説明

画像形成法

【課題】被加工物をマーキングするための改善された画像形成法が必要とされる。
【解決手段】 画像形成の方法が開示される。低レベルのエネルギーに対して感受性の画像形成性組成物を被加工物に適用する。エネルギーを画像形成性組成物に適用して、作業員が色または陰影の変化に基づいて被加工物を改変することができるように、色または陰影の変化を起こさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成法に関する。さらに詳細には、本発明は、低エネルギーに暴露されると色または陰影が変化を受ける画像形成性組成物を使用する画像形成法に関する。
【0002】
基体上に画像を形成して基体をマーキングするために様々な産業において用いられる組成物および方法が数多くある。かかる産業としては、数例を挙げると、製紙業、包装産業、塗料工業、医療産業、歯科産業、電子産業、繊維工業、航空、海洋および自動車産業、および視覚芸術が挙げられる。画像形成およびマーキングは、典型的には、例えば製造業者の名前またはロゴ、製造番号またはロット番号、組織の種類などのように物品を同定するために用いられるか、または半導体ウェハ、飛行機、船舶および陸上車両の製造において調整目的で使用され得る。
【0003】
マーキングは、校正製品、フォトレジスト、ソルダーマスク、印刷板および他のフォトポリマー製品においても用いられる。例えば、米国特許第5,744,280号は、単色および多色画像を形成できるとされる光画像形成可能な組成物であって、画像コントラスト特性を有するものを開示している。この光画像形成可能な組成物は、光酸化剤、光増感剤、光非活性化化合物および重水素化ロイコ化合物を含んでいる。ロイコ化合物はアミノトリアリールメチン化合物であるか、または関連する化合物であって、対応するヒドリドアミノトリアリール−メチンの位置における重水素の取り込みにより、メタン(中心)炭素原子が少なくとも60%まで重水素化されている化合物である。この特許は、重水素化ロイコ化合物が、対応するヒドリドロイコ化合物とは対照的に、増大した画像コントラストを提供するとしている。光画像形成可能な組成物を化学線に露光させると、フォトトロピック(phototropic)反応が誘発される。
【0004】
ラベル上に情報をマーキングすること、織物上にロゴを配置すること、または会社名、部品または製造番号または他の情報、例えば、ロット番号または半導体デバイス上のダイの位置などの情報の刻印は、直接印刷により行うことができる。印刷は、パッド印刷またはスクリーン印刷により行うことができる。パッドの弾性によってパッド印刷は湾曲した表面上の印刷において有利であるが、微細なパターンを正確に作るのには不利である。スクリーン印刷も、スクリーンの限定されたメッシュサイズのために微細なパターンを正確に得るのには難点がある。正確さが不十分であることに加えて、印刷は、すべての所望のパターンの刷版を製造するか、または印刷条件の設定に時間を要するので、これらの方法は、即時応答処理が要求される用途には決して好適ではない。
【0005】
従って印刷によるマーキングは、近年、インクジェットマーキングに取って代わられつつある。インクジェットマーキングは、多くの慣用の印刷システムにはない高速および即時応答処理に関する要求を満たすが、圧力下でノズルから噴射される、使用されるインクは、厳密に条件が指定される。その指定が厳密に満たされなければ、時折インクがノズルの詰まりを引き起こし、その結果、不良率を増大させる。
【0006】
この問題を克服するため、レーザーマーキングが高速かつ有効なマーキング法として最近関心を集めており、一部の業界においてはすでに実用化されている。多くのレーザーマーキング技術は、基体の必要な範囲のみにレーザー光を照射して、照射された範囲を変性させるかまたは除去すること、あるいはコーティングされた基体をレーザー光で照射して、照射されたコーティング層を除去し、これにより照射された範囲(マーキングされた範囲)と照射されていない範囲(背景)との間にコントラストを作ることを含む。
【0007】
半導体チップをはじめとする物品をマーキングするためのレーザーの使用は、高速かつ経済的なマーキング手段である。しかしながら、表面を焼いて所望のマークを得る最先端のレーザーマーキング技術に関連するいくつかの不都合がある。例えば、レーザーにより表面において焼かれたマークは、光源に対して選択された入射角のみでしか見ることができない。さらに、マーキング後に物品表面上に堆積した油または他の汚染物質はレーザーマークをにじませたり、またはさらには見えにくくする。さらに、ベアダイのマーキングに関しては、レーザーは被加工物の表面を実際に焼くので、内部ダイ温度が許容できる限度を超えて上昇することにより、関連する燃焼が任意の下にある表面または内部回路を損なう場合がある。さらに、製造された部品がレーザー反応性材料で製造されていない場合、部品の表面に適用されるレーザー反応性コーティングが、費用を増大させ、硬化するための時間を要し得る。
【0008】
別法として、レーザープロジェクターを使用して、表面上に画像を投影することができる。これらは加工表面上に被加工物を配置するのを補助するために使用される。いくつかのシステムは平面よりもむしろ曲面上に三次元画像を投影するために設計されている。投影された画像は、製品を製造するためのパターンとして、及びあらかじめ配置された層上の層の、所望の位置の画像をスキャンするために使用される。かかる用途の例は、皮革製品、小屋組および飛行機胴体の製造におけるものである。レーザープロジェクターは、飛行機の塗装の過程においてテンプレートまたはペイントマスクを配置するためにも使用される。
【0009】
被加工部品を配置または位置合わせする場所、穴を開ける場所、輪郭を形成する場所、ロゴまたは像を塗装するため、あるいは接着するために船舶の部分を位置合わせするための場所を表示するためのスキャンされたレーザー画像の使用は、被加工表面に対するレーザープロジェクターの位置の調整において非常に高い精度を要求する。典型的には、被加工部品を位置合わせするために十分な精度を得るためには6の基準点が必要とされる。リフレクターまたはセンサーを層が配置されるべきおよその範囲に配置する。基準点は被加工物およびレーザーに対して固定された位置にあるので、レーザーが被加工物に対してどこにあるかもわかる。典型的には、作業者は、レーザービーム画像が被加工物と接触する場所を、マーカーまたはマスキングテープを用いて手でしるしを付けて、レーザー画像を確定する。かかる方法は面倒であり、作業者の手がレーザー画像を遮って、被加工物に対する位置合わせの光線を乱す。従って、誤った位置合わせが起こり得る。
【0010】
レーザーマーキングに伴う別の問題は、作業者の眼科的被害の可能性である。マーキングにおいて使用される多くのレーザーは、作業者の網膜損傷を引き起こし得る。一般に、5mWを超えるエネルギーを発生するレーザーは、作業者に対する危険を引き起こす。
【特許文献1】米国特許第5,744,280号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、被加工物をマーキングするための改善された画像形成法が必要とされる。
【課題を解決するための手段】
【0012】
方法は、1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供し;組成物を被加工物に適用し;組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成し;および該画像に基づいて被加工物に対して1以上の作業を実行することを含む。かかる作業には、別の基準座標系に対して位置合わせすること、機械加工すること、物品を形成(forming)または成形(shaping)するための位置合わせすること、マスキングすること、およびラベリングすることが包含される。
【0013】
もうひとつ別の態様において、方法は、1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供し;組成物を被加工物に適用し;組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに選択的に暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成し;該画像に基づいて組成物の一部を選択的に除去して、被加工物の一部を露出し;被加工物から除去された組成物の一部に基づいて被加工物上に1以上の作業を実行することを含む。画像形成された組成物は、剥離剤、現像液で被加工物から除去されるか、または剥がすことができる。
【0014】
さらに別の態様において、方法は、1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供し;組成物を被加工物に適用し;仕事率5mW以下のエネルギーを選択的に適用して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成し;選択的画像形成に基づいて被加工物から組成物の一部を剥がし、被加工物の一部を露出させ;被加工物の露出された部分上に1以上の作業を実行することを含む。
【0015】
被加工物には、例えば飛行機、船舶、陸上車両、地上構造物、地下構造物、織物、玩具、および生物有機体をはじめとする製造物品の部品が包含され得る。被加工物には、金属、木材、セラミック、セメント、石材、石膏、ならびに天然および合成ポリマーおよび繊維を包含する材料が包含され得る。
【0016】
組成物は被加工物に迅速に適用することができ、5mW以下の強度のエネルギーを適用して色または陰影の変化を起こすことにより画像が即時に形成されるので、もはや、物品の製造において作業員が被加工品に近接し、手持ちのマーカーまたはテープで画像を形成する必要がない。従って、作業員の手の動きにより引き起こされる光の遮断の問題および手持ち式マーカーまたはテープを用いて作業員がマークを適用する遅くかつ面倒なプロセスが排除される。さらに、低強度のエネルギーは作業員に対する眼科的被害の可能性を排除または少なくとも軽減する。さらに、人的過誤の軽減は、マーキングの正確さを増大する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書全体にわたって用いられる場合、文脈が他を示さない限り、以下の略語は以下の意味を有する:℃=摂氏度;IR=赤外線;UV=紫外線;gm=グラム;mg=ミリグラム;L=リットル;mL=ミリリットル;wt%=重量%;erg=1dyne・cm;=10−7J;J=ジュール;mJ=ミリジュール;nm=ナノメートル=10−9メートル;cm=センチメートル;mm=ミリメートル;W=ワット=1ジュール/秒;mW=ミリワット;ns=ナノ秒;μsec=マイクロ秒;Hz=ヘルツ;KV=キロボルト。
【0018】
「ポリマー」および「コポリマー」なる用語は、本明細書全体にわたって交換可能に用いられる。「化学線」とは、化学変化を生じる、光源からの放射線を意味する。「フォトフュージティブ(photofugitive)反応」とは、エネルギーを適用すると、着色された物質の色があせたり、より薄くなったりすることを意味する。「フォトトロピック(phototropic)反応」とは、エネルギーを適用すると物質が暗くなることを意味する。「陰影が変化する」とは、色が退色したり、より濃くなったりすることを意味する。「(メタ)アクリレート」は、メタクリレートおよびアクリレートの両方を包含し、「(メタ)アクリル酸」は、メタクリル酸およびアクリル酸の両方を包含する。「希釈剤」は、担体またばビヒクル、例えば、溶媒または固体フィラーを包含する。「不透明性」とは、光線に対して影響を受けない性質、すなわち、透明でないまたは透光性でないことを意味する。「不透明」とは、透明でなく、かつ非透光性であることを意味する。「半透明」とは、半ば透明を意味する。「透明」とは、可視スペクトルの光線が通過することを意味する。
【0019】
他に特に記載しない限り、全てのパーセンテージは重量基準であり、乾燥重量または溶媒を含まない重量に基づく。全ての数値範囲は、境界値を含み、且つかかる数値範囲が合計して100%までに限定されるのが論理的である場合を除いて、任意の順序で組み合わせ可能である。
【0020】
方法は、1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供し;この組成物を被加工物に適用し;組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成し;該画像に基づいて被加工物に対して1以上の作業を実行することを含む。かかる作業には、別の基準座標系に対して位置合わせすること、機械加工すること、物品を形成または成形するための位置合わせすること、マスキングすること、およびラベリングすることが包含されるが、これらに限定されるわけではない。画像は、1次元、2次元または3次元であり得る。
【0021】
別の基準系に対する位置合わせには、画像形成性組成物を生物有機体、例えば人間および動物に適用することが包含されるが、これに限定されるわけではない。画像形成性組成物を人間または動物被加工物に適用し、続いて色または陰影の変化を引き起こすエネルギーに被加工物を選択的に曝すことができる。画像形成性組成物の部分の色または陰影の変化は、人間または動物がX線または医療労働者により処置される箇所を示す。色または陰影の変化箇所は、腫瘍を治療するために多くの箇所で被加工物に適用されるX線のパターン;またはCATスキャニングの間の一次、二次および三次試験の箇所;または内臓の治療、脂肪組織の除去、病理解剖、一般的な切開、のための組織の手術切開の箇所;またはバイオプシー法におけるバイオプシー器具の挿入箇所またはカテーテルの挿入箇所を表示する。また、画像形成パターンは、組織切開または美容整形のための摘出の箇所を示すために使用することができる。
【0022】
機械加工には、ドリル開け、切断、粉砕、打ち抜きおよびレーザー切除が包含されるが、これに限定されるわけではない。形成(forming)または形成(shaping)のための位置合わせは、これに限定されないが、被加工物のスコアリングおよび曲げが包含される。
【0023】
画像形成性組成物は、例えば、被加工物の塗装、エッチング、サンドブラスト、着色および積層化などのために、被加工物上にテンプレートまたはマスクを形成するために使用することができる。例えば、画像形成性組成物は、被加工物に適用し、仕事率5mW以下のエネルギー源を用いて選択的に画像形成することができる。画像の部分を除去して、被加工物を露出させることができ、一方、被加工物上に残存する残りの画像形成性組成物はマスクとして機能する。露出部分を次に塗装して、パターン、シンボル、サインまたはロゴを被加工物上に形成するか、またはサンドブラストして被加工物の露出部分を削除することができる。露出部分はエッチング組成物でエッチングすることもできる。作業が完了した後、被加工物上に残存する画像形成性組成物の残りの部分を除去することができる。マスクを、任意の好適な物質、例えば、これらに限定されないが、金属、木材、ポリマー、セラミック、コンクリート、石膏、一般的な合成物質および石などの上に形成することができる。
【0024】
ラベリングは、対象物配置の位置決め、関連する指示および警告ラベルを包含するが、これに限定されない。例えば、画像形成性組成物を被加工物、例えば、ドア、家具、照明、作りつけの備品等の物品ならびにオフィスビル、プレハブ住宅、低所得者向け住宅用建築物および軍関係の住宅などにおける他の物品を配置するための間取り図の設計において、例えば床などの被加工物に適用することができる。床を画像形成性組成物でマーキングして、ドア、家具、照明および作りつけの備品の配置を指定することができる。画像形成された物質をその後除去することができる。さらに、廃棄物容器をマーキング組成物でマーキングして、有害な物質を表示する警告ラベルを包含する内容を示すことができる。画像形成性組成物は、地図作成および作図のためにも使用することができる。
【0025】
方法は、例えば、これらに限定されないが、航空機、惑星間船、船舶、陸上車両、地下車両、地上構築物、地下構築物、織物および玩具をはじめとする、様々な物品を製造するために用いられる部品上に画像を形成するために使用することができる。
【0026】
航空機の例には、有翼および無翼ならびに原動機付および原動機無しを包含する一般的な飛行機、民間航空機、自家用機、グライダー、飛行船、軍用機、例えば、戦闘機、爆撃機、ミサイル、ヘリコプター、無人機が包含され;惑星間船の例には、大気圏及び宇宙空間用飛行機、例えば、ロケット船、宇宙ステーション、スペースシャトル、人工衛星、地球外調査用車両および表面分析用車両が包含され;陸上車両の例には、原動機付および原動機無し、例えば、自動車、トラック、レクリエーション車両、オフロード車両、スクーター、自転車、バイク、原動機付自転車、列車、軍用車両、例えば、装甲車、例えば戦車、および軍用人員運搬車、大砲、自走砲、偵察車両および水陸両用車が包含され;船舶の例には、原動機付および風力船、ボート、双胴船、および水中翼船が包含され;地下車両の例には、採掘用の車両が包含され;地上構造物の例には、一般建物、例えば、商業建築および倉庫、住宅、モジュラー住宅、アパート、トレーラーハウス、軍関係の住宅、橋、ダム、および家具が包含され;地下構造物の例には、採掘坑、下水道およびトンネルが包含され;織物の例には、衣類、毛布、カーペット、敷物および旗が包含される。
【0027】
画像形成性組成物は、マーキングのための任意の好適な物質に適用することができる。かかる物質には、金属、木材、天然および合成ポリマー、セラミック、コンクリート、石膏、石、天然および合成繊維が包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0028】
画像形成性組成物は、例えば、これに限定されないが、スプレーコーティング、刷毛塗り、ローラーコーティング、浸し塗り、浸漬、注入、インクジェットおよび粘着をはじめとする任意の好適な方法により被加工物に適用することができる。組成物は、被加工物から剥離させることにより除去することができるか、または好適な現像液または剥離剤を用いることができる。かかる現像液または剥離剤は、慣用の水性塩基または有機現像液および剥離剤であってよい。典型的には、組成物は被加工物から剥離される。
【0029】
増感剤は、色または陰影を変化させるためのエネルギーにより活性化される化合物、または、活性化の際に、1以上の他の化合物に色または陰影の変化を引き起こす化合物である。画像形成性組成物は、可視光に対して感受性の1以上の光増感剤を含み、仕事率5mW以下のエネルギーで活性化することができる。一般に、かかる増感剤は、画像形成性組成物の0.005重量%〜10重量%、または例えば、0.05重量%〜5重量%、または例えば0.1重量%〜1重量%の量で含まれる。
【0030】
可視範囲において活性化される増感剤は、典型的には、300nmより上から600nm未満まで、または例えば、350nm〜550nm、または例えば400nm〜535nmの波長で活性化される。かかる増感剤としては、これらに限定されないが、シクロペンタノンベースの共役化合物、例えば、シクロペンタノン,2,5−ビス−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メチレン]−、シクロペンタノン,2,5−ビス[(2,3,6,7−テトラヒドロ−1H,5H−ベンゾ[i,j]キノリジン−9−イル)メチレン]−、およびシクロペンタノン,2,5−ビス−[4−(ジエチル−アミノ)−2−メチルフェニル]メチレン]−が挙げられる。かかるシクロペンタノンは、環状ケトンおよび三環式アミノアルデヒドから当該技術分野において既知の方法により調製することができる。
【0031】
かかる好適な共役シクロペンタノンの例は、以下の式を有する。
【0032】
【化1】

【0033】
式中、pおよびqは独立して、0または1であり、rは2または3であり;Rは独立して、水素、直鎖または分岐鎖(C−C10)脂肪族、あるいは直鎖または分岐鎖(C−C10)アルコキシであり、典型的には、Rは独立して、水素、メチルまたはメトキシであり;Rは独立して、水素、直鎖または分岐鎖(C−C10)脂肪族、(C−C)環、例えば、脂環式環、アルカリル、フェニル、直鎖または分岐鎖(C−C10)ヒドロキシアルキル、直鎖または分岐鎖ヒドロキシ末端エーテル、例えば、−(CH−O−(CHR−OH(式中、vは2〜4の整数であり、wは1〜4の整数であり、Rは水素またはメチルである)、各Rの炭素は一緒になって窒素を有する5〜7員環、または窒素を有し、且つ酸素、硫黄、および第二の窒素から選択されるもう一つのヘテロ原子を有する5〜7員環を形成する。かかる増感剤は、5mW以下の強度で活性化することができる。
【0034】
可視光範囲で活性化される他の増感剤としては、これらに限定されないが、N−アルキルアミノアリールケトン、例えば、ビス(9−ジュロリジルケトン)、ビス−(N−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリル)ケトンおよびp−メトキシフェニル−(N−エチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−キノリル)ケトン;アルデヒドまたはジメチンヘミシアニンの対応するケトンとの塩基により触媒された縮合により調製される可視光吸収色素;可視光吸収スクアリリウム化合物;1,3−ジヒドロ−1−オキソ−2H−インデン誘導体;クマリンベースの色素、例えば、ケトクマリン、および3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン);ハロゲン化チタノセン化合物、例えば、ビス(エタ.5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタン;ならびにアリールケトンおよびp−ジアルキルアミノアリールアルデヒドから誘導される化合物が挙げられる。追加の増感剤の例には、フルオレセインタイプの色素およびトリアリールメタン核ベースの光吸収物質が包含される。かかる化合物には、エオシン、エオシンB、およびローズベンガルが包含される。もうひとつ別の好適な化合物は、エリスロシンBである。かかる増感剤の製造法は当該技術分野において知られており、且つ多くは商業的に入手可能である。典型的には、かかる可視光活性化増感剤は、組成物の0.05重量%〜2重量%、または例えば0.25重量%〜1重量%、または例えば0.1重量%〜0.5重量%の量で使用される。
【0035】
任意に、画像形成性組成物はUV光により活性化される1以上の光増感剤を含むことができる。UV光により活性化されるかかる増感剤は、典型的には10nmより上から300nm未満まで、または例えば50nm〜250nm、または例えば100nm〜200nmの波長で活性化される。かかるUV活性化増感剤としては、これらに限定されないが、10,000〜300,000の重量平均分子量を有するポリマー増感剤、例えば、1−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−(4−メトキシフェニル)−メタノン、1−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−(4−ヒドロキシフェニル)−メタノンおよび1−[4−(ジメチルアミノ)フェニル]−1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−メタノン;ケトンイミン染料の遊離塩基;トリアリールメタン染料のアミノ誘導体;キサンテン染料のアミノ誘導体;アクリジン染料のアミノ誘導体;メチン染料;およびポリメチン染料が挙げられる。かかる化合物の調製法は当該技術分野において知られている。典型的には、かかるUV活性化増感剤は、組成物の0.05重量%〜1重量%、または例えば0.1重量%〜0.5重量%の量で用いられる。
【0036】
任意に、画像形成性組成物は、IR光により活性化される1以上の光増感剤を含むことができる。IR光により活性化されるかかる増感剤は、典型的には、600nmより上から1000nm未満まで、またはたとえば700nmから900nm、または例えば750nmから850nmの波長で活性化される。かかるIR活性化増感剤には、赤外スクアリリウム色素、およびカルボシアニン色素が包含されるが、これに限定されるわけではない。かかる色素は、当該技術分野において知られており、文献に記載された方法によって作ることができる。典型的には、かかる色素は、組成物の0.05重量%〜3重量%、または例えば0.5重量%〜2重量%、または例えば0.1重量%〜1重量%の量で組成物中に含まれる。
【0037】
画像形成性組成物において用いられる光還元剤には、これらに限定されないが、1以上のキノン化合物、例えば、ピレンキノン、例えば、1,6−ピレンキノンおよび1,8−ピレンキノン;9,10−アントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−クロロ−アントラキノン、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−tert−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナントレンキノン、1,2−ベンザアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジクロロナフトキノン、1,4−ジメチルアントラキノン、2,3−ジメチルアントラキノン、アントラキノンアルファ−スルホン酸のナトリウム塩、3−クロロ−2−メチルアントラキノン、レテンキノン、7,8,9,10−テトラヒドロナフタセンキノン、1,2,3,4−テトラヒドロベンズアントラセン−7,12−ジオン、および1,2,3,4−テトラヒドロベンザアントラセン−7,12−ジオンが包含される。
【0038】
光還元剤として機能し得る他の化合物には、これに限定されないが、下記式を有するトリエタノールアミンのアシルエステル:
N(CHCHOC(O)−R) (II)
(式中、Rは1〜4個の炭素原子を有するアルキルである)、およびニトリルトリ酢酸または3,3’,3”−ニトリロトリプロピオン酸の0〜99%のC〜Cアルキルエステルが含まれる。トリエタノールアミンのかかるアシルエステルの例は、トリエタノールアミノトリアセテートおよびジベンジルエタノールアミノアセテートである。
【0039】
1以上の光還元剤は、所望の色または陰影の変化を得るために画像形成性組成物において用いることができる。典型的には、1以上のキノンを1以上のトリエタノールアミンのアシルエステルとともに使用して、所望の還元剤機能が得られる。光還元剤は、0.05重量%〜50重量%、または例えば5重量%〜40重量%、または例えば20重量%〜35重量%の量で組成物中において用いられ得る。
【0040】
好適な発色剤には、ロイコタイプの化合物が包含されるが、これに限定されない。かかるロイコタイプの化合物には、これらに限定されないが、アミノトリアリールメタン、アミノキサンテン、アミノチオキサンテン、アミノ−9,10−ジヒドロアクリジン、アミノフェノキサジン、アミノフェノチアジン、アミノジヒドロフェナジン、アンチノジフェニルメチン、ロイコインダミン、アミノヒドロ桂皮酸、例えば、シアノエタンおよびロイコメチン、ヒドラジン、ロイコインジゴイド色素、アミノ−2,3−ジヒドロアントラキノン、テトラハロ−p,p’−ビフェノール、2(p−ヒドロキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール、およびフェネチルアニリンが包含される。典型的には、アミノトリアリールメタンロイコ色素が使用される。さらに典型的には、o−メチル置換アミノトリアリールメタンが使用される。ロイコタイプの化合物は、組成物の0.1重量%〜5重量%、または例えば0.25重量%〜3重量%、または例えば0.5重量%〜2重量%の量で含まれる。
【0041】
色または陰影の変化に影響を及ぼすために、酸化剤を画像形成性組成物中に含めることもできる。典型的には、かかる酸化剤は、1以上の発色剤との組み合わせにおいて用いられる。かかる化合物には、ヘキサアリールビイミダゾール化合物、例えば、2,4,5,2’,4’,5’−ヘキサフェニルビイミダゾール、2,2’,5−トリス(2−クロロフェニル)−4−(3,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルビイミダゾール(および異性体)、2,2’−ビス(2−エトキシフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1,1’−ビ−1H−イミダゾール、および2,2’−ジ−1−ナフタレニル−4,4’,5,5’−テトラフェニル−1’−ビ−1H−イミダゾールが包含されるが、これらに限定されるわけではない。他の好適な化合物は、1モルあたり少なくとも40キロカロリーの、フリーラジカルとして第一ハロゲンを生成させる結合解離エネルギーを有し、これに結合した1以下の水素を有するハロゲン化合物;式R’−SO−X(式中、R’はアルキル、アルケニル、シクロアルキル、アリール、アルカリル、またはアルアルキルであり、Xは塩素または臭素である)を有するスルホニルハライド;式R”−S−X’(式中、R”およびX’は前記のR’およびXと同じ意味を有する)のスルフェニルハライド;テトラアリールヒドラジン、ベンゾチアゾリルジスルフィド、ポリメタクリルアルデヒド、アルキリデン2,5−シクロヘキサジエン−1−オン、アゾベンジル、ニトロソ、アルキル(T1)、パーオキシド、およびハロアミンが包含されるが、これらに限定されるわけではない。酸化剤は、組成物の0.25重量%〜10重量%、または例えば0.5重量%〜5重量%、または例えば1重量%〜3重量%の量で組成物中に含まれる。
【0042】
膜形成ポリマーは、組成物のバインダーとして機能するために画像形成性組成物中に含めることができる。膜形成ポリマーが、所望の色または陰影の変化に悪影響を及ぼさないことを条件に、任意の膜形成バインダーを組成物の配合において用いることができる。膜形成ポリマーは、組成物の10重量%〜90重量%、または例えば15重量%〜70重量%、または例えば25重量%〜60重量%の量で含まれる。典型的には、膜形成ポリマーは酸官能性モノマーおよび非酸官能性モノマーの混合物から誘導される。酸および非酸官能性モノマーを組み合わせてコポリマーを形成し、酸価が少なくとも80、または例えば150〜250の範囲になるようにする。好適な酸官能性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、2−ヒドロキシエチルアクリロールホスフェート、2−ヒドロキシプロピルアクリロールホスフェート、および2−ヒドロキシ−アルファ−アクリロールホスフェートが包含される。
【0043】
好適な非酸官能性モノマーの例には、(メタ)アクリル酸のエステル、例えば、メチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレート、メチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ブチルメタクリレート、オクチルアクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、N,N−ジエチルアミノエチルアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、デカメチレングリコールジアクリレート、デカメチレングリコールジメタクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ジメチロールプロパンジアクリレート、グリセロールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、グリセロールトリアクリレート、2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリオキシエチル−2,2−ジ(p−ヒドロキシフェニル)−プロパンジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシプロピルトリメチロールプロパントリアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ブチレングリコールジメタクリレート、1,3−プロパンジオールジメタクリレート、1,2,4−ブタントリオールトリメタクリレート、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、1−フェニルエチレン−1,2−ジメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、1,5−ペンタンジオールジメタクリレート;スチレンおよび置換スチレン、例えば、2−メチルスチレン、およびビニルトルエン、およびビニルエステル、例えば、ビニルアクリレートおよびビニルメタクリレートが包含される。
【0044】
他の好適なポリマーには、これらに限定されないが、非イオン性ポリマー、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシ−エチルセルロース、およびヒドロキシエチルプロピルセルロースが包含される。
【0045】
連鎖移動剤を画像形成性組成物において用いることができる。かかる連鎖移動剤は、促進剤として機能する。1以上の連鎖移動剤を画像形成性組成物において用いることができる。連鎖移動剤または促進剤は、エネルギーに暴露された後に色または陰影の変化が起こる速度を増大させる。色または陰影の変化の速度を加速する任意の化合物を用いることができる。促進剤は、0.01重量%〜25重量%、または例えば、0.5重量%〜10重量%の量で組成物中に含めることができる。好適な促進剤の例としては、オニウム塩、およびアミンが挙げられる。
【0046】
好適なオニウム塩には、オニウムカチオンがヨードニウムまたはスルホニウムであるオニウム塩、例えば、アリールスルホニルオキシベンゼンスルホネートアニオンのオニウム塩、ホスホニウム、オキシスルホキソニウム、オキシスルホニウム、スルホキソニウム、アンモニウム、ジアゾニウム、セロノニウム、アルソニウム、およびN−置換N−複素環オニウムであって、Nが置換または非置換飽和または不飽和アルキルまたはアリール基で置換されたものが包含されるが、これに限定されるわけではない。
【0047】
オニウム塩のアニオンは、例えば、クロリド、または非求核性アニオン、例えば、テトラフルオロボレート、ヘキサフルオロホスフェート、ヘキサフルオロアルセネート、ヘキサフルオロアンチモネート、トリフレート、テトラキス−(ペンタフルオロホスフェート)ボレート、ペンタフルオロエチルスルホネート、p−メチル−ベンジルスルホネート、エチルスルホネート、トリフルオロメチルアセテートおよびペンタフルオロエチルアセテートであり得る。
【0048】
典型的なオニウム塩の例には、ジフェニルヨードニウムクロリド、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4,4’−ジクミルヨードニウムクロリド、ジクミルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、N−メトキシ−a−ピコリニウム−p−トルエンスルホネート、4−メトキシベンゼン−ジアゾニウムテトラフルオロボレート、4,4’−ビス−ドデシルフェニルヨードニウム−ヘキサフルオロホスフェート、2−シアノエチル−トリフェニルホスホニウムクロリド、ビス−[4−ジフェニルスルホニオンフェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート、ビス−4−ドデシルフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネートおよびトリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネートが包含される。
【0049】
好適なアミンには、これらに限定されないが、第一、第二および第三アミン、例えば、メチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、複素環式アミン、例えば、ピリジンおよびピペリジン、芳香族アミン、例えば、アニリン、第四アンモニウムハライド、例えば、テトラエチルアンモニウムフルオリド、および第四アンモニウムヒドロキシド、例えば、テトラエチルアンモニウムヒドロキシドが包含される。
【0050】
可塑剤も組成物中に含めることができる。任意の好適な可塑剤を用いることができる。可塑剤は、組成物の0.5重量%〜15重量%、または例えば1重量%〜10重量%の量で含めることができる。好適な可塑剤の例には、フタル酸エステル、グリコール、リン酸エステル、アミド、脂肪族二塩基酸エステル、およびグリセリントリアセチルエステルが包含される。
【0051】
1以上のフロー剤も組成物中に含めることができる。フロー剤は、なめらかで均一なコーティングを基体上に提供する化合物である。フロー剤は、組成物の0.05重量%〜5重量%、または例えば0.1重量%〜2重量%の量で含めることができる。好適なフロー剤としは、アルキルアクリレートのコポリマーが挙げられるが、これに限定されるわけではない。
【0052】
任意に、1以上の有機酸を画像形成性組成物において用いることができる。有機酸は、0.01重量%〜5重量%、または例えば0.5重量%〜2重量%の量で用いることができる。好適な有機酸の例には、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、フェニル酢酸、安息香酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、アジピン酸、2−エチルヘキサン酸、イソ酪酸、2−メチル酪酸、2−プロピルヘプタン酸、2−フェニルプロピオン酸、2−(p−イソブチルフェニル)プロピオン酸、および2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸が包含される。
【0053】
任意に、1以上の界面活性剤を画像形成性組成物において用いることができる。界面活性剤は、組成物の0.1重量%〜10重量%、または例えば、0.25重量%〜5重量%、または例えば0.5重量%〜4重量%の量で組成物中に含めることができる。好適な界面活性剤には非イオン性、イオン性および両性界面活性剤が包含される。好適な非イオン性界面活性剤の例には、ポリエチレンオキシドエーテル、ポリエチレンオキシドの誘導体、芳香族エトキシレート、アセチレン性エチレンオキシドおよびエチレンオキシドとプロピレンオキシドのブロックコポリマーが包含される。好適なイオン性界面活性剤の例には、アルキルスルフェート、アルキルエトキシスルフェート、およびアルキルベンゼンスルホネートのアルカリ金属、アルカリ土類金属、アンモニウム、およびアルカノールアンモニウム塩が包含される。好適な両性界面活性剤の例には、脂肪族第二および第三アミンの誘導体であって、脂肪族基が直鎖または分岐鎖であり得、それまたは脂肪族置換基が8〜18個の炭素原子を含有し、それがアニオン性水可溶化基、例えば、カルボキシ、スルホ、スルファト、ホスフェート、またはホスホノを含有するものが包含される。かかる両性界面活性剤の具体例は、3−ドデシルアミノプロピオン酸ナトリウムおよび3−ドデシルアミノプロパンスルホン酸ナトリウムである。
【0054】
他の好適な両性界面活性剤には、弱酸性の官能基、たとえば、カルボキシ官能基を有し、且つpH3〜pH8の等電点を有する両性界面活性剤が包含されるが、これに限定されない。かかる両性界面活性剤は、剥がして再使用可能な構成のための剥離剤として組成物中に含まれる。かかる両性界面活性剤には、アミノカルボン酸、両性イミダゾリン誘導体、ベタイン、フルオロカーボンおよびそのシロキサンバージョンおよびその混合物が包含されるが、これらに限定されるわけではない。かかる両性界面活性剤は追加の接着剤層なしに画像形成性組成物を剥がして再使用可能にするために、画像形成性組成物中に含められる。
【0055】
好適なアミノカルボン酸には:一般式R12−NH−CHCOOH(式中、R12=C〜C20直鎖または分岐鎖アルキル、アルケニル、あるいはフルオロまたはシリコーン官能性疎水性基である)を有するα−アミノカルボン酸;および一般構造式R12−NH−CHCHCOOHおよびR12N(CHCHCOOH)(式中、R12=C〜C20直鎖または分岐鎖アルキル、アルケニル、あるいはフルオロまたはシリコーン官能性疎水性基である)を有するβ−アミノカルボン酸が包含されるが、これらに限定されるわけではない。β−アミノカルボン酸は、Henkel Corporation(フィラデルフィア州キング オブ プロシア)からDERIPHAT(商標)の名で入手可能である。特に他に記載しない限り、DERIPHAT(商標)両性電解質は、一般式R13−NHCHCHCOOH(式中、R13=ヤシ脂肪酸の残基、獣脂脂肪酸の残基、ラウリン酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸、他のC−C20直鎖または分岐鎖、アルキル、アルケニル、およびその混合物)を有する。本発明において有用なDERIPHAT(商標)両性電解質には:ナトリウム−N−ココ−β−アミノプロピオネート(DERIPHAT(商標)151、フレーク 97%活性);N−ココ−β−アミノプロピオン酸(DERIPHAT(商標)151C、42%ナトリウム水中);N−ラウリル/ミリスチル−β−アミノプロピオン酸(DERIPHAT(商標)17℃、50%水中);N−獣脂−β−イミノプロピオン酸二ナトリウム、R14N(CHCHCOONa)(DERIPHAT(商標)154、フレーク97%活性);N−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸二ナトリウム−(DERIPHAT(商標)160、フレーク97%活性);およびN−ラウリル−β−イミノジプロピオン酸の部分ナトリウム塩、R14N(CHCHCOOH)(CHCHCOONa)(DERIPHAT(商標)16℃、30%水中)が包含される。有用なポリアミノカルボン酸には、R14C(=O)NHC(NHCNHCHCOOHおよびR14置換エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)(式中、R14=C〜C20直鎖または分岐鎖、アルキルまたはアルケニル、y=0〜3)も包含される。
【0056】
有用な両性イミダゾリン誘導体には、5員環の1および3位に窒素原子を有し且つ2,3−位に二重結合を有する、置換2−アルキル−2−イミダゾリンおよび2−アルケニル−2−イミダゾリンから誘導されるものが包含される。アルキルまたはアルケニル基は、C〜C20直鎖または分岐鎖であってよい。両性イミダゾリン誘導体は、イミダゾリン環が、クロロ酢酸ナトリウム、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレートおよび(メタ)アクリル酸などのアルキル化剤とのさらなる反応を許容する条件下で加水分解的に開環する反応により生成される。1−(2−ヒドロキシエチル)−2−(R)−2−イミダゾリン(式中、R15=ヤシ脂肪酸の残基)のアクリル酸またはアクリル酸エステルとの反応から誘導される有用な両性界面活性剤は、ココアンホプロピオネート、R15−C(=O)NHCHCHN(CHCHOH)(CHCHCOONa);ココアンホカルボキシプロピオン酸、R15−C(=O)NHCHCHN(CHCHCOOH)(CHCHCH20CHCOONa);ココアンホグリシン、R15−C(=O)NHCHCHN(CHCH20CH)(CHCOONa);およびココアンホカルボキシグリシネート、[R15−C(=O)NHCHCHCH(CHCHOH)(CHCOONa)]OHが包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0057】
少なくとも1個の第四アンモニウムカチオンおよび少なくとも1個のカルボキシアニオンを含有する界面活性内塩はベタインと呼ばれる。両性界面活性剤として有用なベタインには、一般式:R16(CHCHCOO;R16CONHCHCHCH(CHCHCOO;およびR16−O−CH−N(CHCHCOO(式中、R16=C〜C20直鎖または分岐鎖、アルキル、アルケニル、あるいはフルオロまたはシリコーン官能性疎水性基である)の化合物が包含されるが、これらに限定されるわけではない。ベタインの例は、N−ドデシル−N,N−ジメチルグリシンおよびココアミドプロピルベタインおよびMona Industriesから入手可能なMONATERIC(商標)CABを包含する。
【0058】
フルオロカーボン置換基が両性界面活性剤に結合している場合、典型的には、これらの置換基は、分岐または非分岐の、6〜8個の炭素原子を有するパーフルオロアルキル基である。しかしながら、これらの置換基はそのかわりに部分的にフッ素化されていてもよい。これらはアリール官能基を有していてもよい。フルオロカーボン両性界面活性剤の例には、それぞれ3MおよびDuPontによって製造されるフッ素化アルキルFLUORAD(商標)FC100およびフッ素化アルキルZONYL(商標)FSKが包含されるが、これらに限定されるわけではない。
【0059】
シロキサン官能性界面活性剤も使用することができる。シロキサン界面活性剤の例には、Goldschmidt Chemical Corporationから入手可能なポリアルキルベタインポリシロキサンコポリマーABIL(商標)B9950である。
【0060】
有用な高分子両性界面活性剤には:タンパク質、タンパク質加水分解物、タンパク質加水分解物の誘導体、デンプン誘導体および合成両性オリゴマーおよびポリマーが包含されるが、これらに限定されるわけではない。典型的には、カルボキシ官能基を有する高分子両性電解質が有用である。
【0061】
典型的には、画像形成性組成物は3〜11、または例えば4〜7のpH範囲内である。
場合によっては、所望のpHを維持するために、塩基を用いてもよい。このような塩基には、炭酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化マグネシウム、水酸化カルシウムまたはその混合物が包含されるが、これらに限定されるわけではない。塩基は、画像形成性組成物中に、ポリマー100グラムあたり0.2モルより多く2モルまで、または例えば、ポリマー100グラムあたり0.3モル〜1.75モル、または例えば、ポリマー100グラムあたり0.4モル〜1.5モルの量で存在し得る。
【0062】
場合によっては、多価金属カチオンが含まれて、ポリマーを構成する1以上のモノマー上のカルボン酸基とイオン結合を形成してもよい。任意の好適な多価カチオンを使用して、カルボン酸基とイオン結合を形成して、架橋を達成することができる。かかるカチオンには、Mg2+、Sr2+、Ba2+、Ca2+、Zn2+、Al3+、Zr4+またはその混合物が包含されるが、これらに限定されるわけではない。このような多価カチオンは、画像形成性組成物中に、乾燥ポリマー100グラムあたり0.001〜0.1モル、または例えば乾燥ポリマー100グラムあたり0.01〜0.08モル、または例えば乾燥ポリマー100グラムあたり0.02〜0.05モルの量で含まれる。
【0063】
多価カチオンを含有する1以上の塩基が別の多価カチオン源と組み合わせて含まれる場合、塩基と多価金属カチオンの合計量は、ポリマー100グラムあたり0.2より多く2モルまで、または例えばポリマー100グラムあたり0.3〜1.75モル、または例えばポリマー100グラムあたり0.4〜1.5モルである。
【0064】
場合によっては、環境放射線に対する色または陰影の変化を安定化させるために、1以上の酸化防止剤を組成物中に含めることができる。発色剤の酸化を防止する任意の好適な酸化防止剤を用いることができる。かかる酸化防止剤には、ヒンダードフェノールおよびヒンダードアミンが包含されるが、これらに限定されるわけではない。ヒンダードフェノールは、ヒドロキシル基に結合した炭素原子に隣接する炭素原子(1つまたは複数)と結合した、該ヒドロキシル基を立体的に遮蔽する1つまたは2つの立体的に嵩高い基を含む。ヒンダードアミンは、窒素原子に隣接する炭素原子(1つまたは複数)に結合した、該窒素を立体的に遮蔽する1または2個の立体的に嵩高い基を含む。窒素はそれ自体が、窒素に結合した嵩高い基を有していてもよい。酸化防止剤は、これらに限定されないが、ポリウレタン、ポリ尿素、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネートおよびその組み合わせをはじめとするポリマー中にマイクロカプセル化することができる。
【0065】
増粘剤を慣用の量で画像形成性組成物中に含めることができる。任意の好適な増粘剤を画像形成性組成物中に組み入れることができる。典型的には、増粘剤は組成物の0.05重量%から10重量%、または例えば1重量%〜5重量%の範囲である。慣用の増粘剤を用いることができる。好適な増粘剤の例には、低分子量ポリウレタン、例えば、親水性ポリエーテル基により相互連結した少なくとも3個の疎水性基を有するものが包含される。かかる増粘剤の分子量は、10,000〜200,000の範囲である。他の好適な増粘剤には、疎水的に修飾されたアルカリ可溶性エマルジョン、疎水的に修飾されたヒドロキシエチルセルロースおよび疎水的に修飾されたポリアクリルアミドが包含される。
【0066】
レオロジー改質剤を慣用の量で含めることができる。典型的には、レオロジー改質剤は、組成物の0.5重量%〜20重量%、または例えば5重量%〜15重量%の量で用いられる。レオロジー改質剤の例としては、ビニル芳香族ポリマーおよびアクリルポリマーが挙げられる。
【0067】
他の成分のビヒクルまたは担体を提供するために、画像形成性組成物中に希釈剤を含めることができる。希釈剤は必要に応じて添加される。固体希釈剤またはフィラーは典型的には、組成物の乾燥重量を100重量%にする量で添加される。固体希釈剤の例はセルロースである。組成物の活性成分の溶液、懸濁液、分散液またはエマルジョンを調製するために液体希釈剤または溶媒が用いられる。溶媒は、水性または有機、あるいはその混合物であってよい。有機溶媒の例には、アルコール、例えば、メチル、エチルおよびイソプロピルアルコール、ジイソプロピルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフランまたは1,2−ジメトキシプロパン、およびエステル、例えば、ブチロラクトン、エチレングリコールカーボネートおよびプロピレングリコールカーボネート、エーテルエステル、例えば、メトキシエチルアセテート、エトキシエチルアセテート、1−メトキシプロピル−2−アセテート、2−メトキシプロピル−1−アセテート、1−エトキシプロピル−2−アセテートおよび2−エトキシプロピル−1−アセテート、ケトン、例えば、アセトンおよびメチルエチルケトン、ニトリル、例えば、アセトニトリル、プロピオニトリルおよびメトキシプロピオニトリル、スルホン、例えば、スルホラン、ジメチルスルホンおよびジエチルスルホン、およびリン酸エステル、例えばリン酸トリメチルおよびリン酸トリエチルが包含される。
【0068】
画像形成性組成物は濃縮物の形態であってよい。かかる濃縮物において、固形分は、80重量%〜98重量%、または例えば85重量%〜95重量%の範囲であり得る。濃縮物を、水、1以上の有機溶媒、または水と1以上の有機溶媒の混合物で希釈することができる。濃縮物を希釈して、固形分が5重量%から80重量%未満まで、または例えば10重量%〜70重量%、または例えば20重量%〜60重量%の範囲になるようにすることができる。
【0069】
もうひとつ別の態様において、画像形成性組成物を、接着剤を有するフィルム基体へ適用することができ、該画像形成性組成物と該接着剤を含む物品が被加工物に適用される。接着剤は、永久接着剤、半永久的、再配置可能な接着剤、剥がして再利用可能な接着剤、または冷凍カテゴリーの接着剤であってよい。接着剤は、ホットメルト、ホットメルト感圧性または感圧性であってよい。典型的には、剥がして再利用可能な接着剤は感圧性接着剤である。このような剥がして再利用可能な接着剤の例としては、アクリル、ポリウレタン、ポリ−アルファ−オレフィン、シリコーン、アクリレート感圧性接着剤と熱可塑性エラストマーベースの感圧性接着剤の組み合わせ、並びに粘着性の天然および合成ゴムをはじめとする接着剤が挙げられる。
【0070】
フィルム基体の材料の例には、ポリオレフィン、例えば、高密度、低密度、直鎖低密度および直鎖超低密度ポリエチレンをはじめとするポリエチレン、ポリプロピレンおよびポリブチレン;ビニルコポリマー、例えば、ポリ塩化ビニル(可塑化および非可塑化の両方)、およびポリ酢酸ビニル;オレフィン系コポリマー、例えば、エチレン/メタクリレートコポリマー、エチレン/酢酸ビニルコポリマー、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレンコポリマー、およびエチレン/プロピレンコポリマー;アクリルポリマーおよびコポリマー;セルロース;ポリエスエル;および前記混合物の組み合わせが包含され、または任意のプラスチックまたはプラスチックエラストマー材料、例えば、ポリプロピレン/ポリエチレン、ポリウレタン/ポリオレフィン、ポリウレタン/ポリカーボネート、ポリウレタン/ポリエステルのブレンドも用いることができる。
【0071】
物品の接着剤面は、被加工物に物品を施用する前に環境から接着剤を保護する、除去可能な剥離層を有することができる。除去可能な剥離層の例には、セルロース、ポリエステルのポリマーおよびコポリマー、ポリウレタン、ビニルコポリマー、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、エポキシポリマーおよびその組み合わせが包含される。
【0072】
保護ポリマー層を、フィルム基体上の画像形成性組成物上に配置することができる。保護ポリマー層は、基体と同じ材料であってもよい。
【0073】
もう一つ別の態様において、剥離可能な不透明コーティングを、剥離可能な画像形成性組成物の施用前に被加工物上に配置する。剥離可能な不透明コーティングは、被加工物上の任意のコーティングと画像形成性組成物間の望ましくないあらゆる化学的相互作用を防止する。このような問題の一つは、剥離可能な画像形成性組成物から被加工物上のエポキシコーティング中に色素が滲出することである。画像形成性組成物と被加工物上のコーティング間の望ましくない化学反応を防止することに加えて、不透明コーティング中の不透明化合物は、反射濃度計により測定した場合に、Δ+0.5〜+1.5のファクターで色または陰影の変化のフォトスピードを増大させる。
【0074】
剥離可能な不透明コーティングは、1以上の不透明化合物、例えば、有機または無機顔料、金属塩、シリカ、シリケートおよびクレーを、1重量%〜40重量%、または例えば5重量%〜30重量%、または例えば10重量%〜20重量%の量で含む。典型的には、無機顔料、例えば金属酸化物が用いられる。かかる金属酸化物の例には、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化セリウム、三酸化アンチモン、五酸化二ヒ素、酸化アルミニウム、酸化コバルト、酸化マグネシウム、酸化カドミウム、酸化クロムおよび酸化鉛が包含される。さらに典型的には、二酸化チタン、酸化亜鉛および酸化アルミニウムが用いられる。
【0075】
不透明化合物に加えて、不透明コーティングは、剥離剤として機能するために1以上の膜形成バインダー、1以上の希釈剤および1以上の両性界面活性剤を含むこともできる。不透明コーティングは、不透明コーティングを個々の画像形成性組成物および被加工物に対して調整するために1以上の他の添加剤を含むこともできる。
【0076】
画像形成性組成物を構成する複数成分は、当該技術分野において知られている任意の好適な方法により組み合わせることができる。固体混合物、濃縮物、溶液、懸濁液、分散液またはエマルジョンを形成するための慣用の装置を用いて、成分をともにブレンドまたは混合することができる。配合プロセスは、典型的には、1以上の成分の時期尚早の活性化を防止するために調光環境において行われる。次いで組成物は、後に使用するために保存してもよいし、あるいは配合後直ちに、前記の方法の何れかにより基体に施用してもよい。典型的には、組成物は使用前は調光環境において保存される。例えば、可視光により活性化される増感剤を有する組成物は、典型的には、配合されて赤色光下で貯蔵される。
【0077】
十分な量のエネルギーを画像形成性組成物に適用すると、フォトフュージティブまたはフォトトロピック反応が起こる。エネルギーの量は、0.2mJ/cm以上、または例えば、0.2mJ/cm〜100mJ/cm、または例えば2mJ/cm〜40m、J/cm、または例えば5mJ/cm〜30mJ/cmであり得る。
【0078】
画像形成性組成物は仕事率5mW以下(0mW以上)、または例えば5mW未満から0.01mWまで、または例えば4mW〜0.05mW、または例えば3mW〜0.1mW、または例えば2mW〜0.25mW、または例えば1mW〜0.5mWのエネルギーを適用すると色または陰影の変化を受ける。典型的には、かかる仕事率は可視範囲における光源を用いて発生される。画像形成性組成物中に含めることができる他の光増感剤およびエネルギー感受性成分は、可視範囲外の光からのエネルギーに暴露されると色または陰影の変化を引き起こし得る。かかる光増感剤およびエネルギー感受性化合物は、5mW以下の適用により引き起こされる反応でさらに顕著な色または陰影のコントラストを提供するために含められる。典型的には、5mW以下の強度のエネルギーにより活性化される光増感剤で色または陰影のコントラストを形成する光増感剤およびエネルギー感受性化合物は、フォトトロピック反応を引き起こす。
【0079】
フォトフュージティブまたはフォトトロピック反応を誘発するために任意の好適なエネルギー源を使用することができる。好適なエネルギー源の例には、手持ち式レーザーおよび3−D画像形成システムから生じるレーザーをはじめとするレーザー、フラッシュランプ並びにデジタルマーキング装置が包含されるが、これらに限定されるわけではない。レーザーの作用波長は、IRからUVの範囲であってもよい。
【0080】
画像形成性組成物は、被加工物の色または陰影を変化させるか、または被加工物上に画像を配置する迅速かつ有効な手段を提供する。画像形成性組成物が適用された後、画像形成性組成物の色または陰影を変化させるために十分な量のエネルギーが画像形成性組成物に適用される。一般に、色または陰影の変化は安定である。安定とは、色または陰影の変化が少なくとも10秒、または例えば、20分〜2日、または例えば30分〜1時間継続することを意味する。さらに、人的過誤の軽減は、マーキングの正確性を増大させる。これは、部品の位置合わせを指図するためのマークが使用される場合に重要である。
【実施例】
【0081】
実施例1
以下の表において開示される成分を20℃で赤色光下において共に混合して、均一な混合物を形成する。
【0082】
【表1】

【0083】
29重量%のn−ヘキシルメタクリレート、29重量%のメチルメタクリレート、15重量%のn−ブチルアクリレート、5重量%のスチレン、および22重量%のメタクリル酸のモノマーからコポリマーを形成する。45重量%固形分の混合物を形成するに足りる量のメチルエチルケトンを使用する。慣用のフリーラジカル重合によりコポリマーを形成する。均一な混合物が調製された後、これを250ミクロンの厚さのポリエチレンフィルム上にスプレーコーティングし、空気乾燥する。
【0084】
工程1でアルミニウム製飛行機の機体の長さ方向に沿って作業員によりテープが配置される。UV光下で、ポリエチレンフィルム上の乾燥されたコーティングは赤褐色である。飛行機の機体をテープの選択的マーキングのために工程2に移す。テープを選択的にマーキングするために3Dレーザー発射装置を使用する。3Dレーザー発射装置は、迅速に移動するベクタースキャンレーザービームを発生させるために、所与の3D物体に関するコンピューター支援設計(CAD)データを利用する。速度は532nmおよび5mWで114,000cm/秒である。ビームは選択的に機体上のテープにあたり、機体の長さ方向に沿って形成する明灰色のクロスヘアをもたらす。
【0085】
機体を次いで次の工程に輸送し、ここでロボットが該クロスヘア留め具挿入点に穴をあける。工程4で留め具が挿入され、留め具はバルクヘッドを機体に連結するために使用される。
【0086】
実施例2
以下の表に列挙された成分を20℃、UV光下において共に混合して、均質な混合物を形成する。
【0087】
【表2】

【0088】
スチレンおよびアクリル酸のコポリマーは、RHOPLEX(商標)P−376の取引名で商業的に入手可能であり、これはローム・アンド・ハース・カンパニーから入手可能である。コポリマーを水中でポリアルキルベタインポリシロキサンコポリマーと混合して、水性懸濁液を形成する。炭酸カルシウムを懸濁液に添加して、pH8〜11を維持する。
【0089】
画像形成成分:ロイコクリスタルバイオレット、o−クロロ−ヘキサアリールビイミダゾール、1,2−ナフタキノン、トリエタノールアミントリアセテート及びシクロペンタノン−2,5−ビス−[4−(ジエチルアミノ)フェニル]メチレン]−をEastman chemical Co.,(テネシー州キングズポート)入手可能なエステルアルコールTEXANOL(商標)中で共に混合して、有機溶液を形成する。水性懸濁液を有機溶液で乳化させて、水中油エマルジョンを形成する。
【0090】
金属中に穴をあけ、金属を曲げるための金属薄板をマーキングするために組成物を使用する。工程は、CADおよびCAMデータ源から1日の操作を得るためにプログラムされたマスターコンピューターによって指示される。CADコンピューターは、組み立てられる部品を配置するためのオペレーターにより入力された配置情報を受け取るためのCAD端末を有する。CAD端末は、UNISYSコンピューター支援デザインソフトウェアシステムを実行するApollo Corporationから入手可能なモデルDN3000端末である。CAD端末は、製造工程プログラム(MPP)コンピューターに連結される。MPPはインプットとしてCAD端末のCADデータファイル中に含まれるCADデータを受け取る。MPPコンピューターは、Control Data Corporation Cyber930コンピューターから供給されるデータも受け取る。
【0091】
MPPコンピューターは、MPPデータとCADデータを組み合わせて、部品種類データ(PDD)ファイルを生成し、それぞれは独自の部品番号により特定され、金属薄板を組み立てるために必要な全てのデータの完全なファイルを形成する、複数の部品定義データ記録からなる。MPPコンピューターは、CAD端末へのデータリンクにより連結された独立型コンピューターである。
【0092】
各作業工程は、金属薄板にマーキング組成物を適用し、マーキング組成物を画像形成し、金属薄板に穿孔し、曲げるためのマニピュレーターアームを有する1以上のロボットを含む。各ロボットはデータリンクに連結される。金属薄板をまずロボット工程#1に移送し、ここでマーキング組成物が金属薄板に施用される。ロボット工程#2で、ロボットは、5mWで532nm Nd:YAGレーザーを用いて組成物を選択的にマーキングして、金属薄板の穿孔するべき箇所および曲げるべき線を示す色の変化を引き起こす。ロボット工程#3で、ロボットは選択された箇所に穿孔し、ロボット工程#4でロボットは着色された線により示されるように金属薄板を曲げる。ロボット工程#5で、マーキング組成物を金属薄板から剥がし、金属薄板をさらに処理するために次の工程に移送する。
【0093】
実施例3
次の組成物を20℃、赤色光下において調製する。
【0094】
【表3】

【0095】
使用される酢酸ビニル/アクリルコポリマーエマルジョンは、ROVACE(商標)661であり、これはローム・アンド・ハース・カンパニーから入手可能である。コポリマー、ビニル芳香族ポリマーおよび2−アルキル−2−イミダゾリンを水中で混合して、水性エマルジョンを形成する。
【0096】
画像形成成分:ロイコクリスタルバイオレット、トリブロモメチルフェニルスルホン、2’,4’,5’,7’−テトラヨード−3,4,5,6−テトラクロロフルオレセイン二ナトリウム塩、および2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−ターブチルフェノール)をエチレングリコールフェニルエーテル中に溶解させて、有機溶液を形成する。水性エマルジョンおよび有機溶液を混合して、水中油エマルジョンを形成する。
【0097】
パネルセクションをマーキングするために画像形成性組成物を使用し、これは、耐力壁、床、天井および屋根を構築して、建物構造物を形成するために使用できる。パネルは、木材、鋼鉄、プラスチックまたはセラミックでできている。建物構成要素を形成するためのパネルの処理は、組み立てライン/コンベアシステム上で行われる。工程1で、画像形成性組成物が作業員によりパネルの部分に施用され、ここでパネルはV字型の溝、留め具を挿入するための穴および造作部分を形成するためにマーキングされる。工程2で、マーキング組成物は作業員により、532nm Nd:YAGレーザーを2mWで使用して、選択的にマーキングされる。工程3で、パネルは穴を形成するためにドリル開けされるか、または溝および造作部分を形成するために切断される。その後、マーキング組成物の残る部分をパネルから剥がし、捨てる。パネルを次に建設現場に移すか、または貯蔵して後に使用するために倉庫に移送する。
【0098】
実施例4
次の組成物を調製する。
【0099】
【表4】

【0100】
成分を20℃で、慣用の混合装置を用いて共に混合して、均一な混合物を形成する。混合は赤色光下で行う。
【0101】
均一な混合物を、厚さ5mmを有するポリエチレンテレフタレート裏地を有する剥離可能な接着テープ上にローラーコーティングする。慣用の扇風機を用いて20℃でメチルエチルケトンを除去する。
【0102】
テープをウールのトレーナーに適用し、手持ち式レーザーから4mWで532nmレーザーを選択的に該テープに適用して、ノースウェスタン大学のロゴの輪郭を形成する。レーザーは、琥珀色から透明になったコーティングの選択された部分を生じさせる。テープを透明部分に沿って切れ目を付け、内側部分を除去する。紫色素を次に除去されたテープの部分に適用する。色素が乾燥したら、残るテープをトレーナーから除去する。
【0103】
実施例5
次の配合物を調製する。
【0104】
【表5】

【0105】
実施例3および4において記載されたように、成分を混合して水中油エマルジョンを形成する。配合物は周囲の光下で安定である。
【0106】
組成物をパーティクルボードに適用して、住宅、アパートおよび他の建築物の床張りのためにボードを切断し及び成形し得るための線および画像を表示する。マーキング組成物を作業員によりパーティクルボードに適用し、次いで1mWで473nmNd:YAGレーザーを使用して選択的に画像形成し、組成物上に線及び画像を形成する。組成物を線および画像に沿って切れ目を付け、線および画像内の部分をパーティクルボードから剥がす。次に、特定の床寸法および形状に合わせるようにボードを切断し、成形する。次に、組成物の残りの部分をパーティクルボードから除去し、捨てる。
【0107】
実施例6
次の組成物を室温で赤色光下で調製する。
【0108】
【表6】

【0109】
酢酸ビニル/アクリルコポリマーは当該技術分野においてよく知られており、その調製法はも知られている。かかるコポリマーは、ROVACE(商標)661の取引名で商業的に入手可能である。コポリマー、ビニル芳香族ポリマー、および2−アルキル−2−イミダゾールを水中で混合して、水性エマルジョンを形成する。
【0110】
画像形成成分:ロイコクリスタルバイオレット、トリブロモメチルフェニルスルホン、2’,4’,5’,7’−テトラヨード−3,4,5,6−テトラクロロフルオレセイン二ナトリウム塩、および2,2’−メチレン−ビス(4−メチル−6−tertブチルフェノール)をエチレングリコールフェニルエーテル中に溶解させて、有機溶液を形成する。
【0111】
水性エマルジョンおよび有機溶液を混合して水中油エマルジョン画像形成性組成物を形成する。乳化は、慣用の乳化装置を用いて行われる。
【0112】
シリンジを用いて画像形成性組成物を、放射線治療を受ける患者の箇所に適用する。画像形成性組成物が施用される箇所は、患者を治療するために放射線を施用する箇所を示す。組成物を施用した後、技術者は各箇所を532nm、2mWの光に暴露して、組成物を紫に変色させる。患者は次いで紫色の箇所で放射線へ暴露される。放射線治療が行われた後、組成物は剥がされ、捨てられる。患者が後日さらなる治療のために戻って来た時に、剥離可能な組成物を用いて同じ箇所または異なる箇所で再びマーキングする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供すること;
b)組成物を被加工物に適用すること;
c)組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成すること;及び
d)画像による指示に従って被加工物上に1以上の作業を実行すること
を含む方法。
【請求項2】
1以上の作業が、別の基準座標系に対して位置合わせすること、機械加工すること、物品を形成または成形するための位置合わせすること、マスキングすること、およびラベリングすることから選択される請求項1記載の方法。
【請求項3】
被加工物が、生物有機体、並びに航空機、惑星間船、陸上車両、地下車両、船舶、地上構造物、地下構造物、織物および玩具の部品、から選択される請求項1記載の方法。
【請求項4】
被加工物が、金属、木材、セラミック、石およびポリマーを包含する請求項1記載の方法。
【請求項5】
a)1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供すること;
b)組成物を被加工物に適用すること;
c)組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに選択的に暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成すること;
d)画像による指示に従って組成物の一部を選択的に除去して、被加工物の一部を露出させること;および
e)被加工物の露出された該部分上に1以上の作業を実行すること
を含む方法。
【請求項6】
1以上の作業を被加工物の露出された部分上に実行した後に、被加工物から組成物の残りを除去する工程をさらに含む、請求項5記載の方法。
【請求項7】
a)1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供すること;
b)組成物を被加工物に適用すること;
c)組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに選択的に暴露して、色または陰影の変化に影響を与え、被加工物上に画像を形成すること;
d)画像による指示に従って、被加工物を機械加工して、被加工物を改変すること;および
e)改変された被加工物を1以上の構成要素と結合して物品を形成すること
を含む方法。
【請求項8】
a)1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を提供すること;
b)組成物を被加工物に適用すること;
c)組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに選択的に暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成すること;
d)画像による指示に従って、被加工物を1以上の部品に対して位置合わせすること;および
e)被加工物を1以上の部品と結合して物品を形成すること
を含む方法。
【請求項9】
a)プライマー組成物を被加工物に適用すること;
b)1以上の増感剤および1以上の光還元剤を含む組成物を、被加工物上の該プライマーに適用すること;
c)組成物を仕事率5mW以下のエネルギーに選択的に暴露して色または陰影の変化に影響を与え、組成物上に画像を形成すること;
d)画像による指示に従って、被加工物上に1以上の作業を実行すること;
e)被加工物から該プライマーおよび組成物を剥離させること;
f)被加工物を1以上の部品と結合して物品を形成すること
を含む方法。
【請求項10】
1以上の作業が、機械加工すること、形成または成形のための位置合わせすること、マスキングすること、およびラベリングすることから選択される請求項9記載の方法。

【公開番号】特開2007−179020(P2007−179020A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−315198(P2006−315198)
【出願日】平成18年11月22日(2006.11.22)
【出願人】(591016862)ローム・アンド・ハース・エレクトロニック・マテリアルズ,エル.エル.シー. (270)
【Fターム(参考)】