説明

画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラム

【課題】仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を用いて印刷設定を行うことにより、仕上がり状態を予測可能とし、実際の原稿をテンプレート原稿として用いたり、容易に設定情報の追加や変更を可能として、操作性を向上させるようにした。
【解決手段】ユーザが操作パネル18を使って行う印刷設定に先立って、テンプレート原稿22aを画像読取部11で読み取り、その画像データを画像解析部15で解析して、原稿の属性を表す特性値を抽出する。設定項目検索部16は、この特性値に関連する設定項目が記憶された設定項目DB161に照合して検索し、検索した設定項目に基づいて、印刷設定を自動的に行うようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取った画像データを事前に解析して、テンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出し、その特性値に関連する設定項目に基づいて印刷設定を行い、その設定された印刷設定項目に基づいて画像データの加工や仕上げ処理を施して印刷出力する画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、原稿画像を読み取るスキャナ、スキャナで読み取った原稿画像を印刷する複写機、外部から入力された画像データを印刷するプリンタやファクシミリ装置、あるいは、これらの機能を兼ね備えた複合機などの画像形成装置が一般に用いられている。
【0003】
この種の画像形成装置にあっては、原稿の種類や濃度といった原稿の状態に関する設定、拡大率/縮小率、片面/両面、あるいは余白サイズといった各種画像処理に関する設定、ソート、ステープル処理、あるいはパンチ穴あけといった仕上げ処理に関する設定など様々な機能に関する設定を行う必要がある。このため、ユーザは、印刷設定に関する非常に膨大な選択項目の中から所望の機能を探し出して、正確な設定入力を行わなければならなかった。
【0004】
この傾向は、特に最近の画像形成装置のように、使用頻度の高いものから使用頻度の低いものまで非常に豊富な機能を有しているもの、あるいは、それらを組み合わせた複合機などにおいて顕著である。
【0005】
そこで、操作パネルなどのユーザインタフェースを使わずに印刷設定を行う方法としては、例えばジョブシートと呼ばれるマークシート形式の印刷設定用紙を使い、印刷設定に必要な個所に印をつけて光学文字読取装置(OCR)などで設定情報を読み取るものがあった。
【0006】
また、この他にも、画像形成条件の設定情報およびその設定情報を絵や文字で表した目視理解可能パターンが記録された設定カードを原稿台にセットし、操作パネルのスタートキーを押下すると設定カードに記録された設定情報がスキャナ部等で光学的に読み取られ、画像処理部で認識することにより、基本部CPUのRAM内における設定データテーブルに画像形成条件が自動設定可能となり、操作性等の向上が図れる画像形成装置があった(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平9−261382号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、このような背景技術にあっては、操作パネルなどの印刷設定画面の選択項目をチェックする代わりに、ジョブシートと呼ばれる印刷設定用紙に印をつけてOCRなどで設定情報を読み取らせて印刷設定する場合、一旦チェックしたジョブシートを他の画像形成装置などで何度も使いまわせる点で操作性が向上したといえる。しかし、最初にジョブシートを作成する際の手間は、印刷設定の選択項目数自体が変わらない以上、操作パネルの場合と同様であるという問題があった。
【0009】
さらに、上記特許文献1は、画像形成条件の設定情報およびその設定情報を絵や文字で表した目視理解可能パターンが記録された設定カードを使うという点で、本願発明のテンプレート原稿と類似しているように見える。しかし、特許文献1の設定カードは、画像形成条件の設定情報がバーコードなどで表示されていると共に、その設定情報を目視理解可能なパターンとしてアイコンや文字などで表示されているだけであるため、約束事を理解していないユーザがこれを見ても仕上がり状態を予測することが難しい上、一旦設定された設定カードの情報を後から変更することは非常に困難であるという問題があった。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷設定を行うテンプレート原稿を仕上がりイメージで表現するようにしたため、容易に仕上がり状態を予測することができ、実際の原稿をテンプレート原稿として用いたり、設定情報を後から追加したり変更したりすることが可能となり、印刷設定作業を適正かつ効率良く行える画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取手段と、読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析手段と、前記画像解析手段によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して印刷設定を行うユーザ設定手段と、を備え、前記ユーザ設定手段は、ユーザによる印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析手段で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする。
【0012】
また、請求項2にかかる発明は、少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取手段と、読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理手段と、前記原稿読取手段で読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析手段と、前記画像処理手段で画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷手段と、印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理手段と、前記画像解析手段によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定手段と、を備え、前記ユーザ設定手段は、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析手段で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0013】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1または2に記載の画像形成装置において、前記画像データを少なくとも一時的に保持する画像記憶手段をさらに備えたことを特徴とする。
【0014】
また、請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像解析手段は、読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさ、および原稿に記載されたレイアウトの認識の少なくとも一方の特性値を抽出するもので、印刷設定に関わる複数の設定項目情報を前記画像解析手段で抽出される各特性値と関連付けて記憶している設定項目記憶手段と、前記画像解析手段で抽出された特性値を前記設定項目記憶手段に照合して、特性値に関連した設定項目を検索する設定項目検索手段と、をさらに備え、前記ユーザ設定手段は、抽出した特性値に関連する設定項目に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする。
【0015】
また、請求項5にかかる発明は、請求項4に記載の画像形成装置において、前記画像解析手段におけるレイアウトの認識とは、レイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報の少なくとも1つを認識することを特徴とする。
【0016】
また、請求項6にかかる発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記画像解析手段は、手書きのレイアウトを認識可能としたことを特徴とする。
【0017】
また、請求項7にかかる発明は、請求項4または5に記載の画像形成装置において、前記テンプレート原稿に対して実際に仕上げ処理を施すことで仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取手段で読み取って前記画像解析手段により仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする。
【0018】
また、請求項8にかかる発明は、請求項4〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取手段で読み取って前記画像解析手段により仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする。
【0019】
また、請求項9にかかる発明は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像解析手段は、レイアウトの認識形状が円形状で、かつその円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定手段においてパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0020】
また、請求項10にかかる発明は、請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記画像解析手段は、レイアウトの認識形状が直線形状で、かつその直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、ステープルに相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定手段においてステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0021】
また、請求項11にかかる発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする。
【0022】
また、請求項12にかかる発明は、請求項8に記載の画像形成装置において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする。
【0023】
また、請求項13にかかる発明は、請求項1〜12のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記原稿読取手段は、原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら所定の読み取り位置に原稿をセットし、原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れるようにした自動原稿搬送手段をさらに備え、前記原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理することを特徴とする。
【0024】
また、請求項14にかかる発明は、請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像形成装置において、前記テンプレート原稿は、仕上がりイメージの表現に加えて印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、前記画像解析手段は、仕上がりイメージに関する特性値に加えて前記記号や前記コードに対応した特性値を抽出し、前記ユーザ設定手段は、テンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づく印刷設定を行うことを特徴とする。
【0025】
また、請求項15にかかる発明は、少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取装置と、読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理装置と、前記原稿読取装置で読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析装置と、前記画像処理装置で画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷装置と、印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理装置と、前記画像解析装置によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定装置と、を備え、前記各装置間の少なくとも一部がネットワークを介して接続され、前記ユーザ設定装置は、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析装置で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0026】
また、請求項16にかかる発明は、仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取ステップと、読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析ステップと、抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して印刷設定を行うユーザ設定ステップと、を含み、前記ユーザ設定ステップは、ユーザによる印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする。
【0027】
また、請求項17にかかる発明は、仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取ステップと、読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理ステップと、前記原稿読取ステップで読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析ステップと、前記画像処理ステップで画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷ステップと、印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理ステップと、前記画像解析ステップによって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定ステップと、を含み、前記ユーザ設定ステップは、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0028】
また、請求項18にかかる発明は、請求項16または17に記載の画像形成方法において、前記画像解析ステップは、読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさ、および原稿に記載されたレイアウトの認識の少なくとも一方の特性値を抽出し、印刷設定に関わる複数の設定項目情報を前記画像解析ステップで抽出される各特性値と関連付けて記憶する設定項目記憶ステップと、前記画像解析ステップで抽出された特性値を前記設定項目記憶ステップにおける記憶内容と照合して、特性値に関連した設定項目を検索する設定項目検索ステップと、をさらに含み、前記ユーザ設定ステップは、抽出した特性値に関連する設定項目に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする。
【0029】
また、請求項19にかかる発明は、請求項18に記載の画像形成方法において、前記画像解析ステップにおけるレイアウトの認識とは、レイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報の少なくとも1つを認識することを特徴とする。
【0030】
また、請求項20にかかる発明は、請求項18または19に記載の画像形成方法において、前記画像解析ステップは、手書きのレイアウトを認識可能としたことを特徴とする。
【0031】
また、請求項21にかかる発明は、請求項18または19に記載の画像形成方法において、前記テンプレート原稿に対して実際に仕上げ処理を施すことで仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取ステップで読み取って前記画像解析ステップにより仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする。
【0032】
また、請求項22にかかる発明は、請求項18〜20のいずれか一つに記載の画像形成方法において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取ステップで読み取って前記画像解析ステップにより仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする。
【0033】
また、請求項23にかかる発明は、請求項18〜22のいずれか一つに記載の画像形成方法において、前記画像解析ステップは、レイアウトの認識形状が円形状で、かつその円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定ステップにおいてパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0034】
また、請求項24にかかる発明は、請求項18〜22のいずれか一つに記載の画像形成方法において、前記画像解析ステップは、レイアウトの認識形状が直線形状で、かつその直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、ステープルに相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定ステップにおいてステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする。
【0035】
また、請求項25にかかる発明は、請求項22に記載の画像形成方法において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする。
【0036】
また、請求項26にかかる発明は、請求項22に記載の画像形成方法において、前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする。
【0037】
また、請求項27にかかる発明は、請求項16〜26のいずれか一つに記載の画像形成方法において、前記原稿読取ステップは、原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら所定の読み取り位置に原稿をセットし、原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れるようにした自動原稿搬送ステップをさらに含み、前記原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理することを特徴とする。
【0038】
また、請求項28にかかる発明は、請求項16〜27のいずれか一つに記載の画像形成方法において、前記テンプレート原稿は、仕上がりイメージの表現に加えて印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、前記画像解析ステップは、仕上がりイメージに関する特性値に加えて前記記号や前記コードに対応した特性値を抽出し、前記ユーザ設定ステップは、テンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づく印刷設定を行うことを特徴とする。
【0039】
また、請求項29にかかる発明は、請求項16〜28のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
【発明の効果】
【0040】
請求項1にかかる発明によれば、ユーザによる印刷設定に先立って、原稿読取手段により仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を読み取り、画像解析手段で解析することでテンプレート原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいてユーザ設定手段で印刷設定を行うようにしたため、仕上がり状態が容易に予測可能となり、実際の原稿もテンプレート原稿として用いることができる上、設定情報を後から追加したり変更したりできるので、印刷設定作業を適正かつ効率良く行うことができるという効果を奏する。
【0041】
請求項2にかかる発明によれば、ユーザによる印刷設定に先立って、原稿読取手段により仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を読み取り、画像解析手段で解析することでテンプレート原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいてユーザ設定手段で画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、仕上がり状態が容易に予測可能となり、実際の原稿もテンプレート原稿として用いることができる上、画像処理や仕上げ処理に関する印刷の設定情報を後から追加したり変更したりできるので、印刷設定作業を適正かつ効率良く行うことができるという効果を奏する。
【0042】
請求項3にかかる発明によれば、画像データを少なくとも一時的に保持する画像記憶手段をさらに備えているため、取得した画像データや読み取った画像データを一時的に画像記憶手段に保持させ、これを読み出して画像解析手段で解析を行って原稿の特性値を抽出したり、画像データに画像処理を施すことが容易かつ自由に行えるようになるという効果を奏する。
【0043】
請求項4にかかる発明によれば、画像解析手段により読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさや原稿に記載されたレイアウトの認識に関する特性値を抽出し、その特性値を設定項目検索手段が設定項目記憶手段に照合し、その特性値に関連した設定項目を検索し、その設定項目に基づいて印刷設定を行うようにしたため、テンプレート原稿の中から属性を表す特性値を抽出し、印刷設定に関連した設定項目の検索を効率良く行い、容易かつ適正な印刷設定が行えるという効果を奏する。
【0044】
請求項5にかかる発明によれば、画像解析手段によるレイアウトの認識が、テンプレート原稿に記載されたレイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報のうち少なくとも1つを認識するものとしたため、例えば原稿の文字記載位置を枠囲いして簡易に表現したテンプレート専用原稿、あるいは、文字が記載された実際の原稿の何れを用いたとしても、レイアウトを適正に認識することができるという効果を奏する。
【0045】
請求項6にかかる発明によれば、画像解析手段によって手書きのレイアウトを認識することができるため、手書きでテンプレート原稿を作成したり、既存のテンプレート原稿や実際の原稿に後から手書きで容易にレイアウトを追加することが可能となり、所望のテンプレート原稿が容易に作成できるという効果を奏する。
【0046】
請求項7にかかる発明によれば、実際の仕上げ処理を施したテンプレート原稿を原稿読取手段で読み取って、画像解析手段で仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたため、実際に仕上げ処理が施された原稿をそのまま利用したり、テンプレート専用原稿に仕上げ処理を施したものを用いるだけで、容易に仕上げ処理に関するレイアウトを認識させることができるという効果を奏する。
【0047】
請求項8にかかる発明によれば、テンプレート原稿に仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を原稿読取手段で読み取って画像解析手段により仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出するようにしたため、仕上げ処理のレイアウトは、実際に仕上げ処理を施すだけでなく、模倣パターンを記入しても認識させることができるので、容易に仕上げ処理に関するレイアウトを作成することができるという効果を奏する。
【0048】
請求項9にかかる発明によれば、画像解析手段が円形状のレイアウトを認識し、その円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、ユーザ設定手段でパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、レイアウトの認識状態に応じてパンチ穴の仕上げ処理が施されていることを認識し、パンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を自動的に行うことができるという効果を奏する。
【0049】
請求項10にかかる発明によれば、画像解析手段が直線形状のレイアウトを認識し、その直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、ステープルに相当する特性値を抽出し、ユーザ設定手段でステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、レイアウトの認識状態に応じてステープルの仕上げ処理が施されていることを認識し、ステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を自動的に行うことができるという効果を奏する。
【0050】
請求項11にかかる発明によれば、テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いるようにしたため、実際にテンプレート原稿にステープルを打たずに直線形状の印章を押印するだけで、ステープルに関する特性値が抽出可能なレイアウトを容易に作成することができるという効果を奏する。
【0051】
請求項12にかかる発明によれば、テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いるようにしたため、実際にテンプレート原稿にパンチ穴を開けずに円形状の印章を押印するだけで、パンチ穴に関する特性値が抽出可能なレイアウトを容易に作成することができるという効果を奏する。
【0052】
請求項13にかかる発明によれば、原稿読取手段は原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れる自動原稿搬送手段をさらに備え、原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理するようにしたため、テンプレート原稿を1枚目にセットしたり、印刷設定に適した実際の原稿を1枚目にセットするだけで、自動的に適正な印刷設定が行われて、複数ページからなる原稿を適正かつ迅速に印刷処理することができるという効果を奏する。
【0053】
請求項14にかかる発明によれば、テンプレート原稿に仕上がりイメージの表現に加えて、印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、画像解析手段が仕上がりイメージに関する特性値に加えて、記号やコードに関する特性値を抽出し、ユーザ設定手段においてテンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づいて印刷設定を行うことができるため、仕上がりイメージだけでは表現できない印刷設定項目についてもテンプレート原稿を使って印刷設定することができるという効果を奏する。例えば、1枚目のテンプレート原稿の片面に表現された画像を読み取るだけでは認識できない設定項目として、両面印刷を指示したり、モノクロ原稿を所定のモノカラーで印刷するように指示したり、カラー原稿をモノクロで印刷するように指示したりする場合などがある。このように、仕上がりイメージだけでは表現できない印刷設定項目については、印刷設定を補助する記号やコードなどが使えるようにしている。
【0054】
請求項15にかかる発明によれば、ユーザによる印刷設定に先立って、原稿読取装置により仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を読み取って、画像解析装置で解析することでテンプレート原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいてユーザ設定装置で画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行い、上記各装置間の少なくとも一部がネットワークを介して接続されているため、1つの画像形成装置に適用されるだけでなく、上記各機能をネットワークを介して分散処理する画像形成システムを構成する場合でも同様に適用できるという効果を奏する。
【0055】
請求項16にかかる発明によれば、ユーザによる印刷設定に先立って、原稿読取ステップにより仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を読み取り、画像解析ステップで解析を行ってテンプレート原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいてユーザ設定ステップで印刷設定を行うため、仕上がり状態が容易に予測可能となり、実際の原稿もテンプレート原稿として用いることができる上、設定情報を後から追加したり変更したりできるので、印刷設定作業を適正かつ効率良く行うことができるという効果を奏する。
【0056】
請求項17にかかる発明によれば、ユーザによる印刷設定に先立って、原稿読取ステップにより仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿を読み取り、画像解析ステップで解析を行ってテンプレート原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいてユーザ設定ステップで画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、仕上がり状態が容易に予測可能となり、実際の原稿もテンプレート原稿として用いることができる上、画像処理や仕上げ処理に関する印刷の設定情報を後から追加したり変更したりできるので、印刷設定作業を適正かつ効率良く行うことができるという効果を奏する。
【0057】
請求項18にかかる発明によれば、画像解析ステップにより読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさや原稿に記載されたレイアウトの認識に関する特性値を抽出し、その特性値に対して設定項目検索ステップが設定項目記憶ステップで記憶された特性値と関連する設定項目を検索し、その検索された設定項目に基づいて印刷設定を行うようにしたため、テンプレート原稿の中から属性を表す特性値を抽出し、印刷設定に関連した設定項目の検索を効率良く行うことにより、容易かつ適正に印刷設定を行うことができるという効果を奏する。
【0058】
請求項19にかかる発明によれば、画像解析ステップにおけるレイアウトの認識が、テンプレート原稿に記載されたレイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報のうち少なくとも1つを認識するものとしたため、例えば原稿の文字記載位置を枠囲いして簡易に表現したテンプレート専用原稿、あるいは、文字が記載された実際の原稿の何れを用いたとしても、レイアウトを適正に認識することができるという効果を奏する。
【0059】
請求項20にかかる発明によれば、画像解析ステップによって手書きのレイアウトを認識することができるため、手書きでテンプレート原稿を作成したり、既存のテンプレート原稿や実際の原稿に後から手書きで容易にレイアウトを追加することが可能となり、所望のテンプレート原稿が容易に作成できるという効果を奏する。
【0060】
請求項21にかかる発明によれば、実際の仕上げ処理を施したテンプレート原稿を原稿読取ステップで読み取り、画像解析ステップで仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたため、実際に仕上げ処理が施された原稿をそのまま利用したり、テンプレート専用原稿に仕上げ処理を施したものを用いるだけで、容易に仕上げ処理に関するレイアウトを認識させることができるという効果を奏する。
【0061】
請求項22にかかる発明によれば、テンプレート原稿に仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を原稿読取ステップで読み取り、画像解析ステップによって仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出するようにしたため、仕上げ処理のレイアウトは、実際に仕上げ処理を施すだけでなく、模倣パターンを記入しても認識させることができるので、容易に仕上げ処理に関するレイアウトが作成できるという効果を奏する。
【0062】
請求項23にかかる発明によれば、画像解析ステップで円形状のレイアウトを認識し、その円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定されると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、ユーザ設定ステップでパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、レイアウトの認識状態に応じてパンチ穴の仕上げ処理が施されていることを認識し、パンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を自動的に行うことができるという効果を奏する。
【0063】
請求項24にかかる発明によれば、画像解析ステップで直線形状のレイアウトを認識し、その直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定されると、ステープルに相当する特性値を抽出し、ユーザ設定ステップでステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うようにしたため、レイアウトの認識状態に応じてステープルの仕上げ処理が施されていることを認識し、ステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を自動的に行うことができるという効果を奏する。
【0064】
請求項25にかかる発明によれば、テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いるようにしたため、実際にテンプレート原稿にステープルを打たずに直線形状の印章を押印するだけで、ステープルに関する特性値が抽出可能なレイアウトを容易に作成することができるという効果を奏する。
【0065】
請求項26にかかる発明によれば、テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いるようにしたため、実際にテンプレート原稿にパンチ穴を開けずに円形状の印章を押印するだけで、パンチ穴に関する特性値が抽出可能なレイアウトを容易に作成することができるという効果を奏する。
【0066】
請求項27にかかる発明によれば、原稿読取ステップは原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れる自動原稿搬送ステップをさらに含み、原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理するようにしたため、テンプレート原稿を1枚目にセットしたり、印刷設定に適した実際の原稿を1枚目にセットするだけで、自動的に適正な印刷設定が行われて、複数ページからなる原稿を適正かつ迅速に印刷処理することができるという効果を奏する。
【0067】
請求項28にかかる発明によれば、テンプレート原稿に仕上がりイメージの表現に加えて、印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、画像解析ステップにおいて仕上がりイメージに関する特性値に加えて、記号やコードに関する特性値を抽出し、ユーザ設定ステップにおいてテンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づいて印刷設定を行うことができるため、仕上がりイメージだけでは表現できない印刷設定項目についてもテンプレート原稿を使って印刷設定することができるという効果を奏する。例えば、1枚目のテンプレート原稿の片面に表現された画像を読み取るだけでは認識できない設定項目として、両面印刷を指示したり、モノクロ原稿を所定のモノカラーで印刷するように指示したり、カラー原稿をモノクロで印刷するように指示したりする場合などがある。このように、仕上がりイメージだけでは表現できない印刷設定項目については、印刷設定を補助する記号やコードなどが使えるようにしている。
【0068】
また、請求項29にかかる発明によれば、請求項16〜28のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させることができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0069】
以下に、本発明にかかる画像形成装置、画像処理システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムの最良な実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0070】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の画像形成装置の概略構成を説明するブロック図である。本発明の特徴は、画像形成装置におけるユーザの印刷設定動作に先立って、仕上がりイメージを表現した印刷設定用のテンプレート原稿22aの読み取り(プレスキャン)が行われる。これは、読み取ったテンプレート原稿22aの画像データを解析して原稿属性を表す特性値を抽出し、その特性値に関連した印刷設定に関わる設定項目を検索する。このようにして検索された設定項目は、テンプレート原稿以降の画像形成に必要な印刷設定項目であり、ユーザインタフェースである操作パネル18の表示部181上に設定済み項目として表示することで、印刷設定作業を適正かつ効率良く行って、設定作業の手間ができるだけ省けるようにしたものである。ここでは、画像形成装置として、スキャナ、複写機、プリンタなどの機能を具備する複合機(MFP機)を用いて実施したものである。
【0071】
図1に示す画像形成装置10は、原稿読取手段としての原稿読取部11、その原稿読取部11を構成するスキャナ111およびスキャナコントローラ112、自動原稿搬送手段としてのADF(オート・ドキュメント・フィーダ)113、画像記憶手段としての画像記憶部12、画像処理手段としての画像処理部13、印刷手段としての印刷部14、その印刷部14を構成するプリンタ141およびプリンタコントローラ142、仕上げ処理手段としての仕上げ処理部143、画像解析手段としての画像解析部15、設定項目検索手段としての設定項目検索部16、設定項目検索部16が照合する設定項目記憶手段としての設定項目DB161、操作パネルを制御する操作パネル制御部17、ユーザが画像形成装置の操作や印刷設定などを行うユーザ設定手段としての操作パネル18、その操作パネル18を構成する表示部181および入力部182、装置全体を制御するシステム制御部19、および通信制御部20などにより構成されている。また、画像形成装置10は、通信制御部20を介してネットワーク21と接続されている。
【0072】
そして、画像形成装置10は、テンプレート原稿22aを読み取った画像データを解析し、得られた原稿の特性値に関連する設定項目を検索し、その設定項目に基づいて印刷設定が行われる。このテンプレート原稿22aに基づく印刷設定は、続いて読み取られる原稿22の画像データに適用され、画像処理されて印刷されると共に、仕上げ処理が行われ、印刷物23として出力される。
【0073】
本発明のテンプレート原稿22aは、ユーザの仕上がりイメージをレイアウトで表現した原稿を用いる点に特徴があるため、仕上がりイメージが把握し易く、通常の原稿をそのままテンプレート原稿として用いることが可能であって、仕上がりイメージを後から追加したり変更したりするのを容易に行うことができる。テンプレート原稿のレイアウトは、印刷によるものであっても良いし、ユーザによる手書きにより記述したものであっても勿論良い。
【0074】
原稿読取部11は、スキャナ111によって所定の読み取り位置にセットされた原稿21のイメージを読み取ってディジタル画像データに変換するもので、それらの動作制御はスキャナコントローラ112が行っている。なお、この原稿読取部11では、複数ページの原稿を原稿トレイにセットすると、読み取り位置に自動的に1枚ずつ順に繰り出しながら連続して原稿の読み取りが行えるADF113を搭載している。このように、複数ページの原稿を原稿トレイにセットした場合、例えば1枚目をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、2枚目以降の原稿をその印刷設定に基づいて印刷処理を行うように設定することも可能である。また、上記したADF113は、用紙の片面に印刷された片面原稿だけでなく、両面に印刷された両面原稿を搬送途中に反転させることで両面を自動的に読み取ることができる反転機能も備えている。
【0075】
画像記憶部12は、原稿読取部11で読み取った画像データや外部から入力された画像データ等を一時的に保存しておくバッファメモリである。
【0076】
画像処理部13は、スキャナ111で読み取られ画像記憶部12に一時保存された多値データをγ補正やMTF補正等を行った後、スライス処理やディザ処理のような階調処理を行って2値(または多値)化処理したり、ユーザが操作パネル18を使って設定した各種印刷機能に対応した画像処理(拡大/縮小、濃度/色の調整など)やレイアウト加工処理(両面印刷/片面印刷、集約印刷、余白サイズの調整など)を行うものである。
【0077】
印刷部14は、ここでは画像処理部13で処理された画像データに基づいて、例えば光ビームを偏向走査させ、感光体上に形成した静電潜像にトナーを使って現像し、生成されたトナー画像を転写紙に転写して、定着処理を行う電子写真技術を用いたプリンタ141により構成されている。なお、この印刷部14には、本発明の特徴的な仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿22aを用いて設定される印刷設定に基づいて、印刷された印刷物23を部数やページ単位で仕分けするソート処理、複数枚の印刷物23を揃えてステープルで綴じるステープル処理、あるいは、複数枚の印刷物23をバインダーやファイルに綴じるためのパンチ穴を空けるパンチ穴処理といった仕上げ処理を行う仕上げ処理部143がさらに搭載されている。
【0078】
画像解析部15は、画像記憶部12内に記憶された画像データに対して光学式文字認識を行うOCR(オプティカル・キャラクタ・レコグニッション)処理を実施し、テンプレート原稿22aの属性を表す様々な原稿特性値を算出するものである。この原稿特性値は、画像関係、レイアウト関係、ADF(自動原稿搬送)関係の3つに大きく分けることが可能である。例えば、画像関係では、画像種類(文字、写真、イラストあるいはそれらの混合か)、使用色(原稿で使用している色情報であり、モノクロ/カラーの区別)、原稿濃度、画素密度(原稿全体における有画素部分の面積比率)、使用文字サイズなどを数値化したものである。また、レイアウト関係では、原稿方向(原稿の上下左右の位置関係情報)、原稿サイズ、上下左右の余白寸法、レイアウト情報(段組み原稿か否か)などを数値化したものである。さらに、ADF関係では、原稿のページ数、原稿面(両面原稿/片面原稿の区別)などを数値化したものである。なお、これらの特性値のうち、定量的な値に関しては、テンプレート原稿内における平均値や最大値、最小値といった統計的な値も併せて算出し、利用することが可能である。
【0079】
第1の実施の形態における画像解析部15は、原稿読取部11で読み取った画像データを解析して、画像形成装置の印刷設定を行うための特性値を抽出するもので、ここでは原稿の大きさを判別するか、レイアウトの認識を行って原稿特性値を抽出している。
【0080】
設定項目検索部16は、画像解析部15で算出されたテンプレート原稿に関する各種特性値が入力されると、その特性値に関連する印刷設定に関わる設定項目を検索するものである。この設定項目検索部16は、個々の特性値と印刷設定に関わる複数の設定項目情報とが関連付けて記憶されている設定項目DB161と接続されている。このため、設定項目検索部16が設定項目DB161を使って、画像解析部15から入力されるテンプレート原稿の特性値に関連した設定項目を検索することで、テンプレート原稿により設定すべき印刷設定項目を検索することが可能となる。
【0081】
操作パネル18は、ユーザが画像形成装置10を操作する際のユーザインタフェースであり、操作情報等が表示される表示部181と、操作や設定入力を行うための入力部182などを備えている。テンプレート原稿により印刷設定が行われる場合は、設定項目検索部16によって検索された設定項目が操作パネル制御部17に入力されると、操作パネル18の表示部181に表示させる選択項目の中から該当する項目を設定済み項目として自動設定するものである。また、操作パネル18を使ってユーザが印刷設定を行う場合は、この画像形成装置10で実行したい機能を表示部181上の選択項目の中から任意に選択して設定する。選択項目を選択する入力部182としては、ここでは表示部181の表面に装着され、表示内容に直接タッチして入力することができるタッチパネルを採用しているが、別に設けられたキーボードなどを使って入力しても勿論良い。
【0082】
システム制御部19は、各構成部と接続されていて、画像形成装置10全体を制御するものである。このシステム制御部19は、CPU、ROM、RAMなどから構成されており、CPUがROMなどに格納されている基本プログラムに基づいて、RAMのワーク領域を利用しながら各種処理が実行される。
【0083】
通信制御部20は、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やインターネットなどのネットワーク20と接続され、通信プロトコルに従ってネットワークに接続された他の機器との間で画像データや制御データ等のやり取りするものである。
【0084】
本第1の実施の形態の画像形成装置10は、上記のように構成されており、次に動作について説明する。ユーザは、図1に示す原稿22を複写する際に、所望の仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿22aを1枚目に、原稿22が2枚目以降となるようにして、原稿読取部11の原稿トレイにセットする。まず、スキャナ111が1枚目のテンプレート原稿22aを読み取り、その画像データを画像記憶部12に一時記憶させる。画像解析部15は、画像記憶部12の画像データを解析して原稿の属性を表す特性値を抽出する。設定項目検索部16は、抽出された特性値に基づいて、設定項目DB161に格納された個々の特性値に対応する設定項目を検索する。操作パネル制御部17は、操作パネル18の表示部181に当該テンプレート原稿22aに関連する選択項目を設定状態にして表示する。ユーザは、そのままの印刷設定内容でよければスタートボタンを押下すると、その印刷設定で原稿22の複写が行われる。このように、ユーザは、関係のない選択項目について考えたり、関係のない選択項目を誤って選択することがなくなり、テンプレート原稿22aの仕上がりイメージ通りの印刷設定を短時間で容易に行うことができる。
【0085】
このようにして、テンプレート原稿22aにより印刷設定が行われると、その設定内容に基づいて画像処理部13で画像データが加工され、印刷部14で印刷される。また、ステープルやパンチ穴等の仕上げ処理に関する設定が行われた場合は、印刷された印刷物23を束ねて仕上げ処理部143でステープル処理やパンチ穴開け処理が行われて、トレイに排出される。
【0086】
このように、第1の実施の形態によれば、ユーザの印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿22aの画像データから原稿の属性を表す特性値を抽出し、その特性値に関連する設定項目を検索して、印刷設定が行われるため、テンプレート原稿22aに表現されたイメージ通りの印刷設定を自動的に行うことができる。また、その設定内容にユーザが変更を加える場合でも、絞り込まれた選択項目の中で設定すればよいため、より容易かつ適切に行わせることができる。
【0087】
[第2の実施の形態]
上記第1の実施の形態では、図1に示すように、画像形成装置10内で全ての処理が行われるが、本発明は必ずしもこれに限定されない。本第2の実施の形態の特徴は、図1と同様な画像形成装置や原稿読み取り機能を持ったスキャナ、印刷機能を持ったプリンタ等がネットワークを介して当該画像形成装置10と接続され、テンプレート原稿を読み取った画像データから特性値を抽出して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて印刷処理や仕上げ処理等を行う一連の処理を別々の場所で行うように構成することで、本発明を画像形成システムとして捉えるようにした点にある。
【0088】
図2は、第2の実施の形態にかかる画像形成システムの概略構成を説明するネットワーク構成図である。図2に示す画像形成システムは、インターネットなどのネットワーク21を介して、上記図1に示した画像形成装置10が接続されていると共に、テンプレート原稿や通常の原稿の画像を読み取ることができるスキャナなどを備えた原稿読取装置114、印刷機能を持った印刷装置144、スキャナで読み取った画像データを印刷用データに加工する画像処理装置131などが接続され構成されている。上記したように、図2の画像形成装置10は単独でも本発明の処理を実行することが可能であるが、テンプレート原稿を別の原稿読取装置114で読み取リ、その画像データをネットワーク21を経由して画像形成装置10に送り(図1参照)、画像データを一旦画像記憶部12に記憶させ、画像解析部15を使ってテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出し、この特性値に関連した印刷設定を行う設定項目を設定項目検索部16で検索し、その検索結果を操作パネル制御部17に渡すことで、操作パネル18に表示する設定項目を絞り込んだり、印刷設定を行うことが可能となる。
【0089】
また、図2の画像形成装置10で設定された印刷設定情報は、ネットワーク21を経由して画像処理装置131に送られ、また、画像読取装置114で読み取った原稿22の画像データもネットワーク21を経由して画像処理装置131に送られる。画像処理装置131では、印刷設定情報に応じて原稿22の画像データが加工され、その加工データをネットワーク21を経由して印刷装置144に送り、印刷処理や仕上げ処理等を行うようにしても良い。
【0090】
このように、第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態における画像形成装置の各処理機能をネットワークを介して接続された装置間で分担して処理する場合にも適用可能であり、第1の実施の形態と同様に、仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を使って印刷設定を行うため、イメージ通りの印刷設定を行うことができる。また、その設定内容にユーザが変更を加えたり追加する場合でも、テンプレート原稿をイメージ通りに修正すればよいため、容易かつ適切な変更を行うことができる。
【0091】
[第3の実施の形態]
第3の実施の形態では、原稿解析部15において、テンプレート原稿22aから原稿の大きさを判別することにより、特性値を抽出する場合の例について説明する。
【0092】
テンプレート原稿22aの大きさを判別して特性値を抽出する場合については、まず、テンプレート原稿22aを原稿読取部11のスキャナ111を使って読み取る際に、原稿の大きさを判別する。読み取った原稿の大きさを自動判別する技術については、公知技術を用いて実施できるため、ここでは説明を省略する。テンプレート原稿22aの大きさを判別した後、複写の対象となる実際の原稿22を上記と同様の自動判別技術を用いて大きさを判別する。このとき、原稿解析部15は、テンプレート原稿22aと実際の原稿22の大きさが同じであると判断すると、「等倍」という原稿特性値を抽出する。また、別の例として、テンプレート原稿22aの大きさがA3サイズであり、実際の原稿22の大きさがA4サイズであった場合は、A4からA3へ拡大して複写することになるため、「141%拡大」という原稿特性値を抽出する。
【0093】
このように、第3の実施の形態によれば、原稿の読み取りを行うだけで、原稿の大きさに関する特性値を抽出し、ユーザインタフェースである操作パネル18上でユーザが所望する拡大/縮小操作に関わる印刷設定を行うことが可能となり、操作性が向上する。
【0094】
[第4の実施の形態]
第4の実施の形態では、原稿解析部15において、テンプレート原稿22aの画像データからレイアウトの認識を行い、特性値を抽出する場合について説明する。ここで述べるレイアウトの認識とは、レイアウト形状の認識だけでなく、その形状が存在する座標位置の認識、およびその形状を表す色情報の認識などが含まれ、既存のパターン認識技術を用いて実現することができる。レイアウト認識の具体例としては、集約処理、カラー変換処理、仕上げ処理(ステープル、パンチ穴)などに分けることができ、図3〜図6を用いて説明する。
【0095】
(集約処理)
図3−1は、2面集約のレイアウト例を示したテンプレート原稿の図であり、図3−2は、4面集約のレイアウト例を示したテンプレート原稿の図である。まず、図3−1に示すように、テンプレート原稿22aの中に2つの矩形枠30が記入されている場合、画像解析部15は、画像データに基づいて矩形枠30が2つあることを認識すると共に、両矩形の存在する座標位置から両矩形は左右対称であって、テンプレート原稿内に比較的大きく描かれていることがわかる。
【0096】
画像解析部15は、このようなレイアウトを認識した場合、2枚の原稿を1枚の用紙に集約して複写するという意味を表す「2面集約」の特性値を抽出する。また、図3−2に示すように、画像解析部15は、テンプレート原稿22aの中に4つの矩形枠31が記入されたレイアウトを認識した場合、4枚の原稿を1枚の用紙に集約して複写するという意味の「4面集約」の特性値を抽出する。さらに、図示していないが、画像解析部15がテンプレート原稿22aの中に8つの矩形枠が記入されたレイアウトを認識した場合、8枚の原稿を1枚の用紙に集約して複写するという意味の「8面集約」の特性値を抽出するようにする。
【0097】
このように、テンプレート原稿22aの中にさまざまな集約面数の矩形枠が記入されている場合は、その数に応じた集約面数の特性値を抽出することが可能となり、図1の設定項目検索部16において集約に関する設定項目が検索され、操作パネル制御部17で特性値の集約面数に応じた印刷設定が行われる。
【0098】
(カラー変換処理)
図4は、2面集約のレイアウト例において矩形枠が青色で描かれたテンプレート原稿の図である。図4に示すように、テンプレート原稿22aの矩形枠32が青色で描かれている場合、画像解析部15は、レイアウト認識した矩形枠32の色情報に関する特性値も抽出可能である。このため、図4の場合は、上記した「2面集約」の特性値と、複写時における印字色を通常の「黒」から「青」に変換するための「カラー変換」の特性値を抽出する。
【0099】
このように、テンプレート原稿22aの中に集約面数を表す矩形枠32が記入され、さらにその矩形枠32の色が黒以外の色で描かれている場合は、その数に応じた集約面数の特性値に加えて、カラー変換の特性値を抽出することが可能となり、図1の設定項目検索部16において集約とカラー変換に関する設定項目が検索され、操作パネル制御部17でその設定項目に応じた印刷設定が行われる。
【0100】
(仕上げ処理−ステープル)
図5−1は、原稿の左端2ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図であり、図5−2は、原稿の左上1ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図であり、図5−3は、原稿の上端2ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。これら図5−1〜図5−3に示したステープル処理は、複数ページの原稿を複写した後、ステープルを使って自動的に束ねるためのステープラーが内蔵された複写機や複合機を前提としている。例えば、図5−1に示すように、テンプレート原稿22aの記載範囲である矩形枠30の左端に設けられた図形領域40にユーザが実際に文房具を使用してステープル40aを2ヶ所打ってレイアウトを作成したものである。これにより、ユーザはより具体的な仕上がりイメージを抱くことができる。
【0101】
また、図5−2の場合は、テンプレート原稿22aの矩形枠30の左上に設けられた図形領域41にユーザが実際に文房具を使用してステープル41aを1ヶ所打ってレイアウトを作成したものである。また、図5−3の場合は、テンプレート原稿22aの矩形枠30の上端に設けられた図形領域42にユーザが実際に文房具を使用してステープル42aを2ヶ所打ってレイアウトを作成したものである。これらのステープル位置の違いは、原稿の記載の仕方(横書き、縦書き)、あるいは簡易文書か正式文書などにより使い分けている。
【0102】
このように作成されたテンプレート原稿22aは、図1の原稿読取部11で読み取って、画像解析部15で特性値を抽出し、設定項目検索部16で関連した設定項目を検索することで、操作パネル制御部17においてイメージ通りに印刷設定することができる。
【0103】
また、上記のように、テンプレート原稿22aに実際にステープルを打ったのは、ステープル位置を原稿読取部11で読み取れるようにするためである。ただし、ADFを使用する場合、実際にテンプレート原稿にステープルを打ってしまうとADFを破損するおそれがある。従って、ステープルに相当する模倣パターンをテンプレート原稿22aに記入し、これを原稿読取部11で読み取るようにしても良く、上記と同様の効果を得ることができる。ここでは、ステープルに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を使い、テンプレート原稿22aの所定位置にスタンプするようにしたが、ペン等により手書きで記入しても良い。
【0104】
ステープルの模倣用具を使ってステープルに相当する直線形状の印章を押印する場合は、図5−1のテンプレート原稿22aの図形領域40にスタンプ押印する。画像解析部15は、図5−1のテンプレート原稿22aの画像データを解析し、認識された形状が短い直線で、直線の長さは原稿に比べて非常に短く、認識時の座標位置が原稿の左端にあって、認識された形状の個数を2と判断すると「ステープル左2箇所」の特性値を抽出する。また、画像解析部15は、図5−2のテンプレート原稿22aの画像データを解析し、認識時の座標位置が原稿の上端にあって、認識された形状の個数を1と判断すると「ステープル上」の特性値を抽出する。さらに、画像解析部15は、図5−3のテンプレート原稿22aの画像データを解析し、認識時の座標位置が原稿の上端にあって、認識された形状の個数を2と判断すると「ステープル上2箇所」の特性値を抽出する。
【0105】
このように、ステープルを打った状態を再現する模倣用具を使ってテンプレート原稿のレイアウトを作成した場合でも、ユーザは仕上げ処理を実感することができると共に、そのテンプレート原稿を読み取って特性値を抽出し、所望の印刷設定を行うことができる。なお、手書きによりステープル処理のレイアウトを作成する場合は、原稿解析部15に公知技術(例えば、特許第3024680号公報参照)の手書きパターン認識方法などを用いることで実施することができる。
【0106】
(仕上げ処理−パンチ穴)
図6−1は、原稿の左端2ヶ所にパンチ穴の仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図であり、図6−2は、原稿の上端2ヶ所にパンチ穴の仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。この図6−1と図6−2に示したパンチ穴処理は、複数ページの原稿を複写した後、それらを束ねたり、綴じたりするパンチ穴を開ける穿孔機が内蔵された複写機や複合機を前提としている。例えば、図6−1に示すように、テンプレート原稿22aの記載範囲である矩形枠30の左端に設けられた図形領域50にユーザが実際に文房具を使用してパンチ穴52aを2ヶ所開けてレイアウトを作成したものである。これにより、ユーザはより具体的な仕上がりイメージを抱くことができる。
【0107】
また、図6−2の場合は、テンプレート原稿22aの矩形枠30の上端に設けられた図形領域51にユーザが実際に文房具を使用してパンチ穴51aを2ヶ所開けてレイアウトを作成したものである。これらのパンチ穴位置の違いは、原稿の記載の仕方(横書き、縦書き)などにより使い分けている。
【0108】
このように作成されたテンプレート原稿22aは、図1の原稿読取部11で読み取って、画像解析部15で特性値を抽出し、設定項目検索部16で関連した設定項目を検索することで、操作パネル制御部17においてイメージ通りに印刷設定することができる。
【0109】
テンプレート原稿22aに実際にパンチ穴を開けたのは、そのパンチ穴位置を原稿読取部11で読み取れるようにするためである。従って、パンチ穴に相当する模倣パターンをテンプレート原稿22aに記入し、これを原稿読取部11で読み取るようにしても良く、上記と同様の効果を得ることができる。ここでは、パンチ穴に相当する円形状の印章が押印可能なスタンプ用具を使い、テンプレート原稿22aの所定位置に記入するようにしたが、ペン等により手書きで記入しても良い。
【0110】
パンチ穴の模倣用具を使ってパンチ穴に相当する円形状の印章を押印する場合は、図6−1のテンプレート原稿22aの図形領域50にスタンプ押印する。画像解析部15は、図6−1のテンプレート原稿22aの画像データを解析し、認識された形状が円で、円の大きさは原稿に比べて非常に小さく、認識時の座標位置が原稿の左端にあると判断すると「パンチ左」の特性値を抽出する。また、画像解析部15は、図6−2のテンプレート原稿22aの画像データを解析し、認識時の座標位置が原稿の上端にあって、認識された形状が円で、円の大きさは原稿に比べて非常に小さいと判断すると「パンチ穴上」の特性値を抽出する。
【0111】
このように、パンチ穴を打った状態を再現する模倣用具を使ってテンプレート原稿のレイアウトを作成した場合でも、ユーザは仕上げ処理を実感することができると共に、そのテンプレート原稿を読み取って特性値を抽出し、所望の印刷設定を行うことができる。なお、手書きによりパンチ穴処理のレイアウトを作成する場合についても、ステープルの場合と同様に原稿解析部15に公知技術(特許第3024680号公報参照)の手書きパターン認識方法を用いて実施することができる。
【0112】
また、手書きによるレイアウト作成時に抽出可能な原稿の特性値としては、「薄い原稿」がある。この特性値は、テンプレート原稿22aに例えば2Hなどの薄めの鉛筆を用いてレイアウトを作成した場合に、原稿解析部15による濃度判別処理で薄いと判定されることにより抽出される。
【0113】
テンプレート原稿22aを用いて印刷設定を行う場合に、仕上がりイメージだけでは表現できない設定項目がある。例えば、テンプレート原稿の片面に表現された仕上がりイメージの画像だけでは、両面印刷を指示したり、モノクロ原稿を所定のモノカラーで印刷するように指示したり、カラー原稿をモノクロで印刷するように指示したりすることができない場合が生じる。このため、第4の実施の形態では、テンプレート原稿22aにおける仕上がりイメージに加えて、記号やコードなどを併用して、印刷設定を補助するようにしたものである。
【0114】
印刷設定を補助する記号やコードは、仕上がりイメージとは異なり、テンプレート原稿を作成する際に用いる記号やコードを予め意味付けしておく必要がある。その具体例として、片面の原稿を両面印刷する場合の記号をアイコン等を使ってテンプレート原稿上に表現し、このアイコンを画像解析部15が認識すると、これに対応した特性値を抽出して印刷設定を行うことができる。ここで用いられるアイコンは、予め意味付け(約束事)がしてあればどのようなものでも対応した特性値が抽出可能となる。しかし、本発明のテンプレート原稿は、基本的には仕上がりイメージを表現することが特徴であるため、ユーザに立場に立って考えると、使用するアイコンもできるだけイメージに近いものを使用することが望ましい。また、抽象的なバーコードなどを使わざるを得ない場合については、その近辺にイメージで表現したものを配置することが望ましい。
【0115】
このように、第4の実施の形態よれば、テンプレート原稿の表現として、仕上がりイメージだけでは表現できない印刷設定項目については、印刷設定を補助する記号やコードなどを合わせて使うことにより、さらに多くの印刷設定項目について自動設定を行うことが可能となる。
【0116】
[第5の実施の形態]
第5の実施の形態では、仕上がりイメージなどによって表現されたテンプレート原稿を用いて、自動的に印刷設定が行われる動作について、図7および図8のフローチャートを用いて説明する。
【0117】
図7は、本発明の画像形成装置における印刷設定動作のメインルーチンを示すフローチャートであり、図8は、図7の原稿特性値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。まず、図7に示すように、ユーザの仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿が画像形成装置10の原稿読取部11のスキャナ111にセットされ(ステップS100)、ユーザが操作パネル18の入力部182に設けられている読取開始ボタンが押下されるまで待機している(ステップS101)。
【0118】
その読取開始ボタンが押下されると、テンプレート原稿22aの読み取りが開始され(ステップS102)、読み取られた画像データが画像記憶部12に一時的に保存される(ステップS103)。画像解析部15は、画像記憶部12に保存されたテンプレート原稿22aの画像データを読み出して、原稿の属性を表す特性値を算出する(ステップS104)。
【0119】
このステップS104における原稿特性値算出処理は、図8のサブルーチンのように処理される。すなわち、画像解析部15は、まず原稿の大きさの判別を行い(ステップS200)、続いてテンプレート原稿に表現されている図形形状の判別を行う(ステップS201)。上記した実施の形態では、原稿内容の記載範囲を示す矩形枠30,31,32、ステープル40a,41a,42a、パンチ穴51a,52aなどの形状を判別する。
【0120】
続いて、形状を判別した図形座標を判別する(ステップS202)。この図形座標の判別は、上記した矩形枠30,31,32などの座標位置を判別して、集約面数などをカウントすることができる。
【0121】
次に、形状を判別した図形が存在する図形領域を判別する(ステップS203)。この図形領域の判別は、上記したステープル40a,41a,42a、あるいはパンチ穴51a,52aなどが存在する領域を判別することで、どのタイプの仕上げ処理を行えば良いかを判断することができる。
【0122】
さらに、座標位置が判別された矩形枠30,31,32において、図形色の判別が行われる(ステップS204)。この矩形枠32における図形色は、通常の「黒」から「青」に変わっており、このことは、印字色を通常の「黒」から「青」にカラー変換することを意味している。
【0123】
このように、ステップS104の原稿特性値算出処理のサブルーチンにおける各判別結果に基づいて、それぞれの特性値が算出され、その算出された特性値を収集する(ステップS205)。
【0124】
このようにして収集されたテンプレート原稿22aの特性値が設定項目検索部16に送られると、設定項目検索部16は、各種特性値と印刷設定に必要な設定項目とを関連付けて記憶している設定項目DB161と照合して、収集された特性値に関連した設定項目を検索する(図7のステップS105)。
【0125】
検索された設定項目は、操作パネル制御部17に送られ、原稿画像の加工、あるいは、印刷用紙の仕上げ処理に関する印刷設定が自動的に行われる(図7のステップS106)。
【0126】
このように、第5の実施の形態によれば、ユーザの印刷設定に先立って、仕上がりイメージが表現されたテンプレート原稿22aを画像形成装置10に読み取らせるだけで、イメージ通りの印刷設定を行うことが可能となり、印刷設定に関する操作性を向上させることができる。使用するテンプレート原稿は、仕上がりイメージが表現されていれば良いため、通常の原稿をテンプレート原稿として使用することが可能である。
【0127】
なお、上記した第1〜第5の実施の形態における画像形成装置には、図1に示すように、システム制御部19にCPU、ROM、RAMなどを備え、操作パネル18にはディスプレイ装置などの表示部181と、タッチパネルなどを使った入力部182とを具備し、さらに図示省略したHDDやCDドライブなどの外部記憶部などを備えたものも普及しつつある。
【0128】
このようなハードウェア構成からなる本実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、ROM等に予め組み込んで提供するように構成しても良く、また、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して提供してもよい。
【0129】
さらに、本実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、インターネット等のネットワーク21を介してダウンロードさせることにより提供または配布するように構成しても良い。
【0130】
本実施の形態の画像形成装置で実行されるプログラムは、CPU(プロセッサ)がROMなどの記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより、HDDなどの主記憶装置上にロードされて生成されるようになっている。
【産業上の利用可能性】
【0131】
以上のように、本発明にかかる画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムは、ユーザによる印刷設定に先立って、仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿の画像データを解析し、原稿属性を表す特性値を抽出して、特性値に関連する設定項目を検索することにより、印刷設定を自動的に行うようにした複写機、ファクシミリ、プリンタ、それらの複合機などの画像形成装置、画像形成システム、画像形成方法、その方法をコンピュータに実行させるプログラムに適している。
【図面の簡単な説明】
【0132】
【図1】本発明の画像形成装置の概略構成を説明するブロック図である。
【図2】第2の実施の形態にかかる画像形成システムの概略構成を説明するネットワーク構成図である。
【図3−1】2面集約のレイアウト例を示したテンプレート原稿の図である。
【図3−2】4面集約のレイアウト例を示したテンプレート原稿の図である。
【図4】2面集約のレイアウト例において矩形枠が青色で描かれたテンプレート原稿の図である。
【図5−1】原稿の左端2ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。
【図5−2】原稿の左上1ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。
【図5−3】原稿の上端2ヶ所にステープルの仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。
【図6−1】原稿の左端2ヶ所にパンチ穴の仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。
【図6−2】原稿の上端2ヶ所にパンチ穴の仕上げ処理を行うことを示したテンプレート原稿の図である。
【図7】本発明の画像形成装置における印刷設定動作のメインルーチンを示すフローチャートである。
【図8】図7の原稿特性値算出処理のサブルーチンを示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0133】
10 画像形成装置
11 原稿読取部
111 スキャナ
112 スキャナコントローラ
113 ADF
114 原稿読取装置
12 画像記憶部
13 画像処理部
131 画像処理装置
14 印刷部
141 プリンタ
142 プリンタコントローラ
143 仕上げ処理部
144 印刷装置
15 画像解析部
16 設定項目検索部
161 設定項目DB
17 操作パネル制御部
18 操作パネル
181 表示部
182 入力部
19 システム制御部
20 通信制御部
21 ネットワーク
22 原稿
22a テンプレート原稿
23 印刷物
30,31,32 矩形枠
40,41,42 図形領域
40a,41a,42a ステープル
50,51 図形領域
51a,52a パンチ穴

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取手段と、
読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析手段と、
前記画像解析手段によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して印刷設定を行うユーザ設定手段と、
を備え、前記ユーザ設定手段は、ユーザによる印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析手段で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取手段と、
読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理手段と、
前記原稿読取手段で読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析手段と、
前記画像処理手段で画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷手段と、
印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理手段と、
前記画像解析手段によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定手段と、
を備え、前記ユーザ設定手段は、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析手段で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記画像データを少なくとも一時的に保持する画像記憶手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記画像解析手段は、読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさ、および原稿に記載されたレイアウトの認識の少なくとも一方の特性値を抽出するもので、
印刷設定に関わる複数の設定項目情報を前記画像解析手段で抽出される各特性値と関連付けて記憶している設定項目記憶手段と、
前記画像解析手段で抽出された特性値を前記設定項目記憶手段に照合して、特性値に関連した設定項目を検索する設定項目検索手段と、
をさらに備え、
前記ユーザ設定手段は、抽出した特性値に関連する設定項目に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記画像解析手段におけるレイアウトの認識とは、レイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報の少なくとも1つを認識することを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記画像解析手段は、手書きのレイアウトを認識可能としたことを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記テンプレート原稿に対して実際に仕上げ処理を施すことで仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取手段で読み取って前記画像解析手段により仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする請求項4または5に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取手段で読み取って前記画像解析手段により仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする請求項4〜6のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記画像解析手段は、レイアウトの認識形状が円形状で、かつその円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定手段においてパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記画像解析手段は、レイアウトの認識形状が直線形状で、かつその直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、ステープルに相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定手段においてステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする請求項4〜8のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記原稿読取手段は、原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら所定の読み取り位置に原稿をセットし、原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れるようにした自動原稿搬送手段をさらに備え、
前記原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理することを特徴とする請求項1〜12のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項14】
前記テンプレート原稿は、仕上がりイメージの表現に加えて印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、
前記画像解析手段は、仕上がりイメージに関する特性値に加えて前記記号や前記コードに対応した特性値を抽出し、
前記ユーザ設定手段は、テンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づく印刷設定を行うことを特徴とする請求項1〜13のいずれか一つに記載の画像形成装置。
【請求項15】
少なくとも仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取装置と、
読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理装置と、
前記原稿読取装置で読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析装置と、
前記画像処理装置で画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷装置と、
印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理装置と、
前記画像解析装置によって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定装置と、
を備え、前記各装置間の少なくとも一部がネットワークを介して接続され、前記ユーザ設定装置は、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを前記画像解析装置で解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする画像形成システム。
【請求項16】
仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取ステップと、
読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析ステップと、
抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して印刷設定を行うユーザ設定ステップと、
を含み、前記ユーザ設定ステップは、ユーザによる印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項17】
仕上がりイメージを表現したテンプレート原稿を読み取る原稿読取ステップと、
読み取った画像データに対して画像処理を施す画像処理ステップと、
前記原稿読取ステップで読み取った画像データを解析してテンプレート原稿の属性を表す特性値を抽出する画像解析ステップと、
前記画像処理ステップで画像処理された画像データを用紙に印刷する印刷ステップと、
印刷した印刷用紙に対して各種仕上げ処理を施す仕上げ処理ステップと、
前記画像解析ステップによって抽出されたテンプレート原稿の特性値を利用して画像データの画像処理および印刷後の印刷用紙に対する仕上げ処理に関する印刷設定を行うユーザ設定ステップと、
を含み、前記ユーザ設定ステップは、ユーザによる各種印刷設定に先立って、読み取ったテンプレート原稿の画像データを解析して原稿の特性値を抽出し、その特性値に基づいて画像処理および仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする画像形成方法。
【請求項18】
前記画像解析ステップは、読み取ったテンプレート原稿の画像データに基づいて、原稿の大きさ、および原稿に記載されたレイアウトの認識の少なくとも一方の特性値を抽出し、
印刷設定に関わる複数の設定項目情報を前記画像解析ステップで抽出される各特性値と関連付けて記憶する設定項目記憶ステップと、
前記画像解析ステップで抽出された特性値を前記設定項目記憶ステップにおける記憶内容と照合して、特性値に関連した設定項目を検索する設定項目検索ステップと、
をさらに含み、
前記ユーザ設定ステップは、抽出した特性値に関連する設定項目に基づいて印刷設定を行うことを特徴とする請求項16または17に記載の画像形成方法。
【請求項19】
前記画像解析ステップにおけるレイアウトの認識とは、レイアウトの形状、その形状が存在する座標位置、およびその形状を表す色情報の少なくとも1つを認識することを特徴とする請求項18に記載の画像形成方法。
【請求項20】
前記画像解析ステップは、手書きのレイアウトを認識可能としたことを特徴とする請求項18または19に記載の画像形成方法。
【請求項21】
前記テンプレート原稿に対して実際に仕上げ処理を施すことで仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取ステップで読み取って前記画像解析ステップにより仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする請求項18または19に記載の画像形成方法。
【請求項22】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する所定形状の模倣パターンを記入して仕上げ処理のレイアウトを形成し、そのテンプレート原稿を前記原稿読取ステップで読み取って前記画像解析ステップにより仕上げ処理のレイアウトに関する特性値を抽出可能としたことを特徴とする請求項18〜20のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【請求項23】
前記画像解析ステップは、レイアウトの認識形状が円形状で、かつその円形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、パンチ穴に相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定ステップにおいてパンチ穴の仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする請求項18〜22のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【請求項24】
前記画像解析ステップは、レイアウトの認識形状が直線形状で、かつその直線形状の座標位置が原稿左端あるいは上端のいずれか一方にあると判定すると、ステープルに相当する特性値を抽出し、前記ユーザ設定ステップにおいてステープルの仕上げ処理に関する印刷設定を行うことを特徴とする請求項18〜22のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【請求項25】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、ステープラーに相当する直線形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする請求項22に記載の画像形成方法。
【請求項26】
前記テンプレート原稿に対して仕上げ処理に相当する模倣パターンを記入する際に、穿孔機に相当する円形状の印章が押印可能な模倣用具を用いることを特徴とする請求項22に記載の画像形成方法。
【請求項27】
前記原稿読取ステップは、原稿トレイにセットされた複数ページの原稿を順次搬送しながら所定の読み取り位置に原稿をセットし、原稿の片面あるいは両面を連続して自動的に読み取れるようにした自動原稿搬送ステップをさらに含み、
前記原稿トレイにセットされた1枚目の原稿をテンプレート原稿と認識して印刷設定を行い、その印刷設定に基づいて2枚目以降の原稿を印刷処理することを特徴とする請求項16〜26のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【請求項28】
前記テンプレート原稿は、仕上がりイメージの表現に加えて印刷設定に必要な項目を所定の記号やコードを使って表現し、
前記画像解析ステップは、仕上がりイメージに関する特性値に加えて前記記号や前記コードに対応した特性値を抽出し、
前記ユーザ設定ステップは、テンプレート原稿に表現された仕上がりイメージと記号やコードに基づく印刷設定を行うことを特徴とする請求項16〜27のいずれか一つに記載の画像形成方法。
【請求項29】
請求項16〜28のいずれか一つに記載された方法をコンピュータに実行させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3−1】
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【図3−2】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6−1】
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【図6−2】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−93862(P2006−93862A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273784(P2004−273784)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】