説明

画像形成システム及び画像形成プログラム

【課題】バーコードを解読する専用ツールを必要とせず、システムの単純化及び製造コストの低減化を図り、操作を容易に行う。
【解決手段】本発明は、クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を出力する画像形成システムであって、印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコードとして前記印刷物に付加するバーコード作成手段6と、バーコード作成手段6によりバーコードが付加された印刷物を出力する画像形成手段2と、画像形成手段2により出力された印刷物に付加されたバーコードを解読可能な携帯式のバーコード解読手段8とを備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を出力する画像形成システム及び画像形成プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成装置の大幅な機能拡張に伴って、ユーザは、画像形成装置に対して様々なモードを設定して印刷を行うことが可能となっている。しかしながら、様々なモード設定が可能となったことは、画像品質や利便性等の向上をもたらす反面、パネルの操作を複雑化させる結果、ユーザは、印刷サイズや印刷倍率等の印刷設定を誤って設定することが多くなり、ミスコピーが画像形成装置の出力トレイに山積されているといった光景もよく目にするようになっている。
【0003】
そこで、従来、このようなミスコピーを防止するため、予め印刷物に印刷モード等の印刷環境情報を電子透かしやバーコードによって付加し、これらのバーコードや電子透かしから印刷環境情報を解読し、この印刷環境情報に基づいて印刷処理を行わせる画像形成システムが提案されている。(例えば、特許文献1又は2参照)。
【特許文献1】特開平1−578号公報
【特許文献2】特開平11−187247号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記した従来の画像形成システムでは、印刷物に付加されたバーコードや電子透かしの解読には、スキャナ等の専用ツールが必要となるため、システムが複雑化し、製造コストの増大要因になるといった問題があった。
【0005】
また、上記した従来の画像形成システムでは、印刷環境情報の種類に応じて、秘匿性を柔軟に設定又は変更することができないといった問題があった。
【0006】
さらに、バーコードが印刷データの出力面と同一面に付加されるようになっているため、目障りになっていた。そこで、この目障りさを解消するためには、スキャナにてバーコードを読み込んだ後に、バーコードの領域だけを消去しなければならず、画像形成工程が複雑化し、印刷に手間及び時間が掛かるといった問題があった。
【0007】
本発明は、上記した課題を解決すべくなされたものであり、バーコードを解読する専用ツールを必要とせず、システムの単純化及び製造コストの低減化を図ることができ、秘匿性を柔軟に設定又は変更することができる画像形成システム及び画像形成プログラムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、本発明は、クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を出力する画像形成システムであって、印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコードとして前記印刷物に付加するバーコード作成手段と、該バーコード作成手段によりバーコードが付加された印刷物を出力する画像形成手段と、該画像形成手段により出力された印刷物に付加されたバーコードを解読可能な携帯式のバーコード解読手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
そして、前記画像形成手段は、前記印刷データの出力面の反対側の面に前記バーコードが付加された印刷物を出力してもよい。
【0010】
また、本発明は、クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を形成するための画像形成プログラムであって、印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコード作成手段がバーコードとして前記印刷物に付加するステップと、該バーコード作成手段によりバーコードが付加された印刷物を画像形成手段が出力するステップとをコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷物に付加されたバーコードは、市販のバーコードリーダや携帯電話等、携帯式のバーコード解読手段により解読することができるため、システムの単純化及び製造コストの低減化を図ることができると共に、操作を容易に行うことができる。
【0012】
また、印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコードに付加することにより、前記ウェブサーバに対するユーザのアクセス権限を制限することができるため、前記印刷環境情報の秘匿性の程度を容易に設定又は変更することができる。
【0013】
さらに、バーコードは前記印刷データの出力面の反対側の面に付加されている場合には、バーコードの領域を消去しなくてもバーコードが目障りになることがないため、画像形成工程の簡素化を図ることができ、操作を容易に行うことができる等、種々の優れた効果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。ここで、図1は本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示す機能ブロック図、図2は本発明の実施の形態に係る画像形成システムの作用を示すフローチャート、図3は本発明の実施の形態に係る画像形成システムの作用を示すフローチャートである。
【0015】
本実施の形態に係る画像形成システムは、特に図示しないが、印刷データを作成するクライアント端末と、該印刷データに基づき印刷物を出力する画像形成装置と、印刷環境情報を蓄積するウェブサーバとを備えており、前記クライアント端末に画像形成プログラムをインストールすることにより所定の機能を発揮するようになっている。
【0016】
図1に示されているように、この画像形成システムは、前記クライアント端末において印刷データを作成するアプリケーション1と、アプリケーション1により作成された印刷データに基づき印刷物を出力する画像形成部(プリンタ)2と、アプリケーション1からの印刷指示に基づき画像形成部2に所定の印刷処理を行わせるプリンタドライバ3と、印刷環境情報を前記ウェブサーバに設定する印刷環境情報設定部4と、前記印刷環境情報を電子透かしとして前記印刷物に付加する電子透かし作成モジュール5と、前記印刷環境情報又は前記ウェブサーバのURL(Uniform Resource Locator)情報をバーコードとして前記印刷物に付加するバーコード作成モジュール6と、電子透かしを解読するための電子透かし解読部7と、バーコードを解読するためのバーコード解読手段8とを備えて構成されている。そして、このバーコード解読手段8には、例えば、読み取りセンサ部分だけから成るペン型の携帯式バーコードリーダやバーコードリード機能付の携帯電話等、携帯式の機器が含まれ、バーコード解読手段8は、画像形成装置に備え付けられていてもよい。
【0017】
また、前記ウェブサーバに蓄積される印刷環境情報には、印刷データの作成者や作成日時の他、用紙サイズ、印刷範囲、印刷部数、拡大又は縮小、印刷品質、濃度、レイアウト、印刷方向等の印刷設定情報が含まれる。
【0018】
次に、図2を参照しつつ、本実施の形態に係る画像形成システムにおいて、電子透かしやバーコードを印刷物に付加する場合の手順について説明する。
【0019】
前記クライアント端末からユーザが所定の操作を行い、アプリケーション1により印刷データを作成した後、前記画像形成装置に対して、前記印刷データに基づき、印刷物を作成する命令を送信すると(S101)、プリンタドライバ3は、先ず、前記印刷環境情報を印刷物に付加する方法として電子透かしを選択するかどうかをユーザに問い合わせる(S102)。これに対して、ユーザが、前記印刷物への電子透かしの付加を選択する操作を行うと、電子透かし作成モジュール5は、前記印刷環境情報を電子透かしとして印刷物に付加する(S103)。
【0020】
一方、前記ステップ102において、ユーザが、前記印刷物への電子透かしの付加を選択する操作を行わなかった場合には、前記印刷物に電子透かしを付加することなく、次のステップ104に進む。
【0021】
次いで、ステップ104において、プリンタドライバ3は、印刷環境情報を印刷物に付加する方法としてバーコードを選択するかどうかをユーザに問い合わせる。これに対して、ユーザが、前記印刷物へのバーコードの付加を選択する操作を行うと、さらに、プリンタドライバ3は、前記バーコードに前記ウェブサーバのURL情報を付加するかどうかをユーザに問い合わせる(S105)。
【0022】
そして、ステップ105において、ユーザが、URL情報をバーコードとして付加することを選択する操作を行うと、バーコード作成モジュール6が前記印刷物にURL情報をバーコードとして付加すると共に(S106)、印刷環境情報設定部4が前記ウェブサーバに前記印刷環境情報を蓄積し(S107)、画像形成部2は前記印刷データの出力面の反対側の面に前記バーコードを付加した印刷物を出力する(S109)。
【0023】
一方、前記ステップ105において、ユーザが、URL情報をバーコードとして付加する選択を行わなかった場合には、ステップ108に進み、バーコード作成モジュール6は、前記印刷物に対して前記印刷環境情報をバーコードとして付加し(S108)、画像形成部2は前記印刷データの出力面の反対側の面に前記バーコードを付加した印刷物を出力する(S109)。
【0024】
次に、図3を参照しつつ、本実施の形態に係る画像形成システムにおいて、電子透かしやバーコードを解読する手順について説明する。
【0025】
先ず、ユーザは、電子透かしが前記印刷物に付加されているかどうかを確認する(S201)。そして、電子透かしが前記印刷物に付加されている場合には、電子透かし解読部7によって電子透かしをスキャンし(S202)、該スキャンしたデータを電子透かし解読部7により読み込み、前記印刷環境情報を解読した後(S203)、次のステップ204に進む。
【0026】
一方、前記ステップ201において、電子透かしが前記印刷物に付加されていることを確認できなかった場合には、前記ステップ202,203を経由することなく、次のステップ204に進む。
【0027】
そして、ステップ204において、ユーザは、バーコードが前記印刷物に付加されていることを確認した場合には、バーコード解読手段8によりバーコードを読み込み(S205)、該バーコードにURL情報が含まれているかどうかを確認する(S206)。
【0028】
その結果、前記バーコードにURL情報が含まれている場合には、ユーザは、前記URL情報を携帯電話等に入力し、前記ウェブサーバにアクセスする(S207)。そして、ユーザは、所定のパスワードやID等の認証情報を入力し、前記ウェブサーバにログインし、前記印刷環境情報を取得する。
【0029】
一方、前記ステップ206において、読み込んだバーコードにURL情報が含まれていない場合には、ユーザは、前記バーコードから直接、印刷環境情報を取得する。
【0030】
そして、このように取得された印刷環境情報は、ユーザが画像形成装置において画像形成処理を行う時に利用したり、或いは、前記印刷物の作成者や作成日時を確認したり等するために利用される。
【0031】
上記した実施の形態に係る画像形成システムによれば、印刷物に付加されたバーコードは、市販の携帯式のバーコード解読手段8によって解読することができ、専用のスキャナや読み取り装置等が不要になるため、システムの簡略化及び製造コストの低減化を図ることができる。
【0032】
また、印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコードに付加することにより、前記ウェブサーバに対するユーザのアクセス権限を制限することができるため、前記印刷環境情報の秘匿性の程度を容易に設定又は変更することができる。
【0033】
さらに、バーコードは前記印刷データの出力面の反対側の面に付加されるようになっているため、印刷時にバーコードが目障りになることがない。したがって、バーコード解読手段8によりバーコードを読み込んだ後に、バーコードの領域を消去する必要がないため、画像形成工程の簡素化が図れ、印刷操作を容易に行うことができる。
【0034】
さらにまた、上記した実施の形態では、印刷物に対して前記印刷環境情報を付加する手段として、電子透かしとバーコードのいずれか又は両方を任意に設定することができ、印刷物の秘匿性の高低や印刷環境等に合わせて、印刷環境情報の付加手段を自由に選択できるため、柔軟性や適応性の高いシステムを構築することができる。
【0035】
さらにまた、電子透かしやバーコードの付加は、プリンタやMPF等の画像形成装置側ではなく、プリンタドライバをインストールするクライアント端末側で作成することができるため、既存のシステムにも簡単に適用することができる。
【0036】
なお、上記した実施の形態において、バーコード解読手段8により解読したURL情報が自動的にユーザの携帯電話等に送信されるようにしてもよく、この場合には、URL情報を入力する手間を省くことができ、操作性がさらに向上する。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの構成を示す機能ブロック図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの作用を示すフローチャートである。
【図3】本発明の実施の形態に係る画像形成システムの作用を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0038】
2 画像形成部
6 バーコード作成モジュール
8 バーコード解読手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を出力する画像形成システムであって、
印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコードとして前記印刷物に付加するバーコード作成手段と、
該バーコード作成手段によりバーコードが付加された印刷物を出力する画像形成手段と、
該画像形成手段により出力された印刷物に付加されたバーコードを解読可能な携帯式のバーコード解読手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成手段は、前記印刷データの出力面の反対側の面に前記バーコードが付加された印刷物を出力する請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
クライアント端末から取得した印刷データに基づき、印刷物を形成するための画像形成プログラムであって、
印刷環境情報が蓄積されたウェブサーバのURL情報をバーコード作成手段がバーコードとして前記印刷物に付加するステップと、
該バーコード作成手段によりバーコードが付加された印刷物を画像形成手段が出力するステップと、
をコンピュータに実行させるための画像形成プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−286881(P2007−286881A)
【公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−113202(P2006−113202)
【出願日】平成18年4月17日(2006.4.17)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】