説明

画像形成体

【課題】照明光の影響による画質劣化の少ない、画像表示体を提供する。
【解決手段】基材上に、複数の異方性拡散反射体が隣接して配列された画像形成体であって、前記異方性拡散反射体は、少なくとも樹脂層の上に反射層が積層されており、前記樹脂層は、表面に凸部が複数形成されており、前記凸部は、直行する長辺と短辺の長さが異なっており、前記凸部は、平行かつ等ピッチで複数配置されていることを特徴とする画像形成体を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホログラムやレンチキュラーレンズを用いた画像形成体などのように、ほぼ平面形状でありながら立体画像を表示できる画像形成体の技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
白色光再生ホログラムは、良質な立体画像を再生できる技術であり、レインボウホログラムやリップマンホログラムなどが良く知られている。エンボスホログラムなどの白色光再生ホログラムの画像を観察する場合、実際には電灯などの光を利用して像を再生する場合が多い。しかし、普通の電灯装置は、特に日本では蛍光灯が使われていることもあって、発光部分の大きさがかなり大きいため、点光源や平行光でなく、拡散照明光で再生されることになる(非特許文献1、2)。
【0003】
ところが、エンボスホログラムは拡散照明光で照明すると、照明光源の大きさに伴って、再生される画像がぼけてしまい、良好な画像が得られなくなってしまう。このことは、エンボスホログラムに限らず、立体像が記録されている白色光再生型ホログラム全般で生じる。このため、白色光再生ホログラムでは、普通の観察条件で良好な立体画像が得られ難いという問題点があった。
【0004】
一方、立体画像表示用の画像形成体として、レンチキュラーレンズを用いたものも利用されている。
【0005】
レンチキュラーレンズを用いた画像形成体は、例えば、印刷等で表示された画像層の上に細かいかまぼこ状のレンズが複数並んだような構成となっている。レンチキュラーレンズを用いた画像形成体は、ホログラムと違って照明光による画像のボケが生じないので、通常の観察条件でも、かなり良好な立体画像を観察することができるという利点がある(非特許文献3)。
【0006】
しかしながら、このようなレンチキュラーレンズを用いた画像形成体の場合には、画像層とレンチキュラーレンズの距離をレンズの焦点距離に相当する距離だけ離す必要があるため、ホログラムに比べて画像表示体が最低でも数十〜数百μm程度は必要となり、かなり厚くなる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】「ホログラフィの原理」、オプトロニクス社、P.ハリハラン 著、7章
【非特許文献2】「ホログラフィックディスプレイ」、産業図書、辻内順平 著、2章
【非特許文献3】「3次元ディスプレイ」、産業図書、増田千尋 著、5章
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、従来、立体画像を再生する画像形成体として用いられているホログラムの場合には、照明光源の影響により像がぼけやすいという問題があり、レンチキュラーレンズを用いた画像形成体は、厚みが薄くできないため、セキュリティなどの用途で使用するのが困難であるという問題点があった。
【0009】
本発明はこのような問題点を解決するためになされたものであり、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、立体画像を再現する画像形成体を提供することを目的にしている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記の課題を解決するための手段として、第1の発明は、
複数の凹部又は凸部が二次元的に配列された凹凸構造領域を一方の主面に
含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた特定方向に広く拡散し、それと垂直な方向には狭く拡散するような異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記複数隣接して配列された前記異方性拡散反射体の、隣接する一方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向と、隣接する他方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向が異なり、
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体である。
また、第2の発明は、
互いに交差する第1及び第2方向に配列された複数の凹部又は凸部を備えた凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた特定方向に異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記第1及び第2方向に対して垂直な第3方向から観察した場合に、隣接する一方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向と、隣接する他方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向とが異なり
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体
である。
また、第3の発明は
前記凹凸構造領域に配列される前記複数の凹部又は凸部が、各々の異方性拡散反射体においてほぼ同じ向きに配列されていることを特徴とする請求項1乃2のいずれかに記載の画像形成体。
である。
また、第4の発明は
互いに交差する第1及び第2方向に配列された複数の凹部又は凸部を備えた凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた特定方向に異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記凹凸構造領域に配列された複数の凹部又は凸部は、同じ向きに配列されており、
隣接する一方の異方性拡散反射体が備える複数の凹部又は凸部の向きと、隣接する他方の異方性拡散反射体が備える複数の凹部又は凸部の向きとが異なり
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体である。
また、第5の発明は
前記画像形成体は、複数の凹部又は凸部が二次元的に配列された凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた構造を持ち、拡散光の拡がり方が方向によってほぼ一定である
等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を備え、
少なくとも一つの異方性拡散反射体に隣接して配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成体である。
また、第6の発明は、
前記等方性拡散反射体が有する前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成体である
また、第7の発明は、
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成体であって、
画像として、複数平面の組合せによって構成されている立体物を、ある方向から観察した場合に対応した投影像が記録されていることを特徴とする画像形成体である。
また、第8の発明は、
前記凹凸領域がレリーフ構造であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成体である。
また、第9の発明は、
前記異方性拡散体が、
拡散の広い方向では、正反射方向に対して、拡散光の強度が半分になる半値角が30°以上になっており、
拡散の狭い方向では、半値角が15°以下になっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成体
である。
また、第10の発明は、
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
三角形の第1異方性拡散反射体と、
三角形の第2異方性拡散反射体と、
三角形の第3異方性拡散反射体と、
三角形の第4異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが右上斜線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体
である。
また、第11の発明は、
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
台形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
台形の第4異方性拡散反射体と、
四角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが上横線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが下横線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右縦線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体
である。
また、第12の発明は、
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
平行四辺形の第1異方性拡散反射体と、
平行四辺形の第2異方性拡散反射体と、
平行四辺形の第3異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが縦線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが横線を隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体
である。
また第13の発明は、
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
三角形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
三角形の第4異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが横線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体である。
また、第14の発明は、
複数平面の組合せによって構成されている立体物の一つの平面を法線方向から観察し、前記平面の周囲を複数の側面が囲んだ投影像が記録された画像形成体であって、
前記法線方向から観察した平面は、複数の辺を備えた多角形であり、
前記側面は、台形又は平行四辺形のいずれかから選ばれて前記平面の各辺に、上辺を介して隣接し、
各側面は、上辺と下辺との距離が等しく、隣接する側面は夫々の辺の長さが同一であり、側辺を共有して配列され、
各側面の下辺に垂直に降ろす線の方向が同じとなる側面は、異方性の拡散光を射出する方向が同じとなる異方性拡散反射体を用いられること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成体である。
また、第15の発明は、
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
台形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
台形の第4異方性拡散反射体と、
台形の第5異方性拡散反射体と、
台形の第6異方性拡散反射体と、
六角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが下線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第5異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第5異方性拡散反射体の一辺と前記第6異方性拡散反射体の一辺とが右上斜線を介して隣接して配列され、
前記第6異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが上線を介して隣接して配列されており、
前記等方性拡散反射体は、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが中左下斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが中左縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが中左上斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが中右上縦線を介して隣接して配列されており、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第5異方性拡散反射体の一辺とが中右縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第6異方性拡散反射体の一辺とが中右下縦線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体である。
また、第16の発明は、前記画像層は、光透過性を供えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成体である。
また、第17の発明は、請求項16に記載の画像表示体であって、前記画像層が積層された部分で、往復での光の散乱が、半値角で15°以下になっていることを特徴とする画像表示体である。
また、第18の発明は、請求項16に記載の画像表示体であって、前記画像層が積層された部分の一部で、往復での光透過率が、輝度換算で30%以上になることを特徴とする画像表示体である。
また、第19の発明は、請求項16に記載の画像表示体であって、前記画像層が積層された部分で、散乱反射される光が透過光の1/10以下であることを特徴とする画像表示体である。
【発明の効果】
【0011】
第1の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。また、本発明における異方性反射体とは、白色光を入射した時に、その正反射方向を中心にして拡がる白色拡散光として反射し、その拡散光の拡がる広さが、正反射方向に垂直な特定方向と、特定方向に直交する方向とで異なっていることを指す。
また、第2の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第3の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第4の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第5の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第6の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第7の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第8の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第9の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第10の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、四角錘を上から観察したような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第11の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、ピラミッド状の四角錐を底面に平行な面で切ったような立体物を上から観察したような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第12の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、立方体または直方体を斜めから観察したような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第13の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、屋根のような形状を上方向から観察したような、または、それらを組み合わせたような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第14の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、多角形で形成される任意の画像が飛び出したような立体画像または引っ込んだような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。例えば、底面が凸形状のピラミッド状の角錐を底面に平行な面で切ったような立体物を上から観察したような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。この場合、立体形状の側面に対応する台形や平行四辺形の下辺に降ろす線の方向が同じとなる面については、異方性の散乱光の方向が同じとなるように異方性拡散反射体を配置すると、より立体的に画像形成体を視認することができる。
また、第15の発明によると、凹凸構造領域毎に特定方向に異方性の拡散光を均一に射出することができるだけでなく、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、六角錐を底面に平行な面で切ったような立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第16の発明によると、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、任意な色のカラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第17の発明によると、画像のコントラスト低下が少なくなり
画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、クリアなカラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第18の発明によると、光沢感が十分に再現でき
画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
また、第19の発明によると、画像層の表面反射による悪影響を低減でき
画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、カラー立体画像を再現する画像形成体を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像形成体に用いる異方性拡散反射体の一例を示す概要図。
【図2】本発明の画像形成体に用いる異方性拡散反射体の一例を示す概要図。
【図3】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図4】本発明の画像形成体の視認状態の一例を示す概要図。
【図5】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図6】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図7】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図8】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図9】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図10】本発明の画像形成体の一例を示す概要図。
【図11】拡散反射体を観察する場合の、拡散光の一例を示す概要図。
【図12】本発明の画像形成体を作成する工程の一実施例を示す概要図。
【図13】本発明の画像形成体を作成する工程で用いているマスクの一例を示す概要図。
【図14】本発明の画像形成体に用いる異方性拡散反射体の一例を示す概要図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明で立体画像を観察できる原理について説明を行う。
【0014】
立体画像を表示する原理としては、右目と左目で物体の対応する位置が違って見える、両眼視差が知られており、多くの立体ディスプレイでは両眼視差の方式が用いられている。
【0015】
しかし、人が物体を眼で見て立体であることを判断する際に、両眼視差情報のみで判断しているのではなく、眼に入ってくる、物体の形、陰影、光沢などの色々な情報から、総合的に判断をくだして立体であると感じており、これら各要素の立体感に対する影響の大きさは、観察する物体や、観察の条件によって、違ってくる。
【0016】
例えば、観察する物体の、奥行きが大きい場合には、右目と左目で観察される対応物の位置の違いが大きいので、両眼視差の影響が大きくなる。逆に、奥行きの小さい物体や離れたところにある物体など、両目で見たときの位置の違いが小さい画像の場合には、両眼視差の影響は小さくなる。
【0017】
特に、奥行きが比較的小さく光沢が強くでる物体などの場合には、立体感は、光沢を中心とした画像の明るさ分布でほとんど決まることになる。
【0018】
このため、このような画像を表現する場合には、両眼視差が全くない場合でも、画像として、立体物を、ある方向から観察した場合に対応した投影像が記録されており、その明るさ分布が立体物らしく表現されていれば、十分な立体感を得ることが可能である。そこで、本発明では、このような考え方に基づき、画像自体はディスプレイ面に形成しておいて、光沢や明暗をうまく表現することで、立体像を得るという方法を用いている。
【0019】
本発明では、このような、比較的奥行きが小さく光沢が強い物体として、特に、金属など光沢感の強い物質で作られ、表面がある程度ざらついた平面を組合せて作成される立体物、例えば、立方体や四角錘などの多面体などを想定している。
【0020】
このような物体の場合、各面で反射される光の見え方には、次のような特徴がある。
【0021】
まず、光沢が強いため、照明光に対して正反射方向に強い光が反射されるので、観察者の方向が照明光の正反射方向に近くなる面は、非常に明るくなり、通常の白画像よりもかなり明るく(数倍程度以上)なる。
【0022】
逆に、正反射から大きくずれる方向の面はかなり暗くなり、正反射方向の明るさと比較すると、大きい、コントラストが得られる。
【0023】
そして、それらの間の角度方向の面は、両者の中間的な明るさとなり、正反射方向の面と近い方向の面ほど明るくなる。
【0024】
これらの条件は、照明光の入射方向や、観察者の観察方向によって違ってくるため、照明光の方向や観察者の観察角度が変化すると、各面の明るさが変化する。
【0025】
さらに、同じ方向を向いている面は、ほぼ同じ明るさが得られ、照明光に対して、異なる角度となる方向の面は、異なる明るさになる。
【0026】
条件を整理すると
(1)白よりも明るく見える面がある
(2)十分なコントラストが得られる
(3)明るさ階調がある
(4)照明光、観察者の方向によって明るさが変化
(5)同じ方向の面同士は、ほぼ同じ明るさ
(6)異なる方向の面同士は、明るさが異なる
という、ことになる。
【0027】
このため、このような立体物の光沢や陰影などをうまく表現するためには、これらの条件を満足できるようにする必要がある。
【0028】
このような、表現を可能にするために、本発明では、異方性拡散反射体による、拡散反射光を利用している。図11は、拡散反射体を観察する場合の、拡散光の一例を示す概要図である。
【0029】
通常、平面状の反射型の画像形成体を観察する場合には、例えば、図11(a)に示すように斜め上に近い方向から照明光をあてて、正面に近い方向から像を観察する場合が多い。
【0030】
拡散反射体8に照明光9をあてた場合、その反射光の範囲2は、正反射2a方向を中心として拡がる光になり、拡散の大きい方向には広く、小さい方向には狭く広がる。
【0031】
このため、このような観察条件で異方性拡散反射体を観察する場合に、正反射方向と観察者を含む面が、拡散反射体の広く拡がる方向であると、図11(a)の反射光の範囲2のように広く拡散した強い拡散光2が観察者に1届くので、明るい像として観察される。
【0032】
この際に、拡散角度を適切に選んでやれば、光の広がる範囲が適度に絞られるので、(1)の条件である、白よりも明るい画像を表現することも可能になる。
【0033】
通常、照明光に対して、30〜45°程度で観察することが多いが、拡散光の拡がり方がガウシアンに近く、照明光の正反射方向で光強度が強く、それから方向が変わるに従って光強度が弱くなるような特性の場合には、方向による拡散範囲の違いが小さい等方拡散のような場合でも、拡散光の半値角度が30°程度以上あれば、通常の白色よりも明るい画像を得ることができる。
実際には、拡散の狭い方向は、等方拡散の場合よりもかなり狭くなり、光が集中されるので、広い方向の半値角が30°以上であれば、白色よりもかなり明るい画像を得ることができる。
【0034】
一方、図11(b)のように反射光の範囲3が狭くしか拡がらない方向であると、正反射3aに対して、正面への拡散光3bは弱い拡散光しか届かないので、観察者1には暗い像として観察される。
【0035】
この際に、(2)の条件である、高いコントラストを得るためには、狭いほうの広がり角度を程度抑える必要がある。照明光に対し30°方向くらいから観察することを考えて、この角度で十分暗く見えるように、ピークの1/10以下になると考えると、拡散光の拡がりかたがガウシアンに近い分布の場合に狭いほうの半値角度は15°以下に設定しておくのが良い。
【0036】
そして、その間の方向であると、その中間的な明るさになり、広く拡がる方向に近いほど明るい像が観察される。
【0037】
このため、(3)の条件である、明るさ階調があるという条件を満足することができる。ただし、用いる拡散体で狭いほうの広がりが極端に狭く、一方向に近い拡散の場合には、角度が少し変化するだけで急激に明るさが落ちてしまい階調表現を行いにくい。このため、あまり狭くなりすぎないように、半値角が3°以上程度になるようにしておくほうが良い。
【0038】
さて、次に(4)の条件である、照明光、観察者の方向によって明るさが変化、という条件であるが、照明光の方向や、観察者の方向が変わると、正反射方向と観察者からなる面の方向が変わり、異方性拡散反射体に対する角度も違ってくることになる。
【0039】
このため、照明光の方向や、観察者の方向が変わると、異方性拡散体による像の明るさも変化することになる。このため(4)の条件も満足することができる。
【0040】
次に(5)(6)の条件であるが、異方性拡散体で広く拡がる方向が同じものは、正反射方向と観察者からなる面に対して、同じ角度になるので、ほぼ同じ明るさになる。
【0041】
一方、広がる方向の異なるものは、正反射方向と観察者からなる面に対して、違う角度になるので、異なる明るさになる。
【0042】
このため、本発明のように、平面の組合せによって作成される立体物の中で、同じ方向の面に相当する位置には、同じ方向に広く拡散する異方性の拡散反射体を、異なる方向の面に相当する位置には、異なる方向に広く拡散する異方性の拡散反射体を設置してやれば、同じ方向の面同士はほぼ同じ明るさ、異なる方向の面同士は明るさが異なる像として観察されることになる。このため、(5)(6)の条件も満足することができる。
【0043】
なお、この際に、立体物を形成する各面に関して、面の方向(角度)が近いもの同士は面の明るさも比較的近くなるので、拡散光が広く拡がる方向が近い角度になる異方性拡散反射体を配置したほうが良く、面の方向が大きく違うものは面の明るさも大きく違うので、拡散光が広く拡がる方向が大きく違う角度になる異方性拡散反射体を設置するようにしたほうが良い。
【0044】
以上説明したように、本発明のような画像形成体を用いれば、奥行きが比較的小さく光沢が強くでるような多面体の持つ、明るさ分布をうまく表現することができる。このため、十分な立体感のある画像を得ることができる。
【0045】
ところで画像層に関して、カラー画像として、どんなものでも良いというわけではない。異方性拡散を用いた反射層による、多面体像の陰影や光沢の表現を、損なわないようなものでないといけない。
【0046】
まず、明るい画像を表現できるということを損なわないようにするため、カラー画像部分が、ある程度高い透過率を持つようにする必要がある。
【0047】
通常の拡散白よりも明るい画像も表現できたほうが、光沢感がでて、立体感のある画像となるので、少なくとも画像の一部分では、白より明るい像を表現できるようにしておくほうが良い。
【0048】
異方性拡散体部分は、明るく見える位置で、白の3〜5倍くらいの明るさにすることができるので、白より明るい像を得られるように、画像層の一部は、輝度レベルで30%以上の光を透過するようにしたほうが良い。
【0049】
また、用いる材料などの影響で画像層部分は、ある程度の拡散性を持つが、前述したように画像内の明るい部分と暗い部分とのコントラストや、照明条件や観察条件による明るさ変化を表現するため、異方性拡散体の狭いほうの拡散半値角は15°以下にする必要がある。このため画像層部分での拡散は半値角15°以下に抑えておく必要がある。
【0050】
さらに、画像表示体に入射する光の一部は、反射層までとどかず、この層で拡散反射されることになる。これらの光が多いと、画像のコントラストが低くなるため、なるべく少ないほうが良く。透過する光の1/10以下に抑えられている必要がある。
【0051】
以上、述べたような条件を満たしてやると、比較的光沢感の強い物体で作られ、表面がある程度ざらついた色のついた多面体の、陰影および光沢感を表現することができる。このため、立体感のあるカラー画像を得ることができる。
【0052】
また、像のボケに関して見ると、本発明の画像形成体では、画像自体はディスプレイ面に表示されており、ホログラムのように、奥行きのある位置に結像されるわけではない。このため、拡散光などで照明した場合にも像のボケは生じない。
【0053】
さらに、画像形成体の厚さについて考えると、本発明で用いているような特性を持つ、異方性拡散反射体は1μm以下程度の凸凹構造でも実現できることから、10μm以下の厚みの中に作成することが可能であり、十分な薄さの画像形成体にすることができる。
【0054】
以下、本発明の画像形成体について、図面を用いて詳細に説明を行う。
【0055】
図1は本発明の、画像形成体に用いる異方性拡散反射体の構成を示す概要図である。図1(a)は、異方性拡散反射体12の平面図であり、本図では異方性拡散反射体12の形状を三角形としている。また、図1(b)は、図1(a)のX−X線における断面を模式的に示した図である。そして、図1(c)は、図1(a)の異方性拡散反射体の表面を拡大した写真画像の一例である。なお、図1に記載の異方性反射体12では、反射層側から観察した様子を示している。
【0056】
図のように異方性拡散反射体12は、樹脂層13上にそして、樹脂層の表面は、凹凸構造領域15が形成されており、凹凸構造領域15上に反射層14が積層された構造となっている。凹凸構造領域15は、複数の凹部又は凸部が設けられている。これら複数の凹部又は凸部は、光が照射されると、特定方向に散乱光を射出する。また、今回図示しないが非凹凸構造領域である平坦面を設けても良い。
【0057】
さらに、凹凸構造領域15を備える樹脂層13の主面に、凹凸構造領域15の少なくとも一部を被覆するように反射層14が形成されている。今回図示はしないが、反射層14を被覆するように、反射層14を保護するために光透過層を設けても良い。
【0058】
さらに、反射層の少なくとも一部を被覆するように画像層100が形成されている。今回図示はしないが、画像層100を被覆するように、画像層100を保護するために光透過層を設けても良い。また、今回は図示しないが、反射層14が形成されずに凹凸構造領域15が表面に露出している箇所に画像層100を形成しても良いし、画像層100の表面に反射層を形成しても良い。なお、反射層に光透過性を持たせることによって、下地の画像層の発色を視認することも可能である。
【0059】
次に、凹凸構造領域15に採用可能な構造について説明する。凹凸構造領域15には、複数の凹部又は凸部が設けられている。なお、先に述べた通り、非凹凸構造領域は、平坦面である。また、非凹凸構造領域は、省略することができる。
【0060】
図1(c)は、図1(a)の異方性拡散反射体12の表面を正面から拡大した写真画像の一例である。この写真の拡散反射体は、紙面の奥行き方向に対して凸凹しているような、表面レリーフ構造を持ち、その上に反射層が形成されているようなものである。なお、本発明での表面レリーフ構造とは、表面が凸凹しているような構造のことを指している。
この図で、ランダムな構造が観察できるが、全体に横方向は細かいピッチ、上下方向は、粗いピッチの構造となっている。
【0061】
また、図14は、本発明の画像形成体に用いる異方性拡散反射体の一例を示す概要図である。図14(a)は、例えば、図1(c)に示したような表面レリーフ構造の異方性拡散体を横方向に切ったときの断面を示す模式図であり、図14(b)は同様に上下方向に切ったときの断面を示す模式図である。横方向は細かいピッチになるため、凸凹による傾きが急になり図14(c)に示すように反射光の角度変化が大きくなるので広い範囲に拡がる拡散光となる。一方、上下方向は粗いピッチとなるため、凸凹による傾きが緩やかになり図14(d)に示すように反射光の角度変化が小さくなるので狭い範囲にしか拡がらない拡散光となる。
【0062】
図1(c)の写真に示した異方拡散反射体は、横方向のピッチが約5μm、上下方向のピッチが約50μmで、凸凹の高さが約1μmであるが、この写真の上下方向に対しては、半値角で約35°、横方向に関しては半値角で約7°の範囲に拡がる拡散反射光となっている。なお、これらピッチや深さの値は一例であって本発明を限定するものではない。
【0063】
また、図1(d)は、図1(a)の異方性拡散反射体12の表面を拡大した別の態様の拡大図である。図1(d)に示す例では、凹凸構造領域15に配列される凹部又は凸部RPは、二次元的に配列している。このような場合でも照明光を照射した際に特定の方向及び角度にのみ散乱光を射出することができる。
【0064】
複数の凹部又は凸部RPの配列は、例えば、正方格子、矩形格子又は三角格子に近い配列をなしている。これら凹部又は凸部RPの配列を制御することにより、凹凸構造領域15から射出される散乱光の射出角及び射出方向などをより精度良く調整することができる。図1(d)には、一例として、複数の凸部が、X方向及びY方向に二次元的に配列して矩形格子をなしている場合を描いている。なお、完全に規則的に並べると、この周期に対応した回折光が生じてしまうため、現実には、これらの位置から僅かな距離ランダムにずらして配置する必要がある。
【0065】
また、凹部又は凸部RPの各々は、種々の形状でありうる。凹部又は凸部RPの各々は、角錐、円錐及び半紡錘形状などの順テーパ形状を有していることが好ましく、特に半紡錘形状であることが好ましい。半紡錘形状を採用することによって、散乱光が射出される特定の方向及び角度をさらに限定することも可能である。また、順テーパ形状を有していることにより、凹凸構造領域15を法線方向から観察した場合に、凹凸構造領域15の正反射光の反射率をより小さくすることもできる。
【0066】
今回図示はしないが、凹部又は凸部RPを、角錐、円錐及び半紡錘形状とした場合でも、凹部又は凸部RPの長辺長さや短辺長さ、高さやピッチにバラツキがあっても良く、照明光を照射した際に特定の方向及び角度にのみ散乱光を射出することができれば良い。複数の溝の格子定数、方位、及び深さなどを制御することにより、凹凸構造領域15から射出される回折光及び散乱光の射出角及び射出方向などを任意に調整することができる。
【0067】
なお、凹凸構造領域15に配列される凹部又は凸部RPの長辺の長さは3μm以上10μm以下が好ましく、凹凸構造領域の隣接する凸部間又は凹部間のピッチは1〜2μm程度が好ましい。凹部又は凸部RPが有する長辺および短辺において、長辺方向のピッチと短辺方向のピッチを比較して、長辺方向のピッチが長いほうが好ましい。
【0068】
樹脂層13に用いる材料としては、成形性が良好で、ムラが生じ難く、明るい再生像が得られ、基材や保護層や接着層との接着性が良好である樹脂材料が良い。例えばポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、プロプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタラート樹脂、ポリアセタール樹脂などの熱可塑性樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン(メタ)アクリレート、ポリオール(メタ)アクリレート、メラミン(メタ)アクリレート、トリアジン(メタ)アクリレート、アクリルニトリルスチレン共重合体樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、アルキド樹脂等の熱硬化性樹脂あるいはポリカーボネート樹脂、アクリル系樹脂、フッ素系アクリル樹脂、シリコーン系アクリル系樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、シクロオレフィンポリマー、メチルスチレン樹脂、フルオレン樹脂、PET、ポリプロピレン等の光硬化性樹脂、これらの混合物、さらにはラジカル重合性不飽和基を有する熱成形性材料などが使用可能であり、また、上記以外のものでも、凹凸形状を形成可能な材料であれば使用可能である。そして、上記材料に添加剤を加えて、熱可塑性や熱硬化性を付加させても良いし、光硬化性を付与させても良い。また、可視光線を透過する可視光線透過性樹脂としても良いし、着色された材料を用いても良い。或いは、珪酸塩を含んだ無機材料を使用してもよい
【0069】
反射層13は、樹脂層13の凹構造及び/または凸構造が設けられた主面の全体又は一部を被覆している。
【0070】
反射層13に用いる材料は、Al、Sn、Ni、Co、Cr、Fe、Ag、Au、Ptといった様な金属を非連続的な薄膜として形成したものでも良い。
【0071】
反射層を形成する方法としては、真空蒸着法の他にスパッタリング法、イオンプレーティング法等の成膜手段が適用可能であり、膜厚としては10nm以上5000nm以下の範囲にあることが好ましい。膜厚が50nm以上100nm以下であると透過性を有するため、基材上に情報が表示されている場合に画像表示体の画像と、基材の情報の両方を見ることが可能となる。また、1000nmよりも厚いと光を透過しなくなり、十分な反射性を得ることができる。一方、10nmよりも薄いと目視で確認できるような回折格子を発現することができなくなってしまう。
【0072】
なお、反射層13を凹凸構造の一部のみに被覆させることにより、全体に被覆させた場合とは異なる意匠性を付与することもできる。
【0073】
また、画像層100は、画像を表示でき、1色以上の色を視認できれば特に限定しないが、好ましくは光透過性を有することが好ましい。なお、この際に反射層から光の方向を、なるべく変えないほうが良いので、画像層での散乱や反射はなるべく小さくなるようにしたほうが良い。また、画像層100に用いる材料についても特に限定しないが、普通は、顔料又は染料インクを用いれば良い。ただし、例えば、白色インクなどのように、散乱や反射が大きいものは適しない。さらに、蛍光色を用いたインクも、蛍光によって発する色の方向が、反射層からの光方向と違ってくるので適しない。
【0074】
画像層を形成する方法としては、例えば、反射層の上に、色のついた樹脂層を塗布するという方法や、反射層の上に透明な樹脂層を形成しておいて、その上から印刷によって画像を形成するという方法などで作製することができる。また、透明な基材上に透明な樹脂で凸凹層を作製し、反射層を形成した後に、ひっくり返して、透明な基材の上に印刷を行うという方法でも作製することができる。
【0075】
本発明の異方性拡散反射体は、照明光の方向または、観察者が見る角度によって光の拡散状態が変化する。上述の異方性拡散反射体を複数配列させ、さらに隣接する一方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の方向と、他方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の方向が異なるようにすることによって立体画像を表示させることができる。
【0076】
さらに異方性拡散反射体の表面に画像層を設けることによって、更に構造が複雑となるだけでなく、光透過性の画像層を用いると、従来の異方性反射体を用いた表示体に式仔細を加えることが可能となり意匠性が向上する。
【0077】
図2は本発明における画像形成体に用いる異方性拡散反射体表面の凸部の方向を変化させた時におこる、目視での視認性の変化を示した図である。
【0078】
図2(a)は、画像形成体の1例を示した平面図であり、4種類の異方性拡散反射体22,23,24,25を並べている。異方性拡散反射体で拡散光が広く拡がる方向を0°に配列した異方性拡散反射体22、45°に配列した異方性拡散反射体23、90°に配列した異方性拡散反射体24、135°に配列した異方性拡散反射体25を用意した。
【0079】
図2(b)は、図2(a)で示した異方性拡散反射体の拡大図であり、4種類の異方性拡散反射体22,23,24,25のそれぞれの拡大図を示す。楕円パターンである凸部25、35、45、55がそれぞれ0°、45°、90°、135°に配列されている。そして各異方性拡散反射体において、凸部が長辺方向に対して、平行に配列されている。
【0080】
図2(c)は、本図の画像形成体に、一定方向から照明光を照射した時に、画像形成体を観察者が目視した際の視認状態を模式的に示したものである。なお、図中の矢印は、照明光16から照射された光の進行方向を模式的に示したものである。
【0081】
異方性拡散反射体22のように照明光の進行方向に対して凸部が直行して配列された場合、凸部で拡散した照明光が十分に観察者に届くため、異方性拡散反射体1は白色に観察される。一方、異方性拡散反射体24のように照明光の進行方向に対して凸部が平行に配列された場合、凸部で拡散した照明光が観察者に届かないため、異方性拡散反射体3は黒色に観察される。また、異方性拡散反射体23や異方性拡散反射体25のように照明光の進行方向に対して凸部が斜めに配列された場合、凸部で拡散した照明光は異方性拡散反射体1と異方性拡散反射体3の中間の拡散光を観察できるため灰色に見える。
【0082】
なお、本発明の照明光は特に限定するものではなく、太陽光や一般的な可視光、蛍光灯や白熱電球などの一般的な照明、直線性のある照明を使用しても良い。
【0083】
異方性拡散反射体の視認状態は、観察者の位置と照明光の位置を固定しておけば、異方性拡散反射体を回転させて、凸部の方向を変化させることによっても変化させることができる。
【0084】
上図では図示していないが、本発明では、上記のような異方性拡散反射体の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えている。
【0085】
また、図3は立体画像を再現した画像形成体の一例を示した概略図であり、図3(a)はその平面図、図3(b)は、Y−Y線の断面図である。また、図3(c)は図3(a)の画像形成体に、画像層を積層した時の平面図であり、図3(d)は、Z−Z線の断面図である。このように異方性拡散反射体を複数配列することによって立体画像を表示することができる。図3(a)及び図3(b)の画像形成体は、基材上に、三角形の異方性拡散反射体32と、三角形の異方性拡散反射体33と、三角形の異方性拡散反射体34と、三角形の異方性拡散反射体35とを有し、異方性拡散反射体32の一辺と異方性拡散反射体33の一辺とが左上斜線131を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体33の一辺と異方性拡散反射体34の一辺とが左下斜線132を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体34の一辺と異方性拡散反射体35の一辺とが右下斜線133を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体35の一辺と異方性拡散反射体31の一辺とが右上斜線134を介して隣接して配列されており隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一となっている構造である。そして、異方性拡散反射体32、33、34、35の表面に画像層101が積層されている。
【0086】
また、図3(c)及び図3(d)の画像形成体は、画像層101の代わりに、異方性拡散反射体32の表面には、文字「A」の形をした画像層102が積層し、異方性拡散反射体33の表面には、文字「B」の形をした画像層103が積層し、異方性拡散反射体33の表面には、四角形の画像層103が積層し、異方性拡散反射体34の表面には、数字「3」の形をした画像層14が積層している。そしてそれぞれの画像は、画像形成体が表示する四角錐の頂点に近づくに従って細くなった形状となっている。
【0087】
画像層で形成する形状は、文字、図形、数字、デザインなど特に限定するものではなく、さらに、ベタパターンや外枠や縁取りをかたどった形状でも良い。目的や用途によって適宜選択すれば良い。更に好ましくは、表示する画像形成体の立体像に即した形状に形作ると画像形成体をより立体的に視認することが可能となる。
【0088】
上述の異方性拡散反射体22、23、24、25と、本図の異方性拡散反射体32、33、34、35は対応しており、表面の凸部の形状、凸部の配列も対応している。図4(a)は、異方性拡散反射体32、33、34、35基材に配置して三角形が組み合わさった正方形の画像表示体30としたものである。また図4(b)は、基材31の上に異方性拡散反射体32と異方性拡散反射体34が積層されている。異方性拡散反射体32、34は樹脂層13の上に反射層14が積層した構造となっているが、樹脂層表面の凹凸構造の向きが異なるため、異方性拡散反射体32、34のエリアによって断面形状が異なっている。
【0089】
基材31として用いる材料は、公知のガラス材料や、例えばポリエチレンテレフタラート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート(PC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリエチレン(PE)等のプラスチックシート等のプラスチックシートが挙げられる。またアルミやステンレスなどの公知の金属材料を用いても良い。また各材料の厚みは特に限定しない。フィルム状にしたものを用いても良く、用途や目的によって適宜選択すればよい。また基材上には樹脂層との接着性を向上さ異方性拡散反射体ために、接着層を設けても良い。接着層として用いる材料は、特に限定はなく、公知の材料を目的、用途によって適宜選択すればよい。
【0090】
また、図4は、図3の画像形成体30に各方向から照明光を照射した際に、観察者がどのように視認できるかを模式的に示した概略図である。なお、本図では、異方性反射体の視認性を説明するために、画像層は省略している。
【0091】
例えば、図4(a)および図4(h)は、画像形成体30に対して、それぞれ照射光を135°および315°の方向から照射したものである。その結果、照明光の進行方向に対して凸部が直行して配列された異方性拡散反射体33は、白色に見える。また、照明光の進行方向に対して凸部が平行して配列された異方性拡散反射体35は黒色に見える。そして、照明光の進行方向に対して凸部が斜めに配列された異方性拡散反射体32,34は灰色に見える。
【0092】
また、図4(b)および図4(g)は、画像形成体30に対して、それぞれ照射光を90°および180°の方向から照射したものである。その結果、照明光の進行方向に対して凸部が直行して配列された異方性拡散反射体32は、白色に見える。また、照明光の進行方向に対して凸部が平行して配列された異方性拡散反射体34は黒色に見える。そして、照明光の進行方向に対して凸部が斜めに配列された異方性拡散反射体33,35は灰色に見える。
【0093】
また、図4(c)および図4(f)は、画像形成体30に対して、それぞれ照射光を45°および225°の方向から照射したものである。その結果、照明光の進行方向に対して凸部が直行して配列された異方性拡散反射体35は、白色に見える。また、照明光の進行方向に対して凸部が平行して配列された異方性拡散反射体33は黒色に見える。そして、照明光の進行方向に対して凸部が斜めに配列された異方性拡散反射体32,34は灰色に見える。
【0094】
また、図4(d)および図4(e)は、画像形成体30に対して、それぞれ照射光を180°および0°の方向から照射したものである。その結果、照明光の進行方向に対して凸部が直行して配列された異方性拡散反射体34は、白色に見える。また、照明光の進行方向に対して凸部が平行して配列された異方性拡散反射体32は黒色に見える。そして、照明光の進行方向に対して凸部が斜めに配列された異方性拡散反射体33,35は灰色に見える。
【0095】
上述のように照明光の進行方向を変化させると画像形成体を形成する各異方性拡散反射体の拡散光の量が変化するため、目視上、明るさが変化しているように見える。そして、正方形の画像形成体が正方形を底辺に持った、ピラミッド状の四角錐を上から見たような画像が観察できる。このような状態は、照明の方向を変化させずに観察者の方向もしくは画像形成体の方向を変化させても同様の現象が起こる。
【0096】
なお、今回は、図4のような四角形を一つのみ用いて説明したが、複数の異方性拡散反射体を組み合わせることによって様々な立体画像を再現することができる。また、本図の画像形成体30を複数配列して新たな画像形成体としても良い。
【0097】
図5は、立体画像を表示する画像形成体の一例を示す概略図である。図5(a)は、台形の異方性拡散反射体52と、台形の異方性拡散反射体53と、台形の異方性拡散反射体54と、台形の異方性拡散反射体55と、四角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体56を有し、異方性拡散反射体52の一辺と異方性拡散反射体53の一辺とが左上斜線151を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体53の一辺と異方性拡散反射体54の一辺とが左下斜線152を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体54の一辺と異方性拡散反射体55の一辺とが右下斜線153を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体55の一辺と異方性拡散反射体52の一辺とが左上斜線154を介して隣接して配列されている。
【0098】
等方性拡散反射体は、複数の凹部又は凸部が二次元的に配列された凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、前記一方の主面に支持され、凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層を備えた構造を持ち、拡散光の拡がり方が方向によってほぼ一定である等方性の拡散光を射出する。例えば、本発明で異方性拡散反射体として用いられている、表面レリーフ構造において、ある方向の凸凹のピッチと、それと垂直な方向でのピッチがほぼ同じになるようにすることなどで実現できる。この場合に、反射層などの構成や、用いる材料などは、異方性拡散反射体と同じものを用いることができる。
【0099】
さらに、等方性拡散反射体56の一辺と異方性拡散反射体52の一辺とが上横線155を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体56の一辺と異方性拡散反射体53の一辺とが左縦線156を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体56の一辺と異方性拡散反射体54の一辺とが下横線157を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体56の一辺と異方性拡散反射体55の一辺とが右縦線158を介して隣接して配列されており、隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一である構造となっている。
【0100】
つまり、図5における画像表示体50は、ピラミッド状の四角錐を底面に平行な面で切ったような画像を用いている。この図の、中央の面には等方性の拡散反射体56が、その周りの4つの各面には、それぞれ異なる方向に広く拡散するような異方性拡散反射体52、53、54、55が設置されている。
【0101】
この中で、中央の面に用いられている、等方拡散反射体56は、画像形成体の面に平行な光沢面に相当するため、光沢面の光方に相当する(1)〜(5)の条件を満足している。一方、周りの異方性拡散反射体52、53、54、55についても同様に(1)〜(5)の条件を満足している。また、等方拡散反射体は正反射方向近辺のみで明るく見え、異方性の反射体とは異なる明るさになるので(6)の条件も満足される。
【0102】
このため、このような構成の場合にも、奥行きが比較的小さく光沢が強くでるような多面体の持つ、明るさ分布をうまく表現することができる。このため、十分な立体感のある画像を得ることができる。なお、この例では、画像形成体面の面に平行な面を等方拡散面に置き換えているが、置き換える面は必ずしも平行な面である必要はない。また、本図では正方形を表現しているが、直方体やその他の四角形を表現しても良い。また上述の異方性拡散反射体の集合体をマトリクス状に複数配置して画像形成体としても良い。
【0103】
また、図5(b)は、図5(a)の異方性拡散反射体及び等方性拡散反射体の表面に画像層が形成された図である。異方性拡散反射体53の表面には、「123」の画像層53aが形成され、異方性拡散反射体54の表面には、円や三角形や四角形の画像層54aが形成され、等方性拡散反射体56の表面には、「ABC」の画像層56aが形成されている。この場合、画像層53a、54aの形状は等方性拡散反射体56に近付くにつれて形状が細くなっている形状であって、異方性拡散反射体53、54の形状に合わせた形状となっている。また、画像層116は、平面状に図柄が表示されている。ピラミッド状の四角錐を底面に平行な面で切ったような画像の上面にあたる等方性拡散反射体56の表面には「ABC」が表示され、側面にあたる異方性拡散反射体53、54に文字や図形が表示された立体像として視認される。
【0104】
図6は、立体画像を表示する画像形成体の一例を示す概略図である。図6(a)は、四角形の異方性拡散反射体62と、四角形の異方性拡散反射体63と、四角形の異方性拡散反射体64とを有し、異方性拡散反射体62の一辺と異方性拡散反射体63の一辺とが縦線161を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体63の一辺と異方性拡散反射体64の一辺とが斜線162を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体64の一辺と異方性拡散反射体62の一辺とが横線163を隣接して配列されており、隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一である構造となっている。
【0105】
つまり、図6は、多面体の画像として立方体を斜め方向から見た画像または、それらを組み合わせたような画像を用いている。このような図で、3つの各面に対して、例えば異なる3方向に広く広がるような異方性拡散反射体62、63、64を設置してやれば、立体的な立方体像が観察できるような画像形成体となる。立方体像は、見慣れていることもあって、比較的観察し易く立体感のある像になるという、利点がある。その他にも三角形や四角形を組み合わせて様々な立体を表示させても良いし、また上述の異方性拡散反射体の集合体をマトリクス状に複数は位置して画像形成体としても良い。
【0106】
図6(b)は、図6(a)の異方性拡散反射体表面に画像層を形成した図であり、異方性拡散反射体62の表面には、「ABC」の画像層62aが形成され、異方性拡散反射体63の表面には、「123」の画像層63aが形成されている。この場合、画像層62aの形状は、平面状に図柄が表示されている。一方、画像層63aの形状は平行四辺形の形状となっている異方性拡散反射体63の形状に合わせて、平行四辺形状に形成されている。立体的な立方体像の異方性拡散反射体62が観察者に対して垂直方向から視認される面として捉えられ、異方性拡散反射体62の表面に「ABC」の文字が変形することなく形成されている。そして、立方体の数字が表示された面が正面に観察され、立方体のそれぞれの側面に、数字や図形がデザインされた立体像のように視認することができる。
【0107】
図7は、立体画像を表示する画像形成体の一例を示す概略図であって、図6の画像形成体の応用例である。図7(a)は、多面体の画像として、直方体を斜め方向から見た画像または、それらを組み合わせたような画像を用いている。3つの各面に対して、例えば異なる3方向に広く広がるような異方性拡散反射体72、73、74を設置してやれば、立体的な直方体像が観察できるような画像形成体となる。直方体は、立方体に比べて多様な像を表現し易いという利点がある。その他にも三角形や四角形を組み合わせて様々な立体を表示させても良いし、また上述の異方性拡散反射体の集合体をマトリクス状に複数は位置して画像形成体としても良い。さらに、異方性拡散反射体72の表面には、「ABC」の画像層72aが形成され、等方性拡散反射体73の表面には、「123」の画像層73aが形成され、異方性拡散反射体74の表面には、円や三角形や四角形の画像層74aが形成されている。この場合、画像層72a、73a、74aの形状は積層した異方性拡散反射体72、73、74の形状に合わせてそれぞれ形成されている。直方体のそれぞれの側面に、文字や数字、図形がデザインされた立体像のように視認することができる。

【0108】
図8は、立体画像を表示する画像形成体の一例を示す概略図である。図8(a)は、台形の異方性拡散反射体82と、三角形の異方性拡散反射体83と、台形の異方性拡散反射体84と、三角形の第4異方性拡散反射体85とを有し、異方性拡散反射体82の一辺と異方性拡散反射体83の一辺とが左上斜線181を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体83の一辺と異方性拡散反射体84の一辺とが左下斜線182を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体84の一辺と異方性拡散反射体85の一辺とが右下斜線184を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体85の一辺と異方性拡散反射体82の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体82の一辺と異方性拡散反射体84の一辺とが横線185を介して隣接して配列されており、隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一である構造となっている。
【0109】
つまり、図8(a)は、多面体の画像として屋根のような形状を上方向から見た画像または、それらを組み合わせたような画像を用いている。4つの各面に対して、例えば異なる4方向に広く広がるような異方性拡散反射体82、83、84、85を設置してやれば、中央の横線部分が飛び出して見られるような画像などが観察できるディスプレイとなる。この図形の場合、組合せで、色々な画像を表現し易いという利点がある。その他にも三角形や四角形や台形を組み合わせて様々な立体を表示させても良いし、また上述の異方性拡散反射体の集合体をマトリクス状に複数は位置して画像形成体としても良い。
【0110】
図8(b)は、図8(a)の異方性拡散反射体表面に画像層を形成した図であり、異方性拡散反射体84の表面には、「ABC」が表示された画像層144が形成されている。この場合、画像層144の形状は、異方性拡散反射体84の形状に合わせて、横線185側の辺を上辺が可変に比べて短い台形状に形成されている。中央の横線部分が飛び出して見られるような画像の側面に「ABC」が形成された立体像のように視認することができる。
【0111】
図9は、立体画像を表示する画像形成体の一例を示す概略図である。図9(a)は、凸という文字に対応した多角形のまわりに、台形を配したような画像になっている画像形成体90である。この図の中で、多面体から各台形の下辺に下ろした垂線の方向は、面A、C、Gでは上方向、面B、Dでは右方向、面Eでは下方向、面F、Hでは左方向となっている。
【0112】
図9(b)は、図9(a)の各面に等方性拡散反射体及び異方性拡散反射体を配置した図である。図9(b)のように、面A、C、Gには同じ方向に広く拡がる異方性拡散反射体92が、面B、Dには異方性拡散反射体93が、面Eには異方性拡散反射体93が、面F、Hには異方性拡散反射体93が、それぞれ配置される。
このようにすると、観察する場合に、例えばA、C、G面が同じような明るさで観察される。
ここで立体画像として、例えば、凸という字が飛び出しているような場合、これらの面は上方向を向いた同じ角度の面に相当するので、ほぼ同じ明るさで観察されることになる。
一方、面Aと面Bについて見ると、違う方向に広く拡がる異方性拡散体が配置されているので、観察する場合にこれらの面は、異なる明るさに見える。
凸という字が飛び出しているような立体の場合、これらの面は上と右を向いた面になるので異なった明るさに見える。
したがって、凸という字が飛び出しているような立体として見えることになる。
【0113】
図9(c)は、図9(b)の異方性拡散反射体表面に画像層を形成した図であり、異方性拡散反射体94の表面には、「123」が表示された画像層94aが形成され、当方性拡散反射体96の表面には、円形や三角形、四角形の図形が表示された画像層96bが形成されている。この場合、画像層94a、96aの形状は、異方性拡散反射体94、96の形状に合わせて台形状に形成されている。上面に図形が表示された「凸」上の面が正面に観察され、側面に数字が表示された凸という字が飛び出しているような立体像のように視認することができる。
【0114】
図10は、画像形成体の一例を示す概略図である。図10(a)は、台形の異方性拡散反射体202と、台形の異方性拡散反射体203と、台形の異方性拡散反射体204と、台形の異方性拡散反射体205と、台形の異方性拡散反射体206と、台形の異方性拡散反射体207と、六角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体208を有し、異方性拡散反射体202の一辺と異方性拡散反射体203の一辺とが左上斜線211を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体203の一辺と異方性拡散反射体204の一辺とが左下斜線212を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体204の一辺と異方性拡散反射体205の一辺とが下線213を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体205の一辺と異方性拡散反射体206の一辺とが右下斜線214を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体206の一辺と異方性拡散反射体207の一辺とが右上斜線215を介して隣接して配列され、異方性拡散反射体207の一辺と異方性拡散反射体202の一辺とが上線216を介して隣接して配列されている。
【0115】
さらに、等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体202の一辺とが中左下斜線221を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体203の一辺とが中左縦線222を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体204の一辺とが中左上斜線223を介して隣接して配列され、
等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体205の一辺とが中右上斜線224を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体206の一辺とが中右縦線225を介して隣接して配列され、等方性拡散反射体208の一辺と異方性拡散反射体207の一辺とが中右下斜線226を介して隣接して配列されており、隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一である構造となっている。
【0116】
つまり、図10における画像表示体200は、六角錐を底面に平行な面で切ったような画像を用いている。この図の、中央の面には等方性拡散反射体208が、その周りの6つの各面には、それぞれ異なる方向に広く拡散するような異方性拡散反射体202、203、204、205、206、207が設置されている。異方性拡散反射体202の凹凸構造領域の凹部又は凸部RPの長辺の配置の向きを0°とすると、異方性拡散反射体203は30°、異方性拡散反射体204は60°、異方性拡散反射体205は90°、異方性拡散反射体206は120°、異方性拡散反射体207は150°の方向に配列されている。
このような画像形成体の場合、中央面の形を色々に変えられるので、表現が豊富になるという利点がある。今回中央面は凸字、六角形の場合についてのみ示したが、三角形や四角形、菱形等、目的によって適宜選択する。
【0117】
図10(b)は、図10(a)の異方性拡散反射体表面に画像層を形成した図であり、異方性拡散反射体204の表面には、「123」が表示された画像層204aが形成され、当方性拡散反射体205の表面には、円形や三角形、四角形の図形が表示された画像層205aが形成されている。この場合、画像層204a、205aの形状は、異方性拡散反射体204、205の形状に合わせて、台形状に形成されている。側面に数字や図形が表示された六角形が飛び出しているような立体像のように視認することができる。
【0118】
また、今回は図示しないが、上述のような画像形成体を一つの集合体として、その集合体を複数配列させても良い。さらに複数種類の集合体を適宜組み合わせても良い。各集合体の配列のピッチや密度を変化させることによってさらに複雑な立体画像を再現することも可能である。それらは目的や用途によって適宜選択すれば良い。
【0119】
また今回図示しないが、本発明の一例として、三角形又は正方形又は長方形の第1異方性拡散反射体と、三角形又は正方形又は長方形の第2異方性拡散反射体とを有し、前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが隣接して配列されており、隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一である構造を画像形成体としても良い。これによって三角錐や直方体などの立体を真横から見た図となり2面の奥行きのある立体を表現することができる。
【0120】
次に、画像形成体の製造方法について説明する。例えば画像形成体は、図12のような工程を経て作成することができる。
【0121】
光源から照射されたレーザー光4は、レンズ5によって広げられて拡散板6に照射される。そして拡散板6で拡散された光は、長方形の開口部を持つマスク7aを通過する。
【0122】
マスク7aは、異方性散乱反射体の凹凸形状を規定するためのマスクであり、図13は、本発明の画像形成体を作成する工程で用いているマスクの一例を示す概要図である。例えば図13(a)のような、長方形の開口部が設けられているマスクを用いる。
【0123】
マスク7aを通過した光は、レーザー光の干渉によりスペックルパターンを形成する。この際に、長方形の開口部を持つマスク7aの長辺方向に対しては、細かく、短編方向に対しては、粗いパターンが形成される。
【0124】
マスク7aで形成された光は、マスク7bを通過する。マスク7bは、異方性散乱反射体の平面形状を規定するマスクであり、例えば図13(b)のような三角形の開口部が設けられたマスクを用いる。
【0125】
マスク7bを通過した光は、乾板8に届く。なお、乾板8には、感光性材料が塗布されている。感光性材料としてフォトレジストなどのように、光強度を凸凹で記録できる材料を用いると、このスペックルパターンが凸凹として記録されるため、直交する2方向でピッチの異なる凸凹構造が記録できる。
【0126】
上記の工程を経て、凹凸パターン形状及び凹凸パターンを有するエリアが三角形の乾板8を得た。上記の乾板を元に金属金型などの公知の方法でエンボス原版を作成し、加熱エンボスなどの公知の方法で基材に積層された樹脂層に、エンボス原版の凹凸形状を加圧転写して凹凸パターンを複製し、アルミなどの金属蒸着をすることで、図1のような異方性拡散反射体を作成することがでる。
【0127】
また、本発明のように、これら異方性拡散体が方向を変えて、配置されているような画像形成体は、例えば感光材料上に凹凸パターンを露光するときに、マスク7aを回転させて、凹凸パターンの向きを変えることができる。また、マスク7bを回転させて凹凸パターンのエリアを調整することができる。
【0128】
さらに上記の製造方法で、凹凸パターンの向きおよび、凹凸パターンを有するエリアを調整した異方性拡散反射体のエンボス原版を複数作成し、それらを組み合わせることによって、本発明の画像形成体を得ることができる。
【0129】
また、今回は図示しないが、図12の乾板8の代わりに、基材11の一方の面に樹脂層13を積層し、さらにその表面に感光性材料を塗布したものを設置し、直接露光を行っても良い。露光後、フォトリソ工程やエンボス工程を用いて、樹脂層に直接凹凸パターンを作製しても良い。凹凸パターンの向き、凹凸パターンを有するエリアを変更するためにマスク7a、マスク7bを調整して上記工程を繰り返すことによって画像形成体を得ても良い。
【0130】
なお、上述の説明ではレーザーを用いて作製する方法について述べているが、このほかにも電子ビームを用いた描画などによって異方性拡散体を作製する方法や、直接切削などによって形状を作製していく方法などもある。
【0131】
異方性拡散反射体だけでなく等方性拡散反射体も用いる場合、等方性拡散反射体は、例えば次のような方法で作製する。
異方性拡散反射体の作製に用いたと同じ図12の光学系において、マスク7bの位置に例えば、図13(c)に示すような円形の開口部を持つマスク7cを設置する。このようにすると、マスク7aを通過した光の干渉によって形成されるスペックルパターンは、マスク7aが円形であるために、方向によらずほぼ同じピッチとなる。
このため、乾板8に、感光性材料としてフォトレジストなどのように、光強度を凸凹で記録できる材料を用いると、このスペックルパターンが凸凹として記録されるため、方向によらず、ほぼ同じピッチの凸凹構造が記録されることになる。
このようにして凸凹が記録された乾板から、異方性拡散反射体と同様な手順で、複製品を作成することで、等方性拡散反射体を得ることができる。
また、これらを配置した画像形成体は、異方性拡散反射体を配置した場合と同様に、図12の系で7a、7bのマスクを順次変更しながら、露光記録を行っていくことによって作製することができる
【実施例1】
【0132】
ガラス基板上に感光性材料フォトレジスト(AZP1350)をスピンコーターで塗布し、プリベーク乾燥を経てフォトレジスト層を形成した。
【0133】
図12で示す光学系のように、レーザー光源としてアルゴンレーザー(488nm)を用いて、凸凹の形状を形成するための遮光マスクと拡散板を重ね、さらに上記の通り各層が塗布されたガラス基板のフォトレジスト層側に凸部を形成するための遮光マスクを重ねたものを配置し、レーザー光線を、レンズを通して拡散させて凸凹形状を記録した。
なお、拡散板に重ねるマスクは、図13aのようなもので、開口の大きさは10×1cmである。また拡散板にはスリガラスを用いている。また、フォトレジスト乾板に重ねる遮光マスクとしては図13bのようなものを用いている。
【0134】
次に、拡散板に重ねる遮光マスク7aを45°回転させ、フォトレジスト乾板に重ねる遮光マスク7bを90°回転させて、前に露光した領域とマスク開口の斜辺部が重なるようにする。このような状態で露光を行って、この領域に凸凹形状を記録した。
同様の工程を繰り返していくことによって、図3で示されるようなピラミッド状の構造になるように露光を繰り返した。
【0135】
上記の露光が終了した後、撮影したフォトレジスト乾板をアルカリ現像液で現像した後、この乾板を基にして、メッキ工程により金型を作成した。
そして、この金型を用いて樹脂フィルム上にエンボス成型した。
【0136】
このようにして凸凹が形成された樹脂層上に、Al蒸着を行った。
【0137】
さらに、これを裏返して、そのベース面に、凸凹面とAl反射層に形成されたピラミッドを上から見た像に対応する画像を、透明な青インキを用いてインクジェットの印刷機により、画像の位置が合うように印刷することで、画像層を形成した。
【0138】
このようにしたところ、青色の画像でピラミッド状に飛び出して見えるような画像形成体が作成できた。
【産業上の利用可能性】
【0139】
本発明の技術を用いることで、表現できる画像に制限はあるものの、画像形成体の厚みを十分な薄さにでき、照明光の影響による画質劣化の少ない、の画像形成体を提供することができる。このため、セキュリティ用品や、各種商品のデザイン用途として、広く利用できる可能性がある。
【符号の説明】
【0140】
1…観察者、2…反射光の範囲、2a…正反射、2b…正面への拡散光、3…反射光の範囲、3a…正反射、3b…正面への拡散光、4…光源、5…拡散レンズ、6…拡散板、7a…マスク、7b…マスク、7c…マスク、8…乾板、9…照射光、10…画像形成体、11…基材、12…異方性拡散反射体、13…樹脂層、14…反射層、15…凸部、16…照明光、17…レンズ、18…遮光部、19…開口部、20…画像形成体、21…基材、22…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、23…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、24…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、25…凸部の方向を135°に配列した異方性拡散反射体、26…凸部、27…凸部、28…凸部、29…凸部、30…画像形成体、32…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、33…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、34…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、35…凸部の方向を135°に配列した異方性拡散反射体、50…画像形成体、52…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、53…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、53a…画像層、54…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、54a…画像層、55…凸部の方向を135°に配列した異方性拡散反射体、56…等方性の拡散反射体、56a…画像層、60…画像形成体、62…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、62a…画像層、63…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、63a…画像層、64…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、70…画像形成体、72…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、72a…画像層、73…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、73a…画像層、74…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、74a…画像層、80…画像形成体、82…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、83…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、84…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、84a…画像層、85…凸部の方向を135°に配列した異方性拡散反射体、90…画像形成体、92…凸部の方向を0°に配列した異方性拡散反射体、93…凸部の方向を45°に配列した異方性拡散反射体、94…凸部の方向を90°に配列した異方性拡散反射体、94a…画像層、95…凸部の方向を135°に配列した異方性拡散反射体、96…等方性の拡散反射体、96a…画像層、100…画像層、131…左上斜線、132…左下斜線、133…右下斜線、134…左上斜線、151…左上斜線、152…左下斜線、153…右下斜線、154…左上斜線、155…上横線、156…左縦線、157…下横線、158…右縦線、161…縦線、162…斜線、163…横線、181…左上斜線、182…左下斜線、183…右下斜線、184…右上斜線、185…横線、200…画像形成体、202…異方性拡散反射体、203…異方性拡散反射体、204…異方性拡散反射体、204a…画像層、205…異方性拡散反射体、205a…画像層、206…異方性拡散反射体、207…異方性拡散反射体、208…等方性拡散反射体、211…左上斜線、212…左下斜線、213…下線、214…右下斜線、215…右上斜線、216…上線、221…中左下斜線、222…中左縦線、223…中左上斜線、224…中右上斜線、225…中右縦線、226…中右下斜線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部又は凸部が二次元的に配列された凹凸構造領域を一方の主面に
含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備え、特定方向に広く拡散し、前記特定方向と垂直な方向には狭く拡散するような異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記複数隣接して配列された前記異方性拡散反射体の、隣接する一方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向と、隣接する他方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向が異なり、
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体。
【請求項2】
互いに交差する第1及び第2方向に配列された複数の凹部又は凸部を備えた凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた特定方向に異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記第1及び第2方向に対して垂直な第3方向から観察した場合に、隣接する一方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向と、隣接する他方の異方性拡散反射体が射出する拡散光の広く拡散する方向とが異なり、
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体。
【請求項3】
前記凹凸構造領域に配列される前記複数の凹部又は凸部が、各々の異方性拡散反射体においてほぼ同じ向きに配列されていることを特徴とする請求項1乃2のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項4】
互いに交差する第1及び第2方向に配列された複数の凹部又は凸部を備えた凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた特定方向に異方性の拡散光を射出する異方性拡散反射体が、
基材上に前記樹脂層の他方の主面から積層して、複数隣接して配列された画像形成体であって、
前記凹凸構造領域に配列された複数の凹部又は凸部は、同じ向きに配列されており、
隣接する一方の異方性拡散反射体が備える複数の凹部又は凸部の向きと、隣接する他方の異方性拡散反射体が備える複数の凹部又は凸部の向きとが異なり、
前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする画像形成体。
【請求項5】
前記画像形成体は、
前記画像形成体は、複数の凹部又は凸部が二次元的に配列された凹凸構造領域を一方の主面に含む樹脂層と、
前記一方の主面に支持され、前記凹凸構造領域の少なくとも一部を被覆する反射層と
を備えた構造を持ち、拡散光の拡がり方が方向によってほぼ一定である
等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を備え、
少なくとも一つの異方性拡散反射体に隣接して配置されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項6】
前記等方性拡散反射体が有する前記反射層の表面又は前記凹凸構造領域の表面のうち少なくとも一部に画像層を備えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成体。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の画像形成体であって、
画像として、複数平面の組合せによって構成されている立体物を、ある方向から観察した場合に対応した投影像が記録されていることを特徴とする画像形成体。
【請求項8】
前記凹凸領域がレリーフ構造であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項9】
前記異方性拡散体が、
拡散の広い方向では、正反射方向に対して、拡散光の強度が半分になる半値角が30°以上になっており、
拡散の狭い方向では、半値角が15°以下になっていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項10】
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
三角形の第1異方性拡散反射体と、
三角形の第2異方性拡散反射体と、
三角形の第3異方性拡散反射体と、
三角形の第4異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが右上斜線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体。
【請求項11】
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
台形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
台形の第4異方性拡散反射体と、
四角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが上横線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが下横線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右縦線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体。
【請求項12】
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
平行四辺形の第1異方性拡散反射体と、
平行四辺形の第2異方性拡散反射体と、
平行四辺形の第3異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが縦線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが横線を隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体。
【請求項13】
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
三角形又は四角形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
三角形又は四角形の第4異方性拡散反射体とを有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが横線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体。
【請求項14】
複数平面の組合せによって構成されている立体物の一つの平面を法線方向から観察し、前記平面の周囲を複数の側面が囲んだ投影像が記録された画像形成体であって、
前記法線方向から観察した平面は、複数の辺を備えた多角形であり、
前記側面は、台形又は平行四辺形のいずれかから選ばれて前記平面の各辺に、上辺を介して隣接し、
各側面は、上辺と下辺との距離が等しく、隣接する側面は夫々の辺の長さが同一であり、側辺を共有して配列され、
各側面の下辺に垂直に降ろす線の方向が同じとなる側面は、異方性の拡散光を射出する方向が同じとなる異方性拡散反射体を用いられること
を特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項15】
請求項1乃至9に記載の画像形成体であって、
台形の第1異方性拡散反射体と、
台形の第2異方性拡散反射体と、
台形の第3異方性拡散反射体と、
台形の第4異方性拡散反射体と、
台形の第5異方性拡散反射体と、
台形の第6異方性拡散反射体と、
六角形の、等方性の拡散光を射出する等方性拡散反射体を有し、
前記第1異方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが左上斜線を介して隣接して配列され、
前記第2異方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが左下斜線を介して隣接して配列され、
前記第3異方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが下線を介して隣接して配列され、
前記第4異方性拡散反射体の一辺と前記第5異方性拡散反射体の一辺とが右下斜線を介して隣接して配列され、
前記第5異方性拡散反射体の一辺と前記第6異方性拡散反射体の一辺とが右上斜線を介して隣接して配列され、
前記第6異方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが上線を介して隣接して配列されており、
前記等方性拡散反射体は、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第1異方性拡散反射体の一辺とが中左下斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第2異方性拡散反射体の一辺とが中左縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第3異方性拡散反射体の一辺とが中左上斜線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第4異方性拡散反射体の一辺とが中右上縦線を介して隣接して配列されており、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第5異方性拡散反射体の一辺とが中右縦線を介して隣接して配列され、
前記等方性拡散反射体の一辺と前記第6異方性拡散反射体の一辺とが中右下縦線を介して隣接して配列されており、
隣接した夫々の異方性拡散反射体の辺の長さが同一であることを特徴とする画像形成体。
【請求項16】
前記画像層は、光透過性を供えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の画像形成体。
【請求項17】
請求項16に記載の画像表示体であって、
前記画像層が積層された部分で、往復での光の散乱が、半値角で15°以下になっていることを特徴とする画像表示体。
【請求項18】
請求項16に記載の画像表示体であって、
前記画像層が積層された部分の一部で、往復での光透過率が、輝度換算で30%以上になることを特徴とする画像表示体。
【請求項19】
請求項16に記載の画像表示体であって、
前記画像層が積層された部分で、散乱反射される光が透過光の1/10以下であることを特徴とする画像表示体。

【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図14】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−128269(P2011−128269A)
【公開日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−284987(P2009−284987)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】