画像形成システム,画像形成装置および加工サーバ
【課題】印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,早期に印刷物を得られる可能性が高い画像形成システム,画像形成装置および加工サーバを提供すること。
【解決手段】画像形成システム900は,クラウドサーバ300に記憶されている印刷データを,加工サーバ400で加工処理し,その加工後の印刷データを,プリンタ100で印刷するシステムである。プリンタ100は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得すると,その特定情報を加工サーバ400に送信する。加工サーバ400は,プリンタ100から特定情報を受信すると,その特定情報から特定される印刷データをクラウドサーバ300から取得し,その印刷データに対して加工処理を実行し,その加工後の印刷データをプリンタ100に送信する。
【解決手段】画像形成システム900は,クラウドサーバ300に記憶されている印刷データを,加工サーバ400で加工処理し,その加工後の印刷データを,プリンタ100で印刷するシステムである。プリンタ100は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得すると,その特定情報を加工サーバ400に送信する。加工サーバ400は,プリンタ100から特定情報を受信すると,その特定情報から特定される印刷データをクラウドサーバ300から取得し,その印刷データに対して加工処理を実行し,その加工後の印刷データをプリンタ100に送信する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷データを印刷する画像形成装置,印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバ,およびこれらを備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,データ変換処理や画像処理等,印刷データに対する加工処理を外部装置に依頼し,その処理後のデータを受信して印刷する画像形成装置が知られている。例えば,高級言語のインタプリタが組み込まれていない画像形成装置では,その高級言語で構成されている印刷データを受信した場合に,高級言語のインタプリタが組み込まれているサーバに画像データの変換を依頼することで,その画像データの印刷を実現している。
【0003】
このように,印刷データを外部装置に転送し,外部装置が画像形成装置に代わって加工処理を行う技術としては,例えば,特許文献1に開示されている印刷システムがある。この印刷システムでは,外部装置としてRIP(Raster image processor)サーバを設け,そのRIPサーバと同一のネットワークに含まれるプリンタが画像データを受け取ると,そのRIPサーバにRIP処理を依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,従来のシステムでは,画像形成装置が印刷データを受け取った後,その印刷データを外部装置に送信し,再度加工処理後の印刷データを受信することでその印刷データの印刷を開始する。このように印刷データが数多くのノードを経ることから,印刷実行命令の入力から印刷が開始されるまでに時間がかかる。その結果として,ユーザが印刷物を得られるまでに時間がかかる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,早期に印刷物を得られる可能性が高い画像形成システム,画像形成装置および加工サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成システムは,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムであって,前記画像形成装置は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,前記情報取得部にて前記特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信する第1送信部とを備え,前記加工サーバは,前記画像形成装置から前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する第2送信部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成システムは,データサーバに記憶されている印刷データを,加工サーバで加工処理し,その加工後の印刷データ(加工済データ)を,画像形成装置で印刷するシステムである。本発明の画像形成システムを構成する画像形成装置は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得すると,その特定情報を加工サーバに送信する。画像形成装置は,例えば,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査データをデータサーバから取得することで,印刷対象となる印刷データを特定できる。この他,ユーザ情報を取得できれば,印刷対象をそのユーザの印刷データに特定することができる。加工サーバは,画像形成装置から特定情報を受信すると,その特定情報から特定される印刷データ(特定印刷データ)をデータサーバから取得し,その特定印刷データに対して加工処理を実行し,その加工済データを画像形成装置に送信する。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成システムでは,加工前の印刷データが,画像形成装置を経由せずに直接加工サーバに移動する。そのため,従来の技術のように画像形成装置を経由して印刷データが加工サーバに移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,画像形成装置での早期の印刷開始が期待できる。なお,加工サーバが実行する加工処理としては,例えばRIP処理,ウォーターマーク処理,透かし処理が該当する。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【0010】
また,本発明の画像形成システムは,前記情報取得部が取得する前記特定情報は,個々の印刷データを特定する情報であり,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記データサーバから取得するとよい。この構成によれば,特定情報によって個々の印刷データが特定されることから,特定印刷データは1つとなる。そのため,加工サーバは複数の印刷データを取得する必要がなく,リソースの負荷が小さい。
【0011】
また,本発明の画像形成システムは,前記情報取得部が取得する前記特定情報は,ユーザを特定する情報であり,前記画像形成装置は,印刷対象の印刷データを特定する情報を含む第2特定情報を取得する第2情報取得部と,前記第2情報取得部にて前記第2特定情報を取得した場合に,前記第2特定情報を前記加工サーバに送信する第3送信部とを備え,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを少なくとも1つ取得し,前記第2送信部は,前記画像形成装置から前記第2特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記加工済データであって前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記画像形成装置に送信するとしてもよい。ユーザが特定されるタイミングは,印刷データが特定されるタイミングよりも早期であることが多い。そのため,特定ユーザの情報を加工サーバに送信し,その特定ユーザの印刷データを取得することで,加工サーバがより早期に加工処理する機会が与えられる。そのため,この構成によれば,画像形成装置での印刷をより早期に開始することが期待できる。
【0012】
また,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを全て取得し,前記加工処理部は,前記第2特定情報を取得する前に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データに対して印刷データから中間データに加工する第1加工処理を実行し,前記第1特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データに対して中間データから前記加工済みデータに加工する第2加工処理を実行するとよい。この構成によれば,特定の印刷データについて加工済みデータへの加工が完了することから,加工処理の無駄が少ない。
【0013】
また,前記印刷データ取得部は,前記印刷データ取得部は,前記特定ユーザの印刷データのうち,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを取得し,前記加工サーバは,前記印刷データ取得部で取得した最頻印刷データと,前記第2特定情報から特定される特定印刷データとが一致しない場合に,前記データサーバから,前記第2特定情報から特定される特定印刷データを取得する第2印刷データ取得部と,前記第2印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する第2加工処理部とを備えるとよい。使用頻度が最も高い印刷データとしては,例えば,印刷データの基となるファイルの更新日時や,印刷回数から判断できる。この構成によれば,加工サーバが受信する印刷データの数を減らすことができる。また,最頻印刷データは,印刷対象となる可能性が高く,加工サーバがあらかじめ取得しておく印刷データとして好ましい。
【0014】
また,前記加工処理部は,前記印刷データ取得部が印刷データを取得した直後に,その印刷データに対して加工処理を開始するとよい。印刷データを取得して直ぐに加工処理を開始することで,印刷データの加工処理を早期に完了させることが期待できる。
【0015】
また,前記加工サーバは,前記印刷データ取得部が取得した印刷データが,前記加工処理部での加工処理が必要であるか否かを判断する判断部を備え,前記加工処理部は,前記判断部にて加工処理が必要と判断された印刷データに対して加工処理を実行し,前記判断部にて加工処理が不要と判断された印刷データに対して加工処理の少なくとも一部を実行しないとよい。加工サーバでの加工処理が不要な印刷データであれば,加工サーバにリソースを確保せず,加工サーバに加工処理を依頼しない方が,加工サーバのリソースの有効利用の観点から好ましい。加工処理の実行回数を少なくすることで,加工サーバを負荷を軽減できる。
【0016】
また,本発明は,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,に通信回線を介して接続する画像形成装置であって,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,前記情報取得部にて特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信し,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを前記加工サーバに取得させる取得指示部と,前記加工サーバから,加工された印刷データである加工済データを受信し,その加工済データを印刷する印刷部とを備えることを特徴とする画像形成装置を含んでいる。
【0017】
また,本発明は,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,に通信回線を介して接続する加工サーバであって,前記画像形成装置から,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を受信する受信部と,前記受信部が前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする加工サーバを含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,早期に印刷物を得られる可能性が高い画像形成システム,画像形成装置および加工サーバが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかるプリンタおよび加工サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1の形態にかかるプリンタとクラウドサーバとのデータの送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】検査データの構成を示す図である。
【図4】第1の形態にかかるクラウドサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の形態にかかるプリンタの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の形態にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の形態にかかるプリンタとクラウドサーバと加工サーバとのデータの送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第2の形態にかかるクラウドサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の形態にかかるプリンタの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の形態にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第2の形態の応用例にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,印刷データを記憶するクラウドサーバ,高級言語のインタプリタ機能を有していないプリンタ,高級言語のインタプリタ機能を有する加工サーバ,それらを有する画像形成システムに本発明を適用したものである。クラウドサーバとは,クラウドコンピューティングの概念において,クラウドの先にある仮想化サーバであり,クラウドの中にパケットを通過させ,WEBブラウザで操作ができるサーバである。
【0021】
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100(画像形成装置の一例)は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と,ネットワークインターフェース37とに,電気的に接続されている。
【0022】
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0023】
CPU31(情報取得部,第1送信部,第2情報取得部,第3送信部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0024】
ネットワークインターフェース37は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。プリンタ100は,ネットワークインターフェース37を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。
【0025】
また,画像形成部10(印刷部の一例)は,用紙に画像を印刷することができればよく,画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。また,カラー印刷が可能であってもよく,モノクロ印刷専用であってもよい。本形態では,電子写真方式であって,カラー印刷が可能なものとする。
【0026】
また,操作パネル40は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報やボタン等を表示するタッチパネル画面とを有している。各種のボタンとしては,例えば,印刷動作の開始を指示するOKボタンや,印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。
【0027】
[加工サーバの構成]
本形態の加工サーバ400(加工サーバの一例)は,図1に示したように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,NVRAM(Non Volatile RAM)54とを備えた制御部50を備えている。また,制御部50は,ネットワークインターフェース57と電気的に接続されている。
【0028】
ROM52には,印刷データに対する各種の加工処理を行う加工プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM53およびNVRAM54は,各種加工プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0029】
CPU51(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,第2印刷データ取得部,第2加工処理部,判断部の一例)は,ROM52から読み出した加工プログラムに従って,その処理結果をRAM53またはNVRAM54に記憶させながら,印刷データの加工処理を実行する。
【0030】
ネットワークインターフェース57は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。加工サーバ400は,ネットワークインターフェース57を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。
【0031】
[画像形成システムの構成]
続いて,プリンタ100,クラウドサーバ300および加工サーバ400を有する画像形成システム900について説明する。図1は,プリンタ100,スマートフォン200,クラウドサーバ300,および加工サーバ400が,インターネットに接続されている画像形成システム900を示している。スマートフォンとは,個人用の携帯コンピュータの機能を併せ持った携帯電話である。
【0032】
プリンタ100は,印刷データの印刷を実行するものである。プリンタ100は,PCLやポストスクリプト等のPDLデータについてのRIP機能を有しているが,その他の言語のRIP機能は有していない。また,プリンタ100は,各ユーザの,クラウドサーバ300を利用するためのログイン情報を記憶している。ログイン情報は,ユーザによってIDおよびパスワードが操作パネル40から予め入力されて,RAM33又はNVRAM34に記憶されている。
【0033】
スマートフォン200は,クラウドサーバ300に対し,印刷データを記憶したり,印刷データの印刷指示を入力したりするものである。クラウドサーバ300は,スマートフォン200等の情報処理装置から出力される印刷ジョブを記憶し,その記憶した印刷ジョブをプリンタ100等の画像形成装置に送信する装置である。なお,クラウドサーバ300は,スマートフォン200に限らず,他装置からも印刷データを受け付けており,クラウドサーバ300には複数の印刷データがアップロードされる。また,クラウドサーバ300は,プリンタ100に限らず,他装置への印刷データの送信が可能である。
【0034】
加工サーバ400は,プリンタ100で加工できない加工処理を,プリンタ100に代わって実行する装置である。例えば,画像形成システム900では,プリンタ100でRIP処理ができない印刷データについては,加工サーバ400がプリンタ100に代わってRIP処理を行う。
【0035】
画像形成システム900では,あらかじめスマートフォン200等によって,印刷データがクラウドサーバ300に記憶される。ユーザは,そのクラウドサーバ300に記憶されている印刷データを印刷する際,スマートフォン200あるいはプリンタ100を操作してクラウドサーバ300にログインし,印刷対象の印刷データを選択して印刷指示を入力する。なお,スマートフォン200から印刷指示を入力する場合,ユーザは印刷を実行するプリンタも選択する(本実施例ではプリンタ100が選択されたものとして説明する)。印刷指示が入力されると,選択された印刷データがプリンタ100で印刷される。
【0036】
[第1の形態]
[画像形成システムの動作手順]
続いて,画像形成システム900の具体的な動作手順について,図2のタイミングチャートを参照しつつ説明する。以下の説明では,印刷データがクラウドサーバ300に記憶されているものとする。なお,クラウドサーバ300がユーザから指示を受け付ける前提として,ユーザがクラウドサーバ300にログインしているものとする。また,クラウドサーバ300への指示は,実際にはクラウドサーバ300にログインした装置(例えばスマートフォン200やプリンタ100)から行うが,以下の説明では,そのログインした装置とクラウドサーバ300とのデータのやりとりは省略する。
【0037】
第1の形態の画像形成システム900では,先ず,ユーザが印刷を実行するプリンタを選択する。プリンタからログインしている場合には,プリンタの選択は省略してもよい。さらにはクラウドサーバ300に登録されている印刷データのうち,印刷を実行する印刷データを選択する。そして,印刷設定を行う。ユーザによる印刷設定が完了すると,クラウドサーバ300にその印刷設定に従った印刷実行命令が入力される。
【0038】
クラウドサーバ300は,印刷実行命令を受け付けると,印刷データの送信に先立って,選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に対して,印刷設定に従った検査要求を送信する。
【0039】
検査要求には,図3に示すように,用紙サイズ等の印刷設定が含まれる検査データ90が付加される。検査データ90には,印刷設定の内容(本形態では,少なくとも用紙サイズ,両面印刷設定,カラー設定,解像度,用紙種類,部数を含むものとする)と,印刷データのファイル名と,印刷データの種類と,ユーザ名とが記憶される。なお,図3に示したデータ構造は,印刷設定の代表的な項目を列挙した一例であってこれに限るものではない。例えば,より詳細な印刷設定を記憶してもよい。あるいは,図3に示した項目より少ない項目から構成されるものであってもよい。検査データ90には,印刷ジョブに関する印刷設定は含まれるが,印刷データそのものは含まれない。なお,本形態での検査要求は,クラウドプリントのプロトコルであるIPP2.0に準拠しているものとする。
【0040】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。この解析では,プリンタ自身のスペックの他,ステータスも考慮される。そのため,スペックとしては印刷可能であってもステータスとして印刷不可であれば,印刷不可と判断する。例えば,カラー印刷が可能なプリンタであって,何れかの色でトナー不足が検出されている場合には,スペックとしてはカラー印刷可能であるが,カラー印刷が可能な状態にはならない。そのため,印刷不可となる。この他,プリンタ100に,特定のユーザの印刷を禁止する設定がある場合には,その特定のユーザからの検査要求は,印刷不可と判断する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてクラウドサーバ300に送信する。
【0041】
また,プリンタ100は,検査要求を受信すると,検査データ90に記憶されている情報や,クラウドサーバ300とのセッション開始によって取得されるログイン情報から,ユーザおよび印刷データを特定し,それらを特定する特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0042】
加工サーバ400は,プリンタ100特定情報を受信すると,その特定情報によって特定されるユーザ(特定ユーザ)を代行してクラウドサーバ300にログインする。そして,クラウドサーバ300に対し,その特定情報によって特定される印刷データ(特定印刷データ)の送信を要求する印刷データ要求を送信する。印刷データ要求を受信したクラウドサーバ300は,加工サーバ400に対して特定印刷データを送信する。
【0043】
特定印刷データを受信した加工サーバ400は,必要に応じてその特定印刷データに対して加工処理を行い,加工後の特定印刷データ(加工済データ)をプリンタ100に送信する。印刷データの送信後は,クラウドサーバ300からログオフする。
【0044】
一方,プリンタ100は,加工サーバ400から加工済データを受け取り,その加工済データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をクラウドサーバ300に送信する。なお,印刷中にエラーが生じた場合には,エラー通知をクラウドサーバ300に送信する。
【0045】
[クラウドサーバの制御]
続いて,第1の形態の画像形成システム900の印刷動作を実現する各装置の動作手順について説明する。始めに,クラウドサーバ300の動作について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図4のフローチャートで示した処理は,定期的(例えば,1秒毎)にクラウドサーバ300によって実行される。
【0046】
クラウドサーバ300は,先ず,クラウドサーバ300に登録されている印刷データについて,印刷実行命令を受け付けたか否かを判断する(S101)。印刷実行命令を受け付けていなければ(S101:NO),本処理を終了する。
【0047】
印刷実行命令を受け付けた場合には(S101:YES),その印刷実行命令の印刷設定に従った検査データ90を作成し,プリンタ100に送信する(S102)。その後,加工サーバ400からログインが有ったか否かを判断する(S103)。ログインがなければ(S103:NO),検査データ90の送信からの時間が所定時間以上経過し,タイムアウトになったか否かを判断する(S111)。タイムアウトでなければ(S111:NO),S103に移行し,タイムアウトになるまで加工サーバ400からのログインを待つ。タイムアウトの場合は(S111:YES),本処理を終了する。
【0048】
加工サーバ400からのログインが有った場合には(S103:YES),そのログインの認証処理を行う(S104)。その後,加工サーバ400からの印刷データ要求を受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷データ要求がなければ(S105:NO),加工サーバ400がログインしてからの時間が所定時間以上経過し,タイムアウトになったか否かを判断する(S121)。タイムアウトでなければ(S121:NO),S105に移行し,タイムアウトになるまで加工サーバ400からの印刷データ要求を待つ。タイムアウトの場合は(S121:YES),本処理を終了する。
【0049】
加工サーバ400からの印刷データ要求が有った場合には(S105:YES),ダウンロードが要求された印刷データを加工サーバ400に送信する(S106)。その後,S102で送信した検査データ90の検査結果を受信したか否かを判断する(S107)。検査結果を受信していない場合には(S107:NO),検査結果の受信を待つ。検査結果を受信した場合には(S107:YES),その検査結果に応じて印刷データをプリンタ100に送信する(S108)。S108の後は,本処理を終了する。なお,S107およびS108の処理は無くてもよい。
【0050】
[プリンタの制御]
続いて,プリンタ100の動作について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図5のフローチャートで示した処理(情報取得部,第1送信部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)にプリンタ100の制御部30によって実行される。
【0051】
プリンタ100は,先ず,検査データ90を受信したか否かを判断する(S201)。検査データ90を受信した場合には(S201:YES),受信した検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する(S202)。その後,解析結果をクラウドサーバ300に送信する(S203)。
【0052】
次に,受信した検査データ90に基づいて,印刷指示を入力したユーザおよび印刷データを特定する(S204,情報取得部の一例)。そして,特定したユーザおよび印刷データを記憶する特定情報を加工サーバ400に送信する(S205,第1送信部の一例)。なお,S202〜S203とS204〜S205とは逆順であってもよい。
【0053】
S205の後,あるいは検査データ90を受信していない場合には(S201:NO),加工サーバ400から,加工処理後の印刷データである加工済データを受信したか否かを判断する(S211)。加工済データを受信した場合には(S211:YES),その加工済データの印刷を開始する(S212)。その後,その加工済データの印刷が完了したか否かを判断する(S213)。印刷が完了していない場合には(S213:NO),印刷完了を待つ。
【0054】
加工済データの印刷が完了した場合には(S213:YES),クラウドサーバ300から印刷データを受信したか否かを判断する(S214)。印刷データを受信した場合には(S214:YES),その印刷データを破棄する(S215)。なお,ここでの印刷データは,S108で送信される印刷データである。S108を行わない場合には,S214およびS215の処理は不要である。S215の後,あるいは印刷データを受信していない場合(S214:NO),あるいは加工済データを受信していない場合には(S211:NO),本処理を終了する。
【0055】
なお,本形態では,加工済データの印刷完了を待って,クラウドサーバ300から送信される印刷データを破棄しているが,加工済データの印刷完了を待たずに破棄してもよい。なお,加工済データの印刷完了を待つことで,加工済データの印刷に失敗した場合に,後から受信する印刷データを利用してリカバリ印刷を行うことが可能になる。このリカバリ印刷では,従来と同様に,印刷データをプリンタ100が加工サーバ400に送信し,加工済データを加工サーバ400から受信して印刷する。
【0056】
[加工サーバ400の制御]
続いて,加工サーバ400の動作について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図6のフローチャートで示した処理(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,判断部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)に加工サーバ400の制御部50によって実行される。
【0057】
加工サーバ400は,先ず,特定情報を受信したか否かを判断する(S301)。なお,ここでの特定情報は,S205で送信される特定情報である。特定情報を受信していない場合には(S301:NO),本処理を終了する。
【0058】
特定情報を受信した場合には(S301:YES),特定情報で特定される特定ユーザを代行してクラウドサーバ300にログインする(S302)。なお,クラウドサーバ300にログインするための,各ユーザに対応するIDおよびパスワードは,特定情報に含まれる。
【0059】
その後,特定情報で特定される印刷データのダウンロードを要求する印刷データ要求をクラウドサーバ300に送信し,クラウドサーバ300から送信される印刷データを受信することで,加工サーバ400はプリンタ100を介することなく印刷データを取得する(S303,印刷データ取得部の一例)。
【0060】
次に,受信した印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S304,判断部の一例)。加工処理の必要性は,例えば,印刷データのデータタイプによって判断できる。例えば,本形態では,プリンタ100がPCLやポストスクリプト等のPDLデータに対応するRIP機能を有し,高級言語のデータに対応するRIP機能を有しないため,プリンタ100では,PDL以外のデータタイプのデータは印刷コマンドデータに変換できない。そのため,データタイプがPDLデータでなければ,RIP処理が必要と判断する。この場合,加工サーバ400は,あらかじめプリンタ100がRIP処理可能なデータタイプをデータベースに記憶しておく。また,データタイプがビットマップデータであれば,RIP処理が不要と判断できる。
【0061】
加工処理が必要であれば(S304:YES),加工サーバ400がRIP処理を行う(S305,加工処理部の一例)。このRIP処理後の印刷データが加工済データとなる。加工処理が必要でなければ(S304:NO),RIP処理を行わず,S303で取得した印刷データを加工済データとして扱う。
【0062】
S305の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S304:NO),加工済データをプリンタ100に送信する(S306,第2送信部の一例)。その後,クラウドサーバ300からログオフし(S307),本処理を終了する。
【0063】
以上詳細に説明したように第1の形態の画像形成システム900では,クラウドサーバ300に記憶されている印刷データに対してプリンタ100での印刷が指示された場合に,クラウドサーバ300に記憶されている加工前の印刷データが,プリンタ100を経由せずに直接加工サーバ400に移動する。そのため,従来の技術のようにプリンタ100を経由して印刷データが加工サーバ400に移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,プリンタ100の早期の印刷開始が期待できる。
【0064】
特に,クラウドサーバ300と加工サーバ400との通信は,専用回線等を結ぶことで,プリンタ100と,クラウドサーバ300あるいは加工サーバ400との通信(一般回線)と比較して高速化を図ることが容易である。そのため,本形態の画像形成システム900は,印刷データの受け渡しに起因する処理遅延の低減に好適である。
【0065】
[第2の形態]
[画像形成システムの動作手順]
続いて,第2の形態の動作手順について,図7のタイミングチャートを参照しつつ説明する。第2の形態では,プリンタ100は,ユーザを特定した段階で加工サーバ400にその特定ユーザの情報を通知し,加工サーバ400はクラウドサーバ300からその特定ユーザの印刷データを全てダウンロードし,必要に応じて加工処理を行う。この点,プリンタ100が,印刷データを特定した段階で加工サーバ400にその特定印刷データの情報を通知し,加工サーバ400はクラウドサーバ300からその特定印刷データのみをダウンロードし,必要に応じて加工処理を行う第1の形態と異なる。なお,第2の形態の画像形成システムのハード構成は第1の形態と同じであり,説明を省略する。
【0066】
第2の形態の画像形成システム900では,先ず,ユーザが印刷を実行するプリンタを選択する。本形態では,プリンタ100が選択されたものとする。プリンタ100が選択されると,クラウドサーバ300は,その選択されたプリンタ100に対して,そのプリンタの能力を応答することを要求する能力通知要求を送信する。
【0067】
プリンタ100は,能力通知要求を受信すると,自身の能力をクラウドサーバ300に通知する。この能力通知では,少なくともプリンタ100のスペック情報を応答する。ステータス情報(トナー不足や用紙切れ等の印刷可能状態であるか否かを決定する情報)は,含まれていなくてもよい。
【0068】
また,プリンタ100は,能力通知要求を受信した段階で,クラウドサーバ300とのセッションが開始され,ログイン情報を取得できる。そこで,プリンタ100は,ログイン情報からユーザを特定し,ユーザを特定するユーザ特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0069】
加工サーバ400は,プリンタ100からユーザ特定情報を受信すると,その特定されるユーザ(特定ユーザ)を代行してクラウドサーバ300にログインする。そして,クラウドサーバ300に対し,その特定ユーザの全ての印刷データを送信する印刷データ要求を送信する。印刷データ要求を受信したクラウドサーバ300は,加工サーバ400に対し,その特定ユーザの全ての印刷データを送信する。印刷データを受信した加工サーバ400は,クラウドサーバ300からログオフする。
【0070】
一方,能力通知を受信したクラウドサーバ300では,ユーザが,クラウドサーバ300に登録されている印刷データのうち,印刷対象となる印刷データを選択する。そして,印刷設定を行う。ユーザによる印刷設定が完了すると,クラウドサーバ300にその印刷設定に従った印刷実行命令が入力される。
【0071】
クラウドサーバ300は,印刷実行命令を受け付けると,印刷データの送信に先立って,選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に対して,印刷設定に従った検査要求を送信する。
【0072】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてクラウドサーバ300に送信する。
【0073】
また,プリンタ100は,検査要求を受信すると,検査データ90に記憶されている情報から,印刷データを特定し,その印刷データを特定するファイル特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0074】
加工サーバ400は,ファイル特定情報を受信すると,あらかじめ取得しておいた印刷データの中から,そのファイル特定情報で特定される印刷データ(特定印刷データ)への加工処理を完了し,加工処理後の加工済データをプリンタ100に送信する。
【0075】
プリンタ100は,加工サーバ400から加工済データを受け取り,その加工済データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をクラウドサーバ300に送信する。なお,加工サーバ400が取得した印刷データのうち,送信対象とならなかった印刷データは破棄される。
【0076】
[クラウドサーバの制御]
続いて,第2の形態の画像形成システム900の印刷動作を実現する各装置の動作手順について説明する。始めに,クラウドサーバ300の動作について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図8のフローチャートで示した処理は,定期的(例えば,1秒毎)にクラウドサーバ300によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】
クラウドサーバ300は,先ず,ユーザによるプリンタの選択操作があったか否かを判断する(S141)。プリンタの選択操作がなければ(S141:NO),S101に移行する。
【0078】
プリンタの選択操作があった場合には(S141:YES),その選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に,能力通知要求を送信する(S142)。この能力通知要求によって,相手先のプリンタとのセッションが開始される。その後,クラウドサーバ300は,プリンタ100から能力通知を受信することで,プリンタ100の能力を取得する(S143)。
【0079】
S143の後,加工サーバ400からログインが有ったか否かを判断する(S103)。ログインがなければ(S103:NO),タイムアウトになったか否かを判断する(S111)。タイムアウトの場合は(S111:YES),S101に移行する。
【0080】
加工サーバ400からのログインが有った場合には(S103:YES),そのログインの認証処理を行う(S104)。その後,加工サーバ400からの印刷データ要求を受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷データ要求がなければ(S105:NO),タイムアウトになったか否かを判断する(S121)。タイムアウトの場合は(S121:YES),S101に移行する。
【0081】
加工サーバ400からの印刷データ要求が有った場合には(S105:YES),送信が要求された印刷データを全て加工サーバ400に送信する(S106)。その後,S101に移行する。
【0082】
S101では,クラウドサーバ300に登録されている印刷データについて,印刷実行命令を受け付けたか否かを判断する(S101)。印刷実行命令を受け付けていなければ(S101:NO),本処理を終了する。
【0083】
印刷実行命令を受け付けた場合には(S101:YES),印刷設定に従った検査データ90を作成し,プリンタ100に送信する(S102)。その後,検査結果を受信したか否かを判断する(S107)。検査結果を受信した場合には(S107:YES),その検査結果に応じて印刷データをプリンタ100に送信する(S108)。S108の後は,本処理を終了する。なお,S107およびS108の処理は無くてもよい。
【0084】
[プリンタの制御]
続いて,プリンタ100の動作について,図9のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図9のフローチャートで示した処理(情報取得部,第1送信部,第2情報取得部,第3送信部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)にプリンタ100の制御部30によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
プリンタ100は,先ず,能力通知要求を受信したか否かを判断する(S241)。能力通知要求を受信した場合には(S241:YES),ユーザを特定する(S242,情報取得部の一例)。能力通知要求を受け付けた際には,クラウドサーバ300とのセッションが開始されており,その際のログイン情報を基にプリンタ100はユーザを特定できる。そして,その特定ユーザの情報であるユーザ特定情報を加工サーバ400に送信する(S243,第1送信部の一例)。次に,プリンタ100自身のスペックを記憶する能力通知をクラウドサーバ300に送信する(S244)。なお,S242〜S243とS245とは逆順であってもよい。
【0086】
S244の後,あるいは能力通知要求を受信していない場合には(S241:NO),検査データ90を受信したか否かを判断する(S201)。検査データ90を受信した場合には(S201:YES),受信した検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する(S202)。その後,解析結果をクラウドサーバ300に送信する(S203)。
【0087】
次に,検査データ90に基づいて,印刷対象となる印刷データを特定する(S254,第2情報取得部の一例)。そして,特定した印刷データを記憶するファイル特定情報を加工サーバ400に送信する(S255,第3送信部の一例)。なお,S202〜S203とS254〜S255とは逆順であってもよい。
【0088】
S255の後,あるいは検査データ90を受信していない場合には(S201:NO),加工サーバ400から,加工済データを受信したか否かを判断する(S211)。加工済データを受信した場合には(S211:YES),その加工済データの印刷を開始する(S212)。その後,加工済データの印刷完了を待つ(S213)。
【0089】
加工済データの印刷が完了した場合には(S213:YES),クラウドサーバ300から印刷データを受信したか否かを判断する(S214)。印刷データを受信した場合には(S214:YES),その印刷データを破棄する(S215)。S108を行わない場合には,S214およびS215の処理は不要である。S215の後,あるいは印刷データを受信していない場合(S214:NO),あるいは加工済データを受信していない場合には(S211:NO),本処理を終了する。
【0090】
[加工サーバ400の制御]
続いて,加工サーバ400の動作について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図10のフローチャートで示した処理(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,判断部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)に加工サーバ400の制御部50によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0091】
加工サーバ400は,先ず,ユーザ特定情報を受信したか否かを判断する(S351)。ユーザ特定情報を受信した場合には(S351:YES),ユーザ特定情報で特定される特定ユーザを代行してクラウドサーバ300にログインする(S302)。
【0092】
その後,特定ユーザの全ての印刷データの送信を要求する印刷データ要求をクラウドサーバ300に送信し,クラウドサーバ300から送信される全ての印刷データを受信することで,加工サーバ400はプリンタ100を介することなく特定ユーザの全印刷データを取得する(S353,印刷データ取得部の一例)。
【0093】
次に,受信した各印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S304,判断部の一例)。加工処理が必要であれば(S304:YES),加工サーバ400が第1加工処理を行う(S355,加工処理部の一例)。印刷データの加工処理には,ベクトルデータからピクセルデータ(256階調)への加工処理と,ピクセルデータから印刷コマンドデータ(2階調あるいは4階調)への加工処理とが含まれる。このうち,S355では,ベクトルデータからピクセルデータへの加工処理を行う。この第1加工処理後の印刷データが中間データとなる。加工処理が必要でなければ(S304:NO),第1加工処理を行わず,S353で取得した印刷データを中間データとして扱う。
【0094】
S355の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S304:NO),中間データを加工サーバ400の別のメモリ領域に保存する(S356)。その後,クラウドサーバ300からログオフする(S307)。
【0095】
その後,ファイル特定情報を受信したか否かを判断する(S361)。なお,ここでのファイル特定情報は,S255で送信される特定情報である。ファイル特定情報を受信していない場合には(S361:NO),ファイル特定情報の受信を待つ。
【0096】
ファイル特定情報を受信した場合には(S361:YES),ファイル特定情報で特定される印刷データに対応する中間データを読み出す(S362)。そして,その中間データに対して,第2加工処理を行う(S363,加工処理部の一例)。具体的にS363では,ピクセルデータから印刷コマンドデータへの加工処理を行う。この第2加工処理後の印刷データが加工済データとなる。
【0097】
S363の後,加工済データをプリンタ100に送信する(S364,第2送信部の一例)。その後,第2加工処理で加工対象とならなかった中間データを破棄する(S365)。S365の後,本処理を終了する。
【0098】
なお,本形態では,加工処理を第1加工処理と第2加工処理とに分けているが,第1の形態と同様に,第1加工処理および第2加工処理を含む全加工処理(第1の形態のS305の処理と同等の処理)を行ってもよい。例えば,印刷データをダウンロードした後,S355にて全ての印刷データに全加工処理を行ってもよいし,ファイル特定情報を受信した後,すなわち印刷データを特定した後,S363にてその印刷データに対してのみ全加工処理を行ってもよい。ただし,第1加工処理は時間がかかる処理であることから,早期に済ませておくことが好ましい。
【0099】
また,本形態では,クラウドサーバ300から出力される能力通知要求を利用してユーザを特定しているが,これに限るものではない。例えば,ユーザがプリンタ100の操作パネル40を操作し,プリンタ100からクラウドサーバ300にログインする場合には,そのセッションを開始した段階でプリンタ100はユーザを特定できる。そのため,ログイン直後に,ユーザ特定情報をプリンタ100から加工サーバ400に送信してもよい。
【0100】
また,本形態では,プリンタを選択するタイミングで出力される能力通知要求を利用してクラウドサーバ300がユーザ情報をプリンタ100に通知しているが,能力通知要求を出力するタイミングはこれに限るものではない。例えば,クラウドサーバ300がプリンタの検索命令あるいは一覧表示命令を受け付けたタイミングで出力される能力通知要求を利用してもよい。
【0101】
また,本形態では,加工サーバ400が,特定ユーザの印刷データを全てダウンロードしているが,これに限るものではない。例えば,所定の条件を満たす印刷データのみをダウンロードしてもよい。図11は,上述の所定の条件を,使用頻度が最も高い印刷データとし,その条件を満たす印刷データ1つのみをダウンロードする加工サーバ400の処理を示している。
【0102】
図11では,ユーザ特定情報を受信し(S351:YES),S302にてクラウドサーバ300にログインした後,クラウドサーバ300に記憶されている特定ユーザの印刷データから,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを特定する(S372)。使用頻度は,例えば,クラウドサーバ300が各印刷データの印刷回数をカウントし,各印刷データの印刷回数を取得して印刷回数が最も多い印刷データを最頻印刷データとする。また,最頻印刷データとしてファイルの更新日時が最新の印刷データを用いてもよい。S372の後は,その最頻印刷データをクラウドサーバ300から取得する(S373)。
【0103】
その後,ファイル特定情報を受信した場合(S361:YES),そのファイル特定情報に記憶されている印刷データと最頻印刷データとが同じか否かを判断する(S381)。同じ場合には(S381:YES),中間データを読み出し(S362),第2加工処理を行う(S363)。
【0104】
異なる場合には(S381:NO),再びクラウドサーバ300にログインし(S372),ファイル特定情報から特定される印刷データを取得する(S373,第2印刷データ取得部の一例)。その後,受信した印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S374)。加工処理が必要であれば(S374:YES),加工サーバ400がその印刷データについて全加工処理を行う(S375,第2加工処理部の一例)。この全加工処理後の印刷データが加工済データとなる。加工処理が必要でなければ(S374:NO),全加工処理を行わず,S373で取得した印刷データを加工済データとして扱う。
【0105】
S375の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S374:NO),クラウドサーバ300からログオフし(S376),S364に移行して,加工済データをプリンタ100に送信する。このように,加工サーバ400がクラウドサーバ300からダウンロードする印刷データの数を制限することで,加工サーバ400のリソースの負荷を軽減できる。一方,加工サーバ400が全印刷データをダウンロードすることで,S372〜S376のように再度のログイン,再度のダウンロード処理が不要であり,処理がシンプルになる。
【0106】
なお,図11では,始めに最頻印刷データのみをダウンロードし,ファイル特定情報に記憶されている特定印刷データと異なる場合に,その特定印刷データをダウンロードしているが,これに限るものではない。例えば,始めに特定ユーザの全印刷データをダウンロードし,最頻印刷データのみを加工しておき,ファイル特定情報に記憶されている特定印刷データと異なる場合に,その特定印刷データを加工するようにしてもよい。
【0107】
以上詳細に説明したように第2の形態の画像形成システム900では,ユーザがクラウドサーバ300にログインした後,印刷を実行するプリンタが選択された場合に,そのユーザの印刷データであってクラウドサーバ300に記憶されている加工前の印刷データが,プリンタ100を経由せずに直接加工サーバ400に移動する。そのため,従来の技術のようにプリンタ100を経由して印刷データが加工サーバ400に移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,プリンタ100の早期の印刷開始が期待できる。
【0108】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機や複写機であっても適用可能である。また,プリンタに印刷ジョブを投入する装置は,スマートフォン等のモバイル装置に限るものではなく,例えば,デスクトップPCやノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0109】
また,実施の形態では,スマートフォン200からクラウドサーバ300を介してプリンタ100にジョブが送信されるが,これに限るものではない。例えば,スマートフォン200からプリンタ100に直接印刷ジョブが送信されてもよい。この場合,スマートフォン200が,クラウドサーバ300が行っている検査要求の送信や印刷データの加工サーバ400への送信を行う。
【0110】
また,実施の形態では,RIP処理を外部装置である加工サーバ400で行っているが,外部装置で行う加工処理はRIP処理に限るものではない。例えば,ウォーターマーク処理,透かし処理であってもよい。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成部
30 制御部
100 プリンタ
200 スマートフォン
300 クラウドサーバ
400 加工サーバ
900 画像形成システム
【技術分野】
【0001】
本発明は,印刷データを印刷する画像形成装置,印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバ,およびこれらを備える画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から,データ変換処理や画像処理等,印刷データに対する加工処理を外部装置に依頼し,その処理後のデータを受信して印刷する画像形成装置が知られている。例えば,高級言語のインタプリタが組み込まれていない画像形成装置では,その高級言語で構成されている印刷データを受信した場合に,高級言語のインタプリタが組み込まれているサーバに画像データの変換を依頼することで,その画像データの印刷を実現している。
【0003】
このように,印刷データを外部装置に転送し,外部装置が画像形成装置に代わって加工処理を行う技術としては,例えば,特許文献1に開示されている印刷システムがある。この印刷システムでは,外部装置としてRIP(Raster image processor)サーバを設け,そのRIPサーバと同一のネットワークに含まれるプリンタが画像データを受け取ると,そのRIPサーバにRIP処理を依頼する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−227927号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら,前記した従来の技術には,次のような問題があった。すなわち,従来のシステムでは,画像形成装置が印刷データを受け取った後,その印刷データを外部装置に送信し,再度加工処理後の印刷データを受信することでその印刷データの印刷を開始する。このように印刷データが数多くのノードを経ることから,印刷実行命令の入力から印刷が開始されるまでに時間がかかる。その結果として,ユーザが印刷物を得られるまでに時間がかかる。
【0006】
本発明は,前記した従来の技術が有する問題点を解決するためになされたものである。すなわちその課題とするところは,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,早期に印刷物を得られる可能性が高い画像形成システム,画像形成装置および加工サーバを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成システムは,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムであって,前記画像形成装置は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,前記情報取得部にて前記特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信する第1送信部とを備え,前記加工サーバは,前記画像形成装置から前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する第2送信部とを備えることを特徴としている。
【0008】
本発明の画像形成システムは,データサーバに記憶されている印刷データを,加工サーバで加工処理し,その加工後の印刷データ(加工済データ)を,画像形成装置で印刷するシステムである。本発明の画像形成システムを構成する画像形成装置は,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得すると,その特定情報を加工サーバに送信する。画像形成装置は,例えば,印刷データに関連付けられた印刷設定の検査データをデータサーバから取得することで,印刷対象となる印刷データを特定できる。この他,ユーザ情報を取得できれば,印刷対象をそのユーザの印刷データに特定することができる。加工サーバは,画像形成装置から特定情報を受信すると,その特定情報から特定される印刷データ(特定印刷データ)をデータサーバから取得し,その特定印刷データに対して加工処理を実行し,その加工済データを画像形成装置に送信する。
【0009】
すなわち,本発明の画像形成システムでは,加工前の印刷データが,画像形成装置を経由せずに直接加工サーバに移動する。そのため,従来の技術のように画像形成装置を経由して印刷データが加工サーバに移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,画像形成装置での早期の印刷開始が期待できる。なお,加工サーバが実行する加工処理としては,例えばRIP処理,ウォーターマーク処理,透かし処理が該当する。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【0010】
また,本発明の画像形成システムは,前記情報取得部が取得する前記特定情報は,個々の印刷データを特定する情報であり,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記データサーバから取得するとよい。この構成によれば,特定情報によって個々の印刷データが特定されることから,特定印刷データは1つとなる。そのため,加工サーバは複数の印刷データを取得する必要がなく,リソースの負荷が小さい。
【0011】
また,本発明の画像形成システムは,前記情報取得部が取得する前記特定情報は,ユーザを特定する情報であり,前記画像形成装置は,印刷対象の印刷データを特定する情報を含む第2特定情報を取得する第2情報取得部と,前記第2情報取得部にて前記第2特定情報を取得した場合に,前記第2特定情報を前記加工サーバに送信する第3送信部とを備え,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを少なくとも1つ取得し,前記第2送信部は,前記画像形成装置から前記第2特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記加工済データであって前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記画像形成装置に送信するとしてもよい。ユーザが特定されるタイミングは,印刷データが特定されるタイミングよりも早期であることが多い。そのため,特定ユーザの情報を加工サーバに送信し,その特定ユーザの印刷データを取得することで,加工サーバがより早期に加工処理する機会が与えられる。そのため,この構成によれば,画像形成装置での印刷をより早期に開始することが期待できる。
【0012】
また,前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを全て取得し,前記加工処理部は,前記第2特定情報を取得する前に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データに対して印刷データから中間データに加工する第1加工処理を実行し,前記第1特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データに対して中間データから前記加工済みデータに加工する第2加工処理を実行するとよい。この構成によれば,特定の印刷データについて加工済みデータへの加工が完了することから,加工処理の無駄が少ない。
【0013】
また,前記印刷データ取得部は,前記印刷データ取得部は,前記特定ユーザの印刷データのうち,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを取得し,前記加工サーバは,前記印刷データ取得部で取得した最頻印刷データと,前記第2特定情報から特定される特定印刷データとが一致しない場合に,前記データサーバから,前記第2特定情報から特定される特定印刷データを取得する第2印刷データ取得部と,前記第2印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する第2加工処理部とを備えるとよい。使用頻度が最も高い印刷データとしては,例えば,印刷データの基となるファイルの更新日時や,印刷回数から判断できる。この構成によれば,加工サーバが受信する印刷データの数を減らすことができる。また,最頻印刷データは,印刷対象となる可能性が高く,加工サーバがあらかじめ取得しておく印刷データとして好ましい。
【0014】
また,前記加工処理部は,前記印刷データ取得部が印刷データを取得した直後に,その印刷データに対して加工処理を開始するとよい。印刷データを取得して直ぐに加工処理を開始することで,印刷データの加工処理を早期に完了させることが期待できる。
【0015】
また,前記加工サーバは,前記印刷データ取得部が取得した印刷データが,前記加工処理部での加工処理が必要であるか否かを判断する判断部を備え,前記加工処理部は,前記判断部にて加工処理が必要と判断された印刷データに対して加工処理を実行し,前記判断部にて加工処理が不要と判断された印刷データに対して加工処理の少なくとも一部を実行しないとよい。加工サーバでの加工処理が不要な印刷データであれば,加工サーバにリソースを確保せず,加工サーバに加工処理を依頼しない方が,加工サーバのリソースの有効利用の観点から好ましい。加工処理の実行回数を少なくすることで,加工サーバを負荷を軽減できる。
【0016】
また,本発明は,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,に通信回線を介して接続する画像形成装置であって,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,前記情報取得部にて特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信し,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを前記加工サーバに取得させる取得指示部と,前記加工サーバから,加工された印刷データである加工済データを受信し,その加工済データを印刷する印刷部とを備えることを特徴とする画像形成装置を含んでいる。
【0017】
また,本発明は,印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,に通信回線を介して接続する加工サーバであって,前記画像形成装置から,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を受信する受信部と,前記受信部が前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する送信部とを備えることを特徴とする加工サーバを含んでいる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば,印刷データに対する加工処理を外部装置が行う場合に,早期に印刷物を得られる可能性が高い画像形成システム,画像形成装置および加工サーバが実現される。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】実施の形態にかかるプリンタおよび加工サーバの電気的構成を示すブロック図である。
【図2】第1の形態にかかるプリンタとクラウドサーバとのデータの送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図3】検査データの構成を示す図である。
【図4】第1の形態にかかるクラウドサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図5】第1の形態にかかるプリンタの動作手順を示すフローチャートである。
【図6】第1の形態にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の形態にかかるプリンタとクラウドサーバと加工サーバとのデータの送受信のタイミングを示すタイミングチャートである。
【図8】第2の形態にかかるクラウドサーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図9】第2の形態にかかるプリンタの動作手順を示すフローチャートである。
【図10】第2の形態にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【図11】第2の形態の応用例にかかる加工サーバの動作手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下,本発明にかかる画像形成装置を具体化した実施の形態について,添付図面を参照しつつ詳細に説明する。本形態は,印刷データを記憶するクラウドサーバ,高級言語のインタプリタ機能を有していないプリンタ,高級言語のインタプリタ機能を有する加工サーバ,それらを有する画像形成システムに本発明を適用したものである。クラウドサーバとは,クラウドコンピューティングの概念において,クラウドの先にある仮想化サーバであり,クラウドの中にパケットを通過させ,WEBブラウザで操作ができるサーバである。
【0021】
[プリンタの構成]
本形態のプリンタ100(画像形成装置の一例)は,図1に示すように,CPU31と,ROM32と,RAM33と,NVRAM(Non Volatile RAM)34とを備えた制御部30を備えている。また,制御部30は,用紙に画像を印刷する画像形成部10と,動作状況の表示やユーザによる入力操作の受付を行う操作パネル40と,ネットワークインターフェース37とに,電気的に接続されている。
【0022】
ROM32には,プリンタ100を制御するための制御プログラムであるファームウェアや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM33およびNVRAM34は,各種制御プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0023】
CPU31(情報取得部,第1送信部,第2情報取得部,第3送信部の一例)は,ROM32から読み出した制御プログラムや各種センサから送られる信号に従って,その処理結果をRAM33またはNVRAM34に記憶させながら,プリンタ100の各構成要素を制御する。
【0024】
ネットワークインターフェース37は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。プリンタ100は,ネットワークインターフェース37を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。
【0025】
また,画像形成部10(印刷部の一例)は,用紙に画像を印刷することができればよく,画像形成方式については電子写真方式であってもインクジェット方式であってもよい。また,カラー印刷が可能であってもよく,モノクロ印刷専用であってもよい。本形態では,電子写真方式であって,カラー印刷が可能なものとする。
【0026】
また,操作パネル40は,ユーザ入力を受け付ける各種のボタンと,文字情報やボタン等を表示するタッチパネル画面とを有している。各種のボタンとしては,例えば,印刷動作の開始を指示するOKボタンや,印刷動作のキャンセルを指示するキャンセルボタンがある。
【0027】
[加工サーバの構成]
本形態の加工サーバ400(加工サーバの一例)は,図1に示したように,CPU51と,ROM52と,RAM53と,NVRAM(Non Volatile RAM)54とを備えた制御部50を備えている。また,制御部50は,ネットワークインターフェース57と電気的に接続されている。
【0028】
ROM52には,印刷データに対する各種の加工処理を行う加工プログラムや各種設定,初期値等が記憶されている。RAM53およびNVRAM54は,各種加工プログラムが読み出される作業領域として,あるいは印刷データを一時的に記憶する記憶領域として利用される。
【0029】
CPU51(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,第2印刷データ取得部,第2加工処理部,判断部の一例)は,ROM52から読み出した加工プログラムに従って,その処理結果をRAM53またはNVRAM54に記憶させながら,印刷データの加工処理を実行する。
【0030】
ネットワークインターフェース57は,他の装置との通信を可能にするインターフェースである。加工サーバ400は,ネットワークインターフェース57を介して他の装置から送信される印刷データを受信する。
【0031】
[画像形成システムの構成]
続いて,プリンタ100,クラウドサーバ300および加工サーバ400を有する画像形成システム900について説明する。図1は,プリンタ100,スマートフォン200,クラウドサーバ300,および加工サーバ400が,インターネットに接続されている画像形成システム900を示している。スマートフォンとは,個人用の携帯コンピュータの機能を併せ持った携帯電話である。
【0032】
プリンタ100は,印刷データの印刷を実行するものである。プリンタ100は,PCLやポストスクリプト等のPDLデータについてのRIP機能を有しているが,その他の言語のRIP機能は有していない。また,プリンタ100は,各ユーザの,クラウドサーバ300を利用するためのログイン情報を記憶している。ログイン情報は,ユーザによってIDおよびパスワードが操作パネル40から予め入力されて,RAM33又はNVRAM34に記憶されている。
【0033】
スマートフォン200は,クラウドサーバ300に対し,印刷データを記憶したり,印刷データの印刷指示を入力したりするものである。クラウドサーバ300は,スマートフォン200等の情報処理装置から出力される印刷ジョブを記憶し,その記憶した印刷ジョブをプリンタ100等の画像形成装置に送信する装置である。なお,クラウドサーバ300は,スマートフォン200に限らず,他装置からも印刷データを受け付けており,クラウドサーバ300には複数の印刷データがアップロードされる。また,クラウドサーバ300は,プリンタ100に限らず,他装置への印刷データの送信が可能である。
【0034】
加工サーバ400は,プリンタ100で加工できない加工処理を,プリンタ100に代わって実行する装置である。例えば,画像形成システム900では,プリンタ100でRIP処理ができない印刷データについては,加工サーバ400がプリンタ100に代わってRIP処理を行う。
【0035】
画像形成システム900では,あらかじめスマートフォン200等によって,印刷データがクラウドサーバ300に記憶される。ユーザは,そのクラウドサーバ300に記憶されている印刷データを印刷する際,スマートフォン200あるいはプリンタ100を操作してクラウドサーバ300にログインし,印刷対象の印刷データを選択して印刷指示を入力する。なお,スマートフォン200から印刷指示を入力する場合,ユーザは印刷を実行するプリンタも選択する(本実施例ではプリンタ100が選択されたものとして説明する)。印刷指示が入力されると,選択された印刷データがプリンタ100で印刷される。
【0036】
[第1の形態]
[画像形成システムの動作手順]
続いて,画像形成システム900の具体的な動作手順について,図2のタイミングチャートを参照しつつ説明する。以下の説明では,印刷データがクラウドサーバ300に記憶されているものとする。なお,クラウドサーバ300がユーザから指示を受け付ける前提として,ユーザがクラウドサーバ300にログインしているものとする。また,クラウドサーバ300への指示は,実際にはクラウドサーバ300にログインした装置(例えばスマートフォン200やプリンタ100)から行うが,以下の説明では,そのログインした装置とクラウドサーバ300とのデータのやりとりは省略する。
【0037】
第1の形態の画像形成システム900では,先ず,ユーザが印刷を実行するプリンタを選択する。プリンタからログインしている場合には,プリンタの選択は省略してもよい。さらにはクラウドサーバ300に登録されている印刷データのうち,印刷を実行する印刷データを選択する。そして,印刷設定を行う。ユーザによる印刷設定が完了すると,クラウドサーバ300にその印刷設定に従った印刷実行命令が入力される。
【0038】
クラウドサーバ300は,印刷実行命令を受け付けると,印刷データの送信に先立って,選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に対して,印刷設定に従った検査要求を送信する。
【0039】
検査要求には,図3に示すように,用紙サイズ等の印刷設定が含まれる検査データ90が付加される。検査データ90には,印刷設定の内容(本形態では,少なくとも用紙サイズ,両面印刷設定,カラー設定,解像度,用紙種類,部数を含むものとする)と,印刷データのファイル名と,印刷データの種類と,ユーザ名とが記憶される。なお,図3に示したデータ構造は,印刷設定の代表的な項目を列挙した一例であってこれに限るものではない。例えば,より詳細な印刷設定を記憶してもよい。あるいは,図3に示した項目より少ない項目から構成されるものであってもよい。検査データ90には,印刷ジョブに関する印刷設定は含まれるが,印刷データそのものは含まれない。なお,本形態での検査要求は,クラウドプリントのプロトコルであるIPP2.0に準拠しているものとする。
【0040】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。この解析では,プリンタ自身のスペックの他,ステータスも考慮される。そのため,スペックとしては印刷可能であってもステータスとして印刷不可であれば,印刷不可と判断する。例えば,カラー印刷が可能なプリンタであって,何れかの色でトナー不足が検出されている場合には,スペックとしてはカラー印刷可能であるが,カラー印刷が可能な状態にはならない。そのため,印刷不可となる。この他,プリンタ100に,特定のユーザの印刷を禁止する設定がある場合には,その特定のユーザからの検査要求は,印刷不可と判断する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてクラウドサーバ300に送信する。
【0041】
また,プリンタ100は,検査要求を受信すると,検査データ90に記憶されている情報や,クラウドサーバ300とのセッション開始によって取得されるログイン情報から,ユーザおよび印刷データを特定し,それらを特定する特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0042】
加工サーバ400は,プリンタ100特定情報を受信すると,その特定情報によって特定されるユーザ(特定ユーザ)を代行してクラウドサーバ300にログインする。そして,クラウドサーバ300に対し,その特定情報によって特定される印刷データ(特定印刷データ)の送信を要求する印刷データ要求を送信する。印刷データ要求を受信したクラウドサーバ300は,加工サーバ400に対して特定印刷データを送信する。
【0043】
特定印刷データを受信した加工サーバ400は,必要に応じてその特定印刷データに対して加工処理を行い,加工後の特定印刷データ(加工済データ)をプリンタ100に送信する。印刷データの送信後は,クラウドサーバ300からログオフする。
【0044】
一方,プリンタ100は,加工サーバ400から加工済データを受け取り,その加工済データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をクラウドサーバ300に送信する。なお,印刷中にエラーが生じた場合には,エラー通知をクラウドサーバ300に送信する。
【0045】
[クラウドサーバの制御]
続いて,第1の形態の画像形成システム900の印刷動作を実現する各装置の動作手順について説明する。始めに,クラウドサーバ300の動作について,図4のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図4のフローチャートで示した処理は,定期的(例えば,1秒毎)にクラウドサーバ300によって実行される。
【0046】
クラウドサーバ300は,先ず,クラウドサーバ300に登録されている印刷データについて,印刷実行命令を受け付けたか否かを判断する(S101)。印刷実行命令を受け付けていなければ(S101:NO),本処理を終了する。
【0047】
印刷実行命令を受け付けた場合には(S101:YES),その印刷実行命令の印刷設定に従った検査データ90を作成し,プリンタ100に送信する(S102)。その後,加工サーバ400からログインが有ったか否かを判断する(S103)。ログインがなければ(S103:NO),検査データ90の送信からの時間が所定時間以上経過し,タイムアウトになったか否かを判断する(S111)。タイムアウトでなければ(S111:NO),S103に移行し,タイムアウトになるまで加工サーバ400からのログインを待つ。タイムアウトの場合は(S111:YES),本処理を終了する。
【0048】
加工サーバ400からのログインが有った場合には(S103:YES),そのログインの認証処理を行う(S104)。その後,加工サーバ400からの印刷データ要求を受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷データ要求がなければ(S105:NO),加工サーバ400がログインしてからの時間が所定時間以上経過し,タイムアウトになったか否かを判断する(S121)。タイムアウトでなければ(S121:NO),S105に移行し,タイムアウトになるまで加工サーバ400からの印刷データ要求を待つ。タイムアウトの場合は(S121:YES),本処理を終了する。
【0049】
加工サーバ400からの印刷データ要求が有った場合には(S105:YES),ダウンロードが要求された印刷データを加工サーバ400に送信する(S106)。その後,S102で送信した検査データ90の検査結果を受信したか否かを判断する(S107)。検査結果を受信していない場合には(S107:NO),検査結果の受信を待つ。検査結果を受信した場合には(S107:YES),その検査結果に応じて印刷データをプリンタ100に送信する(S108)。S108の後は,本処理を終了する。なお,S107およびS108の処理は無くてもよい。
【0050】
[プリンタの制御]
続いて,プリンタ100の動作について,図5のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図5のフローチャートで示した処理(情報取得部,第1送信部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)にプリンタ100の制御部30によって実行される。
【0051】
プリンタ100は,先ず,検査データ90を受信したか否かを判断する(S201)。検査データ90を受信した場合には(S201:YES),受信した検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する(S202)。その後,解析結果をクラウドサーバ300に送信する(S203)。
【0052】
次に,受信した検査データ90に基づいて,印刷指示を入力したユーザおよび印刷データを特定する(S204,情報取得部の一例)。そして,特定したユーザおよび印刷データを記憶する特定情報を加工サーバ400に送信する(S205,第1送信部の一例)。なお,S202〜S203とS204〜S205とは逆順であってもよい。
【0053】
S205の後,あるいは検査データ90を受信していない場合には(S201:NO),加工サーバ400から,加工処理後の印刷データである加工済データを受信したか否かを判断する(S211)。加工済データを受信した場合には(S211:YES),その加工済データの印刷を開始する(S212)。その後,その加工済データの印刷が完了したか否かを判断する(S213)。印刷が完了していない場合には(S213:NO),印刷完了を待つ。
【0054】
加工済データの印刷が完了した場合には(S213:YES),クラウドサーバ300から印刷データを受信したか否かを判断する(S214)。印刷データを受信した場合には(S214:YES),その印刷データを破棄する(S215)。なお,ここでの印刷データは,S108で送信される印刷データである。S108を行わない場合には,S214およびS215の処理は不要である。S215の後,あるいは印刷データを受信していない場合(S214:NO),あるいは加工済データを受信していない場合には(S211:NO),本処理を終了する。
【0055】
なお,本形態では,加工済データの印刷完了を待って,クラウドサーバ300から送信される印刷データを破棄しているが,加工済データの印刷完了を待たずに破棄してもよい。なお,加工済データの印刷完了を待つことで,加工済データの印刷に失敗した場合に,後から受信する印刷データを利用してリカバリ印刷を行うことが可能になる。このリカバリ印刷では,従来と同様に,印刷データをプリンタ100が加工サーバ400に送信し,加工済データを加工サーバ400から受信して印刷する。
【0056】
[加工サーバ400の制御]
続いて,加工サーバ400の動作について,図6のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図6のフローチャートで示した処理(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,判断部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)に加工サーバ400の制御部50によって実行される。
【0057】
加工サーバ400は,先ず,特定情報を受信したか否かを判断する(S301)。なお,ここでの特定情報は,S205で送信される特定情報である。特定情報を受信していない場合には(S301:NO),本処理を終了する。
【0058】
特定情報を受信した場合には(S301:YES),特定情報で特定される特定ユーザを代行してクラウドサーバ300にログインする(S302)。なお,クラウドサーバ300にログインするための,各ユーザに対応するIDおよびパスワードは,特定情報に含まれる。
【0059】
その後,特定情報で特定される印刷データのダウンロードを要求する印刷データ要求をクラウドサーバ300に送信し,クラウドサーバ300から送信される印刷データを受信することで,加工サーバ400はプリンタ100を介することなく印刷データを取得する(S303,印刷データ取得部の一例)。
【0060】
次に,受信した印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S304,判断部の一例)。加工処理の必要性は,例えば,印刷データのデータタイプによって判断できる。例えば,本形態では,プリンタ100がPCLやポストスクリプト等のPDLデータに対応するRIP機能を有し,高級言語のデータに対応するRIP機能を有しないため,プリンタ100では,PDL以外のデータタイプのデータは印刷コマンドデータに変換できない。そのため,データタイプがPDLデータでなければ,RIP処理が必要と判断する。この場合,加工サーバ400は,あらかじめプリンタ100がRIP処理可能なデータタイプをデータベースに記憶しておく。また,データタイプがビットマップデータであれば,RIP処理が不要と判断できる。
【0061】
加工処理が必要であれば(S304:YES),加工サーバ400がRIP処理を行う(S305,加工処理部の一例)。このRIP処理後の印刷データが加工済データとなる。加工処理が必要でなければ(S304:NO),RIP処理を行わず,S303で取得した印刷データを加工済データとして扱う。
【0062】
S305の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S304:NO),加工済データをプリンタ100に送信する(S306,第2送信部の一例)。その後,クラウドサーバ300からログオフし(S307),本処理を終了する。
【0063】
以上詳細に説明したように第1の形態の画像形成システム900では,クラウドサーバ300に記憶されている印刷データに対してプリンタ100での印刷が指示された場合に,クラウドサーバ300に記憶されている加工前の印刷データが,プリンタ100を経由せずに直接加工サーバ400に移動する。そのため,従来の技術のようにプリンタ100を経由して印刷データが加工サーバ400に移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,プリンタ100の早期の印刷開始が期待できる。
【0064】
特に,クラウドサーバ300と加工サーバ400との通信は,専用回線等を結ぶことで,プリンタ100と,クラウドサーバ300あるいは加工サーバ400との通信(一般回線)と比較して高速化を図ることが容易である。そのため,本形態の画像形成システム900は,印刷データの受け渡しに起因する処理遅延の低減に好適である。
【0065】
[第2の形態]
[画像形成システムの動作手順]
続いて,第2の形態の動作手順について,図7のタイミングチャートを参照しつつ説明する。第2の形態では,プリンタ100は,ユーザを特定した段階で加工サーバ400にその特定ユーザの情報を通知し,加工サーバ400はクラウドサーバ300からその特定ユーザの印刷データを全てダウンロードし,必要に応じて加工処理を行う。この点,プリンタ100が,印刷データを特定した段階で加工サーバ400にその特定印刷データの情報を通知し,加工サーバ400はクラウドサーバ300からその特定印刷データのみをダウンロードし,必要に応じて加工処理を行う第1の形態と異なる。なお,第2の形態の画像形成システムのハード構成は第1の形態と同じであり,説明を省略する。
【0066】
第2の形態の画像形成システム900では,先ず,ユーザが印刷を実行するプリンタを選択する。本形態では,プリンタ100が選択されたものとする。プリンタ100が選択されると,クラウドサーバ300は,その選択されたプリンタ100に対して,そのプリンタの能力を応答することを要求する能力通知要求を送信する。
【0067】
プリンタ100は,能力通知要求を受信すると,自身の能力をクラウドサーバ300に通知する。この能力通知では,少なくともプリンタ100のスペック情報を応答する。ステータス情報(トナー不足や用紙切れ等の印刷可能状態であるか否かを決定する情報)は,含まれていなくてもよい。
【0068】
また,プリンタ100は,能力通知要求を受信した段階で,クラウドサーバ300とのセッションが開始され,ログイン情報を取得できる。そこで,プリンタ100は,ログイン情報からユーザを特定し,ユーザを特定するユーザ特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0069】
加工サーバ400は,プリンタ100からユーザ特定情報を受信すると,その特定されるユーザ(特定ユーザ)を代行してクラウドサーバ300にログインする。そして,クラウドサーバ300に対し,その特定ユーザの全ての印刷データを送信する印刷データ要求を送信する。印刷データ要求を受信したクラウドサーバ300は,加工サーバ400に対し,その特定ユーザの全ての印刷データを送信する。印刷データを受信した加工サーバ400は,クラウドサーバ300からログオフする。
【0070】
一方,能力通知を受信したクラウドサーバ300では,ユーザが,クラウドサーバ300に登録されている印刷データのうち,印刷対象となる印刷データを選択する。そして,印刷設定を行う。ユーザによる印刷設定が完了すると,クラウドサーバ300にその印刷設定に従った印刷実行命令が入力される。
【0071】
クラウドサーバ300は,印刷実行命令を受け付けると,印刷データの送信に先立って,選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に対して,印刷設定に従った検査要求を送信する。
【0072】
プリンタ100は,検査要求を受信すると,その検査要求に付加されている検査データ90の,印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する。プリンタ100は,解析結果を,検査結果通知としてクラウドサーバ300に送信する。
【0073】
また,プリンタ100は,検査要求を受信すると,検査データ90に記憶されている情報から,印刷データを特定し,その印刷データを特定するファイル特定情報を加工サーバ400に送信する。
【0074】
加工サーバ400は,ファイル特定情報を受信すると,あらかじめ取得しておいた印刷データの中から,そのファイル特定情報で特定される印刷データ(特定印刷データ)への加工処理を完了し,加工処理後の加工済データをプリンタ100に送信する。
【0075】
プリンタ100は,加工サーバ400から加工済データを受け取り,その加工済データを印刷する。印刷完了後は,印刷完了通知をクラウドサーバ300に送信する。なお,加工サーバ400が取得した印刷データのうち,送信対象とならなかった印刷データは破棄される。
【0076】
[クラウドサーバの制御]
続いて,第2の形態の画像形成システム900の印刷動作を実現する各装置の動作手順について説明する。始めに,クラウドサーバ300の動作について,図8のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図8のフローチャートで示した処理は,定期的(例えば,1秒毎)にクラウドサーバ300によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0077】
クラウドサーバ300は,先ず,ユーザによるプリンタの選択操作があったか否かを判断する(S141)。プリンタの選択操作がなければ(S141:NO),S101に移行する。
【0078】
プリンタの選択操作があった場合には(S141:YES),その選択されたプリンタ(本形態ではプリンタ100とする)に,能力通知要求を送信する(S142)。この能力通知要求によって,相手先のプリンタとのセッションが開始される。その後,クラウドサーバ300は,プリンタ100から能力通知を受信することで,プリンタ100の能力を取得する(S143)。
【0079】
S143の後,加工サーバ400からログインが有ったか否かを判断する(S103)。ログインがなければ(S103:NO),タイムアウトになったか否かを判断する(S111)。タイムアウトの場合は(S111:YES),S101に移行する。
【0080】
加工サーバ400からのログインが有った場合には(S103:YES),そのログインの認証処理を行う(S104)。その後,加工サーバ400からの印刷データ要求を受け付けたか否かを判断する(S105)。印刷データ要求がなければ(S105:NO),タイムアウトになったか否かを判断する(S121)。タイムアウトの場合は(S121:YES),S101に移行する。
【0081】
加工サーバ400からの印刷データ要求が有った場合には(S105:YES),送信が要求された印刷データを全て加工サーバ400に送信する(S106)。その後,S101に移行する。
【0082】
S101では,クラウドサーバ300に登録されている印刷データについて,印刷実行命令を受け付けたか否かを判断する(S101)。印刷実行命令を受け付けていなければ(S101:NO),本処理を終了する。
【0083】
印刷実行命令を受け付けた場合には(S101:YES),印刷設定に従った検査データ90を作成し,プリンタ100に送信する(S102)。その後,検査結果を受信したか否かを判断する(S107)。検査結果を受信した場合には(S107:YES),その検査結果に応じて印刷データをプリンタ100に送信する(S108)。S108の後は,本処理を終了する。なお,S107およびS108の処理は無くてもよい。
【0084】
[プリンタの制御]
続いて,プリンタ100の動作について,図9のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図9のフローチャートで示した処理(情報取得部,第1送信部,第2情報取得部,第3送信部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)にプリンタ100の制御部30によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0085】
プリンタ100は,先ず,能力通知要求を受信したか否かを判断する(S241)。能力通知要求を受信した場合には(S241:YES),ユーザを特定する(S242,情報取得部の一例)。能力通知要求を受け付けた際には,クラウドサーバ300とのセッションが開始されており,その際のログイン情報を基にプリンタ100はユーザを特定できる。そして,その特定ユーザの情報であるユーザ特定情報を加工サーバ400に送信する(S243,第1送信部の一例)。次に,プリンタ100自身のスペックを記憶する能力通知をクラウドサーバ300に送信する(S244)。なお,S242〜S243とS245とは逆順であってもよい。
【0086】
S244の後,あるいは能力通知要求を受信していない場合には(S241:NO),検査データ90を受信したか否かを判断する(S201)。検査データ90を受信した場合には(S201:YES),受信した検査データ90に記憶されている印刷設定の各項目について,印刷可能か否かを解析する(S202)。その後,解析結果をクラウドサーバ300に送信する(S203)。
【0087】
次に,検査データ90に基づいて,印刷対象となる印刷データを特定する(S254,第2情報取得部の一例)。そして,特定した印刷データを記憶するファイル特定情報を加工サーバ400に送信する(S255,第3送信部の一例)。なお,S202〜S203とS254〜S255とは逆順であってもよい。
【0088】
S255の後,あるいは検査データ90を受信していない場合には(S201:NO),加工サーバ400から,加工済データを受信したか否かを判断する(S211)。加工済データを受信した場合には(S211:YES),その加工済データの印刷を開始する(S212)。その後,加工済データの印刷完了を待つ(S213)。
【0089】
加工済データの印刷が完了した場合には(S213:YES),クラウドサーバ300から印刷データを受信したか否かを判断する(S214)。印刷データを受信した場合には(S214:YES),その印刷データを破棄する(S215)。S108を行わない場合には,S214およびS215の処理は不要である。S215の後,あるいは印刷データを受信していない場合(S214:NO),あるいは加工済データを受信していない場合には(S211:NO),本処理を終了する。
【0090】
[加工サーバ400の制御]
続いて,加工サーバ400の動作について,図10のフローチャートを参照しつつ説明する。なお,図10のフローチャートで示した処理(印刷データ取得部,加工処理部,第2送信部,判断部の一例)は,定期的(例えば,1秒毎)に加工サーバ400の制御部50によって実行される。また,第1の形態と同じ処理については,同じ符号を付して説明を省略する。
【0091】
加工サーバ400は,先ず,ユーザ特定情報を受信したか否かを判断する(S351)。ユーザ特定情報を受信した場合には(S351:YES),ユーザ特定情報で特定される特定ユーザを代行してクラウドサーバ300にログインする(S302)。
【0092】
その後,特定ユーザの全ての印刷データの送信を要求する印刷データ要求をクラウドサーバ300に送信し,クラウドサーバ300から送信される全ての印刷データを受信することで,加工サーバ400はプリンタ100を介することなく特定ユーザの全印刷データを取得する(S353,印刷データ取得部の一例)。
【0093】
次に,受信した各印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S304,判断部の一例)。加工処理が必要であれば(S304:YES),加工サーバ400が第1加工処理を行う(S355,加工処理部の一例)。印刷データの加工処理には,ベクトルデータからピクセルデータ(256階調)への加工処理と,ピクセルデータから印刷コマンドデータ(2階調あるいは4階調)への加工処理とが含まれる。このうち,S355では,ベクトルデータからピクセルデータへの加工処理を行う。この第1加工処理後の印刷データが中間データとなる。加工処理が必要でなければ(S304:NO),第1加工処理を行わず,S353で取得した印刷データを中間データとして扱う。
【0094】
S355の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S304:NO),中間データを加工サーバ400の別のメモリ領域に保存する(S356)。その後,クラウドサーバ300からログオフする(S307)。
【0095】
その後,ファイル特定情報を受信したか否かを判断する(S361)。なお,ここでのファイル特定情報は,S255で送信される特定情報である。ファイル特定情報を受信していない場合には(S361:NO),ファイル特定情報の受信を待つ。
【0096】
ファイル特定情報を受信した場合には(S361:YES),ファイル特定情報で特定される印刷データに対応する中間データを読み出す(S362)。そして,その中間データに対して,第2加工処理を行う(S363,加工処理部の一例)。具体的にS363では,ピクセルデータから印刷コマンドデータへの加工処理を行う。この第2加工処理後の印刷データが加工済データとなる。
【0097】
S363の後,加工済データをプリンタ100に送信する(S364,第2送信部の一例)。その後,第2加工処理で加工対象とならなかった中間データを破棄する(S365)。S365の後,本処理を終了する。
【0098】
なお,本形態では,加工処理を第1加工処理と第2加工処理とに分けているが,第1の形態と同様に,第1加工処理および第2加工処理を含む全加工処理(第1の形態のS305の処理と同等の処理)を行ってもよい。例えば,印刷データをダウンロードした後,S355にて全ての印刷データに全加工処理を行ってもよいし,ファイル特定情報を受信した後,すなわち印刷データを特定した後,S363にてその印刷データに対してのみ全加工処理を行ってもよい。ただし,第1加工処理は時間がかかる処理であることから,早期に済ませておくことが好ましい。
【0099】
また,本形態では,クラウドサーバ300から出力される能力通知要求を利用してユーザを特定しているが,これに限るものではない。例えば,ユーザがプリンタ100の操作パネル40を操作し,プリンタ100からクラウドサーバ300にログインする場合には,そのセッションを開始した段階でプリンタ100はユーザを特定できる。そのため,ログイン直後に,ユーザ特定情報をプリンタ100から加工サーバ400に送信してもよい。
【0100】
また,本形態では,プリンタを選択するタイミングで出力される能力通知要求を利用してクラウドサーバ300がユーザ情報をプリンタ100に通知しているが,能力通知要求を出力するタイミングはこれに限るものではない。例えば,クラウドサーバ300がプリンタの検索命令あるいは一覧表示命令を受け付けたタイミングで出力される能力通知要求を利用してもよい。
【0101】
また,本形態では,加工サーバ400が,特定ユーザの印刷データを全てダウンロードしているが,これに限るものではない。例えば,所定の条件を満たす印刷データのみをダウンロードしてもよい。図11は,上述の所定の条件を,使用頻度が最も高い印刷データとし,その条件を満たす印刷データ1つのみをダウンロードする加工サーバ400の処理を示している。
【0102】
図11では,ユーザ特定情報を受信し(S351:YES),S302にてクラウドサーバ300にログインした後,クラウドサーバ300に記憶されている特定ユーザの印刷データから,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを特定する(S372)。使用頻度は,例えば,クラウドサーバ300が各印刷データの印刷回数をカウントし,各印刷データの印刷回数を取得して印刷回数が最も多い印刷データを最頻印刷データとする。また,最頻印刷データとしてファイルの更新日時が最新の印刷データを用いてもよい。S372の後は,その最頻印刷データをクラウドサーバ300から取得する(S373)。
【0103】
その後,ファイル特定情報を受信した場合(S361:YES),そのファイル特定情報に記憶されている印刷データと最頻印刷データとが同じか否かを判断する(S381)。同じ場合には(S381:YES),中間データを読み出し(S362),第2加工処理を行う(S363)。
【0104】
異なる場合には(S381:NO),再びクラウドサーバ300にログインし(S372),ファイル特定情報から特定される印刷データを取得する(S373,第2印刷データ取得部の一例)。その後,受信した印刷データについて,加工処理が必要か否かを判断する(S374)。加工処理が必要であれば(S374:YES),加工サーバ400がその印刷データについて全加工処理を行う(S375,第2加工処理部の一例)。この全加工処理後の印刷データが加工済データとなる。加工処理が必要でなければ(S374:NO),全加工処理を行わず,S373で取得した印刷データを加工済データとして扱う。
【0105】
S375の後,あるいは加工処理が必要でなければ(S374:NO),クラウドサーバ300からログオフし(S376),S364に移行して,加工済データをプリンタ100に送信する。このように,加工サーバ400がクラウドサーバ300からダウンロードする印刷データの数を制限することで,加工サーバ400のリソースの負荷を軽減できる。一方,加工サーバ400が全印刷データをダウンロードすることで,S372〜S376のように再度のログイン,再度のダウンロード処理が不要であり,処理がシンプルになる。
【0106】
なお,図11では,始めに最頻印刷データのみをダウンロードし,ファイル特定情報に記憶されている特定印刷データと異なる場合に,その特定印刷データをダウンロードしているが,これに限るものではない。例えば,始めに特定ユーザの全印刷データをダウンロードし,最頻印刷データのみを加工しておき,ファイル特定情報に記憶されている特定印刷データと異なる場合に,その特定印刷データを加工するようにしてもよい。
【0107】
以上詳細に説明したように第2の形態の画像形成システム900では,ユーザがクラウドサーバ300にログインした後,印刷を実行するプリンタが選択された場合に,そのユーザの印刷データであってクラウドサーバ300に記憶されている加工前の印刷データが,プリンタ100を経由せずに直接加工サーバ400に移動する。そのため,従来の技術のようにプリンタ100を経由して印刷データが加工サーバ400に移動するものと比較して,印刷データが移動するノードが少ない。その結果して,プリンタ100の早期の印刷開始が期待できる。
【0108】
なお,本実施の形態は単なる例示にすぎず,本発明を何ら限定するものではない。したがって本発明は当然に,その要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良,変形が可能である。例えば,プリンタは,印刷機能を備えるものであればよく,複合機や複写機であっても適用可能である。また,プリンタに印刷ジョブを投入する装置は,スマートフォン等のモバイル装置に限るものではなく,例えば,デスクトップPCやノートPC等の情報処理装置であってもよい。
【0109】
また,実施の形態では,スマートフォン200からクラウドサーバ300を介してプリンタ100にジョブが送信されるが,これに限るものではない。例えば,スマートフォン200からプリンタ100に直接印刷ジョブが送信されてもよい。この場合,スマートフォン200が,クラウドサーバ300が行っている検査要求の送信や印刷データの加工サーバ400への送信を行う。
【0110】
また,実施の形態では,RIP処理を外部装置である加工サーバ400で行っているが,外部装置で行う加工処理はRIP処理に限るものではない。例えば,ウォーターマーク処理,透かし処理であってもよい。また,PCLからポストスクリプト等,あるPDLを他のPDLに変換する処理であってもよい。
【符号の説明】
【0111】
10 画像形成部
30 制御部
100 プリンタ
200 スマートフォン
300 クラウドサーバ
400 加工サーバ
900 画像形成システム
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,
前記情報取得部にて前記特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信する第1送信部と,
を備え,
前記加工サーバは,
前記画像形成装置から前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,
前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,
前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する第2送信部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報取得部が取得する前記特定情報は,個々の印刷データを特定する情報であり,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記データサーバから取得することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報取得部が取得する前記特定情報は,ユーザを特定する情報であり,
前記画像形成装置は,
印刷対象の印刷データを特定する情報を含む第2特定情報を取得する第2情報取得部と,
前記第2情報取得部にて前記第2特定情報を取得した場合に,前記第2特定情報を前記加工サーバに送信する第3送信部と,
を備え,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを少なくとも1つ取得し,
前記第2送信部は,前記画像形成装置から前記第2特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記加工済データであって前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記画像形成装置に送信することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを全て取得し,
前記加工処理部は,前記第2特定情報を取得する前に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データに対して印刷データから中間データに加工する第1加工処理を実行し,前記第1特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データに対して中間データから前記加工済みデータに加工する第2加工処理を実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷データ取得部は,前記特定ユーザの印刷データのうち,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを取得し,
前記加工サーバは,
前記印刷データ取得部で取得した最頻印刷データと,前記第2特定情報から特定される特定印刷データとが一致しない場合に,前記データサーバから,前記第2特定情報から特定される特定印刷データを取得する第2印刷データ取得部と,
前記第2印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する第2加工処理部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載する画像形成システムにおいて,
前記加工処理部は,前記印刷データ取得部が印刷データを取得した直後に,その印刷データに対して加工処理を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記加工サーバは,
前記印刷データ取得部が取得した印刷データが,前記加工処理部での加工処理が必要であるか否かを判断する判断部
を備え,
前記加工処理部は,前記判断部にて加工処理が必要と判断された印刷データに対して加工処理を実行し,前記判断部にて加工処理が不要と判断された印刷データに対して加工処理の少なくとも一部を実行しないことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,に通信回線を介して接続する画像形成装置において,
印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,
前記情報取得部にて特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信し,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを前記加工サーバに取得させる取得指示部と,
前記加工サーバから,加工された印刷データである加工済データを受信し,その加工済データを印刷する印刷部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,に通信回線を介して接続する加工サーバにおいて,
前記画像形成装置から,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を受信する受信部と,
前記受信部が前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,
前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,
前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とする加工サーバ。
【請求項1】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,を備える画像形成システムにおいて,
前記画像形成装置は,
印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,
前記情報取得部にて前記特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信する第1送信部と,
を備え,
前記加工サーバは,
前記画像形成装置から前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,
前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,
前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する第2送信部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報取得部が取得する前記特定情報は,個々の印刷データを特定する情報であり,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記データサーバから取得することを特徴とする画像形成システム。
【請求項3】
請求項1に記載する画像形成システムにおいて,
前記情報取得部が取得する前記特定情報は,ユーザを特定する情報であり,
前記画像形成装置は,
印刷対象の印刷データを特定する情報を含む第2特定情報を取得する第2情報取得部と,
前記第2情報取得部にて前記第2特定情報を取得した場合に,前記第2特定情報を前記加工サーバに送信する第3送信部と,
を備え,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを少なくとも1つ取得し,
前記第2送信部は,前記画像形成装置から前記第2特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記加工済データであって前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データを前記画像形成装置に送信することを特徴とする画像形成システム。
【請求項4】
請求項3に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷データ取得部は,前記特定情報から特定される特定ユーザの印刷データを全て取得し,
前記加工処理部は,前記第2特定情報を取得する前に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データに対して印刷データから中間データに加工する第1加工処理を実行し,前記第1特定情報を取得した後に,前記印刷データ取得部が取得した印刷データのうち,前記第2特定情報から特定される1つの特定印刷データに対して中間データから前記加工済みデータに加工する第2加工処理を実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項5】
請求項3に記載する画像形成システムにおいて,
前記印刷データ取得部は,前記特定ユーザの印刷データのうち,使用頻度が最も高い印刷データである最頻印刷データを取得し,
前記加工サーバは,
前記印刷データ取得部で取得した最頻印刷データと,前記第2特定情報から特定される特定印刷データとが一致しない場合に,前記データサーバから,前記第2特定情報から特定される特定印刷データを取得する第2印刷データ取得部と,
前記第2印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する第2加工処理部と,
を備えることを特徴とする画像形成システム。
【請求項6】
請求項3または請求項4に記載する画像形成システムにおいて,
前記加工処理部は,前記印刷データ取得部が印刷データを取得した直後に,その印刷データに対して加工処理を開始することを特徴とする画像形成システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載する画像形成システムにおいて,
前記加工サーバは,
前記印刷データ取得部が取得した印刷データが,前記加工処理部での加工処理が必要であるか否かを判断する判断部
を備え,
前記加工処理部は,前記判断部にて加工処理が必要と判断された印刷データに対して加工処理を実行し,前記判断部にて加工処理が不要と判断された印刷データに対して加工処理の少なくとも一部を実行しないことを特徴とする画像形成システム。
【請求項8】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データに対する加工処理を実行する加工サーバと,に通信回線を介して接続する画像形成装置において,
印刷対象を特定する情報を含む特定情報を取得する情報取得部と,
前記情報取得部にて特定情報を取得した場合に,前記特定情報を前記加工サーバに送信し,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを前記加工サーバに取得させる取得指示部と,
前記加工サーバから,加工された印刷データである加工済データを受信し,その加工済データを印刷する印刷部と,
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
印刷データを記憶するデータサーバと,前記印刷データを印刷する画像形成装置と,に通信回線を介して接続する加工サーバにおいて,
前記画像形成装置から,印刷対象を特定する情報を含む特定情報を受信する受信部と,
前記受信部が前記特定情報を受信した場合に,前記データサーバに記憶されている印刷データのうち,前記特定情報から特定される印刷データである特定印刷データを取得する印刷データ取得部と,
前記印刷データ取得部にて取得した特定印刷データに対して加工処理を実行する加工処理部と,
前記加工処理部にて加工された印刷データである加工済データを,前記画像形成装置に送信する送信部と,
を備えることを特徴とする加工サーバ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−77141(P2013−77141A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216304(P2011−216304)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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