説明

画像形成装置、及びその制御プログラム

【課題】実行中の印刷ジョブの印刷モードとは異なる印刷モードの印刷ジョブの割り込みが指示された場合においても、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる画像形成装置を提供すること。
【解決手段】
第1の印刷ジョブが完了するまでの残り時間を算出する(A4)。また第1の印刷ジョブの印刷モード、及び印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた第2の印刷ジョブの印刷モードに基づいて、印刷モードの変更時間を割り出す(A5)。そして、残り時間が、少なくとも印刷モードの変更時間よりも大きい場合(A7:YES)に、第1の印刷ジョブを中断して第2の印刷ジョブを実行する割り込み処理を行うことを判断する(A11)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、割込み機能を有する画像形成装置、及びその制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置には、実行中の印刷ジョブを中断して、割り込みの指示がなされた印刷ジョブを先に実行する割り込み処理を行うものがある。割り込み処理が行われた場合、実行中の印刷ジョブ(割り込まれた印刷ジョブ)の処理は、割り込む印刷ジョブの処理が完了するまで中断されることになる。従って、実行中の印刷ジョブの処理完了までの残りの時間が、割り込む印刷ジョブの処理にかかる時間と比べて非常に短い場合等においても、実行中の印刷ジョブの処理は中断されることになるため、この実行中の印刷ジョブの完了時間が必要以上に遅くなり、ユーザが長時間待たされることになる。この問題を解決するための技術として、例えば、下記特許文献1及び2に記載された技術が知られている。
【0003】
特許文献1に記載された技術では、実行中の印刷ジョブの処理完了までの残りデータ量が、割り込みの指示がなされた印刷ジョブの総データ量よりも大きい場合には割り込み処理を行うと判断し、小さい場合には割り込み処理を行わないと判断することで、ユーザが長時間待たされることを抑制している。
【0004】
また、特許文献2に記載された技術では、実行中の印刷ジョブの完了までの残り時間が規定の時間よりも短い場合、又は残りページ数が規定のページ数よりも短い場合には、割り込み処理を行わないと判断することで、ユーザが長時間待たされることを抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−111770号公報
【特許文献2】特開2003−122526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び2に記載された技術は、割り込み処理を行うか否かの判断に、印刷モードの種類に関する判断が用いられていない。従って、実行中の印刷ジョブの印刷モードとは異なる印刷モードの印刷ジョブの割り込みが指示され、印刷モードの変更に伴う時間が比較的長い場合には、割り込み処理を行うか否かの判断を正確に行うことができず、ユーザが長時間待たされたり、印刷ジョブ全体を実行するスループットが低下する可能性がある。
【0007】
そこで、本発明の目的は、実行中の印刷ジョブの印刷モードとは異なる印刷モードの印刷ジョブの割り込みが指示された場合においても、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることが可能な画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の画像形成装置は、複数の印刷モードを有する画像形成装置であって、記録媒体への画像形成に関する印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブ実行手段により実行されている第1の印刷ジョブに関して、当該第1の印刷ジョブが完了するまでの残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記第1の印刷ジョブの印刷モード、及び印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた第2の印刷ジョブの印刷モードに基づいて、前記第1の印刷ジョブから前記第2の印刷ジョブへの遷移、及び前記第2の印刷ジョブから前記第1の印刷ジョブへの遷移に伴う印刷モードの変更時間を割り出すモード変更時間割出手段と、前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、少なくとも前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間よりも大きい場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブを実行する割り込み処理を行うことを判断する割込判断手段と、前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断した場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブが実行されるように前記ジョブ実行手段を制御する割込制御手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の制御プログラムは、複数の印刷モードを有する画像形成装置を、記録媒体への画像形成に関する印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、前記ジョブ実行手段により実行されている第1の印刷ジョブに関して、当該第1の印刷ジョブが完了するまでの残り時間を算出する残り時間算出手段と、前記第1の印刷ジョブの印刷モード、及び印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた第2の印刷ジョブの印刷モードに基づいて、前記第1の印刷ジョブから前記第2の印刷ジョブへの遷移、及び前記第2の印刷ジョブから前記第1の印刷ジョブへの遷移に伴う印刷モードの変更時間を割り出すモード変更時間割出処理と、前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、少なくとも前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間よりも大きい場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブを実行する割り込み処理を行うことを判断する割込判断手段と、前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断した場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブが実行されるように前記ジョブ実行手段を制御する割込制御手段として機能させることを特徴とする。
【0010】
上記の画像形成装置及び画像形成装置の制御プログラムによれば、実行中の第1の印刷ジョブの残り時間が、印刷モードの変更時間以下の場合には割り込み処理が行われないので、第1の印刷ジョブのユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷モードの変更回数を低減することができるので、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0011】
また、本発明の画像形成装置において、前記割込判断手段は、前記第1の印刷ジョブの優先度と前記第2の印刷ジョブの優先度とが同じ場合にのみ、前記割り込み処理を行うことを判断してもよい。上記の構成によれば、優先度が高い印刷ジョブを優先して実行することができる。
【0012】
また、本発明の画像形成装置においては、前記割り込み処理により中断された前記第1の印刷ジョブの中断時間、及び中断回数のうちの少なくとも一方を記憶する記憶手段をさらに備えており、前記割込判断手段は、前記記憶手段に記憶された前記第1の印刷ジョブの前記中断時間が規定時間未満又は前記中断回数が規定回数未満である場合に、前記割り込み処理を行なうことを判断してもよい。上記の構成によれば、第1の印刷ジョブのユーザが長時間待たされることを防止することができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置においては、前記第2の印刷ジョブの実行時間を算出する割込ジョブ実行時間算出手段をさらに備えており、前記割込判断手段は、前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間、及び前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間を合算した値よりも大きい場合に前記割り込み処理を行うことを判断してもよい。上記の構成によれば、実行中の第1の印刷ジョブの残り時間が、第2の印刷ジョブの実行時間と印刷モードの変更時間とを合算した値以下の場合には割り込み処理が行われないので、第1の印刷ジョブのユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷モードの変更回数を低減することができるので、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0014】
また、本発明の画像形成装置において、前記割込判断手段は、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が少なくとも規定時間未満である場合に、前記割り込み処理を行うことを判断してもよい。上記の構成によれば、第1の印刷ジョブのユーザが長時間待たされることを防止することができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置において、前記ジョブ実行手段は、記録媒体にカラーの記録液を吐出するための吐出口が形成されたカラー用吐出面を有するカラー用吐出ヘッドと、記録媒体にブラックの記録液を吐出するための吐出口が形成されたブラック用吐出面を有するブラック用吐出ヘッドと、前記カラー用吐出ヘッドの前記カラー用吐出面を包囲可能なカラー用キャップと、前記カラー用キャップを、前記カラー用吐出面を包囲するカラー用キャッピング位置と、前記カラー用吐出面を露出させるカラー用アンキャッピング位置との間で移動させるキャップ駆動手段と、前記カラー用及びブラック用吐出ヘッド、並びに前記キャップ駆動手段を制御する制御手段とを備えており、前記複数の印刷モードには、モノクロモードとカラーモードとが含まれており、前記印刷モードが前記モノクロモードのときには、前記制御手段は、前記カラー用キャップが前記カラー用キャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を吐出し、前記カラー用吐出面からの前記カラーの記録液の吐出が禁止されるように前記カラー用及びブラック用吐出ヘッドを制御し、前記印刷モードが前記カラーモードのときには、前記制御手段は、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を、前記カラー用吐出面から前記カラーの記録液をそれぞれ吐出するように前記カラー用及びブラック用吐出ヘッドを制御し、前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記モノクロモードと前記カラーモードとで互いに異なっている場合において、前記カラー用キャップを前記カラー用キャッピング位置と前記カラー用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませてもよい。上記の構成によれば、モノクロモードの場合においては、カラー用吐出面がカラー用キャップにより包囲されるので、カラー用吐出ヘッドの吐出口付近の記録液が乾燥することを抑制することができる。また、モノクロモードとカラーモードとの間で印刷モードを変更する際のカラー用キャップの移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができ、その結果、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0016】
また、本発明の画像形成装置においては、前記第2の印刷ジョブの実行時間を算出する割込ジョブ実行時間算出手段をさらに備えており、前記第1の印刷ジョブの前記印刷モードが前記カラーモードであり、前記第2の印刷ジョブの前記印刷モードが前記モノクロモードである場合において、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラー用の記録液を強制吐出させる必要がある不吐出限界時間未満であるときには、前記モード変更時間割出手段は、前記カラー用キャップを前記カラー用キャッピング位置と前記カラー用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を前記変更時間に含ませずに、当該変更時間を割り出し、前記ジョブ実行手段は、前記第2の印刷ジョブを実行するときにおいても、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御してもよい。上記の構成によれば、第2の印刷ジョブの実行時間が、不吐出限界時間以下である場合には、カラー用キャップを移動させずに第2の印刷ジョブを実行させることができるので、印刷モード変更に伴う時間を低減させることができ、その結果、ユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置においては、前記第1の印刷ジョブの前記印刷モードが前記カラーモードであり、前記第2の印刷ジョブの前記印刷モードが前記モノクロモードである場合において、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラーの記録液を強制吐出させる必要がある不吐出限界時間以上であり、且つ前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断したときには、前記ジョブ実行手段は、前記第2の印刷ジョブを実行するときにおいても前記カラー用キャップを前記カラー用アンキャッピング位置に位置させるか否かを、ユーザの選択により決定し、この決定結果に基づいて前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御してもよい。上記の構成によれば、記録液の消費量は増すがユーザの待ち時間が短くなる方法により画像形成を実行するか、又は記録液の消費量は少ないがユーザの待ち時間が長くなる方法により画像形成を実行するかをユーザが選択することができる。
【0018】
また、本発明の画像形成装置において、前記ジョブ実行手段が、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御した状態で、前記第2の印刷ジョブを実行しているときにおいて、前記ジョブ実行手段の前記制御手段が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラーの記録液が強制吐出されるように前記カラー用吐出ヘッドを制御してもよい。上記の構成によれば、カラー用吐出ヘッドの吐出口付近の乾燥により増粘した記録液の強制吐出を、モノクロ印字を行っている際に行うことができるため、ユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置において、前記ジョブ実行手段は、記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、記録媒体にブラックの記録液を吐出するための吐出口が形成されたブラック用吐出面を有するブラック用吐出ヘッドと、前記搬送方向に関して前記ブラック用吐出ヘッドよりも上流側に設けられ、前記ブラックの記録液に作用して前記ブラックの記録液中の成分を凝集又は析出させる処理液を吐出する複数の吐出口が形成された処理液用吐出面を有する処理液用吐出ヘッドと、前記処理液用吐出ヘッドの前記処理液用吐出面を包囲可能な処理液用キャップと、前記処理液用キャップを、前記処理液用吐出面を包囲する処理液用キャッピング位置と、前記処理液用吐出面を露出させる処理液用アンキャッピング位置との間で移動させるキャップ駆動手段と、前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッド、並びに前記キャップ駆動手段を制御する制御手段とを備えており、前記複数の印刷モードには、低品質モードと、高品質モードとが含まれており、前記印刷モードが前記低品質モードのときには、前記制御手段は、前記処理液用キャップが前記処理液用キャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を吐出させ、前記処理液用吐出面からの前記処理液の吐出が禁止されるように前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッドを制御し、前記印刷モードが前記高品質モードのときには、前記制御手段は、前記処理液用キャップが前記処理液用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を、前記処理液用吐出面から前記処理液をそれぞれ吐出するように前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッドを制御し、前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記低品質モードと前記高品質モードとで互いに異なっている場合において、前記処理液用キャップを前記処理液用キャッピング位置と前記処理液用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませてもよい。上記の構成によれば、低品質モードの場合において、処理液用吐出面が処理液用キャップにより包囲されるので、処理液用吐出ヘッドの吐出口付近の処理液が乾燥することを抑制することができる。また、低品質モードと高品質モードとの間で印刷モードを変更する際の処理液用キャップの移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができ、その結果、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0020】
また、本発明の画像形成装置において、前記ジョブ実行手段は、記録媒体に記録液を吐出するための吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、記録媒体を支持する支持面を有し、前記支持面に支持された記録媒体が吐出面と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送する搬送手段と、前記吐出ヘッドを、第1の位置と、前記支持面との間隔が前記第1の位置よりも大きい第2の位置との間を移動させることで、前記吐出ヘッドの吐出面と前記支持面との間隔を調整可能な間隔調整手段とを備えており、前記複数の印刷モードには、第1の記録媒体に画像形成を行う薄紙モードと、前記第1の記録媒体よりも厚い第2の記録媒体に画像形成を行う厚紙モードとが含まれており、前記間隔調整手段は、前記印刷モードが前記薄紙モードのときには、前記吐出ヘッドを前記第1の位置に位置させ、前記印刷モードが前記厚紙モードのときには、前記吐出ヘッドを前記第2の位置に位置させるものであり、前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記薄紙モードと前記厚紙モードとで互いに異なっている場合において、前記吐出ヘッドを前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませてもよい。上記の構成によれば、支持面と吐出ヘッドの吐出面との間隔を、記録媒体の厚みに応じて変更するため、記録媒体に品質の良い画像を形成することができる。また、薄紙モードと厚紙モードとの間で印刷モードを変更する際の処理液用キャップの移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができるので、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【発明の効果】
【0021】
実行中の印刷ジョブの印刷モードとは異なる印刷モードの印刷ジョブの割り込みが指示された場合においても、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態によるインクジェットプリンタの全体的な構成を示す概略側面図である。
【図2】インクジェットヘッド、及びプレコートヘッドの吐出面と、搬送ベルトの支持面との間隔について説明する説明図である。
【図3】(a)キャップ機構の平面図である。(b)図3(a)に示すVB−VB線に関する断面図である
【図4】キャップ機構のキャッピングについて説明する図である。
【図5】キャップ機構のキャッピング動作について説明する説明図である。
【図6】図1に示す制御部の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すインクジェットプリンタの印刷動作を示すフローチャート図である。
【図8】図7に示す割込判断処理のフローチャート図である。
【図9】図8に示すモード変更時間割出処理のフローチャート図である。
【図10】図7に示す割込ジョブ実行処理のフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の好適な実施の形態として、画像形成装置をインクジェットプリンタに適用し、図面を参照しつつ説明する。
【0024】
本実施形態のインクジェットプリンタ101は、図1に示すように、略直方体形状の筐体101aを有している。筐体101a内には、用紙(記録媒体)Pを搬送方向(図1中左方から右方に向かう方向)に搬送する搬送機構(搬送手段)16と、搬送機構16によって搬送された用紙Pに、インク(記録液)のインク滴を吐出する4つのインクジェットヘッド1(吐出ヘッド)と、インクの色素成分を凝集又は析出させるプレコート液(処理液)の液滴を吐出するプレコートヘッド2(処理液用吐出ヘッド)と、ヘッド昇降機構(間隔調整手段)33と、キャップ機構34(図3参照)と、インクジェットプリンタ101全体を制御するコントローラ100と、タッチパネル90(図6参照)とが設けられている。このインクジェットヘッド1には、ブラック(K)のインクのインク滴を吐出するインクジェット1A(ブラック用吐出ヘッド)と、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のカラーのインクのインク滴をそれぞれ吐出する3つのインクジェットヘッド1B(カラー用吐出ヘッド)とがある。
【0025】
なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送機構16で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。
【0026】
また、本実施形態において、インクジェットプリンタ101は印刷モードをとして、印字に関するモノクロモード及びカラーモード、品質に関する低品質モード及び高品質モード、並びに記録媒体に関する薄紙モード及び厚紙モードを有している。モノクロモードとはブラックのインクのみを用いて用紙P上にモノクロの画像を形成する印刷モードであり、カラーモードとはブラック、シアン、マゼンタ、イエローのインクを用いて用紙P上にカラーの画像を形成する印刷モードである。また、低品質モードとは、インクのみを用いて用紙P上に画像を形成する印刷モードであり、高品質モードとは、プレコート液及びインクを用いて用紙P上に高品質の画像を形成する印刷モードである。また、薄紙モードとは、普通紙P1(第1の記録媒体)上に画像を形成する印刷モードであり、厚紙モードとは、はがきや封筒等の普通紙P1よりも厚い厚紙P2(第2の記録媒体)上に画像を形成する印刷モードである。
【0027】
筐体101a内には、タンクユニット101cが設けられている。タンクユニット101cの内部には、ブラックのインクが貯溜された1つのインクタンク20a、マゼンタ、シアン、及びイエローのインクがそれぞれ貯溜された3つのインクタンク20b、並びにプレコート液が貯溜された1つのプレコート液タンク20cが格納されている。インクタンク20a,20b及びプレコート液タンク20cは、タンクユニット101cに対して着脱可能に装着されている。
【0028】
インクタンク20a,20bに貯溜されたインクは、インクチューブ(不図示)を介して、対応するインクジェットヘッド1A,1Bに供給される。同様に、プレコート液タンク20cに貯留されたプレコート液は、プレコートチューブ(不図示)を介して、プレコートヘッド2に供給される。
【0029】
プレコート液としては、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用される。プレコート液の材料は、カチオン系高分子やマグネシウム塩等の多価金属塩を含有する液体等、適宜に選択可能である。かかるプレコート液があらかじめ塗布された用紙Pの領域にインクが着弾すると、多価金属塩等がインクの着色剤である染料又は顔料に作用して、不溶性又は難溶性の金属複合体等が凝集又は析出により形成される。なお、プレコート液は、インクの発色濃度を向上させる機能を有していてもよい。
【0030】
また、インクジェットプリンタ101には、用紙Pの搬送経路に沿って、給紙ユニット101b、給紙ユニット101bの上方に配置された搬送機構16、及び用紙Pが排出される排紙部15が設けられている。また、インクジェットプリンタ101には、筐体101aの図1中左方の側面から左方に向かって突出し、上方にやや傾いて配置された手差しトレイ37が設けられている。手差しトレイ37は、開口102を介して筐体101aに着脱可能に設けられている。
【0031】
給紙ユニット101bは、筐体101aに対して着脱可能に配置されており、給紙トレイ11と、給紙ローラ12とを有している。給紙トレイ11は、上方に向かって開口した箱形状を有しており、複数枚の用紙Pが積層された状態で収納される。給紙ローラ12は、コントローラ100の制御によって給紙トレイ11の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出す。送り出された用紙Pは、ガイド13a,13bに沿って送りローラ対14により搬送機構16へと送られる。なお、本実施形態においては、給紙トレイ11には、用紙Pとして普通紙P1が収納されている。
【0032】
手差しトレイ37の筐体101a内に存在する端部近傍には、手差しトレイ37上に保持された用紙Pを搬送機構16に送り出す、手差しトレイ用給紙ローラ36が配置されている。手差しトレイ用給紙ローラ36は、コントローラ100の制御によって手差しトレイ37の最も上方にある用紙Pを搬送機構16に送り出す。なお、本実施形態においては、手差しトレイ37には、用紙Pとして厚紙P2が収納されている。
【0033】
搬送機構16は、2つのベルトローラ6,7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18とを有している。搬送ベルト8は、両ベルトローラ6,7の間に巻回されたエンドレスのベルトであり、テンションローラ10によってテンションが付加されている。ベルトローラ7は、図示しないモータによって図1中時計回りに回転駆動される駆動ローラであって、搬送ベルト8を走行させる。ベルトローラ6は、搬送ベルト8が走行することによって回転する従動ローラである。搬送ベルト8の外周面は、弱粘着性のシリコン層が形成された支持面8aであり、用紙Pを支持する。搬送ベルト8の支持面8aに載置された用紙Pは、図1右方へと搬送される。
【0034】
搬送機構16における用紙Pの搬送方向に関する下流側には、剥離プレート5が配置されている。搬送機構16によって搬送方向に搬送された用紙Pは、プレコートヘッド2及び4つのインクジェットヘッド1A,1Bの下方を順に通過した後に、剥離プレート5によって、搬送ベルト8の支持面8aから剥離される。剥離プレート5によって剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bに沿って2組の送りローラ対28により上方に搬送され、筐体101aの上部に形成された排出口22から排紙部15へと排出される。プラテン18は、4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2に対向配置され、搬送ベルト8の上側ループを内側から支える。
【0035】
4つのインクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2は、同一構造を有しており、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向には互いに平行かつ等間隔に配置されている。各インクジェットヘッド1A,1Bの下面は、主走査方向に沿って600dpiの間隔で配列された複数の吐出口が形成された吐出面1a,1bとなっている。すなわち、インクジェットプリンタ101は、主走査方向にインク滴が吐出される複数の吐出口が配列されたライン式のカラーインクジェットプリンタである。また、同様に、プレコートヘッド2の下面は、主走査方向に沿って600dpiの間隔で配列された複数の吐出口が形成された吐出面2aとなっている。
【0036】
4つのインクジェットヘッド1A,1Bのうち、搬送方向に沿って最も上流に配置されたインクジェットヘッド1Aからはブラックのインク滴が吐出される。残り3つのインクジェットヘッド1Bからは、ブラック以外のカラー色(すなわち、マゼンタ、シアン、イエロー)のインク滴が吐出される。また、プレコート液が吐出されるプレコートヘッド2は、4つのインクジェットヘッド1A,1Bの搬送方向に関する上流側に配置されている。
【0037】
搬送ベルト8の上側ループの支持面8aと各吐出面1a,1b,2aとは対向しつつ平行となっている。搬送ベルト8によって搬送されてきた用紙Pは、プレコートヘッド2のすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面における画像が形成される領域にプレコート液が塗布されるように、プレコートヘッド2からプレコート液滴が吐出される。その後、当該用紙Pが、4つのインクジェットヘッド1A,1Bのすぐ下方を通過する際に、用紙Pの上面におけるプレコート液が塗布された領域に、各インクジェットヘッド1A,1Bから各色のインク滴が順に吐出される。これにより、用紙P上に所望のモノクロ画像、又はカラー画像が形成される。このとき、用紙P上に塗布されたプレコート液上にインク滴が着弾すると、プレコート液がインク滴の色素成分を凝集又は析出させるため、用紙Pにおけるインク滲みが防止されて、高品質の画像が形成されることになる。
【0038】
ヘッド昇降機構33は、インクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2をそれぞれ支持するフレーム35a,35b,35cと、フレーム35a,35b,35cを、それぞれ独立して昇降可能な昇降装置83(図6参照)とを有している。なお、昇降装置83としては、例えば、ラックとピニオンやソレノイド等を用いることができる。
【0039】
図1に示すように、プレコートヘッド2は、フレーム35aに固定されている。ブラックのインク滴を吐出するブラック用のインクジェットヘッド1Aはフレーム35bに固定されている。イエロー、シアン及びマゼンタのカラー色のインク滴を吐出する3つのカラー用のインクジェットヘッド1Bは、フレーム35cに固定されている。
【0040】
昇降装置83は、フレーム35a,35b,35cを昇降させることで、4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を上下動させることができる。これにより、搬送ベルト8の支持面8aと、4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2の吐出面1a,1b,2aとの間隔が調整され、用紙Pの厚さに応じた、画像形成に適した所定の間隔を形成することができる。具体的には、昇降装置83は、フレーム35a,35b,35cを昇降させることで、4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を、「第1の位置」(図2の(a)参照)と、搬送ベルト8の支持面8aと4つのインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2の吐出面1a,1b,2aとの間隔が「第1の位置」の間隔よりも大きい「第2の位置」(図2の(b)参照)との間において移動させることができる。ここで「第1の位置」とは、普通紙P1の画像形成に適した間隔d1に設定された位置である。また、「第2の位置」とは、厚紙P2の画像形成に適した間隔d2に設定された位置であり、間隔d2は間隔d1よりも大きく設定されている。
【0041】
キャップ機構34は、図3に示すように、処理液用のキャップ71、ブラック用のキャップ72、及び3つのカラー用のキャップ73と、キャップ71を支持するトレイ76と、キャップ72を支持するトレイ77と、3つのキャップ73を支持するトレイ78と、3つのトレイ76〜78を主走査方向及び上下方向にそれぞれ独立して移動可能なトレイ移動装置84(図6参照)を有する。キャップ71〜73は、凹部74を有する弾性部材である。凹部74の側壁は、内壁面が先端に近づくにつれ外側に傾斜するテーパ面を有している。トレイ移動装置84は、トレイ76〜78を主走査方向及び上下方向に移動させることにより、キャップ71〜73を、吐出面1a,1b,2aを包囲する「キャッピング位置」(図5(c)参照)と、吐出面1a,1b,2aを露出させる「アンキャッピング位置」(図5(a)参照)との間で移動させる。
【0042】
「キャッピング位置」とは、具体的には、キャップ71〜73の凹部74の先端が対応する吐出面1a,1b,2aに当接する位置である。また、「アンキャッピング位置」とは、ヘッド1,2に対して主走査方向にずれて、吐出面1a,1b,2aと対向しない位置である。
【0043】
印刷モードがモノクロモードの場合には、図4(a)に示すようにキャップ73は「キャッピング位置」に位置され、吐出面1bがキャップ73により包囲される。また、印刷モードが低品質モードの場合には、図4(b)に示すようにキャップ71は「キャッピング位置」に位置され、吐出面2aがキャップ71により包囲される。また、インクジェットプリンタ101が待機状態のとき(画像形成が行われていないとき)には、図4(c)に示すように、キャップ71〜73は「キャッピング位置」に位置され、全ての吐出面1a,1b,2aがキャップ71〜73により包囲される。このように、吐出面1a,1b,2aをキャップ71〜73により包囲することで、ヘッド1,2の吐出口付近のインク液及びプレコート液が乾燥することを抑制することができる。
【0044】
次に、図5を参照してキャッピング動作について説明する。以下においては、説明の便宜上、キャップ73のキャッピング動作についてのみ説明するが、キャップ71及びキャップ72のキャッピング動作についても同様の動作である。
【0045】
図5(a)に示すように、印刷モードがカラーモードの場合には、キャップ73は、インクジェットヘッド1Bに対して主走査方向にずれて、吐出面1bに対向しない「アンキャッピング位置」に位置されている。キャッピング動作が開始されると、ヘッド1Bが上方に移動され、支持面8aと吐出面1bとの間隔が広げられる。この状態においては、キャップ71〜73の凹部74の先端は吐出面2aよりも下方にある。次に、図5(b)に示すように、トレイ移動装置84によって、キャップ73が主走査方向(図5中右方)に移動され、キャップ73は、対応する吐出面1bと互いに対向する位置に位置される。その後、図5(c)に示すように、トレイ移動装置84によって、キャップ73を上方に移動させるとキャップ73が吐出面1bを包囲する「キャッピング位置」に位置される。なお、アンキャッピング動作は上述の動作手順の逆を行う。
【0046】
次に、図6を参照しつつ、コントローラ100について説明する。コントローラ100は、CPU(Central Processing Unit)と、CPUが実行するプログラム及びこれらプログラムに使用されるデータを書き替え可能に記憶する不揮発メモリと、プログラム実行時にデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)とを含んでいる。コントローラ100を構成する各機能部は、これらハードウェアと不揮発メモリ内のソフトウェアとが協働して構築されている。図3に示すように、コントローラ100は、インクジェットプリンタ101全体を制御するものであり、実行ジョブ記憶部130、ジョブ管理部131、フラグ記憶部132、残り時間算出部133、割込ジョブ実行時間算出部134、モード変更時間割出部135、割込判断部136、ジョブ制御部137、割込制御部138、及び入出力制御部139を有している。
【0047】
実行ジョブ記憶部130は、ジョブ制御部137により実行させる印刷ジョブを記憶(登録)している。印刷ジョブには、用紙P上に形成(印字)される画像の画像データ、優先度に関する情報、及び印刷モードに関する情報が含まれている。画像データは、用紙P上を搬送方向及び主走査方向(搬送方向に直交する直交方向)に沿って区画する画像の解像度に対応する複数の画素(単位領域)のそれぞれについて、ブラック、シアン、マゼンタ、イエローの各インク及びプレコート液に係る濃度値を有している。この濃度値は、吐出無し、小滴、中滴及び大滴に対応する4値に量子化されている。優先度に関する情報は、印刷ジョブを実行する優先順位を示すものである。また、印刷ジョブには、カラーモード又はモノクロモードのどちらか一方の印字に関する印刷モード、低品質モード又は高品質モードのどちらか一方の品質に関する印刷モード、及び、薄紙モード又は厚紙モードのどちらか一方の記録媒体に関する印刷モードに関する情報が含まれている。
【0048】
ジョブ管理部131は、外部装置から印刷要求を受けるたびに印刷ジョブを生成し、この印刷ジョブをその生成した順番(印刷要求された順番)に待ち行列(キュー)に登録する。但し、ジョブ管理部131は、優先度が高い印刷ジョブに関しては、優先度が低い印刷ジョブよりも待ち行列の先頭側に配されるようにソートして登録する。ジョブ管理部131は、ジョブ制御部137により実行されている印刷ジョブが完了すると、待ち行列の先頭にある印刷ジョブを実行ジョブ記憶部130に登録する。また、ジョブ管理部131は、待機ジョブ毎に、割り込み処理により中断された中断時間(以下、割込み中断時間)及び中断回数(以下、割込み中断回数)を記憶している。なお、待機ジョブとは、ジョブ管理部131の待ち行列に登録されたまま自己のジョブの実行を待っている印刷ジョブのことをいう。
【0049】
なお、以下においては、印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた印刷ジョブ(割り込む印刷ジョブ)を印刷ジョブB、この印刷ジョブBがジョブ管理部131により生成された際に、ジョブ制御部137により実行されている印刷ジョブを印刷ジョブAと称す。
【0050】
フラグ記憶部132は、カラー用のキャップ73を「アンキャッピング位置」に位置させるか否かを示すアンキャッピングフラグと、カラー用のキャップ73の配置に関する選択画面をタッチパネル90に表示するか否かを示す表示フラグとを記憶している。このアンキャッピングフラグは、オン状態のときはカラー用のキャップ73を「アンキャッピング位置」に位置させることを示し、オフ状態のときは位置させない(キャッピング位置に位置させる)ことを示す。また、表示フラグは、オン状態のときは、カラー用のキャップ73の配置に関する選択画面を表示することを示し、オフ状態のときには表示しないことを示す。
【0051】
また、フラグ記憶部132には、割込み規定中断時間と、割込み規定中断回数と、割込みジョブ規定実行時間とを記憶している。割込み規定中断時間とは、印刷ジョブAに対する割り込み処理を禁止する、割込み中断時間の最低時間を規定するものである。割込み規定中断回数とは、印刷ジョブAに対する割り込み処理を禁止する、割込み中断回数の最低回数を規定するものである。また、割込みジョブ規定実行時間とは、印刷ジョブAに対する割り込み処理を禁止する、印刷ジョブBの実行時間の最低時間を規定するものである。これらの割込み規定中断時間、割込み規定中断回数、及び割込みジョブ規定実行時間は、予めインクジェットプリンタ101に設定されていてもよいし、ユーザの入力により設定されていてもよく、また、全ての印刷ジョブに対して一律に設定されていてもよいし、印刷ジョブ毎に設定されていてもよい。
【0052】
残り時間算出部133は、ジョブ制御部137により実行されている印刷ジョブAに関して、当該印刷ジョブAが完了するまでの残り時間を算出する。割込ジョブ実行時間算出部134は、印刷ジョブBの実行時間を算出する。
【0053】
モード変更時間割出部135は、ジョブ制御部137により実行されている印刷ジョブAの印刷モード、及び、印刷ジョブBの印刷モードに基づいて、印刷ジョブAから印刷ジョブBへの遷移、及び印刷ジョブBから印刷ジョブBへの遷移に伴う印刷モードの変更時間を割り出す。具体的には、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが、モノクロモードとカラーモードとで異なっている場合には、カラー用のキャップ73を「キャッピング位置」と「アンキャッピング位置」との間で往復移動させるのに伴う時間(キャッピング動作とアンキャッピング動作に伴う時間)を印刷モードの変更時間に含ませる。また、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが、低品質モードと高品質モードとで異なっている場合には、処理液用のキャップ71を「キャッピング位置」と「アンキャッピング位置」との間で往復移動させるのに伴う時間を印刷モードの変更時間に含ませる。また、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが、薄紙モードと厚紙モードとで異なっている場合には、ヘッド1,2を「第1の位置」と「第2の位置」との間で往復移動させるのに伴う時間を印刷モードの変更時間に含ませる。
【0054】
割込判断部136は、ジョブ制御部137により現在実行されている印刷ジョブAを中断して、印刷ジョブBを実行する割り込み処理を行うか否かを判断する。具体的には、残り時間算出部133により算出された印刷ジョブAが完了するまでの残り時間が、モード変更時間割出部135により割り出された印刷モードの変更時間と割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間とを合算した値よりも大きい場合には、割込み処理を行うと判断する。
【0055】
ジョブ制御部137は、搬送制御部151、キャップ制御部152、間隔調整部153、及びヘッド制御部154を有しており、用紙Pへの画像形成に関する印刷ジョブを実行する。搬送制御部151は、給紙ローラ12、各送りローラ対14,28、手差しトレイ用給紙ローラ36、及び搬送ベルト8を制御する。なお、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが薄紙モードである場合には、搬送制御部151は、給紙トレイ11の最も上方にある普通紙P1を搬送機構16に送り出すように給紙ローラ12を制御する。これに対して、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが厚紙モードである場合には、手差しトレイ37の最も上方にある厚紙P2を搬送機構16に送り出すように手差しトレイ用給紙ローラ36を制御する。
【0056】
キャップ制御部152は、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モード、及びフラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグに基づいて、トレイ移動装置84を制御する。具体的には、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードがモノクロモードであり、且つフラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグがオフ状態のときには、カラー用のキャップ73が「キャッピング位置」に位置されるようにトレイ移動装置84を制御する。また、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードがカラーモードであり、又はフラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグがオン状態のときには、カラー用のキャップ73を「アンキャッピング位置」に位置されるようにトレイ移動装置84を制御する。また、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが低品質モードのときには処理液用のキャップ71が「キャッピング位置」に、高品質モードのときにはキャップ71が「アンキャッピング位置」に位置されるようにトレイ移動装置84を制御する。
【0057】
間隔調整部153は、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードに基づいて、昇降装置83を制御する。具体的には、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが薄紙モードの場合には、インクジェットヘッド1A,1B,及びプレコートヘッド2が「第1の位置」に位置するように昇降装置83を制御する(図2の(a)参照)。また、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが厚紙モードの場合には、インクジェットヘッド1A,1B及びプレコートヘッド2が「第2の位置」に位置するように昇降装置83を制御する(図2の(b)参照)。
【0058】
ヘッド制御部154は、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの画像データ、及び印刷モードに基づいて、インクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を制御する。具体的には、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが高品質モードの場合には、ヘッド制御部154は、画像データに基づいて、所定の体積を有するプレコート液滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるようにプレコートヘッド2を制御すると共に、所定の体積を有するインク滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるように各インクジェットヘッド1を制御する。実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが低品質モードの場合には、ヘッド制御部154は、プレコート液が吐出されないようにプレコートヘッド2を制御すると共に、所定の体積を有するインク滴を所定のタイミングで吐出口から吐出されるように各インクジェットヘッド1を制御する。
【0059】
また、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードがモノクロモードの場合には、ヘッド制御部154は、インクジェットヘッド1Aのみからインクが吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御し、印刷モードがカラーモードの場合には、すべてのインクジェットヘッド1A,1Bからインクが吐出されるようにインクジェットヘッド1を制御する。
【0060】
また、ヘッド制御部154は、吐出性能の回復・維持に係るメンテナンス動作として、フラッシング(画像データとは異なるフラッシングデータに基づいてヘッド1,2のアクチュエータを駆動することにより一部又は全吐出口からインク又はプレコート液を強制的に吐出させる動作(強制吐出))が行われるようにインクジェットヘッド1及びプレコートヘッド2を制御する。また、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグがオン状態のときには、ヘッド制御部154は、インクジェットヘッド1Bからインクが吐出されていない時間が、不吐出限界時間が経過する毎にフラッシングが行われるようにインクジェットヘッド1Bを制御する。ここで、不吐出限界時間とは、インクジェットヘッド1の吐出口からインクをフラッシングさせる必要がある最低時間のことであり、この不吐出限界時間を経過した場合には、乾燥により増粘したインクを吐出口からフラッシングさせる必要がある。なお、本実施形態においては、この不吐出限界時間をインクジェットヘッド1の吐出口からインクをフラッシングさせる必要がある最低時間としているが、インクジェットヘッド1の吐出口からインクをパージ(ポンプ等により、ヘッド1内のインクに圧力を付与して全吐出口からインクを強制的に吐出させる動作)させる必要がある最低時間としてもよい
【0061】
割込制御部138は、割込判断部136が割り込み処理を行うと判断した場合には、印刷ジョブAの実行を中断し、印刷ジョブBが実行されるようにジョブ制御部137を制御する。入出力制御部139は、タッチパネル90の表示制御、及びタッチパネル90を介して入力されるユーザ入力を受け付ける。
【0062】
次に、インクジェットプリンタ101の印刷動作について、図7〜10を参照しつつ説明する。図7に示すように、まず、ジョブ管理部131がPCなどの外部装置から印刷要求を受け付けて、印刷ジョブを生成する(S1)。次に、ジョブ管理部131は、生成した印刷ジョブを待ち行列に登録する(S2)。そして、ジョブ管理部131は待ち行列の先頭にある印刷ジョブを、実行ジョブ記憶部130に登録する(S3)。
【0063】
次に、ジョブ制御部137が、実行ジョブ記憶部130に登録された印刷ジョブ(印刷ジョブA)の実行を開始する(S4)。その後、ジョブ管理部131が印刷ジョブの実行に関する割り込みが指示された印刷ジョブBが生成されたか否かを判断する(S5)。印刷ジョブBが生成されていないと判断した場合(S5:NO)にはステップS14の処理に移る。
【0064】
一方、印刷ジョブBが生成されたと判断した場合(S5:YES)には、割込判断部136が、図8を参照して説明する割込判断処理を行う(S6)。この割込判断処理では、印刷ジョブAの実行を中断して、印刷ジョブBを実行する割り込み処理を行うか否かが判断される。
【0065】
ステップS6の処理において、割込判断部136が割り込み処理を行わないと判断とした場合(S7:NO)には、印刷ジョブBをジョブ管理部131の待ち行列の先頭に登録し(S13)、ステップS14の処理に移る。
【0066】
ステップS14の処理においては、ジョブ制御部137が、印刷ジョブAの処理を続行し、ステップS15の処理に移る。
【0067】
一方、ステップS6の処理において、割込判断部136が割り込み処理を行うと判断とした場合(S7:YES)には、割込制御部138が印刷ジョブAの実行が中断されるようにジョブ制御部137を制御する(S8)。次に、ジョブ管理部131が、印刷ジョブAの割込み中断回数に1加算し、且つ、印刷ジョブBによる印刷ジョブAの中断時間の計時を開始する(S9)。なお、ステップS9の処理においては、ジョブ管理部131は、印刷ジョブAを待ち行列の先頭に登録する処理が行われる。
【0068】
次に、割込制御部138が、図10を参照して説明する割込みジョブ実行処理を行う(S10)。この割込み実行処理においては、ジョブ制御部137による印刷ジョブBの実行が行われる。その後、ジョブ管理部131が、印刷ジョブBによる印刷ジョブAの中断時間の計時を終了し、この計時した中断時間を印刷ジョブAの割込み中断時間に加算する(S11)。次に、ジョブ制御部137が印刷ジョブAの実行を再開し(S12)、ステップS15の処理に移る。
【0069】
ステップS15の処理においては、ジョブ制御部137が、印刷ジョブAの実行が完了しているか否かを判断する。印刷ジョブAの実行が完了していないと判断した場合(S15:NO)には、ステップS5の処理に戻る。一方、印刷ジョブAの実行が完了したと判断した場合(S15:YES)には、ジョブ管理部131が、待ち行列に印刷ジョブBが登録されているか否かを判断する(S16)。印刷ジョブBが登録されていると判断した場合(S16:YES)には、割込制御部138が、図10を参照して説明する割込みジョブ実行処理を行い(S17)、ステップS16の処理に移る。
【0070】
一方、ジョブ管理部131が、待ち行列に印刷ジョブBが登録されていないと判断した場合(S16:NO)には、ジョブ管理部131は、待ち行列に印刷ジョブB以外の他の待機ジョブがあるか否かを判断する(S18)。待機ジョブがあると判断した場合(S18:YES)には、ステップS3の処理に戻る。一方、待機ジョブがないと判断した場合(S18:NO)には、キャップ制御部152が、キャップ71〜73が「キャッピング位置」に位置されるようにトレイ移動装置84を制御して(S19)、印刷動作を終了する。
【0071】
次に、図8を参照して、図7に示す割込判断処理について詳述する。
【0072】
まず、割込判断部136は、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブAの優先度と、印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた印刷ジョブBの優先度とが同じであるか否かを判断する(A1)。優先度が同じではないと判断した場合(A1:NO)には、割込判断部136は、印刷ジョブBの優先度が印刷ジョブAの優先度よりも高いか否かを判断する(A8)。印刷ジョブBの優先度が印刷ジョブAの優先度よりも高いと判断した場合(A8:YES)には、ステップA11の処理に移る。一方、印刷ジョブBの優先度が印刷ジョブAの優先度よりも高いはないと判断した場合(A8:NO)には、ステップA9の処理に移る。
【0073】
ステップA1の処理において、割込判断部136が、優先度が同じであると判断した場合(A1:YES)には、割込判断部136は、ジョブ管理部131に記憶されている印刷ジョブAの割込み中断回数がフラグ記憶部132に記憶されている割込み規定中断回数未満であり、且つ割込み中断時間がフラグ記憶部132に記憶されている割込み規定中断時間未満であるか否かを判断する(A2)。印刷ジョブAの割込み中断回数が割込み規定中断回数未満ではない、又は割込み中断時間が割込み規定中断時間未満ではないと判断した場合(A2:NO)には、ステップA9の処理に移る。
【0074】
一方、印刷ジョブAの割込み中断回数が割込み規定中断回数未満であり、且つ割込み中断時間が割込み規定中断時間未満であると割込判断部136が判断した場合(A2:YES)には、割込ジョブ実行時間算出部134が印刷ジョブBの実行時間を算出する(A3)。次に、割込判断部136が、割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間がフラグ記憶部132に記憶されている割込ジョブ実行規定時間未満であるか否かを判断する(A4)。印刷ジョブBの実行時間が割込ジョブ実行規定時間未満ではないと判断した場合(A4:NO)には、ステップA9の処理に移る。
【0075】
一方、印刷ジョブBの実行時間が割込ジョブ実行規定時間未満であると判断した場合(A4:YES)には、モード変更時間割出部135が、図9を参照して説明するモード変更時間割出処理を行う(A5)。このモード変更時間割出処理では、印刷ジョブAの印刷モード及び印刷ジョブBの印刷モードに基づいて、印刷モードの変更時間が割り出される。
【0076】
次に、残り時間算出部133が、ジョブ制御部137により実行されている印刷ジョブAに関して、この印刷ジョブAが完了するまでの残り時間を算出する(A6)。そして、割込判断部136は、残り時間算出部133により算出された残り時間が、モード変更時間割出部135により割り出された印刷モードの変更時間と、割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間とを合算した合算値よりも大きいか否かを判断する(A7)。残り時間が合算値よりも大きいと判断した場合(A7:YES)には、ステップA11の処理に移る。一方、残り時間が合算値以下と判断した場合(A7:YES)には、ステップA9の処理に移る。
【0077】
ステップA9の処理では、割込判断部136が割り込み処理を行わないことを判断し、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグ及び表示フラグをオフ状態に初期化して(A10)、割込判断処理を終了する。また、ステップA11の処理では、割込判断部136が割り込み処理を行うことを判断して、割込判断処理を終了する。
【0078】
次に、図9を参照して、図8に示すモード変更時間割出処理について詳述する。
【0079】
まず、モード変更時間割出部135は、印刷ジョブAと印刷ジョブBの印字モードに関する印刷モードがカラーモードとモノクロモードとで異なっているか否かを判断する(B1)。カラーモードとモノクロモードとで異なっていないと判断した場合(B1:NO)には、ステップB7の処理に移る。
【0080】
一方、カラーモードとモノクロモードとで異なっていると判断した場合(B1:YES)には、モード変更時間割出部135は印刷ジョブAの印刷モードがカラーモードであるか否かを判断する(B2)。印刷ジョブAの印刷モードがカラーモードではないと判断した場合(B2:NO)には、ステップB6の処理に移る。一方で、印刷ジョブAの印刷モードがカラーモードであると判断した場合(B2:YES)には、モード変更時間割出部135は割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間が不吐出限界時間未満であるか否かを判断する(B3)。印刷ジョブBの実行時間が不吐出限界時間未満であると判断した場合(B3:YES)には、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグをオン状態にして(B5)、ステップB7の処理に移る。
【0081】
一方、印刷ジョブBの実行時間が不吐出限界時間未満ではないと判断した場合(B3:NO)には、フラグ記憶部132に記憶されている表示フラグをオン状態にして(B4)、ステップB6の処理に移る。
【0082】
ステップB6の処理では、モード変更時間割出部135は、カラー用のキャップ73を「キャッピング位置」と「アンキャッピング位置」との間で往復移動させるのに伴う時間をモード変更時間に加算する。このステップB6の処理が終了するとステップB7の処理に移る。
【0083】
ステップB7の処理では、モード変更時間割出部135は、印刷ジョブAと印刷ジョブBの品質モードに関する印刷モードが低品質モードと高品質モードとで異なっているか否かを判断する。低品質モードと高品質モードとで異なっていないと判断した場合(B7:NO)には、ステップB9の処理に移る。一方、低品質モードと高品質モードとで異なっていると判断した場合(B7:YES)には、モード変更時間割出部135は、処理液用のキャップ71を「キャッピング位置」と「アンキャッピング位置」との間で往復移動させるのに伴う時間をモード変更時間に加算し(B8)、ステップB9の処理に移る。
【0084】
ステップB9の処理では、モード変更時間割出部135は、印刷ジョブAと印刷ジョブBの品質モードに関する印刷モードが薄紙モードと厚紙モードとで異なっているか否かを判断する。薄紙モードと厚紙モードとで異なっていないと判断した場合(B9:NO)には、モード変更時間割出処理を終了する。一方、薄紙モードと厚紙モードとで異なっていると判断した場合(B7:YES)には、モード変更時間割出部135は、ヘッド1,2を「第1の位置」と「第2の位置」との間で往復移動させるのに伴う時間をモード変更時間に加算し(B10)、モード変更時間割出処理を終了する。
【0085】
次に、図10を参照して、図7に示す割込みジョブ実行処理について詳述する。
【0086】
まず、割込制御部138が、実行ジョブ記憶部130に印刷ジョブBを登録する(C2)。次に、入出力制御部139が、フラグ記憶部132に記憶されている表示フラグがオン状態であるか否かを判断する(C2)。表示フラグがオン状態ではないと判断した場合(C2:NO)には、ステップC6の処理に移る。
【0087】
一方、表示フラグがオン状態であると判断した場合(C2:YES)には、入出力制御部139は、カラー用のキャップ73を「キャッピング位置」に移動させるか否かをユーザに選択させる選択画面をタッチパネル90に表示する(C3)。具体的には、カラーのインクの消費量は増すがユーザの待ち時間が短くなる方法により画像形成を実行するか、又はカラーのインクの消費量は少ないがユーザの待ち時間が長くなる方法により画像形成を実行するかをユーザに選択させる選択画面をタッチパネル90に表示する。
【0088】
次に、入出力制御部139は、ユーザから受け付けた選択結果がカラー用のキャップ73を「キャッピング位置」に移動させるものであるか否かを判断する(C4)。選択結果がカラー用のキャップ73を「キャッピング位置」に移動させるものである場合(C4;YES)には、ステップC6の処理に移る。一方、選択結果がカラー用のキャップ73を「キャッピング位置」に移動させないものである場合(C4:NO)には、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグをオン状態にし(C5)、ステップC6の処理に移る。
【0089】
ステップC6の処理においては、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグがオン状態であるか否かを判断する。アンキャッピングフラグがオン状態ではないと判断した場合(C6:NO)には、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブBの印刷モードに基づいて、ジョブ制御部137が、通常の印刷モード変更動作を行う(C7)。具体的には、例えば、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとがモノクロモードとカラーモードとで異なる場合には、ジョブ制御部137は、カラー用のキャップ73を「キャッピング位置」から「アンキャッピング位置」、又は「アンキャッピング位置」から「キャッピング位置」へと移動させる。また、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが低品質モードと高品質モードとで異なる場合には、ジョブ制御部137は、処理液用のキャップ71を「キャッピング位置」から「アンキャッピング位置」、又は「アンキャッピング位置」から「キャッピング位置」へと移動させる。また、印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが薄紙モードと厚紙モードとで異なる場合には、ジョブ制御部137は、ヘッド1,2を「第1の位置」から「第2の位置」、又は「第2の位置」から「第1の位置」へと移動させる。このステップC7の処理が終了すると、ステップC9の処理に移る。
【0090】
一方、アンキャッピングフラグがオン状態と判断した場合(C6:NO)には、ジョブ制御部137は、特定の印刷モード変更動作を行う(C8)。具体的には、印刷ジョブAがカラーモードであり、印刷ジョブBはモノクロモードであるので、印刷モードが異なっているが、ジョブ制御部137は、カラー用のキャップ73を「アンキャッピング位置」に留まるようにトレイ移動装置84を制御する。印刷ジョブAの印刷モードと印刷ジョブBの印刷モードとが、低品質モードと高品質モードとで異なる場合、及び薄紙モードと厚紙モードとで異なる場合については、ステップC7の処理と同様である。ステップC8の処理が終了すると、ステップC9の処理に移る。
【0091】
ステップC9の処理では、ジョブ制御部137は、印刷ジョブBの実行を開始する。その後、ジョブ制御部137は、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグがオン状態であるか否かを判断する(C10)。アンキャッピングフラグがオン状態ではないと判断した場合(C10:NO)には、ステップC12の処理に移る。
【0092】
一方、アンキャッピングフラグがオン状態であると判断した場合(C10:YES)には、ジョブ制御部137は、インクジェットヘッド1Bからインクが吐出されていない時間が、不吐出限界時間が経過する毎にフラッシングが行われるようにインクジェットヘッド1Bを制御(C11)し、ステップC12の処理に移る。
【0093】
ステップC12では、ジョブ制御部137は印刷ジョブBが完了したか否かを判断する。印刷ジョブBが完了していないと判断した場合(C12:NO)には、ステップC10の処理に戻る。一方、印刷ジョブBが完了したと判断した場合(C12:YES)には、割込制御部138は、ジョブ管理部131の待ち行列に印刷ジョブAが登録されているか否かを判断する(C13)。印刷ジョブAが登録されていないと判断した場合(C13:NO)にはステップC16の処理に移る。
【0094】
一方、印刷ジョブAが登録されていると判断した場合(C13:YES)には、割込制御部138は、実行ジョブ記憶部130に印刷ジョブAを登録し(C14)、印刷ジョブAの印刷モードに基づいて、印刷モードの変更動作を行う(C15)。具体的には、ジョブ制御部137は、ステップC7又はステップC8の動作とは反対の動作を行う。その後、フラグ記憶部132に記憶されているアンキャッピングフラグ及び表示フラグをオフ状態に初期化し(C16)、割込みジョブ実行処理を終了する。
【0095】
以上、本実施形態によると、ジョブ制御部137により実行中の印刷ジョブAの残り時間が、印刷モードの変更時間以下の場合には割り込み処理が行われないので、印刷ジョブAのユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷モードの変更回数を低減することができるので、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0096】
また、本実施形態によると、割込判断部136は、優先度の高い前記印刷ジョブが先に実行されるように割り込み処理を行うか否かを判断するので、優先度が高い印刷ジョブを優先して実行することができる。
【0097】
また、本実施液体によると、割込判断部136は、ジョブ管理部131に記憶された印刷ジョブAの割込み中断時間が割込み規定中断時間未満又は割込み中断回数が割込み規定中断回数未満である場合には、割り込み処理は行われないので、印刷ジョブAのユーザが長時間待たされることを防止することができる。
【0098】
また、本実施形態によると、ジョブ制御部137により実行中の印刷ジョブAの残り時間が、印刷ジョブBの実行時間と印刷モードの変更時間とを合算した合算値以下の場合には、割り込み処理が行われないので、印刷ジョブAのユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷モードの変更回数を低減することができるので、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0099】
また、本実施形態によると、割込判断部136は、印刷ジョブBの実行時間が、フラグ記憶部132に記憶されている割込ジョブ実行規定時間以上である場合には割り込み処理が行われないので、第1の印刷ジョブのユーザが必要以上に待たされることを防止することができる。
【0100】
また、本実施形態によると、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードがモノクロモードの場合においては、インクジェットヘッド1Bの吐出面1bがカラー用のキャップ73により包囲されるので、インクジェットヘッド1Bの吐出口付近のインクが乾燥することを抑制することができる。また、モノクロモードとカラーモードとの間で印刷モードを変更する際のカラー用のキャップ73の移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができ、その結果、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0101】
また、本実施形態によると、印刷ジョブAの印刷モードがカラーモードであり、印刷ジョブBの印刷モードがモノクロモードである場合において、印刷ジョブBの実行時間が、不吐出限界時間未満であり、且つ割込判断部136が割り込み処理を行うと判断した場合には、カラー用のキャップ73を移動させずに印刷ジョブBが実行させることができるので、印刷モード変更に伴う時間を低減させることができ、その結果、ユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0102】
また、本実施形態によると印刷ジョブAの印刷モードがカラーモードであり、印刷ジョブBの印刷モードがモノクロモードである場合において、不吐出限界時間以上であり、且つ割込判断部136が割り込み処理を行うと判断したときには、印刷ジョブBを実行するときにおいてもカラー用のキャップ73を「アンキャッピング位置」に位置させるか否かを、ユーザの選択により決定される。従って、インクの消費量は増すがユーザの待ち時間が短くなる方法により画像形成を実行するか、又はインクの消費量は少ないがユーザの待ち時間が長くなる方法により画像形成を実行するかをユーザが選択することができる。
【0103】
また、本実施形態によると、カラー用のキャップ73が「アンキャッピング位置」に位置した状態で、印刷モードがモノクロモードである印刷ジョブBを実行している際に、インクジェットヘッド1Bの吐出口からインクがフラッシングされるので、印刷ジョブBが終了後にフラッシングを行う必要がなく、その結果、ユーザが必要以上に待たされることを防止することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0104】
また、本実施形態によると、実行ジョブ記憶部130に記憶されている印刷ジョブの印刷モードが低品質モードの場合においては、プレコートヘッド2の吐出面2aが処理液用のキャップ71により包囲されるので、プレコートヘッド2の吐出口付近のプレコート液が乾燥することを抑制することができる。また、低品質モードと高品質モードとの間で印刷モードを変更する際の処理液用のキャップ71の移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができ、その結果、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0105】
また、本実施形態によると、用紙Pの厚さに応じて、支持面8aとヘッド1,2の吐出面1a,1b,2aとの間隔を変更するため、用紙Pに品質の良い画像を形成することができる。また、薄紙モードと厚紙モードとの間で印刷モードを変更する際の処理液用のキャップ71の移動に伴う時間が、印刷モードの変更時間に含まれるため、割り込み処理を行うか否かの判断をより正確に行うことができるので、ユーザが長時間待たされる可能性を低減することができ、且つ、印刷ジョブ全体を実行するスループットを向上させることができる。
【0106】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述の実施形態では、割込判断部136は、残り時間算出部133により算出された印刷ジョブAの残り時間が、割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間と、モード変更時間割出部135により算出された印刷モードの変更時間とを合算した値よりも大きい場合に割り込み処理を行うことを判断する構成であるが、印刷ジョブAの残り時間が、印刷モードの変更時間よりも大きい場合に割り込み処理を行うと判断してもよい。また、印刷ジョブAの残り時間に関係なく、印刷モードの変更時間が所定時間よりも小さい場合に割り込み処理を行うと判断してもよい。また、印刷ジョブAの残り時間に関係なく、割込ジョブ実行時間算出部134により算出された印刷ジョブBの実行時間と、モード変更時間割出部135により算出された印刷モードの変更時間とを合算した値が所定時間よりも小さい場合に割り込み処理を行うと判断してもよい。
【0107】
また、上述の実施形態では、モード変更時間割出部135は、印刷ジョブAと印刷ジョブBとで、印字に関する印刷モードが異なる場合にはカラー用のキャップ73の往復移動に伴う時間、品質に関する印刷モードが異なる場合には処理液用のキャップ71の往復移動に伴う時間、記録媒体に関する印刷モードが異なる場合にはヘッド1,2の往復移動に伴う時間を、印刷モードの変更時間にそれぞれ加算するように構成されていたが、印刷モードの変更時において、カラー用のキャップ73の移動動作、処理液用のキャップ71の移動動作、ヘッド1,2の移動動作が並列して同時に行うことが可能であるならば、これらの移動動作に伴う時間のうち、最も長い時間のみを印刷モードの変更時間に加算するようにされていてもよい。
【0108】
また、上述の実施形態では、印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた印刷ジョブBに対しては、印刷ジョブの割り込みが行われない構成にされているが、印刷ジョブBに対しても印刷ジョブの割り込みが行われるようにされていてもよい。この場合、印刷ジョブBに対して割り込みを行う印刷ジョブ(以下、印刷ジョブC)と、印刷ジョブBとの間で、上述したように、割込判断部136により割込判断処理が行われる。そして、割込判断部136が印刷ジョブBに対して割り込み処理を行わないと判断した場合には、印刷ジョブCと印刷ジョブAとの間で割り込み処理を行うか否かを判断する。そして、印刷ジョブAに対しても割り込み処理を行わないと判断した場合には、ジョブ管理部131の待ち行列において、印刷ジョブCを印刷ジョブAの後に登録する。一方、印刷ジョブAに対しては割り込み処理を行うと判断した場合には、ジョブ管理部131の待ち行列において、印刷ジョブCを印刷ジョブAの前に登録する。
【0109】
また、上述の実施形態では、割込判断部136が割り込み処理を行わないと判断した場合には、印刷ジョブBはジョブ管理部131の待ち行列の先頭に登録するように構成されているが、印刷ジョブBよりも優先度が高い印刷ジョブが待ち行列に登録されている場合には、印刷ジョブBよりも優先度が高い印刷ジョブの直後の順番に印刷ジョブBを登録するように構成されていてもよい。
【0110】
また、上述の実施形態では、キャッピング動作において、キャップ71〜73を上方に移動することによって、キャップ71〜73を吐出面1a,1b,2aに当接させる構成であるが、ヘッド1,2を下方に移動させることによって、キャップ71〜73を吐出面1a,1b,2aに当接させる構成であってもよい。
【0111】
また、上述の実施形態では、ブラック(K)のインクジェットヘッド1Aだけでなく、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)のインクジェットヘッド1Bを有する構成であるが、インクジェットヘッド1Bを有さない構成であってもよい。また、搬送機構16が、2つのベルトローラ6、7と、搬送ベルト8と、テンションローラ10と、プラテン18とを有している構成であるが、搬送ベルトを有せず、複数の拍車ローラと用紙Pを支持するプラテンにより用紙Pを搬送する構成であってもよい。
【0112】
また、上述の実施形態においては、インクジェットプリンタ101は、印字に関するモノクロモード及びカラーモード、品質に関する低品質モード及び高品質モード、並びに記録媒体に関する薄紙モード及び厚紙モードの6つの印刷モードを有する構成にされているが、印刷モードの種類はこれに限定されるものではなく、また印刷モードとして7つ以上を有していてもよいし、2つの印刷モードのみ有していてもよい。
【0113】
また、本発明は、インク以外の液体を吐出する画像形成装置にも適用可能である。さらに、プリンタに限定されず、ファクシミリやコピー機などにも適用可能である。また、インクへのプレコート液の作用としては、インクとプレコート液が混ざることで化学反応して、インク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、化学反応することなしインク中の成分(顔料や染料)を凝集又は析出することも含まれる。また、一般的に顔料インクに対しては顔料色素を凝集させるプレコート液が使用され、染料インクに対しては染料色素を析出させるプレコート液が使用されるのは上述の通りであるが、凝集および析出の両方の作用を有してもよい。
【符号の説明】
【0114】
1 インクジェットヘッド(吐出ヘッド)
2 プレコートヘッド
1a,1b,2a 吐出面
71〜73 キャップ
83 昇降装置
84 トレイ移動装置(キャップ駆動手段)
100 コントローラ
101 インクジェットプリンタ(画像形成装置)
131 ジョブ管理部(記憶手段)
133 残り時間算出部(残り時間算出手段)
134 割込ジョブ実行時間算出部
135 モード変更時間割出部(モード変更時間割出手段)
136 割込判断部(割込判断手段)
137 ジョブ制御部
138 割込制御部
P1 普通紙
P2 厚紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷モードを有する画像形成装置であって、
記録媒体への画像形成に関する印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段により実行されている第1の印刷ジョブに関して、当該第1の印刷ジョブが完了するまでの残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記第1の印刷ジョブの印刷モード、及び印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた第2の印刷ジョブの印刷モードに基づいて、前記第1の印刷ジョブから前記第2の印刷ジョブへの遷移、及び前記第2の印刷ジョブから前記第1の印刷ジョブへの遷移に伴う印刷モードの変更時間を割り出すモード変更時間割出手段と、
前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、少なくとも前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間よりも大きい場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブを実行する割り込み処理を行うことを判断する割込判断手段と、
前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断した場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブが実行されるように前記ジョブ実行手段を制御する割込制御手段と
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記割込判断手段は、前記第1の印刷ジョブの優先度と前記第2の印刷ジョブの優先度とが同じ場合にのみ、前記割り込み処理を行うことを判断する請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記割り込み処理により中断された前記第1の印刷ジョブの中断時間、及び中断回数のうちの少なくとも一方を記憶する記憶手段をさらに備えており、
前記割込判断手段は、前記記憶手段に記憶された前記第1の印刷ジョブの前記中断時間が規定時間未満又は前記中断回数が規定回数未満である場合に、前記割り込み処理を行なうことを判断する請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記第2の印刷ジョブの実行時間を算出する割込ジョブ実行時間算出手段をさらに備えており、
前記割込判断手段は、前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間、及び前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間を合算した値よりも大きい場合に前記割り込み処理を行うことを判断する請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記割込判断手段は、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が少なくとも規定時間未満である場合に、前記割り込み処理を行うことを判断する請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジョブ実行手段は、
記録媒体にカラーの記録液を吐出するための吐出口が形成されたカラー用吐出面を有するカラー用吐出ヘッドと、
記録媒体にブラックの記録液を吐出するための吐出口が形成されたブラック用吐出面を有するブラック用吐出ヘッドと、
前記カラー用吐出ヘッドの前記カラー用吐出面を包囲可能なカラー用キャップと、
前記カラー用キャップを、前記カラー用吐出面を包囲するカラー用キャッピング位置と、前記カラー用吐出面を露出させるカラー用アンキャッピング位置との間で移動させるキャップ駆動手段と、
前記カラー用及びブラック用吐出ヘッド、並びに前記キャップ駆動手段を制御する制御手段と
を備えており、
前記複数の印刷モードには、モノクロモードとカラーモードとが含まれており、
前記印刷モードが前記モノクロモードのときには、前記制御手段は、前記カラー用キャップが前記カラー用キャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を吐出し、前記カラー用吐出面からの前記カラーの記録液の吐出が禁止されるように前記カラー用及びブラック用吐出ヘッドを制御し、
前記印刷モードが前記カラーモードのときには、前記制御手段は、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を、前記カラー用吐出面から前記カラーの記録液をそれぞれ吐出するように前記カラー用及びブラック用吐出ヘッドを制御し、
前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記モノクロモードと前記カラーモードとで互いに異なっている場合において、前記カラー用キャップを前記カラー用キャッピング位置と前記カラー用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませることを特徴とする請求項1〜3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記第2の印刷ジョブの実行時間を算出する割込ジョブ実行時間算出手段をさらに備えており、
前記第1の印刷ジョブの前記印刷モードが前記カラーモードであり、前記第2の印刷ジョブの前記印刷モードが前記モノクロモードである場合において、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラー用の記録液を強制吐出させる必要がある不吐出限界時間未満であるときには、前記モード変更時間割出手段は、前記カラー用キャップを前記カラー用キャッピング位置と前記カラー用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を前記変更時間に含ませずに、当該変更時間を割り出し、
前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うことを判断したときには、前記ジョブ実行手段は、前記第2の印刷ジョブを実行するときにおいても、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記第1の印刷ジョブの前記印刷モードが前記カラーモードであり、前記第2の印刷ジョブの前記印刷モードが前記モノクロモードである場合において、前記割込ジョブ実行時間算出手段により算出された前記第2の印刷ジョブの実行時間が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラーの記録液を強制吐出させる必要がある不吐出限界時間以上であり、且つ前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断したときには、
前記ジョブ実行手段は、前記第2の印刷ジョブを実行するときにおいても前記カラー用キャップを前記カラー用アンキャッピング位置に位置させるか否かを、ユーザの選択により決定し、この決定結果に基づいて前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御することを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記ジョブ実行手段が、前記カラー用キャップが前記カラー用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を前記制御手段により制御した状態で、前記第2の印刷ジョブを実行しているときにおいて、
前記ジョブ実行手段の前記制御手段が、前記カラー用吐出ヘッドの前記吐出口から前記カラーの記録液が強制吐出されるように前記カラー用吐出ヘッドを制御することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記ジョブ実行手段は、
記録媒体を搬送方向に搬送する搬送手段と、
記録媒体にブラックの記録液を吐出するための吐出口が形成されたブラック用吐出面を有するブラック用吐出ヘッドと、
前記搬送方向に関して前記ブラック用吐出ヘッドよりも上流側に設けられ、前記ブラックの記録液に作用して前記ブラックの記録液中の成分を凝集又は析出させる処理液を吐出する複数の吐出口が形成された処理液用吐出面を有する処理液用吐出ヘッドと、
前記処理液用吐出ヘッドの前記処理液用吐出面を包囲可能な処理液用キャップと、
前記処理液用キャップを、前記処理液用吐出面を包囲する処理液用キャッピング位置と、前記処理液用吐出面を露出させる処理液用アンキャッピング位置との間で移動させるキャップ駆動手段と、
前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッド、並びに前記キャップ駆動手段を制御する制御手段と
を備えており、
前記複数の印刷モードには、低品質モードと、高品質モードとが含まれており、
前記印刷モードが前記低品質モードのときには、前記制御手段は、前記処理液用キャップが前記処理液用キャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を吐出させ、前記処理液用吐出面からの前記処理液の吐出が禁止されるように前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッドを制御し、
前記印刷モードが前記高品質モードのときには、前記制御手段は、前記処理液用キャップが前記処理液用アンキャッピング位置に位置するように前記キャップ駆動手段を制御し、且つ、前記ブラック用吐出面から前記ブラックの記録液を、前記処理液用吐出面から前記処理液をそれぞれ吐出するように前記ブラック用及び処理液用吐出ヘッドを制御し、
前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記低品質モードと前記高品質モードとで互いに異なっている場合において、前記処理液用キャップを前記処理液用キャッピング位置と前記処理液用アンキャッピング位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記ジョブ実行手段は、
記録媒体に記録液を吐出するための吐出口が形成された吐出面を有する吐出ヘッドと、
記録媒体を支持する支持面を有し、前記支持面に支持された記録媒体が前記吐出面と対向する位置を通過するように記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記吐出ヘッドを、第1の位置と、前記支持面との間隔が前記第1の位置よりも大きい第2の位置との間を移動させることで、前記吐出ヘッドの吐出面と前記支持面との間隔を調整可能な間隔調整手段と
を備えており、
前記複数の印刷モードには、第1の記録媒体に画像形成を行う薄紙モードと、前記第1の記録媒体よりも厚い第2の記録媒体に画像形成を行う厚紙モードとが含まれており、
前記間隔調整手段は、
前記印刷モードが前記薄紙モードのときには、前記吐出ヘッドを前記第1の位置に位置させ、前記印刷モードが前記厚紙モードのときには、前記吐出ヘッドを前記第2の位置に位置させるものであり、
前記モード変更時間割出手段は、前記第1の印刷ジョブの印刷モードと前記第2の印刷ジョブの印刷モードとが、前記薄紙モードと前記厚紙モードとで互いに異なっている場合において、前記吐出ヘッドを前記第1の位置と前記第2の位置との間で往復移動させるのに伴う時間を、前記変更時間に含ませることを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載の画像形成装置。
【請求項12】
複数の印刷モードを有する画像形成装置を、
記録媒体への画像形成に関する印刷ジョブを実行するジョブ実行手段と、
前記ジョブ実行手段により実行されている第1の印刷ジョブに関して、当該第1の印刷ジョブが完了するまでの残り時間を算出する残り時間算出手段と、
前記第1の印刷ジョブの印刷モード、及び印刷ジョブの実行に関する割り込みの指示がなされた第2の印刷ジョブの印刷モードに基づいて、前記第1の印刷ジョブから前記第2の印刷ジョブへの遷移、及び前記第2の印刷ジョブから前記第1の印刷ジョブへの遷移に伴う印刷モードの変更時間を割り出すモード変更時間割出処理と、
前記残り時間算出手段により算出された前記残り時間が、少なくとも前記モード変更時間割出手段により割り出された前記変更時間よりも大きい場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブを実行する割り込み処理を行うことを判断する割込判断手段と、
前記割込判断手段が前記割り込み処理を行うと判断した場合に、前記第1の印刷ジョブを中断して前記第2の印刷ジョブが実行されるように前記ジョブ実行手段を制御する割込制御手段として機能させることを特徴とする画像形成装置の制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−187718(P2012−187718A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−50617(P2011−50617)
【出願日】平成23年3月8日(2011.3.8)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】