説明

画像形成装置、ジョブ管理方法、及びプログラム

【課題】ユーザ操作に基づくジョブの実行に対してより適切に応答することを目的とする。
【解決手段】情報処理装置から送信されたジョブデータをジョブとして記憶部に記憶し、ユーザ操作に応答してジョブの実行の指示が受け付けられる際、記憶部に記憶されているジョブの情報を表示部に表示し、表示部にジョブの情報が表示されているか否かを判断し、表示されていると判断した場合、記憶部からジョブを消去する処理を保留し、表示されていないと判断した場合、記憶部からジョブを消去することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、ジョブ管理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、あるドキュメントの印刷後に同じドキュメントをもう一部印刷したいというユーザからの要求があった。ここで、データ処理装置から印刷データを再送することなく、画像形成装置のパネル操作による再印刷(以下、リプリントと称する。)の指示に従って、そのドキュメントの印刷を行うリプリント技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
通常の印刷処理では、画像形成装置は、データ処理装置から送信された印刷データの印刷ジョブを画像形成装置の記憶装置に保存し、印刷処理が終了した後に、保存した印刷ジョブを削除する。他方、リプリント技術におけるリプリントモードでは、画像形成装置は、印刷処理が終了した後も、保存した印刷ジョブを削除しないで記憶装置の空きがなくなるまで保存し続ける。この構成によれば、データ処理装置から印刷データが再送されることなく、ユーザは、画像形成装置のパネル操作によるリプリントの指示によって一度印刷したドキュメント(画像)を再度印刷することができる。
【0003】
ここで、リプリントモードでは、画像形成装置は、印刷ジョブを記憶装置内のジョブスプール領域に保存していく。よって、画像形成装置は、ジョブスプール領域がフルになったとき、次の印刷ジョブを保存するための領域を空けるためにジョブスプール領域内のいずれかの印刷ジョブを削除しなければならない。例えば、特許文献1に記載の画像形成装置は、印刷データの受信時に、スプール領域に保存している印刷データのうち保存した日時情報の最も古い印刷データを削除して次の印刷データを保存するための領域を確保している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−63158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ユーザによる操作パネルからのリプリントの要求に対して、ジョブスプール領域に保存されているジョブをジョブリストとしてUI画面に表示する場合、日時情報の最も古いジョブも表示され得る。このとき、日時情報の最も古いジョブのリプリントの実行の指示を受けた直後に新たに印刷データを受信してしまうと、画像形成装置は、ジョブスプール領域の空きを確保するために、リプリントの対象に選ばれた日時情報の最も古いジョブを削除する。すなわち、ユーザがリプリントを指示したジョブの印刷ができなくなってしまう事態が生じ得る。
【0006】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、ユーザ操作に基づくジョブの実行に対してより適切に応答することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで、本発明に係る画像形成装置は、情報処理装置から送信されたジョブデータをジョブとして記憶部に記憶する記憶手段と、ユーザ操作に応答してジョブの実行の指示が受け付けられる際、前記記憶部に記憶されているジョブの情報を表示部に表示する表示手段と、前記表示部にジョブの情報が表示されているか否かを判断し、表示されていると判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する処理を保留し、表示されていないと判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する消去手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ユーザ操作に基づくジョブの実行に対してより適切に応答することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図2】コントローラの構成の一例を示す図である。
【図3】データフローの一例を示す図である。
【図4】保存ジョブを管理するためのテーブルの一例を示す図である。
【図5】UI画面の一例を示す図である。
【図6】通常モード時の消去処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7】リプリントモード時の消去処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0011】
(プリンタの構成)
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示す図である。本印刷システムは、データ処理装置101とプリンタ102とを含んで構成される。
データ処理装置101は、情報処理装置(コンピュータ)の一例であり、画像情報(例えば、ページ記述言語で記述されたPDL情報)の供給源として機能する。プリンタ102は、画像形成装置(コンピュータ)の一例であり、本実施形態では、レーザビームプリンタを採用する。なお、本実施形態に適用される画像形成装置は、レーザビームプリンタに限られるものではなく、インクジェットプリンタ等、他のプリント方式のプリンタであってもよい。
【0012】
プリンタ102は、パネル部301、プリンタコントローラ(コントローラ)302、及びプリンタエンジン303を含んで構成される。パネル部301は、タッチパネル式のディスプレイ(表示部の一例)を有し、ユーザインタフェースとして使用される。なお、パネル部301は、ディスプレイに表示された情報を操作するための操作ボタンなどを有していてもよい。
コントローラ302は、パネル部301を介してユーザからの所望の動作指示(ユーザ操作)を受け付ける。また、コントローラ302は、パネル部301を介して、プリンタ102の処理内容やユーザへの警告内容を表示する。また、コントローラ302は、データ処理装置101から供給される画像情報(ジョブデータの一例である印刷データなど)に基づいて、ページ毎にラスタデータを生成し、プリンタエンジン303に送出する。
プリンタエンジン303は、コントローラ302から供給されるラスタデータに基づいて、感光ドラム上に潜像を形成し、その潜像を記録媒体上に転写・定着すること(電子写真方式)により画像を記録する。
【0013】
(コントローラの構成)
図2は、コントローラ302の構成の一例を示す図である。パネルインタフェース部(パネルI/F部)401は、パネル部301とデータ通信を行う。ホストインタフェース部(ホストI/F部)402は、ホストコンピュータ等であるデータ処理装置101と、ネットワークを介して双方向に通信可能に接続する。中間データ作成部403は、ホストインタフェース部402を介してデータ処理装置101から受信した印刷データをプリンタ102内部で扱いやすい形である中間データに変換する処理を行う。
【0014】
ROM404は、プリンタ102を制御するためのプログラム(制御プログラムコード)を保持する。RAM405は、各種のデータを記憶する。CPU409がRAM405に格納するデータには、受信した印刷データ、印刷データを解釈して生成される中間データ、中間データをレンダリングして生成されるビットマップデータ、その他の処理に必要な一時的な各種の処理ステータスなどがある。
二次ストレージ421は、ホストインタフェース部402を介して受信した印刷データやログ情報などを保存する。二次ストレージ421としては、HDDやSDカードなどを採用することができる。
【0015】
エンジンインタフェース部(エンジンI/F部)406は、プリンタエンジン303と通信可能に接続する。DMA制御部407は、CPU409による指示に応じて、RAM405内に格納されているビットマップデータをエンジンインタフェース部406に転送する。レンダリング部408は、RAM405に格納された中間データの内容に従って、ビットマップイメージに展開する(中間データをもとにビットマップデータを生成する)。
CPU409は、ROM404に格納された制御プログラムコードに基づいて、CPUバス420に接続されたデバイスを制御する。例えば、CPU409は、パネル部301及びパネルインタフェース部401を介して、ユーザからの各種の指示(設定指示など)を受け付ける。また、例えば、CPU409は、エンジンインタフェース部406を介して、プリンタエンジン303の状態を把握する。
EEPROM410は、プリンタ102の設定情報を保持するための不揮発性のメモリである。メディアインタフェース部(メディアI/F部)411は、USBメモリ等のリムーバブルメディア304から、画像データ、プログラムデータ、機器設定データ等の各種のデータを読み取り書き込む。CPUバス420は、アドレスバス、データバス、コントロールバスを含むバスである。上述したデバイスは、それぞれCPUバス420に接続された全てのデバイスにアクセスできる。
【0016】
保存ジョブ制御部412は、ROM404に保持されるプログラムのモジュールであり、このプログラムは、コントローラ302のRAM405に記憶され、CPU409により実行される。すなわち、CPU409が、ROM404に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、プリンタ102における機能及び後述するフローチャートに係る処理が実現される。
また、CPU409は、保存ジョブ制御部412を介して、データ処理装置101から受信した印刷データを印刷ジョブとしてRAM405或いは二次ストレージ421等の記憶部に保存し、保存されている印刷ジョブを記憶部から消去する。
【0017】
(データフロー)
図3は、コントローラ302におけるデータフローの一例を示す図である。受信バッファ501は、RAM405に論理的に確保されたバッファである。ジョブスプール領域502は、RAM405、或いは二次ストレージ421に論理的に確保された領域(記憶領域)である。受信バッファ501は、通常、ジョブスプール領域502より容量が小さい。イメージスプール領域503は、RAM405に論理的に確保された領域である。
【0018】
ホストインタフェース部402は、受信バッファ501に空きがあるか否かを判断し、空きがあると判断した場合、データ処理装置101より印刷データを受信し、受信バッファ501に保存する(SQ101)。
保存ジョブ制御部412は、受信バッファ501に印刷データが保存された旨の通知を受けたときに、少なくともジョブスプール領域502に受信バッファ501の容量と同じサイズの空きがあることを確認する。保存ジョブ制御部412は、空きがなければ空きができるまで待機し、空きがあればジョブスプール領域502に印刷データを印刷ジョブとして保存するとともに、受信バッファ501の印刷データを消去して受信バッファ501を空にする(SQ102)。なお、図6及び図7において後述するように、保存ジョブ制御部412は、ジョブスプール領域502に保存されている印刷ジョブ(保存ジョブ)を消去する処理を非同期に行っている。
【0019】
中間データ作成部403は、イメージスプール領域503に所定のサイズの空きがあるという条件のもとで、ジョブスプール領域502に保存されている印刷ジョブを読み出し、PDL解釈処理(中間データ作成処理)を行う。中間データ作成部403によって作成された中間データは、RAM405に論理的に確保された不図示のバッファに保存される。レンダリング部408は、不図示のバッファに保存されている中間データに従ってレンダリング処理を開始し、レンダリング処理によって生成されるビットマップイメージをイメージスプール領域503に保存する(SQ103)。
エンジンインタフェース部406は、プリンタエンジン303と同期を取りながら、DMA制御部407を介してイメージスプール領域503のビットマップイメージをプリンタエンジン303に転送する(SQ104)。
【0020】
(リプリントモード)
コントローラ302は、印刷のモードとして、データ処理装置101より送信された印刷データを受信して印刷する通常モードの他にリプリントモードを有し、リプリントモードと通常モードとを本体のユーザメニュー等から設定された設定値によって切り替える。
リプリントモードは、一度印刷した印刷ジョブをジョブスプール領域502に保存したままにしておいて、保存されている印刷ジョブをユーザ操作に応答する印刷の指示に従って再印刷(別のタイミングで印刷)するモードのことである。リプリントモードに設定されているときには、コントローラ302(保存ジョブ制御部412)は、印刷ジョブが終了してもジョブスプール領域502に保存した印刷ジョブを消去しないまま残しておくように制御する。また、コントローラ302は、リプリントモードに設定されているときには、図4において後述する保存ジョブ管理テーブルに従って保存ジョブを管理する。
【0021】
また、コントローラ302は、ジョブスプール領域502の保存ジョブの情報を、パネルインタフェース部401を介してパネル部301にリプリント可能なジョブリストとして表示する。なお、リプリント可能なジョブリストを示す画面の例については図5に示す。そして、コントローラ302は、パネル部301に表示したリプリント可能なジョブリストに対して、パネル部301を介してユーザからリプリントの指示があったと判断した場合、指示された対象の保存ジョブを印刷する。
また、コントローラ302は、リプリントモードに設定されているときと、通常モードに設定されているときとで、ジョブスプール領域502の保存ジョブを消去するタイミングを変更する。通常モードに設定されているときに保存ジョブを消去する処理については、図6を参照して説明する。リプリントモードに設定されているときに保存ジョブを消去する処理については、図7を参照して説明する。
【0022】
(保存ジョブ管理テーブル)
図4は、保存ジョブ制御部412が保存ジョブを管理するためのテーブルの一例(保存ジョブ管理テーブル)を示す図である。保存ジョブ管理テーブルには、ジョブスプール領域502における全ての保存ジョブの情報が含まれている。保存ジョブ管理テーブルは、ジョブスプール領域502内の管理領域に保存されている。
保存ジョブ制御部412は、受信バッファ501に保存されている印刷データをジョブスプール領域502に転送するときに、その転送データが新規のデータ(新規のジョブ)であるか否かを判断する。保存ジョブ制御部412は、新規のジョブであると判断したときには、その印刷データのジョブ情報を解析(解釈)し、ジョブID、ジョブオーナー、ジョブ名、ジョブサイズ等の情報を抽出して保存ジョブ管理テーブルに新規に登録する。同時に、保存ジョブ制御部412は、新規のジョブとして保存した時刻(時間)も対象ジョブの保存時刻(記憶時間)の情報として登録する。さらに、保存ジョブ制御部412は、エンジンインタフェース部406からの印刷が終了した旨の通知(ジョブ終了通知)に従って、対象のジョブの最終印刷時刻(実行時間)の情報を登録、或いは更新する。
【0023】
(リプリント指示画面)
図5は、パネルインタフェース部401がリプリントの指示を受け付けるためのUI画面の一例(リプリント指示画面)を示す図である。
図5(A)は、ジョブスプール領域502に保存されているジョブ(保存ジョブ)を操作するためのジョブメニュー画面を示す。ジョブメニュー画面において、パネル部301を介してユーザにより「リプリント」が選択されたとき、パネルインタフェース部401は、保存ジョブ制御部412を介して保存ジョブ管理テーブルのジョブオーナーの情報に従って、図5(B)の画面を表示する。
図5(B)は、リプリント可能なオーナーリストを示し、リプリントを指示するジョブオーナーを指定(ジョブオーナーの情報を入力)するための画面を示す。例えば、パネル部301を介してユーザにより「UID0004」が選択されたとき、パネルインタフェース部401は、保存ジョブ制御部412を介してジョブオーナー「UID0004」に対応するジョブ名の情報を保存ジョブ管理テーブルから取得する。そして、パネルインタフェース部401は、ジョブ名の情報に従って、図5(C)の画面を表示する。
【0024】
図5(C)は、ジョブオーナー「UID0004」がリプリント可能なジョブリストを示し、リプリントの対象とするジョブを指定(リプリントに関する情報を入力)するための画面を示す。例えば、パネル部301を介してユーザにより「分担表」が選択されたとき、パネルインタフェース部401は、保存ジョブ制御部412を介してジョブ名「分担表」に対応するジョブIDの情報「JID001」を保存ジョブ管理テーブルから取得する。そして、パネルインタフェース部401は、ジョブIDの情報「JID001」に従って、図5(D)の画面を表示する。
図5(D)は、リプリントの開始を確認するための確認画面を示す。例えば、パネル部301を介してユーザにより「はい」が選択されたとき、パネルインタフェース部401は、保存ジョブ制御部412にジョブID「JID001」のリプリントの開始を指示する。なお、保存ジョブ制御部412は、パネルインタフェース部401からのジョブID「JID001」のリプリントの開始の指示に従ってリプリント用のジョブを生成(ジョブID「JID001」に対応する印刷ジョブをジョブスプール領域502から取得)する。
【0025】
(保存ジョブ消去処理)
図6は、保存ジョブ制御部412が通常モード時に保存ジョブを消去する処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
保存ジョブ制御部412が通常モード時に保存ジョブを消去する処理は、二次ストレージを使う場合と使わない場合とで処理の内容が異なる。例えば、二次ストレージを使う場合、保存ジョブ制御部412は、ユーザの指示により保存ジョブを生成する。そして、保存ジョブ制御部412は、ユーザから保存ジョブを削除する指示(削除指示)がない限り、保存ジョブの消去を行わない。
まず、保存ジョブ制御部412は、二次ストレージを使う設定になっているか否かを判断する(S101)。このとき、保存ジョブ制御部412は、二次ストレージを使う設定になっていると設定情報に基づいて判断した場合、S102の処理を行い、他方、二次ストレージを使う設定になっていないと設定情報に基づいて判断した場合、S105の処理を行う。
【0026】
S102では、保存ジョブ制御部412は、エンジンインタフェース部406からの印刷ジョブのジョブ終了通知があるか否かを判断する。このとき、保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知があると判断した場合、S103の処理を行い、他方、ジョブ終了通知がないと判断した場合、S102の処理を行う。
S103では、保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知の対象のジョブがユーザにより保存が指示されているジョブであるか否かを判断する。このとき、保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知の対象のジョブがユーザにより保存が指示されているジョブでると設定情報に基づいて判断した場合、S102の処理を行う。他方、保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知の対象のジョブがユーザにより保存が指示されているジョブでないと設定情報に基づいて判断した場合、S104の処理を行う。S104では、保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知の対象の保存ジョブをジョブスプール領域502から消去する。保存ジョブ制御部412は、ジョブ終了通知の対象の保存ジョブをジョブスプール領域502から消去すると、S102からの処理を繰り返す。
【0027】
S105では、保存ジョブ制御部412は、中間データ作成部403からのPDL解釈の終了通知があるか否かを判断する。このとき、保存ジョブ制御部412は、PDL解釈の終了通知があると判断した場合、S106においてPDL解釈の終了通知の対象の保存ジョブをジョブスプール領域502から消去し、続いてS105の処理を行う。他方、保存ジョブ制御部412は、PDL解釈の終了通知がないと判断した場合、S105の処理を行う。
【0028】
図7は、保存ジョブ制御部412がリプリントモード時に保存ジョブを消去する処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、保存ジョブ制御部412は、ホストインタフェース部402から印刷データの受信通知があるか否かを判断する。ここで、印刷データの受信通知は、図3におけるSQ101において、ホストインタフェース部402がデータ処理装置101から印刷データを受信して受信バッファ501に保存することによって発生する。ホストインタフェース部402から印刷データの受信通知があったと判断した場合、保存ジョブ制御部412は、S202の処理を行い、他方、印刷データの受信通知がないと判断した場合、S201の処理を行う。
【0029】
S202では、保存ジョブ制御部412は、ジョブスプール領域502に所定サイズの空きがあるか否かを判断する。本実施形態では、所定サイズの空きとして、受信バッファ501と同じサイズの空きを採用して説明するが、所定サイズの空きとしては、予め設定される任意のサイズの空きを採用することができる。保存ジョブ制御部412は、ジョブスプール領域502全体のサイズから、保存ジョブ管理テーブルの中のジョブサイズの合計値を引いた値が、受信バッファ501のサイズより小さいか否か(記憶領域が不足しているか否か)を判断する。このとき、保存ジョブ制御部412は、小さいと判断した場合、いずれかの保存ジョブを消去するためにS203の処理を行い、他方、小さくないと判断した場合、保存ジョブを消去する必要ないのでS201の処理を行う。
【0030】
S203では、保存ジョブ制御部412は、リプリントの候補となるジョブのジョブリストを表示しているかどうかをパネルインタフェース部401に問い合わせる。「リプリントの候補となるジョブのジョブリストを表示している」とは、例えば図5の(C)或いは(D)のようにジョブリストが表示されてから初期画面に戻るまでの間の画面を表示している期間をも含む。保存ジョブ制御部412は、リプリントの候補となるジョブのジョブリストを表示している間は、保存ジョブを消去する処理を保留(停止)し、リプリントの候補となるジョブのジョブリストの表示が解除されるのを待つ。
S204では、パネルインタフェース部401よりリプリントの候補となるジョブのジョブリストの表示が解除されたと通知された場合、保存ジョブ制御部412は、保存ジョブ管理テーブルの中の最終印刷時刻が最も古い保存ジョブを判断して消去する。ただし、ジョブスプール領域502に保存されているジョブのうち、印刷の実行中のジョブ、及び印刷が予約されているジョブは、消去の対象外である。保存ジョブ制御部412は、消去したジョブのサイズがS202における所定サイズ(例えば、受信バッファ501と同じサイズ)より小さい値であれば、ジョブスプール領域502の空きが所定サイズを超えるまで消去する処理を繰り返す。S204の処理が終了したら、保存ジョブ制御部412は、S201からの処理を繰り返す。
【0031】
以上のように、リプリント用のジョブリストを表示している間の保存ジョブの自動消去を禁止することにより、リプリントの実行が指示された保存ジョブが新規のジョブの受信に伴ってリプリントが開始されるまでの間に消去されてしまうことを防ぐことができる。すなわち、リプリント用のジョブリストから指定されたジョブを確実に実行して印刷することができるようになる。
【0032】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、図7のS204において、保存ジョブ制御部412は、保存ジョブ管理テーブルの中の最終印刷時刻が最も古い保存ジョブを判断してその保存ジョブを消去している。しかしながら、この構成に限られるものではない。本実施形態では、例えば、保存時刻が最も古い保存ジョブを判断してその保存ジョブを消去する構成を採用する。なお、その両方の消去する処理を切り替える構成を採用してもよい。
【0033】
<第3の実施形態>
第1の実施形態では、図7のS203において、保存ジョブ制御部412は、リプリントの候補となるジョブのジョブリストを表示している間は、保存ジョブを消去する処理を保留する構成であるが、この構成に限られるものではない。例えば、本実施形態では、保存ジョブを消去する処理を保留することなくS204の処理を行う構成を採用する。
この場合、リプリントの実行が指示された保存ジョブが新規のジョブの受信に伴ってリプリントが開始するまでの間に消去されたときは、パネルインタフェース部401は、上記指示を受けた直後に対象の保存ジョブが消去された旨のメッセージを表示する。
【0034】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0035】
上述した実施形態の構成によれば、ユーザ操作に基づくジョブの実行に対してより適切に応答することができる。
【0036】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置から送信されたジョブデータをジョブとして記憶部に記憶する記憶手段と、
ユーザ操作に応答してジョブの実行の指示が受け付けられる際、前記記憶部に記憶されているジョブの情報を表示部に表示する表示手段と、
前記表示部にジョブの情報が表示されているか否かを判断し、表示されていると判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する処理を保留し、表示されていないと判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する消去手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記消去手段は、前記ジョブデータのジョブを記憶する記憶領域が予め定められたサイズより小さいと判断し、かつ前記表示部にジョブの情報が表示されていないと判断した場合、前記予め定められたサイズを確保するまで前記記憶部に記憶されているジョブを消去することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記記憶部に記憶されているジョブは、印刷ジョブであり、
前記表示手段は、前記記憶部に記憶されているジョブの情報を再印刷の候補として前記表示部に表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記消去手段は、前記記憶部に記憶されているジョブのうち、ジョブが実行されたときの時間を示す実行時間の情報が古いジョブから消去することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記消去手段は、前記記憶部に記憶されているジョブのうち、前記記憶部にジョブが記憶されたときの時間を示す記憶時間の情報が古いジョブから消去することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
画像形成装置におけるジョブ管理方法であって、
情報処理装置から送信されたジョブデータをジョブとして記憶部に記憶する記憶工程と、
ユーザ操作に応答してジョブの実行の指示が受け付けられる際、前記記憶部に記憶されているジョブの情報を表示部に表示する表示工程と、
前記表示部にジョブの情報が表示されているか否かを判断し、表示されていると判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する処理を保留し、表示されていないと判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する消去工程と、
を有することを特徴とするジョブ管理方法。
【請求項7】
コンピュータを、
情報処理装置から送信されたジョブデータをジョブとして記憶部に記憶する記憶手段と、
ユーザ操作に応答してジョブの実行の指示が受け付けられる際、前記記憶部に記憶されているジョブの情報を表示部に表示する表示手段と、
前記表示部にジョブの情報が表示されているか否かを判断し、表示されていると判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する処理を保留し、表示されていないと判断した場合、前記記憶部からジョブを消去する消去手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−86449(P2012−86449A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234859(P2010−234859)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】