説明

画像形成用シート、セメント質硬化体及びその製造方法、並びに画像形成方法

【課題】汎用性が高く、セメント質硬化体の表面に解像度の高い画像を容易に形成することができる画像形成用シート、当該画像形成用シートを用いて表面に画像が形成されてなるセメント質硬化体及びその製造方法、並びにセメント質硬化体の表面に画像を形成する方法を提供する。
【解決手段】セメント質硬化体の表面に画像を形成するために用いられる画像形成用シートであって、外層シートと、画像が形成される画像形成面を有し、外層シート上に設けられている印字層とを備え、少なくとも印字層が、画像を形成するための液体又はトナーが画像形成面側から当該画像形成面と反対側の面にまで達するように浸透し得る材料により構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セメント質硬化体の表面に画像を形成するために用いられる画像形成用シート、当該画像形成用シートを用いて表面に画像が形成されたセメント質硬化体及びその製造方法、並びにセメント質硬化体の表面に画像を形成する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物として、型枠内にコンクリートを打設し、コンクリートを硬化させた後に型枠を除去することで製造するものがある。このようにして得られるコンクリート構造物の表面は、型枠の表面が再現されただけのものであり、特別に意匠感を与えるものではない。
【0003】
従来、コンクリート構造物の表面に意匠性を付与するための方法として、コンクリートとしてカラーコンクリートを用いる方法、コンクリートの硬化後にコンクリート構造物の表面に塗料を塗布する方法等が用いられている。
【0004】
コンクリートとしてカラーコンクリートを用いる方法では、コンクリート構造部の表面に色調を付与することができるものの、画像等を形成することは困難であり、特に複雑な模様等を形成することは極めて困難である。一方、コンクリート構造物の表面に塗料を塗布する方法であれば、画像等を形成することも可能であるが、単に塗料を塗布するだけでは解像度の高い画像を形成するのは困難である。
【0005】
コンクリート構造物の表面に高解像度の画像等を形成する方法として、従来、コンクリート等に転写可能な塗料によって模様が印刷されたフィルムを型枠内面に貼着し、型枠内にコンクリートを打設し、硬化後に型枠を除去することで、当該フィルムに印刷された模様をコンクリート構造物の表面に転写する方法が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、模様層と、接着剤層と、繊維質シートとをこの順に積層し、接着剤層が繊維質シートの下方にのみ含浸させ、上方に未含浸部分を残した転写シートを型枠内に載置し、型枠内にコンクリートを打設して、硬化後に型枠を除去することで、コンクリート構造物と転写シートとが一体化され、結果としてコンクリート構造物の表面に画像等を形成することができる方法が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−233402号公報
【特許文献2】特開2001−347513号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1及び2に記載の方法によれば、フィルムや転写シート上に形成される画像自体は、解像度の高いものとすることができる。しかしながら、特許文献1に記載の方法では、フィルム上の画像(塗料)がコンクリートに転写される際に、画像が歪んでしまったり、滲んでしまったりし、コンクリート構造物の表面に転写された画像は、解像度の低いものとなってしまうという問題がある。
【0009】
また、特許文献2に記載の方法では、模様層を有する転写シートをコンクリート構造物と一体化させることによりコンクリート構造物の表面に画像が形成されるものであるが、転写シートの製造工程の途中で模様層に画像等を印刷する必要がある。そのため、所望の画像を表面に形成してなるコンクリート構造物を製造しようとする場合には、当該コンクリート構造物専用の転写シートを製造する必要があり、汎用性に欠けた転写シートとなるという問題がある。
【0010】
上記課題に鑑みて、本発明は、汎用性が高く、セメント質硬化体の表面に解像度の高い画像を容易に形成することができる画像形成用シート、当該画像形成用シートを用いて表面に画像が形成されてなるセメント質硬化体及びその製造方法、並びにセメント質硬化体の表面に画像を形成する方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明は第一に、セメント質硬化体の表面に画像を形成するために用いられる画像形成用シートであって、外層シートと、画像が形成される画像形成面を有し、前記外層シート上に設けられている印字層とを備え、少なくとも前記印字層が、画像を形成するための液体又はトナーが前記画像形成面側から当該画像形成面と反対側の面にまで達するように浸透し得る材料により形成されていることを特徴とする画像形成用シートを提供する(請求項1)。
【0012】
上記発明(請求項1)のように、画像形成用シートの印字層が、画像を形成するための液体(インク等)又はトナーが浸透し得る材料により形成されているため、印刷機を用いて印字層の画像形成面に画像を印刷することで、当該液体又はトナーが浸透して、画像形成面と反対側の面に画像を形成することができる。したがって、上記発明(請求項1)によれば、セメント質硬化体の表面に形成しようとする所望の画像を画像形成面に印刷し、印字層側をセメント質硬化体側に向けるようにして当該画像形成用シートを当該セメント質硬化体に取り付けることで、セメント質硬化体の表面に高解像度の画像を容易に形成することができ、また画像形成用シート自体を汎用性の高いものとすることができる。
【0013】
上記発明(請求項1)においては、前記印字層が、水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料を含む材料により形成されているのが好ましい(請求項2)。かかる発明(請求項2)によれば、セメント質硬化体を製造する工場内や現場において容易に入手し得る材料を用いて、表面に高解像度の画像を形成し得る画像形成用シートを製造することができる。
【0014】
上記発明(請求項1,2)においては、前記外層シートと前記印字層との間に、前記外層シートに接するようにして剥離層が剥離可能に設けられているのが好ましい(請求項3)。かかる発明(請求項3)によれば、画像形成用シートから外層シートを容易に、かつきれいに剥離することができる。
【0015】
上記発明(請求項1〜3)においては、前記印字層における前記画像形成面と反対側の面上に保護層が設けられていてもよい(請求項4)。かかる発明(請求項4)のように保護層を設けることで、セメント質硬化体の表面に形成される画像を耐久性、耐候性の高いものとすることができる。
【0016】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記外層シートが、難吸水性材料からなるフィルムであるのが好ましい(請求項5)。スラリー状のセメント組成物を型枠内で硬化させる際に、かかる発明(請求項5)の画像形成用シートを用いることで、セメント組成物中の水を外層シートが吸収してしまうのを抑制することができ、画像形成用シート上の画像が歪んだり、滲んだりすることによって当該画像の解像度が低下してしまうのを抑制することができる。結果として、高解像度の画像をセメント質硬化体の表面に形成することができる。
【0017】
上記発明(請求項1〜5)においては、前記画像形成面に画像が形成されているのが好ましい(請求項6)。かかる発明(請求項6)の画像形成用シートをセメント質硬化体の表面に取り付けるだけで、セメント質硬化体の表面に容易に画像を形成することができる。
【0018】
本発明は第二に、上記発明(請求項6)に係る画像形成用シートが定着層を介して表面に固着され、少なくとも前記画像形成用シートの前記外層シートが剥離されてなることを特徴とするセメント質硬化体を提供する(請求項7)。
【0019】
上記発明(請求項7)によれば、画像形成用シートが定着層を介して表面に固着されるため、画像形成用シートが強固にセメント質硬化体の表面に固着されることとなり、セメント質硬化体の表面に容易に高解像度の画像を形成することができる。
【0020】
上記発明(請求項7)においては、前記定着層が、水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料を含む材料からなるのが好ましい(請求項8)。かかる発明(請求項8)によれば、セメント質硬化体を製造する工場内や現場において容易に入手し得る材料を用いて、表面に高解像度の画像が形成されたセメント質硬化体を製造することができる。
【0021】
上記発明(請求項7,8)においては、前記セメント質硬化体の表面に固着され、前記外層シートが剥離された前記画像形成用シート上に保護層が形成されてなるのが好ましい(請求項9)。
【0022】
本発明は第三に、表面に画像が形成されてなるセメント質硬化体を製造する方法であって、セメント質硬化体製造用型枠の型枠面に、上記発明(請求項6)に係る画像形成用シートを前記外層シートと前記型枠面とが当接するようにして設置する工程と、前記セメント質硬化体を構成する水硬性組成物を前記型枠内に流し込む工程とを含むことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法を提供する(請求項10)。
【0023】
上記発明(請求項10)によれば、高い解像度の画像が表面に形成されてなるセメント質硬化体を、熟練した処理を要することなく、簡単に製造することができる。
【0024】
上記発明(請求項10)においては、前記画像形成用シートの印字層上に定着層を設ける工程をさらに含むのが好ましい(請求項11)。かかる発明(請求項11)によれば、セメント質硬化体の表面に画像形成用シートを強固に固着することができる。
【0025】
上記発明(請求項10,11)においては、硬化したセメント質硬化体を脱型し、前記外層シートを剥離する工程をさらに含むのが好ましい(請求項12)。
【0026】
上記発明(請求項10〜12)においては、前記外層シートを剥離した後、前記セメント質硬化体の表面に固着された前記画像形成用シート上に保護層を設ける工程をさらに含むのが好ましい(請求項13)。
【0027】
上記発明(請求項13)によれば、セメント質硬化体の表面に形成された画像上に保護層が設けられることになり、耐久性、耐候性等に優れた画像が表面に形成されてなるセメント質硬化体を製造することができる。
【0028】
本発明は第四に、セメント質硬化体の表面に画像を形成する方法であって、上記発明(請求項6)に係る画像形成用シートを、前記印字層をセメント質硬化体の表面に対向させるようにして、セメント質硬化体の表面に固着させる工程を含むことを特徴とする画像形成方法を提供する(請求項14)。
【0029】
上記発明(請求項14)によれば、熟練した処理を要することなく、容易にセメント質硬化体の表面に高解像度の画像を形成することができる。
【0030】
上記発明(請求項14)においては、前記セメント質硬化体の表面に定着層を介して前記画像形成用シートを固着させるのが好ましい(請求項15)。かかる発明(請求項15)によれば、セメント質硬化体の表面に、画像形成用シートを強固に取り付けることができる。
【0031】
上記発明(請求項14,15)においては、前記セメント質硬化体の表面に固着させた前記画像形成用シートから前記外層シートを剥離する工程をさらに含むのが好ましい(請求項16)。
【0032】
上記発明(請求項14〜16)においては、前記外層シートが剥離された前記画像形成用シート上に保護層を形成する工程をさらに含むのが好ましい(請求項17)。かかる発明(請求項17)によれば、セメント質硬化体の表面に形成された画像上に保護層を設けることができ、耐久性、耐候性等に優れた、表面に画像が形成されたセメント質硬化体とすることができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、コンクリート構造物等のセメント質硬化体の表面に画像を形成しようとする者が、所望の画像を形成するにあたり熟練した処理が必要なく、容易にセメント質硬化体の表面に所望の画像を形成することのできる画像形成用シート、セメント質硬化体及びその製造方法、並びに画像形成方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の一実施形態に係る画像形成用シートを示す概略断面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る画像形成用シートの製造工程を示すフロー図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるセメント質硬化体の製造工程を示すフロー図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるセメント質硬化体の画像形成部分を示す概略部分断面図である。
【図5】実施例2において製造された、画像が表面に形成されてなるコンクリート硬化体のカラー写真である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る画像形成用シートを示す概略断面図であり、図2は、本発明の一実施形態に係る画像形成用シートの製造工程を示すフロー図であり、図3は、本発明の一実施形態におけるセメント質硬化体の製造工程を示すフロー図であり、図4は、本発明の一実施形態におけるセメント質硬化体の画像形成部分を示す概略部分断面図である。
【0036】
本実施形態に係る画像形成用シート1は、セメント質硬化体の表面に画像を形成するために用いられるものであって、画像が形成(印刷)された画像形成用シート1をセメント質硬化体の表面に取り付けることにより、当該表面に画像を形成することができるものである。
【0037】
本実施形態に係る画像形成用シート1は、図1に示すように、外層シート2と、外層シート2を容易に剥離するための剥離層3と、保護層4と、印字層5とをこの順に積層してなるものである。
【0038】
外層シート2は、本実施形態に係る画像形成用シート1の基材となるシートであり、剥離層3が積層される面と反対側の面が少なくとも平滑であって、難吸水性材料からなるフィルムであれば、特に限定されるものではない。
【0039】
上記画像形成用シート1は、後述するように市販されているインクジェットプリンタ、レーザープリンタ等を用いて画像が印刷されるものであるため、外層シート2における剥離層3が積層される面と反対側の面が少なくとも平滑であれば、画像形成用シート1全体が平滑になるように外層シート2上に積層される各層(剥離層3、保護層4、印字層5)を積層することで、画像形成用シート1を上記プリンタによる印刷媒体として適用することができる。また、外層シート2は、セメント質硬化体の表面に画像が形成された後に最終的には剥離されるものであるが、外層シート2の剥離層3側の面が平滑であれば、外層シート2のみを容易に、かつきれいに剥離することができる。
【0040】
また、外層シート2が吸水性材料からなるものであると、セメント組成物中の水を当該外層シート2が吸収することで、画像形成用シートに印刷された画像のインク等が滲んでしまうおそれがあるが、外層シート2が難吸水性材料からなることで、当該インク等が滲むことなく、解像度の高い画像をセメント質硬化体の表面に形成することができる。
【0041】
外層シート2として使用し得るものとしては、例えば、PET,PBT,PEN(ポリエチレンナフタレート)等のポリエステル樹脂からなるフィルム等が挙げられる。ポリエステル樹脂からなるフィルムは、比較的安価に入手可能であるため好適である。
【0042】
剥離層3は、本実施形態に係る画像形成用シート1を用いてセメント質硬化体の表面に画像を形成した後に、外層シート2を容易に剥離し得るために形成されるものである。
【0043】
当該剥離層3を構成する材料は、外層シート2及び保護層4に対して所定の粘着力を有するものであって、外層シート2に対する粘着力よりも保護層4に対する粘着力が強固な材料であってもよいし、その逆であってもよいが、外層シート2に対する粘着力よりも保護層4に対する粘着力が強固な材料を用いるのが好ましい。外層シート2に対する粘着力よりも保護層4に対する粘着力が強固であれば、剥離層3は保護層4側に残存し、外層シート2のみが剥離されることになり、保護層4に対する粘着力よりも外層シート2に対する粘着力が強固であれば、剥離層3は、外層シート2を剥離する際に外層シート2とともに剥離されることになる。
【0044】
このような剥離層3を構成する材料としては、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂、エチレン酢酸ビニルコポリマー(EVA)等を用いることができ、特にPVA又はエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。剥離層3をPVA又はエポキシ樹脂により構成すると、外層シート2としてポリエステル樹脂フィルムを用いたときに、外層シート2のみを容易に、かつきれいに剥離することができる。
【0045】
剥離層3を構成する材料としては、硬化後の剥離層3が無色透明となる材料を使用するのが好ましい。剥離層3が無色透明であることで、印字層5の印刷面51に形成された画像(後述するように、印字層5をインクやトナーが浸透することにより印字層5の反対側面に形成された画像)を明瞭に視認することができる。
【0046】
なお、画像形成用シート1における外層シート2を構成する材料と、後述する印字層5を構成する材料との組み合わせや、当該印字層5の配合によっては、外層シート2上に印字層5を直接積層したとしても、当該外層シート2のみを容易に、かつきれいに剥離することができる場合もあるため、このような場合には画像形成用シート1に剥離層3が設けられていなくてもよい。
【0047】
保護層4は、本実施形態に係る画像形成用シート1を用いてセメント質硬化体の表面に形成された画像を保護するために設けられるものである。セメント質硬化体の多くは屋外に設置されるものであるため、紫外線、酸素、酸性雨等の暴露を受けることになる。このような場合に、それらの暴露によりセメント質硬化体の表面に形成された画像が、経時的に劣化してしまうおそれがあるが、保護層4を設けておくことで、セメント質硬化体の表面に形成された画像の耐久性、耐候性等を向上させることができる。
【0048】
保護層4を構成する材料としては、剥離層3を構成する材料とは異なる材料であって、耐紫外線性能、耐酸素性能、耐酸性雨性能等、セメント質硬化体の設置場所等に応じて必要とされる性能に基づいて適宜選択すればよいが、例えば、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を使用することができる。所望とする性能を確保し得る限り、保護層4は、1層からなるものであってもよいし、2層以上に積層されてなるものであってもよく、2層以上積層する場合、各層を構成する材料としては、上記材料から適宜選択して使用することができる。
【0049】
保護層4を構成する材料としては、硬化後の保護層4が無色透明となる材料を使用するのが好ましい。保護層4が無色透明であることで、印字層5の印刷面51に形成された画像(印字層5をインクやトナー等が浸透することにより印字層5の反対側面に形成された画像)を明瞭に視認することができる。
【0050】
なお、セメント質硬化体の表面に形成される画像の耐久性、耐候性等を要しない場合、又は本実施形態に係る画像形成用シート1を用いて画像が形成されたセメント質硬化体の当該画像上に保護層を設ける場合には、本実施形態に係る画像形成用シート1に保護層4が設けられていなくてもよい。この場合においては、剥離層3を構成する材料として、剥離層3の外層シート2に対する粘着力よりも印字層5に対する粘着力が強固な材料を用いてもよいし、その逆であってもよいが、前者であるのが好ましい。
【0051】
印字層5は、保護層4に接する面と反対側の面に、画像が印刷される印刷面51を有するものであって、画像を形成するための液体(インク等)又はトナーが印刷面51側からその反対側(少なくとも保護層4)にまで浸透し得る材料により形成されてなるものである。
【0052】
印字層5が、画像を形成するための液体又はトナーが印刷面51側からその反対側の面にまで浸透し得る材料により形成されていることで、印刷面51に塗布された液体(インク等)又はトナーが少なくとも保護層4に達するように浸透する。そのため、印字層5側をセメント質硬化体に向けるようにしてセメント質硬化体の表面に画像形成用シート1を取り付けることで、セメント質硬化体の表面に画像を形成することができる。
【0053】
印字層5を構成する材料としては、保護層4上に平滑に塗布することができ、画像を形成するための液体(インク等)又はトナーが少なくとも印刷面51と反対側の面にまで浸透し得る材料であれば特に限定されるものではないが、例えば、水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料を含む材料を用いることができる。
【0054】
具体的には、セメント、セメントと石膏との混合物等の水硬性無機質粉末材料;高炉水砕スラグ、シリカフューム、フライアッシュ等の潜在水硬性無機質粉末材料;水硬性又は潜在水硬性無機質粉末材料とポリビニルアルコールとの混合物等を用いることができる。なお、無機質粉末材料の平均粒径(数平均粒子径)は、1〜100μmであるのが好ましく、特に1〜50μmであるのが好ましい。
【0055】
このような構成を有する画像形成用シート1の厚さは、市販されているインクジェットプリンタ又はレーザープリンタにおける印刷媒体として許容され得るものであれば特に限定されるものではないが、例えば、50〜3000μm程度であればよい。
【0056】
したがって、画像形成用シート1を構成する外層シート2、剥離層3、保護層4及び印字層5のそれぞれの厚さは、画像形成用シート1の厚さが上記範囲内になり、かつ各層が所望の効果を奏し得るように、適宜設定すればよい。
【0057】
上述したように画像形成用シート1を製造する方法を説明する。
図2に示すように、まず、所定の大きさの外層シート2を準備し、当該外層シート2上に剥離層3を形成する(S101)。
【0058】
外層シート2上に剥離層3を形成する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、剥離層3を構成する材料を刷毛塗装法、ローラー塗装法、吹付塗装法若しくは浸漬塗装法により外層シート2の一方の面に塗布するか、又はロールコーター、ナイフコーター、ロールナイフコーター、エアナイフコーター、ダイコーター、バーコーター、グラビアコーター、カーテンコーター等の塗工機を用いて外層シート2の一方の面に塗布して、乾燥させればよい。
【0059】
次に、剥離層3上に保護層4を形成する(S102)。剥離層3上に保護層4を形成する方法は、外層シート2上に剥離層3を形成する方法と同様の方法により行えばよい。
【0060】
最後に、保護層4上に印字層5を形成する(S103)。印字層5を形成する方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、印字層5を構成する水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料に対し0.2〜2倍量(質量基準)の水を添加して調製したスラリー状の組成物を保護層4上に塗布し、所定期間乾燥させることで印字層5を形成することができる。
【0061】
上述したような画像形成用シート1を使用してセメント質硬化体の表面に画像を形成する方法について、図3及び図4を参照して説明する。
【0062】
図3に示すように、まず、画像形成用シート1の印字層5における印刷面51に所望の画像を印刷する(S201)。画像を印刷する方法は、特に限定されるものではなく、インクジェットプリンタ、レーザープリンタ、プロッタ等を用いて所望の画像を印刷すればよい。なお、スクリーン印刷により印刷面51に所望の画像を印刷することも可能であるが、当該画像の原版の作製にコストや手間がかかってしまうため、上記プリンタ等を用いて印刷面51に画像を印刷するのが、コスト及び簡便性の観点から好適である。
【0063】
次に、画像が印刷された印刷面51(印字層5)上に定着層6を形成する(S202)。定着層6は、セメント質硬化体10と画像形成用シート1とを確実に固着し得る材料からなるものであれば特に限定されるものではないが、例えば、印字層5と同様の材料を用いればよい。
【0064】
印刷面51(印字層5)上に定着層6を形成する方法は、画像形成用シート1の製造において保護層4上に印字層5を形成する方法と同様の方法により行うことができる。
【0065】
印刷面51(印字層5)上に形成される定着層6の厚さは、5mm以下であるのが好ましく、特に0.5mm〜3mmであるのが好ましい。定着層6の厚さが5mmを超えると、画像形成用シート1が、セメント質硬化体10から剥がれやすくなるおそれがある。
【0066】
次に、セメント質硬化体10を製造するための型枠を用意し、セメント質硬化体10における画像を形成しようとする表面に対応する型枠の内面に、外層シート2が接するようにして画像形成用シート1を固定する(S203)。
【0067】
画像形成用シート1は、型枠内にセメント組成物を流し込んだ際に画像形成用シート1の位置ずれ等が生じない程度に型枠の内面に固定されていればよく、例えば、グリース、接着剤、テープ(両面テープ等)等を介して固定されていればよい。
【0068】
続いて、内面に画像形成用シート1が固定された型枠内にセメント組成物を流し込む(S204)。型枠内に流れ込まれるセメント組成物としては、セメント、水、粗骨材及び細骨材を少なくとも含むコンクリート組成物(生コンクリート)、セメント、水及び細骨材を少なくとも含むモルタル組成物(フレッシュモルタル)等が挙げられる。
【0069】
この際、画像形成用シート1の最外面には定着層6が設けられており、定着層6が所定の強度を有するセメント系材料からなるものであることで、セメント組成物として、粗骨材を含むコンクリート(生コンクリート)が流れ込まれたとしても、コンクリートが流れ込む際の粗骨材等による衝撃から画像形成用シート1を保護することができる。
【0070】
型枠内に流し込まれたセメント組成物を常温又は蒸気養生等により養生して、硬化させ(S205)、脱型する(S206)。これにより、表面に画像形成用シート1が取り付けられたセメント質硬化体10を得ることができる。
【0071】
このようにして得られたセメント質硬化体10は、表面に取り付けられた画像形成用シート1に未だ外層シート2が残存している状態であるため、当該セメント質硬化体10から外層シート2を剥離する(S207)。
【0072】
画像形成用シート1は、定着層6を介してセメント質硬化体10に堅固に取り付けられているため、画像形成用シート1における剥離層3の外層シート2に対する粘着力よりも、保護層4に対する粘着力が強固である場合には、外層シート2のみが剥離される。一方、剥離層3の外層シート2に対する粘着力が、保護層4に対する粘着力よりも強固である場合には、外層シート2とともに剥離層3が剥離されることになる。
【0073】
このようにして表面に画像が形成されたセメント質硬化体10を製造することができるが、セメント質硬化体10の表面に形成された画像の耐久性、耐候性等をより向上させるために、当該画像上にトップコート層(図示せず)を形成する(S208)。
【0074】
画像上に形成されるトップコート層としては、画像形成用シート1における保護層4と同様の材料を用いることができ、画像上にトップコート層を形成する方法としては、画像形成用シート1の製造において剥離層3上に保護層4を形成する方法と同様の方法により行うことができる。
【0075】
このようにして画像が表面に形成されたセメント質硬化体10を製造することができる。かかるセメント質硬化体10は、図4に示すように、セメント質硬化体10の表面に、外層シート2が剥離された画像形成用シート(剥離層3、保護層4及び印字層5)が定着層6を介して固着されている。そして、印字層5の印刷面51に印刷された画像は、印字層5が浸透性を有することで、保護層4側にまで画像を形成するための液体(インク等)又はトナーが達しているため、保護層4側(セメント質硬化体10の最外面側)から高解像度の画像として視認することができる。よって、高解像度の画像が表面に形成されてなるセメント質硬化体10とすることができる。
【0076】
上述したように、本実施形態に係る画像形成用シート1は、印字層5の印刷面51に所望の画像を印刷することで、画像を形成するための液体(インク等)又はトナー等が印刷面51の反対側の面にまで浸透し、当該反対側の面から高解像度の画像を視認することができるため、当該画像形成用シート1を印字層5側がセメント質硬化体の表面に対向するようにして取り付けることで、セメント質硬化体の表面に容易に高解像度の画像を形成することができる。
【0077】
また、本実施形態に係る画像形成用シート1は、表面に画像が形成されてなるセメント質硬化体を製造しようとする者が表面に形成したいと希望する画像を、市販のプリンタ等を用いて簡単に印刷することができるため、セメント質硬化体の表面に画像を形成するためのシートとして汎用性の高いものとすることができる。
【0078】
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0079】
例えば、上記実施形態においては、剥離層3及び保護層4として硬化後に無色透明である材料を使用しているが、画像を形成するための液体(インク等)又はトナー等が浸透し得る材料を当該剥離層3及び保護層4を構成する材料として使用すれば、剥離層3及び保護層4として硬化後に無色透明である材料を使用しなくてもよい。
【0080】
また、上記実施形態においては、表面に画像が形成されたセメント質硬化体10における印字層5と定着層6との間に、畜光性塗料や再帰反射性塗料等からなる光輝層が設けられていてもよい。これにより、当該セメント質硬化体10において、印刷面51の背景を発光させることができる。なお、この場合、印刷面51に画像が印刷された画像形成用シート1の印字層5上に畜光性塗料や再帰反射性塗料等を塗工して光輝層を形成し、さらに光輝層上に定着層6を形成すればよい。
【0081】
さらに、上記実施形態においては、画像形成用シート1における外層シート2を容易に剥離するために剥離層3が設けられている。しかし、外層シート2の材料と印字層5の材料との組み合わせや、印字層5の配合によっては、剥離層3が設けられていなくても外層シート2を容易に、かつきれいに剥離することができ、例えば、外層シート2としてポリエチレンフィルムのような表面平滑性を有する材料を使用し、印字層5として水硬性又は潜在水硬性無機質粉末材料とポリビニルアルコールとの混合物を使用し、かつ当該混合物における水硬性又は潜在水硬性無機質粉末材料に対するポリビニルアルコールの比(質量比)及び当該無機質粉末材料に対する水の比(質量比)が大きい場合には、剥離層3が設けられていなくても、外層シート2を容易に、かつきれいに剥離することができる。したがって、このような場合には、画像形成用シート1に剥離層3が設けられていなくてもよい。この場合においては、外層シート1上に印字層5を直接積層することにより画像形成用シート1を製造することができるため、画像形成用シート1の製造コスト、ひいては画像が形成されてなるセメント質硬化体10の製造コストを低減することができ、また画像形成用シート1の製造工程を簡略化することができる。
【0082】
さらにまた、上記実施形態においては、画像形成用シート1が保護層4を有し、かつ当該画像形成用シート1が固着されたセメント質硬化体10における画像形成用シート1(剥離層3)上にトップコート層が形成されているが、これに限定されるものではなく、画像の耐久性、耐候性等が必要でない場合には、保護層4及びトップコート層を備えていなくてもよく、また画像の耐久性、耐候性等が必要である場合であっても、保護層4及びトップコート層のいずれか一方が設けられていればよい。
【0083】
また、上記実施形態においては、画像形成用シート1がセメント質硬化体10の表面に取り付けられた後、画像形成用シート1の外層シート2のみが剥離されているが、これに限定されるものではなく、外層シート2とともに剥離層3が剥離されるようにしてもよい。
【0084】
なお、上記実施形態においては、脱型して得られたセメント質硬化体(画像形成用シート1が固着されたセメント質硬化体)から外層シート2を剥離しているが、これに限定されるものではなく、画像形成用シート1の外層シート2を型枠内面に強固に取り付け、脱型の際に型枠とともに外層シート2のみが除去されるようにしてもよい。これにより、セメント質硬化体から外層シート2を剥離する工程を省略することができる。
【実施例】
【0085】
以下、実施例等を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等により何ら限定されるものではない。
【0086】
〔実施例1〕画像形成用シートの製造
ポリビニルアルコール水溶液(PVA濃度:8質量%)にポリエステルフィルム(東レ社製,製品名:ルミラー,210mm×297mm,厚さ:0.1mm)の片面を浸漬させながら、ポリエステルフィルムの端部にPVA水溶液を刷毛で塗布した。その後、ポリエステルフィルムを引き上げて余分なPVA水溶液を除去し、乾燥させることで、ポリエステルフィルムからなる外層シート上にPVAからなる剥離層を形成した。
【0087】
外層シートにおける剥離層側の面を、水性エポキシ樹脂(ニッペホームプロダクツ社製,製品名:水性エポキシ)に浸漬させながら、当該外層シートの端部に刷毛で水性エポキシ樹脂を塗布した。その後、当該外層シートを引き上げて余分な水性エポキシ樹脂を除去し、乾燥させることで、剥離層上に水性エポキシ樹脂からなる保護層を形成した。
【0088】
そして、ポリビニルアルコール、白色セメント(太平洋セメント社製)及び水からなるセメントスラリー(ポリビニルアルコール(固形分):白色セメント:水=0.08:1.25:1.17(質量基準))を調製し、外層シートにおける保護層側の面を、調製したセメントスラリーに浸漬させながら、当該外層シートの端部に刷毛でセメントスラリーを塗布した。その後、当該外層シートを引き上げて余分なセメントスラリーを除去し、乾燥させることで、保護層上にセメント組成物からなる印字層を形成し、画像形成用シート(厚さ:550μm)を得た。
【0089】
このようにして得られた画像形成用シートの印字層における印刷面上に、インクジェットプリンタ(キャノン社製,製品名:PIXUS PRO 9000 MK2)を用いて画像を印刷したところ、極めて高い解像度の画像が画像形成用シートの外層シート側(画像形成用シートにおける印刷面と反対側の面)から視認し得ることが確認された。
【0090】
〔実施例2〕コンクリート硬化体の製造
実施例1で得られた、画像が印刷されてなる画像形成用シートの印字層上にポリビニルアルコール、白色セメント(太平洋セメント社製)及び水からなるセメントスラリー(ポリビニルアルコール(固形分):白色セメント:水=0.32:7.00:3.68(質量基準))を調製し、画像形成用シートにおける印字層側の面を、調製したセメントスラリーに浸漬させながら、当該画像形成用シートの端部に刷毛でセメントスラリーを塗布した。その後、当該画像形成用シートを引き上げて余分なセメントスラリーを除去し、乾燥させることで、印字層上にセメント組成物からなる定着層を形成した。
【0091】
木製の型枠(30×30×6cm)を用意し、定着層が形成された画像形成用シートにおける定着層と反対側の面と型枠の内面とが接するようにして、固形グリースを介して型枠の内面に画像形成用シートを固定した。
【0092】
表1に示す配合に従い、パン型ミキサ(50L)を用いて各コンクリート原料を90秒混練して得られた生コンクリートを、上記型枠内に打設した。コンクリートの打設にあたり、棒状バイブレータを用いて5秒間、3回に分けて振動締固めを行った。
【0093】
【表1】

【0094】
コンクリート硬化体の養生は、20℃60%RHの部屋で3日間行い、材齢3日において脱型して、その後外層シートを除去することで、画像が表面に形成されてなるコンクリート硬化体を得た。得られたコンクリート硬化体のカラー写真を図5に示す。
【0095】
図5に示すように、実施例1で得られた画像形成用シートを用いて実施例2のようにしてコンクリート硬化体を製造することで、コンクリート硬化体の表面に極めて高い解像度の画像を形成し得ることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0096】
本発明の画像形成用シートは、モルタル硬化体、コンクリート硬化体等のセメント質硬化体の表面に高解像度の画像を形成するのに有用である。
【符号の説明】
【0097】
1…画像形成用シート
2…外層シート
3…剥離層
4…保護層
5…印字層
51…印刷面(画像形成面)
6…定着層
10…セメント質硬化体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セメント質硬化体の表面に画像を形成するために用いられる画像形成用シートであって、
外層シートと、
画像が形成される画像形成面を有し、前記外層シート上に設けられている印字層と
を備え、
少なくとも前記印字層が、画像を形成するための液体又はトナーが前記画像形成面側から当該画像形成面と反対側の面にまで達するように浸透し得る材料により形成されていることを特徴とする画像形成用シート。
【請求項2】
前記印字層が、水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料を含む材料により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の画像形成用シート。
【請求項3】
前記外層シートと前記印字層との間に、前記外層シートに接するようにして剥離層が剥離可能に設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成用シート。
【請求項4】
前記印字層における前記画像形成面と反対側の面上に保護層が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成用シート。
【請求項5】
前記外層シートが、難吸水性材料からなるフィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の画像形成用シート。
【請求項6】
前記画像形成面に画像が形成されていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の画像形成用シート。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成用シートが定着層を介して表面に固着され、少なくとも前記画像形成用シートの前記外層シートが剥離されてなることを特徴とするセメント質硬化体。
【請求項8】
前記定着層が、水硬性又は潜在水硬性を有する無機質粉末材料を含む材料からなることを特徴とする請求項7に記載のセメント質硬化体。
【請求項9】
前記セメント質硬化体の表面に固着され、前記外層シートが剥離された前記画像形成用シート上に保護層が形成されてなることを特徴とする請求項7又は8に記載のセメント質硬化体。
【請求項10】
表面に画像が形成されてなるセメント質硬化体を製造する方法であって、
セメント質硬化体製造用型枠の型枠面に、請求項6に記載の画像形成用シートを前記外層シートと前記型枠面とが当接するようにして設置する工程と、
前記セメント質硬化体を構成する水硬性組成物を前記型枠内に流し込む工程と
を含むことを特徴とするセメント質硬化体の製造方法。
【請求項11】
前記画像形成用シートの印字層上に定着層を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項12】
硬化したセメント質硬化体を脱型し、前記外層シートを剥離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項10又は11に記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項13】
前記外層シートを剥離した後、前記セメント質硬化体の表面に固着された前記画像形成用シート上に保護層を設ける工程をさらに含むことを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載のセメント質硬化体の製造方法。
【請求項14】
セメント質硬化体の表面に画像を形成する方法であって、
請求項6に記載の画像形成用シートを、前記印字層をセメント質硬化体の表面に対向させるようにして、セメント質硬化体の表面に固着させる工程を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
前記セメント質硬化体の表面に定着層を介して前記画像形成用シートを固着させることを特徴とする請求項14に記載の画像形成方法。
【請求項16】
前記セメント質硬化体の表面に固着させた前記画像形成用シートから前記外層シートを剥離する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成方法。
【請求項17】
前記外層シートが剥離された前記画像形成用シート上に保護層を形成する工程をさらに含むことを特徴とする請求項14〜16のいずれかに記載の画像形成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−161865(P2011−161865A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−29192(P2010−29192)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000000240)太平洋セメント株式会社 (1,449)
【出願人】(504137912)国立大学法人 東京大学 (1,942)
【Fターム(参考)】