説明

画像形成方法

【課題】 高湿環境下において実施されても画像ぼけや画像流れ現象を発生させにくく、かつ低湿環境下において実施されても融着やフィルミング現象を発生させにくい画像形成方法を提供する。
【解決手段】 クリーナレス方式を採用する画像形成方法であって、トナー中のチタン酸ストロンチウム粒子の含有量T(質量%)、感光体表面の純水に対する接触角C(°)、および転写残りトナーを均すためのブラシ部材に含まれるブラシ繊維の感光体への侵入量L(mm)を、下記式の関係を満たすように調整する。 2.5 ≦T+(C/85)+L ≦ 4.5

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真画像形成方法、より詳しくはクリーナーステップを必要としない、クリーナレス方式の電子写真画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、複写装置、プリンタおよびファクシミリのように、画像を紙などの記録媒体に記録する画像形成装置は、画像を記録媒体に記録するシステムとして電子写真システムを採用している。
近年では、複写装置は単なる原稿を複写するための事務処理用複写機としてではなく、デジタル技術の導入により他の情報処理機と結び付いた情報出力機器として、多機能化により容易になった画像情報の加工や編集を用いて新規なオリジナル原稿を作成するための複写機として、さらには個人向けのパーソナルコピーとして用いられている。そのため複写装置は、より高速化、高画質かつ小型軽量化することが求められ、さらにより厳しい高信頼性が求められている。
【0003】
電子写真技術を用いたプリンタや複写機において、被帯電体である感光体表面を帯電する手段として、コロナ帯電装置が従来から広く利用されてきた。コロナ帯電装置は、感光体表面を所定の電位に均一に帯電処理する手段として有効であるが、高圧電源を必要とし、かつオゾンを多量に発生するなどの問題点を有している。
一方、電圧を印加した帯電部材(例えば、導電性弾性ローラあるいはブレード)を感光体に接触させて感光体を帯電処理する接触帯電装置が知られている。接触帯電装置は、電源の低圧化が図られており、オゾンの発生量がきわめて低減されているなどの長所を有する。そのため接触帯電装置は、コロナ帯電装置に代わって、感光体や誘電体などの像担持体、その他の被帯電体を帯電する手段として実用化されている。
【0004】
接触帯電装置を有する画像形成装置は、コロナ帯電装置を有する画像形成装置と比べて、低電圧のバイアスで感光体を均一に帯電することができ、かつ十分な転写が達成されうる。したがって、接触帯電装置を有する画像形成装置は小型化されやすく、オゾン等のコロナ放電生成物の発生が抑制されている。
【0005】
また、画像形成装置を使用するためのランニングコストを下げるための提案がされている。この提案には、表面強度を高くすることによって耐摩耗性および耐傷性を向上させた高耐久な感光体、および硬化性樹脂を表面層に含有させた感光体などの、耐摩耗性の高い感光体の使用が含まれる。これらの耐摩耗性の高い感光体は、繰り返して使用された場合でも、残留電位の上昇などの感光体特性変化や劣化が非常に発生しにくく、安定した性能を発揮することができる。
しかしながら、これらの耐摩耗性の高い感光体はその表面が削られにくいため、特に高湿環境下で使用された場合やプロセススピードの速い画像形成装置に用いられた場合に、感光体表面に付着した帯電生成物が除去されにくい。そのため、耐摩耗性の高い感光体を用いた画像形成装置は、画像流れを発生させたり、ブレードの損傷や鳴き、捲れなどの問題が発生しやすい傾向がみられる。
【0006】
前述の、耐摩耗性の高い感光体を用いた場合の問題を解決する手段がいくつか提案されている。この手段として、トナーに添加された研磨作用を有する粒子(研磨粒子)に、感光体表面に付着した帯電生成物を剥ぎ取らせることが例示される。しかしながら、従来用いられていた研磨粒子は粒径が大きく、かつ粒度分布もブロードであった。そのため、該研磨粒子が感光体表面を均一に研磨するには、トナーに多量に添加される必要があった。
しかしながら、研磨粒子がトナーに多量に添加されると、現像特性に関する問題(特に飛散や反転かぶり、研磨粒子の蓄積)が発生しやすくなる。
【0007】
この研磨粒子により生じる現像特性の問題を解決する手段も提案されている。この手段として、トナーに少量添加されることにより優れた研磨効果を奏する、粒径が細かくて粗粒が少ないチタン酸ストロンチウム粒子からなる無機微粉体の研磨粒子が例示される。
また、研磨粒子により生じる現像特性の問題を解決する手段として、感光体をクリーニングするクリーニングブレード、およびファーブラシを有する画像形成装置などが提案されている。ファーブラシを有する画像形成装置は、感光体上の転写残トナーやクリーニングブレードで掻き取られた廃トナーを、再度クリーニングブレードと感光体の当接NIPに
供給することによって、クリーニングブレードの損傷やビビリ、鳴きなどが改善されている。
【0008】
また、環境保全や資源の有効利用の点から、クリーニング装置にて回収された転写残トナー(廃トナー)を現像装置に戻して再利用する電子写真装置が開発されている。さらにクリーニング装置を有さず、転写残トナーの回収を現像行程と同時に行う、クリーナレス方式を採用している電子写真装置も知られている。
一般的に電子写真装置は、転写後の感光体に残存する転写残トナーを、クリーニング装置によって感光体面から除去して廃トナーとするが、一方、クリーナレス方式を採用した電子写真装置は、転写後の感光体に残存する転写残トナーを、現像装置によって感光体面から除去して現像装置に回収して再使用することができる(例えば特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−93855号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
耐摩耗性の高い感光体(例えば、硬化性樹脂を含む表面層を有する感光体)が、前述のクリーナレス方式を採用した画像形成装置に適用されると、クリーニングブレードによる摺擦を受けないので感光体が削られにくく、感光体自身の寿命は大幅に増加する。その反面、該感光体は、クリーニングブレードでの摺擦を受けることなく長期に渡って使用され得るため、放電生成物、外添剤やトナーの微粉などを感光体表面に蓄積させやすい。そのため該感光体を用いる、クリーナレス方式の画像形成装置は、高湿環境下で使用されると画像ぼけや画像流れ現象を発生させやすく、低湿環境下で使用されると顕著な融着やフィルミング現象を発生させやすいという問題がある。
したがって本発明は、耐摩耗性が高くて長寿命である感光体が適用された、クリーナレス方式の画像形成方法であって、高湿環境下において実施されても画像ぼけや画像流れ現象を発生させにくく、かつ低湿環境下において実施されても融着やフィルミング現象を発生させにくい画像形成方法を提供することを課題とする。
【0010】
本発明者等は種々の検討を行った結果、クリーナレス方式の画像形成方法において、T(質量%)のチタン酸ストロンチウム粒子が外添されたトナーと、純水の接触角がC(°)である表面を有する感光体、および感光体への侵入量がL(mm)である均し手段を適用した場合に、前記T、CおよびLの関係を適切に制御することにより、耐摩耗性が高い感光体を適用しても、画像ぼけや画像流れ現象が発生しにくく、融着やフィルミング現象も発生しにくいことを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち本出願に係る発明は、以下の通りである。
[1] 1)1)帯電手段で感光体を帯電する帯電ステップであって、
前記感光体の表面の、気温25℃;湿度50%の環境下におけるビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた硬度試験において、荷重6mNとしたときに測定されるユニバーサ
ル硬さ値が150〜220N/mmであり、かつ弾性変形率が45〜65%であり、
前記感光体の表面の純水に対する接触角C(°)が85〜130であるステップ、
2)前記帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成ステップ、
3)前記静電潜像を、トナー粒子および該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも含むトナーで現像して、感光体にトナー像を形成する現像ステップ、
4)前記感光体に形成されたトナー像を中間転写体または転写材に転写する転写ステップ、および
5)バイアスが印加されたブラシ繊維を含むブラシ部材で、前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを均す均しステップを含み、
前記現像ステップが、前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを回収する現像兼回収ステップである画像形成方法であって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子のトナー全質量に対する含有量T(質量%)、前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)、および前記接触角C(°)が、下記式の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【0012】
【数1】

【0013】
[2] 前記ブラシ部材は、前記感光体の帯電電位と同極性のバイアスが印加される、[1]に記載の画像形成方法。
[3] 前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)が0.4〜2.0である、[1]または[2]に記載の画像形成方法。
[4] 前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の織度は、1.1×10−7〜6.6×10−7kg/mである、[1]〜[3]のいずれかに記載の画像形成方法。
[5] 前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の密度は、155〜310本/mmである、[1]〜[4]のいずれかに記載の画像形成方法。
[6] 前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体回転方向の接触幅をD(mm)、前記感光体の周速度をS(mm/sec)とするとき、0.01≦D/Sである、[
1]〜[5]のいずれかに記載の画像形成方法。
[7] 前記帯電手段は、前記感光体に接触し、かつ帯電バイアスが印加される、[1]〜[6]のいずれかに記載の画像形成方法。
[8] 前記帯電手段は、ACバイアスおよびDCバイアスが印加されることを特徴とする、[7]に記載の画像形成方法。
[9] 前記チタン酸ストロンチウム粒子は、一次粒子の平均粒径が30〜300nmであり、600nm以上の粒径を有する、粒子と凝集体の合計含有率は、全粒子数に対して1個数%以下であり、かつ直方体または立方体状の形状を有し、かつペロブスカイト型結晶構造を有する粒子を含む、[1]〜[8]のいずれかに記載の画像形成方法。
[10] 前記チタン酸ストロンチウム粒子に含まれる、直方体または立方体状の形状を有する粒子の含有率は、全粒子数に対して50個数%以上である、[9]に記載の画像形成方法。
[11] 前記チタン酸ストロンチウム粒子の帯電極性は、前記トナー粒子の帯電極性と逆極性である、[1]〜[10]のいずれかに記載の画像形成方法。
[12] 前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(Wt%)は、トナー全質量に対して0.2〜2.5である、[1]〜[11]のいずれかに記載の画像形成方法。
[13] 前記感光体の表面層はフッ素原子含有樹脂を含む、[1]〜[12]のいずれかに記載の画像形成方法。
[14] 前記感光体の表面は粗面化処理されている、[1]〜[13]のいずれかに記
載の画像形成方法。
[15] 1)感光体を帯電する帯電手段であって、
前記感光体の表面の、気温25℃;湿度50%の環境下におけるビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた硬度試験において、荷重6mNとしたときに測定されるユニバーサル硬さ値が150〜220N/mmであり、かつ弾性変形率が45〜65%であり、
前記感光体の表面の純水に対する接触角C(°)が85〜130である帯電手段、
2)前記帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、
3)前記静電潜像を、トナー粒子および該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも含むトナーで現像して、感光体にトナー像を形成する現像手段、
4)前記感光体に形成されたトナー像を中間転写体または転写材に転写する転写手段、および
5)前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを均すための、バイアスが印加されたブラシ繊維を含むブラシ部材を含む均し手段を含み、
前記現像手段は、前記転写手段で転写されずに感光体上に残存したトナーを回収する現像兼回収手段である画像形成装置であって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子のトナー全質量に対する含有量T(質量%)、前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)、および前記接触角C(°)が、下記式の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【0014】
【数2】

【発明の効果】
【0015】
本発明により、クリーナレス方式を採用しているにもかかわらず、高硬度かつ高耐久な感光体を適用しても、画像流れや融着、フィルミングを発生させず、長期にわたって安定した画像を形成することができる画像形成方法が提供される。
具体的には、クリーナレス方式の画像形成方法に、小径でキュービックな適量のチタン酸ストロンチウム粒子が添加されたトナーを適用すること、および転写残トナーを回収させるための均し手段(帯電ブラシ)の摺擦具合を最適化することにより、前記画像形成方法が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
前述の通り本発明の画像形成方法は、1)帯電手段で感光体を帯電する帯電ステップ、2)前記帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成ステップ、3)前記静電潜像を、トナー粒子および該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも含むトナーで現像して、感光体上にトナー像を形成する現像ステップ、4)前記感光体上に形成されたトナー像を中間転写体または転写材に転写する転写ステップ、および5)バイアスが印加されたブラシ繊維を含むブラシ部材で、前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを均す均しステップを含む。また、本発明の画像形成方法は、1)〜5)のステップを繰り返して実行することができることが好ましい。
【0017】
<感光体を帯電する帯電手段>
本発明の画像形成方法は、ステップ1)の帯電手段で感光体を帯電する帯電ステップを含む。ここで帯電ステップは、感光体を帯電するとともに、後述の転写ステップで転写されずに感光体に残存するトナーであって、均しステップで正規極性(負極性)に帯電されたトナーを除電するステップである。
【0018】
ここで帯電手段は、感光体表面を一様に帯電することができる手段であれば特に限定さ
れないが、接触帯電式の帯電手段であることが好ましい。接触帯電式の帯電手段の例には帯電ローラが含まれる。帯電ローラは、感光体との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して感光体を帯電する。帯電ローラは、芯金および芯金上に設けられた中抵抗層を有することが好ましい。
また、帯電手段の例である帯電ローラは、感光体表面に対して所定の押圧力をもって圧接されていることが好ましい。前記押圧力は、例えば19.6N(2kgf)程度とすることができる。該圧接は、例えば押圧ばねにより行えばよい。感光体と帯電ローラとの圧接部が帯電部(帯電ニップ部,接触部ともいう)となる。帯電部の幅は、数mm程度にすればよい。
【0019】
また前記帯電ローラは、両端部が軸受け部材に保持されている芯金(支持部材)を有しており、感光体の回転に従動して回転することができることが好ましい。
前記帯電ローラの芯金には、所定の条件の帯電バイアスが印加されることが好ましい。前記芯金に印加される電圧により、感光体表面が所定の極性の電位に帯電されることができる。印加される帯電バイアスは、好ましくは直流バイアスと交流バイアスを含み、より好ましくは直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧である。振動電圧とは、例えば−500Vの直流電圧と、周波数1.3kHz、ピーク間電圧Vpp1.5kV、正弦波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。帯電バイアスが印加された帯電ローラにより、感光体表面が一様に、印加された直流電圧と同じ電位に接触帯電されることができる。
【0020】
前述の通り帯電ローラは、芯金の外周にローラ状に形成された中抵抗層を有する。中抵抗層はゴム材を含む弾性体、または発泡体であることが好ましい。
弾性体の例には、シリコーンゴムやIRなどのゴム材の他、ウレタン、EPDMやNBRが含まれる。中抵抗層は、抵抗を調整されるため、さらに導電性粒子(カーボンブラックや金属酸化物などの粒子)が分散されていてもよい。また前記発泡体は、弾性体、導電性粒子、硫化剤および発泡剤などを用いて製造される。
前記の通り帯電ローラの中抵抗層には導電性粒子が分散されていてもよいが、イオン導電性の材料を用いれば、導電性粒子を用いることなく抵抗を調整することができる。
【0021】
さらに帯電ローラの中抵抗層の表面は研磨されていてもよい。
【0022】
帯電ローラは電極として機能することが重要である。帯電ローラの表面の硬度が低すぎると、表面形状が安定しないために感光体との接触性が悪くなり、一方、高すぎると被帯電体との間の帯電ニップ部を確保することが困難になるだけでなく、被帯電体表面に対するミクロな接触性が悪くなる。
したがって、帯電ローラの表面の硬度の指標であるアスカーC硬度は、25〜60度の範囲にあることが好ましい。ここでアスカーC硬度は、SRIS0101(日本ゴム協会標準規格)に規定されたデュロメータ(スプリング式硬度計)にて測定されることができる。
【0023】
さらに帯電ローラは、移動(回転を含む)する感光体を帯電させるための充分に低い抵抗を有していることが好ましい。一方で帯電ローラは、感光体にピンホールなどの低耐圧欠陥部位がある場合に、電圧のリークを防止することができることが好ましい。充分な帯電性と耐リーク性を得るため、帯電ローラは104〜107Ω程度の抵抗を有することが望ましい。
【0024】
前記帯電ローラの抵抗は、以下のように測定することができる。
感光体の代わりにアルミニウム製ドラムを用いて測定する。アルミニウム製ドラムと帯電ローラの芯金との間に100Vの電圧を加える。このときに流れる電流値を測定することにより、帯電ローラの抵抗値を求める。
【0025】
前記帯電ローラには、帯電ローラをクリーニングするためのクリーニング部材が設けられていてもよい。該クリーニング部材は可撓性を有するフィルムであることが好ましく、該フィルムの例には厚さ約25μmのポリイミドのフィルムが含まれる。
前記クリーニング部材は、帯電ローラの長手方向に対して平行に配置され、かつ、同長手方向に対し一定量の往復運動をする支持部材に一端を固定され、自由端側近傍の面において帯電ローラと接触ニップを形成するように配置されていればよい。該支持部材が、長手方向に対して一定量の往復運動駆動されることにより、クリーニングフィルムが帯電ローラの表層を摺擦することができる。これにより、帯電ローラの表面に付着した汚染物(微粉トナー、外添剤など)が除去される。
【0026】
<感光体>
本発明における感光体は、基体、感光層および表面層を含むことが好ましい。
本発明における感光体は、その表面が特定のHU(ユニバーサル硬さ値)および弾性変形率Weを有することを特徴とする。
本発明の感光体の表面のHUとは、押込み変位を測定することによる試験負荷で測定されるユニバーサル硬さ値であり、ISO14577またはDIN50359に準拠して測定される。
前記感光体の表面のHUは、例えば微小硬さ測定装置フィシャースコープH100V(Fischer社製)を用いて測定されることができる。具体的には、HU圧子に連続的に荷重(
〜6mN)をかけ、荷重下での押し込み深さを連続的に測定する(測定点の数;273、各点における保持時間;0.1sec)。測定環境は、温度;25℃、湿度50%とする
。圧子としてダイヤモンド四角錐のビッカース圧子(対面角136°)を使用する。最大荷重(6mN)としたときの押し込み深さからビッカース圧子の表面積を求めて、それらを以下の式に代入して求める。下記式において、hは押し込み深さ(単位:mm)を示す。
【0027】
【数3】

【0028】
図2には、フィシャースコープH100Vを用いてHUを測定した場合の測定チャートの概略が示される。縦軸は荷重(mN)を、横軸は押し込み深さh(単位:μm)を示す。段階的に荷重を増加させながら6mNまで荷重をかけ、その後同様に段階的に荷重を減少させて得られた測定チャートである。
【0029】
本発明における感光体の表面のHUは、150〜220N/mmであることが好ましく、160〜200N/mmであることがより好ましい。
【0030】
一方、本発明における感光体の表面の弾性変形率は、圧子が膜に対して行った仕事量(エネルギー)、すなわち圧子の膜に対する荷重の増減によるエネルギー変化から求められ、下記式から算出されることができる。
例えば前記HUの測定において、全仕事量Wt(nW)は図2中のA−B−D−Aで囲まれる面積で表され、弾性変形の仕事量Wo(nW)はC−B−D−Cで囲まれる面積で表される。
【0031】
【数4】

【0032】
感光体には、機械的劣化に対する耐久性の向上が求められる。一般的に、感光体表面の耐久性の向上は、感光体表面の鉛筆硬度やビッカース硬度を高めることにより達成されると考えられている。これは、表面硬度が高いほど、外部応力に対する表面の変形量が小さいからである。
しかしながら本発明者等は、感光体表面の硬度が高くても、必ずしも感光体表面の耐久性が向上するとは限らず、感光体表面のHUおよび弾性変形率の両方の値がある範囲にある場合に、感光体表面層の機械的劣化を抑制することができることを見出した。
すなわち、前述の手順で測定される感光体表面のHUが150〜220N/mmであ
り、かつ前記弾性変形率が45〜65%である感光体表面の機械的劣化に対する耐久性が非常に高いことを見出した。さらに、前記HU値が160〜200N/mmであると、
さらなる耐久性の向上が達成されることも見出した。
【0033】
前述の通り感光体表面の耐久性の向上は、感光体表面のHUと弾性変形率とを組み合わせて考えなければならず、それらを独立に考えることは好ましくない。例えば、前記HUが220N/mmよりも高くかつ弾性変形率が45%未満である感光体の表面は、弾性が不足しているため、帯電ローラなどとの間に挟まれた紙粉やトナーにより局部的に大きな圧力を受け、傷つけられることがある。また、前記HUが220N/mmよりも高くかつ弾性変形率が65%より大きい感光体表面は、弾性変形率は高いが弾性変形量は小さいために、結果として局部的に大きな圧力を受け、傷つけられることがある。このように、前記HUの高い表面を有する感光体は、必ずしも耐久性の高い感光体とは言えないと考えられる。
【0034】
一方、前記HUが150N/mm未満であってかつ前記弾性変形率が65%を超える感光体の表面は、弾性変形率は高いが塑性変形量が大きいので、帯電ローラなどとの間に挟まれた紙粉やトナーにより擦られることにより、感光体表面に削れや細かい傷が発生しやすい。
【0035】
本発明において用いられる感光体の表面層は、重合または架橋により硬化された化合物を含有していることが好ましい。この重合または硬化は熱、可視光や紫外線などの光、または放射線などを用いて行うことができる。
特に放射線による重合または架橋によれば、感光体特性の劣化が少なく、残留電位の上昇が発生せず、かつ感光体表面層の硬度が高い感光体を得ることができる。また放射線による重合は、重合開始剤を特に必要としないので、非常に高純度な3次元マトリックスからなる表面層を作製することができる。そのため、放射線による重合または架橋により硬化された化合物を含む表面層を有する感光体は、良好な電子写真特性を示し得る。
【0036】
前記重合または架橋のために用いられる放射線は、電子線またはガンマ線であることが好ましい。
前記放射線として電子線を使用する場合、加速器としてスキャニング型、エレクトロンカーテン型、ブロードビーム型、パルス型およびラミナー型などの任意の形式の加速器を使用することができる。また、電子線の照射条件(加速電圧や照射線量を含む)は、感光体の電気特性および耐久性能を高めるために適宜選択されればよい。例えば、加速電圧は250kV以下であることが好ましく、150kV以下であることがより好ましい。加速電圧が前記上限より高いと、電子線照射により感光体特性の損傷、いわゆるダメージが増加する傾向がみられる。
また、照射線量は10〜1000kJ/kgの範囲内であることが好ましく、50〜200kJ/kgの範囲内であることがより好ましい。照射線量が前記下限より低いと、硬化が不十分となりやすく、照射線量が前記上限より高いと、感光体特性の劣化が生じやすい。
【0037】
さらに前記電子線照射による重合または架橋が、感光体を加熱しながら行われると、表面層の硬度をより高めることができる。加熱するタイミングは、ラジカルが存在する間に感光体が一定の温度になっていればよいため、電子線照射前、照射後など何れの段階でも良い。前記加熱により、感光体の温度が室温〜250℃に調整されることが好ましく、50〜150℃に調整されることがより好ましい。前記調整温度が上記より高い場合には電子写真感光体の材料に劣化が生じることがある。加熱する時間は、その温度にもよるが、おおよそ数秒から数十分程度でよい。
感光体への電子線照射および感光体の加熱は、大気雰囲気下、窒素もしくはヘリウム等の不活性ガス雰囲気下、または真空中、あるいはその他の雰囲気下で行うことができる。酸素によるラジカルへの影響を抑制するという点から、不活性ガス雰囲気下または真空中で行うことが好ましい。
【0038】
本発明における感光体の表面層において重合または架橋により硬化される化合物は、反応性の高さ、反応速度の速さ、および硬化後に達成される硬度の高さの点から、分子内に不飽和重合性官能基を含む化合物であることが好ましい。前記分子内に含まれる不飽和重合性官能基の好ましい例には、アクリル基、メタクリル基およびスチレン基が含まれる。
前記分子内に不飽和重合性官能基を有する化合物は、モノマー、オリゴマーおよびマクロノマーとに大別されることができる。前記モノマーは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返しがなく、比較的分子量の小さい化合物を意味する。前記オリゴマーは、不飽和重合性官能基を有する構造単位の繰り返し数が2〜20程度の重合体化合物を意味する。また、前記マクロノマーとは、末端のみに不飽和重合性官能基を有する(繰り返しの構造単位に不飽和重合性官能基を有さない)ポリマーまたはオリゴマーを意味する。
【0039】
また前記分子内に不飽和重合性官能基を有する化合物は、重合または架橋によって硬化されることにより、表面層に電荷輸送機能を付与することができる化合物(電荷輸送化合物)となることがより好ましい。該電荷輸送化合物は正孔輸送機能を有する不飽和重合性化合物であることがさらに好ましく、例えばヒドラゾン化合物、ピラゾリン化合物、トリフェニルアミン化合物、ベンジジン化合物及びスチルベン化合物等が例示される。
【0040】
本発明における感光体の表面層は、表面層を有しない感光体表面に、重合または架橋により硬化される化合物を融解または含有する溶液を塗布し、塗布された溶液中の化合物を硬化手段(例えば放射線の照射)により硬化することにより形成されることができる。
溶液の塗布は任意の塗布法、例えば浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法、スピンコーティング法などを用いて行うことができる。前記塗布法のうち、感光体を効率よく大量生産するためには、浸漬コーティング法が好ましい。
【0041】
本発明における感光体の表面層は、あらかじめ電荷輸送化合物(好ましくは正孔輸送化合物)を含む溶液を用意して、該溶液を表面層を有しない感光体表面に塗布するなどして形成されることもできる。この手段によれば、感光体に塗布された溶液中の化合物を重合または架橋させる工程が不要である。
さらに、本発明における感光体の表面層は、蒸着やプラズマ処理などのその他公知の製膜方法を適宜採用して形成されてもよい。
【0042】
本発明において用いられる感光体の表面層は、フッ素原子含有樹脂粒子を含むことができる。前記フッ素原子含有樹脂粒子の好ましい例には、四フッ化エチレン樹脂粒子、三フ
ッ化塩化エチレン樹脂粒子、六フッ化エチレンプロピレン樹脂粒子、フッ化ビニル樹脂粒子、フッ化ビニリデン樹脂粒子、二フッ化二塩化エチレン樹脂粒子、およびこれらの共重合体が含まれる。さらに前記フッ素原子含有樹脂粒子は、四フッ化エチレン樹脂またはフッ化ビニリデン樹脂粒子であることがより好ましい。なお、樹脂粒子の分子量や粒径は、適宜選択することができる。
【0043】
表面層におけるフッ素原子含有樹脂の含有量は、表面層の全質量に対して、通常は2〜40質量%であり、好ましくは5〜30重量%である。前記フッ素原子含有樹脂の含有量が40質量%より高いと表面層の機械的強度が低下し易くなり、3重量%より低いと表面層の表面の離型性、表面層の耐磨耗性や耐傷性が不十分になる可能性がある。
【0044】
本発明における感光体の表面層の比抵抗は、10〜1013Ωm(1010〜1015Ωcm)の範囲であることが望ましい。
【0045】
本発明における感光体表面は、一定の離型性を有することが好ましい。具体的には、離型性を示す指標である「純水に対する接触角C(°)」が、85≦C≦130であることが好ましい。接触角C(°)が85未満であると、感光体表面の離型性が低すぎるために後述の現像兼回収ステップで残存トナーを回収しきれず、感光体表面にトナーや外添剤等が固着し、融着やフィルミングが発生しやすくなる。一方、接触角C(°)が130を超えると、感光体表面の離型性が高すぎるために、後述の均しステップにおいてブラシ部材が感光体表面を十分に摺擦することができず、またチタン酸ストロンチウム粒子による研磨効果も発揮されにくい。前記感光体表面の離型性は、感光体の表面層にフッ素原子含有樹脂を含有させることなどにより高めることができる。
前記「純水に対する接触角C」は、常温常湿(23.5℃、60%)環境条件下において、協和界面科学株式会社製接触角計CA−X型を用いて測定することができる。
【0046】
本発明における感光体の表面層は、ラジカル補足剤や酸化防止剤などの添加剤を含むことができ、それによりフッ素原子含有樹脂の分散性、結着性および対候性をより向上させることができる。
【0047】
本発明における感光体の表面層の膜厚は、0.2〜10μmの範囲であることが好ましく、0.5〜6μmの範囲であることがより好ましい。
【0048】
また本発明における感光体の表面は、粗面化処理されていることが好ましい。該粗面化により、フッ素樹脂を感光体表面により露出させることができる。
本発明における感光体の表面の、表面粗さの指標である十点平均粗さRzjis(μm)は0.1〜1.5μmであることが好ましく、0.2〜0.6μmであることがより好ましい。前記Rzjisが0.1μmより小さいとフッ素樹脂の露出が不十分になりやすく、
また1.5μmより大きいと表面凹部へのブラシの摺擦が不十分になることがある。
本発明における感光体の表面の粗面化処理は、砥粒(例えば#3000)を有するラッピングテープで研磨するか、またはガラスや有アルミナ等のビーズを用いたブラストなどにて行うことができる。
十点平均粗さRzjisは、JIS B0601(2001)に基づいて測定することができ、例えばサーフコーダSE3400(小坂研究所)を用いて測定することができる(測定条件:測定長さ2.5mm、測定速度0.1mm/sec、カットオフ0.8mm)。
【0049】
前述の通り本発明における感光体は、表面層のほかに任意の感光層を含むことができる。
すなわち本発明における感光体は、導電性基体(外径が、例えば約30mm)上に、電荷発生物質と電荷輸送物質の双方を含有する一の層が形成された単層型感光体であっても
よく、電荷発生物質を含有する電荷発生層および電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を、順次または逆順に積層された積層型感光体(機能分離型感光体ともいう)であってもよい。本発明における感光体は、感光体としての特性(特に残留電位などの電気的特性)の観点から、電荷発生層および電荷輸送層が順次に積層された積層型感光体であることが好ましい。
【0050】
本発明における感光体は、より具体的には、アルミなどの導電性支持体上にバリアー機能と接着機能とを有する下引き層が形成され、該下引き層の上に電荷発生層および電荷輸送層が順次に積層され、さらに表面保護層が形成された感光体であることが好ましい。この場合の感光層の膜厚(電荷発生層、電荷輸送層および表面保護層の膜厚の合計)は、5〜30μmの範囲であることが好ましい。
この態様における感光体は、前述の正孔輸送性化合物を、その電荷輸送層または表面保護層に含有していてもよい。
【0051】
<静電潜像形成手段>
前述の通り本発明の画像形成方法は、2)帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成ステップを含む。
前記静電潜像の形成は、情報書き込み手段により行うことができる。前記情報書き込み手段の例には露光手段が含まれ、露光手段の例には半導体レーザを用いたレーザビームスキャナが含まれる。前記レーザビームスキャナは、画像読み取り装置などのホスト処理装置から画像信号を受け取り、受け取った画像信号に対応して変調されたレーザ光を出力する。出力されたレーザ光は、帯電された感光体の表面の露光位置(露光部)に照射されて、感光体をレーザ走査露光(イメージ露光)する。該レーザ走査露光により、レーザ光を照射された部位の電位が低下して、感光体の表面に画像情報に対応した静電潜像が順次に形成される。
【0052】
<現像兼回収手段>
前述の通り本発明の画像形成方法は、3)静電潜像をトナーで現像して感光体上にトナー像を形成するステップ(現像ステップ)を含む。さらに該ステップは、トナー像の形成とともに後述の転写ステップにおいて転写されずに感光体上に残存するトナーを回収する、現像兼回収ステップである。
【0053】
前記現像兼回収ステップにおける現像は、接触現像方式により行われることが好ましく、一成分接触現像方式または二成分接触現像方式のいずれでもよい。もっとも、後述のとおり本発明におけるトナーは、好ましくは二成分現像剤であるので、該現像は二成分接触現像方式により行われることが好ましい。
前記現像は、感光体に形成された静電潜像にしたがってトナーを供給することにより、静電潜像をトナー画像(現像剤像)として反転現像することにより行われる。
【0054】
前記現像は、例えば図1に示される画像形成装置における現像装置4により行われることができる。
現像装置4は、現像容器4a、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ4bを備えている。現像スリーブ4bは、その外周面の一部を現像装置4の外部に露呈させて、現像容器4a内に回転可能に配置してある。現像スリーブ4b内には、非回転に固定されたマグネットローラ4cが挿設されている。現像スリーブ4bに対向して、現像剤コーティングブレード4dが設けられている。現像容器4aは、二成分現像剤4eを収容しており、現像容器4a内の底部側には現像剤攪拌部材4fが配役されている。またトナーホッパー4gに補給用トナーが収容されている。
現像スリーブ4bは、感光体1との最近接距離(S−Dgap)を350μmに保持して感光ドラム1に近接対向配設される。この感光体1と現像スリーブ4bとの対向部が現
像部cである。
現像スリーブ4bには、所定の現像バイアスが印加される。現像スリーブ4bに印加される現像バイアス電圧は、直流電圧(Vdc)と交流電圧(Vac)とを重畳した振動電圧であることが好ましく、より具体的には、−350Vの直流電圧と、周波数8.0kHz、ピーク間電圧1.8kV、矩形波の交流電圧とを重畳した振動電圧であることが好ましい。
【0055】
現像スリーブ4bは、現像部cにおいて感光体1の進行方向とは逆方向に回転駆動されることが好ましい。感光ドラム1上の残存トナー(転写残トナー)をより効率的に回収するためである。
現像スリーブ4b内のマブネットローラ4cの磁力により、現像容器4a内の二成分現像剤4eの一部が現像スリーブ4bの外周面に吸着保持されて磁気ブラシ層を形成する。この磁気ブラシ層は、現像スリーブ4bの回転に伴い回転搬送され、現像剤コーティングブレード4dにより所定の薄層に整層される。整層された薄層は、現像部cにおいて感光体1の表面と接触して、感光体表面を適度に摺擦する。
現像スリーブ4b上に整層された薄層を形成するトナーは、現像部cに搬送されると、現像バイアスによる電界によって、感光体1に形成された静電潜像に対応して感光体1の表面に選択的に付着する。このようにして感光体1に形成された静電潜像はトナー画像として現像される。ここで現像は、感光体1の表面の露光明部にトナーが付着することにより静電潜像を現像する、反転現像であることが好ましい。
【0056】
現像に用いられることなく現像部cを通過した、現像スリーブ4b上の薄層を形成するトナーは、引き続き現像スリーブ4bの回転に伴い現像容器4a内の現像剤溜り部に回収される。
現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度(トナーとキャリアの比率)は、一定の範囲内に維持されることが好ましい。そこで、現像容器4a内の二成分現像剤4eのトナー濃度を、例えば光学式トナー濃度センサーによって検知し、その検知情報に応じてトナーホッパー4gを駆動制御して、トナーホッパー4g内のトナーを現像容器4a内の二成分現像剤4eに補給する。二成分現像剤4eに補給されたトナーは、攪拌部材4fにより攪拌される。
【0057】
前記現像兼回収ステップにおける回収とは、後述の4)転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを回収することを意味する。前記回収は、感光体の静電潜像を現像することができる適切なトナー帯電量に制御された、感光体上の転写残りトナーを、現像手段(例えば、現像装置)に移動させることにより行われる。回収される転写残りトナーの帯電量の制御は、後述の均しステップにおける転写残りトナーの帯電処理、および均しステップにおいて帯電処理された転写残りトナーを、帯電ステップにおいて除電することにより制御される。
前記回収を、図1に示される画像形成装置を用いて説明する。転写残りトナーは、現像部cで回収される。転写部dで転写されずに感光体に残存したトナー(残存トナー)は、均し部eで正規極性である負極性に帯電される(後述)。帯電された残存トナーは帯電部aで除電される。除電された残存トナーは、現像装置4によって感光体の静電潜像を現像できる適切な帯電量に制御されているので、現像部cで現像装置に回収される。
【0058】
<トナー>
本発明におけるトナーは非磁性トナーであることが好ましく、一成分現像剤または二成分現像剤のいずれの構成成分として用いられてもよいが、好ましくは磁性キャリアとともに二成分現像剤の構成成分として用いられることが好ましい。また前記非磁性トナーは、トナー粒子と該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を含むことが好ましい。
【0059】
前述の通り本発明における感光体は、高弾性かつ高硬度な表面層を有する感光体であるので、本発明におけるトナーに含まれる外添剤は、該感光体を安定に使用するために作用し得る外添剤であることが好ましい。すなわち本発明におけるトナーに含まれる外添剤を、適度な硬度を有する無機微粉体であるチタン酸ストロンチウム粒子とすることにより、後述の均しステップにおいてブラシ部材のブラシ繊維とともに感光体表面を適切に擦ることができ、耐摩耗性の高い感光体表面に残存する外添剤やトナーを効果的に均すことができる。
【0060】
前記チタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の平均粒径は、30〜300nmであることが好ましく、100〜180nmであることが更に好ましい。一次粒子の平均粒径が30nm未満である前記粒子は研磨効果を十分に発揮することができないことがある。一方、一次粒子の平均粒径が300nmをこえる前記粒子は、研磨効果が強すぎるためにドラムに傷を発生させたりするなどの問題が生じ得る。
また、前記チタン酸ストロンチウム粒子は、トナー粒子表面に一次粒子として存在するとは限らず、凝集体として存在する場合もある。したがって前記チタン酸ストロンチウム粒子に含まれる、600nm以上の粒径を有する粒子と凝集体の合計含有率は、チタン酸ストロンチウム全粒子数に対して、1個数%以下であることが好ましい。粒径が600nm以上の粒子または凝集体は、感光体をキズつけるなどの問題を発生させやすい。
粒径が600nm以上の粒子または凝集体の含有率は、チタン酸ストロンチウム粒子の製造において、反応時における酸化チタン源とストロンチウム源の混合割合、反応初期の酸化チタン源濃度、またはアルカリ水溶液を添加するときの温度もしくは添加速度を適宜調整したり、チタン酸ストロンチウム粒子の表面をステアリン酸やシリコン等で表面処理したりすることにより低減させることができる。
【0061】
本発明におけるトナーに含まれるチタン酸ストロンチウム粒子の一次粒子の平均粒径は、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真から100個粒子をランダムに選択して、その粒径を測定して求めることができる。
また、立方体または直方体状の形状を有するチタン酸ストロンチウム粒子の粒径は、その粒子の形状(立方体または直方体)の中で最も長い辺の長さ(T1)と最も短い辺の長さ(S1)を測定し、式:(T1+S1)/2に代入して算出した(図3参照)。
【0062】
本発明におけるトナーに含まれるチタン酸ストロンチウム粒子の少なくとも一部の粒子は、その形状が立方体または直方体状であることが好ましく、かつその結晶構造がペロブスカイト型結晶構造であることが好ましい。前記立方体または直方体(サイコロ、キュービック状の形状)状の形状を有するチタン酸ストロンチウム粒子を、電子顕微鏡にて5万倍の倍率に拡大して撮影した写真を図4に示す。
さらに、前記チタン酸ストロンチウム粒子に含まれる立方体または直方体状の粒子形状である粒子の含有率が、チタン酸ストロンチウムの全粒子数に対して50個数%以上であることが好ましい。前記立方体または直方体状の粒子形状である粒子の含有率が高いチタン酸ストロンチウムを含むトナーは、より効率的に感光体表面から帯電生成物を除去することができる。
【0063】
本発明におけるトナーに含まれる前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有率は、トナー全質量に対して0.2〜2.5質量%であることが好ましく、0.5〜1.5質量%であることがより好ましい。前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(質量%)が0.2質量
%より低いと、外添剤による感光体表面に対する研磨効果が十分に発揮されないことがあり、一方、前記含有率が2.5質量%より高いと、外添剤によるトナー粒子表面の被覆率
が高くなりすぎて、現像性や定着性に影響を及ぼすことがある。
【0064】
前記チタン酸ストロンチウム粒子のトナー全質量に対する含有率T(Wt%)は、蛍光X線法により測定され得る。具体的には、未外添品のトナー、およびトナー樹脂100質量部に対してチタン酸ストロンチウムを1質量部外添したトナーを、それぞれ蛍光X線法によりストロンチウムのネット強度を測定して、両者から検量線を作成する。一方、蛍光X線法により測定対象(トナー)のストロンチウムのネット強度を求める。求められたネット強度から、前記検量線に基づいて、測定対象のチタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(Wt%)を求めることができる。
前記蛍光X線法によるストロンチウムのネット強度の測定は、例えば理学電機工業(株)製RIX3000を用いて行うことができる。
【0065】
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(%)は、トナーの製造においてチタン酸ストロンチウム粒子を外添する添加量を調整することにより制御されることができる。例えばトナー樹脂100質量部に対して、1質量部のチタン酸ストロンチウムを外添すれば、前記含有率Tをほぼ1.0(Wt%)とすることができる。
【0066】
本発明におけるトナーに含まれるチタン酸ストロンチウム粒子の帯電極性は、トナー粒子の帯電極性と逆極性(正極性)であることが好ましく、それによりトナーの現像性を良好にすることができる。さらに後述の均しステップにおいて、バイアス印加されたブラシ部材に効率的に吸引され、感光体を効率的に研磨することができる。
【0067】
本発明におけるトナーに含まれるトナー粒子は、任意の方法で製造され得るが、例えば重合法(特に、球形化しやすい懸濁重合法)または粉砕法により製造され得る。製造されたトナー粒子に、前述のチタン酸ストロンチウム粒子を外添して本発明におけるトナーが製造され得る。
【0068】
本発明におけるトナーの重量平均粒径は4〜7μmの範囲にあることが好ましい。4μm未満では、トナーの帯電量分布の制御が難しくなり、またカブリや融着等が発生し易くなり、また7μmより大きくなると現像再現性が低下する傾向があるからである。
【0069】
本発明におけるトナーの重量平均粒径は、コールターマルチサイザーII(コールター社製)により測定されることができる。コールターマルチサイザーIIに、個数分布および体積分布を出力するインターフェース(日科機製)ならびにPC9801パーソナルコンピューター(NEC製)を接続する。
電解液として、一級塩化ナトリウムを用いて1%NaCl水溶液を調製する。電解液としてISOTON R−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)などを使用してもよい。
前記電解液100〜150ml中に分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を0.1〜5ml加え、さらに測定試料を2〜20mg加える。測定試料を懸濁された電解液を、超音波分散器で約1〜3分間分散処理する。前記超音波処理された電解液を測定サンプルとして、100μmのアパーチャーを採用する前記コールターマルチサイザーにより、2μm以上のトナーの体積および個数を測定した。測定された体積および個数から、体積分布と個数分布を算出した。算出された体積分布から求めた重量基準(各チャンネルの代表値をチャンネル毎の代表値とする)の重量平均粒径を求めることができる。
【0070】
本発明におけるトナーの平均円形度は通常は0.97〜0.99であるが、トナーの平均円形度については特に制限はない。該平均円形度は、フロー式粒子像測定装置「FPIA−2100型」(シスメックス社製)を用いて「粒子投影面積」および「粒子投影像の周囲長」の測定を行い、得られた測定結果から下記式(I)および(II)を用いて算出することができる。
【0071】
下記式(α)において、「粒子投影面積」とは二値化されたトナー粒子像の面積であり、「粒子投影像の周囲長」とは該トナー粒子像のエッジ点を結んで得られる輪郭線の長さである。「粒子投影面積」および「粒子投影像の周囲長」は、512×512の画像処理解像度(0.3μm×0.3μmの画素)で画像処理された粒子像を用いて測定される。
下記式(α)で求められる円形度は、トナー粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、トナー粒子が完全な球形の場合に1.000を示し、表面形状が複雑になるほど円形度は小さな値となる。
【0072】
【数5】

【0073】
円形度頻度分布の平均値を意味する平均円形度Cave.は、粒度分布の分割点iでの
円形度(中心値)をci、測定粒子数をmとして、下記式(β)から算出される。
【0074】
【数6】

【0075】
本発明の円形度の測定に用いられる装置である「FPIA−2100」は、各粒子の円形度を算出する。算出された円形度に応じて、各粒子を、円形度0.4〜1.0の範囲で0.01ごとに等分割したクラスにそれぞれ振り分ける。そして、各クラスに振り分けられた粒子の数と、そのクラスの分割点の中心値から、平均円形度及び円形度標準偏差を算出する。
【0076】
「FPIA−2100」を用いる円形度の測定の具体的手順を以下に記載する。
容器中に用意された、不純固形物などを除去したイオン交換水10mlに、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を加え、さらに測定試料を0.02g加えて均一に分散させて、測定用の分散液を得る。前記分散は、例えば超音波分散機「Tetora150型」(日科機バイオス社製)で2分間分散処理することにより行われ得る。分散処理中に、該分散液の温度が40℃以上とならないように適宜冷却する。
得られた分散液を測定サンプルとして、フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて円形度を測定するが、円形度のバラツキを抑えるため、測定中のフロー式粒子像分析装置FPIA−2100の機内温度が26〜27℃になるよう装置の設置環境を23℃±0.5℃にコントロールする。また、一定時間(好ましくは2時間)おきに、2μmラテックス粒子を用いて自動焦点調整を行う。
【0077】
前記測定サンプル(分散液)は、そのトナー粒子濃度が3000〜1万個/μlとなるように、測定時に調整されることが好ましい。前記フロー式粒子像測定装置を用いて、調
製された分散液に含まれる1000個以上のトナー粒子を計測する。計測されたデータから円相当径2μm未満のデータをカットして、トナー粒子の平均円形度を求める。
【0078】
本発明におけるトナーは、磁性キャリアと組み合わされて二成分現像剤の構成成分として用いられることが好ましい。前記二成分現像剤の「トナー質量/(トナー質量+磁性キャリア質量)」は4〜12質量%であればよく、約8質量%であることが好ましい。
【0079】
本発明におけるトナーと組み合わされる磁性キャリアは任意である。該磁性キャリアの磁化の強さは、(4π)-1×10A/m(1kOe)の磁気中において4π×10−2Wb/m(100emu/cm)程度であればよい。
また、前記磁性キャリアの抵抗は約1013Ωcmであればよい。さらに、前記磁性キャリアの体積平均粒径は約40μmであればよく、ここで体積平均粒径はレーザ回折式粒度分布測定装置HEROS(日本電子製)を用いて、0.5〜350μmの範囲を32対数分割して測定し、体積50%メジアン径をもって測定することができる。
【0080】
本発明におけるトナーと磁性キャリアとを組み合わせて得られる二成分現像剤は、磁性キャリアがトナーを摺擦することにより負極性に帯電される。該二成分現像剤の帯電量は、−1.0×10−2C/kg〜−50×10−2C/kg程度であればよい。該二成分現
像剤の帯電量は、吸引式のファラデーケージ法により測定されることができ、例えば以下のようにして測定される。
測定環境を温度23℃,相対湿度50%とする。キャリアとしてのDSP138(同和鉄粉工業社製)(9.9g)に測定試料(0.1g)を加えて得られた混合物を、50ml容量のポリエチレン製の瓶に入れて100回震盪する。図5に示すような、底に目開き32μmの金属メッシュのスクリーン13を含む金属製の測定容器12に、振盪後の混合物を約0.5g入れて、金属製のフタ14をセットする。ここで入れられた混合物を含む測
定容器12全体の質量を測定する(W1gとする)。
吸引機(少なくとも測定容器2と接する部分は、絶縁体とされている)を吸引口17につなぎ、真空計15で確認しながら風量調節弁16を調節して圧力を250mmAqとする。減圧状態で2分間吸引を行なって、現像剤を吸引除去する。このときの電位計19の電位をV(ボルト)として、コンデンサー18の容量をC(μF)とする。
吸引後の測定容器12全体の質量を測定する(W2g)とする。この現像剤の摩擦帯電量(mC/kg)は、式:CV/(W1−W2)に代入して計算される。
【0081】
<転写手段>
前述の通り本発明の画像形成方法は、4)感光体上に形成されたトナー像を、中間転写体または転写材に転写する転写ステップを含む。転写を行う転写手段の例には、転写ローラが含まれる。該転写ローラは、感光体に所定の押圧力をもって圧接されており、感光体との圧接ニップ部が転写部となる。該転写部に、所定の制御タイミングにて中間転写体または転写材が給送される。転写部に給送された中間転写体または転写材は、感光体と転写ローラとの間に挟持されて搬送される。転写材が搬送される間、転写ローラには、トナーの帯電極性(好ましくは正規帯電極性である負極性)とは逆極性(好ましくは正極性)の転写バイアスが印加される。これにより、転写部に搬送されて通過する中間転写体または転写材の表面に、感光体に形成されたトナー画像が順次に静電転写される。
【0082】
転写部を通過してトナー画像を転写された転写材は、感光体の表面から順次に分離されて、さらに画像の定着処理をされることが好ましい。該定着処理は、例えば熱ローラ定着処理により行うことができ、さらに画像の定着処理をされた転写材は、画像形成物(プリント、コピー)として出力されることができる。
【0083】
<残存トナーを均すブラシ部材>
前述の通り本発明の画像形成方法は、5)感光体上に残存するトナーを、バイアスが印加される均し手段で均す均しステップを含むことを特徴とする。この均しステップは、前述の4)転写ステップの後であって、かつ1)帯電ステップの前に行われる。感光体上に残存するトナーは、転写ステップで感光体から転写されずに残存しているトナーであり得る。
前記残存トナーは、均しステップにおいて負極性に帯電され、さらに前述の帯電ステップで除電されることにより、現像兼回収ステップにおいて効率的に回収され得る。また、均しステップにおいて残存トナーを負極性に帯電させることにより、帯電ステップにおいて帯電手段(例えば帯電ローラ)に残存トナーが付着するのを抑制することができるため、帯電ローラ汚れ起因の画像ムラ等を抑制する効果が得られる。
【0084】
前記均しステップは均し手段を用いて行われる。均し手段は、感光体表面との接触面積が大きく、かつ接触幅も大きいことが好ましい。また、前記均し手段にはバイアスが印加されていることが好ましく、それにより感光体上に残存するトナーを正規極性(負極性)に帯電させる。
そこで、均し手段を可撓性のある部材とすることにより、均し手段と感光体との接触部の面積を大きくして、効率的に感光ドラム表面の残存トナーなどを均し、かつ帯電することが好ましい。
【0085】
前記均し手段の好ましい例には、適度の導電性を有するブラシ繊維を有するブラシ部材が含まれる。該ブラシ部材は、そのブラシ繊維が感光体の表面に接触するように配設され、均し手段と感光体の表面との接触部が形成されることが好ましい。
【0086】
前述の通り本発明において、感光体表面を均一に研磨することが重要である。均し手段がより多くのチタン酸ストロンチウム粒子を保持することができれば、感光体表面をより均一に均すことができる。均し手段としてブラシ部材を用いて、そのブラシ繊維を細くかつ高密度にすることにより、より多くのチタン酸ストロンチウム粒子が均し手段に保持される。
【0087】
また、均し手段であるブラシ部材は、そのブラシ繊維がトナーや外添剤(チタン酸ストロンチウム以外の外添剤)により汚染されるとチタン酸ストロンチウムの保持を妨げ、また、トナーを帯電させる能力が低下することがある。よって、ブラシ繊維と感光体表面の接触点は多いことが好ましい。
【0088】
前記ブラシ部材は、例えば導電性のブラシ繊維が植え込まれた(好ましくは、W織りで植え込まれた)基布を、バイアス電源に接続された導電性の基体に取り付けたものである。ここで導電性の繊維には、レーヨン、ナイロン、ポリエステルおよびアクリルなどの種々の材質の繊維に導電化処理された繊維が含まれる。
【0089】
前記ブラシ部材のブラシ繊維の織度は、一般の清掃ブラシの繊維として使用される繊維よりも細いことが好ましく、具体的には1.1×10−7〜6.6×10−7kg/m(1〜6デニール)であることが好ましい。前記ブラシ繊維が1.1×10−7kg/mより
も細い場合は、残存トナーの散らしなどの均し手段としての効果が低下しやすく、毛倒れ等も発生しやすくなる。一方、前記ブラシ繊維が6.6×10−7kg/mより太い場合
は、後述するように繊維密度が高くなりすぎるために、目詰まりを発生させたり、感光ドラムを傷つけたりする。さらには、摺擦力によってトナーなどが感光体に押し付けられて、融着等が生じやすくなる。
【0090】
前記ブラシ部材のブラシ繊維は基布に植え込まれているが、そのブラシ繊維密度(植え込み密度)は155〜310本/mmであることが好ましい。粒径が小さく、立方体ま
たは直方体状のために凸部の多いチタン酸ストロンチウム粒子の十分量を保持するためであり、それによりソフトかつ均一に感光体表面を摺擦する。
155本/mm未満の繊維密度であると、帯電の均一性、チタン酸ストロンチウム粒子の保持量や摺擦力が十分得られないことがある。一方、310本/mmより高い繊維密度では、目詰まりや傷、融着等の弊害が出やすくなる。
【0091】
前記ブラシ部材は感光体に当接されており、ブラシ部材のブラシ繊維が感光体と接触している。ブラシ繊維の感光体への侵入量Lは、0.4〜2.0mmであることが好ましい。「ブラシ繊維の感光体への侵入量」とは、ブラシ繊維の先端部分が感光体の内側に無抵抗で侵入したと仮定した場合の、その侵入の量を意味する。
侵入量Lが0.4mm未満であると、ブラシ部材による帯電の均一性や摺擦性が低下し
て、十分な効果が得られないことがある。一方、侵入量Lが2.0mmより大きいと、感
光体への当接が強すぎるために、感光体を傷つけたり、ブラシ繊維の毛倒れが発生しやすくなるからである。
【0092】
前記ブラシ部材のブラシ繊維は、感光体表面を効率的に摺擦することができることが好ましい。感光体表面がブラシ繊維により効率的に摺擦されるには、感光体表面の一の部位がブラシ繊維に触れている時間が長いことが好ましい。すなわち、ブラシ繊維と感光体との接触部の感光体回転方向の幅をD(mm)、感光体の周速度をS(mm/sec)としたとき、D/Sの値が大きいほど効率的に摺擦することができる。このD/Sの上限は、本願方法を実施するための装置などにより制約されるので、該装置などに応じて適宜設定されるべきである。D/Sの下限値の目安は、D/S≧0.01sec程度である。D/
Sが0.01secより小さくなると、摺擦性の低下による画像流れや融着の防止効果が
低下するだけでなく、均しブラシ部材の他の機能であるトナーや感光ドラムの帯電能力にも影響が出て、帯電が十分にできなくなる可能性があるからである。
【0093】
また、一般的に感光体上の残存トナーには、正規極性(負極性)に帯電されたトナーだけでなく、逆極性に帯電された反転トナーや、帯電量が適切でないトナーが混在している。この反転トナーや帯電量が適切でないトナーは、前述の均し手段により帯電処理を受けても適切に帯電することができないため、1)帯電ステップにおける帯電手段に付着しやすく、さらに3)現像兼回収ステップにおいて回収されにくい。
そこで前記均しステップを、均し手段による均し工程、および補助均し手段による補助均し工程を含む段階的ステップとしてもよい。補助均し工程は、均し工程の前に行われる。補助均し工程によって、残留トナーを平面的にも電気的にも均一化することが好ましい。
すなわち、前記補助均し手段により残存トナーを除電した後、補助均し手段により除電された残存トナーを正規極性(好ましくは負極性)に帯電処理することにより、前述の1)帯電ステップにおける帯電手段への残存トナーの付着をより効果的に防止することができ、かつ3)現像兼回収ステップにおける残存トナーの除去または回収をより効率的にすることができる。したがって、残存トナー像パターンのゴースト像の発生も防止される。
【0094】
前記補助均し手段(均一化手段)には正電圧(例えば、+250VDC程度)が、均し手段(トナー帯電手段)には負電圧(例えば、−750VDC程度)が印加される。
【0095】
前記補助均し手段も、均し手段と同様の、ブラシ繊維を有するブラシ部材とすることができる。
【0096】
また、前記均し手段は固定されたブラシであってもよく、ロータリーブラシやレシプロ機構(例えば、感光長手方向に往復するレシプロ機構)を備えたブラシであってもよい。レシプロ機構を備えたブラシを用いることにより、ブラシの汚れ方が均一になり、またト
ナーをより均一に均すことができる。
また、前記均し手段はブラシ繊維を有するブラシ以外の均し部材であってもよい。ブラシ以外の均し部材の例には、表面に微細な凹凸を有し、チタン酸ストロンチウムを保持して感光体表面を摺擦し、かつ転写残トナーを適切に帯電できるローラタイプの均し部材等が含まれる。
【0097】
<クリーナーレスシステム>
本発明の画像形成方法は、転写されずに感光体に残存するトナーを、現像ステップにおいて回収することができることを特徴とする。したがって本発明の画像形成方法は、残存トナーをクリーニングするための別個のクリーナーステップを含む必要がない。画像形成方法における通常のクリーナーステップは、クリーニング装置により行われるので、本発明の画像形成方法を実施する装置には、そのクリーニング装置を設ける必要がない。よって、装置の小型化が可能となる。
さらに残存トナーは、現像ステップにおいて回収され得るため、廃トナーとならず、再利用されることができる。したがって、本発明の画像形成方法は、環境保全や資源の有効利用などの点で好ましい。
【0098】
<感光体表面の接触角C、チタン酸ストロンチウムの含有率T、ブラシ手段の感光体への侵入量Lの関係>
一般的にクリーナレス方式を採用する画像形成方法は、クリーニング部材(例えばクリーニングブレード)によるメカニカルなクリーニングステップを有さず、転写されずに感光体に残存するトナーは、均し手段で均された後に現像兼回収ステップにおいて回収されることが多い。しかしながら、感光体に残存するトナーの微粉や外添剤などの一部が、現像兼回収ステップにおいて回収されないことがある。回収されずに感光体表面に残存し続けるトナーの微粉や外添剤などは、感光体を接触帯電方式(例えばCローラによる)で帯
電する場合に、感光体表面と帯電手段にはさまれて電気的および機械的ストレスを発生させる。特に、前記接触帯電方式がACバイアスを印加する接触帯電方式であると、前記電気的ストレスが増大する。これらのストレスを長期間にわたって受けると、感光ドラム表面にトナーの微粉や外添剤などが付着、堆積さらには固着して、いわゆる融着やフィルミングが発生する。
これらを抑制するため、クリーナレス方式を採用する画像形成方法に適用される感光体の表面は、離型性が高いことが好ましい。そこで、前述したように感光ドラムの表面層にフッ素原子含有樹脂等を含有させるなどして、感光ドラム表面の表面エネルギーを下げることが好ましい。感光ドラム表面の表面エネルギーが低いと、該表面の接触角が大きくなる。
【0099】
感光ドラム表面の表面エネルギーを下げて離型性を高めることによって、高湿環境下での放電生成物等の付着や低湿環境下での静電的なトナー微粉や外添剤の融着、フィルミング等の発生は低減されるが、不十分である場合があり、さらなる改良が求められる。
【0100】
他方、チタン酸ストロンチウム粒子の粒径は、従来の外添剤の粒径と比較して小さくすることができ、感光体との接触面積を大きくすることができる。さらに、チタン酸ストロンチウム粒子の形状はキュービックであり、従来の外添剤と比較して感光体をより均一に研磨することができる。
ブレードにより感光体上のトナーなどをクリーニングするクリーニングステップがある場合には、チタン酸ストロンチウム粒子がブレードと感光ドラムのNIP部に塞き止められて研磨剤として特に有効に作用し、感光ドラム表面をクリーニングすることができる。
しかしながら、前記クリーニングステップを有しないクリーナレス方式の場合、チタン酸ストロンチウム粒子の研磨効果が有効に機能しにくいことがある。特に、上述したような高離型性の表面を有する感光体に対しては、チタン酸ストロンチウム粒子の研磨効果が
より機能しにくい。
【0101】
そこで本発明者等は、クリーナレス方式の画像形成方法に一般的に含まれる均しステップの作用について考察した。前記の通り均しステップとは、バイアスが印加された均し手段(例えばブラシ繊維を含むブラシ部材)で感光体上の残存トナーを均すステップであり、トナーを正規帯電極性である負極性に帯電させるためのステップである。
チタン酸ストロンチウム粒子の極性は、トナー粒子と帯電極性が逆であるため、トナー粒子にしっかりと外添されており、殆どトナー粒子から分離することなくトナー粒子と共に挙動する。このため、感光体上の残存トナーにもチタン酸ストロンチウム粒子が外添されており、該残存トナーは、均し手段で均されることにより、感光体表面を摺擦する(研磨剤として作用する)ことができる。
また、トナー粒子から遊離した微量のチタン酸ストロンチウム粒子は、ネガバイアスが印加されている均し手段、例えばブラシ部材のブラシ繊維に静電的に吸引されてブラシ繊維に付着する。ブラシ繊維に付着したチタン酸ストロンチウム粒子は、ブラシ繊維とともに感光ドラム表面を摺擦して研磨作用を発揮する。
【0102】
このように、均し手段であるブラシ部材のブラシ繊維とともに、チタン酸ストロンチウム粒子が感光体を摺擦するために、両者の相互作用により、高離型性の感光体表面も十分に研磨され得る。それにより、放電生成物、トナーまたは外添剤の、付着、堆積または固着などが抑制され、画像流れや融着/フィルミング等が防止される。
【0103】
これらの視点から本発明者は、1)感光体の表面の純水に対する接触角C(°)、2)トナーに含まれるチタン酸ストロンチウム粒子の、トナー全質量に対する含有率T(質量%)、および3)均し手段であるブラシの感光ドラムへの侵入量L(mm)が、画像流れ・融着・フィルミングなどの発生に相互に影響を及ぼしあうパラメータであることを見出した。すなわち、該3つのパラメータが以下の関係を満足する本発明の画像形成方法を用いることにより、画像流れ・融着・フィルミングなどの発生を有意に抑制することができることを見出した。このことは、後述の実施例において説明されている。
【0104】
【数7】

【0105】
<画像形成装置>
本発明の画像形成方法は、例えば図1または図6に示される画像形成装置により実施される。
図1または図6に示される画像形成装置100は、いずれも接触帯電方式、二成分接触現像方式、クリーナレス方式を採用した電子写真方式のレーザビームプリンタ(プリンタ)である。
以下、プリンタ100について説明する。プリンタ100の各部材、すなわち感光体、感光体を帯電する手段、静電潜像形成手段、現像手段、トナーを含む現像剤、転写手段および均し手段には、前述した部材を適宜に適用することができる。
【0106】
プリンタ100は、像担持体として回転ドラム型の電子写真感光体1(以下、「感光ドラム」と呼ぶ)を有する。感光ドラム1は帯電特性が負帯電性の有機光導電体(OPC)であり、外径30mm、中心支軸を中心に130mm/secのプロセススピード(周速度)をもって矢示の反時計方向に回転駆動される。
【0107】
プリンタ100は、接触帯電装置(接触帯電器)を有する。接触帯電装置は、帯電ロー
ラ(ローラ帯電器)2であり、感光ドラム1との間の微小ギャップにて生じる放電現象を利用して帯電する。
帯電ローラ2は、芯金(支持部材)2aの両端部をそれぞれ軸受け部材(図示せず)により回転自在に保持されると共に、押圧ばね2eによって感光ドラム1に向かって付勢して、感光ドラム1の表面に対して所定の押圧力をもって圧接されている。帯電ローラ2は、感光ドラム1の回転に従動して回転する。感光ドラム1と帯電ローラ2との圧接部が帯電部(帯電ニップ部,接触部)aである。
帯電ローラ2の芯金2aには、電源より所定の条件の帯電バイアス電圧が印加される。これにより、回転する感光ドラム1表面は、所定の極性・電位に接触帯電処理される。帯電ローラ2に対する帯電バイアス電圧は、−500Vの直流電圧と、周波数1.3kHz、ピーク間電圧Vpp1.5kV、正弦波の交流電圧とを重畳した振動電圧である。この帯電バイアス電圧により、感光ドラム1表面は帯電ローラ2に印加した直流電圧と同じ−500V(暗電位Vd)に一様に接触帯電処理される。
帯電ローラ2は、被帯電体としての感光ドラム1に対して弾性に抗した押圧力を19.6N(2kgf)で圧接させて配設され、幅数mmの帯電部aを形成している。
【0108】
帯電ローラ2は長手長さ320mm、直径14mmである。また、帯電ローラ2は、芯金の外回りに下層、中間層および表層とを、下から順次に積層した3層構成である。下層は帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層は感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥がある場合にもリークが発生するのを防止するために設けられた保護層である。より具体的には、帯電ローラ2の仕様は下記の通りである。
芯金:直径6mmのステンレス棒
下層:カーボン分散の発砲EPDM、比重0.5g/cm、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚約3.5mm
中間層:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚約500
μm
表層:フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散、体積抵抗値10〜1010Ωcm、
表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRz)1.5μm、層厚約5μm
【0109】
プリンタ100は、帯電処理された感光ドラム1の面に静電潜像を形成する情報書き込み手段として露光手段たる露光装置3を有する。露光装置3は半導体レーザを用いたレーザビームスキャナである。レーザビームスキャナ3は、画像読み取り装置(図示せず)などのホスト処理装置からプリンタ側に送られた画像信号に対応して変調されたレーザ光Lを出力して、一様に帯電処理された回転する感光ドラム1の表面を、露光位置(露光部)bにおいてレーザ走査露光(イメージ露光)する。このレーザ走査露光により、感光ドラム1の表面のレーザ光Lで照射されたところの電位が低下し、回転する感光ドラム1の表面には、画像情報に対応した静電潜像が順次に形成されていく。
【0110】
プリンタ100は、感光ドラム1上の静電潜像に従ってトナーを供給し、静電潜像をトナー画像(現像剤像)として反転現像する現像手段として、現像装置(現像器)4を有する。現像装置4はトナーとキヤリアからなる二成分現像剤による磁気ブラシを、感光ドラムに接触させながら現像を行う二成分接触現像方式を採用した現像装置である。現像装置4は、現像容器4a、現像剤担持体としての非磁性の現像スリーブ4bを備えている。現像スリーブ4bは、その外周面の一部を現像装置4の外部に露呈させて、現像容器4a内に回転可能に配置してある。現像スリーブ4b内には、非回転に固定してマグネットローラ4cが挿設されている。現像スリーブ4bに対向して、現像剤コーティングブレード4dが設けられている。現像容器4aは、二成分現像剤4eを収容しており、現像容器4a内の底部側には現像剤攪拌部材4fが配役されている。又、補給用トナーがトナーホッパー4gに収容されている。
現像容器4a内の二成分現像剤(現像剤)4eは主に非磁性トナーと磁性キャリアとの混合物であり、現像剤攪拌部材4fにより攪拌される。
【0111】
プリンタ100は、転写手段として転写装置5を有する。転写装置5は転写ローラである。転写ローラ5は、感光ドラム1に所定の押圧力をもって圧接され、その圧接ニップ部が転写部dである。この転写部dに絵紙機構部(図示せず)から所定の制御タイミングにて記録材Pが給送される。
転写部dに給送された記録材Pは、回転する感光ドラム1と転写ローラ5との間に挟持されて搬送される。その間、転写ローラ5には電源からトナーの正規帯電極性である負極性とは逆極性である正極性の転写バイアス(+2kV)が印加される。これにより、転写部dを挟持搬送されていく記録材Pの表面に感光ドラム1の表面側のトナー画像が順次に静電転写されていく。
転写部dを通ってトナー画像の転写を受けた記録材Pは、感光ドラム1の表面から順次に分離されて定着装置6へ搬送される。定着装置6は熱ローラ定着装置であり、この定着装置6により記録材Pはトナー画像の定着処理を受けて画像形成物(プリント、コピー)として出力される。
【0112】
転写後の感光ドラム1面上の転写残トナーは、感光ドラム1の回転に伴い帯電部a、露光部bを通って現像部cに搬送されて、現像装置4により除去・回収される。
現像装置4の現像スリーブ4bは、感光ドラム1上の転写残トナーの回収の効率を上げるため、現像部cにおいて感光ドラム1の表面の進行方向とは逆方向に回転されている。
感光ドラム1上の転写残トナーは露光部bを通るので、露光工程はその転写残トナー上からなされる。通常は、転写残トナーの量は少ないため、転写残トナー上から露光工程を行うことによる大きな影響は現れない。
【0113】
転写残トナーには帯電極性が正規極性のもの、逆極性のもの(反転トナー)、帯電量が少ないものが混在しており、その内の反転トナーや帯電量が少ないトナーが、帯電部aを通過する際に帯電ローラ2に付着すると、帯電ローラ2が許容以上にトナーにより汚染してしまい帯電不良を生じることがある。また、画像パターンに応じてカブリや転写残トナーが感光ドラム上に分布している。そこで、プリンター100には、感光体表面上の残留トナーを均一に均し、且つ、次回の現像時に回収され易いように、帯電極性も正規極性である負極性に揃えるため、転写部dよりも感光ドラム1の回転方向下流側の位置、かつ帯電部aよりも感光ドラム1の回転方向上流側の位置において、均し手段(トナー帯電手段)7が設けられている。
さらに、図6に示されたプリンタ100には、均し手段7の感光ドラム1の回転方向上流であって、転写部dよりも感光ドラム1の回転方向下流位置に、転写後に感光ドラム1上に残留している様々な帯電量のトナーを、平面的にも、電気的にも均一化するため、補助均し手段(均一化手段)8を設けられている。
補助均し手段8及び均し手段7は、適度の導電性を持ったブラシ部材であり、ブラシ繊維を感光ドラム1の表面に接触させて配設されている。それぞれ補助均し手段8と感光ドラム1の表面との接触部f、均し手段7と感光ドラム1の表面との接触部eを形成している。
補助均し手段(均一化手段)8には、+250VDCが、均し手段(トナー帯電手段)7には、−750VDC印加され、現像装置4での転写残トナーの回収が効率的に行われる。
【0114】
<実施例>
以下において、製造例、実施例および試験例により本発明をさらに詳細に説明するが、これらにより本発明の範囲が限定されることはない。なお、製造例、実施例および試験例における「部」は、「質量部」を意味する。
【0115】
[感光体の製造例1]
ステップ1) 30φのアルミニウムシリンダーを用意した。
ステップ2) 以下の手順で導電層用塗料を調製した。10%の酸化アンチモンを含有する酸化スズで被覆した導電性酸化チタン粉体50部、フェノール樹脂25部、メチルセロソルブ20部、メタノール5部およびシリコーンオイル(ポリジメチルシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、平均分子量3000)0.002部の混合物を、φ1mmガラスビーズを用いたサンドミル装置で2時間分散して、導電層用塗料を調製した。この塗料を前記アルミニウムシリンダー上に浸漬塗布法で塗布した。塗料が塗布されたシリンダーを140℃で30分間乾燥して、膜厚23μmの導電層を形成した。
ステップ3) N−メトキシメチル化ナイロン5部をメタノール95部中に溶解して、中間層用塗料を調製した。この塗料を、前記導電層が形成されたアルミニウムシリンダー上に浸漬コーティング法によって塗布した。塗布後のシリンダーを100℃で20分間乾燥して、膜厚0.6μmの中間層を形成した。
ステップ4) オキシチタニウムフタロシアニン(線源をCuKα線とするX線回折において、2θ±0.2°(θはブラッグ角)が9.0°;14.2°;23.9°;及び27.1°である位置に強いX線回折ピークが観測される)3部、ポリビニルブチラ−ル(商品名エスレックBM2、積水化学(株)製)3部、およびシクロヘキサノン35部の混合物を、φ1mmガラスビ−ズを用いたサンドミル装置で2時間分散処理した。得られた分散物に酢酸エチル60部を加えて電荷発生層用塗料を調製した。この塗料を前記中間層が形成されたアルミニウムシリンダー上に浸漬塗布方法で塗布した。塗布後のシリンダーを50℃で10分間乾燥し、膜厚0.2μmの電荷発生層を形成した。
ステップ5) 下記構造式(4)のスチリル化合物10部、および下記構造式(5)の繰り返し単位を有するポリカーボネート樹脂(Mv≒20000)10部を、モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン30部の混合溶媒中に溶解して電荷輸送層用塗布液を調製した。この塗布液を前記電荷発生層上に浸漬コーティングし、120℃で一時間乾燥することによって膜厚が20μmの電荷輸送層を形成した。
【0116】
【化1】

【0117】
ステップ6) 下記構造式(3)の正孔輸送性化合物60部を、モノクロロベンゼン50部およびジクロロメタン50部の混合溶媒中に溶解して保護層用塗料を調製した。保護層用塗料には、四フッ化エチレン樹脂(ポリテトラフルオロエチレン粒子(ルブロンL―2:ダイキン工業(株)製)を全重量に対して10wt%含有させた。この塗布液を前記電荷輸送層上にコーティングした。コーティングされたシリンダーに、酸素濃度10ppm
の雰囲気下、加速電圧150KV、照射線量50KGyの条件で電子線を照射した。照射後、同雰囲気下で、シリンダーの温度を100℃にして10分感加熱処理した。さらに硬化度を上げるため、空気中でシリンダーの温度を140℃にして1時間加熱処理を行い、膜厚5μmの保護層を形成し、感光体1を得た。
【0118】
【化2】

【0119】
[感光体の製造例2]
感光体の製造例1のステップ6)において、保護層用塗料中の四フッ化エチレン樹脂の含有量を10wt%から30wt%に変更したこと以外は同様にして、感光体2を作製した。
【0120】
[感光体の製造例3]
感光体の製造例1のステップ6)において、保護層用塗料中の四フッ化エチレン樹脂の含有量を10wt%から5wt%に変更した以外は同様にして、感光体3を作成した。
【0121】
得られた感光体1〜3の物性を下記表に示す。感光体表面の純水に対する接触角、ユニバーサル硬さ値(HU)および弾性変形率は、前述の方法により測定、算出した。
【0122】
【表1】

【0123】
[現像剤の製造例1]
以下のようにして、重量平均粒径が6.0μm、平均円形度が0.99のトナーを用意した。
スチレン単量体100部、カーボンブラック(平均一次粒子径38nm、pH8.9、比表面積62m2/g、揮発分0.5%、DBP吸油量45ml/100g、トルエン抽出量0.1%、フルイ残分28ppm、嵩密度390g/リットル)20部、およびジ−t−ブチルサリチル酸の亜鉛化合物2.0部の混合物を、粒径1.25mmのジルコニアビーズとともに、ハンディーミルおよびアペックスミルを組み合わせて用いて600rpmにて25℃で300分間撹拌した。マスターバッチ分散液を調製した。調製されたマスターバッチ分散液のグロス値は53.6であった。
【0124】
次に、以下の処方の混合物を60℃に加温し、撹拌して均一に溶解・分散した。得られた分散物に、重合開始剤2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)3部を加えて溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
・マスターバッチ分散液 50部
・スチレン単量体 32部
・n−ブチルアクリレート単量体 18部
・エステルワックス 14部
(総炭素数:32、半値幅:4℃、DSC吸熱ピーク:70℃)
・飽和ポリエステル樹脂 7部
(Mw:12500、Mw/Mn:3.0、Tg(ガラス転移温度):71℃、酸価:12.0、水酸基価:22.0)
・ジビニルベンゼン 0.225部

【0125】
一方、イオン交換水355部に、0.1mol/リットルのNaPO水溶液225部を投入し、60℃に加温した。得られた水溶液を、クレアミキサー(エムテクニック社製)を用いて12,000rpmにて撹拌した。これに1.0mol/リットルのCaCl水溶液34部を徐々に添加し、リン酸カルシウム化合物を含む水系媒体を得た。
【0126】
得られた水系媒体をpH6に維持しながら、上記重合性単量体組成物を投入した。得られた混合物を、60℃,N雰囲気下において、クレアミキサー(エムテクニック社製)にて10000rpmで10分間撹拌し、重合性単量体組成物を造粒した。
その後、造粒された重合性単量体組成物および水系媒体を含む混合物を反応容器に移した。pHを6に維持しながら、パドル撹拌翼で撹拌しつつ60℃に昇温し、5時間反応させた。さらに、水溶性開始剤を添加して80℃に昇温して5時間反応させた。
重合反応終了後、減圧下で残存モノマーを留去した。冷却後、塩酸を加えてリン酸カルシウム化合物を溶解させた後ろ過し、得られた粒子を水洗し、真空下で乾燥させた。乾燥された粒子を、多段分割式分級機にて分級して、トナー粒子を得た。
【0127】
得られたトナー粒子100質量部に対して、粘度50csのシリコーンオイルで処理された疎水性シリカ(BET法による比表面積が98m2/g)1.2質量部、チタン酸ストロンチウム粒子1.0質量部を、ヘンシェルミキサーで外添してトナー1を得た。
外添されたチタン酸ストロンチウム粒子の物性について下記表2に記載した。
【0128】
【表2】

【0129】
次に、用いたキャリアの製造例を示す。
下記材料を四つ口フラスコに入れ、撹拌混合しながら60分間かけて85℃まで昇温し、同温度を保持しながら120分間反応させて硬化させた。
・フェノール(ヒドロキシベンゼン) 50部
・37wt%のホルマリン水溶液 80部
・水 50部
・エポキシ基を有するシラン系カップリング剤 KBM403(信越化学工業(株)製)で表面処理されたアルミナ含有マグネタイト微粒子(マグネタイト1) 280部
(個数平均粒径0.22μm,比抵抗値4×105Ω・cm)
・KBM403で表面処理されたα−Fe2O3微粒子(ヘマタイト1)120部
(個数平均粒径0.40μm,比抵抗値8×109Ω・cm)
・25wt%のアンモニア水 15部
【0130】
得られた硬化物を30℃まで冷却して、500質量部の水を添加した。上澄み液を除去し、沈殿物を水洗して風乾した。次いでこれを減圧下(5mmHg)、150〜180℃で24時間乾燥して、フェノール樹脂を結着樹脂とする磁性キャリアコア(A)を得た。
【0131】
シリコーン樹脂 KR−221(信越化学工業(株)製)に、シリコーン樹脂固型分に対して4%のγ−アミノプロピルトリメトキシシランを添加した。得られたシリコーン樹脂をトルエンで希釈して、シリコーン樹脂固型分を25%とした。
得られた希釈物を、70℃で撹拌された磁性キャリアコア(A)に減圧下で添加して、キャリアコア(A)を樹脂で被覆した。さらに2時間撹拌した後、窒素ガス雰囲気下で、140℃で2時間熱処理を行い、凝集をほぐした後、200メッシュ以上の粗粒を除去し、磁性キャリアを得た。
得られた磁性キャリアの平均粒子径は34μmであった。
【0132】
前記磁性キャリアとトナー1とを混合して、トナー濃度8%である二成分現像剤1を得た。
【0133】
[現像剤の製造例2]
現像剤の製造例1において、トナー粒子100質量部に対するチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を1.0質量部から0.2質量部にしたこと以外は同様にして、二成分現像剤2を得た。
[現像剤の製造例3]
現像剤の製造例1において、トナー粒子100質量部に対するチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を1.0質量部から0.5質量部にしたこと以外は同様にして、二成分現像剤3を得た。
[現像剤の製造例4]
現像剤の製造例1において、トナー粒子100質量部に対するチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を1.0質量部から1.5質量部にしたこと以外は同様にして、二成分現像剤4を得た。
[トナーの製造例5]
トナーの製造例1において、トナー粒子100質量部に対するチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を1.0質量部から2.0質量部にしたこと以外は同様にして、二成分現像
剤5を得た。
[トナーの製造例6]
トナーの製造例1において、トナー粒子100質量部に対するチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を1.0質量部から2.5質量部にしたこと以外は同様にして、二成分現像
剤6を得た。
【0134】
[ブラシの製造例]
織度が4.4×10−7kg/m(4デニール)である導電性ナイロン繊維が、186
本/mm(120KF/inch)の密度で編みこまれた基布(前記導電性ナイロン
繊維をW織りにしたもの)を、5mm×320mmにカットした。カットされた基布を導電性の基体(バイアス電源に接続されたアルミ支持板)に取付けてブラシを作製した。
【0135】
[実施例1]
iRC3200N(キヤノン社製)を以下に示すように改造して、図1に示される画像形成装置を作製した。
1)感光ドラムを前記感光体1とした。なお、感光体1の表面の純水に対する接触角C
(°)は、100(°)である。感光ドラムの周速度は130mm/secとした。
2)現像剤を前記現像剤1〜6のいずれかとした。
3)均し手段7を前述の製造例のブラシとした。
ブラシは、ブラシの感光体への侵入量が0.4、0.8、1.5、2.0mmのいずれかとなるように設置された。ブラシには−750VDCの電圧を印加した。ブラシと感光体の、感光体回転方向の接触幅D(mm)は5(mm)とした。
【0136】
感光体を帯電する帯電手段は帯電ローラ2であって、長手長さは320mm、直径は14mmである。また帯電ローラ2は、芯金の外回りに、下層と、中間層と、表層とを下から順次に積層した3層構成である。下層は帯電音を低減するための発泡スポンジ層であり、表層は感光ドラム1上にピンホールなどの欠陥がある場合にもリークが発生するのを防止するために設けられた保護層である。より具体的な帯電ローラ2の仕様は下記の通りである。
芯金:直径6mmのステンレス棒
下層:カーボン分散の発砲EPDM、比重0.5g/cm、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚約3.5mm
中間層:カーボン分散のNBR系ゴム、体積抵抗値10〜10Ωcm、層厚約500
μm
表層:フッ素化合物のトレジン樹脂に酸化錫、カーボンを分散、体積抵抗値10〜1010Ωcm
(表面粗さ(JIS規格10点平均表面粗さRz)1.5μm、層厚約5μm)
【0137】
前記した改造画像形成装置を用いて、HH環境(30℃、80%)において、1日目および2日目にそれぞれ、5000枚の画像を連続して出力した。3晩放置したのち、画像を出力して画像流れの発生について調べた。画像流れが発生しなかった場合を○、多少発生したものを△、はっきりと発生したものを×と評価した。また、感光ドラムに傷があるかどうかを調査した。下記表3に、画像評価の結果または感光体の傷の有無の結果を示した。表3の評価結果に付されたカッコ内に記載された値は、T+L+(C/85)の値である。
【0138】
【表3】

【0139】
[実施例2]
図6に示される画像形成装置を作製した。図6示される画像形成装置は、図1に示される画像形成装置の均し手段を、トナー帯電用の均し手段と均一化用の補助均し手段との組み合わせに変更した装置である。
すなわち、図6に示される画像形成装置の均し手段および補助均し手段をいずれも、前
述した製造例のブラシとした。帯電用均し手段のブラシには−750VDC、補助均し手段のブラシには+250VDCを印加した。
均し手段のブラシおよび補助均し手段のブラシはいずれも、ブラシと感光体との回転方向の接触幅D(mm)が5mmとなるように設置された。またこれらのブラシは、ブラシの感光体への侵入量L(mm)が0.4、0.8、1.5、2.0(mm)のいずれかとなるように設置された。
感光ドラムを前記感光体3とした。なお、感光体3の表面の純水に対する接触角C(°)は85(°)である。感光ドラムの周速度は、実施例1と同様130mm/secである。
現像剤は現像剤1〜6のいずれかとした。
【0140】
前記図6に示される画像形成装置を用いて、実施例1と同様の評価および調査をした。それらの結果を下記表4に示す。
【0141】
【表4】

【0142】
[実施例3]
実施例1で用いた装画像形成装置において、感光ドラムを感光体1から感光体2に変更したこと以外は同様の画像形成装置を用意した。
用意された画像形成装置を使用して、NL環境(23℃、5%)において5日間連続して、1日あたり5000枚の画像を連続して出力した。その後、出力された画像を観察して感光体の融着やフィルミングを調べた。融着/フィルミングが発生しなかった場合を○、多少発生した場合を△、はっきりと発生した場合を×と、また感光体に傷があった場合を傷と評価した。これらの結果を下記表5に示す。
【0143】
【表5】

【0144】
表1〜3に示されたように、感光耐表面の純水に対する接触角C(°)、均し手段(および補助均し手段である)ブラシのブラシ侵入量L(mm)、およびトナーにおけるチタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(Wt%)の3つのパラメータは、画像流れ、ならびに融着およびフィルミングの抑制に大きな影響を及ぼしていることがわかる。そして、各パラメータの適切な範囲をそれぞれ別個に求めることはできず、3つのパラメータの影響度を総合的に勘案して求める必要があることもわかる。
すなわち、前記3つのパラメータを変数とする式:T+L+(C/85)から算出され
る値が、画像流れならびに融着およびフィルミングの発生と強い相関を示していることがわかる。
【0145】
具体的には2.5≦T+(C/85)+Lであれば、流れ、融着、フィルミングが発生しないことが分かる。一方、4.5<T+(C/85)+Lである場合も流れ、融着/フィルミングは発生しないが、T+L、即ち研磨剤量が多く、侵入量が大きすぎる(摺擦力が強い)と、感光ドラムに傷が発生してしまうために非実用的である。よって、2.5≦T+
(C/85)+L≦4.5の範囲内であることが好ましい。
つまり、T、CおよびLの3つのパラメータは感光ドラム表面に対する摺擦の度合いを示すものである。例えば、感光体の接触角Cが小さくなる、つまり離型性が低い場合は、摺擦を上げるためにL+T、つまりチタン酸ストロンチウム粒子の外添量を多くするか、またはブラシの侵入量を上げる必要があることを示している。
【産業上の利用可能性】
【0146】
クリーナレス方式を採用する画像形成方法において、感光体の表面の純水に対する接触角、トナーの外添剤であるチタン酸ストロンチウム粒子の含有量および均し手段であるブラシの侵入量の3つのパラメータを適正化することにより、高弾性かつ高硬度な感光体を使用しても、画像流れ、融着/フィルミングなどの発生を防止して、長期に渡る安定した画像形成を行うことができる。
また、画像形成方法を適用することにより、低コストかつ長寿命の画像形成装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0147】
【図1】本発明を好適に実施する実施例1の画像形成装置の概略構成断面図
【図2】フィシャースコープH100V(H.Fischer社製)の出力チャートの概略図
【図3】無機微粉体の粒径測定における長辺と短辺の概略図
【図4】無機微粉体の電子顕微鏡写真(5万倍)の一例
【図5】帯電量測定装置
【図6】本発明を好適に実施する実施例2の画像形成装置の概略構成断面図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1)帯電手段で感光体を帯電する帯電ステップであって、
前記感光体の表面の、気温25℃;湿度50%の環境下におけるビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた硬度試験において、荷重を6mNとしたときに測定されるユニバーサル硬さ値が150〜220N/mmであり、かつ弾性変形率が45〜65%であり、
前記感光体の表面の純水に対する接触角C(°)が85〜130であるステップ、
2)前記帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成ステップ、
3)前記静電潜像を、トナー粒子および該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも含むトナーで現像して、感光体にトナー像を形成する現像ステップ、
4)前記感光体に形成されたトナー像を中間転写体または転写材に転写する転写ステップ、および
5)バイアスが印加されたブラシ繊維を含むブラシ部材で、前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを均す均しステップを含み、
前記現像ステップが、前記転写ステップで転写されずに感光帯上に残存したトナーを回収する現像兼回収ステップである画像形成方法であって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子のトナー全質量に対する含有量T(質量%)、前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)、および前記接触角C(°)が、下記式の関係を満たすことを特徴とする画像形成方法。
【数1】

【請求項2】
前記ブラシ部材は、前記感光体の帯電電位と同極性のバイアスが印加される、請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)が0.4〜2.0である、請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の織度は、1.1×10−7〜6.6×10−7kg/mである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の密度は、155〜310本/mmである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体回転方向の接触幅をD(mm)、前記感光体の周速度をS(mm/sec)とするとき、0.01≦D/Sである、請求項1
〜5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
前記帯電手段は、前記感光体に接触し、かつ帯電バイアスが印加される、請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
前記帯電手段は、ACバイアスおよびDCバイアスが印加されることを特徴とする、請求項7に記載の画像形成方法。
【請求項9】
前記チタン酸ストロンチウム粒子は、
一次粒子の平均粒径が30〜300nmであり、
600nm以上の粒径を有する、粒子と凝集体の合計含有率が、全粒子数に対して1個数%以下であり、かつ
直方体または立方体状の形状を有し、かつペロブスカイト型結晶構造を有する粒子を含む、
請求項1〜8のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項10】
前記チタン酸ストロンチウム粒子に含まれる、直方体または立方体状の形状を有する粒子の含有率は、全粒子数に対して50個数%以上である、請求項9に記載の画像形成方法。
【請求項11】
前記チタン酸ストロンチウム粒子の帯電極性は、前記トナー粒子の帯電極性と逆極性である、請求項1〜10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項12】
前記チタン酸ストロンチウム粒子の含有率T(Wt%)は、トナー全質量に対して0.
2〜2.5である、請求項1〜11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項13】
前記感光体の表面層はフッ素原子含有樹脂を含む、請求項1〜12のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項14】
前記感光体の表面は粗面化処理されている、請求項1〜13のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項15】
1)感光体を帯電する帯電手段であって、
前記感光体の表面の、気温25℃;湿度50%の環境下におけるビッカース四角錐ダイヤモンド圧子を用いた硬度試験において、荷重6mNとしたときに測定されるユニバーサル硬さ値が150〜220N/mmであり、かつ弾性変形率が45〜65%であり、
前記感光体の表面の純水に対する接触角C(°)が85〜130である帯電手段、
2)前記帯電された感光体に静電潜像を形成する静電潜像形成手段、
3)前記静電潜像を、トナー粒子および該トナー粒子に外添されたチタン酸ストロンチウム粒子を少なくとも含むトナーで現像して、感光体にトナー像を形成する現像手段、
4)前記感光体に形成されたトナー像を中間転写体または転写材に転写する転写手段、および
5)前記転写ステップで転写されずに感光体上に残存したトナーを均すための、バイアスが印加されたブラシ繊維を含むブラシ部材を含む均し手段を含み、
前記現像手段は、前記転写手段で転写されずに感光帯上に残存したトナーを回収する現像兼回収手段である画像形成装置であって、
前記チタン酸ストロンチウム粒子のトナー全質量に対する含有量T(質量%)、前記ブラシ部材に含まれるブラシ繊維の前記感光体への侵入量L(mm)、および前記接触角C(°)が、下記式の関係を満たすことを特徴とする画像形成装置。
【数2】


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−235524(P2006−235524A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−53857(P2005−53857)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】