説明

画像形成装置、プログラム、画像形成方法および記録媒体

【課題】MICRジョブを実行する場合には、蓄積印刷処理を抑止することができる画像形成装置、プログラム、画像形成方法および記録媒体を提供すること。
【解決手段】記憶部と、外部装置から受信した印刷データの種類を判断する判断部と、前記印刷データを前記記憶部に蓄積する蓄積処理部と、前記判断部により前記印刷データの種類が、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)を対象とするMICR印刷データであると判断された場合に、前記MICR印刷データに付加されている認証情報に基づいて認証処理を行う認証部と、を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁性部材を使用してMICR(Magnetic Ink Character Recognition)フォントと呼ばれる特殊な形状をした書体を小切手、手形等に印刷可能な画像形成装置、プログラム、画像形成方法および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
磁性インクや磁性トナーを使用してMICRフォントと呼ばれる特殊な形状をした書体を小切手等に印刷し、それをMICRリーダソータと呼ばれる装置により読み取り仕分け等の処理を行うシステムがある。このようなシステムは、欧米では広く普及している。
【0003】
また、印刷処理の時間を短縮するために、まず、読み取った画像データを画像形成装置内に蓄積し、蓄積処理が終了した後に蓄積した画像データをまとめて印刷する蓄積印刷の技術も一般的となっている。
【0004】
特許文献1には、画像形成装置本体と画像形成装置本体に着脱自在なプロセスカートリッジを備えた画像形成装置において、プロセスカートリッジを交換することによりMICRプリンタまたは通常プリンタとして使用できる画像形成装置が開示されている。
【0005】
【特許文献1】特開平10−161508号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
MICRデータを印刷する際のリソースは、MICR用トナー、MICR用紙、MICRフォント、印刷するフォームデータを意味するMICRデータとなるため、MICRジョブを実行する場合には、MICR専用の印刷データで印刷する必要がある。しかし、蓄積印刷機能を使用すると、文書登録時と文書印刷時とが同じ状態とは限らないため、MICR専用のフォントデータが削除されるなど、印刷時のデータが登録時と異なってしまう可能性がある。ここで、実使用上の問題として、MICRジョブがMICR専用の印刷データで印刷されなかった場合、偽小切手として流通するおそれがあり、発行者の信用問題となる。このため、MICRジョブを実行する場合には、蓄積印刷の処理を抑止する必要がある。
【0007】
しかし、特許文献1に記載の画像形成装置は、MICRジョブ実行用のセキュアリソースの使用条件を満たしたまま、蓄積文書印刷をユーザに提供する手段を提供していない。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、MICRジョブを実行する場合には、蓄積印刷処理を抑止することができる画像形成装置、プログラム、画像形成方法および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、請求項1にかかる発明は、記憶部と、外部装置から受信した印刷データの種類を判断する判断部と、前記印刷データを前記記憶部に蓄積する蓄積処理部と、前記判断部により前記印刷データの種類が、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)を対象とするMICR印刷データであると判断された場合に、前記MICR印刷データに付加されている認証情報に基づいて認証処理を行う認証部と、を備え、前記蓄積処理部は、前記認証部による認証結果に基づいて、前記印刷データの蓄積処理の可否を判断し、前記印刷データを前記記憶部に蓄積すること、を特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記蓄積処理部は、前記認証部による認証が成功した場合に、前記印刷データの蓄積処理を不可と判定し、前記印刷データを前記記憶部に蓄積しないこと、を特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記印刷データに前記認証情報が付加されていなかった場合、または、前記判断部により前記印刷データの種類が前記MICR印刷データであると判断された場合であって、前記MICR印刷データの前記認証部による認証が成功しなかった場合に、前記MICR印刷データを通常の印刷データに変更する印刷データ編集処理部、をさらに備えたことを特徴とする。
【0012】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記印刷データ編集処理部により前記MICR印刷データが通常の印刷データに変更された場合に、前記印刷データの前記記憶部への蓄積登録を可能と判定する蓄積登録判定部、をさらに備え、前記蓄積処理部は、前記蓄積登録判定部により蓄積登録が可能と判定された場合に、前記印刷データを前記記憶部に蓄積すること、を特徴とする。
【0013】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、画像形成に用いるトナーを収容するカートリッジを着脱可能に取り付ける取り付け部をさらに備え、前記判断部は、前記カートリッジの種類を判断し、前記判断部により前記カートリッジの種類が前記MICRに用いられるMICRカートリッジであると判断された場合に、前記記憶部に蓄積された前記印刷データを印刷する蓄積印刷を不可と判定する蓄積印刷判定部と、前記蓄積印刷判定部により前記印刷データの蓄積印刷を不可と判定された場合に、前記印刷データを蓄積印刷しない印刷処理部と、を備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項6にかかる発明は、請求項5に記載の画像形成装置において、前記蓄積印刷判定部により前記印刷データの蓄積印刷を可と判定された場合に、前記印刷データの蓄積処理を行うか否かの指定を受け付けるユーザインターフェース制御部、をさらに備え、前記蓄積処理部は、前記ユーザインターフェース制御部により蓄積処理を行う指定を受け付けた場合に、前記印刷データを蓄積すること、を特徴とする。
【0015】
また、請求項7にかかる発明は、請求項2に記載の画像形成装置において、前記判断部と前記認証部と前記印刷データ編集処理部とを備えるアプリ部と、前記蓄積処理部を備えるプリンタ部と、を備えることを特徴とする。
【0016】
また、請求項8にかかる発明は、請求項4〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置において、前記判断部と前記認証部と前記印刷データ編集処理部と前記蓄積登録判定部とを備えるアプリ部と、前記蓄積処理部と前記蓄積印刷判定部と前記ユーザインターフェース制御部とを備えるプリンタ部と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、MICR印刷データに付与されている認証データを照合することにより、MICR印刷データであると判断した場合に、蓄積印刷処理を抑止することができるという効果を奏する。これにより、認証が成功したMICRデータを確実にMICRリソースにより印刷することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる画像形成装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0019】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の構成を示すブロック図である。画像形成装置100は、コントローラ110と、オペレーションパネル130と、プリンタエンジン140とから主に構成されており、PC(Personal Computer)150と接続されている。コントローラ110は、印刷データを描画データに変換してプリンタエンジン140へ出力する制御機構の総称であり、記憶部111と、受信部112と、認証部113と、判断部114と、蓄積処理部115と、印刷データ展開処理部116と、印刷出力処理部117と、I/F(User Interface)制御処理部118とを主に備えている。
【0020】
受信部112は、PC150から送信される印刷データを受信し、受信した印刷データをHDD111に格納する。I/F制御部118は、オペレーションパネル130を接続して、オペレーションパネル130に表示されるI/Fとデータをやり取りする。
【0021】
判断部114は、受信部112により受信された印刷データの種類が、通常印刷データであるか、MICR印刷データであるかを判断する。また、プロセスカートリッジ141に取り付けられているICチップ142から、装着されたプロセスカートリッジの種類(「通常カートリッジ」または「MICRカートリッジ」)を含むカートリッジ情報を取得して、プリンタエンジン140に取り付けられたプロセスカートリッジ141の種類が、通常カートリッジであるかMICRカートリッジであるかを判断する。
【0022】
認証部113は、受信部112がPC150から受信した印刷データがMICR印刷データであると判断部114により判断された場合に、MICR印刷データに付加されているパスワード等の認証情報を認証する。
【0023】
蓄積処理部115は、判断部114により判断された印刷データの種類と、認証部113により認証されたパスワード認証結果から、蓄積処理の可能/不可能を判断する。また、蓄積可能であると判断した場合には、蓄積可能であると判断した印刷データをHDD111に蓄積する。
【0024】
印刷データ展開処理部116は、受信部112が受信した印刷データのビットマップ展開を行う。印刷出力処理部117は、印刷データ展開処理部116により展開されたビットマップデータを印字し、出力を行う。
【0025】
HDD111は、受信部112がPC150から受信した印刷データや、認証部113が認証した認証結果を格納したり、蓄積処理部115が蓄積処理を可能と判断した印刷データを蓄積したりする。
【0026】
図2は、受信部112がPC150から受信した印刷データの種類を示す説明図である。通常印刷データ202には、PDL(Page Discription Language)データに設定情報が付加されている。ここで、設定情報とは、蓄積処理の指定の有無や、セキュアリソース使用の指定の有無等の設定に関する情報のことである。また、セキュアリソースとは、MICR専用フォントや、MICRトナー、MICR用紙等のMICR印刷に使用されるリソースのことである。MICR印刷データ201には、通常印刷データ202に含まれているPDLデータと設定情報に加えて、セキュア印刷認証用データが付加されている。セキュア印刷認証用データとは、印刷権限を有するユーザによるMICRジョブ指定であることを確認するためのパスワード等の認証情報のことである。
【0027】
次に、入力データの認証結果により蓄積印刷機能が制限される場合について説明する。図3は、入力データの認証結果から、蓄積印刷機能を制御する例を示す図である。図3では、セキュアリソースを使用する場合には、蓄積印刷を許可しないこととなっている。これは、セキュアリソースを使用する場合に蓄積印刷機能を使用すると、印刷時において、文書登録時に保存したMICRフォントデータが削除されるなど、蓄積登録された印刷データが登録時と異なるデータで印刷される可能性が生じるため、このような事態を避けるためである。すなわち、印刷時に、登録時のデータの同一性を確実に保つことができないという不具合を回避するために、セキュアリソースを使用する場合には、蓄積印刷機能の使用を制限している。
【0028】
図3の表の上段に示すように、入力データの種類には、セキュア印刷データと通常印刷データとがある。認証結果については、セキュア印刷データであれば、認証が成功した場合である「OK」と、認証が成功しなかった場合である「NG」とがあり、通常印刷データの場合には、PDLデータに認証データが付加されていないので常に「NG」となっている。また、セキュアリソースの使用が許可されるのは、セキュア印刷データであって、認証が「OK」の場合だけである。セキュア印刷データであるが、認証が「NG」である場合や、通常印刷データである場合には、セキュアリソースは使用せず、印刷データを通常リソースの使用に置換する。また、蓄積印刷を許可される場合については、セキュア印刷データであって、認証が「NG」である場合と、通常印刷データであることから「NG」となっている場合である。これより、蓄積印刷が制限されるのは、セキュア印刷データであって、認証が「OK」の場合だけである。
【0029】
次に、本体のトナーカートリッジ装着状態に応じて行う蓄積印刷判定について説明する。ここでは、認証データと本体のトナーカートリッジ装着状態から、蓄積文書登録および蓄積文書印刷の可否を判定する。上述のとおり、MICR印刷を実行する場合には、蓄積機能の使用は制限され、通常印刷を実行する場合には、蓄積機能の使用は許可される。
【0030】
図4は、通常トナーカートリッジが装着されている状態についての蓄積印刷判定の結果を示す図である。通常トナーカートリッジを使用して通常印刷を行う場合には、蓄積登録も蓄積印刷も可能である。MICR印刷と異なり、印刷データの登録時と印刷時にデータが変更されることがないからである。図4に示すとおり、通常トナーカートリッジ装着状態で蓄積登録および蓄積印刷が可能なのは、入力データが通常印刷データである場合と、セキュア印刷データであって、認証が「NG」である場合である。これらの場合には、セキュアリソースは使用せず、通常リソースを使用する設定に変更される。なお、セキュア印刷データであって、認証が「OK」である場合には、通常トナーカートリッジ装着状態ではセキュアリソースを使用することができないため、蓄積登録も蓄積印刷もともに不可となっている。
【0031】
図5は、MICRトナーカートリッジが装着されている状態についての蓄積印刷判定の結果を示す図である。ここでは、MICRトナーカートリッジが装着されている場合には、通常印刷データを蓄積印刷しないこととなっている。これは、小切手用のMICRトナーは、専用リーダで読むためのトナーであるため、セキュアリソースとして通常印刷物には使用されないことが望まれる場合があるからである。そこで、図5では、MICRトナーカートリッジを装着している状態では、いずれの場合であっても蓄積印刷は許可されていない。蓄積登録が可能であるのは、入力データがセキュア印刷データであって、認証が「OK」である場合と、通常印刷データである場合である。これらの場合には、セキュアリソースを使用せずに、データを通常印刷データに置換し、蓄積登録だけを行い、本体に通常トナーカートリッジが装着されたときに、蓄積印刷処理が実行される。
【0032】
次に、以上のように構成された本実施の形態の画像形成装置におる蓄積印刷判定処理について説明する。図6は、蓄積印刷判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、受信部112は、PC150から送信された印刷データを受信する(ステップS601)。次に、判断部114は、受信部112により受信された印刷データに認証用データが付加されているか否かを判定する(ステップS602)。認証用データが付与されている場合には(ステップS602:Yes)、判断部114は、当該印刷データはMICR印刷データであると判断し、認証部113が、パスワード等の認証情報を認証する(ステップS603)。当該MICR印刷データが、認証部113による認証が成功した場合には(ステップS603:Yes)、認証部113は、認証結果を、セキュア印刷が可能(OK)と判定する(ステップS606)。一方、認証が成功しなかった場合には(ステップS603:No)、認証結果は通常印刷(NG)と判定する(ステップS605)。
【0033】
ステップS602に戻り、受信部112により受信された印刷データに認証用データが付与されていなかった場合には(ステップS602:No)、判断部114は、当該印刷データは通常印刷データであると判断する。そして、認証部113は、認証を行わず、認証結果が成功しなかったMICR印刷データと同じように通常印刷と判定する(ステップS604)。次に蓄積処理部115は、蓄積印刷の判定を行う(ステップS607)。受信部112により受信された印刷データの設定情報に、蓄積印刷の指定があると判断すれば(ステップS607:Yes)、認証部113による認証結果を照合する(ステップS608)。認証結果が、セキュア印刷可能(OK)であれば(ステップS608:Yes)、蓄積によらない通常の印刷を行う(ステップS609)。一方、認証結果が、セキュア印刷不可(NG)であれば、印刷データの蓄積保存を行う(ステップS610)。
【0034】
このように、本実施の形態によれば、MICR印刷データに付与されている認証データを照合することにより、MICR印刷データであると判断した場合に、蓄積印刷処理を抑止することができる。これにより、認証が成功したMICRデータを確実にMICRリソースにより印刷することができる。
【0035】
(第2の実施の形態)
図7は、第2の実施の形態にかかる画像形成装置700の構成を示すブロック図である。第1の実施の形態にかかる画像形成装置100では、コントローラ110が、記憶部111と、受信部112と、認証部113と、判断部114と、蓄積処理部115と、印刷データ展開処理部116と、印刷出力処理部117と、I/F制御処理部118とを備えていた。これに対し、本実施の形態の画像形成装置700は、コントローラ710は、フィルターアプリ部720と、プリンタ部730を備え、フィルターアプリ部720と、プリンタ部730が各部を備えている。
【0036】
フィルターアプリ部710は、受信部112と、認証部113と、判断部114と、印刷データ編集処理部721とで構成されている。そして、プリンタ部730は、蓄積処理部115と、印刷データ展開処理部116と、印刷出力処理部117と、I/F制御処理部118とで構成されている。
【0037】
このように、コントローラ710が、プリンタ部730からフィルターアプリ部720を分けることで、フィルターアプリ部およびI/Fの抑制制御の追加のみで、蓄積印刷を提供することができる。なお、印刷データ編集部721以外の各部の構成および機能は第1の実施の形態にかかる画像形成装置100と同様であるので、説明を省略する。
【0038】
印刷データ編集処理部721は、受信部112により受信された印刷データが、認証部113による認証が成功しなかった場合に、データのセキュアリソースの使用指定を解除する。セキュアリソースの使用指定を解除すると、蓄積指定を解除し印刷データを変更する。
【0039】
図8は、フィルターアプリ部からプリンタ部に送信される印刷データのデータ構造を示す図である。図8の印刷データには、図2の印刷データ201のセキュア印刷認証用データに、認証結果が付加されている。まず、フィルターアプリ部で認証部113が、印刷データに付加されているセキュア印刷認証用データを認証する。認証されると、印刷データには、認証結果が付加される。そして、認証結果が付加された印刷データは、プリンタ部に送信される。
【0040】
次に、以上のように構成された本実施の形態の画像形成装置による蓄積判定処理について説明する。図9は、画像形成装置700のフィルターアプリ部による蓄積判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、受信部112は、PC150から送信された印刷データを受信する(ステップS901)。次に、認証部113は、受信部112により受信された印刷データに認証用データが付加されているか否かを確認する(ステップS902)。当該印刷データに認証用データが付加されていた場合には(ステップS902:Yes)、認証結果を判定する(ステップS903)。当該印刷データが、認証部113による認証が成功した場合には(ステップS903:Yes)、認証結果は、セキュア印刷が可能(OK)となる(ステップS906)。一方、認証が成功しなかった場合には(ステップS903:No)、認証結果が、通常印刷(NG)となる(ステップS905)。
【0041】
ステップS902に戻り、認証部113により印刷データに認証用データが付加されていないと判断された場合には(ステップS902:No)、認証結果は通常印刷となる(ステップS904)。認証結果が、通常印刷となった場合には(ステップS904、ステップS905)、印刷データ編集処理部721は、データのセキュアリソースの使用指定を解除し(ステップS907)、蓄積指定を解除し印刷データを変更する(ステップS908)。続いて、認証結果をデータに追加する(ステップS909)。一方、認証結果がセキュア印刷可能(OK)と判断された場合には(ステップS906)、印刷データ編集処理部721は、データの変更を行うことなく、認証結果をデータに追加する(ステップS909)。
【0042】
続いて、図10は、画像形成装置700のプリンタ部による蓄積判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、蓄積処理部115は、蓄積印刷判定を行う(ステップS1001)。印刷データの設定情報に蓄積印刷の指定があれば(ステップS1001:Yes)、認証部113による認証結果を照合する(ステップS1002)。認証結果が、セキュア印刷可能(OK)であった場合(ステップS1002:Yes)、および、蓄積印刷の指定がなかった場合(ステップS1001:No)には、印刷出力処理部117は、蓄積処理を行わない通常の印刷を行い(ステップS1003)、処理を終了する。一方、認証結果がセキュア印刷不可であれば(ステップS1002:No)、蓄積処理部115は、印刷データをHDD111に蓄積し(ステップS1004)、処理を終了する。
【0043】
このように、本実施の形態によれば、フィルターアプリ側で蓄積文書登録の判定を行い、MICR印刷データであると判断した場合に、プリンタ部での蓄積印刷処理を抑止することができる。これにより、認証が成功したMICRデータを確実にMICRリソースにより印刷することができる。
【0044】
(第3の実施の形態)
図11は、第3の実施の形態にかかる画像形成装置1100の構成を示すブロック図である。第2の実施の形態にかかる画像形成装置700では、すべての蓄積処理の判定は、プリンタ部730の蓄積処理部が行っていた。これに対して、第3の実施の形態にかかる画像形成装置1100では、蓄積処理を蓄積登録と蓄積印刷に分け、蓄積登録の処理は、フィルターアプリ部1120の蓄積登録判定部1121が行い、蓄積印刷の処理は、プリンタ部1130の蓄積印刷判定部1131が行う。なお、本実施の形態の画像形成装置1100の機能及び構成は実施の形態2にかかる画像形成装置700と同様である。
【0045】
図12は、画像形成装置1100のフィルターアプリ部1120による蓄積登録判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、受信部112が、PC150から送信された印刷データを受信する(ステップS1201)。次に、認証部113は、受信部112により受信された印刷データに認証用データが付加されているか否かを確認する(ステップS1202)。印刷データに認証用データがあれば(ステップS1202:Yes)、認証部113は、認証を行う(ステップS1203)。当該印刷データが認証が成功した場合には(ステップS1203:Yes)、認証結果はセキュア印刷(OK)となる(ステップS1206)。
【0046】
一方、認証が成功しなかった場合には(ステップS1203:No)、印刷結果は通常印刷(NG)となる(ステップS1205)。ステップS1202に戻り、認証用データが付加されていなかった場合には(ステップS1202:No)、認証結果は通常印刷となる(ステップS1204)。印刷結果が通常印刷となった場合には(ステップS1204、ステップS1205)、印刷データ編集処理部119は、データのセキュアリソース使用指定を解除し(ステップS1207)、蓄積指定を解除し印刷データを変更する(ステップS1208)。蓄積指定が解除されると(ステップS1208:Yes)、蓄積登録判定部1121は、蓄積登録可と判定する(ステップS1209)。
【0047】
一方、認証結果がセキュア印刷可能(OK)である場合には(ステップS1206)、蓄積登録判定部1121は、蓄積登録不可と判定する(ステップS1210)。最後に、認証部113は、認証結果をHDD111に追加し(ステップS1211)、処理を終了する。
【0048】
続いて、図13は、画像形成装置1100のプリンタ部1130による蓄積印刷判定処理の手順を示すフローチャートである。まず、蓄積印刷判定部1131は、プリンタエンジン140に装着されているプロセスカートリッジ141の種類を確認し、本体情報を取得する(ステップS1301)。蓄積印刷判定部1131は、蓄積印刷の可否を判定する(ステップS1302)。図5で説明したとおり、本体に装着されているトナーカートリッジが、MICRカートリッジであれば蓄積印刷を行わない。そこで、蓄積印刷判定部1131は、まず、プロセスカートリッジ141に取り付けられているICチップ142から、プリンタエンジン140がMICRトナーカートリッジを搭載しているか否かを確認する(ステップS1302)。プリンタエンジン140にMICRトナーカートリッジが搭載されている場合には(ステップS1302:Yes)、蓄積印刷メニューの選択を不可にする(ステップS1303)。一方、プリンタエンジン140がMICRトナーカートリッジを搭載していない場合には(ステップS1302:No)、蓄積印刷メニューの選択を可能にする(ステップS1304)。
【0049】
続いて、オペレーションパネル130またはPC150の表示画面に蓄積印刷メニューの選択の可否を表示する(ステップS1305)。蓄積処理部115は、ユーザにより蓄積印刷メニューが選択されることにより、蓄積印刷を指定されたか否かを確認する(ステップS1306)。蓄積印刷が指定された場合には(ステップS1306:Yes)、蓄積処理を行う(ステップS1308)。一方、蓄積処理を指定されなかった場合には(ステップS1306:No)、印刷出力処理部117は、蓄積処理を行わない通常の印刷処理を行う(ステップS1307)。
【0050】
このように、本実施の形態によれば、印刷データ中の蓄積データ指定をフィルターアプリ部で変更することにより、MICR印刷データの蓄積印刷処理を抑止することができる。また、MICRトナーカートリッジが搭載されていた場合には、蓄積印刷の指定の選択を抑止することにより、MICRデータを確実にMICRリソースにより印刷することができる。
【0051】
図14は、かかる複合機100、700、1100のハードウェア構成を示すブロック図である。本図に示すように、この複合機1は、コントローラ10とエンジン部(Engine)60とをPCI(Peripheral Component Interconnect)バスで接続した構成となる。コントローラ10は、複合機1全体の制御と描画、通信、図示しない操作部からの入力を制御するコントローラである。エンジン部60は、PCIバスに接続可能なプリンタエンジンなどであり、たとえば白黒プロッタ、1ドラムカラープロッタ、4ドラムカラープロッタ、スキャナまたはファックスユニットなどである。なお、このエンジン部60には、プロッタなどのいわゆるエンジン部分に加えて、誤差拡散やガンマ変換などの画像処理部分が含まれる。
【0052】
コントローラ10は、CPU11と、ノースブリッジ(NB)13と、システムメモリ(MEM−P)12と、サウスブリッジ(SB)14と、ローカルメモリ(MEM−C)17と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)16と、ハードディスクドライブ(HDD)18とを有し、ノースブリッジ(NB)13とASIC16との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス15で接続した構成となる。また、MEM−P12は、ROM(Read Only Memory)12aと、RAM(Random Access Memory)12bとをさらに有する。
【0053】
CPU11は、複合機100、700、1100の全体制御をおこなうものであり、NB13、MEM−P12およびSB14からなるチップセットを有し、このチップセットを介して他の機器と接続される。
【0054】
NB13は、CPU11とMEM−P12、SB14、AGP15とを接続するためのブリッジであり、MEM−P12に対する読み書きなどを制御するメモリコントローラと、PCIマスタおよびAGPターゲットとを有する。
【0055】
MEM−P12は、プログラムやデータの格納用メモリ、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いるシステムメモリであり、ROM12aとRAM12bとからなる。ROM12aは、プログラムやデータの格納用メモリとして用いる読み出し専用のメモリであり、RAM12bは、プログラムやデータの展開用メモリ、プリンタの描画用メモリなどとして用いる書き込みおよび読み出し可能なメモリである。
【0056】
SB14は、NB13とPCIデバイス、周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。このSB14は、PCIバスを介してNB13と接続されており、このPCIバスには、ネットワークインターフェース(I/F)部なども接続される。
【0057】
ASIC16は、画像処理用のハードウェア要素を有する画像処理用途向けのIC(Integrated Circuit)であり、AGP15、PCIバス、HDD18およびMEM−C17をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC16は、PCIターゲットおよびAGPマスタと、ASIC16の中核をなすアービタ(ARB)と、MEM−C17を制御するメモリコントローラと、ハードウェアロジックなどにより画像データの回転などをおこなう複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)と、エンジン部60との間でPCIバスを介したデータ転送をおこなうPCIユニットとからなる。このASIC16には、PCIバスを介してFCU(Fax Control Unit)30、USB(Universal Serial Bus)40、IEEE1394(the Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)インターフェース50が接続される。
【0058】
MEM−C17は、コピー用画像バッファ、符号バッファとして用いるローカルメモリであり、HDD(Hard Disk Drive)18は、画像データの蓄積、プログラムの蓄積、フォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。
【0059】
AGP15は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレーターカード用のバスインターフェースであり、MEM−P12に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレーターカードを高速にするものである。
【0060】
なお、本実施形態の画像形成装置で実行される蓄積判定プログラムは、ROM等に予め組み込まれて提供される。本実施形態の画像形成装置で実行される蓄積判定プログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供するように構成してもよい。
【0061】
さらに、本実施形態の画像形成装置で実行される蓄積判定プログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施形態の〜装置で実行される〜プログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0062】
本実施の形態の画像形成装置で実行される蓄積判定プログラムは、上述した各部(記憶部111、受信部112、認証部113、判断部114、蓄積処理部115、印刷データ展開処理部116、印刷出力処理部117、I/F制御処理部118)を含むモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU(プロセッサ)が上記ROMから蓄積判定プログラムを読み出して実行することにより上記各部が主記憶装置上にロードされ、記憶部111、受信部112、認証部113、判断部114、蓄積処理部115、印刷データ展開処理部116、印刷出力処理部117、I/F制御処理部118が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】第1の実施の形態にかかる画像形成装置100の構成を示すブロック図である。
【図2】受信部112がPC150から受信した印刷データの種類を示す図である。
【図3】入力データの認証結果から、蓄積印刷機能を制御する例を示す図である。
【図4】通常トナーカートリッジが装着されている状態についての蓄積印刷判定の結果を示す図である。
【図5】MICRトナーカートリッジが装着されている状態についての蓄積印刷判定の結果を示す図である。
【図6】蓄積印刷判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図7】第2の実施の形態にかかる画像形成装置700の構成を示すブロック図である。
【図8】フィルターアプリ部からプリンタ部に送信される印刷データを示す図である。
【図9】画像形成装置700のフィルターアプリ部による蓄積判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図10】画像形成装置700のプリンタ部による蓄積判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図11】第3の実施の形態にかかる画像形成装置1100の構成を示すブロック図である。
【図12】画像形成装置1100のフィルターアプリ部1120による蓄積登録判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図13】画像形成装置1100のプリンタ部1130による蓄積印刷判定処理の手順を示すフローチャートである。
【図14】複合機100、700、1100のハードウェア構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0064】
100、700、1100 画像形成装置
130 オペレーションパネル
140 プリンタエンジン
150 PC
201、202 印刷データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記憶部と、
外部装置から受信した印刷データの種類を判断する判断部と、
前記印刷データを前記記憶部に蓄積する蓄積処理部と、
前記判断部により前記印刷データの種類が、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)を対象とするMICR印刷データであると判断された場合に、前記MICR印刷データに付加されている認証情報に基づいて認証処理を行う認証部と、を備え、
前記蓄積処理部は、前記認証部による認証結果に基づいて、前記印刷データの蓄積処理の可否を判断し、前記印刷データを前記記憶部に蓄積すること、
を特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記蓄積処理部は、前記認証部による認証が成功した場合に、前記印刷データの蓄積処理を不可と判定し、前記印刷データを前記記憶部に蓄積しないこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷データに前記認証情報が付加されていなかった場合、または、前記判断部により前記印刷データの種類が前記MICR印刷データであると判断された場合であって、前記MICR印刷データの前記認証部による認証が成功しなかった場合に、前記MICR印刷データを通常の印刷データに変更する印刷データ編集処理部、
をさらに備えたこと、
を特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷データ編集処理部により前記MICR印刷データが通常の印刷データに変更された場合に、前記印刷データの前記記憶部への蓄積登録を可能と判定する蓄積登録判定部、をさらに備え、
前記蓄積処理部は、前記蓄積登録判定部により蓄積登録が可能と判定された場合に、前記印刷データを前記記憶部に蓄積することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
画像形成に用いるトナーを収容するカートリッジを着脱可能に取り付ける取り付け部をさらに備え、
前記判断部は、前記カートリッジの種類を判断し、
前記判断部により前記カートリッジの種類が前記MICRに用いられるMICRカートリッジであると判断された場合に、前記記憶部に蓄積された前記印刷データを印刷する蓄積印刷を不可と判定する蓄積印刷判定部と、
前記蓄積印刷判定部により前記印刷データの蓄積印刷を不可と判定された場合に、前記印刷データを蓄積印刷しない印刷処理部と、
を備えたこと、
を特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記蓄積印刷判定部により前記印刷データの蓄積印刷を可と判定された場合に、前記印刷データの蓄積処理を行うか否かの指定を受け付けるユーザインターフェース制御部、をさらに備え、
前記蓄積処理部は、前記ユーザインターフェース制御部により蓄積処理を行う指定を受け付けた場合に、前記印刷データを蓄積すること、
を特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記判断部と前記認証部と前記印刷データ編集処理部とを備えるアプリ部と、
前記蓄積処理部を備えるプリンタ部と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記判断部と前記認証部と前記印刷データ編集処理部と前記蓄積登録判定部とを備えるアプリ部と、
前記蓄積処理部と前記蓄積印刷判定部と前記ユーザインターフェース制御部とを備えるプリンタ部と、
を備えることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像形成装置で実行される画像形成方法であって、
前記情報処理装置は記憶部を備え、
外部装置から受信した印刷データの種類を判断する判断ステップと、
前記印刷データを前記記憶部に蓄積する蓄積処理ステップと、
前記判断部により前記印刷データの種類が、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)を対象とするMICR印刷データであると判断された場合に、前記MICR印刷データに付加されている認証情報に基づいて認証処理を行う認証ステップと、を備え、
前記蓄積処理ステップは、前記認証ステップによる認証結果に基づいて、前記印刷データの蓄積処理の可否を判断し、前記印刷データを前記記憶部に蓄積すること、
を特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
コンピュータを、
記憶手段と、
外部装置から受信した印刷データの種類を判断する判断手段と、
前記印刷データを前記記憶手段に蓄積する蓄積処理手段と、
前記判断手段により前記印刷データの種類が、MICR(Magnetic Ink Character Recognition)を対象とするMICR印刷データであると判断された場合に、前記MICR印刷データに付加されている認証情報に基づいて認証処理を行う認証手段、として機能させるためのプログラムであって、
前記蓄積処理手段は、前記認証手段による認証結果に基づいて、前記印刷データの蓄積処理の可否を判断し、前記印刷データを前記記憶手段に蓄積させること、
を特徴とするプログラム。
【請求項11】
請求項10に記載のプログラムを格納したコンピュータで読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2010−46833(P2010−46833A)
【公開日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−211136(P2008−211136)
【出願日】平成20年8月19日(2008.8.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】