説明

画像形成システム

【課題】
予約印刷機能を用いた文書の印刷において、操作ミスによる誤印刷を防ぎ、ユーザが所望する最適な印刷設定での文書の印刷が可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】
クライアント端末と、ネットワークを介してクライアント端末と接続された、文書データを蓄積するサーバ装置と、サーバ装置に接続された複数の画像形成装置とを有する画像形成システムであって、文書データの印刷開始時間より前に、予め設定された印刷設定情報の設定項目と画像形成装置から取得した画像形成設定情報における設定項目との一致不一致を判断し、その判断結果に基づきユーザが画像形成装置に対して処置した処置内容が、印刷設定情報における設定項目と画像形成設定情報における設定項目との一致をもたらす場合、サーバは、印刷データを画像形成装置に対して送信する画像形成システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関するものであり、特に、情報管理装置から所定の時間に文書を送信し、印刷を行う画像形成システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、情報管理装置としてのサーバと画像形成装置としてのプリンタとが通信回線を介して接続された従来の画像形成システムにおいて、ユーザの印刷依頼に応じて、サーバは蓄積管理する文書をプリンタに対して送信し、これを受信したプリンタは、該文書に基づく画像を記録紙に印刷する画像形成システムがある。
【0003】
このような画像形成システムにおいて、ユーザが所望する時間帯に文書をプリンタに対して印刷させるために、サーバは、ユーザにより入力された予約開始時間及び予約終了時間を設定した印刷予約情報をプリンタに送信し、プリンタは、印刷予約情報に設定された予約開始時間になると、文書の印刷を開始し、予約終了時間までに印刷を終了する、所謂、予約印刷機能を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−123167号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した従来の予約印刷機能を備える画像形成システムにおいては、予約開始時間に印刷を開始する際に、印刷を開始する旨と併せて、プリンタにエラーが発生している場合にはその旨をユーザに対して通知するが、予約開始時間前にプリンタにエラーが発生していない場合には、当然ながらその旨はユーザに対して通知されない。
【0006】
一般的な印刷とは異なり、予約印刷機能を用いた印刷では、実際に印刷が開始されるまでに時差が生じるため、ユーザは、予約開始時間に至る直前のプリンタの状態を把握していることは少ない。すなわち、例えば、特殊な用紙サイズの記録紙を用いた印刷を行う場合において、その特殊な用紙サイズの記録紙を用紙トレイにセットし忘れたり、印刷対象の文書(以下、印刷文書と称する)が適切に印刷される印刷設定となっていなかったときには、予約開始時間に至って印刷が開始された後にエラーが発生したり、ユーザが所望する印刷設定とは異なる形式で印刷が行われたりするといった問題があった。
【0007】
本発明は、このような実情に鑑みてなされたものであり、本発明の課題は、予約印刷機能を用いた文書の印刷において、操作ミスによる誤印刷を防ぎ、ユーザが所望する最適な印刷設定での文書の印刷が可能な画像形成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像形成システムは、クライアント端末と、ネットワークを介して前記クライアント端末と接続されたサーバ装置と、前記サーバ装置に接続された複数の画像形成装置とを有する画像形成システムであって、前記サーバ装置は、複数の文書データを予め格納する文書データ格納部と、前記文書データに関連付けられる印刷設定情報を予め格納する印刷設定情報格納部と、前記文書データに基づく印刷データを生成する印刷データ生成部と、前記印刷データを前記画像形成装置に対して送信する送信部と、前記文書データの印刷開始をスケジュールするスケジューリング部と、前記画像形成装置における画像形成設定情報を検出する状態検出部と、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致を判断する判断部と、前記判断部による判断結果を前記クライアント端末に通知する通知部と、を備え、前記クライアント端末は、前記通知部により通知された前記判断部による判断結果をユーザに報知する報知部と、前記報知部による報知を受け、前記ユーザが前記画像形成装置に対して処置した処置内容の入力を受け付ける入力手段と、を備え、前記スケジューリング部がスケジュールした前記文書データの印刷開始時間より前に、前記判断部により前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致が判断され、その判断結果に基づき前記ユーザが前記画像形成装置に対して処置した処置内容が、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致をもたらす場合、前記送信部は、前記印刷データを前記画像形成装置に対して送信することを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、予約印刷機能を用いた文書の印刷において、操作ミスによる誤印刷を防ぎ、ユーザが所望する最適な印刷設定での文書の印刷が可能な画像形成システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施形態に係るネットワーク接続構成を説明する図である。
【図2】サーバ、登録用クライアントPC、及びユーザ用クライアントPCの機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図3】ユーザ認証画面の構成を説明する図である。
【図4】登録者用画面の構成を説明する図である。
【図5】使用者用画面の構成を説明する図である。
【図6】ユーザ情報の構成を説明する図である。
【図7】プリンタ情報の構成を説明する図である。
【図8(a)】印刷設定情報の構成を説明する図である。
【図8(b)】印刷設定情報の構成を説明する図である。
【図9】文書情報リストの構成を説明する図である。
【図10】文書登録画面の構成を説明する図である。
【図11】文書印刷指示画面の構成を説明する図である。
【図12】印刷ジョブ情報の構成を説明する図である。
【図13】サーバと、クライアントPCと、プリンタとの間で行われる処理の流れを説明するシーケンス図である。
【図14】印刷ジョブの実行に係る処理を説明するフローチャートである。
【図15】通知先ユーザに通知される電子メールの内容の一例を示す図である。
【図16】図14のステップS105の処理を説明するフローチャートである。
【図17】図14のステップS109の処理を説明するフローチャートである。
【図18】状態に関する情報を説明する図である。
【図19】図14のステップS116の処理を説明するフローチャートである。
【図20】サーバ、登録用クライアントPC、及びユーザ用クライアントPCの機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【図21】図14のステップS116の処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、本発明は以下の記述に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0012】
[第1の実施形態]
本実施形態の説明においては、一例として、デザイン専門学校の本校と、本校とは異なる場所に分校が複数存在し、各校がネットワークで接続される場合について説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係るネットワーク接続構成を説明する図である。ここで、本校には、文書を蓄積管理するサーバ装置としてのサーバ1と、文書をサーバ1に登録させるクライアント端末としての登録用クライアントPC(Personal Computer)2が存在し、これらはLAN(Local Area Network)3を介して接続されている。また、分校であるA校、B校のそれぞれには、クライアント端末としての利用者クライアントPC6、画像形成装置としてのプリンタ7が存在し、これらはLAN5を介して接続されている。そして、本校のLAN3とA校、B校のLAN5とはWAN(Wide Aria Network)4を介して接続されている。
【0014】
デザイン専門学校で教材として使用される、デザインのサンプルや資料などの文書は、登録用クライアントPC2によりサーバ1に登録される。そして、分校側の利用者クライアントPC6からサーバ1に登録された文書の表示や、プリンタ7への印刷指示を行わせることができる。
【0015】
登録用クライアントPC2を用い、教材としての文書をサーバ1に登録させる際には、その文書が適切に印刷されるための各種印刷設定条件や、教材として利用するための利用学科、利用単元に関する文書情報が文書の属性情報として文書に関連付けられて登録されるものとする。また、登録された文書を教材として利用する学科や単元の時間に合わせて、その教材を利用する時間の前には、受講学生分の部数の印刷が行われるように、本校の登録用クライアントPC2、又は分校の利用者クライアントPC6(以下、単にクライアントPCと称することがある。)により印刷開始時間が予約されるものとする。
【0016】
上述した前提のもと、本実施形態に係るサーバ1と、登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6と、プリンタ7とについて詳細に説明する。
【0017】
図2は、サーバ1、登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【0018】
サーバ1は、クライアントPCからの操作指示を受け付け、該操作指示に応じた処理を行う操作受付部101と、操作指示を受け付けるための情報や、操作指示に応じた処理の情報をクライアントPCが備える表示部に表示させるための表示データを生成する表示データ生成部102と、本システムを利用するユーザとそのユーザの使用権限等に関する情報をユーザ情報としてユーザ情報蓄積部112に登録するユーザ情報登録部111と、複数ユーザ分のユーザ情報をリスト形式で蓄積するユーザ情報蓄積部112と、サーバ1に対してネットワーク経由で接続されたプリンタ7の接続先、設置場所、種類、状態、構成等に関する情報をプリンタ情報としてプリンタ情報蓄積部114に登録するプリンタ情報登録部113と、複数プリンタ分のプリンタ情報をリスト形式で蓄積するプリンタ情報蓄積部114と、ユーザが所望する印刷設定情報を印刷設定情報格納部としての印刷設定情報蓄積部116に登録する印刷設定情報登録部115と、複数種類の印刷設定情報をリスト形式で蓄積する印刷設定情報蓄積部116と、文書と文書情報とを関連付けて蓄積する文書データ格納部としての文書データベース122と、文書データベース122への文書の登録や取得を行う文書管理サービス121と、文書管理サービス121を用いて文書データベース122に文書を登録する文書登録部120と、文書を指定した時間に印刷させるように予約開始時間等の情報を登録する印刷予約登録部130と、予約された開始時間に文書が印刷されるようにスケジューリング管理を行い、予約開始時間に達したときに印刷指示を行うスケジュール部としての印刷スケジュール部131と、印刷スケジュール部131による印刷指示に基づき、文書管理サービス121を用いて文書データベース122から文書と文書情報とに関連付けられた印刷設定情報を取得し、取得した印刷設定情報とプリンタ7の現在の印刷設定とから処理を振り分ける判断部としての印刷条件判断部140と、文書と文書情報とに関連付けられた印刷設定情報から印刷データを生成する印刷データ生成部143と、印刷データの送信や、プリンタ7から送信された状態に関する情報を取得する送信部としてのデータ送受信部144と、取得したプリンタ7の状態に関する情報から画像形成設定情報としての印刷設定を検出する状態検出部142と、印刷条件の相違や、現在の処理の状態をクライアントPCに通知する通知部141とを備える。
【0019】
登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6は、操作するユーザの使用権限が異なることで、利用できる機能に違いはあるものの、構成は同じである。登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6のそれぞれは、サーバ1が提供する機能を利用するための操作指示の入力を受け付ける入力手段としての操作入力部21、61と、ユーザによる操作指示に従い、サーバ1の表示データ生成部102が生成した表示データを表示するための、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)等の表示装置を備える報知部としての表示部22、62と、サーバ1の印刷条件判断部140が判断した判断結果を通知部141を介して受け付ける通知受付部23、63とを備える。
【0020】
本実施形態においては、サーバ1の操作受付部101や、表示データ生成部102といった、クライアントPCの操作指示を受けて応答表示するための処理を行う部分は、Webアプリケーションとして作成する。サーバ1は、ネットワーク上をWeb用のHTTP(Hypertext Transfer Protocol)等の通信プロトコルを用い、登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6が操作入力部21、61、又は表示部22、62として実装するWebブラウザを介して、操作指示用、表示用のデータの送受を行う。
【0021】
なお、本実施形態では、クライアントPCが実装するWebブラウザにて、サーバ1のWebアプリケーションを介して操作受付部101や、表示データ生成部102といった、クライアントPCの操作指示を受けて応答表示するサービスを実行する形態としているが、クライアントPC側でサーバ1のサービスをリモートで呼び出す専用のアプリケーションを作成してもよい。
【0022】
ところで、登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6は、サーバ1に接続時に、図3に例示するようなユーザ認証画面をユーザに対して表示する。ユーザ認証画面は、ユーザ名入力ボックス601、パスワード入力ボックス602、ログインボタン603等を備え、ユーザは、ユーザ名入力ボックス601に自己のユーザ名、パスワード入力ボックス602にパスワードを入力後、ログインボタン603をクリックすることでサーバ1に接続することが可能である。
【0023】
サーバ1にログインしたユーザの使用権限に応じ、サーバ1が提供するサービスは制限される。すなわち、例えば、登録者権限を有するユーザAが、登録用クライアントPC2からサーバ1へログインすると、表示データ生成部102は、図4に例示する、サーバ1が提供する全てのサービスを利用可能とする登録者用画面を生成し、登録用クライアントPC2の表示部22を介して登録者権限を有するユーザに表示する。一方、一般のユーザたるユーザBが、利用者クライアントPC6からサーバ1へログインすると、表示データ生成部102は、図5に例示する、サーバ1が提供する一部のサービス(印刷指示)を利用可能とする使用者用画面を生成し、利用者クライアントPC6の表示部62を介して一般のユーザに表示する。なお、以下の説明においては、登録者権限を有するユーザ、又は一般のユーザの区別が不要な場合には、単にユーザと称して両者を区別せずに説明することがある。
【0024】
さて、本実施形態においては、文書データベース122に蓄積された文書の予約印刷を行う前に、登録者権限を有するユーザは、サーバ1のユーザ情報蓄積部112に図6に例示するユーザ情報を、プリンタ情報蓄積部114に図7に例示するプリンタ情報を、印刷設定情報蓄積部116には、図8に例示する印刷設定情報を事前に蓄積させる。また、登録者権限を有するユーザは、文書データベース122に予約印刷の対象となる文書の蓄積も予め行う。
【0025】
これらの情報や文書の蓄積は、登録者権限を有するユーザが、図4に例示した登録者用画面を用い、サーバ1の操作受付部101を介して行うか、又はサーバ1上で直接行う。
【0026】
ユーザ情報蓄積部112に蓄積されるユーザ情報は、図6に例示するように、ユーザ名と、ユーザに与えられた使用権限と、所属と、ユーザが使用可能なプリンタと、通知先とで構成される。ここで、ユーザが使用可能なプリンタは、プリンタ情報蓄積部114に蓄積されるプリンタ情報から取得したプリンタ名が複数指定可能とされ、全てのプリンタが使用可能な場合は、「ALL」と表記される。通知先は、ユーザに対して予約印刷の開始や、印刷時の警告を通知する方法と、通知先を表し、本実施形態においては、電子メールにて通知する指示を表すmailto:電子メールアドレスで表記される。なお、通知は、電子メールではなく、FAXや電話での音声通知や、RSS(RDF Site Summary/Rich Site Summary/Really Simple Syndication)フィード等のメッセージ通知方法として一般的に知られている方法を用いることもできる。
【0027】
プリンタ情報蓄積部114に蓄積されるプリンタ情報は、図7に例示するように、プリンタ名と、プリンタのネットワーク上のIP(Internet Protocol)アドレスと、プリンタのMAC(Media Access Control Address)アドレスと、プリンタのモデル名と、プリンタが設置されている設置場所とで構成される。
【0028】
印刷設定情報蓄積部116に蓄積される印刷設定情報は、図8(a)に例示するように、印刷設定名と、印刷設定の項目を含む情報の実体へのリンクと、印刷設定が適用でき、使用可能なプリンタのモデルを表す使用可能プリンタモデルとで構成される。印刷設定の項目を含む情報の実体は、図8(b)に例示するように、印刷設定項目名と、各印刷設定項目の設定値と、文書の印刷設定とプリンタの印刷設定とが異なる場合にエラーとなるか否かを示す警告条件とで構成される。
【0029】
文書を文書ファイルとして蓄積する文書データベース122は、図9に例示するように、文書情報リストとして構成される。文書情報リストの各文書情報は、文書名と、文書ファイル実体と、更新日付と、文書を利用可能なユーザ名と、文書を適切に印刷するための印刷設定名とで構成される。ここで、印刷設定名は、印刷設定情報蓄積部116に蓄積される印刷設定情報から取得した印刷設定名を一つ指定することができる。
【0030】
ところで、文書データベース122への予約印刷の対象となる文書の登録は、図4に例示した、登録者用画面を介して行う。ユーザが登録者用画面内の文書登録ボタン403をクリックすると、表示データ生成部102は、図10に例示する文書登録画面1000を生成し、表示部22を介して表示する。ここで、文書登録画面1000内のユーザ一覧リストボックス1003には、ユーザ情報蓄積部112の蓄積されたユーザ情報を構成するユーザ名が反映される。また、印刷設定ドロップダウンリスト1005には、印刷設定情報蓄積部116に蓄積された印刷設定情報を構成する印刷設定名が反映される。
【0031】
登録者権限を有するユーザは、文書データベース122に蓄積させる文書に対応する文書ファイルのパス名を文書ファイル名テキストボックス1001に直接入力するか、又は参照ボタン1002をクリックして、表示されるファイル参照ダイアログから蓄積させる文書ファイルを参照する。そして、登録者権限を有するユーザは、蓄積させる文書を使用可能なユーザをユーザ一覧リストボックス1003のチェックボックス1004にチェックを付すことにより指定する。最後に、蓄積される文書の印刷時に適用される印刷設定を印刷設定ドロップダウンリスト1005から選択し、登録ボタン1006をクリックすることで、文書データベース122への予約印刷の対象となる文書ファイルをアップロードさせるとともに、操作受付部101に文書登録を指示する。
【0032】
文書登録の指示を受けると、操作受付部101は、文書登録部120から文書管理サービス121を呼び出し、図9に例示する文書情報リストに、アップロードされた文書ファイルから生成した文書名を文書名に、文書ファイルの実体を文書実体に、文書ファイルの更新日を更新日に、登録者権限を有するユーザにより指定されたユーザ情報をユーザ名に、選択された印刷設定名を印刷設定名にそれぞれ追加する。なお、本実施形態においては、文書データベース122に蓄積される文書ファイルは標準の電子文書フォーマットであるPDF(Portable Document Format)とし、該PDFファイルを受信し、印刷出力可能なプリンタを使用するものとするが、プリンタが受信可能であるとともに、印刷出力可能な形式であれば、例えば、XPS(XML Paper Specification)形式の電子文書フォーマットを用いてもかまわない。
【0033】
次に、文書データベース122に登録された文書の印刷に係る動作について説明する。
【0034】
文章データベース122に登録された文書の印刷は、登録用クライアントPC2、又は利用者クライアントPC6から、登録者権限を有するユーザ、又は一般のユーザたるユーザがそれぞれのユーザ名でサーバ1にログインすることから開始される。
【0035】
サーバ1へのログインが完了すると、登録者権限を有するユーザ、又は一般のユーザたるユーザは、それぞれ、図4に例示した登録者用画面、又は図5に例示した使用者用画面において、利用可能な文書のリスト画面401、又は501から印刷させる文書を、その文書名の左側のチェックボックス408、又は504にチェックを付することにより指定し、印刷ボタン402、又は502をクリックすることにより、印刷を指示する。
【0036】
サーバ1の操作受付部101は、クライアントPCからの印刷の指示を受け付けると、クライアントPCからの指示内容を保存するとともに、印刷指示に応じて、図11に例示する文書印刷指示画面1100を表示データ生成部102に生成させ、表示部22、52を介して表示する。
【0037】
図11に例示する印刷指示画面1100の印刷対象文書名1101には、前述した図4に例示した登録者用画面、又は図5に例示した使用者用画面において指定された文書の文書名が表示される。そして、ユーザは、印刷対象文書名1101に表示される文書名を確認し、「すぐに印刷する」ラジオボタン1102、又は「予約印刷をする」ラジオボタン1103の何れかを選択する。
【0038】
ここで、ユーザが「予約印刷をする」ラジオボタン1103を選択した場合、ユーザは、さらに、開始時間指定ボックス1104において、予約印刷の開始時間を指定する。さらに、ユーザは、図6で例示したユーザ情報内の使用可能プリンタのプリンタ名が表示される印刷先プリンタドロップダウンリスト1105から印刷先のプリンタを選択するとともに、印刷先のプリンタの状態を通知するあて先として、図6で例示したユーザ情報内の通知先が表示される状態通知先一覧リストボックス1106から通知先を選択し、チェックマークを付する。なお、印刷先プリンタドロップダウンリスト1105において、使用可能プリンタのプリンタ名がALLの場合は、図7で例示したプリンタ情報蓄積部114に蓄積されているプリンタ情報の全てのプリンタのプリンタ名が表示される。
【0039】
最後に、ユーザは、印刷の指示を確定して、文書の印刷、又は予約印刷の実行を確定する場合には、OKボタン1107をクリックし、中止する場合には、キャンセルボタン1108をクリックする。
【0040】
図11に例示する印刷指示画面1100に入力された印刷指示は、クライアントPCの操作入力部21、61を介し、サーバ1の操作受付部101で受け付けられる。そして、操作受付部101は、印刷予約登録部130を呼び出してクライアントPCから受け付けた印刷指示を印刷スケジュール部131に登録する。
【0041】
印刷スケジュール部131は、プリンタ情報蓄積部114に蓄積されているプリンタ毎に一つの印刷指示を1ジョブとして管理する。具体的には、印刷スケジュール部131は、ジョブ毎に図12に例示する印刷ジョブ情報で構成される情報を保持し、クライアントPCの印刷指示画面1100の印刷先プリンタドロップダウンリスト1105において選択されるプリンタのためのジョブを印刷ジョブとしてスケジューリングする。
【0042】
ここで、印刷スケジュール部131がスケジューリングする印刷ジョブ情報について説明する。図12は本実施形態に係る印刷ジョブ情報の一例を示すものであり、本実施形態に係る印刷ジョブ情報は、ジョブID、印刷文書名、印刷開始予定日時、状態、通知先ユーザ名で構成される。ジョブIDは、システム内における印刷ジョブを一意に識別するためのIDである。印刷文書名は、印刷対象となる文書の文書名を表し、図9に例示した文書情報リストを構成する文書名に対応する。本実施形態においては、複数の文書を一の印刷ジョブとして指定する場合は、カンマで区切る文字列で表現するものとする。印刷開始予定日時は、印刷ジョブの印刷開始予定日と時間を表す。状態は、印刷ジョブの現在の状態を表し、本実施形態においては、「印刷待ち」、「印刷準備中」、「印刷中」、又は「印刷済み」の4つの状態が表現可能とされる。通知先ユーザ名は、印刷開始時や、印刷を実行するとエラーとされる設定の不一致が検出された場合に、警告が通知されるユーザ名を表し、図6に例示したユーザ情報を構成するユーザ名に対応する。本実施形態においては、複数のユーザのユーザ名を通知先ユーザ名として指定する場合は、カンマで区切る文字列で表現するものとする。
【0043】
なお、本実施形態においては、単純に、印刷指示がなされた順が印刷ジョブの実行順として優先される方式を使用するが、これに限定されず、例えば、印刷ジョブの実行順の優先順位を指定したり、動的に優先順位が変動する方式を用いてもかまわない。
【0044】
そして、印刷スケジュール部131は、プリンタ情報登録部113で登録され、プリンタ情報蓄積部114に蓄積されたプリンタ毎にスケジュールされた印刷ジョブを実行するための処理を行う。ここで、印刷ジョブを実行するための処理とは、印刷ジョブがスケジューリングされている間、動作する処理を表し、該印刷ジョブを実行するための処理を行うために、印刷スケジュール部131は、一定間隔で現在時間をチェックし、印刷予約に登録された文書の印刷開始予定時間に達した時点で、該文書に係る印刷ジョブを実行するための処理を開始する。
【0045】
印刷開始予定時間に達した時点における、サーバ1と、クライアントPCと、プリンタ7との間で行われる処理の流れについて図13の処理シーケンス図を用いて説明する。
【0046】
予約印刷の開始時間t1となると、サーバ1は、出力対象のプリンタ7に対して現在の状態に関する情報を取得するための状態取得コマンドを所定の通信プロトコルを用いて送信する。
【0047】
これに対して、プリンタ7は、状態取得コマンドに対して応答する。そして、サーバ1は印刷ジョブの文書を印刷するための印刷設定と、取得したプリンタ7の状態から検出した印刷設定とから印刷条件の不一致を判断する。そして、サーバ1は、時間t2において、予約印刷が開始される旨をクライアントPCに通知する。
【0048】
クライアントPCは、表示部22、62を介して、予約印刷開始時間と、プリンタ7のエラー等の状態に関する情報と、予約印刷に係る文書に対する印刷条件の不一致とについてユーザに対して表示する。なお、印刷条件の不一致の表示については、クライアントPCにおいて、ユーザにより不一致詳細情報表示操作がなされることにより行われる。すなわち、クライアントPCは、ユーザの要求により、不一致詳細情報表示データ取得コマンドをサーバ1に送信する。これを受けて、サーバ1は、クライアントPCに対する不一致詳細情報表示データ取得応として、作成した不一致情報表示データを送信する。
【0049】
ユーザは、クライアントPCの表示部22、62を介して表示されるプリンタ7のエラー等に関する情報や、印刷条件の不一致等の情報から、予約印刷に係る文書を適切に印刷させるためのプリンタの印刷設定の変更や、エラーの解消を図るための操作といった、プリンタ設定変更操作を行う。
【0050】
一連の操作が終了すると、ユーザは、プリンタ設定変更操作が完了した旨を表す了解操作を行うことで、その旨をサーバ1に通知する。
【0051】
時間t3において、通知を受けたサーバ1は、再度、出力対象のプリンタ7に対して現在の状態に関する情報を取得するための状態取得コマンドを所定の通信プロトコルを用いて送信する。
【0052】
これに対して、プリンタ7は、状態取得コマンドに対して応答する。そして、サーバ1は
印刷ジョブの文書を印刷するための印刷設定と、取得したプリンタ7の状態から検出した印刷設定とから印刷条件の不一致を判断する。ここで、印刷条件の不一致がなく、また、エラー等が発生していない場合は、サーバ1は、時間t4において、印刷データをプリンタ7に対して送信する。そして、サーバ1は、印刷データの送信が完了したら、予約印刷の完了として、印刷ジョブを終了し、次の印刷ジョブを処理する。
【0053】
なお、時間t3において、再度、サーバ1が状態取得した時点において、印刷条件の不一致が解消されず、また、エラー状態も解消されない場合、サーバ1は、ユーザがプリンタ設定変更操作を行うよう、クライアントPCに対して通知する。また、ユーザによりプリンタ設定変更操作が行われず、また、了解操作も行われず、その旨が通知されない時間が、一定時間継続した場合は、サーバ1は、予約時間切れとしてその旨をクライアントPCに対して通知する。
【0054】
次に、印刷スケジュール部131においてプリンタ7毎にスケジューリングされた印刷ジョブの実行に係る処理について図14のフローチャートを用いて説明する。なお、本処理は、プリンタ7毎に実行される処理であり、本処理の対象となるプリンタ7とそのプリンタ7への印刷ジョブがリストとして本処理実行中に引数として関連付けられる。
【0055】
まず、ステップS100において、印刷スケジュール部131は、本処理において使用するフラグ等の初期化処理を行う。具体的には、印刷スケジュール部131は、印刷準備中ジョブの情報ワーク領域をクリアし、印刷準備中ジョブに関する情報が保存される保存領域を初期化する。また、印刷スケジュール部131は、後述する印刷ジョブ内印刷文書情報リストを初期化する。
【0056】
次に、印刷スケジュール部131は、本処理への外部からの指示を受け付けるためのイベントの発生をタイムアウト時間を指定して待機する。なお、このタイムアウト時間は、予めシステムで定義しておいてもかまわない(ステップS101)。
【0057】
そして、印刷スケジュール部131は、ステップS101で発生したイベントが処理終了に係るイベントか否かを判定する。ここで、発生したイベントが処理終了に係るイベントである場合(ステップS102 Yes)、印刷スケジュール部131は処理を終了する。
【0058】
一方、発生したイベントが処理終了に係るイベントではない場合(ステップS102 No)、印刷スケジュール部131は、本処理の対象となる印刷ジョブ情報内の印刷ジョブに状態が印刷準備中の印刷ジョブがあるか否かを判定する。ここで、本処理の対象となる印刷ジョブ情報内の印刷ジョブに状態が印刷準備中の印刷ジョブがある場合(ステップS103 Yes)、処理は、ステップS107に移行する。
【0059】
一方、本処理の対象となる印刷ジョブ情報内の印刷ジョブに状態が印刷準備中の印刷ジョブがない場合(ステップS103 No)、印刷スケジュール部131は、印刷待ち状態の印刷ジョブがあるか否かを判定する。ここで、印刷待ち状態の印刷ジョブがない場合(ステップS104 No)、処理はステップS101に移行する。
【0060】
印刷待ち状態の印刷ジョブがある場合(ステップS104 Yes)、印刷スケジュール部131は、印刷待ち状態の印刷ジョブから印刷開始日時が過ぎた印刷ジョブを検索し、印刷開始日時が過ぎた印刷ジョブを印刷準備中の状態として印刷準備を行う(ステップS105)。なお、ステップS105に係る処理については、後ほど詳細に説明する。
【0061】
そして、ステップS105において、印刷準備中の印刷ジョブが発生した場合、または、ステップS103において、印刷準備中の印刷ジョブがある場合(ステップS106)、印刷スケジュール部131は、印刷準備開始時間からの経過時間を、現在時間から図16のステップS211において説明する印刷ジョブの状態を印刷準備中の変更した時間の差により算出する(ステップS107)。
【0062】
ステップS108において、印刷スケジュール部131は、一定時間経過したか否かを判定する。本実施形態においては、この一定時間を5分と設定するが、該一定時間は、適宜変更可能である。
【0063】
一定時間が経過した場合(ステップS108 Yes)、処理はステップS118に移行する。
【0064】
一方、一定時間が経過する前では(ステップS108 No)、印刷スケジュール部131は、出力対象のプリンタ7の状態に関する情報を取得するよう状態検出部142に指示を与え、印刷条件判断部140において、印刷ジョブの文書を印刷するための印刷設定と、取得したプリンタ7の状態に関する情報から検出した印刷設定とから印刷条件の不一致を判断させる(ステップS109)。なお、ステップS109に係る処理については、後ほど詳細に説明する。
【0065】
印刷ジョブの文書を印刷するための印刷設定と、取得したプリンタ7の状態に関する情報から検出した印刷設定とが印刷条件において不一致がある場合(ステップS110 Yes)、印刷スケジュール部131は、ステップS109において判断された印刷条件の不一致と、印刷準備中ジョブに関する情報が保存されている保存領域に保存された前回の印刷条件の不一致とを比較して不一致内容の変化を判定する(ステップS111)。なお、印刷準備中ジョブに関する情報が保存されている保存領域が初期化されている場合は、印刷スケジュール部131は変化ありと判定する。そして、印刷スケジュール部131は、印刷準備中ジョブに関する情報が保存されている保存領域にステップS109にて判断された印刷条件の不一致を保存させる。
【0066】
前回の印刷条件の不一致から不一致内容の変化があった場合(ステップS112 Yes)、印刷スケジュール部131は、通知部141を介してその旨をユーザに対して通知させるとともに、このまま印刷を実行すると、適切な印刷結果が得られない可能性がある旨も併せて通知させる(ステップS113)。
【0067】
ここで、ステップS113において、通知されるユーザは、図12で例示した印刷ジョブ情報において、通知先ユーザ名として表されるユーザ名であり、その通知方法は、図6に例示したユーザ情報の通知先に対応する。
【0068】
図15は、通知部141により通知先ユーザに通知される電子メールの内容の一例を示す図である。あて先2101は、現在印刷準備中のジョブの通知先ユーザ名で示されるユーザのユーザ名を表し、印刷開始時間2102は、図12に例示した印刷ジョブ情報の印刷開始予定日時を表し、プリンタ名2103は、出力対象のプリンタ名を表す。印刷文書名2104は、図12に例示した印刷ジョブ情報の印刷文書名を表し、不一致情報2105は、図14のステップS109で判断された印刷条件の不一致を表す。印刷文書を適切に印刷するための設定2105は、図14のステップS109で判断された印刷条件の不一致に基づき、推奨されるプリンタ設定変更操作を表す。
【0069】
キャンセルのアクションリンク2106は、ユーザが印刷ジョブをキャンセルする場合に操作指示を行うサーバ1の操作受付部101へのリンクを表す。ユーザがこのリンクをクリックすると、操作受付部101は、これをユーザによるアクションであると認識し、リンク文字列の“?”以降を、キー=値という形式で読み取り、キーIDを印刷ジョブIDとし、キーActionを操作指示として対応する処理を実行する。図15に例示する例においては、ID=1、Action=cancelが設定されているため、操作受付部101は、印刷ジョブID1の印刷ジョブをキャンセルする処理を実行する。
【0070】
また、設定変更を受け付けるアクションリンク2017も、キャンセルのアクションリンク2106と同様に、ID=1、Action=Changesettingが設定されているため、操作受付部101は、印刷ジョブID1の印刷ジョブに係る設定を変更する処理を実行する。
【0071】
再び、図14のフローチャートの説明に戻り、印刷スケジュール部131は、本処理の対象の印刷ジョブ情報内の各印刷ジョブの状態を更新し、印刷済みの印刷ジョブを印刷ジョブ情報から削除し、処理をステップS101に戻す(ステップS114)。
【0072】
ところで、取得したプリンタ7の状態に関する情報から検出した印刷設定とが印刷条件において不一致がない場合(ステップS110 No)、印刷スケジュール部131は、通知部141を介して、このまま印刷を実行しても、適切な印刷結果が得られるため、その旨を通知させる(ステップS115)。
【0073】
通知の対象と、通知方法に関しては、ステップS113と同様であるが、例えば、件名は、「予約印刷の開始のお知らせ」とし、本文は、「2009/10/30 15:00 プリンタAにおいて印刷開始予定の文書A、文書Bの印刷を開始しました」として通知する。
【0074】
印刷準備中の印刷ジョブは、このまま印刷を実行してもエラーとはならないので、印刷スケジュール部131は、印刷データ生成部143に該印刷ジョブに係る印刷文書の印刷データを生成させるとともに、生成した印刷データをプリンタ7に送信するようデータ送受信部144に指示を与える。指示を受けたデータ送受信部144は、印刷データをプリンタ7に送信し、これを受信したプリンタ7は印刷データに対応する画像を印刷する(ステップS116)。
【0075】
印刷スケジュール部131は、ステップS116において、印刷が終了した印刷準備中ジョブの状態を印刷準備中から印刷済みに変更する(ステップS117)。
【0076】
また、ステップS108において、一定時間が経過した場合、印刷スケジュール部131は、通知部141を介して印刷開始のタイムアウトをユーザに対して通知させる(ステップS118)。
【0077】
通知の対象と、通知方法に関しては、ステップS115と同様であるが、例えば、件名は、「予約印刷の延期のお知らせ」とし、本文は、「2009/10/30 15:00 プリンタAにおいて印刷開始予定の文書A、文書Bの印刷は延期されました」として通知する。
【0078】
そして、印刷スケジュール部131は、現在の印刷準備中ジョブの再印刷開始時間を現在時間の5分後に変更する(ステップS119)。本実施形態においては、この再印刷開始時間を5分後と設定するが、該再印刷開始時間は、適宜変更可能である。
【0079】
印刷スケジュール部131は、現在の印刷準備中ジョブの状態を印刷準備中から印刷待ちに変更する(ステップS120)。
【0080】
次に、図14のステップS105の処理について、図16のフローチャートを用いて説明する。
【0081】
まず、ステップS201において、印刷スケジュール部131は、本処理の対象となる印刷ジョブ情報から印刷開始日時の古い印刷ジョブを順に取得する。
【0082】
次に、印刷スケジュール部131は、ステップS201の取得処理において、印刷ジョブ情報から全ての印刷ジョブを取得済みの場合(ステップS202 Yes)、印刷準備中に状態を移行させる対象の印刷ジョブがないと判断し、処理を終了する一方で、印刷ジョブ情報から全ての印刷ジョブが取得されていない場合(ステップS202 No)、印刷準備中に状態を移行させる対象の印刷ジョブがあると判断し、処理をステップS203に移行する。
【0083】
ステップS203において、印刷スケジュール部131は、取得した印刷ジョブの印刷開始日時を確認し、現在の日時が印刷開始日時を過ぎているか否かを判定する。ここで、現在の日時が印刷開始日時を過ぎていない場合(ステップS203 No)、印刷スケジュール部131は、印刷準備中に状態を移行させる対象の印刷ジョブがないと判断し、処理を終了する一方で、現在の日時が印刷開始日時を過ぎている場合(ステップS203 Yes)、印刷準備中に状態を移行させる対象の印刷ジョブがあると判断し、処理をステップS204に移行する。
【0084】
そして、印刷スケジュール部131は、取得した印刷ジョブが印刷待ちのジョブであるか否かを判定する。ここで、取得した印刷ジョブが印刷待ちのジョブでない場合(ステップS204 No)、処理をステップS201に戻す。一方、取得した印刷ジョブが印刷待ちである場合(ステップS204 Yes)、印刷スケジュール部131は、処理をステップS205に移行する。
【0085】
次に、印刷スケジュール部131は、印刷ジョブ内印刷文書情報リストを初期化するとともに、印刷準備中ジョブに関する情報が保存される保存領域を初期化する(ステップS205)。
【0086】
そして、印刷スケジュール部131は、ステップS201において取得した印刷ジョブの印刷文書名を順番に取り出す(ステップS206)。なお、印刷スケジュール部131は、印刷ジョブに複数の印刷文書名が選択されている場合には、カンマで区切られた文字列を文書名として順次取り出す。
【0087】
次に、印刷スケジュール部131は、次の印刷文書名が取得されたか否かを判定し、印刷文書名が全て取得出来なかった場合(ステップS207 No)、印刷ジョブの状態を印刷準備中に変更し、現在時間を印刷準備開始時間として保存するとともに、処理を終了する(ステップS211)。
【0088】
一方、印刷文書名が全て取得出来た場合(ステップS207 Yes)、印刷スケジュール部131は、図9で例示した文書データベースの文書情報リストから印刷文書名に対応する文書情報(印刷設定名)を取得する(ステップS208)。
【0089】
そして、ステップS209において、印刷スケジュール部131は、図8(a)に例示した印刷設定情報から、ステップS208で取得した文書情報(印刷設定名)に対応する印刷設定の実体へのリンクから、図8(b)に例示する印刷設定の実体を取得する。
【0090】
次に、印刷スケジュール部131は、ステップS208で取得した文書情報(印刷設定名)と、ステップS209で取得した印刷設定の実体とを印刷文書名に関連付けて、印刷ジョブ内印刷文書情報リストに追加し、処理をステップS206に戻す(ステップS210)。
【0091】
次に、図14のステップS109の処理について、図17のフローチャートを用いて説明する。
【0092】
まず、印刷スケジュール部131により指示を受けた状態検出部142は、サーバ1に対してネットワーク経由で接続されているプリンタ7の印刷設定情報、及び現在の状態からなる状態に関する情報を取得する(ステップS301)。なお、本実施形態においては、ネットワーク経由で接続されているプリンタ7からの状態に関する情報の取得は、プリンタ7のMIB(Management Information Base)からSNMP(Simple Network Management Protocol)を使用して取得するものとする。
【0093】
そして、状態検出部142は、取得した状態に関する情報を図18に例示するようなプリンタの状態と印刷設定とに分類する。
【0094】
次に、印刷条件破断部140は、図16のステップS210で生成した印刷ジョブ内印刷文書情報リストの先頭から順に、図8(b)に例示した印刷設定の実体を取り出し、警告条件が「あり」に設定されている印刷設定項目に対応するプリンタ7の設定項目の設定値と比較することで、印刷条件の不一致を判断する(ステップS302)。
【0095】
ステップS302において、印刷条件に不一致があると判断された場合(ステップS303 Yes)、印刷スケジュール部131は、図14のステップS110 Yes以降に係る処理、すなわち、設定不一致を応答する処理を行う(ステップS306)。
【0096】
一方、印刷条件に不一致があると判断されなかった場合(ステップS303 No)、印刷スケジュール部131は、印刷ジョブ内印刷文書情報リストに次の印刷文書があるか否かを判定し、印刷文書がある場合は(ステップS304 Yes)、ステップS302の処理に戻る。一方、印刷文書がない場合(ステップS304 No)、印刷スケジュール部131は、図14のステップS110 No以降に係る処理、すなわち、設定一致を応答する処理を行う(ステップS305)。
【0097】
最後に、図14のステップS116の処理について、図19のフローチャートを用いて説明する。
【0098】
まず、印刷スケジュール部131により指示を受けた印刷データ生成部143は、図16のステップS210で生成した印刷ジョブ内印刷文書情報リストの先頭から順に、図8(b)に例示した印刷設定の実体を取り出すとともに、図9に例示した文書データベースの文書情報リストから印刷文書名に対応する文書情報(文書実体)のリンクから印刷文書の実体を取得する(ステップS401)。
【0099】
次に、印刷データ生成部413は、取得した印刷設定に従い、印刷文書の実体から印刷データを生成する(ステップS402)。本実施形態においては、印刷文書は、PDFファイル形式とし、プリンタ7は、PDFファイルを直接印刷可能な方式として説明するため、ここで生成される印刷データは、印刷設定のためのヘッダ部分と印刷文書の実体とフッタ部分とから構成される。
【0100】
そして、印刷スケジュール部131は、ステップS402にて生成した印刷データをプリンタ7に送信するようデータ送受信部144に指示を与える。指示を受けたデータ送受信部144は、印刷データをプリンタ7に送信する(ステップS403)。これを受信したプリンタ7は印刷データに対応する画像を印刷する。ここで、プリンタ7への印刷データの送信は、プリンタ7がサポートしているネットワーク印刷プロトコルを使用する。本実施形態においては、TCP/IPのプリンタへのRAWデータが送信可能なPort9100を使用して送信する形態とするが、これとは別に、LPR(Line PRinter daemon protocol)や、FTP(File Transfer Protocol)、HTTP等の他の通信プロトコルを使用してもかまわない。
【0101】
印刷スケジュール部131は、印刷ジョブ内印刷文書情報リスト内の全ての印刷文書が処理済みか否かを判定する。未処理の印刷文書がある場合(ステップS404 Yes)、印刷スケジュール部131は、ステップS401からの処理を繰り返し、未処理の印刷文書がない場合(ステップS404 No)、処理を終了する。
【0102】
以上のように、第1の実施形態によれば、印刷予定時間前にユーザに設定の不一致が通知され、これに基づきユーザはプリンタの印刷条件の改善を行うことができるため、印刷時の操作ミスによる誤印刷を防止することが可能となるとともに、印刷依頼元たるユーザが所望する最適な印刷設定で文書の印刷を実行することができる。また、第1の実施形態においては、文書のフォーマットがプリンタに直接出力可能なフォーマットであるため、一般的なPDL(Page Description Language)データを送信する場合に比べ、印刷データ送信時間の短縮とネットワーク通信回線の送信負荷を低減させることが期待できる。
【0103】
なお、第1の実施形態の説明においては、サーバは予約印刷の開始時間となったときに、出力対象のプリンタに対して現在の状態に関する情報を問い合わせ、これを取得する構成について説明したが、これ以外にも、例えば、予約印刷が登録されたときや、登録されてから所定時間経過後、又は、予約印刷の開始1時間前といった所定時間前等に出力対象のプリンタに対して問い合わせを行う形態としてもかわまない。さらに、出力対象のプリンタの用紙カセット状態に変化がおきたタイミングで、サーバは問い合わせを行う構成としてもかわまない。このような場合、サーバは、印刷条件が不一致のとき、その都度ユーザに対して通知する。
【0104】
[第2の実施形態]
第2の実施形態においては、出力対象のプリンタがサーバに登録される文書のフォーマットを直接印刷できない場合における形態について説明する。
【0105】
なお、第2の実施形態の説明においては、第1の実施形態と同一な箇所、機能については同じ符号を付してその説明を省略する。
【0106】
図20は、第2の実施形態に係るサーバ1’、登録用クライアントPC2、及び利用者クライアントPC6の機能構成を説明するための機能ブロック図である。
【0107】
サーバ1’は、第1の実施形態で説明したサーバ1の構成に加え、印刷データ生成部143が印刷文書を処理するために実行する文書処理アプリケーション145と、文書処理アプリケーション145により処理されたアプリケーションをプリンタ7が印刷出力可能なPDLに変換するプリンタドライバ146とを備える。
【0108】
事前の準備として、印刷文書を処理する文書処理アプリケーション145は処理可能な印刷文書のフォーマットに関連づけられ、さらに、COM(Component Object Model)コンポーネントとして利用可能な状態でサーバ1’にインストールされているものとする。また、プリンタドライバ146の出力先は、ネットワーク経由で接続されているプリンタ7となるように設定されている。
【0109】
第2の実施形態に係る処理は、第1の実施形態に係る処理と略同様に行うことができるが、第1の実施形態の図14で説明したフローチャートのステップS116に係る処理が異なる。
【0110】
図21は、本実施形態における図14のステップS116に係る処理を説明するフローチャートである。
【0111】
まず、印刷スケジュール部131により指示を受けた印刷データ生成部143は、図16のステップS210で生成した印刷ジョブ内印刷文書情報リストの先頭から順に、図8(b)に例示した印刷設定の実体を取り出すとともに、図9に例示した文書データベースの文書情報リストから印刷文書名に対応する文書情報(文書実体)のリンクから印刷文書の実体を取得する(ステップS501)。
【0112】
次に、印刷データ生成部413は、取得した印刷設定に従い、印刷文書の実体から印刷データを生成するために、文書処理アプリケーション145を起動し、印刷文書の実体を文書処理アプリケーション145から開く(ステップS502)。なお、印刷文書の実体を処理するための文書処理アプリケーション145は、予めシステムに定義されているものとする。例えば、印刷文書の実体が文書.pdfとされている場合、文書処理アプリケーション145は、PDFファイルを処理するためのアプリケーションが定義されているものとする。
【0113】
文書処理アプリケーション145の起動は、アプリケーションの実行形式のファイルを実行する方法の他に、COMコンポーネントによりアプリケーションをコンポーネントとして使用出来る場合は、その技術を使用して起動させ、印刷文書の実体を処理するオブジェクトとしてもよい。
【0114】
ステップS503において、印刷データ生成部143は、プリンタドライバ146の印刷設定をステップS501で取得した印刷設定の実体に基づき変更する。
【0115】
次に、印刷データ生成部143は、ステップS502で起動した文書処理アプリケーション145からプリンタドライバ146を経由して印刷文書を印刷する操作を文書処理アプリケーション145に対して行う(ステップS504)。ここで、印刷する操作の例としては、ユーザによる印刷のキー操作を事前に保存しておき、その操作を再現するキー操作マクロ等の方法や、文書処理アプリケーション145がCOMコンポーネントを提供する場合には、該コンポーネントが提供するオブジェクトの印刷メソッドを実行する方法が挙げられる。
【0116】
プリンタドライバ146は、文書処理アプリケーション145からの印刷操作により生成したデータを受け取ると、該データをPDLデータに変換し、印刷データを生成する(ステップS505)。
【0117】
そして、プリンタドライバ146は、データ送受信部144を介してプリンタ7に印刷データを送信する(ステップS506)。これを受信したプリンタ7は印刷データに対応する画像を印刷する。
【0118】
印刷スケジュール部131は、印刷ジョブ内印刷文書情報リスト内の全ての印刷文書が処理済みか否かを判定する。未処理の印刷文書がある場合(ステップS507 Yes)、印刷スケジュール部131は、ステップS501からの処理を繰り返し、未処理の印刷文書がない場合(ステップS507 No)、処理を終了する。
【0119】
以上のように、第2の実施形態によれば、出力対象のプリンタがサーバに登録される文書のフォーマットを直接印刷できない場合においても、第1の実施形態と同様に、印刷予定時間前にユーザに設定の不一致が通知され、これに基づきユーザはプリンタの印刷条件の改善を行うことができるため、印刷時の操作ミスによる誤印刷を防止することが可能となるとともに、印刷依頼元たるユーザが所望する最適な印刷設定で文書の印刷を実行することができる。また、本実施形態では、サーバへ登録する印刷文書の形式は自由であるため、ユーザの要求に柔軟に対応することができる。
【0120】
本実施形態の説明においては、サーバと該サーバにネットワーク経由で接続されたクライアントPCの組み合わせの例について説明したが、本発明はこれに限定されず、サーバの代わりに単独のPCを用いることも無論可能である。また、プリンタとして、プリンタ機能を備えた複合機を利用することも可能であり、また、プリンタとサーバとをUSB(Universal Serial Bus)ケーブルやシリアルケーブル等を用いて接続してもかまわない。
【符号の説明】
【0121】
1、1’ サーバ
2 登録用クライアントPC
3、5 LAN
4 WAN
6 利用者クライアントPC
7 プリンタ
21、61 操作入力部
22,62 表示部
23,63 通知受付部
101 操作受付部
102 表示データ生成部
111 ユーザ情報登録部
112 ユーザ情報蓄積部
113 プリンタ情報登録部
114 プリンタ情報蓄積部
115 印刷設定情報登録部
116 印刷設定情報蓄積部
120 文書登録部
121 文書管理サービス
122 文書データベース
130 印刷予約登録部
131 印刷スケジュール部
140 印刷条件判断部
141 通知部
142 状態検出部
143 印刷データ生成部
144 データ送受信部
145 文書処理アプリケーション
146 プリンタどドライバ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
クライアント端末と、ネットワークを介して前記クライアント端末と接続されたサーバ装置と、前記サーバ装置に接続された複数の画像形成装置とを有する画像形成システムであって、
前記サーバ装置は、
複数の文書データを予め格納する文書データ格納部と、
前記文書データに関連付けられる印刷設定情報を予め格納する印刷設定情報格納部と、
前記文書データに基づく印刷データを生成する印刷データ生成部と、
前記印刷データを前記画像形成装置に対して送信する送信部と、
前記文書データの印刷開始をスケジュールするスケジューリング部と、
前記画像形成装置における画像形成設定情報を検出する状態検出部と、
前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致を判断する判断部と、
前記判断部による判断結果を前記クライアント端末に通知する通知部と、
を備え、
前記クライアント端末は、
前記通知部により通知された前記判断部による判断結果をユーザに報知する報知部と、
前記報知部による報知を受け、前記ユーザが前記画像形成装置に対して処置した処置内容の入力を受け付ける入力手段と、
を備え、
前記スケジューリング部がスケジュールした前記文書データの印刷開始時間より前に、前記判断部により前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致が判断され、その判断結果に基づき前記ユーザが前記画像形成装置に対して処置した処置内容が、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致をもたらす場合、前記送信部は、前記印刷データを前記画像形成装置に対して送信すること
を特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記スケジューリング部がスケジュールした前記文書データの印刷開始時間より前に、前記判断部により前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致が判断され、その判断結果に基づき前記ユーザが前記画像形成装置に対して処置した処置内容が、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致をもたらさない場合、前記通知部は、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目とが一致するように、前記画像形成装置に対して処置を施すべき旨を前記クライアント端末に通知すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項3】
前記印刷データ生成部は、前記画像形成装置が解釈可能であり、前記文書データのデータ形式とは異なる印刷データを生成すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項4】
前記文書データ格納部は、データベースによる文書管理システムであること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項5】
前記サーバ装置と前記画像形成装置とはネットワークにより接続されること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項6】
前記送信部は、Port9100を使用して前記画像形成装置に対して前記印刷データを送信すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項7】
前記送信部は、LPRプロトコル、FTPプロトコル、又はHTTPプロトコルの何れかの通信プロトコルを使用して前記画像形成装置に対して前記印刷データを送信すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項8】
前記状態検出部は、前記画像形成装置が提供するMIB(Management Information Base)からSNMP(Simple Network Management Protocol)を使用して前記画像形成設定情報を取得すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項9】
前記通知部は、電子メールを使用して前記判断部による判断結果を前記クライアント端末に通知すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。
【請求項10】
前記状態検出部は、前記スケジューリング部により前記文書データの印刷開始時間のスケジュールがなされたとき、スケジュールがなされてから所定時間経過後、印刷開始時間の所定時間前、又は前記画像形成装置の前記画像形成設定情報における設定項目に変化が生じたときの何れかのタイミングで前記画像形成装置から画像形成設定情報を検出し、
前記判断部は、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致不一致を判断し、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目との一致をもたらさない場合、前記通知部は、前記印刷設定情報における設定項目と前記画像形成設定情報における設定項目とが一致するように、前記画像形成装置に対して処置を施すべき旨を前記クライアント端末に通知すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2013−73320(P2013−73320A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−210508(P2011−210508)
【出願日】平成23年9月27日(2011.9.27)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【Fターム(参考)】