説明

画像形成システム

【課題】単一の印刷指令として同一の画像データに対応する印刷出力に対して異なる後処理を実行する場合であっても、当該単一の印刷指令に要する総処理時間を短くし、これにより、システム全体の生産性の向上を図る。
【解決手段】単一の印刷指令に適用する後処理として第1の後処理および第2の後処理の双方が設定された場合、第1の後処理に対応する後処理装置20〜50と、第2の後処理に対応する後処理装置20〜50とが並行して後処理を実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、用紙への画像形成およびそれに付随する各種の処理を効率的に行うことを目的として、複数台の装置を直列的に接続して構成される画像形成システムが知られている。この類の画像形成システムとしては、用紙に画像を形成する画像形成装置、それぞれが用紙に後処理を施す複数の後処理装置を直列的に接続した構成などが周知である。この画像形成システムでは、装置のレイアウトを変更したり、新たな装置を追加したりすることが容易なため、ユーザの用途に合わせたシステムを柔軟に構築・変更することができるというメリットがある。
【0003】
例えば特許文献1には、同一の画像データに応じた印刷出力を複数部数だけ出力し、印刷出力毎に異なる設定の後処理を行う画像形成装置が開示されている。具体的には、この画像形成装置は、用紙に画像を形成する画像形成部と、後処理を行う後処理部と、複数の設定を受け付ける操作パネル部と、操作パネル部により受け付けられた複数の設定に基づく後処理の実行順序の設定を受け付ける実行順序ボタンと、同一の原稿の画像に基づいて、操作パネル部により受け付けられた複数の設定にそれぞれ応じた後処理を、実行順序ボタンによって受け付けられた実行順序で後処理部により行わせる実行順序制御部とを備えている。これにより、ユーザの意図したとおりの順序で各設定に応じた後処理を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−31669号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された手法によれば、異なる2つの後処理が設定された場合には、一方の後処理の実行終了後に、他方の後処理の実行が開始されるため、個々の後処理についての処理時間が独立的に存在するため、単一の印刷指令に要する総処理時間が長くなってしまう問題がある。
【0006】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、単一の印刷指令の内容が、同一の画像データに対応する印刷出力に対して異なる後処理を実行する場合であっても、当該単一の印刷指令に要する総処理時間を短くし、これにより、システム全体の生産性の向上を図ることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる課題を解決するために、本発明は、複数の装置を互いに接続して構成される画像形成システムを提供する。この画像形成システムは、単一の印刷指令の実行に応じて、同一の画像データに対応する印刷出力を指定部数だけ出力する画像形成装置と、画像形成装置の後段側に配置されており、当該画像形成装置からの印刷出力を対象として第1の後処理を実行可能な第1の後処理装置と、第1の後処理装置の後段側に配置されており、画像形成装置からの印刷出力を対象として第2の後処理を実行可能な第2の後処理装置とを有する。この場合、単一の印刷指令に設定される後処理の内容として第1の後処理を適用する対象と第2の後処理を適用する対象とが個別的に設定された場合、第1の後処理装置および第2の後処理装置が個々の後処理を並行して実行する。
【0008】
ここで、本発明において、第1の後処理装置は、画像形成装置から供給される印刷出力を第1の後処理を、実行する後処理部をバイパスして第2の後処理装置側へと搬送する共通搬送部を備えることが好ましい。
【0009】
また、本発明において、画像形成システムは、ユーザから印刷指令を取得し、当該印刷指令に基づいて、印刷出力を第1の後処理装置および第2の後処理装置のいずれに振り分けるのかを規定する動作パターンを決定する制御部を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明において、制御部は、単一の印刷指令に要する総処理時間が短いことを条件に、動作パターンを決定することが好ましい。
【0011】
また、本発明において、制御部は、指定部数のなかで第1の後処理を適用する部数と第2の後処理を適用する部数とが個別的に設定された場合、各後処理を適用する部数に基づいて、動作パターンを決定することが好ましい。
【0012】
また、本発明において、制御部は、動作パターンの決定にあたり、画像形成装置による印刷出力の印刷に要する時間、第1の後処理装置による第1の後処理に要する時間および第2の後処理装置による第2の後処理に要する時間を考慮することが好ましい。
【0013】
また、本発明において、制御部は、1部目の印刷出力の振り分け先を、第1の後処理装置または第2の後処理装置のうち後処理時間が長い方の装置とすることが好ましい。
【0014】
また、本発明において、制御部は、単一の印刷出力に含まれる複数の用紙のなかで第1の後処理を適用する用紙群と第2の後処理を適用する用紙群とが個別的に設定された場合、各後処理を適用する用紙群に基づいて、動作パターンを決定することが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、画像形成装置からの印刷出力に対して、第1および第2の後処理装置が並行して後処理を実行することができるので、異なる後処理を並列的に稼働させることができる。そのため、個々の後処理を、先行する後処理の終了を待って実行する場合と比較して、異なる後処理を重複して実行することができるので、印刷指令に要する総処理時間を短縮することができる。これにより、システム全体での生産性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成システムの構成を模式的に示す説明図
【図2】画像形成システムの制御系を中心に示すブロック図
【図3】操作表示部16による出力設定の設定画面を示す説明図
【図4】操作表示部16による出力設定の設定画面を示す説明図
【図5】同時並行で2つの後処理を実行する第1の動作パターンの動作概念を説明する説明図
【図6】同時並行で2つの後処理を実行する第2の動作パターンの動作概念を説明する説明図
【図7】同時並行で2つの後処理を実行する第3の動作パターンの動作概念を説明する説明図
【図8】同時並行で2つの後処理を実行する第4の動作パターンの動作概念を説明する説明図
【図9】同時並行で2つの後処理を実行する第5の動作パターンの動作概念を説明する説明図
【発明を実施するための形態】
【0017】
(第1の実施形態)
図1は、本実施形態にかかる画像形成システムの構成を模式的に示す説明図であり、図2は、画像形成システムの制御系を中心に示すブロック図である。画像形成システムは、用紙に画像形成や後処理を行うシステムであり、複数の装置が直列的に接続されて構成されている。本実施形態の画像形成システムは、画像形成装置10と、4台の後処理装置20〜50とで構成されている。
【0018】
画像形成装置10は、例えば複写機といった電子写真方式の画像形成装置である。画像形成装置10は、用紙に画像を形成する機能を担っており、これを機能的に捉えた場合、原稿読取装置11と、画像形成部13と、用紙搬送部14と、画像形成制御部15とを有している。
【0019】
原稿読取装置11は、例えば画像形成装置10の上部に備えられており、自動原稿送り装置(図示せず)を有している。この原稿読取装置11は、自動原稿送り装置によって原稿を搬送しながら、原稿の画像を読み取ることによって画像信号を得る。この画像信号は画像読取制御部12に出力される。画像読取制御部12は、この画像信号に対して、A/D変換、シェーディング補正、圧縮等の処理を施すことにより画像データを得ると、これを画像形成制御部15に出力する。なお、画像形成制御部15に入力される画像データとしては、原稿読取装置11で読み取ったものに限られず、例えば、画像形成装置に接続されたパーソナルコンピュータ(PC)や他の画像形成装置から受信したものであってもよい。
【0020】
画像形成部13は、用紙に画像を形成する機能を担っている。本実施形態における画像形成部13は、電子写真方式を利用して画像形成を行うものであり、例えば、レーザ光源や光学系から構成される露光ユニット、感光体ドラムとその周辺に配置されている帯電・現像ユニット、転写ユニット、定着ユニットなどで構成される。この画像形成部13は、(1)感光体ドラムを帯電させる、(2)露光部により感光体ドラム上に静電潜像を形成する、(3)形成された静電潜像にトナーを付着させる、(4)感光体ドラム上のトナー画像を用紙に転写する、(5)転写されたトナー画像を用紙に定着する、という一連のプロセスを通じて、画像データに基づいて用紙に画像(トナー画像)を形成する。
【0021】
用紙搬送部14は、ローラやガイド部材等で構成されており、各種サイズの用紙を格納する用紙トレイから、ユーザにより指定された用紙を画像形成部13へ送り出す。また、用紙搬送部14は、画像形成部13により画像が形成された用紙Pを、後段の装置である後処理装置20〜50へと出力する。
【0022】
画像形成制御部15は、画像形成装置10の動作を制御する。画像形成制御部15としては、CPU、ROM、RAMなどを主体に構成されるマイクロコンピュータを用いることができる。
【0023】
画像形成制御部15は、単一の印刷指令に応じて、同一の画像データに対応する印刷出力を指定部数だけ出力する。ここで、印刷出力は、原稿読取装置11により読み取られた画像データとしての原稿(あるいは、PCなどから受信した画像データとしての原稿)と対応して、画像形成装置10から出力される1枚以上の用紙を総称するものであり、個々の用紙には、画像データに対応した画像が形成されている。具体的には、画像形成制御部15は、画像読取制御部12より入力された画像データなどを取得すると、入力された画像データに基づいて、画像形成装置20の各部(画像形成部13および用紙搬送部14)を制御し、入力された画像データに応じた画像を用紙に形成する。
【0024】
さらに、本実施形態の特徴の一つとして、画像形成制御部15は、画像形成システム全体の動作を統合的に制御する制御部としての機能を担っている。この制御部としての機能により、画像形成装置10および後処理装置20〜50で連携した動作を実行することができる。
【0025】
操作表示部16は、入力操作および情報表示が可能な装置であり、例えばディスプレイ上に表示される情報に従い、入力操作を行うことが可能なタッチパネル装置である。画像形成制御部15は、操作表示部16を通じて、ユーザが設定する印刷指令、すなわち、印刷開始指示や印刷条件(例えば、片面・両面の印刷種別、指定部数、実行する後処理の種類および部数、画像の濃度や倍率など)を認識することができる。
【0026】
通信部17は、相互に接続する他の装置(後処理装置20〜50)との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、画像形成制御部15は、通信部17を介して他の後処理制御部25〜55と相互に通信を行うことができる。
【0027】
後処理装置20は、画像形成装置10からの印刷出力を対象として、後処理の一種であるリングバインド処理を実行する装置である。ここで、リングバインド処理は、印刷出力である用紙束の背部分をリングで綴じる処理である。後処理装置20は、これを機能的に捉えた場合、リングバインド部21と、用紙搬送部22と、共通搬送部23と、後処理制御部25と、通信部26とを有している。
【0028】
リングバインド部21は、用紙束である印刷出力に多穴パンチを実行したり、当該印刷出力に対してリングによってバインドを行う各種の機構から構成されている。用紙搬送部22は、画像形成装置10から印刷出力として供給される個々の用紙を搬送し、これをリングバインド部21へと供給する。共通搬送部23は、画像形成装置10から印刷出力として供給される個々の用紙を搬送し、これをリングバインド部21をバイパスして、後段に接続する後処理装置30〜50へと供給する。用紙搬送部22および共通搬送部23は、例えば複数の搬送ローラおよびガイド部材で構成されている。
【0029】
後処理制御部25は、後処理装置20の動作を制御する。この後処理制御部25としては、CPU、RAM、ROMを主体に構成されたマイクロコンピュータを用いることができる。この後処理制御部25は、リングバインド部21および用紙搬送部22を制御することにより、画像形成装置10からの印刷出力を対象としてリングバインド処理を実行する。また、後処理制御部25は、共通搬送部23を制御することにより、リングバインド部21によりリングバインド処理を実行している最中であっても、画像形成装置10からの印刷出力を後処理装置30〜50へと供給することができる。
【0030】
通信部26は、相互に接続する他の装置(画像形成装置10および他の後処理装置30〜50)との通信を確立する入出力部として機能する。これにより、後処理制御部25は、通信部26を介して他の後処理制御部35〜55および画像形成制御部15と相互に通信を行うことができる。
【0031】
後処理装置30〜50も、前述の後処理装置20と同様、画像形成装置10からの印刷出力を対象として後処理を実行する装置であり、各後処理装置30〜50が異なる後処理を実行する点において相違する。具体的には、後処理装置30は、用紙束である印刷出力の中央位置にステープルを施すとともに当該中央位置を基準に中折りを施す中綴じ処理を実行する。また、後処理装置40は、用紙束である印刷出力を表紙用紙でコの字状に覆って糊付けを施すくるみ製本処理を実行する。一方、後処理装置50は、用紙束である印刷出力の端部近傍にステープルを行うステープル処理(端部綴じ処理)を実行する。
【0032】
後処理装置30は、これを機能的に捉えた場合、中綴じ部31と、用紙搬送部32と、共通搬送部33と、後処理制御部35と、通信部36とを有している。中綴じ部31は、用紙束の中央にステープルを実行したり、折り板やニップローラなどで用紙束に折り処理を行う各種の機構から構成されている。用紙搬送部32、共通搬送部33、後処理制御部35および通信部36の各機能は、実行する後処理が相違する点を除き、前述した後処理装置20の各機能と対応している。
【0033】
後処理装置40は、これを機能的に捉えた場合、くるみ製本部41と、用紙搬送部42と、共通搬送部43と、後処理制御部45と、通信部46とを有している。くるみ製本部41は、用紙束の所定端部の端縁にのり付けを実行したり、当該用紙束を表紙用紙で覆う処理を行う各種の機構から構成されている。用紙搬送部42、共通搬送部43、後処理制御部45および通信部46の各機能は、実行する後処理が相違する点を除き、前述した後処理装置20の各機能と対応している。
【0034】
後処理装置50は、これを機能的に捉えた場合、ステープル部51と、用紙搬送部52と、共通搬送部53と、後処理制御部55と、通信部56とを有している。ステープル部51は、用紙束の所定端部にステープルを施す各種の機構から構成されている。用紙搬送部52、共通搬送部53、後処理制御部55および通信部56の各機能は、実行する後処理が相違する点を除き、前述した後処理装置20の各機能と対応している。
【0035】
また、後処理装置50は、サブ排紙トレイ57、メイン排紙トレイ58を備えており、画像形成装置10からの印刷出力を、当該トレイ57,58に排出することができるようになっている。
【0036】
このような構成の画像形成システムにおいて、その制御を司る画像形成制御部15は、ユーザに設定される単一の印刷指令の実行に際して、どの後処理装置20〜50の後処理を適用するかという設定(以下「出力設定」という)を認識することができる。出力設定は、一般には、単一の印刷指令に対して単一の出力設定(JOB1)が設定されるが、本実施形態では、単一の印刷指令に対して2つの出力設定(JOB1,JOB2)を設定することができる。例えば、単一の印刷指令の内容が、同一の画像データに対応する印刷出力を8部(指定部数)だけ出力するといった場合に、後処理装置20によるリングバインド処理を3部の印刷出力に適用する第1の出力設定JOBと、後処理装置50によるステープル処理を5部の印刷出力に適用する第2の出力設定JOB2との双方を設定するといった如くである。
【0037】
図3および図4は、操作表示部16による出力設定の設定画面を示す説明図である。具体的には、操作表示部16には、初期画面として、第1の出力設定JOB1を行う設定領域16aと、第2の出力設定JOB2を行う設定領域16bとが設けられている。各設定領域16a,16bには、「リングバインド」、「中綴じ」、「ステープル」および「くるみ製本」といった個々の後処理装置20〜50が実行する後処理の内容に対応した選択項目が表示されている(図3(a))。
【0038】
まず、第1の出力設定JOB1の設定領域16aにおける「リングバインド」を選択すると、これに応じて表示画面が切り替わり、当該リングバインド処理を適用する部数や、片面・両面の指定、用紙の種類等をさらに選択することができる(同図(b))。そして、第1の出力設定JOB1に関する設定が終了すると、初期画面へと戻る(同図(c))。この状態で、印刷開始指示に相当する「スタート」の選択項目を選択すると、第1の出力設定JOB1の部数を3部として、指定部数を3部とする印刷指令が実行される。
【0039】
一方、第2の出力設定JOB2の設定領域16bにおける「ステープル」をさらに選択すると、これに応じて表示画面が切り替わり、当該ステープル処理を適用する部数や、片面・両面の指定、用紙の種類等をさらに選択することができる(図4(a))。そして、第2の出力設定JOB2に関する設定が終了すると、初期画面へと戻る(同図(b))。この状態で、印刷開始指示に相当する「スタート」の選択項目を選択すると、第1の出力設定JOB1の部数を3部、第2の出力設定JOB2の部数を5部として、指定部数を8部とする印刷指令が実行される。
【0040】
このように、単一の印刷指令に適用する後処理として第1の後処理(第1の出力設定による後処理)および第2の後処理(第2の出力設定による後処理)の双方が設定された場合、第1の後処理に対応する後処理装置20〜50と、第2の後処理に対応する後処理装置20〜50とが並行して後処理を実行する。
【0041】
すなわち、画像形成装置10の後段には、複数の後処理装置20〜50が連接して構成されている。そして、個々の後処理装置20〜50には、画像形成装置10からの印刷出力を、自己の後処理部(リングバインド部21〜ステープル部51)をバイパスして、後段の後処理装置20〜50へと搬送する共通搬送部23〜53が備えられている。したがって、これらの後処理装置20〜50が連接された場合には、かかる共通搬送部23〜53も相互に連接されることとなり、これにより、複数の後処理装置20〜50を通り抜ける一連の経路が確保されることとなる。これにより、前段の後処理装置20〜50の後処理が実行中であっても、後段の後処理装置20〜50へと印刷出力を搬送することが可能となり、後段の後処理装置20〜50の後処理を実行することができる。
【0042】
これにより、画像形成装置10からの印刷出力に対して、異なる後処理装置20〜50を並列的に稼働させることができる。そのため、個々の後処理を、先行する後処理の終了を待って実行する場合と比較して、異なる後処理を重複して実行することができるので、印刷指令に要する総処理時間を短縮することができる。これにより、システム全体での生産性の向上を図ることができる。
【0043】
(第2の実施形態)
以下、第2の実施形態にかかる画像形成システムについて説明する。この第2の画像形成性システムが、第1の実施形態と相違する点は、同時並行で後処理を実行する際に、適切な組み合わせに従って個々の後処理を実行することにある。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略することとし、以下、相違点を中心に説明を行う。
【0044】
まず、ユーザにより印刷開始が指示された場合、まず、画像形成制御部15は、必要な情報を読み込む。具体的には、画像形成制御部15は、第1の出力設定JOB1に対する後処理内容および部数、第2の出力設定JOB2に対する後処理内容の部数を読み込む。そして、画像形成制御部15は、以下に示す(1)〜(5)の後処理パラメータに基づいて、動作パターンを決定する。
(1)印刷出力の印刷に要する時間(印刷時間)Tp
(2)第1の出力設定JOB1に対応する後処理に要する時間Tf1
(3)第2の出力設定JOB2に対応する後処理に要する時間Tf2
(4)第1の出力設定JOB1に対応する後処理の部数U1
(5)第2の出力設定JOB2に対応する後処理の部数U2
【0045】
そして、画像形成制御部15は、かかる動作パターンに基づいて、印刷出力毎に、第1の出力設定JOB1に対する後処理装置20〜50および第2の出力設定JOB2に対応する後処理装置20〜50のいずれかに印刷出力を振り分ける。ここで、動作パターンは、印刷出力毎に、第1の出力設定JOB1に対する後処理および第2の出力設定JOB2に対する後処理のいずれを実行するかの定義したものである。この動作パターンは、単一の印刷指令に係わる処理が終了するのに要する時間が短くなるようにとの観点から設定されている。
【0046】
以下、種々の後処理パラメータに応じて設定される動作パターンについて説明する。
【0047】
<第1の動作パターン>
図5は、同時並行で2つの後処理を実行する第1の動作パターンの動作概念を説明する説明図である。この第1の動作パターンは、各後処理パラメータに、次式に示す関係が成立する場合に好適な動作パターンである。ここで、第1の出力設定JOB1をリングバインド処理とし、第2の出力設定JOB2をステープル処理とする。
(数式1)
Tp(例えば4s)<Tf2(例えば5s)<Tf1(例えば12s)
(数式2)
U1(例えば3部)<U2(例えば5部)
【0048】
まず、画像形成制御部15は、1部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt11)、所定の印刷時間(4s)が経過した後に、1部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、1部目の印刷出力を、第1の出力設定JOB1または第2の出力設定JOB2のうち、後処理時間が長い方の後処理(リングバインド処理)へと振り分ける。これにより、1部目の印刷出力を対象として、後処理装置20によりリングバインド処理が開始される(タイミングt12)。
【0049】
つぎに、画像形成制御部15は、2部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt12)、所定の印刷時間(4s)が経過した後に、2部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、2部目の印刷出力を、1部目の印刷出力とは異なる後処理(ステープル処理)へと振り分ける。これにより、2部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt13)。
【0050】
画像形成制御部15は、3部目以降の印刷出力については、以下に示す判断手法にて、実行する後処理のパターンを決定する。すなわち、画像形成制御部15は、次の後処理に供する印刷出力の終了タイミングを基準に、リングバインド処理が実行中であるか否かを判断する。リングバインド処理が実行中である場合、画像形成制御部15は、その印刷出力をステープル処理へと振り分け、その次の印刷出力を対象として前述の判断を行う。一方、リングバインド処理が実行中である場合、画像形成制御部15は、その印刷出力をリングバインド処理へと振り分け、つぎに、その次の印刷出力をステープル処理へと振り分け、そして、その後の印刷出力を対象として前述の判断を行う。
【0051】
具体的には、画像形成制御部15は、2部目の印刷出力の印刷終了タイミングt13から3部目の印刷出力の印刷を開始した場合、この3部目の印刷出力の印刷終了タイミングを基準に、リングバインド処理が終了しているか否かを判断する。
【0052】
リングバインド処理が終了していない場合には、画像形成制御部15は、所定の待ち時間を経過した後、3部目の印刷出力の印刷を開始する(タイミングt14)。この待ち時間は、現在実行中のステープル処理の終了タイミングと、3部目の印刷出力の印刷終了タイミングとが同期するように、調整されている。そして、画像形成制御部15は、所定の印刷時間(4s)の経過後に3部目の印刷出力を得ると、この3部目の印刷出力をステープル処理へと振り分ける。これにより、3部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt15)。
【0053】
つぎに、画像形成制御部15は、3部目の印刷出力の終了タイミングt15から4部目の印刷出力の印刷を開始した場合、この4部目の印刷出力の印刷終了タイミングを基準に、リングバインド処理が終了しているか否かを判断する。リングバインド処理が終了している場合には、画像形成制御部15は、3部目の印刷出力の印刷終了タイミングと同期して4部目の印刷出力を開始する(タイミングt15)。
【0054】
画像形成制御部15は、所定の印刷時間(4s)を経過後に4部目の印刷出力を得ると、この4部目の印刷出力をリングバインド処理へと振り分ける。これにより、4部目の印刷出力を対象として、後処理装置20によりリングバインド処理が開始される。
【0055】
そして、5部目以降の印刷出力についても、同様な処理が継続され、全ての指定部数に対応する印刷出力および後処理が実行される。また、いずれか一方の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理を適用した部数が設定された部数に到達した場合には、残余の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理が設定された部数に到達するまで連続的に実行される。
【0056】
ここで、図5(b)は、第1の動作パターンの比較となる動作パターンの説明図である。同図(b)に示す動作パターンでは、画像形成制御部15は、第1の出力設定JOB1に対応するリングバインド処理が連続的に実行されるように、印刷出力を振り分けるように設定している(後述する第2の動作パターンに対応)。同図(b)に示す手法では、前述の後処理パラメータを実行するための総処理時間は47秒であるのに対して、第1の動作パターンに示す手法では、総処理時間は42秒とすることができる。
【0057】
<第2の動作パターン>
図6は、同時並行で2つの後処理を実行する第2の動作パターンの動作概念を説明する説明図である。この第2の動作パターンでは、各後処理パラメータに、次式に示す関係が成立する場合に好適な動作パターンである。第1の動作パターンと同様、第1の出力設定JOB1をリングバインド処理とし、第2の出力設定JOB2をステープル処理とする。
(数式3)
Tp(例えば4s)<Tf2(例えば5s)<Tf1(例えば12s)
(数式4)
U1(例えば3部)>U2(例えば2部)
【0058】
まず、画像形成制御部15は、1部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt21)、所定の印刷時間(4s)が経過した後に、1部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、1部目の印刷出力を、第1の出力設定JOB1または第2の出力設定JOB2のうち、後処理時間が長い方の後処理(リングバインド処理)へと振り分ける。これにより、1部目の印刷出力を対象として、後処理装置20によりリングバインド処理が開始される(タイミングt22)。
【0059】
つぎに、画像形成制御部15は、2部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt22)、所定の印刷時間(4s)が経過した後に、2部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、2部目の印刷出力を、1部目の印刷出力とは異なる後処理(ステープル処理)へと振り分ける。これにより、2部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt23)。
【0060】
画像形成制御部15は、3部目以降の印刷出力については、以下に示す判断手法にて、実行する後処理のパターンを決定する。すなわち、画像形成制御部15は、第1の出力設定JOB1に対応するリングバインド処理が連続的に実施されるように、印刷出力をステープル処理へと振り分ける。この際、画像形成制御部15は、印刷出力の印刷終了タイミングと、リングバインド処理の開始タイミングとが同期するように、待ち時間を設定し、印刷出力の印刷開始タイミングを遅延させることとする。また、画像形成制御部15は、リングバインド処理の実行期間の間にステープル処理がその都度実施されるように、印刷出力をステープル処理へと振り分ける。
【0061】
具体的には、画像形成制御部15は、タイミングt23から所定の待ち時間を経過した後、3部目の印刷出力の印刷を開始する(タイミングt24)。この待ち時間は、現在実行中のリングバインド処理の終了タイミングと、3部目の印刷出力の印刷終了タイミングとが同期するように、調整されている。そして、画像形成制御部15は、所定の印刷時間(4s)の経過後に3部目の印刷出力を得ると、この3部目の印刷出力をリングバインド処理へと振り分ける。これにより、3部目の印刷出力を対象として、後処理装置20によりリングバインド処理が開始される(タイミングt25)。
【0062】
そして、4部目以降の印刷出力についても、同様な処理が継続され、全ての指定部数に対応する印刷出力および後処理が実行される。また、いずれか一方の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理を適用した部数が設定された部数に到達した場合には、残余の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理が設定された部数に到達するまで連続的に実行される。
【0063】
ここで、図6(b)は、第2の動作パターンの比較となる動作パターンの説明図である。同図(b)に示す動作パターンでは、画像形成制御部15は、第1の動作パターンと同様な観点から印刷出力を振り分けるように設定している。同図(b)に示す手法では、前述の後処理パラメータを実行するための総処理時間は41秒であるのに対して、第2の動作パターンに示す手法では、総処理時間は40秒とすることができる。
【0064】
<第3の動作パターン>
図7は、同時並行で2つの後処理を実行する第3の動作パターンの動作概念を説明する説明図である。この第3の動作パターンは、各後処理パラメータに、次式に示す関係が成立する場合に好適な動作パターンである。ここで、第1の出力設定JOB1をくるみ製本処理とし、第2の出力設定JOB2をステープル処理とする。
(数式5)
Tf2(例えば5s)<Tp(例えば6s)<Tf1(例えば20s)
(数式6)
U1(例えば2部)<U2(例えば6部)
【0065】
まず、画像形成制御部15は、1部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt31)、所定の印刷時間(5s)が経過した後に、1部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、1部目の印刷出力を、第1の出力設定JOB1または第2の出力設定JOB2のうち、後処理時間が長い方の後処理(くるみ製本処理)へと振り分ける。これにより、1部目の印刷出力を対象として、後処理装置40によりくるみ製本処理が開始される(タイミングt32)。
【0066】
つぎに、画像形成制御部15は、2部目の印刷出力の印刷を開始し(タイミングt32)、所定の印刷時間(5s)が経過した後に、2部目の印刷出力が得られる。画像形成制御部15は、2部目の印刷出力を、1部目の印刷出力とは異なる後処理(ステープル処理)へと振り分ける。これにより、2部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt33)。
【0067】
画像形成制御部15は、3部目以降の印刷出力については、以下に示す判断手法にて、実行する後処理のパターンを決定する。すなわち、画像形成制御部15は、次の後処理に供する印刷出力の終了タイミングを基準に、くるみ製本処理が実行中であるか否かを判断する。くるみ製本処理が実行中である場合、画像形成制御部15は、その印刷出力をステープル処理へと振り分け、その次の印刷出力を対象として前述の判断を行う。一方、くるみ製本処理が実行中である場合、画像形成制御部15は、その印刷出力をくるみ製本処理へと振り分け、つぎに、その次の印刷出力をステープル処理へと振り分け、そして、その後の印刷出力を対象として前述の判断を行う。
【0068】
具体的には、画像形成制御部15は、タイミングt33において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をステープル処理に振り分け、タイミングt34において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をステープル処理に振り分ける。これにより、3部目,4部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt34,t35)。そして、画像形成制御部15は、タイミングt35において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をくるみ製本処理に振り分ける。これにより、5部目の印刷出力を対象として、後処理装置40によりくるみ製本処理が開始される(タイミングt36)。
【0069】
そして、6部目以降の印刷出力についても、同様な処理が継続され、全ての指定部数に対応する印刷出力および後処理が実行される。また、いずれか一方の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理を適用した部数が設定された部数に到達した場合には、残余の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理が設定された部数に到達するまで連続的に実行される。
【0070】
ここで、図7(b)は、第3の動作パターンの比較となる動作パターンの説明図である。同図(b)に示す動作パターンは、画像形成制御部15は、第2の動作パターンに示すように、第1の出力設定JOB1に対応するくるみ製本処理が連続的に実行されるように、印刷出力を振り分けるように設定している。同図(b)に示す手法では、総処理時間は55秒であるのに対して、第3の動作パターンに示す手法では、総処理時間は53秒とすることができる。
【0071】
<第4の動作パターン>
図8は、同時並行で2つの後処理を実行する第4の動作パターンの動作概念を説明する説明図である。この第4の動作パターンは、各後処理パラメータに次式に示す関係が成立する場合に好適な動作パターンである。ここで、第1の出力設定JOB1をくるみ製本処理とし、第2の出力設定JOB2をステープル処理とする。
(数式7)
Tf2(5s)<Tp(6s)<Tf1(20s)
(数式8)
U1(4部)>U2(3部)
【0072】
画像形成制御部15は、くるみ製本処理とステープル処理とが交互に実行されるように、各後処理に振り分けている。なお、1部目の印刷出力については、後処理時間が長い後処理へと優先的に振り分けることとしている。
【0073】
具体的には、画像形成制御部15は、タイミングt41において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をくるみ製本処理に振り分ける。これにより、1部目の印刷出力を対象として、後処理装置40によりくるみ製本処理が開始される(タイミングt42)。つぎに、画像形成制御部15は、タイミングt42において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をステープル処理に振り分ける。これにより、2部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt43)。また、画像形成制御部15は、タイミングt43から所定の待ち時間を経過した後、3部目の印刷出力の印刷を開始する(タイミングt44)。この待ち時間は、現在実行中のくるみ製本処理の終了タイミングと、3部目の印刷出力の印刷終了タイミングとが同期するように、調整されている。
【0074】
そして、3部目以降の印刷出力についても、同様な処理が継続され、全ての指定部数に対応する印刷出力および後処理が実行される。また、いずれか一方の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理を適用した部数が設定された部数に到達した場合には、残余の出力設定JOB1,JOB2に対応する後処理が設定された部数に到達するまで連続的に実行される。
【0075】
ここで、図8(b)は、第4の動作パターンの比較となる動作パターンの説明図である。同図(b)に示す動作パターンでは、画像形成制御部15は、第1の動作パターンと同様な観点から印刷出力を振り分けるように設定している。同図(b)に示す手法では、前述の後処理パラメータを実行するための総処理時間は90秒であるのに対して、第4の動作パターンに示す手法では、総処理時間は86秒とすることができる。
<第5の動作パターン>
図8は、同時並行で2つの後処理を実行する第5の動作パターンの動作概念を説明する説明図である。この第5の動作パターンは、各後処理パラメータに次式に示す関係が成立する場合に好適な動作パターンである。ここで、第1の出力設定JOB1を中綴じ処理とし、第2の出力設定JOB2をステープル処理とする。
(数式9)
Tf2(5s)<Tf1(10s)<Tp(12s)
(数式10)
U1(2部)<U2(3部)
【0076】
画像形成制御部15は、第1の出力設定JOB1に対応する中綴じ処理が優先的に実施されるように、印刷出力をステープル処理へと振り分ける。そして、画像形成制御部15は、第1の出力設定JOB1の終了後に、第2の出力設定JOB2に対応するステープル処理が実施されるように、印刷出力をステープル処理へと振り分ける。
【0077】
具体的には、画像形成制御部15は、タイミングt51において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力を中綴じ処理に振り分け、タイミングt52において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力を中綴じ処理に振り分ける。これにより、1部目、2部面の印刷出力を対象として、後処理装置30により中綴じ処理が開始される(タイミングt52,t53)。つぎに、画像形成制御部15は、タイミングt53において印刷出力の印刷を開始し、その印刷出力をステープル処理に振り分ける。これにより、3部目の印刷出力を対象として、後処理装置50によりステープル処理が開始される(タイミングt54)。そして、4部目以降の印刷出力についても、同様な処理が継続され、全ての指定部数に対応する印刷出力および後処理が実行される。
【0078】
ここで、図9(b)は、第5の動作パターンの比較となる動作パターンの説明図である。同図(b)に示す動作パターンでは、画像形成制御部15は、第2の出力設定JOB2に対応するステープル処理が優先的に実施されるように、印刷出力を振り分け、その後に、第1の出力設定JOB1に対応する中綴じ処理が実施されるように、印刷出力を振り分けている。同図(b)に示す手法では、総処理時間は70秒であるのに対して、第5の動作パターンに示す手法では、総処理時間は65秒とすることができる。
【0079】
このように本実施形態の画像形成システムは、ユーザから印刷指令を取得し、印刷指令に基づいて、印刷出力を、第1の印刷出力JOB1用の後処理装置20〜50および第2の印刷出力JOB2用の後処理装置20〜50のいずれに振り分けるのかを規定する動作パターンを決定する制御部としての画像形成制御部15をさらに有している。かかる形成によれば、動作パターンに従って印刷出力を振り分けることにより、最適な順番で後処理を実行することができるので、システム全体の生産性の向上を図ることができる。
【0080】
また、画像形成制御部15は、前述の第1から第5の動作パターンに示すように、単一の印刷指令に要する総処理時間が短いことを条件に動作パターンを決定している。かかる構成によれば、総処理時間が短くなるように印刷出力の振り分け方を決定することができるので、総処理時間の短縮を図ることができる。このようにして、適切な動作パターンを決定することにより、システム全体の生産性の向上を図ることができる。
【0081】
また、画像形成制御部15は、指定部数のなかで第1の後処理(印刷出力JOB1の後処理)を適用する部数と第2の後処理(印刷出力JOB2の後処理)を適用する部数とが個別的に設定された場合、各後処理を適用する部数に基づいて、動作パターンを決定している。短い総処理時間となる動作パターンの組み合わせは、個々の後処理の部数に関係するため、これらのパラメータを考慮することにより、所望の動作パターンを適切に決定することができる。
【0082】
また、画像形成制御部15は、動作パターンの決定にあたり、画像形成装置10による印刷出力の印刷に要する時間、第1の後処理に要する時間および第2の後処理に要する時間をさらに考慮している。短い総処理時間となる動作パターンの組み合わせは、個々の後処理に要する時間および印刷時間に関係するため、これらのパラメータを考慮することにより、所望の動作パターンを適切に決定することができる。
【0083】
さらに、画像形成制御部15は、1部目の印刷出力の振り分け先を、後処理時間が長い方の後処理装置20〜50としている。これにより、短い総処理時間となる動作パターンを適切に決定することができる。
【0084】
なお、上述した実施形態では、2つの後処理装置20〜50が並行して後処理を実行する手法について例示したが、3つ以上の後処理装置20〜50が並行して後処理を実行する手法であってもよい。
【0085】
また、上述した実施形態では、部数を単位として、異なる後処理を適用する手法を説明したが、単一の印刷出力に含まれる複数の用紙のなかで第1の後処理を適用する用紙群と第2の後処理を適用する用紙群とを個別的に設定してもよい。例えば、総枚数が10枚の印刷出力のうち、1枚から8枚までの用紙にステープル処理を適用し、9枚から10枚までの用紙にリングバインド処理を適用するといった如くである。
【0086】
また、画像形成装置10が備える画像形成制御部15が、システムの制御を司る制御部としての機能を担っているが、いずれかの後処理装置20〜50の後処理制御部25〜55が、かかる制御部としての機能を担ってもよい。
【0087】
以上、本発明の実施形態にかかる画像形成システムについて説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されることなく、その発明の範囲内において種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0088】
10 画像形成装置
11 原稿読取装置
12 画像読取制御部
13 画像形成部
14 用紙搬送部
15 画像形成制御部
16 操作表示部
17 通信部
20 後処理装置
21 リングバインド部
22 用紙搬送部
23 共通搬送部
25 後処理制御部
26 通信部
30 後処理装置
31 中綴じ部
32 用紙搬送部
33 共通搬送部
35 後処理制御部
36 通信部
40 後処理装置
41 くるみ製本部
42 用紙搬送部
43 共通搬送部
45 後処理制御部
46 通信部
50 後処理装置
51 ステープル部
52 用紙搬送部
53 共通搬送部
55 後処理制御部
56 通信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の装置を互いに接続して構成される画像形成システムにおいて、
単一の印刷指令の実行に応じて、同一の画像データに対応する印刷出力を指定部数だけ出力する画像形成装置と、
前記画像形成装置の後段側に配置されており、当該画像形成装置からの印刷出力を対象として第1の後処理を実行可能な第1の後処理装置と、
前記第1の後処理装置の後段側に配置されており、前記画像形成装置からの印刷出力を対象として第2の後処理を実行可能な第2の後処理装置とを有し、
前記単一の印刷指令に設定される後処理の内容として前記第1の後処理を適用する対象と前記第2の後処理を適用する対象とが個別的に設定された場合、前記第1の後処理装置および前記第2の後処理装置が個々の後処理を並行して実行することを特徴とする画像形成システム。
【請求項2】
前記第1の後処理装置は、前記画像形成装置から供給される印刷出力を、前記第1の後処理を実行する後処理部をバイパスして前記第2の後処理装置側へと搬送する共通搬送部を備えることを特徴とする請求項1に記載された画像形成システム。
【請求項3】
ユーザから単一の印刷指令を取得し、当該単一の印刷指令に基づいて、前記印刷出力を前記第1の後処理装置および前記第2の後処理装置のいずれに振り分けるのかを規定する動作パターンを決定する制御部を有することを特徴とする請求項1または2に記載された画像形成システム。
【請求項4】
前記制御部は、単一の印刷指令に要する総処理時間が短いことを条件に、前記動作パターンを決定することを特徴とする請求項3に記載された画像形成システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記指定部数のなかで前記第1の後処理を適用する部数と前記第2の後処理を適用する部数とが個別的に設定された場合、各後処理を適用する部数に基づいて前記動作パターンを決定することを特徴とする請求項3または4に記載された画像形成システム。
【請求項6】
前記制御部は、前記動作パターンの決定にあたり、画像形成装置による前記印刷出力の印刷に要する時間、前記第1の後処理装置による第1の後処理に要する時間および前記第2の後処理装置による第2の後処理に要する時間を考慮することを特徴とする請求項5に記載された画像形成システム。
【請求項7】
前記制御部は、1部目の印刷出力の振り分け先を、前記第1の後処理装置または前記第2の後処理装置のうち後処理時間が長い方の装置とすることを特徴とする請求項6に記載された画像形成システム。
【請求項8】
前記制御部は、単一の印刷出力に含まれる複数の用紙のなかで前記第1の後処理を適用する用紙群と前記第2の後処理を適用する用紙群とが個別的に指定された場合、各後処理を適用する用紙群に基づいて前記動作パターンを決定することを特徴とする請求項3に記載された画像形成システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−969(P2013−969A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−134025(P2011−134025)
【出願日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】