説明

画像形成装置、プロセスカートリッジ

【課題】ブラック残トナーを余すことなく高画質用トナーに再利用し、かつ用途に合わせCMY残トナーを有効利用し、低コスト化および省スペース化を実現しながらも廃トナーを完全になくすことができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】YMCKの4色の現像機に加え、残トナーを用いるリサイクルトナー用現像機を備えた中間転写方式の5連タンデム型の画像形成装置であって、カラー残トナーの保持専用に設けられたカラー残トナー一時保持ローラ51aと、更にブラック残トナーの保持専用に設けられたブラック残トナー一時保持ローラ50aを備え、前記ローラは、画像形成時と画像形成時以外とで印加バイアスを切り替える手段を備えることを特徴とする画像形成装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の静電複写プロセスを用いた画像形成装置においては、中間転写ベルト上の残トナーはクリーニングシステムを用いて除去し、専用の回収容器に集められ廃棄されていた。
ところが近年、環境問題などの観点から廃トナーをなくし、転写残トナーをリサイクルする要請が高まっている。そのため、従来は、クリーニングによって回収したトナーを現像機に戻し、トナーの再利用を行っていた。
しかし、このようなクリーニング装置には、クリーニング装置によって回収した転写残トナーを収容する廃トナータンクや、回収した転写残トナーを再利用するためにその転写残トナーを搬送するリサイクルトナー搬送通路などを設けるスペースが必要になる。そのため画像形成装置が大型化してしまう。
【0003】
環境問題に対応した画像形成装置の1つとしては、例えば特許文献1に開示されているものがある。この画像形成装置では、トナーリサイクル装置を用いてカラーの残トナーをブラック現像に戻し、トナーの再利用を行っている。しかし、トナーリサイクルは環境負荷低減には効果があるが、トナーリサイクル装置が搬送経路にスペースを取られるという問題点がある。そこで、上記の実施例では、中間転写ベルト上の転写残トナーを中間転写ベルトから感光体に静電的に戻し、更に感光体から現像へ静電的に戻し、省スペース化を測るという方法が記載されている。
【0004】
このような、中間転写ベルト上の転写残トナーをブラック現像機に戻すシステムについては、例えば、特許文献2では、リボルバ方式のカラーシステムに於いて、二次転写残トナーを回収するための廃現像剤容器を設けずに、中間転写体上の残トナーは感光体に戻し、更に感光体からブラック現像に戻す手法開示されている。なお、ここに記載の実施例では、リボルバ方式について主にとりあげているが、タンデム方式についても記載されている。
【0005】
また、特許文献3では、9リボルバ方式のカラーシステムに於いて、中間転写ベルト上の残トナーを現像機に戻すシステムいついて記載されており、ブラック現像機と中間転写体との両者に対抗するように配置されるローラを設け、二次転写残トナーをこのローラに回収し、感光体を経由せずに直接ブラック現像機に戻す手段が開示されている。
【0006】
また、特許文献4では、クリーニング手段により各色別の潜像担持体上から除去した残トナーを一箇所に回収し、現像剤回収供給手段によってカラー画像形成プロセスで用いられる現像剤とは異なった色の再生現像剤として現像機に供給して活用し、該回収現像剤を廃棄処分する必要がなく、さらに現像剤回収供給手段の再生トナーの供給先となる現像機を、カラー画像形成プロセスに関与しない独立した現像機(リサイクル現像機)とすることにより、当該カラー画像形成プロセスにより形成されるカラー画像に、該再生現像剤を再利用したことによる画像品質低下等の悪影響を与えることがないというシステムが提案されている。
【0007】
【特許文献1】特開2002−311669号公報
【特許文献2】特開2003−173061号公報
【特許文献3】特開2003−149899号公報
【特許文献4】特開2000−35703号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記した従来の画像形成装置には、以下の問題があった。即ち、特許文献1ないし3に記載の発明では、カラーの残トナーをすべてブラック色現像機に戻すため、ブラックトナーに他の色が混ざってしまい、ブラックの色再現性が悪化してしまう。
また、特許文献4に記載の発明においては、クリーニング装置を備えることや大量のリサイクルトナーが回収されることにより、大型化してしまうという不具合がある。
そこで本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであり、ブラック残トナーを余すことなく再利用しても、ブラックの色再現性を良好とし、また用途に応じて、CMYカラー残トナーを有効利することで、廃トナー回収性の高め、低コスト化および省スペース化を実現しながらも、安定した高品質画像を出力できる画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するための手段である本発明の特徴を以下に挙げる。
1.本発明の画像形成装置は、潜像を担持する像担持体と、像担持体表面に均一に帯電を施す帯電手段と、帯電した像担持体の表面に画像データに基づいて露光し、潜像を書き込む露光手段と、像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し、可視像化する現像手段と、像担持体表面の可視像を転写媒体に転写する転写手段と、転写媒体上に転写されたトナー像を定着する定着手段と、を備える画像形成装置であって、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像機に加え、残トナーを用いるリサイクルトナー用現像機を備えた、中間転写方式の5連タンデム型の画像形成装置であって、カラー残トナーの保持専用に設けられた、カラー残トナー一時保持手段であるカラー残トナー一時保持ローラを備え、更に、ブラック残トナーの保持専用に設けられた、ブラック残トナー一時保持手段であるブラック残トナー一時保持ローラを備え、当該カラー残トナー一時保持ローラ及び該ブラック残トナー一時保持ローラは、画像形成時と画像形成時以外とで、印加バイアスを切り替える手段を備えることを特徴とする画像形成装置。
2.本発明の画像形成装置は、1.に記載の発明において、カラー画像形成時は、前記カラー残トナー一時保持ローラを中間転写ベルトに当接させ、中間転写ベルトに付着した残トナーを、該カラー残トナー一時保持ローラ上に静電的に回収し、前記カラー残トナー一時保持ローラに回収された残トナーは、画像形成時以外のタイミングで、該カラー残トナー一時保持ローラに印加された放出バイアスにより、中間転写ベルト上に戻され、更に、前記リサイクルトナー現像機用の一次転写ローラのバイアス切り替えにより、中間転写ベルト上から前記残トナーリサイクル用現像機の感光体上に静電的に移行され、更に当該残トナーリサイクル用感光体上から、残トナーリサイクル用現像機に静電的に回収される ことを特徴とする。
3.また、本発明の画像形成装置は、2.に記載の発明において、色再現性を必要としない印刷物の作像時に、カラー画像形成時に回収した残トナーを利用することを特徴とする。
4.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし3.のいずれかに記載の発明において、白黒画像形成時は、前記ブラック残トナー一時保持ローラを中間転写ベルトに当接させ、
中間転写ベルトに付着したブラック残トナーを、該ブラック残トナー一時保持ローラ上に静電的に回収し、前記ブラック残トナー一時保持ローラ上に回収されたトナーは、画像形成時以外のタイミングで、該ブラック残トナー一時保持ローラに印加された放出バイアスにより、中間転写ベルト上に戻され、更に、該ブラック残トナー一時保持ローラのバイアスの切り替えにより、中間転写ベルト上から前記ブラック現像機の感光体上に静電的に移行され、更に当該ブラック感光体上から、ブラック現像機に静電的に回収されることを特徴とする。
5.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし4.のいずれかに記載の発明において、カラー画像形成時及びリサイクルトナーを用いた画像形成時は、前記ブラック残トナー一時保持ローラを、中間転写ベルトから離すことを特徴とする。
6.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし5.のいずれかに記載の発明において、白黒画像形成時は、前記カラー残トナー一時保持ローラを、中間転写ベルトから離すことを特徴とする。
7.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし6.のいずれかに記載の発明において、前記ブラック残トナー一時保持ローラは、表層剤中に、極性制御剤を含有することを特徴とする。
8.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし7.のいずれかに記載の発明において、前記カラー残トナー一時保持ローラは、表層剤中に、極性制御剤を含有することを特徴とする。
9.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし8.のいずれかに記載の発明において、前記ブラック残トナー一時保持ローラと前記中間転写ベルトとの線速比が、1.05〜2.00であることを特徴とする。
10.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし9.のいずれかに記載の発明において、前記カラー残トナー一時保持ローラと前記中間転写ベルトとの線速差が、1.05〜2.00であることを特徴とする。
11.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし10.のいずれかに記載の発明において、白黒画像形成時には、シアン、イエロー、マゼンタおよび残トナーリサイクル用現像機を、中間転写ベルトから離すことを特徴とする。
12.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし11.のいずれかに記載の発明において、リサイクルトナーを用いた画像形成時には、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック現像機を中間転写ベルトから離すことを特徴とする。
13.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし12.のいずれかに記載の発明において、ブラック用トナーボトルから前記残トナーリサイクル用現像機への搬送経路を設け、更に、前記残トナーリサイクル用現像機内のトナー濃度を検知するための濃度センサを備え、前記濃度センサの検知結果に基づき、前記残トナーリサイクル用現像機へのブラックトナーの補給を行うことを特徴とする。
13.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし12.のいずれかに記載の発明において、ブラック用トナーボトルから前記残トナーリサイクル用現像機への搬送経路を設け、前記残トナーリサイクル用現像機に備えた濃度センサによって、当該残トナーリサイクル用現像機内のトナー濃度を検知し、前記検知結果に基づき、残トナーリサイクル用現像機へのブラックトナーの補給を行い、前記残トナーリサイクル用現像機内の濃度を制御することを特徴とする。
【0010】
14.また、本発明の画像形成装置は、1.ないし13.のいずれかに記載の発明において、少なくとも像担持体と、トナー一時保持手段とを一体に支持し、着脱可能なプロセスカートリッジを備えることを特徴とする。
【0011】
15.また、本発明のプロセスカートリッジは、少なくとも像担持体と、トナー一時保持手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジであって、1.ないし14.のいずれかに記載の画像形成装置に備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、上記解決する手段により、ブラック残トナーを高画質出力用トナーに再利用することができ、またカラー残トナーを用途に応じて再利用することができ、低コスト化および省スペース化を実現しながらも、完全に廃トナーを生じることのない画像形成装置を提供することができる。また更に、安定した高品質画像を提供することがきる画像形成装置、及びプロセスカートリッジとする事ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(全体動作)
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。本プリンタは、ブラック(以下、「K」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、イエロー(以下、「Y」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成し、用途に合わせてリサイクル(以下、「Re」と記す。)トナーからモノクロ画像を形成するものである。
【0014】
図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタは、像担持体として、1K、1C、1M、1Yおよび残トナーリサイクル用感光体1Reの5つの感光体ドラムを備えている。各感光体ドラム1K、1C、1M、1Yおよび1Reは、それぞれ表面移動部材としての無端移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。本実施形態において、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Yおよび1Reは、それぞれ表面移動部材としての無端移動部材である中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体ドラム1K、1C、1M、1YおよびReは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したもので、その外径が30mmで、その内径が28.5mmである。
本実施形態では、低コスト化、感光体設計の自由度、無公害性等の観点から、有機系感光体を用いている。
【0015】
図2は、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reの周りの概略構成を示す図である。なお、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reの周りの構成はすべて同じであるため、1つの感光体ドラムについてのみ図示し、色分け用の符号K、C、M、Y、Reについては省略してある。
感光体ドラム1の周りには、その表面移動方向に沿って、一時保持手段としてのトナー保持装置40帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、潜像形成手段としての露光装置4から発せられる光が感光体ドラム1まで通過できるようにスペースが確保されている。
帯電装置3は、感光体ドラム1の表面を負極性に一様帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラ3aを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に接触させ、その帯電ローラ3aに負極性バイアスを印加することで、感光体ドラム1の表面を一様帯電する。本実施形態では、感光体ドラム1の表面電位が一様に−(マイナス)500[V]となるような直流の帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加している。本動作時は約−1000vのバイアスが帯電ローラに印加されているため、後述するように帯電ローラ3aの表面にトナーが付着することはほとんどない。
【0016】
このようにして一様帯電した感光体ドラム1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体ドラム1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式の露光装置であるが、LEDアレイと結像手段からなる露光装置など他の方式の露光装置を採用することもできる。
【0017】
また、現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。本実施形態で使用する現像装置5では、トナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しているが、キャリアを含まない一成分現像剤を使用してもよい。現像装置5は、図1に示すトナーボトル31K、31C、31M、31Yから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31K、31C、31M、31Yは、それぞれが単体で交換できるように、プリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31K、31C、31M、31Yのみを交換すればよい。従って、トナーエンド時において、寿命になっていない他の構成部材は、継続して利用することができ、交換に係るユーザーの経費を抑えることができる。
トナーボトル31K、31C、31M、31Yから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー5bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ5a上に穂立ちした状態となって、感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300[V]の現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。
【0018】
上記中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11、12、13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、カラー画像形成時には各感光体ドラム1Y、1C、1M、1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式は本実施形態では転写チリの発生が少ない転写ローラを用いた構成を採用している。具体的には、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写手段としての1次転写ローラ14K、14C、14M、14Y、14Re用を配置している。本実施形態では、各1次転写ローラ14K、14C、14M、14Y、14Reにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reとによって、1次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Re上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各1次転写ローラ14に正極性のバイアスが印加される。これにより、各1次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Re上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、2次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と2次転写ローラ16との間には2次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、2次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、2次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この2次転写時には、2次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。
【0019】
2次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。2次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0020】
本実施形態では、各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reの周囲に配置された現像装置又はその部品、露光装置4、中間転写ベルト10、ベルトクリーニング装置15等を一体化した、プロセスカートリッジ30として構成している。このプロセスカートリッジ30は、プリンタ本体に対して着脱自在となっている。よって、プロセスカートリッジ30内に収容された部品に寿命が到来したり、あるいはメンテナンスが必要となったりした際には、その部位がプロセスカートリッジ30に包括されているため、プロセスカートリッジ30を交換すればよく、利便性が向上する。また、交換により、安定な画像が得られるため、画像安定性を実現することができる。
なお、本実施形態では、上述したトナーボトル31Y、31C、31M、31Kは、このプロセスカートリッジ30とは別個にプリンタ本体に対して着脱自在な構成となっている。
【0021】
次に、本発明の特徴部分である、中間転写ベルトの表面に残留した転写残トナーの回収機構について説明する。
本実施形態では、カラー画像形成時と白黒画像形成時およびリサイクルトナーを用いた画像形成時において、現像に用いる現像機および中間転写ベルトの表面に残留した転写残トナーの取り扱いが異なる。
【実施例】
【0022】
[実施例1]
実施例1においては、カラー画像形成時の使用装置、及び動作について説明する。
本発明の画像形成装置は、カラー画像形成時には、現像に対しKCMY現像機を用い、中間転写ベルト上のカラー残トナーは、リサイクル用現像機に回収保持される。
実施例1では、カラー画像形成時において、中間転写ベルト10にカラー残トナー一時保持手段である金属ローラ51を当接する。
なお、この金属ローラ51は、画像形成時と画像形成時以外とで、印加バイアスを切り替える手段を備えており、またさらに、その表層剤中には、極性制御剤を含有する。
中間転写ベルト10上には、摩擦帯電と正の印加バイアスにより、表面上に不要なトナーが付着している。上記金属ローラ51は、印加バイアスの切り換えにより、この中間転写ベルト10上の不要なトナーを、一旦回収し、画像形成時以外のタイミングで中間転写ベルト上に放出するものである。
【0023】
図3は、カラー画像形成時、及びリサイクル用トナーを用いた画像形成の場合の、トナー回収機構を示す概略構成図である。中間転写ベルト10表面には、トナー回収機構として、金属ローラ51を当接させている。
なお、この時、中間転写ベルト10表面に存在しているトナーの中には、転写での電荷注入や放電により逆極性となっているものが含まれている。金属ローラ51の表層剤中に含まれる極性制御剤は、その帯電極性を負極性に揃え、この結果、バイアスによるトナーの移動が容易となり、トナー回収効率を増加させることができる。
本実施例においては、画像形成時、当該カラー残トナー一時保持手段である金属ローラ51に正バイアスをかけ、金属ローラ51に回収する。
ここで、白黒画像形成時においてブラック残トナー一時回収機構として働く金属ローラ50は、図示しないクラッチによって、中間転写ベルト10から離す。これにより、カラー残トナーがブラック残トナー一時保持ローラ50に付着することによる、カラー残トナーのブラックトナーへの混色を防ぐことができる。
その結果、白黒画像形成時において、ブラック現像機で使用するトナーを、混色のないブラック単色トナーとすることができ、画像の高品質化を実現することができる。
【0024】
なお、金属ローラ表層50aの表層剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂や、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムがあり、これらを単独はもちろんのこと、これら樹脂の構成成分をモノマー単位で共重合させたものでも良く、更には、ウレタンとアクリルを組み合わせて成る高分子物質の様に2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの表層樹脂は、適当な溶媒に溶解・分散させ塗料としてコートする方法の他に、押し出し機などを用いてチューブ化したものを被覆する方法でもよい。
【0025】
本発明においては、金属ローラ表層50aの表層剤中には、極性制御剤を含有させる。本発明において、極性制御剤とは、転写での電荷注入や放電により逆極性となったトナーを負電荷に制御する能力を有するものを言う。極性制御剤は、金属ローラ50の表層50aに分散混合する方法、表層50aにディッピングなどの手段でコートする方法などにより付与することができる。このような極性制御剤としては、例えば、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、変性シリコーンオイル等が挙げられるが、中でも長期的な電荷制御性が安定しているカップリング剤が好ましい。
以下に具体的な物質例を挙げる。カップリシグ剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などであるが、以下に具体例を示す。シラン系カップリング剤としては、例えばトリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン等が挙げられる。
【0026】
また、金属ローラ51と中間転写ベルト10との間に線速比を持たせ、逆極性になったトナーを摩擦帯電させて、金属ローラ51への印加バイアスも併用して静電的に回収する。実施例1では、線速比として、1.05〜2.00という値が最適であった。1.05未満では摩擦帯電効果が小さくなり、2.0以上ではトナーのフィルミングが発生し、また、接触が不安定になるなどの問題があった。このように、金属ローラ(カラー残トナー一時保持ローラ)51と中間転写ベルト10に線速差を持たせることで、トナーを摩擦帯電させて、金属ローラ(カラー残トナー一時保持ローラ)51に当該トナーを静電的に回収することを促し、転写ベルト10上のトナー回収率を向上させることができる。
【0027】
次に、金属ローラ51に一時保持した残トナーを、中間転写ベルト10表面に戻す工程について説明する。この工程は、本プリンタが画像形成を行わない時、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に行われる。
具体的には、金属ローラ51で一時保持され、負帯電した残トナーを、中間転写ベルト10に押し出すために、金属ローラ51に―500〜―600Vの放出バイアスを印加する。これにより、金属ローラ51に回収されたトナーが、中間転写ベルト10に放出される。
【0028】
次に、中間転写ベルト10上に戻された残トナーを、感光体ドラム1Reの表面に移行させる工程について説明する。
本実施例では、画像形成時以外のタイミングで、金属ローラ51から中間転写ベルト10上に戻された残トナーを、リサイクル用感光体ドラム1Reの表面に移行させる。
この工程に関しても、本プリンタが画像形成を行わない時、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に行われ、具体的には、一時転写ローラ14Reに選択的に放出バイアスを印加し、トナーを感光体ドラム1Reに放出する。そのため、一時転写ローラ14Reは第一電源43または第二電源44のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。
本工程では、感光体1Re上の潜像に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転写する場合と、中間転写ベルト10上の残トナーを感光体1Reに戻す場合とで、バイアスを切り替える。感光体1Re上の潜像に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転写する時は、負帯電したトナーを中間転写ベルト10へ引き付ける力が必要であるため、第一電源43から500〜600Vの正極性のバイアスを印加し、逆に中間転写ベルト10上の残トナーを感光体1Reに戻す時は、負帯電したトナーを押し出す力が必要であるため、第ニ電源44から―600〜―700Vの負極性のバイアスを印加する。
【0029】
次に、中間転写ベルト10から感光体ドラム1Reの表面に移行された負帯電トナーを、リサイクル用現像機の現像装置によって回収する工程について説明する。
本工程では、感光体ドラム1Reの表面に付着した負帯電トナーが、帯電ローラ3aとの接触領域に到達する。負帯電トナーが付着した感光体ドラム1Reの表面は、上述したようにおよそ−50[V]であるため、帯電用のバイアス(約−1000v)が印加されている帯電ローラ3aとの接触領域では、負帯電トナーには感光体ドラム1Re側に向かう静電力が働くことになる。したがって、負帯電トナーは帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。帯電ローラ3aを通過した残トナーは、感光体1Reが−500Vに帯電しているため、次に通過する−350Vのバイアスが印加された現像スリーブにおいて回収される。
【0030】
上記のように、中間転写ベルト10上からリサイクル用現像機の現像装置によって回収された残トナーは、後述する実施例3において、正確な色再現を必要としない印刷物、例えば回覧物等の暫定的な書類の簡易的なプリント、パソコン等により作成された図面のレイアウトや誤字脱字及び大まかな配色などの確認のための印刷時や、裏紙や漂白処理が完全でない再生紙のような、色再現性の比較的悪い記録媒体へのプリントなどを行う場合に利用される。
これにより、印刷物の用途に応じて、カラー残トナーを有効利用することができる。
【0031】
[実施例2]
実施例2においては、白黒画像形成時の使用装置および動作について説明する。
本発明の画像形成装置は、白黒画像形成時には、現像に対しブラック現像機のみを用い、中間転写ベルト上のブラック残トナーはブラック現像機に回収保持される。
実施例2では、白黒画像形成時、中間転写ベルト上10に、ブラック残トナー一時保持手段である金属ローラ50を当接する。なお、この金属ローラ50は、画像形成時と画像形成時以外とで、印加バイアスを切り替える手段を備えており、またさらに、その表層剤中には、極性制御剤を含有する。
中間転写ベルト10上には、摩擦帯電と正の印加バイアスにより、表面上に不要なトナーが付着している。上記金属ローラ50は、印加バイアスの切り換えにより、この中間転写ベルト10上の不要なトナーを、一旦回収し、画像形成時以外のタイミングで中間転写ベルト上に放出するものである。
【0032】
図4は、白黒画像形成時のトナー回収機構を示す概略構成図である。中間転写ベルト10の表面には、トナー回収機構として、金属ローラ50を当接させている。
なお、この時、中間転写ベルト10表面に存在しているトナーの中には、転写での電荷注入や放電により逆極性となっているものが含まれている。前記の金属ローラ51の表層剤中に含まれる極性制御剤は、その帯電極性を負極性に揃え、この結果、バイアスによるトナーの移動が容易となり、トナー回収効率を増加させることができる。
本実施例においては、画像形成時、当該ブラック残トナー一時保持ローラ50に正バイアスをかけて、転写残トナーをブラック残トナー一時保持ローラ50に回収する。
ここで、カラー画像形成時においては、カラー残トナー一時回収機構として働く金属ローラ51は、図示していないクラッチによって中間転写ベルトから離すものとする。このような機構とすることにより、カラー残トナーが、カラー残トナー一時保持ローラ51上から中間転写ベルトに再付着することを防止され、カラーの残トナーがブラックトナーに混色することを防ぐことができる。
その結果、ブラック現像において使用するトナーを、混色のないブラック単色トナーとすることができ、画像の高画質化を実現することができる。
【0033】
なお、金属ローラ表層50aの表層剤中には、転写での電荷注入や放電により逆極性となったトナーを負極性に制御するための極性制御剤を含有させる。
表層剤として例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂や、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムがあり、これらを単独はもちろんのこと、これら樹脂の構成成分をモノマー単位で共重合させたものでも良く、更には、ウレタンとアクリルを組み合わせて成る高分子物質の様に2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの表層樹脂は、適当な溶媒に溶解・分散させ塗料としてコートする方法の他に、押し出し機などを用いてチューブ化したものを被覆する方法でもよい。
【0034】
また、本発明において極性制御剤とは、転写での電荷注入や放電により逆極性となったトナーを負電荷に制御する能力を有するものを言う。このような物質を表層剤として用いることにより、転写バイアスなどによって極性が揃っていない転写残トナーの帯電極性を負極性に揃えることで、バイアスによるトナーの移動をしやすくし、トナー回収効率を増加させることができる。
極性制御剤は、金属ローラ50の表層50aに分散混合する方法、表層50aにディッピングなどの手段でコートする方法などにより付与することができる。このような極性制御剤としては、例えば、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、変性シリコーンオイル等が挙げられるが、中でも長期的な電荷制御性が安定しているカップリング剤が好ましい。
以下に、具体的な物質例を挙げる。カップリシグ剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などであるが、以下に具体例を示す。シラン系カップリング剤としては、例えばトリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン等が挙げられる。
【0035】
また、金属ローラ50と中間転写ベルトの間に線速比を持たせ、逆極性になったトナーを摩擦帯電させて、金属ローラ50への印加バイアスも併用して静電的に回収する。実施例2では線速比として、1.05〜2.00という値が最適であった。1.05未満では摩擦帯電効果が小さくなり、2.0以上ではトナーのフィルミングが発生し、また、接触が不安定になるなどの問題があった。このように、金属ローラ(ブラック残トナー一時保持ローラ)50と中間転写ベルト10に線速差を持たせることで、トナーを摩擦帯電させ、ブラック残トナー一時保持ローラ(金属ローラ)50に当該残トナーを静電的に回収することを促し、転写ベルト上のトナー回収率を向上させることができる。
【0036】
次に、金属ローラ50に一時保持した残トナーを中間転写ベルト10表面に戻す工程について説明する。
本実施例においては、金属ローラ50で一時保持した残トナーを、本発明に係るプリンタが画像形成を行わない時、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に、放出する。
具体的には、負帯電したトナーを金属ローラ50から中間転写ベルトに押し出すために金属ローラ50に―500〜―600Vの放出バイアスを印加する。
【0037】
次に、中間転写ベルト10上に戻された残トナーを、感光体ドラム1Kの表面に戻す工程について説明する。
本実施例においては、画像形成時以外のタイミングで、金属ローラ50から中間転写ベルト10上に戻された残トナーを、感光体ドラム1Kの表面に戻す。
この工程に関しても、本発明に係るプリンタが画像形成を行わない時、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に行われ、具体的には、一時転写ローラ50に選択的に放出バイアスを印加し、トナーを感光体ドラム1K放出する。そのため、一時転写ローラ50は、第一電源43または第二電源44のいずれか一方から、バイアスが印加される構成としている。
本工程では、感光体1K上の潜像に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転写する場合と、中間転写ベルト10上の残トナーを感光体1Kに戻す場合とで、バイアスを切り替える。
感光体1K上の潜像に付着したトナーを、中間転写ベルト10へ転写する時は、負帯電したトナーを中間転写ベルト10へ引き付ける力が必要であるため、第一電源43から500〜600Vの正極性のバイアスを印加する。逆に、中間転写ベルト10上の残トナーを感光体1Kに戻す時には、負帯電したトナーを押し出す力が必要であるため、第ニ電源44から―600〜―700Vの負極性のバイアスを印加する。
【0038】
次に、中間転写ベルト10から感光体ドラム1Kの表面に戻された負帯電トナーを、現像装置によって回収する工程について説明する。
本工程では、感光体ドラム1Kの表面に付着した負帯電トナーが、帯電ローラ3aとの接触領域に到達する。負帯電トナーが付着した感光体ドラム1Kの表面は、上述したようにおよそ−50[V]であるため、帯電用のバイアス(約−1000v)が印加されている帯電ローラ3aとの接触領域では、負帯電トナーには感光体ドラム1K側に向かう静電力が働くことになる。従って、負帯電トナーは帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。帯電ローラ3aを通過した残トナーは、感光体が−500Vに帯電しているため、その次に通過する−350Vのバイアスが印加された現像スリーブにおいて回収される。
このように、画像形成時以外のタイミングで、感光体、さらに現像装置へと戻すことが可能となるため、残トナー回収のための空回しの動作を省略する事ができ、省エネルギー化を実現することが可能な構成となっている。
【0039】
また、実施例2、即ち白黒画像形成時においては、CMY、及びReの現像機を、中間転写ベルト10から離すこととしてもよい。このようの機構とすることで、CMYおよびRe感光体ドラムから、中間転写ベルト10に対してカラートナーが転写し、これがブラックトナーに混色することを防止することができ、その結果、再利用するブラックトナーを、混色のないブラック単色トナーをとすることができる。
【0040】
上記機構により、本発明の画像形成装置は、白黒画像形成時においては、中間転写ベルト10上のブラック残トナーをブラック現像機に回収し、ブラック残トナーを余すことなく再利用することができる。この際、回収する残トナーを、混色の無い状態としているため、回収トナーを使用しても、高品質の画像を提供する事が可能である。
また更に、最も使用頻度の高いブラックトナーを余すことなく再利用することができるため、低コスト化を実現し、かつクリーニングシステムをなくすことで、省スペース化を実現することができる。
【0041】
[実施例3]
実施例3においては、リサイクル用トナーを用いた画像形成の際の使用装置、及び動作について説明する。
本発明の画像形成装置は、リサイクル用トナーを用いた画像形成の場合、現像にはリサイクル用現像機のみを用い、中間転写ベルト10表面の混色したカラー残トナーは、リサイクル用現像機に回収保持される。
実施例3では、リサイクル用トナーを用いた画像形成時、中間転写ベルト10に、カラー残トナー一時保持手段である金属ローラ51を当接する。
なお、この金属ローラ51は、画像形成時と画像形成時以外とで、印加バイアスを切り替える手段を備えており、またさらに、その表層剤中には、極性制御剤を含有する。
中間転写ベルト10上には、摩擦帯電と正の印加バイアスにより、表面上に不要なトナーが付着している。上記金属ローラ51は、印加バイアスの切り換えにより、この中間転写ベルト10上の不要なトナーを、一旦回収し、画像形成時以外のタイミングで中間転写ベルト上に放出するものである。
【0042】
図3は、カラー画像形成時、及びリサイクル用トナーを用いた画像形成の場合の、トナー回収機構を示す概略構成図である。
中間転写ベルト10表面には、トナー回収機構として、金属ローラ51を当接させている。
なお、この時、中間転写ベルト10表面に存在しているトナーの中には、転写での電荷注入や放電により逆極性となっているものが含まれている。金属ローラ51の表層剤中に含まれる極性制御剤は、その帯電極性を負極性に揃え、この結果、バイアスによるトナーの移動が容易となり、トナー回収効率を増加させることができる。
本実施例においては、画像形成時、当該カラー残トナー一時保持手段である金属ローラ51に正バイアスをかけ、金属ローラ51に回収する。
ここで、白黒画像形成時においてブラック残トナー一時回収機構として働く金属ローラ50は、図示しないクラッチによって、中間転写ベルト10から離す。これにより、カラー残トナーがブラック残トナー一時保持ローラ50に付着することによる、カラー残トナーのブラックトナーへの混色を防ぐことができる。
その結果、白黒画像形成時において、ブラック現像機で使用するトナーを、混色のないブラック単色トナーとすることができ、画像の高品質化を実現することができる。
【0043】
なお、金属ローラ表層50aの表層剤としては、例えば、アクリル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスルホン酸樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、スチレン樹脂、ナイロン樹脂、ポリ塩化ビニル、アルキド樹脂、シリコーン樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、フッ素樹脂等の樹脂や、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴム、ブタジエンアクリロニトリルゴム、ポリクロロプレン、ポリイソプレン、クロルスルホン化ポリエチレン、ポリイソブチレン、イソブチレンイソプレンゴム、アクリルゴム、ウレタンゴム、多硫化系合成ゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等の合成ゴムがあり、これらを単独はもちろんのこと、これら樹脂の構成成分をモノマー単位で共重合させたものでも良く、更には、ウレタンとアクリルを組み合わせて成る高分子物質の様に2種類以上組み合わせて用いることができる。これらの表層樹脂は、適当な溶媒に溶解・分散させ塗料としてコートする方法の他に、押し出し機などを用いてチューブ化したものを被覆する方法でもよい。
【0044】
本発明においては、金属ローラ表層50aの表層剤中には、極性制御剤を含有させる。本発明において、極性制御剤とは、転写での電荷注入や放電により逆極性となったトナーを負電荷に制御する能力を有するものを言う。極性制御剤は、金属ローラ50の表層50aに分散混合する方法、表層50aにディッピングなどの手段でコートする方法などにより付与することができる。このような極性制御剤としては、例えば、カップリング剤、カップリング剤で変性した樹脂、イオン性の染顔料や有機金属化合物、樹脂、変性シリコーンオイル等が挙げられるが、中でも長期的な電荷制御性が安定しているカップリング剤が好ましい。
以下に具体的な物質例を挙げる。
カップリシグ剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などであるが、以下に具体例を示す。
シラン系カップリング剤としては、例えばトリメチルシラン、トリメチルクロルシラン、ジメチルジクロルシラン、メチルトリクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ブロムメチルジメチルクロルシラン等が挙げられる。
【0045】
また、金属ローラ51と中間転写ベルト10との間に線速比を持たせ、逆極性になったトナーを摩擦帯電させて、金属ローラ51への印加バイアスも併用し、静電的に回収する。
実施例3では線速比として、1.05〜2.00という値が最適であった。1.05未満では摩擦帯電効果が小さくなり、2.0以上ではトナーのフィルミングが発生し、また、接触が不安定になるなどの問題があった。
このような機構により、転写ベルト10上のトナー回収率を向上させることができる。
【0046】
次に、金属ローラ51に一時保持した残トナーを、中間転写ベルト10表面に戻す工程について説明する。この工程は、を本プリンタが画像形成を行わないとき、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に行われる。
具体的には、金属ローラ51で一時保持されている負帯電したトナーを、金属ローラ51から中間転写ベルトに押し出すために、金属ローラ51に―500〜―600Vの放出バイアスを印加する。これにより、金属ローラ51に回収されたトナーは、中間転写ベルト10上に放出される。
【0047】
次に、中間転写ベルト上に戻された残トナーを、感光体ドラム1Reの表面に戻す工程について説明する。
本実施例では、画像形成時以外のタイミングで、金属ローラ51から中間転写ベルト10上に戻された残トナーを、感光体ドラム1Reの表面に戻す。
この工程に関しても、本プリンタが画像形成を行わない時、詳しくは画像形成を終えてから次の画像形成を行うまでの間に行われ、具体的には、一時転写ローラ14Reに選択的に放出バイアスを印加し、トナーを感光体ドラム1Reに放出する。そのため、一時転写ローラ14Reは第一電源43または第二電源44のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。
本工程では、感光体1Re上の潜像に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転写する場合と、中間転写ベルト10上の残トナーを感光体1Reに戻す場合とで、バイアスを切り替える。感光体1Re上の潜像に付着したトナーを中間転写ベルト10へ転写する時は、負帯電したトナーを中間転写ベルト10へ引き付ける力が必要であるため、第一電源43から500〜600Vの正極性のバイアスを印加し、逆に中間転写ベルト上の残トナーを感光体に戻すときは負帯電したトナーを押し出す力が必要であるため、第ニ電源44から―600〜―700Vの負極性のバイアスを印加する。
【0048】
次に、中間転写ベルト10から感光体ドラム1Reの表面に戻された負帯電トナーを、現像装置によって回収する工程について説明する。
本工程では、感光体ドラム1Reの表面に付着した負帯電トナーが、帯電ローラ3aとの接触領域に到達する。負帯電トナーが付着した感光体ドラム1Reの表面は、上述したようにおよそ−50[V]であるため、帯電用のバイアス(約−1000v)が印加されている帯電ローラ3aとの接触領域では、負帯電トナーには感光体ドラム1Re側に向かう静電力が働くことになる。従って、負帯電トナーは帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。帯電ローラ3aを通過した残トナーは、感光体1Reが−500Vに帯電しているから、次に通過する−350Vのバイアスが印加された現像スリーブで回収される。
【0049】
ここで、リサイクル用現像機へトナーを補給する工程について説明する。
カラー残トナーをリサイクルして現像を行う場合、カラー残トナーの回収量が少ないことにより、トナー量が不足して、濃度低下が起こる場合がある。
本発明の画像形成装置は、リサイクル用現像機内に当該現像機内のトナー濃度を検知する濃度センサを設け、さらにブラックトナーボトルから残トナーリサイクル用現像機への搬送経路を設けてトナー補給システムを確保し、前記濃度センサによって検知されたリサイクル用現像機内の濃度に基づき、トナーボトル31Kから現像機内にブラックトナーを供給する。
これにより、リサイクル用現像機内のトナー濃度を所定濃度に保持されるため、現像用トナーが不足することを防止することができ、かつ、回収された混色トナーを、その色合いや特性に関し、純正なブラックトナーにより近い状態に調整することが可能となる。
【0050】
また、実施例3の、リサイクル用トナーを用いた画像形成においては、KCMYの現像機を中間転写ベルト10から離してもよい。
これにより、中間転写ベルト10上の混色カラー残トナーが、KCMY感光体ドラム上へ転写されて、KCMY現像機内に混入する事態を防止することができる。
【0051】
上記のように、本発明の画像形成装置は、二次転写後、中間転写ベルト10上に残ったトナーを感光体に戻し、現像装置で回収するクリーニングレスシステムであり、カラー画像形成時は、中間転写ベルト10上から回収されたカラー残トナーを、残トナーリサイクル用現像機で回収し、これを正確な色再現を必要としない印刷物等の作像時に使用し、また白黒画像形成時は、中間転写ベルト10上から回収されたブラック残トナーをブラック現像機で回収し、これを白黒画像形成に再利用することで、用途に合わせてカラー残トナーを有効利用し、廃トナーを完全になくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】各感光体ドラム1K、1C、1M、1Y、1Reの周りの概略構成を示す図である。
【図3】カラー画像形成時及びリサイクル用トナーを用いた画像形成の場合のトナー回収機構を示す概略構成図である。
【図4】白黒画像形成時のトナー回収機構を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0053】
1Re、1K、1C、1M、1Y 各感光体ドラム
3a 帯電ローラ
3、帯電装置
4 露光装置
5 現像装置
10 中間転写ベルト
14Re、14Y、14C、14M、14K 1次転写ローラ
16 2次転写ローラ
30 プロセスカートリッジ
31Y、31C、31M、31K トナーボトル
40 トナー保持装置
41 磁気ブラシローラ
43 第1電源
44 第2電源
45 切替スイッチ
50 ブラックトナー一時保持ローラ
50a ブラックトナー一時保持ローラ表層
51 カラートナー一時保持ローラ
51a カラートナー一時保持ローラ表層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
像担持体上に形成された静電潜像をトナーで可視化する画像形成装置であって、潜像を担持する像担持体と、像担持体表面に均一に帯電を施す帯電装置と、帯電した像担持体の表面に潜像を書き込む露光装置と、像担持体表面に形成された潜像にトナーを供給し、可視像化する現像装置と、像担持体表面の可視像を転写媒体に転写する転写装置と、転写媒体上に転写されたトナー像を定着する定着装置と、を備える画像形成装置において、
前記画像形成装置は、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの4色の現像機に加え、残トナーを用いるリサイクルトナー用現像機を備えた、中間転写方式の5連タンデム型の画像形成装置であって、
前記画像形成装置は、カラー残トナーの保持専用に設けられた、カラー残トナー一時保持手段であるカラー残トナー一時保持ローラを備え、
更に、ブラック残トナーの保持専用に設けられた、ブラック残トナー一時保持手段であるブラック残トナー一時保持ローラを備え、
当該カラー残トナー一時保持ローラ及び該ブラック残トナー一時保持ローラは、画像形成時と画像形成時以外とで、印加バイアスを切り替える手段を備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、 カラー画像形成時は、
前記カラー残トナー一時保持ローラを中間転写ベルトに当接させ、
中間転写ベルトに付着した残トナーを、該カラー残トナー一時保持ローラ上に静電的に回収し、
前記カラー残トナー一時保持ローラに回収された残トナーは、
画像形成時以外のタイミングで、該カラー残トナー一時保持ローラに印加された放出バイアスにより、中間転写ベルト上に戻され、更に、前記リサイクルトナー現像機用の一次転写ローラのバイアス切り替えにより、中間転写ベルト上から前記残トナーリサイクル用現像機の像担持体上に静電的に移行され、
更に当該残トナーリサイクル用像担持体上から、残トナーリサイクル用現像機に静電的に回収される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項2に記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、色再現性を必要としない印刷物の作像時に、カラー画像形成時に回収した残トナーを利用する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、 白黒画像形成時は、
前記ブラック残トナー一時保持ローラを中間転写ベルトに当接させ、
中間転写ベルトに付着したブラック残トナーを、該ブラック残トナー一時保持ローラ上に静電的に回収し、
前記ブラック残トナー一時保持ローラ上に回収されたトナーは、
画像形成時以外のタイミングで、該ブラック残トナー一時保持ローラに印加された放出バイアスにより、中間転写ベルト上に戻され、更に、該ブラック残トナー一時保持ローラのバイアスの切り替えにより、中間転写ベルト上から前記ブラック現像機の像担持体上に静電的に移行され、
更に当該ブラック像担持体上から、ブラック現像機に静電的に回収される
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、カラー画像形成時及びリサイクルトナーを用いた画像形成時は、前記ブラック残トナー一時保持ローラを、中間転写ベルトから離す
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、白黒画像形成時は、前記カラー残トナー一時保持ローラを、中間転写ベルトから離す
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記ブラック残トナー一時保持ローラは、表層剤中に、極性制御剤を含有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記カラー残トナー一時保持ローラは、表層剤中に、極性制御剤を含有する
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記ブラック残トナー一時保持ローラと前記中間転写ベルトとの線速比が、1.05〜2.00である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記カラー残トナー一時保持ローラと前記中間転写ベルトとの線速差が、1.05〜2.00である
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、白黒画像形成時には、シアン、イエロー、マゼンタおよび残トナーリサイクル用現像機を、中間転写ベルトから離す
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、リサイクルトナーを用いた画像形成時には、シアン、イエロー、マゼンタ、ブラック現像機を中間転写ベルトから離す
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において
前記画像形成装置は、ブラック用トナーボトルから前記残トナーリサイクル用現像機への搬送経路を設け、更に、前記残トナーリサイクル用現像機内のトナー濃度を検知するための濃度センサを備え、
前記画像形成装置は、前記濃度センサの検知結果に基づき、前記残トナーリサイクル用現像機へのブラックトナーの補給を行う
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、
前記画像形成装置は、少なくとも像担持体と、トナー一時保持手段とを一体に支持し、
着脱可能なプロセスカートリッジを備える
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも像担持体と、トナー一時保持手段とを一体に支持し、画像形成装置本体に着脱自在であるプロセスカートリッジにおいて、
前記プロセスカートリッジは、請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置に備えられる
ことを特徴とするプロセスカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−106375(P2006−106375A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−293234(P2004−293234)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】