説明

画像形成装置、およびプログラム

【課題】複数の機能を備えた画像形成装置にて消費電力の増加を抑制するとともに、画像形成装置を使用する利用者の利便性の向上を図る。
【解決手段】制御部30は、画像形成動作の終了から通信部31への電力供給を継続させる電力供給時間を、親展ボックス36における画像データの記憶状況に応じて決定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えばプリント機能や複写機能、画像読取機能等の複数の機能を備えた画像形成装置では、通常、画像形成装置が有する各機能への指示命令の入力状況等に応じて、消費電力を低く抑える省電力状態が設定される。ところが、このような指示命令の入力等は不定期に行われる。そのため、画像形成装置が省電力状態に移行しても、通信回線を介して指示命令を受ける通信機能部は稼働状態が維持される。
例えば特許文献1には、ネットワークインターフェース等の制御部としてメインCPUよりも消費電力の小さなサブCPUを設け、省エネモード(省電力状態)ではメインCPUへの通電をオフしてサブCPUのみに通電し、ネットワークインターフェース等からのデータ受信に応じてサブCPUからメインCPUに復帰トリガーを発行する技術が記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開2004−5029号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで一般に、画像形成装置にて通信回線との通信を行う通信機能部を常時稼働状態に維持することは、消費電力の増加要因となる。その一方で、例えば指示命令の入力状況に関する予め設定された条件を満たす場合に一律に通信機能部を停止させるとすると、画像形成装置が有する各機能の使用状況が変動する場合に、画像形成装置を使用する利用者の利便性を低下させることがある。
本発明は、複数の機能を備えた画像形成装置にて消費電力の増加を抑制するとともに、画像形成装置を使用する利用者の利便性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に記載の発明は、通信回線を介して取得された画像形成命令に従って画像を形成する画像形成手段と、原稿上の画像を読み取る画像読取手段にて生成された画像データを記憶する記憶手段と、外部装置と通信回線を介して接続され、当該外部装置からの前記画像形成命令および前記記憶手段に記憶された前記画像データに関する当該外部装置への送信要求を受け付ける受付手段と、前記受付手段への電力供給を制御する電力制御手段と、前記画像形成手段での画像形成動作の終了から前記電力制御手段が前記受付手段への電力供給を継続させる電力供給時間を、前記記憶手段における前記画像データの記憶状況に応じて決定する決定手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置である。
【0006】
請求項2に記載の発明は、前記決定手段は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されていない場合には前記電力供給時間を第1電力供給時間に決定し、当該記憶手段に当該画像データが記憶されている場合には当該電力供給時間を当該第1電力供給時間よりも長い第2電力供給時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項3に記載の発明は、前記決定手段は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されてからの経過時間に対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項4に記載の発明は、前記決定手段は、前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が最も短い前記画像データに対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置である。
請求項5に記載の発明は、前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が予め定められた時間を超えた前記画像データを当該記憶手段から消去させる消去手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
請求項6に記載の発明は、前記記憶手段は、ユーザ毎に割り当てられて設定された親展ボックスとして構成されたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置である。
【0007】
請求項7に記載の発明は、コンピュータに、画像形成手段にて画像形成命令に従って画像を形成させる機能と、原稿上の画像を読み取る画像読取手段にて生成された画像データを記憶手段に記憶させる機能と、通信回線を介して接続された外部装置からの前記画像形成命令および前記記憶手段に記憶された前記画像データに関する当該外部装置への送信要求を受付手段にて受け付ける機能と、前記画像形成手段での画像形成動作の終了から前記受付手段への電力供給を継続させる電力供給時間を、前記記憶手段における前記画像データの記憶状況に応じて決定する機能とを実現させることを特徴とするプログラムである。
【0008】
請求項8に記載の発明は、前記電力供給時間を決定する機能は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されていない場合には前記電力供給時間を第1電力供給時間に決定し、当該記憶手段に当該画像データが記憶されている場合には当該電力供給時間を当該第1電力供給時間よりも長い第2電力供給時間に決定することを特徴とする請求項7記載のプログラムである。
請求項9に記載の発明は、前記電力供給時間を決定する機能は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されてからの経過時間に対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項7記載のプログラムである。
請求項10に記載の発明は、前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が予め定められた時間を超えた前記画像データを当該記憶手段から消去させる機能をさらに実現させることを特徴とする請求項7記載のプログラムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明の請求項1によれば、本発明を採用しない場合に比べ、複数の機能を備えた画像形成装置にて消費電力の増加を抑制するとともに、画像形成装置を使用する利用者の利便性の向上を図ることができる。
本発明の請求項2によれば、本発明を採用しない場合に比べ、ユーザが画像読取手段にて生成された画像データを記憶する記憶手段を利用する際の利便性を向上させることができる。
本発明の請求項3によれば、ユーザが記憶手段に記憶された画像データを利用する可能性に対応させて電力供給時間を決定することができる。
本発明の請求項4によれば、本発明を採用しない場合に比べ、ユーザに利用される可能性の高い画像データが記憶手段に存在するか否かの判断の有効性を高めることができる。
本発明の請求項5によれば、本発明を採用しない場合に比べ、記憶手段の記憶容量を有効に利用することができることができる。
本発明の請求項6によれば、本発明を採用しない場合に比べ、記憶手段に記憶された画像データのセキュリティ性を確保することができる。
【0010】
本発明の請求項7によれば、本発明を採用しない場合に比べ、複数の機能を備えた画像形成装置にて消費電力の増加を抑制するとともに、画像形成装置を使用する利用者の利便性の向上を図ることができる。
本発明の請求項8によれば、本発明を採用しない場合に比べ、ユーザが画像読取手段にて生成された画像データを記憶する記憶手段を利用する際の利便性を向上させることができる。
本発明の請求項9によれば、ユーザが記憶手段に記憶された画像データを利用する可能性に対応させて電力供給時間を決定することができる。
本発明の請求項10によれば、本発明を採用しない場合に比べ、記憶手段の記憶容量を有効に利用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
<情報処理システムの説明>
図1は、本実施の形態の画像形成装置が接続される情報処理システム1の構成例を示す図である。図1に例示した情報処理システム1では、例えばユーザの作業スペース(例えば、デスク)等に設置された外部装置の一例である端末装置2と、端末装置2にて作成・保存等された画像データに基づき用紙上に画像を形成する画像形成(プリント)機能と端末装置2にて処理される原稿上の画像を読み取る画像読取(スキャナ)機能とを含む複数の機能を備えた画像形成装置3とが、通信回線の一例であるLAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット等のネットワーク4を介して双方向に通信可能に接続されている。通信回線としては、電話回線や衛星通信回線(例えば、デジタル衛星放送における空間伝送路)等の通信回線を含んでもよい。
なお、ネットワーク4上には通常、複数の端末装置2と複数の画像形成装置3とが接続可能であるが、図1では、その一部として、それぞれ1台の端末装置2と1台の画像形成装置3とが接続された構成を示している。
【0012】
<端末装置の説明>
端末装置2について説明する。
ネットワーク4に接続される端末装置2は、例えばパーソナルコンピュータ(PC)が用いられる。
図2は、端末装置2の構成を説明するブロック図である。図2に示したように、端末装置2は、端末装置2における動作制御や情報処理を行う制御部20、予め定めたアプリケーションソフトに従って画像データ(情報)を作成する画像データ作成部21、ユーザからの指示入力を受け付ける入力部221やユーザへの各種情報の表示を行う表示部222からなるユーザインタフェース(UI)部22を備えている。また、端末装置2は、画像データやプログラム等が記憶される外部記憶部23、ネットワーク4により相互に接続された画像形成装置3に対し例えば画像データの送信命令や画像形成命令等を送信し、また画像データ送信命令に応じて画像形成装置3から送信される画像データを受信する通信部24を備えている。さらに、端末装置2は、端末装置2の各構成部に対し電力線27を介して電力を供給する電力供給部25を備えている。
この制御部20、画像データ作成部21、UI部22、外部記憶部23、通信部24、および電力供給部25は、PCI(Peripheral Components Interconnect bus)バス26に接続されている。それにより、これらの各構成部は、PCIバス26を介して相互に信号の送受信を行う。
【0013】
端末装置2の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、外部記憶部23に、端末装置2の各構成部を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト、さらには、画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データに関する画像形成装置3への画像形成命令(印刷命令:以下、「印刷ジョブ」)を生成するプリンタドライバプログラム等が記憶されている。特に、外部記憶部23には、アプリケーションソフトの一つとして、画像形成装置3に設けられた親展ボックス36(図3参照)に記憶された画像データを取得するビューワープログラムが記憶されている。
そして、端末装置2では、端末装置2の図示しないCPUが、これらのプログラムを外部記憶部23から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、制御部20、画像データ作成部21、および通信部24等の各構成部の機能を実現する処理を行う。
【0014】
<端末装置の制御部における印刷ジョブの生成機能の説明>
次に、端末装置2の制御部20の機能について説明する。
端末装置2の制御部20は、画像データに関する印刷ジョブを生成する機能を有する。
端末装置2においてユーザによる印刷指示(画像形成指示)がUI部22(入力部221)に入力されると、制御部20は、外部記憶部23からプリンタドライバプログラムを読み込み、起動させる。それにより、制御部20は、プリンタドライバプログラムに従って画像データ作成部21にて作成された画像データや外部記憶部23に記憶された画像データ等に関する印刷ジョブの生成処理を実行する。そして、制御部20は、生成した印刷ジョブを通信部24から画像形成装置3に送信する。
【0015】
<端末装置の制御部における画像形成装置からの画像データ取得機能の説明>
また、端末装置2の制御部20は、画像形成装置3の親展ボックス36(図3参照)から画像データを取得する機能を有する。
端末装置2においてユーザによる画像データ取得指示がUI部22(入力部221)に入力されると、制御部20は、外部記憶部23からビューワープログラムを読み込み、起動させる。それにより、制御部20は、ビューワープログラムに従ってUI部22の表示部222に、ユーザに割り当てられた親展ボックス36の番号(ボックス番号)および親展ボックス36の識別情報(例えば、暗証番号)の入力を要求する表示を行う。そして、UI部22の入力部221から親展ボックス36のボックス番号および識別情報が入力されると、制御部20は、ビューワープログラムに従って通信部24から画像形成装置3に対し、画像形成装置3の親展ボックス36に記憶された画像データに関する送信命令(以下、「画像データ送信命令」)を送信する。
【0016】
<画像形成装置の説明>
次に、画像形成装置3について説明する。
図3は、本実施の形態の画像形成装置3の構成を説明するブロック図である。図3に示したように、画像形成装置3は、画像形成装置3における動作制御や画像処理を含む各種の情報処理を行う制御部30、ネットワーク4との通信を行って信号や情報を送受信し、端末装置2(外部装置)からの画像形成命令および画像データに関する端末装置2への送信要求等を受け付ける受付手段の一例としての通信部31を備えている。また、画像形成装置3は、ユーザからの指示入力を受け付ける入力部321やユーザへの各種情報の表示を行う表示部322からなるユーザインタフェース(UI)部32、ネットワーク4を介して端末装置2から送信される印刷ジョブに従って用紙上に画像を形成する画像形成手段の一例としての画像出力部33を備えている。画像出力部33としては、例えば電子写真方式の画像形成エンジンが用いられる。さらに、画像形成装置3は、原稿上の画像を読み取って画像データを生成する画像読取手段の一例としての画像読取部34を備えている。
【0017】
加えて、画像形成装置3は、画像形成装置3の各構成部を制御するためのオペレーティングシステム、オペレーティングシステムと協働して各構成部の特定の機能を実行するアプリケーションソフト等の各種のプログラムや、画像データ等の各種データが記憶される外部記憶部35を備えている。さらに、外部記憶部35には、画像形成装置3を使用するユーザ毎に割り当てられた記憶領域である記憶手段の一例としての親展ボックス36が構成されている。
【0018】
また、画像形成装置3は、商用電源から供給される例えば100Vの交流電力または商用電源からの交流電力を予め定めた直流電圧(例えば、24V,12V,5V,3V)に変換して各構成部に供給する電力供給部38を備えている。電力供給部38には、画像出力部33等への例えば交流電圧100V、直流電圧24V、12V等の駆動系電力を供給する第1電力線381と、制御部30や通信部31等への例えば直流電圧5Vや3Vの制御系電力を供給する第2電力線382と、UI部32の入力部321への例えば直流電圧5Vの制御系電力を供給する第3電力線383とが接続されている。
そして、電力供給部38は、制御部30にて設定される画像形成装置3の動作モード(動作状態)に応じて、第1電力線381への駆動系電力の供給や停止を設定し、第2電力線382への制御系電力の供給や停止を設定する。一方、電力供給部38は、第3電力線383への制御系電力は常時供給する。すなわち、電力供給部38は、制御部30と協働して、通信部31を含めた各構成部への電力供給を制御する電力制御手段として機能する。
【0019】
画像形成装置3に配置された上記の制御部30、通信部31、UI部32、画像出力部33、画像読取部34、外部記憶部35、および電力供給部38は、PCIバス37に接続されている。それにより、これらの各構成部は、PCIバス37を介して相互に信号の送受信を行う。
また、画像形成装置3の上記した構成部は、ソフトウェアとハードウェア資源とが協働することにより実現される。具体的には、画像形成装置3の図示しないCPUが、予め定めたプログラムを外部記憶部35から主記憶装置(例えば、RAM)に読み込み、制御部30、および通信部31等といった画像形成装置3に配置された各構成部の機能を実現する処理を行う。
【0020】
<画像形成装置の制御部における印刷ジョブ処理機能の説明>
次に、画像形成装置3の制御部30の機能について説明する。
画像形成装置3の制御部30は、まず、ネットワーク4を介して画像形成装置3自身に向けて送信された印刷ジョブを処理する機能を有する。すなわち、制御部30は、ネットワーク4を介して送信された印刷ジョブに従って印刷ジョブに含まれる画像データに処理(画像処理)を施し、処理済みの画像データを画像出力部33に転送する。
【0021】
<画像形成装置の制御部における動作モード制御機能の説明>
また、制御部30は、主に印刷ジョブの受信状況やUI部32でのユーザからの指示入力の入力状況等に応じて画像形成装置3の動作モード(動作状態)を制御する機能を有する。図4は、本実施の形態の画像形成装置3にて設定される動作モードを説明する図である。図4に示したように、制御部30は、動作モードとして「画像形成動作モード」と「スタンバイモード」と「スリープモード」とを選択的に設定する。
画像形成動作モードは、例えば端末装置2から印刷ジョブを取得した場合に設定され、画像出力部33にて印刷ジョブに従った用紙上への画像形成動作を実行している動作状態である。またスタンバイモードは、例えばUI部32の入力部321にてユーザからの指示入力があった場合に設定される動作状態である。そして、スタンバイモードが設定された状態にて例えば端末装置2から印刷ジョブを取得した際には、スタンバイモードは直ちに画像形成動作モードに移行する。画像形成動作モードやそれに準ずるスタンバイモードでは、電力供給部38から第3電力線383を介したUI部32の入力部321への制御系電力の供給に加えて、第1電力線381を介して画像形成装置3内の画像形成に関する動作を行う構成部に駆動系電力が供給され、第2電力線382を介して画像形成装置3内の制御・処理に関する動作を行う構成部に制御系電力が供給される。
【0022】
スリープモードは、印刷ジョブの処理(画像形成動作)が終了してスタンバイモードが設定され、スタンバイモードが設定された時点から待機時間Tを経過しても再び印刷ジョブの受信等がない場合に設定される動作状態である。スリープモードでは、UI部32の入力部321だけが動作を継続し、それ以外の制御部30や通信部31、UI部32の表示部322、さらには画像出力部33等の構成部は動作を停止する。すなわち、スリープモードにおいては、電力供給部38から第3電力線383を介したUI部32の入力部321への制御系電力の供給が継続される。その一方で、電力供給部38から第1電力線381を介した画像形成装置3内の画像形成に関する動作を行う構成部への駆動系電力が停止され、第2電力線382を介した画像形成装置3内の制御・処理に関する動作を行う制御部30や通信部31等の構成部への制御系電力が停止される。それにより、画像形成装置3が省電力状態に設定され、画像形成装置3の省電力化が図られる。
ここで、「待機時間T」は、印刷ジョブの処理(画像形成動作)が終了してから制御部30や通信部31等の構成部への制御系電力の供給を継続する時間(電力供給時間)を意味する。
【0023】
制御部30は、スリープモードへの移行を指示する場合には、スリープモード移行信号を生成する。また、スリープモードが設定された状態でUI部32の入力部321にてユーザからの指示入力があった場合には、電力供給部38が制御部30に対して第2電力線382から制御系電力の供給を開始する。それにより、制御部30は停止状態から復帰して、制御部30はスリープモードからの復帰を指示するスリープモード復帰信号を生成する。
そして、制御部30は、生成したスリープモード移行信号またはスリープモード復帰信号をPCIバス37を介して電力供給部38に送信する。電力供給部38が制御部30からスリープモード移行信号を取得した場合には、第1電力線381からの駆動系電力の供給を停止し、第2電力線382からの制御系電力の供給を停止する。それにより、UI部32の入力部321以外の構成部は動作を停止する。
また、電力供給部38が制御部30からスリープモード復帰信号を取得した場合には、第1電力線381からの駆動系電力の供給を開始し、第2電力線382からの制御系電力の供給を開始する。それにより、制御部30や通信部31、さらには画像出力部33等といった画像形成に関する動作を行う構成部が動作可能状態(稼動状態)に設定される。
【0024】
<画像形成装置の制御部における画像データの親展ボックスへの記憶機能の説明>
また、制御部30は、画像読取部34にて原稿から画像を読み取って画像データを生成し、生成した画像データをユーザに割り当てられた親展ボックス36に記憶させる機能を有する。
画像形成装置3においてユーザによる画像読取指示がUI部32に入力されると、制御部30は、UI部32の表示部322にユーザに割り当てられた親展ボックス36のボックス番号の入力を要求する表示を行う。そして、UI部32の入力部321から親展ボックス36のボックス番号が入力されると、制御部30は、画像読取部34にて原稿から画像を読み取って画像データを生成し、生成した画像データを入力されたボックス番号の親展ボックス36に記憶させる。その際に、画像データが親展ボックス36に記憶された日時を示す情報(日時情報)が画像データに対応付けられて記憶される。
また、親展ボックス36には識別情報(例えば、暗証番号)が設定されている。そして、端末装置2がネットワーク4を介して親展ボックス36に記憶された画像データを読み出す場合には、上記したように、ユーザは親展ボックス36に割り当てられたボックス番号および暗証番号を端末装置2にて入力し、端末装置2からボックス番号および暗証番号を画像形成装置3に送信することが必要となる。それにより、親展ボックス36に記憶された画像データのセキュリティ性が確保される。
【0025】
<画像形成装置の制御部における待機時間の決定機能の説明>
さらに、制御部30は、待機時間T(電力供給時間)を決定する決定手段の一例であって、動作モードを制御するに際して、親展ボックス36での画像データの記憶状況に応じて、スタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間Tを決定する機能を有する。
すなわち、制御部30は、スタンバイモードからスリープモードに移行させる場合に、親展ボックス36に画像データが記憶されているか否か、また、親展ボックス36に画像データが記憶されている場合には画像データが親展ボックス36に記憶された日時からの経過期間といった、親展ボックス36での画像データの記憶状況(保存状況)に応じて、スタンバイモードからスリープモードへの移行時間(待機時間T)を決定する。
【0026】
<画像形成装置の制御部が待機時間を決定する際の処理の説明>
次に、画像形成装置3の制御部30がスタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間Tを決定する処理について説明する。
図5は、制御部30がスタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間Tを決定する際の処理内容の一例を示すフローチャートである。
図5に示したように、まず、制御部30は、外部記憶部35に設けられた各親展ボックス36の何れかに画像データが記憶されているか否かを判定する(S101)。何れの親展ボックス36にも画像データが記憶されていないと判定された場合には(S101でNo)、制御部30は、待機時間として比較的短い時間(0時間も含む)に設定される第1待機時間(第1電力供給時間)T1を設定する(S102)。そして、その後、制御部30は、ステップ101に戻って、再度処理を開始する。
【0027】
次に、何れかの親展ボックス36に画像データが記憶されていると判定された場合には(S101でYes)、制御部30は、画像データに対応付けて記憶された画像データが親展ボックス36に記憶された日時を示す日時情報を取得する(S103)。そして、取得した画像データの日時情報の中で最も古いものと最も新しいものとを抽出する(S104)。なお、取得した画像データの日時情報が1つだけである場合には、その画像データの日時情報は、最も古いものと最も新しいものとの双方に該当するものとして扱う。
引き続いて、制御部30は、取得した画像データの日時情報の中で最も新しい日時情報が現在時刻を起点として遡って第1時間(例えば、1時間)以内を示すものか否かを判定する(S105)。最も新しい日時情報が現在時刻を起点として遡って第1時間以内を示すものでない場合(S105でNo)、すなわち、最も新しい日時情報が現在時刻よりも第1時間を超えてそれ以前のものである場合には、制御部30は、ステップ102と同様に、待機時間として第1待機時間T1を設定する(S106)。そして、その後、制御部30は、ステップ101に戻って、再度処理を開始する。
一方、最も新しい日時情報が現在時刻を起点として遡って第1時間以内を示すものである場合には(S105でYes)、制御部30は、待機時間として第1待機時間T1よりも長い第2待機時間T2(>T1)(第2電力供給時間)を設定する(S107)。
【0028】
このように、何れの親展ボックス36にも画像データが記憶されていない場合(上記のS101でNo)には、ユーザが端末装置2から親展ボックス36に記憶された画像データの送信要求を行う可能性がない。そのため、スリープモードへの移行時間として、比較的短い時間(0時間も含む)である第1待機時間T1を設定しても、ユーザの利便性が損なわれることが少ない。同様に、画像データが親展ボックス36に記憶された日時が第1時間を超えて長い場合には(上記のS105でNo)、ユーザは親展ボックス36に画像データが記憶されているのを忘れているか、または親展ボックス36から画像データを取得する必要性が少ないものと考えられる。それにより、この場合にもユーザが端末装置2から親展ボックス36に記憶された画像データの送信要求を行う可能性が少ない。そのため、スリープモードへの移行時間として、比較的短い時間(0時間も含む)である第1待機時間T1を設定しても、ユーザの利便性が損なわれることが少ない。
また、その一方で、制御部30や通信部31等への制御系電力が停止されるスリープモードへの移行時間を比較的短い時間(0時間も含む)である第1待機時間T1に設定することで、画像形成装置3の消費電力が低減される。
【0029】
また、親展ボックス36に画像データが記憶されてからの経過時間が予め定めた第1時間以内である場合には、制御部30は、スリープモードへの移行時間として、比較的長い時間である第2待機時間T2(>T1)が設定される。そのため、親展ボックス36に画像データを記憶させたユーザにおいては、端末装置2から親展ボックス36に記憶された画像データの送信要求を行うための時間的な余裕が付与される。それにより、ユーザが親展ボックス36を利用する際の利便性が向上する。例えば、親展ボックス36に記憶された画像データを取得しようとしたところ、すでにスリープモードに移行していたという事態が減少する。そのため、ユーザが画像形成装置3の設置場所まで赴いて、画像形成装置3の通信部31を再度起動させる必要が生じるケースが少なくなる。
なお、この場合の待機時間を決定する際の判断に、画像データの日時情報の中で最も新しいものを用いることで、ユーザに利用される可能性の高い画像データが親展ボックス36に存在するか否かの判断の有効性が高まる。
【0030】
次に、ステップ107の後、制御部30は、取得した画像データの日時情報の中で最も古い日時情報が現在時刻を起点として遡って第2時間(例えば、2時間)以内を示すものか否かを判定する(S108)。この場合の第2時間は、ユーザが親展ボックス36に画像データが記憶されているのを忘れているか等を判断するために用いる時間であるため、第1時間よりも長い時間(第2時間>第1時間)が設定される。
最も古い日時情報が現在時刻を起点として遡って第2時間以内を示すものでない場合(S108でNo)、すなわち、最も古い日時情報が現在時刻よりも第2時間を超えてそれ以前のものである場合には、消去手段として機能する制御部30は、最も古い日時情報が対応付けられた画像データを親展ボックス36から消去する(S109)。
【0031】
画像データが親展ボックス36に記憶された日時が第2時間を超えて長い場合には(上記のS108でNo)、ユーザは親展ボックス36に画像データが記憶されているのを忘れているか、または親展ボックス36から画像データを取得する必要性が少ない可能性が高いと考えられる。それにより、画像データを親展ボックス36から消去しても、ユーザの利便性が損なわれることが少ない。その一方で、利用される可能性が少ない画像データを親展ボックス36から消去することで、親展ボックス36の記憶容量が有効に利用される。
最も古い日時情報が対応付けられた画像データを親展ボックス36から消去した場合には、制御部30は、ステップ101に戻って、再度処理を開始する。
【0032】
一方、最も古い日時情報が現在時刻を起点として遡って第2時間以内を示すものである場合には(S108でYes)、制御部30は、画像データを親展ボックス36に残存させる(S110)。ユーザが親展ボックス36に画像データが記憶されているのを忘れているか否か、または画像データの取得の必要性が少ないか否かがまだ不明であるからである。そして、その後、制御部30は、ステップ101に戻って、再度処理を開始する。
【0033】
なお、本実施の形態では、何れの親展ボックス36にも画像データが記憶されていないと判定された場合と、最も新しい日時情報が現在時刻よりも第1時間を超えたそれ以前のものである場合とにおいて、待機時間として第1待機時間T1を設定した。しかし、この場合にも、第2待機時間T2よりも短い時間となる範囲で、異なる待機時間を設定してもよい。
また、ステップ105では、最も新しい日時情報が現在時刻よりも第1時間を超えたそれ以前のものであるか否かを基準に、待機時間として第1待機時間T1を設定するか第2待機時間T2を設定するかを決定した。しかし、例えば判断に用いる時間として複数の時間を設定し、例えば最も新しい日時情報が現在時刻を起点として遡って第1時間以内を示すものであれば、第1待機時間T1を設定し、第1時間〜第3時間(第1時間<第3時間)を示すものであれば、第3待機時間T3(<T1)を設定し、第3時間〜第4時間(第3時間<第4時間)を示すものであれば、第4待機時間T4(<T3)を設定するというように、段階的に待機時間を決定するように構成してもよい。
【0034】
さらには、スタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間Tが、例えば画像形成装置3が設置された事業所等の休業時間帯に跨る場合には、休業時間帯を考慮して待機時間Tを設定してもよい。例えば、予め休業時間帯を設定しておき、待機時間Tの途中に休業時間帯が開始されれば、待機時間Tの計測を停止して、一旦スリープモードに移行させる。そして、休業時間帯が終了したならばスタンバイモードに復帰させて、残りの待機時間Tの計測を再開し、予め定めた待機時間Tの経過時点でスタンバイモードからスリープモードに移行させる。この場合の休業時間帯としては、1日における昼休みや、暦における休日等が適用される。
【0035】
以上説明したように、本実施の形態の画像形成装置3では、親展ボックス36での画像データの記憶状況に応じて、スタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間Tを決定する。それにより、画像形成装置3にて消費電力の増加が抑制されるとともに、画像形成装置3の利便性の向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本実施の形態の画像形成装置が接続される情報処理システムの構成例を示す図である。
【図2】端末装置の構成を説明するブロック図である。
【図3】本実施の形態の画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図4】本実施の形態の画像形成装置にて設定される動作モードを説明する図である。
【図5】制御部がスタンバイモードからスリープモードに移行させるまでの待機時間を決定する際の処理内容の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0037】
1…情報処理システム、2…端末装置、3…画像形成装置、4…ネットワーク、20,30…制御部、21…画像データ作成部、22,32…ユーザインタフェース(UI)部、23,35…外部記憶部、24,31…通信部、36…親展ボックス、38…電力供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信回線を介して取得された画像形成命令に従って画像を形成する画像形成手段と、
原稿上の画像を読み取る画像読取手段にて生成された画像データを記憶する記憶手段と、
外部装置と通信回線を介して接続され、当該外部装置からの前記画像形成命令および前記記憶手段に記憶された前記画像データに関する当該外部装置への送信要求を受け付ける受付手段と、
前記受付手段への電力供給を制御する電力制御手段と、
前記画像形成手段での画像形成動作の終了から前記電力制御手段が前記受付手段への電力供給を継続させる電力供給時間を、前記記憶手段における前記画像データの記憶状況に応じて決定する決定手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記決定手段は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されていない場合には前記電力供給時間を第1電力供給時間に決定し、当該記憶手段に当該画像データが記憶されている場合には当該電力供給時間を当該第1電力供給時間よりも長い第2電力供給時間に決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記決定手段は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されてからの経過時間に対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記決定手段は、前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が最も短い前記画像データに対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が予め定められた時間を超えた前記画像データを当該記憶手段から消去させる消去手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記記憶手段は、ユーザ毎に割り当てられて設定された親展ボックスとして構成されたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータに、
画像形成手段にて画像形成命令に従って画像を形成させる機能と、
原稿上の画像を読み取る画像読取手段にて生成された画像データを記憶手段に記憶させる機能と、
通信回線を介して接続された外部装置からの前記画像形成命令および前記記憶手段に記憶された前記画像データに関する当該外部装置への送信要求を受付手段にて受け付ける機能と、
前記画像形成手段での画像形成動作の終了から前記受付手段への電力供給を継続させる電力供給時間を、前記記憶手段における前記画像データの記憶状況に応じて決定する機能と
を実現させることを特徴とするプログラム。
【請求項8】
前記電力供給時間を決定する機能は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されていない場合には前記電力供給時間を第1電力供給時間に決定し、当該記憶手段に当該画像データが記憶されている場合には当該電力供給時間を当該第1電力供給時間よりも長い第2電力供給時間に決定することを特徴とする請求項7記載のプログラム。
【請求項9】
前記電力供給時間を決定する機能は、前記記憶手段に前記画像データが記憶されてからの経過時間に対応させて前記電力供給時間を決定することを特徴とする請求項7記載のプログラム。
【請求項10】
前記記憶手段に記憶されてからの経過時間が予め定められた時間を超えた前記画像データを当該記憶手段から消去させる機能をさらに実現させることを特徴とする請求項7記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−194884(P2010−194884A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−42847(P2009−42847)
【出願日】平成21年2月25日(2009.2.25)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】