画像形成システム、画像形成装置およびプリントデータ配布方法
【課題】より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできるような画像形成システム、画像形成装置およびプリントデータ配布方法を提供する。
【解決手段】画像形成システムは、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、プリントデータを作成する作成手段と、作成されたプリントデータにプリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【解決手段】画像形成システムは、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、プリントデータを作成する作成手段と、作成されたプリントデータにプリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限が可能な画像形成システムおよび画像形成装置、ならびにそれらにおけるプリントデータ配布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、省資源化やコスト管理の観点から、画像形成装置でのプリント処理に対する制限が加えられている場合がある。このようなプリント制限は、部署単位、ユーザー単位、ジョブ単位、ページ単位などの状況に応じて各種の粒度で管理される。
【0003】
一方で、会社組織などにおいては、会議の事前資料などとして、各種データが電子的に配布されることも一般的である。このようなプリントデータの配布に関する技術としては、以下のようなものが知られている。
【0004】
特開2008−302629号公報(特許文献1)に開示されるシステムでは、会議主催者により、ファイルサーバーには予め会議資料が蓄積され、認証サーバーにはユーザー名と会議名と会議資料の保存先とを対応付けた情報が登録される。複合機は、参加者からユーザーIDとパスワードの入力があると、それをLANを介して認証サーバーに送って本人確認を要求する。認証されると、当該参加者が参加予定の会議名とその資料の保存先を認証サーバーから取得し、取得した会議名を操作パネル上に一覧表示させる。当該参加者から会議名の選択入力を受付け、選択された会議名の会議資料をLANを介してフアイルサーバ内の保存先から取得し、取得した会議資料をプリント出力する。
【0005】
このようなプリントデータが配布される際に、異なるプリント制限がなされている画像形成装置が複数存在する場合などにおいては、配布元のユーザーが意図した内容のプリント結果が配布先において得られない可能性がある。すなわち、配布先の画像形成装置に与えられている権限などが異なるため、配布元のユーザーが意図した内容がプリント制限に引っ掛かってプリントされない可能性もある。
【0006】
例えば、特開2006−235757号公報(特許文献3)には、ユーザー権限を変更する技術が開示されている。すなわち、ユーザー認証機能を有する画像入出力システムを用いて、まず当該システムの利用権限を有する第1のユーザーを認証し、当該ユーザーがログインした状態において、権限を有さない第2のユーザーに付与する一時的な利用権限の設定画面を表示する。そして、その設定画面を介して第1のユーザーによって設定された範囲内で、当該システムの一時的な利用権限を、もともと権限を有していない第2のユーザーに付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−302629号公報
【特許文献2】特開2010−074683号公報
【特許文献3】特開2006−235757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献3に開示されるようなシステムでは、配布されたプリントデータをプリントする際に、ユーザーが付加的な操作を行なわなければならず、ユーザーから見れば煩わしい。
【0009】
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできるような画像形成システム、画像形成装置およびプリントデータ配布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面に従う画像形成装置を含む画像形成システムは、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、プリントデータを作成する作成手段と、作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【0011】
好ましくは、付加手段は、両面プリントが設定されているページについて、当該ページに隣接するページに対しても第1のアカウント情報を付加する。
【0012】
好ましくは、付加手段は、部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して第1のアカウント情報を付加する。
【0013】
さらに好ましくは、部単位で本来的な意味をなす設定は、ステープル設定および小冊子設定の少なくとも一方を含む。
【0014】
本発明の別の局面に従う画像形成装置は、プリントデータを受信する受信手段と、受信したプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加する付加手段と、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限を行なう認証手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータのプリント指示に応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件でプリントする。
【0015】
本発明のさらに別の局面に従えば、画像形成装置を含む画像形成システムにおけるプリントデータ配布方法を提供する。プリントデータ配布方法は、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なうステップと、プリントデータを作成するステップと、作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信するステップとを含む。プリント制限を行なうステップでは、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の概略断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
【図4】図1に示すパーソナルコンピューターの内部構成を示す模式図である。
【図5】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図6】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図7】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図8】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図9】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図10】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図11】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う画像形成システムに実装される制御構造を示すブロック図である。
【図13】図12に示す認証情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図14】図12に示すアカウント情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図15】配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際のユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータの作成・配布段階の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータのプリント段階の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<A.概要>
本実施の形態に従う画像形成システムにおいては、プリントデータに配布元のユーザー権限を付加した上で、当該プリントデータを配布する。配布を受けたユーザーが画像形成装置を用いて、当該プリントデータをプリントする際には、自身のユーザー権限に加えて、配布元のユーザーのユーザー権限を利用できるようにする。これにより、プリントデータを配布した先のユーザーに与えられているユーザー権限を越える内容が含まれている場合であっても、少なくとも、配布元のユーザーに与えられているユーザー権限を利用できるので、配布元のユーザーが当該プリントデータをプリントして得られる結果と実質的に同様の結果を得ることができる。
【0020】
このようなスキームを利用することで、配布元と配布先とのユーザーの間で、プリント結果が異なって情報共有が妨げられるといった事態を回避できる。
【0021】
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、プリントデータを作成したユーザー、および/または、当該プリントデータを配布するユーザーを、「配布元」と総称する。また、プリントデータを受信したユーザー、および/または、当該プリントデータのプリントを要求するユーザーを、「配布先」と総称する。
【0022】
以下、上述したように、配布元のユーザー権限を用いてプリントを可能とするために、プリントデータに少なくとも配布元のアカウント情報を付加させる。なお、プリントデータに配布先のアカウント情報を付加してもよい。
【0023】
<B.課題>
上述したように、プリント制限が設定されている複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおいて、プリントデータを配布(共有)する場合には、以下のような課題が生じ得る。
【0024】
(1) 会議などを行なう場合には、事前に会議で使用する資料(プリントデータ)を添付して案内の電子メールを送信するのが一般的となっている。案内の電子メールを受けたユーザーは、必要に応じて、添付された資料を紙にプリントして会議に出席することになる。しかしながら、各ユーザーに設定されているユーザー権限によっては、配布元から送信された資料の内容が、当該配布先のユーザーに設定されているユーザー権限(プリント権限)に引っ掛かり、配布元が意図した内容でプリントがなされない場合がある。例えば、配布元のユーザーに対して再利用紙(裏紙)の使用しか許可されていない場合には、両面プリントが行なえないため、実質的に片面プリントしか行なうことができない。
【0025】
(2) プリントデータがカラーを用いて作成されているにもかかわらず、配布先のユーザーに対しては、カラープリントが禁止されているような場合もあり、この場合には、本来の内容がプリントされない。より具体的には、カラープリントが禁止されているため、プリントデータをモノクロプリントした場合には、その内容的に、カラーでプリントしなければ把握が困難であるものや、意図した表現が理解できないものもある。このようなものは、説明者にとっても説明しづらい。
【0026】
(3) 色ごとに説明する内容をリンクして意図的に資料を作成している場合には、カラーでプリントしてもらわなければ、ユーザーにその意図が伝わりにくく、説明者にとっても説明しづらい。例えば、説明資料が何らかの報告書である場合には、その内容の詳細については記載されているが、実際の報告時には、報告書内に含まれるトピック的な部分のみを説明すれば十分である場合がある。このような場合、報告書内の説明すべき部分が飛び飛びに存在することになり、このように飛び飛びに存在するトピック部分だけに、着色しておけば、読者が記載箇所へ視線を移動することが容易になる。また、異なるトピックが隣接している場合などには、色分けすることで読者の把握を容易にできる。このような意図的に作成された資料がモノクロでプリントされてしまうと、例えば、分類数が多い円グラフなどについては、その円グラフが表現する特定のデータに注目したいときなどに、読者がその特定のデータを把握するのに時間を要し、あるいは、解りづらいといった不具合が考えられる。また、複数の円グラフが年度別にわかれており、ある特定のデータについて年度別にどのように推移しているかを把握しようとした場合にも同様の不具合が生じ得る。
【0027】
(4) 例えば、プリントデータにおいて、2ページで一つの資料になるように構成されていたり、2ページ間の関連性が高いため、意図的に見開きの状態になるように構成されていたりする場合には、それらを両面プリントで出力しなければ同時には確認できず、見づらい資料となりうる。これに対して、再利用紙(裏紙)などの使用しか許可されていないユーザーなどは、片面プリントしか許可されない場合がある。
【0028】
(5) 上述のような課題を考慮して、プリント権限がないユーザーについても一時的に制約無くプリントができるように、会議の資料を画像形成装置へ送信しておき、会議用の保存場所を新規に作成し、その資料または保存場所へのアクセスについては、会議に参加するユーザーのみがアクセス可能なような会議システムを構築するというアプローチもある。しかしながら、このようなシステムを構築するためには、既存のユーザー認証機能とは別に膨大な開発工数をかけて専用の機能を構築する必要がある。また、アカウント管理にしても、通常のユーザー毎のアカウント管理と別に会議システム用に専用に管理する必要が生じる。
【0029】
(6) あるいは、一時的にプリント権限の無いユーザーに対し、プリント権限を与える方式も考えられるが、このような方式を採用した場合には、プリント権限を与えるユーザーが各ユーザー個別にそのプリント権限を与える作業を行なう必要がある。プリント権限を与えるユーザーが多数いる場合などでは、その作業工数が膨大になる。また、一時的に与えた場合のアカウント管理を別途管理する必要がでてきてしまい、管理上からも乱雑になってしまう。
【0030】
(7) 以下、上述のような課題を考慮して、本実施の形態について説明する。
<C.画像形成装置を含む画像形成システムの構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成について説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成例を示す模式図である。図1を参照して、画像形成システムは、1つ以上の画像形成装置MFPと、1つ以上のパーソナルコンピューターPC1〜PC4とを含む。図1には、4台のパーソナルコンピューターを図示するが、パーソナルコンピューターの台数についての制限はない。
【0032】
画像形成装置MFPおよびパーソナルコンピューターPC1〜PC4(以下「パーソナルコンピューターPC」とも総称する。)は、互いにネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)などの専用回線を用いたネットワーク、一般回線を用いたネットワーク、無線通信によるネットワークのいずれであってもよい。
【0033】
画像形成装置MFPは、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、複合機(multi-functional peripheral)などのプリントエンジンを搭載した装置である。本実施の形態においては、画像形成装置MFPが複合機である例を示す。画像形成装置MFPは、スキャナーの走査によって原稿から取得した画像(コピージョブ)、および、いずれかのパーソナルコンピューターPCから受信したプリントデータから生成した画像(プリントジョブ)、についての複写画像を用紙上に形成する。プリントデータは、典型的には、パーソナルコンピューターPCのオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムが発行する描画命令を、プリンタードライバーによって画像形成装置MFPが処理可能なページ記述言語に変換したページ記述言語による描画命令を含む。プリントデータは、PDF(Portable Document Format)、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、XPS(XML Paper Specification)等のファイルフォーマットで記述された文書データを含み得る。
【0034】
画像形成装置MFPは、後述するように、ユーザーのアカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段を有している。認証手段は、予め登録された条件に従って、各ユーザーに対して、ページ単位で使用できるプリントモードを制限する。
【0035】
パーソナルコンピューターPCは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、固定記憶装置(フラッシュメモリなど)、モニター等を有する汎用的な情報処理装置である。パーソナルコンピューターPCは、ユーザー操作に応答して、作成されたプリントデータ(プリントジョブ)を画像形成装置MFPへネットワーク送信できる。
【0036】
本実施の形態に従う画像形成システムにおいては、典型的には、あるユーザー(配布元)が作成プリントデータを他のユーザーへ配布する。この際、画像形成装置MFPにおけるユーザー(配布先)に対するプリント制限によって、配布元のユーザーが意図したとおりにプリントされないという自体を避けるため、配布元のユーザーのアカウント情報がプリントデータに付加される。より具体的には、以下のような手順で、プリントデータが配布される。なお、配布元のユーザーは、パーソナルコンピューターPC1を使用しており、配布先のユーザーは、パーソナルコンピューターPC2を使用しているとする。
【0037】
(1) まず、パーソナルコンピューターPC1を利用する配布元のユーザーが文書作成アプリケーションなどを用いて、プリントデータを作成する。
【0038】
(2) パーソナルコンピュータ−PC1において作成されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される。
【0039】
(3) 画像形成装置MFPにおいて、配布元のユーザーの操作に応答して、当該配布元のユーザーのアカウント情報がプリントデータに付加される。
【0040】
(4) 配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される。
【0041】
(5) 配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータがパーソナルコンピューターPC2へ送信(配布)される。ここで、パーソナルコンピューターPC2以外のパーソナルコンピューターへもプリントデータが配布されてもよい。
【0042】
(6) プリントデータを受信したパーソナルコンピューターPC2のユーザーが、画像形成装置MFPでのプリントデータのプリントを要求すると、パーソナルコンピューターPC2から画像形成装置MFPへプリントデータ(配布元のユーザーのアカウント情報を含む)が送信される。
【0043】
(7) 画像形成装置MFPは、受信したプリントデータに含まれる配布元のユーザーのアカウント情報および配布先のユーザーのアカウント情報をいずれも用いて認証処理を行なう。すなわち、画像形成装置MFPは、配布元および配布先のアカウント情報に基づくそれぞれのプリント制限のうち、より制約の少ない方の条件でプリント処理を行なう。
【0044】
(8) 画像形成装置MFPは、認証処理の結果に従って、プリントデータのプリント処理を行なう。
【0045】
<D.装置構成>
(d1:画像形成装置)
次に、図1に示す画像形成装置MFPの構成について説明する。
【0046】
図2は、図1に示す画像形成装置MFPの概略断面図である。図3は、図1に示す画像形成装置MFPの内部構成を示す模式図である。
【0047】
図2を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、イメージスキャナー3と、プリントエンジン4と、給紙部5と、システムコントローラー6とを含む。
【0048】
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラー22と、レジストローラー23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラー22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラー23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するイメージスキャナー3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
【0049】
イメージスキャナー3は、撮像デバイス33と、原稿台35とを含む。撮像デバイス33は、被写体である原稿に対する相対位置を時間的に変化させて、原稿の画像を読取る。撮像デバイス33は、主要な構成要素として、原稿に対して光を照射する光源と、光源から照射された光が原稿で反射して生じる画像を取得するイメージセンサーと、イメージセンサーから画像信号を出力するためのAD(Analog to Digital:アナログデジタル)変換器と、イメージセンサーの前段に配置された結像光学系とを含む。なお、スキャン対象の原稿は、原稿台35に載置されることもできる。
【0050】
プリントエンジン4は、一例として、電子写真方式の画像形成プロセスが実行される。具体的には、フルカラーのプリント出力が可能である。具体的には、プリントエンジン4は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を生成するイメージング(作像)ユニット44Y,44M,44C,44Kを含む。イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、プリントエンジン4内に張架されて駆動される転写ベルト27に沿って、その順序に配置される。
【0051】
イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、それぞれ画像書込部43Y,43M,43C,43Kと、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kとを含む。画像書込部43Y,43M,43C,43Kの各々は、対象のプリントデータに含まれる各色イメージに応じたレーザ光を発するレーザダイオードと、このレーザ光を偏向して対応の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面を主走査方向に露光させるポリゴンミラーとを含んでいる。
【0052】
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面には、上述のような画像書込部43Y,43M,43C,43Kによる露光によって静電潜像が形成され、この静電潜像がそれぞれ対応するトナーユニット441Y,441M,441C,441Kから供給されるトナー粒子によってトナー像として現像される。
【0053】
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面に現像された各色のトナー像は、転写ベルト27に順次転送される。さらに、この転写ベルト27上に重ねられたトナー像は、給紙部5からタイミングを合わせて供給される記録紙にさらに転写される。
【0054】
この記録紙上に転写されたトナー像は、下流部に配置された定着部において定着された後、トレイ57に排出される。
【0055】
上述の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kにおける動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラー52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラー55および56ならびにタイミングローラー51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
【0056】
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ベルトを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ローラーを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラー、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
【0057】
定着装置47は、加熱ローラー471と加圧ローラー472とを含む。加熱ローラー471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラー471と加圧ローラー472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ベルトを用いた定着方式に代えて、定着ローラーなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
【0058】
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラー、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kを用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
【0059】
IDCセンサー49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出する。このIDCセンサー49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサーであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検出する。
【0060】
システムコントローラー6は、画像形成装置MFPにおける全体の制御を司る。
図3を参照して、システムコントローラー6は、主たる構成要素として、制御手段としてのCPU60と、RAM61と、ROM62と、入力インターフェイス(I/F)63と、出力インターフェイス(I/F)64と、通信インターフェイス(I/F)65とを含む。なお、これらの各部は、バス66を介して互いに通信可能に接続されている。
【0061】
CPU60は、ROM62に予め格納されているプログラムを読み出して実行することで、後述するような各種動作を実行する。RAM61は、揮発性のメモリーであって、CPU60におけるプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
【0062】
入力インターフェイス63は、図示しない操作パネル装置など配置されている操作キー群からのユーザー入力を受付ける。出力インターフェイス64は、典型的には、CPU60からの内部コマンドに従って、各種の内部コマンドを発生する。通信インターフェイス65は、パーソナルコンピューターPCとの間でプリントデータなどを遣り取りする。
【0063】
(d2:パーソナルコンピューター)
次に、図1に示すパーソナルコンピューターPCの構成について説明する。
【0064】
図4は、図1に示すパーソナルコンピューターPCの内部構成を示す模式図である。パーソナルコンピューターPCは、オペレーティングシステムを含む各種プログラムを実行するCPU200と、CPU200でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリー212と、CPU200で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク210とを有する。このようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブ214またはフレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)ドライブ216によって、それぞれCD−ROM214aまたはフレキシブルディスク216aなどから読取られる。
【0065】
CPU200は、キーボードやマウスなどからなる入力部208を介してユーザーによる操作要求を受取るとともに、プログラムの実行によって生成される画面出力をディスプレイ204へ出力する。また、CPU200は、LANカードなどからなるネットワークインターフェイス(I/F)206を介して、画像形成装置MFPや他のパーソナルコンピューターPCとの間でプリントデータなどを遣り取りする。これらの部位は、内部バス202を介して互いに接続される。
【0066】
<E.処理例>
以下、本発明の実施の形態に従う画像形成システムによって提供される処理例を従来の処理例と比較しつつ説明する。
【0067】
(e1:カラープリント制限)
図5〜図8は、カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【0068】
図5には、カラーを用いて作成されたページを含むプリントデータの一例を示す。
図5に示すプリントデータでは、3ページ目がカラーを用いて作成されているものとする。このプリントデータが配布された場合、配布先のユーザーが画像形成装置MFPを使用する際には、カラープリントについて使用権限が与えられていない場合を考える。この場合、図5に示すように、3ページ目については、モノクロプリントされる。この結果、配布元のユーザー(プリントデータの作成者)が意図したとおりにはプリントされない。すなわち、配布先のユーザーのユーザー権限に依存して、配布元のユーザーが意図したプリント結果とは異なるプリント結果が得られる。
【0069】
これは、配布先のユーザーに与えられているユーザー権限が配布元のユーザーに与えられているユーザー権限と異なることが主要因である。そのため、本実施の形態においては、必要なページに対して、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、配布元のユーザーに与えられているユーザー権限と同様のユーザー権限を配布先のユーザーにも付加する。
【0070】
具体的には、図6に示すように、1,2,4,5ページ目については、配布先のユーザーのアカウント情報が付加された状態で画像形成装置MFPに送信されることになるが、カラーが用いられている3ページ目については、配布元のユーザーのアカウント情報が予め付加された状態でユーザーへ配布される。すなわち、3ページ目については、配布元のユーザーのユーザー権限に従って、画像形成装置MFPでプリント処理が実行される。そのため、配布先のユーザーがプリントを行なった場合に、配布元のユーザーが意図している結果を得ることができる。
【0071】
図6に示すように、本実施の形態においては、ユーザー単位かつページ単位で認証処理が実行されるので、プリントデータには、ページ毎にアカウント情報が付加される。そして、プリント処理時には、付加されているアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。そのため、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されているページについては、プリント制限に引っ掛かってプリントされないという事態を回避できる。
【0072】
このようなカラープリント制限に依存して、以下のような課題が生じる可能性がある。
例えば、図7に示すように、複数の要素を分類した円グラフ(カラー)において、各要素が色分けされており、各色に何らかの特定の意味が与えられている場合に、モノクロでプリントされてしまうと、各要素の意味などを説明する際に、配布元のユーザーが予め考えていた説明とは異なる説明をせざるを得ない。すなわち、配布元のユーザーは、「赤色」が○○であり、「青色」が△△であり、といった具合に予め説明内容を考えていたにもかかわらず、モノクロプリントされたプリント結果を配布先のユーザーが持参した場合には、その説明の仕方をその場で変更せざるを得ない。
【0073】
また、図8に示すように、配布元のユーザーが配布先のユーザーに着目して欲しい部分を着色した資料を作成したにもかかわらず、モノクロプリントされたプリント結果では、その着色した部分を特定するのが難しくなる。すなわち、配布元のユーザーが、トピック部分を色分けして、その部分に注目して説明を行なう場合、配布先のユーザーが持参したプリント結果がモノクロであれば、いずれの部分を説明したいかを示すのが困難になる。
【0074】
このような不具合が生じないように、本実施の形態においては、ページ単位で、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、そのユーザー権限を与えておき、それにより、配布元のユーザーが意図したとおりのプリント結果が得られるようにする。
【0075】
(e2:両面プリント制限)
図9〜図11は、両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【0076】
図9に示すプリントデータは、5ページからなり、そのうち、2ページ目と3ページ目とで一つの表になっている。また、1ページ目と2ページ目とは、1枚の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることが意図されており、同様に、3ページ目と4ページ目とは、1枚の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることが意図されている。
【0077】
このようなプリントデータをプリントする際に、両面プリントが制限されていると、裏面にはプリントされないので、各ページの内容が表面にだけプリントされた状態で出力されることになる。このような片面プリントがなされると、2ページ目および3ページ目が別の用紙にプリントされてしまい、その内容(一体の表)を把握しづらい。
【0078】
上述したように、このようなプリントデータに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されて、このような配布元のユーザーが意図した内容とは異なるプリント結果が生じることを回避する。但し、このような場合には、一つの表を構成する2ページ目および3ページ目に対してのみに配布元のアカウント情報を付加しただけでは、配布元のユーザーが意図したプリント結果を得られるとは限らない。
【0079】
すなわち、図10には、図9に示すプリントデータの2ページ目および3ページ目に対してのみ、配布元のアカウント情報を付加した場合の処理例を示す。すなわち、2ページ目および3ページ目については、両面プリントが制限されない状態を示す。
【0080】
図10に示すように、2ページ目および3ページ目の両面プリントが制限されないとしても、1ページ目の両面プリントについては制約されるため、本来、1ページ目がプリントされた用紙の裏面にプリントされるべき2ページ目の内容が次の用紙の表面にプリントされることになる。そのため、2ページ目と3ページ目の内容とが見開きの状態ではなく、同一の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることになる。このように、2ページ目および3ページ目だけに対して、配布元のユーザーのアカウント情報を付加しただけでは、配布元のユーザーの意図した印刷結果を得られない。
【0081】
すなわち、両面プリント設定による資料については、対になっているページだけを指定しても意図したプリント結果にならない。そこで、本実施の形態においては、両面プリントが設定されているページについては、当該ページに隣接するページに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報を付加する。
【0082】
具体的には、図11に示すように、両面プリントが設定されている2ページ目および3ページ目に加えて、隣接する1ページ目および4ページ目に対しても、配布元のユーザーのアカウント情報が付加される。このように、両面プリントが設定されているページの前後にあるページに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、配布元のユーザーが意図したプリント結果を得ることができる。
【0083】
(e3:部単位)
本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、部単位で処理を行なう機能を搭載している場合もある。具体的には、ステイプル処理やパンチ処理などの処理、ならびに、入力された原稿データに対して、冊子形式でプリントする小冊子設定などである。
【0084】
このような部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して、配布元のユーザーのアカウント情報が付加される。これにより、本来一体的にステイプル処理が行なわれなければならない複数のページについて、その一部のページがステイプル処理されないといった不具合を回避できる。
【0085】
<F.制御構造>
次に、上述のような処理を提供するための制御構造について説明する。
【0086】
図12は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムに実装される制御構造を示すブロック図である。図13は、図12に示す認証情報のデータ構造の一例を示す図である。図14は、図12に示すアカウント情報のデータ構造の一例を示す図である。図15は、配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際のユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。
【0087】
図12を参照して、パーソナルコンピューターPCは、その制御機能として、プリントデータ作成部252およびプリントデータ送受信部254を含む。これらの機能は、典型的には、パーソナルコンピューターPCのCPU200がプログラムを実行することで提供される。
【0088】
画像形成装置MFPは、その制御機能として、アカウント情報付加部152と、認証部154と、プリント処理部156とを含む。これらの機能は、典型的には、画像形成装置MFPのシステムコントローラー6のCPU60がプログラムを実行することで提供される。
【0089】
パーソナルコンピューターPCについて、プリントデータ作成部252は、プリントデータを作成する。典型的には、プリントデータ作成部252は、文書作成アプリケーション、表作成アプリケーション、プレゼンテーション資料作成アプリケーションなどの各種アプリケーションと、プリンタードライバーとを含む。ユーザーは、パーソナルコンピューターPC上で、これらのアプリケーションを操作して配布すべき資料を作成した後、プリント指示などのボタンを選択することで、プリンタードライバーが当該作成した資料のプリントデータ262を生成する。
【0090】
プリントデータ送受信部254は、プリントデータ作成部252が作成したプリントデータ262を画像形成装置MFPや他のパーソナルコンピューターPCとの間で遣り取りする。具体的には、プリントデータ送受信部254は、通信インターフェイスおよびプリントデータ262を格納するための記憶手段とを含む。
【0091】
画像形成装置MFPについて、アカウント情報付加部152は、作成されたプリントデータ262に当該プリントデータ262を作成した配布元のユーザーに与えられているアカウント情報を付加する。より具体的には、アカウント情報付加部152は、ユーザーが画像形成装置MFPを操作することで入力されるアカウント情報264をプリントデータ262に付加する。このアカウント情報264が付加されたプリントデータ262は、パーソナルコンピューターPCへ送信される。
【0092】
認証部154は、パーソナルコンピューターPCなどからプリントデータ262とともにプリント要求を受信すると、プリントが要求されたプリントデータ262に付加されているアカウント情報266に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置MFPにおけるプリント制限を行なう。より具体的には、認証部154は、予め登録されている認証情報158を参照しつつ、プリントデータに含まれる各ページがプリント制限を満足しているか否かを順次判断する。
【0093】
本実施の形態においては、プリントデータには、プリントを要求したユーザー(配布先のユーザー)のアカウント情報に加えて、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されている(アカウント情報266)。すなわち、認証部154は、配布先のユーザーが配布先のユーザーのアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置MFPでプリントするように指示したことに応答して、配布元のユーザーに与えられている配布元のユーザーのアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、配布元および配布先のアカウント情報に基づくそれぞれのプリント制限のうち、より制約の少ない方の条件で、画像形成装置MFPにプリントを行なわせる。
【0094】
プリント処理部156は、画像形成装置MFPにおけるプリント処理を管理する。
図13を参照して、認証部154が参照する認証情報158には、画像形成装置MFPが提供する各機能について、ユーザー別に利用の可否が定義されている。図13に示す認証情報158において、「Y」は利用可能を意味し、「N」は利用不可を意味する。例えば、ユーザー「HANAKO」は、「モノクロプリント」のみが利用可能であるのに対して、ユーザー「TARO」は、「モノクロプリント」、「カラープリント」、「両面プリント」、「ステイプル処理」、「小冊子印刷」のいずれも利用可能である。
【0095】
図14(A)には、画像形成装置MFPからパーソナルコンピューターPC(配布元)へ送信されるプリントデータに付加されるアカウント情報264の一例を示し、図14(B)には、パーソナルコンピューターPC(配布先)から画像形成装置MFPへ送信されるプリントデータに付加されるアカウント情報266の一例を示す。なお、配布元のユーザーのユーザーIDが「TARO」であり、配布先のユーザーのユーザーIDが「HANAKO」であるとする。
【0096】
アカウント情報264には、ページ毎に、プリントに関するユーザー権限を示すユーザーID(配布元)が設定される。図14(A)に示す例では、5,7,10ページ目に、ユーザー「TARO」のユーザー権限が付加されることになる。このアカウント情報264の内容は、基本的には、配布元のユーザーが操作することで設定される。
【0097】
アカウント情報266には、ページ毎に、プリントに関するユーザー権限を示すユーザーID(配布先)がさらに設定される。図14(B)に示す例では、画像形成装置MFPにおけるプリントデータのプリントを指示したユーザーが「HANAKO」であり、このユーザーIDがアカウント情報266内に追記される。このアカウント情報266の内容は、基本的には、配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCにおいて自動的に付加される。
【0098】
アカウント情報266が付加されたプリントデータ262を受信した画像形成装置MFPは、各ページについて、対応するユーザーIDのユーザー権限に基づいて、プリント処理を実行する。図13および図14に示す例では、5,7,10ページについては、すべての機能を利用できる「TARO」のユーザー権限が付加されているので、基本的には、何らのプリント制限もなくプリント処理を行なうことができる。これに対して、1〜4,6,8,9ページについては、「HANAKO」のユーザー権限のみが与えられるに過ぎないので、「モノクロプリント」のみを利用して、プリント処理が実行される。
【0099】
図15を参照して、配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際には、画像形成装置MFP上にユーザーインターフェイス画面が提示される。配布元のユーザーは、自身のユーザーIDおよび対応するパスワードを入力するとともに、自身のユーザー権限を付与する対象のページを指定する。画像形成装置MFPは、入力されたユーザーIDおよび対応するパスワードに基づいて認証処理を行ない、この認証処理が成功すると、指定されたページについて、配布元のユーザーのアカウント情報を付加する。
【0100】
なお、図12には、パーソナルコンピューターPCと画像形成装置MFPとの間で、本実施の形態に従う配布方法を実現するためのそれぞれの機能が分散的に実装される例を示したが、これらの機能の実装形態は、現実のシステムに応じて適宜変更できる。例えば、これらの機能のすべてを画像形成装置MFPに集約してもよいし、あるいは、パーソナルコンピューターPCが多くの機能を実現するようにしてもよい。
【0101】
なお、パーソナルコンピューターPCで作成されたプリントデータ262が画像形成装置MFPへ一旦送信された上で、配信元のユーザーのアカウント情報が付加されるという手順を採用するのは、配信元のユーザーのアカウント情報を付加する際に行われる認証処理を容易化するためであるが、この認証処理を、省略、あるいは、外部の認証サーバーなどを用いて行なう場合には、プリントデータを生成したパーソナルコンピューターPCから画像形成装置MFPへプリントデータを送信する必要はない。この場合には、パーソナルコンピューターPCがプリントデータの生成および配信元のユーザーのアカウント情報の付加を共に行なうようにしてもよい。
【0102】
<G.処理手順>
次に、上述のような処理を提供するための処理手順について説明する。
【0103】
(g1:プリントデータの作成・配布段階)
図16は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータの作成・配布段階の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCまたは画像形成装置MFPにおいて実行される。
【0104】
図16を参照して、配布元のユーザーが自身の使用するパーソナルコンピューターPC上で、プリントデータ(配布資料)を作成する(ステップS100)。続いて、配布元のユーザーは、パーソナルコンピューターPCに指令を与えると、作成されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される(ステップS102)。
【0105】
画像形成装置MFPは、パーソナルコンピューターPCから送信されたプリントデータを受信する(ステップS104)。このプリントデータを受信する際には、プリントの一時停止が設定されている。
【0106】
続いて、配布元のユーザーは、画像形成装置MFPを操作して、ページ単位でアカウント情報を付加する。具体的には、以下のような処理が実行される。まず、ユーザーからのアカウント情報付加の開始指示を受付ける(ステップS110)。続いて、アカウント情報を付加するページ番号の指定を受付け(ステップS112)、付加するアカウント情報の指定を受付ける(ステップS114)。そして、指定されたページに指定されたアカウント情報が付加される(ステップS116)。
【0107】
その後、アカウント情報付加の終了指示を受付けると(ステップS118)、ステップS120以下の処理が実行される。そうでなければ、ステップS112以下の処理が再度実行される。
【0108】
ステップS120において、配布元のユーザーが画像形成装置MFPを操作して、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータが配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCへ送信される(ステップS120)。さらに、配布元のユーザーが自身のパーソナルコンピューターPCを操作して、配布先のユーザー(パーソナルコンピューター)へ付加されたアカウント情報とともに、プリントデータを送信(配布)する(ステップS122)。配布先のパーソナルコンピューターPCでは、画像形成装置MFPから受信したプリントデータを格納する。
【0109】
(g2:プリントデータのプリント段階)
図17は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータのプリント段階の処理手順を示すフローチャートである。図17に示す各ステップは、基本的には、画像形成装置MFPのCPU60を含むシステムコントローラー6によって実行される。
【0110】
図17を参照して、プリントデータのプリント要求を受信したか否かを判断する(ステップS200)。プリントデータのプリント要求を受信していない場合(ステップS200においてNOの場合)には、ステップS200以下の処理が再度繰り返される。
【0111】
プリントデータのプリント要求を受信した場合(ステップS200においてYESの場合)には、プリントデータに付加されているページ毎のアカウント情報を取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202において、対象のページについてのアカウント情報を取得できたか否かを判断する(ステップS204)。対象のページについてのアカウント情報を取得できなかった場合(ステップS204においてNOの場合)には、処理はステップS210へ進む。
【0112】
これに対して、対象のページについてのアカウント情報を取得できた場合(ステップS204においてYESの場合)には、当該取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されているか否かを判断する(ステップS206)。取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されていない場合(ステップS206においてNOの場合)には、処理はステップS210へ進む。
【0113】
取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されている場合(ステップS206においてYESの場合)には、配布元のユーザーのアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。すなわち、配布元のユーザーのアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、プリントデータについてのプリント処理が実行される(ステップS208)。
【0114】
一方、ステップS210においては、配布先のユーザーのアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。すなわち、配布先のユーザーのアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、プリントデータについてのプリント処理が実行される(ステップS210)。
【0115】
このアカウント情報に基づく処理としては、認証処理、プリント制限(ユーザー権限)、カウント管理などが含まれる。
【0116】
その後、プリントデータに含まれる項目のうち、プリント制限に引っ掛かる項目があるか否かを判断する(ステップS212)。プリント制限に引っ掛かる項目がある場合(ステップS212においてYESの場合)には、プリントモードを強制的に変更する(ステップS214)。このプリントモードの強制的な変更としては、以下のような処理が挙げられる。
【0117】
(1)カラープリント禁止:カラープリントからモノクロプリントへの変更
(2)両面禁止:両面プリントから片面プリントへの変更
小冊子プリントから片面プリントへの変更
(3)ステイプル禁止:ステイプル有りプリントからステイプル無しプリントへの変更
(4)再利用紙(裏紙)の使用のみ許可:両面プリントから片面プリントへの変更
なお、プリント制限に引っ掛かる項目がない場合(ステップS212においてNOの場合)には、ステップS214の処理はスキップされる。
【0118】
その後、先に設定されたモードに従って、対象ページのプリント処理が実行される(ステップS216)。
【0119】
そして、プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了したか否かを判断する(ステップS218)。プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了していない場合(ステップS218においてNOの場合)には、ステップS202以下の処理が繰返し実行される。これに対して、プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了している場合(ステップS218においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0120】
<H.付記>
本発明は、別の局面として、さらに以下のように表現することができる。
【0121】
本発明の別の局面に従う画像形成装置は、アカウント情報に基づいてユーザー毎でかつページ単位にプリント制限を行なう認証機能を有する画像形成装置であって、配布先へデータを送付するときに、ページ毎に配布元と配布先とのアカウント情報を付加し、配布されたプリントデータをプリントする場合、ページ毎に付加されたアカウント情報により認証処理を行なうことでプリント制限機能を行ない、これによって、既存のアカウント機能を用いてアカウント管理を行ないつつ配布先のプリント制限に引っかかってしまう場合でも配布元のアカウント情報を用いることで配布元の意図したプリントを行なう手段を含む。
【0122】
好ましくは、両面プリントページに対し、配布元アカウント情報を付加する場合、対象ページの前後のページに対しても配布元アカウント情報を付加する。
【0123】
好ましくは、ステープルモードや小冊子モードなどの部単位で意味を成す設定が指定されているような場合には、プリントデータ全体に対し配布元アカウント情報を付加する。
【0124】
<I.まとめ>
本実施の形態によれば、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできる。すなわち、既存のユーザー毎に機能制限が設定可能な認証機能を利用して、会議などで使用する資料をプリントする場合に、プリント制限に引っ掛かる資料であってもプリントすることができる。より具体的には、ページ単位に配布元のアカウント情報を付加することにより、配布先ユーザーのプリント制限に引っ掛かる資料でも既存の認証機能を用いて、配布元のユーザーが意図したプリントができる。
【0125】
これによって、会議などで、説明者と参加者との間で意思疎通が阻害されるといった不具合を回避できる。また、新たな認証機能を構築することなく、既存の認証機能を流用することで、プリント制限でプリントできないユーザーであっても、適正なアカウント管理を行ないつつ配布元のユーザーが意図してプリント結果を得られる。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
2 自動原稿搬送部、3 イメージスキャナー、4 プリントエンジン、5 給紙部、6 システムコントローラー、21 原稿給紙台、22,52,53,54 送出ローラー、23 レジストローラー、24 搬送ドラム、25 排紙台、26 手差給紙部、27 転写ベルト、33 撮像デバイス、35 原稿台、41,41Y,41M,41C,41K 感光体ドラム、43Y,43M,43C,43K 画像書込部、44Y,44M,44C,44K イメージング(作像)ユニット、45 転写器、46 除電器、47 定着装置、48 クリーニング部、49 センサー、51 タイミングローラー、55 搬送ローラー、57 トレイ、60,200 CPU、61 RAM、62 ROM、63 入力インターフェイス、64 出力インターフェイス、65 通信インターフェイス、66 バス、152 アカウント情報付加部、154 認証部、156 プリント処理部、158 認証情報、202 内部バス、204 ディスプレイ、208 入力部、210 ハードディスク、212 メモリー、214 CD−ROMドライブ、216 フレキシブルディスクドライブ、214a CD−ROM、216a フレキシブルディスク、252 プリントデータ作成部、254 プリントデータ送受信部、262 プリントデータ、264,266 アカウント情報、441Y,441M,441C,441K トナーユニット、471 加熱ローラー、472 加圧ローラー、MFP 画像形成装置、NW ネットワーク、PC,PC1〜PC4 パーソナルコンピューター。
【技術分野】
【0001】
本発明は、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限が可能な画像形成システムおよび画像形成装置、ならびにそれらにおけるプリントデータ配布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、省資源化やコスト管理の観点から、画像形成装置でのプリント処理に対する制限が加えられている場合がある。このようなプリント制限は、部署単位、ユーザー単位、ジョブ単位、ページ単位などの状況に応じて各種の粒度で管理される。
【0003】
一方で、会社組織などにおいては、会議の事前資料などとして、各種データが電子的に配布されることも一般的である。このようなプリントデータの配布に関する技術としては、以下のようなものが知られている。
【0004】
特開2008−302629号公報(特許文献1)に開示されるシステムでは、会議主催者により、ファイルサーバーには予め会議資料が蓄積され、認証サーバーにはユーザー名と会議名と会議資料の保存先とを対応付けた情報が登録される。複合機は、参加者からユーザーIDとパスワードの入力があると、それをLANを介して認証サーバーに送って本人確認を要求する。認証されると、当該参加者が参加予定の会議名とその資料の保存先を認証サーバーから取得し、取得した会議名を操作パネル上に一覧表示させる。当該参加者から会議名の選択入力を受付け、選択された会議名の会議資料をLANを介してフアイルサーバ内の保存先から取得し、取得した会議資料をプリント出力する。
【0005】
このようなプリントデータが配布される際に、異なるプリント制限がなされている画像形成装置が複数存在する場合などにおいては、配布元のユーザーが意図した内容のプリント結果が配布先において得られない可能性がある。すなわち、配布先の画像形成装置に与えられている権限などが異なるため、配布元のユーザーが意図した内容がプリント制限に引っ掛かってプリントされない可能性もある。
【0006】
例えば、特開2006−235757号公報(特許文献3)には、ユーザー権限を変更する技術が開示されている。すなわち、ユーザー認証機能を有する画像入出力システムを用いて、まず当該システムの利用権限を有する第1のユーザーを認証し、当該ユーザーがログインした状態において、権限を有さない第2のユーザーに付与する一時的な利用権限の設定画面を表示する。そして、その設定画面を介して第1のユーザーによって設定された範囲内で、当該システムの一時的な利用権限を、もともと権限を有していない第2のユーザーに付与する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−302629号公報
【特許文献2】特開2010−074683号公報
【特許文献3】特開2006−235757号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上述の特許文献3に開示されるようなシステムでは、配布されたプリントデータをプリントする際に、ユーザーが付加的な操作を行なわなければならず、ユーザーから見れば煩わしい。
【0009】
そこで、本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、その目的は、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできるような画像形成システム、画像形成装置およびプリントデータ配布方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面に従う画像形成装置を含む画像形成システムは、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、プリントデータを作成する作成手段と、作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【0011】
好ましくは、付加手段は、両面プリントが設定されているページについて、当該ページに隣接するページに対しても第1のアカウント情報を付加する。
【0012】
好ましくは、付加手段は、部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して第1のアカウント情報を付加する。
【0013】
さらに好ましくは、部単位で本来的な意味をなす設定は、ステープル設定および小冊子設定の少なくとも一方を含む。
【0014】
本発明の別の局面に従う画像形成装置は、プリントデータを受信する受信手段と、受信したプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加する付加手段と、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限を行なう認証手段とを含む。認証手段は、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータのプリント指示に応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件でプリントする。
【0015】
本発明のさらに別の局面に従えば、画像形成装置を含む画像形成システムにおけるプリントデータ配布方法を提供する。プリントデータ配布方法は、アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なうステップと、プリントデータを作成するステップと、作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信するステップとを含む。プリント制限を行なうステップでは、第2のユーザーが第1のアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、画像形成装置にプリントを行なわせる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成例を示す模式図である。
【図2】図1に示す画像形成装置の概略断面図である。
【図3】図1に示す画像形成装置の内部構成を示す模式図である。
【図4】図1に示すパーソナルコンピューターの内部構成を示す模式図である。
【図5】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図6】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図7】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図8】カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図9】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図10】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図11】両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【図12】本発明の実施の形態に従う画像形成システムに実装される制御構造を示すブロック図である。
【図13】図12に示す認証情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図14】図12に示すアカウント情報のデータ構造の一例を示す図である。
【図15】配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際のユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。
【図16】本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータの作成・配布段階の処理手順を示すフローチャートである。
【図17】本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータのプリント段階の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0019】
<A.概要>
本実施の形態に従う画像形成システムにおいては、プリントデータに配布元のユーザー権限を付加した上で、当該プリントデータを配布する。配布を受けたユーザーが画像形成装置を用いて、当該プリントデータをプリントする際には、自身のユーザー権限に加えて、配布元のユーザーのユーザー権限を利用できるようにする。これにより、プリントデータを配布した先のユーザーに与えられているユーザー権限を越える内容が含まれている場合であっても、少なくとも、配布元のユーザーに与えられているユーザー権限を利用できるので、配布元のユーザーが当該プリントデータをプリントして得られる結果と実質的に同様の結果を得ることができる。
【0020】
このようなスキームを利用することで、配布元と配布先とのユーザーの間で、プリント結果が異なって情報共有が妨げられるといった事態を回避できる。
【0021】
なお、説明の便宜上、以下の説明においては、プリントデータを作成したユーザー、および/または、当該プリントデータを配布するユーザーを、「配布元」と総称する。また、プリントデータを受信したユーザー、および/または、当該プリントデータのプリントを要求するユーザーを、「配布先」と総称する。
【0022】
以下、上述したように、配布元のユーザー権限を用いてプリントを可能とするために、プリントデータに少なくとも配布元のアカウント情報を付加させる。なお、プリントデータに配布先のアカウント情報を付加してもよい。
【0023】
<B.課題>
上述したように、プリント制限が設定されている複数の画像形成装置からなる画像形成システムにおいて、プリントデータを配布(共有)する場合には、以下のような課題が生じ得る。
【0024】
(1) 会議などを行なう場合には、事前に会議で使用する資料(プリントデータ)を添付して案内の電子メールを送信するのが一般的となっている。案内の電子メールを受けたユーザーは、必要に応じて、添付された資料を紙にプリントして会議に出席することになる。しかしながら、各ユーザーに設定されているユーザー権限によっては、配布元から送信された資料の内容が、当該配布先のユーザーに設定されているユーザー権限(プリント権限)に引っ掛かり、配布元が意図した内容でプリントがなされない場合がある。例えば、配布元のユーザーに対して再利用紙(裏紙)の使用しか許可されていない場合には、両面プリントが行なえないため、実質的に片面プリントしか行なうことができない。
【0025】
(2) プリントデータがカラーを用いて作成されているにもかかわらず、配布先のユーザーに対しては、カラープリントが禁止されているような場合もあり、この場合には、本来の内容がプリントされない。より具体的には、カラープリントが禁止されているため、プリントデータをモノクロプリントした場合には、その内容的に、カラーでプリントしなければ把握が困難であるものや、意図した表現が理解できないものもある。このようなものは、説明者にとっても説明しづらい。
【0026】
(3) 色ごとに説明する内容をリンクして意図的に資料を作成している場合には、カラーでプリントしてもらわなければ、ユーザーにその意図が伝わりにくく、説明者にとっても説明しづらい。例えば、説明資料が何らかの報告書である場合には、その内容の詳細については記載されているが、実際の報告時には、報告書内に含まれるトピック的な部分のみを説明すれば十分である場合がある。このような場合、報告書内の説明すべき部分が飛び飛びに存在することになり、このように飛び飛びに存在するトピック部分だけに、着色しておけば、読者が記載箇所へ視線を移動することが容易になる。また、異なるトピックが隣接している場合などには、色分けすることで読者の把握を容易にできる。このような意図的に作成された資料がモノクロでプリントされてしまうと、例えば、分類数が多い円グラフなどについては、その円グラフが表現する特定のデータに注目したいときなどに、読者がその特定のデータを把握するのに時間を要し、あるいは、解りづらいといった不具合が考えられる。また、複数の円グラフが年度別にわかれており、ある特定のデータについて年度別にどのように推移しているかを把握しようとした場合にも同様の不具合が生じ得る。
【0027】
(4) 例えば、プリントデータにおいて、2ページで一つの資料になるように構成されていたり、2ページ間の関連性が高いため、意図的に見開きの状態になるように構成されていたりする場合には、それらを両面プリントで出力しなければ同時には確認できず、見づらい資料となりうる。これに対して、再利用紙(裏紙)などの使用しか許可されていないユーザーなどは、片面プリントしか許可されない場合がある。
【0028】
(5) 上述のような課題を考慮して、プリント権限がないユーザーについても一時的に制約無くプリントができるように、会議の資料を画像形成装置へ送信しておき、会議用の保存場所を新規に作成し、その資料または保存場所へのアクセスについては、会議に参加するユーザーのみがアクセス可能なような会議システムを構築するというアプローチもある。しかしながら、このようなシステムを構築するためには、既存のユーザー認証機能とは別に膨大な開発工数をかけて専用の機能を構築する必要がある。また、アカウント管理にしても、通常のユーザー毎のアカウント管理と別に会議システム用に専用に管理する必要が生じる。
【0029】
(6) あるいは、一時的にプリント権限の無いユーザーに対し、プリント権限を与える方式も考えられるが、このような方式を採用した場合には、プリント権限を与えるユーザーが各ユーザー個別にそのプリント権限を与える作業を行なう必要がある。プリント権限を与えるユーザーが多数いる場合などでは、その作業工数が膨大になる。また、一時的に与えた場合のアカウント管理を別途管理する必要がでてきてしまい、管理上からも乱雑になってしまう。
【0030】
(7) 以下、上述のような課題を考慮して、本実施の形態について説明する。
<C.画像形成装置を含む画像形成システムの構成>
まず、本実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成について説明する。
【0031】
図1は、本発明の実施の形態に従う画像形成装置を含む画像形成システムの構成例を示す模式図である。図1を参照して、画像形成システムは、1つ以上の画像形成装置MFPと、1つ以上のパーソナルコンピューターPC1〜PC4とを含む。図1には、4台のパーソナルコンピューターを図示するが、パーソナルコンピューターの台数についての制限はない。
【0032】
画像形成装置MFPおよびパーソナルコンピューターPC1〜PC4(以下「パーソナルコンピューターPC」とも総称する。)は、互いにネットワークNWを介して接続されている。ネットワークNWは、LAN(Local Area Network)などの専用回線を用いたネットワーク、一般回線を用いたネットワーク、無線通信によるネットワークのいずれであってもよい。
【0033】
画像形成装置MFPは、プリンタ、コピー機、ファクシミリ、複合機(multi-functional peripheral)などのプリントエンジンを搭載した装置である。本実施の形態においては、画像形成装置MFPが複合機である例を示す。画像形成装置MFPは、スキャナーの走査によって原稿から取得した画像(コピージョブ)、および、いずれかのパーソナルコンピューターPCから受信したプリントデータから生成した画像(プリントジョブ)、についての複写画像を用紙上に形成する。プリントデータは、典型的には、パーソナルコンピューターPCのオペレーティングシステムやアプリケーションプログラムが発行する描画命令を、プリンタードライバーによって画像形成装置MFPが処理可能なページ記述言語に変換したページ記述言語による描画命令を含む。プリントデータは、PDF(Portable Document Format)、TIFF(Tagged Image File Format)、JPEG(Joint Photographic Experts Group)、XPS(XML Paper Specification)等のファイルフォーマットで記述された文書データを含み得る。
【0034】
画像形成装置MFPは、後述するように、ユーザーのアカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段を有している。認証手段は、予め登録された条件に従って、各ユーザーに対して、ページ単位で使用できるプリントモードを制限する。
【0035】
パーソナルコンピューターPCは、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、固定記憶装置(フラッシュメモリなど)、モニター等を有する汎用的な情報処理装置である。パーソナルコンピューターPCは、ユーザー操作に応答して、作成されたプリントデータ(プリントジョブ)を画像形成装置MFPへネットワーク送信できる。
【0036】
本実施の形態に従う画像形成システムにおいては、典型的には、あるユーザー(配布元)が作成プリントデータを他のユーザーへ配布する。この際、画像形成装置MFPにおけるユーザー(配布先)に対するプリント制限によって、配布元のユーザーが意図したとおりにプリントされないという自体を避けるため、配布元のユーザーのアカウント情報がプリントデータに付加される。より具体的には、以下のような手順で、プリントデータが配布される。なお、配布元のユーザーは、パーソナルコンピューターPC1を使用しており、配布先のユーザーは、パーソナルコンピューターPC2を使用しているとする。
【0037】
(1) まず、パーソナルコンピューターPC1を利用する配布元のユーザーが文書作成アプリケーションなどを用いて、プリントデータを作成する。
【0038】
(2) パーソナルコンピュータ−PC1において作成されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される。
【0039】
(3) 画像形成装置MFPにおいて、配布元のユーザーの操作に応答して、当該配布元のユーザーのアカウント情報がプリントデータに付加される。
【0040】
(4) 配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される。
【0041】
(5) 配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータがパーソナルコンピューターPC2へ送信(配布)される。ここで、パーソナルコンピューターPC2以外のパーソナルコンピューターへもプリントデータが配布されてもよい。
【0042】
(6) プリントデータを受信したパーソナルコンピューターPC2のユーザーが、画像形成装置MFPでのプリントデータのプリントを要求すると、パーソナルコンピューターPC2から画像形成装置MFPへプリントデータ(配布元のユーザーのアカウント情報を含む)が送信される。
【0043】
(7) 画像形成装置MFPは、受信したプリントデータに含まれる配布元のユーザーのアカウント情報および配布先のユーザーのアカウント情報をいずれも用いて認証処理を行なう。すなわち、画像形成装置MFPは、配布元および配布先のアカウント情報に基づくそれぞれのプリント制限のうち、より制約の少ない方の条件でプリント処理を行なう。
【0044】
(8) 画像形成装置MFPは、認証処理の結果に従って、プリントデータのプリント処理を行なう。
【0045】
<D.装置構成>
(d1:画像形成装置)
次に、図1に示す画像形成装置MFPの構成について説明する。
【0046】
図2は、図1に示す画像形成装置MFPの概略断面図である。図3は、図1に示す画像形成装置MFPの内部構成を示す模式図である。
【0047】
図2を参照して、画像形成装置MFPは、自動原稿搬送部2と、イメージスキャナー3と、プリントエンジン4と、給紙部5と、システムコントローラー6とを含む。
【0048】
自動原稿搬送部2は、原稿の連続的なスキャンを行なうためのものであり、原稿給紙台21と、送出ローラー22と、レジストローラー23と、搬送ドラム24と、排紙台25とを含む。スキャン対象の原稿は、原稿給紙台21上に載置され、送出ローラー22の作動により一枚ずつ送り出される。そして、この送り出された原稿は、レジストローラー23により一旦停止されて先端が整えられた後に、搬送ドラム24へ搬送される。さらに、この原稿は、搬送ドラム24のドラム面と一体に回転し、その過程において後述するイメージスキャナー3により画像面がスキャンされる。その後、原稿は、搬送ドラム24のドラム面を略半周した位置においてドラム面から分離されて排紙台25へ排出される。
【0049】
イメージスキャナー3は、撮像デバイス33と、原稿台35とを含む。撮像デバイス33は、被写体である原稿に対する相対位置を時間的に変化させて、原稿の画像を読取る。撮像デバイス33は、主要な構成要素として、原稿に対して光を照射する光源と、光源から照射された光が原稿で反射して生じる画像を取得するイメージセンサーと、イメージセンサーから画像信号を出力するためのAD(Analog to Digital:アナログデジタル)変換器と、イメージセンサーの前段に配置された結像光学系とを含む。なお、スキャン対象の原稿は、原稿台35に載置されることもできる。
【0050】
プリントエンジン4は、一例として、電子写真方式の画像形成プロセスが実行される。具体的には、フルカラーのプリント出力が可能である。具体的には、プリントエンジン4は、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各色のトナー像を生成するイメージング(作像)ユニット44Y,44M,44C,44Kを含む。イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、プリントエンジン4内に張架されて駆動される転写ベルト27に沿って、その順序に配置される。
【0051】
イメージングユニット44Y,44M,44C,44Kは、それぞれ画像書込部43Y,43M,43C,43Kと、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kとを含む。画像書込部43Y,43M,43C,43Kの各々は、対象のプリントデータに含まれる各色イメージに応じたレーザ光を発するレーザダイオードと、このレーザ光を偏向して対応の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面を主走査方向に露光させるポリゴンミラーとを含んでいる。
【0052】
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面には、上述のような画像書込部43Y,43M,43C,43Kによる露光によって静電潜像が形成され、この静電潜像がそれぞれ対応するトナーユニット441Y,441M,441C,441Kから供給されるトナー粒子によってトナー像として現像される。
【0053】
感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kの表面に現像された各色のトナー像は、転写ベルト27に順次転送される。さらに、この転写ベルト27上に重ねられたトナー像は、給紙部5からタイミングを合わせて供給される記録紙にさらに転写される。
【0054】
この記録紙上に転写されたトナー像は、下流部に配置された定着部において定着された後、トレイ57に排出される。
【0055】
上述の感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kにおける動作と並行して、記録紙を収容する給紙部5の給紙カセットにそれぞれ対応する送出ローラー52,53,54および手差給紙部26のうち、画像形成に用いられるべき記録紙に対応する部位が作動して記録紙を供給する。この供給された記録紙は、搬送ローラー55および56ならびにタイミングローラー51によって搬送され、感光体ドラム41上に形成されたトナー像に同期するように、感光体ドラム41に給紙される。
【0056】
転写器45は、感光体ドラム41に反対極性の電圧を印加することで、感光体ドラム41上に形成されたトナー像を記録紙に転写する。そして、除電器46は、トナー像が転写された記録紙を除電することで、記録紙を感光体ドラム41から分離させる。その後、トナー像が転写された記録紙は定着装置47へ搬送される。なお、転写器45としては、図1に示すような転写ベルトを用いた転写方式に代えて、転写チャージャーまたは転写ローラーを用いた転写方式を採用してもよい。あるいは、感光体ドラム41から記録紙へトナー像を直接転写する直接転写方式に代えて、感光体ドラム41と記録紙との間に、転写ローラー、転写ベルトといった中間転写体を配置して、2段階以上のプロセスによって転写を行なうようにしてもよい。
【0057】
定着装置47は、加熱ローラー471と加圧ローラー472とを含む。加熱ローラー471は、記録紙を加熱することで、その上に転写されたトナーを溶融するとともに、加熱ローラー471と加圧ローラー472との間の圧縮力により、溶融したトナーが記録紙上に定着される。そして、記録紙はトレイ57に排出される。なお、定着装置47としては、図1に示すような定着ベルトを用いた定着方式に代えて、定着ローラーなど用いた定着方式、もしくは非接触の定着方式を採用してもよい。
【0058】
一方、記録紙が分離された感光体ドラム41では、その残留電位が除去された後、クリーニング部48によって残留トナーが除去および清掃される。そして、次の画像形成処理が実行される。クリーニング部48は、一例として、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラー、またはこれらの組み合わせにより、残留トナーを除去および清掃する。あるいは、クリーニング部48に代えて、感光体ドラム41Y,41M,41C,41Kを用いて残留トナーを回収するクリーナーレス方式を採用してもよい。
【0059】
IDCセンサー49は、感光体ドラム41上に形成されるトナー像の濃度を検出する。このIDCセンサー49は、代表的に反射型フォトセンサからなる光強度センサーであり、感光体ドラム41の表面からの反射光強度を検出する。
【0060】
システムコントローラー6は、画像形成装置MFPにおける全体の制御を司る。
図3を参照して、システムコントローラー6は、主たる構成要素として、制御手段としてのCPU60と、RAM61と、ROM62と、入力インターフェイス(I/F)63と、出力インターフェイス(I/F)64と、通信インターフェイス(I/F)65とを含む。なお、これらの各部は、バス66を介して互いに通信可能に接続されている。
【0061】
CPU60は、ROM62に予め格納されているプログラムを読み出して実行することで、後述するような各種動作を実行する。RAM61は、揮発性のメモリーであって、CPU60におけるプログラム実行時のワークエリアとして用いられる。
【0062】
入力インターフェイス63は、図示しない操作パネル装置など配置されている操作キー群からのユーザー入力を受付ける。出力インターフェイス64は、典型的には、CPU60からの内部コマンドに従って、各種の内部コマンドを発生する。通信インターフェイス65は、パーソナルコンピューターPCとの間でプリントデータなどを遣り取りする。
【0063】
(d2:パーソナルコンピューター)
次に、図1に示すパーソナルコンピューターPCの構成について説明する。
【0064】
図4は、図1に示すパーソナルコンピューターPCの内部構成を示す模式図である。パーソナルコンピューターPCは、オペレーティングシステムを含む各種プログラムを実行するCPU200と、CPU200でのプログラムの実行に必要なデータを一時的に記憶するメモリー212と、CPU200で実行されるプログラムを不揮発的に記憶するハードディスク210とを有する。このようなプログラムは、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)ドライブ214またはフレキシブルディスク(FD:Flexible Disk)ドライブ216によって、それぞれCD−ROM214aまたはフレキシブルディスク216aなどから読取られる。
【0065】
CPU200は、キーボードやマウスなどからなる入力部208を介してユーザーによる操作要求を受取るとともに、プログラムの実行によって生成される画面出力をディスプレイ204へ出力する。また、CPU200は、LANカードなどからなるネットワークインターフェイス(I/F)206を介して、画像形成装置MFPや他のパーソナルコンピューターPCとの間でプリントデータなどを遣り取りする。これらの部位は、内部バス202を介して互いに接続される。
【0066】
<E.処理例>
以下、本発明の実施の形態に従う画像形成システムによって提供される処理例を従来の処理例と比較しつつ説明する。
【0067】
(e1:カラープリント制限)
図5〜図8は、カラープリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【0068】
図5には、カラーを用いて作成されたページを含むプリントデータの一例を示す。
図5に示すプリントデータでは、3ページ目がカラーを用いて作成されているものとする。このプリントデータが配布された場合、配布先のユーザーが画像形成装置MFPを使用する際には、カラープリントについて使用権限が与えられていない場合を考える。この場合、図5に示すように、3ページ目については、モノクロプリントされる。この結果、配布元のユーザー(プリントデータの作成者)が意図したとおりにはプリントされない。すなわち、配布先のユーザーのユーザー権限に依存して、配布元のユーザーが意図したプリント結果とは異なるプリント結果が得られる。
【0069】
これは、配布先のユーザーに与えられているユーザー権限が配布元のユーザーに与えられているユーザー権限と異なることが主要因である。そのため、本実施の形態においては、必要なページに対して、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、配布元のユーザーに与えられているユーザー権限と同様のユーザー権限を配布先のユーザーにも付加する。
【0070】
具体的には、図6に示すように、1,2,4,5ページ目については、配布先のユーザーのアカウント情報が付加された状態で画像形成装置MFPに送信されることになるが、カラーが用いられている3ページ目については、配布元のユーザーのアカウント情報が予め付加された状態でユーザーへ配布される。すなわち、3ページ目については、配布元のユーザーのユーザー権限に従って、画像形成装置MFPでプリント処理が実行される。そのため、配布先のユーザーがプリントを行なった場合に、配布元のユーザーが意図している結果を得ることができる。
【0071】
図6に示すように、本実施の形態においては、ユーザー単位かつページ単位で認証処理が実行されるので、プリントデータには、ページ毎にアカウント情報が付加される。そして、プリント処理時には、付加されているアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。そのため、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されているページについては、プリント制限に引っ掛かってプリントされないという事態を回避できる。
【0072】
このようなカラープリント制限に依存して、以下のような課題が生じる可能性がある。
例えば、図7に示すように、複数の要素を分類した円グラフ(カラー)において、各要素が色分けされており、各色に何らかの特定の意味が与えられている場合に、モノクロでプリントされてしまうと、各要素の意味などを説明する際に、配布元のユーザーが予め考えていた説明とは異なる説明をせざるを得ない。すなわち、配布元のユーザーは、「赤色」が○○であり、「青色」が△△であり、といった具合に予め説明内容を考えていたにもかかわらず、モノクロプリントされたプリント結果を配布先のユーザーが持参した場合には、その説明の仕方をその場で変更せざるを得ない。
【0073】
また、図8に示すように、配布元のユーザーが配布先のユーザーに着目して欲しい部分を着色した資料を作成したにもかかわらず、モノクロプリントされたプリント結果では、その着色した部分を特定するのが難しくなる。すなわち、配布元のユーザーが、トピック部分を色分けして、その部分に注目して説明を行なう場合、配布先のユーザーが持参したプリント結果がモノクロであれば、いずれの部分を説明したいかを示すのが困難になる。
【0074】
このような不具合が生じないように、本実施の形態においては、ページ単位で、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、そのユーザー権限を与えておき、それにより、配布元のユーザーが意図したとおりのプリント結果が得られるようにする。
【0075】
(e2:両面プリント制限)
図9〜図11は、両面プリント制限に係る処理例について説明するための図である。
【0076】
図9に示すプリントデータは、5ページからなり、そのうち、2ページ目と3ページ目とで一つの表になっている。また、1ページ目と2ページ目とは、1枚の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることが意図されており、同様に、3ページ目と4ページ目とは、1枚の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることが意図されている。
【0077】
このようなプリントデータをプリントする際に、両面プリントが制限されていると、裏面にはプリントされないので、各ページの内容が表面にだけプリントされた状態で出力されることになる。このような片面プリントがなされると、2ページ目および3ページ目が別の用紙にプリントされてしまい、その内容(一体の表)を把握しづらい。
【0078】
上述したように、このようなプリントデータに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されて、このような配布元のユーザーが意図した内容とは異なるプリント結果が生じることを回避する。但し、このような場合には、一つの表を構成する2ページ目および3ページ目に対してのみに配布元のアカウント情報を付加しただけでは、配布元のユーザーが意図したプリント結果を得られるとは限らない。
【0079】
すなわち、図10には、図9に示すプリントデータの2ページ目および3ページ目に対してのみ、配布元のアカウント情報を付加した場合の処理例を示す。すなわち、2ページ目および3ページ目については、両面プリントが制限されない状態を示す。
【0080】
図10に示すように、2ページ目および3ページ目の両面プリントが制限されないとしても、1ページ目の両面プリントについては制約されるため、本来、1ページ目がプリントされた用紙の裏面にプリントされるべき2ページ目の内容が次の用紙の表面にプリントされることになる。そのため、2ページ目と3ページ目の内容とが見開きの状態ではなく、同一の用紙の表面および裏面にそれぞれプリントされることになる。このように、2ページ目および3ページ目だけに対して、配布元のユーザーのアカウント情報を付加しただけでは、配布元のユーザーの意図した印刷結果を得られない。
【0081】
すなわち、両面プリント設定による資料については、対になっているページだけを指定しても意図したプリント結果にならない。そこで、本実施の形態においては、両面プリントが設定されているページについては、当該ページに隣接するページに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報を付加する。
【0082】
具体的には、図11に示すように、両面プリントが設定されている2ページ目および3ページ目に加えて、隣接する1ページ目および4ページ目に対しても、配布元のユーザーのアカウント情報が付加される。このように、両面プリントが設定されているページの前後にあるページに対しても、配布元のユーザーのアカウント情報を付加することで、配布元のユーザーが意図したプリント結果を得ることができる。
【0083】
(e3:部単位)
本実施の形態に従う画像形成装置MFPは、部単位で処理を行なう機能を搭載している場合もある。具体的には、ステイプル処理やパンチ処理などの処理、ならびに、入力された原稿データに対して、冊子形式でプリントする小冊子設定などである。
【0084】
このような部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して、配布元のユーザーのアカウント情報が付加される。これにより、本来一体的にステイプル処理が行なわれなければならない複数のページについて、その一部のページがステイプル処理されないといった不具合を回避できる。
【0085】
<F.制御構造>
次に、上述のような処理を提供するための制御構造について説明する。
【0086】
図12は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムに実装される制御構造を示すブロック図である。図13は、図12に示す認証情報のデータ構造の一例を示す図である。図14は、図12に示すアカウント情報のデータ構造の一例を示す図である。図15は、配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際のユーザーインターフェイス画面の一例を示す図である。
【0087】
図12を参照して、パーソナルコンピューターPCは、その制御機能として、プリントデータ作成部252およびプリントデータ送受信部254を含む。これらの機能は、典型的には、パーソナルコンピューターPCのCPU200がプログラムを実行することで提供される。
【0088】
画像形成装置MFPは、その制御機能として、アカウント情報付加部152と、認証部154と、プリント処理部156とを含む。これらの機能は、典型的には、画像形成装置MFPのシステムコントローラー6のCPU60がプログラムを実行することで提供される。
【0089】
パーソナルコンピューターPCについて、プリントデータ作成部252は、プリントデータを作成する。典型的には、プリントデータ作成部252は、文書作成アプリケーション、表作成アプリケーション、プレゼンテーション資料作成アプリケーションなどの各種アプリケーションと、プリンタードライバーとを含む。ユーザーは、パーソナルコンピューターPC上で、これらのアプリケーションを操作して配布すべき資料を作成した後、プリント指示などのボタンを選択することで、プリンタードライバーが当該作成した資料のプリントデータ262を生成する。
【0090】
プリントデータ送受信部254は、プリントデータ作成部252が作成したプリントデータ262を画像形成装置MFPや他のパーソナルコンピューターPCとの間で遣り取りする。具体的には、プリントデータ送受信部254は、通信インターフェイスおよびプリントデータ262を格納するための記憶手段とを含む。
【0091】
画像形成装置MFPについて、アカウント情報付加部152は、作成されたプリントデータ262に当該プリントデータ262を作成した配布元のユーザーに与えられているアカウント情報を付加する。より具体的には、アカウント情報付加部152は、ユーザーが画像形成装置MFPを操作することで入力されるアカウント情報264をプリントデータ262に付加する。このアカウント情報264が付加されたプリントデータ262は、パーソナルコンピューターPCへ送信される。
【0092】
認証部154は、パーソナルコンピューターPCなどからプリントデータ262とともにプリント要求を受信すると、プリントが要求されたプリントデータ262に付加されているアカウント情報266に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、画像形成装置MFPにおけるプリント制限を行なう。より具体的には、認証部154は、予め登録されている認証情報158を参照しつつ、プリントデータに含まれる各ページがプリント制限を満足しているか否かを順次判断する。
【0093】
本実施の形態においては、プリントデータには、プリントを要求したユーザー(配布先のユーザー)のアカウント情報に加えて、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されている(アカウント情報266)。すなわち、認証部154は、配布先のユーザーが配布先のユーザーのアカウント情報を含むプリントデータを画像形成装置MFPでプリントするように指示したことに応答して、配布元のユーザーに与えられている配布元のユーザーのアカウント情報を取得するとともに、プリントデータの各ページについて、配布元および配布先のアカウント情報に基づくそれぞれのプリント制限のうち、より制約の少ない方の条件で、画像形成装置MFPにプリントを行なわせる。
【0094】
プリント処理部156は、画像形成装置MFPにおけるプリント処理を管理する。
図13を参照して、認証部154が参照する認証情報158には、画像形成装置MFPが提供する各機能について、ユーザー別に利用の可否が定義されている。図13に示す認証情報158において、「Y」は利用可能を意味し、「N」は利用不可を意味する。例えば、ユーザー「HANAKO」は、「モノクロプリント」のみが利用可能であるのに対して、ユーザー「TARO」は、「モノクロプリント」、「カラープリント」、「両面プリント」、「ステイプル処理」、「小冊子印刷」のいずれも利用可能である。
【0095】
図14(A)には、画像形成装置MFPからパーソナルコンピューターPC(配布元)へ送信されるプリントデータに付加されるアカウント情報264の一例を示し、図14(B)には、パーソナルコンピューターPC(配布先)から画像形成装置MFPへ送信されるプリントデータに付加されるアカウント情報266の一例を示す。なお、配布元のユーザーのユーザーIDが「TARO」であり、配布先のユーザーのユーザーIDが「HANAKO」であるとする。
【0096】
アカウント情報264には、ページ毎に、プリントに関するユーザー権限を示すユーザーID(配布元)が設定される。図14(A)に示す例では、5,7,10ページ目に、ユーザー「TARO」のユーザー権限が付加されることになる。このアカウント情報264の内容は、基本的には、配布元のユーザーが操作することで設定される。
【0097】
アカウント情報266には、ページ毎に、プリントに関するユーザー権限を示すユーザーID(配布先)がさらに設定される。図14(B)に示す例では、画像形成装置MFPにおけるプリントデータのプリントを指示したユーザーが「HANAKO」であり、このユーザーIDがアカウント情報266内に追記される。このアカウント情報266の内容は、基本的には、配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCにおいて自動的に付加される。
【0098】
アカウント情報266が付加されたプリントデータ262を受信した画像形成装置MFPは、各ページについて、対応するユーザーIDのユーザー権限に基づいて、プリント処理を実行する。図13および図14に示す例では、5,7,10ページについては、すべての機能を利用できる「TARO」のユーザー権限が付加されているので、基本的には、何らのプリント制限もなくプリント処理を行なうことができる。これに対して、1〜4,6,8,9ページについては、「HANAKO」のユーザー権限のみが与えられるに過ぎないので、「モノクロプリント」のみを利用して、プリント処理が実行される。
【0099】
図15を参照して、配布元のユーザーが自身のアカウント情報を付加する際には、画像形成装置MFP上にユーザーインターフェイス画面が提示される。配布元のユーザーは、自身のユーザーIDおよび対応するパスワードを入力するとともに、自身のユーザー権限を付与する対象のページを指定する。画像形成装置MFPは、入力されたユーザーIDおよび対応するパスワードに基づいて認証処理を行ない、この認証処理が成功すると、指定されたページについて、配布元のユーザーのアカウント情報を付加する。
【0100】
なお、図12には、パーソナルコンピューターPCと画像形成装置MFPとの間で、本実施の形態に従う配布方法を実現するためのそれぞれの機能が分散的に実装される例を示したが、これらの機能の実装形態は、現実のシステムに応じて適宜変更できる。例えば、これらの機能のすべてを画像形成装置MFPに集約してもよいし、あるいは、パーソナルコンピューターPCが多くの機能を実現するようにしてもよい。
【0101】
なお、パーソナルコンピューターPCで作成されたプリントデータ262が画像形成装置MFPへ一旦送信された上で、配信元のユーザーのアカウント情報が付加されるという手順を採用するのは、配信元のユーザーのアカウント情報を付加する際に行われる認証処理を容易化するためであるが、この認証処理を、省略、あるいは、外部の認証サーバーなどを用いて行なう場合には、プリントデータを生成したパーソナルコンピューターPCから画像形成装置MFPへプリントデータを送信する必要はない。この場合には、パーソナルコンピューターPCがプリントデータの生成および配信元のユーザーのアカウント情報の付加を共に行なうようにしてもよい。
【0102】
<G.処理手順>
次に、上述のような処理を提供するための処理手順について説明する。
【0103】
(g1:プリントデータの作成・配布段階)
図16は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータの作成・配布段階の処理手順を示すフローチャートである。図16に示す各ステップは、配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCまたは画像形成装置MFPにおいて実行される。
【0104】
図16を参照して、配布元のユーザーが自身の使用するパーソナルコンピューターPC上で、プリントデータ(配布資料)を作成する(ステップS100)。続いて、配布元のユーザーは、パーソナルコンピューターPCに指令を与えると、作成されたプリントデータが画像形成装置MFPへ送信される(ステップS102)。
【0105】
画像形成装置MFPは、パーソナルコンピューターPCから送信されたプリントデータを受信する(ステップS104)。このプリントデータを受信する際には、プリントの一時停止が設定されている。
【0106】
続いて、配布元のユーザーは、画像形成装置MFPを操作して、ページ単位でアカウント情報を付加する。具体的には、以下のような処理が実行される。まず、ユーザーからのアカウント情報付加の開始指示を受付ける(ステップS110)。続いて、アカウント情報を付加するページ番号の指定を受付け(ステップS112)、付加するアカウント情報の指定を受付ける(ステップS114)。そして、指定されたページに指定されたアカウント情報が付加される(ステップS116)。
【0107】
その後、アカウント情報付加の終了指示を受付けると(ステップS118)、ステップS120以下の処理が実行される。そうでなければ、ステップS112以下の処理が再度実行される。
【0108】
ステップS120において、配布元のユーザーが画像形成装置MFPを操作して、配布元のユーザーのアカウント情報が付加されたプリントデータが配布元のユーザーが使用するパーソナルコンピューターPCへ送信される(ステップS120)。さらに、配布元のユーザーが自身のパーソナルコンピューターPCを操作して、配布先のユーザー(パーソナルコンピューター)へ付加されたアカウント情報とともに、プリントデータを送信(配布)する(ステップS122)。配布先のパーソナルコンピューターPCでは、画像形成装置MFPから受信したプリントデータを格納する。
【0109】
(g2:プリントデータのプリント段階)
図17は、本発明の実施の形態に従う画像形成システムにおけるプリントデータのプリント段階の処理手順を示すフローチャートである。図17に示す各ステップは、基本的には、画像形成装置MFPのCPU60を含むシステムコントローラー6によって実行される。
【0110】
図17を参照して、プリントデータのプリント要求を受信したか否かを判断する(ステップS200)。プリントデータのプリント要求を受信していない場合(ステップS200においてNOの場合)には、ステップS200以下の処理が再度繰り返される。
【0111】
プリントデータのプリント要求を受信した場合(ステップS200においてYESの場合)には、プリントデータに付加されているページ毎のアカウント情報を取得する(ステップS202)。続いて、ステップS202において、対象のページについてのアカウント情報を取得できたか否かを判断する(ステップS204)。対象のページについてのアカウント情報を取得できなかった場合(ステップS204においてNOの場合)には、処理はステップS210へ進む。
【0112】
これに対して、対象のページについてのアカウント情報を取得できた場合(ステップS204においてYESの場合)には、当該取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されているか否かを判断する(ステップS206)。取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されていない場合(ステップS206においてNOの場合)には、処理はステップS210へ進む。
【0113】
取得されたアカウント情報に配布元のユーザーのアカウント情報が指定されている場合(ステップS206においてYESの場合)には、配布元のユーザーのアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。すなわち、配布元のユーザーのアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、プリントデータについてのプリント処理が実行される(ステップS208)。
【0114】
一方、ステップS210においては、配布先のユーザーのアカウント情報に基づいて認証処理が実行される。すなわち、配布先のユーザーのアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、プリントデータについてのプリント処理が実行される(ステップS210)。
【0115】
このアカウント情報に基づく処理としては、認証処理、プリント制限(ユーザー権限)、カウント管理などが含まれる。
【0116】
その後、プリントデータに含まれる項目のうち、プリント制限に引っ掛かる項目があるか否かを判断する(ステップS212)。プリント制限に引っ掛かる項目がある場合(ステップS212においてYESの場合)には、プリントモードを強制的に変更する(ステップS214)。このプリントモードの強制的な変更としては、以下のような処理が挙げられる。
【0117】
(1)カラープリント禁止:カラープリントからモノクロプリントへの変更
(2)両面禁止:両面プリントから片面プリントへの変更
小冊子プリントから片面プリントへの変更
(3)ステイプル禁止:ステイプル有りプリントからステイプル無しプリントへの変更
(4)再利用紙(裏紙)の使用のみ許可:両面プリントから片面プリントへの変更
なお、プリント制限に引っ掛かる項目がない場合(ステップS212においてNOの場合)には、ステップS214の処理はスキップされる。
【0118】
その後、先に設定されたモードに従って、対象ページのプリント処理が実行される(ステップS216)。
【0119】
そして、プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了したか否かを判断する(ステップS218)。プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了していない場合(ステップS218においてNOの場合)には、ステップS202以下の処理が繰返し実行される。これに対して、プリントデータに含まれる全ページのプリントが完了している場合(ステップS218においてYESの場合)には、処理は終了する。
【0120】
<H.付記>
本発明は、別の局面として、さらに以下のように表現することができる。
【0121】
本発明の別の局面に従う画像形成装置は、アカウント情報に基づいてユーザー毎でかつページ単位にプリント制限を行なう認証機能を有する画像形成装置であって、配布先へデータを送付するときに、ページ毎に配布元と配布先とのアカウント情報を付加し、配布されたプリントデータをプリントする場合、ページ毎に付加されたアカウント情報により認証処理を行なうことでプリント制限機能を行ない、これによって、既存のアカウント機能を用いてアカウント管理を行ないつつ配布先のプリント制限に引っかかってしまう場合でも配布元のアカウント情報を用いることで配布元の意図したプリントを行なう手段を含む。
【0122】
好ましくは、両面プリントページに対し、配布元アカウント情報を付加する場合、対象ページの前後のページに対しても配布元アカウント情報を付加する。
【0123】
好ましくは、ステープルモードや小冊子モードなどの部単位で意味を成す設定が指定されているような場合には、プリントデータ全体に対し配布元アカウント情報を付加する。
【0124】
<I.まとめ>
本実施の形態によれば、より簡単な操作で、配布元のユーザーが意図した内容を配布先でプリントできる。すなわち、既存のユーザー毎に機能制限が設定可能な認証機能を利用して、会議などで使用する資料をプリントする場合に、プリント制限に引っ掛かる資料であってもプリントすることができる。より具体的には、ページ単位に配布元のアカウント情報を付加することにより、配布先ユーザーのプリント制限に引っ掛かる資料でも既存の認証機能を用いて、配布元のユーザーが意図したプリントができる。
【0125】
これによって、会議などで、説明者と参加者との間で意思疎通が阻害されるといった不具合を回避できる。また、新たな認証機能を構築することなく、既存の認証機能を流用することで、プリント制限でプリントできないユーザーであっても、適正なアカウント管理を行ないつつ配布元のユーザーが意図してプリント結果を得られる。
【0126】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0127】
2 自動原稿搬送部、3 イメージスキャナー、4 プリントエンジン、5 給紙部、6 システムコントローラー、21 原稿給紙台、22,52,53,54 送出ローラー、23 レジストローラー、24 搬送ドラム、25 排紙台、26 手差給紙部、27 転写ベルト、33 撮像デバイス、35 原稿台、41,41Y,41M,41C,41K 感光体ドラム、43Y,43M,43C,43K 画像書込部、44Y,44M,44C,44K イメージング(作像)ユニット、45 転写器、46 除電器、47 定着装置、48 クリーニング部、49 センサー、51 タイミングローラー、55 搬送ローラー、57 トレイ、60,200 CPU、61 RAM、62 ROM、63 入力インターフェイス、64 出力インターフェイス、65 通信インターフェイス、66 バス、152 アカウント情報付加部、154 認証部、156 プリント処理部、158 認証情報、202 内部バス、204 ディスプレイ、208 入力部、210 ハードディスク、212 メモリー、214 CD−ROMドライブ、216 フレキシブルディスクドライブ、214a CD−ROM、216a フレキシブルディスク、252 プリントデータ作成部、254 プリントデータ送受信部、262 プリントデータ、264,266 アカウント情報、441Y,441M,441C,441K トナーユニット、471 加熱ローラー、472 加圧ローラー、MFP 画像形成装置、NW ネットワーク、PC,PC1〜PC4 パーソナルコンピューター。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置を含む画像形成システムであって、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、前記画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、
プリントデータを作成する作成手段と、
前記作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを備え、
前記認証手段は、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータを前記画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、前記画像形成装置にプリントを行なわせる、画像形成システム。
【請求項2】
前記付加手段は、両面プリントが設定されているページについて、当該ページに隣接するページに対しても前記第1のアカウント情報を付加する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記付加手段は、部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して前記第1のアカウント情報を付加する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記部単位で本来的な意味をなす設定は、ステープル設定および小冊子設定の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
プリントデータを受信する受信手段と、
受信したプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加する付加手段と、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限を行なう認証手段とを備え、
前記認証手段は、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータのプリント指示に応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件でプリントする、画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置を含む画像形成システムにおけるプリントデータ配布方法であって、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、前記画像形成装置におけるプリント制限を行なうステップと、
プリントデータを作成するステップと、
前記作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信するステップとを含み、
プリント制限を行なう前記ステップでは、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータを前記画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、前記画像形成装置にプリントを行なわせる、プリントデータ配布方法。
【請求項1】
画像形成装置を含む画像形成システムであって、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、前記画像形成装置におけるプリント制限を行なう認証手段と、
プリントデータを作成する作成手段と、
前記作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信する付加手段とを備え、
前記認証手段は、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータを前記画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、前記画像形成装置にプリントを行なわせる、画像形成システム。
【請求項2】
前記付加手段は、両面プリントが設定されているページについて、当該ページに隣接するページに対しても前記第1のアカウント情報を付加する、請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記付加手段は、部単位で本来的な意味をなす設定がなされているプリントデータについては、当該プリントデータの全体に対して前記第1のアカウント情報を付加する、請求項1または2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記部単位で本来的な意味をなす設定は、ステープル設定および小冊子設定の少なくとも一方を含む、請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
プリントデータを受信する受信手段と、
受信したプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加する付加手段と、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位にプリント制限を行なう認証手段とを備え、
前記認証手段は、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータのプリント指示に応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件でプリントする、画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置を含む画像形成システムにおけるプリントデータ配布方法であって、
アカウント情報に基づいて、ユーザー単位かつページ単位に、前記画像形成装置におけるプリント制限を行なうステップと、
プリントデータを作成するステップと、
前記作成されたプリントデータに当該プリントデータを作成した第1のユーザーに与えられている第1のアカウント情報を付加した上で送信するステップとを含み、
プリント制限を行なう前記ステップでは、第2のユーザーが前記第1のアカウント情報を含むプリントデータを前記画像形成装置でプリントするように指示したことに応答して、前記第2のユーザーに与えられている第2のアカウント情報を取得するとともに、前記プリントデータの各ページについて、前記第1のアカウント情報または第2のアカウント情報に基づくプリント制限の条件で、前記画像形成装置にプリントを行なわせる、プリントデータ配布方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図3】
【図4】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【公開番号】特開2013−97452(P2013−97452A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−237557(P2011−237557)
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月28日(2011.10.28)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】
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