説明

画像形成システム及び認証プログラム

【課題】パスワード入力や画像形成装置に接続されたネットワーク回線を利用することなく認証を実行して画像形成装置をメンテナンスモードに移行することができ、セキュリティー性と利便性の向上が図られた画像形成システムを提供する。
【解決手段】画像形成システムは、画像形成装置1と、認証コード管理サーバー200と、画像形成装置1と認証コード管理サーバー200との間で認証コードの受け渡しを行う携帯電話100と、を備え、携帯電話100がメンテナンスモードへの移行に関する問い合わせ用コードを画像形成装置1から取得して認証コード管理サーバー200に送信し、認証コード管理サーバーが適切であると判定したとき問い合わせ用コードに対応する認証コードを携帯電話100に送信し、画像形成装置1が携帯電話100から認証コードを取得して前記メンテナンスモードに移行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機やプリンターなどといった画像形成装置を有する画像形成システムに関する。また、その画像形成システムにおける画像形成装置のメンテナンスモードへの移行の際に用いられる認証プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やプリンターなどといった画像形成装置には通常の画像形成動作を実行する画像形成モードに加えて、サービスマンや管理者等が画像形成装置のメンテナンスや調整を実行するためのメンテナンスモードという運転モードを備えているものがある。メンテナンスモードでは画像形成に関する基本的な設定のほか非常に重要な設定や条件変更などが可能になっている。したがって、メンテナンスモードは一般的な利用者が簡単に操作できるような状態にしておくべきではなく、認証コードなどを用いて厳重に制限しておく必要がある。
【0003】
このような画像形成装置のメンテナンスモードに関して、簡単にメンテナンスモードに移行できないよう考慮された画像形成装置の一例を特許文献1に見ることができる。特許文献1に記載された画像形成装置はメンテナンスモード(調整モード)への移行を禁止するか否かを設定する設定手段と、メンテナンスモードへの移行禁止が設定された場合にメンテナンスモードへの移行を禁止する移行禁止手段とを備えている。そして、操作表示部から入力されるパスワードの認証によりメンテナンスモードへの移行を可能にすることでセキュリティーを強固にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−91548号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載された画像形成装置は操作表示部から入力されるパスワードの認証によりメンテナンスモードへの移行が可能であるので、パスワードが誤って漏洩すると誰でもメンテナンスモードでの操作が可能になってしまう虞がある。これにより、画像形成装置内に残された機密情報が外部に流出したり、不適切な設定や操作によって装置が故障したりする可能性がある。
【0006】
一方、常時直接的にネットワーク回線に接続された画像形成装置の場合、その常時接続されたネットワークを介して外部の管理サーバー等にアクセスし、メンテナンスモードへの移行についての認証を実行する方法も考えられる。しかしながら、この方法は画像形成装置に常時接続されたネットワーク回線を利用するので、そのネットワークから画像形成装置内に残された機密情報が外部に流出する虞がある。したがって、利用者にメンテナンスモードへの移行を固く拒否される可能性があり、メンテナンス作業に支障が生じることが懸念される。
【0007】
本発明は上記の点に鑑みなされたものであり、パスワード入力や画像形成装置に常時直接的に接続されたネットワーク回線を利用することなく認証を実行して画像形成装置をメンテナンスモードに移行することができ、セキュリティー性と利便性の向上が図られた画像形成システムを提供することを目的とする。また、その画像形成システムにおいて画像形成装置をメンテナンスモードへ移行させるとき、セキュリティー性と利便性とを向上させることが可能な認証プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明の画像形成システムは、認証コードの入力によりメンテナンスモードに移行可能な画像形成装置と、前記認証コードと前記メンテナンスモードへの移行時に用いる端末装置の識別情報とを管理する認証コード管理サーバーと、固有の識別情報を有するとともに前記画像形成装置及び前記認証コード管理サーバーと通信可能であって前記画像形成装置と前記認証コード管理サーバーとの間で前記認証コードの受け渡しを行う端末装置と、を備え、前記端末装置が前記画像形成装置との通信により前記メンテナンスモードへの移行に関する問い合わせ用コードを前記画像形成装置から取得して前記端末装置の識別情報とともに前記問い合わせ用コードを前記認証コード管理サーバーに送信し、前記認証コード管理サーバーが自らが管理する前記識別情報と前記端末装置が有する前記識別情報とを比較することにより前記端末装置を用いた前記画像形成装置の前記メンテナンスモードへの移行の適否を判別して適切であると判定したとき前記問い合わせ用コードに対応する前記認証コードを前記端末装置に送信し、前記画像形成装置が前記認証コードを受信した前記端末装置との通信により前記認証コードを取得して前記メンテナンスモードに移行することとした。
【0009】
この構成によれば、画像形成システムにおいて端末装置を用いて画像形成装置のメンテナンスモードへの移行に関する問い合わせ用コードを画像形成装置から取得し、端末装置の識別情報とともに問い合わせ用コードを認証コード管理サーバーに送信する。認証コード管理サーバーは端末装置の識別情報に基づいてその端末装置を用いた画像形成装置のメンテナンスモードへの移行の適否を判別し、適切であると判定したとき問い合わせ用コードに対応する認証コードを端末装置に送信する。画像形成装置は認証コードを受信した端末装置との通信により認証コードを取得してメンテナンスモードに移行する。したがって、識別情報が認証コード管理サーバーによって管理された端末装置を使用しなければ画像形成装置をメンテナンスモードに移行させることができない。
【0010】
また、上記構成の画像形成システムにおいて、前記画像形成装置は、前記問い合わせ用コードを前記端末装置が取得する度に異なる前記問い合わせ用コードを生成する問い合わせ用コード生成部を備えることとした。
【0011】
この構成によれば、画像形成装置のメンテナンスモードへの移行のために端末装置と画像形成装置とが通信される度に問い合わせコードが変更されるので、セキュリティー性が向上する。
【0012】
また、上記構成の画像形成システムにおいて、前記認証コード管理サーバーは、前記認証コードを前記端末装置に送信する度に異なる前記認証コードを生成する認証コード生成部を備えることとした。
【0013】
この構成によれば、画像形成装置のメンテナンスモードへの移行のために端末装置と認証コード管理サーバーとが通信される度に認証コードが変更されるので、セキュリティー性が向上する。
【0014】
また、上記構成の画像形成システムにおいて、前記端末装置は、前記画像形成装置と前記認証コード管理サーバーとの間で前記認証コードの受け渡しを行うための認証プログラムを備えることとした。
【0015】
この構成によれば、端末装置を用いて画像形成装置と認証コード管理サーバーとの間で容易に認証コードの受け渡しを行うことができるようになるので、利便性が向上する。
【0016】
また、上記構成の画像形成システムにおいて、前記端末装置は、携帯電話であることとした。
【0017】
この構成によれば、携帯電話を用いて画像形成装置と認証コード管理サーバーとの間で容易に認証コードの受け渡しを行うことができるようになるので、利便性がより一層向上する。
【0018】
また、本発明の認証プログラムは、端末装置に搭載されたプログラムであって、画像形成装置との通信により前記画像形成装置のメンテナンスモードへの移行に必要な問い合わせ用コードを取得するための問い合わせ用コード取得処理と、前記端末装置の識別情報と前記問い合わせ用コードとを認証コード管理サーバーに送信して前記認証コード管理サーバーから認証コードを受信する認証コード取得処理と、前記画像形成装置に前記認証コードを送信して前記メンテナンスモードに移行させるための移行指令処理と、を端末装置に実行させることとした。
【0019】
この構成によれば、認証プログラムは画像形成装置から画像形成装置のメンテナンスモードへの移行に必要な問い合わせ用コードを取得し、その問い合わせ用コードとコンピュータの識別情報とを認証コード管理サーバーに送信して認証コードを取得し、その認証コードを用いて画像形成装置をメンテナンスモードに移行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の構成によれば、パスワード入力や画像形成装置に常時直接的に接続されたネットワーク回線を利用することなく認証を実行して画像形成装置をメンテナンスモードに移行することができ、セキュリティー性と利便性の向上が図られた画像形成システムを提供することができる。また、その画像形成システムにおいて画像形成装置をメンテナンスモードへ移行させるとき、セキュリティー性と利便性とを向上させることが可能な認証プログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施形態に係る画像形成システムを示す概略構成図である。
【図2】図1の画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す画像形成システムの画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【図4】図1に示す画像形成システムの携帯電話で実行される認証プログラムの動作を示すフローチャートである。
【図5】図1の携帯電話の認証プログラム起動時の表示を示す説明図である。
【図6】図1の携帯電話の認証プログラム動作中における問い合わせ用コード取得時の表示を示す説明図である。
【図7】図1の携帯電話の認証プログラム動作中における認証コード取得成功時の表示を示す説明図である。
【図8】図1の携帯電話の認証プログラム動作中における認証コード取得失敗時の表示を示す説明図である。
【図9】図1に示す画像形成システムの画像形成装置におけるメンテナンスモードへの移行時の動作を示すフローチャートである。
【図10】図1に示す画像形成システムの認証コード管理サーバーにおける認証コード生成時の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図1〜図10に基づき説明する。
【0023】
最初に、本発明の実施形態に係る画像形成システムについて、図1〜図3を用いてその構成を説明する。図1は画像形成システムを示す概略構成図、図2は画像形成システムの構成を示すブロック図、図3は画像形成システムの画像形成装置の模型的垂直断面正面図である。
【0024】
画像形成システムSは、図1及び図2に示すように画像形成装置1と、端末装置である携帯電話100と、認証コード管理サーバー200とを備えている。
【0025】
画像形成装置1は通常の画像形成動作を実行する画像形成モードに加えて、サービスマンや管理者等が画像形成装置1のメンテナンスや調整を実行するためのメンテナンスモードという運転モードを備えている。画像形成装置1は認証コードを入力することによりメンテナンスモードへの移行が可能である。携帯電話100は画像形成装置1をメンテナンスモードへ移行させるときに必要な端末装置である。認証コード管理サーバー200は画像形成装置1をメンテナンスモードへ移行させるときに必要な認証コードを生成するサーバーである。
【0026】
画像形成装置1と携帯電話100とはICカードリーダーなどの非接触式通信部を用いて、或いはUSBケーブルなどの接続ケーブルを用いて互いに接続することができ、相互にデータや指令の送受信を行うことが可能である。また、携帯電話100は独自にネットワークを介して認証コード管理サーバーと接続することができ、相互にデータや指令の送受信を行うことが可能である。
【0027】
続いて、画像形成装置1と、携帯電話100と、認証コード管理サーバー200とについて、個別にその構成を説明する。
【0028】
画像形成装置1は、図3に示すようにその本体2の内部下方に給紙カセット3を備えている。給紙カセット3はその内部に印刷前のカットペーパーなどの用紙Pを積載して収容している。そして、この用紙Pは図1において給紙カセット3の左上方に向け、1枚ずつ分離されて送り出される。給紙カセット3は本体2の正面側から水平に引き出すことが可能である。
【0029】
給紙カセット3の上方であって本体2の右側面の箇所には手差し給紙部4が備えられている。手差し給紙部4には給紙カセット3に入っていないサイズの用紙や厚紙、OHPシートのように1枚ずつ手で送り込みたいものが載置される。
【0030】
本体2の内部であって給紙カセット3及び手差し給紙部4の左方には用紙搬送部5が備えられている。用紙搬送部5は本体2の左側面に沿って略垂直に形設されている。そして、用紙搬送部5は給紙カセット3及び手差し給紙部4から送り出された用紙Pを受け取り、本体2の左側面に沿って垂直上方に転写部6まで搬送する。
【0031】
一方、画像形成装置1の本体2の上面には原稿搬送装置7が、その下方の本体2内には画像読取部8が搭載されている。利用者が原稿の複写を行う場合には文字や図形、模様などの画像が描かれた原稿を原稿搬送装置7に積載したり、画像読取部8上面の図示しないコンタクトガラス上に載置したりする。原稿搬送装置7では1枚ずつ分離して原稿が送り出され、画像読取部8によってその画像が読み取られる。コンタクトガラス上の原稿に対しては画像読取部8内で光を走査させることによって画像が読み取られる。
【0032】
原稿画像の読み取りや印刷の開始は本体2の上部であって画像読取部6の正面側に備えられた操作パネル9を用いて実行される。操作パネル9はは表示部9aと、設定部9bと、スタートボタン9cとを備えている。表示部9aは液晶パネルなどで構成され、例えば利用者による印刷に使用する用紙の種類やサイズ、部数、拡大縮小、両面印刷の有無といった印刷条件設定などを受け付けたり、解像度、濃度、色情報などといった画像データの情報や画像処理条件を表示したりする一方、注意事項やエラーメッセージなどを利用者に対して指示する報知部として機能する。設定部9bは画像処理条件や画像データの保存先などを利用者が設定することができる。スタートボタン9cは原稿画像の読み取りや印刷の開始を受け付けるためのボタンである。
【0033】
操作パネル9の右方であって本体2の右側面上端の箇所には非接触式通信部31が備えられている。非接触式通信部31は通信部30のひとつであって、無線通信により外部機器との間で互いにデータや指令の送受信を行う。非接触式通信部31は所謂ICカードリーダーであって、ICカード機能を実現するために携帯電話などに搭載されたICチップやアンテナと通信を行うための通信回路、チップ、アンテナなどを含む。携帯電話100との通信もこれを利用して行うことができる。画像形成装置1は、例えば非接触式通信部31の上面にかざされた携帯電話100と互いにデータや指令の送受信を行うことが可能である。
【0034】
原稿の画像データの情報は制御部18等を経由して画像処理が施された後、給紙カセット3の上方であって本体2の略中央部に配置された露光部10に送られる。露光部10により、画像データに基づいて制御されたレーザー光Lが画像形成部11に向かって照射される。
【0035】
用紙搬送部5の上方であって露光部10の左方には画像形成部11及び転写部6が備えられている。画像形成部11では露光部10によって照射されたレーザー光Lにより原稿画像の静電潜像が形成され、この静電潜像からトナー像が現像される。トナーは露光部10の上方に備えられたトナーコンテナ12から画像形成部11に補給される。画像形成部11で形成されたトナー像は用紙搬送部5によって同期をとって送られてきた印刷前の用紙Pに転写部6にて転写される。
【0036】
転写部6の上方には定着部13が備えられている。転写部6にて未定着トナー像を担持した用紙Pは定着部13へと送られ、熱ローラーと加圧ローラーとによりトナー像が加熱、加圧されて定着される。
【0037】
定着部13の上方には用紙案内部14が備えられている。定着部13から排出された用紙Pは両面印刷を行わない場合、用紙案内部14から画像形成装置1の上部胴内に設けられた胴内用紙排出部15に排出される。
【0038】
用紙案内部14から胴内用紙排出部15に向かって用紙Pが排出されるその排出口部分はスイッチバック部16としての機能を果たす。両面印刷を行う場合にはこのスイッチバック部16において定着部13から排出された用紙Pの搬送方向が切り替えられる。そして、用紙Pは用紙案内部14を通過し、定着部13の左方及び転写部6の左方に設けられた両面印刷用用紙搬送路17を通して下方に送られ、再度用紙搬送部5を経て転写部6へと送られる。
【0039】
また、画像形成装置1は装置全体の動作制御のため、図2に示すようにその本体2内に図示しないCPUやその他の電子部品で構成された制御部18を備えている。制御部18は中央演算処理装置であるCPUと画像処理部19とを利用し、記憶部20に記憶、入力されたプログラム、データに基づき画像読取部8、露光部10、画像形成部11、定着部13などといった構成要素を制御して一連の画像形成動作を実現する。
【0040】
そして、画像形成装置1は外部機器との間で互いにデータや指令の送受信を行うための通信部30を備えている。通信部30はICカードリーダー等で構成された非接触式通信部31のほか、USBコネクタ32を備えている。携帯電話100との通信については非接触式通信部31を用いた非接触での接続に加えて、USBコネクタ32にUSBケーブルを直接接続することでも実現できる。
【0041】
このような構成の画像形成装置1は、前述のように画像形成モードに加えてメンテナンスモードという運転モードを備えている。メンテナンスモードへの移行は携帯電話100が備える認証プログラム111を用いて実行される。そして、画像形成装置1は後述する認証プログラム111を用いたメンテナンスモードへの移行時に必要な問い合わせ用コードを記憶部20に記憶させている。
【0042】
携帯電話100は装置全体の動作制御のため、図2に示すように図示しないCPUやその他の電子部品で構成された制御部101を備えている。制御部101は中央演算処理装置としてCPUを利用し、記憶部110等に記憶、入力されたプログラム、データに基づき各種処理を実行する。
【0043】
入力キー102は文字や数値などの入力、メニューやその他選択肢の選択、処理の実行やキャンセルなどの入力を利用者が行うためのものである。携帯電話100の制御部101は入力キー102の操作から得られる情報に基づき記憶部110等に記憶されたプログラム、データ、ファイルに対して各種処理を実行したり、表示部103に対して表示処理を実行したりする。
【0044】
表示部103は液晶ディスプレイなどで構成されている。制御部101は実行されるプログラムの処理に基づいて表示部103にウィンドウやアイコン、メニューなどを表示させる。また、制御部101は入力キー102の操作から得られる情報に基づいて表示部103に利用者が入力した文字や数値などを表示させ、利用者が選択したメニューやその他選択肢の結果を表示させる。
【0045】
また、携帯電話100は通話を行ったり、外部機器との間で互いにデータや指令の送受信を行ったりするための通信部104を備えている。通信部には携帯電話網を用いて音声データやパケットを送受信するための電話通信部と、ICカード機能を実現するためのICチップやアンテナを含むICカード用通信部とを含む。携帯電話100は通信部104を介して通常の通話のほか、外部機器である画像形成装置1や認証コード管理サーバー200に対してデータや指令の送受信などを実行する。
【0046】
なお、前述のように画像形成装置1との通信については画像形成装置1の非接触式通信部31を用いた非接触での接続に加えて、USBコネクタ32にUSBケーブルを直接接続することでも実現できる。また、認証コード管理サーバー200がサービスセンターや管理センターなど、画像形成装置1の設置場所から位置的に離れた場所に設置されるので、例えば携帯電話100は電話通信部を介して携帯電話網を用いて認証コード管理サーバー200と通信を行う。
【0047】
そして、携帯電話100は画像形成装置1の運転モードをメンテナンスモードに移行させるときに用いられるアプリケーションプログラムである認証プログラム111を実行することができる。認証プログラム111は記憶部110に記憶されている。
【0048】
ここで、認証プログラム111は画像形成装置1と認証コード管理サーバー200との間で認証コードの受け渡しを行うためのアプリケーションプログラムである。詳細に言えば、認証プログラム111は携帯電話100に搭載されたプログラムであって、画像形成装置1との通信により画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行に必要な問い合わせ用コードを取得するための問い合わせ用コード取得処理と、携帯電話100の識別情報と問い合わせ用コードとを認証コード管理サーバー200に送信して認証コード管理サーバー200から認証コードを受信する認証コード取得処理と、画像形成装置1に認証コードを送信してメンテナンスモードに移行させるための移行指令処理と、を携帯電話100に実行させる。これにより、携帯電話100を用いて画像形成装置1と認証コード管理サーバー200との間で容易に認証コードの受け渡しを行うことができるようになるので、利便性が向上する。
【0049】
認証プログラム111で利用されるデータである携帯電話100固有の識別情報は記憶部110に記憶されている。一方、画像形成装置1は問い合わせ用コードを携帯電話100が取得する度に異なる問い合わせ用コードを生成する問い合わせ用コード生成部21を制御部18に備えている。
【0050】
問い合わせ用コード生成部21は、例えばワンタイムパスワード方式で問い合わせ用コードを生成する。例えば、画像形成装置1の問い合わせ用コード生成部21と認証コード管理サーバー200には同様のコード生成器を設けておく。このコード生成器は、例えば複数桁の数字を生成するソフトウェアでも良い。画像形成装置1は生成したコードを問い合わせ用コードとして発信する。一方、認証コード管理サーバー200ではどの画像形成装置1がどのコード生成器を使っているか、次に送信されてくる適正な問い合わせ用コードは何かを把握している。認証コード管理サーバー200は受信した問い合わせ用コードを検証し、画像形成装置1が適正かどうかを認証する。
【0051】
なお、画像形成装置1と認証コード管理サーバー200との間で問い合わせコードを1回ずつ異ならせるためには様々な方式が考えられ、時刻同期方式(タイムスタンプ方式)やチャレンジ・レスポンス方式、数学的アルゴリズムに基づき古いパスワードから新しいパスワードを生成する方式などを用いることができる。
【0052】
このようにして、画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行のために携帯電話100と画像形成装置1とが通信される度に問い合わせコードが変更されるので、セキュリティー性が向上する。
【0053】
認証コード管理サーバー200はコンピュータなどであって装置全体の動作制御のため、図2に示すように図示しないCPUやその他の電子部品で構成された制御部201を備えている。制御部201は中央演算処理装置としてCPUを利用し、記憶部210等に記憶、入力されたプログラム、データに基づき各種処理を実行する。
【0054】
また、認証コード管理サーバー200は外部機器との間で互いにデータや指令の送受信を行うための通信部202を備えている。認証コード管理サーバー200は通信部202を介して外部機器である画像形成装置1や携帯電話100に対してデータや指令の送受信などを実行する。
【0055】
そして、認証コード管理サーバー200は画像形成装置1の運転モードをメンテナンスモードに移行させるときに必要な認証コードを記憶部210に記憶させている。認証コードは画像形成装置1で生成される問い合わせ用コードに対応付けて記憶部210で管理されている。
【0056】
認証コードは認証プログラム111の呼び出し要求により携帯電話100を介して画像形成装置1に送られる。このとき、認証コード管理サーバー200は認証コードを要求する携帯電話100が許可すべき端末装置であるか否かを判別する。このため、認証コード管理サーバー200は画像形成装置の運転モードをメンテナンスモードに移行させることが可能な端末装置固有の識別情報の一覧を記憶部210に記憶させており、その識別情報に認証コードを要求する携帯電話100固有の識別情報が一致するか否かを判別する。
【0057】
また、認証コード管理サーバー200は認証コードを携帯電話100に送信する度に異なる認証コードを生成する認証コード生成部203を制御部201に備えている。認証コード生成部203が生成する認証コードを携帯電話100に送信する度に1回ずつ異ならせるためには様々な方式が考えられ、前述の問い合わせ用コード生成部21と同様の方式を用いることができる。これにより、画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行のために携帯電話100と認証コード管理サーバー200とが通信される度に認証コードが変更されるので、セキュリティー性が向上する。
【0058】
続いて、画像形成システムSの携帯電話100で実行される認証プログラム111の動作について、図4に示すフローに沿って図5〜図8を用いて説明する。図4は画像形成システムSの携帯電話100で実行される認証プログラム111の動作を示すフローチャート、図5は認証プログラム111起動時の表示を示す説明図、図6は認証プログラム111動作中における問い合わせ用コード取得時の表示を示す説明図、図7は認証プログラム111動作中における認証コード取得成功時の表示を示す説明図、図8は認証プログラム111動作中における認証コード取得失敗時の表示を示す説明図である。
【0059】
画像形成システムSの画像形成装置1において運転モードをメンテナンスモードに移行させるとき、携帯電話100において認証プログラム111を起動させる(図4のスタート)。そして、制御部101は認証プログラム111に基づいて処理を開始し、まず例えば図5に示すように携帯電話100を画像形成装置1の非接触式通信部31に差し出すよう指示を携帯電話100の表示部103に表示させる(図4のステップ#101)。
【0060】
次に、制御部101は通信部104を介して画像形成装置1に対し、問い合わせ用コードの呼び出し要求を送る(ステップ#102)。ここで、画像形成装置1では後に説明する図9に示すフローに沿って動作して問い合わせ用コードを携帯電話100に対して送信し、携帯電話100がその問い合わせ用コードを受信する(ステップ#103)。
【0061】
画像形成装置1から問い合わせ用コードを取得すると、制御部101は通信部104を介して認証コード管理サーバー200に対し、携帯電話100固有の識別情報とともに問い合わせ用コードを送信する(ステップ#104)。このとき、制御部101は、例えば図6に示すメッセージを携帯電話100の表示部103に表示させる。さらに、制御部101は認証コード管理サーバー200に認証コードの呼び出し要求を送る(ステップ#105)。ここで、認証コード管理サーバー200では後に説明する図10に示すフローに沿って動作し、認証コード或いはエラーを携帯電話100に対して送信する。
【0062】
携帯電話100が認証コード管理サーバー200から認証コードを受信すると(ステップ#106のYes)、制御部101は、例えば図7に示すように携帯電話100を画像形成装置1の非接触式通信部31に差し出すよう指示を携帯電話100の表示部103に表示させる。なおこのとき、画像形成装置1の外装カバー等を開放させた上で携帯電話100を非接触式通信部31に差し出すよう指示しても良い。これにより、セキュリティー性が向上する。
【0063】
そして、制御部101は通信部104を介して画像形成装置1に対し、認証コードを送信する(ステップ#107)。さらに、制御部101が画像形成装置1にメンテナンスモードへの移行指令を送信し(ステップ#108)、認証プログラム111に基づく処理が終了する(図4のエンド)。
【0064】
一方、携帯電話100が認証コード管理サーバー200から認証コードを受信することなく(ステップ#106のNo)エラーを受信すると(ステップ#109のYes)、制御部101は、例えば図8に示すエラーメッセージを携帯電話100の表示部103に表示させる(ステップ#110)。そして、制御部101は認証プログラム111に基づく処理を終了する(図4のエンド)。
【0065】
続いて、画像形成システムSの画像形成装置1におけるメンテナンスモードへの移行時の動作について、図9に示すフローに沿って説明する。図9は画像形成システムSの画像形成装置1におけるメンテナンスモードへの移行時の動作を示すフローチャートである。
【0066】
画像形成装置1はその運転中に(図9のスタート)、画像形成装置1をメンテナンスモードに移行させるための認証プログラム111を起動させた携帯電話100からその認証に係る問い合わせ用コードの呼び出し要求を受信することがある(図9のステップ#201)。これは図4を用いて先に説明した携帯電話100における動作フローのステップ#102の処理に基づき、画像形成装置1の非接触式通信部31等を介して要求を受信する。
【0067】
次に、画像形成装置1の制御部18は問い合わせ用コード生成部21に問い合わせ用コードを生成させる(ステップ#202)。問い合わせ用コード生成部21は問い合わせ用コードを携帯電話100が取得する度に1回ずつ異なる問い合わせ用コードを生成する。そして、制御部18は携帯電話100に対して問い合わせ用コードを送信する(ステップ#203)。
【0068】
その後、画像形成装置1は携帯電話100から認証コードを受信し(ステップ#204)、続けてメンテナンスモードへの移行指令も受信する(ステップ#205)。これは図4を用いて先に説明した携帯電話100における動作フローのステップ#107及び#108の処理に基づき、画像形成装置1の非接触式通信部31等を介して受信する。それに従って、制御部18は画像形成装置1の運転モードをメンテナンスモードに移行させ(ステップ#206)、メンテナンスモードへの移行に係る動作を終了する(図9のエンド)。
【0069】
続いて、画像形成システムSの認証コード管理サーバー200における認証コード生成時の動作について、図10に示すフローに沿って説明する。図10は画像形成システムSの認証コード管理サーバー200における認証コード生成時の動作を示すフローチャートである。
【0070】
認証コード管理サーバー200はその運転中に(図10のスタート)、画像形成装置1をメンテナンスモードに移行させるための認証プログラム111を起動させた携帯電話100からその認証に係る問い合わせ用コードと携帯電話100固有の識別情報とを受信することがある(図10のステップ#301)。これは図4を用いて先に説明した携帯電話100における動作フローのステップ#104の処理に基づき、認証コード管理サーバー200の通信部202を介して受信する。
【0071】
次に、認証コード管理サーバー200の制御部201は問い合わせ用コードが適正であるか否かを判定する(ステップ#302)。問い合わせ用コードが適正である場合(ステップ#302のYes)、制御部201は自らが記憶部210で管理する端末装置の識別情報とステップ#301で受信した携帯電話100固有の識別情報とを比較して一致するか否かを判別する(ステップ#303)。このようにして、認証コード管理サーバー200は携帯電話100を用いた画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行の適否を判別する。
【0072】
問い合わせ用コードが適正であって、識別情報が一致して携帯電話100を用いたメンテナンスモードへの移行が適切であると判定したとき(ステップ#303のYes)、制御部201は認証コード生成部203に認証コードを生成させる(ステップ#304)。認証コード生成部203は認証コードを携帯電話100に送信する度に1回ずつ異なる認証コードを生成する。そして、制御部201は携帯電話100に認証コードを送信し(ステップ#305)、認証コードの生成に係る動作フローを終了する(図10のエンド)。
【0073】
一方、問い合わせ用コードが不適正であると判定したとき(ステップ#302のNo)、または識別情報が一致せず携帯電話100を用いたメンテナンスモードへの移行が不適切であると判定したとき(ステップ#303のNo)、制御部201は携帯電話100にエラーを送信し(ステップ#306)、認証コードの生成に係る動作フローを終了する(図10のエンド)。
【0074】
上記のように、画像形成システムSにおいて携帯電話100を用いて画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行に関する問い合わせ用コードを画像形成装置1から取得し、携帯電話100の識別情報とともに問い合わせ用コードを認証コード管理サーバー200に送信する。認証コード管理サーバー200は携帯電話100の識別情報に基づいてその携帯電話100を用いた画像形成装置1のメンテナンスモードへの移行の適否を判別し、適切であると判定したとき問い合わせ用コードに対応する認証コードを携帯電話100に送信する。画像形成装置1は認証コードを受信した携帯電話100との通信により認証コードを取得してメンテナンスモードに移行する。したがって、識別情報が認証コード管理サーバー200によって管理された携帯電話100を使用しなければ画像形成装置1をメンテナンスモードに移行させることができない。
【0075】
上記実施形態の構成によれば、パスワード入力や画像形成装置1に常時直接的に接続されたネットワーク回線を利用することなく認証を実行して画像形成装置1をメンテナンスモードに移行することができ、セキュリティー性と利便性の向上が図られた画像形成システムSを提供することができる。また、その画像形成システムSにおいて画像形成装置1をメンテナンスモードへ移行させるとき、セキュリティー性と利便性とを向上させることが可能な認証プログラム111を提供することができる。
【0076】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【0077】
例えば、上記実施形態では、本発明の画像システムSの端末装置として携帯電話100を例として掲げて説明したが、端末装置は携帯電話に限定されるわけではなく、PDAなどといった他の装置を端末装置としても良い。
【0078】
また、上記実施形態では、問い合わせ用コード及び認証コードを携帯電話100が通信する度に1回ずつ異ならせるよう問い合わせ用コード生成部21または認証コード生成部203に生成させることとしたが、記憶部20や記憶部210に予め記憶させた単一のコードを用いることにしても良い。
【0079】
また、本発明の上記実施形態では、画像形成装置1としてブラックトナーのみを使用したモノクロ印刷用の画像形成装置を例に掲げて説明したが、発明の適用対象となる画像形成装置はこのような機種に限定されるわけではなく、中間転写ベルトを備え、複数色を重ね合わせて画像形成することが可能なタンデム方式、或いはロータリー方式のカラー印刷用画像形成装置などであっても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0080】
本発明は、複写機やプリンターなどといった画像形成装置を有する画像形成システムにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0081】
S 画像形成システム
1 画像形成装置
18 制御部
20 記憶部
21 問合せ用コード生成部
30 通信部
31 非接触式通信部
100 携帯電話(端末装置)
101 制御部
104 通信部
110 記憶部
111 認証プログラム
200 認証コード管理サーバー
201 制御部
202 通信部
203 認証コード生成部
210 記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
認証コードの入力によりメンテナンスモードに移行可能な画像形成装置と、
前記認証コードと前記メンテナンスモードへの移行時に用いる端末装置の識別情報とを管理する認証コード管理サーバーと、
固有の識別情報を有するとともに前記画像形成装置及び前記認証コード管理サーバーと通信可能であって前記画像形成装置と前記認証コード管理サーバーとの間で前記認証コードの受け渡しを行う端末装置と、
を備え、
前記端末装置が前記画像形成装置との通信により前記メンテナンスモードへの移行に関する問い合わせ用コードを前記画像形成装置から取得して前記端末装置の前記識別情報とともに前記問い合わせ用コードを前記認証コード管理サーバーに送信し、
前記認証コード管理サーバーが自らが管理する前記識別情報と前記端末装置が有する前記識別情報とを比較することにより前記端末装置を用いた前記画像形成装置の前記メンテナンスモードへの移行の適否を判別して適切であると判定したとき前記問い合わせ用コードに対応する前記認証コードを前記端末装置に送信し、
前記画像形成装置が前記認証コードを受信した前記端末装置との通信により前記認証コードを取得して前記メンテナンスモードに移行する、
ことを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記問い合わせ用コードを前記端末装置が取得する度に異なる前記問い合わせ用コードを生成する問い合わせ用コード生成部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記認証コード管理サーバーは、前記認証コードを前記端末装置に送信する度に異なる前記認証コードを生成する認証コード生成部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記端末装置は、前記画像形成装置と前記認証コード管理サーバーとの間で前記認証コードの受け渡しを行うための認証プログラムを備えることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記端末装置は、携帯電話であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の画像形成システム。
【請求項6】
端末装置に搭載されたプログラムであって、
画像形成装置との通信により前記画像形成装置のメンテナンスモードへの移行に必要な問い合わせ用コードを取得するための問い合わせ用コード取得処理と、
前記端末装置の識別情報と前記問い合わせ用コードとを認証コード管理サーバーに送信して前記認証コード管理サーバーから認証コードを受信する認証コード取得処理と、
前記画像形成装置に前記認証コードを送信して前記メンテナンスモードに移行させるための移行指令処理と、
を端末装置に実行させることを特徴とする認証プログラム。

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−155647(P2012−155647A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−16193(P2011−16193)
【出願日】平成23年1月28日(2011.1.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】