説明

画像形成管理装置、画像形成管理システムおよび画像形成管理プログラム

【課題】画像形成装置の画像形成状況に関する情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる画像形成管理装置、画像形成管理システム及び画像形成管理プログラムを提供する。
【解決手段】プリンタ100は、印刷ジョブの開始通知及び終了通知と、印刷速度とをサーバ200に送信する(S104,S109)。サーバ200は、開始通知と終了通知とを受信した開始時刻と終了時刻とを取得し(S202,S211)、取得した開始時刻と終了時刻と、受信した印刷速度とに基づいて、該印刷ジョブの印刷枚数を演算する(S212)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の画像形成動作を管理するために画像形成装置と通信可能な画像形成管理装置、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信により画像形成装置の現在の画像形成状況を管理する画像形成管理システム、及び画像形成管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載の画像形成管理システムでは、プリンタなどの画像形成装置の使用状況を把握するために、印刷ジョブに基づく印刷処理の終了後に、画像形成装置は、その印刷ジョブにより印刷された用紙の枚数及び印刷命令を発したユーザ等の情報を履歴情報としてプリントサーバに書き込んでいる。
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のシステムでは、画像形成装置は印刷ジョブの終了後に履歴情報をプリントサーバに書き込んでいるので、例えば、印刷枚数が複数枚となる印刷ジョブの印刷途中で、プリントサーバと画像形成装置との間の通信路に障害が発生した場合には、画像形成装置はその印刷ジョブに関する履歴情報をプリントサーバに書き込むことができない。このため、プリントサーバは、印刷枚数などの履歴情報が不完全であることから、画像形成装置の現在の使用状況を的確に把握することができない。
【0004】
画像形成装置の現在の使用状況を可能な限り的確に把握するための1つの解決方法としては、印刷枚数が複数枚となる印刷ジョブの印刷処理において、1ページの印刷データを印刷する度に、その履歴情報をプリントサーバに書き込む方法が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−67174号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、プリンタなどの画像形成装置の性能が向上し、印刷処理が高速化されるようになった。この印刷処理の高速化の状況下で、上記の解決方法を実施した場合、高速化された印刷処理に伴って履歴情報をプリンタサーバに書き込む頻度が多くなる。この結果、書き込み頻度が多くなることにより、プリントサーバと画像形成装置との間の通信路にかかる負荷が高くなってしまう問題が発生する。
【0007】
本発明は上記の問題に鑑みて成されたものであって、画像形成装置の画像形成状況に関する情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制しつつ、画像形成装置の画像形成状況を把握する正確性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題の解決を目的としてなされた画像形成管理システムは、画像形成ジョブに基づいて所定の画像形成動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と、該画像形成装置の画像形成状況に関連する情報を管理するために、画像形成装置と通信可能な画像形成管理装置と、を含む画像形成管理システムであって、前記画像形成ジョブが開始された開始時刻と、前記画像形成ジョブが終了された終了時刻とを検知する検知部と、前記画像形成ジョブに基づいて画像を形成するための画像形成速度を取得する取得部と、前記検知部が検知した開始時刻及び終了時刻と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算部と、を備え、前記演算部は、前記画像形成管理装置に設けられることを特徴としている。
【0009】
この構成によれば、画像形成ジョブの開始時刻と終了時刻と、画像形成速度とに基づいて、画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する。これにより、画像形成装置の画像形成状況に関する情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0010】
また、前記検知部は、前記画像形成ジョブが開始された時に開始通知を発生し、前記画像形成ジョブが終了された時に終了通知を発生し、その発生した各通知を前記画像形成管理装置に送信するために前記画像形成装置に設けられる通知送信部と、前記画像形成管理装置が前記開始通知を受信した時刻を前記開始時刻として決定し、前記画像形成管理装置が前記終了通知を受信した時刻を前記終了時刻として決定し、前記画像形成管理装置に設けられる計時部と、を含む。
【0011】
この構成によれば、画像形成装置は画像形成ジョブの開始通知と終了通知とを送信するのみで、画像形成管理装置は開始通知および終了通知を受信した開始時刻および終了時刻を用いて動作回数を演算する。これにより、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0012】
また、前記取得部は、前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度を前記画像形成管理装置に送信するために前記画像形成装置に設けられる速度送信部と、前記速度送信部が送信した画像形成速度を、前記動作回数を演算するための画像形成速度として受信するために前記画像形成管理装置に設けられる速度受信部と、を含む。
【0013】
この構成によれば、画像形成装置は画像形成ジョブの画像形成速度を送信するのみで、画像形成管理装置は受信した画像形成速度を用いて動作回数を演算する。これにより、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0014】
また、本発明の画像形成管理システムは、前記画像形成ジョブを実行する間に、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度の変更があるか否かを判断する速度判断部を備え、前記検知部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した速度変更時刻を検知し、前記取得部は、変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度を取得し、前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻、終了時刻及び速度変更時刻と、前記取得部が取得した変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算することを特徴としている。
【0015】
この構成によれば、画像形成ジョブの実行途中に、画像形成速度が変更されても、画像形成ジョブの速度変更時刻と、変更後の画像形成速度とを用いて、動作回数を演算する。これにより、画像形成装置の画像形成状況に関する変更情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0016】
また、前記通知送信部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した時に速度変更通知を発生し、その発生した通知を前記画像形成管理装置に送信し、前記計時部は、前記画像形成管理装置が前記速度変更通知を受信した時刻を速度変更時刻として決定し、前記取得部は、変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度を取得し、前記演算部は、前記計時部が決定した開始時刻、終了時刻及び速度変更時刻と、前記取得部が取得した変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する。
【0017】
この構成によれば、画像形成装置は画像形成ジョブの速度変更通知を送信するのみで、画像形成管理装置は速度変更通知を受信した速度変更時刻を用いて、動作回数を演算する。これにより、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0018】
また、前記速度送信部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した時、変更後の画像形成速度を前記画像形成管理装置に送信し、前記速度受信部は、前記速度送信部が送信した前記変更後の画像形成速度を、前記動作回数を演算するための画像形成速度として受信する。
【0019】
この構成によれば、画像形成装置は画像形成ジョブの変更後の画像形成速度を送信するのみで、画像形成管理装置は受信した変更後の画像形成速度を用いて、動作回数を演算する。これにより、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0020】
また、前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻から終了時刻までの間、所定ページ数の画像を形成する形成時間が経過するたびに、前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を計数する。
【0021】
この構成によれば、画像形成ジョブの開始時刻から終了時刻までの間、所定ページのデータを形成する形成時間が経過するたびに、動作回数を計数する。これにより、画像形成装置の画像形成状況に関する情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0022】
また、本発明の画像形成管理システムは、前記画像形成ジョブの実行中に、前記画像形成装置と前記画像形成管理装置との間の通信が正常であるか否かを、所定の周期で繰り返し判断する通信判断部を備え、前記演算部は、前記画像形成装置と前記画像形成管理装置との間の通信が正常であると前記通信判断部が判断している間、前記検知部が検知した開始時刻から前記通信判断部が正常であると判断した時刻までの経過時間と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記動作回数を演算することを特徴としている。
【0023】
この構成によれば、所定の周期で画像形成装置と画像形成管理装置との間の通信が正常であるか否かを判断することで、画像形成動作を行った動作回数が正しく演算でき、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。また、画像形成装置と画像形成管理装置との間の通信が正常でないと判断された場合、開始時刻から前回通信が正常と判断された時刻までの間における動作回数が演算されたため、画像形成動作を行った動作回数が正しく演算できる。
【0024】
また、前記通信判断部が正常でないと判断した場合、前記検知部は、前記通信判断部が正常でないと判断した時刻を終了時刻と決定し、前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻と、前記決定した終了時刻と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記動作回数を演算する。
【0025】
この構成によれば、画像形成装置と画像形成管理装置との間の通信が正常でないと判断した場合、開始時刻から通信が正常でないと判断されるまでの間における動作回数を演算する。これにより、簡単の処理で画像形成動作を行った動作回数が正しく演算でき、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【0026】
また、本発明は、画像形成ジョブに基づいて所定の画像形成動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と通信可能であり、画像形成動作を管理する画像形成管理装置であり、前記画像形成ジョブが開始されたことを示す開始通知と、前記画像形成ジョブが終了されたことを示す終了通知とを、前記画像形成装置から受信する通知受信部と、前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための画像形成速度を前記画像形成装置から受信する速度受信部と、前記通知受信部が前記開始通知を受信した時刻を開始時刻として決定し、前記通知受信部が前記終了通知を受信した時刻を終了時刻として決定する計時部と、前記計時部が決定した開始時刻及び終了時刻と、前記速度受信部が受信した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算部と、を備える。
【0027】
また、本発明は、印刷ジョブに基づいて所定の印刷動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と通信可能であり、印刷動作を管理する画像形成管理装置のコンピュータにより実行される画像形成管理プログラムであり、前記画像形成ジョブが開始されたことを示す開始通知と、前記画像形成ジョブが終了されたことを示す終了通知とを、前記画像形成装置から受信する通知受信ステップと、前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための画像形成速度を前記画像形成装置から受信する速度受信ステップと、前記通知受信ステップにおいて前記開始通知を受信した時刻を開始時刻として決定し、前記通知受信ステップにおいて前記終了通知を受信した時刻を終了時刻として決定する計時ステップと、前記計時ステップにおいて決定した開始時刻及び終了時刻と、前記速度受信ステップにおいて受信した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算ステップと、をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、画像形成装置の画像形成状況に関する情報を画像形成管理装置に送信する際に、画像形成管理装置と画像形成装置との間の通信路にかかる負荷を抑制し、画像形成装置の画像形成状況を的確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるプリンタ管理システムの電気的構成を示すブロック図
【図2】図1に示したプリンタの内部構成を示す概念図
【図3】プリンタにおける印刷条件および印刷速度の対応関係テーブル
【図4】第1の実施形態における印刷制御処理を示すフローチャート
【図5】第1の実施形態における管理制御処理を示すフローチャート
【図6】第1の実施形態におけるプリンタとサーバとの間の通信の一例を示すシーケンス図
【図7】本発明の第2の実施形態における管理制御処理を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0030】
<第1の実施形態>
本発明の第1の実施形態に係るプリンタ管理システムについて、図1ないし図6を参照して説明する。
【0031】
[本実施形態の構成]
図1に示したように、プリンタ100と、LANなどの通信路60を介してプリンタの使用状況を管理するサーバ200とからなるプリンタ管理システムである。
1.プリンタ100の構成
図1に示したように、プリンタ100は、印刷部11、センサ12、制御部15、及びネットワークインターフェイス16を備えている。また、ユーザによる各種の指示の入力を受け付ける複数のボタンを有する操作部13と、ディスプレイまたはランプ等を備え、各種のメッセージまたは設定画面等を表示する表示部14と、時間の経過を計測するタイマ17とが設けられている。
【0032】
印刷部11は、図2に示すように、4つのプロセス部30と、定着器31とを備えている。4つのプロセス部30は、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのトナーを収容し、感光ドラムを備えている。各プロセス部30は、公知の電子写真方式により用紙上にトナー像を転写する。トナー像が転写された用紙は、続いて定着器31に搬送され、そこでトナー像が用紙に熱定着される。
【0033】
図示しないギヤ、プーリ及びベルト等から成る伝動機構を介して、ピックアップローラ、レジストレーションローラ、感光ドラム、現像ローラ、定着ローラ、排出ローラ等、搬送路における各種回転体を同期的に回転駆動するメインモータ(図示せず)が設けられる。メインモータが駆動する各種回転体により、用紙が一定の搬送速度で搬送される。その場合、各種回転体は用紙の搬送速度に比例する駆動速度で駆動される。それらの各種回転体の回転によって、印刷データの印刷動作が実行される。本実施形態において、用紙の搬送速度は印刷データの印刷速度に相当する。
【0034】
また、搬送路における印刷部11の上流側には、用紙が通過したか否かを検知するためのセンサ12が設けられている。該センサ12は、搬送された用紙の先端の通過を検知し、検知信号を発生する。
【0035】
制御部15は、特定用途向け集積回路(ASIC)により構成されており、CPU15A、ROM15B、およびRAM15Cを有している。また,制御部15は,印刷部11,操作部13、および表示部14と電気的に接続される。印刷部11、操作部13、および表示部14は制御部15によって制御され,それぞれが独立して動作する。
【0036】
ROM15Bは、後述する印刷制御処理など、プリンタ100の各種動作を実行するための制御プログラムと、印刷条件および印刷速度の対応関係テーブル(図3参照)の各設定値とを記憶している。
【0037】
本実施形態において、印刷データの印刷条件によって、プリンタ100の印刷速度が変わり、すなわち、メインモータの駆動速度が変わる。例えば、図3に示すように、メインモータは、モノクロの印刷データの場合、最高駆動速度で各種回転体を駆動し、カラーの印刷データの場合、最高駆動速度の1/2の速度で駆動する。また、該メインモータは、普通紙に印刷する場合、最高駆動速度で各種回転体を駆動し、光沢紙に印刷する場合、最高駆動速度の1/2の速度で駆動する。
【0038】
なお、一般的、プリンタ100の出荷時、該プリンタの最高印刷速度、すなわち、単位時間当たりの最大印刷枚数が予め定められている。例えば、最高印刷速度は40ppm(pages per minute)と定められると、プリンタ100は1分間当たりに、最大40枚を印刷できる。
【0039】
CPU15Aは、ROM15Bから読み出したプログラムに従ってプリンタ100の各部の動作を制御する。
【0040】
RAM15Cは、CPU15Aの作業領域、外部の端末装置50(図1参照)から受信した印刷ジョブを記憶する記憶領域等として用いられる揮発性のメモリである。
【0041】
ネットワークインターフェイス16は、LANなどの通信路60に接続され、その通信路60に接続されたサーバ200、および外部の端末装置50等との間でデータ通信を行う。
【0042】
なお、端末装置50は、印刷データを作成するためのアプリケーションソフト、およびプリンタ100の動作を制御するためのプリンタドライバなどの各種プログラムを記憶している。また、端末装置50は、LANなどの通信路60を介して外部のプリンタ100等に接続され、相互のデータ通信が可能となっている。
【0043】
ここで、ユーザが、端末装置50の操作部(図示せず)により印刷したい印刷データを指定し、そして、プリンタドライバを起動すると、印刷設定画面が表示部(図示せず)に表示される。ユーザは、指定された印刷データについて、操作部により各種の印刷条件を設定することができる。ここで設定可能な印刷条件には、例えば、カラーモードまたはモノクロモードで印刷を行うかの設定、および印刷用の用紙サイズの設定などが含まれる。ユーザが印刷条件の設定を終えた後、操作部から印刷実行の指示を入力すると、それらの設定された印刷条件はヘッダ情報として、印刷データに付加されることにより、印刷ジョブが生成される。この生成された印刷ジョブはプリンタ100に送信される。
2.サーバ200の構成
図1に示したように、サーバ100は、記憶部21と、キーボードまたはポインティングデバイスからなる操作部22と、液晶ディスプレイ等からなる表示部23と、制御部25とを備えている。また、サーバ100は、通信路60を介して外部のプリンタ100等に接続され、相互のデータ通信が可能となっているネットワークインターフェイス24と、時間の経過を計測するタイマ26と、時刻を計時するクロック27とを備えている。
【0044】
記憶部21は、プリンタ100の印刷動作に伴う装置使用状況の情報を管理するための各カウント値を記憶している。以降、印刷動作に伴う装置使用状況の情報をカウント対象動作情報と略称する。本実施形態において、印刷枚数をカウント対象動作情報とする。
【0045】
制御部25は、特定用途向け集積回路(ASIC)により構成されており、CPU25A、ROM25B、およびRAM25Cを有している。また,制御部25は,操作部22、表示部23およびクロック27と電気的に接続される。操作部22、表示部23およびクロック27は制御部25によって制御され,それぞれが独立して動作する。
【0046】
ROM25Bは、後述する管理制御処理など、サーバ200の各種動作を実行するための制御プログラム、および各設定値を記憶している。
【0047】
CPU25Aは、ROM22から読み出したプログラムに従ってサーバ200の各部の動作を制御する。
【0048】
RAM25Cは、CPU25Aの作業領域、後述するプリンタ100から受信した印刷開始通知、印刷終了通知及び印刷速度などの情報を一時記憶する一時記憶領域等として用いられる。
【0049】
[本実施形態の動作及び作用]
図4は、プリンタ100のCPU15Aにより行われる印刷制御処理のフローチャートである。図5は、サーバ200のCPU25Aにより行われるプリンタ100の印刷枚数に対する管理制御処理のフローチャートである。
1.プリンタ100側の動作(印刷制御処理)
図4に示すように、プリンタ100の電源が投入されている間、CPU15Aによって該印刷制御処理が継続的に実行される。またCPU15Aは、印刷制御処理に並行して端末装置50からの印刷ジョブの受け付けを行う。受信された印刷ジョブはRAM15Cに記憶され、受信した順番に従って、1つずつ印刷される。
【0050】
まず、S101にて、RAM15Cに未印刷の印刷ジョブがあるかどうかを判断される。RAM15Cに未印刷の印刷ジョブがなければ(S101:No)、新たな印刷ジョブが受信されるまでプリンタ100は待機する。
【0051】
一方、RAM15Cに未印刷の印刷ジョブがあれば(S101:Yes)、先頭の印刷ジョブを印刷対象とし、該印刷ジョブが解析される(S102)。ここで、該印刷ジョブのヘッダ情報から印刷条件が取得される。図3の印刷条件および印刷速度の対応関係テーブルは、印刷ジョブの印刷データに関する各ページの印刷条件に対応する印刷速度を定める。各ページの印刷速度が、ヘッダ情報から取得された各ページの印刷条件に対応して、対応関係テーブルから取得される。取得された各ページの印刷速度はRAM15Cに記憶される。
【0052】
そして、メインモータにより各種回転体が該印刷ジョブの最初ページの印刷速度で回転され、給紙トレイから1枚の用紙が搬送される。該最初の用紙の先端が搬送路上のセンサ12を通過するまで、印刷部11が待機する(S103:No)。
【0053】
該最初の用紙の先端がセンサ12を通過したら、センサ12がCPU15Aに検知信号を発生する。CPU15Aは検知信号を受けたら(S103:Yes)、該印刷ジョブの印刷が開始されたと認識し、該印刷ジョブの印刷が開始されたことを通知する印刷開始通知及び取得された最初のページの印刷速度Vをサーバ200に送信する(S104)。
【0054】
その場合、予め定められた第1時間がタイマTM1にセットされ、タイマTM1の時間T1のカウントダウンが開始される(S105)。タイマTM1は、タイマ17に含まれるタイマである。また、印刷ジョブの印刷が開始されると、プリンタ100は時間T1毎に、サーバ200との間の通信路60が正常であるかを確認する。この確認動作の詳細は後述される。
【0055】
そして、印刷部11によって、1ページの印刷データが搬送された用紙に印刷される(S104)。RAM15Cを確認し、次のページの印刷データがなければ(S107:No)、最後の用紙の先端がセンサ12を通過したことを検知するまで、印刷部11の動作が継続される(S108:No)。
【0056】
該最後の用紙の先端がセンサ12を通過したと検知した場合(S108:Yes)、印刷部11の動作が停止され、該印刷ジョブの印刷が終了したことを通知する印刷終了通知がサーバ200に送信され(S109)、S101に移行される。
【0057】
次のページの印刷データがあれば(S107:Yes)、S110にて、印刷速度の変化があるか否かを判断する。1つの印刷ジョブの印刷データに対する印刷条件は全て同じであれば、印刷が終了するまで、メインモータにより各種回転体が一定な駆動速度で駆動され、印刷速度は変わらない。しかし、各ページの印刷データに対する印刷条件が異なる場合であれば、ページ毎にメインモータの駆動速度、すなわち印刷速度が変化する。
【0058】
より具体的に、S102の解析によって、RAM15Cに記憶されている各ページの印刷速度のうちから、次に印刷されるページの印刷速度Vが取得される。次のページの印刷速度の変化がなければ(S110:No)、S113に移行される。
【0059】
一方、次のページの印刷速度の変化があると判断された場合(S110:Yes)、現在の印刷速度Vが印刷速度Vに変更される(S111)。そして、印刷速度が変更されたことを通知する印刷速度変更通知と変更された印刷速度Vとがサーバ200に送信される(S112)。後述の処理において、次のページの印刷データは変更された印刷速度で用紙に印刷される。
【0060】
印刷ジョブの印刷が開始されると、プリンタ100は第1時間毎に、サーバ200との間の通信路60が正常であるか否かを確認する。なお、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は外部要因で中断されることが考えられる。例えば、外部要因として、プリンタ100またはサーバ200に接続されているケーブルがユーザにより誤って外されたり、壊れたりすることが挙げられる。そのため、印刷ジョブの印刷開始から第1時間毎にプリンタ100から印刷中通知をサーバ200へ送信する処理と、および後述のサーバ200による管理制御処理におけるS206(図5)の処理とを実行することで、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常であるか否かを確認できる。なお、上記タイマTM1にセットされる予め定められた第1時間は、通信路60の通信に影響しないように、1ページの印刷データの印刷時間以上になるような時間であることが好ましい。なぜなら、該第1時間を1ページの印刷データの印刷時間より短く設定すると、従来1ページの印刷データを印刷する度に、その履歴情報をプリントサーバに書き込むのと同じ頻度で通信することになり、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60に負荷がかかってしまう。また、タイマTM1の時間T1は、印刷ジョブの印刷が終了した場合リセットされ、新たな印刷ジョブの印刷が開始されるまでカウントダウンされない。
【0061】
より具体的に、該印刷ジョブの印刷開始から第1時間が経過したか、すなわち、時間T1が0になったか否かが判断される(S113)。時間T1が0になっていなければ(S113:No)、S106に移動され、引き続き1ページの印刷データが用紙に印刷される。
該印刷ジョブの印刷開始から第1時間が経過した、すなわち、時間T1が0になったと判断されたら(S113:Yes)、CPU15Aは該印刷ジョブの印刷が進行中であることを通知する印刷中通知をサーバ200に送信する(S114)。
【0062】
その場合、時間T1がリセットされ、再びカウントダウンが開始されると同時に、予め定められた第2時間がタイマTM2にセットされ、タイマTM2の時間T2のカウントダウンも開始される(S115、S116)。なお、タイマTM2は、タイマ17に含まれる。また、プリンタ100から印刷中通知を送信してから第2時間以内に、サーバ200から応答通知を受信したか否かを判断することで、通信路60が正常であるかを確認する。
【0063】
プリンタ100は、印刷中通知を送信してから第2時間以内に、応答通知を受信するまで、データの受信をチェックし続ける(S117:Yes,S118:No)。
【0064】
印刷中通知が送信されてから第2時間以内、すなわち、時間T2が0より大きい場合(S117:Yes)で、サーバ200からの応答通知が受信された場合(S118:Yes)には、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常であるので、S106に移行し、該印刷ジョブの印刷を継続させる。これにより、時間T2はリセットされ、印刷中通知が再度送信されるまでカウントダウンされない。
【0065】
一方、第2時間が経過しても、サーバ200からの応答通知が受信されない場合、すなわち、時間T2が0以下である場合(S117:No)、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常でないと判断される。CPU15Aは該印刷ジョブの印刷を中断させ、通信路60が正常でないなどのエラーメッセージを表示部14に表示し(S119)、S101に移行される。
【0066】
プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常でない場合、プリンタ100が印刷を継続すると、後述のサーバ200が印刷枚数を正しくカウントアップできなくなるので、直ちに印刷を中断させることが好ましい。そして、該中断された印刷ジョブがRAM15Cから削除される。
2.サーバ200側の動作(管理制御処理)
図5に示すように、サーバ200に電源が投入されている間、CPU25Aにより該管理制御処理が実行される。また、CPU25Aは、管理制御処理に並行してプリンタ100からのデータの受け付けを常時行う。
【0067】
CPU25Aはデータの受信のチェックを行い、プリンタ100から送信された印刷対象となる印刷ジョブの印刷開始通知と印刷速度Vとが受信されるまで(S201:No)、サーバ200を待機させる。印刷対象となる印刷ジョブの印刷開始通知と印刷速度Vとが受信されたら(S201:Yes)、クロック27から受信時刻Aが取得され、印刷速度Vとともに記憶部21に記憶される(S202)。
【0068】
その場合、予め定められた第3時間がタイマ26にセットされ、タイマ26の時間T3のカウントダウンが開始される(S203)。サーバ200との間の通信路60が正常であるかを確認するために、プリンタ100は印刷ジョブの印刷開始から予め定められた第1時間毎に、サーバ200に印刷中通信を送る。この印刷中通知の送信に対して、サーバ200は該印刷ジョブの印刷開始通知を受信してから第3時間以内に、プリンタ100からの印刷中通信が受信されたか否かをチェックする。なお、プリンタ100は第1時間が経過してから印刷中通知をサーバ200に送信するので、送信中、通信路60の通信環境による遅延を考慮することで、予め定められた第3時間は予め定められた第1時間よりやや長いほうが好ましい。
【0069】
より具体的に、該印刷ジョブの印刷開始通知が受信されてから第3時間が経過したか否か、すなわち、時間T3が0になったか否かが判断される(S204)。第3時間以内、すなわち、時間T3が0より大きく(S204:Yes)、プリンタ100からの印刷中通知が受信された場合(S205:Yes)、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常であるので、印刷中通知が受信されたことを通知する応答通知がプリンタ100に送信される(S206)。そして、時間T3はリセットされ、再びカウントダウンが開始され(S207)、S204に移行される。
【0070】
また、時間T3が0より大きく(S204:Yes)、かつ、印刷中通知が受信されていない場合(S205:No)、CPU25Aはプリンタ100から印刷速度変更通知と変更した印刷速度Vが受信されたかを判断する(S208)。
【0071】
印刷速度変更通知が受信された場合(S208:Yes)、クロック27から受信時刻Cが取得され、変更された印刷速度Vとともに記憶部21に記憶され(S209)、S204に移行される。このように、1つの印刷ジョブの印刷中に印刷速度が変更される場合、記憶部21は、最初のページの印刷速度V、変更された印刷速度V(n=1、2、3、・・・)、受信時刻A、および受信時刻C(n=1、2、3、・・・)を記憶する。
【0072】
印刷中通知も、印刷速度変更通知も受信されていない場合(S208:No)、CPU25Aはプリンタ100から該印刷ジョブの印刷終了通知が受信されたか否かを判断する(S210)。印刷終了通知も受信されていないと判断された場合(S210:No)、S204に移行される。
【0073】
該印刷ジョブの印刷終了通知が受信された場合(S210:Yes)、印刷終了通知の受信時刻Bが同じくクロック27から取得され(S211)、記憶部21に記憶される。
【0074】
そして、CPU25Aは、記憶部21に記憶されている印刷速度V、受信時刻A、および受信時刻Bなどの情報を用いて該印刷ジョブの印刷枚数Zを演算し、演算された値を記憶部21に記憶させ(S212)、S201に移行される。なお、該印刷ジョブと印刷枚数Zとが関連付けられて、記憶部21に登録される。
【0075】
より具体的に、CPU25Aは、S212にて、該印刷ジョブの印刷枚数を以下の式で演算する。
【0076】
式:印刷枚数Z=印刷速度V×(受信時刻C−受信時刻A)+印刷速度V×(受信時刻C−受信時刻C)+・・・+印刷速度Vn−1×(受信時刻C−受信時刻Cn−1)+印刷速度V×(受信時刻B−受信時刻C)。
【0077】
一方、第3時間が経過しても、プリンタ100からの印刷中通知が受信されていない場合、すなわち、時間T3が0になった場合(S204:No)、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常ではないと判断される。CPU25Aは該管理制御処理を中断させ、通信路60が正常ではないなどのエラーメッセージを表示部23に表示し(S213)、S211に移行される。
【0078】
プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常ではない場合、前記印刷制御処理によりプリンタ100の印刷動作が中断される。該管理制御処理が継続された場合、印刷枚数Zを正しくカウントアップできなくなるので、直ちに該管理制御処理を中断させたほうが好ましい。
【0079】
そして、該管理制御処理の中断を該印刷ジョブの終了とみなし、中断された時刻が受信時刻Bとして取得され(S211)、CPU25Aは、S212の演算方法に従って、該印刷ジョブの印刷が中断されるまでの印刷枚数Zを演算する。該印刷ジョブと印刷枚数Zとが関連付けられて、記憶部21に登録される。また、正常終了の印刷ジョブと区別するために、記憶部21は、「中断した印刷ジョブ」という情報を印刷枚数Zと関連付けて登録してもよい。
【0080】
[本実施形態の使用例]
以上の印刷制御処理および管理制御処理において、例えば、RAM15Cに記憶された印刷ジョブAが印刷待ちである場合、印刷ジョブAは印刷対象になる。
【0081】
印刷ジョブAに関する処理は図6に示すシーケンスに従って実行される。図7は印刷ジョブAに関してプリンタ100とサーバ200との間で行われる通信のシーケンス図である。
【0082】
まず、印刷ジョブAが解析される(S102)。印刷ジョブAのヘッダ情報から各ページの印刷条件が取得される。本実施形態では、印刷ジョブAは全部で10ページの印刷データを有する。そのうち、1〜5ページの印刷データの印刷条件はモノクロおよび普通紙であり、6〜10ページの印刷データの印刷条件はカラーおよび普通紙である。図3の印刷条件および印刷速度の対応関係テーブルによれば、1〜5ページの印刷データは最高印刷速度、すなわち全速、6〜10ページの印刷データは全速の1/2速で印刷される。全速は40ppm(pages per minute)と定められると、プリンタ100は1分間当たりに、最大40ページを印刷できる。すなわち、1ページ当たりに、1,5秒がかかる。そのため、全速の1/2速で印刷すると、1ページあたりに、3秒がかかる。
1ページ目の用紙の先端がセンサ12を通過したと検知され(S103:Yes)、印刷開始通知と印刷速度V(V=40ppm)とがサーバ200に送信される(S104)。サーバ200が印刷開始通知の受信時刻Aと印刷速度V(V=40ppm)とを記憶部21に記憶する(S201:Yes,S202)。
【0083】
また、プリンタ100は印刷開始から10秒(第1時間=5秒)が経過し(S113:No)、印刷中通知をサーバ200に送信する(S114)。それに対して、サーバ200は印刷開始通知を受信してから7秒(第3時間=7秒)以内に印刷中通知を受信し(S204:Yes、S205:Yes)、応答通知をプリンタ100に送信する(S206)。
【0084】
そして、6ページ目からプリンタ100の印刷速度が印刷速度V(V=40ppm)から印刷速度V(V=20ppm)に変更される(S110:Yes,S111)。プリンタ100は印刷速度変更通知と変更した印刷速度V(V=20ppm)とをサーバ200に送信する(S112)。サーバ200は印刷速度変更通知の受信時刻Cと印刷速度V(V=20ppm)を記憶部21に記憶する(S208:Yes,S209)。
【0085】
プリンタ100は前回印刷中通知を送信してから5秒(第1時間=5秒)が経過したとき(S115,S113:No)、プリンタ100は印刷中通知をサーバ200に送信する(S114)。しかし、通信路60は外部要因で中断され、サーバ200は前回印刷中通知を受信してから7秒(第3時間=7秒)以内に印刷中通知を受信しない場合(S204:No)、該管理制御処理を中断させる(S213)。サーバ200は、該管理制御処理の中断を該印刷ジョブの終了とみなし、中断された時刻が受信時刻Bとして取得され(S211)、S212の演算方法に従って、該印刷ジョブの印刷が中断されるまでの印刷枚数Zを演算する。
【0086】
すなわち、印刷枚数Z=40ppm×(受信時刻C−受信時刻A)+20ppm×(受信時刻B−受信時刻C)になる。
【0087】
また、プリンタ100は今回印刷中通知を送信してから4秒(第2時間=4秒)を経過してもサーバ200から応答通知を受信していない場合(S116:No)、直ちに印刷ジョブAの印刷を中断させる(S119)。
【0088】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、プリンタ100は、印刷ジョブの開始通知と終了通知と、印刷速度とをサーバ200に送信する。サーバ200は、開始通知と終了通知とを受信した開始時刻と終了時刻と、印刷速度とに基づいて、該印刷ジョブの印刷枚数を演算する。プリンタ100とサーバ200との間で通信される情報は、開始通知と終了通知とであり、極めて少ない通信情報で済ませることで、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60にかかる負荷を抑制し、プリンタ100の印刷枚数を的確に把握することができる。また、サーバ200は終了通知を受信したときに印刷枚数を演算するため、開始通知を受信してから終了通知を受信するまでの間、特別な演算動作を行う必要がなく、サーバ200の処理負荷を軽減させることができる。
【0089】
[本実施形態と発明との構成の対応関係]
なお、本実施形態において、CPU15AによるS104,S109,S112の処理が、通信送信部、及び検知部の一部に相当する。CPU25AによるS201,S208,S210の処理が、通信受信部、及び検知部の一部に相当する。CPU15AによるS104,S112の処理が、速度送信部、及び取得部の一部に相当する。CPU25AによるS201,S208の処理が、速度受信部、及び取得部の一部に相当する。CPU15AによるS113〜S118の処理,及びCPU25AS204〜S207の処理が、通信判断部に相当する。CPU15AによるS110の処理が速度判断部に相当する。CPU25AによるS212の処理が演算部に相当する。
【0090】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について図7を参照して説明する。図7は、サーバ200のCPU25Aにより実行される管理制御処理のフローチャートである。なお、プリンタ100及びサーバ200の構成は、第1の実施形態と同様であるため、以下の説明において、第1の実施形態と同様の構成には同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0091】
また、本実施形態では、プリンタ100による印刷制御処理は、第1の実施形態におけるS101〜S104、S106〜S109の処理のみからなり、詳細な説明を省略する。ところが、ここで、S107がYesの場合、S105の処理に移行される。まず、CPU25Aはデータの受信のチェックを行い、プリンタ100から送信された印刷対象となる印刷ジョブの印刷開始通知と印刷速度Vとが受信されるまで(S301:No)、サーバ200を待機させる。
【0092】
印刷対象となる印刷ジョブの印刷開始通知と印刷速度Vとが受信されたら(S301:Yes)、第4時間がタイマTM4にセットされ、タイマTM4にセットされた時間T4のカウントダウンが開始される(S302)。第4時間は、1ページ分の印刷データの印刷時間である。タイマTM4はタイマ26に含まれる。また、受信した印刷速度Vは記憶部21に記憶される。
【0093】
そして、1ページ分の印刷データを印刷するための印刷時間である第4時間が経過したか否か、すなわち、時間T4が0になったか否かが判断される(S303)。ここで、1ページ分の印刷時間はS301で受信した印刷速度Vに基づいて予測される。
【0094】
1ページ分の印刷時間が経過するまで、タイマTM4の時間Xのカウントダウンは継続される(S303:No)。1ページ分の印刷時間が経過した、すなわち、T4が0になった場合(S303:Yes)、CPU25Aは、該時間T4のカウントダウンを終了し(S304)、印刷枚数Zをカウントアップさせる(S305)。なお、初期値が0である印刷枚数Zは予め記憶部21に記憶され、S305の処理により、記憶部21にある印刷枚数Zがインクリメントされる。
【0095】
CPU25Aは、S306にてタイマTM4にセットされた時間T4を第4時間にリセットさせ(S306)、プリンタ100から該印刷ジョブの印刷終了通知を受信したか否かを判断する(S307)。印刷終了通知が受信されていないと判断された場合(S307:No)、S302に移行される。
【0096】
該印刷ジョブの印刷終了通知が受信された場合(S307:Yes)、S305でインクリメントされた印刷枚数Zと、該印刷ジョブとを関連付け、記憶部21に記憶し(S308)、S302に移行される。
【0097】
[本実施形態の効果]
本実施形態によれば、プリンタ100は、印刷ジョブの開始通知と終了通知と、印刷速度とをサーバ200に送信する。サーバ200は、開始通知を受信してから、終了通知を受信するまでの間に、受信した印刷速度に基づいて、1ページの印刷データの印刷時間を予測する。そして、サーバ200は1ページの印刷時間が経過したと判断した場合、該印刷ジョブの印刷枚数Zをカウントアップする。プリンタ100とサーバ200との間で通信される情報は、開始通知と終了通知とであり、極めて少ない通信情報で済ませることで、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60にかかる負荷を抑制し、プリンタ100の印刷枚数を的確に把握することができる。また、サーバ200は、1ページの印刷時間が経過する度に印刷枚数Zをカウントアップすることから、終了通知を受信する前でも、プリンタ100の印刷枚数を把握することができる。
【0098】
[本実施形態と発明との構成の対応関係]
本実施形態において、CPU25AによるS301,S307の処理が、通信受信部、及び検知部の一部に相当する。CPU25AによるS301が、速度受信部、及び取得部の一部に相当する。CPU25AによるS302〜S306,及びS308の処理が演算部に相当する。
【0099】
<変形例>
本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)第1の実施形態では、プリンタ100は印刷開始通知等の各通知をサーバ200に送信し、サーバ200のクロック27により各通知の受信時刻が取得される構成であるが、これに限られない。例えば、プリンタ100にクロックを設けることで、プリンタ100は印刷開始通知とともに、印刷開始した開始時刻Dをサーバ200に送信してもよい。これにより、サーバ200は受信した開始時刻D等に基づいて、印刷枚数Zを演算することで、通信路60の通信環境による遅延の影響を受けずに、精確に印刷枚数Zのカウントアップができる。
(2)第1の実施形態では、S117の処理により、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常でないと判断された場合、CPU15Aは該印刷ジョブの印刷を中断させる構成であるが、これに限られない。例えば、クロックを有するプリンタにおいて、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常でないと判断された場合、CPU15Aは該印刷ジョブの印刷を中断させず、印刷終了まで印刷を継続させてもよい。その場合、CPU15Aは、クロックによる通信路60が中断した時刻である中断時刻Eと、通信路60が回復した時刻である再開時刻Fとを、クロックから取得して一時的に記憶させる。そして、通信路60が回復され際に、プリンタ100から中断時刻Eと再開時刻Fとがサーバ200に送信される。サーバ200は、中断時刻Eと再開時刻Fとの間の時間と、印刷速度とに基づいて、プリンタ100の印刷枚数を演算してもよい。
(3)第1の実施形態では、印刷データの印刷条件によって、プリンタ100の印刷速度が変わり、すなわち、メインモータの駆動速度が変わる構成であるが、これに限られない。例えば、メインモータの駆動速度が一定値に定められたプリンタ100において、印刷データの印刷条件が異なる場合であっても、印刷速度は変わらない。そのため、プリンタ100が印刷速度を1回のみサーバ200に送信すればよい。
(4)第1の実施形態では、管理制御処理のS204にて、プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常ではないと判断される場合、CPU25Aは中断された時刻を受信時刻Bとして取得し、S212の演算方法に従って、該印刷ジョブの印刷が中断されるまでの印刷枚数Zを演算するが、これに限られない。例えば、S204にてプリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常であると判断されるたびに、CPU25Aは印刷の開始時刻から正常と判断した時刻までの印刷枚数Zを演算し、記憶部21に一時的に記憶してもよい。これにより、仮に今回プリンタ100とサーバ200との間の通信路60は正常ではないと判断されたら、前回S204により通信路60は正常であると判断されるまでの印刷枚数Zが記憶されているので、この記憶された印刷ジョブの印刷枚数Zと、該印刷ジョブとが関連付けられて、記憶部21に登録される。
(5)第1の実施形態または第2の実施形態では、カウント対象動作情報として印刷枚数の例を示したが、これに限られない。例えば、メインモータによって回転駆動されるピックアップローラ、レジストレーションローラ、感光ドラム、現像ローラ、定着ローラ、排出ローラ等、搬送路における各種回転体をセンサにより検知して、センサの検知信号に基づいて回転体の回転数をカウントしてもよい。また、CPU31がこれらの回転体を回転駆動するメインモータに供給する制御信号に基づいて回転数をカウントしてもよい。この場合、カウントした回転数が画像形成速度としてサーバに送信される。
また、原稿を読み取る原稿読取部を有するプリンタであれば、カウント対象動作情報として、原稿読取部における原稿の搬送枚数または読取枚数、ピックアップローラによる用紙の搬送回数などをカウントしてもよい。
【符号の説明】
【0100】
10 印刷部
15A、25A CPU
15B、25B ROM
15C、25C RAM
17、26 タイマ
27 クロック
100 プリンタ
200 サーバ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成ジョブに基づいて所定の画像形成動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と、
該画像形成装置の画像形成状況に関連する情報を管理するために、画像形成装置と通信可能な画像形成管理装置と、を含む画像形成管理システムであって、
前記画像形成ジョブが開始された開始時刻と、前記画像形成ジョブが終了された終了時刻とを検知する検知部と、
前記画像形成ジョブに基づいて画像を形成するための画像形成速度を取得する取得部と、
前記検知部が検知した開始時刻及び終了時刻と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算部と、を備え、
前記演算部は、前記画像形成管理装置に設けられる画像形成管理システム。
【請求項2】
前記検知部は、
前記画像形成ジョブが開始された時に開始通知を発生し、前記画像形成ジョブが終了された時に終了通知を発生し、その発生した各通知を前記画像形成管理装置に送信するために前記画像形成装置に設けられる通知送信部と、
前記画像形成管理装置が前記開始通知を受信した時刻を前記開始時刻として決定し、前記画像形成管理装置が前記終了通知を受信した時刻を前記終了時刻として決定し、前記画像形成管理装置に設けられる計時部と、を含む請求項1に記載の画像形成管理システム。
【請求項3】
前記取得部は、
前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度を前記画像形成管理装置に送信するために前記画像形成装置に設けられる速度送信部と、
前記速度送信部が送信した画像形成速度を、前記動作回数を演算するための画像形成速度として受信するために前記画像形成管理装置に設けられる速度受信部と、を含む請求項1又は2に記載の画像形成管理システム。
【請求項4】
前記画像形成ジョブを実行する間に、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度の変更があるか否かを判断する速度判断部を備え、
前記検知部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した速度変更時刻を検知し、
前記取得部は、変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度を取得し、
前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻、終了時刻及び速度変更時刻と、前記取得部が取得した変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成管理システム。
【請求項5】
前記画像形成ジョブを実行する間に、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度の変更があるか否かを判断する速度判断部を備え、
前記通知送信部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した時に速度変更通知を発生し、その発生した通知を前記画像形成管理装置に送信し、
前記計時部は、前記画像形成管理装置が前記速度変更通知を受信した時刻を速度変更時刻として決定し、
前記取得部は、変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度を取得し、
前記演算部は、前記計時部が決定した開始時刻、終了時刻及び速度変更時刻と、前記取得部が取得した変更前の画像形成速度及び変更後の画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する請求項2に記載の画像形成管理システム。
【請求項6】
前記画像形成ジョブを実行する間に、前記画像形成ジョブを実行するための前記画像形成速度の変更があるか否かを判断する速度判断部を備え、
前記速度送信部は、前記速度判断部は前記画像形成速度の変更があったと判断した時、変更後の画像形成速度を前記画像形成管理装置に送信し、
前記速度受信部は、前記速度送信部が送信した前記変更後の画像形成速度を、前記動作回数を演算するための画像形成速度として受信する請求項3に記載の画像形成管理システム。
【請求項7】
前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻から終了時刻までの間、所定ページ数の画像を形成する形成時間が経過するたびに、前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を計数する請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成管理システム。
【請求項8】
前記画像形成ジョブの実行中に、前記画像形成装置と前記画像形成管理装置との間の通信が正常であるか否かを、所定の周期で繰り返し判断する通信判断部を備え、
前記演算部は、前記画像形成装置と前記画像形成管理装置との間の通信が正常であると前記通信判断部が判断している間、前記検知部が検知した開始時刻から前記通信判断部が正常であると判断した時刻までの経過時間と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記動作回数を演算する請求項1〜7のいずれかに記載の画像形成管理システム。
【請求項9】
前記通信判断部が正常でないと判断した場合、前記検知部は、前記通信判断部が正常でないと判断した時刻を終了時刻と決定し、
前記演算部は、前記検知部が検知した開始時刻と、前記決定した終了時刻と、前記取得部が取得した画像形成速度とに基づいて、前記動作回数を演算する請求項8に記載の画像形成管理システム。
【請求項10】
画像形成ジョブに基づいて所定の画像形成動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と通信可能であり、画像形成動作を管理する画像形成管理装置であって、
前記画像形成ジョブが開始されたことを示す開始通知と、前記画像形成ジョブが終了されたことを示す終了通知とを、前記画像形成装置から受信する通知受信部と、
前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための画像形成速度を前記画像形成装置から受信する速度受信部と、
前記通知受信部が前記開始通知を受信した時刻を開始時刻として決定し、前記通知受信部が前記終了通知を受信した時刻を終了時刻として決定する計時部と、
前記計時部が決定した開始時刻及び終了時刻と、前記速度受信部が受信した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算部と、を備える画像形成管理装置。
【請求項11】
印刷ジョブに基づいて所定の印刷動作を繰り返し行うことが可能な画像形成装置と通信可能であり、印刷動作を管理する画像形成管理装置のコンピュータにより実行されるプログラムであって、
前記画像形成ジョブが開始されたことを示す開始通知と、前記画像形成ジョブが終了されたことを示す終了通知とを、前記画像形成装置から受信する通知受信ステップと、
前記画像形成ジョブの開始に関連して、前記画像形成ジョブを実行するための画像形成速度を前記画像形成装置から受信する速度受信ステップと、
前記通知受信ステップにおいて前記開始通知を受信した時刻を開始時刻として決定し、前記通知受信ステップにおいて前記終了通知を受信した時刻を終了時刻として決定する計時ステップと、
前記計時ステップにおいて決定した開始時刻及び終了時刻と、前記速度受信ステップにおいて受信した画像形成速度とに基づいて、前記画像形成ジョブを実行するために前記画像形成装置が所定の画像形成動作を行った動作回数を演算する演算ステップと、
をコンピュータに実行させる画像形成管理プログラム。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−77143(P2013−77143A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216313(P2011−216313)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】