説明

画像形成装置、情報処理端末、画像形成システム、及び、情報処理プログラム

【課題】 画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能な画像形成システムを提供する。
【解決手段】 画像形成システム1は、省エネ状態を取り得るネットワーク複合機3と、該ネットワーク複合機3とLAN41を介して接続される情報処理端末5とを備えている。ネットワーク複合機3は、情報処理端末5から電力状態要求を受信すると、自機の電力状態を示す電力状態情報、及び低消費電力状態移行時刻を返信する。情報処理端末5は、ネットワーク複合機3が通常電力状態である場合、及び、ネットワーク複合機3が超低消費電力状態であり、かつ低消費電力状態移行時刻が更新された場合にはネットワーク複合機3に対して機器状態要求を送出する。一方、低消費電力状態移行時刻が更新されていないときには機器状態要求の送出を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、情報処理端末、画像形成システム、及び、情報処理プログラムに関し、特に、省エネ状態を取り得る画像形成装置、該画像形成装置とネットワークを介して接続される情報処理端末、該画像形成装置と情報処理端末とを備えて構成される画像形成システム、及び、コンピュータを情報処理端末として機能させる情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CO排出量削減等の観点から、電気機器の低消費電力化が社会的に求められている。例えばLAN等のネットワークに接続して使用されるネットワーク複合機(画像形成装置)においては、待機時に例えばプリンタコントローラやプリンタエンジン等への電力供給を停止し、ネットワークに接続されているネットワークインターフェースコントローラ(NIC)のみを動作させることにより省電力化を実現したものが知られている。
【0003】
一方、このような画像形成装置とネットワークを介して接続されるPC(パーソナルコンピュータ)の中には、例えば画像形成装置の機器状態を取得するためのサービス要求を定期的に送出するものがある。ここで、画像形成装置がスリープ状態(省エネ状態)にあるときにPCからサービス要求を受けると、当該サービス要求に応答するために、画像形成装置がスリープ状態から起動される。そのため、画像形成装置が定期的に起動され、機器の低消費電力化が妨げられるおそれがある。特に、ネットワークを介して画像形成装置に複数のPCが接続されている場合、複数のPCそれぞれが画像形成装置に対してサービス要求を送出すると、より頻繁に画像形成装置が起動されることとなり、画像形成装置の省エネ効果が低減するおそれがある。
【0004】
このような問題を解決するために、特許文献1には、画像形成装置がスリープ状態にあるときにはサービス要求の送出を抑制する管理装置(PCなどからなるホスト装置)を含む画像形成システムが開示されている。この画像形成システムでは、管理装置が、画像形成装置がスリープ中であるか否かを判定し、画像形成装置がスリープ中であると判定した場合には、画像形成装置に対して定期的に実行する機器情報要求パケット(サービス要求)の送信を抑制する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−191523号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、特許文献1に記載の管理装置によれば、画像形成装置がスリープ状態(省エネ状態)のときには機器情報の定期的な取得(すなわちサービス要求の定期的な送出)が抑制されるため、画像形成装置が定期的に起動されることを抑制することができる。しかしながら、例えば、画像形成装置がスリープ状態から一旦起動された後再度スリープ状態に移されたような場合には、画像形成装置の稼働中にサービス要求を送れなかった場合(すなわち機器情報を取得することができなかった場合)、画像形成装置の機器状態が変化していたとしても、例えば次に画像形成装置が起動されるまで、機器状態を知ることができなくなる。すなわち、画像形成装置の機器情報が更新されていたとしても、管理装置側で更新された機器情報を把握できない状況が生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することを可能とする画像形成装置、情報処理端末、画像形成システム、及び、情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る画像形成装置は、画像形成処理を行うことができる通常電力状態、該通常電力状態よりも消費電力が少なく、自機の状態を示す機器状態情報を返信することができる低消費電力状態、及び、該低消費電力状態よりも消費電力が少なく、自機の電力状態を示す電力状態情報を返信することができる超低消費電力状態を含む電力状態を取り得る画像形成装置において、ネットワークを介して情報処理端末と接続され、該情報処理端末との間でデータの送受信を行う通信手段と、電力状態が通常電力状態から低消費電力状態へ移行した時刻を示す低消費電力状態移行時刻を記憶する記憶手段とを備え、上記通信手段が、電力状態が超低消費電力状態にあるときに、情報処理端末から電力状態要求を受け取った場合には、電力状態情報及び記憶手段に記憶されている低消費電力状態移行時刻を返信し、情報処理端末から機器状態要求を受け取った場合には、電力状態を超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行させて、機器状態情報を返信することを特徴とする。
【0009】
本発明に係る画像形成装置によれば、超低消費電力状態にあるときに情報処理端末から電力状態要求を受け取った場合、電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が返信される。また、超低消費電力状態にあるときに情報処理端末から機器状態要求を受け取った場合、電力状態が超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行され、情報処理端末に対して自機の状態を示す機器状態情報が返信される。ここで、本発明に係る画像形成装置によれば、低消費電力状態(又は超低消費電力状態)から一度(又は複数回)通常電力状態に移行した後、再び低消費電力状態に移行した場合、記憶されている低消費電力状態移行時刻が更新される。そのため、情報処理端末側では、取得された画像形成装置の電力状態が前回も今回も低消費電力状態又は超低消費電力状態で変化していない場合であっても、低消費電力状態移行時刻が更新されているときには、低消費電力状態移行時刻を前回取得してから今回取得するまでの間で画像形成装置が起動(通常電力状態に移行)され、機器状態が変化している可能性が高いと推測することができる。そのため、このような場合、低消費電力状態移行時刻を取得した情報処理端末は、画像形成装置に対して機器状態要求を送出して機器状態情報を取得することにより、画像形成装置の最新の機器状態を迅速に取得することができる。
【0010】
一方、本発明に係る画像形成装置によれば、継続して低消費電力状態又は超低消費電力状態にある場合には、低消費電力状態移行時刻が更新されない(すなわち変化しない)。よって、情報処理端末側では、低消費電力状態移行時刻が更新されていない場合、機器状態が変化していないと判定することができる。そのため、このような場合、情報処理端末側では、画像形成装置の機器状態情報を取得する必要がないと判断し、画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することができる。よって、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の超低消費電力状態(すなわち省エネ状態)が維持される。以上の結果、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【0011】
本発明に係る画像形成装置では、上記通信手段が、ネットワークを介して情報処理端末と接続される第1通信手段と、該第1通信手段と通信可能に接続される第2通信手段とを有し、第1通信手段は、超低消費電力状態において電力が供給され、電力状態が超低消費電力状態にあるときに、情報処理端末から電力状態要求を受け取った場合には、電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻を返信し、情報処理端末から機器状態要求を受け取った場合には、電力状態を超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行させる起動信号を出力し、第2通信手段は、超低消費電力状態において電力供給が停止され、起動信号によって電力が供給されることにより超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行し、情報処理端末からの機器状態要求に対して機器状態情報を返信することが好ましい。
【0012】
この場合、通信手段が第1通信手段と第2通信手段とを有し、超低消費電力状態では、第2通信手段に対する電力供給が停止される。また、超低消費電力状態では、第1通信手段のみにより、情報処理端末からの電力状態要求に対する応答が行われる。すなわち、第2通信手段等を起動させることなく電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が返信される。よって、より機器の低消費電力化を図ることが可能となる。
【0013】
本発明に係る情報処理端末は、上記いずれかの画像形成装置とネットワークを介して接続される情報処理端末において、画像形成装置に対して電力状態要求、及び機器状態要求を送出する送信手段と、画像形成装置から返信される電力状態情報、低消費電力状態移行時刻、及び機器状態情報を受信する受信手段と、受信された低消費電力状態移行時刻を記憶する記憶手段とを備え、上記送信手段が、受信手段により受信された電力状態情報に基づいて画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することを特徴とする。
【0014】
上述したように、画像形成装置の電力状態が低消費電力状態又は超低消費電力状態のままであっても、取得した低消費電力状態移行時刻の変化に基づいて、低消費電力状態移行時刻を前回取得してから今回取得するまでの間で画像形成装置が起動されたか否かを推測することができる。すなわち、取得された画像形成装置の電力状態が前回も今回も低消費電力状態又は超低消費電力状態で変化していない場合であっても、低消費電力状態移行時刻が更新されているときには、低消費電力状態移行時刻を前回取得してから今回取得するまでの間で画像形成装置が起動(通常電力状態に移行)され、機器状態が変化している可能性が高いと推測することができる。ここで、本発明に係る情報処理端末によれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、画像形成装置に対して機器状態要求が送出され、機器状態情報が取得される。よって、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することができる。
【0015】
一方、低消費電力状態移行時刻が更新されていない場合、電力状態要求を前回送出してから今回送出するまでの間に、画像形成装置が起動(通常電力状態に移行)されていない(すなわち低消費電力状態又は超低消費電力状態が継続しており機器状態が変化していない)と判定することができる。ここで、本発明に係る情報処理端末によれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、画像形成装置に対する機器状態要求の送出が停止される。よって、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の超低消費電力状態(すなわち省エネ状態)が維持される。以上の結果、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【0016】
本発明に係る情報処理端末では、上記送信手段が、受信手段により受信された電力状態情報に基づいて画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が、記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じとき及び該低消費電力状態移行時刻よりも古いときに、画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することが好ましい。このようにすれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも古い場合、例えば画像形成装置が備える時計の時刻が修正された場合やリセットされた場合にも、機器状態要求の送出を停止することができる。
【0017】
逆に、本発明に係る情報処理端末では、上記送信手段が、受信手段により受信された電力状態情報に基づいて画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいとき及び古いときに、画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が、記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することも好ましい。このようにすれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも古い場合、例えば画像形成装置が備える時計の時刻が修正された場合又はリセットされた場合にも、機器状態要求を送出すること(すなわち画像形成装置の機器状態を取得すること)ができる。
【0018】
本発明に係る情報処理端末では、送信手段が、受信手段により受信された電力状態情報に基づいて、画像形成装置の電力状態が通常電力状態であると判断された場合、画像形成装置に対して機器状態要求を送出することが好ましい。
【0019】
このようにすれば、画像形成装置の電力状態が通常電力状態のときには、低消費電力状態移行時刻の変化に関係なく、画像形成装置に対して機器状態要求が送出される。よって、この場合、機器状態を取得するためだけに画像形成装置を起動させることがない。また、機器状態が変化したときに、迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【0020】
本発明に係る画像形成システムは、上記いずれかの画像形成装置と、上記いずれかの情報処理端末とを備えることを特徴とする。
【0021】
本発明に係る画像形成システムによれば、上記いずれかの画像形成装置と上記いずれかの情報処理端末とを備えている。そのため、上述したように、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【0022】
本発明に係る情報処理プログラムは、コンピュータを、上記いずれかの情報処理端末として機能させることを特徴とする。
【0023】
本発明に係る情報処理プログラムが実行されることにより、コンピュータが、上述した情報処理端末(すなわち、上記送信手段、受信手段、及び記憶手段)として機能する。その結果、上述したように、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、画像形成装置の機器状態に変化がないときには画像形成装置の省エネ状態を妨げず、画像形成装置の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】実施形態に係るネットワーク複合機、情報処理端末、及び、該ネットワーク複合機と情報処理端末とを含む画像形成システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施形態に係るネットワーク複合機のNICの構成を示すブロック図である。
【図3】情報処理プログラムを実行するコンピュータ(情報処理端末)の構成を示すブロック図である。
【図4】実施形態に係るネットワーク複合機による低消費電力状態移行処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図5】実施形態に係るネットワーク複合機による超低消費電力状態における通信処理の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】実施形態に係る情報処理端末による機器状態要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、各図において、同一要素には同一符号を付して重複する説明を省略する。ここでは、実施形態に係る画像形成装置としてネットワーク複合機(ネットワークMFP)を例にして説明する。なお、画像形成装置としては、プリンタ、コピー機、ファクシミリ装置、或いはこれらの機能を兼ね備えた複合機(MFP)のいずれであってもよい。また、ここでは、ネットワーク複合機がLANを介してパーソナルコンピュータ等からなる情報処理端末と接続されているネットワークシステム(以下「画像形成システム」という)を例にして説明する。なお、例示する画像形成システムは、理解を容易にするためにその構成を簡略化したものである。
【0027】
まず、図1〜図3を併せて用いて、画像形成システム1の全体構成、及び、該画像形成システム1を構成するネットワーク複合機3、並びに情報処理端末5それぞれの構成について説明する。図1は、ネットワーク複合機3、情報処理端末5、及び、該ネットワーク複合機3と情報処理端末5とを含む画像形成システム1の構成を示すブロック図である。図2は、ネットワーク複合機3を構成するNIC10の構成を示すブロック図である。図3は、情報処理プログラム60を実行するコンピュータ50(情報処理端末5)の構成を示すブロック図である。
【0028】
画像形成システム1は、LAN41を介して互いに通信可能に接続されているネットワーク複合機3と情報処理端末5とを備えて構成されている。なお、図1では1台のネットワーク複合機3と1台の情報処理端末5とがLAN41に接続されている例を示したが、LAN41に接続されるネットワーク複合機3及び情報処理端末5は複数であってもよい。
【0029】
ネットワーク複合機3は、3つの電力状態、すなわち、すべての構成要素に電力が供給され、すべての機能が実行可能な通常電力状態、読取部15、記録部12に対する電力供給が停止される低消費電力状態、及び、例えば外部からの処理要求を待ち受けるNIC10及びNCU19の一部を除いて電力供給が停止される超低消費電力状態を取り得る複合機である。また、ネットワーク複合機3は、LAN41を介して接続されている情報処理端末5から受信したプリントデータを用紙に記録するPCプリント機能、ネットワーク対応されたスキャナ機能、コピー機能、FAX機能、インターネットFAX(IFAX)機能、及び、Webサーバ機能等を有している。
【0030】
さらに、ネットワーク複合機3は、情報処理端末5からの機器状態要求に対して自機の状態を示す機器状態情報を返信し、電力状態要求に対して自機の電力状態情報(電力状態が通常電力状態であるか低消費電力状態又は超低消費電力状態であるかを示す情報)及び低消費電力状態移行時刻(通常電力状態から低消費電力状態(又は超低消費電力状態)に移行した時刻を示す情報)を返信する。なお、詳細については後述する。
【0031】
上述した各機能を実現するためにネットワーク複合機3は、MFP本体4及び該MFP本体4をLAN41に接続するためのネットワーク・インターフェース・コントローラ(以下「NIC」という)10を備えている。また、MFP本体4は、制御部11、記録部12、操作部13、表示部14、読取部15、コーデック16、画像記憶部17、モデム18、NCU19、IFAX制御部20、及び、Webサーバ21等を備えている。なお、上記各部はバス23で相互に通信可能に接続されている。
【0032】
NIC10は、各種通信プロトコルの送受信制御処理、及び各種通信プロトコル上のデータ解析処理及びデータ作成処理を行なうネットワークインターフェースである。すなわち、NIC10は、特許請求の範囲に記載の通信手段として機能する。LAN41を介して接続されている情報処理端末5とのデータ通信はこのNIC10を通して行われる。NIC10は、図2に示されるように、ネットワークパケット(ネットワークデータ)を受信するフロントエンド部(特許請求の範囲に記載の第1通信手段に相当、以下「第1NIC」という)100と、受信データの解析及び各種アプリケーションに対応した処理を行うバックエンド部(特許請求の範囲に記載の第2通信手段に相当、以下「第2NIC」という)120とを備えている。
【0033】
第1NIC100は、LAN41を介して情報処理端末5と接続され、該情報処理端末5との間で通信を行なう。第2NIC120は、例えばPCI(Peripheral Component Interconnect)又はPCI Express等のバス130を介して第1NIC100と相互にデータ転送可能に接続されている。なお、電力状態が低消費電力状態及び超低消費電力状態にあるときであっても、第1NIC100には電力が供給される。また、第1NIC100と第2NIC120とは、PCI等のバス130に代えて、例えば、シリアル通信又はUSB等によって通信可能に接続されていてもよい。
【0034】
第1NIC100は、演算を行なうマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、マイクロプロセッサにより制御されて通信処理を行う通信用チップ(IC)、及び受信データや演算結果等の各種データを一時的に記憶するRAM等により構成されている。なお、第1NIC100は、上述したマイクロプロセッサ、通信用チップ、ROM、RAM等がワンチップに収められたマイクロコンピュータを用いて構成してもよい。また、第1NIC100で用いられるマイクロプロセッサは、第2NIC120で用いられるものよりも例えばクロック周波数が低く、より低消費電力のものを用いることが好ましい。
【0035】
図2に示されるように、第1NIC100では、上述したハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより、受信部101、送信部102、記憶部103、起動信号出力部104、バス転送部105、代理応答部106が構築されている。
【0036】
受信部101は、例えば、情報処理端末5からLAN41を介して送られてくる電力状態要求、機器状態要求などのネットワークパケット(ネットワークデータ)を受信する。記憶部103は、上述したRAMにより構成され、自機の電力状態(通常電力状態、低消費電力状態、又は超低消費電力状態)を示す電力状態情報、及び電力状態が通常電力状態から低消費電力状態(又は超低消費電力状態)に移行した時刻を示す低消費電力状態移行時刻などを記憶する。記憶部103は特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0037】
起動信号出力部104は、受信データが機器状態要求又は第1NIC100のみで応答できない要求であると判断され、かつ、電力状態が超低消費電力状態であると判定された場合に、電力状態を超低消費電力状態から低消費電力状態(必要な場合には通常電力状態)に移行させるための制御信号(以下「起動信号」という)を電力制御部11a(詳細は後述する)に対して出力する。ここで、自機の電力状態は、記憶部103に記憶されている電力状態情報に基づいて判断することができる。また、例えば、第2NIC120と接続されたポートのレベルに基づいて、第2NIC120、及びMFP本体4の電力状態を判定する構成としてもよい。
【0038】
起動信号出力部104から出力された起動信号が電力制御部11aに入力されると、電源から第2NIC120(必要な場合にはMFP本体4)への電力供給が開始される。そして、第2NIC120及び/又はMFP本体4においてプログラムロード等の起動処理が実行され、第2NIC120及び/又はMFP本体4が起動されて稼働状態となる。
【0039】
バス転送部105は、第2NIC120が超低消費電力状態から低消費電力状態(又は通常電力状態)に遷移したと判定された場合に、第2NIC120が起動するまでに受信された受信データを、バス130を介して第2NIC120に転送する。また、バス転送部105は、第2NIC120が通常電力状態にあるときに、受信部101により受信されたデータを第2NIC120にバス130を介して転送する。
【0040】
代理応答部106は、超低消費電力状態において、第2NIC120を起動する必要がない場合(すなわち第1NIC100のみで応答が可能な場合)に、受信部101により受信されたデータに対する応答データを生成する。代理応答部106は、情報処理端末5から電力状態要求を受け取った場合、記憶部103に記憶されている電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻を含む応答データを生成する。なお、電力状態情報等の受け渡しでは、例えばSNMP(Simple Network Management Protocol)が利用される。なお、代理応答部106により生成された応答データ(電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻)は、送信部102へ出力される。
【0041】
送信部102は、第2NIC120が超低消費電力状態にあるときに、代理応答部106により生成された応答データをLAN41に送出する。また、送信部102は、第2NIC120が通常電力状態又は低消費電力状態にあるときに、第2NIC120からバス130を介して受取った応答データをLAN41に送出する。
【0042】
第2NIC120は、演算を行なうマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、第1NIC100から転送された受信データ、演算結果等の各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップデータを記憶するバックアップRAM等により構成されている。なお、第2NIC120は、これらのマイクロプロセッサ、ROM、RAM等がワンチップに収められたマイクロコンピュータを用いて構成してもよい。なお、第2NIC120で用いられるマイクロプロセッサは、第1NIC100で用いられるものよりもクロック周波数が高く、より高速動作するものが利用される。
【0043】
第2NIC120では、上述したハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより、受取部121、生成部122、及び出力部123等が構築されている。
【0044】
受取部121は、第2NIC120が通常電力状態又は低消費電力状態にあるときに、第1NIC100によって情報処理端末5から受信され、バス転送部105から転送された受信データを、バス130を介して受取る。なお、受取部121で受取られた受信データは、生成部122に出力される。
【0045】
生成部122は、受取部121により受取られた受信データに対する応答データを生成する。情報処理端末5からの機器状態要求が受付けられた場合、生成部122は、自機の状態を示す機器状態情報を生成する。ここで、ネットワーク複合機3(生成部122)によって生成される機器状態情報としては、スキャン原稿が蓄積されたか否かを示す情報並びにFAX原稿が受信されて蓄積されたか否かを示す情報(原稿蓄積情報)、及び、PCプリントが実行されたか否かを示す情報(PCプリント情報)等が挙げられる。さらに、ネットワーク複合機3(生成部122)は、機器状態情報として、自機で対応している言語(日本語,英語等)を示す情報、対応している用紙サイズ(A3,A4等)を示す情報、及び、プリントアウト枚数を示すカウンタ情報などを生成する。なお、生成部122で生成された応答データは、出力部123に出力される。出力部123は、生成部122により生成された応答データを、バス130を介して、第1NIC100に出力する。なお、第1NIC100に送られた応答データは、第1NIC100の送信部102によってLAN41上に送出される。
【0046】
第2NIC120は、例えば、所定時間(例えば5分)以上連続して通信が行われない場合に電源からの電力供給が停止され、通常電力状態から低消費電力状態となる。一方、第2NIC120では、上述したように、起動信号出力部104から出力された起動信号によって電源からの電力供給が開始され、超低消費電力状態から低消費電力状態(又は通常電力状態)となる。
【0047】
図1に戻り説明を続ける。MFP本体4を構成する制御部11は、演算を行なうマイクロプロセッサ、マイクロプロセッサに各処理を実行させるためのプログラム等を記憶するROM、演算結果等の各種データを一時的に記憶するRAM、及びバックアップデータを記憶するバックアップRAM等により構成されている。制御部11は、ROMに記憶されているプログラムを実行することにより、MFP本体4を構成するハードウェアを統合的に制御する。
【0048】
また、制御部11は、ネットワーク複合機3の電力状態を制御する電力制御部11aを有している。ここで、電力制御部11aにより切替えられる3つの電力状態、すなわち、通常電力状態、低消費電力状態、及び超低消費電力状態についてより詳細に説明する。
【0049】
通常電力状態は、ネットワーク複合機3のすべての構成要素に主電源から電力が供給される状態であり、プリント、コピー、FAXを含むすべての機能が利用可能な状態である。ネットワーク複合機3は、主電源がオンされると、初期化処理の後、通常電力状態となる。一方、ネットワーク複合機3は、FAXの受信、PCプリントジョブの要求などが一定時間(例えば5分)継続してなかった場合に、通常電力状態から低消費電力状態に移行する。その際に、電力制御部11aは、低消費電力状態であることを示す電力状態情報、及び、低消費電力状態に移行した時刻を示す低消費電力状態移行時刻などを上述した記憶部103に書き込む。なお、記憶される低消費電力状態移行時刻には、例えばRTC(Real Time Clock)のデータ等が利用される。
【0050】
低消費電力状態は、記録部12及び読取部15に対する電力供給が停止される状態である。低消費電力状態では、記録部12及び読取部15を使用しない機能、例えば、時刻指定FAX送信機能、ネットワークパケットの解析を含むWeb機能などを利用することができる。ネットワーク複合機3は、例えば、FAXデータの受信及びPCプリントジョブの要求を受けた場合などに、低消費電力状態から通常電力状態に移行する。その際に、電力制御部11aは、電力状態情報を通常電力状態にセットして記憶部103に書き込む。一方、ネットワーク複合機3は、例えば、ジョブ要求及びネットワークパケットの受信などが一定時間(例えば5分)継続してないときに、低消費電力状態から超低消費電力状態に移行する。
【0051】
超低消費電力状態では、読取部15及び記録部12に加えて、操作部13、表示部14、モデム18などに対する主電源からの通電が停止される。さらに、超低消費電力状態では、NIC10を構成する回路のうち、第2NIC120に対する通電が停止されるとともに、NCU17を構成する回路のうち、呼出信号検出回路以外の回路に対する通電が停止される。ネットワーク複合機3は、ユーザによって通常電力状態に復帰するための操作が行われた場合(例えば省エネモードキーが押された場合)に、超低消費電力状態から通常電力状態に移行する。その際に、電力制御部11aは、電力状態情報を通常電力状態にセットして記憶部103に書き込む。一方、ネットワーク複合機3は、第1NIC100によって機器状態要求などの特定のパケットが受信された場合に、超低消費電力状態から低消費電力状態(必要な場合には通常電力状態)に移行する。
【0052】
記録部12は、電子写真方式のプリンタであり、外部の情報処理端末5から受信されたPCプリントデータを用紙にプリントアウトする。また、記録部12は、読取部15により読み取られ生成された画像データ、及びFAX、IFAX等で受信された画像データを用紙にプリントアウトする。
【0053】
操作部13は、ネットワーク複合機3の各機能を利用するために用いられる複数のキー、例えば、テンキー、短縮キー、スタートキー、ストップキー、及び各種のファンクションキー等を備えている。表示部14は、LCD等を用いた表示装置であり、ネットワーク複合機3の動作状態及び/又は各種設定内容等を表示する。読取部15は、光源及びCCD等によって構成されており、紙文書等の原稿を設定された副走査線密度に応じてライン毎に読み取り、画像データを生成する。
【0054】
コーデック16は、読取部15で読み取られた画像データを符号化圧縮するとともに符号化圧縮されている画像データを復号する。画像記憶部17は、DRAM等で構成されており、コーデック16で符号化圧縮された画像データ、FAX受信された画像データ、及び、外部の情報処理端末5から受信されて符号化圧縮された画像データ等を記憶する。
【0055】
モデム(変復調器)18は、ディジタル信号とアナログ信号との間の変復調を行なう。また、モデム18は、ディジタル命令信号(DCS)等の各種機能情報の発生及び検出を行なう。NCU(Network Control Unit)19は、モデム18と接続されており、モデム18と公衆交換電話網(PSTN)40との接続を制御する。また、NCU19は、送信先のファクシミリ番号に対応した呼出信号の送出、及びその着信を検出する機能を備えている。
【0056】
IFAX制御部20は、インターネット環境を利用し、送信原稿をTIFF又はPDF形式の画像データとして、メールに添付して送信する。また、IFAX制御部20は、設定された時間毎にPOPサーバからメールを受信し、自動的にプリントアウトする。Webサーバ21は、例えばHTMLで記述されたホームページ、ログインページ、及びファクシミリ操作ページ等のデータに対して、情報処理端末5からアクセスして所定のHTTPタスクを実行することを可能にする。
【0057】
次に、LAN41を介してネットワーク複合機3と接続される情報処理端末5について説明する。情報処理端末5は、LAN41を介して、ネットワーク複合機3に対して、例えばPCプリント等の処理要求を行う。また、情報処理端末5は、ネットワーク複合機3に対して、ネットワーク複合機3の電力状態情報及び機器状態情報の取得要求を行うことができる。そのため、情報処理端末5は、所定のタイミングでネットワーク複合機3に対して電力状態要求、及び機器状態要求等を送出する送信部500と、ネットワーク複合機3から返信される応答データ(電力状態情報、低消費電力状態移行時刻、及び機器状態情報等)を受信する受信部501と、受信された低消費電力状態移行時刻を記憶する記憶部502とを備える。送信部500は特許請求の範囲に記載の送信手段に相当し、受信部501は特許請求の範囲に記載の受信手段に相当する。また、記憶部502は、特許請求の範囲に記載の記憶手段として機能する。
【0058】
上述したように、送信部500は、所定のタイミング(例えば10分間隔)で、SNMPを利用して、ネットワーク複合機3に対して電力状態要求を送出し、ネットワーク複合機3の電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻を取得する。
【0059】
また、送信部500は、取得された電力状態情報に基づいてネットワーク複合機3の電力状態が低消費電力状態又は超低消費電力状態であると判断された場合、受信部501により今回受信された低消費電力状態移行時刻が記憶部502に記憶されている以前に(前回)受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求を送出する。一方、送信部500は、今回受信された低消費電力状態移行時刻が、記憶部502に記憶されている以前に(前回)受信された低消費電力状態移行時刻と同じとき及び該低消費電力状態移行時刻よりも古いときに、ネットワーク複合機3に対する機器状態要求の送出を停止する。なお、ネットワーク複合機3が通常電力状態のときに送られてきた低消費電力状態移行時刻は破棄される。
【0060】
また、送信部500は、受信部501により受信された電力状態情報に基づいてネットワーク複合機3の電力状態が通常電力状態であると判断された場合に、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求を送出する。
【0061】
ここで、情報処理端末5が要求/取得する機器状態情報としては、スキャン原稿が蓄積されたか否かを示す情報並びにFAX原稿が受信されて蓄積されたか否かを示す情報(原稿蓄積情報)、及び、PCプリントが実行されたか否かを示す情報(PCプリント情報)等が挙げられる。さらに、情報処理端末5は、機器状態情報として、ネットワーク複合機3で対応している言語(日本語,英語等)を示す情報、対応している用紙サイズ(A3,A4等)を示す情報、及び、プリントアウト枚数を示すカウンタ情報などを要求/取得することができる。なお、上述した原稿蓄積情報及びPCプリント情報は、HTTPを利用して要求/取得される。また、対応言語、対応用紙サイズ、及びカウンタ情報は、SNMPを利用して要求/取得される。
【0062】
情報処理端末5は、情報処理プログラムをコンピュータで実行することにより実現することができる。ここで、図3を参照しつつ、情報処理端末5として機能するコンピュータ50、及び、コンピュータ50を情報処理端末5として機能させる情報処理プログラム60について説明する。
【0063】
コンピュータ50は、プログラム60の実行等を制御する制御部(CPU)51と、プログラム60等が記憶されたハードディスク52と、メモリ(RAM)53と、ディスプレイ54と、キーボード等から成る入力部55と、CD−ROM等の記録媒体に記録されたプログラム等を読み取り可能な読取装置56と、LANボードから成るLANインターフェース57とを備えている。ここで、例えば、読取装置56により読み取られ(又はネットワークを介してダウンロードされ)ハードディスク52に記憶(インストール)されたプログラム60が実行されることにより、コンピュータ50が、上述した情報処理端末5を構成する送信部500、受信部501、及び記憶部502として機能する。
【0064】
次に、図4〜図6を併せて参照しつつ、画像処理システム1(ネットワーク複合機3及び情報処理端末5)の動作について説明する。ここで、図4は、ネットワーク複合機3による低消費電力状態移行処理の処理手順を示すフローチャートである。図5は、ネットワーク複合機3による超低消費電力状態における通信処理の処理手順を示すフローチャートである。また、図6は、情報処理端末5による機器状態要求処理の処理手順を示すフローチャートである。
【0065】
まず、図4を参照しつつ、ネットワーク複合機3による低消費電力状態移行処理について説明する。この処理は、ネットワーク複合機3において、所定のタイミングで実行される。
【0066】
ステップS100では、低消費電力状態への移行条件(例えば5分間継続して処理要求が受け付けられなかった場合など)が成立したか否かについての判断が行われる。ここで、低消費電力状態への移行条件が成立していない場合には、一旦、本処理から抜ける。一方、低消費電力状態への移行条件が成立した場合には、ステップS102に処理が移行する。
【0067】
ステップS102では、電力状態情報が低消費電力状態にセットされて記憶部103に記憶される(書き込まれる)。続いて、ステップS104では、RTCから時刻が読み出されて、低消費電力状態移行時刻として記憶部103に記憶される(書き込まれる)。その後、電力状態が低消費電力状態に移行する。
【0068】
次に、図5を参照しつつ、ネットワーク複合機3による超低消費電力状態における通信処理について説明する。この処理は、ネットワーク複合機3において、ネットワークパケットが受信されたタイミングで実行される。
【0069】
ステップS200では、例えばパターンマッチングにより、受信されたデータがSNMPを利用した電力状態要求であるか否かについての判断が行われる。ここで、受信データが電力状態要求であるときには、ステップS202に処理が移行する。ステップS202では、記憶部103に記憶されている電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が読み出され、情報処理端末5に返信される。その後、本処理から抜ける。一方、受信データが、電力状態要求でない場合には、ステップS204に処理が移行する。
【0070】
ステップS204では、受信されたデータが機器状態要求であるか否かについての判断が行われる。ここで、受信データが機器状態要求である場合には、ステップS206に処理が移行する。一方、受信データが機器状態要求でないときには、ステップS210に処理が移行する。
【0071】
ステップS206では、第2NIC120に対する電力供給を開始するための起動信号が電力制御部11aに対して出力され、第2NIC120への電力供給が開始される。そして、第2NIC120が低消費電力状態(必要な場合には通常電力状態)に移行する。
【0072】
続いてステップS208では、情報処理端末5からの要求に対応した機器状態情報が生成されて返信される。その後、本処理から抜ける。
【0073】
一方、受信データが機器状態要求ではないとき、ステップ210では、第2NIC120等を起動することなく応答することが可能であるか否か(すなわち代理応答可能であるか否か)についての判断が行われる。ここで、代理応答が可能である場合には、ステップS216において代理応答データが生成され、返信される。一方、代理応答が不能であると判断されたときには、ステップS212に処理が移行する。
【0074】
ステップS212では、第2NIC120(必要な場合にはMFP本体4)に対して電力供給を開始するための起動信号が電力制御部11aに対して出力され、第2NIC120(必要な場合にはMFP本体4)への電力供給が開始される。その後、ステップS214において、応答データが生成され、返信される。その後、本処理から抜ける。
【0075】
次に、図6を参照しつつ、情報処理端末5による機器状態要求処理について説明する。この処理は、情報処理端末5において、所定のタイミング(例えば10分間隔)で実行される。
【0076】
ステップS300では、ネットワーク複合機3から電力状態要求に対する応答が受信され、電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が取得される。
【0077】
続いて、ステップS302では、取得された電力状態情報に基づいて、ネットワーク複合機3が低消費電力状態又は超低消費電力状態であるか否かについての判断が行われる。ここで、ネットワーク複合機3が低消費電力状態又は超低消費電力状態である場合には、ステップS304に処理が移行する。一方、ネットワーク複合機3が低消費電力状態及び超低消費電力状態でないとき(すなわち通常電力状態であるとき)には、ステップS306に処理が移行する。
【0078】
ステップS304では、ステップS300において今回取得された低消費電力状態移行時刻が、記憶部502に記憶されている前回取得された低消費電力状態移行時刻と比較される。ここで、今回取得された低消費電力状態移行時刻が前回取得された低消費電力状態移行時刻よりも新しい場合には、ステップS306に処理が移行する。一方、今回取得された低消費電力状態移行時刻が、前回取得された低消費電力状態移行時刻と同じとき及び該低消費電力状態移行時刻よりも古いときには、機器状態要求が送出されることなく、本処理から抜ける。
【0079】
ネットワーク複合機3が通常電力状態にある場合、又は、ネットワーク複合機3が低消費電力状態若しくは超低消費電力状態でありかつ低消費電力状態移行時刻が更新されている場合、ステップS306において、機器状態要求がネットワーク複合機3に対して送出される。
【0080】
その後、ステップS308では、ステップS300において取得された低消費電力状態移行時刻が記憶部502に記憶される。すなわち、記憶部502に記憶されている低消費電力状態移行時刻が今回取得された低消費電力状態移行時刻に更新される。その後、本処理から抜ける。
【0081】
以上、詳細に説明したように、本実施形態に係る画像形成システム1を構成するネットワーク複合機3によれば、電力状態が超低消費電力状態にあるときに情報処理端末5から電力状態要求を受け取った場合には、第1NIC100によって電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が返信される。また、電力状態が超低消費電力状態にあるときに情報処理端末5から機器状態要求を受け取った場合には、電力状態が超低消費電力状態から低消費電力状態(必要な場合には通常電力状態)へ移行された後、第2NIC120によって自機の状態を示す機器状態情報が返信される。
【0082】
ところで、ネットワーク複合機3によれば、低消費電力状態又は超低消費電力状態から一度(又は複数回)通常電力状態に移行された後、再び低消費電力状態(又は超低消費電力状態)に移された場合、記憶されている低消費電力状態移行時刻が更新される。そのため、情報処理端末5では、ネットワーク複合機3の電力状態が低消費電力状態又は超低消費電力状態のままであっても、取得した低消費電力状態移行時刻の変化に基づいて、低消費電力状態移行時刻を前回取得してから今回取得するまでの間でネットワーク複合機3が起動されたか否かを推測することができる。すなわち、情報処理端末5では、取得されたネットワーク複合機3の電力状態が前回も今回も低消費電力状態又は超低消費電力状態で変化していない場合であっても、低消費電力状態移行時刻が更新されているときには、低消費電力状態移行時刻を前回取得してから今回取得するまで間でネットワーク複合機3が起動(通常電力状態に移行)され、機器状態が変化している可能性が高いと推測することができる。
【0083】
ここで、本実施形態に係る情報処理端末5によれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に(前回)受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求が送出され、機器状態情報が取得される。よって、ネットワーク複合器3の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することができる。
【0084】
一方、本実施形態に係るネットワーク複合機3によれば、継続して低消費電力状態又は超低消費電力状態にある場合には、低消費電力状態移行時刻が更新されない(すなわち変化しない)。よって、情報処理端末5側では、低消費電力状態移行時刻が更新されていない場合、機器状態が変化していないと判定することができる。ここで、本実施形態に係る情報処理端末5によれば、今回受信された低消費電力状態移行時刻が以前に(前回)受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、ネットワーク複合機3に対する機器状態要求の送出が停止される。よって、ネットワーク複合機3の機器状態に変化がないときにはネットワーク複合機3の低消費電力状態が維持される。以上の結果、ネットワーク複合機3の機器状態に変化がないときにはネットワーク複合機3の省エネ状態を妨げず、ネットワーク複合機3の機器状態に変化があったときには迅速に該機器状態を取得することが可能となる。
【0085】
また、本実施形態に係る情報処理端末5によれば、ネットワーク複合機3の電力状態が通常電力状態のときには、低消費電力状態移行時刻の変化に関係なく、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求が送出される。よって、この場合、機器状態を取得するためだけにネットワーク複合機3を起動させることがない。また、機器状態が変化したときに、迅速に該機器状態を取得することができる。
【0086】
本実施形態に係るネットワーク複合機3よれば、NIC10が第1NIC100と第2NIC120とを有し、超低消費電力状態では、第2NIC120に対する電力供給が停止される。また、超低消費電力状態では、第1NIC100のみにより、情報処理端末5からの電力状態要求に対する応答が行われる。すなわち、第2NIC120等を起動させることなく電力状態情報及び低消費電力状態移行時刻が返信される。よって、より機器の低消費電力化を図ることが可能となる。
【0087】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、NIC10が第1NIC100と第2NIC120とに分割されて構成されていたが、NIC10は、必ずしも第1NIC100と第2NIC120とに分けられていなくてもよい。また、NIC10が第1NIC100と第2NIC120とに分けられている場合であっても、第1NIC100及び第2NIC120それぞれは、必ずしも独立した基板で構成されている必要はない。例えば、1枚の基板上に第1NIC100及び第2NIC120が構築されていてもよいし、1つのICチップの中に第1NIC100及び第2NIC120が形成されていてもよい。
【0088】
上記実施形態では、今回取得された低消費電力状態移行時刻が以前に(前回)取得された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求を送出し、同じとき及び古いときに、機器状態要求の送出を停止した。しかしながら、今回取得された低消費電力状態移行時刻が以前に(前回)取得された低消費電力状態移行時刻よりも新しいとき及び古いときに、ネットワーク複合機3に対して機器状態要求を送出し、同じときに、機器状態要求の送出を停止する構成としてもよい。
【符号の説明】
【0089】
1 画像形成システム
3 ネットワーク複合機
4 MFP本体
5 情報処理端末
10 NIC
100 第1NIC
101 受信部
102 送信部
103 記憶部
104 起動信号出力部
105 バス転送部
106 代理応答部
120 第2NIC
121 受取部
122 生成部
123 出力部
130 バス
11 制御部
11a 電力制御部
12 記録部
13 操作部
14 表示部
15 読取部
16 コーデック
17 画像記憶部
18 モデム
19 NCU
20 IFAX制御部
21 Webサーバ
23 バス
41 LAN
50 コンピュータ
60 情報処理プログラム
500 送信部
501 受信部
502 記憶部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像形成処理を行うことができる通常電力状態、該通常電力状態よりも消費電力が少なく、自機の状態を示す機器状態情報を返信することができる低消費電力状態、及び、該低消費電力状態よりも消費電力が少なく、自機の電力状態を示す電力状態情報を返信することができる超低消費電力状態を含む電力状態を取り得る画像形成装置において、
ネットワークを介して情報処理端末と接続され、該情報処理端末との間でデータの送受信を行う通信手段と、
電力状態が通常電力状態から低消費電力状態へ移行した時刻を示す低消費電力状態移行時刻を記憶する記憶手段と、を備え、
前記通信手段は、電力状態が超低消費電力状態にあるときに、前記情報処理端末から電力状態要求を受け取った場合には、前記電力状態情報及び前記記憶手段に記憶されている低消費電力状態移行時刻を返信し、前記情報処理端末から機器状態要求を受け取った場合には、電力状態を超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行させて、前記機器状態情報を返信することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記通信手段は、前記ネットワークを介して前記情報処理端末と接続される第1通信手段と、該第1通信手段と通信可能に接続される第2通信手段とを有し、
前記第1通信手段は、超低消費電力状態において電力が供給され、電力状態が超低消費電力状態にあるときに、前記情報処理端末から電力状態要求を受け取った場合には、前記電力状態情報及び前記低消費電力状態移行時刻を返信し、前記情報処理端末から機器状態要求を受け取った場合には、電力状態を超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行させる起動信号を出力し、
前記第2通信手段は、超低消費電力状態において電力供給が停止され、前記起動信号によって電力が供給されることにより超低消費電力状態から低消費電力状態へ移行し、前記情報処理端末からの機器状態要求に対して前記機器状態情報を返信することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の画像形成装置とネットワークを介して接続される情報処理端末において、
前記画像形成装置に対して電力状態要求、及び機器状態要求を送出する送信手段と、
前記画像形成装置から返信される電力状態情報、低消費電力状態移行時刻、及び機器状態情報を受信する受信手段と、
受信された低消費電力状態移行時刻を記憶する記憶手段と、を備え、
前記送信手段は、前記受信手段により受信された電力状態情報に基づいて前記画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、前記受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、前記画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、前記画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することを特徴とする情報処理端末。
【請求項4】
前記送信手段は、前記受信手段により受信された電力状態情報に基づいて前記画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、前記受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいときに、前記画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が、前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じとき及び該低消費電力状態移行時刻よりも古いときに、前記画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することを特徴とする請求項3に記載の情報処理端末。
【請求項5】
前記送信手段は、前記受信手段により受信された電力状態情報に基づいて前記画像形成装置の電力状態が超低消費電力状態であると判断された場合、前記受信手段により今回受信された低消費電力状態移行時刻が、前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻よりも新しいとき及び古いときに、前記画像形成装置に対して機器状態要求を送出し、今回受信された低消費電力状態移行時刻が、前記記憶手段に記憶されている以前に受信された低消費電力状態移行時刻と同じときに、前記画像形成装置に対する機器状態要求の送出を停止することを特徴とする請求項3に記載の情報処理端末。
【請求項6】
前記送信手段は、前記受信手段により受信された電力状態情報に基づいて前記画像形成装置の電力状態が通常電力状態であると判断された場合、前記画像形成装置に対して機器状態要求を送出することを特徴とする請求項3〜5のいずれか1項に記載の情報処理端末。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の画像形成装置と、
請求項3〜6のいずれか1項に記載の情報処理端末と、を備えることを特徴とする画像形成システム
【請求項8】
コンピュータを、請求項3〜6のいずれか1項に記載の情報処理端末として機能させることを特徴とする情報処理プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−8293(P2013−8293A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−141823(P2011−141823)
【出願日】平成23年6月27日(2011.6.27)
【出願人】(000006297)村田機械株式会社 (4,916)
【Fターム(参考)】