説明

画像形成装置、プログラム

【課題】試し印刷物の廃棄処理が不十分でも下地画像の悪用を回避できるようにする。
【解決手段】試し印刷時には、印刷結果物において、下地画像の少なくとも一部が、元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する。たとえば、解像度低下やモノクロにし、また、ロゴなどを塗り潰した低品質画像を用意する。これと印刷データを合成して白紙に印刷する。事前印刷用紙に試し印刷を行なうと、印刷結果物の廃棄処理が不完全な場合、下地画像の悪用が懸念されるが、解像度低下やモノクロにし、また、ロゴなどを塗り潰した低品質画像との合成で試し印刷を行なうと、その問題が解消される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置と、画像形成処理用のプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷分野では、未印刷用紙(白紙用紙)に印刷を行なうことに限らず、文字や罫線や図形などが事前に印刷された用紙(事前印刷用紙や事前印刷・加工用紙やプレプリント用紙などと称される:以下「事前印刷用紙」で記述する)に印刷を行なうこともある。また、事前印刷用紙を使用した本番印刷に先立ち、たとえば、印字位置ずれの確認などのように体裁を目視で確認するための試し印刷を行なうこともある(特許文献1を参照)。
【0003】
特許文献1の仕組みでは、第1の出力(試しコピー)が指示された場合は、ハードディスクに記憶されている第1画像データ(フォームなどの下地画像の画像データ)と第2画像データ(原稿画像の画像データ)とを合成した第3画像データ(合成画像データ)を第1の記録媒体(普通紙)上に画像形成出力し、第2の出力(本コピー)が指示された場合には、ハードディスクに記憶されている第2画像データ(原稿画像の画像データ)を第2の記録媒体(フォームなどの下地のある特殊紙)上に画像形成出力することにより、簡単な操作により、フォームなどの下地のある特殊紙へのコピーにおける試しコピーの普通紙出力を本コピーの特殊紙出力と同等のものにすることができるようにしている。
【0004】
【特許文献1】特開2003−231305号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、試し印刷を行なった印刷物の廃棄処理が不完全であっても、下地画像の悪用を防止することができる仕組みを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なったときの印刷仕上がりを確認するための試し印刷時には、印刷結果物において、前記下地画像の少なくとも一部が、元の画像品質よりも低下するように、印刷処理を制御する制御部を備えた画像形成装置である。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置においてさらに、画像を塗り潰す機能を持つ画像編集部を備え、前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部を塗り潰すように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置においてさらに、画像の解像度を変換する機能を持つ画像編集部を備え、前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部の解像度を低下させるように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の内の何れか一項に記載の画像形成装置においてさらに、画像の色を変換する機能を持つ画像編集部を備え、前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部の色を変更するように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置においてさらに、前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部を備え、前記制御部は、前記事前印刷用紙を通常の読取時よりも解像度を低下させて読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている低解像度の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の画像形成装置においてさらに、前記制御部は、前記事前印刷用紙を通常の読取時よりも解像度を低下させかつ単一色で読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている低解像度かつ単一色の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置においてさらに、前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部を備え、前記制御部は、前記事前印刷用紙を単一色で読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている単一色の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1に記載の画像形成装置においてさらに、画像の解像度を変換する機能、および/または、画像の色を変換する機能を持つ画像編集部と、前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部と、を備え、前記制御部は、前記事前印刷用紙を通常の読取時と同じ解像度で読み取った通常品質の下地画像データの少なくとも一部を低解像度にする、および/または、色変更することで、低品質の下地画像データにするように、前記画像編集部を制御し、前記通常品質の下地画像データと前記低品質の下地画像データを管理するように、前記下地画像データ管理部に指示し、前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている前記低品質の下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項5〜8の内の何れか一項に記載の画像形成装置においてさらに、画像を塗り潰す機能を持つ画像編集部を備え、前記制御部は、前記事前印刷用紙を読み取った前記下地画像データの前記下地画像の少なくとも一部を塗り潰すように前記画像編集部を制御し、前記下地画像の少なくとも一部が塗り潰された前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている前記下地画像の少なくとも一部が塗り潰された前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項2または9に記載の画像形成装置においてさらに、画像を表示する表示部を備え、前記制御部は、前記画像編集部により画像を塗り潰す機能を動作させるときには、前記事前印刷用紙を読み取った前記下地画像データに基づく表示を行なうように前記表示部を制御する。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項2,9,10の内の何れか一項に記載の画像形成装置においてさらに、前記画像編集部は、画像を塗り潰す際の、色、濃度、塗潰し領域内のハッチングパターン、透過率の少なくとも1つのパラメータが調整可能である。
【0017】
請求項12に記載の発明は、印刷指示を受け付けたときに、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なったときの印刷仕上がりを確認するための試し印刷であるか否かを判定する工程と、前記試し印刷であるときには、印刷結果物において、前記下地画像の少なくとも一部が、元の画像品質よりも低下するように、印刷処理を制御する工程と、をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の発明によれば、試し印刷後の印刷結果物において、下地画像の品質が低下させられているので、下地画像の利用価値が低下し、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。
【0019】
請求項2に記載の発明によれば、下地画像の品質を低下させる処理として塗潰し編集機能が適用されるので、事前印刷用紙を使用した試し印刷でも、下地画像の利用価値を低下させることができる。
【0020】
請求項3に記載の発明によれば、下地画像の品質を低下させる処理として解像度低下編集機能が適用されるので、事前印刷用紙を使用した試し印刷でも、解像度が低下されることで下地画像の利用価値を低下させることができる。
【0021】
請求項4に記載の発明によれば、下地画像の品質を低下させる処理として色編集機能が適用されるので、事前印刷用紙を使用した試し印刷でも、色が変更されることで下地画像の利用価値を低下させることができる。
【0022】
請求項5に記載の発明によれば、事前印刷用紙を読み取って得た低解像度の下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するので、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。付加的効果として、試し印刷時に事前印刷用紙を使用しなくてもよく、本番印刷時の事前印刷用紙の不足の可能性を少なくできる。
【0023】
請求項6に記載の発明によれば、事前印刷用紙を読み取って得た低解像度かつ単一色の下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するので、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。付加的効果として、試し印刷時に事前印刷用紙を使用しなくてもよく、本番印刷時の事前印刷用紙の不足の可能性を少なくできる。
【0024】
請求項7に記載の発明によれば、事前印刷用紙を読み取って得た単一色の下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するので、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。付加的効果として、試し印刷時に事前印刷用紙を使用しなくてもよく、本番印刷時の事前印刷用紙の不足の可能性を少なくできる。
【0025】
請求項8に記載の発明によれば、事前印刷用紙を読み取って得た通常品質の下地画像データに対して解像度低下や色編集の画像編集処理で、低品位画像に変換して印字データと合成して未印刷用紙上に印刷するので、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。付加的効果として、試し印刷時に事前印刷用紙を使用しなくてもよく、本番印刷時の事前印刷用紙の不足の可能性を少なくできる。他の付加的効果として、本番印刷時に事前印刷用紙が不足しているとき、通常品質の下地画像データを使用して本番印刷の代用印刷を行なえる。
【0026】
請求項9に記載の発明によれば、事前印刷用紙を読み取って得た通常品質の下地画像データに対して塗潰し編集の画像編集処理で、低品位画像に変換して印字データと合成して未印刷用紙上に印刷するので、下地画像が悪用される可能性が少なくなる。
【0027】
請求項10に記載の発明によれば、下地画像を表示させて位置確認しながら、塗潰し編集を行なえる。
【0028】
請求項11に記載の発明によれば、印刷データと下地画像の位置ずれ部分が塗り潰されていても、印刷データと下地画像の位置ずれ確認の作業を行なえるようにパラメータを設定できる。
【0029】
請求項12に記載の発明によれば、下地画像の利用価値を低下させることで下地画像が悪用される可能性を少なくするプログラムを提供することが可能となる。
【0030】
請求項15に記載の発明によれば、全ての事前印刷用紙についての下地画像データを予め登録しておかなくても試し印刷時に登録を行なうプログラムを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0032】
<システム概要>
オンデマンド印刷では、利用者の印刷指示を受けて印刷指示情報PJの生成をした後に印刷処理の保留状態としておき、出力指示装置を操作して印刷指示情報PJの一覧を表示させて、印刷処理を希望する印刷指示情報PJを選択して印刷処理の保留状態を解除し、印刷装置で印刷出力を行なっている。
【0033】
因みに、印刷指示情報PJとは、紙媒体などに画像形成すべき内容である画像データと印刷設定(出力条件や印刷条件や印刷属性とも称される)とを含んだ印刷処理用の指示情報であり、一般的には、印刷ジョブや出力ジョブと称されているものに対応する。たとえば、文書作成編集装置、印刷制御装置、ページごとに画像を形成する画像形成装置(ページ・プリンタ)の間の画像データの受渡しには、画像形成装置がページ・プリンタであることに対応して、ページ記述言語(PDL:Page Description Language )と称されるプログラム言語を使用する。画像形成装置は、受け取ったPDLデータに基づきページ単位でビットマップ状の画像データ(イメージ、印刷データ)へ変換し、所定の記憶装置に蓄積してから印刷を行なうのが一般的である。また、印刷処理を実行する際には、印刷設定(その内容は後述する)の特定が必要になる。そこで、各ページの画像データ(PDLで記述)に印刷設定を付加して印刷指示情報PJを作成する。
【0034】
画像出力処理に関わる出力条件の設定(印刷設定)としては、たとえば、大別すると、基本設定、レイアウト設定、ページ装飾設定、仕上げ設定などの各項目がある。基本設定には、たとえば、印刷枚数、印刷部数、白黒かカラーか、用紙サイズ(A4,A3、B4,B5、レターなど)、用紙種類(普通紙、長辺2/4穴、ハガキ用紙、ラベル紙、ロール紙など)、印刷方向(縦/横)、給紙トレイ(自動、トレイ番号)、印刷品質などの項目が含まれる。レイアウト設定には、たとえば、片面か両面か、変倍(拡大/縮小)の有無と変倍率の設定、割付け印刷(集約印刷)の有無と配置態様の設定などの項目が含まれる。ページ装飾設定中には、たとえば、ページ印刷の有無とその詳細設定、スタンプマークの有無とスタンプマークの設定、ヘッダやフッタの有無とその印刷情報の設定などの項目が含まれる。仕上げ設定には、たとえば、ソート、フィニッシャ(終末装置)、綴じ代、開き方向、製本の設定などの項目が含まれる。フィニッシャは、たとえばパンチの有無と孔数の設定、ステイプル(1つの束にして綴じる処理)の有無と綴じ位置の設定などの項目が含まれる。
【0035】
ここで、帳票印刷では、印刷設定に事前印刷用紙の設定が加わる。たとえば、基幹帳票印刷には、その帳票の使用目的に応じて帳票名称(たとえば「請求書」、「給与明細」など)、明細項目(たとえば「品名、品番コード、単価、数量、合計金額」、「基本給、超過勤務手当、役職手当」など)、および明細項目と明細データ(品名データ、金額データなどの印刷データ)を見易くするために各明細項目欄を囲む罫線などが事前に印刷されたものや、浮き彫り加工などのいわゆるエンボス(クレープ加工)などの加工が施された、いわゆる事前印刷用紙を用いる。事前印刷用紙には、社章・社印や企業ロゴなど、企業にとって重要な資産が含まれていたり、レイアウトや枠組み、カラーの組合せなどのデザイン的なものを含め著作権登録されていたりするものもある。
【0036】
事前印刷用紙は、印刷メーカに大量発注して作成することが多く、コスト的には非常に安価である。企業は、使用する事前印刷用紙をある程度の量、纏めて発注して保管し、在庫管理し、少なくなってきた時点で追加発注する。
【0037】
また、基幹帳票印刷では、印刷仕上がりを確認するための試し印刷(テスト印刷)が行なわれる。たとえば、本番印刷に先立ち、試し印刷を行ない、事前印刷用紙と印刷データの印字位置にずれがないかを目視で確認することが行なわれることがある。試し印刷では、先頭ページから指定したページまで(場合によっては全ページ)を対象とし、印字位置ずれなどが発生している場合は、印刷環境や印刷装置の設定、使用するPDL情報のパラメータを調節して、印字位置ずれを修正する。このため、試し印刷で出力された印刷物(試し印刷物)は、試し印刷が終わると不要となり、破砕機で裁断したり焼却するなどの廃棄処分がされ、試し印刷物が不正に使用されないようにする。
【0038】
ここで、本実施形態では、事前印刷用紙を使用する印刷処理では、次の2点について考慮する。
1)試し印刷時に事前印刷用紙を使用すると、その影響で、本番印刷時に、事前印刷用紙が不足する事態が起こり得る(第1の問題と称する)。
2)試し印刷物の廃棄処理が不十分(不完全)であると、試し印刷物が不正に使用され、事前印刷用紙上の社章・社印、またはプレプリント用紙自体のデザインが悪用(盗用)される可能性がある(第2の問題と称する)。
【0039】
第1の問題の対策としては、事前印刷用紙の印刷済みの画像(下地画像)と同一の画像を予め画像データ(下地画像データPGと称する)として登録しておき、試し印刷時には、印刷データと下地画像データPGを合成し、未印刷用紙に印刷することが考えられる。この手法をとれば、試し印刷時に事前印刷用紙を使用することはなくなるため、試し印刷のために事前印刷用紙を無駄に消費することがなく、本番印刷で事前印刷用紙が不足する事象が起こり難くなる。
【0040】
しかしながら、第1の問題に対する前述の対策を採っても、試し印刷物の廃棄処理が不十分(不完全)であると、試し印刷物が不正に使用されてしまう第2の問題が残る。
【0041】
また、第1の問題に対する前述の対策では、下地画像データPGを事前に登録しておく必要があるので、その登録作業が問題となる。事前印刷用紙の種類が大量に存在する場合は、その全ての事前印刷用紙に対応する下地画像データPGの事前登録作業が非常に煩雑となる。複数の企業から基幹帳票印刷業務を請け負っている受託企業(outsourcee:アウトソーシー)にとっては、この煩雑さが顕著となる。
【0042】
本実施形態の印刷システムは、たとえば、第1の問題に対する前述の対策を採るか否かに関わらず、試し印刷物の画像品質を落とすことで、試し印刷物の廃棄処理が不十分で試し印刷物が不正に使用されてしまっても、その弊害を少なくする。試し印刷物の画像品質をわざと落とす(元と異なる状態にする)ことにより、事前印刷用紙上の印刷済みの画像(文字、社章・社印、デザインなど)の利用価値を低下させ、試し印刷物の下地画像の悪用を防止するのである。また、第1の問題に対する前述の対策を採る場合に、試し印刷時に下地画像データPGが未登録の場合には、事前印刷用紙を読み取って下地画像データPGを作成・登録するような構成であってもよい(第1の問題に対する前述の対策を採る場合における登録作業の負荷を軽減する)。好ましくは、このときの下地画像データPGの読取時や登録時に画像品質を落とすことで、第2の問題に対する対応を採る。以下、具体的に説明する。
【0043】
<印刷システムの全体構成>
図1は、本実施形態の印刷システムの一構成例を示す図である。印刷システム1は、クライント側の基幹データベースシステム3、帳票サーバ5、複数台の画像形成装置7を備えている。各基幹データベースシステム3と帳票サーバ5、および帳票サーバ5と各画像形成装置7は、それぞれ通信網9により接続されている。
【0044】
基幹データベースシステム3は、企業の業務アプリケーションを管理するものであり、図示しないが、たとえば、メインフレーム(主のコンピュータシステム)、管理サーバ、ユーザ端末などを含んで構成される。基幹データベースシステム3は、社員の個人情報の他、取引先の顧客名や取引商品などさまざまな情報をデータベース化して一括管理する。
【0045】
企業の業務アプリケーションにおいては、基幹帳票印刷を行なうことがある。基幹帳票印刷では、企業が基幹業務で利用する経理関連(勘定元帳、月間売上管理表など)、納品書、請求書、伝票、領収書、送り状、DM(ダイレクトメール)宛名、バーコードなどの大量のデータを短時間・高速・大量に処理する。
【0046】
この基幹帳票印刷を帳票サーバ5が集中管理する。帳票サーバ5は、帳票の設計や、分散配置されている各分散拠点の画像形成装置7の集中管理を担当する統合スプールサーバである。帳票サーバ5は、基幹データベースシステム3と連携して、基幹データベースシステム3が管理する企業側のデータベースから情報を取得し、この情報に基づく印刷指示情報PJを画像形成装置7に送って、事前印刷用紙上の印刷領域内に印刷させるようプログラミングされたデータベースアプリケーションの印刷機能が備えられている。このデータベースアプリケーションの実行によってデータベースの情報に基づき事前印刷用紙に印刷することが可能となっている。
【0047】
画像形成装置7は、基幹帳票印刷を行ない得るように、高速処理、高品質処理、高信頼性などの特徴を持つものが使用される。画像形成装置7は、管理部10、画像読取部30、画像出力部50、給紙部70、排出部90を備える。
【0048】
第1画像形成装置7_1は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを1台接続した標準機である。第2画像形成装置7_2は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを4台インラインに接続した高機能機である。第3画像形成装置7_3は、給紙部70と排出部90を組み合わせた給排紙モジュールMJを取り外した簡易機である。
【0049】
管理部10は、帳票サーバ5と連携して、画像形成装置7の印刷処理を管理する。たとえば、オペレータは、管理部10を介して、本番印刷や試し印刷を指示する。管理部10は、キャビネット内に、無停電電源装置12や制御プロセッサ14や図示しない記憶媒体(たとえばカートリッジテープ、MOドライブ、CD−ROMドライブ)などの各種機器を収容する。また、キャビネット上に、操作画面を表示する表示装置16(CRTモニタや液晶モニタ)と、キーボードやマウスなどの指示入力装置18が載置されている。制御プロセッサ14には、画像読取部30、画像出力部50、給紙部70、排出部90を制御する主印刷制御部が組み込まれる他、高信頼性機能として不正印刷検知機能が備えられる。
【0050】
画像読取部30は、事前印刷用紙を読み取る機能を持つもので、いわゆるスキャナ装置である。いわゆる複写処理にも適用される。
【0051】
画像出力部50は、印刷処理部52(プリントエンジン)をキャビネット内部に具備するとともに、印刷制御部54をキャビネット上に備える。印刷処理部52は、Y,M、C,Kの4色トナーを使用してレーザ・ゼログラフィ方式により印刷処理を行なう。印刷処理部52は、たとえば、毎分100ページ(@A4サイズ)以上の処理能力を持つ高速処理対応で、また、たとえば600×2400dpi相当の高解像度カラー出力の高品質処理に対応する。
【0052】
印刷制御部54は、画像出力部50の処理停止や再開などを管理する機能が備えられている。印刷制御部54は、画像出力部50(印刷処理部52)の動作状態を表示する表示モニタと連結されている。表示モニタは、タッチパネル式の操作で画像出力部50の機能をコントロールできるようになっている。
【0053】
給紙部70は、キャビネット内部に2〜6段の給紙トレイを有し、給紙トレイの自動切替えにより、装置を停止させずに用紙補給が可能な構成になっている。装置を稼動したまま用紙が補給されるため、高速出力の利点を生かした効率的な運用がなされる。第3画像形成装置7_3では、画像出力部50と給紙部70とサンプル排出部96を組み合わせて印刷処理から排出処理までを行なうようにしている。
【0054】
排出部90は、印刷指示情報別や配布先別に区分する排出ビン94をキャビネット内部に有するとともに、自動検出した不正印刷を排出する不正印刷排出トレイ98をキャビネット上部に有する。用紙の重送や斜め送り印字位置ずれなど、様々な要因に基づく印刷異常が検知されると、その印刷結果物が不正印刷排出トレイ98に排出される。なお、画像出力部50と直接に連結されている給紙部70の上部には定着部92が設けられ、キャビネット上には、サンプル排出部96が設けられている。サンプル排出部96は、印刷中の用紙をサンプル抽出する際の排出トレイや試し印刷(テストプリント)や少量出力時の排出トレイとして機能する。
【0055】
<画像形成装置の制御構成>
図1Aは、図1に示した印刷システム1に使用される画像形成装置7の制御構成(特に管理部10の制御プロセッサ14)を説明する図である。
【0056】
制御プロセッサ14は、主印刷制御部110、印刷データ管理部130、下地画像データ管理部150(プレプリントイメージ管理部)、スキャナ制御部170、画像編集部180、入出力制御部190を備える。
主印刷制御部110は、画像形成装置7の基本制御を行なう。たとえば、主印刷制御部110は、オペレータから印刷指示(試し印刷、本番印刷)を受け付る、印刷データ管理部130から印刷データを読み込む、印刷データの属性から事前印刷用紙の用紙コードを取得する。また、主印刷制御部110は、下地画像データ管理部150に対して下地画像データPGの取得を依頼する、下地画像データPGと印刷データを合成し印刷処理を画像出力部50に実行させる。
【0057】
印刷データ管理部130は、記憶部132と接続されている。印刷データ管理部130は、たとえば、印刷指示情報PJから印刷データを抽出して記憶部132に格納したり、主印刷制御部110から指示に基づき印刷データを記憶部132から読み出して主印刷制御部110に渡す。
【0058】
下地画像データ管理部150は、記憶部152と接続されている。下地画像データ管理部150は、たとえば、主印刷制御部110からの指示に基づきスキャナ制御部170に対して原稿(たとえば事前印刷用紙)の読取りを指示する、入出力制御部190に対する表示メッセージの通知を行なう、入出力制御部190からの応答受信を受け付ける。また、下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170で読み取られた下地画像データPGを記憶部152に保存しつつ下地画像管理テーブルTBL を更新し、主印刷制御部110から指示に基づき用紙コードに対する下地画像データPGを記憶部152から読み出して主印刷制御部110に渡す。
【0059】
スキャナ制御部170は、下地画像データ管理部150で指示されたモードで原稿(たとえば下地画像データPG)を読み取る。本実施形態では、スキャナ制御部170は、画像出力部50が備える最大機能を働かせて、事前印刷用紙に印刷済みの印字・罫線・図形(下地画像)と同程度の品質で読み取る通常品質モードと、その画像品質を低下されて読み取る低品質モードとを切り替える。低品質モードでは、たとえば、低解像度やモノクロ(単一色)での読取りを指示する。「低解像度やモノクロでの読取り」とは、画像読取部30から下地画像データ管理部150に渡される画像データにおいて、解像度が通常よりも低いことやカラーではなくモノクロであることを意味する。
【0060】
低品質モードが指定されると、画像読取部30は、解像度を低下させて読み取る機能、カラーではなくモノクロ(白黒に限らず画像出力部50で使用するトナー色Y,M、C,Kの何れか1色でもよい)で読み取る機能を働かせる。この低品質モードを備えるのは、読み取った下地画像データPGを使用して試し印刷した出力用紙の廃棄処理が不完全のときに、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなどの下地画像が悪用(盗用)されることを防止するためである。
【0061】
画像編集部180は、事前印刷用紙に印刷済みの下地画像の一部(全部でもよい)を塗り潰す機能や、登録済みや処理中に画像読取部30により事前印刷用紙を読み取って得た下地画像データPGの品質を事前印刷用紙の画像品質よりも低下させる機能(纏めて画像編集機能と称する)を持つ。画像編集部180は、画像を塗り潰す際には、色、濃度、塗潰し領域内のハッチングパターン、透過率の少なくとも1つを調整可能なものとするのがよい。
【0062】
下地画像データPGにおいて、事前印刷用紙の画像品質よりも低下させる機能としては、下地画像の一部(全部でもよい)の解像度を低下させる機能(解像度低下機能)、下地画像の一部(全部でもよい)についてカラーをモノクロ(白黒に限らず画像出力部50で使用するトナー色Y,M、C,Kの何れか1色)に変換する機能(色編集機能)や、下地画像データPGにおける事前印刷用紙に印刷済みの下地画像に対応する部分の一部(全部でもよい)を塗り潰す機能などである。何れも、試し印刷した出力用紙の廃棄処理が不完全のときに、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなど下地画像が悪用(盗用)されることを防止するための機能である。
【0063】
下地画像の解像度を低下させる機能としては、画素間引きにより全体の解像度を低下させてもよいし、たとえばスモーク画像を重ねる処理(つまり塗潰し編集と色編集の併用)や暈かし処理を適用してもよい。下地画像の一部についての色編集機能としては、たとえば塗潰し処理時に色を黒色以外にする手法を適用するとよい(つまり塗潰し編集と色編集の併用)。
【0064】
入出力制御部190は、表示装置16や指示入力装置18とのインタフェース機能をなす。
【0065】
画像形成装置7は、このような構成を備えることで、次のような処理を行ない得るようになる。たとえば、印刷指示情報PJから事前印刷用紙の用紙コードを検知すると、画像読取部30にセットされた事前印刷用紙を読み取ることで下地画像データPGを取得する。この下地画像データPGの取得の際に、低品質モードを適用することで低解像度やモノクロでの読取り処理を実行して低品質画像LPG を取得する、また、通常品質モードを適用することで事前印刷用紙の画像と同程度の同品質画像HPG を取得し、画像編集部180による画像編集機能により低品質画像LPG に変換する。低品質画像LPG にするのは、下地画像データPGの利用価値を低下させるためである。
【0066】
取得した低品質画像LPG や同品質画像HPG は、その後の印刷処理に備えて、下地画像データ管理部150(記憶部152)にて用紙コードと対応付けて記憶・管理する。たとえば、同品質画像HPG を印刷データと合成し未印刷用紙に印刷すると、事前印刷用紙を使用した本番印刷の代用として適用し得るようになる。また、低品質画像LPG と印刷データと合成し未印刷用紙に印刷すると、事前印刷用紙を消費せずに試し印刷が実現されるとともに、事前印刷用紙の印刷済みの画像部分の利用価値を低下させた状態での試し印刷が実現される。
【0067】
画像読取部30で事前印刷用紙を読み取った下地画像データPGを表示装置16に表示させながら、オペレータは画像編集作業(特に悪用防止領域に対する塗潰し編集)を行なうことで低品質画像LPG にする。塗潰し編集により低品質画像LPG にするのも、下地画像データPGの利用価値を低下させるためである。
【0068】
塗潰し編集時には、塗潰しパターンを、濃度100%の黒ベタではなく、別の色や100%未満の濃度やハッチングパターンや透過率の設定を適用するとよい。これは、印字データ部分が黒ベタの塗潰しパターンと重なると印字位置ずれの確認が困難になってしまうことの対策のためである。
【0069】
<管理テーブル>
図2は、下地画像データ管理部150が管理する下地画像管理テーブルTBL の一例を説明する図である。通常、事前印刷用紙を特定する用紙コードは、システム内で一意となるよう印刷指示情報PJを作成する側で管理される。用紙コードがシステム内で一意であれば、用紙コードを事前印刷画像ファイル名としてもよい。また、用紙コードがシステム内で一意でない場合は、ランダムで割り振られる画像ファイル名と対応付けて管理する。この場合、どの画像ファイルを使用するかは、その都度、表示装置16に画像を縮小画像(サムネール画像)で表示して選択させてもよい。
【0070】
本実施形態の下地画像データ管理部150は、1つの事前印刷用紙に対応する用紙コードごとに、事前印刷画像ファイル名が対応付けられ、各画像ファイルに設定される属性(プロパティ)から抽出した画像の仕様を管理するようになっている。ここでは、画像の仕様としては、事前印刷用紙と同一品質の画像であるのか否かや、同一品質でないときには「どのような画像編集」が加えられて低品質画像LPG とされているのかを特定し得るようにする。「画像編集」としては、解像度低下編集、色編集(たとえばカラーからモノクロへの変換)、塗潰し編集などが該当する。
【0071】
下地画像データ管理部150は、1つの用紙コードに対して、事前印刷用紙と同一品質の画像(同品質画像HPG )と、同一品質でない1〜複数の低品質画像LPG を区別して管理する。図では、1つの用紙コードに対して、低品質画像LPG が1つ設定されている例で示しているが、たとえば、解像度低下編集、色編集、塗潰し編集を任意に組み合わせることで7種類の低品質画像LPG を用意可能である。図では、解像度低下編集、色編集、塗潰し編を組み合わせた7種類を示すため、7種類の用紙コードのそれぞれに、各別の画像編集の組合せが適用された低品質画像LPG の例で示している。
【0072】
これにより、本実施形態では、事前印刷用紙を使った本番印刷を行なう第1出力モード、同品質画像HPG を使って未印刷用紙に本番印刷(事前印刷用紙を使った本番印刷との区別のため代用印刷と称する)を行なう第2出力モード、未印刷用紙を使った印刷データのみ(罫線や社章などの画像はなし)での試し印刷を行なう第3出力モード、事前印刷用紙を使った試し印刷を行なう第4出力モード、同品質画像HPG を使って未印刷用紙に試し印刷を行なう第5出力モード、低品質画像LPG を使って未印刷用紙に試し印刷を行なう第6出力モードに対応するようになっている。
【0073】
第2出力モード時には、画像編集部180により、事前印刷用紙に印刷済みの印字・罫線・図形の一部(全部でもよい)を塗り潰す機能を働かせる。これは、試し印刷した出力用紙の廃棄処理が不完全のときに、事前印刷用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインが悪用(盗用)されることを防止するためである。
【0074】
<印刷処理:第1実施形態>
図3〜図3Bは、本実施形態の画像形成装置7における第1実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図3は、第1実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。図3Aは、第1実施形態の印刷処理を説明する概念図である。図3Bは、第1実施形態の印刷処理を適用しない比較例の印刷処理を説明する概念図である。
【0075】
主印刷制御部110は、印刷指示があるまで(印刷指示情報PJを受け取るまで)待機している(S100)。主印刷制御部110は、印刷指示があると(S100−YES)、印刷データ管理部130に記憶部132への印刷指示情報PJの保存を指示し、また印刷指示情報PJを解読して印刷モードが本番モードであるのか試しモード(テストモード)であるのかを判定する(S102)。本番モードのときは(S102−本番)、主印刷制御部110は、印刷データ管理部130に印刷データの取得を依頼し、印刷データを画像出力部50に渡して、出力処理を指示する(S104)。このとき、主印刷制御部110は、事前印刷用紙が足りるか否かを判定し(S106)、足りるときは(S106−YES)、事前印刷用紙を使用した通常の帳票印刷処理つまり第1出力モードでの印刷処理を実行するように画像出力部50に指示する(S191,S198)。不足のときは(S106−NO)、同品質画像HPG の取得を下地画像データ管理部150に依頼し(S108)、同品質画像HPG を画像出力部50に渡して、事前印刷用紙の画像品質と同等の同品質画像HPG を使った代用印刷つまり第2出力モードでの帳票印刷処理を実行するように画像出力部50に指示する(S192,S198)。
【0076】
試しモードのときは(S102−試し)、主印刷制御部110は、印刷データ管理部130に印刷データの取得を依頼し(S110)、受け取った印刷データの属性(アトリビュート)を走査し、事前印刷用紙の用紙コードが指定されているかどうかを確認する(S112)。事前印刷用紙の用紙コードが指定されていなければ(S112−NO)、主印刷制御部110は印刷データを画像出力部50に渡して、未印刷用紙を使用した試し印刷処理つまり第3出力モードでの印刷処理を実行するように画像出力部50に指示する(S193,S198)。
【0077】
事前印刷用紙の用紙コードが指定されていると(S112−YES)、主印刷制御部110は受け取った印刷データの属性を走査し、事前印刷用紙を使用した試し印刷つまり第4出力モードであるのか、下地画像データPGを使用した試し印刷つまり第5出力モードまたは第6出力モードであるのかを確認する(S116)。事前印刷用紙を使用した試し印刷(第4出力モード)が指示されているとステップS134に進む(S116−YES)。
【0078】
下地画像データPGを使用した試し印刷(第5・第6出力モード)が指示されていると(S116−NO)、主印刷制御部110は、さらに低品質での試し印刷であるのか否か、つまり、同品質画像HPG を使って未印刷用紙に試し印刷を行なう第5出力モードであるのか、低品質画像LPG を使って未印刷用紙に試し印刷を行なう第6出力モードであるのかを確認する(S118)。
【0079】
そして、主印刷制御部110は、用紙コードに対応する下地画像データPG(同品質画像HPG か低品質画像LPG )の取得を下地画像データ管理部150に依頼する(S120)。下地画像データ管理部150は、下地画像管理テーブルTBL を検索し、指示された用紙コードのエントリが存在するかどうかを確認する(S122)。エントリが存在しない場合は(S122−NO)、主印刷制御部110は、入出力制御部190を介して、たとえば「用紙コード:xxxxxに対する事前印刷用紙をスキャナにセットして下さい」というメッセージを表示し、オペレータの応答待ちとなる。
【0080】
エントリが存在する場合は(S122−YES)、下地画像データ管理部150は、そのエントリ内に記述された下地画像データPG(同品質画像HPG か低品質画像LPG )を記憶部152から読み込んで主印刷制御部110に渡す(S126)。下地画像データPGとして同品質画像HPG と低品質画像LPG の何れを読み込むかは、ステップS118での確認結果に従うことを基本とする。ここで、ステップS118での確認結果が第6出力モードであるときに低品質画像LPG が存在せず同品質画像HPG が存在するときには同品質画像HPG を主印刷制御部110に渡してもよい。
【0081】
主印刷制御部110は、ステップS118での確認結果が第6出力モードのときに、下地画像データ管理部150から同品質画像HPG が渡されると、画像編集部180に、解像度低下機能や色編集機能の実行を指示する(S130−YES,S132)。解像度低下機能や色編集機能の実行がなされると、同品質画像HPG のメモリ領域に即座に反映する。
【0082】
さらに、主印刷制御部110は、オペレータに塗潰しを行なうか否かを問合せる(S134)。塗潰しが指示されると(S134−YES)、主印刷制御部110は、印刷データ管理部130から下地画像データPGが渡されているときには(S136−YES)、その下地画像データPGを入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、悪用されたくない部分(悪用防止領域)の塗潰し待ちとなる。
【0083】
事前印刷用紙を使用した試し印刷(第4出力モード)が指示されているときには(S136−NO)、塗潰し位置の位置合わせのため、主印刷制御部110は、入出力制御部190を介して、たとえば「用紙コード:xxxxxに対する事前印刷用紙をスキャナにセットして下さい」というメッセージを表示し、オペレータの応答待ちとなる(S138)。オペレータは、このメッセージが表示された場合は、用紙コードに対する事前印刷用紙を画像読取部30にセットし、指示入力装置18(キーボードやマウス)を操作して、スキャン開始を指示する。
【0084】
下地画像データ管理部150は、オペレータからのスキャン開始指示を、入出力制御部190を介して受け取ると(S138−YES)、スキャナ制御部170に対して、読取り処理を依頼する(S140)。このとき、通常品質での読取りでもよいし、モノクロモードや低解像度での読取りでもよい。
【0085】
スキャナ制御部170は、下地画像データ管理部150からの依頼に基づき、画像読取部30にセットされた事前印刷用紙を読み込み、画像データとしてメモリに展開し、下地画像データ管理部150に渡す。下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170から渡された下地画像データPGを、入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、悪用防止領域の塗潰し待ちとなる。
【0086】
悪用防止領域の塗潰し待ちに移行すると、主印刷制御部110は、入出力制御部190を介して、たとえば「悪用されたくない部分を塗り潰して下さい」というメッセージを表示する(S172)。オペレータは、表示装置16上に表示された下地画像データPGを確認しながら、指示入力装置18(キーボードやマウス)を使用して塗り潰す領域を指定する(S174)。塗り潰す領域が指定されると、下地画像データ管理部150は、指定領域を黒ベタ画像で塗り潰す。なお変形例としては、黒ベタ画像の代りに、スモーク画像を塗り潰す領域に重ねて解像度編集機能を働かせてもよい。また、黒色ではなく赤色や緑色などの100%濃度のベタ色で塗り潰して色編集機能を働かせてもよい。
【0087】
ステップS136−YESからの移行での塗潰し処理時には、主印刷制御部110は指定領域を黒ベタ画像で塗り潰した塗潰し画像を保存する(S176)。ステップS172からの移行での塗潰し処理時には、下地画像データ管理部150は、塗潰し指定された領域を、下地画像データPGのメモリ領域に即座に反映して下地画像データPGを更新する(S178)。塗り潰す領域がない場合または塗潰し領域を全て指定した場合は、オペレータは画像編集を終了する。このとき、下地画像データ管理部150は、下地画像データPGの画像編集終了指示を受け取ると、メモリ上に展開された編集済みの下地画像データPGを画像ファイルとして保存し、用紙コードと画像ファイル名を下地画像管理テーブルTBL に追加してもよい。
【0088】
主印刷制御部110は、第4〜第6出力モードに従った帳票印刷処理の実行を画像出力部50に指示する(S198)。たとえば、第4出力モードが指示されているときに塗潰し編集がされていると、塗潰し指定された領域を示す塗潰し画像と印刷データ管理部130から渡された印刷データを合成して、合成済みの印刷データを画像出力部50に送る(S194)。第5出力モードが指示されているときに塗潰し編集がされていると、塗潰し指定された領域を示す塗潰し画像と、印刷データ管理部130から渡された印刷データと、下地画像データ管理部150から渡されている同品質画像HPG を合成して、合成済みの印刷データを画像出力部50に送る(S195)。
【0089】
第6出力モードが指示されているときに低品質画像LPG が渡されていて塗潰し編集がされていると、塗潰し指定された領域を示す塗潰し画像と、印刷データ管理部130から渡された印刷データと、下地画像データ管理部150から渡されている低品質画像LPG を合成して、合成済みの印刷データを画像出力部50に送る(S196)。第6出力モードが指示されているときに同品質画像HPG が渡されていて塗潰し編集がされていると、塗潰し指定された領域を示す塗潰し画像と、印刷データ管理部130から渡された印刷データと、同品質画像HPG に対して解像度低下機能や色編集機能の実行がされている同品質画像HPG (実態としては低品質画像LPG と等価)を合成して、合成済みの印刷データを画像出力部50に送る(S197)。
【0090】
指示された用紙コードのエントリ確認において(S122)、エントリが存在せず事前印刷用紙の読取り待ちになると、下地画像データ管理部150は、入出力制御部190を介して、通常品質での読取りと低品質での読取りの何れを希望するかをオペレータに問い合わせる(S152)。通常品質での読取りに対応するのは、ここで読み取った同品質画像HPG を下地画像データ管理部150にて管理することで、これ以後、この同品質画像HPG を使った第2出力モードや第5出力モード、あるいは、同品質画像HPG に対しての解像度低下機能や色編集機能を併用した第6出力モードに対応するためである。
【0091】
通常品質での読取りの指示を受けたときは(S152−YES)、下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170に対して、通常品質での読取り処理を依頼する(S154)。低品質での読取りの指示を受けたときは(S152−NO)、下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170に対して、モノクロモード/低解像度での読取り処理を依頼する(S156)。オペレータは、メッセージの表示に従い、用紙コードに対する下地画像データPGを画像読取部30にセットし、指示入力装置18(キーボードやマウス)を操作して、スキャン開始を指示する。
【0092】
スキャナ制御部170は、下地画像データ管理部150からの依頼に基づき、画像読取部30にセットされた事前印刷用紙を読み込み、画像データとしてメモリに展開し、下地画像データ管理部150に渡す。低品質での読取りの指示のときには、画像出力部50にて、解像度低下機能や色編集機能を働かせる。
【0093】
下地画像データ管理部150は、ステップS118での確認結果が第6出力モードのときに通常品質での読取りの指示を受けたときは、画像編集部180に、解像度低下機能や色編集機能の実行を指示する(S160−YES,S162)。解像度低下機能や色編集機能の実行がなされると、同品質画像HPG のメモリ領域に即座に反映する。
【0094】
さらに、下地画像データ管理部150は、オペレターに塗潰しを行なうか否かを問合せる(S164)。塗潰しが指示されると(S164−YES)、下地画像データ管理部150は、スキャナ制御部170から渡された下地画像データPGを入出力制御部190を介して表示装置16に表示し、悪用防止領域の塗潰し待ちとなる。
【0095】
悪用防止領域の塗潰し待ちに移行すると、主印刷制御部110は、入出力制御部190を介して、たとえば「悪用されたくない部分を塗り潰して下さい」というメッセージを表示する(S172)。オペレータは、表示装置16上に表示された下地画像データPGを確認しながら、指示入力装置18(キーボードやマウス)を使用して塗り潰す領域を指定する(S174)。下地画像データ管理部150は、塗潰し指定された領域を、下地画像データPGのメモリ領域に即座に反映して下地画像データPGを更新する(S178)。塗り潰す領域がない場合または塗潰し領域を全て指定した場合は、オペレータは画像編集を終了する。
【0096】
下地画像データ管理部150は、下地画像データPGの画像編集終了指示を受け取ると(S180−YES)、メモリ上に展開された編集済みの下地画像データPGを画像ファイルとして保存し(S182)、用紙コードと画像ファイル名を下地画像管理テーブルTBL に追加し(S184)、編集済みの下地画像データPGを主印刷制御部110に渡す。
【0097】
主印刷制御部110は、渡された下地画像データPG(同品質画像HPG や低品質画像LPG )と印刷データ管理部130から渡された印刷データを合成して(S195,S196,S197)、合成済みの印刷データを画像出力部50に送り、第5・第6出力モードに従った帳票印刷処理(ここでは試し印刷)の実行を画像出力部50に指示する(S198)。
【0098】
第1実施形態の印刷処理によれば、次のような処理がなされる。
【0099】
1)第5・第6出力モードでの試し印刷時に、事前印刷用紙ではなく下地画像データPGを利用した印刷処理がなされる。その結果、試し印刷時に、事前印刷用紙が消費されることはない(図3Aを参照)。
【0100】
2)事前印刷用紙を使用した第4出力モードでの試し印刷時に、事前印刷用紙上の社章・社印などの印刷済み部分の一部(全部の場合もあり得る)が塗潰し機能により塗り潰されて、画像品質が低下した状態で出力される。事前印刷用紙上の印刷済みの画像(文字、社章・社印、デザインなど)の利用価値が低下する。その結果、出力用紙の廃棄処理が不完全であっても、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなどの下地画像が悪用(盗用)されることは、防止される(図3Aを参照)。図3Bに示すように、第1実施形態を適用しなければ、下地画像が悪用される可能性があるのと異なる。
【0101】
3)下地画像データPGを使用した第5・第6出力モードでの試し印刷時に、事前印刷用紙上の社章・社印などの印刷済み部分の一部(全部の場合もあり得る)が、解像度低下機能や色編集機能や塗潰し機能により、画像品質が低下した状態で出力される。事前印刷用紙上の印刷済みの画像(文字、社章・社印、デザインなど)と対応する画像の利用価値が低下する。その結果、出力用紙の廃棄処理が不完全であっても、その出力用紙上の社章・社印、または事前印刷用紙自体のデザインなどの下地画像が悪用(盗用)されることは、防止される(図3Aを参照)。図3Bに示すように、第1実施形態を適用しなければ、下地画像が悪用される可能性があるのと異なる。
【0102】
4)オペレータは事前印刷用紙を読み取った下地画像データPGの表示を確認しながら塗潰し作業を行なえるので、塗潰し領域の位置合わせ作業が容易になる。悪用されたくない部分が目視確認で的確に塗り潰され、悪用防止がより完全になると考えられる。
【0103】
5)事前印刷用紙の読取り時に、同品質画像HPG を読み取って保存していると、この後には、同品質画像HPG を使った代用印刷(第2出力モード)や未印刷用紙への試し印刷(第5出力モード)を適用し得るようになる。
【0104】
あるいはこの過程で、低品質モードで読み取ると、低品質画像LPG の生成・登録に、画像編集部180での画像編集を行なわなくてもよくなる。
【0105】
<印刷処理:第2実施形態>
図4および図4Aは、本実施形態の画像形成装置7における第2実施形態の印刷処理を説明する図である。ここで、図4は、第2実施形態の印刷処理を説明する概念図である。図4Aは、第2実施形態の印刷処理を適用しない比較例の印刷処理を説明する概念図である。
【0106】
第2実施形態では、第1実施形態の処理を基本としつつ、悪用防止領域の塗潰し処理(S172〜S176,S172〜S176)時に、塗潰し作業に使用するパターン(塗潰しパターン)を選択可能にするものである。
【0107】
「塗潰しパターン」とは、塗り潰しに使用する色、濃度、塗潰し領域内のハッチングパターンのデザイン(純色かハッチング時のパターンの選択)、透過率などの組合せを意味する。第2実施形態では、これらの少なくとも1つをパラメータを調整可能にする。第1実施形態では、黒色、100%濃度、パターンデザインは純色で透過率0%の黒ベタ画像としている。
【0108】
第1実施形態の塗潰し処理(S172〜S176,S172〜S176)では、事前印刷用紙を使用した試し印刷時の印刷済み画像や未印刷用紙を使用した試し印刷時の前記印刷済み画像に対応する画像の特定領域(社章・社印や企業ロゴなど、企業にとっての重要な資産)を黒ベタ画像で塗り潰すようにしている。この場合、印字位置にずれがあった場合、印字位置ずれ部分と塗潰し領域が重なってしまうことが起こり得る。この場合、印字位置にずれがないかを目視で判断することができなくなってしまう(図4Aを参照)。
【0109】
この対策として、第2実施形態では、悪用防止領域の塗潰し待ちに移行すると、たとえばステップS174,S174で、主印刷制御部110や下地画像データ管理部150は、入出力制御部190を介して、たとえば「悪用されたくない部分を塗り潰して下さい」というメッセージを表示するとともに、塗潰しパターンの選択画面を表示する。つまり、表示装置16に表示された下地画像データPGの任意の領域を塗り潰す際、その塗潰しパターンも同時に指定する。
【0110】
たとえば、図4(1)に示すように、塗潰しパターンとして、10%〜100%(100%は黒ベタ)の範囲で濃度を指定できるようにする。パターンに応じた塗潰し処理が下地画像データPGのメモリ領域に即座に反映されるようにする。100%以外の場合は、塗潰し領域内に元から存在した画像と塗潰しパターンを合成(マージ)して、塗潰し領域内の画像を生成する。
【0111】
100%以外の場合に塗潰し領域内に元から存在した画像と塗潰しパターンを合成するとは、事前印刷用紙イメージと印刷データを合成してラスタライズすることを意味する。「塗り潰す部分と下地画像の重なり部分」の扱いは次のようになる。合成後のプリントイメージのビットパターンをプリンタのページバッファに作成するには、まず事前印刷用紙イメージをビットパターンに展開した後、印刷データをビットパターンに展開する。このため、重なり部分に関しては、後からビットパターン展開されるものが印刷される。文書作成ソフトでは、塗潰しパターンは、塗潰し効果画面の「パターン」タブを操作することで処理される。もちろん、これ以外にも色を指定し、その「透過率」を指定するものもある。何れの場合においても、ある特定領域のビットパターン量の差を表したものにすぎず、ビットパターン展開されない領域には、それ以前に展開されたビットパターンが配置さる。ビットパターンの展開順は、事前印刷用紙イメージ、塗潰しパターン、印刷データとなるので、塗潰しパターンにより事前印刷用紙イメージの一部が上書きされ、その上に印刷データが展開されるので、文字としても認識されるようになる。
【0112】
これにより、図4(2)に示すように、印字位置にずれがあった場合に印字位置ずれ部分と塗潰し領域が重なってしまっても、100%以外の塗潰しパターンが使用される場合は、塗潰し領域に重なる印字部分は視認される。印字データがずれて印刷され塗潰し領域に重なっていたとしても印字データのずれは目視される。その反面、悪用されたくない悪用防止領域は、完全には塗り潰されておらず目視される。しかしながら、元の下地画像と同一品質では視認されないので、悪用防止機能はある程度働くと考えられる。
【0113】
このように、第2実施形態の仕組みによれば、下地画像における悪用防止領域(保護部分)の利用価値を低下させた状態で、かつ、印字データの位置ずれ確認を容易にする仕組みが実現される。
【0114】
<電子計算機による構成>
図5は、画像形成装置7の制御構成の他の構成例を示すブロック図である。ここでは、パーソナルコンピュータなどの電子計算機を利用して、ソフトウェアを実行するマイクロプロセッサなどから構築される画像形成装置7の制御構成のより現実的なハードウェア構成を示している。
【0115】
すなわち、本実施形態において、印刷処理に関わる制御処理を行なう画像形成装置7の制御構成の仕組みは、ハードウェア処理回路により構成することに限らず、その機能を実現するプログラムコードに基づき電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェア的に実現される。よって、本実施形態に係る仕組みを、電子計算機(コンピュータ)を用いてソフトウェアで実現するために好適なプログラムあるいはこのプログラムを格納したコンピュータ読取可能な記憶媒体が発明として抽出される。ソフトウェアにより実行させる仕組みとすることで、ハードウェアの変更を伴うことなく、処理手順などが容易に変更されることとなる。
【0116】
前述の一連の帳票印刷処理はハードウェアまたはソフトウェアの単独に限らずその両者の複合構成によっても実現され得る。ソフトウェアによる処理を実行する場合、処理手順を示したプログラムを、ハードウェアに組み込まれたコンピュータ内の記憶媒体に組み込んで(インストールして)実行させたり、各種処理が実行可能な汎用の電子計算機にプログラムを組み込んで実行させる。
【0117】
帳票印刷処理機能をコンピュータに実行させるプログラムは、CD−ROMなどの記録媒体を通じて配布される。あるいは、このプログラムは、CD−ROMではなくFDに格納されてもよい。また、MOドライブを設け、MOに前記プログラムを格納してもよく、またフラッシュメモリなどの不揮発性の半導体メモリカードなど、その他の記録媒体にプログラムを格納してもよい。さらに、ソフトウェアを構成するプログラムは、記録媒体を介して提供されることに限らず、有線あるいは無線などの通信網を介して提供されてもよい。たとえば、他のサーバなどからインターネットなどのネットワークを経由してプログラムをダウンロードして取得したり、あるいは更新したりしてもよい。さらに、自動複製印刷指示情報APJ を生成するオンデマンド印刷処理を行なう機能を実現するプログラムコードを記述したファイルとしてプログラムが提供されるが、この場合、一括のプログラムファイルとして提供されることに限らず、コンピュータで構成されるシステムのハードウェア構成に応じて、個別のプログラムモジュールとして提供されてもよい。
【0118】
たとえば、コンピュータシステム900は、CPU(Central Processing Unit )やマイクロプロセッサ(microprocessor)で構成された中央制御部910と、読出専用の記憶部であるROM(Read Only Memory)、あるいは随時読出し・書込みが可能なメモリであるRAM(Random Access Memory)などを具備する記憶部912と、操作部914と、図示を割愛したその他の周辺部材を有している。
【0119】
中央制御部910は、コンピュータが行なう演算と制御の機能を超小型の集積回路に集約させたCPUを代表例とする電子計算機の中枢をなすものと同様のものである。ROMには帳票印刷処理機能用の制御プログラムなどが格納される。記憶部612のROMがその機能を備えるものとしてもよい。操作部914は、利用者による操作を受け付けるためのユーザインタフェースである。
【0120】
なお、コンピュータシステム900の制御系としては、メモリカードなどの図示を割愛した外部記録媒体を挿脱可能に構成し、またインターネットなどの通信網との接続が可能に構成するとよい。このためには、制御系は、中央制御部910や記憶部912の他に、可搬型の記録媒体の情報を読み込むメモリ読出部920や外部との通信インタフェース手段としての通信I/F922を備えるようにするとよい。メモリ読出部920を備えることで外部記録媒体からプログラムのインストールや更新ができる。通信I/F922を備えることで、通信網を介しプログラムのインストールや更新ができる。基本的な帳票印刷処理の仕組みは前記実施形態と同様である。
【0121】
なお、ここでは、画像形成装置7の制御構成をコンピュータにてソフトウェア上で実現する構成例で説明しているが、本実施形態の帳票印刷処理を実現するための画像形成装置7の制御構成の各部(機能ブロックを含む)の具体的手段は、ハードウェア、ソフトウェア、通信手段、これらの組み合わせ、その他の手段を用いることができ、このこと自体は当業者において自明である。また、機能ブロック同士が複合して1つの機能ブロックに集約されてもよい。また、コンピュータにプログラム処理を実行させるソフトウェアは、組合せの態様に応じて分散してインストールされる。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】本実施形態の印刷システムの一構成例を示す図である。
【図1A】図1に示した印刷システムに使用される画像形成装置の制御構成を説明する図である。
【図2】下地画像データ管理部が管理する下地画像管理テーブルTBL の一例を説明する図である。
【図3】第1実施形態の印刷処理手順を示すフローチャートである。
【図3A】第1実施形態の印刷処理を説明する概念図である。
【図3B】第1実施形態の印刷処理を適用しない比較例の印刷処理を説明する概念図である。
【図4】第2実施形態の印刷処理を説明する概念図である。
【図4A】第2実施形態の印刷処理を適用しない比較例の印刷処理を説明する概念図である。
【図5】画像形成装置の制御機構を、電子計算機を利用して構成するときの構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0123】
1…印刷システム、10…管理部、110…主印刷制御部、12…無停電電源装置、130…印刷データ管理部、132…記憶部、14…制御プロセッサ、150…下地画像データ管理部、152…記憶部、16…表示装置、170…スキャナ制御部、18…指示入力装置、180…画像編集部、190…入出力制御部、3…基幹データベースシステム、30…画像読取部、5…帳票サーバ、50…画像出力部、52…印刷処理部、54…印刷制御部、7…画像形成装置、70…給紙部、9…通信網、90…排出部、92…定着部、94…排出ビン、96…サンプル排出部、98…不正印刷排出トレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なったときの印刷仕上がりを確認するための試し印刷時には、印刷結果物において、前記下地画像の少なくとも一部が、元の画像品質よりも低下するように、印刷処理を制御する制御部
を備えた画像形成装置。
【請求項2】
画像を塗り潰す機能を持つ画像編集部を備え、
前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部を塗り潰すように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
画像の解像度を変換する機能を持つ画像編集部を備え、
前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部の解像度を低下させるように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する
請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
画像の色を変換する機能を持つ画像編集部を備え、
前記制御部は、前記試し印刷時には、前記下地画像の少なくとも一部の色を変更するように前記画像編集部を制御することで、前記元の画像品質よりも低下するように印刷処理を制御する
請求項1〜3の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部を備え、
前記制御部は、
前記事前印刷用紙を通常の読取時よりも解像度を低下させて読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、
前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている低解像度の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記事前印刷用紙を通常の読取時よりも解像度を低下させかつ単一色で読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、
前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている低解像度かつ単一色の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する
請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部を備え、
前記制御部は、
前記事前印刷用紙を単一色で読み取って得られた前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、
前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている単一色の前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
画像の解像度を変換する機能、および/または、画像の色を変換する機能を持つ画像編集部と、
前記事前印刷用紙の前記下地画像を示す下地画像データを管理する下地画像データ管理部と、
を備え、
前記制御部は、
前記事前印刷用紙を通常の読取時と同じ解像度で読み取った通常品質の下地画像データの少なくとも一部を低解像度にする、および/または、色変更することで、低品質の下地画像データにするように、前記画像編集部を制御し、
前記通常品質の下地画像データと前記低品質の下地画像データを管理するように、前記下地画像データ管理部に指示し、
前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている前記低品質の下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する
請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項9】
画像を塗り潰す機能を持つ画像編集部を備え、
前記制御部は、
前記事前印刷用紙を読み取った前記下地画像データの前記下地画像の少なくとも一部を塗り潰すように前記画像編集部を制御し、
前記下地画像の少なくとも一部が塗り潰された前記下地画像データを管理するように前記下地画像データ管理部に指示し、
前記試し印刷時には、前記印字データと前記下地画像データ管理部により管理されている前記下地画像の少なくとも一部が塗り潰された前記下地画像データを合成して未印刷用紙上に印刷するように制御する
請求項5〜8の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
画像を表示する表示部を備え、
前記制御部は、前記画像編集部により画像を塗り潰す機能を動作させるときには、前記事前印刷用紙を読み取った前記下地画像データに基づく表示を行なうように前記表示部を制御する
請求項2または9に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記画像編集部は、画像を塗り潰す際の、色、濃度、塗潰し領域内のハッチングパターン、透過率の少なくとも1つのパラメータが調整可能である
請求項2,9,10の内の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
印刷指示を受け付けたときに、下地画像が印刷済みの事前印刷用紙に印字データに基づく印刷処理を行なったときの印刷仕上がりを確認するための試し印刷であるか否かを判定する工程と、
前記試し印刷であるときには、印刷結果物において、前記下地画像の少なくとも一部が、元の画像品質よりも低下するように、印刷処理を制御する工程と、
をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図1A】
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【図2】
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【図3】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−62909(P2010−62909A)
【公開日】平成22年3月18日(2010.3.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−226954(P2008−226954)
【出願日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】