し、余白にリユースカウントマーク及び書誌情報を印刷することで、画像とほかの情報が重なることを防ぐ。
【0052】
(第四の実施形態)
上述の実施形態では、いずれも画像形成装置2及び画像消去装置3を別々に有していた。第四及び第五の実施形態においては、これらの機能を有する一台の画像形成装置で目的を達成する。図8は、第四の実施形態における画像形成装置4の機能ブロック図である。
(画像形成装置4の構成)
画像形成装置4は、画像形成機能及び画像消去機能を一台に有する装置である。画像形成装置4は、給紙トレイ201、読み込み部202、カウンタ203、カウンタ用バッファ204、リジェクト部205、画像消去部206、画像印刷部207、回数情報付加部208、排紙トレイ209を備える。画像形成装置4は、印刷済みの用紙に対して画像を消去し、消去した用紙に再度印刷をする機能を一台に有する装置である。
【0053】
(画像形成装置4の処理)
給紙トレイ201に、同装置ですでに印刷済みである用紙をセットする。読み込み部202で、必要に応じて電子化の処理を行い、書誌情報がある場合は電子化ファイルに対して上述した所定の処理を行う。カウンタ203で、用紙に付与されたリユースカウントマークから、カウンタ値を認識する。認識されたカウンタ値は、カウンタ用バッファ204に格納される。
【0054】
カウンタ値が所定の回数を越える場合、用紙はリジェクト部205によりリジェクトされ、再利用には付されない。所定の回数に満たない場合は、画像消去部206において加熱され、画像が消去される。画像が消去された用紙に対して、画像印刷部207で新たな印刷が行われる。回数情報付加部208で、新たに画像が印刷された用紙にカウント値が付されるが、この時に回数情報付加部208はカウンタ用バッファ204を読み込み、読み込まれたカウント値に1を加えた値を新たなカウント値として画像に付与する。新たなリユースカウントマーク及び画像が印刷された用紙は、排紙トレイ209で排紙される。
【0055】
尚、画像の印刷に先立って回数情報を付加する構成としてもよいことは、第一の実施形態と同様である。画像印刷と同時に回数情報を印刷してもよい。また、本説明では印刷済みの用紙が給紙されることを前提としたが、印刷されていない新たな用紙についても印刷が可能であることは言うまでもない。カウンタ203でカウント値が検知されない場合、未だ用紙に印刷がされていないとして、画像消去部206で加熱されることなく画像印刷部207で印刷が施される。
【0056】
本実施形態では、印刷済みの用紙をセットすることで、画像消去及び新たな画像印刷を一度の処理で行うことができ、利便性の点で有利である。画像を形成する機能と、画像を消去する機能を一体として有することで、運用などが一箇所に集約されるため使いやすく、コスト削減に役立つ。
【0057】
(第五の実施形態)
以下、図9を用いて、第五の実施形態を説明する。第四の実施形態において、画像形成機能と画像消去機能を一台の画像形成装置4で実現する形態について説明した。本実施形態では、上述の二つの機能の間に用紙を蓄積する機能を設けることで、画像が消去された用紙を予め蓄積しておくことが可能になる。図9は、第五の実施形態における画像形成装置5の機能ブロック図である。
【0058】
(画像形成装置5の構成)
画像形成装置5は、画像形成機能及び画像消去機能を一体化した装置である。画像形成装置5は、消去部310、印刷部320を備える。消去部310は、給紙トレイ311、読み込み部312、カウンタ313、リジェクト部314、画像消去部315、蓄積部316を備える。印刷部320は、給紙部321、カウント値読み取り部322、画像印刷部323、回数情報付加部324、排紙トレイ325を備える。
【0059】
(画像形成装置5の処理)
消去部310で以下の処理が行われる。本装置の消去部にて消去可能なインクで印刷された印刷済み用紙が、給紙トレイ311にセットされる。読み込み部312が、必要に応じて画像を読み込んで電子化し、書誌情報がある場合には書誌情報に従って、電子化された画像に対し処理を行う。カウンタ313で、用紙に付与されたリユースカウントマークからカウント値を検出する。カウント値が所定の回数(例えば10回)を超える場合、リジェクト部314において用紙がリジェクトされる。カウント値が所定の回数に満たない場合、画像消去部315で用紙が加熱され、画像が消去される。蓄積部316で、画像が消去されリユースカウントマークが残った用紙が蓄積される。
【0060】
印刷部320の処理に移る。印刷の指示を画像形成装置5が受け付けると、給紙部321から給紙される。給紙部は蓄積部316と一体になっているか、蓄積部316から用紙が搬送される構造になっている。給紙された用紙に付与されたリユースカウントマークから、カウント値読み取り部322がカウント値を検知する。画像印刷部323で、用紙に新たに画像が印刷される。その後回数情報付加部324において、カウント値読み取り部322で検知したカウント値に1を加えた値が新たなカウント値として用紙に付与される。画像が印刷され、新たなリユースカウントマークが付された用紙は、排紙トレイ324に排紙される。
【0061】
画像を消去する処理は、場合によって処理時間がかかることがある。画像形成装置5の負荷の少ないタイミングで予め画像消去処理を行い、画像消去済みの用紙を蓄積しておき、印刷の必要が生じた時に蓄積した用紙を使用することができる構成にすることで、画像消去が完了するまでの待ち時間を削減でき、利便性が向上する。
【0062】
尚、未だ印刷されていない新たな用紙に印刷を施すことが可能であることは言うまでもない。その場合、給紙部321に新たな用紙を補充するよう構成すればよい。また、画像の印刷に先立って回数情報が印刷される構成としてもよい点については、前述と同様である。
【0063】
(変形例)
上述の実施形態では、ロイコ染料を用いて画像の濃度を低下させることで画像を消去したが、この形態に限定されるものではない。例えば、光の照射エネルギーによって、分子の結合が変化して濃度が変化するようなフォトクロミック材料や、オゾンなどの気体や酸などの液体によって、科学的に分子の結合が変化して濃度が変化するような材料を用いることで、画像を消去させることも可能である。また、これらの材料と同じインクを用いた筆記具で用紙に記入した場合であっても、一連の処理が可能である。
【0064】
さらに、紙の上にトナーを乗せて画像を形成する電子写真方式において、トナーの樹脂を熱や溶液によって軟化させ、別の媒体に転写させることで紙の上から引き剥がす方式や、トナーの付着した部分を刃物などで削り取る手段により画像を消去させることもできる。これらの組み合わせによって画像を消去した場合であっても、本実施形態において印刷回数を認識し、用紙の再利用を管理することができることは言うまでもない。
【0065】
以上、各実施形態に基づき本発明の説明を行ってきたが、上記実施形態に示した要件に本発明が限定されるものではない。これらの点に関しては、本発明の主旨をそこなわない範囲で変更することができ、その応用形態に応じて適切に定めることができる。
【符号の説明】
【0066】
1 画像形成システム
2 画像形成装置
3 画像消去装置
4 画像形成装置
5 画像形成装置
102 カウント値読み取り部
103 画像印刷部
104 回数情報付加部
112 読み込み部
113 カウンタ
114 リジェクト部
115 画像消去部
203 カウンタ
205 リジェクト部
206 画像消去部
207 画像印刷部
208 回数情報付加部
313 カウンタ
315 画像消去部
322 カウント値読み取り部
323 画像印刷部
324 回数情報付加部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0067】
【特許文献1】特開2010−124441号公報
【特許文献2】特開2001−302954号公報
【特許文献3】特開2000−351922号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、前記像担持体に印刷回数を示す回数情報が付加される画像形成システムであって、
前記像担持体上に画像を印刷する印刷手段と、
前記像担持体上に前記回数情報を付加する回数情報付加手段と、
前記回数情報から前記印刷回数を認識する印刷回数認識手段と、
前記像担持体上の画像を消去する画像消去手段とを有し、
前記印刷手段は、前記画像消去手段によって画像が消去された前記像担持体上に新たに画像を印刷し、
前記回数情報付加手段は、前記印刷回数に1を加えた回数情報を、前記像担持体に付加することを特徴とする、画像形成システム。
【請求項2】
前記印刷回数認識手段によって所定回数を超える前記印刷回数が認識された場合に、前記像担持体を排出する排出手段を有し、
前記画像消去手段は、前記排出手段によって排出されなかった前記像担持体上の画像を消去することを特徴とする、請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記回数情報は、前記画像消去手段によって消去されないインクで前記像担持体上に印刷されることを特徴とする、請求項1または2記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記印刷手段は、
前記画像の出力者、前記画像の上下情報、前記画像の印刷順序、前記画像の電子ファイルの送信先情報の少なくともいずれか一つの書誌情報を印刷し、
前記回数情報及び前記書誌情報が印刷される部分を除いた前記像担持体上に、前記画像を縮小して印刷することを特徴とする、請求項3記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記回数情報は、前記像担持体の一辺に印刷回数に対応した切込みを入れることを特徴とする、請求項1または2記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記回数情報は、前記印刷手段により印刷する毎に前記像担持体の四隅のいずれか一隅を切り取ることを特徴とする、請求項1または2記載の画像形成システム。
【請求項7】
繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、前記像担持体に印刷回数を示す回数情報を付加する画像形成装置と、前記画像を消去する画像消去装置とからなる画像形成システムであって、
前記画像消去装置は、前記回数情報から前記印刷回数を認識する印刷回数認識手段と、
前記印刷回数認識手段において、所定回数を超える前記再利用回数が認識された場合に、前記像担持体を排出する排出手段とを有し、
前記画像形成装置は、前記像担持体上に画像を印刷する印刷手段と、
前記画像消去装置によって画像が消去された前記像担持体上に新たに画像を印刷する時に、前記印刷回数に1を加えた回数情報を、前記像担持体に付加する回数情報付加手段を有することを特徴とする、画像形成システム。
【請求項8】
繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、前記像担持体に印刷回数を示す回数情報を付加する画像形成装置であって、
前記像担持体上に画像を印刷する印刷手段と、
前記像担持体上に前記回数情報を付加する回数情報付加手段と、
前記回数情報から前記印刷回数を認識する印刷回数認識手段と、
前記像担持体上の画像を消去する画像消去手段とを有し、
前記印刷手段は、前記画像消去手段によって画像が消去された前記像担持体上に新たに画像を印刷し、
前記回数情報付加手段は、前記印刷回数に1を加えた回数情報を、前記像担持体に付加することを特徴とする、画像形成装置。
【請求項9】
繰り返し印刷可能な像担持体上に画像を形成し、前記像担持体に印刷回数を示す回数情報を付加する画像形成方法であって、
前記像担持体上に画像を印刷する印刷手順と、
前記像担持体上に前記回数情報を付加する回数情報付加手順と、
前記回数情報から前記印刷回数を認識する印刷回数認識手順と、
前記像担持体上の画像を消去する画像消去手順とを有し、
前記印刷手順は、前記画像消去手順によって画像が消去された前記像担持体上に新たに画像を印刷し、
前記回数情報付加手順は、前記印刷回数に1を加えた回数情報を、前記像担持体に付加することを特徴とする、画像形成方法。
【請求項10】
請求項9記載の画像形成方法をコンピュータに実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−59914(P2013−59914A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−199917(P2011−199917)
【出願日】平成23年9月13日(2011.9.13)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】