説明

画像形成ユニット

【課題】画像形成ユニットの搬送中における現像器内の現像剤の収容位置の偏りを防止する画像形成ユニットカバーを備えた画像形成ユニットを提供する。
【解決手段】画像形成ユニット9の外部搬送用の画像形成ユニットカバー44は全体を構成する通常の難燃性樹脂の部分と、磁力部材47と重なった部分とで構成される。磁力部材47は画像形成ユニットカバー44の内側の現像器14に対応する領域bに画像形成ユニットカバー44と重ねて一体に設けられる。磁力部材47は二成分現像剤46と磁力で引き合うことにより、一方では現像器14の側面に固定されるとともに、他方ではユニット筐体16aの外から磁力を作用させて、二成分現像剤46を捕捉して移動を禁止し、現像器14内における二成分現像剤46の偏在を防止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成ユニットの搬送中における現像器内の現像剤の収容位置の偏りを防止する画像形成ユニットカバーを備えた画像形成ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真方式の画像形成装置がある。この画像形成装置は、一般に感光体ドラムを一様に帯電させて初期化し、この感光体ドラムに光書込みによって静電潜像を形成し、この静電潜像をトナー像化、つまり現像して、そのトナー像を直接または間接に用紙等の転写材に転写して定着器で定着させる。
【0003】
静電潜像のトナー像化には現像器が用いられる。現像器には、一成分現像剤であるトナーのみを用いるものと、キャリアとトナーを含む二成分現像剤を用いるものとがある。いずれにしても現像剤はミクロン単位の微細な粉末で極めて軽く飛散しやすい。
【0004】
現像器には種々のシールド部材が配設されて現像剤の漏出を防止している。しかし二成分現像剤のキャリアは磁力を有する磁性体であるので、現像動作中に現像器から他の磁性体、例えば感光体ドラムなどに転移して付着することもある。
【0005】
また、近年、画像形成装置の小型化が進むにつれて、その内部装置も小型化され、ユニット化されている。そして、ユニット化された部分のみ単体で交換のため包装されたり搬送されたりすることが多くなっている。
【0006】
そのような現状において、感光体ドラムの表面を覆い又は露出させるよう開閉するシャッタ装置の保護カバーにマグネット体を配設し、感光体ドラムの表面を覆う閉位置に保護カバーが変位したときマグット体が感光体ドラム側に飛散したキャリアを磁気吸着して回収する画像形成装置が提案されている。(例えば、特許文献1参照。)
【0007】
また、磁性トナーを用いる現像ユニットの現像ローラを保護するカバーに磁石を備え、現像ユニットの廃棄時や回収時においてトナーの飛散を防止し、現像ユニット回収時の輸送の衝撃により現像ローラ部付近からこぼれるトナーを磁石に付着させて外にこぼれるのを防止する現像ユニットが提案されている。(例えば、特許文献2参照。)
【0008】
また、梱包部材に画像形成装置のプロセスユニットを梱包して運搬するとき、現像器の現像ローラに対向する梱包部材の位置にシール用マグネットを設け、その磁力によって現像容器内から磁性現像剤が外部に飛散することを防止するプロセスユニットの梱包装置が提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
【0009】
ところで、従来、新品時の現像剤は現像器内に新たに設置された別袋に密閉されて、偏りも漏出もしないようになっているものが多い。しかし使用開始時に、ユーザまたはサービスマンがその別袋を破いて現像剤を出す作業を行う必要がある。これは部品の構成も複雑になり作業的にも汚れる可能性があるので非常に煩わしい。
【0010】
そこで、工場出荷時から現像剤を現像器内に充填して出荷する方法も採用されている。ところが、現像剤は、感光体ドラムに転移したり飛散して付着したり、現像ローラ部付近からこぼれたり、外部に飛散するだけではない。
【0011】
現像ユニット又は現像ユニットを含む画像形成ユニットが工場から出荷されたとき、輸送時にかかる振動や、取り扱い時に縦置きされた場合、現像器内の現像剤が一方向に偏ってしまうことが多い。
【0012】
図4は、そのように現像ユニットの搬送中に現像ユニットが振動や取扱いの不備で傾いてしまい、現像剤が現像器内で傾いたほうに偏ってしまう現象を示す図である。同図は、二成分現像剤を用いる現像器1を示している。
【0013】
図4に示す現像器51は、現像ローラ52と、現像ローラ52に現像剤53を供給する供給側攪拌搬送スクリュー54と図外のトナー供給部から補給されるトナーをキャリアと共に攪拌して供給側攪拌搬送スクリュー54に送出する補給側攪拌搬送スクリュー55を備えている。
【0014】
現像剤53は現像器51の供給側攪拌搬送スクリュー54と補給側攪拌搬送スクリュー55が配置されている2つの現像槽内において、ともに図の右側に全体の1/3程度偏っている。
【0015】
このように現像剤53が偏ると、画像形成装置本体に現像器51が装着されて駆動が開始されると、攪拌搬送スクリュー54及び55に定格以上の負荷が掛る。そのように負荷が増大すると、駆動モータが脱調したり、駆動系を構成するギヤが破損するなどの不具合が発生する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】特開2008−286846号公報
【特許文献2】特開平08−272207号公報
【特許文献3】特開平11−249533号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
通常は、定格以上のトルクでも現像器の攪拌搬送スクリューを回転駆動できるようにモータや駆動伝達系には定格以上の余力を持たせてある。しかし、そのために、モータの規格を上げたり、ギア歯を大きくしたりするので、装置が大型化してコストの上方を招く。また消費電力も過剰となるなど種々の問題が発生する。
【0018】
また、それだけでなく、現像剤が一方に偏在したまま無理に駆動を続けると、現像剤が集まっている場所で現像ローラが現像した画像が濃く、現像剤が少なくなっている場所で現像ローラが現像した画像が薄く形成され、画像不良が生じるという不具合も発生する。
【0019】
また、偏った現像剤を均一にするために、ウォーミングアップに時間をかけると、上記のような不具合の発生を避けることはできるが、現像器を交換するたびに、実働の立ち上がりまでに、ウォーミングアップの時間が掛るのではユーザ側に不満が残る。したがって輸送時に現像剤が偏らない工夫が必須である。
【0020】
また、現像剤の偏りを防止する方法としては、現像器内の現像剤攪拌・循環経路に障壁を設けて偏り難くするという方法もあった。しかし、現像剤の攪拌・循環経路内に障壁等を設けたのでは、本来の現像剤の攪拌・循環機能を阻害する可能性が高く、好ましい方法ではない。
【0021】
上記の特許文献1は、ドラムキットと一体な開閉保護カバーにマグネット体を配設して感光体ドラム側に飛散したキャリアを磁気吸着して回収するものであるが、搬送中における現像器内の現像剤の偏り防止については何の記載も見られない。
【0022】
また特許文献2は、現像ユニットの現像ローラの保護するカバーに磁石を備え、現像ユニットの廃棄時や回収時、又は回収時の輸送の衝撃で、トナーが飛散することや現像ローラ部付近からこぼれることを防止するものであるが、搬送中における現像器内の現像剤の偏り防止については何の記載も見られない。
【0023】
また特許文献3は、梱包部材側にシール用マグネットを設け、画像形成装置のプロセスユニットを梱包して運搬するときに、現像容器内から磁性現像剤が外部に飛散することを防止するものであるが、これも搬送中における現像器内の現像剤の偏り防止については何の記載も見られない。
【0024】
本発明は、上記従来の課題を解決するものであって、画像形成ユニットの搬送中における現像器内の現像剤の収容位置の偏りを防止する画像形成ユニットカバーを備えた画像形成ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
上記課題を解決するために、本発明の画像形成ユニットは、磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像器と、該現像器に対応する領域を少なくとも覆うための着脱自在な画像形成ユニットカバーと、該画像形成ユニットカバーに形成され、該画像形成ユニットカバーの上記現像器に対応する領域に、ユニット筐体外から磁力を作用させて上記二成分現像剤を捕捉して、上記現像器内における上記二成分現像剤の偏在を抑制する磁力部材と、を備えるように構成される。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、画像形成ユニットカバーの現像器に対応する領域に画像形成ユニットカバーと一体に構成された磁力部材を配置するので、画像形成ユニットの搬送中における現像器内の現像剤の収容位置の偏りを防止することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の実施例1に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニットを備えたフルカラーの画像形成装置(プリンタ)の内部構成を説明する断面図である。
【図2】(a)は実施例1に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニットのプリンタへ装着前の新品を単体で示す斜視図、(b)は(a)のA−A´矢視断面図である。
【図3】実施例2に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニットの断面図である。
【図4】従来の現像ユニットの搬送中に現像ユニットが傾いて現像剤が現像器内で傾いたほうに偏ってしまう現象を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【実施例1】
【0029】
図1は、本発明の実施例1に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニットを備えたフルカラーの画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0030】
図1に示すプリンタ1は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部2、転写ベルトユニット3、トナー供給部4、給紙部5、ベルト式定着ユニット6、及び両面印刷用搬送ユニット7で構成されている。
【0031】
上記画像形成部2は、いわゆる背面転写方式で転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー画像を転写するために、その転写ベルト8の下部走行部表面8aに接して同図の右から左へ4個の画像形成ユニット9(9k、9c、9m、9y)を多段式に並設した構成をとっている。
【0032】
この画像形成部2は、図1に示す印刷実行時位置から、それより下方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。上記4個の画像形成ユニット9のうち上流側(図の左側)の3個の画像形成ユニット9y、9m及び9cは、それぞれ減法混色の三原色であるイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)の色トナーによるモノカラー画像を形成する。
【0033】
また、画像形成ユニット9kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。上記の各画像形成ユニット9は、画像を現像するトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下イエロー(Y)のトナー用の画像形成ユニット9yを例にしてその構成を説明する。
【0034】
画像形成ユニット9は、最上部に感光体ドラム10を備えている。この感光体ドラム10は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム10の周面近傍を取り巻いて、クリーナ11、帯電ローラ12、光書込ヘッド13、及び現像器14の現像ローラ15が配置されている。
【0035】
現像器14は、外部を覆うユニット筐体16、内部に設けられた隔壁17、現像ローラ15、第1の攪拌搬送スクリュー18、及び第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19は、特には図示しないが、スクリュー軸と、このスクリュー軸と一体に構成されて回転するフィンから成る。
【0036】
この現像器14には、トナー供給部4のリザーブタンク27(27y、27m、27c、27k)から、同図にはY、M、C、Kで示すようにイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のいずれかのトナーが供給される。
【0037】
転写ベルトユニット3は、本体装置のほぼ中央で図の左右方向に扁平なループ状になって延在する無端状の上述した転写ベルト8と、この転写ベルト8を掛け渡されて転写ベルト8を図の矢印aで示す反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ21と従動ローラ22を備えている。
【0038】
上記の転写ベルト8には、一次転写ローラ20がユニットと一体に組み込まれている。一次転写ローラ20は転写ベルト8を介して感光体ドラム10に圧接し、下方を循環移動する転写ベルト8の下部走行部表面8aにトナー像を直接転写(一次転写)する。転写ベルト8は、そのトナー像を更に用紙に転写(二次転写)すべく用紙への二次転写部23まで搬送する。
【0039】
転写ベルト8には、ベルトクリーナ24が配置されている。ベルトクリーナ24は、転写ベルト8の駆動ローラ21に掛け渡されている表面に当接するクリーニングブレード25を備えている。また、ベルトクリーナ24の下方には廃トナー回収容器26が着脱自在に配置されている。
【0040】
ベルトクリーナ24は、クリーニングブレード25により転写ベルト8の表面に残留する廃トナーを擦り取って除去し、その廃トナーを搬送スクリューにより下方の廃トナー回収容器26に送り込んでいる。
【0041】
トナー供給部4は、転写ベルト8の上部走行部の上方に配置されている4個のリザーブタンク27(27y、27m、27c、27k)と、これらのリザーブタンク27の上にそれぞれ着脱自在に配置されたトナー補充用のトナーカートリッジ28(28y、28m、28c、28k)で構成される。
【0042】
4個のトナーカートリッジ28y、28m、28c、28kは、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)のトナーを収容し、4個のリザーブタンク27(27y、27m、27c、27k)は、それぞれ上に装着されているトナーカートリッジ28からトナーを補充される。
【0043】
これら4個のリザーブタンク27は、図1では転写ベルトユニット3の向う側に隠れて見えないが、それぞれトナー供給路により、それぞれに対応する画像形成ユニット9の現像器14と連結されている。
【0044】
このトナー供給部4は、特には図示しないが、図1に示す印刷実行時位置から、それより上方の保守位置に、昇降可能にプリンタ1本体のフレームに保持されている。
【0045】
このトナー供給部4の左方には、ベルトクリーナ24の左方から駆動ローラ21の上方にかけて2つの電装部30が配設されている。電装部30には、複数の電子部品からなる制御装置が搭載された回路基盤を備えている。
【0046】
給紙部5は、上下2段に配置された2個の給紙カセット29(29a、29b)を備えている。2個の給紙カセット29の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ31、給送ローラ32、捌きローラ33、待機搬送ローラ対34が配置されている。
【0047】
待機搬送ローラ対34の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト8を介して従動ローラ22に圧接する二次転写ローラ35が配設されて、前述した用紙への二次転写部23を形成している。
【0048】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着ユニット6が配置されている。ベルト式熱定着ユニット6の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着ユニット6から搬出する搬出ローラ対36、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー37に排紙する排紙ローラ対38が配設されている。
【0049】
両面印刷用搬送ユニット7は、外面(図の右方外側面)がプリンタ1の内部を側面から外部に開放又は遮蔽する開閉部材を兼ねている。
【0050】
この両面印刷用搬送ユニット7は、排紙ローラ対38の直前から図の右横方向に分岐する開始返送路39a、それから下方に曲がる中間返送路39b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路39cから成る返送路39を備えている。
【0051】
また、返送路39の途中には、5組の返送ローラ対41(41a、41b、41c、41d、41e)が配置されている。上記終端返送路39cの出口は、給紙部5の下方の給紙カセット29bに対応する待機搬送ローラ対34への搬送路に合流している。
【0052】
図2(a)は、実施例1に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニット9のプリンタ1へ装着前の新品を単体で示す斜視図であり、同図(b)は同図(a)のA−A´矢視断面図である。
【0053】
尚、図2(a),(b)には図1の構成と同一の構成部分には図1と同一の番号を付与して示しえている。また、図2(b)には、光書込ヘッド13との係合部42とトナー濃度センサ43も示している。
【0054】
画像形成ユニット9の現像器14は、ユニットフレーム45に保持される外側ユニット筐体16aと内側ユニット筐体16bとを含む図1でも示したユニット筐体16で囲まれた2つの現像槽内に、現像剤搬送手段としての第1の攪拌搬送スクリュー18と第2の攪拌搬送スクリュー19を備えている。
【0055】
第1の攪拌搬送スクリュー18は、外部から補給されるトナーを内部の二成分現像剤46と混合攪拌しながら第2の攪拌搬送スクリュー19側に送出する部材である。第2の攪拌搬送スクリュー19は、二成分現像剤46を攪拌搬送しながら現像ローラ15に供給する部材である。
【0056】
これら第1及び第2の攪拌搬送スクリュー18及び19が配設されている2つの現像槽内には、工場からの出荷時に、キャリアとトナーを含む二成分現像剤46が予め充填されている。
【0057】
ところで、図1に示したプリンタ1のように、背面転写方式の現像機の場合、感光体ドラム10の上面が大きく外部に露出する。新品の画像形成ユニット9を持ち運んだり搬送したりするときには、感光体ドラム10も含めて画像形成ユニット9の外側を保護するために画像形成ユニットカバーが必要である。
【0058】
本例の画像形成ユニット9は、図2(a),(b)に示すように、現像器14に対応する領域bを少なくとも覆うための画像形成ユニットカバー44(44a、44b)を備えている。この画像形成ユニットカバー44は、弾力性のある硬質樹脂製のカバーである。
【0059】
この画像形成ユニットカバー44の内側の、現像器14に対応する領域bには磁力部材47が画像形成ユニットカバー44と重ねて一体に設けられている。
【0060】
図2(a),(b)に示すように、画像形成ユニットカバー44によって画像形成ユニット9を覆うときは、図2(b)に示すように、磁力部材47と現像槽内の二成分現像剤46とが磁力で矢印cのように引き合う。このため、現像器14側を覆う画像形成ユニットカバー44は上から下端部44aまで現像器14の側面に固定される。
【0061】
画像形成ユニットカバー44の感光体ドラム10を覆う部分は、更に感光体ドラム10に対し現像器14の反対側まで延在して、端部にフック44bを形成されている。画像形成ユニットカバー44の現像器14の反対側まで延在する部分は、フック44bによりユニット筐体16cの角部に係合してユニット筐体16に固定される。
【0062】
このように、この画像形成ユニットカバー44は、磁力による吸着力と簡単なフック形状とで画像形成ユニット9に簡単に取り付け、取り外しができる。すなわち画像形成ユニット9に対し着脱自在な構成となっている。
【0063】
ここで、本例の磁力部材47は、二成分現像剤46と磁力で引き合うことにより、一方では現像器14の側面に固定されるとともに、他方ではユニット筐体16aの外から磁力を作用させて、図2(b)に示すように、二成分現像剤46を捕捉して移動を禁止し、現像器14内における二成分現像剤46の偏在を防止する。
【0064】
尚、トナー濃度センサ43は強い磁力の磁力部材47に近接すると故障の可能性が大きくなるので、トナー濃度センサ43は磁力部材47から少なくとも20mm以上の間隔を置いて配置するようにする。
【0065】
また、磁力部材47の磁力は、画像形成ユニット9の樹脂ケースを通して現像剤46を捕捉して移動を禁止できる程度、現像剤46とは逆極性の磁力が最低限必要である。
【0066】
尚、磁力部材47の磁力は、強いほど捕捉できる現像剤の量も多くなり偏り防止に対して効果的である。しかし、高コストになっては不経済であるので、単位面積当たり補足したい現像剤の量と磁力部材のコストとの見合いで決めることになる。
【0067】
例えば、本願出願人のカシオ電子工業株式会社製の画像形成ユニットで多く使われている難燃性樹脂は、認定肉厚1.5mm以上である。この難燃性樹脂の2mmの厚さのものを挟んで、トナー濃度8%の二成分現像剤43に補足力を及ぼすために必要な磁力は、実測値で40mT以上であった。
【0068】
一般的なマグネットの磁力は、上記の難燃性樹脂の厚さをtとすると、その難燃性樹脂を挟んだ状態で測定した場合、フェライト系マグマグネットの場合はt=1mmに対して磁力T(テスラ)は15〜25mT、t=2mmでは磁力は25〜35mT、t=3mmでは磁力は35〜45mTであった。
【0069】
また、ネオジム系マグネットの場合は、t=1mmでは磁力は70〜80mT、t=2mmでは磁力は90〜110mT、t=3mmでは磁力は110〜120mTであった。上記の実測値により、多量の現像剤を安定して補足するためにはネオジム系マグネットを用いるのが適正であることが判明する。
【0070】
しかし、ネオジム系マグネットは、コストが高いため、フェライト系でも適正な磁力部材付きの画像形成ユニットカバーに対応できるようにするための機構的な工夫が必要となった。
【実施例2】
【0071】
図3は、実施例2に係る画像形成ユニットカバーを有する画像形成ユニットの断面図である。尚、図3には、図2(a),(b)と同一の構成又は機能の部分には図2と同一の番号を付与して示している。
【0072】
図3において、図2の場合と異なるのは、現像器14に対応する領域bを覆う画像形成ユニットカバー44の構成である。本例において、現像器14に対応する領域bを覆う画像形成ユニットカバー44は、樹脂の部分がなく、磁力部材47のみで構成されている。
【0073】
この構成は、2色成形で対応でき、普通の樹脂カバーの部分と磁力部材の部分を一部品で構成したものである。すなわち、感光体ドラム10を含むそれより右方の部分は一般的な難燃性樹脂とし、現像器14の部分をプラスチックマグネット用樹脂の2色成形にする。
【0074】
これにより、スペースが少ない中でも、安い低磁力性の磁力部材で必要な厚さを確保し、高磁力を持った画像形成ユニットカバーを成形することができる。
【0075】
このように、本発明の実施例によれば、予め二成分現像剤を充填した新品の画像形成ユニットの搬送中に、搬送中の振動や取扱いの不手際で画像形成ユニットが傾いても、現像器内の二成分現像剤が一方に偏在することがない。
【0076】
したがって、新品の画像形成ユニットをカバーを外して画像形成装置に装着して直ちに駆動しても、現像器内に均一に分散した二成分現像剤を定格の駆動出力で攪拌搬送することができる。これにより、駆動系を小型化してコスト低減に寄与できるとともに、立ち上がり時間を短縮しつつ、直ちに良好な画像を形成することができる。
【0077】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、本発明は特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
【0078】
磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像器と、
該現像器に対応する領域を少なくとも覆うための着脱自在な画像形成ユニットカバーと、
該画像形成ユニットカバーに形成され、該画像形成ユニットカバーの前記現像器に対応する領域に、ユニット筐体外から磁力を作用させて前記二成分現像剤を捕捉して、前記現像器内における前記二成分現像剤の偏在を抑制する磁力部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成ユニット。
[付記2]
【0079】
前記画像形成ユニットに感光体を備え、
前記画像形成ユニットカバーは、前記現像器に対応する領域においては前記磁力部材により前記ユニット筐体に固定され、前記感光体の前記ユニット筐体から露出する領域を覆う部分は更に延在して前記感光体に対し前記現像器の反対側において前記ユニット筐体に係合して前記ユニット筐体に固定される、
ことを特徴とする付記1記載の画像形成ユニット。
[付記3]
【0080】
前記磁力部材は、前記画像形成ユニットカバーに重ねて該画像形成ユニットカバーと一体に構成されている、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成ユニット。
[付記4]
【0081】
前記磁力部材は、前記画像形成ユニットカバーの延長部として前記現像器に対応する領域を覆うように構成されている、ことを特徴とする付記1又は2記載の画像形成ユニット。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、画像形成ユニットの搬送中における現像器内のトナーの収容位置の偏りを防止する画像形成ユニットカバーを備えた画像形成ユニットに利用することができる。
【符号の説明】
【0083】
1 フルカラー画像形成装置(プリンタ)
2 画像形成部
3 転写ベルトユニット
4 トナー供給部
5 給紙部
6 ベルト式定着ユニット(定着装置)
7 両面印刷用搬送ユニット
8 転写ベルト
8a 下部走行部表面
9(9m、9c、9y、9k) 画像形成ユニット
10 感光体ドラム
11 クリーナ
12 帯電ローラ
13 光書込ヘッド
14 現像器
15 現像ローラ
16(16a、16b、16c) ユニット筐体
17 隔壁
18 第1の攪拌搬送スクリュー
19 第2の攪拌搬送スクリュー
20 一次転写ローラ
21 駆動ローラ
22 従動ローラ
23 二次転写部
24 ベルトクリーナ
25 クリーニングブレード
26 廃トナー回収容器
27(27m、27c、27y、27k) リザーブタンク
28(28m、28c、28y、28k) トナーカートリッジ
29(29a、29b) 給紙カセット
30 電装部
31 用紙取出ローラ
32 給送ローラ
33 捌きローラ
34 待機搬送ローラ対
35 二次転写ローラ
36 搬出ローラ対
37 排紙トレー
38 排紙ローラ対
39 返送路
39a 開始返送路
39b 中間返送路
39c 終端返送路
41(41a、41b、41c、41d、41e) 返送ローラ対
42 光書込ヘッドとの係合部
43 トナー濃度センサ
44(44a、44b) 画像形成ユニットカバー
45 ユニットフレーム
46 二成分現像剤
47 磁力部材
51 現像器
52 現像ローラ
53 現像剤
54 供給側攪拌搬送スクリュー
55 補給側攪拌搬送スクリュー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性キャリアとトナーとを含む二成分現像剤を収容する現像器と、
該現像器に対応する領域を少なくとも覆うための着脱自在な画像形成ユニットカバーと、
該画像形成ユニットカバーに形成され、該画像形成ユニットカバーの前記現像器に対応する領域に、ユニット筐体外から磁力を作用させて前記二成分現像剤を捕捉して、前記現像器内における前記二成分現像剤の偏在を抑制する磁力部材と、
を備えたことを特徴とする画像形成ユニット。
【請求項2】
前記画像形成ユニットに感光体を備え、
前記画像形成ユニットカバーは、前記現像器に対応する領域においては前記磁力部材により前記ユニット筐体に固定され、前記感光体の前記ユニット筐体から露出する領域を覆う部分は更に延在して前記感光体に対し前記現像器の反対側において前記ユニット筐体に係合して前記ユニット筐体に固定される、
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成ユニット。
【請求項3】
前記磁力部材は、前記画像形成ユニットカバーに重ねて該画像形成ユニットカバーと一体に構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成ユニット。
【請求項4】
前記磁力部材は、前記画像形成ユニットカバーの延長部として前記現像器に対応する領域を覆うように構成されている、ことを特徴とする請求項1又は2記載の画像形成ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−45075(P2013−45075A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−184948(P2011−184948)
【出願日】平成23年8月26日(2011.8.26)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】