説明

画像形成方法

【課題】高速出力においても初期画質を維持できる画像形成方法を提供する。
【解決手段】感光体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された感光体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記感光体上に形成された静電潜像をトナーと磁性キャリアとを有する二成分系現像剤を用いて現像して、トナー画像を形成する現像工程、前記感光体上のトナー画像を中間転写体を介して転写材に転写する転写工程、前記トナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、前記磁性キャリアは、i)前記磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)が25μm以上60μm以下であり、ii)前記磁性キャリアの平均変形率をA(MPa/μm)とすると、10≦A≦28であり、iii)前記磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が2.0個数%以下であり、iv)前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が1.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であり、前記中間
転写体のヤング率が1.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする画像形成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二成分系現像剤を用いてトナー画像を感光体上に形成し、そのトナー像を中間転写体を介して、記録材に転写して画像を得る、たとえば電子写真方式あるいは静電記録方式の画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年複写機やプリンターなどで出力される記録材も、薄紙からコート厚紙、のび対応紙から封筒など多種多様になっている。様々な記録材に対応するためには、記録材の搬送に制約が少ない中間転写体を用いた画像形成方法が有効な一手段となっている。中間転写を用いる工程は、感光体から中間転写体へ転写させる一次転写、中間転写体から記録材へ転写させる二次転写と、二回の転写工程を経る。そのため中間転写体を初期状態にできるだけ維持することは、画像品質を維持させることに大きな影響を及ぼす。中間転写体に清掃部材を付けて、汚れを取り除き初期状態を維持させようとしているものの、逆に清掃部分で傷を付けてしまっているのも実状である。特に二成分系現像剤を用いる時は、顕著に起こりやすい。どうしてもキャリアが様々な条件により、微量感光体、そして中間転写体へ移行し、特に中間転写体の清掃部分で、中間転写体に傷を付けてしまうためである。しかも近年高画質で且つ高速出力が求められ、中間転写体自体も高速にしなければならず、傷をさらに受けやすくなっているのも現状である。
【0003】
最近ではエコロジーの観点から再生紙割合も多く、結果紙表面がザラザラして凹凸になりやすい。紙表面が凹凸であると、紙と中間転写体との密着性が弱く、二次転写時の転写効率などが落ちやすく、画像にムラが生じてしまう。そこで様々な材質の中間転写体が存在しているが、材質の特性としてヤング率が重要だと考えている。ヤング率を規定したものとしては、2.94×103MPa以上で表面抵抗を規定したもの(例えば特許文献1
)などがある。また材質としては、例えば特許文献2または3のように、様々なものが提案されている。本発明では特定の範囲のヤング率であるものが、高画質化に有利であることが分かった。
【0004】
しかしながら上述したヤング率の範囲であっても、初期状態を維持できるものではなく、特定のキャリアとの組み合わせが重要であることが分かった。初期状態を維持するための傷防止の手段としては、重合法により形成されるコアを持つ樹脂磁性キャリアを用いるもの(例えば特許文献4)が挙げられる。しかしながら上述した通り、高画質・高速化が進む中、上述されてきたものでは十分な対策とは言えず、さらなる改良を必要とされているのが現状である。
【0005】
【特許文献1】特開2000−010418
【特許文献2】特開2001−034083
【特許文献3】特開2000−275974
【特許文献4】特開2000−250269
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来技術の上記課題を解消したものである。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、二成分系現像剤と中間転写体を用いる画像形成方法において、高速出力においても、高画質の画像を維持できる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、平均粒径、平均変形率、平均円形度、動的抵抗を特定の範囲に持つ磁性キャリアと、特定の範囲のヤング率を有する中間転写体により、上記要求を満足出来ることを見いだし本発明に至った。
【0009】
即ち、本発明は、以下の構成を特徴とする。
(1)感光体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された感光体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記感光体上に形成された静電潜像をトナーと磁性キャリアとを含有する二成分系現像剤を用いて現像し、トナー画像を形成する現像工程、前記感光体上のトナー画像を中間転写体を介して転写材に転写する転写工程、前記トナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
前記磁性キャリアは、
i)前記磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)が25μm以上60μm以下であり、
ii)前記磁性キャリアの平均変形率をA(MPa/μm)とすると、10≦A≦28であり、
iii)前記磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が2.0個数%以下であり、
iv)前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が1.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であり、
前記中間転写体のヤング率が、1.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする画像形成方法。
(2)前記ヤング率が2.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする(1)に記載の画像形成方法。
(3)前記中間転写体が、少なくともポリエーテルエーテルケトン、ポリエチレンナフタレートのいずれかを主成分とすることを特徴とする(1)または(2)に記載の画像形成方法。
(4)前記磁性キャリアの平均円形度が0.950以下における存在率が1.0個数%以下であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の画像形成方法。
(5)前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が5.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であることを特徴とする(1)乃至(
4)のいずれかに記載の画像形成方法。
【発明の効果】
【0010】
本発明の好ましい態様によれば、ヤング率が特定の範囲の中間転写体を用いることで、二次転写性を向上させ、且つ平均粒径、平均変形率、平均円形度、動的抵抗を特定の範囲に持つ磁性キャリアと組み合わせることで、高速出力においても初期画質を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の画像形成方法は、感光体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された感光体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記感光体上に形成された静電潜像をトナーと磁性キャリアとを有する二成分系現像剤を用いて現像して、トナー画像を形成する現像工程、前記感光体上のトナー画像を中間転写体を介して転写材に転写する転写工程、前記トナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
前記磁性キャリアは、
i)前記磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)が25μm以上60μm以下であり、
ii)前記磁性キャリアの平均変形率をA(MPa/μm)とすると、10≦A≦28であり、
iii)前記磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が2.0個数%以下であり、
iv)前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が1.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であり、
前記中間転写体のヤング率が1.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする。
【0012】
電子写真に対しても、高速化、高画質化した上で、さらに環境性に配慮したものが求められているのが現状である。高画質化するにはキャリアを小粒径化することが好ましい。キャリアを小粒径化すると、小粒径トナーの現像性を高めることができ、また感光ドラムへソフトに接触させることで、高画像を作製できる。しかしキャリアを小粒径化すると、一粒あたりの磁化が小さくなるため、感光ドラムへ飛翔しやすくなる。そして高速化が進む中、キャリアの感光ドラムへの飛翔は、一層厳しいものである。そして電子写真でも廃棄物をできるだけ作らないことが求められており、廃棄トナーを減らすことは重要なものとなってきている。廃棄トナーの大半は、転写後感光ドラムに残るトナーであり、クリーニング部材を通して回収されたものである。よって感光ドラムにクリーニング部材を当接させない、所謂クリーナーレスシステムが環境性の面から望ましい。クリーナーレスシステムでは感光ドラムへ飛翔したキャリアがクリーナーで回収されないため、中間転写体へ移行する確立も高まってしまう。よって高速、高画質、環境性を備えるには、中間転写体へ移行したキャリアによる弊害をできるだけなくすことが重要となる。
【0013】
まず初期画質を維持するためには、傷を受け難い中間転写体を使うことが有効となる。傷を受け難い中間転写体としては、中間転写体の材質や硬さなどの物性、特にヤング率が関係していると考えている。好ましいヤング率は、1.00×103MPa以上4.50
×103MPa以下であり、より好ましくは2.00×103MPa以上4.50×103
MPa以下である。また材質として好ましいものとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を主成分とするものなどが挙げられる。
【0014】
ヤング率が1.00×103MPa未満であると、材質が柔らかいため単純に傷が付き
易く、どんなに磁性キャリア等を工夫しても傷を低減させるのは難しいものとなる。逆に4.50×103MPaより大きくなると傷には強いものの、中間転写体の表面も硬くな
りやすく、凹凸の大きな再生紙への転写性が悪くなり、均一な画像が得られにくくなる。これは、紙の凹凸と硬い中間転写体との接触部において、いくら圧力を高めても、紙の凹凸へ均一に圧力が加わるように、中間転写体表面が変形し難いためだと考えている。あまりにも強く紙と中間転写体を接触させるようにすると、紙搬送性に障害が出やすく、まして高速化においては顕著となる。紙搬送において高速で急激な圧力が掛かると、紙がスリップしやすく画像にズレが生じる原因となり、画質を落とす要因となってしまう。
【0015】
上述のように高速・高画質を維持していくには、傷に強い中間転写体を用いにくく、磁性キャリアから傷を付けにくくするアプローチが必須となる。中間転写体に傷をつけにくいキャリア特性としては、特許文献4が示すように、丸くて柔らかいものは効果があるが、それだけでは十分な効果が得られなくなっている。本発明者らは、磁性キャリアにおいて、平均粒径、平均変形率、平均円形度の分布、そして動的低効率などを改良することで、高速・高画質を維持していけることを見出した。
【0016】
まず磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)においては、25μm以上60μm以下が好ましく、より好ましくは25μm以上50μm以下である。60μmより大
きいと、中間転写体に傷を付けた場合、より凹凸の大きな傷になりやすい。一部分だけ傷の凹凸が大きいと、紙と中間転写体が密着できず、大幅に転写性が劣る。特にハーフトーン画像において、凹凸の部分だけ転写されず、白く抜けてしまうハーフトーンスジが生じやすくなってしまう。逆に60μm以下であると傷の凹凸は小さいものの、25μm未満まで小さくなると、中間転写体に移行する磁性キャリア量自体が多くなり、中間転写体を削ってしまう。削られることで、中間転写体は抵抗などの初期物性が変化し、一次転写性時の電界強度も変化してしまう。結果一次転写性時の電界が強くなりすぎ、微小放電などによりリークして、白く抜けてしまう画像弊害(白ポチ)を生じる。
【0017】
次に磁性キャリアの平均変形率にも検討を行った。平均変形率をA(MPa/μm)とすると、10≦A≦28であり、15≦A≦28が好ましい。傷に強くない中間転写体では、A>28であると傷が付き易く、上述したハーフトーンスジや白ポチを生じやすい。逆にA<10であると、磁性キャリア自体の剛性が弱くなりすぎ、中間転写体の清掃部分などで、強い力を加えられると、破断しやすい。破断すると不均一な形や、中には鋭利な形となりやすく、さらに中間転写体表面や感光ドラム上を傷つけてしまうものとなる。
【0018】
形においても分布を最適化することが必要であることも見出した。具体的には、磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が、2.0個数%以下であり、より好ましくは1.0個数%以下である。全体としては丸いキャリアとして判断できるものの中でも、平均円形度が0.950以下のものが少量存在するだけでも、傷に強くない中間転写体には影響を及ぼす。2.0個数%より多く存在すると、上述したハーフトーンスジや白ポチを生じやすくなってしまう。
【0019】
また磁性キャリアの抵抗においても最適な範囲があることを見出した。具体的には磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が1.0×108Ω
cm以上1.0×1010Ωcm以下の範囲である。好ましくは5.0×108Ωcm以上
1.0×1010Ωcm以下の範囲である。動的抵抗率R5000が1.0×1010Ωcmより大きいと、現像電界を強くしないと必要なトナー量を現像しにくくなる。抵抗が高い磁性キャリアでは、現像電界が画像のエッジ部分に強く現れ、画像端部だけが濃くなる。画像全体に画像濃度を高めようとすると、抵抗の低い磁性キャリアよりかなり強い電界を必要とする。強い現像電界では、現像時に磁性キャリアとトナーが共に現像されやすくなり、磁性キャリアが中間転写体に移行する量を増やしてしまうためである。逆に動的抵抗率R5000が1.0×108Ωcm未満であると、現像電界にてリークしやすく、画像
が白く抜けてしまうリーク跡が発生しやすい。
【0020】
ここで上述してきた磁性キャリアの製造方法の一例を示すが、これに限定されるものではない。まず平均変形率を10≦A≦28にするためには、通常磁性キャリアとして使用される鉄粉やフェライトでは硬すぎる。よって硬いコア部分を最小限にし、樹脂成分を多量に含有できるものが良い。つまり空孔のあるフェライトキャリアに、樹脂を内部にまで含有させた磁性キャリアが好ましい。
【0021】
平均粒径・平均変形率・平均円形度・動的抵抗を上記範囲に調整する具体的手法について述べる。
【0022】
磁性成分の元素の種類、結晶径、空孔径、空孔径分布、空孔比率等をコントロールすることで、平均粒径・平均変形率・平均円形度・動的抵抗を上記範囲に調整することができる。
【0023】
例えば、以下の手法が有る。
・磁性成分の焼成時の温度を調整することにより結晶の成長速度をコントロールする。
・発泡剤や有機微粒子の空孔形成剤を添加し空孔を発生させる。
・発泡剤の種類・量、焼成時間をコントロールすることにより、空孔径・空孔径分布・空孔比率を調整する。
・空孔径製剤の径・径分布・量、焼成時間をコントロールして、空孔径・空孔径分布・空孔比率を調整する。
【0024】
上述した発泡剤としては、60℃以上180℃以下で気化又は分解に伴い気体を発生する物質であれば特に限定はされない。例えば、以下のものが挙げられる。アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスジメチルバレロニトリル、アゾビスシクロヘキサンカルボニトリルの如き発泡性のアゾ系重合開始剤;ナトリウム、カリウム、カルシウムの如き金属の炭酸水素塩;炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、炭酸カルシウム、硝酸アンモニウム塩、アジド化合物、4,4’−オキシビス(ベンゼンスルホヒドラジド)、アリルビス(スルホヒドラジド)、ジアミノベンゼン。
【0025】
有機微粒子としては、ワックスや、ポリスチレン、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂の如き熱可塑性樹脂;フェノール樹脂、ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂の如き熱硬化性樹脂が挙げられる。これらを、微粒子化して使用する。
【0026】
微粒子化する方法としては、公知の方法が使用できるが、例えば、粉砕工程で所望の粒径にまで粉砕する。粉砕工程では、クラッシャー、ハンマーミル、フェザーミルの如き粉砕機で粗粉砕する。更に、川崎重工業社製のクリプトロンシステム、日清エンジニアリング社製のスーパーローター、ターボ工業製のターボ・ミル(RSSローター/SNNBライナー)、エアージェット方式による微粉砕機で微粉砕する。
【0027】
また、粉砕後に分級し、微粒子の粒度分布を調整しても良い。分級装置としては、慣性分級方式のエルボージェット(日鉄鉱業社製)、遠心力分級方式のターボプレックス(ホソカワミクロン社製)の如き分級機や篩分機がある。
【0028】
使用する微粒子の径・径分布・量により磁性成分の空孔の径・径分布・空孔率を調整できる。
【0029】
また磁性成分の材質としては、以下のものが挙げられる。1)表面が酸化されたまたは未酸化の鉄粉、2)リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属粒子、3)鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム及び希土類元素の如き金属の合金粒子、またはこれらの元素を含む酸化物粒子、4)マグネタイト粒子またはフェライト粒子。
【0030】
磁性フェライト粒子とは次式で表される焼結体である。
(LO)w(MO)x(NO)y(Fe23z
【0031】
但し、w+x+y+z=100mol%(w,x,yは0でもよい)であって、L、M、Nはそれぞれ、Ni、Cu、Zn、Mg、Mn、Sr、Ca、Baの金属原子であり、2価の金属酸化物と3価の鉄酸化物から構成されている。
【0032】
例えば、Mn−Zn系フェライト、Mn−Mg系フェライト、MnMgSr系フェライト、Cu−Zn系フェライト、Ni−Zn系フェライト、Ba系フェライト、Mn系フェライトがある。
【0033】
結晶の成長速度のコントロールの容易性の観点から、Mn元素を含有する、Mn系フェ
ライトまたはMn−Mg系フェライトが好ましい。
【0034】
比抵抗は、磁性材料の種類以外に、キャリアの磁性成分を不活性ガス中で熱処理を行い磁性成分表面を還元し、調節する方法がある。例えば、不活性ガス(例えば窒素)雰囲気下、600℃以上1000℃以下で熱処理を行うものである。
【0035】
前記磁性キャリアの磁性成分内部に含有させる樹脂成分としては、磁性キャリアの磁性成分に対する濡れ性が高いものであれば、熱可塑性樹脂や熱硬化性樹脂のどちらを用いてもかまわない。
【0036】
熱可塑性の樹脂としては、以下のものが挙げられる。ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体の如きアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフルオロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフルオロカーボン樹脂、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、ノボラック樹脂、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリーレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂。
【0037】
熱硬化性樹脂としては以下のものが挙げられる。フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコーン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂。
【0038】
また、これらの樹脂を変性した樹脂でも良い。中でもポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂又は溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂等の含フッ素系樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂あるいはシリコーン樹脂は、磁性キャリアの磁性成分に対する濡れ性が高く好ましい。
【0039】
より具体的には、シリコーン樹脂は、従来から知られているシリコーン樹脂が使用可能である。下記式に示されるオルガノシロキサン結合のみからなるストレートシリコーン樹脂及びアルキッド、ポリエステル、エポキシ、ウレタンなどで変性したシリコーン樹脂が挙げられる。
【0040】
例えば、以下のものが挙げられる。市販品としてストレートシリコーン樹脂は、信越化学社製のKR271、KR255、KR152、東レダウコーニング社製のSR2400、SR2405等があり、変性シリコーン樹脂は、信越化学社製のKR206(アルキッド変性)、KR5208(アクリル変性)、ES1001N(エポキシ変性)、KR305(ウレタン変性)、東レダウコーニング社製のSR2115(エポキシ変性)、SR2110(アルキッド変性)。
【0041】
前記磁性キャリアの磁性成分内部に樹脂成分を含有させる方法としては、樹脂成分を溶剤に希釈し、前記磁性キャリアの磁性成分に添加するのが一般的である。ここに用いられる溶剤は、各樹脂成分を溶解できるものであればよい。有機溶剤に可溶な樹脂である場合は、有機溶剤として、トルエン、キシレン、セルソルブブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、メタノールが挙げられる。水溶性の樹脂成分またはエ
マルジョンタイプの樹脂成分である場合には、水を用いればよい。前記磁性キャリアの磁性成分内部に、溶剤で希釈された樹脂成分を添加させる方法としては、浸漬法、スプレー法、ハケ塗り法、流動床、及び混練法の如き塗布方法により樹脂成分を含浸させ、その後、溶剤を揮発させる方法が挙げられる。
【0042】
また、上記磁性成分内部に含有させる樹脂成分とは別に、さらに磁性キャリア表面を被覆する樹脂成分を有しても良い。その場合、磁性成分内部に含有させる樹脂成分と、磁性キャリア表面を被覆する樹脂成分は同じであっても、異なっても良い。
【0043】
磁性キャリア表面を被膜する樹脂成分としてアクリル樹脂を用いることが磁性キャリアの耐久性能を高められるため、より好ましい。
【0044】
また本発明に使用される中間転写体のヤング率は、1.00×103MPa以上4.5
0×103MPa以下であり、より好ましくは2.00×103MPa以上4.50×103MPa以下である。中間転写体に使用する材料は、ゴム、エラストマー、樹脂等が挙げ
られる。下記に具体例を示すが、これらに限定されるものではない。
ゴム、エラストマーとしては、天然ゴム、イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム、エチレン−プロピレンターポリマー、クロロプレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、アクリロニトリルブタジエンゴム、ウレタンゴム、シンジオタクチック1,2−ポリブタジエン、エピクロロヒドリンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴム、多硫化ゴム、ポリノルボルネンゴム、水素化ニトリルゴム及び熱可塑性エラストマー(例えばポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリアミド系、ポリエステル系及びフッ素樹脂系等)等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0045】
また、樹脂としては、ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリ−α−メチルスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−塩化ビニル共重合体、スチレン−酢酸ビニル共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体(スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体及びスチレン−アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体(スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン−α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレンまたはスチレン置換体を含む単重合体または共重合体)、メタクリル酸メチル樹脂、メタクリル酸ブチル樹脂、アクリル酸エチル樹脂、アクリル酸ブチル樹脂、変性アクリル樹脂(シリコーン変性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂変性アクリル樹脂、アクリル・ウレタン樹脂等)、塩化ビニル樹脂、スチレン−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニリデン、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、ケトン樹脂、エチレン−エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂及びポリビニルブチラール樹脂、ポリアミド樹脂及び変性ポリフェニレンオキサイド樹脂等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0046】
本発明に用いる中間転写ベルトの抵抗値を調節するためには導電剤を添加してもよい。導電剤としては特に限定されるものではないが、例えば、カーボン、アルミニウムやニッケル等の金属粉末、酸化チタン等の金属酸化物、及び4級アンモニウム塩含有ポリメタクリル酸メチル、ポリビニルアニリン、ポリビニルピロール、ポリジアセチレン、ポリエチ
レンイミン、含硼素高分子化合物及びポリピロール等の導電性高分子化合物等からなる群より選ばれる1種類あるいは2種類以上を使用することができる。
【0047】
また材質として好ましいものとしては、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)又はポリエチレンナフタレート(PEN)を主成分とした樹脂などに、カーボンなど導電材を添加したものが挙げられる。該中間転写体の主成分とは、最も多い成分を示す。
【0048】
本発明に用いられるトナーの好ましい態様は、以下の第一の態様のトナーおよび第二の態様のトナーが挙げられる。
【0049】
本発明の二成分系現像剤に用いられる第一の態様のトナーは、ポリエステルユニットを主成分とする樹脂および着色剤を含有するトナー粒子を有するトナー(以下、「第一の態様のトナー」とも称する)である。「ポリエステルユニット」とは、ポリエステルに由来する部分を示し、また「ポリエステルユニットを主成分とする樹脂」とは、樹脂を構成する繰り返し単位の多くが、エステル結合を有する繰り返し単位である樹脂を意味するが、これらは後に詳細に説明される。
【0050】
ポリエステルユニットはエステル系モノマーを縮重合させることにより形成される。エステル系モノマーとしては、多価アルコール成分、および多価カルボン酸、多価カルボン酸無水物、又は2以上のカルボキシル基を有する多価カルボン酸エステルの如きカルボン酸成分が挙げられる。
【0051】
多価アルコール成分のうち二価アルコール成分としては、以下のものが挙げられる。例えば、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(3.3)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(2.0)−ポリオキシエチレン(2.0)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ポリオキシプロピレン(6)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンの如きビスフェノールAのアルキレンオキシド付加物;エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−ブテンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール、ビスフェノールA、水素添加ビスフェノールA等が例示できる。
【0052】
多価アルコール成分のうち三価以上のアルコール成分としては、以下のものが挙げられる。例えば、ソルビトール、1,2,3,6−ヘキサンテトロール、1,4−ソルビタン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,5−ペンタントリオール、グリセロール、2−メチルプロパントリオール、2−メチル−1,2,4−ブタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,3,5−トリヒドロキシメチルベンゼン等が例示できる。
【0053】
ポリエステルユニットを構成するカルボン酸成分としては、以下のものが挙げられる。例えば、フタル酸、イソフタル酸及びテレフタル酸の如き芳香族ジカルボン酸類又はその無水物;琥珀酸、アジピン酸、セバシン酸及びアゼライン酸の如きアルキルジカルボン酸類又はその無水物;炭素数6〜12のアルキル基で置換された琥珀酸又はその無水物;フマル酸、マレイン酸及びシトラコン酸の如き不飽和ジカルボン酸類又はその無水物等が例示できる。
【0054】
第一の態様のトナー粒子に含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例としては、以下のものが挙げられる。即ち、式(1)で表される構造に代表されるビスフェノール誘導体をアルコール成分とし、2価以上のカルボン酸又はその酸無水物、又はその低級アルキルエステルからなるカルボン酸成分(例えば、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フタル酸、テレフタル酸、ドデセニルコハク酸、トリメリット酸、ピロメリット酸)をカルボン酸成分として、これらを縮重合させることにより得られるポリエステル樹脂である。このポリエステル樹脂は、良好な帯電特性を有する。このポリエステル樹脂の帯電特性は、二成分系現像剤に含まれるカラートナーに含まれる樹脂として用いられた場合に、より有効に働く。
【0055】
【化1】

〔式中、Rはエチレン基及びプロピレン基から選ばれる1種以上であり、x及びyはそれぞれ1以上の整数であり、且つx+yの平均値は2以上10以下である。〕
【0056】
また、第一の態様のトナー粒子に含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例には、架橋部位を有するポリエステル樹脂が含まれる。架橋部位を有するポリエステル樹脂は、多価アルコールと、三価以上の多価カルボン酸を含むカルボン酸成分を縮重合反応させることにより得られる。この三価以上の多価カルボン酸成分の例としては、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、2,5,7−ナフタレントリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸、およびこれらの酸無水物やエステル化合物が挙げられる。縮重合されるエステル系モノマーに含まれる三価以上の多価カルボン酸成分の含有量は、全モノマー基準で0.1mol%以上1.9mol%以下であることが好ましい。
【0057】
さらに、第一の態様のトナー粒子に含まれるポリエステルユニットを有する樹脂の好ましい例としては、(a)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットを有しているハイブリッド樹脂、(b)ハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物、(c)ポリエステル樹脂とビニル系重合体との混合物、(d)ハイブリッド樹脂とポリエステル樹脂との混合物、(e)ポリエステル樹脂とハイブリッド樹脂とビニル系重合体との混合物が挙げられる。
【0058】
なお、ハイブリッド樹脂は、ポリエステルユニットと、アクリル酸エステルの如きカルボン酸エステル基を有するモノマー成分を重合して得られるビニル系重合体ユニットとが、エステル交換反応して結合することにより形成される。ハイブリッド樹脂としては、ビニル系重合体を幹重合体、ポリエステルユニットを枝重合体とするグラフト共重合体あるいはブロック共重合体が挙げられる。
【0059】
なお、ビニル系重合体ユニットとは、ビニル系重合体に由来する部分を示す。ビニル系重合体ユニットまたはビニル系重合体は、後述のビニル系モノマーを重合させることで得られる。
【0060】
本発明の二成分系現像剤における第二の態様のトナーは、直接重合法または水系媒質中より得られるトナー粒子を有するトナー(以下、「第二の態様のトナー」とも称する)で
ある。第二の態様のトナーは、直接重合法で製造されてもよいし、あらかじめ乳化微粒子を作り、その後必要であれば」着色剤、離型剤と一緒に凝集させて製造してもよい。後者により製造されるトナー粒子を有するトナーを「水系媒質中より得られるトナー」または「乳化重合法により得られるトナー」ともいう。
【0061】
第二の態様のトナーは、直接重合法または乳化重合法により得られる、ビニル系樹脂を主成分とする樹脂を有するトナー粒子を有することが好ましい。前記トナー粒子の主成分であるビニル系樹脂は、ビニル系モノマーの重合により製造される。ビニル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えばスチレン系モノマー、アクリル系モノマー;メタクリル系モノマー;エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマー;ビニルエステル類のモノマー;ビニルエーテル類のモノマー;ビニルケトン類のモノマー;N−ビニル化合物のモノマー:その他のビニルモノマーが挙げられる。
【0062】
スチレン系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えばスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンが挙げられる。
【0063】
アクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えばアクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ジメチルアミノエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル類やアクリル酸及びアクリル酸アミド類が挙げられる。
【0064】
また、メタクリル系モノマーとしては、以下のものが挙げられる。例えばメタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチルの如きメタクリル酸エステル類やメタクリル酸及びメタクリル酸アミド類が挙げられる。
【0065】
エチレン不飽和モノオレフィレン類のモノマーとしては、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレンが挙げられる。
【0066】
ビニルエステル類のモノマーとしては、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、安息香酸ビニルが挙げられる。
【0067】
ビニルエーテル類のモノマーとしては、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルが挙げられる。
【0068】
ビニルケトン類のモノマーとしては、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンが挙げられる。
【0069】
N−ビニル化合物のモノマーとしては、N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンが挙げられる。
【0070】
その他のビニルモノマーとしては、ビニルナフタリン類、アクリロニトリル、メタクリロニトル、アクリルアミドの如きアクリル酸誘導体又はメタクリル酸誘導体が挙げられる

【0071】
これらのビニル系モノマーは単独で又は2つ以上を用いることができる。
【0072】
ビニル系樹脂を製造する際に用いられる重合開始剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、2,2’−アゾビス−(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス−4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル、アゾビスイソブチロニトリルの如きアゾ系又はジアゾ系重合開始剤;ベンゾイルペルオキシド、メチルエチルケトンペルオキシド、ジイソプロピルペルオキシカーボネート、クメンヒドロペルオキシド、t−ブチルヒドロペルオキシド、ジ−t−ブチルペルオキシド、ジクシルペルオキシド、2,4−ジクロロベンゾイルペルオキシド、ラウロイルペルオキシド、2,2−ビス(4,4−t−ブチルペルオキシシクロヘキシル)プロパン、トリス−(t−ブチルペルオキシ)トリアジンの如き過酸化物系開始剤や過酸化物を側鎖に有する開始剤;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムの如き過硫酸塩;過酸化水素が挙げられる。
【0073】
また、ラジカル重合性の三官能以上の重合開始剤の例としては、トリス(t−ブチルパーオキシ)トリアジン、ビニルトリス(t−ブチルパーオキシ)シラン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−アミルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−オクチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)ブタンの如きラジカル重合性多官能重合開始剤が挙げられる。
【0074】
本発明の第一の態様のトナー及び第二の態様のトナーを用いる画像形成方法は、いずれもオイルレス定着を採用する電子写真プロセスに用いられることが好ましい。そのため、本発明に用いられるトナー(第一の態様のトナー及び第二の態様のトナー)は離型剤を含有することが好ましい。
【0075】
離型剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリオレフィン共重合物、ポリオレフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、パラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックス;酸化ポリエチレンワックスの如き脂肪族炭化水素系ワックスの酸化物、またはそれらのブロック共重合物;カルナバワックス、モンタン酸エステルワックス、ベヘン酸ベヘニルの如き脂肪酸エステルを主成分とするワックス類;脱酸カルナバワックスの如き脂肪酸エステル類を一部又は全部を脱酸化したものが挙げられる。
【0076】
好適な離型剤としては、炭化水素系ワックス及びパラフィンワックスが挙げられる。トナーは示差走査熱量分析測定におけるトナーの吸熱曲線における温度30℃以上200℃以下の範囲に一又は二以上の吸熱ピークがあり、前記吸熱ピーク中の最大吸熱ピークの温度が50℃以上110℃以下であると、低温定着性と耐久性が良好なトナーとなりうる。
【0077】
示差走査熱量分析測定装置の例には、パーキンエルマー社製DSC−7、TAインストルメント社製DSC2920、TAインストルメント社製Q1000などが含まれる。装置検出部の温度補正はインジウムと亜鉛の融点を用い、熱量の補正についてはインジウムの融解熱を用いる。測定サンプルにはアルミニウム製のパンを用い、対照用に空パンをセットし測定する。
【0078】
本発明に用いられる有彩色のトナー、及び透明トナーにおける離型剤の含有量は、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して1質量部以上15質量部以下であることが好ま
しく、3質量部以上10質量部以下であることがより好ましい。離型剤の含有量が1質量部以上15質量部以下であると、オイルレス定着時に良好な転写性と離型性が発揮できる。
【0079】
本発明に用いられるトナーは、荷電制御剤を含有していてもよい。荷電制御剤としては、有機金属錯体、金属塩、及びキレート化合物が挙げられる。有機金属錯体としては、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、ヒドロキシカルボン酸金属錯体、ポリカルボン酸金属錯体、ポリオール金属錯体が挙げられる。その他には、カルボン酸の金属塩、カルボン酸無水物、エステル類の如きカルボン酸誘導体や芳香族系化合物の縮合体も挙げられる。また、ビスフェノール類、カリックスアレーンの如きフェノール誘導体も荷電制御剤として用いることができる。本発明におけるトナーに含まれる荷電制御剤は、トナーの帯電立ち上がりを良好にする点から、芳香族カルボン酸の金属化合物であることが好ましい。
【0080】
トナーにおける荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下であることが好ましく、0.2質量部以上5.0質量部以下であることがより好ましい。トナーが、トナー粒子中の結着樹脂100質量部に対して0.1質量部以上10.0質量部以下の荷電制御剤を有することで、高温高湿から低温低湿までの広範な環境においてトナーの帯電量の変化を小さくすることができる。
【0081】
本発明に用いられるトナーは着色剤を有してもよい。ここで着色剤は、顔料もしくは染料、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0082】
染料としては、以下のものが挙げられる。例えば、C.I.ダイレクトレッド1、C.I.ダイレクトレッド4、C.I.アシッドレッド1、C.I.ベーシックレッド1、C.I.モーダントレッド30、C.I.ダイレクトブルー1、C.I.ダイレクトブルー2、C.I.アシッドブルー9、C.I.アシッドブルー15、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー5、C.I.モーダントブルー7、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6が挙げられる。
【0083】
顔料としては、以下のものが挙げられる。例えば、ミネラルファストイエロー、ネーブルイエロー、ナフトールイエローS、ハンザイエローG、パーマネントイエローNCG、タートラジンレーキ、モリブデンオレンジ、パーマネントオレンジGTR、ピラゾロンオレンジ、ベンジジンオレンジG、パーマネントレッド4R、ウォッチングレッドカルシウム塩、エオシンレーキ、ブリリアントカーミン3B、マンガン紫、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルトブルー、アルカリブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、フタロシアニンブルー、ファーストスカイブルー、インダンスレンブルーBC、クロムグリーン、ピグメントグリーンB、マラカイトグリーンレーキ、ファイナルイエローグリーンGが挙げられる。
【0084】
また、本発明のトナーをフルカラー画像形成用現像剤として使用する場合は、マゼンタ用着色顔料を含むことができる。マゼンタ用着色顔料としては、以下のものを上げることができる。例えば、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、21、22、23、30、31、32、37、38、39、40、41、48、49、50、51、52、53、54、55、57、58、60、63、64、68、81、83、87、88、89、90、112、114、122、123、163、202、206、207、209、238、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.バットレッド1、2、10、13、15、23、29、35が挙げられる。
【0085】
トナー粒子は、マゼンタ用着色顔料だけを含んでもよいが、染料と顔料とを組み合わせて含むと、現像剤の鮮明度を向上させ、フルカラー画像の画質を向上させることができる。マゼンタ用染料としては、以下のものが挙げられる。例えば、C.I.ソルベントレッド1、3、8、23、24、25、27、30、49、81、82、83、84、100、109、121、C.I.ディスパースレッド9、C.I.ソルベントバイオレット8、13、14、21、27、C.I.ディスパースバイオレット1の如き油溶染料;C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14、15、17、18、22、23、24、27、29、32、34、35、36、37、38、39、40、C.I.ベーシックバイオレット1、3、7、10、14、15、21、25、26、27、28の如き塩基性染料が挙げられる。
【0086】
シアン用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。例えば、C.I.ピグメントブルー2、3、15、15:1、15:2、15:3、16、17;C.I.アシッドブルー6;C.I.アシッドブルー45又はフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1〜5個置換した銅フタロシアニン顔料が挙げられる。
【0087】
イエロー用着色顔料としては、以下のものが挙げられる。例えば、C.I.ピグメントイエロー1、2、3、4、5、6、7、10、11、12、13、14、15、16、17、23、65、73、74、83、93、97、155、180、C.I.バットイエロー1、3、20が挙げられる。
【0088】
黒色の顔料としては、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックの如きカーボンブラックの他、マグネタイト、フェライトの如き磁性粉が挙げられる。
【0089】
さらに、マゼンタ染料及び顔料、イエロー染料及び顔料、シアン染料及び顔料を組み合わせて調色を行い、上記カーボンブラックと併用して用いてもよい。
【0090】
本発明に用いられるトナーは、微粒子である外添剤を外添されていてもよい。微粒子を外添されることにより、流動性や転写性が向上しうる。トナー粒子表面に外添される外添剤は、酸化チタン、酸化アルミナ、およびシリカ微粒子のいずれかの無機微粒子を含むことが好ましい。前記外添剤に含まれる無機微粒子の表面は、疎水化処理をされていることが好ましい。疎水化処理は、各種チタンカップリング剤、シランカップリング剤の如きカップリング剤;脂肪酸及びその金属塩;シリコーンオイル;またはそれらの組み合わせによってなされることが好ましい。様々な組み合わせの中でも、無機微粒子の一つとして、個数平均粒子径が80nm以上300nm未満である無機微粒子を添加することが好ましい。理由としてはキャリアとの付着力を低減でき、トナーが高い帯電を持っていても、効率良く現像できるためである。材質としては例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン等が挙げられる。シリカの場合、例えば、気相分解法、燃焼法、爆燃法など従来公知の技術を用いて製造されたいかなるシリカをも使用することができる。
【0091】
外添剤に含まれる無機微粒子の疎水化処理を行うためのチタンカップリング剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、テトラブチルチタネート、テトラオクチルチタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルフォニルチタネート、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)オキシアセテートチタネートが挙げられる。
【0092】
また、シランカップリング剤としては、以下のものが挙げられる。例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプ
ロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、ヘキサメチルジシラザン、メチルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトエリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、o−メチルフェニルトリメトキシシラン、p−メチルフェニルトリメトキシシランが挙げられる。
【0093】
無機微粒子の疎水化処理を行うための脂肪酸としては、以下のものが挙げられる。例えば、ウンデシル酸、ラウリン酸、トリデシル酸、ドデシル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ペンタデシル酸、ステアリン酸、ヘプタデシル酸、アラキン酸、モンタン酸、オレイン酸、リノール酸、アラキドン酸の如き長鎖脂肪酸が挙げられる。それらの脂肪酸金属塩の金属としては亜鉛、鉄、マグネシウム、アルミニウム、カルシウム、ナトリウム、リチウムが挙げられる。
【0094】
疎水化処理を行うためのシリコーンオイルとしては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル、アミノ変性シリコーンオイルが挙げられる。
【0095】
疎水化処理は、無機微粒子に対して1質量%以上30質量%以下(より好ましくは3質量%以上7質量%以下)の疎水化処理剤を無機微粒子に添加して、無機微粒子を被覆することにより行われることが好ましい。
【0096】
疎水化処理された無機微粒子の疎水化の程度は特に限定されないが、例えば、処理後の無機微粒子のメタノールウェッタビリティーが40以上95以下であることが好ましい。メタノールウェッタビリティーとは、メタノールに対する濡れ性を示すものである。
【0097】
前記外添剤のトナー中における含有量は、0.1質量%以上5.0質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上4.0質量%以下であることがより好ましい。また外添剤は、複数種の微粒子の組み合わせでもよい。
【0098】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は現像剤中のトナー濃度として、2質量%以上15質量%以下、好ましくは4質量%以上13質量%以下にすると通常良好な結果が得られる。トナー濃度が2質量%未満では画像濃度が低下しやすく、15質量%を超えるとカブリや機内飛散が発生しやすい。
【0099】
次に、本発明のトナーが適応可能な画像形成方法について詳しく説明する。
【0100】
<画像形成方法>
本発明の画像形成方法を用いた画像形成装置の一例を図1に示す。図1において、静電潜像担持体である感光体1は図中矢印方向に回転する。感光体1は帯電手段である帯電装置2により帯電され、帯電した感光体1表面には、静電潜像形成手段である露光装置3によりレーザ光を投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4により静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5により中間転写体6に転写される。さらに転写手段である転写装置7により、転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置8により加熱定着され、画像として出力される。この転写手段において、転写されずに感光体表面に残った転写残トナーは、図2に示したようなクリーニング手段であるクリーニング装置9で回収される。あるいは、図3に示したような均し手段である補助ブラシ帯電装置10でバイアスを印加しながら転写残トナーに静電的な極性を与え、前述の帯電手段、静電潜像形成手段を経て、再度現像に供されるかもしくは現像装置に回収されてもよい。
【0101】
しかしながら環境性の面からは、感光ドラム周りの廃棄トナーを生じさせない図1及び図3が望ましい。
【0102】
ここで、本発明に使用できる画像形成方法の各工程に関して、更に詳しく説明する。
【0103】
<帯電工程>
帯電工程は、感光体の表面に電荷を付与して電子写真感光体を帯電させる手段であれば特に限定されない。帯電手段には、コロナ帯電手段のように、電子写真感光体に対して非接触で電子写真感光体を帯電させる装置や、導電性のローラやブレードを電子写真感光体に接触させて電子写真感光体を帯電させる装置が使用可能である。
【0104】
<静電潜像形成工程>
静電潜像形成工程は、露光手段として公知の露光装置が使用できる。例えば、光源は半導体レーザまたは発光ダイオードが用いられ、ポリゴンミラー、レンズ、ミラーから成る走査光学系ユニットを用いることができる。
【0105】
静電潜像を形成できる領域には、主走査方向の領域と副走査方向の領域がある。感光体上における主走査方向の領域は、感光体の回転軸に平行な方向におけるレーザビーム照射開始可能位置からレーザビーム照射終了位置までの領域である。また、感光体表面上における副走査方向の領域は、画像データ1ページ分における最初の主走査ラインの照射可能位置から最終の主走査ラインの照射可能位置までの領域である。
【0106】
静電潜像形成工程について具体的に説明する。まずは、光源である半導体レーザからレーザビームを回転するポリゴンミラーに照射する。そして、周期的に偏向して反射されるレーザビームを走査レンズによって集束させて、副走査方向に回転する感光体上を副走査方向と直交する主走査方向に反復走査することで、感光体上に静電潜像の露光を行う。
【0107】
本発明のトナーを用いた画像形成装置においては、この静電潜像形成可能領域を変更し、全面縁無し対応の印刷モード(縁無しコピー)としてもよい。
【0108】
縁無しコピーは、静電潜像形成可能領域の主走査方向領域及び/又は副走査方向領域が大きくなる。なぜなら、縁無しコピーを行った場合には、画像データのイメージサイズと記録材の実際のサイズとの微少なサイズ誤差による余白の発生を修正し消去するために、記録材のサイズ以上の縁無しコピー用倍率に反映させる必要があるためである。
【0109】
縁無しコピーが選択されると、露光装置は、主走査画素クロックおよびポリゴンミラー回転周期を設定することによって、画像の解像度を設定する。主走査画素クロックの設定は、書込みクロック生成回路によって行われる。ポリゴンミラー回転周期の設定は、ポリゴンミラーの回転モータ制御回路によって行われる。また、露光装置は、主走査画素クロックおよびポリゴン回転周期の設定を微調整することによって、縁有り印刷モード時の主走査倍率調整、副走査倍率調整を行う。これをもとにして、縁無しコピーにおける縁無し画像用の主走査倍率調整、副走査倍率調整を行う。
【0110】
このように、静電潜像工程で感光体上に形成された静電潜像は、現像工程で現像剤によってトナー像として可視像化されることになる。
【0111】
<現像工程>
現像工程は、主としてキャリアが不要な一成分系接触現像方法とトナーとキャリアを有する二成分系現像方法に分けられるが、本発明においては二成分系現像方法である。
【0112】
二成分系現像方法としては、磁石を内包した現像剤担持体(現像スリーブ)上に二成分系現像剤の磁気ブラシを形成し、該磁気ブラシを現像剤層厚規制部材により所定の層厚にコートした後、感光体に対向する現像領域へと搬送する。該現像領域においては、感光体と現像スリーブの間に所定の現像バイアスを印加しながら、該磁気ブラシを感光体表面に近接/又は接触させることによって、上記静電潜像をトナー像として顕像化する方法である。
【0113】
<転写工程、転写体クリーニング工程>
転写工程は、コロナ転写手段のように、感光体に対して非接触で感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法や、ローラや無端状ベルトの転写部材を感光体に接触させて感光体表面のトナー像を転写材に転写させる方法が有り、いずれも使用可能である。また、中間転写体のクリーニングは、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニングあるいはそれらの組み合わせ等、任意のクリーニング装置が使用可能である。
【0114】
<感光体クリーニング工程>
また、本発明の画像形成方法においては、図2に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーをクリーニングするクリーニング装置9を更に含んでもよい。クリーニング装置9においては、ブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラクリーニング等の公知の方法があるが、いずれも使用可能である。
【0115】
<均し工程>
本発明においては、図3に示したように、転写後で帯電工程の前に感光体上の転写残トナーを均し、現像時の転写残トナーの回収率を向上させるために、転写残トナーの帯電極性の均一化を目的として、均し装置(補助ブラシ帯電装置)10を更に含んでもよい。
【0116】
均し装置10においては、トナーが負帯電性の場合は、転写残トナーを負帯電させるバイアスを印加させることにより、帯電工程での帯電部材への転写残トナーの付着が軽減できるため好ましい。これにより、現像時における転写残トナーの回収率が向上する。また、均し部材としては、ブラシ状のものが好ましく用いられる。更にこのような均し部材は、複数個設けることにより、帯電部材のへの転写残トナーの付着の軽減や、現像時における転写残トナーの回収率が高まるため好ましい。
【0117】
<定着工程>
定着工程は、従来の一対のローラからなるハードローラ系の定着装置や、図5に示したような近年の画像形成装置の高速化や省エネ化に対応した軽圧定着システムを用いたベルト定着装置など、いずれの定着装置も使用可能である。
【0118】
<フルカラー画像形成装置>
また、本発明の画像形成方法を用いたフルカラー画像形成装置の一例を図4に示す。図中のPK、PY、PC、PMなどの画像形成ユニットの並びや回転方向を示す矢印は何らこれに限定されるものではない。ちなみにKはブラック、Yはイエロー、Cはシアン、Mはマゼンタを意味している。図4において、静電潜像担持体である電子写真感光体1K、1Y、1C、1Mは図中矢印方向に回転する。各感光体は帯電手段である帯電装置2K、2Y、2C、2Mにより帯電され、帯電した各感光体表面には、静電潜像形成手段である露光装置3K、3Y、3C、3Mによりレーザ光を投射し、静電潜像を形成する。その後、現像手段である現像装置4K、4Y、4C、4Mにより静電潜像はトナー像として可視像化され、転写手段である転写装置5K、5Y、5C、5Mにより中間転写体6に転写される。さらに転写手段である転写装置7により、転写材Pに転写され、転写材Pは、定着手段である定着装置8により加熱定着され、画像として出力される。そして11は転写ベ
ルトのクリーニング部材であり、転写残トナー、キャリアなどを回収する。
【0119】
以下に、本発明に関わる測定方法について述べる。
【0120】
<トナーの重量平均粒径(D4)の測定方法>
本発明の二成分系現像剤に用いられるトナーの重量平均粒径(D4)は、測定装置として、コールターカウンターTA−IIまたはコールターマルチサイザーII(ベックマン・コールター社製)を用いて測定することができる。電解液は約1%NaCl水溶液であり、一級塩化ナトリウムを用いて調製されてもよく、またISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)の市販品であってもよい。
【0121】
トナーの重量平均粒径(D4)の測定は以下のように行われる。上記電解液100ml以上150ml以下に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を0.1ml以上5ml以下加え、さらに測定試料(トナー)を2mg以上20mg以下加える。試料を懸濁した電解液を超音波分散器で約1分間以上3分間以下分散処理して、測定サンプルとする。
【0122】
アパーチャーは100μmのアパーチャーとする。試料の体積及び個数を、チャンネルごとに測定して、試料の体積分布と個数分布を算出する。算出された分布から、試料の重量平均粒径を求める。チャンネルとしては、2.00μm以上2.52μm未満;2.52以上3.17μm未満;3.17以上4.00μm未満;4.00以上5.04μm未満;5.04以上6.35μm未満;6.35以上8.00μm未満;8.00以上10.08μm未満;10.08以上12.70μm未満;12.70以上16.00μm未満;16.00以上20.20μm未満;20.20以上25.40μm未満;25.40以上32.00μm未満;32以上40.30μm未満の13チャンネルを用いる。
【0123】
<GPCによる樹脂の分子量の測定>
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)による分子量分布は次の条件で測定することができる。
【0124】
40℃のヒートチャンバー中でカラムを安定化させ、この温度におけるカラムに、溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を毎分1mlの流速で流し、試料濃度として0.05乃至0.6質量%に調製した樹脂のTHF試料溶液を50〜200μl注入して測定する。検出器にはRI(屈折率)検出器を用いる。カラムとしては、1×10〜2×10の分子量領域を的確に測定するために、市販のポリスチレンゲルカラムを複数組み合わせることが好ましい。このような市販のポリスチレンゲルカラムの組み合わせとしては、例えば、Waters社製のμ−styragel 500、103、104、105の組み合わせや、昭和電工社製のshodex KA−801、802、803、804、805、806、807の組み合わせが好ましい。
【0125】
試料である樹脂の分子量の測定にあたっては、樹脂の有する分子量分布を、数種の単分散ポリスチレン標準試料により作製された検量線の対数値とカウント数との関係から算出する。検量線作成用の標準ポリスチレン試料としては、例えば、Pressure Chemical Co.製あるいは、東洋ソーダ工業社製の、分子量が6×10、2.1×10、4×10、1.75×10、5.1×10、1.1×10、3.9×10、8.6×10、2×10、4.48×10のものを用いる。少なくとも10点程度の標準ポリスチレン試料を用いるのが適当である。
【0126】
<磁性キャリアの平均円形度及び円形度分布の測定>
磁性キャリアの平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シ
スメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
【0127】
具体的な測定方法としては、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を適量加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
【0128】
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて2000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、キャリア粒子の平均円形度を求めた。
【0129】
そして0.200以上0.950以下に円形度を規定することで、キャリアの平均円形度が0.950以下の個数とした。0.950以下の個数を、円形度を規定しない場合の数(円形度が0.200以上1.000以下)で割ることで、存在率を出した。
【0130】
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
【0131】
なお、本願実施例では、シスメックス社による校正作業が行われた、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用し、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
【0132】
<磁性キャリアの平均変形率A(MPa/μm)の測定方法>
株式会社 島津製作所の微小圧縮試験機 MCTM−500で測定を行った。
【0133】
各種設定は以下の通り。
測定モード 1(圧縮試験)
荷重 300mN
負荷速度 3.87mN/sec
変位スケール 100μm
上部加圧圧子 平面圧子50μm径
下部加圧板 SKS平板
【0134】
下部加圧板上の磁性キャリアを無作為に選択、装置の光学モニタで観察し、粒径25μm以上60μm以下の磁性キャリア粒子を50個測定した。
【0135】
測定の仕方としては、キャリア粒子を破壊しない範囲で測定を行う。変形が1μm以上5μm未満の範囲で行う。その範囲で強度/変形に直線性があり、最も傾きが大きい傾きを平均変形率Aとする。
【0136】
<磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(50%粒径:D50)>
磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(50%粒径:D50)は、例えばマルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて、以下のようにして測定される。
【0137】
約1%NaCl水溶液とグリセリンとを、50体積%:50体積%で混合した溶液を電解液として用いる。ここでNaCl水溶液は、一級塩化ナトリウムを用いて調製されればよく、例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)であってもよい。グリセリンは、特級あるいは一級の試薬であればよい。
【0138】
電解液(約30ml)に、分散剤として界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン塩酸)を、0.5ml加え、さらに測定試料を10mg加える。試料が懸濁された電解液を、超音波分散器で約1分間分散処理して、分散液を得る。
【0139】
アパーチャーとして200μmアパーチャー、20倍のレンズを用いて、以下の測定条件で円相当径および円形度を算出する。
測定フレーム内平均輝度:220〜230、
測定フレーム設定:300、
SH(スレシュホールド):50、
2値化レベル:180
【0140】
ガラス測定容器に電解液、および前記分散液を入れて、測定容器中の磁性キャリア粒子の濃度を10体積%とする。ガラス測定容器内容物を最大撹拌スピードで撹拌する。サンプルの吸引圧を10kPaにする。磁性キャリアの比重が大きく沈降しやすい場合は、測定時間を20分とする。また、5分ごとに測定を中断して、サンプル液の補充および電解溶液−グリセリン混合溶液の補充を行う。
【0141】
測定個数は2000個とする。測定終了後、本体ソフトにより、粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
【0142】
磁性キャリア円相当径は、下記式で算出される。
円相当径=(4・Area/π)1/2
【0143】
ここで、「Area」とは二値化された磁性キャリア粒子像の投影面積であり、「MaxLength」とは該磁性キャリア粒子像の最大径と定義される。円相当径は、「Area」を真円の面積としたときの真円の直径で表される。円相当径は、4μm以上100μm以下を256分割され、体積基準で対数表示して用いる。これを用い、体積分布基準の平均粒径(50%粒径:D50)を求める。
【0144】
<磁性キャリアの動的抵抗測定方法>
磁性キャリア400g用意し、清掃したキヤノン(株)社製CLC5000現像器に磁性キャリアを入れる。図7に示すように現像剤担持体である現像ローラ上(アルミ製24.5φ)のキャリア量が30mg/cm2になるように、現像ローラと規制ブレードの間
隔を調整する。現像ローラ対向に60φのアルミシリンダ(軸方向長さ358mm)をセットし、現像ローラとシリンダの間隔が400μmになるように調整する。アルミシリンダは周方向に200mm/sの速度で、現像シリンダはアルミシリンダと順方向に360mm/sの速度で回転させる。なお、アルミシリンダはグランド(電位0V)に設置し、現像ローラに直流で、+50Vから+1000Vまでの電圧を加え、流れる電流値より磁性キャリアの動的抵抗を求める。
【0145】
そして電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000を求めた。
【0146】
<ヤング率の測定及び計算方法>
(1)中間転写ベルトを周方向に切断し、幅10mmの無端ベルト(試験片)を作製する

(2)上記試験片を並行な2本の金属棒(φ10mm程度)で垂直に張架し、下側の金属棒を固定する。この時点では、試験片に張力はかけない。
(3)上側の金属棒を一定速度で引き上げ、試験片を引っ張る。このとき、2本の金属棒が並行を保ったままであるように注意する。引っ張り速度は、試験片の伸び率が毎分20%(金属棒の引っ張り速度は試験片の周長に対して毎分10%)となる速度とする。なお、測定環境は温度20±3℃/湿度60±10%とする。
(4)張力が約800gになったら試験を終了する。
(5)以下の式に従って中間転写ベルトのヤング率Eを計算する。
EPa=0.25×L0÷{t×(L1−L0)}×9.8×104
ただし、
L0:張力0(g)時のベルト内周長(mm)
L1:張力500(g)時のベルト内周長(mm)
t:ベルトの厚み(cm)
【実施例】
【0147】
以下に、具体的製造例及び実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0148】
<樹脂A製造例(ハイブリッド樹脂)>
ビニル系重合体として、スチレン1.9mol、2−エチルヘキシルアクリレート0.21mol、フマル酸0.15mol、α−メチルスチレンの2量体0.03mol、ジクミルパーオキサイド0.05molを滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン7.0mol、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン3.0mol、テレフタル酸3.0mol、無水トリメリット酸2.0mol、フマル酸5.0mol及びヘキサン酸錫0.8gをガラス製4リットルの4つ口フラスコに入れ、温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を取りつけマントルヒーター内においた。次にフラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、145℃の温度で撹拌しつつ、先の滴下ロートよりビニル系樹脂の単量体、架橋剤及び重合開始剤を5時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、4.5時間反応させてハイブリッド樹脂(樹脂A)を得た。GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)による分子量測定の結果を表1に示す。なお、表1において、Mwは重量平均分子量であり、Mnは数平均分子量であり、Mpはピーク分子量である。
【0149】
【表1】

【0150】
[シアントナーの製造]
樹脂A 60質量部
シアン顔料(PigmentBlue15:3) 40質量部
上記の処方でニーダーミキサーにより溶融混練し、シアンマスターバッチを作製した。
【0151】
・樹脂A 86.5質量部
・精製パラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃、Mw=450、Mn=32)
5.0質量部
・シアンマスターバッチ(着色剤分40質量%) 22.5質量部
・ジ−ターシャリブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤)1.0質量部
上記の処方で十分にヘンシェルミキサーにより予備混合を行い、二軸押出し混練機で混練物温度が150℃になるよう溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1〜2mm程度に粗粉砕した。さらにターボ工業製のターボ・ミル(RSローター/SNBライナー)を用いて7μm程度に微粉砕物を作った。次にホソカワミクロン社製のファカルティを用いて、分級と同時に球形化を行うことで7.4μmにし、シアン粒子(トナー粒子)を得た。
【0152】
上記シアン粒子(トナー粒子)100質量部に対して、アナターゼ型酸化チタン微粉末(BET比表面積80m2/g、イソブチルトリメトキシシラン12質量%処理)1.0
質量部、さらにオイル処理シリカ(BET比表面積95m2/g、シリコーンオイル15
質量%処理)1.5質量部、ゾルゲルシリカ(BET比表面積24m2/g、個数平均粒
径(D1):110nm)1.5質量部を投入して、ヘンシェルミキサーにより外添してシアントナーとした。
【0153】
〔多孔質磁性コア粒子の製造例1〕
1.秤量・混合工程
Fe 68質量%
MnCO 25質量%
Mg(OH) 5質量%
SrCO 2質量%
となるように秤量し、上記フェライト原材料に水を加えて、ボールミルで湿式混合した。2.仮焼成工程
乾燥・粉砕した後、900℃で2時間焼成し、フェライトを作製した。
3.粉砕工程
クラッシャーで0.1〜1.0mm程度に粉砕した後に、水を加え湿式ボールミルで0.1〜0.5μmに微粉砕し、フェライトスラリーを得た。
4.造粒工程
フェライトスラリーに、空孔形成剤としてポリエステル微粒子(重量平均粒径2μm)を5%、バインダーとしてポリビニルアルコール2%を添加し、スプレードライヤー(製造元:大川原化工機)で球状粒子に造粒した。
5.焼成工程
電気炉にて、酸素濃度1.0%の窒素雰囲気下、1200℃で4時間焼成し、更に酸素を含まない窒素雰囲気下で30分間750℃で焼成した。
6.選別工程1
目開き250μmの篩で篩分して粗大粒子を除去した。
7.選別工程2
風力分級機(エルボジェットラボEJ−L3、日鉄鉱業社製)で分級し、D50が33μmの多孔質磁性コア粒子1を得た。
【0154】
〔多孔質磁性コア粒子の製造例2、3、4、5〕
多孔質磁性コア粒子の製造例1のうち、造粒工程において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から7%に、ポリビニルアルコールの添加量を2%から3%に変更した。それ以外は同様にして、D50が32μmの多孔質磁性コア粒子2を得た。
【0155】
多孔質磁性コア粒子の製造例1のうち、造粒工程において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から3%に変更した。さらに造粒条件を変更し、それ以外は同様にして、D50が55μmの多孔質磁性コア粒子3を得た。
【0156】
多孔質磁性コア粒子の製造例1のうち、造粒工程において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から10%に、ポリビニルアルコールの添加量を2%から4%に変更した。さらに造粒条件を変更し、それ以外は同様にして、D50が23μmの多孔質磁性コア粒子4を得た。
【0157】
多孔質磁性コア粒子の製造例1のうち、造粒工程において、ポリエステル微粒子の添加量を5%から15%に、ポリビニルアルコールの添加量を2%から4%に変更した。さらに造粒条件を変更し、それ以外は同様にして、D50が20μmの多孔質磁性コア粒子5を得た。
【0158】
〔磁性コア粒子1の製造例〕
多孔質磁性コア粒子の製造例1において、造粒工程でポリエステル微粒子を使用しないように変更した。また、焼成工程を、電気炉にて、酸素濃度1.0%の窒素雰囲気下、1300℃で4時間焼成を行うように変更した以外は、同様にして磁性コア粒子1を得た。得られた磁性コア粒子1は、D50が64μmの多孔質形状のない磁性粒子であった。
【0159】
[磁性粉含有樹脂コア粒子1の製造例]
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド36質量%水溶液) 16質量部
・マグネタイト微粒子(個数平均粒径200nm、磁化65Am2/kg) 60質量部
・ヘマタイト微粒子(個数平均粒径700nm) 24質量部
をフラスコに導入し、40℃にしてよく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は9.00g/m3であった。次いで65℃まで加温しながら、この反応媒体中に窒素ガス
を導入した。窒素ガスの導入量の流量を250cm3/分とし、30分間のガス置換を行
った。30分間のガス置換後の反応媒体中の溶存酸素量は0.90g/m3であった。
【0160】
その後、窒素導入量を50cm3/分に抑えながら、酸素が入らないようにして28質
量%アンモニア水4質量部および水8質量部をフラスコに加えた。撹拌しながら平均昇温速度3℃/分で、65℃から85℃に加熱した。85℃にて保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼の周速は1.8m/秒とした。
【0161】
重合反応させた後、30℃まで冷却して水を添加した。上澄み液を除去して得られた沈殿物を水洗し、さらに風乾した。得られた風乾物を、減圧下(5hPa以下)にて、60℃で乾燥して、D50が36μmの磁性粉含有樹脂コア1を得た。
【0162】
〔磁性キャリアの製造例1〕
1.樹脂液の調製工程
ストレートシリコーン(信越化学社製KR255) 20.0質量%
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 1.0質量%
トルエン 79.0質量%
以上を混合し、樹脂液1を得た。
【0163】
2.樹脂含有工程
多孔質磁性コア粒子に対してシリコーン樹脂の質量が6質量%となるように、多孔質磁性コア粒子1に樹脂液1を充填した。
【0164】
樹脂の充填は、万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を50kPaにし、70℃に加熱して行った。樹脂液1は、0分、10分、20分の3回に分け投入し、その後、1時間攪拌した。
【0165】
3.乾燥工程
万能混合攪拌機(製品名NDMV;不二パウダル株式会社)を用いて、真空度を5kPaにし、100℃で5時間加熱してトルエンを除去した。
【0166】
4.硬化工程
オーブンを用い、窒素雰囲気下にて200℃で3時間加熱し樹脂を硬化させた。
【0167】
5.篩工程
篩振とう機(300MM−2型、筒井理化学機械 75μm開口)で篩い、樹脂含有磁性粒子1を得た。樹脂含有磁性粒子1を磁性キャリア1をとした。得られた磁性キャリアの物性を表2に示す。
【0168】
尚、得られた磁性キャリア1は、多孔質磁性コア粒子の表面が、空孔に充填された樹脂によって覆われていた。
【0169】
〔磁性キャリアの製造例2〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において、多孔質磁性コア粒子1の代わりに多孔質磁性コア粒子2を用い、多孔質磁性コア粒子2の質量に対してシリコーン樹脂の質量が8質量%となるように多孔質磁性コア粒子の空孔に樹脂を含有させた。
【0170】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、樹脂含有磁性粒子2を得た。樹脂含有磁性粒子2を磁性キャリア2をとした。
【0171】
〔磁性キャリアの製造例3〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において多孔質磁性コア粒子1の代わりに多孔質磁性コア粒子3を用い、多孔質磁性コア粒子3の質量に対してシリコーン樹脂の質量が3質量%となるように多孔質磁性コア粒子の空孔に樹脂を含有させた。
【0172】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、樹脂含有磁性粒子3を得た。樹脂含有磁性粒子3を磁性キャリア3とした。
【0173】
〔磁性キャリアの製造例4〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において多孔質磁性コア粒子1の代わりに多孔質磁性コア粒子4を用い、多孔質磁性コア粒子4の質量に対してシリコーン樹脂の質量が12質量%となるように多孔質磁性コア粒子の空孔に樹脂を含有させた。
【0174】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、樹脂含有磁性粒子4を得た。樹脂含有磁性粒子4を磁性キャリア4とした。
【0175】
〔磁性キャリアの製造例5〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において多孔質磁性コア粒子1の代わりに多孔質磁性コア粒子5を用い、多孔質磁性コア粒子5の質量に対してシリコーン樹脂の質量が15質量%となるように多孔質磁性コア粒子の空孔に樹脂を含有させた。
【0176】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、樹脂含有磁性粒子5を得た。樹脂含有磁性粒子5を磁性キャリア5とした。
【0177】
〔磁性キャリアの製造例6〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において多孔質磁性コア粒子1の代わりに磁性粉含有樹脂コア粒子1を用い、磁性粉含有樹脂コア粒子1の質量に対してシリコーン樹脂
の質量が1質量%となるように樹脂をコートさせた。
【0178】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、樹脂含有磁性粒子6を得た。樹脂含有磁性粒子6を磁性キャリア6とした。
【0179】
〔磁性キャリアの製造例7〕
磁性キャリアの製造例1の樹脂含有工程において多孔質磁性コア粒子1の代わりに磁性コア粒子1を用い、磁性コア粒子1の質量に対してシリコーン樹脂の質量が1質量%となるように樹脂をコートさせた。
【0180】
それ以外は、磁性キャリアの製造例1と同様にして、磁性粒子を得た。磁性粒子を磁性キャリア7とした。
【0181】
表2にキャリアの特性一覧表を示す。
【0182】
【表2】

【0183】
〔中間転写体の製造方法例1〕
下記の材料を2軸押出し機で溶融混練し、材料ペレットを作った。
【0184】
ポリエーテルエーテルケトン(PEEK) 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
次に得られた材料ペレットを押出し成形で直径90mmのチューブ状に成形し、押出し後すぐに冷却して長さ350mmにカットし連続成形によるシームレスベルトを作製した。このベルトの裏面両端に幅10mm厚さ3mmの蛇行防止用のゴムシートを貼り付け、中間転写ベルト1を作製した。
【0185】
この中間転写ベルト1は厚さ80μmで、ヤング率が2.40×103MPaであった

【0186】
〔中間転写体の製造方法例2〕
下記の材料を2軸押出し機で溶融混練し、材料ペレットを作った。
【0187】
ポリエチレンナフタレート(PEN) 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
次に得られた材料ペレットを押出し成形で直径90mmのチューブ状に成形し、押出し後すぐに冷却して長さ350mmにカットし連続成形によるシームレスベルトを作成した。このベルトの裏面両端に幅10mm厚さ3mmの蛇行防止用のゴムシートを貼り付け、中間転写ベルト2を作製した。
【0188】
この中間転写ベルト2は厚さ78μmで、ヤング率が2.50×103MPaであった

【0189】
〔中間転写体の製造方法例3〕
下記の材料を2軸押出し機で溶融混練し、材料ペレットを作った。
【0190】
ポリフッ化ビニリデン(PVdF) 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
次に得られた材料ペレットを押出し成形で直径90mmのチューブ状に成形し、押出し後すぐに冷却して長さ350mmにカットし連続成形によるシームレスベルトを作製した。このベルトの裏面両端に幅10mm厚さ3mmの蛇行防止用のゴムシートを貼り付け、中間転写ベルト3を作製した。
【0191】
この中間転写ベルト3は厚さ83μmで、ヤング率が1.30×103MPaであった

【0192】
〔中間転写体の製造方法例4〕
下記の材料を2軸押出し機で溶融混練し、材料ペレットを作った。
【0193】
ポリアミド(PA) 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
次に得られた材料ペレットを押出し成形で直径90mmのチューブ状に成形し、押出し後すぐに冷却して長さ350mmにカットし連続成形によるシームレスベルトを作成した。このベルトの裏面両端に幅10mm厚さ3mmの蛇行防止用のゴムシートを貼り付け、中間転写ベルト4を作製した。
【0194】
この中間転写ベルト4は厚さ80μmで、ヤング率が9.50×102MPaであった

【0195】
〔中間転写体の製造方法例5〕
下記の材料を2軸押出し機で溶融混練し、材料ペレットを作った。
【0196】
熱硬化ポリイミド(PI) 100質量部
導電性カーボンブラック 15質量部
次に得られた材料ペレットを押出し成形で直径90mmのチューブ状に成形し、押出し後すぐに冷却して長さ350mmにカットし連続成形によるシームレスベルトを作製した。このベルトの裏面両端に幅10mm厚さ3mmの蛇行防止用のゴムシートを貼り付け、中間転写ベルト5を作製した。
【0197】
この中間転写ベルト5は厚さ82μmで、ヤング率が4.90×103MPaであった

【0198】
[現像剤の作製]
10質量部のシアントナーと、90質量部の磁性キャリア1を混合し、二成分系現像剤1とした。
【0199】
同様にシアントナーとキャリア2乃至7を混合したものを、それぞれ二成分現像剤2乃至7とした。
【0200】
〔実施例1乃至5、比較例1乃至6〕
上記の中間転写体と現像剤を表3に示す組み合わせで、評価を行った。評価としては、中間転写体周りを変更し、且つ高速仕様(250mm/sec)に改造した、キヤノン(株)製フルカラー複写機iRC5180改造機を用いて行った。
【0201】
評価項目と評価基準については、下記に示した。得られた評価結果を表3に示す。
【0202】
<リーク跡>
単色モードで常温低湿環境下(23℃/5%)で、トナー濃度比率を4質量%にした現像剤を使った。A4画像(印字比率:100%)を3枚連続で出力した。目視で白く抜けている数をカウントした。
(評価基準)
A:拡大観察によっても抜けている部分の殆どない画像で非常に良好
B:目視によっても抜けている部分が2個以下/枚の少ない画像で良好
C:目視で抜けている部分が、5個/枚ある。
D:目視で抜けている部分が、10個以上/枚ある。
【0203】
<一次転写性の評価方法>
図6に示すA4画像(印字比率:5%)高温高湿環境下(30℃/80%)での1万枚の画像出力後、ベタ画像を出力した。ベタ画像形成時の感光体電子写真感光体ドラム上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。その濃度差の値から、以下のようにして判定した。尚、濃度はX−Riteカラー反射濃度計(X−rite社製)で測定した。
【0204】
(評価基準)
A:0.05未満で非常に良好
B:0.05以上0.1未満で良好
C:0.1以上0.2未満
D:0.2以上
【0205】
<二次転写性の評価方法>
高温高湿環境下(30℃/80%)でA4画像(印字比率:100%)のベタ画像を出力する。その時中間転写体から紙(FoxRiverBond 90g紙)に転写する二次転写部分で、A4画像の途中で止める。紙へ転写した後の中間転写体上の転写残トナーを、透明なポリエステル製の粘着テープによりテーピングしてはぎ取った。はぎ取った粘着テープを紙上に貼ったものの濃度から、粘着テープのみを紙上に貼ったものの濃度を差し引いた濃度差をそれぞれ算出した。その濃度差の値から、以下のようにして判定した。尚、濃度はX−Riteカラー反射濃度計(X−rite社製)で測定した。
【0206】
(評価基準)
A:0.08未満で非常に良好
B:0.08以上0.13未満で良好
C:0.13以上0.2未満
D:0.2以上
【0207】
<ハーフトーン(HT)スジの評価方法>
A4画像(印字比率:5%)常温低湿環境下(23℃/5%)での1万枚の画像出力後、ハーフトーン画像を出力した。記録材としては、CLC用光沢厚口用紙(NS−701:キヤノン製)を用いた。ちなみに得られた画像は、濃度計X−Rite500型(X−
rite社製)により濃度測定を行い、6点の平均値をとって画像濃度とした。画像濃度を0.5以上0.7以下となる画像にし、A4画像3枚出力し、目視でスジを確認した。
【0208】
(評価基準)
A:スジがなく均一な画像で非常に良好
B:1本以内/枚で良好
C:3本以内/枚
D:3本以上/枚
【0209】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0210】
【図1】画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図2】画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図3】画像形成装置の他の例を示す概略図である。
【図4】フルカラー画像形成装置の一例を示す概略図である。
【図5】ベルト定着装置の一例を示す概略図である。
【図6】画像評価で使用した画像を示す図である。
【図7】磁性キャリアの動的抵抗測定に用いた現像器の説明図である。
【符号の説明】
【0211】
1 感光体
2 帯電装置
3 露光装置
4 現像装置
5 転写装置
6 中間転写体
7 転写装置
8 定着装置
9 クリーニング装置
10 均し装置(補助ブラシ帯電装置)
11 クリーニング部材
1K、1Y、1C、1M 感光体
2K、2Y、2C、2M 帯電装置
3K、3Y、3C、3M 露光装置
4K、4Y、4C、4M 現像装置
5K、5Y、5C、5M 転写装置
17K、17Y、17C、17M 現像剤担持体
P 転写材
PK、PY、PC、PM 画像形成ユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体を帯電させる帯電工程、前記帯電工程で帯電された感光体上に静電潜像を形成する潜像形成工程、前記感光体上に形成された静電潜像をトナーと磁性キャリアとを有する二成分系現像剤を用いて現像して、トナー画像を形成する現像工程、前記感光体上のトナー画像を中間転写体を介して転写材に転写する転写工程、前記トナー画像を転写材に定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
前記磁性キャリアは、
i)前記磁性キャリアの体積分布基準の平均粒径(D50)が25μm以上60μm以下であり、
ii)前記磁性キャリアの平均変形率をA(MPa/μm)とすると、10≦A≦28であり、
iii)前記磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が2.0個数%以下であり、
iv)前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が1.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であり、
前記中間転写体のヤング率が1.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記ヤング率が2.00×103MPa以上4.50×103MPa以下であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
前記中間転写体が、ポリエーテルエーテルケトン、またはポリエチレンナフタレートを主成分とすることを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記磁性キャリアの平均円形度における0.950以下の存在率が1.0個数%以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記磁性キャリアの電界強度5000V/cmにおける動的抵抗率R5000が5.0×108Ωcm以上1.0×1010Ωcm以下であることを特徴とする請求項1乃至4の
いずれかに記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−42465(P2009−42465A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206770(P2007−206770)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】