説明

画像形成システム及び画像形成装置

【課題】ユーザの意図に反し印刷ジョブが複数のジョブに分割されて、分割されたジョブの間に他のユーザの印刷ジョブが入り込んでも、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防ぐことができる画像形成システム及び画像形成装置を提供する。
【解決手段】画像形成装置10の制御部11は、印刷ジョブ群に付与されたタグの識別情報に基づいて、印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、画像形成部13が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を終了するまで、他の印刷ジョブを保持させるようにRAMを制御し、画像形成部13が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を終了した後、他の印刷ジョブに従って画像の印刷を開始するように画像形成部13を制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、受信したジョブに従って画像を形成する画像形成システム及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複合機などの画像形成装置は、パーソナルコンピュータ(PC)などから受信したジョブに従って、画像を記録紙に印刷するプリント機能を有する。また、受信したジョブが複数存在する場合、画像形成装置は、ジョブを一時的にRAM(Random Access Memory)に保持させ、順次、保持されたジョブを実行することで画像を記録紙に印刷する。
【0003】
特許文献1には、予め設定された実行順序に従った特定印刷ジョブの実行中に、ユーザが優先印刷キーを操作することで、この特定印刷ジョブを中断させ他の印刷ジョブを優先的に実行させる画像形成装置が開示されている。
【0004】
特許文献2には、画像形成装置がユーザ毎に印刷ジョブを保持し、ユーザが連続して実行したいジョブを指定することができる画像形成装置が開示されている。このことにより、ユーザは、画像形成装置に対して、意識的にある範囲までのジョブを連続的に実行させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−210171号公報
【特許文献2】特開2007−326267号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
例えば、表計算ソフトウェアによって作成されるファイル(以下、表計算ファイルという)には、複数のシートが存在しており、この複数のシートをまとめて印刷する場合、ユーザは、プリンタドライバを使って印刷対象を複数のシート(「選択したシート」または「ブック全体」)に設定し、印刷ジョブを画像形成装置に送信する。
【0007】
このとき、ユーザの意図に反し、印刷ジョブは複数のジョブに分割され、分割された個々のジョブは不特定の時間間隔で画像形成装置に送信される。この不特定の時間間隔の間に、他のユーザが画像形成装置に印刷ジョブを送信してしまうと、他のユーザからの印刷ジョブがこれら複数のジョブの間に入り込んでしまい、この結果、それぞれのユーザの印刷物が混在する問題があった。
【0008】
しかしながら、上記特許文献では、この問題を解決する具体的な手段等が開示されていない。特に、特許文献2の画像形成装置の場合、ユーザは、意識的にある範囲までのジョブを連続的に実行するように画像形成装置を設定することができるが、表計算ファイルの複数のシートがまとめて印刷されるとき、ユーザは、印刷ジョブが複数のジョブに分割されることを認識することは少なく、意識的にある範囲までのジョブを連続的に実行するように画像形成装置を設定することはほとんどない。
【0009】
また、上記特許文献には、画像形成装置のRAM等に複数のジョブが保持されていることを前提とした技術が開示されているが、上記問題は、分割されたジョブが不特定の時間間隔で画像形成装置に送信されることによって引き起こされるので、必ずしも画像形成装置に複数のジョブが保持されていなくとも起こりうる。従って、上記特許文献では、上記問題を解決することはできなかった。
【0010】
本発明は、上記の問題を解決しようとするものであり、ユーザの意図に反し印刷ジョブが複数のジョブに分割されて、分割されたジョブの間に他のユーザの印刷ジョブが入り込んでも、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防ぐことができる画像形成システム及び画像形成装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
かかる目的を達成するための本発明の要旨とするところは、次の各項の発明に存する。
【0012】
[1]印刷ジョブを画像形成装置に送信する外部装置と、前記印刷ジョブに従って画像形成を実行する画像形成装置と、を有する画像形成システムであって、
前記外部装置は、
送信対象の印刷ジョブが、1の印刷ジョブが分割されて生成される2以上の分割ジョブからなる印刷ジョブ群である場合に、前記印刷ジョブ群に、当該印刷ジョブ群を構成する各分割ジョブを受信する画像形成装置にその受信した印刷ジョブが分割ジョブであることを識別させるための識別情報を有するタグを付与するタグ付与部と、
前記印刷ジョブ群を送信するジョブ送信部と、
を有し、
前記画像形成装置は、
制御部と、
前記印刷ジョブ群に従って画像形成を実行する画像形成部と、
1以上の印刷ジョブを保持する記憶部と、
前記外部装置から前記印刷ジョブ群を受信するジョブ受信部と、
を有し、
前記ジョブ受信部は、前記タグを受信し、
前記制御部は、
前記タグに含まれる前記識別情報に基づいて、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが前記印刷ジョブ群の送信元の外部装置以外の他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了するまで前記他の印刷ジョブを保持させるように前記記憶部を制御し、
前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了した後、前記他の印刷ジョブに従って画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする画像形成システム。
【0013】
上記発明では、外部装置は、送信対象の印刷ジョブが、1の印刷ジョブが分割されて生成される2以上の分割ジョブからなる印刷ジョブ群である場合に、印刷ジョブ群に識別情報を有するタグを付与する。一方、画像形成装置は、1の外部装置から受信した印刷ジョブ群に付与されたタグの識別情報を基に、印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが、前記印刷ジョブ群を構成する分割ジョブか、他の外部装置から受信した他の印刷ジョブかを識別し、受信した印刷ジョブが他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを認識した場合、印刷ジョブ群に従った画像形成を実行する間、他の印刷ジョブの実行を待機する。
【0014】
従って、ユーザの意図に反し印刷ジョブが複数のジョブに分割されて、分割されたジョブの間に他のユーザの印刷ジョブが入り込んでも、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防止することができる。
【0015】
[2]前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与される第1のタグと、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与される第2のタグとを有する
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成システム。
【0016】
上記発明では、タグの識別情報には、たとえば、画像形成装置が受信した印刷ジョブ群の送信者に関する情報などが含まれる。また、第1のタグの識別情報には、このタグが付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最初の分割ジョブであることを示す情報などが含まれる。第2のタグの識別情報には、このタグが付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最後の分割ジョブであることを示す情報などが含まれる。これにより、第1のタグと第2のタグの間に存在する印刷ジョブであって、第1のタグが付与されている印刷ジョブの送信者と同一の送信者からの印刷ジョブを上記印刷ジョブ群を構成する分割ジョブとして識別することができる。
【0017】
[3]前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち、前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与され、
前記識別情報は、前記印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数、前記印刷ジョブ群の総データ量、前記印刷ジョブ群中の画像データの総ページ数のうち1の情報を含む
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成システム。
【0018】
上記発明では、上記識別情報に基づいて、画像形成装置が受信する印刷ジョブが外部装置から受信する印刷ジョブ群を構成するものか否かを識別することができる。
【0019】
[4]前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち、前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与され、
さらに、前記タグ付与部は、前記分割ジョブ以外の印刷ジョブに、当該印刷ジョブが前記分割ジョブでないことを前記画像形成装置に識別させるための識別情報を有するタグを付与する
ことを特徴とする[1]に記載の画像形成システム。
【0020】
上記発明では、最終分割ジョブに付与されるタグの識別情報には、たとえば、タグが付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最後のジョブであることを示す情報などが含まれる。また、分割ジョブ以外の印刷ジョブには分割ジョブでないことを示すタグが付与される。よって、タグのある印刷ジョブは、最終分割ジョブまたは通常の印刷ジョブなので、次に続く分割ジョブはないと判定できる。一方、タグのない印刷ジョブは、印刷ジョブ群を構成する最終分割ジョブ以外の分割ジョブであると判定でき、次に続く分割ジョブがあることが認識される。これにより、画像形成装置が受信する印刷ジョブが印刷ジョブ群を構成する分割ジョブか否かを識別することができる。
【0021】
[5]前記制御部は、
1枚の記録紙に複数のページ分の画像を形成するための前記印刷ジョブ群を前記外部装置から前記ジョブ受信部が受信する場合、前記ジョブ受信部が1枚の記録紙に前記複数のページ分の画像を形成するための前記複数のページ分の画像データを受信した後に、当該記録紙への画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする[1]乃至[4]のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【0022】
上記発明では、1枚の記録紙に複数のページ分の画像を形成する場合、ジョブ受信部が上記複数のページ分の画像データを受信するまで、画像形成部は当該記録紙への画像形成を待機する。これにより、当該記録紙への画像形成を行うための複数のページ分の全ての画像データを受信しないうちに、受信した画像データが不足している状態で当該記録紙に画像を形成することを防ぐことができる。
【0023】
[6]前記第1の分割ジョブに付与されたタグに含まれる前記識別情報は、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信するのに要する受信時間を予測するための受信時間予測情報を含み、
前記制御部は、前記ジョブ受信部が前記第1の分割ジョブに付与されたタグを受信した後、前記受信時間予測情報に基づいて、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする[2]または[3]に記載の画像形成システム。
【0024】
上記発明では、制御部は、タグの識別情報に含まれる受信時間予測情報から印刷ジョブ群を受信するのに要する受信時間を予測し、この予測された受信時間に基づいて、画像形成部が最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定する。これにより、たとえば、印刷ジョブ群の受信が完了するのとほぼ同時にこの印刷ジョブ群に従う画像形成が終了するように最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定することができ、上記印刷ジョブ群に従う画像形成のために画像形成装置を占有する時間を短くすることができる。従って、画像形成装置が印刷ジョブ群を受信している間に他の印刷ジョブを受信した場合でも、予測された受信時間に基づいて決定された上記最初のページの画像形成の開始タイミングより早く他の印刷ジョブを受信し、さらに上記開始タイミングより他の印刷ジョブに従う画像形成の完了時刻が早ければ、上記印刷ジョブ群に従う画像形成が完了するまで待つことなく、他の印刷ジョブに従う画像形成を先に実行することができる。さらに、画像形成装置の画像形成部の駆動時間も短くなり、省電力化に寄与する。
【0025】
ここで、受信時間予測情報は、たとえば、印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数、印刷ジョブ群の総データ量など、印刷ジョブ群の受信時間を予測するための情報であればよい。
【0026】
[7]さらに、表示部を有し、
前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記印刷ジョブ群に従う画像形成の実行中に、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[1]乃至[6]のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【0027】
上記発明では、印刷ジョブ群に従う画像形成の実行中に他の印刷ジョブを受信したとき、画像形成装置は、ユーザに他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かを問い合わせる。これにより、印刷ジョブ群に従う画像形成を中断させ、他の印刷ジョブに従う画像形成をすぐに実行することができる。さらに、ユーザが、印刷ジョブ群に従う画像形成中に、意識的に他のジョブに従う画像形成の実行を割り込ませるよう画像形成装置に指示することができるので、他のジョブに従う画像形成によって得られた印刷物をすぐに受け取ることができる。従って、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防止することができる。
【0028】
[8]前記制御部は、
前記他の印刷ジョブに従う画像形成に要する時間を推測し、
前記時間が閾値以下であると判断したとき、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[7]に記載の画像形成システム。
【0029】
上記発明では、特に、他の印刷ジョブに従う画像形成に要する時間が短い場合に、画像形成装置は、ユーザに他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かを問い合わせる。
【0030】
[9]前記表示部が省電力モード中である場合、前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記表示部の省電力モードを解除させ、前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[7]または[8]に記載の画像形成システム。
【0031】
上記発明では、前記表示部が省電力モード中である場合、画像形成部が印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間にジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、制御部は、受信した印刷ジョブの送信者を表示するために、表示部の省電力モードを解除させる。ここで、省電力モードとは、消費電力を抑制するために、表示部の表示を一時的に停止させるモードである。
【0032】
[10]制御部と、
印刷ジョブに従って画像形成を実行する画像形成部と、
1以上の印刷ジョブを保持する記憶部と、
1の外部装置から、1の印刷ジョブが分割されて生成される2以上の分割ジョブからなる印刷ジョブ群を受信するジョブ受信部と、
を有し、
前記ジョブ受信部は、前記印刷ジョブ群に付与され、前記ジョブ受信部が受信するジョブが前記分割ジョブであるか否かを識別するための識別情報を有するタグを受信し、
前記制御部は、
前記識別情報に基づいて、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了するまで前記他の印刷ジョブを保持させるように前記記憶部を制御し、
前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了した後、前記他の印刷ジョブに従って画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【0033】
[11]前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与される第1のタグと、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与される第2のタグとを有する
ことを特徴とする[10]に記載の画像形成装置。
【0034】
[12]前記制御部は、
1枚の記録紙に複数のページ分の画像を形成するための前記印刷ジョブ群を前記1の外部装置から前記ジョブ受信部が受信する場合、前記ジョブ受信部が1枚の記録紙に前記複数のページ分の画像を形成するための前記複数のページ分の画像データを受信した後に、当該記録紙への画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする[10]または[11]に記載の画像形成装置。
【0035】
[13]前記第1の分割ジョブに付与されたタグに含まれる前記識別情報は、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信するのに要する受信時間を予測するための受信時間予測情報を含み、
前記制御部は、前記ジョブ受信部が前記第1の分割ジョブに付与されたタグを受信した後、前記受信時間予測情報に基づいて、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする[11]に記載の画像形成装置。
【0036】
[14]さらに、表示部を有し、
前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記印刷ジョブ群に従う画像形成の実行中に、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[10]乃至[13]のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【0037】
[15]前記制御部は、
前記他の印刷ジョブに従う画像形成に要する時間を推測し、
前記時間が閾値以下であると判断したとき、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[14]に記載の画像形成装置。
【0038】
[16]前記表示部が省電力モード中である場合、前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記表示部の省電力モードを解除させ、前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする[14]または[15]に記載の画像形成装置。
【発明の効果】
【0039】
本発明に係る画像形成システム及び画像形成装置によれば、ユーザの意図に反し印刷ジョブが複数のジョブに分割されて、分割されたジョブの間に他のユーザの印刷ジョブが入り込んでも、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る画像形成システムの概略構成を示すブロック図である。
【図2】(a)は、外部装置の表示部に表示されるプリンタドライバに対する設定画面の表示例を示す図であり、(b)は、画像形成装置の表示部に表示される受信された印刷ジョブの一覧の表示例を示す図である。
【図3】画像形成装置が印刷ジョブ群を受信するときに他の外部装置から他の印刷ジョブを受信した場合に発生するジョブの混在状態を示す説明図である。
【図4】外部装置が、印刷ジョブ群を構成する印刷ジョブであるか否かを画像形成装置が識別するための識別情報を有するタグを印刷ジョブ群に付与する手順を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置が受信した印刷ジョブを識別し、この印刷ジョブが他の外部装置から受信した印刷ジョブであると識別した場合、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が終了するまで、この印刷ジョブの実行を待機する手順を示すフローチャートである。
【図6】図4及び図5に示された手順を概略的に示した説明図である。
【図7】ページ割付印刷が設定されている場合における画像形成装置の動作を概略的に示した説明図である。
【図8】画像形成装置が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を開始するタイミングを決定する手順を概略的に示した説明図である。
【図9】印刷ジョブ群に従う画像印刷の実行中に、他のユーザの外部装置からの印刷ジョブに従う画像印刷を割り込ませて実行させる一連の操作を概略的に示した説明図である。
【図10】画像形成装置の表示部に表示される、他のユーザの外部装置からの印刷ジョブに従う画像印刷の割り込みを受け付ける旨の表示例を示す図である。
【図11】印刷ジョブ群に従う画像印刷の実行中に他のユーザの外部装置からの印刷ジョブを受信したときに、表示部が省電力モードから通常モードに移行して、受信した印刷ジョブの一覧を表示する動作を概略的に示した説明図である。
【図12】変形例1における、外部装置が印刷ジョブ群の最後の印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する手順を示すフローチャートである。
【図13】変形例1における、画像形成装置が受信した印刷ジョブを識別し、この印刷ジョブが他の外部装置から受信した印刷ジョブであると識別した場合、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が終了するまでこの印刷ジョブの実行を待機する手順を示すフローチャートである。
【図14】変形例2における、外部装置が印刷ジョブ群の最初の印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する手順を示すフローチャートである。
【図15】変形例2における、画像形成装置が受信した印刷ジョブを識別し、この印刷ジョブが他の外部装置から受信した印刷ジョブであると識別した場合、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が終了するまでこの印刷ジョブの実行を待機する手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面に基づき本発明の実施の形態を説明する。
【0042】
図1は、本実施形態に係る画像形成システム1の概略構成を示すブロック図である。
【0043】
画像形成システム1は、画像形成装置10と、外部装置20とを有する。
【0044】
画像形成装置10は、LAN(Local Area Network)などのネットワーク30を介して外部装置20から印刷ジョブを受信し、この印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する。
【0045】
画像形成装置10は、この画像形成装置10の動作を統括的に制御する制御部11と、HDD(Hard Disk Drive)12と、画像形成部13と、表示部14と、操作部15と、ネットワークI/F(Interface)部16とを備えている。
【0046】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)と、RAM(Random Access Memory)などを主要部として構成され、ROMに格納されている各種のプログラムに従ってCPUが処理を実行することにより画像形成装置10としての各機能が実現される。
【0047】
また、制御部11は、外部装置20から受信した印刷ジョブに従い、画像形成部13に画像の印刷を実行させる。
【0048】
さらに、制御部11は、後述する外部装置20から受信した印刷ジョブ群に付与されたタグに含まれる識別情報に基づいて、上記印刷ジョブ群を受信する間に受信したジョブが印刷ジョブ群を構成する印刷ジョブか否かを識別する。制御部11は、上記受信した印刷ジョブが他の外部装置20から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、画像形成部13が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を終了するまで、前記他の印刷ジョブを保持させるようにRAM等を制御する。そして、制御部11は、画像形成部13が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を終了した後、他の印刷ジョブに従って画像の印刷を開始するように画像形成部13を制御する。
【0049】
HDD12は、各種の保存データを格納するほか、入力された各種のデータなども保存する。また、必要に応じて、HDD12には、受信した印刷ジョブが記憶される。
【0050】
画像形成部13は、記録紙の搬送装置と、感光体ドラムと、帯電装置と、レーザーユニットと、現像装置と、転写分離装置と、クリーニング装置と、定着装置とを有し、電子写真プロセスによって記録紙上に画像を形成するレーザー方式のプリンタエンジンとして構成されている。画像形成部13は、主に、外部装置20から受信した印刷ジョブに従って画像の印刷を行う。
【0051】
表示部14は、液晶ディスプレイ(LCD…Liquid Crystal Display)などで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。さらに、表示部14は、外部装置20から受信した印刷ジョブのリストや、ユーザに対する様々なメッセージを表示する。
【0052】
操作部15は、スタートボタン、ストップボタン、テンキーなどの各種のボタン類と、表示部14の表面に設けられて押下された座標位置を検出するタッチパネルなどで構成され、ユーザが画像形成装置10に対して行う各種の操作を受け付ける。
【0053】
ネットワークI/F部16は、ネットワークを通じて外部装置20などと通信を行う際のインターフェースとしての機能を果たす。ネットワークI/F部16は、主に、外部装置20から印刷ジョブを受信するジョブ受信部としての役割を果たす。
【0054】
外部装置20は、たとえば、PC(Personal Computer)等であり、印刷ジョブを入力し、その入力された印刷ジョブを画像形成装置10に送信する。外部装置20は、制御部21と、HDD22と、操作部23と、表示部24と、ネットワークI/F部25とを備えている。
【0055】
制御部21は、CPU、ROM、RAMなどを主要部として構成され、ROMに格納されている各種のプログラムに従ってCPUが処理を実行することにより外部装置20としての各機能が実現される。
【0056】
また、制御部21は、画像形成装置10に送信されるべきジョブが表計算ファイル中の複数のシートをまとめて印刷するための印刷ジョブ(以下、表計算ファイル印刷ジョブという)であるか否かを判断する。外部装置20が表計算ファイル印刷ジョブを画像形成装置10に送信するとき、表計算ファイル印刷ジョブは、表計算ソフトウェアにより複数の印刷ジョブ(以下、分割ジョブともいう)に分割され、これら分割ジョブからなる印刷ジョブ群として画像形成装置10に送信される。そこで、制御部21は、上記ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであると判断すると、この表計算ファイル印刷ジョブが送信されるときに上記印刷ジョブ群に後述するタグを付与する。
【0057】
HDD22は、各種の保存データを格納するほか、入力された各種のデータなども保存する。また、HDD22は、画像形成装置10への印刷ジョブの送信の際に印刷ジョブに付与されるユーザ情報などを保存する。
【0058】
操作部23は、キーボードやマウスなどで構成され、主に、印刷ジョブの設定など、必要な印刷設定条件の入力を受け付ける。
【0059】
表示部24は、液晶ディスプレイなどで構成され、各種の操作画面、設定画面などを表示する機能を果たす。
【0060】
ネットワークI/F部25は、ネットワークを通じて画像形成装置10などと通信を行う際のインターフェースとしての機能を果たす。ネットワークI/F部25は、主に、画像形成装置10へ印刷ジョブを送信するジョブ送信部としての役割を果たす。
【0061】
次に、表計算ファイル中の複数のシートをまとめて印刷する場合に発生する問題点について説明する。
【0062】
図2(a)は、外部装置20の表示部24に表示されるプリンタドライバに対する設定画面の表示例を示す図である。図2(b)は、画像形成装置10の表示部14に表示される受信された印刷ジョブの一覧の表示例を示す図である。図3は、画像形成装置10が印刷ジョブ群を受信するときに他の外部装置20から他の印刷ジョブを受信した場合に発生するジョブの混在状態を示す説明図である。
【0063】
まず、ユーザAは、表計算ファイル中の複数のシートを印刷するときに、図2(a)に示すプリンタドライバに対する設定画面を開き、印刷対象として、「ブック全体」または「選択したシート」を選択する。ユーザAは、その他の条件設定を設定画面に入力した後、OKボタンをクリックすることで画像形成装置10への印刷ジョブの送信を指示する。
【0064】
このとき、上記印刷ジョブは、ユーザの意図に反して複数のジョブに分割され、分割された個々のジョブは不特定の時間間隔で画像形成装置10に送信される。図3に示される例の場合、ユーザAの外部装置20Aから複数のシートを印刷するための印刷ジョブAが画像形成装置10に送信されるとき、印刷ジョブAは5つの分割ジョブ1A〜5Aに分割される。これら分割ジョブ1A〜5Aは、印刷ジョブ群を構成し、1〜2.5秒という不特定の時間間隔で画像形成装置10へ送信される。
【0065】
また、図3の例において、分割ジョブ2Aが送信されてから分割ジョブ3Aが送信されるまでに、印刷ジョブBがユーザBの外部装置20Bから送信されると、印刷ジョブBは分割ジョブ2Aと分割ジョブ3Aとの間に入り込んでしまう。従って、図2(b)のように、画像形成装置10の表示部14に表示される印刷ジョブの一覧にも、印刷ジョブBが複数の分割ジョブの間に入り込んだ状態で表示され、ユーザAとユーザBの印刷物が混在してしまう。
【0066】
次に、本実施形態に係る上記印刷物の混在を回避するための手順について説明する。
【0067】
図4は、外部装置20が、上記印刷ジョブ群にタグを付与する手順を示すフローチャートである。図5は、印刷ジョブを受信したときの画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。図6は、図4及び図5に示された手順を概略的に示した説明図である。
【0068】
まず、外部装置20の制御部21は、画像形成装置10に送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであるか否かを判定する(ステップS101)。
【0069】
制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであると判定すると(ステップS101;Yes)、この印刷ジョブが分割されて印刷ジョブ群が生成されるときに、この印刷ジョブ群のうち最初に送信される印刷ジョブと、最後に送信される印刷ジョブに、それぞれタグ1、タグ2を付与する(ステップS102)。図6の例では、表計算ファイル印刷ジョブが5つの分割ジョブ1A〜5Aに分割され、これら5つの分割ジョブが印刷ジョブ群を構成する。また、タグ1は、上記印刷ジョブ群のうち最初に送信される印刷ジョブに付与されていればよいが、画像形成装置10が印刷を開始するタイミングを考慮すると、好ましくは、図6の例のように、制御部21は、分割ジョブ1A中の1ページ目のデータにタグ1を付与する。タグ2は、最後に送信される印刷ジョブに付与されていればよいが、図6の例では、分割ジョブ5A中のnページ目(最終ページ)のデータにタグ2を付与する。
【0070】
この2つのタグには、画像形成装置10が受信したジョブが上記印刷ジョブ群を構成する印刷ジョブ(分割ジョブ)か否かを識別するための識別情報が含まれている。本例の場合、識別情報として、少なくとも、上記印刷ジョブ群を送信した外部装置20のユーザ情報やIP(Internet Protocol)アドレスが含まれる。また、タグ1の識別情報には、このタグ1が付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最初のジョブであることを示す情報などが含まれる。タグ2の識別情報には、このタグ2が付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最後のジョブであることを示す情報などが含まれる。
【0071】
その後、制御部21は、ネットワークI/F部25を介して、印刷ジョブ群を画像形成装置10に送信する(ステップS103)。そして、外部装置20の一連の動作が終了する。
【0072】
一方、制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブでないと判定すると(ステップS101;No)、この印刷ジョブに上記タグを付与せずに、ネットワークI/F部25を介して、印刷ジョブを画像形成装置10に送信する(ステップS103)。ただし、表計算ファイル印刷ジョブの場合でも、このジョブが分割されないときには、制御部21は、当該ジョブにタグを付与しない。そして、外部装置20の一連の動作が終了する。
【0073】
画像形成装置10は、外部装置20から送信される印刷ジョブを受け付ける(ステップS201)。
【0074】
画像形成装置10が、ネットワークI/F部16を介して外部装置20から印刷ジョブを受信すると、制御部11は、この印刷ジョブにタグ1が付与されたか否か、すなわち、タグ1を受信したか否かを判定する(ステップS202)。
【0075】
画像形成装置10がタグ1を受信しなかったと制御部11が判定すると(ステップS202;No)、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS203)。このとき、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブではないと判断する。そして、制御部11は、次の印刷ジョブを受信したか否かを判定する(ステップS204)。次の印刷ジョブが受信していないと制御部11が判定すると(ステップS204;No)、画像形成装置10の一連の動作が終了する。一方、次の印刷ジョブが受信したと制御部11が判定すると(ステップS204;Yes)、ステップS202へ戻る。
【0076】
画像形成装置10がタグ1を受信したと制御部11が判定すると(ステップS202;Yes)、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS205)。このとき、制御部11は、受信した印刷ジョブが印刷ジョブ群の最初のジョブ(図6における分割ジョブ1A)であると判断する。そして、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS206;No)。
【0077】
制御部11は、画像形成装置10が次の印刷ジョブを受信したと判定すると(ステップS206;Yes)、タグ1に含まれる識別情報、たとえば、上記印刷ジョブ群を送信した外部装置20のユーザ情報やIPアドレスなどを参照して、この受信された印刷ジョブを送信したユーザ(外部装置20)が上記印刷ジョブ群を送信したユーザ(外部装置20)と同一であるか否かを判定する(ステップS207)。
【0078】
この受信された印刷ジョブを送信したユーザと上記印刷ジョブ群を送信したユーザとが同一でないと制御部11が判定すると(ステップS207;No)、制御部11は、この印刷ジョブが上記印刷ジョブ群を構成するジョブ(図6における分割ジョブ)ではないと判断し、この印刷ジョブをマスクするなど一旦制御部11中のRAMやHDD12等に保持することで印刷ジョブの実行を待機する(ステップS208)。そして、再び、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS206;No)。
【0079】
一方、この受信された印刷ジョブを送信したユーザと上記印刷ジョブ群を送信したユーザとが同一であると制御部11が判定すると(ステップS207;Yes)、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブであると判断し、この印刷ジョブにタグ2が付与されているか否かを判定する(ステップS209)。
【0080】
この印刷ジョブ(分割ジョブ)にタグ2が付与されていないと制御部11が判定すると(ステップS209;No)、画像形成部13は、このジョブに従って画像の印刷を行う(ステップS205)。このとき、制御部11は、画像形成装置10が最後の分割ジョブ(図6における分割ジョブ5A)の受信を完了していないと判断する。制御部11は、再び、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS206;No)。
【0081】
一方、この印刷ジョブ(分割ジョブ)にタグ2が付与されていると制御部11が判定すると(ステップS209;Yes)、画像形成部13は、このジョブに従って画像の印刷を行う(ステップS210)。このとき、制御部11は、この分割ジョブが印刷ジョブ群の最後のジョブであり、画像形成装置10がすべての分割ジョブを受信したと判断する。画像形成部13が最後の分割ジョブ5Aに従う画像の印刷を終了した後に、制御部11は、マスク等されていたことにより制御部11のRAMなどに保持されていた他のユーザからの他の印刷ジョブを実行する(ステップS211)。そして、画像形成装置10の一連の動作が終了する。
【0082】
次に、1枚の記録紙に複数のページ分の画像を印刷する場合、すなわち、4in1などのページ割付印刷が設定されている場合の画像形成装置10の動作について説明する。
【0083】
図7は、ページ割付印刷が設定されている場合における画像形成装置10の動作を概略的に示した説明図である。ここでは、1枚の記録紙に4ページ分の画像を印刷する場合、すなわち、4in1の場合について説明する。
【0084】
外部装置20からページ割付印刷が設定された表計算ファイル印刷ジョブが送信されると、この表計算ファイル印刷ジョブは、上述のように複数の印刷ジョブに分割される。制御部21は、これら複数の印刷ジョブ(印刷ジョブ群)のうち、最初の印刷ジョブ(分割ジョブ1A)にタグ1を、最後の印刷ジョブにタグ2をそれぞれ付与する。
【0085】
このとき、分割ジョブ1Aには、6ページ分の画像データが含まれており、分割ジョブ2Aには、7ページ目以降の画像データが含まれている。
【0086】
画像形成装置10は、これら分割ジョブを受信すると、上述のように、タグ1に含まれる識別情報に基づいて、他のユーザからの印刷ジョブの実行を待機しながら、印刷ジョブ群に従う画像の印刷を行う。
【0087】
しかしながら、画像形成装置10は、分割ジョブ1Aを受信してから分割ジョブ2Aを受信する前に、分割ジョブ1Aに従う画像の印刷を行うと、2枚目の記録紙に5ページ目と6ページ目の画像のみを印刷してしまう。
【0088】
そこで、画像形成装置10は、当該記録紙に4ページ分の画像を印刷するための4ページ分の画像データを受信した後に、すなわち、2枚目の記録紙に7ページ目と8ページ目の画像を印刷するための7ページ目と8ページ目の画像データを含む分割ジョブ2Aを受信した後に、2枚目の記録紙への画像の印刷を開始する。また、画像形成装置10は、印刷ジョブ群の最終の分割ジョブを受信した場合には、最終ページの画像の印刷に使用される記録紙に印刷するための4ページ分の画像データを受信しなくとも、その記録紙への画像の印刷を開始する。
【0089】
これにより、画像形成装置10は、2枚目の記録紙に画像を印刷するための7ページ目及び8ページ目の画像データを受信しないうちに、2枚目の記録紙に画像を印刷することを防ぐことができる。
【0090】
次に、画像形成装置10が印刷ジョブ群を受信した場合の画像形成装置10がこの印刷ジョブ群に従う画像の印刷を開始するタイミングについて説明する。
【0091】
図8は、画像形成装置10が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を開始するタイミングを決定する手順を概略的に示した説明図である。
【0092】
本例では、外部装置20から表計算ファイル印刷ジョブが送信されると、この表計算ファイル印刷ジョブは、分割ジョブ1A〜3Aに分割される。制御部21は、これら複数の印刷ジョブ(印刷ジョブ群)のうち、最初の印刷ジョブ(分割ジョブ1A)にタグ1を、最後の印刷ジョブ(分割ジョブ3A)にタグ2をそれぞれ付与する。
【0093】
画像形成装置10が分割ジョブ1Aを受信すると、上述のように、タグ1に含まれる識別情報に基づいて、他のユーザからの印刷ジョブの実行を待機しながら、分割ジョブ1A〜3Aに従う画像の印刷を行う。
【0094】
しかしながら、上述のように個々の分割ジョブは不特定の時間間隔で画像形成装置10に送信されるので、画像形成装置10は、分割ジョブ1Aを受信した直後に分割ジョブ1Aに従う画像の印刷を行うと、この不特定の時間間隔の分だけ分割ジョブ2A以降の印刷ジョブを受信するための待ち時間が発生することがある。
【0095】
そこで、外部装置20は、分割ジョブ1Aにタグ1を付与する際に、識別情報に、複数の分割ジョブで構成される印刷ジョブ群を画像形成装置10が受信するのに要する受信時間を予測するための受信時間予測情報を含ませる。ここで、受信時間予測情報とは、たとえば、印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数(図8の例では、3つ)、印刷ジョブ群の総データ量、印刷されるべき画像の総ページ数(図8の例では、23ページ)など、画像形成装置10の制御部11が印刷ジョブ群の受信時間を予測するための情報であればよい。
【0096】
制御部11は、このタグ1の識別情報を受信すると、この識別情報中の受信時間予測情報と、過去に受信した分割ジョブ間の受信間隔などに基づいて、印刷ジョブ群の受信時間を予測する。そして、制御部11は、この印刷ジョブ群に従うすべての画像の印刷が終了する時刻と、印刷ジョブ群の受信完了時刻とを一致させるように、分割ジョブ1Aに従う画像の印刷、すなわち、1ページ目の画像印刷の開始タイミングを決定する。
【0097】
これにより、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷のために画像形成装置10を占有する時間を短くすることができる。従って、画像形成装置10が印刷ジョブ群(分割ジョブ1A〜5A)を受信している間に他の印刷ジョブBを受信した場合でも、予測された受信時間に基づいて決定された1ページ目の画像印刷の開始タイミングより早く他の印刷ジョブBを受信し、さらに上記開始タイミングより他の印刷ジョブBに従う画像印刷の完了時刻が早ければ、上記印刷ジョブ群に従う画像形成が完了するまで待つことなく、他の印刷ジョブBに従う画像形成を先に実行することができる。さらに、画像形成部13の駆動時間も短くなり、省電力化に寄与する。
【0098】
次に、画像形成装置10が印刷ジョブ群に従う画像の印刷を実行している間に、他のユーザの外部装置20が印刷ジョブを画像形成装置10に送信し、さらに、この他のユーザの外部装置20からの印刷ジョブの画像印刷を割り込ませて実行させる一連の操作について説明する。
【0099】
図9は、印刷ジョブ群に従う画像印刷の実行中に、他のユーザの外部装置20Bからの印刷ジョブに従う画像印刷を割り込ませて実行させる一連の操作を概略的に示した説明図である。図10は、画像形成装置10の表示部14に表示される、他のユーザの外部装置20Bからの印刷ジョブBに従う画像印刷の割り込みを受け付ける旨の表示例を示す図である。
【0100】
本例では、ユーザAの外部装置20Aからの表計算ファイル印刷ジョブは、分割ジョブ1A〜5Aに分割される。制御部21は、これら複数の印刷ジョブ(印刷ジョブ群)のうち、最初の印刷ジョブ(分割ジョブ1A)にタグ1を、最後の印刷ジョブ(分割ジョブ5A)にタグ2をそれぞれ付与する。また、画像形成装置10は、分割ジョブ1Aに従う画像の印刷を実行してから分割ジョブ5Aを受信するまでに、ユーザBの外部装置20Bから印刷ジョブBを受信する。
【0101】
このとき、画像形成装置10の制御部11は、ユーザAの外部装置20Aから受信したタグ1に含まれる識別情報の中の、印刷ジョブ群の総データ量、印刷されるべき画像の総ページ数などに基づいて、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する時間を予測する。さらに、制御部11は、ユーザBの外部装置20Bから受信した印刷ジョブBのデータ量等に基づいて、この印刷ジョブBに従う画像の印刷に要する時間を予測する。
【0102】
制御部11は、これら予想した時間から、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する残りの時間より印刷ジョブBに従う画像の印刷に要する時間が短いと判断すると、表示部14に対し、図10のように、印刷ジョブBに従う画像の印刷を割り込ませるか否かの問い合わせを表示させる。
【0103】
そして、図10に表示される「する」ボタンをユーザB等が押下すると、印刷ジョブBはマスクされず、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が一旦中断され、印刷ジョブBに従う画像の印刷を実行する。
【0104】
一方、図10に表示される「しない」ボタンをユーザB等が押下するか、または、図10の表示内容が表示されてから一定時間経過した場合、制御部11は、印刷ジョブBをRAM等に保持し、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が終了した後に、印刷ジョブBに従う画像の印刷を実行するように画像形成部13を制御する。
【0105】
これにより、印刷ジョブ群に従う画像の印刷が実行されている間でも、比較的短時間で実行可能な印刷ジョブBに従う画像の印刷をすぐに行うことができる。さらに、画像形成装置10の表示部14がユーザB等に対して印刷ジョブBに従う画像の印刷を割り込ませるか否かの問い合わせを表示するので、ユーザB等は画像形成装置10へ移動し、上記印刷ジョブBに従う画像の印刷を割り込ませ、その印刷物をすぐに受け取ることができる。従って、それぞれのユーザの印刷物が混在することを防止することができる。
【0106】
上記例では、制御部11は、ユーザAの外部装置20Aから受信したタグ1に含まれる識別情報に基づいて、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する時間を予測し、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する残りの時間と、印刷ジョブBに従う画像の印刷に要する時間とを比較した。しかしながら、制御部11は、印刷ジョブBに従う画像の印刷に要する時間がある閾値以下であると判断したら、表示部14に対して、印刷ジョブBに従う画像の印刷を割り込ませるか否かをユーザB等に促す旨を表示させてもよい。
【0107】
上記閾値は、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する残りの時間の他に、制御部11のROM等に、たとえば、上記印刷ジョブ群に従う画像の印刷に要する残りの時間と印刷ジョブBに従う画像の印刷に要する時間との比と、それに対応する閾値を記載したテーブルを予め格納させ、このテーブルを参照に閾値が決定されてもよいし、ある固定値としてもよい。
【0108】
次に、印刷ジョブ群に従う画像印刷の実行中に画像形成装置10が他のユーザの外部装置20Bからの印刷ジョブを受信したときに、省電力モード中である表示部14が、受信した印刷ジョブリストを表示する動作について説明する。
【0109】
図11は、印刷ジョブ群に従う画像印刷の実行中に他のユーザの外部装置20Bからの印刷ジョブBを受信したときに、表示部14が省電力モードから通常モードに移行して、受信した印刷ジョブの一覧を表示する動作を概略的に示した説明図である。
【0110】
本例では、ユーザAの外部装置20Aからの表計算ファイル印刷ジョブは、分割ジョブ1A〜5Aに分割される。制御部21は、これら複数の印刷ジョブのうち、最初の印刷ジョブ(分割ジョブ1A)にタグ1を、最後の印刷ジョブ(分割ジョブ5A)にタグ2をそれぞれ付与する。また、画像形成装置10は、分割ジョブ1Aに従う画像の印刷を実行してから分割ジョブ5Aを受信するまでに、ユーザBの外部装置20Bから印刷ジョブBを受信する。また、画像形成装置10が印刷ジョブBを受信するまで、表示部14は省電力モード中である。ここで、省電力モードとは、消費電力を抑制するために、表示部14の表示を一時的に停止させるモードである。
【0111】
画像形成装置10は、ユーザBの外部装置20Bから印刷ジョブBを受信すると、制御部11は、省電力モード中の表示部14を通常モードに復帰させる。すなわち、制御部11は表示部14の省電力モードを解除させる。そして、制御部11は、画像形成装置10の画像形成部13が現在実行している印刷ジョブ(分割ジョブ1A〜5Aの何れか)、制御部11のRAM等に一時保存されている印刷ジョブや、上記印刷ジョブBを表示部14にリストとして表示させる。さらに、制御部11は、表示された印刷ジョブの送信者を併せて表示させる。
【0112】
表示部14が省電力モード中である画像形成装置10が複数の外部装置20から印刷ジョブを受信したときに、制御部11は、表示部14を駆動させ、印刷ジョブとその送信者を表示部14に表示させるので、ユーザは、どのユーザの印刷ジョブが実行されているかを認識することができる。
【0113】
<変形例1>
上記実施形態では、外部装置20は、表計算ファイル印刷ジョブが分割されて生成された複数の印刷ジョブ(印刷ジョブ群)のうち、最初の印刷ジョブにタグ1を、最後の印刷ジョブにタグ2をそれぞれ付与する場合について説明した。本変形例では、外部装置20は、上記最初のジョブにタグを付与せず、上記最後の印刷ジョブにタグを付与する場合について説明する。
【0114】
図12は、変形例1における、外部装置20が印刷ジョブ群の最後の印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する手順を示すフローチャートである。図13は、変形例1における、印刷ジョブを受信したときの画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
【0115】
まず、外部装置20の制御部21は、画像形成装置10に送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであるか否かを判定する(ステップS301)。
【0116】
制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであると判定すると(ステップS301;Yes)、この印刷ジョブが分割されて印刷ジョブ群が生成されるときに、この印刷ジョブ群のうち最後に送信される印刷ジョブのみに識別情報を有するタグを付与する(ステップS302)。
【0117】
このタグの識別情報として、印刷ジョブ群の送信者に関する情報(たとえば、外部装置20のユーザ情報やIPアドレス)と、タグが付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群の最後のジョブであることを示す情報などが含まれる。
【0118】
一方、制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブでないと判定すると(ステップS301;No)、この印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する(ステップS303)。
【0119】
このタグの識別情報として、印刷ジョブ群の送信者に関する情報と、タグが付与される印刷ジョブが印刷ジョブ群を構成しない印刷ジョブであることを示す情報などが含まれる。
【0120】
その後、制御部21は、ネットワークI/F部25を介して、印刷ジョブ群を画像形成装置10に送信する(ステップS304)。そして、外部装置20の一連の動作が終了する。
【0121】
画像形成装置10は、外部装置20から送信される印刷ジョブを受け付ける(ステップS401)。
【0122】
画像形成装置10が、ネットワークI/F部16を介して外部装置20から印刷ジョブを受信すると、制御部11は、この印刷ジョブにタグが付与されたか否か、すなわち、タグを受信したか否かを判定する(ステップS402)。
【0123】
画像形成装置10がタグを受信したと制御部11が判定すると(ステップS402;Yes)、制御部11は、受信した印刷ジョブが、表計算ファイル印刷ジョブが分割されて生成された印刷ジョブ群の印刷ジョブ(分割ジョブ)ではないと判断し、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS403)。その後、画像形成装置10の一連の動作が終了する。
【0124】
一方、画像形成装置10がタグを受信しなかったと制御部11が判定すると(ステップS402;No)、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS404)。このとき、制御部11は、受信した印刷ジョブが分割ジョブであると判断する。そして、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS405;No)。
【0125】
制御部11は、画像形成装置10が次の印刷ジョブを受信したと判定すると(ステップS405;Yes)、この印刷ジョブにタグが付与されているか否か、すなわち、タグを受信したか否かを判定する(ステップS406)。
【0126】
この印刷ジョブにタグが付与されていないことを制御部11が判定すると(ステップS406;No)、ステップS404に戻り、画像形成部13はこの印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する。このとき、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブであって、最後の分割ジョブでないと判断し、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS405;No)。
【0127】
一方、この印刷ジョブにタグが付与されていることを制御部11が判定すると(ステップS406;Yes)、制御部11は、受信した印刷ジョブの付帯情報に含まれるユーザ情報や外部装置20のIPアドレス等から、タグが付与された印刷ジョブを送信したユーザ(外部装置20)が、ステップS401で受信したタグが付与されていない印刷ジョブ(分割ジョブ)を送信したユーザ(外部装置20)と同一であるか否かを判定する(ステップS407)。
【0128】
タグが付与された印刷ジョブを送信したユーザと、ステップS401で受信したタグが付与されていない印刷ジョブ(分割ジョブ)を送信したユーザとが同一でないと制御部11が判定すると(ステップS407;No)、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブではないと判断し、この印刷ジョブをマスクするなど一旦制御部11中のRAMやHDD12等に保持することで印刷ジョブの実行を待機する(ステップS408)。そして、再び、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS405;No)。
【0129】
一方、タグが付与された印刷ジョブを送信したユーザと、ステップS401で受信したタグが付与されていない印刷ジョブを送信したユーザとが同一であると制御部11が判定すると(ステップS407;Yes)、制御部11は、この印刷ジョブが印刷ジョブ群の最後の分割ジョブであると判断する。そして、画像形成部13は、このジョブに従って画像の印刷を行う(ステップS409)。
【0130】
画像形成部13が最後の分割ジョブに従う画像の印刷を終了した後に、制御部11は、マスク等されることにより制御部11のRAMなどに保持されていた他のユーザからの印刷ジョブを実行する(ステップS410)。そして、画像形成装置10の一連の動作が終了する。
【0131】
<変形例2>
変形例1では、外部装置20が、印刷ジョブ群のうち、最後の印刷ジョブにタグを付与する場合について説明した。本変形例では、印刷ジョブ群のうち、最初のジョブにタグを付与する場合について説明する。
【0132】
図14は、変形例2における、外部装置20が印刷ジョブ群の最初の印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する手順を示すフローチャートである。図15は、変形例2における、印刷ジョブを受信したときの画像形成装置10の動作を示すフローチャートである。
【0133】
まず、外部装置20の制御部21は、画像形成装置10に送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであるか否かを判定する(ステップS501)。
【0134】
制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブであると判定すると(ステップS501;Yes)、この印刷ジョブが分割されて印刷ジョブ群が生成されるときに、この印刷ジョブ群のうち最初に送信される印刷ジョブに識別情報を有するタグを付与する(ステップS502)。
【0135】
このタグには、識別情報として、画像形成装置10が受信した印刷ジョブ群の送信者に関する情報と、印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数、印刷ジョブ群の総データ量、印刷ジョブ群中の画像データの総ページ数などが含まれる。
【0136】
その後、制御部21は、ネットワークI/F部25を介して、印刷ジョブ群を画像形成装置10に送信する(ステップS503)。そして、外部装置20の一連の動作が終了する。
【0137】
一方、制御部21は、送信されるべき印刷ジョブが表計算ファイル印刷ジョブでないと判定すると(ステップS501;No)、この印刷ジョブに上記タグを付与せずに、ネットワークI/F部25を介して、印刷ジョブを画像形成装置10に送信する(ステップS503)。そして、外部装置20の一連の動作が終了する。
【0138】
画像形成装置10は、外部装置20から送信される印刷ジョブを受け付ける(ステップS601)。
【0139】
画像形成装置10が、ネットワークI/F部16を介して外部装置20から印刷ジョブを受信すると、制御部11は、この印刷ジョブにタグが付与されたか否か、すなわち、タグを受信したか否かを判定する(ステップS602)。
【0140】
画像形成装置10がタグを受信しなかったと制御部11が判定すると(ステップS602;No)、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS603)。このとき、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブではないと判断する。そして、制御部11は、次の印刷ジョブを受信したか否かを判定する(ステップS604)。次の印刷ジョブを受信していないと制御部11が判定すると(ステップS604;No)、画像形成装置10の一連の動作が終了する。一方、次の印刷ジョブを受信したと制御部11が判定すると(ステップS604;Yes)、ステップS602へ戻る。
【0141】
画像形成装置10がタグを受信したと制御部11が判定すると(ステップS602;Yes)、画像形成部13は受信した印刷ジョブに従う画像の印刷を実行する(ステップS605)。このとき、制御部11は、受信した印刷ジョブが印刷ジョブ群の最初のジョブであると判断する。そして、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS606;No)。
【0142】
制御部11は、画像形成装置10が次の印刷ジョブを受信したと判定すると(ステップS606;Yes)、タグに含まれる識別情報の中の上記印刷ジョブ群を送信した外部装置20のユーザ情報と、受信した印刷ジョブの付帯情報に含まれるユーザ情報や外部装置20のIPアドレス等を参照して、この受信された印刷ジョブを送信したユーザ(外部装置20)が上記印刷ジョブ群を送信したユーザ(外部装置20)と同一であるか否かを判定する(ステップS607)。
【0143】
この受信された印刷ジョブを送信したユーザと上記印刷ジョブ群を送信したユーザとが同一でないと制御部11が判定すると(ステップS607;No)、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブではないと判断し、この印刷ジョブをマスクするなど一旦制御部11中のRAMやHDD12等に保持することで印刷ジョブの実行を待機する(ステップS608)。そして、再び、制御部11は、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS606;No)。
【0144】
一方、この受信された印刷ジョブを送信したユーザと上記印刷ジョブ群を送信したユーザと同一であると制御部11が判定すると(ステップS607;Yes)、制御部11は、この印刷ジョブが分割ジョブであると判断する。そして、制御部11は、タグの識別情報である印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数、印刷ジョブ群の総データ量、印刷ジョブ群中の画像データの総ページ数などから、画像形成装置10が全ての分割ジョブを受信したか否かを判定する(ステップS609)。
【0145】
画像形成装置10が全ての分割ジョブを受信していない、すなわち、最後の分割ジョブの受信を完了していないと制御部11が判定すると(ステップS609;No)、画像形成部13は、このジョブに従って画像の印刷を行う(ステップS605)。制御部11は、再び、次の印刷ジョブの受信を監視する(ステップS606;No)。
【0146】
画像形成装置10が全ての分割ジョブを受信したと制御部11が判定すると(ステップS609;Yes)、画像形成部13は、このジョブに従って画像の印刷を行う(ステップS610)。画像形成部13が最後の分割ジョブに従う画像の印刷を終了した後に、制御部11は、マスク等されることにより制御部11のRAMなどに保持されていた他のユーザからの他の印刷ジョブを実行する(ステップS611)。そして、画像形成装置10の一連の動作が終了する。
【0147】
以上、本発明の実施の形態を図面によって説明してきたが、具体的な構成は実施の形態に示したものに限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0148】
本実施形態では、外部装置20は、印刷ジョブ群を構成する最初の分割ジョブにタグ1を、最後の分割ジョブにタグ2をそれぞれ付与した場合について説明した。また、変形例では、最初の分割ジョブまたは最後の分割ジョブにタグを付与した場合について説明した。しかしながら、本発明はこれらに限らない。受信した印刷ジョブが上記分割ジョブであるか否かを画像形成装置10の制御部11が識別することができれば、タグを付与する分割ジョブを任意に決めてもよい。この場合、識別情報として、画像形成装置が受信した印刷ジョブ群の送信者に関する情報(外部装置20のユーザ情報やIPアドレス等)や、印刷ジョブ群を構成する印刷ジョブ(分割ジョブ)の数、印刷ジョブ群の総データ量、印刷ジョブ群中の画像データの総ページ数などを適宜組み合わせて使用すればよい。
【0149】
たとえば、外部装置20は、複数の分割ジョブのうち最後の分割ジョブ以外にタグを付与してもよい。この場合、画像形成装置10は、タグが付与されたジョブを受信したときには、このジョブが分割ジョブであり、かつ、このジョブが最後の分割ジョブでないことを識別する。また、上記タグが付与されたジョブの次に受信したジョブにタグが付与されていない場合には、画像形成装置10は、タグが付与されたジョブを送信したユーザ(外部装置20)と、タグが付与されていないジョブを送信したユーザ(外部装置20)とが同一であるか否かを判定する。画像形成装置10は、上記ユーザが同一であると判定すると、このタグが付与されていないジョブが最後の分割ジョブであると判断する。一方、画像形成装置10は、上記ユーザが同一でないと判定すると、このタグが付与されていないジョブが他のユーザから送信されたジョブである(すなわち、分割ジョブではない)と判断する。
【0150】
また、本実施形態及び変形例では、外部装置20から送信されるジョブが表計算ファイル印刷ジョブである場合について説明したが、画像形成装置10がユーザの意図に反して複数のジョブに分割されて生成される印刷ジョブ群を受信するのであれば、本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0151】
1…画像形成システム
10…画像形成装置
11…制御部
12…HDD
13…画像形成部
14…表示部
15…操作部
16…ネットワークI/F部
20…外部装置
20A…外部装置
20B…外部装置
21…制御部
22…HDD
23…操作部
24…表示部
25…ネットワークI/F部
30…ネットワーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷ジョブを画像形成装置に送信する外部装置と、前記印刷ジョブに従って画像形成を実行する画像形成装置と、を有する画像形成システムであって、
前記外部装置は、
送信対象の印刷ジョブが、1の印刷ジョブが分割されて生成される2以上の分割ジョブからなる印刷ジョブ群である場合に、前記印刷ジョブ群に、当該印刷ジョブ群を構成する各分割ジョブを受信する画像形成装置にその受信した印刷ジョブが分割ジョブであることを識別させるための識別情報を有するタグを付与するタグ付与部と、
前記印刷ジョブ群を送信するジョブ送信部と、
を有し、
前記画像形成装置は、
制御部と、
前記印刷ジョブ群に従って画像形成を実行する画像形成部と、
1以上の印刷ジョブを保持する記憶部と、
前記外部装置から前記印刷ジョブ群を受信するジョブ受信部と、
を有し、
前記ジョブ受信部は、前記タグを受信し、
前記制御部は、
前記タグに含まれる前記識別情報に基づいて、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが前記印刷ジョブ群の送信元の外部装置以外の他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了するまで前記他の印刷ジョブを保持させるように前記記憶部を制御し、
前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了した後、前記他の印刷ジョブに従って画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与される第1のタグと、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与される第2のタグとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち、前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与され、
前記識別情報は、前記印刷ジョブ群を構成する分割ジョブの数、前記印刷ジョブ群の総データ量、前記印刷ジョブ群中の画像データの総ページ数のうち1の情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち、前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与され、
さらに、前記タグ付与部は、前記分割ジョブ以外の印刷ジョブに、当該印刷ジョブが前記分割ジョブでないことを前記画像形成装置に識別させるための識別情報を有するタグを付与する
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、
1枚の記録紙に複数のページ分の画像を形成するための前記印刷ジョブ群を前記外部装置から前記ジョブ受信部が受信する場合、前記ジョブ受信部が1枚の記録紙に前記複数のページ分の画像を形成するための前記複数のページ分の画像データを受信した後に、当該記録紙への画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記第1の分割ジョブに付与されたタグに含まれる前記識別情報は、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信するのに要する受信時間を予測するための受信時間予測情報を含み、
前記制御部は、前記ジョブ受信部が前記第1の分割ジョブに付与されたタグを受信した後、前記受信時間予測情報に基づいて、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成システム。
【請求項7】
さらに、表示部を有し、
前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記印刷ジョブ群に従う画像形成の実行中に、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記制御部は、
前記他の印刷ジョブに従う画像形成に要する時間を推測し、
前記時間が閾値以下であると判断したとき、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項7に記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記表示部が省電力モード中である場合、前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記表示部の省電力モードを解除させ、前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項7または8に記載の画像形成システム。
【請求項10】
制御部と、
印刷ジョブに従って画像形成を実行する画像形成部と、
1以上の印刷ジョブを保持する記憶部と、
1の外部装置から、1の印刷ジョブが分割されて生成される2以上の分割ジョブからなる印刷ジョブ群を受信するジョブ受信部と、
を有し、
前記ジョブ受信部は、前記印刷ジョブ群に付与され、前記ジョブ受信部が受信するジョブが前記分割ジョブであるか否かを識別するための識別情報を有するタグを受信し、
前記制御部は、
前記識別情報に基づいて、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信する間に受信した印刷ジョブが他の外部装置から受信した他の印刷ジョブであることを識別した場合、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了するまで前記他の印刷ジョブを保持させるように前記記憶部を制御し、
前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を終了した後、前記他の印刷ジョブに従って画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
前記タグは、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最初に受信する第1の分割ジョブに付与される第1のタグと、前記印刷ジョブ群のうち前記ジョブ受信部が最後に受信する最終分割ジョブに付与される第2のタグとを有する
ことを特徴とする請求項10に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御部は、
1枚の記録紙に複数のページ分の画像を形成するための前記印刷ジョブ群を前記1の外部装置から前記ジョブ受信部が受信する場合、前記ジョブ受信部が1枚の記録紙に前記複数のページ分の画像を形成するための前記複数のページ分の画像データを受信した後に、当該記録紙への画像形成を開始するように前記画像形成部を制御する
ことを特徴とする請求項10または11に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記第1の分割ジョブに付与されたタグに含まれる前記識別情報は、前記ジョブ受信部が前記印刷ジョブ群を受信するのに要する受信時間を予測するための受信時間予測情報を含み、
前記制御部は、前記ジョブ受信部が前記第1の分割ジョブに付与されたタグを受信した後、前記受信時間予測情報に基づいて、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う最初のページの画像形成を開始するタイミングを決定する
ことを特徴とする請求項11に記載の画像形成装置。
【請求項14】
さらに、表示部を有し、
前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記印刷ジョブ群に従う画像形成の実行中に、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項10乃至13のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項15】
前記制御部は、
前記他の印刷ジョブに従う画像形成に要する時間を推測し、
前記時間が閾値以下であると判断したとき、前記他の印刷ジョブに従う画像形成を割り込ませるか否かの問い合わせを前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
【請求項16】
前記表示部が省電力モード中である場合、前記制御部は、前記画像形成部が前記印刷ジョブ群に従う画像形成を実行する間に前記ジョブ受信部が前記他の印刷ジョブを受信したとき、前記表示部の省電力モードを解除させ、前記ジョブ受信部が受信した印刷ジョブに係る情報を前記表示部に表示させる
ことを特徴とする請求項14または15に記載の画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−109663(P2013−109663A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−255465(P2011−255465)
【出願日】平成23年11月22日(2011.11.22)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】