説明

画像形成方法

【課題】 画像形成中の画像流れと長期放置時の画像流れを同時に解決し、長期にわたり高画質な画像形成を行えるようにする。
【解決手段】 個数平均粒子径が30乃至300nmの疎水化処理炭酸カルシウム粒子と個数平均粒子径が30乃至300nmの疎水化処理チタン酸ストロンチウム粒子を該像担持体表面に塗付する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子写真画像形成方法に関する。詳しくは、放電を伴った帯電工程により像担持体表面を帯電し、露光工程により該像担持体表面に静電潜像を形成し、該静電潜像を現像剤により現像する画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真装置や静電記録装置等に用いられる画像形成方法において、電子写真感光体・静電記録誘電体等の像担持体上に潜像を形成する方法について様々な方法が知られている。
【0003】
例えば、電子写真法では、潜像担持体としての光導電性物質を利用した感光体上を所要の極性・電位に一様に帯電処理した後に、画像パターン露光を施すことにより電気的潜像を形成させる。その後トナーを現像して顕像化し、これを紙等の転写媒体に転写・定着する方法が一般的である。
【0004】
近年、複写機、プリンタおよびファクシミリなどの出力端末をすべてかね備え、ネットワークに対応した複合機が、市場で広く受け入れられている。
【0005】
このようなネットワーク対応の出力端末として、電子写真システムが広く受け入れられる反面、大きな問題の一つとして本体のデューティサイクル(Duty Cycle)が挙げられる。デューティサイクルとは、作業員によるメンテナンスを要することなく、本体が正常に稼動し続ける限界枚数のことである。
【0006】
このデューティサイクルを律速している要因の一つに、像担持体(感光体)の寿命を挙げることができる。感光体の寿命を長寿命化することができれば、デューティサイクルを長くすることができ、信頼性の向上を図ることができる。そして、廃棄物を減少することができ、環境保護の観点からも、このような技術の開発が求められている。
【0007】
このような中、感光体として、次第にアモルファスシリコン(a−Si)感光体や表面に硬化型樹脂による保護層を有する有機感光体のような高耐久な感光体が多用されてきている。
【0008】
しかしながら、高耐久な感光体は、高耐久であるがゆえに長期にわたり利用されるため、感光体の表面の劣化が進行し、画質に影響が表れることがある。
【0009】
感光体表面の劣化は、転写材として多くの場合利用される紙片から発生する微細な紙粉や、これから析出する有機質成分や、装置内における高圧部材の存在に起因して発生する放電生成物が、感光体の表面に付着することによって引き起こされる。感光体の表面に付着したこれらの微細な紙粉、有機質成分または放電生成物は、特に高湿環境下において低抵抗化して、鮮明な静電潜像の形成を妨げ、これが画質の劣化を招来する。
【0010】
また、帯電装置による放電により感光体表面自体が変質して親水性が大きくなる場合もある。この場合には、親水性が高まった部位に水分が吸着し低抵抗化し、鮮明な静電潜像の形成が妨げられる。
【0011】
また、像担持体が中間転写体の場合にも紙粉や放電生成物の影響などによる表面劣化により、トナー転写性能の低下、トナー融着、像担持体クリーニング不良等が発生しやすくなる。
【0012】
削り取り部材や研磨剤により、像担持体(特に感光体)の劣化した表面を削り取ることで、問題の発生を抑制する方法がある。この場合、研磨力に優れる材料をトナーに外添して感光体を研磨する方法がよく用いられる(特許文献1参照)。しかし、感光多を削るこの方法では、感光体表面の寿命低下を引き起こしやすい。
【0013】
一方、感光体表面を脂肪酸金属塩等で被覆して保護し、画像流れを抑止する方法もある(特許文献2参照)。しかし、感光体保護剤を用いるこの方法は、感光体保護剤による帯電装置・現像装置等の他の装置に対する汚染の影響が大きく、感光体以外の部分の装置寿命が低下する場合が多い。また、放電生成物が生じると、感光体保護剤が劣化して付着力が大きくなる傾向にあるため、感光体寿命が延びるほど、感光体保護剤の蓄積に注意を払う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2008−304788号公報
【特許文献2】特開2008−122593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記したように感光体の長寿命を達成した上で画像流れを防止する技術の性能はまだ改善および向上させる余地がある。感光体およびその周りの部材の寿命を延ばしていくためにはさらに効率的に画像流れを抑制することが求められる。
【0016】
本発明の目的は、像担持体表面の削り量を抑えつつ、画像流れを防止し、高品質な画像を出力可能な画像形成方法を提供することにある。
【0017】
また、高湿環境下で長期間放置された場合であっても画像流れを防止できる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、放電を伴い像担持体の表面を帯電する帯電工程、該像担持体の表面に静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して或いは介さずに転写材に転写する転写工程、転写材上の未定着画像を定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
個数平均粒径が30乃至300nmの疎水化処理炭酸カルシウム粒子と個数平均粒径が30乃至300nmのチタン酸ストロンチウム粒子とが、該像担持体表面に塗付されることを特徴とする画像形成方法に関する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、像担持体である感光体表面に対し炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子を塗付供給することで、画像形成中の画像流れと長期放置の画像流れの両方に対応でき、高画質の画像出力が安定して行える。
【0020】
加えて、クリーニングブレードと感光体の摩擦による振動の低減や、帯電部材の汚染ムラ防止にも効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の画像形成方法を適用できる画像形成装置を示す概略断面図である。
【図2】6面体形状の炭酸カルシウムの拡大写真である。
【図3】疎水化度測定結果の一例である。
【図4】クリーニング装置を示す概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本願発明者らは、感光体表面が低抵抗化することにより画像流れが生じる現象を詳細に分析した結果、画像流れの発生状況に2つのパターンがあるとの知見を得た。
【0023】
1つ目は、多数枚の画像形成を行った装置を、長時間放置し、再び、画像出力する際に画像流れが発生するというパターンである。感光体表面がある程度劣化しており、親水化されてしまっているため、感光体表面には空気中の水分が多く吸着する。そして感光体表面に吸着した水分に、感光体ないしは画像形成装置本体内に存在する放電生成物が溶け込んで低抵抗物質が形成され、感光体表面が低抵抗化し、画像流れに発展する。このパターンでは、比較的多くの水分が存在するために、少量の放電生成物が溶け込んだだけで、感光体表面の低抵抗化が起こり、画像流れの発生につながっていると考えられる。
【0024】
2つ目は、画像形成装置本体が十分に温まっていない状態での画像形成の際に、画像流れが発生するパターンである。このパターンでは、感光体表面にあるわずかな水分に対して画像形成中に発生する放電生成物が溶け込んで低抵抗物質が形成され、感光体表面が低抵抗化し、画像流れが発生する。このパターンでは、少量の水分に対して、多量の放電生成物が溶け込んだことによって、感光体表面の低抵抗化が起こり、画像流れの発生につながっていると考えられる。
【0025】
これらのパターンの内、1つ目のパターンで生じる画像流れは、従来の方法、すなわち感光体表面を少しずつ削り取り、感光体の親水化を防ぐことによって防ぐことができる。しかしながら、2つ目のパターンで生じる画像流れの場合は、画像形成を行う毎に感光体表面のリフレッシュが必要であるために、感光体表面を削って解決しようとすると、感光体の削れ量が非常に大きくなる。
【0026】
本発明者らは上記した分析結果を踏まえ、まず画像形成の最中におこる画像流れの原因となる感光体表面に形成される低抵抗物質の除去を目指して検討を行った。その検討の結果、特に炭酸カルシウムが効果を発揮することを見出した。そして、この効果は、感光体を削りとる研磨作用により発揮されているのではなく、炭酸カルシウムが放電生成物を化学的に吸着して感光体から除去することにより発揮されていることがわかった。
【0027】
放電生成物は主に酸性を示すため、このような成分が付着した感光体表面は酸性になるが、炭酸カルシウムが存在することによって中和することができる。この作用によって、放電生成物の感光体への影響を減じていると考えられる。
【0028】
その一方、放電生成物を化学的に吸着した炭酸カルシウムは親水性が高まるため、感光体や感光体と接する周辺の部材の表面に付着しやすくなる。このような親水性が高くなった炭酸カルシウムが、感光体やその周辺部材に付着したまま残存すると、水分を吸着し、結局、画像流れを引き起こすこととなる。特に、帯電部材に接触もしくは近接していた部分の感光体表面において、画像流れが顕著となる。帯電ローラ表面は感光体表面以上に放電生成物の蓄積が大きくなりやすく、ここに付着した炭酸カルシウムが水分を吸着して、感光体表面に移行するためと考えられる。
【0029】
そこで、放電生成物を吸着した炭酸カルシウムを除去するために、チタン酸ストロンチウム粒子を存在させることが重要となる。チタン酸ストロンチウム粒子は放電生成物とは反応しないが、放電生成物を吸着する性能において、シリカやアルミナ、チタニア等よりも優れている。そのため、チタン酸ストロンチウムを併用することにより、感光体表面において放電生成物とともに、放電生成物を吸着した炭酸カルシウムを掻き取り除去し、感光体表面をリフレッシュすることができる。また、クリーニングブレードを用いて感光体の表面を研磨・清掃する構成において必要とされる、凝集性、研磨均一性、すり抜け性、付着性といった特性に関して、チタン酸ストロンチウムは適度に備えている。
【0030】
上記のような作用は、疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とが存在している状態で、像担持体と他部材との摺擦が生じる工程があれば、発現される。例えば、そのような工程としては、接触帯電工程、接触現像工程、クリーニング工程、クリーニングや帯電の補助工程等が挙げられる。
【0031】
本発明で用いることのできる炭酸カルシウム粒子は、特に制限されず、市販品も使用することができる。また、いずれの製法によって得られるものも使用することができる。例えば、天然炭酸カルシウム(重質炭酸カルシウム)及び合成炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム又は膠質炭酸カルシウム)を例示することができる。
【0032】
本発明における画像流れ抑止効果を十分に発揮させる為に、炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径は30乃至300nmである必要がある。粒径が小さ過ぎると放電生成物と反応した際に粒子同士で凝集しやすくなり、粒子として挙動しにくくなるため、画像流れに対する効果が発現し難い。また、粒径が大き過ぎると感光体表面との接触機会が十分でなく、やはり画像流れに対する効果が発現し難い。なお、本発明における炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径は、電子顕微鏡にて5万倍の倍率で撮影した写真からランダムに100個の粒径を測定してその平均をとることにより算出した。各粒子の粒径は、一次粒子の最長辺の長さをa、最短辺の長さをbとしたとき、(a+b)/2で求めた。
【0033】
炭酸カルシウムは、その本来の性質として酸に対しての反応性が強く、pH5程度の弱酸性の水においても短時間で反応し、所望の炭酸カルシウムの物性を損なうことがある。従って、電子写真画像形成方法で用いる場合において空気中の水分に対する安定性をもたせるために、炭酸カルシウム粒子の表面を疎水化処理することが必要である。メタノールによる疎水化度で30%以上であることが好ましく、疎水化が50%以上であることがより好ましい。
【0034】
疎水化するための表面処理には、脂肪酸とその誘導体、樹脂酸とその誘導体、その他の有機カルボン酸とその塩、またはチタネート系カップリング剤、シラン系カップリング剤などを単独または併用して、吸着させる方法がある。中でも脂肪酸とその誘導体、樹脂酸とその誘導体が好ましい。
【0035】
脂肪酸又はその誘導体としては、特に限定されないが、例えば脂肪酸、その金属塩、そのエステル化物等を好適に使用することができる。脂肪酸としては、例えばカプロン酸、カプリル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、パルミトレイン酸、オレイン酸、エルカ酸等が挙げられる。上記金属塩としては、例えば上記脂肪酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。上記エステル化物としては、例えばステアリン酸ステアリル、ステアリン酸ラウリル、パルミチン酸ステアリル、パルミチン酸ラウリル等が挙げられる。これらは単独で用いても良く、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、炭素数6乃至31の脂肪酸及びその誘導体が好適に使用できる。
【0036】
樹脂酸及びその誘導体としては、特に限定されないが、例えば樹脂酸、その金属塩、そのエステル化物等を好適に使用することができる。樹脂酸として、例えばアビエチン酸、レボピマール酸、ネオアビエチン酸、パルストリン酸、デヒドロアビエチン酸、ジヒドロアビエチン酸、テトラアビエチン酸、デキストロピマール酸、イソデキストロピマール酸等が挙げられる。上記金属塩としては、例えば上記樹脂酸のナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、マグネシウム塩、カルシウム塩等のアルカリ土類金属塩等が挙げられる。これらのほかにも、樹脂酸誘導体として水添ロジン、不均化ロジン、重合ロジン、ロジンエステル、マレイン化ロジン、マレイン化ロジンエステル、ロジン変性フェノール等を挙げることができる。
【0037】
脂肪酸、樹脂酸或いはそれらの誘導体の使用量は、種類等に応じて適宜定めることができるが、通常は炭酸カルシウム100質量部に対して、0.1乃至30質量部用いればよく、より好ましくは0.2乃至20質量部、更に好ましくは0.2乃至5質量部である。
【0038】
これらの処理剤を炭酸カルシウム粒子の表面に処理する方法としては、炭酸カルシウム乾燥粉に直接噴霧する方法、炭酸カルシウムのスラリーに添加する方法、炭酸カルシウムの脱水ケーキに添加する方法、炭酸カルシウムを湿式粉砕する方法がある。好ましくは、炭酸カルシウム含有水性物(炭酸カルシウム反応スラリーを濃縮した濃縮液、軽質炭酸カルシウム反応スラリーを脱水した脱水ケーキ、軽質炭酸カルシウム乾燥粉を溶解した水性スラリー)に添加し、混合処理を行う。混合処理は好ましくは液撹拌型であり、混合槽、混合ポンプを使って行われる。液攪拌型装置には、液のせん断力を高めるために邪魔板を設置できる。
【0039】
本発明におけるチタン酸ストロンチウムは、特に制限されず、市販品も使用することができる。また、いずれの製法によって製造されたものでも良い。
【0040】
チタン酸ストロンチウムの製造方法としては、酸化チタンあるいはメタチタン酸と炭酸ストロンチウムを混合し、焼成して製造する方法がある。また、より微細なチタン酸ストロンチウム粒子を製造する方法として、常圧加熱反応法がある。
【0041】
常圧加熱反応法としては、チタン化合物の加水分解物とストロンチウム化合物とを強アルカリ水溶液中で反応させて超微粒子のチタン酸ストロンチウムを生成させる方法、チタン化合物の加水分解物とストロンチウム化合物とを、過酸化水素の存在下で湿式反応させる方法、溶液状態のストロンチウム化合物と、溶液状態またはスラリー状態のチタン化合物とを、反応が開始する温度以上で混合する方法、酸化チタン源としてチタン化合物の加水分解物の鉱酸解膠品を用い、またストロンチウム源として水溶性酸性化合物を用い、その混合液に50℃以上でアルカリ水溶液を添加しながら反応させる方法などがある。
【0042】
本発明における画像流れ抑止効果を十分に発揮させる為に、チタン酸ストロンチウム粒子は、個数平均粒径が30乃至300nmである必要がある。このような微細なチタン酸ストロンチウム粒子は電子写真感光体表面の研磨清掃という観点で非常に有効である。粒径が小さ過ぎるとクリーニング工程等感光体表面に擦りつけられる際に十分な機械的負荷がかからないために研磨性が発現できず、画像流れに対する効果が発現し難い。また、粒径が大きすぎると感光体表面との接触機会が十分でなく、やはり画像流れに対する効果が発現し難い。
【0043】
さらに、チタン酸ストロンチウム粒子と炭酸カルシウム粒子の粒径が同程度であることが好ましい。具体的には、チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均粒径をDs、炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径をDcとしたとき、比(Ds/Dc)が0.4以上2.5以下であることが好ましい。それにより、クリーニングブレードエッジ近傍の両粒子の滞留部で両粒子が均一に混合されやすく、クリーニングブレードと感光体の間の摩擦が安定化するので、クリーニングブレードと感光体の摩擦による振動を低減できる。
【0044】
粒子形状としては、掻き取り力向上という観点から非球形が好ましく、立方体などの角状がより好ましい。炭酸カルシウム粒子とともにチタン酸ストロンチウム粒子の形状が6面体状であると、画像流れが低減されやすい。
【0045】
チタン酸ストロンチウムの新モース硬度は6であり、感光体表面を研磨する際に感光体表面を削り過ぎない硬度である点も有効な点である。
【0046】
チタン酸ストロンチウム粒子においては、環境安定性や帯電調整の改良のため、脂肪酸や樹脂酸、SiO、Al等の無機酸化物やチタンカップリング剤、シランカップリング剤、シリコーンオイル等の疎水化剤を処理することができる。
【0047】
特に、チタン酸ストロンチウム粒子は、その表面が疎水化処理されていることが好ましい。チタン酸ストロンチウム粒子の疎水性が高いと、水分吸着量を減少させることができる。これにより放電生成物と反応した炭酸カルシウムが帯電ローラに付着することを抑制することができ、帯電ローラ表面および感光体表面の電気抵抗の低下を抑制できる。この効果を発揮させるために、チタン酸ストロンチウム粒子は、メタノール疎水化度が80体積%以上であることが好ましく、炭酸カルシウムが付着した帯電部材へ均一且つ適度な量のチタン酸ストロンチウム粒子を付着させるために、メタノール疎水化度が95体積%以下であることが好ましい。
【0048】
疎水化するための表面処理は、前述した炭酸カルシウム粒子と同様の処理剤を用いて同様の処理方法で行うことができる。
【0049】
脂肪酸等の種類等に応じて適宜定めることができるが、脂肪酸、樹脂酸或いはそれらの誘導体は、チタン酸ストロンチウム100質量部に対して、1乃至20質量部程度の量で用いられる。より好ましくは3乃至15質量部となるようにすれば良い。
【0050】
本発明において、炭酸カルシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子のメタノール疎水化度測定による疎水特性は、下記のようにして得たメタノール滴下透過率曲線から求める。
【0051】
まず、メタノール濃度(体積%)が既知の含水メタノール液70mlを、直径5cm、厚さ1.75mmの円筒型ガラス容器中に入れ、その測定用サンプル中の気泡等を除去するために超音波分散器で5分間分散を行う。
【0052】
次いで、測定する粒子0.1gを精秤して、上記含水メタノール液が入れられた容器の中に添加し、測定用サンプル液を調製する。
【0053】
そして、測定用サンプル液を粉体濡れ性試験機「WET−100P」(レスカ社製)にセットする。この測定用サンプル液を、マグネティックスターラーを用いて、6.7s−1(400rpm)の速度で攪拌する。尚、マグネティックスターラーの回転子として、フッ素樹脂コーティングされた、長さ25mm、最大胴径8mmの紡錘型回転子を用いる。
【0054】
次に、この測定用サンプル液中に、上記装置を通して、メタノールを1.5ml/minの滴下速度で連続的に添加しながら波長780nmの光で透過率を測定し、横軸が体積基準のメタノール濃度であるメタノール滴下透過率曲線を作成する(図3参照)。メタノール滴下透過率曲線において、透過率が低下する前のベースラインと、透過率が0.1低下した点における接線との交点のメタノール濃度を光透過率低下開始点とする。また、メタノール濃度0.1%あたりの透過率の低下率が0.01以下となった時のメタノール濃度を光透過率低下終了点とする。但し、メタノール滴下透過率曲線が滑らかにならない場合には、光透過率低下開始点の決定の際、厳密に透過率0.1低下した点での接線とするのではなく、透過率が0.1低下した点近傍の曲線の形状に応じた接線をひいて決定すればよい。同様に、光透過率低下終了点の決定の際も、メタノール濃度0.1%あたりの透過率の低下率が0.01以下となった時として厳密に判断するのではなく、透過率の低下が見られなくなった点を目視で判断して決定すればよい。
【0055】
本発明における疎水化処理炭酸カルシウム粒子のメタノール疎水化度は、上記光透過率低下開始点(Ac)と光透過率低下終了点(Bc)のメタノール濃度の中間値をメタノール疎水化度として算出する。すなわち、本発明における炭酸カルシウムのメタノール疎水化度は「(Ac+Bc)/2」である。同様に、チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度は、上記光透過率低下開始点(As)と光透過率低下終了点(Bs)のメタノール濃度の中間値であり、「(As+Bs)/2」である。
【0056】
疎水化処理炭酸カルシウム粒子のメタノール疎水化度が50体積%以上80体積%以下であれば、放電静止物吸着能を損なうことなく像担持体への付着を抑制できる。疎水化処理炭酸カルシウム粒子のメタノール疎水化度が大きいと帯電部材上の放電生成物を中和吸着する速度が遅くなり、帯電部材上に放電生成物が残りやすい。逆に、疎水化処理炭酸カルシウム粒子のメタノール疎水化度が小さいと放電生成物の酸により溶け易くなって、帯電部材表面の劣化した炭酸カルシウム粒子が感光体表面に移行付着しやすくなる。
【0057】
チタン酸ストロンチウム粒子のメタノール疎水化度が80乃至95体積%であれば、炭酸カルシウム粒子による帯電部材表面の接触角低下を防ぐ性能が高い。チタン酸ストロンチウム粒子のメタノール疎水化度が高めであることで、帯電部材に炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子が付着した際の親水化を防ぐことができる。それにより、帯電部材上で放電生成物を反応吸着した炭酸カルシウム粒子が、高湿環境での放置時に水分吸収して感光体へ付着することを抑制できる。
【0058】
また上記光透過率の低下開始点と低下終了点のメタノール濃度の幅を疎水化度分布幅として算出する。炭酸カルシウム粒子の疎水化度分布幅は「Bc−Ac」であり、とチタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度分布幅は「(Bs−As)」である。
【0059】
炭酸カルシウム粒子の疎水化度分布幅が5体積%以上20体積%以下であると、放電生成物の吸着性能において即効性と耐久性をもたせることができる。炭酸カルシウム粒子は帯電部材表面で長い時間放電生成物にさらされる場合が多い。疎水化度の分布に一定の幅をもたせて、放電生成物との反応速度が異なる粒子を存在させることで長時間にわたり、吸着効果を発揮させることができる。
【0060】
チタン酸ストロンチウム粒子の疎水化度分布幅が1体積%以上5体積%以下であると、疎水性が均一に近く好適である。
【0061】
これらの効果により感光体表面の帯電部材接触および近接位置における長期放置後の画像流れを抑止できる。
次に、画像形成工程について記載する。
【0062】
図1に本発明の画像形成方法を適用することのできる画像形成装置の一例を示す。なお、同図は、デジタル方式の複写機の概略構成を示す縦断面図である。同図に示す複写機は、像担持体としてドラム型の電子写真感光体101を備えている。この感光体101は、駆動手段(不図示)によって矢印方向に回転駆動される。感光体101の周囲には、その回転方向に沿ってほぼ順に、一次帯電手段である帯電ローラ102、露光手段103、現像器104、転写帯電器105、クリーニング装置107が配設されている。さらに、転写材108の搬送方向(矢印方向)の転写帯電器105の下流側(同図中の左側)には、定着器106が配設されている。
【0063】
帯電工程においては、バイアスを印加した帯電部材(帯電ローラ102)と感光体101との間で放電させ、感光体上を一様に帯電する。このとき、放電現象に伴い放電生成物が発生する。感光体101表面は、帯電ローラ102により帯電される。
【0064】
帯電方式は大きくわけてコロナ帯電方式と接触ローラ帯電方式が主流である。コロナ帯電方式はワイヤから感光体に向けて放電を行い、感光体上に放電に伴って発生する電荷をのせる方式である。接触ローラ帯電方式は、感光体と導電性ローラとの間に微小ギャップを形成させそこでの放電により感光体表面に電荷をのせる方法である。
【0065】
次いで、露光手段103から発せられるレーザ光によりレーザ光照射部分の電荷が除去されて静電潜像が形成される。感光体101上の静電潜像は、現像器104の帯電したトナーによって現像される。現像された感光体101上のトナー像(未定着画像)は、矢印方向に搬送される転写材111に、転写帯電器105によって転写される。トナー像を担持した転写材111は定着器106に搬送され、ここで加熱・加圧を受けて、表面にトナー像が定着される。転写後に感光体に残った転写残トナーはクリーニング装置107にて回収される。尚、本構成においては、中間転写体が用いられていないが、感光体上のトナー像を中間転写体を介して転写材に転写する構成であっても良い。
【0066】
電子写真感光体上のトナーのクリーニング方式としては、ブラシローラ、弾性ローラ、または弾性ブレードからなるクリーニングブレードが一般的である。弾性ブレードを感光体移動方向に対してカウンターに当接させる方式が簡便な構成にできるために最もよく用いられている。
【0067】
本発明に係る疎水化処理炭酸カルシウム粒子及びチタン酸ストロンチウム粒子は、クリーニングブレードエッジと像担持体との当接部の上流側に滞留部を形成してしばらく滞留し、滞留後、クリーニングブレードにより除去される構成が好ましい。クリーニングブレードのエッジによってせき止められる形で形成された滞留部には、一定量しか粒子は滞留できないため、次々と新しい粒子を供給する構成とすれば、その以前から存在する粒子は自然とクリーニングブレードにより除去される。これにより、滞留部に滞留して放電生成物を吸着した疎水化処理炭酸カルシウム粒子は、チタン酸ストロンチウム粒子にかきとられて除去される。また、チタン酸ストロンチウム粒子による感光体表面の研磨も同時に行われる。
【0068】
クリーニングブレードの材質としては感光体表面への追従性とキズ付け難さの点からゴム材料が適している。その中でもポリウレタンゴムが物性的な面と化学的な面から最も適している。ゴム硬度としては国際ゴム硬さ(IRHD)で60度から90度のものが好ましい。
【0069】
感光体に対する弾性ブレードの当接方法は、ブレード当接位置における感光体接線に対して15°乃至45°傾けた支持体にゴムブレードを固定してカウンターに当接するのが好ましい。また、ブレード当接圧はクリーニングするトナーやトナーに含まれる外添剤によっても異なるが、0.1乃至1.0N/cm程度が好ましい。
【0070】
さらに、感光体表面において、クリーニングブレードと感光体との当接位置の上流に、ブラシローラ等のクリーニング補助部材を設けることが好ましい。トナーと感光体の付着力を弱めると共に、クリーニングブレードに到達する疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子を均し、これらの粒子の感光体への付着力も弱めることができる。
【0071】
疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子の像担持体への塗付は、像担持体に各粒子を直接供給する専用部材をクリーニング装置内などに設けることで行うことができる。また、各粒子を外添等によってトナー粒子表面に添加すれば、現像工程、転写工程或いはクリーニング工程で、各粒子がトナー粒子から遊離して、像担持体に付着する。その後、像担持体に付着した各粒子をクリーニングブレードやブラシローラなどの像担持体に当接する部材で均すことで像担持体表面に均一塗付することができる。この方法をとれば、同様の効果が得られてかつ装置の簡略化がはかれるので好ましい。尚、疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子とは、像担持体に別々で塗布されても良いが、同時に塗布されることが好ましい。
【0072】
疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子の塗布量は、感光体の削れる量や帯電における放電生成物の量、あるいは画像形成装置を使用する温度・湿度環境をどこまで許容するかといった条件に応じて調整可能である。トナーに外添する方法をとる場合の各粒子の含有量の目安は、原材料中0.1質量%以上5.0質量%以下である。一方、疎水化処理炭酸カルシウム粒子の塗布供給質量(Wc)とチタン酸ストロンチウム粒子の塗布供給質量(Ws)の割合(Wc/Ws)は、0.5以上4以下が好ましい。塗布量比がこの範囲に収まっていれば、通紙中の画像流れと放置後の画像流れのそれぞれに対する抑制効果がより良好となる。
【0073】
粒子塗布後且つ帯電工程前に、電気導電性部材を像担持体に当接させ、その電気導電性部材に帯電工程で印加する電圧と同極性の電圧を印加することが好ましい。それにより、疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子の帯電極性を調整し、これらの粒子を所望の場所に静電的に引きつけて留めることができるので、帯電部材への粒子付着を抑制することができる。
【0074】
前記電気導電性部材としてはブラシローラやゴムローラ、弾性ブレードが挙げられる。前記電気導電性部材の配置位置は、粒子の塗布よりも後の工程となる位置である。その位置としては、クリーニング装置内が好ましく、クリーニング部材やその補助部材にその役目を与えることが可能である。導電性を有する弾性ブレードを導電性当接部材とすれば、クリーニングブレードと兼用できる上、粒子せき止め力が高いので好ましい。
【0075】
導電性をもたせる方法としては、ポリウレタンエラストマーの弾性ブレードの表面に無電解メッキ等によりニッケル等の金属の薄膜を形成する方法が挙げられる。また、従来のポリウレタンエラストマーにカーボンブラック等の導電性充填材(導電材)を添加してブレードを導電性にする方法もある。導電性充填材としては、カーボンブラックの他に、金属(Cu,Al,Nl,Ag等)、金属酸化物、グラファイト、導電性高分子等を用いても良い。また、イオン伝導剤としてはナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩等のアルカリ金属塩や4級アンモニウム塩、臭化物、亜硝酸塩、硫酸塩、過塩素酸塩等が挙げられる。
【0076】
導電性を有するクリーニングブレードの体積抵抗率は1×10Ω・cm以上、1×1010Ω・cm以下が好ましい。適度な抵抗値であることで抵抗値変動が小さくなり、炭酸カルシウム粒子およびチタン酸ストロンチウム粒子のすり抜けがより安定するので、帯電部材の汚染の量だけでなく、汚染ムラが防止できる。
【0077】
導電ブレードに印加する電圧の絶対値は、ゴムの抵抗値にもよるが50乃至500V程度が好ましく、電圧の極性は帯電部材への印加電圧と同極性にする。
【0078】
本発明で好適に用いられる高耐久性を有する電子写真感光体に記載する。
【0079】
本発明で用いられる電子写真感光体は、主に積層構造を有することが好ましく、支持体の上に電荷発生層、電荷輸送層が順に設け、さらに最表面に保護層を設けた有機感光体が好適に用いられる。また、支持体と電荷発生層の間に、結着層、さらには干渉縞防止などを目的とする下引き層を設けてもよい。
【0080】
そして、高耐久な感光体を得るためには、例えば、下記化学式で示すような同一分子内に2つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合した化合物を含有する保護層を設ければよい。
【0081】
【化1】

【0082】
式中、Aは電荷輸送性基を示す。P及びPは連鎖重合性官能基を示す。PとPは同一でも異なってもよい。Zは置換基を有してもよい有機残基を示す。a、b及びdは0又は1以上の整数を示し、a+b×dは2以上の整数を示す。また、aが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、dが2以上の場合Pは同一でも異なってもよく、またbが2以上の場合、Z及びPは同一でも異なってもよい。
【0083】
前記同一分子内に二つ以上の連鎖重合性官能基を有する電荷輸送性化合物を重合させることで、その保護層中において、電荷輸送能を有する化合物は少なくとも二つ以上の架橋点をもって3次元架橋構造の中に共有結合を介して取り込まれる。前記電荷輸送性化合物はそれのみを重合させる、または他の連鎖重合性基を有する化合物と混合させることのいずれもが可能であり、その種類/比率はすべて任意である。ここでいう他の連鎖重合性基を有する化合物とは、連鎖重合性基を有する単量体またはオリゴマー/ポリマーのいずれもが含まれる。電荷輸送性化合物の官能基とその他の連鎖重合性化合物の官能基が同一の基または互いに重合可能な基である場合には、両者は共有結合を介した共重合3次元架橋構造をとることが可能である。両者の官能基が互いに重合しない官能基である場合には、感光層は少なくとも二つ以上の3次元硬化物の混合物または主成分の3次元硬化物中に他の連鎖重合性化合物単量体またはその硬化物を含んだ物として構成される。
【0084】
保護層には潤滑材としてフッ素原子含有樹脂、フッ化カーボン、ポリオレフィン樹脂からなる群のなかから選ばれた少なくとも一種を含有させることが可能である。保護層には潤滑材の分散剤、分散助剤、その他の各種添加剤、界面活性剤等を含有してもよい。
【0085】
保護層に含有させる潤滑材の割合は、表面層となる層の全質量に対し、1乃至70%が好ましい。本発明において低硬度研磨剤の効果を発現しやすくさせるためにより好ましくは2乃至20%である。
【0086】
前記連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物の硬化物を含有する保護層に、電荷輸送物質を含有させることも可能である。
【0087】
前記保護層の形成方法は、前記電荷輸送性化合物を含有する溶液を塗布後、重合反応をさせるのが一般的である。他に、前もって該電荷輸送性化合物を含む溶液を反応させて硬化物を得た後に、再度溶剤中に分散または溶解させて、保護層を形成することも可能である。これらの溶液を塗布する方法は、例えば、浸漬コーティング法、スプレーコーティング法、カーテンコーティング法およびスピンコーティング法などが知られているが、効率性/生産性の点からは浸漬コーティング法が好ましい。
【0088】
連鎖重合性基を有する電荷輸送性化合物は放射線により重合させることが好ましい。放射線による重合の最大の利点は重合開始剤を必要としない点であり、これにより非常に高純度な三次元感光層の作製が可能となり、良好な電子写真特性が確保される点である。この際使用する放射線とは電子線およびγ線である。
【0089】
なお、本発明にて効果が得られる電子写真感光体としては、上記保護層と積層構造を有する有機感光体に限るものではない。単層有機感光体やアモルファスシリコン感光体等を使用する場合でも、感光体摩耗が少ない条件で画像形成を行って画像流れによる画質劣化が課題となった場合に有効である。
【0090】
現像剤に含有されるトナーは、少なくとも結着樹脂、着色剤、および離型剤を含有するトナー粒子を有するものであり、いずれも公知の材料を用いる事ができる。
さらに、必要に応じて種々の添加剤(荷電制御剤等)をさらに含有してもよい。
【0091】
トナー粒子に、流動性や現像性を制御するための流動化剤として、公知の外添剤を添加することができる。外添剤としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化セリウム等の各種無機酸化微粒子、また必要に応じて疎水化処理した微粒子、ビニル系重合体、ステアリン酸亜鉛、樹脂微粒子等が使用できる。流動性が改良されることで、現像器内での撹拌によるトナー帯電が十分に行われ、カブリやトナー飛散に対して効果的なトナーとなる。外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.02乃至5質量部が好ましい。流動化剤としての外添剤の粒子径は1乃至30nm程度が好ましい。
【0092】
さらに本発明で用いられるトナー粒子には、感光体表面を清掃・研磨するための平均粒径が30乃至300nmの無機微粒子を外添することができる。研磨剤の添加量は、感光体の清掃効果と現像性能への影響という観点で、トナー粒子100質量部に対して0.1乃至2質量部が好ましい。
【0093】
また、外添剤として、トナー粒子に疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸ストロンチウム粒子を添加することもできる。この場合、感光体への粒子供給部材を新規に設ける必要がなく、装置の簡略化・省スペース化がはかれる。
【0094】
本発明において、疎水化処理炭酸カルシウム粒子とチタン酸カルシウム粒子をトナーに外添混合する場合は、その外添量はトナー粒子100質量部に対して、合わせて0.2乃至1.0質量部とするのが好ましい。外添量が0.2質量部未満では、トナーから遊離して感光体の清掃に寄与する粒子量が急激に少なくなり、一方、1.0質量部を超えると、現像装置内での蓄積が大きくなり、現像性への影響が大きくなりやすい。
【0095】
外添剤を外添処理する方法としては、分級されたトナー粒子と外添剤とを所定量配合し、ヘンシェルミキサー、スーパーミキサー等の粉体にせん断力を与える高速撹拌機を外添機として用いて、撹拌・混合する方法が挙げられる。
【0096】
本発明においては、現像剤は、トナーのみからなる(キャリアを含まない)一成分系現像剤であっても良く、トナーと磁性キャリアとからなる二成分系現像剤であっても良い。
【0097】
上記磁性キャリアとしては、例えば表面酸化又は未酸化の鉄、リチウム、カルシウム、マグネシウム、ニッケル、銅、亜鉛、コバルト、マンガン、クロム、希土類の如き金属粒子、それらの合金粒子、酸化物粒子及びフェライト等が使用できる。
【0098】
上記磁性キャリア粒子表面を樹脂で被覆した被覆キャリアは、現像スリーブに交流バイアスを印加する現像法において特に好ましく使用できる。被覆方法としては、樹脂の如き被覆材を溶剤中に溶解もしくは懸濁せしめて調製した塗布液を磁性キャリアコア粒子表面に付着せしめる方法、磁性キャリアコア粒子と被覆材とを粉体で混合する方法等、従来公知の方法が適用できる。
【0099】
本発明のトナーと磁性キャリアとを混合して二成分系現像剤を調製する場合、その混合比率は二成分系現像剤中のトナー濃度として、2乃至15質量%、好ましくは4乃至13質量%にすると通常良好な結果が得られる。
【0100】
次に、本発明のトナーを製造する方法について説明する。
【0101】
結着樹脂、着色剤、離型剤及び任意の材料を溶融混練し、これを冷却して粗粉砕し、気流式または機械式粉砕機で微粉砕する。その後、後述する機械式粉砕機と後述する分級及び表面改質処理を同時に行うことができる表面改質装置で分級と表面改質処理し、トナー粒子を得、更に、外添剤を混合することによって、トナーが得られる。
【実施例】
【0102】
<トナー粒子製造例>
・ポリエステル樹脂 100質量部
・C.I.ピグメントブルー15:3 5質量部
・ノルマルパラフィンワックス(最大吸熱ピーク:70℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物(荷電制御剤) 1質量部
【0103】
上記材料をヘンシェルミキサーにより十分予備混合し、二軸押出し混練機で任意のバレル温度にて溶融混練した。冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕し、第一段階として機械式粉砕方式による微粉砕機で一時間あたり50kgの処理スピードで10μm以下の粒径に微粉砕した。さらに、第二段階として、微粉砕物を、ライナー・ローター間の距離を、ローター長手方向に4等分し、粉砕物が投入される方向から0.1倍ずつ段階的に狭めた機械式粉砕機より粉砕し、一時間あたり50kgの処理スピードで機械式粉砕機により処理した。このとき、冷風温度を制御し、排温を43℃とした。
【0104】
続いて、得られた微粉砕物を分級と機械式衝撃力を用いる表面改質処理を同時に行う装置にて分級および球形化してトナー粒子を得た。得られたトナー粒子は、粒度分布における重量平均粒径が5.8μm、フロー式粒子像測定装置における円相当径2μm以上の粒子の平均円形度が0.959であった。
【0105】
<炭酸カルシウム粒子>
本実施例で使用する炭酸カルシウムは水酸化カルシウムと炭酸ガスを反応させて製造した合成炭酸カルシウムである。以下、その製造方法を示す。
【0106】
エタノール濃度が50%のエタノール/水混合液200mlを−20乃至10℃に冷やし、そこにCa(OH)を160g加えた。得られたスラリー状の液体を強撹拌しながら、容器下部から、炭酸ガス濃度30%の炭酸ガス/窒素の混合ガスを500乃至5000ml/minの流速で導入し、pHが低下し始めるまで反応させた。このとき反応温度および炭酸ガスの導入速度を調節して、20乃至350nmの範囲内で粒径の異なる合成炭酸カルシウムを含むスラリーを6種類得た。さらに、それぞれの分散液を低温状態のままろ過し、純水で十分に洗浄してから乾燥させ、合成炭酸カルシウムを得た。
【0107】
得られた合成炭酸カルシウムに、70℃に調整した水を固形分10質量%となるように加え、攪拌型分散機を用いてスラリーとした。この合成炭酸カルシウムのスラリー1kgを分散機により攪拌させながら、鹸化したステアリン酸0.2乃至4gを添加し、1乃至30分間攪拌した後、プレス脱水した。このとき、脂肪酸添加量及び攪拌時間をふって脂肪酸処理量および脂肪酸処理分布の異なる疎水化炭酸カルシウムのスラリーとした。得られた脱水ケーキを乾燥後、粉末化することにより、脂肪酸で疎水化表面処理された炭酸カルシウム約100gが得られた。
【0108】
さらに、不定形状でかつ80nmの炭酸カルシウムを別途、用意し、これをスラリーとした後、上記と同様にステアリン酸による疎水化表面処理を施した炭酸カルシウム粒子c−24も作製した。
得られた疎水化処理炭酸カルシウム粒子を表1に示す。
【0109】
【表1】

【0110】
<チタン酸ストロンチウム粒子>
硫酸チタニル水溶液を加水分解して得られた含水酸化チタンスラリーをアルカリ水溶液で洗浄した。次に、該含水酸化チタンのスラリーに塩酸を添加して、pHを0.65に調整してチタニアゾル分散液を得た。該チタニアゾル分散液にNaOHを添加し、分散液のpHを4.5に調整し上澄み液の電気伝導度が70μS/cmになるまで洗浄をくり返した。該含水酸化チタンに対し、0.97倍モル量のSr(OH)・8HOを加えてSUS製反応容器に入れ、窒素ガス置換した。さらにSrTiO換算で0.1mol/リットル以上2.0mol/リットル以下になるように蒸留水を加えた。窒素雰囲気中で該スラリーを83℃まで1乃至25℃/時間で昇温し、83℃に到達してから3乃至7時間反応を行った。反応後室温まで冷却し、上澄み液を除去した後純水で洗浄をくり返した。上記スラリーの昇温速度および反応時間を変化させて、平均粒径の異なる種々のチタン酸ストロンチウムのスラリーを得た。さらに窒素雰囲気下、上記スラリーをスラリーの固形分に対して3乃至15質量%のステアリン酸ナトリウムを溶解した水溶液中に入れ、撹拌しながら、硫酸亜鉛水溶液を滴下して、チタン酸ストロンチウムの表面にステアリン酸亜鉛を析出させた。ステアリン酸ナトリウム水溶液濃度および硫酸亜鉛水溶液滴下速度を調整し、疎水化度および疎水化度分布の異なる疎水化表面処理チタン酸ストロンチウムのスラリーを得た。該スラリーを純水でくり返し洗浄した後ヌッチェで濾過し、得られたケーキを乾燥してステアリン酸亜鉛で表面処理したチタン酸ストロンチウムを得た。
【0111】
また、以下のようにして、焼結工程を経由して製造したチタン酸ストロンチウム粒子を別途、用意した。
【0112】
チタニアゾルとSr(OH)を反応させて得たチタン酸ストロンチウムを1000℃で焼結させた後に、1次平均粒径が120nmになるまで解砕して、スラリーとし、上記と同様にステアリン酸亜鉛による疎水化表面処理を施したチタン酸ストロンチウム粒子s−16も作製した。
得られた疎水化処理チタン酸ストロンチウム粒子を表2に示す。
【0113】
【表2】

【0114】
<トナー調製例>
上記トナー粒子100質量部に対して、疎水性シリカ(シリカ母体100部にジメチルシリコーンオイル20部で表面処理したもの、BET=220m/g)1.5質量部、炭酸カルシウム粒子c−1乃至c−16と、チタン酸ストロンチウム粒子s−1乃至s−16の中から1種類ずつ選んだ2つの粒子をヘンシェルミキサーFM10B(三井三池化工機社製)にて、回転数:66s−1、時間:2分の条件で外添してトナー1乃至46を得た。また、比較のためにチタン酸ストロンチウムのかわりに100nmのルチル型酸化チタン粒子t(疎水化度84、疎水化度分布幅2)を外添したトナー47も作製した。
得られたトナーの外添処方を表3に示す。
【0115】
【表3】

【0116】
<キヤリア製造例>
本実施例および比較例ではトナーとキャリアによる2成分現像を行うため、樹脂コートフェライトキャリアを以下の方法にて作製した。
熱硬化性樹脂:熱硬化性フェノール樹脂(硬化温度:120℃)
熱可塑性樹脂:フェノールノボラック樹脂(軟化点:160℃)
上記2種類の熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂を固形分としてそれぞれ30質量部と70質量部の割合で混合した後、メチルセロソルブ溶液で希釈して10質量%の被覆樹脂溶液を作製した。この被覆樹脂溶液を流動床コーティング装置を用いて球形フェライト粒子(平均粒径40μm、飽和磁化20Am/kg)1.5kgにスプレー塗布した。このとき、流動化ベッド室への送風温度を40℃に設定し、また、このときの撹拌羽根の回転速度は450rpmであり、スプレー条件はスプレーノズルヘの空気圧が3.4kg/cm(333kPa)、であり、流量が48l/min、被覆樹脂溶液の供給速度8.0ml/minで行った。スプレー終了後、得られたキャリアを流動化ベッド室中で温度140℃で20分間保持して熱硬化性樹脂を硬化させ、樹脂被覆キャリアを得た。
【0117】
<感光体製造例>
直径60mmのアルミニウムシリンダーを支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
【0118】
次に、電荷発生材料としてCuKαのX線回折における回折角2θ±0.2が28.1°に最も強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶3質量部とポリビニルブチラール2質量部をシクロヘキサノン100質量部に添加し、直径1mmのガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これにメチルエチルケトン100部を加えて希釈して電荷発生層用塗料を調製した。上記下引き層上に、この電荷発生層用塗料を浸漬塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
【0119】
【化2】

【0120】
次いで、下記式の電荷輸送材料化合物7質量部及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)10質量部を、モノクロロベンゼン105質量部よびジクロロメタン35質量部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が13μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層の上にこのさらに保護層を形成させた。
【0121】
本実施例では反転現像を用いており、感光体は直径60mmのアルミシリンダー上に前述したように3層を重ねた後、表面保護層として下記化学式の電荷輸送性化合物を電子線照射により重合させた化合物を含有する表層を塗工し硬化させた有機感光体である。
【0122】
【化3】

【0123】
この電荷輸送性化合物45質量部をn−プロピルアルコール55質量部に溶解し、さらにテトラフルオロエチレン微粒子(PTFE)を5質量部添加して、高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散させた表面保護層用塗料を調製した。この塗料を前記感光体上に塗布したのち、加速電圧150kV、線量100kGyの条件で電子線を照射し、膜厚4μmの保護層を形成し、電子写真感光体を得た。
【0124】
<クリーニング装置>
ウレタンゴムにカーボン微粒子(0.1μm)1乃至7質量%と酸化亜鉛微粒子(0.1μm)1質量%とを分散し、金型中で回転させながら成形して作製した厚さ2mmのウレタンゴムシートを作製した。このゴムシートをSUS板金に貼り付けて、クリーニングブレードとし、カートリッジにセットした。
【0125】
さらに、図4のクリーニング装置に示すように、クリーニングブレード402を貼り付けた板金403に電源405を接続し、帯電印加電圧と同極の直流電圧を印加した。
【0126】
作製したクリーニングブレードの体積抵抗率および電圧印加有無によるクリーニング設定条件を表4に示す。
【0127】
【表4】

【0128】
〔実施例1〕
キヤノン製複写機iRC3580にて以下の条件で画像出力評価を行った。感光体および磁性キャリアは上記したものを用いた。帯電ローラにはDCバイアスにACバイアスを重畳したバイアスを印加し、放電電流が100μAとなるようにACバイアスのVppを設定した。また、本実施例ではシアンステーションを使用した。製造したキャリアにトナー1を混合した現像剤を用い、クリーニングは設定3とした。
【0129】
なお、感光体表面に供給された炭酸カルシウムとチタン酸ストロンチウムの供給量比について測定したが、外添時の比率が保たれていた。
評価は以下の評価基準で行った。
【0130】
<画像形成中画像流れ>
評価環境は30℃90%RHである。1ドット2スペース横罫線画像を1枚間欠で1万枚出力し、初期から1000枚の間における画像の罫線の細り具合を、23℃5%RH環境で出力した同様の画像と比較して画像形成中に起こる画像流れを評価した。
A:罫線幅の細り5%未満(見た目画質良好)
B:罫線幅の細り5%以上10%未満(見た目画質良好)
C:罫線幅の細り10%以上30%未満(見た目画質ほぼ良好)
D:罫線幅の細り30%以上50%未満(見た目画質少し悪目だが許容レベル)
E:罫線幅の細り50%以上(画質が一目見て悪いレベル)
【0131】
<長期放置画像流れ>
評価環境は30℃85%RHである。画像比率4%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませて、1枚間欠で1万枚出力を行った。その直後、1ドット2スペース横罫線画像を出力し、評価機を2週間放置した。2週間放置後に、1ドット2スペース横罫線画像を出力し、放置直前の画像と比較して評価した。
A:罫線幅の細り5%未満(罫線の細りを認識できない)
B:罫線幅の細り5%以上10%未満(見た目画質良好)
C:罫線幅の細り10%以上30%未満(見た目画質ほぼ良好)
D:罫線幅の細り30%以上50%未満(見た目画質少し悪目だが許容レベル)
E:罫線幅の細り50%以上(画質が一目見て悪いレベル)
【0132】
<帯電部材下の画像流れ>
評価環境は30℃85%RHである。画像比率4%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませ、1枚間欠で1万枚複写した後、2週間放置した。その後、デジタルハーフトーンハイライト画像をプリントアウトし、放置時に帯電ローラと感光体が接触している部分およびその近傍に対応する位置の画像濃度の低下(ドット面積低下率)を評価した。
A:ドット面積低下率10%未満(濃度薄を認識できない)
B:ドット面積低下率10%以上20%未満(わずかに濃度薄があるが、わかりにくい)
C:ドット面積低下率20%以上40%未満(少し濃度薄がわかる程度)
D:ドット面積低下率40%以上70%未満(濃度薄がわかるが気にならない程度)
E:ドット面積低下率70%以上(濃度薄がよくわかり、見た目悪い)
【0133】
<スジ状画像流れ>
評価環境は30℃85%RHである。画像比率4%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませ、1枚間欠で1万枚複写した後、2週間放置した。その後、デジタルハーフトーンハイライト画像をプリントアウトし、感光体の微小なキズ部分に対応する位置の濃度低下(ドット面積低下率)を評価した。
A:ドット面積低下率10%未満(スジ状画像流れを認識できない)
B:ドット面積低下率10%以上20%未満(わずかにスジ状の画像流れがあるが、わかりにくい)
C:ドット面積低下率20%以上40%未満(少しスジ状の画像流れがわかる程度)
D:ドット面積低下率40%以上70%未満(スジ状の画像流れがわかるが気にならない程度)
E:ドット面積低下率70%以上(スジ状の画像流れがよくわかり、見た目悪い)
【0134】
<クリーニング>
高温高湿環境下(30℃85%RH)で、画像比率0.5%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませ、1枚間欠で2000枚プリントアウトを行った。その後、本体から感光体ユニットを外して、空回転機に設置し、感光体駆動停止時のビビリ振動鳴きの音量を測定した。
A:鳴きは聞こえない(5dB未満)
B:鳴きがわずかに聞こえるがわかりにくいレベル(5乃至20dB)
C:鳴きが聞こえるが、気にならないレベル(21乃至40dB)
D:鳴きがよく聞こえる(41dB以上)
【0135】
<帯電部材汚染(電位低下)>
画像形成パターンは画像比率4%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませ、30℃85%RHの環境下で画像出力し、1枚間欠で1万枚複写した。その後、23.5℃5%RHの環境下で感光体表面電位の測定を行った。また、無機粒子を外添していないトナーを用いて、同条件での複写を行い、同様にして感光体表面電位を測定した。両者の感光体表面電位の差の絶対値を用いて、帯電ローラ汚染について評価した。
A:電位低下2V未満
B:電位低下2V以上5V未満
C:電位低下5V以上10V未満
D:電位低下10V以上
【0136】
<帯電部材汚染(電位ムラ)>
画像形成パターンは画像比率4%の横罫線チャート(A4)をスキャナに読み込ませ、30℃85%RHの環境下で、1枚間欠で1万枚複写した。その後、23.5℃5%RHの環境下で反射濃度0.60のハーフトーン画像出力を行い、得られた画像の反射濃度を帯電ローラ長手方向に走査する形で多点測定して、多点間の濃度差を求めることで、帯電ローラ汚染ムラ起因を評価した。
A:反射濃度差0.05未満(ハーフトーン濃度ムラはほとんど見えない)
B:反射濃度差0.05以上0.10未満(ハーフトーン濃度ムラは僅かに見えるがわかりにくいレベル)
C:反射濃度差0.10以上0.15未満(ハーフトーン濃度ムラが見えるが気にならないレベル)
D:反射濃度差0.15以上(ハーフトーン濃度ムラがよく見える)
【0137】
〔実施例2〜45、比較例1〜6〕
実施例1と同じ評価を、トナー1〜47、クリーニング設定1〜6の組み合わせを変えて行った。トナーとクリーニング設定の組合せパターンを表5に示す。
【0138】
〔実施例46〕
トナーに炭酸カルシウムとチタン酸ストロンチウムを外添するかわりに、炭酸カルシウムc−3とチタン酸ストロンチウムs−4をそれぞれ1:2の質量比で混合した粉体をクリーニング補助ブラシに供給し、補助ブラシを介して感光体表面に供給する構成とし、実施例1と同様に評価を行った。供給量は、トナーに外添して供給した際に、クリーニングブレードに到達する量とほぼ同じになるように調整した(A4横画像出力1000枚あたり0.4乃至2.0g)。
以上の実施例1乃至46および比較例1乃至6の評価結果を表6および表7に示す。
【0139】
【表5】

【0140】
【表6】

【0141】
【表7】

【符号の説明】
【0142】
101 感光体
102 帯電ローラ
103 露光手段
104 現像器
105 転写帯電器
106 定着装置
107 クリーニング装置
401 感光体
402 クリーニングゴムブレード
403 クリーニングブレード板金
404 クリーニング補助ブラシローラ
405 直流電圧電源

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放電を伴い像担持体の表面を帯電する帯電工程、該像担持体の表面に静電潜像を形成する露光工程、該静電潜像を現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程、該トナー像を中間転写体を介して或いは介さずに転写材に転写する転写工程、転写材上の未定着画像を定着する定着工程を有する画像形成方法であって、
個数平均粒径が30乃至300nmの疎水化処理炭酸カルシウム粒子と個数平均粒径が30乃至300nmのチタン酸ストロンチウム粒子とが、該像担持体表面に塗付されることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
メタノール疎水化度測定における該疎水化処理炭酸カルシウム粒子の光透過率低下開始点のメタノール濃度(体積%)をAc、該チタン酸ストロンチウム粒子の光透過率低下開始点のメタノール濃度(体積%)をAs、該疎水化処理炭酸カルシウム粒子の光透過率低下終了点のメタノール濃度(体積%)をBc、該チタン酸ストロンチウム粒子の光透過率低下終了点のメタノール濃度(体積%)をBsとしたとき、
50≦(Ac+Bc)/2≦80
80≦(As+Bs)/2≦95
5≦Bc−Ac≦20
1≦Bs−As≦5
を満足することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
【請求項3】
像担持体への疎水化処理炭酸カルシウム粒子の塗布供給質量(Wc)とチタン酸ストロンチウム粒子の塗布供給質量(Ws)が、
0.5≦Wc/Ws≦4
を満足することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
該疎水化処理炭酸カルシウム粒子の個数平均粒径(Dc)と該チタン酸ストロンチウム粒子の個数平均粒径(Ds)とが、
0.4≦Ds/Dc≦2.5
を満足することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項5】
該疎水化処理炭酸カルシウム粒子の粒子形状と該チタン酸ストロンチウム粒子の粒子形状とが、6面体状であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項6】
該疎水化処理炭酸カルシウム粒子と該チタン酸ストロンチウム粒子が、トナー粒子表面に添加されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項7】
該疎水化処理炭酸カルシウム粒子と該チタン酸ストロンチウム粒子が塗布された後且つ該帯電工程前に、帯電工程で帯電部材に印加した電圧と同極性の電圧を印加した電気導電性部材を像担持体に当接させて、該疎水化処理炭酸カルシウム粒子と該チタン酸ストロンチウム粒子の帯電極性を調整する工程を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像形成方法。
【請求項8】
該電気導電性部材が、導電材を分散させたウレタンゴムを主成分とする弾性ブレードであり、体積抵抗率が1×10Ω・cm以上1×1010Ω・cm以下であることを特徴とする請求項7に記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−32808(P2012−32808A)
【公開日】平成24年2月16日(2012.2.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−146191(P2011−146191)
【出願日】平成23年6月30日(2011.6.30)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】