画像形成装置、画像形成システム、出力用画像データ処理方法、プログラム及び記録媒体
【課題】不要な印刷出力を行わず、資材や電力の無駄な消費をなくす。
【解決手段】プリンタは、利用者のウェブページにある広告等のイメージ画像の出力を不要とするか否かの指示を受付け、受信した印刷データを解析し得られる描画コマンドがイメージであれば(ステップS103-YES)、利用者による選択に基づく前記指示が非描画又は描画か判断し(ステップS104)、その指示に従い描画処理を行う。これにより、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いた文字情報のプリント出力を可能にし、不要なイメージ情報のプリント出力をなくす。
【解決手段】プリンタは、利用者のウェブページにある広告等のイメージ画像の出力を不要とするか否かの指示を受付け、受信した印刷データを解析し得られる描画コマンドがイメージであれば(ステップS103-YES)、利用者による選択に基づく前記指示が非描画又は描画か判断し(ステップS104)、その指示に従い描画処理を行う。これにより、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いた文字情報のプリント出力を可能にし、不要なイメージ情報のプリント出力をなくす。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データをもとに描画処理を行い、生成される出力用画像データにより記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置に関し、処理対象の印刷データに対しイメージデータの描画処理を行わずに画像出力処理を行わせる制御を行う画像形成装置、画像形成システム、出力用画像データ処理方法、前記制御を実行するためのプログラム及び該プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種メディアを介して伝えられる新聞記事、ウェブページ等の記事を閲覧し、閲覧した記事を紙媒体に記録した形で保管するために、プリント出力(印刷)する場合がある。
ウェブページの場合、インターネットに接続したPC(Personal computer)は、ネットワークから取得し閲覧するウェブページの印刷が指示されると、プリンタ、複合機等の機器が処理可能な形式の印刷データに変え、作成した印刷データを印刷コマンドとしてこれらの出力機器へ送信する。印刷データは、PCに搭載したプリンタドライバが作成し、作成された印刷データは、文字、グラフィックス、イメージ等の各描画オブジェクトからなるデータ構成をとり、各描画オブジェクトの属性に応じた条件で印刷する。
また、紙媒体に印刷された新聞記事等の場合、処理対象の原稿を画像読取装置で読取り、得られる画像データを基に、プリント出力用の画像データに変換し、このデータによりプリンタを動作させて紙媒体に画像を作成(複写)して、保管に都合の良い形で画像を再生する。
【0003】
ところで、文字情報が中心のウェブページを閲覧する際、必要なウェブページの印刷を指示すると、従来は、処理対象のページにある文字データのほか、イメージデータを含む全てのデータを取り込んだ印刷データをプリンタドライバが作成し、作成される印刷データによってプリント出力が行われる。ただ、プリント出力の対象となるページ内には、本来の記事内容と関連のない広告や宣伝が付加されていることがある。また、このような広告や宣伝は、多くの場合、インパクトを与えるために大きいイメージサイズと鮮やかな色を使用している。
しかし、利用者によっては、広告や宣伝に使われているイメージの画像が不要な場合があり、また、不要な画像のためにトナーや記録用紙が消費されるのは無駄である。
【0004】
このような問題に対応して、ウェブページをプリント出力する際に、閲覧するウェブページを構成するデータのうち利用者が必要としないデータを除去する手法が、例えば、特許文献1(特開2007−257069号公報)で提案されている。
特許文献1には、ウェブページを印刷する際、バナー(インターネットのホームページに貼られている細長い見出し画像)広告を削除して印刷するために、バナー広告にリンクされている広告URLの除去リストを持ち、ウェブページの印刷実行時に対象ページのhtmlデータ中に、前記広告URLの除去リストにあるURLが存在していたとき、当該URLが含まれるタグを無視して印刷データを作成することが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された従来技術は、ウェブページ印刷時に、除去リストに載ったURLにリンクされたバナー広告に限って除去するもので、上述の状況を改善する、即ち文字情報を主とする記事内容と関連のない不要なイメージ情報の画像を出力させないようにし、不要な画像を出力することによる無駄をなくすには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、不要なイメージ情報が含まれた印刷データに対しイメージ情報を出力対象にしないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置であって、前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付手段と、前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出手段と、前記出力指示受付手段が前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データのうち、前記イメージデータ検出手段によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御手段を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不要なイメージ情報が含まれた印刷データに対しイメージ情報を出力対象にしないよう出力用画像データの処理を行うことで、必要な情報だけをプリント出力でき、不要なイメージ情報のプリント出力を行わない。そのためプリント出力に掛かる無駄をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。
【図2】図1に示したコントローラに搭載したデータ処理系のソフトウェア構成を機能ブロックにて示す図である。
【図3】実施形態1に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する制御に係る処理手順を示すフロー図である。
【図4】実施形態1に係るプリンタにおける印刷データを解析する処理の説明図である。
【図5】実施形態1に係るプリンタにおけるイメージ画像の描画/非描画を選択する操作画面を示す図である。
【図6】実施形態1に係るプリンタにおいて処理対象の印刷データのイメージデータを非描画とする描画処理の結果を説明する図である。
【図7】実施形態2に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字行単位の文字列で埋める文字画像の配置を説明する図である。
【図8】実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図9】実施形態3に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字列単位で埋める文字画像の配置を説明する図である。
【図10】実施形態3に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図11】実施形態4に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を埋める文字画像の配置及び付加されるマークを説明する図である。
【図12】実施形態4に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図13】実施形態5に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画とする動作モードにおける例外の処理を説明する図である。
【図14】実施形態5に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下、本発明の画像形成装置を、その実施形態として、PDL(ページ記述言語)により記述された印刷データ(以下、「PDLデータ」ともいう)を基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成するプリンタを例に採って説明する。
本プリンタは、印刷データの描画処理時に不要なイメージデータの描画処理を行わずに、このイメージデータを空白にした出力を行う画像出力処理機能を有する。
【0011】
この画像出力処理機能は、利用者からイメージデータの画像出力を不要とする指示がなされたときに、指示に応じてこの処理を実行し、他方、この処理の実行指示がなければ、イメージデータを含め受信した印刷データ全部の画像出力を行う通常の画像出力処理を行うようにし、これらの動作モード間で動作を切替えて画像出力を行う機能である。
つまり、本プリンタは、イメージデータの画像出力が不要か否かの処理を指示することで、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いて必要な文字情報のプリント出力を可能にするため、無駄をなくすことができる。
なお、ここでは、画像形成装置の実施形態としてプリンタを例に採ったが、プリンタエンジンを搭載して印刷データのプリント出力ができるものであれば、プリンタ以外の例えば、複合機であってもよい。
【0012】
[ハードウェア構成の概要]
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。
本プリンタ20は、プリンタ20全体を制御するコントローラ10と、描画された出力用画像データをもとに記録用紙に画像を形成するプリンタエンジン23と、表示部と入力キー等の操作部を備えユーザーインターフェースとしての機能を提供する操作パネル24を有する。
【0013】
コントローラ10は、ソフトウェアプログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processing Unit)11と、コントローラを動作させるためにCPU11によって使用される制御プログラムや制御用データ等を保存(格納)するROM(Read Only Memory)12と、前記制御プログラムによって生成される描画された出力用画像データなどを一時的に保存するページ(フレーム)メモリ、或いはソフトウェアプログラムの動作に必要なデータを保存するワークメモリとして利用するRAM(Random Access Memory)13と、機器に依存する処理条件等の設定データ、プリンタ20の管理情報などを保存しておく不揮発性メモリであるNVRAM(Non Volatile RAM)14と、を構成要素として有する。つまり、CPU11、ROM12、RAM13、NVRAM14の各要素よりなるコンピュータでコントローラ10を構成する。
【0014】
さらに、コントローラ10は、プリンタエンジン23との間でデータを交換するためのエンジンI/F(インターフェース)16と、操作パネル24との間でデータを交換するための操作パネルI/F17と、ネットワーク上に接続された、プリンタドライバ等の印刷データを作成する手段を搭載したホスト装置としてのPC(以下、「ホストPC」という)40との間でデータを交換するためのネットワークI/F15を構成要素として有する。
なお、コントローラ10を構成する上記の各要素は、それぞれ内部バス19を介して接続されている。
また、ネットワークI/F15と通信手段(不図示)で接続したホストPC40と、プリンタ20とにより構成するシステムを画像形成システムという。
【0015】
コントローラ10は、ホストPC40から受信した印刷データに基づいて、各種の変換処理を含む描画処理を行い、印刷出力に用いる画像データを生成し、プリンタエンジン23で出力を行わせる。RAM13は、ホストPC40からの印刷データ、該印刷データから生成される中間データ形式の画像データ、ラスタ形式のピクセルデータ、その後段の処理で生成されるプリント出力に用いる画像データを記憶する。
コントローラ10のCPU11は、ROM12やNVRAM14などの記憶装置に保存された制御プログラム及び制御や処理の動作条件に係る設定情報を読出し、CPU11の作業メモリ領域を提供するRAM13のメモリ領域に展開し、またRAM13を画像形成処理の作業領域として利用することによって、後述する図2に示す各機能を実現する手段を構成する。
【0016】
[ソフトウェア構成]
ホストPC40は、所定のプリンタドライバを使用して、アプリケーションによって作成もしくは処理した文書(ウェブページを含む)を、各種の描画コマンドを含む描画条件を記述した印刷データに変換して、ネットワーク30経由でプリンタ20に送信し、プリント出力を要求する。上記描画コマンドは、通常、文字、イメージ、グラフィックの各描画オブジェクトを指示するコマンドである。また、上記印刷データは、PostScript(登録商標)、PCL(登録商標)、RPDL(登録商標)など、各種のPDLで記述されたデータで表現される。
【0017】
図2は、図1に示したコントローラ10に搭載したデータ処理系のソフトウェア構成を機能ブロックにて示す図である。
図2のソフトウェアで構成するコントローラ10のデータ処理系は、コントローラ10のプログラムによる機能実現手段として、プリンタシステム制御部104と、印刷データ受信部102、印刷データ解析・描画部105、操作パネルI/F17の各部を有する。
【0018】
印刷データ受信部102は、ホストPC40から通信手段を介してプリンタ20に入力された印刷データを受信する機能を実行する。
プリンタシステム制御部104は、プリンタ20全体を制御する機能を有するので、プリンタ20の状態を管理するとともに、印刷データを基に行う画像出力処理に係る動作の制御を含め、入力された印刷データの処理を管理する。プリンタ20の状態の管理に係る動作として、UI(ユーザーインターフェース)として機能する操作パネルI/F17を介して操作パネル24と情報交換する。つまり、対話形式で利用者にプリンタ20の状態を通知し、かつ利用者がプリンタ20に対して行う動作条件等の指示を受付ける。また、画像出力処理に係る動作として、印刷データ受信部102から受信した印刷データを受取り、印刷データの解析・描画に必要な情報を、印刷データ解析・描画部105に渡す。
プリンタシステム制御部104は、上記のプリント出力の際にイメージデータの出力を不要とするか否かの指示に応じて、イメージデータを描画/非描画のいずれかの動作モードで行う画像出力処理手順を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
【0019】
印刷データ解析・描画部105は、印刷データを解析し、描画コマンド(描画オブジェクトやその属性)と色や透過設定などを持つ描画設定情報等からなる描画条件を表す中間データを生成し、生成した中間データを基に各描画オブジェクトのレンダリング処理を行うことでプリント出力用の画像データを生成する機能を実行する。生成した画像データは、RAM13に保存する。
なお、描画処理を行うとき、印刷データ解析・描画部105は、イメージデータを非描画とする動作モードがプリンタシステム制御部104によって指示されると、この指示に従い、イメージ描画オブジェクトの描画処理を行わない。
【0020】
イメージデータを非描画とする動作モードの選択は、操作パネル24からイメージデータの画像出力を不要とするプリント出力の指示操作が利用者によって行われ(後記図6の説明、参照)、この指示操作を受付ける方法で行うか、或いは、プリンタドライバにこの指示を行う機能を持たせ、印刷データの一部にイメージデータの画像出力が不要であることを示す指示データを付加することによって実施できる。
【0021】
なお、印刷データ中のイメージデータを非描画とする処理における、印刷データ中のイメージデータの検出はイメージデータ検出手段で行う。具体的には、本実施形態のプリンタにおけるPDLにより記述された印刷データの場合には、PDLデータを基にプリント出力用画像データを生成する過程で行う描画コマンドの解析に基づいて行う。他方、例えば、スキャナ(原稿画像読取装置)で読取った印刷データが入力された場合には、スキャナ入力データからイメージデータを検出する手段(例えば、後述する像域分離処理手段)により行う。
【0022】
[描画条件に対応する画像出力処理]
次に、本実施形態のプリンタにおいて、利用者からイメージデータの画像出力を不要とする指示がされたときに、指示に応じた画像出力処理を行わせる制御動作について、詳細に説明する。
なお、以下では、ウェブページに対する印刷要求として、処理対象の印刷データがPDLデータである場合を例に採って説明をする。
利用者は、処理対象が文字情報により表される記事が中心のウェブページの一部に含まれるイメージデータが不要であると判断した場合、ウェブページに対する印刷要求をする際、操作パネル24等を通して、イメージデータの画像出力を行わないプリント出力を指示する。
プリンタシステム制御部104は、上記のプリント出力の指示に応じて、イメージデータを非描画とする動作モードでの画像出力処理手順を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
【0023】
次に、実施形態1〜実施形態5に係るプリンタにおいて、利用者の指示により、イメージデータを非描画とする動作モードが選択されたときに行われる、それぞれの処理手順を添付するフロー図を参照して説明する。
実施形態1に係るプリンタは、イメージデータを非描画とする動作モードで画像出力処理を実行する制御の基本動作を行う。
実施形態2〜実施形態4に係るプリンタは、イメージデータを非描画とする動作モードが選択された場合に、イメージデータを非描画としたことにより生じる空白を埋める処理手順を、文字データに対する画像出力処理の手順に付加して行う。
実施形態5に係るプリンタは、実施形態1に係るプリンタにおけるイメージデータを非描画とする動作モードの画像出力処理において、例外としてイメージデータの描画を行う制御動作を行う。
【0024】
「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」
この実施形態に係るプリンタ20は、プリンタシステム制御部104がイメージデータを非描画とするか否かの動作モードを選択する指示を受け、イメージデータを非描画とする動作モードで印刷データに基づく画像出力処理を実行する制御に係る基本動作を実施する。ここで、イメージデータを非描画とする動作モードとは、イメージデータを含め処理対象の印刷データ全部の画像出力を行う通常の画像出力処理と相違して、イメージデータの画像出力を行わない動作モードである。
【0025】
図3は、本実施形態に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する制御に係る処理手順を示すフロー図である。
プリンタ20に電源が投入された後、初期化処理が終了し、印刷データの受信ができる状態になったことを判断すると、プリンタシステム制御部104は、直ちに図3の処理フローを起動する。
プリンタシステム制御部104は、図3の処理フローを起動すると、印刷データが何時送信されてきても受信できる状態で待機し、ホストPC40から送られてくる印刷データを受信する印刷データ受信部102から渡される受信印刷データを受取る(ステップS101)。
【0026】
受信した処理対象の印刷データは、PDLデータであり、PDLデータは、複数の描画コマンド群の形式で記述されている(下記図4、参照)ので、先ず、印刷データを解析し、各描画コマンド(描画オブジェクトやその属性)、描画設定情報等からなる描画条件を表す中間データを生成する(ステップS102)。印刷データの解析は、印刷データ解析・描画部105が行う。
図4は、実施形態1に係るプリンタにおける印刷データを解析する処理の説明図である。同図Aは、処理対象の印刷データ200Sの一例について、そのデータ内容を表す図であり、「広告」と示した欄のイメージ画像と、「広告」欄以外の文字列欄とからなる。上記で欄と表現したのは、印刷データ200Sの印刷領域を構成する複数の矩形領域それぞれが描画コマンドによって描画データを指示する単位となるからである。よって、印刷データ200Sを解析すると、図4Bの中間データ200Aに示すデータ内容の描画コマンド群が解析結果として得られる。
【0027】
印刷データ200Sを解析し得られた(生成した)中間データ200Aにおける描画コマンド0は、印刷領域の上部の「広告」欄に当たる。描画コマンド0は、図4Cに拡大して示すように、「描画種類」として「イメージ」であること、また「描画データ」として色及び描画領域を定義するデータによってコマンドを指示している。
また、中間データ200Aにおける描画コマンド1は、印刷領域上部の「広告」欄の次の文字列欄に当たる。描画コマンド1は、図4Dに拡大して示すように、「描画種類」として「文字」であること、また「描画データ」として色、描画領域、フォントサイズ及び文字数を定義するデータによってコマンドを指示している。なお、描画コマンド0,1,・・・に対応付けて、イメージ情報或いはフォント情報が保存され、描画処理に用いられる。
上記のような形式で、印刷データを構成する描画コマンド群によって印刷領域の全部の画像領域の描画データが指定される。
【0028】
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理の図3のフローでは、ステップS102で解析された描画コマンドの指示による描画処理を行うが、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示が利用者によってなされ、プリンタシステム制御部104は、指示に従い選択される動作モードで描画処理を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
処理手順としては、描画コマンドの一つずつを処理の対象としていくので、プリンタシステム制御部104は、先ず、処理対象の描画コマンドがイメージであるか否かを判断する(ステップS103)。
ステップS103の判断の結果、処理対象の描画コマンドがイメージでなければ(ステップS103-N0)、プリンタシステム制御部104は、描画コマンドの指示による描画処理を印刷データ解析・描画部105に行わせる(ステップS105)。
【0029】
ステップS103の判断の結果、処理対象の描画コマンドがイメージであれば(ステップS103-YES)、プリンタシステム制御部104は、次いで、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されているか否かを判断する(ステップS104)。プリンタシステム制御部104は、受け付けた印刷データによる印刷ジョブを管理しており、操作パネル24で利用者によって選択された描画/非描画の指示についても、操作パネルI/F17を介し通知されて印刷ジョブの処理に必要な情報として管理しているので、この管理情報を参照することにより、指示がイメージ画像の非描画であるか否かを判断する。
【0030】
操作パネル24において、利用者によるイメージ画像の描画/非描画を選択する操作画面は、例えば、図5に示す画面24dを用意する。図5の画面には、「イメージデータ印刷設定」と題し、「する」ボタン243と「しない」ボタン244の各操作ボタンを設ける。プリンタシステム制御部104は、いずれかを選択するボタン操作を検知することで、イメージ画像の描画/非描画を選択する利用者の指示を受け付ける。
【0031】
ステップS104でイメージ描画コマンドに対し非描画が選択されていれば(ステップS104-YES)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行わずに、未処理の次の描画コマンドに対するステップS103からの処理に移行する。
他方、ステップS104でイメージ描画コマンドに対し非描画が選択されていなければ(ステップS104-NO)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS105)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0032】
図6は、実施形態1に係るプリンタにおいて処理対象の印刷データのイメージデータを非描画とする描画処理の結果を説明する図である。同図Aは、処理対象の印刷データ200Sの一例について、そのデータ内容を表す図であり、「広告」と示した欄のイメージ画像と、「広告」欄以外の文字列欄とからなる。イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したとき、印刷データ200Sのイメージ画像の「広告」欄は非描画であるから、その矩形領域は、処理結果を示す図6Bにおけるプリント出力した画像200Pにおいて、全て印刷のされない空白の領域となる。
【0033】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理によると、ウェブページにおける広告等のイメージ画像が不要な場合に、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードでプリント出力を行えるようにすることで、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いた形で必要な文字情報のプリント出力を可能にし、また、不要なイメージ情報のプリント出力を行うために用いる資材や電力の無駄な消費をなくすことができる。
【0034】
「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」
上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理では、イメージデータを非描画とする動作モードが選択された場合に、印刷領域の本来イメージ画像が描画される領域が矩形の空白になるが、次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、この空白領域を利用者の利便に配慮して他の画像で埋める処理(以下、「空白補修処理」という)手順を付加したものである。本実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、印刷データに文字描画コマンドがあることを前提に、文字行単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修するように、文字画像を配置し直す処理を行って、プリント出力する。
【0035】
図7は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字行単位の文字列で埋める文字画像の配置を説明する図である。
図7Aは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したときに得られる印刷データの処理結果を示す、図6Bと同様の画像200P1である。
この画像200P1は、印刷領域の本来はイメージ画像が描画される領域であるが、全て印刷のされない空白の領域となっている。
【0036】
図7Aの画像200P1におけるこれらの空白の領域のうち、文字行単位の空白領域は、同図中の領域S1及び領域S2である。この文字行単位の空白領域S1,S2は、無意味に空白のままにしておくより、後段にある行単位の文字列でこの空白領域を埋めることができれば、その方が読み易い。
そこで、文字行単位の空白領域を後段の行単位の文字列を繰り上げ配置することで埋める処理を行う。図7Bは、この処理を行った結果得られる印刷領域の画像200P2を示すものである。同図に示すように、図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2は、それぞれ各空白領域の直ぐ後の段にある行単位の文字列によって空白が埋められて、文字行単位のサイズの空白領域はいずれも無くなっている。
こうした処理を付加することで、目的とする読み易い文書の形に印刷領域の画像200P2に変更することができる。
【0037】
図8は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。なお、図8のステップS201〜S204は、図3のステップS101〜S104に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS101〜S104の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタの画像出力処理の図8のフローでは、上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理フロー(図3)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS203,S204,S209)。
【0038】
ステップS203で、処理対象の描画コマンドがイメージでなければ(ステップS203-NO)、プリンタシステム制御部104は、次に、処理対象の描画コマンドが文字であるか否かを判断する(ステップS205)。
ステップS205の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字でなければ(ステップS205-NO)、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理で付加する空白補修処理の対象にならない描画コマンドであるから、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、ステップS209の描画処理に移行する。
他方、ステップS205の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字であれば(ステップS205-YES)、次いで、利用者によるイメージ画像の描画/非描画を選択、即ち、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されているか否かを判断する(ステップS206)。
ステップS206で非描画が選択されていなければ(ステップS206-NO)、イメージ画像の非描画による空白が生じず、補修処理の必要もないので、何の付加的な処理を行うことなく、直ちに処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS209に移行する。
【0039】
ステップS206で非描画が選択されていれば(ステップS206-YES)、イメージ画像の非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、この処理対象の描画コマンドである文字画像の前段に生じる空白領域が文字行単位の空白であるか否かを判断する(ステップS207)。
ステップS207の判断の結果、文字画像の前段に生じる空白領域が文字行の納まる文字行単位の空白でなければ(ステップS207-NO)、空白を文字画像で補修できないので、プリンタシステム制御部104は、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS209に移行する。
【0040】
他方、ステップS207の判断の結果、文字画像の前段に生じる空白領域が文字行の納まる文字行単位の空白であれば(ステップS207-YES)、プリンタシステム制御部104は、次いで、処理対象の文字コマンドに対し、空白領域を補修するための処理を行う(ステップS208)。
この処理は、前段で生じる空白領域を後段の行単位の文字列で埋めるように、処理対象になっている文字画像の繰り上げ配置を行う。具体的には、プリンタシステム制御部104は、文字行単位で生じる空白領域のすぐ後段にある処理対象文字の描画コマンドのY座標値を繰り上げ配置する文字行分だけ変更する処理を行う。変更した描画コマンドを描画処理に用いる。
なお、この繰り上げ配置処理は、行単位で文字列を繰り上げることができれば、最下段に係る文字の描画コマンドまで順次行うことで、行単位で空白領域が生じることのない図7Bに示すような結果が得られる。
上記の処理手順を経て、処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS209)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0041】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理に加え、例示した図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2それぞれを直ぐ後段にある行単位の文字列によって埋め補修する処理を行うことで、印刷領域の画像を読み易い文書の形に変更することができる。
【0042】
「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」と基本的に同じである。ただ、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、文字行単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修するようにした実施形態2に係るプリンタの画像出力処理と違い、文字もしくは文字列(以下、纏めて「文字列」という)単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修する処理を実施する。なお、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を適用することを前提にしている。
【0043】
図9は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字列単位で埋める文字画像の配置を説明する図である。
図9Aは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したときに得られる処理結果を示す図7Bと同様の画像200P2を示す。
この画像200P2は、印刷領域の本来イメージ画像が描画される領域のうち、文字行単位で空白となる領域は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理で印刷領域に表れないが、そのほかの領域は印刷のされない空白の領域となる。
【0044】
図9Aの画像200P2におけるこれらの空白の領域のうち、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理で空白補修処理の対象とする文字列単位の空白領域は、同図中Bの画像200P3における領域S3及び領域S4である。この文字列単位の空白領域S3及び領域S4は、同じ文字行内に文字列があり、この文字列は、一つの文章として結ばれる文字列が後段に連なる場合、空白領域S3或は領域S4を無意味に空白のままにしておくより、後段に連なる文字列L1、文字列L2をそれぞれの前段の文字列に一行に繋げることによりこれらの空白領域を埋めることができれば、その方が読み易い。
【0045】
そこで、文字列単位の空白領域S3を、同じ文字行内の文字列が一つの文章として結ばれるよう、後段に連なる文字列L1を繰り上げ配置することで埋め補修し、同様に空白領域S4を、後段の文字列L2を繰り上げ配置することで埋め補修する処理を行う。
図9C及びDは、この空白補修処理を行う過程を説明する図である。図9Cは、文字列単位の空白領域S3を後段の文字列L1の繰り上げ配置によって文字列L1’の形で埋め、また、文字列単位の空白領域S4を後段の文字列L2の繰り上げ配置によって、文字列L2’の形で埋めた結果、得られる印刷領域の画像200P4を示すものである。
【0046】
ただし、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、図9Bの画像200P3における空白領域S3を例に採ると、空白領域S3の長さが、繰り上げ配置を予定する後段の文字列L1の長さ以上あること、つまり繰り上げ配置後に後段の1文字行分が空白になることを、繰り上げ配置の実行条件にしている。よって、上記空白領域S3及び領域S4については、繰り上げ配置を実行するが、同印刷領域の画像200P3における空白領域S5については、上記の実行条件を満たさない(空白領域S5の長さが、繰り上げ配置を予定する後段の文字列の長さより短い)ので、繰り上げ配置を行わない。したがって、画像200P3では、空白領域S3及び領域S4だけに適用することになる。
【0047】
また、文字列単位の空白領域S3を、上記の条件の下で後段の文字列L1の繰り上げ配置により文字列L1’で埋める処理をすると、この局所の空白補修処理のみを行うだけでは、図9Cの画像200P4における空白領域S6及び空白領域S7に示すように、文字列L1、文字列L2のあった段が文字行分、空白領域となってしまう。
そこで、この文字行単位の空白領域に対しては、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」の処理フローにおけるステップS208と同じ処理(図8、参照)を施すことで、文字行単位の長さを持つ空白領域を無くす。
【0048】
図9Dは、この処理を施した後の印刷画像200P5を示す。同図に示すように、図9Cの画像200P4における文字行単位のサイズの空白領域S6、領域S7それぞれは、各空白領域の直ぐ後の段にある行単位の文字列によって空白が埋められて、文字行単位の長さを持つ空白領域はいずれも無くなっている。
こうした処理を付加することで、目的とする読み易い文書の印刷画像200P5に変更することができる。
【0049】
図10は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図10のステップS301〜S306は、図8のステップS201〜S206に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS201〜S206の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理の図10のフローでは、実施形態2に係るプリンタ20の画像出力処理のフロー(図8)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態2のフロー(図8)と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS303,S304,S309)。
【0050】
また、処理対象の描画コマンドがイメージでなく(ステップS303-NO)、かつ、文字でもなければ(ステップS305-NO)、この実施形態で付加する空白補修処理の対象にならない描画コマンドであるから、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、ステップS309の描画処理に移行する。
他方、ステップS305の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字であり(ステップS305-YES)、かつ、利用者により非描画が選択されていなければ(ステップS306-NO)、イメージ画像の非描画による空白が生じず、補修処理の必要もないので、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、直ちに処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS309に移行する。
【0051】
ステップS306で利用者により非描画が選択されていれば(ステップS306-YES)、イメージ描画コマンドの非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、非描画となるイメージ画像の描画コマンドに設定された描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがあるか否かを判断する(ステップS307)。
ステップS307の判断の結果、イメージ画像の描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがあれば(ステップS307-YES)、このY座標範囲内は、空白補修処理の対象外とするので、プリンタシステム制御部104は、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS309に移行する。
【0052】
他方、ステップS307の判断の結果、イメージ画像の描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがなければ、(ステップS307-NO)、即ち、文字描画コマンドだけであるから、プリンタシステム制御部104は、処理対象の文字コマンドに対し、空白領域を補修するための処理を行う(ステップS308)。
この処理は、前段で生じる空白領域を後段の文字列で埋めるように、処理対象になっている文字画像の繰り上げ配置を行う。具体的には、プリンタシステム制御部104は、前段で生じる空白領域のすぐ後段にある処理対象文字の描画コマンドの先頭X,Y座標値を、繰り上げ配置先、即ち、非描画とするイメージ描画コマンドに設定された領域の先頭のX,Y座標にし、また末尾のX,Y座標値を、繰り上げ配置する文字列(図9B例では、文字列L1又は文字列L2)分の領域サイズを先頭のX,Y座標に加えた値に変更する処理を行う。変更した描画コマンドを描画処理に用いる。
【0053】
なお、局所で上述の繰り上げ配置処理を行うだけでは、配置後、繰り上げた文字列が元にあった段には、文字行分の空白領域が生じてしまうので、この文字行単位の新たに生じる空白領域に対しては、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」における処理フローにおけるステップS208と同じ処理(図8、参照)を施すことで、文字行単位の長さを持つ空白領域を無くし、図9Dに示すような結果が得られる。
上記の処理手順を経て、処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS309)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0054】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理及び、例示した図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2それぞれを直ぐ後段にある文字行単位の文字列によって埋めることによって空白を無くす実施形態2に係るプリンタの画像出力処理に加え、例示した図9Bの文字列単位のサイズの空白領域S3、領域S4それぞれを後段の文字列L1、文字列L2で埋めるとともに、文字行単位の新たに生じる空白領域S6、領域S7を無くす処理を行うことで、印刷画像をさらに読みやすい文書の形に変更することができる。
【0055】
「実施形態4に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、上記「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」と同様に、文字列単位で上記空白補修処理を行う点で同じである。ただ、空白領域を埋めるために文字列単位で繰り上げ配置された文字列は、前の文字列に繋がり、形式的には一つの文字列に纏められるが、必ずしも文章を実質的に構成するとは限らない。
そこで、繋がる文字列が実質的に一つの文章を構成しない場合に、文章の区切りであることを判断可能とするために、識別子としてのマークを繋げる先の文字列の末尾に付けることで、一つの文字列に纏められたことを認識できるようにする。
【0056】
一つの文字列に纏められたことを認識する機能を持たせるマークは、繋がる文字列が実質的に一つの文章を構成するか否かに係らず、文章内容の変更が生じることがないようにしなければならないので、このような機能を持つ記号であれば、どの様なものでもよく、この実施形態では「・」を用いる。
【0057】
図11は、実施形態4に係るプリンタの画像出力処理によりイメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を埋める文字画像の配置及び付加されるマークを説明する図である。
図11Aは、図9Dと同様の画像200P5である。この画像200P5は、文字列単位の繰り上げ配置ができない空白領域を残し、印刷領域のうち本来イメージ画像が描画される領域に生じる空白領域の多くは補修されている。
【0058】
図11Aの画像200P5において、空白補修を文字行単位で行った部分は、後段の文字列L1及びL2(図9B、参照)の繰り上げ配置により埋めた文字列L1’及び文字列L2’の部分である。
上記「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」では、図11Aの画像200P5におけるように、文字列L1’及び文字列L2’の繰り上げ配置先の文字列の末尾に直接繋げており、文章の区切りが判断できないので、本実施形態では、図11Bの画像200P6におけるように、繰り上げ配置先の文字列の末尾にマーク「・」PT1,PT2をそれぞれ挿入し、マーク「・」PT1,PT2を介して文字列を繋げる。
このマークの挿入で、繋げる文字列の間で文章が区切られている場合、利用者による文章の理解を容易にすることができる。
【0059】
図12は、実施形態4に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図12のステップS401〜S406は、図10のステップS301〜S306に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS301〜S306の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタの画像出力処理の図12のフローでは、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理のフロー(図10)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態3に係る画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS403,S404,S412)。
【0060】
処理対象の描画コマンドが文字であり(ステップS405-YES)、かつ、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていれば(ステップS406-YES)、イメージ画像の非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、描画コマンドに設定された描画領域の情報を基に、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さと繰り上げ配置する次段の文字列の長さを比較する(ステップS407)。このとき、繰り上げ配置する文字列の長さは、配置先の文字列の末尾に付加するマーク「・」分の1文字を加えて比較をする。
【0061】
プリンタシステム制御部104は、ステップS407の比較の結果により処理を分岐する。即ち、繰り上げ配置する文字列+1が、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さより長ければ(ステップS408-YES)、この文字列は、空白補修処理の対象外とするので、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS412に移行する。
【0062】
他方、繰り上げ配置する文字列+1が、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さに納まれば(ステップS408-NO)、処理対象の文字コマンド等を対象にする、空白領域を補修するための処理に移行する。
この空白補修処理は、先ず、配置先の文字列の末尾にマーク「・」を付加するための処理を行う(ステップS409)。この処理は、繰り上げ配置する文字列に対しては、前段で生じる空白領域の前にある文字列の末尾にマーク「・」を付加する形で描画を行う設定をする。
【0063】
プリンタシステム制御部104は、次いで、繰り上げ配置する文字列に対する処理として、ステップS409で付加したマーク「・」に続けて文字列を繰り上げ配置するように、描画コマンドを変更する処理を行う(ステップS410)。なお、この文字列の繰り上げ配置の処理は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理に述べた通りである。
【0064】
文字列単位の繰り上げ配置による空白補修処理は、文字列ごとに行うので、プリンタシステム制御部104は、次に、処理対象段の文字列に未処理の文字列があるかを判断する(ステップS411)。ここで、対象となる文字列の処理が全部終わったことが判断できれば、プリンタシステム制御部104は、空白補修処理の済んだ描画コマンドを印刷データ解析・描画部105の描画部に渡す。
印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS412)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0065】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理により得られる結果に加え、例示した図11の文字列単位の繰り上げ配置によって空白補修処理をする際、文字列の配置先の文字列との間にマークを付加した画像出力を行うため、繋げる文字列の間で文章が区切られている場合に、利用者による文章の理解が、マークを付加しないで文字列を繋げたときに比べて容易になり、印刷画像をさらに読みやすい文書の形に変更することができる。
【0066】
「実施形態5に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態は、上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理でのイメージデータを非描画とする動作モードの画像出力処理において、例外としてイメージデータの描画を行う処理に係る。
この実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理では、利用者がイメージ画像の描画/非描画の選択を行い、非描画の選択を指示しても、印刷データに設定された描画コマンド中、イメージデータが文字データ部分からなる文字行に挟まれていることを条件に、例外として、当該イメージデータに対する描画処理を行う。
【0067】
図13は、実施形態5に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画とする動作モードにおける例外の処理を説明する図である。
図13Aは、印刷データに設定された描画コマンドが上記の例外とする描画コマンドの条件を満たした印刷データを示している。即ち、この印刷データに設定された描画コマンドは、同図の画像200S1におけるように、イメージデータI1が、少なくとも文字列を一部に持つ文字行を前後に有する、即ち、前段文字行と後段文字行によって挟まれた形でイメージデータI1の配置が定められている。なお、この時のイメージデータI1は、図13Aの画像200S1に示すように、印刷領域の全幅に亘った形で配置されていることを条件として加えてもよい。
イメージデータI1の配置がこのように定められている場合、文字データによる記事の内容と密接に関係するイメージ画像である可能性が極めて高い。そこで、同図の画像200S1における他のイメージデータとして示される「広告」を内容とするイメージ画像とは、上記配置条件の違いによって峻別できる。
【0068】
イメージ画像の上記配置条件を前提に、記事の内容と密接に関係するイメージ画像を「広告」を内容とするイメージ画像と峻別して、非描画の動作モードが指示されても、記事の内容と密接に関係するイメージ画像を描画の対象として、例外に画像出力を行わせる。
図13Bは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードが印刷データ(同図A)に指示され、上記の例外を適用したときに得られる処理結果を表す画像200P7を示している。
同図の画像200P7には、文字行によって挟まれ、印刷領域の全幅に亘って配置されたイメージデータI1は例外に当たる配置条件を有するので、描画されているが、これ以外の印刷領域の本来はイメージ画像が描画される領域は、全て描画されない空白の領域となっている。
【0069】
図14は、実施形態5に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図14のステップS501〜S504は、図3のステップS101〜S104に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS101〜S104の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理を示す図14のフローでは、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理のフロー(図3)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の選択に従う処理を行う(ステップS503,S504,S506)。
【0070】
ステップS504で利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていなければ(ステップS504-NO)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
他方、ステップS504で利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていれば(ステップS504-YES)、プリンタシステム制御部104は、本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理で適用する画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれているか否かによって判断する(ステップS505)。
【0071】
ステップS505で、プリンタシステム制御部104は、当該イメージ描画コマンドにより描画されるイメージ画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれていることが判断できなければ(ステップS505-NO)、この描画コマンドに対する描画処理を行わずに、未処理の次の描画コマンドに対するステップS503からの処理に移行する。
他方、ステップS505で、プリンタシステム制御部104は、当該イメージ描画コマンドにより描画されるイメージ画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれていることが判断できれば(ステップS505-YES)、例外が適用でき、このイメージ描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS506)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0072】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、利用者がウェブページにおける広告等のイメージ画像が不要である場合に、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理に加え、非描画とする動作が選択されても、文字データによる記事の内容と密接に関係するイメージ画像である可能性が極めて高いイメージ画像を例外として描画を行うようにしたことで、文字画像によって表される記事内容を実施形態1に係るプリンタの画像出力処理によるよりも、より正しく容易に理解できる。
【0073】
「スキャナ入力データへの対応」
上述の実施形態1〜5に係るプリンタの画像出力処理においては、入力される印刷データがPDLデータであるとした。
ただ、画像形成装置が受け付ける印刷データには、紙媒体に画像をプリントした原稿をスキャナにより読取り、得られる画素輝度信号を基に生成される画像データの形で入力される場合がある。スキャナ入力データの場合、PDLデータからプリント出力用画像データを生成する過程で必須の描画コマンドの解析は行わない。つまり、スキャナ入力データを用いて行うプリント出力に不可欠の処理として、イメージ画像の領域情報を検出する処理は行わない。
したがって、スキャナ入力データに対し、イメージ画像のプリント出力を行うか否かを選択する出力処理を制御できるようにするためには、イメージ画像の領域情報を検出する手段を追加する必要がある。
【0074】
スキャナ入力データに対し、イメージ画像に相当する領域情報を検出する手段は、イメージ画像のプリント出力を行う際に、不可欠の処理ではないが、出力画像の画質を高めるために採用される像域分離処理手段がある。
この像域分離処理手段は、文字・罫線等の画像とイメージ画像に相当する写真画像とを領域分離する処理を行う既存の手段である。
よって、イメージ画像に相当する領域情報を検出する手段として、上述の各実施形態の印刷データの解析手段に代えて、上記像域分離処理手段を備え、イメージデータの画像出力を不要とするプリント出力の処理過程においてこの像域分離処理手段を適用することで、イメージ画像のプリント出力を行うか否かを選択する出力処理の制御を実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10・・コントローラ、11・・CPU、12・・ROM、13・・RAM、14・・NVRAM、15・・ネットワークI/F、16・・エンジンI/F、17・・操作パネルI/F、20・・プリンタ、23・・プリンタエンジン、24・・操作パネル、40・・ホストPC、102・・印刷データ受信部、104・・プリンタシステム制御部、105・・印刷データ解析・描画部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2007−257069号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷データをもとに描画処理を行い、生成される出力用画像データにより記録用紙に画像を形成するプリンタ、複合機等の画像形成装置に関し、処理対象の印刷データに対しイメージデータの描画処理を行わずに画像出力処理を行わせる制御を行う画像形成装置、画像形成システム、出力用画像データ処理方法、前記制御を実行するためのプログラム及び該プログラムを記録した記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
各種メディアを介して伝えられる新聞記事、ウェブページ等の記事を閲覧し、閲覧した記事を紙媒体に記録した形で保管するために、プリント出力(印刷)する場合がある。
ウェブページの場合、インターネットに接続したPC(Personal computer)は、ネットワークから取得し閲覧するウェブページの印刷が指示されると、プリンタ、複合機等の機器が処理可能な形式の印刷データに変え、作成した印刷データを印刷コマンドとしてこれらの出力機器へ送信する。印刷データは、PCに搭載したプリンタドライバが作成し、作成された印刷データは、文字、グラフィックス、イメージ等の各描画オブジェクトからなるデータ構成をとり、各描画オブジェクトの属性に応じた条件で印刷する。
また、紙媒体に印刷された新聞記事等の場合、処理対象の原稿を画像読取装置で読取り、得られる画像データを基に、プリント出力用の画像データに変換し、このデータによりプリンタを動作させて紙媒体に画像を作成(複写)して、保管に都合の良い形で画像を再生する。
【0003】
ところで、文字情報が中心のウェブページを閲覧する際、必要なウェブページの印刷を指示すると、従来は、処理対象のページにある文字データのほか、イメージデータを含む全てのデータを取り込んだ印刷データをプリンタドライバが作成し、作成される印刷データによってプリント出力が行われる。ただ、プリント出力の対象となるページ内には、本来の記事内容と関連のない広告や宣伝が付加されていることがある。また、このような広告や宣伝は、多くの場合、インパクトを与えるために大きいイメージサイズと鮮やかな色を使用している。
しかし、利用者によっては、広告や宣伝に使われているイメージの画像が不要な場合があり、また、不要な画像のためにトナーや記録用紙が消費されるのは無駄である。
【0004】
このような問題に対応して、ウェブページをプリント出力する際に、閲覧するウェブページを構成するデータのうち利用者が必要としないデータを除去する手法が、例えば、特許文献1(特開2007−257069号公報)で提案されている。
特許文献1には、ウェブページを印刷する際、バナー(インターネットのホームページに貼られている細長い見出し画像)広告を削除して印刷するために、バナー広告にリンクされている広告URLの除去リストを持ち、ウェブページの印刷実行時に対象ページのhtmlデータ中に、前記広告URLの除去リストにあるURLが存在していたとき、当該URLが含まれるタグを無視して印刷データを作成することが記載されている。
【0005】
しかし、特許文献1に記載された従来技術は、ウェブページ印刷時に、除去リストに載ったURLにリンクされたバナー広告に限って除去するもので、上述の状況を改善する、即ち文字情報を主とする記事内容と関連のない不要なイメージ情報の画像を出力させないようにし、不要な画像を出力することによる無駄をなくすには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、不要なイメージ情報が含まれた印刷データに対しイメージ情報を出力対象にしないようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置であって、前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付手段と、前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出手段と、前記出力指示受付手段が前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データのうち、前記イメージデータ検出手段によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御手段を有する画像形成装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、不要なイメージ情報が含まれた印刷データに対しイメージ情報を出力対象にしないよう出力用画像データの処理を行うことで、必要な情報だけをプリント出力でき、不要なイメージ情報のプリント出力を行わない。そのためプリント出力に掛かる無駄をなくすことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。
【図2】図1に示したコントローラに搭載したデータ処理系のソフトウェア構成を機能ブロックにて示す図である。
【図3】実施形態1に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する制御に係る処理手順を示すフロー図である。
【図4】実施形態1に係るプリンタにおける印刷データを解析する処理の説明図である。
【図5】実施形態1に係るプリンタにおけるイメージ画像の描画/非描画を選択する操作画面を示す図である。
【図6】実施形態1に係るプリンタにおいて処理対象の印刷データのイメージデータを非描画とする描画処理の結果を説明する図である。
【図7】実施形態2に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字行単位の文字列で埋める文字画像の配置を説明する図である。
【図8】実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図9】実施形態3に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字列単位で埋める文字画像の配置を説明する図である。
【図10】実施形態3に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図11】実施形態4に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を埋める文字画像の配置及び付加されるマークを説明する図である。
【図12】実施形態4に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【図13】実施形態5に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画とする動作モードにおける例外の処理を説明する図である。
【図14】実施形態5に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
以下、本発明の画像形成装置を、その実施形態として、PDL(ページ記述言語)により記述された印刷データ(以下、「PDLデータ」ともいう)を基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成するプリンタを例に採って説明する。
本プリンタは、印刷データの描画処理時に不要なイメージデータの描画処理を行わずに、このイメージデータを空白にした出力を行う画像出力処理機能を有する。
【0011】
この画像出力処理機能は、利用者からイメージデータの画像出力を不要とする指示がなされたときに、指示に応じてこの処理を実行し、他方、この処理の実行指示がなければ、イメージデータを含め受信した印刷データ全部の画像出力を行う通常の画像出力処理を行うようにし、これらの動作モード間で動作を切替えて画像出力を行う機能である。
つまり、本プリンタは、イメージデータの画像出力が不要か否かの処理を指示することで、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いて必要な文字情報のプリント出力を可能にするため、無駄をなくすことができる。
なお、ここでは、画像形成装置の実施形態としてプリンタを例に採ったが、プリンタエンジンを搭載して印刷データのプリント出力ができるものであれば、プリンタ以外の例えば、複合機であってもよい。
【0012】
[ハードウェア構成の概要]
図1は、本発明の実施形態に係るプリンタのハードウェア構成を示す図である。
本プリンタ20は、プリンタ20全体を制御するコントローラ10と、描画された出力用画像データをもとに記録用紙に画像を形成するプリンタエンジン23と、表示部と入力キー等の操作部を備えユーザーインターフェースとしての機能を提供する操作パネル24を有する。
【0013】
コントローラ10は、ソフトウェアプログラムの命令を実行するためのCPU(Central Processing Unit)11と、コントローラを動作させるためにCPU11によって使用される制御プログラムや制御用データ等を保存(格納)するROM(Read Only Memory)12と、前記制御プログラムによって生成される描画された出力用画像データなどを一時的に保存するページ(フレーム)メモリ、或いはソフトウェアプログラムの動作に必要なデータを保存するワークメモリとして利用するRAM(Random Access Memory)13と、機器に依存する処理条件等の設定データ、プリンタ20の管理情報などを保存しておく不揮発性メモリであるNVRAM(Non Volatile RAM)14と、を構成要素として有する。つまり、CPU11、ROM12、RAM13、NVRAM14の各要素よりなるコンピュータでコントローラ10を構成する。
【0014】
さらに、コントローラ10は、プリンタエンジン23との間でデータを交換するためのエンジンI/F(インターフェース)16と、操作パネル24との間でデータを交換するための操作パネルI/F17と、ネットワーク上に接続された、プリンタドライバ等の印刷データを作成する手段を搭載したホスト装置としてのPC(以下、「ホストPC」という)40との間でデータを交換するためのネットワークI/F15を構成要素として有する。
なお、コントローラ10を構成する上記の各要素は、それぞれ内部バス19を介して接続されている。
また、ネットワークI/F15と通信手段(不図示)で接続したホストPC40と、プリンタ20とにより構成するシステムを画像形成システムという。
【0015】
コントローラ10は、ホストPC40から受信した印刷データに基づいて、各種の変換処理を含む描画処理を行い、印刷出力に用いる画像データを生成し、プリンタエンジン23で出力を行わせる。RAM13は、ホストPC40からの印刷データ、該印刷データから生成される中間データ形式の画像データ、ラスタ形式のピクセルデータ、その後段の処理で生成されるプリント出力に用いる画像データを記憶する。
コントローラ10のCPU11は、ROM12やNVRAM14などの記憶装置に保存された制御プログラム及び制御や処理の動作条件に係る設定情報を読出し、CPU11の作業メモリ領域を提供するRAM13のメモリ領域に展開し、またRAM13を画像形成処理の作業領域として利用することによって、後述する図2に示す各機能を実現する手段を構成する。
【0016】
[ソフトウェア構成]
ホストPC40は、所定のプリンタドライバを使用して、アプリケーションによって作成もしくは処理した文書(ウェブページを含む)を、各種の描画コマンドを含む描画条件を記述した印刷データに変換して、ネットワーク30経由でプリンタ20に送信し、プリント出力を要求する。上記描画コマンドは、通常、文字、イメージ、グラフィックの各描画オブジェクトを指示するコマンドである。また、上記印刷データは、PostScript(登録商標)、PCL(登録商標)、RPDL(登録商標)など、各種のPDLで記述されたデータで表現される。
【0017】
図2は、図1に示したコントローラ10に搭載したデータ処理系のソフトウェア構成を機能ブロックにて示す図である。
図2のソフトウェアで構成するコントローラ10のデータ処理系は、コントローラ10のプログラムによる機能実現手段として、プリンタシステム制御部104と、印刷データ受信部102、印刷データ解析・描画部105、操作パネルI/F17の各部を有する。
【0018】
印刷データ受信部102は、ホストPC40から通信手段を介してプリンタ20に入力された印刷データを受信する機能を実行する。
プリンタシステム制御部104は、プリンタ20全体を制御する機能を有するので、プリンタ20の状態を管理するとともに、印刷データを基に行う画像出力処理に係る動作の制御を含め、入力された印刷データの処理を管理する。プリンタ20の状態の管理に係る動作として、UI(ユーザーインターフェース)として機能する操作パネルI/F17を介して操作パネル24と情報交換する。つまり、対話形式で利用者にプリンタ20の状態を通知し、かつ利用者がプリンタ20に対して行う動作条件等の指示を受付ける。また、画像出力処理に係る動作として、印刷データ受信部102から受信した印刷データを受取り、印刷データの解析・描画に必要な情報を、印刷データ解析・描画部105に渡す。
プリンタシステム制御部104は、上記のプリント出力の際にイメージデータの出力を不要とするか否かの指示に応じて、イメージデータを描画/非描画のいずれかの動作モードで行う画像出力処理手順を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
【0019】
印刷データ解析・描画部105は、印刷データを解析し、描画コマンド(描画オブジェクトやその属性)と色や透過設定などを持つ描画設定情報等からなる描画条件を表す中間データを生成し、生成した中間データを基に各描画オブジェクトのレンダリング処理を行うことでプリント出力用の画像データを生成する機能を実行する。生成した画像データは、RAM13に保存する。
なお、描画処理を行うとき、印刷データ解析・描画部105は、イメージデータを非描画とする動作モードがプリンタシステム制御部104によって指示されると、この指示に従い、イメージ描画オブジェクトの描画処理を行わない。
【0020】
イメージデータを非描画とする動作モードの選択は、操作パネル24からイメージデータの画像出力を不要とするプリント出力の指示操作が利用者によって行われ(後記図6の説明、参照)、この指示操作を受付ける方法で行うか、或いは、プリンタドライバにこの指示を行う機能を持たせ、印刷データの一部にイメージデータの画像出力が不要であることを示す指示データを付加することによって実施できる。
【0021】
なお、印刷データ中のイメージデータを非描画とする処理における、印刷データ中のイメージデータの検出はイメージデータ検出手段で行う。具体的には、本実施形態のプリンタにおけるPDLにより記述された印刷データの場合には、PDLデータを基にプリント出力用画像データを生成する過程で行う描画コマンドの解析に基づいて行う。他方、例えば、スキャナ(原稿画像読取装置)で読取った印刷データが入力された場合には、スキャナ入力データからイメージデータを検出する手段(例えば、後述する像域分離処理手段)により行う。
【0022】
[描画条件に対応する画像出力処理]
次に、本実施形態のプリンタにおいて、利用者からイメージデータの画像出力を不要とする指示がされたときに、指示に応じた画像出力処理を行わせる制御動作について、詳細に説明する。
なお、以下では、ウェブページに対する印刷要求として、処理対象の印刷データがPDLデータである場合を例に採って説明をする。
利用者は、処理対象が文字情報により表される記事が中心のウェブページの一部に含まれるイメージデータが不要であると判断した場合、ウェブページに対する印刷要求をする際、操作パネル24等を通して、イメージデータの画像出力を行わないプリント出力を指示する。
プリンタシステム制御部104は、上記のプリント出力の指示に応じて、イメージデータを非描画とする動作モードでの画像出力処理手順を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
【0023】
次に、実施形態1〜実施形態5に係るプリンタにおいて、利用者の指示により、イメージデータを非描画とする動作モードが選択されたときに行われる、それぞれの処理手順を添付するフロー図を参照して説明する。
実施形態1に係るプリンタは、イメージデータを非描画とする動作モードで画像出力処理を実行する制御の基本動作を行う。
実施形態2〜実施形態4に係るプリンタは、イメージデータを非描画とする動作モードが選択された場合に、イメージデータを非描画としたことにより生じる空白を埋める処理手順を、文字データに対する画像出力処理の手順に付加して行う。
実施形態5に係るプリンタは、実施形態1に係るプリンタにおけるイメージデータを非描画とする動作モードの画像出力処理において、例外としてイメージデータの描画を行う制御動作を行う。
【0024】
「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」
この実施形態に係るプリンタ20は、プリンタシステム制御部104がイメージデータを非描画とするか否かの動作モードを選択する指示を受け、イメージデータを非描画とする動作モードで印刷データに基づく画像出力処理を実行する制御に係る基本動作を実施する。ここで、イメージデータを非描画とする動作モードとは、イメージデータを含め処理対象の印刷データ全部の画像出力を行う通常の画像出力処理と相違して、イメージデータの画像出力を行わない動作モードである。
【0025】
図3は、本実施形態に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する制御に係る処理手順を示すフロー図である。
プリンタ20に電源が投入された後、初期化処理が終了し、印刷データの受信ができる状態になったことを判断すると、プリンタシステム制御部104は、直ちに図3の処理フローを起動する。
プリンタシステム制御部104は、図3の処理フローを起動すると、印刷データが何時送信されてきても受信できる状態で待機し、ホストPC40から送られてくる印刷データを受信する印刷データ受信部102から渡される受信印刷データを受取る(ステップS101)。
【0026】
受信した処理対象の印刷データは、PDLデータであり、PDLデータは、複数の描画コマンド群の形式で記述されている(下記図4、参照)ので、先ず、印刷データを解析し、各描画コマンド(描画オブジェクトやその属性)、描画設定情報等からなる描画条件を表す中間データを生成する(ステップS102)。印刷データの解析は、印刷データ解析・描画部105が行う。
図4は、実施形態1に係るプリンタにおける印刷データを解析する処理の説明図である。同図Aは、処理対象の印刷データ200Sの一例について、そのデータ内容を表す図であり、「広告」と示した欄のイメージ画像と、「広告」欄以外の文字列欄とからなる。上記で欄と表現したのは、印刷データ200Sの印刷領域を構成する複数の矩形領域それぞれが描画コマンドによって描画データを指示する単位となるからである。よって、印刷データ200Sを解析すると、図4Bの中間データ200Aに示すデータ内容の描画コマンド群が解析結果として得られる。
【0027】
印刷データ200Sを解析し得られた(生成した)中間データ200Aにおける描画コマンド0は、印刷領域の上部の「広告」欄に当たる。描画コマンド0は、図4Cに拡大して示すように、「描画種類」として「イメージ」であること、また「描画データ」として色及び描画領域を定義するデータによってコマンドを指示している。
また、中間データ200Aにおける描画コマンド1は、印刷領域上部の「広告」欄の次の文字列欄に当たる。描画コマンド1は、図4Dに拡大して示すように、「描画種類」として「文字」であること、また「描画データ」として色、描画領域、フォントサイズ及び文字数を定義するデータによってコマンドを指示している。なお、描画コマンド0,1,・・・に対応付けて、イメージ情報或いはフォント情報が保存され、描画処理に用いられる。
上記のような形式で、印刷データを構成する描画コマンド群によって印刷領域の全部の画像領域の描画データが指定される。
【0028】
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理の図3のフローでは、ステップS102で解析された描画コマンドの指示による描画処理を行うが、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示が利用者によってなされ、プリンタシステム制御部104は、指示に従い選択される動作モードで描画処理を印刷データ解析・描画部105に実行させる。
処理手順としては、描画コマンドの一つずつを処理の対象としていくので、プリンタシステム制御部104は、先ず、処理対象の描画コマンドがイメージであるか否かを判断する(ステップS103)。
ステップS103の判断の結果、処理対象の描画コマンドがイメージでなければ(ステップS103-N0)、プリンタシステム制御部104は、描画コマンドの指示による描画処理を印刷データ解析・描画部105に行わせる(ステップS105)。
【0029】
ステップS103の判断の結果、処理対象の描画コマンドがイメージであれば(ステップS103-YES)、プリンタシステム制御部104は、次いで、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されているか否かを判断する(ステップS104)。プリンタシステム制御部104は、受け付けた印刷データによる印刷ジョブを管理しており、操作パネル24で利用者によって選択された描画/非描画の指示についても、操作パネルI/F17を介し通知されて印刷ジョブの処理に必要な情報として管理しているので、この管理情報を参照することにより、指示がイメージ画像の非描画であるか否かを判断する。
【0030】
操作パネル24において、利用者によるイメージ画像の描画/非描画を選択する操作画面は、例えば、図5に示す画面24dを用意する。図5の画面には、「イメージデータ印刷設定」と題し、「する」ボタン243と「しない」ボタン244の各操作ボタンを設ける。プリンタシステム制御部104は、いずれかを選択するボタン操作を検知することで、イメージ画像の描画/非描画を選択する利用者の指示を受け付ける。
【0031】
ステップS104でイメージ描画コマンドに対し非描画が選択されていれば(ステップS104-YES)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行わずに、未処理の次の描画コマンドに対するステップS103からの処理に移行する。
他方、ステップS104でイメージ描画コマンドに対し非描画が選択されていなければ(ステップS104-NO)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS105)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0032】
図6は、実施形態1に係るプリンタにおいて処理対象の印刷データのイメージデータを非描画とする描画処理の結果を説明する図である。同図Aは、処理対象の印刷データ200Sの一例について、そのデータ内容を表す図であり、「広告」と示した欄のイメージ画像と、「広告」欄以外の文字列欄とからなる。イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したとき、印刷データ200Sのイメージ画像の「広告」欄は非描画であるから、その矩形領域は、処理結果を示す図6Bにおけるプリント出力した画像200Pにおいて、全て印刷のされない空白の領域となる。
【0033】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理によると、ウェブページにおける広告等のイメージ画像が不要な場合に、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードでプリント出力を行えるようにすることで、利用者にとってノイズとなるイメージ情報を除いた形で必要な文字情報のプリント出力を可能にし、また、不要なイメージ情報のプリント出力を行うために用いる資材や電力の無駄な消費をなくすことができる。
【0034】
「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」
上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理では、イメージデータを非描画とする動作モードが選択された場合に、印刷領域の本来イメージ画像が描画される領域が矩形の空白になるが、次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、この空白領域を利用者の利便に配慮して他の画像で埋める処理(以下、「空白補修処理」という)手順を付加したものである。本実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、印刷データに文字描画コマンドがあることを前提に、文字行単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修するように、文字画像を配置し直す処理を行って、プリント出力する。
【0035】
図7は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字行単位の文字列で埋める文字画像の配置を説明する図である。
図7Aは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したときに得られる印刷データの処理結果を示す、図6Bと同様の画像200P1である。
この画像200P1は、印刷領域の本来はイメージ画像が描画される領域であるが、全て印刷のされない空白の領域となっている。
【0036】
図7Aの画像200P1におけるこれらの空白の領域のうち、文字行単位の空白領域は、同図中の領域S1及び領域S2である。この文字行単位の空白領域S1,S2は、無意味に空白のままにしておくより、後段にある行単位の文字列でこの空白領域を埋めることができれば、その方が読み易い。
そこで、文字行単位の空白領域を後段の行単位の文字列を繰り上げ配置することで埋める処理を行う。図7Bは、この処理を行った結果得られる印刷領域の画像200P2を示すものである。同図に示すように、図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2は、それぞれ各空白領域の直ぐ後の段にある行単位の文字列によって空白が埋められて、文字行単位のサイズの空白領域はいずれも無くなっている。
こうした処理を付加することで、目的とする読み易い文書の形に印刷領域の画像200P2に変更することができる。
【0037】
図8は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。なお、図8のステップS201〜S204は、図3のステップS101〜S104に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS101〜S104の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタの画像出力処理の図8のフローでは、上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理フロー(図3)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS203,S204,S209)。
【0038】
ステップS203で、処理対象の描画コマンドがイメージでなければ(ステップS203-NO)、プリンタシステム制御部104は、次に、処理対象の描画コマンドが文字であるか否かを判断する(ステップS205)。
ステップS205の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字でなければ(ステップS205-NO)、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理で付加する空白補修処理の対象にならない描画コマンドであるから、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、ステップS209の描画処理に移行する。
他方、ステップS205の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字であれば(ステップS205-YES)、次いで、利用者によるイメージ画像の描画/非描画を選択、即ち、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されているか否かを判断する(ステップS206)。
ステップS206で非描画が選択されていなければ(ステップS206-NO)、イメージ画像の非描画による空白が生じず、補修処理の必要もないので、何の付加的な処理を行うことなく、直ちに処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS209に移行する。
【0039】
ステップS206で非描画が選択されていれば(ステップS206-YES)、イメージ画像の非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、この処理対象の描画コマンドである文字画像の前段に生じる空白領域が文字行単位の空白であるか否かを判断する(ステップS207)。
ステップS207の判断の結果、文字画像の前段に生じる空白領域が文字行の納まる文字行単位の空白でなければ(ステップS207-NO)、空白を文字画像で補修できないので、プリンタシステム制御部104は、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS209に移行する。
【0040】
他方、ステップS207の判断の結果、文字画像の前段に生じる空白領域が文字行の納まる文字行単位の空白であれば(ステップS207-YES)、プリンタシステム制御部104は、次いで、処理対象の文字コマンドに対し、空白領域を補修するための処理を行う(ステップS208)。
この処理は、前段で生じる空白領域を後段の行単位の文字列で埋めるように、処理対象になっている文字画像の繰り上げ配置を行う。具体的には、プリンタシステム制御部104は、文字行単位で生じる空白領域のすぐ後段にある処理対象文字の描画コマンドのY座標値を繰り上げ配置する文字行分だけ変更する処理を行う。変更した描画コマンドを描画処理に用いる。
なお、この繰り上げ配置処理は、行単位で文字列を繰り上げることができれば、最下段に係る文字の描画コマンドまで順次行うことで、行単位で空白領域が生じることのない図7Bに示すような結果が得られる。
上記の処理手順を経て、処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS209)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0041】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理に加え、例示した図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2それぞれを直ぐ後段にある行単位の文字列によって埋め補修する処理を行うことで、印刷領域の画像を読み易い文書の形に変更することができる。
【0042】
「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」と基本的に同じである。ただ、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、文字行単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修するようにした実施形態2に係るプリンタの画像出力処理と違い、文字もしくは文字列(以下、纏めて「文字列」という)単位で上記空白領域を文字画像によって埋め補修する処理を実施する。なお、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理を適用することを前提にしている。
【0043】
図9は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理において、イメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を文字列単位で埋める文字画像の配置を説明する図である。
図9Aは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードを適用したときに得られる処理結果を示す図7Bと同様の画像200P2を示す。
この画像200P2は、印刷領域の本来イメージ画像が描画される領域のうち、文字行単位で空白となる領域は、実施形態2に係るプリンタの画像出力処理で印刷領域に表れないが、そのほかの領域は印刷のされない空白の領域となる。
【0044】
図9Aの画像200P2におけるこれらの空白の領域のうち、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理で空白補修処理の対象とする文字列単位の空白領域は、同図中Bの画像200P3における領域S3及び領域S4である。この文字列単位の空白領域S3及び領域S4は、同じ文字行内に文字列があり、この文字列は、一つの文章として結ばれる文字列が後段に連なる場合、空白領域S3或は領域S4を無意味に空白のままにしておくより、後段に連なる文字列L1、文字列L2をそれぞれの前段の文字列に一行に繋げることによりこれらの空白領域を埋めることができれば、その方が読み易い。
【0045】
そこで、文字列単位の空白領域S3を、同じ文字行内の文字列が一つの文章として結ばれるよう、後段に連なる文字列L1を繰り上げ配置することで埋め補修し、同様に空白領域S4を、後段の文字列L2を繰り上げ配置することで埋め補修する処理を行う。
図9C及びDは、この空白補修処理を行う過程を説明する図である。図9Cは、文字列単位の空白領域S3を後段の文字列L1の繰り上げ配置によって文字列L1’の形で埋め、また、文字列単位の空白領域S4を後段の文字列L2の繰り上げ配置によって、文字列L2’の形で埋めた結果、得られる印刷領域の画像200P4を示すものである。
【0046】
ただし、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理では、図9Bの画像200P3における空白領域S3を例に採ると、空白領域S3の長さが、繰り上げ配置を予定する後段の文字列L1の長さ以上あること、つまり繰り上げ配置後に後段の1文字行分が空白になることを、繰り上げ配置の実行条件にしている。よって、上記空白領域S3及び領域S4については、繰り上げ配置を実行するが、同印刷領域の画像200P3における空白領域S5については、上記の実行条件を満たさない(空白領域S5の長さが、繰り上げ配置を予定する後段の文字列の長さより短い)ので、繰り上げ配置を行わない。したがって、画像200P3では、空白領域S3及び領域S4だけに適用することになる。
【0047】
また、文字列単位の空白領域S3を、上記の条件の下で後段の文字列L1の繰り上げ配置により文字列L1’で埋める処理をすると、この局所の空白補修処理のみを行うだけでは、図9Cの画像200P4における空白領域S6及び空白領域S7に示すように、文字列L1、文字列L2のあった段が文字行分、空白領域となってしまう。
そこで、この文字行単位の空白領域に対しては、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」の処理フローにおけるステップS208と同じ処理(図8、参照)を施すことで、文字行単位の長さを持つ空白領域を無くす。
【0048】
図9Dは、この処理を施した後の印刷画像200P5を示す。同図に示すように、図9Cの画像200P4における文字行単位のサイズの空白領域S6、領域S7それぞれは、各空白領域の直ぐ後の段にある行単位の文字列によって空白が埋められて、文字行単位の長さを持つ空白領域はいずれも無くなっている。
こうした処理を付加することで、目的とする読み易い文書の印刷画像200P5に変更することができる。
【0049】
図10は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図10のステップS301〜S306は、図8のステップS201〜S206に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS201〜S206の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理の図10のフローでは、実施形態2に係るプリンタ20の画像出力処理のフロー(図8)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態2のフロー(図8)と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS303,S304,S309)。
【0050】
また、処理対象の描画コマンドがイメージでなく(ステップS303-NO)、かつ、文字でもなければ(ステップS305-NO)、この実施形態で付加する空白補修処理の対象にならない描画コマンドであるから、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、ステップS309の描画処理に移行する。
他方、ステップS305の判断の結果、処理対象の描画コマンドが文字であり(ステップS305-YES)、かつ、利用者により非描画が選択されていなければ(ステップS306-NO)、イメージ画像の非描画による空白が生じず、補修処理の必要もないので、プリンタシステム制御部104は、何の付加的な処理を行うことなく、直ちに処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS309に移行する。
【0051】
ステップS306で利用者により非描画が選択されていれば(ステップS306-YES)、イメージ描画コマンドの非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、非描画となるイメージ画像の描画コマンドに設定された描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがあるか否かを判断する(ステップS307)。
ステップS307の判断の結果、イメージ画像の描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがあれば(ステップS307-YES)、このY座標範囲内は、空白補修処理の対象外とするので、プリンタシステム制御部104は、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS309に移行する。
【0052】
他方、ステップS307の判断の結果、イメージ画像の描画領域のY座標範囲内に文字以外の処理対象の描画コマンドがなければ、(ステップS307-NO)、即ち、文字描画コマンドだけであるから、プリンタシステム制御部104は、処理対象の文字コマンドに対し、空白領域を補修するための処理を行う(ステップS308)。
この処理は、前段で生じる空白領域を後段の文字列で埋めるように、処理対象になっている文字画像の繰り上げ配置を行う。具体的には、プリンタシステム制御部104は、前段で生じる空白領域のすぐ後段にある処理対象文字の描画コマンドの先頭X,Y座標値を、繰り上げ配置先、即ち、非描画とするイメージ描画コマンドに設定された領域の先頭のX,Y座標にし、また末尾のX,Y座標値を、繰り上げ配置する文字列(図9B例では、文字列L1又は文字列L2)分の領域サイズを先頭のX,Y座標に加えた値に変更する処理を行う。変更した描画コマンドを描画処理に用いる。
【0053】
なお、局所で上述の繰り上げ配置処理を行うだけでは、配置後、繰り上げた文字列が元にあった段には、文字行分の空白領域が生じてしまうので、この文字行単位の新たに生じる空白領域に対しては、上記「実施形態2に係るプリンタの画像出力処理」における処理フローにおけるステップS208と同じ処理(図8、参照)を施すことで、文字行単位の長さを持つ空白領域を無くし、図9Dに示すような結果が得られる。
上記の処理手順を経て、処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS309)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0054】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理及び、例示した図7Aの文字行単位のサイズの空白領域S1、領域S2それぞれを直ぐ後段にある文字行単位の文字列によって埋めることによって空白を無くす実施形態2に係るプリンタの画像出力処理に加え、例示した図9Bの文字列単位のサイズの空白領域S3、領域S4それぞれを後段の文字列L1、文字列L2で埋めるとともに、文字行単位の新たに生じる空白領域S6、領域S7を無くす処理を行うことで、印刷画像をさらに読みやすい文書の形に変更することができる。
【0055】
「実施形態4に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態に係るプリンタの画像出力処理は、上記「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」と同様に、文字列単位で上記空白補修処理を行う点で同じである。ただ、空白領域を埋めるために文字列単位で繰り上げ配置された文字列は、前の文字列に繋がり、形式的には一つの文字列に纏められるが、必ずしも文章を実質的に構成するとは限らない。
そこで、繋がる文字列が実質的に一つの文章を構成しない場合に、文章の区切りであることを判断可能とするために、識別子としてのマークを繋げる先の文字列の末尾に付けることで、一つの文字列に纏められたことを認識できるようにする。
【0056】
一つの文字列に纏められたことを認識する機能を持たせるマークは、繋がる文字列が実質的に一つの文章を構成するか否かに係らず、文章内容の変更が生じることがないようにしなければならないので、このような機能を持つ記号であれば、どの様なものでもよく、この実施形態では「・」を用いる。
【0057】
図11は、実施形態4に係るプリンタの画像出力処理によりイメージデータを非描画としたことで生じる空白領域を埋める文字画像の配置及び付加されるマークを説明する図である。
図11Aは、図9Dと同様の画像200P5である。この画像200P5は、文字列単位の繰り上げ配置ができない空白領域を残し、印刷領域のうち本来イメージ画像が描画される領域に生じる空白領域の多くは補修されている。
【0058】
図11Aの画像200P5において、空白補修を文字行単位で行った部分は、後段の文字列L1及びL2(図9B、参照)の繰り上げ配置により埋めた文字列L1’及び文字列L2’の部分である。
上記「実施形態3に係るプリンタの画像出力処理」では、図11Aの画像200P5におけるように、文字列L1’及び文字列L2’の繰り上げ配置先の文字列の末尾に直接繋げており、文章の区切りが判断できないので、本実施形態では、図11Bの画像200P6におけるように、繰り上げ配置先の文字列の末尾にマーク「・」PT1,PT2をそれぞれ挿入し、マーク「・」PT1,PT2を介して文字列を繋げる。
このマークの挿入で、繋げる文字列の間で文章が区切られている場合、利用者による文章の理解を容易にすることができる。
【0059】
図12は、実施形態4に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図12のステップS401〜S406は、図10のステップS301〜S306に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS301〜S306の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタの画像出力処理の図12のフローでは、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理のフロー(図10)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態3に係る画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の指示に従う処理を行う(ステップS403,S404,S412)。
【0060】
処理対象の描画コマンドが文字であり(ステップS405-YES)、かつ、利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていれば(ステップS406-YES)、イメージ画像の非描画によって生じる空白の補修処理を必要とするので、プリンタシステム制御部104は、次に、描画コマンドに設定された描画領域の情報を基に、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さと繰り上げ配置する次段の文字列の長さを比較する(ステップS407)。このとき、繰り上げ配置する文字列の長さは、配置先の文字列の末尾に付加するマーク「・」分の1文字を加えて比較をする。
【0061】
プリンタシステム制御部104は、ステップS407の比較の結果により処理を分岐する。即ち、繰り上げ配置する文字列+1が、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さより長ければ(ステップS408-YES)、この文字列は、空白補修処理の対象外とするので、補修処理を行うことなく、処理対象の文字コマンドに対する描画処理ステップであるS412に移行する。
【0062】
他方、繰り上げ配置する文字列+1が、非描画となるイメージ画像によって生じる空白領域の長さに納まれば(ステップS408-NO)、処理対象の文字コマンド等を対象にする、空白領域を補修するための処理に移行する。
この空白補修処理は、先ず、配置先の文字列の末尾にマーク「・」を付加するための処理を行う(ステップS409)。この処理は、繰り上げ配置する文字列に対しては、前段で生じる空白領域の前にある文字列の末尾にマーク「・」を付加する形で描画を行う設定をする。
【0063】
プリンタシステム制御部104は、次いで、繰り上げ配置する文字列に対する処理として、ステップS409で付加したマーク「・」に続けて文字列を繰り上げ配置するように、描画コマンドを変更する処理を行う(ステップS410)。なお、この文字列の繰り上げ配置の処理は、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理に述べた通りである。
【0064】
文字列単位の繰り上げ配置による空白補修処理は、文字列ごとに行うので、プリンタシステム制御部104は、次に、処理対象段の文字列に未処理の文字列があるかを判断する(ステップS411)。ここで、対象となる文字列の処理が全部終わったことが判断できれば、プリンタシステム制御部104は、空白補修処理の済んだ描画コマンドを印刷データ解析・描画部105の描画部に渡す。
印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS412)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0065】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、実施形態3に係るプリンタの画像出力処理により得られる結果に加え、例示した図11の文字列単位の繰り上げ配置によって空白補修処理をする際、文字列の配置先の文字列との間にマークを付加した画像出力を行うため、繋げる文字列の間で文章が区切られている場合に、利用者による文章の理解が、マークを付加しないで文字列を繋げたときに比べて容易になり、印刷画像をさらに読みやすい文書の形に変更することができる。
【0066】
「実施形態5に係るプリンタの画像出力処理」
次に示す実施形態は、上記「実施形態1に係るプリンタの画像出力処理」の処理でのイメージデータを非描画とする動作モードの画像出力処理において、例外としてイメージデータの描画を行う処理に係る。
この実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理では、利用者がイメージ画像の描画/非描画の選択を行い、非描画の選択を指示しても、印刷データに設定された描画コマンド中、イメージデータが文字データ部分からなる文字行に挟まれていることを条件に、例外として、当該イメージデータに対する描画処理を行う。
【0067】
図13は、実施形態5に係るプリンタの画像出力処理イメージデータを非描画とする動作モードにおける例外の処理を説明する図である。
図13Aは、印刷データに設定された描画コマンドが上記の例外とする描画コマンドの条件を満たした印刷データを示している。即ち、この印刷データに設定された描画コマンドは、同図の画像200S1におけるように、イメージデータI1が、少なくとも文字列を一部に持つ文字行を前後に有する、即ち、前段文字行と後段文字行によって挟まれた形でイメージデータI1の配置が定められている。なお、この時のイメージデータI1は、図13Aの画像200S1に示すように、印刷領域の全幅に亘った形で配置されていることを条件として加えてもよい。
イメージデータI1の配置がこのように定められている場合、文字データによる記事の内容と密接に関係するイメージ画像である可能性が極めて高い。そこで、同図の画像200S1における他のイメージデータとして示される「広告」を内容とするイメージ画像とは、上記配置条件の違いによって峻別できる。
【0068】
イメージ画像の上記配置条件を前提に、記事の内容と密接に関係するイメージ画像を「広告」を内容とするイメージ画像と峻別して、非描画の動作モードが指示されても、記事の内容と密接に関係するイメージ画像を描画の対象として、例外に画像出力を行わせる。
図13Bは、イメージ描画コマンドを非描画とする動作モードが印刷データ(同図A)に指示され、上記の例外を適用したときに得られる処理結果を表す画像200P7を示している。
同図の画像200P7には、文字行によって挟まれ、印刷領域の全幅に亘って配置されたイメージデータI1は例外に当たる配置条件を有するので、描画されているが、これ以外の印刷領域の本来はイメージ画像が描画される領域は、全て描画されない空白の領域となっている。
【0069】
図14は、実施形態5に係るプリンタの画像出力処理を、イメージデータを非描画とする動作モードで実行する手順を示すフロー図である。
なお、図14のステップS501〜S504は、図3のステップS101〜S104に対応し、同じ処理を行うので、上記ステップS101〜S104の説明を参照することとし、ここでは記載を簡略にする。
本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理を示す図14のフローでは、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理のフロー(図3)と同様に、プリンタシステム制御部104は、印刷データを解析することで得た描画コマンドがイメージであるか否かを判断し、処理対象の描画コマンドがイメージであれば、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理と同じ手順で、利用者の選択によるイメージ画像の描画/非描画の選択に従う処理を行う(ステップS503,S504,S506)。
【0070】
ステップS504で利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていなければ(ステップS504-NO)、プリンタシステム制御部104は、この描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
他方、ステップS504で利用者によるイメージ画像の描画/非描画の動作モードの選択において、非描画が選択されていれば(ステップS504-YES)、プリンタシステム制御部104は、本実施形態に係るプリンタ20の画像出力処理で適用する画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれているか否かによって判断する(ステップS505)。
【0071】
ステップS505で、プリンタシステム制御部104は、当該イメージ描画コマンドにより描画されるイメージ画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれていることが判断できなければ(ステップS505-NO)、この描画コマンドに対する描画処理を行わずに、未処理の次の描画コマンドに対するステップS503からの処理に移行する。
他方、ステップS505で、プリンタシステム制御部104は、当該イメージ描画コマンドにより描画されるイメージ画像が文字画像を持つ文字行によって挟まれていることが判断できれば(ステップS505-YES)、例外が適用でき、このイメージ描画コマンドに対する描画処理を行うので、印刷データ解析・描画部105の描画部に描画コマンドを渡す。
処理対象の描画コマンドを渡される印刷データ解析・描画部105の描画部は、受け取った描画コマンドの指示による描画処理を行う(ステップS506)。
描画コマンド全部の描画処理が済めば、この処理フローを終了する。
【0072】
以上説明したように、この実施形態に係るプリンタの画像出力処理によると、利用者がウェブページにおける広告等のイメージ画像が不要である場合に、実施形態1に係るプリンタの画像出力処理に加え、非描画とする動作が選択されても、文字データによる記事の内容と密接に関係するイメージ画像である可能性が極めて高いイメージ画像を例外として描画を行うようにしたことで、文字画像によって表される記事内容を実施形態1に係るプリンタの画像出力処理によるよりも、より正しく容易に理解できる。
【0073】
「スキャナ入力データへの対応」
上述の実施形態1〜5に係るプリンタの画像出力処理においては、入力される印刷データがPDLデータであるとした。
ただ、画像形成装置が受け付ける印刷データには、紙媒体に画像をプリントした原稿をスキャナにより読取り、得られる画素輝度信号を基に生成される画像データの形で入力される場合がある。スキャナ入力データの場合、PDLデータからプリント出力用画像データを生成する過程で必須の描画コマンドの解析は行わない。つまり、スキャナ入力データを用いて行うプリント出力に不可欠の処理として、イメージ画像の領域情報を検出する処理は行わない。
したがって、スキャナ入力データに対し、イメージ画像のプリント出力を行うか否かを選択する出力処理を制御できるようにするためには、イメージ画像の領域情報を検出する手段を追加する必要がある。
【0074】
スキャナ入力データに対し、イメージ画像に相当する領域情報を検出する手段は、イメージ画像のプリント出力を行う際に、不可欠の処理ではないが、出力画像の画質を高めるために採用される像域分離処理手段がある。
この像域分離処理手段は、文字・罫線等の画像とイメージ画像に相当する写真画像とを領域分離する処理を行う既存の手段である。
よって、イメージ画像に相当する領域情報を検出する手段として、上述の各実施形態の印刷データの解析手段に代えて、上記像域分離処理手段を備え、イメージデータの画像出力を不要とするプリント出力の処理過程においてこの像域分離処理手段を適用することで、イメージ画像のプリント出力を行うか否かを選択する出力処理の制御を実施することができる。
【符号の説明】
【0075】
10・・コントローラ、11・・CPU、12・・ROM、13・・RAM、14・・NVRAM、15・・ネットワークI/F、16・・エンジンI/F、17・・操作パネルI/F、20・・プリンタ、23・・プリンタエンジン、24・・操作パネル、40・・ホストPC、102・・印刷データ受信部、104・・プリンタシステム制御部、105・・印刷データ解析・描画部。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0076】
【特許文献1】特開2007−257069号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置であって、
前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付手段と、
前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出手段と、
前記出力指示受付手段が、前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データのうち、前記イメージデータ検出手段によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記制御手段は、前記出力指示受付手段によってイメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記イメージデータが文字データからなる文字行に挟まれたイメージデータであることを条件に、当該イメージデータに対する描画処理を行わせる手段である
画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記イメージデータに対し前記描画処理を行わないことによって出力画像面に生じる空白を埋めるように、前段にある前記文字データに対する描画処理した画像を文字行単位で繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記イメージデータに対して前記描画処理を行わないことによって、出力画像面の文字行において生じる空白を埋めるように、後段にある前記文字データに対する描画処理した画像を文字列及び文字単位で繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
前記文字データ部分に対する前記描画処理による画像を文字列及び文字単位で繰り上げる処理を行うことにより新たに行単位で生じる空白を埋めるように、生じた空白行の次段の文字行の文字データを繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された画像形成装置において、
文字行中に識別子となるマークを付加するマーク付加手段を有し、
前記制御手段は、繰り上げ配置する処理を行わせる際に、文字行の文字データの繰り上げ配置先にある文字行の文字データの末尾に前記マーク付加手段によって識別子となるマークを付加する処理を行わせる手段である
画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置が有する前記制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置と、
前記画像形成装置と通信手段で接続し、前記通信手段により画像形成装置に対し印刷データを送るホスト装置と
から構成する画像形成システム。
【請求項10】
印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置における出力用画像データ処理方法であって、
前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付工程と、
前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出工程と、
前記出力指示受付工程で前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データに対し、前記イメージデータ検出工程によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御工程と
を有する出力用画像データ処理方法。
【請求項1】
印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置であって、
前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付手段と、
前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出手段と、
前記出力指示受付手段が、前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データのうち、前記イメージデータ検出手段によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載された画像形成装置において、
前記制御手段は、前記出力指示受付手段によってイメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記イメージデータが文字データからなる文字行に挟まれたイメージデータであることを条件に、当該イメージデータに対する描画処理を行わせる手段である
画像形成装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記イメージデータに対し前記描画処理を行わないことによって出力画像面に生じる空白を埋めるように、前段にある前記文字データに対する描画処理した画像を文字行単位で繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項4】
請求項1又は2に記載された画像形成装置において、
前記イメージデータに対して前記描画処理を行わないことによって、出力画像面の文字行において生じる空白を埋めるように、後段にある前記文字データに対する描画処理した画像を文字列及び文字単位で繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載された画像形成装置において、
前記文字データ部分に対する前記描画処理による画像を文字列及び文字単位で繰り上げる処理を行うことにより新たに行単位で生じる空白を埋めるように、生じた空白行の次段の文字行の文字データを繰り上げ配置する処理を行わせる制御手段を
有する画像形成装置。
【請求項6】
請求項4又は5に記載された画像形成装置において、
文字行中に識別子となるマークを付加するマーク付加手段を有し、
前記制御手段は、繰り上げ配置する処理を行わせる際に、文字行の文字データの繰り上げ配置先にある文字行の文字データの末尾に前記マーク付加手段によって識別子となるマークを付加する処理を行わせる手段である
画像形成装置。
【請求項7】
コンピュータを請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置が有する前記制御手段として機能させるためのプログラム。
【請求項8】
請求項7に記載されたプログラムを記録したコンピュータ読取可能な記録媒体。
【請求項9】
請求項1乃至6のいずれかに記載された画像形成装置と、
前記画像形成装置と通信手段で接続し、前記通信手段により画像形成装置に対し印刷データを送るホスト装置と
から構成する画像形成システム。
【請求項10】
印刷データを基に描画処理を行い、得られる出力用画像データにより画像を形成する画像形成装置における出力用画像データ処理方法であって、
前記描画処理対象の印刷データのうち、イメージデータの画像出力を不要とするか否かの指示を受付ける出力指示受付工程と、
前記描画処理対象の印刷データからイメージデータを検出するイメージデータ検出工程と、
前記出力指示受付工程で前記イメージデータの画像出力を不要とする指示を受付けたとき、前記描画処理対象の印刷データに対し、前記イメージデータ検出工程によって検出されたイメージデータの前記描画処理を行わずに、画像出力処理を行わせる制御工程と
を有する出力用画像データ処理方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2013−95064(P2013−95064A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−240318(P2011−240318)
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月1日(2011.11.1)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]