説明

画像形成方法

【課題】湿式定着方式において、定着液の供給量の低量化が図られ、定着速度の高速化が図られながらも、形成される画像に高い定着強度が得られる画像形成方法の提供。
【解決手段】静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、前記静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、前記画像支持体に転写されたトナー像に、トナーの少なくとも一部を軟化する定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において、定着液は、水、軟化剤および定着助剤を含有するものであり、前記軟化剤は、炭酸エステルまたは脂肪族カルボン酸エステルを含有するものであり、前記定着助剤が、第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなるものであることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子写真法における湿式定着方式による画像形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真法の画像形成方法において、トナーの画像支持体への定着方法としては、加熱加圧ローラなどによる加熱定着方式が採用されている。
【0003】
しかしながら、この加熱定着方式による定着方法はトナーを変形させることにより画像支持体に固着させて定着させるものであるために、多大なエネルギーを必要とし、省エネルギーの観点からは好ましくない。
【0004】
省エネルギー化が図られた定着方法として、定着液を用いることによりトナーを軟化させて画像支持体に定着させる湿式定着方式が提案されている(例えば特許文献1〜3参照。)。
【0005】
このような湿式定着方式による画像形成方法においては、例えば、形成される画像に高い定着強度を付与するために、画像支持体に転写が転写されたトナー像に対して多量の定着液を供給することが考えられる。しかしながら、多量の定着液が供給されると、トナー像を構成するトナー粒子が乱れることにより画像品質が劣化するという問題や、定着液の乾燥に要する時間が長くなり良好な定着応答性が得られないという問題がある。また、過剰の定着液が定着後に残存することにより、形成される画像にタック感(粘着感)が生じるという問題がある。
【0006】
また、定着液が、水に不溶または難溶の有機化合物が水中に分散された水中油滴型のものである場合においては、このような定着液が多量に供給されると、紙などの画像支持体が定着液の水分を吸収することにより、画像支持体にシワやカールが生じ、画像形成装置内での画像支持体の搬送性が低下するという問題がある。
【0007】
定着応答性に関しては、トナーの軟化速度が遅い場合においても、定着に要する時間が長くなることとなり、画像形成装置の画像処理速度を遅らせる必要が生じ、画像形成装置が本来有する画像処理能力を発揮させることができなくなる。特に、カラー画像を形成する場合においては、色の異なるトナー像を幾層にも重ねて画像を形成するため、トナーの軟化速度を速くすることが望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2011−123220号公報
【特許文献2】特開2009−180774号公報
【特許文献3】特開2011−075983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、以上のような事情に基づいてなされたものであって、湿式定着方式において、定着液の供給量の低量化が図られながらも、形成される画像に高い定着強度が得られる画像形成方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の画像形成方法においては、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー像に、トナーの少なくとも一部を軟化する定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において、
前記定着液は、水、軟化剤および定着助剤を含有するものであり、
前記軟化剤は、炭酸エステルまたは脂肪族カルボン酸エステルを含有するものであり、
前記定着助剤が、第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなるものであることを特徴とする。
【0011】
本発明の画像形成方法においては、前記定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物が、下記一般式(1)で表わされる化合物であることが好ましい。
一般式(1):R1 2 3 4 + -
〔一般式(1)中、R1 は、炭素数10〜39の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 〜R4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜24の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基、若しくは芳香環を示す。X- は、対イオンを示す。〕
【0012】
本発明の画像形成方法においては、前記定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物が、前記定着液中0.1〜10質量%の割合で含有されることが好ましい。
【0013】
本発明の画像形成方法においては、前記トナーが、負帯電性のものであることが好ましい。
【0014】
本発明の画像形成方法においては、前記トナーが、粒径が体積基準のメディアン径で3.5〜7.0μmのものであることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明の画像形成方法によれば、定着液が第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなる定着助剤を含有するものであることにより、定着液の供給量の低量化が図られながらも、形成される画像に高い定着強度が得られる。
【0016】
本発明においては、定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物の窒素原子に係るプラス電荷と、トナーを構成する結着樹脂に係るマイナス電荷とによる静電的な親和により、また、軟化剤を構成する炭酸エステルまたは脂肪族カルボン酸エステルに係るエステル部と、定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオン炭化水素化合物の炭化水素部位に係る疎水性部との親和により、トナーの軟化が促進され、これにより、定着液の供給量の低量であっても、形成される画像に高い定着強度が得られると考えられる。また、トナーの軟化速度が速くなることから、定着時間の短縮化を図ることができ、良好な定着応答性が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成の一例を示す説明用断面図である。
【図2】本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段および圧力付与手段の構成の一例を示す説明用断面図である。
【図3】本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成の他の例を示す説明用断面図である。
【図4】本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
【図5】本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
【図6】本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0019】
〔画像形成方法〕
本発明の画像形成方法は、少なくとも、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、画像支持体に転写されたトナー像に、トナーの少なくとも一部を軟化する定着液を供給する定着液供給工程とを有し、この定着液供給工程において、画像支持体上に転写されたトナー像が当該画像支持体に定着されることにより、画像を形成する方法である。
【0020】
〔静電潜像形成工程〕
静電潜像形成工程は、静電潜像担持体上に静電潜像を形成する工程である。
静電潜像担持体としては、特に限定されるものではないが、例えばアモルファスシリコン、セレンなどの無機感光体、または、ポリシラン、フタロポリメチンなどの有機感光体よりなるドラム状のものが挙げられる。
静電潜像の形成は、例えば、静電潜像担持体の表面を帯電手段により一様に帯電させ、露光手段により静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行われる。
帯電手段および露光手段としては、特に限定されず、電子写真方式において一般的に使用されているものを用いることができる。
【0021】
〔現像工程〕
現像工程は、静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する工程である。
トナー像の形成は、結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤を用いて、例えば、トナーを摩擦撹拌させて帯電させる撹拌器と、回転可能なマグネットローラとよりなる現像手段を用いて行われる。具体的には、現像手段においては、例えば、トナーとキャリアとが混合撹拌され、その際の摩擦によりトナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に保持され、磁気ブラシが形成される。マグネットローラは、静電潜像担持体近傍に配置されているため、マグネットローラの表面に形成された磁気ブラシを構成するトナーの一部は、電気的な吸引力によって静電潜像担持体の表面に移動する。その結果、静電潜像がトナーにより現像されて静電潜像担持体の表面にトナー像が形成される。
【0022】
<トナー>
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、少なくとも結着樹脂を含有するトナー粒子よりなるものである。トナー粒子には、必要に応じて、着色剤、離型剤、磁性粉および荷電制御剤などの内添剤が含有されていてもよく、また当該トナー粒子に対して、流動化剤などの外添剤が外部添加されていてもよい。
【0023】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、負帯電性のものであることが好ましい。
トナーが負帯電性であることにより、定着液に含有される定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物との親和性が得られ、形成される画像に高い定着強度が得られる。
【0024】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、粒径が体積基準のメディアン径で3.5〜7.0μmであることが好ましく、より好ましくは5.0〜6.5μmである。
トナーの体積基準のメディアン径が上記範囲内にあることにより、トナーの比表面積が十分に確保され、従って、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されることから、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができ、これにより、形成される画像において十分な定着強度を得ることができる。
トナーの体積基準のメディアン径が3.5μm未満である場合においては、形成される画像ががさついたものとなるおそれがある。一方、トナーの体積基準のメディアン径が7.0μmを超える場合においては、トナーの比表面積が小さく、後述する定着液供給工程において、定着液との接触面積が十分に確保されず、トナー像を画像支持体に確実に定着させることができなくなるおそれがある。
【0025】
本発明において、トナーの体積基準のメディアン径は、「コールターマルチサイザー3」(ベックマン・コールター社製)に、データ処理用ソフト「Software V3.51」を搭載したコンピューターシステムを接続した測定装置を用いて測定・算出される。
具体的には、試料(トナー)0.02gを、界面活性剤溶液20mL(トナー粒子の分散を目的として、例えば界面活性剤成分を含む中性洗剤を純水で10倍希釈した界面活性剤溶液)に添加して馴染ませた後、超音波分散を1分間行い、分散液を調製し、この分散液を、サンプルスタンド内の「ISOTONII」(ベックマン・コールター社製)の入ったビーカーに、測定装置の表示濃度が8%になるまでピペットにて注入する。ここで、この濃度範囲にすることにより、再現性のある測定値を得ることができる。そして、測定装置において、測定粒子カウント数を25000個、アパーチャ径を50μmにし、測定範囲である1〜30μmの範囲を256分割しての頻度値を算出し、体積積算分率の大きい方から50%の粒径が体積基準のメディアン径とされる。
【0026】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、平均円形度が、転写効率の向上の観点から、0.930〜1.000であることが好ましく、より好ましくは0.950〜0.995である。
【0027】
本発明において、トナーの平均円形度は、「FPIA−2100」(Sysmex社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)を界面活性剤含有水溶液にてなじませ、超音波分散処理を1分間行って分散させた後、「FPIA−2100」(Sysmex社製)により、測定条件HPF(高倍率撮像)モードにて、HPF検出数3,000〜10,000個の適正濃度で撮影を行い、個々のトナー粒子について下記式(T)に従って円形度を算出し、各トナー粒子の円形度を加算し、全トナー粒子数で除することにより算出される。
式(T):円形度=(粒子像と同じ投影面積をもつ円の周囲長)/(粒子役影像の周囲長)
【0028】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、ガラス転移点が、耐熱保管性および耐ブロッキング性の観点から、30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは35〜50℃である。
【0029】
本発明において、トナーのガラス転移点は、示差走査カロリメーター「DSC8500」(パーキンエルマー社製)を用いて測定される。
具体的には、試料(トナー)4.5mgを小数点以下2桁まで精秤し、アルミニウム製パンに封入して、DSC−7サンプルホルダーにセットする。リファレンスは、空のアルミニウム製パンを使用し、測定温度0〜200℃、昇温速度10℃/分、降温速度10℃/分にて、Heat−Cool−Heatの温度制御を行い、その2nd.Heatにおけるデータを基に解析を行う。第1の吸熱ピークの立ち上がり前のベースラインの延長線と、第1の吸熱ピークの立ち上がり部分からピーク頂点までの間における最大傾斜を示す接線との交点の値をガラス転移点とする。
【0030】
本発明の画像形成方法に用いられるトナーは、軟化点が、定着強度の観点から、90〜120℃であることが好ましく、より好ましくは100〜115℃である。
【0031】
本発明において、トナーの軟化点は以下のようにして測定される。
すなわち、温度20±1℃、湿度50±5%RHの環境下において、試料(トナー)1.1gをシャーレに入れ平らにならし、12時間以上放置した後、成型器「SSP−10A」(島津製作所製)によって3820kg/cm2 の力で30秒間加圧し、直径1cmの円柱型の成型サンプルを作成し、次いで、この成型サンプルを、温度24±5℃、湿度50±20%RHの環境下において、フローテスター「CFT−500D」(島津製作所製)により、荷重196N(20kgf)、開始温度60℃、予熱時間300秒間、昇温速度6℃/分の条件で、円柱型ダイの穴(1mm径×1mm)より、直径1cmのピストンを用いて予熱終了時から押し出し、昇温法の溶融温度測定方法でオフセット値5mmの設定で測定したオフセット温度Toffsetを軟化点として、測定されるものである。
【0032】
(結着樹脂)
本発明に係るトナー粒子に含有される結着樹脂としては、例えば、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル・ポリオール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂などの公知の種々の樹脂が挙げられる。これらの中でも、定着性の観点から、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、ポリエステル樹脂が好ましい。
【0033】
結着樹脂として、スチレン樹脂、(メタ)アクリル樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂を用いる場合においては、結着樹脂を形成すべき重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、α−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレンなどのスチレンまたはスチレン誘導体;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸イソプロピル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸n−オクチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸ラウリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、などのメタクリル酸エステル誘導体;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸イソプロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸n−オクチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸ラウリル、アクリル酸フェニルなどのアクリル酸エステル誘導体;エチレン、プロピレン、イソブチレンなどのオレフィン類;フッ化ビニル、フッ化ビニリデンなどのフッ化ビニル類;プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルなどのビニルエステル類;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテルなどのビニルエーテル類;ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルヘキシルケトンなどのビニルケトン類;N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンなどのN−ビニル化合物類;ビニルナフタレン、ビニルピリジンなどのビニル化合物類;アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドなどのアクリル酸またはメタクリル酸誘導体などのビニル系モノマーが挙げられる。これらの重合性モノマーは、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0034】
また、結着樹脂を形成すべき重合性モノマーとして、上記の重合性モノマーにイオン性解離基を有するものを組み合わせて用いることが好ましい。イオン性解離基を有する重合性単量体は、例えばカルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基などの置換基を構成基として有するものであって、具体的には、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、イタコン酸、ケイ皮酸、フマル酸、マレイン酸モノアルキルエステル、イタコン酸モノアルキルエステル、スチレンスルホン酸、アリルスルフォコハク酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アシッドホスホオキシエチルメタクリレート、3−クロロ−2−アシッドホスホオキシプロピルメタクリレートなどが挙げられる。
さらに、重合性モノマーとして、ジビニルベンゼン、エチレングリコールジメタクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレートなどの多官能性ビニル類を用いて架橋構造の結着樹脂を得ることもできる。
【0035】
結着樹脂としてポリエステル樹脂を用いる場合においては、ポリエステル樹脂は、公知の多価アルコールと、公知の多価カルボン酸とにより得ることができる。
多価アルコールとしては、非ラジカル重合性のものであれば特に限定されず、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−ドデカンジオール、1,11−ウンデカンジオール、1,12−ドデカンジオール、1,13−トリデカンジオール、1,14−テトラデカンジオール、1,18−オクタデカンジオール、1,20−エイコサンジオールなどの脂肪族ジオール;ビスフェノールA、ビスフェノールFなどのビスフェノール類;およびこれらのエチレンオキサイド付加物、プロピレンオキサイド付加物などのビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。また、3価以上の多価アルコールとしては、例えば、グリセリン、ペンタエリスリトール、トリメチロールプロパン、ソルビトールなどが挙げられる。不飽和基を有する多価アルコールとしては、例えば、2−ブテン−1,4−ジオール、3−ブテン−1,6−ジオール、4−ブテンー1,8−ジオール、9−オクタデゼン−7,12ジオールなどの不飽和二重結合を有するもの;2−ブチン−1,4−ジオール、3−ブチン−1,4−ジオールなどの不飽和三重結合を有するものなどが挙げられる。これらの多価アルコールは、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
多価カルボン酸としては、非ラジカル重合性のものであれば特に限定されず、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼリン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,11−ウンデカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,13−トリデカンジカルボン酸、1,14−テトラデカンジカルボン酸、1,16−ヘキサデカンジカルボン酸、1,18−オクタデカンジカルボン酸などの脂肪族カルボン酸;これら脂肪族カルボン酸の低級アルキルエステルや酸無水物;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、オルトフタル酸、t−ブチルイソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ビフェニルジカルボン酸などの芳香族カルボン酸;トリメット酸、ピロメリット酸などの3価以上の多価カルボン酸などが挙げられる。不飽和基を有する多価カルボン酸としては、例えば、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、シトラコン酸、グルタコン酸、イソドデセニルコハク酸、n−ドデセニルコハク酸、n−オクテニルコハク酸などの不飽和脂肪族カルボン酸;およびこれらの酸無水物または酸塩化物;コーヒー酸などの不飽和芳香族カルボン酸などが挙げられる。これらの多価カルボン酸は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0036】
ポリエステル樹脂は、例えば上記多価アルコールと上記多価カルボン酸とを不活性ガス雰囲気中において、120〜250℃の温度で縮重合することにより製造することができる。縮重合の際においては、必要に応じて公知のエステル化触媒を用いてもよい。
【0037】
結着樹脂は、ガラス転移点が30〜70℃であることが好ましく、より好ましくは35〜45℃である。
結着樹脂のガラス転移点が30℃未満である場合においては、耐熱保管性が得られないおそれがある。
【0038】
本発明において、結着樹脂のガラス転移点は、上述したトナーのガラス転移点を測定する方法において試料を結着樹脂とすることの他は同様にして測定される。
【0039】
結着樹脂は、重量平均分子量が3,000〜100,000であることが好ましく、より好ましくは5,000〜50,000である。
結着樹脂の重量平均分子量が3,000未満である場合においては、トナー粒子の強度が低下したものとなり、トナー飛散の原因となる。一方、結着樹脂の重量平均分子量が100,000を超える場合においては、形成される画像において高い定着強度が得られないおそれがある。
【0040】
本発明において、結着樹脂の重量平均分子量の測定は、GPCにより測定される。
具体的には、装置「HLC−8220」(東ソー社製)およびカラム「TSKguardcolumn+TSKgelSuperHZM−M3連」(東ソー社製)を用い、カラム温度を40℃に保持しながら、キャリア溶媒としてテトラヒドロフラン(THF)を流速0.2mL/分で流し、試料(結着樹脂)を室温において超音波分散機を用いて5分間処理を行う溶解条件で濃度1mg/mLになるようにTHFに溶解させ、次いで、ポアサイズ0.2μmのメンブランフィルターで処理して試料溶液を得、この試料溶液10μLを上記のキャリア溶媒と共に装置内に注入し、屈折率検出器(RI検出器)を用いて検出し、試料の有する分子量分布を単分散のポリスチレン標準粒子を用いて測定した検量線を用いて算出される。検量線測定用のポリスチレンとしては10点用いる。
【0041】
(着色剤)
本発明に係るトナー粒子に着色剤が含有される場合においては、着色剤としては、特に限定されず、公知の顔料を用いることができる。
黒の着色剤としては、例えば、ファーネスブラック、チャンネルブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ランプブラックなどのカーボンブラックなどが挙げられる。
マゼンタまたはレッドの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド48;1、C.I.ピグメントレッド53;1、C.I.ピグメントレッド57;1、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド139、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド222などが挙げられる。
オレンジまたはイエローの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントオレンジ31、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー94、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー104などが挙げられる。
グリーンまたはシアンの着色剤としては、例えば、C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15;2、C.I.ピグメントブルー15;3、C.I.ピグメントブルー15;4、C.I.ピグメントブルー16、C.I.ピグメントブルー60、C.I.ピグメントブルー62、C.I.ピグメントブルー66、C.I.ピグメントグリーン7などが挙げられる。
これらの着色剤は、1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0042】
着色剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは2〜9質量部である。
【0043】
(離型剤)
本発明に係るトナー粒子に離型剤が含有される場合においては、離型剤としては、例えばワックスが挙げられ、具体的には、以下に示すようなものが挙げられる。
(1)ポリオレフィン系ワックス
ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど
(2)長鎖炭化水素系ワックス
パラフィンワックス、サゾールワックスなど
(3)ジアルキルケトン系ワックス
ジステアリルケトンなど
(4)エステル系ワックス
カルナウバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレート、ベヘン酸ベヘニル、ステアリン酸ステアリル、トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど
(5)アミド系ワックス
エチレンジアミンジベヘニルアミド、トリメリット酸トリステアリルアミドなどである。
【0044】
離型剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは5〜10質量部である。
【0045】
(磁性粉)
本発明に係るトナー粒子に磁性粉が含有される場合においては、磁性粉としては、例えば、マグネタイト、γ−ヘマタイト、各種フェライトなどが挙げられる。
磁性粉の含有量は、結着樹脂100質量部に対して10〜500質量部であることが好ましく、より好ましくは20〜200質量部である。
【0046】
(荷電制御剤)
本発明に係るトナー粒子に荷電制御剤が含有される場合においては、荷電制御剤としては、摩擦帯電により正または負の帯電を与えることのできる物質であれば特に限定されず、公知の種々の正帯電制御剤および負帯電制御剤を用いることができる。
荷電制御剤の含有量は、結着樹脂100質量部に対して0.1〜10質量部であることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量部である。
【0047】
(外添剤)
本発明に係るトナー粒子は、そのままトナーとして用いることができるが、流動性、帯電性、クリーニング性などを改良するために、当該トナー粒子に、いわゆる流動化剤、クリーニング助剤などの外添剤を添加した状態で用いることができる。
流動化剤としては、例えば、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化銅、酸化鉛、酸化アンチモン、酸化イットリウム、酸化マグネシウム、チタン酸バリウム、フェライト、ベンガラ、フッ化マグネシウム、炭化ケイ素、炭化ホウ素、窒化ケイ素、窒化ジルコニウム、マグネタイト、ステアリン酸マグネシウムなどよりなる無機微粒子などが挙げられる。
これら無機微粒子はシランカップリング剤やチタンカップリング剤、高級脂肪酸、シリコーンオイルなどによって、トナー粒子の表面への分散性向上、環境安定性向上のために、表面処理が行われていることが好ましい。
クリーニング助剤としては、例えば、ポリスチレン微粒子、ポリメチルメタクリレート微粒子などが挙げられる。
外添剤としては種々のものを組み合わせて用いることができる。
外添剤は、平均一次粒径が30nm以下であることが好ましい。
外添剤の添加量は、トナー粒子100質量部に対して0.05〜5質量部であることが好ましく、より好ましくは0.1〜3質量部である。
【0048】
以上のようなトナーを製造する方法としては、例えば、粉砕法などの乾式方法や、乳化会合法、溶解脱溶法、溶解懸濁法などの湿式方法など公知の方法を挙げることができる。
【0049】
<乾式現像剤>
本発明の画像形成方法に用いられる現像剤は、乾式のものとされ、磁性または非磁性のトナーのみよりなる一成分現像剤であっても、トナーとキャリアとが混合されてなる二成分現像剤であってもよい。
二成分現像剤である場合において、キャリアとしては、鉄、フェライト、マグネタイトなどの金属、それらの金属とアルミニウム、鉛などの金属との合金などの従来から公知の材料からなる磁性粒子を用いることができ、特にフェライト粒子が好ましい。また、キャリアとしては、磁性粒子の表面を樹脂などの被覆剤で被覆した樹脂被覆型キャリアや、バインダー樹脂中に磁性体微粉末を分散してなる分散型キャリアなど用いてもよい。
【0050】
キャリアは、粒径が体積基準のメディアン径で15〜100μmであることが好ましく、より好ましくは20〜80μmである。
キャリアの体積基準のメディアン径は、代表的には湿式分散機を備えたレーザ回折式粒度分布測定装置「ヘロス(HELOS)」(シンパティック(SYMPATEC)社製)により測定することができる。
【0051】
〔転写工程〕
転写工程は、トナー像を画像支持体に転写する工程である。
トナー像の画像支持体への転写は、トナー像を画像支持体に剥離帯電することにより行われる。
転写手段としては、例えば、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラなどを用いることができる。
また、転写工程は、例えば、中間転写体を用い、中間転写体上にトナー像を一次転写した後、このトナー像を画像支持体上に二次転写する態様の他、静電潜像担持体上に形成されたトナー像を直接画像支持体に転写する態様などによって行うこともできる。
【0052】
画像支持体としては、特に限定されず、薄紙から厚紙までの普通紙、上質紙、アート紙あるいはコート紙などの塗工された印刷用紙、市販されている和紙やはがき用紙、OHP用のプラスチックフィルム、布などの各種を挙げることができる。
【0053】
〔定着液供給工程〕
定着液供給工程は、画像支持体に転写されたトナー像に、トナーの少なくとも一部を軟化する定着液を供給する工程である。
ここで、トナーの少なくとも一部を軟化するとは、トナー像を構成するトナー粒子に含有される結着樹脂の全部または一部を軟化することをいう。
【0054】
トナー像への定着液の供給は、定着液を液状または泡状に噴射、噴霧または塗布することにより行われる。
定着液を供給する手段としては、例えば、インクジェットノズル、超音波振動子を用いた噴霧器、圧縮空気を用いた噴霧器、静電的に液滴にする噴霧器、ローラが挙げられる。
本発明においては、定着液を供給する手段は、画像支持体上に転写されたトナー像の領域に従って、当該トナー像にのみ定着液を供給することができることから、インクジェットノズルであることが好ましい。
【0055】
<定着液>
本発明の画像形成方法に用いられる定着液は、トナーの結着樹脂の少なくとも一部を軟化するものであり、少なくとも、水、軟化剤および定着助剤を含有するものである。
【0056】
(水)
水は、定着液中において希釈成分として用いられる。具体的にはイオン交換水が用いられる。
水は、定着液中50〜90質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは80〜90質量%である。
【0057】
(軟化剤)
軟化剤は、炭酸エステルまたは脂肪族カルボン酸エステルを含有するものであり、炭酸エステルおよび脂肪族カルボン酸エステルの両者を含有するものであってもよい。
【0058】
炭酸エステルとは、炭酸の2つの水素原子をアルキル基で置き換えたものをいい、中でも環を構成するものが好ましい。炭酸エステルとしては、具体的には、エチレンカーボネート、1,2−プロピレンカーボネート、1,3−プロピレンカーボネート、1,2−グリセロールカーボネートなどが挙げられる。これらの中でも、結着樹脂の溶解・軟化力の観点から、1,2−プロピレンカーボネートが好ましい。
【0059】
脂肪族カルボン酸エステルとしては、例えば、脂肪族モノカルボン酸モノアルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルキル、脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルなどが挙げられる。
【0060】
脂肪族モノカルボン酸モノアルキルは、具体的には、下記一般式(A)で表わされる化合物である。
一般式(A):R5 COOR6
一般式(A)中、R5 は、炭素数8〜18のアルキル基またはアルケニル基を示し、R6 は、炭素数3〜18の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基を示す。一般式(A)で表わされる化合物としては、具体的には、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸オレイル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、パルミチン酸オクチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、2−エチルヘキサン酸セチル、ステアリン酸イソセチルなどが挙げられる。これらの中でも、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルが好ましい。
【0061】
脂肪族ジカルボン酸ジアルキルは、具体的には、下記一般式(B)で表わされる化合物である。
一般式(B):R7 (COOR8 2
一般式(B)中、R7 は、炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R8 は、炭素数2〜8の直鎖型または分岐型のアルキル基を示す。一般式(B)で表わされる化合物としては、具体的には、コハク酸ジイソプロピル、コハク酸ジイソブチル、コハク酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸イソプロピル、アジピン酸イソブチル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシルなどが挙げられる。
【0062】
脂肪族ジカルボン酸ジアルコキシアルキルは、下記一般式(C)で表わされる化合物である。
一般式(C):R9 (COOR10−O−R112
一般式(C)中、R9 は、炭素数2〜8のアルキレン基を示し、R10は、炭素数2〜4のアルキレン基を示し、R11は、炭素数1〜4のアルキル基を示す。一般式(C)で表わされる化合物としては、具体的には、コハク酸ジエトキシエチル、コハク酸ジブトキシエチル、コハク酸ジカルビトール、アジピン酸ジメトキシエチル、アジピン酸ジエトキシエチルなどが挙げられる。
【0063】
軟化剤は、定着液中0.5〜50質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは5〜40質量%である。
軟化剤の含有割合が過小である場合においては、トナーの結着樹脂を溶解・膨潤させる効果が不十分になり、定着強度、高速定着性が低下するおそれがある。一方、軟化剤の含有割合が過大である場合においては、長時間に亘りトナーの結着樹脂の流動性を低下させることが出来ず、定着トナー層が粘着性を有する(タック感、残液感、乾燥性の遅れ)おそれがある。
【0064】
(定着助剤)
定着助剤は、従来の湿式定着方式において使用するよりも少量の定着液を用いてトナーを定着させ、定着強度の向上、定着時間の短縮などの定着性向上のため、定着液中に添加するものをいう。
本発明においては、定着助剤は、第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなるものである。
【0065】
第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物としては、例えば、上記一般式(1)で表わされる化合物が挙げられる。
【0066】
一般式(1)中、R1 は、炭素数10〜39の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基を示し、好ましくは炭素数16〜22の直鎖型のアルキル基であり、より好ましくは炭素数18の直鎖型のアルキル基である。
一般式(1)中、R2 は、炭素数1〜24の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基、若しくは芳香環を示し、好ましくは炭素数16〜22の直鎖型のアルキル基であり、より好ましくは炭素数18の直鎖型のアルキル基である。
一般式(1)中、R3 およびR4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜24の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基、若しくは芳香環を示し、好ましくは炭素数1のアルキル基である。
一般式(1)中、X- は、対イオンを示す。Xは、ハロゲン原子を示し、Cl原子、Br原子等が挙げられ、好ましくはCl原子である。
【0067】
第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物として、以下、具体例を示す。
(1)第4級アルキルトリメチルアンモニウム塩
塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウムなど。
(2)第4級ジアルキルジメチルアンモニウム塩
塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウム、塩化ジメチルセチルステアリルアンモニウム、塩化ジラウリルジメチルアンモニウム、塩化ジメチルジオイレイルアンモニウム、塩化ジメチルオレイルステアリルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(15E.O.)ヤシ油アルキルメチルアンモニウム、塩化ジポリオキシエチレン(4E.O.)ラウリルエーテルジメチルアンモニウムなど。
(3)第4級アルキルベンジルジメチルアンモニウム塩
塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウムなど。
これらの第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物は、1種単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ジベヘニルジメチルアンモニウム、塩化ジセチルジメチルアンモニウムが好ましい。特に、第4級ジアルキルジメチルアンモニウム塩は、上述した軟化剤と構造が類似することから、好ましい。特に好ましくは、塩化ジステアリルジメチルアンモニウムである。
【0068】
定着助剤は、定着液中0.1〜10質量%の割合で含有されることが好ましく、より好ましくは0.5〜5質量%である。
定着助剤の含有割合が過小である場合においては、トナーへの親和性が得られず形成される画像において十分な定着強度が得られないおそれがある。一方、定着助剤の含有割合が過大である場合においては、形成される画像においてタック感が生じるおそれがある。
【0069】
なお、本発明に用いられる定着液においては、1質量%未満の割合であれば、希釈成分や他の成分が含有されていてもよい。希釈成分としては、例えば、活性剤などが挙げられる。このような活性剤としては、例えば、アニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0070】
活性剤としてのアニオン系界面活性剤としては、ラウリン酸ナトリウム、ミリスチン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムなどの高級脂肪酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類;ラウリル硫酸ナトリウムなどのアルキル硫酸エステル塩類;ポリエトキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩類;ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル硫酸ナトリウムなどのポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル硫酸エステル塩類;モノオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、ポリオキシエチレンラウリルスルホコハク酸ナトリウムなどのアルキルスルホコハク酸エステル塩、およびその誘導体類などを挙げることができる。また、カチオン系界面活性剤としては、例えば脂肪族アミン塩、脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩などを挙げることができる。さらに、ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテルなどのポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタントリオレエートなどのソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレートなどのポリオキシエチレンソルビタン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレンモノラウレート、ポリオキシエチレンモノステアレートなどのポリオキシエチレン高級脂肪酸エステル類;オレイン酸モノグリセライド、ステアリン酸モノグリセライドなどのグリセリン高級脂肪酸エステル類;ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレン−ブロックコポリマーなどが挙げられる。
【0071】
定着液の供給量は、例えば、A4サイズの画像支持体当たり0.4g以下が好ましく、より好ましくは0.1g以下である。
【0072】
以下、定着液の供給方法について具体的に説明する。
図1は、本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成の一例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Aは、ライン型インクジェットノズルよりなるものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Aにおいては、液滴化された定着液Fが、画像支持体P上に転写されたトナー像Tの領域に従って、当該トナー像Tに供給される。
【0073】
このような定着液供給手段50Aを構成するライン型インクジェットは、解像度が300dpi以上であることが好ましい。また、インクジェットの液滴サイズは、0.5〜50plであることが好ましい。
なお、定着液供給手段50Aとしてインクジェットノズルを用いる場合においては、定着液には耐溶剤性が必要とされる。
また、定着液が室温以上の温度で液体ではない場合、または、定着液の粘度が高い場合においては、定着液供給手段50Aにヒーターを設ける構成とすることもできる。
【0074】
本発明においては、定着液供給工程の後において、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与する圧力付与工程を行うこと好ましい。具体的には、図2に示すように、定着液供給工程の後、一対の加圧ローラよりなる圧力付与手段70により、定着液Fが供給されたトナー像Tに圧力を付与することを行うことできる。
圧力付与手段としては、例えば、表面が離型性を有するローラなど用いることもできる。加圧力は、特に限定されないが、例えば50kPa〜1MPaであることが好ましい。
この圧力付与工程が行われることにより、形成される画像においてより高い定着強度が得られる。
【0075】
図3は、本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成の他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Bは、定着液塗布ローラ51と、この定着液塗布ローラ51に対向して設けられた加圧ローラ52とにより構成される。この定着液塗布ローラ51は、その一部が例えば液状の定着液Fに浸漬されている。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御するメタリングブレード53が、その先端部分が定着液塗布ローラ51の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Bにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ51および加圧ローラ52の回転駆動により、定着液塗布ローラ51上の液状の定着液Fがその供給量がメタリングブレード53により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に液膜Mとして供給されると共に、加圧ローラ52において圧力が付与される。
液膜Mの膜厚は、特に限定されないが、例えば1〜100μmが好ましい。
また、加圧ローラ52の加圧力は、例えば150〜250MPaが好ましい。
【0076】
図4は、本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Cは、定着液を泡状に噴射させる泡状発生装置54と、定着液塗布ローラ55と、この定着液塗布ローラ55に対向して設けられた加圧ローラ56とにより構成される。また、トナー像T上に供給すべき定着液Fの量を制御する規制ブレード57が、その先端部分が定着液塗布ローラ55の表面から離間した状態で設けられている。
このような定着液供給手段50Cにおいては、定着液Fが、定着液塗布ローラ55および加圧ローラ56の回転駆動により、定着液塗布ローラ55上の泡状の定着液Fがその供給量が規制ブレード57により規制されて、トナー像Tが転写された画像支持体P上の全面に泡状膜Bとして供給されると共に、加圧ローラ56において圧力が付与される。
泡状膜Bの膜厚は、特に限定されないが、例えば50〜80μmが好ましい。
また、加圧ローラ56の加圧力は、例えば150〜250MPaが好ましい。
【0077】
図5は、本発明の画像形成方法に用いられる定着液供給手段の構成のさらに他の例を示す説明用断面図である。
この定着液供給手段50Dは、圧縮空気を用いた噴霧器よりなるものでものであり、トナー像担持体31の下流側に配置されている。
このような定着液供給手段50Dにおいては、液状の定着液Fが噴霧され、画像支持体P上に転写されたトナー像Tに供給される。
【0078】
本発明の画像形成方法は、例えば、以下の画像形成装置により実行することができる。
図6は、本発明の画像形成方法に用いられる画像形成装置の構成の一例を示す概略図である。
この画像形成装置10は、タンデム型のフルカラー画像形成装置であって、ベルト状の中間転写体20に沿って設けられた複数の画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kと、中間転写体20上に各画像形成ユニットにより形成されたトナー像を画像支持体Pに転写する二次転写手段40と、画像支持体P上に転写されたトナー像に定着液を供給する定着液供給手段50とが設けられている。
【0079】
画像形成ユニット30Yは、イエローのトナー像を形成するものであって、静電潜像担持体であるドラム状の感光体31Yを備え、この感光体31Yの周囲に帯電手段32Y、露光手段33Y、現像手段34Y、一次転写手段35Y、クリーニング手段36Yが配置されて構成されている。
【0080】
画像形成ユニット30M,30C,30Kは、各々、イエローのトナー像を形成する代わりにマゼンタ、シアン、ブラックのトナー像を形成する他は、画像形成ユニット30Yと同様の構成を有する。
【0081】
中間転写体20は、複数の支持ローラ21A,21B,21Cに張架され、循環移動可能に支持されている。
【0082】
二次転写手段40は、トナー像を画像支持体Pに剥離帯電して転写する転写器よりなるものである。
【0083】
定着液供給手段50は、トナー像に対して定着液を液滴にて供給するものであり、例えばライン型インクジェットノズルよりなるものである。
【0084】
この画像形成装置10においては、以下のような画像形成処理が行われる。
画像形成ユニット30Yにおいて、感光体31Yが回転駆動されると、帯電手段32Yにより、トナーと同極性のコロナ放電によって当該感光体31Yの表面に一様な電位が与えられる。一様に帯電された感光体31Yの表面上に画像データに基づいて、露光手段33Yにより、感光体31Yの回転方向に対して平行に走査し、露光を行うことによって静電潜像が形成される。次に、現像手段34Yにより、感光体31Yの表面電位と同極性に帯電されたトナーが感光体31Yの静電潜像に付着して反転現像が行われることによって、トナー像が形成され、循環移動する中間転写体20上に一次転写手段35Yにより転写される。これらの処理が、画像形成ユニット30M,30C,30Kにおいても行われ、各画像形成ユニット30Y,30M,30C,30Kより形成された各色のトナー像が、中間転写体20上に重畳されてカラートナー像が形成される。このカラートナー像が、所定のタイミングで搬送される画像支持体P上に二次転写手段40によりに二次転写される。次いで、定着液供給手段50により画像データに基づいて定着液が、画像支持体Pに二次転写されたトナー像に対して供給される。定着液が供給されたトナー像は画像支持体Pに定着し画像が形成される。
一方、二次転写手段40により画像支持体Pにカラートナー像を転写した後、クリーニング手段60においては、画像支持体Pを曲率分離した中間転写体20上に残留する未転写トナーが除去される。また、クリーニング手段36Y,36M,36C,36Kにおいては、感光体31Y,31M,31C,31K上にそれぞれ残留する未転写トナーが除去される。
【0085】
本発明の画像形成方法によれば、定着液が第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなる定着助剤を含有するものであることにより、定着液の供給量の低量化が図られながらも、形成される画像に高い定着強度が得られる。
【実施例】
【0086】
以下、本発明の具体的な実施例について説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0087】
〔トナーの作製例1〕
(1)結着樹脂粒子分散液の調製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、C1021(OCH2 CH2 2 SO3 Naのアニオン系界面活性剤4質量部をイオン交換水3040質量部と共に投入し、界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液に、過硫酸カリウム10質量部をイオン交換水400質量部に溶解させた重合開始剤溶液を添加し、温度を75℃に昇温させた後、スチレン532質量部、n−ブチルアクリレート200質量部、メタクリル酸68質量部およびn−オクチルメルカプタン16.4質量部よりなる単量体溶液を1時間かけて反応容器中に滴下した。滴下後、75℃にて2時間にわたり加熱、撹拌することにより重合を行い、結着樹脂粒子が分散された結着樹脂粒子分散液〔1〕を調製した。この結着樹脂粒子の重量平均分子量は、35,000であった。
【0088】
(2)着色剤粒子分散液の調製
「ダウファクス2A−1」(ダウケミカル社製)7質量部をイオン交換水160質量部に投入し、溶解、撹拌して界面活性剤水溶液を調製した。この界面活性剤水溶液にカーボンブラック20質量部を徐々に添加し、「SCミル」(三菱鉱山社製)を用いて分散処理を行って、着色剤粒子分散液〔1〕を調製した。この着色剤粒子は、「MICROTRAC UPA−150」(HONEYWELL社製)を用いて測定したところ、粒径が体積基準のメディアン径で200nmであった。
【0089】
(3)トナー粒子の作製
撹拌装置、温度センサー、冷却管および窒素導入装置を備えた反応容器に、結着樹脂粒子分散液〔1〕420.7質量部(固形分換算)、イオン交換水900質量部および着色剤粒子分散液〔1〕200質量部を投入し、撹拌した。
次に、塩化マグネシウム・6水和物2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解した水溶液を撹拌下で30℃にて10分間かけて添加した。3分間放置に昇温を開始し、この系を60分間かけて65℃まで昇温させ、結着樹脂粒子と着色剤粒子との会合を行った。この状態で、「コールターマルチサイザー3」(コールター社製)を用いて、会合粒子の粒径を測定し、体積基準のメディアン径が21μmになった時点で、塩化ナトリウム40.2質量部をイオン交換水1000質量部に溶解させた水溶液を添加し、会合を停止した。
その後、熟成処理として液温を70℃とし、1時間にわたって加熱、撹拌を行うことにより、融着を継続させた。このときの粒子の平均円形度は0.940であった。さらに、8℃/分の速度で30℃に冷却して、濾別し、45℃のイオン交換水で繰り返し洗浄した後、40℃の温風で乾燥することによりトナー粒子〔1〕を得た。トナー粒子〔1〕の粒径は、体積基準のメディアン径で6.2μmであった。
このトナー粒子〔1〕100質量部に、「ヘンシェルミキサー」(三井三池鉱業社製)を用いて、ヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)0.6質量およびn−オクチルシラン処理した二酸化チタン(平均一次粒子24nm)0.8質量部を添加し、トナー〔1〕を作製した。
【0090】
〔トナーの作製例2〕
トナーの作製例1において、結着樹脂粒子分散液の調製におけるメタクリル酸の添加量を120質量部に変更したことの他は同様にしてトナー〔2〕を作製した。
【0091】
〔トナーの作製例3〕
冷却管、撹拌装置、窒素導入管を備えた反応容器に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物675質量部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物88質量部、テレフタル酸281質量部、無水トリメリット酸25質量部およびジブチルチンオキサイド2質量部を入れ、常圧下230℃で7時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧下で5時間反応し、ポリエステル樹脂を得た。このポリエステル樹脂は、重量平均分子量が8,000であった。
次に、ポリエステル樹脂290質量部、ベヘン酸ベヘニル(融点71℃)85質量部およびカーボンブラック45質量部に、酢酸エチル1500質量部を加え、撹拌しながら75℃まで昇温した。その後75℃で3時間撹拌し、固形分濃度25質量%の樹脂溶液を得た。
そして、分散剤としてリン酸三カルシウム5質量部、分散安定剤としてドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.05質量部を純水580質量部に溶解・分散させた溶液を、「TKホモミキサー」(特殊機化工業(株)社製)を用いて5000rpmにて15分間撹拌し、乳白色の水系媒体を得た。
その後、この水系媒体に対して、調製した樹脂溶液600質量部を添加し、「TKホモミキサー」により12000rpmにて30分間撹拌することにより油滴粒子分散液を調製した。
この油滴粒子分散液を減圧蒸留装置に移し、非水溶性有機溶媒であるメチルエチルケトンを減圧下で除去した。得られたスラリーに対し、1mol/lの塩酸を当該スラリーのpHが1になるまで加え、30分間放置して、リン酸三カルシウムを除去した。その後、濾過、水洗および乾燥を行い、トナー粒子〔3〕を得た。トナー粒子〔3〕の粒径は、体積基準のメディアン径で6.4μmであった。
得られたトナー粒子〔3〕100質量部に対しヘキサメチルシラザン処理したシリカ(平均一次粒径12nm)1質量部を添加し、ヘンシェルミキサーで混合した。回転翼の周速24m/sとし、20分間混合した後、400MESHの篩を通過させてトナー〔3〕を作製した。
【0092】
〔トナーの作製例4〕
トナーの作製例3において、テレフタル酸の添加量を140質量部に、無水トリメット酸の添加量を160質量部に変更したことの他は同様にしてトナー〔4〕を作製した。
【0093】
<乾式現像剤の作製例1〜4>
トナー〔1〕〜〔4〕の各々に対し、シリコーン樹脂を被覆した体積平均粒径60nmのフェライトキャリアを混合し、トナー濃度が6質量%である乾式現像剤〔1〕〜〔4〕を作製した。
【0094】
<定着液の調製例1>
軟化剤として1,2−プロピレンカーボネート40質量部、ミリスチン酸ナトリウム0.2質量部、イオン交換水55質量部を超音波ホモジナイザーにより5分間撹拌した後、定着助剤として一般式(1)で表わされる化合物(R1 =炭素数18の直鎖型のアルキル基、R2 〜R4 =炭素数1のアルキル基)を定着液中における濃度が2質量%となるように添加し、さらに超音波ホモジナイザーにより5分間して定着液〔1〕を調製した。
【0095】
<定着液の調製例2〜13>
定着液の調製例1において、軟化剤および定着助剤について、表1に示す軟化剤および表2に示す定着助剤を表3に示す組み合わせに従って変更したことの他は同様にして定着液〔2〕〜〔13〕を調製した。
【0096】
【表1】

【0097】
【表2】

【0098】
【表3】

【0099】
〔実施例1〜21、比較例1〜4〕
画像形成装置「bizhub C 253」(コニカミノルタビジネステクノロジーズ社製)の加熱定着器を取り外して、下記に示す定着器〔1〕を搭載し、乾式現像剤および定着液の種類を下記表4に示す組み合わせに従い、画像支持体「Jペーパー」(コニカミノルタ社製)上に、トナー付着量12g/m2 としてベタ画像を形成した。得られたベタ画像について下記評価を行った。結果を表4に示す。この画像形成においては、非加熱の状態で定着が行われた。
【0100】
・定着器〔1〕
定着器〔1〕は、図1に示すようなライン型インクジェットノズルよりなる定着液供給手段から構成されるものである。
定着液供給手段を構成するライン型インクジェットは、解像度が600dpiであり、液滴サイズが10〜15plである。
定着液の初期の設定供給量は、0.4g/A4である。
【0101】
〔評価〕
(1)定着液量に対する定着強度
定着後5秒後に、画像の表面を1cmφの綿布で擦過し、擦過前後の反射濃度を「RD−918」(マクベス社製)により測定した。下記式(1)により擦過定着率を算出し、下記評価基準により評価した。なお、擦過定着率が70%以上であれば実用上問題無いレベルである。
式(1):擦過定着率(%)={擦過後の反射濃度/擦過前の反射濃度(1.40)}×100
A(優良):擦過定着率90%以上
B(良好):擦過定着率80%以上90%未満
C(実用可能):擦過定着率70%以上80%未満
D(不合格):擦過定着率70%未満
【0102】
(2)定着強度に対する定着液量の変化
定着液の初期の設定供給量0.4g/A4に対して、25%未満の量、25%以上50%未満の量、50%以上75%未満の量および75%以上の量としたときの擦過定着率を上記(1)定着液量に対する定着強度と同様の条件で求めた。擦過定着率が80%となるときの定着液量を下記評価基準により評価した。なお、ランク「C」以上を合格レベルとする。
A(優良):定着液25%未満の量
B(良好):定着液25%以上50%未満の量
C(実用可能):定着液50%以上75%未満の量
D(不合格):定着液75%以上の量
【0103】
【表4】

【符号の説明】
【0104】
10 画像形成装置
20 中間転写体
21A,21B,21C 支持ローラ
30Y,30M,30C,30K 画像形成ユニット
31 トナー像担持体
31Y,31M,31C,31K 感光体
32Y,32M,32C,32K 帯電手段
33Y,33M,33C,33K 露光手段
34Y,34M,34C,34K 現像手段
35Y,35M,35C,35K 一次転写手段
36Y,36M,36C,36K クリーニング手段
40 二次転写手段
50,50A,50B,50C,50D 定着剤供給手段
51 定着剤塗布ローラ
52 加圧ローラ
53 メタリングブレード
54 泡状発生装置
55 定着剤塗布ローラ
56 加圧ローラ
57 規制ブレード
60 クリーニング手段
70 圧力付与手段
B 泡状膜
F 定着剤
M 液膜
T トナー像
P 画像支持体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、
前記静電潜像を、少なくとも結着樹脂を含有するトナーを含む乾式現像剤により現像してトナー像を形成する現像工程と、
前記トナー像を画像支持体に転写する転写工程と、
前記画像支持体に転写されたトナー像に、トナーの少なくとも一部を軟化する定着液を供給する定着液供給工程とを有する画像形成方法において、
前記定着液は、水、軟化剤および定着助剤を含有するものであり、
前記軟化剤は、炭酸エステルまたは脂肪族カルボン酸エステルを含有するものであり、
前記定着助剤が、第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物よりなるものであることを特徴とする画像形成方法。
【請求項2】
前記定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物が、下記一般式(1)で表わされる化合物であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。
一般式(1):R1 2 3 4 + -
〔一般式(1)中、R1 は、炭素数10〜39の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基を示し、R2 〜R4 は、それぞれ独立に、炭素数1〜24の直鎖型または分岐型のアルキル基またはアルケニル基、若しくは芳香環を示す。X- は、対イオンを示す。〕
【請求項3】
前記定着助剤を構成する第4級アンモニウムカチオンを有する炭化水素化合物が、前記定着液中0.1〜10質量%の割合で含有されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成方法。
【請求項4】
前記トナーが、負帯電性のものであることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の画像形成方法。
【請求項5】
前記トナーが、粒径が体積基準のメディアン径で3.5〜7.0μmのものであることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−97299(P2013−97299A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−242178(P2011−242178)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】