説明

画像形成システム、画像形成装置及びプログラム

【課題】複数の画像形成装置のうちいずれかの画像形成装置において、ユーザが指定する画像を形成する場合に、画像の形成が開始されるまでに要する時間を短縮する。
【解決手段】画像形成装置20Aにおいて、認証されたユーザと対応付けられた印刷データが自装置内に格納されている場合、この印刷データを表すリストが画像形成装置20Aのタッチスクリーンに表示される。一方、画像形成装置20Aにおいて、認証されたユーザと対応付けられた印刷データが自装置内に格納されていない場合、このユーザと対応付けられてインデックスサーバ30に記憶されたインデックスデータに設定されている画像形成装置20Bから取得された印刷データが、画像形成装置20Aのタッチスクリーンに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム、画像形成装置及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうち、どの画像形成装置を用いても、ユーザが指定する画像を形成可能とするための技術が知られている。例えば特許文献1には、画像形成装置がウェブサーバの機能を有しており、ユーザが、ネットワークに接続された他の画像形成装置から、指定した画像データを自らの操作する画像形成装置にダウンロードして、画像を形成可能とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−250972号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、複数の画像形成装置のうちいずれかの画像形成装置において、ユーザが指定する画像を形成する場合に、画像の形成が開始されるまでに要する時間を短縮することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る画像形成システムは、画像を形成する画像形成装置を複数具備し、各々の前記画像形成装置は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0006】
本発明の請求項2に係る画像形成システムは、各々の前記画像形成装置を識別する装置識別情報と前記ユーザ識別情報とを対応付けて記憶する識別情報記憶手段を有する管理装置を備え、前記第2の取得手段は、前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて前記識別情報記憶手段に記憶されている装置識別情報を特定し、当該装置識別情報により識別される画像形成装置が備える前記記憶手段に当該ユーザ識別情報と対応付けられて記憶されている画像データを取得することを特徴とする。
【0007】
本発明の請求項3に係る画像形成システムは、前記第2の取得手段は、前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、自装置以外の画像形成装置に対して、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて記憶されている画像データを要求し、当該要求に応じて自装置以外の画像形成装置から送信されてくる画像データを取得することを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項4に係る画像形成装置は、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成手段とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項5に係るプログラムは、コンピュータを、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データを、当該画像データに応じた画像を形成する画像形成手段に出力する出力手段として機能させる。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の画像形成システムによれば、自装置の記憶手段にユーザの画像データが記憶されていないときに初めて、他の画像形成装置の記憶手段に記憶されたこのユーザの画像データを取得する構成を有しない場合と比較して、その画像の形成が開始されるまでに要する時間が短縮される。
請求項2に記載の画像形成システムによれば、各々の画像形成装置を識別する装置識別情報とユーザを識別するためのユーザ識別情報とを対応付けて記憶する識別情報記憶手段を有する管理装置を備えていない場合と比較して、その記憶手段にユーザの画像データを記憶した画像形成装置を特定するのに要する手間が少なくなる。
請求項3に記載の画像形成システムによれば、第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合に、自装置以外の画像形成装置が備える記憶手段から、ユーザ識別情報と対応付けられて記憶されている画像データを取得する構成を有しない場合と比較して、システムを構成する装置のうち画像形成装置以外の装置の数を少なくすることができる。
請求項4に記載の画像形成装置によれば、自装置の記憶手段にユーザの画像データが記憶されていないときに初めて、他の画像形成装置の記憶手段に記憶されたこのユーザの画像データを取得する構成を有しない場合と比較して、その画像の形成が開始されるまでに要する時間が短縮される。
請求項5に記載のプログラムによれば、自装置の記憶手段にユーザの画像データが記憶されていないときに初めて、他の画像形成装置の記憶手段に記憶されたこのユーザの画像データを取得する構成を有しない場合と比較して、その画像の形成が開始されるまでに要する時間が短縮される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】画像形成システムの構成を示すブロック図
【図2】通信端末のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】画像形成装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図4】印刷データを示す図
【図5】インデックスサーバのハードウェア構成を示すブロック図
【図6】インデックスデータを示す図
【図7】画像形成システムの機能的構成を表すブロック図
【図8】画像形成システムの動作を示すシーケンス図
【図9】画像形成装置に表示される印刷データのリストの一例を表す図
【図10】画像形成装置に表示される印刷データのリストの一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
<実施形態>
以下に、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
<構成>
図1は、本発明の一実施形態である画像形成システム100の構成を示すブロック図である。画像形成システム100は、通信端末10と、画像形成装置20A、20B及び20Cと、インデックスサーバ30と、ネットワークNWとを備える。画像形成装置20A、20B及び20Cを区別する必要がない場合には、符号の末尾に付された文字を省略して、画像形成装置20という。また、画像形成装置20及び通信端末10の数は、図1に示したものに限らない。ネットワークNWは、例えば携帯電話網や無線LAN(Local Area Network)などの移動通信網やインターネットなどの固定通信網を含む通信網である。
【0013】
通信端末10は、例えば携帯電話機、無線LANに接続可能な無線端末、通信機能を備えたPC(Personal Computer)のような、画像形成装置20と通信が可能な通信端末であって、図1ではPCの例を挙げている。画像形成装置20は、例えば電子写真方式のプリンタである。画像形成装置20は、通信端末10から送信されてきた印刷データを格納する格納場所を備えている。ここで印刷データとは、ユーザが通信端末10を用いて指示した印刷処理に関するデータであって、ユーザを識別するユーザIDや、印刷対象の画像データや、時刻情報などが含まれる。なお、ここで印刷とは、電子写真方式で画像を形成することを指す。インデックスサーバ30は、各ユーザが印刷データの格納先に指定している画像形成装置20を識別する情報とユーザIDとを対応付けて記憶したサーバ装置である。画像形成装置20を識別する情報、すなわち装置識別情報は、例えば、各々の画像形成装置20に割り当てられた名称やIP(Internet Protocol)アドレスなどのアドレス情報である。
【0014】
図2は、通信端末10のハードウェア構成を示すブロック図である。通信端末10は、制御部11、記憶部12、通信部13、操作部14及び表示部15を有する。各部はバスによって電気的に接続されている。制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を有する。CPUは、ROM又は記憶部12に記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部11と接続されている各部を制御する。記憶部12は、例えばハードディスクのような記憶装置であって、例えば制御プログラムやプリンタドライバ121を記憶する。プリンタドライバ121は、画像形成装置20を制御する機能を有するプログラムである。
【0015】
通信部13は、制御部11の制御の下で、画像形成装置20と通信を行う。操作部14は、クリック操作を受け付けるマウスや複数のキーを有しており、ユーザによってこれらのマウスやキーが操作されるとその操作内容に応じた信号を制御部11へ供給する。制御部11は、この信号に基づいて操作内容を判断して処理を行う。表示部15は、例えば液晶ディスプレイのような表示体やVRAM(Video Random Access Memory)などのメモリを備えており、制御部11の制御の下で各種の画像を液晶ディスプレイに表示する。
【0016】
プリンタドライバ121には、予めユーザIDとスプーラ情報とが対応付けて設定されている。スプーラ情報は、通信端末10から送信された印刷データを格納する格納場所を示す情報である。スプーラ情報には、各画像形成装置20に割り当てられたIPアドレスなどのアドレス情報や各画像形成装置20の名称が含まれる。例えば、プリンタドライバ121には、ユーザID「user01」と、画像形成装置20Bに割り当てられたIPアドレス「192.168.227.101」と、画像形成装置20Bに割り当てられた名称「A001」とが対応付けて設定されているといった具合である。なお、プリンタドライバ121に設定されたスプーラ情報は、ユーザが操作部14を用いて変更可能としてもよい。
【0017】
図3は、画像形成装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。画像形成装置20は、制御部21、記憶部22、通信部23、UI(User Interface)部24及び画像形成部25を有するコンピュータとして構成されている。各部はバスによって電気的に接続されている。制御部21は、CPU、ROM及びRAMを有する。CPUは、ROM又は記憶部22に記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部21と接続されている各部を制御する。記憶部22は、例えばハードディスクのような記憶装置であって、例えば制御プログラムや印刷データ221を記憶する。印刷データ221は、通信端末10から受信した印刷データである。通信部23は、制御部21の制御の下で、通信端末10及びインデックスサーバ30と通信を行う。UI部24は、例えばタッチスクリーンとキーとを有する。UI部24は、ユーザの操作内容に応じた信号を制御部21へ供給する。制御部21は、この信号に基づいて操作内容を判断し、例えば印刷処理を実行したり、画像をタッチスクリーンに表示させたりする。画像形成部25は、画像データに応じた画像を用紙に形成する画像形成手段の一例である。
【0018】
図4は、印刷データ221を示す図である。印刷データ221は、「ユーザID」、「格納日時」、「ファイル名」、「ページ数」、「部数」、「カラー/白黒の別」、「両面印刷の有無」及び「後処理」といった複数の項目からなる。印刷データ221にはこのほかに情報が含まれていてもよい。「ユーザID」は、通信端末において印刷処理の指示を行ったユーザのユーザIDである。「格納日時」は、記憶部22に印刷データが記憶された日時、すなわち画像形成装置20に印刷データが格納された日時を表す時刻情報である。「ファイル名」は、印刷データに含まれる印刷対象の画像データのファイル名を表す。「ページ数」は、印刷対象のファイルのページ数を表す。「部数」は、印刷が行われる部数を表す。「カラー/白黒の別」は、カラーでの印刷か、白黒での印刷かの区別を表す。「両面印刷の有無」は、両面印刷か片面印刷かの区別を表す。「後処理」は、印刷が完了した用紙に対して行われる後処理を表す。このほかに印刷データには、「ファイル名」でそのファイル名が表される印刷対象の画像データそのものもふくまれる。図4は、画像形成装置20Bの記憶部22Bが記憶している印刷データ221の内容を例示したものであり、ユーザID「USER01」について3件の印刷データが画像形成装置20Bに格納されていることを表す。
【0019】
図5は、インデックスサーバ30のハードウェア構成を示すブロック図である。インデックスサーバ30は、制御部31、記憶部32及び通信部33を有するコンピュータとして構成されている。各部はバスによって電気的に接続されている。制御部31は、CPU、ROM及びRAMを有する。CPUは、ROM又は記憶部32に記憶されている制御プログラムを実行することにより制御部31と接続されている各部を制御する。通信部33は、制御部31の制御の下で、画像形成装置20と通信を行う。記憶部32は、例えばハードディスクのような記憶装置であって、例えば制御プログラムやインデックスデータ321を記憶する。
【0020】
図6は、インデックスデータ321を示す図である。インデックスデータ321は、ユーザID、格納先IPアドレス及び格納先名称といった複数の項目からなる。ユーザIDは上述したとおりである。格納先IPアドレスは、ユーザの操作によって通信端末10から送信される印刷データの格納場所を備えた画像形成装置20に割り当てられたIPアドレスである。格納先名称は、画像形成装置20に割り当てられた名称である。インデックスデータ321には、複数のユーザについて、ユーザID、格納先IPアドレス及び格納先名称が対応付けられた状態で記述される。或るユーザIDと対応付けられた格納先IPアドレス及び格納先名称は、このユーザIDのユーザが操作する通信端末10の記憶部12に記憶されたプリンタドライバ121に設定されているスプーラ情報と共通する内容である。
【0021】
図7は、画像形成システム100の機能的構成を表すブロック図である。図7において、2つの異なる画像形成装置20を表すために、画像形成装置20A及び20Bという符号を用いているが、それぞれは特定の画像形成装置20に限定されるものではない。記憶部22Aは、ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段の一例である。画像形成装置20Aの制御部21AがUI部24Aと協働することにより実現される受付部211は、いずれかのユーザのユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段の一例である。制御部21Aにより実現される第1の取得部212は、受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える記憶部22Aに記憶されている場合には、記憶部22Aからこの画像データを取得する第1の取得手段の一例である。制御部21Aにより実現される第2の取得部213は、第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合に、受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、他の画像形成装置20Bが備える記憶部22Bに記憶されている画像データを取得する第2の取得手段の一例である。画像形成部25Aは、第1の取得手段又は第2の取得手段により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成手段の一例である。制御部21Aにより実現される出力部214は、第1の取得手段又は第2の取得手段により取得された画像データを、この画像データに応じた画像を形成する画像形成部25Aに出力する出力手段の一例である。
【0022】
図8は、画像形成システム100の動作を示すシーケンス図である。以降の図8の説明において、「ユーザ」とは「User01」のユーザIDを持つユーザを指す。まず、ユーザが、通信端末10を用いて印刷の指示を行うと、通信端末10の制御部11は、通信部13を用いて、プリンタドライバ121に設定されているスプーラ情報が示す画像形成装置20に対して、上記指示に基づく印刷データを送信する(ステップS1)。ここでは、送信先が画像形成装置20Bであるとする。これを受けて画像形成装置20Bの制御部21Bは、受信した印刷データを記憶部22Bに印刷データ221として記憶させる、すなわち格納させる(ステップS2)。そして制御部21Bは、受信した印刷データに含まれるユーザIDと、自装置に割り当てられたIPアドレスと、自装置に割り当てられた名称との組を、通信部23を用いてインデックスサーバ30に送信する(ステップS3)。そしてインデックスサーバ30の制御部31は、受信した内容に基づいてインデックスデータ321を更新する(ステップS4)。具体的には、ステップS4で制御部31は、インデックスデータ321において、受信した内容に含まれるユーザIDに対応付けられた格納先IPアドレス及び格納先名称が、受信した内容に含まれるIPアドレス及び装置名称と異なる場合、インデックスデータ321の格納先IPアドレス及び格納先名称を受信した内容に応じて更新する。
【0023】
次に、ユーザが、通信端末10がある位置から画像形成装置20Aがある位置まで移動し、この画像形成装置20Aを用いて印刷データに基づく印刷を実行しようとしたとする。ユーザは、UI部24を用いてユーザID及びパスワードを入力して画像形成装置20Aに対するユーザ認証を行う(ステップS5)。ユーザ認証が完了すると、画像形成装置20Aの制御部21Aは、認証されたユーザの印刷データが自装置内に格納されているか否かを判定する(ステップS6)。具体的には、ステップS6で制御部21Aは、記憶部22AにステップS5で認証されたユーザIDを含む印刷データが記憶されているか否かを判定する。認証されたユーザの印刷データ221が自装置内に格納されている場合(ステップS6;YES)、制御部21Aは、この印刷データ221を列挙したリストを、UI部24Aを用いてタッチスクリーンに表示させる(ステップS7)。
【0024】
図9は、画像形成装置20Aのタッチスクリーンに表示される印刷データ221のリストの一例を表す図である。図9の例は、認証されたユーザのユーザIDに対応付けられた印刷データ221が、画像形成装置20Aの記憶部22Aに2件記憶されていた場合を表している。ユーザは、UI部24Aを用いて、印刷を所望する印刷データのチェックボックス241にチェックを入れる。印刷対象ボックス242には、表示されている印刷データが格納された画像形成装置20の名称が表示される。図9の例では、ユーザが操作中の画像形成装置20Aが、表示されている印刷データを記憶していることが示されている。印刷対象ボックス242は、プルダウン形式になっている。プルダウン形式で表示されるリストには、自装置の名称のほか、例えばインデックスデータ321において、認証されたユーザのユーザIDと対応付けられた格納先名称が表示される。ユーザは、UI部24Aを用いてこのリストから所望の画像形成装置20を選択可能である。制御部21Aは、印刷対象ボックス242で選択された画像形成装置20の記憶部22においてこのユーザのユーザIDと対応付けられた印刷データをタッチスクリーンに表示させる。
【0025】
ユーザが、UI部24Aを用いて全選択ボタン243を押下すると、制御部21Aは、全てのチェックボックス241がチェックされた状態で表示させる。また、ユーザが、UI部24Aを用いて、或る印刷データを指定して削除ボタン244を押下すると、制御部21Aは、指定された印刷データを記憶部22Aから削除する。また、ユーザが、UI部24Aを用いて印刷ボタン245を押下すると、制御部21Aは、チェックボックス241にチェックが入れられた印刷データを対象として印刷を行う。
【0026】
図8に戻る。ステップS7の次に、ユーザが、UI部24Aを用いて、印刷を所望する印刷データのチェックボックス241にチェックを入れると、画像形成装置20Aの制御部21Aは、この印刷データを印刷対象として選択する(ステップS8)。そして制御部21Aは、画像形成部25Aを用いて、選択された印刷データに基づく印刷を実行する(ステップS9)。
【0027】
一方、認証されたユーザの印刷データ221が自装置に格納されていない場合(ステップS6;NO)、画像形成装置20Aの制御部21Aは、通信部23Aを用いて、このユーザのユーザIDをキーとして検索を行う指示をインデックスサーバ30に送信する(ステップS10)。これを受けてインデックスサーバ30の制御部31は、受信したユーザIDをキーとしてインデックスデータ321を検索し、このユーザIDに対応付けられた格納先IPアドレス及び格納先名称を取得する(ステップS11)。ここでは、ユーザIDが「User01」なので、制御部31は、格納先IPアドレスとして「192.168.227.101」を、格納先名称として「A001」を取得する(図6参照)。そして制御部31は、通信部33を用いて、取得したユーザID、格納先IPアドレス及び格納先名称を画像形成装置20Aに送信する(ステップS12)。
【0028】
これを受けて制御部21Aは、通信部23Aを用いて、受信した格納先IPアドレスが表す画像形成装置20Bに対して、認証されたユーザのユーザIDをキーとして印刷データを検索する指示を送信する(ステップS13)。これを受けて画像形成装置20Bの制御部21Bは、受信したユーザIDをキーとして記憶部22B内の印刷データ221を検索し、このユーザIDに対応付けられた印刷データを取得する(ステップS14)。そして制御部21Bは、通信部23Bを用いて、受信したユーザID及び取得した印刷データを画像形成装置20Aに送信する(ステップS15)。制御部21Aは、通信部23Aを用いて受信した印刷データのリストを、UI部24Aを用いてタッチスクリーンに表示させる(ステップS16)。
【0029】
図10は、画像形成装置20Aに表示される印刷データのリストの一例を表す図である。図10の例は、認証されたユーザのユーザIDに対応付けられた印刷データ221が、画像形成装置20Bに3件格納されていた場合を表している。
【0030】
再び図8に戻る。ステップS15の次に、ユーザが、UI部14を用いて印刷を所望する印刷データのチェックボックス241にチェックを入れることで、画像形成装置20Aの制御部21は、この印刷データを印刷対象として選択する(ステップS17)。そして画像形成装置20Aの制御部21は、画像形成部25を用いて、選択された印刷データに基づく印刷を行う(ステップS18)。
【0031】
このように本実施形態によれば、画像形成装置20の制御部21が、自装置の記憶部22にユーザの印刷データが記憶されていないときに初めて、他の画像形成装置20に対してこのユーザの印刷データが記憶されていないかを検索する指示を送信する。つまり、制御部21は、自装置の記憶部22にユーザの印刷データが記憶されている場合には、他の画像形成装置20に対して検索の指示を送信することがない。通常、ユーザは、プリンタドライバ121にスプーラ情報として設定されている画像形成装置20を用いて出力を行うことが多いと考えられる。これは、ユーザが通常よく使用する画像形成装置20が、印刷データの格納先としてスプーラ情報に設定されているからであり、例えば、ユーザの自席から最も近い画像形成装置20などがスプーラ情報に設定される。このときの画像形成装置20を例えば画像形成装置20Bとする。プリンタドライバ121にスプーラ情報が設定されているため、画像形成装置20Bの記憶部22Bにユーザの印刷データが記憶される。つまり、このような場合、ユーザが画像形成装置20Bを用いて印刷データの出力を行うときに、他の画像形成装置20に対する検索が実行されないので、印刷の開始から終了までに要する時間がその分だけ短縮されることとなる。また、ユーザにより操作中の画像形成装置20の記憶部22に、このユーザの印刷データが記憶されていない場合であっても、ユーザによる操作を必要とせずに、操作中の画像形成装置20の制御部21が他の画像形成装置20から印刷データを取得するので、ユーザによる操作にかかる時間を要しない。
【0032】
また、自装置の記憶部22にユーザの印刷データが記憶されている場合、制御部21が、通信部23を用いて他の画像形成装置20から印刷データを取得する必要がないので、ネットワークに問題が発生して通信不可能な状態であっても、問題なく印刷が行われる。従って、この場合、ネットワークの問題を解消しなくても印刷が行われるため、問題の解消を待つための時間を要さない。また、インデックスサーバ30の記憶部32がインデックスデータ321を記憶しているため、画像形成装置20の制御部21が、認証されたユーザのユーザIDと対応付けて記憶部22に印刷データを記憶している可能性が高い他の画像形成装置20を特定するために要する手間が少ないものとなる。また、このような他の画像形成装置20を識別する情報がインデックスデータ321として一元管理されているため、画像形成装置20は、このような管理のためにその資源を要することがない。
【0033】
このように、本実施形態によれば、自装置の記憶手段にユーザの印刷データが記憶されていないときに初めて、他の画像形成装置の記憶手段に記憶されたこのユーザの印刷データを取得する構成を有しない場合と比較して、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のうちどの画像形成装置を用いても、ユーザが指定する画像を形成する場合において、その画像の形成に要する時間が短縮される。
【0034】
<変形例>
以上の実施形態は次のように変形可能である。なお、以下の変形例は、適宜組み合わせて実施されてもよい。
(変形例1)
リストとして表示される印刷データを格納した画像形成装置20は、ユーザが、特定の画像形成装置20のIPアドレスを直接指定することにより決定されてもよい。ここで、ユーザが操作中の画像形成装置20が画像形成装置20Aであるとする。この場合、ユーザは、UI部24Aを用いて、タッチスクリーンに表示された入力ボックスに、所望する画像形成装置20のIPアドレスを入力する。例えば、ユーザは、UI部24Aを用いて、IPアドレスとして「192.168.227.102」を入力する。図6に示すように、このIPアドレスが割り当てられた画像形成装置20の名称は「A002」である。そして、ユーザは、UI部24Aを用いて、IPアドレスの指定を指示するボタンを押下する。
【0035】
これを受けて画像形成装置20Aの制御部21Aは、通信部23Aを用いて、操作中のユーザのユーザIDをキーとして印刷データを検索する指示を、指定されたIPアドレスが表す画像形成装置20Cに送信する。画像形成装置20Cの制御部21Cは、受信したユーザIDをキーとして印刷データ221を検索し、このユーザIDに対応付けられた印刷データを取得する。そして制御部21Cは、通信部23Cを用いて、取得した印刷データを表すリストを画像形成装置20Aに送信する。制御部21Aは、この印刷データのリストを、UI部24Aを用いてタッチスクリーンに表示させる。
【0036】
変形例1によれば、ユーザが、自らの所望する印刷データが格納された画像形成装置20を直接指定することで、例えばインデックスサーバ30に問題が生じていて印刷データの検索ができないような場合であっても、印刷データが取得されて印刷が行われる。
【0037】
(変形例2)
ユーザが操作中の画像形成装置20とは異なる画像形成装置20に格納されている印刷データのリストを取得する方法は、実施形態のようにインデックスサーバ30を用いるものに限らず、次のようにしてもよい。例えば、ユーザID「User01」のユーザが画像形成装置20Aを操作する場合を考える。この場合、画像形成装置20Aの制御部21Aは、図8に示すステップS10のタイミングで、例えばサブネットマスク内などの通信可能な他の画像形成装置20に対して、ユーザID「User01」をキーとして印刷データを検索する指示をブロードキャストする。画像形成装置20Aの制御部21Aは、これに対する応答を受信すると、受信した印刷データのリストをタッチスクリーンに表示させる。
【0038】
ここで複数の画像形成装置20から応答があった場合、画像形成装置20Aの制御部21Aは、例えば最新の格納日時を有する印刷データが含まれたリストを優先的にタッチスクリーンに表示させる。最新の格納日時を有する印刷データが含まれたリストを優先的にタッチスクリーンに表示させる理由は、格納日時が新しい程、ユーザが通信端末10を用いて印刷の指示を行ってから経過した時間が短い、すなわち、直近で印刷が行われる可能性が高いからである。このとき、このリストの送信元でない他の画像形成装置20の名称が、印刷対象ボックス242におけるプルダウンのリストに表示される。また、複数の画像形成装置20から応答があった場合、画像形成装置20Aの制御部21Aは、応答の結果として受信した印刷データのリストを全てタッチスクリーンに表示させてもよい。ブロードキャストで送信先となる他の画像形成装置20の範囲は、サブネットマスク内に存在するものに限らず、ユーザにより予め決められていてもよい。
【0039】
変形例2によれば、インデックスサーバ30を必要としないので、画像形成システム10の構成が実施形態と比較して簡易なものになる、すなわち、画像形成システム100を構成する装置のうち画像形成装置20以外の装置の数を少なくすることができる。
【0040】
(変形例3)
タッチスクリーンに表示される印刷データのリストは、単体の画像形成装置20に格納されたものに限らず、複数の画像形成装置20に格納された印刷データが合わさってリストとして表示されてもよい。例えば、ユーザID「User01」のユーザが操作中の画像形成装置20Aと、このユーザが操作中でない画像形成装置20Bとの双方に、ユーザID「User01」と対応付けられた印刷データが格納されている場合を考える。この場合、例えば図9に示す印刷対象ボックス242の上部に、自装置及び他の画像形成装置20に格納された印刷データを合わせて表示するための表示ボタンが表示される。そして図6のステップS7の後に、ユーザがUI部24Aを用いてこの表示ボタンを押下すると制御部21Aは、ステップS10〜ステップS15までと同じ内容の処理を行う。これにより制御部21Aは、自装置内に格納されている印刷データのリストと、受信した印刷データのリストとを合わせてタッチスクリーンに表示させる。そしてステップS8以降の処理が行なわれる。
【0041】
変形例3は、認証されたユーザのユーザIDと対応付けられた印刷データが自装置内に格納されている場合の動作であるから、このような印刷データが印刷対象となるのであれば、ユーザが画像形成装置20Aを用いて印刷データに基づく印刷を実行するときに、印刷の開始から終了までに余計な時間を要することはない。これに対して変形例3では、認証されたユーザのユーザIDと対応付けられた印刷データが、自装置を含む複数の画像形成装置20に分散して格納されている場合に、このユーザIDと対応付けられた印刷データが合わさってリストとして表示されるため、ユーザは個別に確認する手間を要さない。
【0042】
(変形例4)
また、本発明は、コンピュータを制御装置として機能させるためのプログラムとしても特定され得るものである。かかるプログラムは、光ディスク等の記録媒体に記録した形態で提供されたり、インターネット等の通信回線を介して、コンピュータにダウンロードさせ、これをインストールして利用するなどの形態で提供されたりしてもよい。
【符号の説明】
【0043】
10…通信端末、11,21,31…制御部、12,22,32…記憶部、13,23,33…通信部、14…操作部、15…表示部、20A,20B,20C…画像形成装置、24…UI部、25…画像形成部、30…インデックスサーバ、100…画像形成システム、121…プリンタドライバ、221…印刷データ、241…チェックボックス、242…印刷対象ボックス、243…全選択ボタン、244…削除ボタン、245…印刷ボタン、321…インデックスデータ、NW…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像を形成する画像形成装置を複数具備し、
各々の前記画像形成装置は、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成手段とを備える
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
各々の前記画像形成装置を識別する装置識別情報と前記ユーザ識別情報とを対応付けて記憶する識別情報記憶手段を有する管理装置を備え、
前記第2の取得手段は、
前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて前記識別情報記憶手段に記憶されている装置識別情報を特定し、当該装置識別情報により識別される画像形成装置が備える前記記憶手段に当該ユーザ識別情報と対応付けられて記憶されている画像データを取得する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第2の取得手段は、
前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、自装置以外の画像形成装置に対して、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて記憶されている画像データを要求し、当該要求に応じて自装置以外の画像形成装置から送信されてくる画像データを取得する
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データに応じた画像を形成する画像形成手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
コンピュータを、
ユーザを識別するためのユーザ識別情報と画像を表す画像データとを対応付けて記憶する記憶手段と、
いずれかのユーザの前記ユーザ識別情報の入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられた画像データが、自装置が備える前記記憶手段に記憶されている場合には、当該記憶手段から当該画像データを取得する第1の取得手段と、
前記第1の取得手段によって画像データが取得できなかった場合には、前記受付手段により入力が受け付けられたユーザ識別情報と対応付けられて、自装置と異なる他の画像形成装置が備える前記記憶手段に記憶されている画像データを取得する第2の取得手段と、
前記第1の取得手段又は前記第2の取得手段により取得された画像データを、当該画像データに応じた画像を形成する画像形成手段に出力する出力手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−82147(P2013−82147A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−224326(P2011−224326)
【出願日】平成23年10月11日(2011.10.11)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】