説明

画像形成装置、方法及びプログラム

【課題】紙文書の綴じ方向を自動的に判断し、紙文書と同じ綴じ方向の電子文書を表示装置に送信することが可能な画像形成装置を提供する。
【解決手段】スキャナで読み込んだ紙文書を画像データにする手段と、該画像データの描画領域を認識する手段と、該認識された描画領域に基づいて該画像データの特徴となる情報を獲得する手段と、該獲得された情報に基づいて、該紙文書の綴じ方向を判断し、該画像データを該紙文書と同じ綴じ方向で見開き表示する文書に変換する手段を有することを特徴とする画像形成装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はスキャナで読み込んだ情報を電子化してサーバ等に送信する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スキャナで読み込んだ情報は、1イメージ単位(紙文書の1ページ単位)で電子化される。近年スキャナで電子化された情報をタブレット型の表示装置に表示する場合が増えている。加えて印刷書籍を裁断機等で裁断したものを電子化して表示装置に表示するといった場合もある。これらの場合、表示装置は電子化情報を1イメージ単位で表示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ユーザは紙文書を見開きの状態で見るため、1イメージ単位(紙文書の1ページ単位)の表示状態は、紙文書を見る場合と比較して利便性が悪い。特に絵本のような見開きで見ることを前提としている文書にとっては非常に利便性が悪くなる。また表示装置の機能で2ページを見開き表示することは可能であるが、その場合紙文書が本来右綴じなのか左綴じなのかの判断が表示装置はできないため、紙文書の本来の綴じ方向の表示にならない場合がある。ちなみにここで言う紙文書とは複数の紙を綴じた文書のことを指している。
【0004】
上記従来例に鑑み、紙文書の綴じ方向を画像形成装置で自動的に判断し、紙文書と同じ綴じ方向に設定した電子文書を、表示装置に送信することが可能な画像形成装置の提供が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、スキャナで読み込んだ紙文書を画像データにする手段と、該画像データの描画領域を認識する手段と、該認識された描画領域に基づいて該画像データの特徴となる情報を獲得する手段と、該獲得された情報に基づいて、該紙文書の綴じ方向を判断し、該画像データを該紙文書と同じ綴じ方向で見開き表示する文書に変換する手段を有することを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によって、紙文書の綴じ方向を自動的に判断し、紙文書と同じ綴じ方向の電子文書を作成する特徴と、見開き表示する電子文書の体裁を整える特徴により、紙文書を電子化して表示装置で見るユーザにとって、利便性が大幅に向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1、実施例2及び実施例3に係る画像形成システムの全体構成を説明する図である。
【図2】図1の画像形成システムの画像形成装置に用いられるエンジン部とスキャナ部を説明する図である。
【図3】実施例1に係る画像形成装置の処理を示すフローチャートである。
【図4】実施例1に係る画像形成装置で使用する紙文書及びスキャナデータの例である。
【図5】実施例1、実施例2及び実施例3に係る画像形成装置に用いられる表示器の設定画面の例である。
【図6】図1の画像形成システムの情報処理装置の中のドライバの設定画面の例である。
【図7】実施例2に係る画像形成装置の処理を示すフローチャートである。
【図8】実施例3に係る画像形成装置の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施例1〕
本発明の実施例1を、図1〜図6を用いて説明する。実施例1はスキャナデータの領域の左右余白から綴じ方向を決定した後、体裁を整えて見開き表示する例である。
【0009】
<画像形成システムの全体構成>
図1は本発明の実施例1に係る画像形成システムの全体構成である。即ち、画像形成システムは、情報処理装置1000、画像形成装置1001、エンジン部1028(図2で詳述)、表示器1029、スキャナ部1030(図2で詳述)及びHDD1031で構成される。
【0010】
情報処理装置1000は、ネットワーク接続している画像形成装置1001にプリントジョブを送信する。ネットワークとしては一般的にイーサネット(登録商標)があげられる。画像形成装置1001は、受信バッファ1002、ROM1003、CPU1015、RAM1016、エンジン転送部1025、表示器i/f部1026及びデバイスi/f部1027で構成される。
【0011】
ROM1003は画像形成装置1001のプログラムを格納する。ROM1003に格納されるプログラムには以下のモジュール1004〜1014が含まれる。コマンド解析部1004は、印刷制御言語を解析してPDLデータを作成する。中間データオブジェクト作成部1005はPDLデータから中間データオブジェクトを作成する。レンダリングデータ作成部1006は中間データオブジェクトからレンダリングデータを作成する。スキャナデータ解析部1007はスキャナデータを解析する。スキャナデータ処理部1008はスキャナデータを処理する。フォーマット処理部1009はスキャナデータのフォーマットを処理する。描画領域認識部1010は文書見開き表示モード時にスキャナデータの描画領域を認識する。文書見開き表示モード処理部1011は文書見開き表示モード時に対応する処理を行う。ネットワーク制御部1012はネットワーク制御を行う。表示器i/f制御部1013は表示器1029とのインタフェースである表示器i/f部1026の制御を行う。デバイスi/f制御部1014はスキャナ部1030とのインタフェースであるデバイスi/f部1027の制御を行う。
【0012】
RAM1016は画像形成装置1001で使用される記憶装置であり、以下のメモリ1017〜1024から構成される。PDLデータメモリ1017は、コマンド解析部1004によって印刷制御言語から作成されたPDLデータを格納する。中間データオブジェクトメモリ1018は、中間データオブジェクト作成部1005によってPDLデータから作成された中間データオブジェクトを格納する。レンダリングデータメモリ1019は、レンダリングデータ作成部1006によって中間オブジェクトから作成されたレンダリングデータを格納する。スキャナデータ解析メモリ1020はスキャナデータを解析する時に使用される。スキャナデータ用メモリ1021はスキャナデータを処理する時に使用される。フォーマット処理用メモリ1022はスキャナデータをフォーマット処理する時に使用される。文書見開き表示モード処理用メモリ1023は文書見開き表示モードの処理を行う時に使用される。表示用メモリ1024は表示器1029に表示する時に使用される。
【0013】
受信バッファ1002は情報処理装置1000から送られた印刷制御言語を一時的に蓄える。エンジン転送部1025はエンジン部1028にレンダリングデータを転送する。表示器i/f部1026は表示器1029に表示する情報を転送する。デバイスi/f部1027はスキャナ部1030との通信を行う。
【0014】
<スキャナ部とエンジン部の構成>
図2に画像形成装置に搭載したスキャナ部1030とエンジン部1028を示す。スキャナ部1030において、原稿給送装置2001が紙文書を最終頁から順に1枚ずつプラテンガラス2002上に搬送すると、ランプ2003が点灯し、スキャナユニット2004の移動を開始する。このスキャナユニット2004の移動により紙文書は露光走査される。この露光走査時の紙文書からの反射光は、ミラー2005、ミラー2006、ミラー2007及びレンズ2008を介してCCDイメージセンサ(以下CCD)2009へ導かれる。ここで、走査された紙文書画像はCCD2009によって光学的に読み取られてから光電変換により画像データに変換され、CCD2009から出力される。この出力画像データは所定の処理(<画像形成装置のスキャナ部の処理の説明>の項で説明)が施された後、デバイスi/f部1027を介してスキャナデータ解析メモリ1020に蓄えられる。なお紙文書は読取動作終了後、プラテンガラス2002上から排出される。
【0015】
エンジン部1028においては、画像データはレーザドライバ2010に入力される。レーザドライバ2010は入力された画像データに基づいてレーザ光を発光させるようにレーザ発光部2021を駆動する。レーザ発光部2021の駆動により発光したレーザ光は感光体ドラム2011上を走査しながら照射され、感光体ドラム2011上にレーザ光に基づいた静電潜像が形成される。この感光体ドラム2011上に形成された静電潜像は、現像器2012から供給される現象剤によって現像される。またレーザ光の照射開始と同期したタイミングで記録紙が、カセット2013あるいはカセット2014のいずれか一方から供給される。記録紙は感光体ドラム2011と転写部2015との間に搬送され、感光体ドラム2011上に形成された現像剤像は、転写部2015により給紙された記録紙に転写される。次に記録紙は定着部2016に搬送され、定着部2016による熱圧処理によって現像剤像が記録紙に定着する。次に記録紙は排出ローラ2017によって排出され、ソータ2020によって排出された記録紙がそれぞれのビンに収納される。また記録紙への両面記録が設定されている場合には排出ローラ2017の位置まで記録紙を搬送した後に、排出ローラ2017の回転方向を逆転させ、フラッパ2018によって再給紙搬送路2019へ導くように設定されている。
【0016】
<スキャナ部の処理>
CPU1015はCCD2009から出力された画像データを、アナログ/デジタル変換し、更にシェーディング処理を実施したあと、デバイスi/f部1027を介してスキャナデータ解析メモリ1020にスキャナデータとして格納する。
【0017】
<一般的なプッシュスキャン動作の処理>
CPU1015は、スキャナデータ解析メモリ1020に蓄えられたスキャナデータを、ROM1003のスキャナデータ解析部1007に記述されたプログラムに従って解析し、画像のエッジ部の抽出を行う。次にCPU1015は、ROM1003のスキャナデータ処理部1008に記述されたプログラムに従ってエッジ部にシャープネス等の適切な処理を行う。OCR(optical character reader)設定がされた場合はOCR処理を行い、その結果をRAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納する。次にCPU1015は、ROM1003のフォーマット処理部1009のプログラムに従ってRAM1016のスキャナデータ用メモリ1021のスキャナデータに対して、PDF(Portable Data Format)等のフォーマット変換を行なう。そして、その結果をRAM1016上のフォーマット処理用メモリ1022に格納する。次にCPU1015は、ROM1003のネットワーク制御部1012に記述されたプログラムに従ってRAM1016のフォーマット処理用メモリ1022に格納されているスキャナデータをプッシュスキャンの送信先に送信する。
【0018】
<画像形成装置の処理>
実施例1における画像形成装置の処理フローを図3〜図6を用いて説明する。先ず、S3001において、CPU1015は文書見開き表示モードになっているかどうかを調べる。文書見開き表示モードは表示器1029で設定可能である(図5で詳述)。文書見開き表示モードが設定されている場合、S3002において、原稿給紙装置2001にセットされた紙文書をスキャンする。スキャン処理においてCPU1015は、前述の処理(<スキャナ部とエンジン部の構成>及び<スキャナ部の処理>)の後、スキャナデータ解析メモリ1020のスキャナデータをROM1003のスキャナデータ解析部1007のプログラムに従って解析する。そして、画像のエッジ部の抽出を行う。
【0019】
S3003において、CPU1015はROM1003のスキャナデータ処理部1008に記述されたプログラムに従ってOCR処理を行うことで、文字情報を認識し、その結果をRAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納する。S3004において、CPU1015はROM1003の描画領域認識部1010に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納されているスキャナデータの描画領域を認識する。
【0020】
S3005において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、スキャナデータの描画領域を複数頁にわたって認識し、描画領域の平均値を算出する。S3006において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータの偶数頁と奇数頁それぞれの左右の余白量(余白情報)を獲得する。そして、その結果をRAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に格納する。
【0021】
S3007において、CPU1015は文書見開き表示モード処理部1011のプログラムに従って、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023にある左右の余白量のうち、偶数頁の左余白量が右余白量より小さいかどうかを調べる。偶数頁の左余白量が右余白量より小さい場合はS3008に進み、小さくない場合はS3009に進む。
【0022】
S3008において、CPU1015は文書見開き表示モード処理部1011のプログラムに従って、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023にある左右の余白量のうち、2頁目以降の奇数頁の左余白量が右余白量より大きいかどうかを調べる。偶数頁の左余白量が右余白量より小さく、かつ2頁以降の奇数頁の左余白量が右余白量より大きい場合、S3010において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を右綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を右、2頁以降の奇数頁の描画領域を左にセットする。
【0023】
S3011において、CPU1015は偶数頁の右余白量を左右の余白に、偶数頁の左余白量を中央の余白にセットする。S3014において、CPU1015はフォーマット処理部1009のプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータを、S3010及びS3011のレイアウトでフォーマット変換する。そして、RAM1016のフォーマット処理用メモリ1022に格納する。
【0024】
S3009において、CPU1015は文書見開き表示モード処理部1011のプログラムに従って、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023にある左右の余白量のうち、2頁以降の奇数頁の左余白量が右余白量より小さいかどうかを調べる。偶数頁の左余白量が右余白量より大きく、かつ2頁以降の奇数頁の左余白量が右余白量より小さい場合、S3012において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を左綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を左、2頁以降の奇数頁の描画領域を右にセットする。
【0025】
S3013において、CPU1015は偶数頁の左余白量を左右の余白に、偶数頁の右余白量を中央の余白にセットする。S3014において、CPU1015はフォーマット処理部1009のプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータを、S3012及びS3013のレイアウトでフォーマット変換する。そして、RAM1016のフォーマット処理用メモリ1022に格納する。
【0026】
ここで図3の処理フローの中で特にスキャナデータの領域及び描画領域の様子を、図4を用いて説明する。4001は右綴じの紙文書である。原稿搬送装置2001にセットするためには、右側を裁断する必要がある。4002は右側を裁断する様子である。裁断した紙文書を文書見開き表示モードに設定後、原稿搬送装置2001に紙文書の左側を先端にセットして、プッシュスキャンを実施する。4003〜4007はプッシュスキャン後のスキャナデータの領域であり、OCR処理を行うことで認識したスキャナデータの描画領域は4008〜4011である。文書見開き表示モードに設定すると不定形表紙でプッシュスキャンを実施するが、紙文書の用紙サイズは原稿搬送装置2001に装着しているセンサー(不図示)で認識可能である。
【0027】
表紙を除く2頁目(紙文書では表紙の裏頁)から複数頁のスキャナデータの描画領域を認識し、描画領域の平均値を抽出する。その結果が4012〜4015である。4012は偶数頁(紙文書では裏頁)のスキャナデータの領域であり、4013は偶数頁のスキャナデータの描画領域の平均値である。4014は2頁以降の奇数頁(紙文書では表頁)のスキャナデータの領域であり、4015は2頁以降の奇数頁のスキャナデータの描画領域の平均値である。4016〜4019は左右の余白領域の平均値である。4016は偶数頁の左余白であり、4017は偶数頁の右余白であり、4018は2頁以降の奇数頁の左余白であり、4019は2頁以降の奇数頁の右余白である。
【0028】
右綴じの紙文書では右側を裁断するため、4016の領域と4017の領域を比較すると、4016の領域は4017の領域より小さくなる。更に4018の領域と4019の領域を比較すると、4018の領域は4019の領域より大きくなる。4020は2頁以降の奇数頁を左に、偶数頁を右にして見開き表示にレイアウトし、更に偶数頁の右余白4017のサイズを左右の余白のサイズに、偶数頁の左余白4016のサイズを中央の余白のサイズにセットしたスキャナデータの領域である。
【0029】
4021は左綴じの紙文書である。原稿搬送装置2001にセットするためには、左側を裁断する必要がある。4022は左側を裁断する様子である。裁断した紙文書を文書見開き表示モードに設定後、原稿搬送装置2001に紙文書の左側を先端にセットして、プッシュスキャンを実施する。4023〜4027はプッシュスキャン後のスキャナデータの領域であり、OCR処理を行うことで認識したスキャナデータの描画領域は4028〜4031である。文書見開き表示モードに設定すると不定形表紙でプッシュスキャンを実施するが、紙文書の用紙サイズは原稿搬送装置2001に装着しているセンサー(不図示)で認識可能である。
【0030】
表紙を除く2頁目(紙文書では表紙の裏頁)から複数頁のスキャナデータの描画領域を認識し、描画領域の平均値を抽出する。その結果が4032〜4035である。4032は偶数頁(紙文書では裏頁)のスキャナデータの領域であり、4033は偶数頁のスキャナデータの描画領域の平均値である。4034は2頁以降の奇数頁(紙文書では表頁)のスキャナデータの領域であり、4035は2頁以降の奇数頁のスキャナデータの描画領域の平均値である。4036〜4039は左右の余白領域の平均値である。4036は偶数頁の左余白であり、4037は偶数頁の右余白であり、4038は2頁以降の奇数頁の左余白であり、4039は2頁以降の奇数頁の右余白である。
【0031】
左綴じの紙文書では左側を裁断するため、4036の領域と4037の領域を比較すると、4036の領域は4037の領域より大きくなる。更に4038の領域と4039の領域を比較すると、4038の領域は4039の領域より小さくなる。4040は偶数頁を左に、2頁以降の奇数頁を右にして見開き表示にレイアウトし、更に偶数頁の左余白4036のサイズを左右の余白のサイズに、偶数頁の右余白4037のサイズを中央の余白のサイズにセットしたスキャナデータの領域である。
【0032】
<表示器の説明>
図5に画像形成装置に用いる表示器1029を示す。表示器1029のプリンタ設定の特殊設定を押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン5001が表示される。該設定がチェックされることによって、図3のフローのS3002以降の処理に移行する。該設定をチェックするか否かの判断材料として、プッシュスキャンする紙文書が裁断されているか否かがある。
【0033】
なお、実施例1では画像形成装置内にエンジン部とスキャナ部が搭載される構成であるが、スキャナ部がない画像形成装置とスキャナを通信ケーブルで接続した構成でも同様の効果が得られる。また、本実施例では画像形成装置のエンジン部を電子写真方式の構成としたが、インクジェット方式等電子写真方式とは異なる方式でも同様の効果が得られる。また、本実施例ではスキャナ部の原稿給紙装置を使用してスキャンしたが、プラテンガラス2002に紙文書を1枚毎セットしてスキャンしても同様の効果が得られる。
【0034】
また、本実施例では画像形成装置内からスキャナの起動開始をかけるプッシュスキャンでスキャナ動作させたが、情報処理装置からスキャナの起動開始をかけるプルスキャンでスキャン動作させても同様の効果が得られる。その場合の動作方法について説明する。図6は情報処理装置にインストールしたドライバの画面である。スキャンドライバのオプションのタブを押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン6001が表示される。該設定がチェックされることによって、図3のフローのS3002以降の処理に移行する。
【0035】
〔実施例2〕
実施例2を図5〜図7を用いて説明する。実施例2はスキャナデータにおける文字の並び方向から綴じ方向を決定して見開き表示する例である。なお、図1、図2の構成、及び<画像形成システムの全体構成>、<スキャナ部とエンジン部の構成>、<スキャナ部の処理>、<一般的なプッシュスキャン動作の処理>に関する上述の説明は、本実施例にも適用される。
【0036】
<画像形成装置の処理>
実施例2における画像形成装置の処理フローを図7を用いて説明する。先ず、S7001において、CPU1015は文書見開き表示モードになっているかどうかを調べる。文書見開き表示モードは表示器1029で設定可能である(図5で詳述)。文書見開き表示モードがセットされている場合、S7002において、原稿給紙装置2001にセットされた紙文書をスキャンする。スキャン処理においてCPU1015は、前述の処理(<スキャナ部とエンジン部の構成>及び<スキャナ部の処理>)の後、スキャナデータ解析メモリ1020のスキャナデータをROM1003のスキャナデータ解析部1007のプログラムに従って解析する。そして、画像のエッジ部の抽出を行う。
【0037】
S7003において、CPU1015はROM1003のスキャナデータ処理部1008に記述されたプログラムに従ってOCR処理を行うことで、文字情報を認識し、その結果をRAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納する。S7004において、CPU1015はROM1003の描画領域認識部1010に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納されているスキャナデータの描画領域を認識する。
【0038】
S7005において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、スキャナデータの描画領域を複数頁にわたって認識し、描画領域の平均値を算出する。S7006において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータの文字の行方向情報を獲得する。そして、その結果をRAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に格納する。
【0039】
S7007において、CPU1015はROM1003の文書見開き表示モード処理部1011に記述されたプログラムに従って、RAM1016の文書見開き表示モード化処理用メモリ1023にある文字の行方向が縦かどうか(縦書きかどうか)を調べる。が縦書きの場合、S7008において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を右綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を右、2頁以降の奇数頁の描画領域を左にセットする。が縦書きではない場合(横書きの場合)、S7009において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を左綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を左、2頁以降の奇数頁の描画領域を右にセットする。
【0040】
S7010において、CPU1015は偶数頁の左余白量を左右の余白に、偶数頁の左余白量の半分の量を中央の余白にセットする。S7011において、CPU1015はフォーマット処理部1009に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータを、S7008またはS7009のレイアウトでフォーマット変換する。そして、RAM1016のフォーマット処理用メモリ1022に格納する。
【0041】
<表示器の説明>
図5を用いて、本実施例における表示器1029の動作を説明する。表示器1029のプリンタ設定の特殊設定を押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン5001が表示される。該設定がチェックされることによって、図7のフローのS7002以降の処理に移行する。
【0042】
なお、実施例2では画像形成装置内からスキャナの起動開始をかけるプッシュスキャンでスキャナ動作させたが、情報処理装置からスキャナの起動開始をかけるプルスキャンでスキャン動作させても同様の効果が得られる。その場合の動作方法について説明する。図6は情報処理装置にインストールしたドライバの画面である。スキャンドライバのオプションのタブを押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン6001が表示される。該設定がチェックされることによって、図7のフローのS7002以降の処理に移行する。
【0043】
〔実施例3〕
実施例3を図5、図6及び図8を用いて説明する。実施例3はスキャナデータにある特定の目印から綴じ方向を決定して見開き表示する例である。なお、図1、図2の構成、及び<画像形成システムの全体構成>、<スキャナ部とエンジン部の構成>、<スキャナ部の処理>、<一般的なプッシュスキャン動作の処理>に関する上述の説明は、本実施例にも適用される。
【0044】
<画像形成装置の処理>
実施例3における画像形成装置の処理フローを図8を用いて説明する。先ず、S8001において、CPU1015は文書見開き表示モードになっているかどうかを調べる。文書見開き表示モードは表示器1029で設定可能である(図5で詳述)。文書見開き表示モードがセットされている場合、S8002において、原稿給紙装置2001にセットされた紙文書をスキャンする。スキャン処理においてCPU1015は、前述の処理(<スキャナ部とエンジン部の構成>及び<スキャナ部の処理>)の後、スキャナデータ解析メモリ1020のスキャナデータをROM1003のスキャナデータ解析部1007のプログラムに従って解析する。そして、画像のエッジ部の抽出を行う。
【0045】
S8003において、CPU1015はROM1003のスキャナデータ処理部1008に記述されたプログラムに従ってOCR処理を行うことで、文字情報を認識し、その結果をRAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納する。S8004において、CPU1015はROM1003の描画領域認識部1010に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータ用メモリ1021に格納されているスキャナデータの描画領域を認識する。
【0046】
S8005において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、スキャナデータの描画領域を複数頁にわたって認識し、描画領域の平均値を算出する。S8006において、CPU1015はROM1003の文書見開きモード処理部1011に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータにタブ情報があるかどうかを調べる。タブ情報があれば、タブが左右どちらにあるかを示す情報をRAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に格納する。タブとは文書の希望する頁に素早く至るための印であり、文書の端にある。
【0047】
S8007において、CPU1015はROM1003の文書見開き表示モード処理部1011に記述されたプログラムに従って、RAM1016の文書見開き表示モード化処理用メモリ1023にあるタブが左にあるかどうかを調べる。タブが左にある場合、S8008において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を右綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を右、2頁以降の奇数頁の描画領域を左にセットする。タブが左にない場合、S8009において、CPU1015はスキャナデータの綴じ方向を左綴じと判断する。そして、RAM1016の文書見開き表示モード処理用メモリ1023に見開き情報をセットした後、偶数頁の描画領域を左、2頁以降の奇数頁の描画領域を右にセットする。
【0048】
S8010において、CPU1015は偶数頁の左余白量を左右の余白に、偶数頁の左余白量の半分の量を中央の余白にセットする。S8011において、CPU1015はフォーマット処理部1009に記述されたプログラムに従って、RAM1016のスキャナデータメモリ1021に格納されているスキャナデータを、S8008またはS8009のレイアウトでフォーマット変換する。そして、RAM1016のフォーマット処理用メモリ1022に格納する。
【0049】
<表示器の説明>
図5を用いて、本実施例における表示器1029の動作を説明する。表示器1029のプリンタ設定の特殊設定を押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン5001が表示される。該設定がチェックされることによって、図8のフローのS8002以降の処理に移行する。
【0050】
なお、実施例3では画像形成装置内からスキャナの起動開始をかけるプッシュスキャンでスキャナ動作させたが、情報処理装置からスキャナの起動開始をかけるプルスキャンでスキャン動作させても同様の効果が得られる。その場合の動作方法について説明する。図6は情報処理装置にインストールしたドライバの画面である。スキャンドライバのオプションのタブを押下すると、“文書見開き表示モード”を設定するアイコン6001が表示される。該設定がチェックされることによって、図8のフローのS8002以降の処理に移行する。
【0051】
〔その他の実施例〕
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキャナで読み込んだ紙文書を画像データにする手段と、該画像データの描画領域を認識する手段と、該認識された描画領域に基づいて該画像データの特徴となる情報を獲得する手段と、該獲得された情報に基づいて、該紙文書の綴じ方向を判断し、該画像データを該紙文書と同じ綴じ方向で見開き表示する文書に変換する手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
該特徴となる情報は該画像データの頁の左右の余白を示す情報であり、該変換する手段は、該画像データの偶数頁の左余白が右余白より小さく、かつ奇数頁の左余白が右余白より大きい場合は、該紙文書を右綴じと判断し、該画像データを右綴じで見開き表示する文書に変換し、該画像データの偶数頁の左余白が右余白より大きく、かつ奇数頁の左余白が右余白より小さい場合は、該紙文書を左綴じと判断し、該画像データを左綴じで見開き表示する文書に変換することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
該変換する手段は、該画像データの頁の余白の大きい方を変換する文書の左右の余白領域にし、小さい方を変換する文書の中央の余白領域にすることを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
該特徴となる情報は該画像データの文字の行方向であり、該変換する手段は、文字の行方向が縦の場合は、該紙文書を右綴じと判断し、該画像データを右綴じで見開き表示する文書に変換し、文字の行方向が横の場合は、該紙文書を左綴じと判断し、該画像データを左綴じで見開き表示する文書に変換することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
該特徴となる情報は該画像データの頁のタブの位置を示す情報であり、該変換する手段は、タブの位置が左側にある場合は、該紙文書を右綴じと判断し、該画像データを右綴じで見開き表示する文書に変換し、タブの位置が右側にある場合は、該紙文書を右綴じと判断し、該画像データを左綴じで見開き表示する文書に変換することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
該変換する手段は、該画像データの頁の余白を変換する文書の左右の余白領域にし、該画像データの余白の半分の領域を変換する文書の中央の余白領域にすることを特徴とする請求項1、4及び5のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項7】
該画像データの頁の余白領域を数頁にわたって調べ、該余白領域の平均を獲得する手段をさらに有することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
文書見開き表示モードを設ける手段をさらに有し、該文書見開き表示モードが設定された場合に、画像形成が実行されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
スキャナで読み込んだ紙文書を画像データにする工程と、該画像データの描画領域を認識する工程と、該認識された描画領域に基づいて該画像データの特徴となる情報を獲得する工程と、該獲得された情報に基づいて、該紙文書の綴じ方向を判断し、該画像データを該紙文書と同じ綴じ方向で見開き表示する文書に変換する工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1〜8のいずれか1項に記載の画像形成装置に記載の各手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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