説明

画像形成システム及び印刷データの描画展開方法

【課題】印刷データのRIP処理機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて印刷を行う画像形成装置とを有する画像形成システムにおいて、印刷待機時間の短縮、無駄な白紙の排出防止、及び用紙搬送の断続や急停止の防止を実現する。
【解決手段】DFE11のPDLデータ解析部213は印刷データを解析し、RIP処理負荷の高低を判断する。RIP処理負荷の高いページの印刷データは高負荷ページRIP部214でRIP処理され、ラスタデータがMIC12へ送られる。RIP処理負荷の低いページの印刷データは、MIC12へ送られ、低負荷ページRIP部225でRIP処理する。二種類のラスタデータはラスタデータマージ部222でマージされ、画像形成装置13へ送られる。描画展開処理を分散させて描画展開処理に必要な時間を低減する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFE(Digital Front End Processor)と、ラスタデータに基づいて印刷を行う画像形成装置とを有する画像形成システム、及び印刷データの描画展開方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ(以下、PC)等のホスト装置が発行する印刷要求を印刷装置や複合機などの画像形成装置とは別に設けられたDFEで一旦受信した後に、DFEとインタフェース(以下、I/F)で接続された画像形成装置で印刷を行う画像形成システムがある(特許文献1参照)。
【0003】
DFEは描画展開機能を有しており、例えばページ記述言語(PDL:Page Description Language)で記述された印刷ジョブをホスト装置から順次受け取り、この印刷ジョブの印刷データをラスタデータに描画展開(RIP:Raster Image Process)して、RIP処理済のラスタデータとともに印刷制御情報を画像形成装置へ送信する。画像形成装置は、前記ラスタデータと印刷制御情報を受信して、印刷処理を実行する。
【0004】
しかし、上記従来の画像形成システムではDFEでRIP処理したラスタデータを画像形成装置へ送信して印刷を行うため、ホスト装置より受信した印刷要求がRIP処理負荷の大きなページが含まれた印刷ジョブである場合、DFEでのRIP処理に時間を要してしまう。そして、ラスタデータへの展開が用紙搬送のタイミングに間に合わない場合には、ラスタデータへの展開が完了するまで用紙搬送のタイミングを遅らせるので、用紙搬送動作が断続的になってしまい、用紙ジャム等の障害が発生する可能性が高まる。
【0005】
また、上記画像形成システムの画像形成装置として、ロール紙等の連続紙を使用して高速印刷を行うインクジェット方式の画像形成装置を使用した場合、インクの吐出部と用紙との間隔が狭いため、用紙搬送の急停止による用紙の弛みが発生する恐れがある。用紙の弛みが発生すると、インクの吐出部と用紙が接触して吐出部の汚れによる印刷品質の悪化やノズルの詰まり等の故障が発生する恐れがあるため、用紙搬送を止めないためには無駄な白紙を排出しなければならない。
【0006】
また、これらの問題を全て回避するには、RIP処理に時間を要する印刷ジョブが投入された場合でも連続印刷を保持するために、RIP処理負荷の高い印刷ジョブでも高速でRIP処理を実行可能なDFEを用いるか、RIP処理したラスタデータを保持しておく大容量の記憶手段をDFEに実装しておかなければならない。この構成の場合、RIP処理したラスタデータを一旦スプールしてから印刷を起動するため、ホスト装置から印刷ジョブを投入してから、印刷物が排出されるまでの待ち時間(以下、印刷待機時間)が長くなるという問題がある。
【0007】
また、印刷待機時間を短縮するためには、DFEと画像形成装置の間のI/Fに高速なI/Fを用いるか、符号/復号化処理を使用することで、DFEと画像形成装置の間のデータ転送時間を短縮(高効率化)する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて印刷を行う画像形成装置とを有する画像形成システムにおいて、印刷待機時間の短縮、無駄な白紙の排出防止、及び用紙搬送の断続や急停止の防止を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の画像形成システムは、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置と、前記DFEと前記画像形成装置との間に接続され、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するI/F装置とを備えるとともに、印刷データの描画展開処理の負荷と所定の閾値との大小関係を判定する印刷データ解析手段と、該印刷データ解析手段により前記負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データを前記DFEにより描画展開し、前記負荷が所定の閾値以下であると判定された印刷データを前記I/F装置により描画展開するように制御する描画展開制御手段とを有する画像形成システムである。
本発明の印刷データの描画展開方法は、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置と、前記DFEと前記画像形成装置との間に接続され、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するI/F装置とを備える画像形成システムにおける印刷データの描画展開方法であって、印刷データの描画展開処理の負荷と所定の閾値との大小関係を判定する印刷データ解析工程と、前記印刷データ解析工程により前記負荷が所定の閾値を越えると判定された印刷データを前記DFEにより描画展開する工程と、前記印刷データ解析工程により前記負荷が所定の閾値以下であると判定された印刷データを前記I/F装置により描画展開する工程とを有する印刷データの描画展開方法である。
【0010】
[作用]
本発明によれば、I/F装置では描画展開処理の負荷が相対的に小さい印刷データを描画展開し、DFEでは描画展開処理の負荷が相対的に大きい印刷データを描画展開することにより、描画展開処理を分散させて描画展開処理に必要な時間を低減するとともに、描画展開処理の負荷が相対的に低い印刷データを描画展開せずにI/F装置へ転送することで、DFEからI/F装置間への転送データ量を低減する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて印刷を行う画像形成装置とを有する画像形成システムにおいて、印刷待機時間の短縮、無駄な白紙の排出防止、及び用紙搬送の断続や急停止の防止を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態の画像形成システムを説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態の画像形成システムのハードウェア構成を示す図である。
【図3】本発明の実施形態の画像形成システムの機能ブロック図である。
【図4】本発明の実施形態の画像形成システムにおけるPDLデータ解析手順のフローチャートである。
【図5】本発明の実施形態の画像形成システムにおける印刷起動のタイミングを判定する仕組みを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
〈画像形成システム〉
図1に本発明の実施形態の画像形成システムを説明するための図として、画像形成システムの装置構成及び使用環境を示す。この画像形成システム1は、DFE11、MIC(Mechanism Interface Controller)12、及び画像形成装置13から構成され、各々の間は印刷データを転送するためのI/Fと、パラメータなどの設定や、状態を通知するためのI/Fにより接続されている。MIC12はRIP機能を有するDFE−画像形成装置間I/F制御部である。
【0014】
画像形成システム1のDFE11は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク3を介してホスト装置2A,2B,2Cに接続されている。ホスト装置2A,2B,2Cは様々なオペレーティングシステムでアプリケーションを実行可能なコンピュータである。
【0015】
ホスト装置2A,2B,2Cが印刷データをPDLなどの形式で画像形成システム1へ送信すると、画像形成システム1では、DFE11、MIC12により印刷データを描画展開してラスタデータに変換し、画像形成装置13がラスタデータに基づいて印刷を行う。このとき、印刷データのうち、描画展開処理の負荷が相対的に大きいページ(以下、高負荷ページ)についてはDFE11が描画展開を行い、描画展開処理の負荷が相対的に小さいページ(以下、低負荷ページ)についてはMIC12が描画展開を行う(詳細については後述する)。
【0016】
なお、画像形成装置13にはプリンタエンジンの設定や用紙情報の設定などを実施したり、画像形成装置の状態や発生した障害の情報等を表示したりするための操作部を備えてもよい。また,図1の画像形成システム1では、DFE11、MIC12ともに画像形成装置13の外部に配置され接続されているが、DFE11、MIC12を画像形成装置13の内部に実装し、一体としてもよい。
【0017】
〈画像形成システムのハードウェア構成〉
図2に本発明の実施形態の画像形成システムのハードウェア構成を示す。
DFE11はCPU(Central Processing Unit)111、チップセット112、ROM(Read Only Memory)113、RAM(Random Access Memory)114、入力制御部115、HDD(Hard Disk Drive)116、DFE−MIC I/F117から構成されている。
【0018】
CPU111の主なタスクは高負荷ページのRIP処理である。ROM113はブートプログラムの格納用として使用され、RAM114はオペレーティングシステムやアプリケーションの実行、並びにワークメモリとして使用される。入力制御部115は例えば、ギガビットイーサネット(登録商標)やUSB(Universal Serial Bus)等を用いて、ホスト装置2A,2B,2CとのI/Fを制御する。
【0019】
HDD116はホスト装置2A,2B,2Cから送付された印刷ジョブの一時格納、DFE11でRIP処理されたラスタデータの一時格納、オペレーティングシステムやアプリケーション、フォント情報の格納等に使用される。HDD116としてシステムのレイテンシ等を考慮してソリッドステートディスク(SSD)やフラッシュメモリ等を使用してもよい。
【0020】
DFE−MIC I/F117はDFE11とMIC12の間のデータ転送、画像形成装置13のパラメータ情報やステータスのやり取りを行う。DFE−MIC I/F117は符号化されていないラスタデータの転送を行うために、例えばPCI−Express(登録商標)のような高速データ転送を実現できるI/Fを採用することが好適であるが、DFE−MIC I/F117と、MIC12内のDFE−MIC I/F125に符号化/復号化機能を設けて、符号化したデータで転送するように構成してもよい。前記パラメータ情報やプリンタエンジンのステータスのやり取りについてはラスタデータの転送を行うI/Fと共通で実現してもよいし、ラスタデータの転送を行うI/Fとは別に実現してもよい。
【0021】
MIC12はCPU121、チップセット122、ROM123、RAM124、DFE−MIC I/F125、HDD126、エンジンI/F127から構成される。また、画像形成装置13は操作パネル131とプリンタエンジン132から構成されている。
【0022】
MIC12に搭載されたCPU121の主なタスクはプリンタエンジン132の制御や状態監視、操作パネル131との情報のやり取りの他に、低負荷ページのRIP処理を受け持つ。ROM123、RAM124、DFE−MIC I/F125は、DFE11内のROM113、RAM114、DFE−MIC I/F116と同様の機能を持っている。
【0023】
HDD126はDFE11から取得したPDLデータの格納とオペレーティングシステムやアプリケーション、フォント情報の格納等に使用される。HDD126についても、DFE11側のHDD116と同様にSSDやフラッシュメモリ等を使用してもよい。
【0024】
エンジンI/F127はプリンタエンジン132へのラスタデータ出力制御とプリンタエンジン132の各種設定の制御、及び操作パネル131とのステータスや障害等の情報のやり取りを制御する。
【0025】
〈画像形成システムの機能ブロック図〉
図3に本発明の実施形態の画像形成システムの機能ブロック図を示す。この図を用いて、具体的なデータの流れ、及びそれに付随する情報の流れについて説明する。
【0026】
ホスト装置2A,2B,2Cから投入された印刷ジョブはDFE11でジョブ毎にIDを付加し、I/F部211を介してPDLデータスプール212に保存される。PDLデータスプール212に印刷ジョブが保存されると、DFE11ではPDLデータ解析部213にてPDLデータ解析を行う。例えばページ毎のPDLデータのサイズを予め設定したデータサイズ閾値と比較し、PDLデータサイズがデータサイズ閾値よりも小さい場合にはRIP処理負荷が相対的に小さいページである低負荷ページに分類し、データサイズ閾値より大きい場合にはRIP処理負荷が相対的に大きいページである高負荷ページに分類して、解析結果を解析結果記憶部212に記憶する。PDLデータ解析部213の動作の詳細については後述する(図4参照)。
【0027】
解析が完了すると、高負荷ページについては、印刷開始前に先行して高負荷ページRIP部214で描画展開を実行してラスタデータを生成し、ラスタデータ記憶部215に記憶する。
【0028】
高負荷ページのRIP処理が進み、画像形成装置13の用紙搬送動作が断続的にならないと判定されたら、DFE11はI/F部216からMIC12のI/F部221に対して印刷開始指示を送る。印刷開始指示(印刷起動)を受けたMIC12は、ジョブIDと解析結果を取得する。
【0029】
MIC12が、前記ジョブIDと解析結果の取得を完了すると、DFE11のPDLデータスプール212からPDLデータを取得し、PDLデータ記憶部224に保存する。ここで取得するPDLデータはスプールされているデータ全てでもよいし、DFE11でRIP処理を実施していないPDLデータを選択して取得することで取得情報量を低減するように構成してもよい。
【0030】
PDLデータの取得と併せて、MIC12のパラメータ設定部226Bにて、DFE11からジョブ毎のパラメータ情報を取得する。ここで言うパラメータ情報とは、例えば印刷部数や印刷順序、片面/両面印刷等の情報である。なお、パラメータ情報は、画像形成装置13の操作部233によっても設定することができる。また、設定されたパラメータ情報はDFE11やホスト装置2A,2B,2Cにも通知される。
【0031】
PDLデータとパラメータ情報の取得が完了すると、取得したパラメータ情報を元に印刷制御部226内のパラメータ設定部226Bが制御部226A、I/F部227、及び画像形成装置13のI/F部231を介して、画像形成部232に対し、用紙搬送起動や搬送速度の指示やトナーやドラムの制御等、各種指示を行うとともに、MIC12の出力部223に対してラスタデータの出力を指示する。
【0032】
データの出力を指示された出力部223は、PDLデータ記憶部224からPDLデータを取得して、RIP処理が完了していない低負荷ページのRIP処理を低負荷ページRIP部225に指示するとともに、DFE11内のラスタデータ記憶部215よりRIP処理済のラスタデータを取得する。
【0033】
その後、低負荷ページRIP部225でRIP処理した低負荷ページのラスタデータと、ラスタデータ記憶部215より取得した高負荷ページのラスタデータを予め取得しているジョブIDとページ情報を元にラスタデータマージ部222で結合して、ラスタデータを完成し、用紙搬送に合わせて画像形成部232へ送信することで、印刷を実行する。
【0034】
印刷が完了するまでは、高負荷ページのラスタデータはラスタデータ記憶部215、低負荷ページのPDLデータはPDLデータ記憶部224で保持し、画像形成装置13にて用紙切れ等の障害が発生した場合には、障害要因を取り除いた後に保持しているラスタデータとPDLデータから再印刷を実行する。
【0035】
〈PDLデータ解析手順〉
図4はPDLデータ解析部213の解析手順のフローチャートである。
ホスト装置2A,2B,2Cから画像形成システム1に投入される印刷ジョブはPDL形式である。PDL形式のデータについては、データサイズやその内容からRIP処理時間を予測することが可能である。
【0036】
ホスト装置2A,2B,2Cより画像形成システム1に印刷ジョブが投入されるとDFE11で一旦スプールされ、投入された印刷ジョブとパラメータ情報から予め設定された印刷枚数分のジョブがスプールされるまで待機する(ステップS1:No→S2)。
【0037】
設定された印刷枚数分のジョブがスプールされたと判定すると(ステップS1:Yes)、スプールされた最初の印刷ジョブのPDLデータから1ページ目のPDLデータサイズを確認する(ステップS3)。
【0038】
DFE11とMIC12のRIP処理性能や画像形成装置13の印刷速度等から予め設定された閾値とPDLデータサイズを比較し(ステップS4)、PDLデータサイズが閾値以下の場合(ステップS5:No)は低負荷データと判定する(ステップS8)。逆にPDLデータサイズが閾値よりも大きい場合(ステップS5:Yes)には高負荷データと判定し(ステップS6)、高負荷データのジョブIDとページ番号を解析結果記憶部212に記録する(ステップS7)。
【0039】
解析が完了したか否か、即ち次ページ或いは次ジョブが存在するか否かを調べ(ステップS9)、存在する場合には(ステップS9:No)、次ページのPDLデータサイズを確認し、閾値との比較を繰り返す(ステップS10→S4)。次ページ或いは次ジョブが存在しなくなるまで(ステップS9: Yes)、前記の処理を実行することにより、投入された印刷ジョブの全てのページを高負荷データと低負荷データに分類する。
【0040】
なお、この例ではPDLデータサイズで高負荷データか低負荷データかを判定するが、例えばDFE11でRIP処理を開始して所定の時間内にRIP処理が完了したか否かにより、前記RIP処理が完了しなかった場合は高負荷データと判定し、逆に前記RIP処理が完了した場合には低負荷データと判定することもできる。
【0041】
〈印刷起動のタイミング〉
図5は画像形成システム1における印刷起動のタイミングを判定する仕組みを説明するための図である。
【0042】
PDLデータ解析部213にて判定された高負荷ページは、DFE11にてRIP処理が実行されるが、PDLデータ解析の完了後、すぐに画像形成部232に起動を掛けて印刷を開始した場合、高負荷ページがRIP処理を完了するより前に画像形成部232へRIP処理後のラスタデータを送信しなければならないタイミングがきてしまい、その時に当該ページのRIP処理が完了していないと、用紙搬送が断続的になったり、白紙が排出されたりしてしまう。
【0043】
これを回避するためには、ラスタデータを画像形成部232へ送付するタイミングまでにRIP処理を完了させておく必要がある。そこで、本実施形態の画像形成システム1では、下記の手順で印刷開始のタイミングを判定し、プリンタエンジン132による印刷を起動する。
【0044】
PDLデータ解析部213による解析の完了後、DFE11では高負荷データと判定されたページについて、印刷を起動してから当該高負荷ページが印刷されるまでの時間をジョブIDとページ数、及びパラメータ情報に従って算出する。
【0045】
同時に当該高負荷ページのPDLデータサイズ等から、RIP処理時間の予測値を算出して、前記、印刷を起動してから当該高負荷ページが印刷されるまでの時間と比較する。
【0046】
高負荷ページのRIP処理開始前41の例では、ジョブID=1,ページ=2のRIP処理時間予測値411Aと、そのページの印刷を開始するまでの時間411Bを比較すると、印刷を開始するまでの時間よりも前にRIP処理が完了するため、用紙搬送の断続動作や白紙排出を発生することなく印刷できる。
【0047】
これに対して、ジョブID=2,ページ=4のRIP処理時間予測値412Aと、そのページの印刷を開始するまでの時間412B、及びジョブID=3,ページ=6の関係(413Aと413B)では、RIP処理時間の予測値よりも、そのページの印刷を開始するまでの時間の方が早いため、直ぐに印刷を起動した場合、用紙搬送の断続動作や白紙排出を発生してしまう。
【0048】
この場合には、印刷を起動せずに高負荷データのRIP処理のみを進め、高負荷ページのRIP処理実施後42の例に示すように、全ての高負荷ページのRIP処理予測値が印刷を開始するまでの時間よりも前に完了すると判定された時に、DFE11はMIC12に対して印刷起動を許可する。
【0049】
上記のとおり制御することで、従来技術と比較して短い印刷待機時間で、用紙搬送の断続動作や白紙排出を発生することなく印刷を実行することが可能となり、かつDFE−MIC I/Fを効率よく使用してデータを高速に転送することが可能となる。
【0050】
以上、詳細に説明したように、本発明の実施形態の画像形成システム1によれば、MIC12で描画展開処理の負荷の低い印刷データを描画展開し、DFE11で描画展開処理の負荷の高い印刷データを描画展開することにより、描画展開処理を分散させて描画展開処理に必要な時間を低減するとともに、描画展開処理の負荷の低い印刷データを描画展開せずにMIC12へ転送することで、DFE11からMIC12への転送データ量を低減することができる。これにより、印刷待機時間を短縮することができる。
【0051】
また、描画展開処理の負荷の高い印刷データについては、画像形成装置13がラスタデータを必要とするタイミングまでに、DFE11で描画展開処理が完了すると判定されてから印刷を開始するので、用紙搬送の断続動作や白紙排出の発生を防止することができる。
【0052】
なお、本発明は、ロール紙等の連続紙を使用する画像形成装置に適用することで、最大の効果を発揮するが、A4サイズ等のカット紙を使用する画像形成装置に適用しても、DFE−MIC I/Fを効率よく使用することができ、また用紙搬送の断続動作を低減することができるため、用紙ジャム等の障害発生の可能性を低減できる。
【符号の説明】
【0053】
1…画像形成システム、11…DFE、12…MIC、13…画像形成装置、213…PDLデータ解析部、214…高負荷ページRIP部、225…低負荷ページRIP部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0054】
【特許文献1】特許第4380363号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置と、前記DFEと前記画像形成装置との間に接続され、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するI/F装置とを備えるとともに、
印刷データの描画展開処理の負荷と所定の閾値との大小関係を判定する印刷データ解析手段と、
該印刷データ解析手段により前記負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データを前記DFEにより描画展開し、前記負荷が所定の閾値以下であると判定された印刷データを前記I/F装置により描画展開するように制御する描画展開制御手段と
を有する画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成システムにおいて、
前記印刷データ解析手段の解析結果から、前記描画展開処理の負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データの描画展開処理終了時間を予測する描画展開終了時間予測手段と、
前記画像形成装置の印刷の起動に応じて前記描画展開処理の負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データに基づく印刷が開始される時間を算出する印刷開始時間算出手段と、
前記印刷開始時間算出手段の算出値と、前記描画展開終了時間予測手段の予測値とから、該予測された時間以後に前記描画展開処理の負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データに基づく印刷が開始されるように、前記画像形成装置の印刷を起動する起動制御手段と
を有する画像形成システム。
【請求項3】
印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するDFEと、ラスタデータに基づいて画像形成を行う画像形成装置と、前記DFEと前記画像形成装置との間に接続され、印刷データを描画展開してラスタデータに変換する機能を有するI/F装置とを備える画像形成システムにおける印刷データの描画展開方法であって、
印刷データの描画展開処理の負荷と所定の閾値との大小関係を判定する印刷データ解析工程と、
前記印刷データ解析工程により前記負荷が所定の閾値より大きいと判定された印刷データを前記DFEにより描画展開する工程と、
前記印刷データ解析工程により前記負荷が所定の閾値以下であると判定された印刷データを前記I/F装置により描画展開する工程と
を有する印刷データの描画展開方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−61687(P2012−61687A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207113(P2010−207113)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】