説明

画像形成システム及びその管理サーバ

【課題】オフィス等に設置されている複数の画像形成装置の各々に設定されている省エネモードへの移行スケジュールを最適化し、オフィス全体として適切な運用を実現することができる画像形成システム及びその管理サーバを提供する。
【解決手段】
サーバ180は、ネットワーク190を介して画像形成装置100〜108の各々から、各々の画像処理装置自体が省エネモードになる期間の情報を含むスケジュールを受信する受信部と、受信したスケジュールをグループ毎(G1又はG2)に解析する解析部と、解析結果に応じて各グループに属する画像形成装置のスケジュールを変更する変更部と、変更後のスケジュールを該当する画像形成装置に送信する送信部とを備え、各画像形成装置は、サーバ180から受信したスケジュールにしたがって動作する。これにより、グループに属する画像形成装置を、全体として適切に運用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、オフィス等に設置されている複数の画像形成装置の各々に設定されている省エネモードへの移行スケジュールを最適化し、オフィス全体として、複数の画像形成装置の適切な運用を実現することができる画像形成システム及びその管理サーバに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器である画像処理装置の1種として、多くの事業所(会社、事務所等)に、記録紙に画像を形成する画像形成装置(代表的にはコピー機)が導入されている。このような事業所において、プリンタ機能又はコピー機能等を備えた画像形成装置をネットワークに接続し、これらを複数のユーザで共用するケースが多くなっている。このような画像形成装置の1種である複合機(MFP(MultiFunction Peripheral))は、コピーモード、ファクシミリモード(以下、ファクシミリをFAXともいう)、ネットワーク対応のプリンタモード、及びスキャナモードのように、複数の基本的な動作モードを備える。
【0003】
昨今のオフィスでは、オフィス内に設置されている電子機器及び空調等の動作状況を一括管理し、少しでも電力消費量が抑えられるように、それらの動作を制御する環境が普及しつつある。MFP等の画像形成装置に関しては、通常の待機状態(直ちにコピー等を実行可能な状態)から電力消費量の少ない省エネルギ状態へ移行するスケジュール設定は、MFP1台毎に設定されているのが一般的であり、オフィス内での利用状況に応じて個々のMFPにスケジュールが設定されている。
【0004】
例えば、下記特許文献1には、ネットワークに接続された監視サーバが、ネットワークに接続された複数の画像形成装置のスリープ状態を制御する技術が開示されている。この監視サーバは、監視下にある各画像形成装置から、スリープ開始イベント(節電状態に入るイベント)及びスリープ解除イベント(節電状態からの復帰イベント)を取得して蓄積し、蓄積された情報を分析し、分析結果に基づき、時間帯に応じた各画像形成装置のスリープ間隔(処理指示がなかった場合にスリープ状態に移行するまでの時間)、又は、時間帯に応じたスリープ解除する画像形成装置を決定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2008−118534号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記したように、複数のMFPが設置され、1台毎にスケジュール設定がなされているようなオフィスでは、互いのMFPのスケジュール設定の整合性は取られていないことが多い。例えば、全てのMFP又は一部のMFPにおいて、稼働状態である時間帯(即ち、省エネモードに設定されていない時間帯)が重なっていると、その時間帯では複数のMFPが同時に使用されることによって、オフィスの消費電力が急激に多くなるので、電力供給不足の状況下において問題となる。また、全て又は大部分のMFPにおいて、非稼働状態である時間帯(即ち、省エネモードに設定されている時間帯)が重なっていると、その時間帯ではMFPを直ちに利用できないので、効率が悪く、業務に支障が生じてしまう可能性が高いという問題がある。
【0007】
特許文献1では、これらの問題に関しては何ら考慮されておらず、特許文献1に記載された発明によっては、これらの問題を解決することはできない。
【0008】
したがって、本発明は、オフィス等に設置されている複数の画像形成装置の各々に設定されている省エネモードへの移行スケジュールを最適化し、オフィス全体として適切な運用を実現することができる画像形成システム及びその管理サーバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、下記によって達成することができる。
【0010】
即ち、本発明に係るサーバコンピュータは、ネットワークを介して、複数の画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体が省エネモードになる期間の情報を含むスケジュールを受信する受信部と、受信したスケジュールを解析する解析部と、解析部による解析結果に応じてスケジュールを変更する変更部と、変更後のスケジュールを該当する画像形成装置に送信する送信部とを備える。
【0011】
好ましくは、解析部は、複数の画像形成装置のうちの少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールにおいて、省エネモードに設定されていない期間である通常モード期間が重複している通常モード重複期間を特定し、変更部は、通常モード重複期間において、少なくとも2つの画像形成装置のうち、1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されるように、少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0012】
より好ましくは、変更部は、通常モード重複期間において、少なくとも2つの画像形成装置のうち、消費電力が最も小さい1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されるように、少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0013】
さらに好ましくは、解析部は、スケジュールにおいて、複数の画像形成装置のうちの省エネモードに設定されていない所定の画像形成装置の使用電力の総和を計算し、総和が所定値を超える超過期間を特定し、変更部は、超過期間において、総和が所定値以下になるように、所定の画像形成装置の少なくとも1つの画像形成装置を省エネモードに設定することにより、画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0014】
好ましくは、解析部は、複数の画像形成装置のうちの少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールにおいて、省エネモードに設定されている期間が重複している省エネモード重複期間を特定し、変更部は、省エネモード重複期間において、少なくとも2つの画像形成装置のうち、1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されないように、少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0015】
より好ましくは、受信部は、複数の画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体の使用時間の情報を受信し、解析部は、複数の画像形成装置に関して、使用時間の情報から、相対的な使用率を算出する算出部を備え、変更部は、使用率がより小さい画像形成装置が省エネモードに設定される期間がより長くなるように、複数の画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0016】
さらに好ましくは、受信部は、複数の画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体の消耗品の残量の情報を受信し、解析部は、消耗品の残量が所定値以下の画像形成装置を特定し、変更部は、特定された画像形成装置が省エネモードに設定される期間が、特定された画像形成装置以外の画像形成装置よりも長くなるように、特定された画像形成装置のスケジュールを変更する。
【0017】
また、本発明に係る画像形成システムは、上記のサーバコンピュータと、複数の画像形成装置とを備え、複数の画像形成装置の各々は、各々の画像形成装置自体が省エネモードになる期間の情報を含むスケジュールを、サーバコンピュータに送信し、サーバコンピュータによって変更されたスケジュールを受信し、受信したスケジュールにしたがって動作する。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、オフィス等に設置されている複数の画像形成装置の各々に個別に設定されている省エネモードへの移行スケジュールを、相互に調整し、最適化することができる。したがって、オフィス全体として、複数の画像形成装置を適切に運用することができる。
【0019】
具体的には、通常モードに設定されている期間(省エネモードに設定されていない期間)が重複しないように各画像形成装置のスケジュールを変更することによって、複数の画像形成装置全体として消費電力を適切に低減することができる。この場合において、消費電力が最も小さい画像形成装置以外を省エネモードに設定することによって、より一層消費電力を低減することができる。
【0020】
また、所定期間に通常モードに設定されている画像形成装置の使用電力の総和が所定値を超えないように各画像形成装置のスケジュールを変更することによって、業務効率の低下を極力抑制しつつ、複数の画像形成装置全体として省電力を実現することができる。
【0021】
また、省エネモードに設定されている期間が重複しないように各画像形成装置のスケジュールを変更することによって、省電力よりも業務を優先する時間帯においても、複数の画像形成装置全体として消費電力の低減を実現しつつ、業務効率が高い状態を実現することができる。
【0022】
また、画像形成装置の使用時間(使用率)に応じて、各画像形成装置のスケジュールを変更することによって、業務効率の低下を極力抑制しつつ、複数の画像形成装置全体として消費電力の低減を実現することができる。
【0023】
また、トナー、記録紙等の消耗品の残量に応じて、画像形成装置のスケジュールを変更することによって、消耗品が切れて画像形成装置が停止してしまう(定着部の温度が低下してしまう)可能性を低減することができる。したがって、再度通常の待機状態に復帰させるための余計な電力消費及び時間の浪費を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】図1に示した第1画像形成装置の外観を示す斜視図である。
【図3】図2に示した第1画像形成装置の内部構成を模式的に示すブロック図である。
【図4】図3に示した印字部の構成を示す断面図である。
【図5】図1に示したサーバの内部構成を示すブロック図である。
【図6】図1のサーバにおいて実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図7】サーバが各画像形成装置から取得したスケジュールの例を示す図である。
【図8】最適化処理プログラムの制御構造の一例を示すフローチャートである。
【図9】図8のプログラムによって最適化されたスケジュールを示す図である。
【図10】第1画像形成装置において実行されるプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図11】最適化処理プログラムの制御構造の一例を示すフローチャートである。
【図12】最適化処理プログラムの制御構造の一例を示すフローチャートである。
【図13】図12のプログラムによって最適化されたスケジュールを示す図である。
【図14】最適化処理プログラムの制御構造の一例を示すフローチャートである。
【図15】図14のプログラムで使用される集計結果を示す図である。
【図16】図14のプログラムで使用される使用率を示す図である。
【図17】図14のプログラムによって最適化されたスケジュールを示す図である。
【図18】最適化処理プログラムの制御構造の一例を示すフローチャートである。
【図19】図18のプログラムによって最適化されたスケジュールを示す図である。
【図20】第1画像形成装置において実行される、図10とは別のプログラムの制御構造を示すフローチャートである。
【図21】図1とは別のシステム構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の実施の形態では、同一の部品には同一の参照番号を付してある。それらの名称及び機能も同一である。したがって、それらについての詳細な説明は繰返さない。
【0026】
本発明の実施の形態に係る画像形成システムは、LAN等のネットワークによって相互に接続された複数の画像形成装置、及びサーバコンピュータ(以下、サーバという)を備えている。画像形成装置は、プリンタ機能、コピー機能、ファクシミリ機能、及びスキャナ機能等の複数の機能を備えたデジタル複合機である。各画像形成装置は、電力消費を抑える省エネモードに設定される時間帯を指定するスケジュールを記憶しており、そのスケジュールにしたがって、通常の稼働状態(以下、通常モードという)から省エネモードに移行、又は、省エネモードから通常モードに移行する。サーバは、複数の画像形成装置に設定されている省エネモードに関するスケジュールを管理する。即ち、サーバは、各画像形成装置のスケジュールをシステム全体として最適化し、最適化されたスケジュールにしたがって各画像形成装置を動作させる。
【0027】
画像形成装置における省エネモードには、種々のモードがある。例えば、「オートパワーシャットオフモード」、「予熱モード」がある。オートパワーシャットオフモードとは、操作部が操作されていないときに操作部及び定着部への電力供給を停止し、最も消費電力が小さい状態で待機するモードである。このモードは、節電率が高い反面、操作を受けた場合、復帰に比較的長い時間がかかる。予熱モードとは、定着部の温度を下げて、消費電力の小さい状態で待機するモードである。オートパワーシャットオフモードよりは、節電率は低いが、操作を受けた場合に短時間で復帰することができる。画像形成装置が操作されない場合に、オートパワーシャットオフモード又は予熱モードに移行する時間はそれぞれ、管理者等によって、画像形成装置毎に適宜(例えば分単位で)設定される。また、予熱モード時に、操作部への電力供給を停止するように設定することもできる。
【0028】
本明細書において、省エネモードはこれらに限定されない。また、省エネモードに関するスケジュール(以下、省エネスケジュールともいう)とは、時間帯(例えば開始時刻及び終了時刻によって指定される)と省エネモード(オートパワーシャットオフモード、予熱モード等)とを対応付けたデータを意味する。なお、画像形成装置が、設定された時刻になれば自動的に電源をON又はOFFする機能を備えている場合には、省エネモードに関するスケジュールに、画像形成装置の電源ON時刻及び/又は電源OFF時刻のデータを含んでいてもよい。
【0029】
図1を参照して、本実施の形態に係る画像形成システム200は、第1画像形成装置100、第2画像形成装置102、第3画像形成装置104、第4画像形成装置106、第5画像形成装置108、サーバ180、端末装置182及びこれらが接続されたネットワーク190を備えている。端末装置182は、例えばコンピュータである。サーバ180は、第1〜第5画像形成装置100〜108を管理するサーバコンピュータである。第1〜第5画像形成装置100〜108は、2つのグループに分類されている。第1画像形成装置100及び第2画像形成装置102は、例えば、オフィスの1階に配置されており、第1グループG1に属している。第3画像形成装置104、第4画像形成装置106及び第5画像形成装置108は、オフィスの2階に配置されており、第2グループG2に属している。
【0030】
画像形成システム200は、第1〜第5画像形成装置100〜108以外にも画像形成装置を備えることができるが、図1では代表的に5台のみを示している。同様に、画像形成システム200は、複数の端末装置及び複数のサーバを備えることができるが、図1では代表的にそれぞれ1台のみを示している。なお、第2〜第5画像形成装置102〜108は、第1画像形成装置100と同じ機種とは限らないが、同様の機能を有する画像形成装置であるとする。したがって、以下の第1画像形成装置100の構成及び機能に関する説明は、第2〜第5画像形成装置102〜108に関する説明でもある。
【0031】
図2を参照して、第1画像形成装置100は、画像読取部110、画像形成部120、操作部130、給紙部140、手差し給紙トレイ146、及び排紙処理部150を備えている。操作部130は、タッチパネルディスプレイ132及び操作キー部134を備えている。タッチパネルディスプレイ132は、液晶パネル等で構成された表示パネルと、表示パネルの上に配置され、タッチされた位置を検出するタッチパネルとを含む。操作キー部134には、図示しないいくつかの機能キーが配置される。
【0032】
図3を参照して、第1画像形成装置100は、ネットワーク190以外に電話回線網192にも接続されている。第1画像形成装置100は、上記した画像読取部110、画像形成部120、及び操作部130に加えて、制御部160、ハードディスクドライブ(以下、HDDと記載する)162、管理部164、画像処理部166、通信部168、FAXモデム170、電力供給部174、及びタイマ176を備えている。
【0033】
画像読取部110は、原稿を読取って画像データを入力する。制御部160は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部160は、プログラム等を記憶するためのROM(Read Only Memory)(図示せず)と、揮発性の記憶装置であるRAM(Random Access Memory)(図示せず)とを使用して、第1画像形成装置100が備える各部を制御する。ROMには、第1画像形成装置100の動作を制御するのに必要なプログラム及びデータが記憶されている。制御部160は、ROMからプログラムをRAM上に読出して、RAMの一部を作業領域としてプログラムを実行する。即ち、制御部160は、ROMに格納されているプログラムにしたがって第1画像形成装置100を構成する各部の制御を行ない、第1画像形成装置100の各機能を実現する。
【0034】
操作部130は、ユーザによる第1画像形成装置100に対する指示等の入力を受付ける。通信部168は、ネットワーク190を介して端末装置182、第2〜第5画像形成装置102〜108、及びサーバ180と通信する。画像形成部120は、画像データを記録紙に印刷する。HDD162は画像データを記憶する。管理部164は、第1画像形成装置100の制御情報、設定情報等を記憶する。
【0035】
制御部160は、管理部164に記憶された情報をもとに、第1画像形成装置100全体の動作を制御する。画像処理部166は、読取った画像データに対して種々の画像処理を実行する。FAXモデム170は、電話回線網192を介してファクシミリ装置194と通信する。
【0036】
また、制御部160は、適宜タイマ176から現在時刻を取得し、HDD162に記憶されているスケジュールにしたがって、所定の動作モードで動作する。スケジュールは、管理者等によって操作部130を介して予め設定される。通常モードでは、制御部160は、電力供給部174を制御して、外部から第1画像形成装置100に供給される電力を、電力供給ライン(図示せず)を介して各部に供給する。省エネモードでは、制御部160は、電力供給部174を制御して所定のユニット(例えば、操作部130、後述の定着部等)への電力供給を停止する。
【0037】
図3では、各部が制御部160に接続されているので、各部間のデータ伝送は制御部160を介して行なわれる。しかし、この構成に限定されず、データバスを備え、制御部160を含めて各部をデータバスに接続することもできる。その場合、データバスを介して、各部が制御部160による制御を受け、各部間でのデータ伝送が行なわれる。
【0038】
給紙部140は、第1給紙トレイ142及び第2給紙トレイ144を備えている。手差し給紙トレイ146は、記録紙を手差し給紙するためのトレイである。
【0039】
第1画像形成装置100は、ファクシミリ装置194との間でFAXによる画像データの送受信が可能であり、ネットワーク190がさらに外部のインターネットに接続されている場合、インターネットに接続されたPC等の端末装置との間で電子メール等を利用した画像データの送受信が可能である。
【0040】
以下、図3に示した第1画像形成装置100の各部について詳細に説明する。画像読取部110は、原稿を読取って画像データを生成する。画像読取部110は、例えば、画像読取デバイスとしてのCCD(Charge Coupled Device:電荷結合素子)112と、原稿台、自動原稿送り装置(ADF)等にセットされた原稿を検知する原稿検知センサ114とを備えている。
【0041】
操作部130は、各種の入力キー(ハードウェアキー)を備えた操作キー部134と、LCD(Liquid Crystal Display:液晶ディスプレイ)等の表示パネルの上にタッチパネルが配置されたタッチパネルディスプレイ132とを備えている。ユーザは、操作部130を介して、第1画像形成装置100に対して操作の入力や、各種設定の入力を行なう。操作部130には、第1画像形成装置100を利用するユーザの認証情報を入力する認証情報入力装置を配置するようにしてもよい。ユーザの認証情報の入力方法としては、例えば、ユーザコードの直接入力、IDカードの情報読取入力、ユーザの生体情報(指紋等の)読取入力等様々である。これらの何れかの方法により、第1画像形成装置100のユーザ認証を行なえるようにする。ユーザは、操作部130から、記録中のジョブを中断して別のジョブを割り込ませるための割り込み指示を行なうこともできる。
【0042】
制御部160は、操作部130に設けられたタッチパネルディスプレイ132、入力キー等に対するユーザの操作を監視するとともに、タッチパネルディスプレイ132に第1画像形成装置100の状態に関する情報等のユーザに通知すべき情報等を表示する。
【0043】
画像形成部120は、画像データを処理して出力する。画像形成部120は、メモリ122と印字部124とを備えている。印字部124は、記録紙上に画像を形成する。
【0044】
画像形成部120は、画像読取部110によって読取られた画像データをメモリ122に一旦記憶し、その後、メモリ122上の画像データをHDD162に記憶する。また、画像形成部120は、HDD162に記憶した画像データをメモリ122に読出し、印字部124に伝送し、記録紙に印刷して出力する。
【0045】
HDD162は、入力された画像データを記憶する。HDD162は、磁気記憶媒体であり、大量の画像データを蓄積して順次処理することが可能である。これにより、第1画像形成装置100は、複数のユーザからの指示を効率良く処理することができる。
【0046】
画像処理部166は、操作部130からユーザの指示を受けた制御部160により制御されて、メモリ122から画像データを読出して、指示された画像処理を実行し、その結果をメモリ122に記憶する。処理結果の画像データは、制御部160を介して、タッチパネルディスプレイ132に表示される。その後、メモリ122上の画像データは、ユーザの指示を受けて、印字部124に伝送されて記録紙に印刷される、FAXモデム170を介して電話回線網192に出力される、又は、通信部168を介してネットワーク190に出力される。
【0047】
第1画像形成装置100における記録紙への画像形成に関してより詳細に説明する。図4を参照して、印字部124は、光走査装置1、現像器2、感光体ドラム3、クリーナユニット4、帯電器5、中間転写ベルトユニット6、定着部7等を備えている。第1画像形成装置100において扱われる画像データは、ブラック(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)及びイエロー(Y)の各色を用いたカラー画像データ、即ち、これら4色の成分に分解された画像データである。したがって、現像器2、感光体ドラム3、帯電器5、及びクリーナユニット4は、各色に応じた4種類の潜像を形成するように、それぞれ4個ずつ設けられ、これらによって、ブラック、シアン、マゼンタ、及びイエローを処理する4つの画像ステーションが構成されている。
【0048】
帯電器5は、感光体ドラム3の表面を所定の電位に均一に帯電させるための装置であり、図4に示すようなチャージャ型の他、接触型のローラ型やブラシ型の帯電器が用いられることもある。
【0049】
光走査装置1は、レーザ出射部及び反射ミラー等を備えたレーザスキャニングユニット(LSU)である。光走査装置1には、レーザビームを走査するポリゴンミラーと、ポリゴンミラーによって反射されたレーザ光を感光体ドラム3に導くためのレンズ及びミラー等の光学要素とが配置されている。光走査装置1としては、このような構成以外に、発光素子をアレイ状に並べた、例えばEL又はLED書込みヘッドを用いるものも採用できる。
【0050】
光走査装置1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、その表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。現像器2は、それぞれの感光体ドラム3上に形成された静電潜像を4色(YMCK)のトナーにより顕像化する。クリーナユニット4は、現像及び画像転写後に感光体ドラム3上の表面に残留したトナーを、除去及び回収する。
【0051】
感光体ドラム3の上方に配置されている中間転写ベルトユニット6は、中間転写ベルト61、中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、中間転写ローラ64、及び中間転写ベルトクリーニングユニット65を備えている。中間転写ローラ64は、YMCKの各色に対応して4本設けられている。
【0052】
中間転写ベルト駆動ローラ62、中間転写ベルト従動ローラ63、及び中間転写ローラ64は、中間転写ベルト61を張架して回転駆動させる。各中間転写ローラ64は、対応する感光体ドラム3のトナー像を中間転写ベルト61上に転写するために、後述する転写バイアスを供給する。
【0053】
中間転写ベルト61は、各感光体ドラム3に接触するように設けられている。感光体ドラム3に形成された各色のトナー像を中間転写ベルト61に順次重ねて転写することによって、中間転写ベルト61上にカラーのトナー像(多色トナー像)が形成される。中間転写ベルト61は、例えば厚さ100μm〜150μm程度のフィルムを用いて無端状に形成されている。
【0054】
感光体ドラム3から中間転写ベルト61へのトナー像の転写は、中間転写ベルト61の裏側に接触している中間転写ローラ64によって行なわれる。中間転写ローラ64には、トナー像を転写するために高電圧の転写バイアス(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)が印加されている。中間転写ローラ64は、直径8〜10mmの金属(例えばステンレス)軸をベースとし、その表面が導電性の弾性材(例えばEPDM、発泡ウレタン等)により覆われているローラである。この導電性の弾性材により、中間転写ベルト61に対して均一に高電圧を印加することができる。本実施の形態では転写電極としてローラ形状を使用しているが、それ以外にブラシ等を用いることも可能である。
【0055】
上述のように各感光体ドラム3上で各色相に応じて顕像化された静電像は中間転写ベルト61上で積層される。このように積層された画像情報(トナーの濃淡分布)は、中間転写ベルト61が回転されて、記録紙と中間転写ベルト61との接触位置に配置される転写ローラ10によって記録紙上に転写される。
【0056】
このとき、中間転写ベルト61と転写ローラ10とは所定ニップで圧接されるとともに、転写ローラ10にはトナーを記録紙に転写させるための電圧が印加される(トナーの帯電極性(−)とは逆極性(+)の高電圧)。さらに、上記ニップを定常的に得るために、転写ローラ10及び中間転写ベルト駆動ローラ62の何れか一方には硬質材料(金属等)が用いられ、他方には弾性ローラ等の軟質材料(弾性ゴムローラ、発泡性樹脂ローラ等)が用いられる。
【0057】
また、上記のように、感光体ドラム3に接触することにより中間転写ベルト61に付着したトナー、又は転写ローラ10によって記録紙上に転写が行なわれずに中間転写ベルト61上に残存したトナーは、次工程でトナーの混色を発生させる原因となるために、中間転写ベルトクリーニングユニット65によって除去されて回収される。中間転写ベルトクリーニングユニット65には、クリーニング部材として、例えば中間転写ベルト61に接触するクリーニングブレードが配置されており、クリーニングブレードが接触する中間転写ベルト61は、裏側から中間転写ベルト従動ローラ63で支持されている。
【0058】
図4には、第1給紙トレイ142及び手差し給紙トレイ146の記録紙を、転写ローラ10及び定着部7を経由させて排紙トレイ152に送るために、略鉛直方向に形成される記録紙搬送路Sを示す。記録紙搬送路Sの近傍には、ピックアップローラ172、複数の搬送ローラ12a〜12d、レジストローラ13、転写ローラ10、及び定着部7等が配置されている。
【0059】
搬送ローラ12a〜12dは、記録紙の搬送を促進及び補助するための小型のローラであり、記録紙搬送路Sに沿って複数設けられている。ピックアップローラ172は、第1給紙トレイ142の端部近傍に配置され、第1給紙トレイ142から記録紙を1枚ずつピックアップして記録紙搬送路Sに供給する。
【0060】
レジストローラ13は、記録紙搬送路Sを搬送される記録紙を一旦保持する。そして、中間転写ベルト61上のトナー像の先端と記録紙の先端とが一致するタイミングで記録紙を転写ローラ10に搬送する。
【0061】
定着部7は、ヒートローラ71及び加圧ローラ72を備えている。ヒートローラ71及び加圧ローラ72は、記録紙を挟んで回転する。ヒートローラ71は、外部加熱ベルト73によって外部から加熱される。このとき、ヒートローラ71は、制御部160によって、温度検出器(図示せず)からの信号に基づいて、所定の定着温度に設定される。ヒートローラ71は、加圧ローラ72とともにトナーを記録紙に熱圧着することにより、記録紙に転写された多色トナー像を溶融、混合、及び圧接し、記録紙に対して熱定着させる。これによって、記録紙に画像が形成される。
【0062】
省エネモードでは、電力供給部174から定着部7への電力供給が停止又は制限される。例えば、オートパワーシャットオフモードでは、定着部7(より具体的には外部加熱ベルトを加熱するヒータ)への電力供給が停止される。また、予熱モードでは、ヒートローラ71の設定温度が、通常モードよりも低く設定され、定着部7への電力供給が制限される。
【0063】
第1画像形成装置100が搭載している機能(コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能)を実行する各モードについて簡単に説明する。
【0064】
(コピーモード)
第1画像形成装置100を複写機として利用する場合には、画像読取部110によって読取られた原稿の画像データが、画像形成部120から複写物として出力される。
【0065】
画像読取部110に装備されたCCD112により、読取位置にセットされた原稿の画像を電子的に読取ることができる。読取られた画像データは、メモリ122上に出力データ(印刷用データ)として完成された後、HDD162に記憶される。原稿が複数ある場合には、この読取動作及び記憶動作が繰返される。その後、操作部130から指示された処理モードに基づいて、HDD162に記憶された画像データが適切なタイミングで順次読出されてメモリ122に送られる。そして、印字部124での画像形成のタイミングに合わせて画像データがメモリ122から印字部124へと伝送される。
【0066】
読取った画像データを複数枚印字する場合にも、同様に出力データとしてページ単位でHDD162に記憶され、HDD162からメモリ122に送られ、出力枚数の分だけ繰返し、印字部124での画像形成のタイミングに合わせて印字部124へ伝送される。
【0067】
具体的には、上記したように、光走査装置1は、帯電された感光体ドラム3を、入力された画像データに応じて露光することにより、感光体ドラム3の表面に、画像データに応じた静電潜像を形成する。感光体ドラム3上の静電潜像は中間転写ベルト61に転写され、中間転写ベルト61で顕像化された静電像は、搬送された記録紙に、レジストローラ13によって転写される。その後、記録紙は、定着部7によって加熱及び加圧され、排紙トレイ152に排出される。
【0068】
(プリンタモード)
第1画像形成装置100をプリンタとして利用する場合には、通信部168を介して受信した画像データがメモリ122等を介して画像形成部120から出力される。
【0069】
通信部168は、有線又は無線でネットワーク190と接続されており、ネットワーク190に接続された外部機器である端末装置182から画像データを受信する。受信された画像データは、出力画像データとしてページ単位にメモリ122に送られた後、HDD162に記憶される。そして、画像データは、再びHDD162からメモリ122に送られ、上記したコピーモードと同様に印字部124へと転送され、画像形成が行なわれる。
【0070】
(スキャナモード)
第1画像形成装置100を、例えばネットワークスキャナとして利用する場合には、画像読取部110において読取られた原稿の画像データを、通信部168からネットワーク190を介して任意の端末装置(例えば端末装置182)へ送信する。この場合にも、画像読取部110に装備されたCCD112により原稿を電子的に読取る。そして、読取られた原稿の画像データは、メモリ122上に出力データとして完成された後、HDD162に記憶される。そして、再びHDD162からメモリ122に送られ、操作部130を介して指定された送信先との通信を確立させた上で、通信部168から指示された送信先へと送信される。
【0071】
(ファクシミリモード)
第1画像形成装置100は、上記したように、FAXモデム170が電話回線網192に接続され、通信部168がネットワーク190及びインターネットに接続されている。したがって、第1画像形成装置100は、電話回線網192を介してファクシミリ装置194とFAX送受信することができる。
【0072】
第1画像形成装置100をファクシミリ装置として利用する場合、ファクシミリ装置194からFAX受信したデータを、画像データとしてメモリ122上に形成し、上記と同様に、HDD162への記憶、印字部124による印刷を実行することができる。また、第1画像形成装置100は、HDD162から画像データを読出して、FAX通信用のデータ形式に変換して、ファクシミリ装置194に送信することができる。
【0073】
このように、スキャナモード及びファクシミリモードにおける画像送信では、記録紙への印刷が行なわれないので、定着部への電力供給が停止されていてもよい。したがって、定着部への電力供給を停止したまま実行できる場合には、オートパワーシャットオフモード又は予熱モードにおいて、スキャン又はファクシミリ送信の実行が指示された場合、画像形成装置は通常モードに復帰せずに(例えば、定着部への電力供給を停止状態に維持したまま)、指示された画像送信を行なうようにすることもできる。
【0074】
図5を参照して、サーバ180は、汎用コンピュータと同様に、CPU300、ROM302、RAM304、HDD306、表示部308、コンピュータ用キーボード310、コンピュータ用マウス312、ネットワークI/F314、タイマ316、及びバス318を備えている。各部間のデータ(制御情報を含む)交換は、バス318を介して行なわれる。CPU300は、ROM302に記憶されている所定のプログラムを、バス318を介してRAM304上に読出して、RAM304の一部を作業領域としてプログラムを実行する。CPU300は、プログムの実行時に、必要に応じてタイマ316から現在時刻の情報を取得する。
【0075】
表示部308は、液晶ディスプレイ等の画像を表示可能な表示装置と、ビデオメモリとを備えている。ビデオメモリは、バス318を介して伝送されるデータを1フレーム(1画面)の画像データとして記憶し、画像データから表示装置に応じた形式の信号を生成して表示装置に伝送し、表示装置が画像として表示する。ユーザは、キーボード310及びマウス312を操作して、サーバ180に対する指示を入力することができる。ネットワークI/F314は、ネットワーク190に接続され、サーバ180がネットワーク190を介して外部装置(第1〜第5画像形成装置100〜108等)と通信するためのインターフェイスである。
【0076】
以下、画像形成システム200において、サーバ180が、第1〜第5画像形成装置100〜108の各々の省エネモードに関するスケジュールを、システム全体として最適化する機能に関して具体的に説明する。図6を参照して、サーバ180のCPU300が実行するプログラムの制御構造について説明する。ここでは、サーバ180は、電源をONされて起動したときに、タイマ316から現在時刻の情報を取得し、RAM304の所定領域に送信時刻情報T0として記憶するとする。また、ROM302には時間間隔ΔTが記憶されているとする。
【0077】
ステップ400において、CPU300は、前回、第1〜第5画像形成装置100〜108にデータ送信を要求したときから所定時間が経過したか否かを判定する。具体的には、CPU300は、タイマ316から現在時刻T1を取得し、RAM304から送信開始時刻T0を読出し、ROM302から時間間隔ΔTを読出し、現在時刻T1から送信開始時刻T0を減算した値が時間間隔ΔT以上(T1−T0≧ΔT)であるか否かを判定する。なお、RAM304の送信時刻情報T0は、後述するステップにおいて更新される。所定の時間が経過した(T1−T0≧ΔT)と判定された場合、制御はステップ402に移行する。そうでなければ(T1−T0<ΔT)、制御はステップ416に移行する。ステップ400が初めて実行される場合には、所定時間が経過したと判定されずに、制御はステップ416に移行する。
【0078】
ステップ402において、CPU300は、ネットワーク190を介して第1〜第5画像形成装置100〜108に、各画像形成装置の現状に関するデータ(以下、現状データともいう)をサーバ180宛に送信することを要求するデータ(以下、要求データともいう)を送信する。後述するように、第1〜第5画像形成装置100〜108は、サーバ180から要求データを受信した場合、自機の現状データをサーバ180に送信する。現状データには、少なくとも省エネスケジュール(省エネモードに関するスケジュール)と、それを送信した画像形成装置を特定する情報が含まれている。画像形成装置を特定する情報には、公知のMACアドレス、IPアドレス等を使用することができる。
【0079】
ステップ404において、CPU300は、第1〜第5画像形成装置100〜108から現状データを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ406に移行する。そうでなければ、ステップ404が繰返される。
【0080】
ステップ406において、CPU300は、受信した現状データをHDD306に記憶する。後述するように、定期的(所定時間が経過する毎)又は不定期(サーバ180からの要求なしに何れかの画像形成装置が現状データを送信したとき)に、サーバ180は現状データを受信するので、HDD306に既に現状データが記憶されていることがある。その場合には、CPU300は、受信した現状データで、同じ画像形成装置から過去に受信した現状データを上書きする。
【0081】
ステップ408において、CPU300は、サーバ180が管理対象としている全画像形成装置(第1〜第5画像形成装置100〜108)から現状データを受信したか否かを判定する。全画像形成装置から受信したと判定された場合、制御はステップ410に移行する。そうでなければ、制御はステップ404に戻り、全画像形成装置から現状データを受信するまで、ステップ404〜408が繰返される。
【0082】
ステップ400において所定時間が経過していないと判定された場合、ステップ416において、CPU300は、第1〜第5画像形成装置100〜108の何れかから、現状データを受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ418に移行する。そうでなければ、制御はステップ414に移行する。
【0083】
ステップ418において、CPU300は、受信した現状データを、ステップ406と同様にHDD306に記憶する。その後、制御はステップ410に移行する。
【0084】
以上、ステップ400〜408、ステップ416、及びステップ418によって、サーバ180は、第1〜第5画像形成装置100〜108から現状データを受信することができる。
【0085】
図7は、サーバ180が取得した現状データを、表形式で示した例である。各画像形成装置は、電源がONされて起動すると、省エネスケジュールにしたがって動作する。グループ欄の括弧内の表記「1F」及び「2F」は、1階及び2階を表し、グループG1に属する画像形成装置が1階に配置され、グループG2に属する画像形成装置が2階に配置されていることを表す。MFP1〜MFP5は、第1〜第5画像形成装置100〜108をそれぞれ特定するための情報である。以下においては、記載を簡略にするために、MFP1〜MFP5を、第1〜第5画像形成装置100〜108を表すためにも使用する。使用電力は、各画像形成装置の定格電力である。時間帯を表す数字は、各時間帯の開始時刻を表す。例えば、“9”は9:00から10:00の直前までの時間帯を表し、“23”は、23:00から24:00(0:00)の直前までの時間帯を表す。斜線が引かれたセルは、対応する画像形成装置が、対応する時間帯に通常モードに設定されることを表す。白色のセルは、対応する画像形成装置が、対応する時間帯に省エネモードに設定されることを表す。図7に示されていない0:00(24:00)から9:00の直前までの間は、各画像形成装置の電源がOFFされていることを表す。例えば、MFP1は、9:00に電源がONされると通常モードに設定され、その状態が12:00の直前まで維持される。MFP1は、12:00になると省エネモードに設定され、その状態が14:00の直前まで維持される。MFP1は、その後も同様に通常モード又は省エネモードに設定され、24:00(0:00)になると電源がOFFされる。MFP2〜MFP5に関しても同様である。
【0086】
なお、各画像形成装置からサーバ180に送信される現状データの形式は任意である。例えば、MFPi(i=1〜5)が第1〜第5画像形成装置100〜108を特定する情報、nが時間帯の総数、st(j=1〜n)が時間帯の開始時刻、mo(j=1〜n)がモード、PWが各画像形成装置の使用電力を表すとする場合、次のような形式のデータであればよい。
{MFPi,(st,mo),・・・,(st,mo),・・・,(st,mo),PW
【0087】
さらに、st(j=1〜m)及びet(j=1〜m)が、省エネモードが設定されている時間帯の開始時刻及び終了時刻を表すとする場合、次のような形式のデータであってもよい。(st,et)(j=1〜m)以外の時間帯は、通常モードに設定されていることになる。
{MFPi,(st,et),・・・,(st,et),・・・,(st,et),PW
なお、この形式の場合、サーバ180と各画像形成装置との間で取り決めておけば、st(j=1〜m)及びet(j=1〜m)を通常モードが設定されている時間帯の開始時刻及び終了時刻としてもよい。この場合、(st,et)(j=1〜m)以外の時間帯は、省エネモードに設定されていることになる。
【0088】
また、各画像形成装置の使用電力PWは、毎回送信される必要はない。各画像形成装置が1度だけ送信し、サーバ180が、受信した各画像形成装置の使用電力PWを、画像形成装置を特定する情報MFPiと対応させて、HDD306に記憶しておけばよい。また、各画像形成装置の使用電力PWは、予め管理者等によってキーボード310等を介して入力され、HDD306に記憶されていてもよい。
【0089】
ステップ410において、CPU300は、第1〜第5画像形成装置100〜108から受信した現状データに含まれる省エネスケジュール(図7参照)を最適化する処理を行なう。最適化処理には、種々の方法がある。最適化処理の一例を図8に示す。
【0090】
図8のステップ500において、CPU300は、最適化処理の対象とするグループを1つ指定する。ここでは、第1グループG1又は第2グループG2を指定する。これは、画像形成装置の設定場所等を考慮して、グループ毎に最適化処理を行なうためである。
【0091】
ステップ502において、CPU300は、時間帯を指定する。例えば、図7の場合、“9”〜“23”で表されている時間帯のうちの1つの時間帯が指定される。
【0092】
ステップ504において、CPU300は、業務優先の時間帯であるか否かを判定する。業務優先の時間帯とは、省電力よりも業務を優先する時間帯である。この時間帯では、できるだけ省エネモードを設定しない。但し、それ以外の条件、例えば総使用電力の上限値が設定され、それによって省エネモードが設定されてもよい。業務優先の時間帯は、例えば画像形成システム200の全体又はグループ毎に設定され、サーバ180のHDD306に予め記憶されている。ここでは、業務優先の時間帯として14:00から17:00の直前までの期間が設定されており、業務優先の時間帯であっても、各グループ内での総使用電力が500W以下である条件が設定されているとする。業務優先の時間帯以外の時間帯は、後述する省電力を優先する時間帯に設定されていることもある。業務優先の時間帯であると判定された場合、制御はステップ516に移行する。そうでなければ、制御はステップ506に移行する。
【0093】
ステップ506において、CPU300は、省電力優先の時間帯であるか否かを判定する。省電力優先の時間帯とは、業務よりも省電力を優先する時間帯である。この時間帯では、消費電力をできるだけ低減するために画像形成装置を積極的に省エネモードに設定する。ここでは、省電力優先の時間帯として9:00から12:00の直前まで、及び、18:00から24:00の直前までの期間が設定されているとする。省電力優先の時間帯であると判定された場合、制御はステップ508に移行する。そうでなければ、制御はステップ512に移行する。
【0094】
ステップ508において、CPU300は、ステップ502で指定された時間帯に通常モードが重複しているか否かを判定する。具体的には、CPU300は、ステップ500において指定されたグループに属する複数の画像形成装置のうち、ステップ502で指定された時間帯に、通常モードに設定されている画像形成装置が2つ以上あるか否かを判定する。重複していると判定された場合、制御はステップ510に移行する。そうでなければ、制御はステップ512に移行する。
【0095】
ステップ510において、CPU300は、ステップ502で指定された時間帯において、通常モードに設定されている複数の画像形成装置に関して、1つの画像形成装置のみを通常モードの設定のままにし、それ以外の通常モードに設定されている画像形成装置のモードを省エネモードに変更する。どの画像形成装置を通常モードの設定のままにしておくかは任意である。例えば、通常モードに設定されている画像形成装置のうち、使用電力が最も小さい画像形成装置を通常モードの設定のままにし、それ以外の通常モードに設定されている画像形成装置のモードを省エネモードに変更する。
【0096】
ステップ504で業務優先の時間帯であると判定された場合、ステップ516において、CPU300は、ステップ500において指定されたグループに属する複数の画像形成装置のうち、ステップ502で指定された時間帯において通常モードに設定されている画像形成装置の使用電力の合計が、所定の上限値(例えば、500W)を超えているか否かを判定する。超えていると判定された場合、制御はステップ518に移行する。そうでなければ、制御はステップ512に移行する。
【0097】
ステップ518において、CPU300は、通常モードに設定されている画像形成装置の使用電力の合計が、所定の上限値以下になるように、通常モードに設定されている画像形成装置を省エネモードに設定する。例えば、通常モードに設定されている複数の画像形成装置のうち、使用電力の合計値が所定の上限値以下の最大値になるように、通常モードに設定されるべき画像形成装置の組合せを決定する。決定された画像形成装置以外の画像形成装置に関しては省エネモードを設定する。
【0098】
ステップ512において、CPU300は、全時間帯に関して処理を完了したか否かを判定する。完了したと判定された場合、制御はステップ514に移行する。そうでなければ、制御はステップ502に戻り、処理されていない時間帯が指定されて、ステップ504以降の処理が実行される。
【0099】
ステップ514において、CPU300は、全グループに関して処理を完了したか否かを判定する。完了したと判定された場合、本プログラムを終了し、制御は図6のステップ412に移行する。そうでなければ、制御はステップ500に戻り、処理されていないグループが指定されて、ステップ502以降の処理が実行される。
【0100】
図7に示した省エネスケジュールに対して図8に示した最適化処理が実行された場合、最適化後の省エネスケジュールは図9のようになる。モードが変更されたセルには符号Aを付している。
【0101】
例えば、グループG1に属する2台のMFP1及びMFP2に関して、時間帯“10”において、MFP2が通常モード(図7)から省エネモード(図9)に変更されている。これは、ステップ500においてグループG1(図7のフロアが「1F」のグループ)が指定され、ステップ502において時間帯として“10”が指定され、“10”は業務優先の時間帯ではない(業務優先の時間帯は14:00から17:00の直前までの期間)のでステップ508において通常モードが重複していると判定された結果、MFP2が省エネモードに変更されたためである。同様に、グループG1に属する2台のMFP1及びMFP2に関しては、時間帯“11”及び“18”においても、MFP2が通常モード(図7)から省エネモード(図9)に変更されている。これも、同様に、ステップ500においてグループG1が指定され、ステップ502において時間帯として“11”(又は“18”)が指定され、これらは業務優先の時間帯ではないのでステップ508において通常モードが重複していると判定された結果、MFP2が省エネモードに設定されたためである。なお、図9では、ともに通常モードに設定されているMFP1及びMFP2のうち、省電力の観点から、使用電力がより大きいMFP2を省エネモードに変更しているが、MFP1を省エネモードに変更してもよい。
【0102】
また、グループG2に属する3台のMFP3〜MFP5に関しては、時間帯“10”及び“11”において、MFP4が通常モード(図7)から省エネモード(図9)に変更され、時間帯“18”において、MFP4及びMFP5が通常モード(図7)から省エネモード(図9)に変更されている。これも、上記と同様に、ステップ500においてグループG2が指定され、ステップ502において時間帯として“10”、“11”又は“18”が指定され、これらは業務優先の時間帯ではないのでステップ508において通常モードが重複していると判定された結果、MFP4(“18”においてはMFP5も)が省エネモードに設定されたためである。グループG2に属する3台のMFP3〜MFP5に関しては、時間帯“14”〜“16”において、MFP3が通常モード(図7)から省エネモード(図9)に変更されている。これは、これらの時間帯は、業務優先の時間帯であるので、ステップ516及びステップ518が実行されて、MFP3〜MFP5の総使用電力が所定値500W以下になるように、MFP3が省エネモードに変更されたためである。
【0103】
なお、上記以外の時間帯は、業務優先の時間帯でも省電力優先の時間帯でもないので、ステップ506での判定後、ステップ512に移行し、元の設定が維持される。例えば、時間帯“17”において、MFP1〜MFP5の何れのモードも変更されていないのはこのためである。
【0104】
このようにステップ410によって省エネスケジュールが最適化された後、ステップ412において、CPU300は、最適化された各画像形成装置に関する省エネスケジュールを、該当する画像形成装置に送信する。後述するように、各画像形成装置は、サーバ180から送信される最適化された省エネスケジュールを受信し、受信した省エネスケジュールで、自機に記憶されている省エネスケジュールを更新する。その後、各画像形成装置は、更新された省エネスケジュールにしたがって動作する。なお、スケジュールが変更されなかった場合、該当する画像形成装置にはスケジュールを送信しなくてもよい。
【0105】
ステップ414において、CPU300は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、サーバ180の電源がOFFされることである。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ400に戻る。
【0106】
次に、図10を参照して、第1画像形成装置100の制御部160が実行するプログラムに関して説明する。省エネスケジュールは、管理者等によって設定され、HDD162に記憶されているとする。また、第1画像形成装置100の現在のモードを表す情報(現在モード情報)は、RAM等に一時的に記憶されるとする。現在モード情報の初期値は、通常モードを表す情報である。
【0107】
第1画像形成装置100の電源がONされた後、ステップ600において、制御部160は、タイマ176から現在時刻を取得し、HDD162の省エネスケジュールを参照し、現在時刻に対応するモードを特定する。
【0108】
ステップ602において、制御部160は、ステップ600で特定されたモードと、RAMに一時記憶されている現在モード情報に対応するモードと比較し、それらが異なるか否かを判定する。同じであれば、モードが変化していないと判定され、制御はステップ606に移行する。異なれば、モードが変化したと判定され、制御はステップ604に移行し、ステップ604において制御部160は、モードを変更する。通常モードから省エネモード(具体的には、オートパワーシャットオフモード、予熱モード等)に移行し、所定の内部ユニットへの電力供給を停止又は制限する。
【0109】
ステップ606において、制御部160は、サーバ180からの要求データ(現状データの送信要求)を受信したか否かを判定する。受信していないと判定された場合、制御はステップ610に移行する。受信したと判定された場合、制御はステップ608に移行し、ステップ608において制御部160は、現状データをサーバ180に送信する。現状データには、上記したように、省エネスケジュールと画像形成装置を特定する情報とを含む。
【0110】
ステップ610において、制御部160は、サーバ180から、最適化された省エネスケジュール(図6のステップ410において最適化された後、ステップ412で送信された省エネスケジュール)を受信したか否かを判定する。受信したと判定された場合、制御はステップ612に移行して、ステップ612において制御部160は、受信した省エネスケジュールをHDD162に記憶する(例えば、HDD162に既に記憶されている省エネスケジュールを上書きする)。受信していないと判定された場合、制御はステップ616に移行する。
【0111】
ステップ614において、制御部160は、第1画像形成装置100に対して何らかの操作がなされた否かを判定する。ユーザは、操作部130を介して、第1画像形成装置100に対する種々の指示を行なうので、制御部160は、操作部130が操作されたか否かを判定する。操作されたと判定された場合、制御はステップ616に移行する。そうでなければ、制御はステップ622に移行する。
【0112】
ステップ616において、制御部160は、受付けた操作がモード設定を変更する操作であるか否かを判定する。モード設定の変更は、例えば、制御部160が、HDD162から現状の省エネスケジュールを読出して、操作部130のタッチパネルディスプレイ132に表示し、それに対するユーザの操作を受付けることによって実行される。モード設定を変更する操作を受けたと判定された場合、制御はステップ618に移行する。そうでなければ、制御はステップ620に移行する。
【0113】
ステップ618において、制御部160は、HDD162に記憶されている省エネスケジュールを変更し、変更後の省エネスケジュールを含む現状データをサーバ180に送信する。
【0114】
ステップ620において、制御部160は、受付けた操作に該当する処理を実行する。その後、制御はステップ622に移行する。制御部160は、上記したように第1画像形成装置100にコピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能等を実行させる指示を受けた場合、該当する処理を実行する。
【0115】
ステップ622において、制御部160は、終了の指示を受けたか否かを判定する。終了の指示は、例えば、第1画像形成装置100の電源がOFFされることである。終了の指示を受けたと判定された場合、本プログラムは終了する。そうでなければ、制御はステップ600に戻る。
【0116】
これによって、第1画像形成装置100は、省エネスケジュールにしたがってモードを変更し、サーバ180からの要求に応じて自機の現状データを送信する。サーバ180から、最適化された省エネスケジュールを受信した後は、それにしたがってモードを変更する。
【0117】
以上、図6、図8及び図10に示したように、サーバ180は、第1〜第5画像形成装置100〜108から省エネスケジュールを含む現状データを、定期的又は不定期に受信し、それらに対して、システム全体又はグループ毎に課せられた条件(省電力優先か否か、業務優先か否か等)にしたがって最適化処理を実行することができる。そして、サーバ180は、最適化された省エネスケジュールを第1〜第5画像形成装置100〜108に送信して、実行させることができる。これによって、各グループ(各部署)における業務効率と省電力との両面を考慮して、複数の画像形成装置を適切に運用することができる。
【0118】
図6のステップ410の最適化処理は、図8に限定されない。例えば、サーバ180のCPU300は図11に示すような最適化処理を実行してもよい。図11のステップ500〜504、ステップ512、及びステップ514は、図8と同じであるので説明を繰返さない。図11では、図8と異なり、業務優先の時間帯におけるスケジュールを最適化する。したがって、省電力優先の時間帯であるか否かを考慮しない。
【0119】
ステップ520において、CPU300は、業務優先の時間帯に関して、省エネモードが重複しているか否かを判定する。具体的には、CPU300は、ステップ500において指定されたグループに属する複数の画像形成装置のうち、ステップ502で指定された時間帯に省エネモードに設定されている画像形成装置が2つ以上あるか否かを判定する。重複していると判定された場合、制御はステップ522に移行する。そうでなければ、制御はステップ512に移行する。
【0120】
ステップ522において、CPU300は、ステップ502で指定された時間帯において、省エネモードに設定されている複数の画像形成装置に関して、1つの画像形成装置のみを省エネモードの設定のままにし、それ以外の省エネモードに設定されている画像形成装置のモードを通常モードに変更する。どの画像形成装置を省エネモードの設定のままにしておくかは任意である。例えば、省エネモードに設定されている画像形成装置のうち、使用電力が最も大きい画像形成装置を省エネモードの設定のままにし、それ以外の省エネモードに設定されている画像形成装置のモードを通常モードに設定する。
【0121】
また、サーバ180のCPU300は図12に示すような最適化処理を実行してもよい。図12のステップ500、ステップ502、ステップ506、ステップ512及びステップ514は、図8と同じであるので説明を繰返さない。
【0122】
ステップ540において、CPU300は、ステップ502で指定された時間帯において、通常モードに設定されている複数の画像形成装置のうち、使用電力が最も小さい1つの画像形成装置のみを通常モードの設定のままにし、それ以外の通常モードに設定されている画像形成装置のモードを省エネモードに変更する。
【0123】
図7に示した省エネスケジュール対して図12に示した最適化処理が実行された場合、最適化後の省エネスケジュールは、図13のようになる。モードが変更されたセルには符号Aを付している。
【0124】
また、サーバ180のCPU300は図14に示すような最適化処理を実行してもよい。図14のステップ500〜506、ステップ512及びステップ514は、図8と同じであるので説明を繰返さない。
【0125】
ステップ560において、CPU300は、ステップ502で指定された時間帯(業務優先の時間帯でなく、通常モードが重複している時間帯)において、各画像形成装置のモードを、その使用率に応じて決定する。例えば、使用率の低い画像形成装置のモードを省エネモードに設定する。具体的には、通常モードに設定されている画像形成装置が2台の場合、使用率がより低いものを省エネモードに変更する。通常モードに設定されている画像形成装置が3台以上の場合、使用率が最も高いものから半数を超えない台数まで通常モードに設定し、それ以外を省エネモードに設定する。但し、3台以上の画像形成装置が通常モードに設定されている全時間帯において、各画像形成装置が少なくとも1つの時間帯で通常モードに設定されるようにする。
【0126】
ここで、使用率は、例えば次のようにして決定される。サーバ180が、各画像形成装置に現状データの送信を要求すると、各画像形成装置は、省エネスケジュール以外に、例えば、前日に画像形成装置が使用された時間(以下、使用時間ともいう)、消耗品(トナー、記録紙等)の残量等をも、現状データとして送信する。サーバ180は受信した現状データを、受信した時刻の情報(年月日の情報も含む)と対応させて、各画像形成装置の履歴データとして、HDD306に記憶する。その後、サーバ180は、所定期間の履歴データを、画像形成装置毎に集計して使用率を求める。
【0127】
例えば、サーバ180が、図15に示すMFP1〜MFP5の履歴データを記憶している場合、各画像形成装置の使用率は図16のようになる。図15は10月1日から10月14日までの履歴データである。1日毎の使用時間(h)及びトナー残量(%)が示されている。合計時間は、10月1日から10月14日までの使用時間の合計である。トナー残量は、最後の日(10月14日)のトナー残量である。使用率は、各画像形成装置の合計使用率を、同じグループに属する各画像形成装置の合計使用時間の総和で除して得られる値(%)である。例えば、MFP1の使用率は、MFP1の合計使用時間/(MFP1の合計使用時間+MFP2の合計使用時間)によって計算される。
【0128】
図16の使用率を用いて、図7に示した省エネスケジュール対して、図14に示した最適化処理が実行された場合、最適化後の省エネスケジュールは図17のようになる。モードが変更されたセルには符号Aを付している。グループG1には2台の画像形成装置が属するので、図7で2台とも通常モードに設定されていた時間帯“10”、“11”及び“14”〜“18”においては、図17では、使用率の高いMFP2(73%)は通常モードのままであり、使用率の低いMFP1(27%)は省エネモードに変更されている。
【0129】
一方、グループG2には3台の画像形成装置が属する。図7で2台とも通常モードに設定されていた時間帯“10”及び“11”においては、上記と同様に、使用率の高いMFP3(50%)は通常モードのままであり、使用率の低いMFP1(24%)は省エネモードに変更されている。また、図7の時間帯“14”〜“18”においては、3台の画像形成装置が通常モードに設定されていたので、時間帯“14”〜“18”に関しては、時間帯“14”〜“18”全体において、各画像形成装置が少なくとも1つの時間帯において通常モードに設定されることを条件として、使用率の高いものから半数を超えない台数(この場合1台)まで通常モードに設定し、それ以外を省エネモードに設定する。図17では、時間帯“14”〜“18”において、使用率の高いMFP4が優先されて、連続する時間帯(“14”〜“16”)において通常モードに設定され、残りの時間帯(“17”及び“18”)において、使用率の低いMFP3又はMFP5が通常モードに設定されている。
【0130】
また、サーバ180のCPU300は図18に示すような最適化処理を実行してもよい。図18の処理では、トナー残量が少ない画像形成装置を省エネモードに設定して、その使用を制限する。ここでは、サーバ180が図6のフローチャートにおいて各画像形成装置から受信する現状データに、消耗品(トナー、記録紙等)の残量の情報が含まれることが前提である。
【0131】
ステップ580において、CPU300は、画像形成装置を特定する情報を1つ指定する。例えば、MFP1〜MFP5のうちの1つを指定する。
【0132】
ステップ582において、CPU300は、ステップ580で指定した情報に対応する画像形成装置の消耗品の残量が少ないか否かを判定する。具体的には、CPU300は、HDD306から、その画像形成装置の消耗品の残量を読出し、所定値以下であるか否かを判定する。消耗品の残量が少ない(消耗品の残量≦所定値)と判定された場合、制御はステップ584に移行する。そうでなければ(消耗品の残量>所定値)、制御はステップ586に移行する。所定値は、例えば10%である。
【0133】
ステップ584において、CPU300は、ステップ580で指定した情報に対応する画像形成装置が通常モードに設定されている時間帯を少なくする。具体的には、CPU300は、通常モードに設定されている時間帯の一部又は全てを省エネモードに変更する。
【0134】
ステップ586において、CPU300は、全ての画像形成装置に関して処理を完了したか否かを判定する。完了したと判定された場合、本プログラムを終了し、制御は図6のステップ412に移行する。そうでなければ、制御はステップ580に戻り、処理されていない画像形成装置を特定する情報が指定されて、ステップ582以降の処理が実行される。
【0135】
例えば、図15のトナー残量を用いて、図7に示した省エネスケジュール対して、図18に示した最適化処理が実行された場合、最適化後の省エネスケジュールは、例えば図19のようになる。MFP4のトナー残量が10%であるので、ステップ584によって、時間帯“10”、“11”及び“16”〜“18”が省エネモードに変更されている。それ以外の画像形成装置に関しては、トナー残量が10%よりも多いのでモードの変更はない。トナー残量が所定値以下である場合に、どの程度の時間帯を省エネモードに設定するかは任意であるが、トナー残量が少ないほど、通常モードに設定されている期間を長くすることが好ましい。
【0136】
また、第1画像形成装置100の制御部160が実行するプログラムは、図10に限定されない。例えば、図20に示したプログラムであってもよい。図20のステップ600〜606、ステップ610〜616、ステップ620、及びステップ622は、図10と同じであるので説明を繰返さない。
【0137】
ステップ640において、制御部160は、省エネスケジュール及び消耗品の残量の情報を含む現状データをサーバ180に送信する。
【0138】
ステップ642において、制御部160は、ユーザによるモード設定を変更する操作にしたがって、HDD162に記憶されている省エネスケジュールを変更し、変更後の省エネスケジュール及び消耗品の残量の情報を含む現状データをサーバ180に送信する。
【0139】
ステップ644において、制御部160は、消耗品が交換されたか否か、又は追加されたか否かを判定する。消耗品が交換されたこと、又は追加されたことは、公知のセンサ等を用いて検出することができる。また、消耗品が交換されたことを、ユーザが操作部130を介して画像形成装置に指示してもよい。消耗品が交換された、又は追加されたと判定された場合、制御はステップ646に移行する。そうでなければ、制御はステップ622に移行する。
【0140】
ステップ646において、制御部160は、消耗品の残量を測定して、省エネスケジュールとともに現状データとしてサーバ180に送信する。消耗品(トナー、記録紙等)の残量は、公知の方法で得ることができる。例えば、トナーカートリッジ内のトナー残量の測定方法には、光学方式、音及び振動方式、静電容量方式、フロート方式、駆動負荷検出方式、回転数カウント方式等がある。記録紙の残量の測定方法には、トレイ内の記録紙の高さをセンサで測定する方法等がある。
【0141】
なお、消耗品の残量が少ない場合に、省エネモードに設定し、画像形成装置が使用されないようにするのは、例えば大量のコピーを実行中に消耗品が切れてしまい、画像形成装置が停止し、それをユーザが直ちに知ることができなかった場合、定着部の温度が低下してしまい、再度定着部を高温にするために余計な電力が消費され、時間がかかるからである。
【0142】
図8の最適化処理では、業務優先である場合にステップ516が実行されるが、システムに課された条件によっては、ステップ516及びステップ518の処理は実行されなくてもよい。また、ステップ506〜510の処理が実行されなくてもよい場合もある。
【0143】
また、図8、図11、図12、図14、及び図18に示した最適化処理は、相互に相反するものではなく、必ずしも択一的に実行されなければならないものではない。最適化処理の一部を相互に入れ替えることもできる。例えば図8において、ステップ516及びステップ518の代わりに、図11のステップ520及びステップ522を用いてもよい。また、図8において、ステップ510の代わりに、図12のステップ540、又は図14のステップ560を用いてもよい。
【0144】
また、図8のステップ510及び/又はステップ518において、図18のように消耗品の残量を考慮して、省エネモードに設定する画像形成装置を決定してもよい。図11のステップ522、図12のステップ540、図14のステップ560においても同様に消耗品の残量を考慮してもよい。
【0145】
また、図8、図11、図12、図14、図18に示した最適化処理は、直列的に実行されてもよい。例えば、図18によって、消耗品の残量を考慮してスケジュールを変更した後に、図8、図11、図12、又は図14の最適化処理を実行してもよい。
【0146】
また、画像形成システム200の構成は、図1の構成に限定されない。例えば、図21に示したように、サーバ180に複数の画像形成装置100〜108が接続された構成であってもよい。
【0147】
以上、実施の形態を説明することにより本発明を説明したが、上記した実施の形態は例示であって、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、種々変更して実施することができる。
【符号の説明】
【0148】
100 第1画像形成装置
102 第2画像形成装置
104 第3画像形成装置
106 第4画像形成装置
108 第5画像形成装置
110 画像読取部
120 画像形成部
122 メモリ
124 印字部
130 操作部
140 給紙部
150 排紙処理部
160 制御部
166 画像処理部
174 電力供給部
176 タイマ
180 サーバ
182 端末装置
190 ネットワーク
200 画像形成システム


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワークを介して、複数の画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体が省エネモードになる期間の情報を含むスケジュールを受信する受信手段と、
受信した前記スケジュールを解析する解析手段と、
前記解析手段による解析結果に応じて前記スケジュールを変更する変更手段と、
変更後のスケジュールを該当する画像形成装置に送信する送信手段とを備えることを特徴とするサーバコンピュータ。
【請求項2】
前記解析手段は、複数の前記画像形成装置のうちの少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールにおいて、省エネモードに設定されていない期間である通常モード期間が重複している通常モード重複期間を特定し、
前記変更手段は、前記通常モード重複期間において、少なくとも2つの前記画像形成装置のうち、1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されるように、少なくとも2つの前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1に記載のサーバコンピュータ。
【請求項3】
前記変更手段は、前記通常モード重複期間において、少なくとも2つの前記画像形成装置のうち、消費電力が最も小さい1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されるように、少なくとも2つの前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項2に記載のサーバコンピュータ。
【請求項4】
前記解析手段は、前記スケジュールにおいて、複数の前記画像形成装置のうちの省エネモードに設定されていない所定の画像形成装置の使用電力の総和を計算し、該総和が所定値を超える超過期間を特定し、
前記変更手段は、前記超過期間において、前記総和が前記所定値以下になるように、所定の前記画像形成装置の少なくとも1つの画像形成装置を省エネモードに設定することにより、前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載のサーバコンピュータ。
【請求項5】
前記解析手段は、複数の前記画像形成装置のうちの少なくとも2つの画像形成装置のスケジュールにおいて、省エネモードに設定されている期間が重複している省エネモード重複期間を特定し、
前記変更手段は、前記省エネモード重複期間において、少なくとも2つの前記画像形成装置のうち、1つの画像形成装置を除き残りの画像形成装置が省エネモードに設定されないように、少なくとも2つの前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載のサーバコンピュータ。
【請求項6】
前記受信手段は、複数の前記画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体の使用時間の情報を受信し、
前記解析手段は、複数の前記画像形成装置に関して、前記使用時間の情報から、相対的な使用率を算出する算出手段を備え、
前記変更手段は、前記使用率がより小さい画像形成装置が省エネモードに設定される期間がより長くなるように、複数の前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載のサーバコンピュータ。
【請求項7】
前記受信手段は、複数の前記画像形成装置の各々から、各々の画像形成装置自体の消耗品の残量の情報を受信し、
前記解析手段は、前記消耗品の残量が所定値以下の画像形成装置を特定し、
前記変更手段は、特定された前記画像形成装置が省エネモードに設定される期間が、特定された前記画像形成装置以外の画像形成装置よりも長くなるように、特定された前記画像形成装置のスケジュールを変更することを特徴とする請求項1から6の何れか1項に記載のサーバコンピュータ。
【請求項8】
請求項1から7の何れかに記載のサーバコンピュータと、
複数の画像形成装置とを備え、
複数の前記画像形成装置の各々は、各々の画像形成装置自体が省エネモードになる期間の情報を含むスケジュールを前記サーバコンピュータに送信し、前記サーバコンピュータによって変更されたスケジュールを受信し、受信した該スケジュールにしたがって動作することを特徴とする画像形成システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−109678(P2013−109678A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255691(P2011−255691)
【出願日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】