説明

画像形成装置、その制御方法、及びプログラム

【課題】処理したジョブの保存と保存したジョブの取り扱いとを、装置の設定及びユーザ情報に基づいて好適に制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供する。
【解決手段】本画像形成装置は、画像形成装置が有するユーザ認証機能が有効に設定され、かつ、実行したジョブを再実行する再実行機能が有効に設定されている場合に再実行機能を実行可であると判定し、ユーザ認証機能及び再実行機能の少なくとも一方が無効に設定されている場合に再実行機能を実行不可であると判定し、再実行機能が実行可であると判定されると、実行したジョブのジョブ情報を保存し、再実行機能が実行可であると判定され、かつ、ユーザ認証が成功し、かつ、認証されたユーザが当該ジョブの実行権限を有する場合に、認証されたユーザが前記保存されたジョブ情報を扱うことを許可する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ユーザ認証機能を有する画像形成装置におけるジョブの再実行機能に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、印刷や送信といったジョブを実行した際に当該ジョブ(以降、オリジナルのジョブと称する。)の内容を保存しておき、後から当該ジョブを再実行する(以降、再実行機能と称する。)画像形成装置が提案されている。このような従来技術では、ジョブの実行時に当該ジョブの再実行が許可されているかどうかに応じて再実行用にジョブの内容を保存する。また、ジョブの再実行をユーザに選択させる方法として実行済みのジョブを印刷履歴から選択させ、選択させたジョブを再実行することが可能である。さらに、ジョブの再実行は適切な権限のあるユーザの指示によって実行するため、ジョブの再実行を選択させる場合にユーザ認証に基づいて実行可否を判定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−43962号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術には以下に記載する問題がある。例えば、従来技術では、適切な権限のあるユーザのみが再実行機能を指示できるため、ユーザ認証により、再実行機能の実行可否判定を行っている。一方、オリジナルのジョブ実行時に再実行用のジョブを保存して当該ジョブの再実行を可能にするかどうかは、ジョブ毎の再実行可否指定や画像形成装置として再実行機能が有効かどうかによって決定されている。このため、ユーザ認証機能が無効であるにも関わらず、再実行用のジョブを保存し、再実行可能にさせてしまうという問題がある。さらに、ジョブを実行するアプリケーションによっては認証されていないユーザによるジョブ実行が可能であり、不定のユーザが保存したジョブを扱うことができ、例えば、ジョブの再実行や削除などが可能である。つまり、ユーザ認証がなされていない場合であっても、ジョブの再実行が可能であるという問題がある。
【0005】
本発明は、上述の問題に鑑みて成されたものであり、処理したジョブの保存と保存したジョブの取り扱いとを、装置の設定及びユーザ情報に基づいて好適に制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、例えば、画像形成装置であって、画像形成に関わるジョブを実行するジョブ実行手段と、前記画像形成装置が有するユーザ認証機能が有効に設定され、かつ、前記ジョブ実行手段によって実行されたジョブを再実行する再実行機能が有効に設定されている場合に該再実行機能を実行可であると判定し、前記ユーザ認証機能及び前記再実行機能の少なくとも一方が無効に設定されている場合に該再実行機能を実行不可であると判定する判定手段と、前記判定手段によって前記再実行機能が実行可であると判定されると、前記ジョブ実行手段によって実行されたジョブのジョブ情報を前記画像形成装置に保存する保存手段と、前記判定手段によって前記再実行機能が実行可であると判定され、かつ、前記ユーザ認証が成功し、かつ、認証されたユーザが当該ジョブの実行権限を有する場合に、認証されたユーザが前記保存手段によって保存されたジョブ情報を扱うことを許可する制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、処理したジョブの保存と保存したジョブの取り扱いとを、装置の設定及びユーザ情報に基づいて好適に制御する画像形成装置、その制御方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】ネットワーク構成を示す図である。
【図2】画像形成装置のハードウェア構成図である。
【図3】ユーザ認証機能及び再実行機能を設定する設定画面の一例である。
【図4】画像形成装置が処理する再実行機能の有無判定処理を示すフローチャートである。
【図5】画像形成装置が処理するユーザ認証処理を示すフローチャートである。
【図6】第1の実施形態に係る第1のジョブ実行処理を示すフローチャートである。
【図7】第1の実施形態に係る第2のジョブ実行処理を示すフローチャートである。
【図8】第2の実施形態に係る不定ユーザに対する設定画面の一例である。
【図9】第2の実施形態に係る再実行機能の有無判定処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでなく、また実施形態で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【0010】
<第1の実施形態>
<画像形成システムの構成>
以下では、図1乃至図7を参照して本発明における第1の本実施形態について説明する。まず、図1を参照して、本実施形態に係る画像形成システムの構成例について説明する。101は、本実施形態に係る画像形成装置であり、スキャナとプリンタとを備えるMFP(Multi Function Peripheral)である。MFP102も同様の機能を備えた画像形成装置である。
【0011】
PC(Personal Computer)103は、情報処理装置であり、LAN110を介してMFP101、102と接続されている。また、MFP101、102に対して処理を依頼したり、MFP101、102の状態管理や処理中のスキャン、プリント、コピーなどのジョブ管理を行うことができる。PC104は、認証サーバであり、LAN110を介してMFP101、102と接続されている。また、MFP101、102からのユーザ認証要求に対してユーザ認証を行い、認証結果を返すことができる。
【0012】
なお、ここでは、各装置の台数を限定する意図はなく一例を示しているに過ぎない。即ち、本発明の画像形成システムでは、さらに多くのMFPやPCが含まれてもよい。また、MFPの代わりに他の画像形成装置、例えば、SMP(Single Function Peripheral)や、プリンタ、FAX(ファクシミリ)装置、コピー機等が含まれてもよい。
【0013】
<画像形成装置の構成>
次に、図2を参照して、本実施形態に係るMFP101、102のハードウェア構成について説明する。なお、以下では、MFP101のハードウェア構成の一例について説明する。MFP102のハードウェア構成は、MFP101と同様であるため説明を省略する。
【0014】
MFP101は、CPU201、RAM202、LCD203、操作部204、ROM205、スキャナエンジン206、プリンタエンジン207、ハードディスク208、ネットワークI/F209、及びカードリーダ210を備える。これらのコンポーネントは互いにシステムバス220を介して相互に接続されている。
【0015】
MFP101を制御するプログラムは、ROM205に記憶されており、必要に応じてRAM202に読み出されてCPU201によって実行される。また、ROM205やハードディスク208には制御プログラム以外にも画像形成装置自体や画像形成装置で処理されるジョブの機能及び状態を示す属性情報や出力の対象となるジョブ・データや受信して蓄積されたジョブ・データなどを記憶している。
【0016】
さらに、CPU201は、ネットワークI/F209を介して接続された外部との通信を行う。ネットワークI/F209は、イーサネット(登録商標)インタフェースだけではなく、USBやIEEE1394あるいはブルートゥース(登録商標)などの無線通信ネットワークI/Fであってもよい。さらに、CPU201がLCD203及び操作部204を介してユーザにメッセージを表示したり、ユーザからの入力を受け付ける。さらに、CPU201はカードリーダ210を介してICカードや磁気カードからの入力データを読み取る。
【0017】
本実施形態では、特に言及しない限り、図2に示した画像形成装置において、CPU201は、システムバス220を介して、操作部204を介したユーザ入力や、カードリーダ210を介したICカード及び磁気カードによる入力データを受け取る。また、CPU201は、システムバス220を介して、RAM202、LCD203、ROM205、スキャナエンジン206、プリンタエンジン207、ハードディスク208及びネットワークI/F209を統括的に制御し、各種処理を実行する。
【0018】
スキャナエンジン206は、紙文書を読み込みイメージデータを作成するスキャンジョブを実行できる。また、プリンタエンジン207は、外部から受信したデータを出力するプリントジョブを実行できる。したがって、スキャナエンジン206及びプリンタエンジン207を利用することにより、紙文書の複写を行うコピージョブを実行することができる。ここで、図2に示すMFP101が処理する単位について用語を定義する。MFP101が提供するサービス、例えば、印刷、スキャン、コピー、FAX送信、FAX受信、文書保存、文書送信などを実行する処理を、ジョブと総称する。
【0019】
<画面例>
次に、図3を参照して、本実施形態に係るMFP101がユーザに対してユーザ認証機能を有効にするかどうか、再実行機能を有効にするかどうかを設定させる設定画面の一例である。なお、以下で説明する画面はMFP102で表示することもできる。なお、これらの画面は、ROM205に格納されたプログラムをMFP101のCPU201が実行することによって、LCD203に表示される。
【0020】
画面301、302、303は、それぞれMFP101の管理者が設定可能なプリント機能に対する設定画面の設定例を示し、プリント機能についてユーザ認証機能が有効かどうか、再実行機能を有効にするかどうかをユーザに設定させる画面である。図3ではプリント機能に対する設定画面を示すが設定対象は実行可能なジョブに対する機能であればよく、プリント機能に限らず、コピー機能やスキャン機能、文書送信機能などであってもよい。また、各機能共通の設定画面として構成してもよい。
【0021】
画面301は、「ユーザ認証をする」が設定され、「再実行を有効」が設定されていないため、プリント機能に対してユーザ認証を行い、ジョブの再実行機能が無効となるように設定されている。また、「ユーザ認証する」の設定が外されると画面303に遷移する。
【0022】
画面302は、「ユーザ認証をする」と「再実行を有効」が設定されているため、プリント機能に対してユーザ認証を行い、且つ、ジョブの再実行機能が有効となるように設定されている。「再実行を有効」の設定が外されると画面301に遷移する。また、「ユーザ認証する」の設定が外されると「再実行を有効」の設定を削除したうえで画面303に遷移する。なお、画面302から、画面301又は画面302への画面遷移が行われる場合に、後述する図6のS604でジョブの再実行用にハードディスク208に保存されている画像データやジョブの設定値を削除するように構成してもよい。
【0023】
画面303は、「ユーザ認証をする」が設定されていないため、プリント機能に対してユーザ認証を行わない設定がされていることを示す。ユーザ認証を行わない設定がされている場合は認証されずにプリント機能が実行可能となってしまう。このため、「ユーザ認証する」が設定されていない場合には、「再実行を有効」を選択することができないように構成する。「ユーザ認証する」の設定がされると画面301に遷移する。
【0024】
<再実行機能の有無判定>
次に、図4を参照して、本実施形態に係るMFP101において再実行機能が実行可であるか不可であるかを決定する処理手順について説明する。以下で説明する処理は、ROM205に格納されたプログラムに従ってMFP101のCPU201が実行することによって実現される。
【0025】
S401において、CPU201は、ユーザ認証機能が有効であるかどうかを判定する。本実施形態では、ユーザ認証機能が有効であるかどうかは、図3で示す画面によって「ユーザ認証する」が設定されているかどうかによって判定するが別の構成であってもよい。例えば、実行するジョブが印刷ジョブである場合に、MFP101が実行可能な印刷ジョブが認証機能付きのアプリケーションでのみ実行指示可能な構成となっている場合に、S401においてユーザ認証機能が有効であると判定してもよい。さらに、ユーザ認証機能の有無は、実行するジョブに対して、有効なユーザ認証情報が設定されているかどうかによって判定してもよい。さらに、別の構成としては、ユーザ認証機能付きの外部装置がシステムバス220を介して接続され有効となっている場合にユーザ認証機能が有効であると判定してもよい。ユーザ認証機能が有効であると判定すると、S402へ進む。ユーザ認証機能が無効であると判定した場合にはS404へ進む。また、S404へと進む場合には、図3で示す画面によって「再実行を有効」が設定されているかどうかを判定し、「再実行を有効」が設定されている場合には当該設定を削除するようにしてもよい。
【0026】
次に、S402において、CPU201は、図3で示すような画面によって「再実行を有効」が設定されているかどうかに応じて、再実行機能の設定が有効かどうかを判定する。「再実行を有効」が設定されている場合には、再実行機能の設定が有効だと判定してS403へと進む。一方、「再実行を有効」が設定されていない場合には、S404へと進む。
【0027】
S403において、CPU201は、再実行機能が実行可であると決定して処理を終了する。一方、S404において、CPU201は、再実行機能が実行不可であると決定して処理を終了する。
【0028】
<ユーザ認証>
次に、図5を参照して、本実施形態に係るMFP101が外部から入力された情報を元に処理するユーザ認証処理について説明する。以下で説明する処理は、ROM205に格納されたプログラムに従ってMFP101のCPU201が実行することによって実現される。
【0029】
S501において、CPU201は、操作部204を介して、ユーザから入力される認証情報を受け付ける。認証情報とは、ユーザ認証のための入力データであり、本実施形態においてはユーザを識別するID(ユーザID)と、ユーザを認証するために予め決定されたパスワードを示す。ここで、認証情報の構成は前述のユーザIDとパスワードに限らず、次のS502において認証管理情報との照合が可能な入力データであればよい。なお、S501で受け付ける認証情報の入力方法については操作部204を介したユーザ入力以外に、カードリーダ210を介してICカードや磁気カードから入力される方法であってもよい。
【0030】
次に、S502において、CPU201は、S501で入力された認証情報を、予めハードディスク208に格納されている認証管理情報と照合する。ここでは、認証管理情報は予めハードディスク208に格納されているものとするが、認証管理情報はMFP101内に格納されている必要はない。例えば、MFP101のCPU201がネットワークI/F209を介してS401で入力され受け付けた認証情報を認証サーバPC104に送信し、PC104から受信する認証結果によって次のS503の判定を行ってもよい。この場合、PC104は、MFP101から送信されLAN110を介して受信した認証情報と、予めPC104が保持している認証管理情報との照合を行い、照合結果をMFP101へと送信する。
【0031】
次に、S503において、CPU201は、S502での照合結果を判定し、照合が成功した場合にはS504へ進み、照合が失敗した場合にはS505へと進む。S504において、CPU201は、ユーザ認証の結果として認証成功を設定し、処理を終了する。一方、S505において、CPU201は、ユーザ認証の結果として認証失敗を設定し、処理を終了する。
【0032】
<第1のジョブ実行処理>
次に、図6を参照して、本実施形態に係るMFP101が処理する第1のジョブ実行処理について説明する。ここで、第1のジョブ実行処理とは、受信したジョブ(オリジナルのジョブ)における1回目の実行処理を示す。なお、以下で説明する処理は、ROM205に格納されたプログラムに従ってMFP101のCPU201が実行することによって実現される。
【0033】
S601において、CPU201は、ネットワークI/F209や操作部204を介して受け付けたジョブに応じた画像形成処理を実行する。続いて、S602において、CPU201は、実行するジョブに対して再実行可とする指定がされているかどうかを判定する。ジョブに対する再実行可が指定されている場合には、ジョブ設定として再実行が許可されていると判定して、S603へと進む。ジョブに対する再実行可が指定されていない場合には、ジョブ設定として再実行が許可されていないと判定して処理を終了する。
【0034】
S603において、CPU201は、図4で説明した再実行機能が実行可であるか不可であるかの判定処理を行い、再実行機能が実行可であると判定するとS604へ進み、再実行機能が実行不可であると判定すると再実行ジョブを実行せず、処理を終了する。続いて、S604において、CPU201は、S601で受け付けて処理したジョブを再実行するためのジョブ情報を、処理した画像データやジョブの設定値などを実行可能な形式としてハードディスク208に保存し、処理を終了する。なお、ハードディスク208に保存する形式においては、ジョブ実行時に認証されているユーザの情報も含めてもよい。
【0035】
なお、本実施形態ではS602で再実行可が指定されている場合のみ、ジョブで処理した画像データやジョブの設定値などを再実行可能な形式として保存するように構成したが、本発明の実施形態としてはS602を実施しない構成でもよい。例えば、S603の判定により再実行機能が有効だと判定するとS604の処理を実行するように構成することでユーザの指示によらず再実行用に画像データやジョブの設定値などを保存することができる。
【0036】
<第2のジョブ実行処理>
次に、図7を参照して、本実施形態に係るMFP101が処理する第2のジョブ実行処理について説明する。ここで、第2のジョブ実行処理とは、以前受信したジョブ(オリジナルのジョブ)を保存した保存ジョブを利用した2回目以降の再実行処理を示す。以下で説明する処理は、ROM205に格納されたプログラムに従ってMFP101のCPU201が実行することによって実現される。
【0037】
なお、以下で説明する処理は、図3で説明したMFP101に対する機能設定を反映した実行指示がなされない場合に実行する。例えば、図3に示した画面で「再実行を有効」が設定され、図6の処理によって、画像データやジョブの設定値が再実行用に保存された後、PC103からMFP101に対してLAN110を介して再実行ジョブの実行指示が行われた場合に実行する。特に、図3に示した画面で「再実行を有効」の設定が削除されても再実行用に保存した画像データやジョブの設定値を保存しているような場合に実行する。
【0038】
S701において、CPU201は、図4で説明した再実行機能が実行可であるか不可であるかの判定処理を行い、再実行機能が実行可であると判定すると、S702へ進む。一方、再実行機能が実行不可であると判定すると再実行ジョブを実行せず、LCD203に再実行機能が実行不可であることを示す画面を表示して処理を終了する。
【0039】
S702において、CPU201は、図4で説明したユーザ認証処理が実行済みであるかどうかを判定する。ユーザ認証処理が実行済みであれば、実行済みのユーザ認証処理によって認証されたユーザのジョブとして以降の処理を進めるため、S703へと進む。ユーザ認証処理が実行済みでなければ、処理を終了する。
【0040】
S703において、CPU201は、ユーザ認証処理によって認証されたユーザに対して、当該ジョブの再実行権限が付与されているかどうかを判定する。ジョブの再実行権限については例えば、再実行しようとしているジョブに対応する第1のジョブ実行処理を指示したユーザ情報(ジョブのオーナ)と第2のジョブ実行処理において認証されているユーザ情報との照合により判定する。その他、ユーザ毎に実行権限を管理したり、ジョブ毎にユーザの実行権限を管理したり、或いはこれらの組み合わせによって実行権限を判定するようにしてもよい。ユーザに当該ジョブの再実行権限があると判定するとS704へ進み、S704では指定されたジョブを再実行して処理を完了する。ユーザに実行権限がないと判定すると、再実行ジョブを実行せず、LCD203にユーザの再実行権限がないことを示す画面を表示して処理を終了する。
【0041】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、MFP101は、ユーザ認証機能が有効であるかどうかを判定し、ユーザ認証機能が無効である場合には再実行機能を無効にすることができる。再実行機能が無効である場合には、ジョブの再実行を可能にさせるジョブの保存処理を実行しないように構成することができる。また、ネットワークI/F209経由で外部からジョブの再実行が指示された場合でもジョブの再実行を処理しないように構成することができる。よって、ジョブの再実行はユーザ認証に基づいた適切なユーザの権限によってのみ指示され、実行することが可能となる。なお、本実施形態では、ジョブの再実行について説明したが、保存したジョブの削除処理等も同様に制御することができる。つまり、本発明は、保存したジョブへのアクセスを好適に制御することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、図8及び図9を参照して、本発明に係る第2の実施形態について説明する。ここでは、上記第1の実施形態との差分について主に説明する。したがって、上記第1の実施形態と同様の構成及び技術については説明を省略する。まず、図8を参照して、図3で説明した設定に加えて、本実施形態に係るMFP101がユーザに対して不定ユーザを有効にするかどうか、不定ユーザに再実行ジョブの実行指示を許可するかどうかを設定させる設定画面について説明する。ここで、不定ユーザとは、例えば、ユーザ認証機能を有効にしている場合に、ネットワークI/F209を介して外部のPC103から投入される印刷ジョブに対して適切なユーザ認証情報が設定できない(特定されない)ユーザを示す。つまり、不定ユーザが有効になっている場合には、S501で受け付けた情報が認証管理情報に含まれていなくても認証成功とされる。
【0043】
画面801〜803は、該当するジョブ種のみ既定の不定ユーザを用いた認証によりジョブ実行可能にするためのものである。なお、本実施形態において不定ユーザは、ゲストユーザも含むものとする。ゲストユーザとは、ユーザ認証機能が有効である場合に、予めMFP101のハードディスク208に認証管理情報として認証可能なユーザ情報を格納していないユーザに対してもMFP101を利用可能とするためのユーザアカウントである。
【0044】
画面801〜803は、それぞれ管理者が設定可能なプリント機能設定画面である。「不定ユーザを有効」はユーザ認証する際にユーザを特定しない既定ユーザによるユーザ認証を許可するかどうかの設定を示す。また、「不定ユーザ実行可」は前述の不定ユーザとして認証されている場合に、再実行ジョブの実行指示を許可するかどうかの設定を示す。
【0045】
画面801においては「不定ユーザ実行可」が設定されると画面802に遷移する。画面802においては「不定ユーザを有効」の設定が外されると「不定ユーザ実行可」の設定を削除したうえで、画面803に遷移する。なお、画面803に遷移する際に不定ユーザが再実行可能なジョブ画像データ及びジョブの設定値を削除してもよい。画面803においては「不定ユーザを有効」の設定がされると画面801に遷移する。
【0046】
次に、図9を参照して、図6及び図7で説明した第1のジョブ実行処理および第2のジョブ実行処理に加えて、図8で説明した設定に基づき不定ユーザによるジョブ実行指示を処理するかどうかを判定する処理について説明する。図9で示すフローチャートは、図5で説明したユーザ認証処理によって、不定ユーザとしてユーザ認証した場合に処理する。以下で説明する処理は、ROM205に格納されたプログラムに従ってMFP101のCPU201が実行することによって実現される。
【0047】
S901及びS902はそれぞれ図4で説明したS401及びS402と同様の判定であるため、説明を省略する。S903において、CPU201は、図8に示す画面によって「不定ユーザ実行可」が設定されているかどうかに応じて、不定ユーザによるジョブの再実行が有効であるかどうかを判定する。「不定ユーザ実行可」が設定されていればS904へ進み、CPU201は、不定ユーザに対する再実行機能が有効であると決定する。一方、「不定ユーザ実行可」が設定されていなければ、S905へと進み、CPU201は、不定ユーザに対する再実行機能が無効であると決定して、処理を終了する。
【0048】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、MFP101は、不定ユーザによるジョブの再実行が可能かどうかを判定し、不定ユーザが有効に設定されていても、ジョブの再実行が適切なユーザの権限によってのみ指示され、実行することが可能となる。
【0049】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成装置であって、
画像形成に関わるジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記画像形成装置が有するユーザ認証機能が有効に設定され、かつ、前記ジョブ実行手段によって実行されたジョブを再実行する再実行機能が有効に設定されている場合に該再実行機能を実行可であると判定し、前記ユーザ認証機能及び前記再実行機能の少なくとも一方が無効に設定されている場合に該再実行機能を実行不可であると判定する判定手段と、
前記判定手段によって前記再実行機能が実行可であると判定されると、前記ジョブ実行手段によって実行されたジョブのジョブ情報を前記画像形成装置に保存する保存手段と、
前記判定手段によって前記再実行機能が実行可であると判定され、かつ、前記ユーザ認証が成功し、かつ、認証されたユーザが当該ジョブの実行権限を有する場合に、認証されたユーザが前記保存手段によって保存されたジョブ情報を扱うことを許可する制御手段と
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記保存手段は、
前記判定手段によって前記再実行機能が実行可であると判定され、さらに、前記ジョブ実行手段によって実行されたジョブに対して再実行を可とするように指定されている場合に、前記実行されたジョブのジョブ情報を前記画像形成装置に保存することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ユーザ認証機能と前記再実行機能とのそれぞれを有効又は無効に設定する設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記設定手段は、前記画像形成装置が提供するサービスごとに前記ユーザ認証機能と前記再実行機能との有効又は無効を設定することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記設定手段は、さらに、前記ユーザ認証機能及び前記再実行機能のそれぞれについて、不定のユーザを有効とするか無効とするかを設定することを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記判定手段は、
前記ユーザ認証機能及び前記再実行機能が有効に設定され、さらに、前記再実行機能について不定のユーザを有効とする設定になっている場合に、前記再実行機能が実行可であると判定することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
ユーザから受け付けた情報と、前記画像形成装置で予め保持している情報又は前記画像形成装置に対してネットワークを介して接続された外部装置に保持された情報と、を照合することにより、ユーザを認証する認証手段をさらに備え、
前記認証手段は、前記設定手段によって前記ユーザ認証機能が不定のユーザを有効とする場合には、前記ユーザから受け付けた情報が前記画像形成装置又は前記外部装置に保持されていない場合であってもユーザを認証することを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段によって前記ジョブ情報を扱うことを許可されたユーザは、該ジョブ情報に対応するジョブの再実行及び該ジョブ情報の削除を実行可であることを特徴とする請求項1乃至7の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置の制御方法であって、
ジョブ実行手段が、画像形成に関わるジョブを実行するジョブ実行ステップと、
判定手段が、前記画像形成装置が有するユーザ認証機能が有効に設定され、かつ、前記ジョブ実行ステップにおいて実行されたジョブを再実行する再実行機能が有効に設定されている場合に該再実行機能を実行可であると判定し、前記ユーザ認証機能及び前記再実行機能の少なくとも一方が無効に設定されている場合に該再実行機能を実行不可であると判定する判定ステップと、
保存手段が、前記判定ステップにおいて前記再実行機能が実行可であると判定されると、前記ジョブ実行ステップにおいて実行されたジョブのジョブ情報を前記画像形成装置に保存する保存ステップと、
制御手段が、前記判定ステップにおいて前記再実行機能が実行可であると判定され、かつ、前記ユーザ認証が成功し、かつ、認証されたユーザが当該ジョブの実行権限を有する場合に、認証されたユーザが前記保存ステップにおいて保存された該ジョブ情報を扱うことを許可する制御ステップと
を実行することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置の制御方法における各ステップをコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2013−99889(P2013−99889A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−244984(P2011−244984)
【出願日】平成23年11月8日(2011.11.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】