説明

画像形成システム及び電力算出方法

【課題】画像形成システムの総電力を精度よく算出する。
【解決手段】周辺機器150と画像形成装置110とを備える画像形成システム100であって、周辺機器は、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する電源部154の二次側の電圧を検出し、検出した電圧値である第2電圧値を出力する電圧検出部160と、電源部の二次側の電流を検出し、検出した電流値である第2電流値を出力する電流検出部170と、を備え、画像形成装置は、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する電源部114の二次側の電圧を検出し、検出した電圧値である第1電圧値を出力する電圧検出部120と、電源部の二次側の電流を検出し、検出した電流値である第1電流値を出力する電流検出部130と、を備え、画像形成システムは、第1電圧値、第1電流値、第2電圧値、及び第2電流値に基づいて、画像形成システムの総電力値を算出する制御部140と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システム及び電力算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、画像形成装置及び周辺機器を備える画像形成システムにおいて、画像形成装置と周辺機器との総電力を算出する技術が知られている。例えば特許文献1には、画像形成装置に増設されるオプションユニットが、動作モード毎に消費電力を消費する度合いを示すステータス情報を有しており、画像形成装置が、オプションユニットからこのステータス情報を受信して、画像形成装置とオプションユニットとの総消費電力を算出する技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上述したような従来技術では、周辺機器側の電力を実測しているわけではないので、算出される総電力の精度が悪い場合がある。
【0004】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、画像形成システムの総電力を精度よく算出することができる画像形成システム及び電力算出方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の一態様にかかる画像形成システムは、画像形成装置と周辺機器とを備える画像形成システムであって、前記画像形成装置は、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第1電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第1電圧値を出力する第1電圧検出部と、前記第1電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第1電流値を出力する第1電流検出部と、を備え、前記周辺機器は、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第2電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第2電圧値を出力する第2電圧検出部と、前記第2電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第2電流値を出力する第2電流検出部と、を備え、前記画像形成システムは、更に、前記第1電圧値、前記第1電流値、前記第2電圧値、及び前記第2電流値に基づいて、前記画像形成システムの総電力値を算出する第1制御部を備えることを特徴とする。
【0006】
また、本発明の別の態様にかかる電力算出方法は、画像形成装置と周辺機器とを備える画像形成システムで実行される電力算出方法であって、前記画像形成装置は、第1電圧検出部が、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第1電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第1電圧値を出力する第1電圧検出ステップと、第1電流検出部が、前記第1電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第1電流値を出力する第1電流検出部と、を含み、前記周辺機器は、第2電圧検出部が、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第2電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第2電圧値を出力する第2電圧検出ステップと、第2電流検出部が、前記第2電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第2電流値を出力する第2電流検出部と、を含み、前記画像形成システムは、第1制御部が、前記第1電圧値、前記第1電流値、前記第2電圧値、及び前記第2電流値に基づいて、前記画像形成システムの総電力値を算出する算出ステップを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、画像形成システムの総電力を精度よく算出することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】図1は、第1実施形態の画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、トランス方式で電圧を検出する場合の電圧検出部の構成の一例を示す回路図である。
【図3】図3は、分圧抵抗方式で電圧を検出する場合の電圧検出部の構成の一例を示す回路図である。
【図4】図4は、電流検出IC方式で電流を検出する場合の電流検出部の構成の一例を示す回路図である。
【図5】図5は、第1実施形態の画像形成システムのデータフローの一例を示す図である。
【図6】図6は、第1実施形態の画像形成システムの総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図7】図7は、第2実施形態の画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図8】図8は、第2実施形態の画像形成システムのデータフローの一例を示す図である。
【図9】図9は、第2実施形態の画像形成システムの総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】図10は、第3実施形態の画像形成システムの構成の一例を示すブロック図である。
【図11】図11は、第3実施形態の画像形成システムの総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図12】図12は、第3実施形態の画像形成システムで実行されるジョブの処理に要する総電力の算出処理の一例を示すフローチャートである。
【図13】図13は、第3実施形態の画像形成システムで実行されるジョブ終了判定処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】図14は、変形例1の画像形成装置が分圧抵抗方式で電圧を検出する場合の電圧検出部の構成の一例を示す回路図である。
【図15】図15は、変形例1の画像形成システムの画像形成装置が電流検出IC方式で電流を検出する場合の電流検出部の構成の一例を示す回路図である。
【図16】図16は、変形例4の画像形成システムの一例を示す外観図である。
【図17】図17は、変形例4のサーバ装置の一例を示すハードウェア構成図である。
【図18】図18は、上記各実施形態及び各変形例の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しながら、本発明にかかる画像形成システム及び電力算出方法の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
(第1実施形態)
まず、第1実施形態の画像形成システム100の構成について説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の画像形成システム100の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、画像形成システム100は、画像形成装置110と、周辺機器150とを、備える。画像形成装置110と周辺機器150とは、オンラインで接続されている。
【0012】
画像形成装置110は、画像を形成して印刷物を生成するものであり、例えば、複合機、複写機、及び印刷機のいずれかなどが該当する。なお複合機とは、複写機能、印刷機能、スキャナ機能、及びファクシミリ機能のうち少なくとも2つの機能を有する装置である。画像形成装置110は、図1に示すように、AC電源コード112と、電源部114と、負荷116と、電圧検出部120と、電流検出部130と、制御部140と、オペレーションパネル145とを、備える。
【0013】
AC電源コード112は、商用(AC)電源などの外部の電力源から画像形成装置110(電源部114)に電力(AC電源)を供給する。
【0014】
電源部114は、AC電源コード112を介して供給された電力の電圧や周波数などを変換することにより、画像形成装置110に適した形式の電力(DC電源)に変換する。
【0015】
負荷116は、例えば、作像機構、転写機構、及び搬送機構などの画像形成に関する負荷であり、電源部114により変換された電力を消費する。
【0016】
電圧検出部120は、電源部114の二次側(DC側)の電圧を検出し、検出した電圧値(アナログ値)を出力する。電圧検出部120は、例えば、トランス方式や分圧抵抗方式などにより、電圧を検出する。なお電圧検出部120は、電源部114の二次側の電圧を常時検出しており、検出した電圧値を制御部140に常時出力している。
【0017】
図2は、トランス方式で電圧を検出する場合の電圧検出部120の構成の一例を示す回路図である。図2に示すように、トランス方式で電圧を検出する場合、電圧検出部120は、トランス121と、ダイオードブリッジ122と、LPF(Low Pass filter)123とを、備える。電圧検出部120は、電源部114により変換された電力を、トランス121で降圧し、ダイオードブリッジ122で全波整流し、LPF123で平滑出力する。これにより、電圧検出部120は、電源部114の二次側の電圧値を出力する。
【0018】
図3は、分圧抵抗方式で電圧を検出する場合の電圧検出部120の構成の一例を示す回路図である。図3に示すように、分圧抵抗方式で電圧を検出する場合、電圧検出部120は、分圧抵抗124、125を、備える。電圧検出部120は、電源部114により変換された電力を、分圧抵抗124、125で制御部140の入力定格内に降圧する。これにより、電圧検出部120は、電源部114の二次側の電圧値を出力する。
【0019】
電流検出部130は、電源部114の二次側(DC側)の電流を検出し、検出した電流値(アナログ値)を出力する。電流検出部130は、例えば、電流検出IC(Integrated Circuit)方式などにより、電流を検出する。なお電流検出部130は、電源部114の二次側の電流を常時検出しており、検出した電流値を制御部140に常時出力している。
【0020】
図4は、電流検出IC方式で電流を検出する場合の電流検出部130の構成の一例を示す回路図である。図4に示すように、電流検出IC方式で電流を検出する場合、電流検出部130は、電源部114と負荷116との間に挿入された微小抵抗131と、電流検出IC132とを、備える。電流検出部130は、電源部114により変換された電力を、微小抵抗131で電圧降下し、電流検出IC132で電流値を検出する。これにより、電流検出部130は、電源部114の二次側の電流値を出力する。
【0021】
ここで、周辺機器150について説明する。周辺機器150は、例えば、後処理装置が該当し、画像形成装置110により生成された印刷物に、ステープル処理、パンチ処理、及び折り処理などの後処理を施す。但し、周辺機器150は、後処理装置に限定されるものではなく、画像形成装置110と連携するものであれば、どのような機器であってもよい。周辺機器150は、図1に示すように、AC電源コード152と、電源部154と、負荷156と、電圧検出部160と、電流検出部170とを、備える。
【0022】
AC電源コード152は、商用電源などの外部の電力源から周辺機器150(電源部154)に電力(AC電源)を供給する。
【0023】
電源部154は、AC電源コード152を介して供給された電力の電圧や周波数などを変換することにより、周辺機器150に適した形式の電力(DC電源)に変換する。
【0024】
負荷156は、例えば、ステープル機構、パンチ処理、折り機構、及び搬送機構などの後処理に関する負荷であり、電源部154により変換された電力を消費する。
【0025】
電圧検出部160は、電源部154の二次側(DC側)の電圧を検出し、検出した電圧値(アナログ値)を出力する。電圧検出部160は、電圧検出部120同様、トランス方式や分圧抵抗方式などにより、電圧を検出する。電圧検出部160は、電源部154の二次側の電圧を常時検出しており、検出した電圧値を画像形成装置110(制御部140)に常時出力している。
【0026】
電流検出部170は、電源部154の二次側(DC側)の電流を検出し、検出した電流値(アナログ値)を出力する。電流検出部170は、電流検出部130同様、電流検出IC(Integrated Circuit)方式などにより、電流を検出する。電流検出部170は、電源部154の二次側の電流を常時検出しており、検出した電流値を画像形成装置110(制御部140)に常時出力している。
【0027】
ここで、画像形成装置110に説明を戻す。
【0028】
制御部140は、画像形成装置110の各部を制御するものであり、例えば、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、及びRAM(Random Access Memory)などにより実現できる。制御部140は、電圧検出部120により出力された電圧値、電流検出部130により出力された電流値、電圧検出部160により出力された電圧値、及び電流検出部170により出力された電流値に基づいて、画像形成システム100の総電力値(デジタル値)を算出する。そして制御部140は、算出した画像形成システム100の総電力値をオペレーションパネル145に報知させる。
【0029】
なお制御部140は、電圧検出部120により出力された電圧値、電流検出部130により出力された電流値、電圧検出部160により出力された電圧値、及び電流検出部170により出力された電流値を非常に短い周期(例えば、1ms)で読み込み、この読み込んだ電圧値及び電流値を用いて画像形成システム100の総電力値を算出する。このため、制御部140は、画像形成システム100の総電力をリアルタイムに算出し、オペレーションパネル145にリアルタイムに報知させる。また本実施形態では、制御部140は、画像形成システム100のアイドリング中も含めて画像形成システム100の総電力値を常時算出するものとする。
【0030】
オペレーションパネル145は、画像形成装置110(画像形成システム100)に対して各種操作の入力を行ったり、各種画面を表示したりする操作表示部である。オペレーションパネル145は、制御部140からの指示を受け、画像形成システム100の総電力値を画面表示する。
【0031】
図5は、第1実施形態の画像形成システム100のデータフローの一例を示す図である。図5に示すように、電圧検出部120は、検出した電圧値V1を制御部140に出力し、電流検出部130は、検出した電流値I1を制御部140に出力し、電圧検出部160は、検出した電圧値V2を制御部140に出力し、電流検出部170は、検出した電流値I2を制御部140に出力する。制御部140は、電圧値V1、電流値I1、電圧値V2、及び電流値I2を読み込み、画像形成システム100の総電力値を算出する。具体的には、制御部140は、数式(1)により画像形成システム100の総電力値Wを算出する。
【0032】
W=V1×I1+V2×I2 …(1)
【0033】
つまり制御部140は、画像形成装置110の総電力値を算出するとともに周辺機器150の総電力値を算出し、算出した画像形成装置110の総電力値と周辺機器150の総電力値とを足し合わせて、画像形成システム100の総電力値Wを算出する。そして制御部140は、算出した総電力値Wをオペレーションパネル145に報知させる。
【0034】
図6は、第1実施形態の画像形成システム100の総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。図6のフローチャートに示す処理は、例えば、1msなどの非常に短い周期で常時実行されているものとする。
【0035】
まず、制御部140は、電圧検出部120により出力された電圧値、電流検出部130により出力された電流値、電圧検出部160により出力された電圧値、及び電流検出部170により出力された電流値を用いて、画像形成システム100の総電力値を算出する(ステップS100)。
【0036】
続いて、制御部140は、算出した画像形成システム100の総電力値をオペレーションパネル145に報知させる(ステップS102)。
【0037】
以上のように第1実施形態によれば、画像形成装置の総電力だけでなく周辺機器の総電力も実測しているため、画像形成システムの総電力を精度よく算出することができる。また第1実施形態では、画像形成システムの総電力を非常に短い周期で算出しているので、画像形成システムの総電力をリアルタイムに算出することができる。算出した画像形成システムの総電力は、例えば、二酸化炭素排出量の算出やユーザへの省エネ喚起などに使用できる。
【0038】
(第2実施形態)
第2実施形態では、周辺機器が自身の総電力値を算出し、算出した総電力値を画像形成装置に出力する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図7は、第2実施形態の画像形成システム200の構成の一例を示すブロック図である。図7に示すように、第2実施形態では、周辺機器250が制御部280を含む点、及び画像形成装置210の制御部240の処理内容が第1実施形態と相違する。
【0040】
制御部280は、周辺機器250の各部を制御するものであり、例えば、CPU、ROM、及びRAMなどにより実現できる。制御部280は、電圧検出部160により出力された電圧値及び電流検出部170により出力された電流値から、周辺機器250の総電力値(デジタル値)を算出する。そして制御部140は、周辺機器250の総電力値を画像形成装置210(制御部240)へ出力する。
【0041】
なお制御部280は、電圧検出部160により出力された電圧値及び電流検出部170により出力された電流値を非常に短い周期(例えば、1ms)で読み込み、この読み込んだ電圧値及び電流値を用いて周辺機器250の総電力値を算出する。このため、制御部280は、周辺機器250の総電力値をリアルタイムに算出し、画像形成装置210にリアルタイムに出力する。
【0042】
制御部240は、電圧検出部120により出力された電圧値及び電流検出部130により出力された電流値から、画像形成装置210の総電力値(デジタル値)を算出し、周辺機器250の総電力値と合算して、画像形成システム200の総電力値を算出する。
【0043】
図8は、第2実施形態の画像形成システム200のデータフローの一例を示す図である。図8に示すように、電圧検出部120は、検出した電圧値V1を制御部240に出力し、電流検出部130は、検出した電流値I1を制御部240に出力する。また、電圧検出部160は、検出した電圧値V2を制御部280に出力し、電流検出部170は、検出した電流値I2を制御部280に出力する。制御部280は、電圧値V2及び電流値I2を読み込み、周辺機器250の総電力値W2(=V2×I2)を算出し、算出した周辺機器250の総電力値W2を画像形成装置210へ出力する。制御部240は、電圧値V1、電流値I1、及び総電力値W2を読み込み、電圧値V1及び電流値I1から画像形成装置210の総電力値W1(=V1×I1)を算出し、周辺機器250の総電力値W2と足し合わせて、画像形成システム200の総電力値W(=W1+W2)を算出する。そして制御部240は、総電力値Wをオペレーションパネル145に報知させる。
【0044】
図9は、第2実施形態の画像形成システム200の総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。図9のフローチャートに示す処理は、例えば、1msなどの非常に短い周期で常時実行されているものとする。
【0045】
まず、制御部280は、電圧検出部160により出力された電圧値及び電流検出部170により出力された電流値を用いて、周辺機器250の総電力値を算出する(ステップS200)。
【0046】
続いて、制御部240は、電圧検出部120により出力された電圧値及び電流検出部130により出力された電流値を用いて、画像形成装置210の総電力値を算出する(ステップS202)。
【0047】
続いて、制御部240は、周辺機器250の総電力値と画像形成装置210の総電力値とを足し合わせて、画像形成システム200の総電力値を算出する(ステップS204)。
【0048】
続いて、制御部240は、算出した画像形成システム200の総電力値をオペレーションパネル145に報知させる(ステップS206)。
【0049】
以上のように第2実施形態によれば、周辺機器から画像形成装置へアナログ値ではなくデジタル値を出力しているため、画像形成システムの総電力をより精度よく算出することができる。
【0050】
(第3実施形態)
第3実施形態では、画像形成システムで処理するジョブの総電力値を算出する例について説明する。なお以下では、第1実施形態との相違点の説明を主に行い、第1実施形態と同様の機能を有する構成要素については、第1実施形態と同様の名称・符号を付し、その説明を省略する。
【0051】
図10は、第3実施形態の画像形成システム300の構成の一例を示すブロック図である。図10に示すように、第3実施形態では、周辺機器350が制御部380を含む点、及び画像形成装置310の制御部340の処理内容が第1実施形態と相違する。
【0052】
制御部340は、ジョブが開始してから当該ジョブが終了するまでの間に、電圧検出部120により出力された電圧値、電流検出部130により出力された電流値、電圧検出部160により出力された電圧値、及び電流検出部170により出力された電流値に基づいて、画像形成システム300で当該ジョブを処理するのに要する総電力値を算出する。なお制御部340は、ジョブを実行することにより、負荷116に画像形成を実行させて印刷物を生成し、周辺機器350へ排紙する。また制御部340は、周辺機器350から、ジョブにより生成された全ての印刷物の排紙が完了した旨の通知を受け付けると、当該ジョブが終了したと判断する。
【0053】
制御部380は、周辺機器350の各部を制御するものであり、例えば、CPU、ROM、及びRAMなどにより実現できる。制御部380は、制御部340によりジョブが実行されると、画像形成装置310で生成された印刷物に対する後処理を負荷156に施させ、外部へ排紙させる。そして制御部380は、周辺機器350内の印刷物が全て排紙されると、排紙が完了した旨を画像形成装置310へ通知する。なお、周辺機器350内部からの印刷物の排紙は、負荷156により検知される。
【0054】
図11は、第3実施形態の画像形成システム300の総電力値算出処理の一例を示すフローチャートである。図11のフローチャートに示す処理は、例えば、1msなどの非常に短い周期で常時実行されているものとする。
【0055】
まず、制御部340は、画像形成システム300の総電力値を算出する前に、第1タイマのカウントを開始する(ステップS300)。
【0056】
続いて、制御部340は、電圧検出部120により出力された電圧値、電流検出部130により出力された電流値、電圧検出部160により出力された電圧値、及び電流検出部170により出力された電流値を用いて、画像形成システム300の総電力値を算出する(ステップS302)。
【0057】
続いて、制御部340は、画像形成システム300の総電力値を算出すると、第1タイマのカウントを停止する(ステップS304)。
【0058】
続いて、制御部340は、画像形成システム300の総電力値と第1タイマのカウント値とを乗じた値を、RAMなどに記憶されている総電力積算値に積算し、総電力積算値を更新する(ステップS306)。つまり、総電力積算値は、画像形成システム300の総電力値の累計を示す。
【0059】
図12は、第3実施形態の画像形成システム300で実行されるジョブの処理に要する総電力の算出処理の一例を示すフローチャートである。図12のフローチャートに示す処理は、図11のフローチャートに示す処理よりも長い周期(例えば、60ms)で実行されているものとする。
【0060】
まず、制御部340は、ジョブの開始を待機し(ステップS400でNo)、ジョブを開始すると(ステップS400でYes)、第2タイマのカウントを開始する(ステップS402)。
【0061】
続いて、制御部340は、ジョブ開始時の総電力積算値をRAMから取得する(ステップS404)。
【0062】
続いて、制御部340は、ジョブが終了したと判定されるまで、ジョブ終了判定処理を繰り返し(ステップS406、ステップS408でNo)、ジョブが終了したと判定されると(ステップS408でYes)、ジョブ終了時の総電力積算値をRAMから取得する(ステップS410)。なお、ジョブ終了判定処理の詳細については、後述する。
【0063】
続いて、制御部340は、ジョブが終了すると、第2タイマのカウントを停止する(ステップS412)。
【0064】
続いて、制御部340は、ジョブ開始時の総電力積算値とジョブ終了時の総電力積算値との差分値を算出する(ステップS414)。
【0065】
続いて、制御部340は、差分値と第2タイマのカウント値とから、1時間当たりのジョブの総電力値を算出する(ステップS416)。
【0066】
続いて、制御部340は、算出したジョブの総電力値をオペレーションパネル145に報知させる(ステップS418)。
【0067】
図13は、第3実施形態の画像形成システム300で実行されるジョブ終了判定処理の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、制御部340は、ジョブを実行することにより生成された印刷物が画像形成装置300から全て排紙されたか否かを確認する(ステップS500)。
【0069】
画像形成装置300から全て排紙されている場合(ステップS500でYes)、制御部340は、周辺機器350から、ジョブにより生成された全ての印刷物の排紙が完了した旨の通知を受け付けたか否かを確認することにより、周辺機器350内に印刷物が残っているか否かを確認する(ステップS502)。
【0070】
周辺機器350内に印刷物が残っていない場合(ステップS502でYes)、制御部340は、ジョブが終了したと判定する(ステップS504)。一方、画像形成装置300から印刷物が全て排紙されていない場合(ステップS500でNo)、又は周辺機器350内に印刷物が残っている場合(ステップS502でNo)、ジョブが継続していると判定する(ステップS506)。
【0071】
以上のように第3実施形態によれば、画像形成システムでジョブを処理するのに要する総電力を精度よく算出することができる。
【0072】
(変形例)
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0073】
(変形例1)
上記第1実施形態では、画像形成装置110の電源部114の二次側の電圧及び電流を検出する例について説明したが、電源部114の一次側(AC側)の電圧及び電流を検出するようにしてもよい。
【0074】
図14は、変形例1の画像形成システム400の画像形成装置410が分圧抵抗方式で電圧を検出する場合の電圧検出部420の構成の一例を示す回路図である。図14に示すように、電圧検出部420は、分圧抵抗424、425を、備える。電圧検出部420は、AC電源などの外部の電力源から供給された電力を、分圧抵抗424、425で制御部140の入力定格内に降圧する。これにより、電圧検出部420は、電源部114(図示省略)の一次側の電圧値を出力する。
【0075】
図15は、変形例1の画像形成システム400の画像形成装置410が電流検出IC方式で電流を検出する場合の電流検出部430の構成の一例を示す回路図である。図15に示すように、電流検出IC方式で電流を検出する場合、電流検出部430は、微小抵抗431と、電流検出IC432とを、備える。電流検出部430は、AC電源などの外部の電力源から供給された電力を、微小抵抗431で電圧降下し、電流検出IC432で電流値を検出する。これにより、電流検出部430は、電源部114(図示省略)の一次側の電流値を出力する。
【0076】
なお第2、3実施形態においても、上記と同様に、電源部114の一次側の電圧及び電流を検出するように変形してもよい。また、詳細な説明は省略するが、第1〜3実施形態の周辺機器についても、同様に、電源部154の一次側の電圧及び電流を検出するようにしてもよい。
【0077】
(変形例2)
上記各実施形態では、周辺機器の台数が1台である場合を例に取り説明したが、周辺機器の台数は複数台であってもよい。
【0078】
(変形例3)
また例えば、上記第2実施形態と上記第3実施形態とを組み合わせるようにしてもよい。
【0079】
(変形例4)
また例えば、上記各実施形態において、画像形成システムは、サーバ装置を備え、サーバ装置が画像形成システムの総電力値(デジタル値)を算出するようにしてもよい。
【0080】
図16は、変形例4の画像形成システム500の一例を示す外観図である。画像形成システム500は、プロダクションプリンティング機であり、サーバ装置520を備える。画像形成システム500は、画像形成装置510に、給紙を行う大容量給紙ユニット502、表紙等の利用に使われるインサータ503、折りを行う折りユニット504、ステープルやパンチなどを行うフィニッシャー505、及び裁断を行う断裁機506などの周辺機が用途に合わせて組み合わされる。なお上記各実施形態の周辺機器は、大容量給紙ユニット502、インサータ503、及び折りユニット504が該当するが、これに限定されるものではない。
【0081】
図17は、変形例4のサーバ装置520の一例を示すハードウェア構成図である。図17に示すように、サーバ装置520は、通信I/F部530と、記憶部540(HDD542、ROM544、RAM546)と、画像処理部550と、CPU590と、I/F部520とを備え、それぞれがバスB2で相互に接続されている。図17の例では、サーバ装置520は専用線600を介して画像形成装置510と接続される。
【0082】
図17に示すように、画像形成装置510は、I/F部610と、印刷部602と、操作表示部660と、その他I/F部670と、電流検出部や電圧検出部などの測定部680とを備え、それぞれがバスB3で接続されている。I/F部610は、画像形成装置510をサーバ装置520に接続するための手段であり、I/F部610には専用線600が接続される。画像形成装置510は、サーバ装置520のCPU590の制御の下、印刷ジョブを実行する。
【0083】
また、サーバ装置520に搭載されたCPU590が、上述の各実施形態の画像形成装置の制御部が実行している処理を実行する。
【0084】
(ハードウェア構成)
図18は、上記各実施形態及び各変形例の画像形成装置のハードウェア構成の一例を示すブロック図である。図18に示すように、上記各実施形態及び各変形例の画像形成装置は、コントローラ910とエンジン部(Engine)960とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ910は、画像形成装置全体の制御、描画、通信、及び操作表示部920からの入力を制御するコントローラである。エンジン部960は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部960には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0085】
コントローラ910は、CPU911と、ノースブリッジ(NB)913と、システムメモリ(MEM−P)912と、サウスブリッジ(SB)914と、ローカルメモリ(MEM−C)917と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)916と、ハードディスクドライブ(HDD)918とを有し、ノースブリッジ(NB)913とASIC916との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス915で接続した構成となる。また、MEM−P912は、ROM912aと、RAM912bとをさらに有する。
【0086】
CPU911は、画像形成装置の全体制御をおこなうものであり、NB913、MEM−P912およびSB914からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0087】
NB913は、CPU911とMEM−P912、SB914、AGPバス915とを接続するためのブリッジであり、MEM−P912に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0088】
MEM−P912は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM912aとRAM912bとからなる。ROM912aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM912bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0089】
SB914は、NB913とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB914は、PCIバスを介してNB913と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインタフェース(I/F)部なども接続される。
【0090】
ASIC916は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGPバス915、PCIバス、HDD918およびMEM−C917をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC916は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC916の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C917を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部960との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC916には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)930、USB(Universal Serial Bus)940、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インタフェース950が接続される。操作表示部920はASIC916に直接接続されている。
【0091】
MEM−C917は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD918は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0092】
AGPバス915は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P912に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【符号の説明】
【0093】
100、200、300、400、500 画像形成システム
110、210、310、410、510 画像形成装置
112 AC電源コード
114 電源部
116 負荷
120、420 電圧検出部
121 トランス
122 ダイオードブリッジ
123 LPF
124、125、424、425 分圧抵抗
130、430 電流検出部
131、431 微小抵抗
132、432 電流検出IC
140、240、340 制御部
145 オペレーションパネル
150、250、350 周辺機器
152 AC電源コード
154 電源部
156 負荷
160 電圧検出部
170 電流検出部
280、380 制御部
502 大容量給紙ユニット
503 インサータ
504 折りユニット
505 フィニッシャー
506 断裁機
520 サーバ装置
530 通信I/F部
540 記憶部
542 HDD
544 ROM
546 RAM
550 画像処理部
560 I/F部
590 CPU
600 専用線
602 印刷部
610 I/F部
660 操作表示部
670 その他I/F部
680 測定部
B2 バス
B3 バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2003−80804号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置と周辺機器とを備える画像形成システムであって、
前記画像形成装置は、
外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第1電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第1電圧値を出力する第1電圧検出部と、
前記第1電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第1電流値を出力する第1電流検出部と、を備え、
前記周辺機器は、
外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第2電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第2電圧値を出力する第2電圧検出部と、
前記第2電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第2電流値を出力する第2電流検出部と、を備え、
前記画像形成システムは、
更に、前記第1電圧値、前記第1電流値、前記第2電圧値、及び前記第2電流値に基づいて、前記画像形成システムの総電力値を算出する第1制御部を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記周辺機器は、
前記第2電圧値及び前記第2電流値を用いて前記周辺機器の総電力値を算出し、出力する第2制御部を更に備え、
前記第1制御部は、前記第1電圧値及び前記第1電流値を用いて前記画像形成装置の総電力値を算出し、前記画像形成装置の総電力値と前記周辺機器の総電力値とを足し合わせて前記画像形成システムの総電力値を算出することを特徴とする請求項1に記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記第1制御部は、ジョブが開始してから前記ジョブが終了するまでの間の前記第1電圧値、前記第1電流値、前記第2電圧値、及び前記第2電流値に基づいて、前記画像形成システムで前記ジョブを処理するのに要する総電力値を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記第1制御部は、前記周辺機器から前記ジョブにより生成された全ての印刷物の排紙が完了した旨の通知を受け付けると、前記ジョブが終了したと判断することを特徴とする請求項3に記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記第1制御部は、算出した前記総電力値を報知部に報知させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の画像形成システム。
【請求項6】
画像形成装置と周辺機器とを備える画像形成システムで実行される電力算出方法であって、
前記画像形成装置は、
第1電圧検出部が、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第1電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第1電圧値を出力する第1電圧検出ステップと、
第1電流検出部が、前記第1電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第1電流値を出力する第1電流検出部と、を含み、
前記周辺機器は、
第2電圧検出部が、外部から供給される電力の少なくとも電圧を変換する第2電源部の一次側及び二次側のいずれかの側の電圧を検出し、検出した電圧値である第2電圧値を出力する第2電圧検出ステップと、
第2電流検出部が、前記第2電源部の前記いずれかの側の電流を検出し、検出した電流値である第2電流値を出力する第2電流検出部と、を含み、
前記画像形成システムは、
第1制御部が、前記第1電圧値、前記第1電流値、前記第2電圧値、及び前記第2電流値に基づいて、前記画像形成システムの総電力値を算出する算出ステップを含むことを特徴とする電力算出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−61568(P2013−61568A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−201158(P2011−201158)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】