説明

画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置用プログラムおよびアプリケーション実行方法

【課題】 動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる画像形成装置を提供する。
【解決手段】 MFPにおいて、アプリケーション起動手段は、アプリケーションの実行ファイルがRAM上に展開されていない場合(S141でNO)、メモリーカードに記憶されている実行ファイルを復号して(S142)RAM上に展開し(S143)、アプリケーション終了手段は、アプリケーションを終了する場合、RAM上に展開されている実行ファイルをRAM上に残し、アプリケーション起動手段は、実行ファイルがRAM上に展開されている場合(S141でYES、S143)、RAM上に展開されている実行ファイルによってアプリケーションを起動する(S144)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションがインストールされる画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置用プログラムおよびアプリケーション実行方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、アプリケーションがインストールされる画像形成装置として、Java(登録商標)アプリケーションがインストールされるMFP(Multifunction Peripheral)が知られている(例えば特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−177683号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の画像形成装置は、アプリケーションがインストールされた記憶装置が取り外されることによってその記憶装置が第三者に取得された場合、記憶装置にインストールされているアプリケーションがその第三者に知られてしまうという問題がある。
【0005】
したがって、本願の発明の発明者は、記憶装置にインストールされているアプリケーションを暗号化することを考えた。しかしながら、本願の発明の発明者は、記憶装置にインストールされているアプリケーションを暗号化する場合、記憶装置にインストールされているアプリケーションを復号化するときに、画像形成装置に大きな処理負担がかかって、画像形成装置の動作が遅延することを懸念した。
【0006】
そこで、本発明は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置用プログラムおよびアプリケーション実行方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の画像形成装置は、アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置と、前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了手段とを備えており、前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開し、前記アプリケーション終了手段は、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残し、前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動することを特徴とする。
【0008】
この構成により、本発明の画像形成装置は、アプリケーションを終了する場合、RAM上に展開されている実行ファイルをRAM上に残し、実行ファイルがRAM上に展開されている場合、RAM上に展開されている実行ファイルによってアプリケーションを起動するので、アプリケーションを起動する場合に、アプリケーション記憶装置に記憶されている実行ファイルを復号してRAM上に展開するための処理を省略することができるときがある。すなわち、本発明の画像形成装置は、動作の遅延を抑えることができる。また、本発明の画像形成装置は、アプリケーションの実行ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶しているので、アプリケーション記憶装置からアプリケーションの漏洩を防止することができる。したがって、本発明の画像形成装置は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる。
【0009】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション記憶装置は、前記画像形成装置の筐体の外部から着脱可能であっても良い。
【0010】
この構成の場合、本発明の画像形成装置は、アプリケーション記憶装置が画像形成装置の筐体の外部から着脱可能ではない構成と比較して、アプリケーション記憶装置が容易に取り外されるので、アプリケーション記憶装置からアプリケーションの漏洩を防止する意義が大きい。
【0011】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーションの起動の指示を受けたときに、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開しても良い。
【0012】
この構成により、本発明の画像形成装置は、実行ファイルがRAM上に展開されていない場合に、アプリケーションの起動の指示を受けたか否かに関わらず、アプリケーション記憶装置に記憶されている実行ファイルを復号してRAM上に展開する構成と比較して、アプリケーション記憶装置に記憶されている不要なアプリケーションの実行ファイルを復号してRAM上に展開すること、すなわち、無駄な処理の実行を抑えることができる。したがって、本発明の画像形成装置は、動作の遅延を抑えることができる。
【0013】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション終了手段は、前記アプリケーションを終了する場合、前記アプリケーションが非常駐アプリケーションであるときに、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残しても良い。
【0014】
この構成により、本発明の画像形成装置は、アプリケーションを終了する場合に、アプリケーションの種類に関わらず、RAM上に展開されている実行ファイルをRAM上に残す構成と比較して、常駐アプリケーションなど、複数回起動される可能性が少ないために動作の遅延に影響が少ないアプリケーションの実行ファイルを不必要にRAM上に残すことを防止することができる。
【0015】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション起動手段は、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、この非常駐アプリケーションが起動されていないときに、前記RAM上に展開されている、この非常駐アプリケーションの前記実行ファイルを前記RAM上から削除しても良い。
【0016】
この構成により、本発明の画像形成装置は、起動される可能性が少ないために動作の遅延に影響が少ないアプリケーションの実行ファイルを不必要にRAM上に残すことを防止することができる。
【0017】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション起動手段は、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている、この非常駐アプリケーションの前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開しても良い。
【0018】
この構成により、本発明の画像形成装置は、非常駐アプリケーションの起動の指示を受ける前に、アプリケーション記憶装置に記憶されている、この非常駐アプリケーションの実行ファイルを復号してRAM上に展開するので、動作の遅延を抑えることができる。
【0019】
また、本発明の画像形成装置の前記アプリケーション記憶装置は、前記アプリケーションの設定情報を格納する設定ファイルを暗号化された状態で記憶し、前記アプリケーション起動手段は、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開する場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記設定ファイルを復号して前記設定情報を前記RAM上に展開し、前記アプリケーション終了手段は、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残す場合、前記RAM上に展開されている前記設定情報を前記RAM上に残し、前記アプリケーション起動手段は、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルおよび前記設定情報によって前記アプリケーションを起動しても良い。
【0020】
この構成により、本発明の画像形成装置は、アプリケーションを終了する場合、RAM上に展開されている設定情報をRAM上に残し、設定情報がRAM上に展開されている場合、RAM上に展開されている設定情報によってアプリケーションを起動するので、アプリケーションを起動する場合に、アプリケーション記憶装置に記憶されている設定ファイルを復号して設定ファイル内の設定情報をRAM上に展開するための処理を省略することができるときがある。すなわち、本発明の画像形成装置は、動作の遅延を抑えることができる。また、本発明の画像形成装置は、アプリケーションの設定ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶しているので、アプリケーション記憶装置からアプリケーションの漏洩を防止することができる。
【0021】
また、本発明の画像形成装置は、前記アプリケーションが生成したファイルである生成ファイルの入出力を前記アプリケーションが前記アプリケーション記憶装置に対して行う場合に前記アプリケーションによって使用されるアプリケーションプログラミングインターフェイスであるファイルIOAPIを備えており、前記ファイルIOAPIは、前記RAMから前記アプリケーション記憶装置に入力される前記生成ファイルを暗号化し、前記アプリケーション記憶装置から前記RAMに出力される前記生成ファイルを復号しても良い。
【0022】
この構成により、本発明の画像形成装置は、アプリケーションがアプリケーション記憶装置に対して入出力を行うファイルをアプリケーション記憶装置において暗号化された状態で記憶させるので、アプリケーションがアプリケーション記憶装置に対して入出力を行うファイルの漏洩を防止することができる。
【0023】
また、本発明の画像形成装置は、前記実行ファイルを格納するインストールパッケージを使用して前記アプリケーションをインストールするインストール処理手段を備えており、前記インストール処理手段は、前記インストールパッケージ内の前記実行ファイルを暗号化して前記アプリケーション記憶装置に記憶させても良い。
【0024】
この構成により、本発明の画像形成装置は、アプリケーションがインストールされる場合に、アプリケーションの実行ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶することができる。また、本発明の画像形成装置は、インストールパッケージを生成するパッケージ生成装置として、実行ファイルの暗号化の機能を備えた特殊なパッケージ生成装置を用意する必要性をなくすことができる。
【0025】
本発明の画像形成システムは、画像形成装置と、前記実行ファイルを格納するインストールパッケージを生成するパッケージ生成装置とを備えており、前記パッケージ生成装置は、前記実行ファイルを暗号化して前記インストールパッケージに格納し、前記画像形成装置は、前記インストールパッケージを使用して前記アプリケーションをインストールするインストール処理手段を備えており、前記インストール処理手段は、前記インストールパッケージ内の前記実行ファイルを前記アプリケーション記憶装置に記憶させることを特徴とする。
【0026】
この構成により、本発明の画像形成システムは、アプリケーションがインストールされる場合に、アプリケーションの実行ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶することができる。また、本発明の画像形成システムは、実行ファイルが画像形成装置で暗号化される構成と比較して、画像形成装置の処理の負担を抑えることができるので、画像形成装置の動作の遅延を抑えることができる。
【0027】
本発明の画像形成装置用プログラムは、アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置とを備えている画像形成装置によって実行される画像形成装置用プログラムであって、前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動ステップと、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了ステップとを前記画像形成装置に実行させ、前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開するステップであり、前記アプリケーション終了ステップは、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残すステップであり、前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動するステップであることを特徴とする。
【0028】
この構成により、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、アプリケーションを終了する場合、RAM上に展開されている実行ファイルをRAM上に残し、実行ファイルがRAM上に展開されている場合、RAM上に展開されている実行ファイルによってアプリケーションを起動するので、アプリケーションを起動する場合に、アプリケーション記憶装置に記憶されている実行ファイルを復号してRAM上に展開するための処理を省略することができるときがある。すなわち、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、動作の遅延を抑えることができる。また、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、アプリケーションの実行ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶しているので、アプリケーション記憶装置からアプリケーションの漏洩を防止することができる。したがって、本発明の画像形成装置用プログラムを実行する画像形成装置は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる。
【0029】
本発明のアプリケーション実行方法は、アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置とを備えている画像形成装置におけるアプリケーション実行方法であって、前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動ステップと、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了ステップとを備えており、前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開するステップであり、前記アプリケーション終了ステップは、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残すステップであり、前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動するステップであることを特徴とする。
【0030】
この構成により、本発明のアプリケーション実行方法は、アプリケーションを終了する場合、RAM上に展開されている実行ファイルをRAM上に残し、実行ファイルがRAM上に展開されている場合、RAM上に展開されている実行ファイルによってアプリケーションを起動するので、アプリケーションを起動する場合に、アプリケーション記憶装置に記憶されている実行ファイルを復号してRAM上に展開するための処理を省略することができるときがある。すなわち、本発明のアプリケーション実行方法は、動作の遅延を抑えることができる。また、本発明のアプリケーション実行方法は、アプリケーションの実行ファイルを暗号化された状態でアプリケーション記憶装置に記憶しているので、アプリケーション記憶装置からアプリケーションの漏洩を防止することができる。したがって、本発明のアプリケーション実行方法は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の画像形成装置、画像形成システム、画像形成装置用プログラムおよびアプリケーション実行方法は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーションの漏洩を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムのブロック図である。
【図2】図1に示すPCのブロック図である。
【図3】図2に示す制御部の機能のブロック図である。
【図4】図1に示すMFPのブロック図である。
【図5】図1に示すMFPの正面図である。
【図6】図4に示す制御部の機能のブロック図である。
【図7】インストールパッケージを生成する場合の図1に示すPCの動作のフローチャートである。
【図8】アプリケーションをインストールする場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図9】アプリケーションを起動する場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図10】アプリケーションを実行する場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図11】アプリケーションを終了する場合の図1に示すMFPの動作のフローチャートである。
【図12】アプリケーションを終了する場合の本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムのMFPの動作のフローチャートである。
【図13】不要なアプリケーションの実行ファイルをRAM上から削除する場合の本発明の第3の実施の形態に係る画像形成システムのMFPの動作のフローチャートである。
【図14】必要なアプリケーションの実行ファイルをRAM上に展開する場合の本発明の第4の実施の形態に係る画像形成システムのMFPの動作のフローチャートである。
【図15】本発明の第5の実施の形態に係る画像形成システムのPCのブロック図である。
【図16】インストールパッケージを生成する場合の図15に示すPCの動作のフローチャートである。
【図17】アプリケーションをインストールする場合の本発明の第5の実施の形態に係る画像形成システムのMFPの動作のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0034】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成システムの構成について説明する。
【0035】
図1は、本実施の形態に係る画像形成システム10のブロック図である。
【0036】
図1に示すように、画像形成システム10は、後述するアプリケーション50aの後述するインストールパッケージ21aを生成するパッケージ生成装置としてのPC(Personal Computer)20と、画像形成装置としてのMFP(Multifunction Peripheral)40とを備えている。PC20およびMFP40は、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワーク11を介して互いに通信可能に接続されている。また、PC20およびMFP40は、USB(Universal Serial Bus)メモリー60を介して互いに情報を受け渡すことも可能である。ここで、アプリケーション50aは、例えば、Java(登録商標)アプリケーションである。
【0037】
図2は、PC20のブロック図である。
【0038】
図2に示すように、PC20は、PC20全体を制御する制御部30と、プログラムおよび各種のデータを記憶しているHDD(Hard Disk Drive)などの記憶デバイスである記憶部21と、利用者による種々の操作が入力されるマウス、キーボードなどの入力デバイスである操作部22と、種々の情報を表示するLCD(Liquid Crystal Display)などの表示デバイスである表示部23と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部24と、USBメモリー60が電気的に接続可能であるUSBコネクター25とを備えている。
【0039】
記憶部21は、後述するアプリケーション50aのインストールパッケージ21aを記憶することが可能である。インストールパッケージ21aは、アプリケーション50aの実行ファイルであって暗号化された状態である暗号化済実行ファイル21bと、アプリケーション50aの設定情報を格納する設定ファイルであって暗号化された状態である暗号化済設定ファイル21cとを格納している。インストールパッケージ21aは、暗号化済実行ファイル21bおよび暗号化済設定ファイル21cを格納している状態で全体としても暗号化されている。なお、設定情報としては、例えば、アプリケーション50aの初期画面のURLなどがある。
【0040】
制御部30は、例えば、CPU(Central Processing Unit)31と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM(Read Only Memory)32と、CPU31の作業領域として用いられるRAM(Random Access Memory)33とを備えている。CPU31は、ROM32および記憶部21に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0041】
図3は、制御部30の機能のブロック図である。
【0042】
図3に示すように、制御部30は、CPU31がROM32または記憶部21に記憶されているプログラムを実行することによって、インストールパッケージ21aを生成するインストールパッケージ生成手段30aとして機能する。
【0043】
図4は、MFP40のブロック図である。
【0044】
図4に示すように、MFP40は、MFP40全体を制御する制御部50と、各種のデータを記憶している記憶デバイスであるコンパクトフラッシュ(登録商標)などのメモリーカード41と、メモリーカード41が電気的に接続可能であるメモリーカードコネクター42と、利用者による種々の操作が入力されるボタンなどの入力デバイスである操作部43と、種々の情報を表示するLCDなどの表示デバイスである表示部44と、用紙に印刷を実行する印刷デバイスであるプリンター45と、原稿から画像を読み取る読取デバイスであるスキャナー46と、図示していない外部のファクシミリ装置と公衆電話回線などの通信回線経由でファックス通信を行うファックスデバイスであるファックス通信部47と、ネットワーク11経由で外部の装置と通信を行うネットワーク通信デバイスであるネットワーク通信部48と、USBメモリー60が電気的に接続可能であるUSBコネクター49とを備えている。
【0045】
メモリーカード41は、MFP40用のプログラムである画像形成装置用プログラム41aを記憶している。また、メモリーカード41は、後述するアプリケーション50aの実行ファイルであって暗号化された状態である暗号化済実行ファイル41bを記憶することが可能である。したがって、メモリーカード41は、アプリケーション記憶装置を構成している。また、メモリーカード41は、アプリケーション50aの設定情報を格納する設定ファイルであって暗号化された状態である暗号化済設定ファイル41cと、アプリケーション50aが生成したファイルである生成ファイルであって暗号化された状態である暗号化済生成ファイル41dとを記憶することが可能である。なお、生成ファイルとしては、例えば、アプリケーション50aが外部のサーバーにデータを送信するアプリケーションである場合の外部のサーバーのURLを記憶しているファイル、アプリケーション50aに対して利用者が設定した情報を記憶しているファイル、アプリケーション50aによってスキャナー46で読み取られた画像を記憶しているファイルなどがある。
【0046】
画像形成装置用プログラム41aは、MFP40の製造段階でMFP40にインストールされていても良いし、CD(Compact Disk)、DVD(Digital Versatile Disk)などの記憶媒体から、または、ネットワーク11上からMFP40に追加でインストールされても良い。
【0047】
制御部50は、例えば、CPU51と、プログラムおよび各種のデータを予め記憶しているROM52と、CPU51の作業領域として用いられるRAM53とを備えている。CPU51は、ROM52またはメモリーカード41に記憶されているプログラムを実行するようになっている。
【0048】
図5は、MFP40の正面図である。
【0049】
図5に示すように、メモリーカード41は、MFP40の筐体40aの外部から着脱可能である。
【0050】
図6は、制御部50の機能のブロック図である。
【0051】
図6に示すように、制御部50は、CPU51がROM52またはメモリーカード41に記憶されているプログラムを実行することによって、アプリケーション50a、および、生成ファイルの入出力をアプリケーション50aがメモリーカード41に対して行う場合にアプリケーション50aによって使用されるアプリケーションプログラミングインターフェイスであるファイルIOAPI50bとして機能する。また、制御部50は、CPU51がメモリーカード41に記憶されている画像形成装置用プログラム41aを実行することによって、アプリケーション50aを起動するアプリケーション起動手段50c、アプリケーション50aを終了するアプリケーション終了手段50d、および、インストールパッケージ21aを使用してアプリケーション50aをインストールするインストール処理手段50eとして機能する。
【0052】
次に、画像形成システム10の動作について説明する。
【0053】
まず、インストールパッケージ21aの生成について説明する。
【0054】
PC20は、インストールパッケージ21aの生成の命令が操作部22を介して入力されると、図7に示す動作を開始する。
【0055】
図7は、インストールパッケージ21aを生成する場合のPC20の動作のフローチャートである。
【0056】
図7に示すように、PC20のインストールパッケージ生成手段30aは、アプリケーション50aの実行ファイルを暗号化して暗号化済実行ファイル21bを生成する(S101)。
【0057】
次いで、インストールパッケージ生成手段30aは、アプリケーション50aの設定情報を格納する設定ファイルを暗号化して暗号化済設定ファイル21cを生成する(S102)。
【0058】
次いで、インストールパッケージ生成手段30aは、S101において生成した暗号化済実行ファイル21bと、S102において生成した暗号化済設定ファイル21cとを格納するパッケージを暗号化してインストールパッケージ21aを生成する(S103)。
【0059】
最後に、インストールパッケージ生成手段30aは、S103において生成したインストールパッケージ21aを記憶部21に記憶させて(S104)、図7に示す処理を終了する。
【0060】
次に、アプリケーション50aのインストールについて説明する。
【0061】
MFP40は、PC20に記憶されているインストールパッケージ21aがネットワーク11またはUSBメモリー60を介して入力されると、図8に示す処理を開始する。
【0062】
図8は、アプリケーション50aをインストールする場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0063】
図8に示すように、MFP40のインストール処理手段50eは、インストールパッケージ21aを復号してインストールパッケージ21aから暗号化済実行ファイル21bおよび暗号化済設定ファイル21cを取り出す(S121)。
【0064】
次いで、インストール処理手段50eは、S121においてインストールパッケージ21aから取り出した暗号化済実行ファイル21bおよび暗号化済設定ファイル21cを暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cとしてメモリーカード41に記憶させて(S122)、図8に示す処理を終了する。
【0065】
次に、アプリケーション50aの起動について説明する。
【0066】
MFP40のアプリケーション起動手段50cは、アプリケーション50aの起動の指示を受けると、図9に示す処理を開始する。
【0067】
図9は、アプリケーション50aを起動する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0068】
図9に示すように、MFP40のアプリケーション起動手段50cは、アプリケーション50aの実行ファイルがRAM53上に展開されているか否かを判断する(S141)。
【0069】
アプリケーション起動手段50cは、アプリケーション50aの実行ファイルがRAM53上に展開されていないとS141において判断すると、メモリーカード41に記憶されているアプリケーション50aの暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号してアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルを生成する(S142)。
【0070】
次いで、アプリケーション起動手段50cは、S142において生成した実行ファイルと、S142において生成した設定ファイル内の設定情報とをRAM53上に展開する(S143)。
【0071】
アプリケーション起動手段50cは、アプリケーション50aの実行ファイルがRAM53上に展開されているとS141において判断するか、S143の処理を終了すると、RAM53上に展開されているアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定情報によってアプリケーション50aを起動して(S144)、図9に示す処理を終了する。
【0072】
次に、アプリケーション50aの実行について説明する。
【0073】
MFP40は、アプリケーション50aの起動を完了すると、図10に示す処理を開始する。
【0074】
図10は、アプリケーション50aを実行する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0075】
図10に示すように、MFP40のファイルIOAPI50bは、アプリケーション50aの生成ファイルをRAM53からメモリーカード41に入力する指示がアプリケーション50aからあったか否かを判断する(S161)。
【0076】
ファイルIOAPI50bは、アプリケーション50aの生成ファイルをRAM53からメモリーカード41に入力する指示がアプリケーション50aからあったとS161において判断すると、RAM53に記憶されている生成ファイルを暗号化して暗号化済生成ファイルを生成する(S162)。
【0077】
次いで、ファイルIOAPI50bは、S162において生成した暗号化済生成ファイルを暗号化済生成ファイル41dとしてメモリーカード41に入力する(S163)。
【0078】
ファイルIOAPI50bは、アプリケーション50aの生成ファイルをRAM53からメモリーカード41に入力する指示がアプリケーション50aからなかったとS161において判断するか、S163の処理を終了すると、アプリケーション50aの生成ファイルをメモリーカード41からRAM53に出力する指示がアプリケーション50aからあったか否かを判断する(S164)。
【0079】
ファイルIOAPI50bは、アプリケーション50aの生成ファイルをメモリーカード41からRAM53に出力する指示がアプリケーション50aからあったとS164において判断すると、メモリーカード41に記憶されている暗号化済生成ファイル41dを復号して生成ファイルを生成する(S165)。
【0080】
次いで、ファイルIOAPI50bは、S165において生成した生成ファイルをRAM53に出力する(S166)。
【0081】
ファイルIOAPI50bは、アプリケーション50aの生成ファイルをメモリーカード41からRAM53に出力する指示がアプリケーション50aからなかったとS164において判断するか、S166の処理を終了すると、再びS161の処理に戻る。
【0082】
次に、アプリケーション50aの終了について説明する。
【0083】
MFP40のアプリケーション終了手段50dは、アプリケーション50aの終了の指示を受けると、図11に示す処理を開始する。
【0084】
図11は、アプリケーション50aを終了する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0085】
図11に示すように、MFP40のアプリケーション終了手段50dは、RAM53上に展開されているアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定情報をRAM53上に残してアプリケーション50aを終了して(S181)、図11に示す処理を終了する。
【0086】
以上に説明したように、MFP40は、アプリケーション50aを終了する場合、RAM53上に展開されている実行ファイルおよび設定情報をRAM53上に残し(S181)、実行ファイルがRAM53上に展開されている場合(S141でYES)、RAM53上に展開されている実行ファイルおよび設定情報によってアプリケーション50aを起動する(S144)ので、アプリケーション50aを起動する場合に、メモリーカード41に記憶されている暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号してRAM53上に展開するための処理を省略することができるときがある。すなわち、MFP40は、動作の遅延を抑えることができる。特に、通常、実行ファイルのファイルサイズが設定ファイルや生成ファイルのファイルサイズと比較して大きい場合が多いので、暗号化済実行ファイル41bを復号してRAM53上に展開するための処理を省略することができることは、MFP40の動作の遅延の抑制において効果が大きい。
【0087】
また、MFP40は、アプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルをそれぞれ暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cとして暗号化された状態でメモリーカード41に記憶しているので、メモリーカード41からアプリケーション50aの漏洩を防止することができる。
【0088】
したがって、MFP40は、動作の遅延を抑えつつ、アプリケーション50aの漏洩を防止することができる。
【0089】
MFP40は、暗号化済実行ファイル41bを記憶するアプリケーション記憶装置であるメモリーカード41がMFP40の筐体40aの外部から着脱可能であるので、アプリケーション記憶装置がMFP40の筐体40aの外部から着脱可能ではない構成と比較して、アプリケーション記憶装置が容易に取り外される。したがって、MFP40は、メモリーカード41からアプリケーション50aの漏洩を防止する意義が大きい。
【0090】
なお、アプリケーション記憶装置は、MFP40の筐体40aの外部から着脱可能でなくても良い。例えば、アプリケーション記憶装置は、MFP40の筐体40aに内蔵されているHDD(Hard Disk Drive)など、MFP40からの取り外しが容易ではない記憶装置であっても良い。
【0091】
MFP40は、実行ファイルがRAM53上に展開されていない場合(S141でNO)、アプリケーション50aの起動の指示を受けたとき(図9)に、メモリーカード41に記憶されている暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号して(S142)RAM53上に実行ファイルおよび設定情報を展開する(S143)ので、実行ファイルがRAM53上に展開されていない場合に、アプリケーション50aの起動の指示を受けたか否かに関わらず、メモリーカード41に記憶されている暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号してRAM53上に実行ファイルおよび設定情報を展開する構成と比較して、メモリーカード41に記憶されている不要なアプリケーション50aの暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号してRAM53上に展開すること、すなわち、無駄な処理の実行を抑えることができる。したがって、MFP40は、動作の遅延を抑えることができる。
【0092】
MFP40は、アプリケーション50aがメモリーカード41に対して入出力を行うファイルをファイルIOAPI50bがメモリーカード41において暗号化された状態で記憶させる(図10)ので、アプリケーション50aがメモリーカード41に対して入出力を行うファイルの漏洩を防止することができる。なお、MFP40は、ファイルIOAPI50bに暗号化および復号の機能を備えることによって、暗号化および復号の機能を備えた特殊なアプリケーション50aを用意する必要性をなくすことができる。
【0093】
画像形成システム10は、PC20がアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルをそれぞれ暗号化済実行ファイル21bおよび暗号化済設定ファイル21cとして暗号化してインストールパッケージ21aに格納する(S101〜S103)ので、アプリケーション50aがインストールされる場合に、アプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルをそれぞれ暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cとして暗号化された状態でメモリーカード41に記憶することができる。また、画像形成システム10は、実行ファイルおよび設定ファイルがMFP40で暗号化される構成と比較して、MFP40の処理の負担を抑えることができるので、MFP40の動作の遅延を抑えることができる。特に、通常、PC20がMFP40より処理能力が高いことが多いので、画像形成システム10は、実行ファイルおよび設定ファイルがMFP40で暗号化される構成と比較して、全体としても処理を高速化することができる場合がある。
【0094】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る画像形成システムの構成は、第1の実施の形態に係る画像形成システム10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る画像形成システムの構成のうち画像形成システム10の構成と同様な構成については、画像形成システム10の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0095】
本実施の形態に係る画像形成システムの動作は、以下に述べる動作を除いて、第1の実施の形態に係る画像形成システム10の動作と同様である。
【0096】
アプリケーション50aの終了について説明する。
【0097】
MFP40のアプリケーション終了手段50dは、アプリケーション50aの終了の指示を受けると、図11に示す処理ではなく、図12に示す処理を開始する。
【0098】
図12は、アプリケーション50aを終了する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0099】
図12に示すように、MFP40のアプリケーション終了手段50dは、終了の指示を受けたアプリケーション50aが非常駐アプリケーションであるか否かを判断する(S201)。
【0100】
ここで、非常駐アプリケーションとは、常駐アプリケーション以外のアプリケーションである。常駐アプリケーションとしては、例えば、MFP40の使用に対する使用者への課金を管理するアプリケーションなどがある。非常駐アプリケーションとしては、例えば、MFP40の操作部43に対する操作によって予め設定されているMFP40の複数の機能を連続して実行するアプリケーションなどがある。
【0101】
常駐アプリケーションは、MFP40が起動されたときや、MFP40の起動後に有効化されたときに、起動される。常駐アプリケーションは、通常、一度起動されると、アンインストールまたは無効化が実行されない限り、MFP40の起動中は終了しない。
【0102】
非常駐アプリケーションは、操作部43などを介して利用者によって起動が指示されたときに、起動される。非常駐アプリケーションは、例えば、そのアプリケーションについて表示部44に表示されていた画面が操作部43などを介した利用者による指示によって閉じられたときなど、常駐アプリケーションと比較して簡単な条件で終了する。したがって、非常駐アプリケーションは、常駐アプリケーションと比較して、MFP40の起動中に何度も起動される可能性が高い。
【0103】
アプリケーション終了手段50dは、終了の指示を受けたアプリケーション50aが非常駐アプリケーションであるとS201において判断すると、RAM53上に展開されているアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定情報をRAM53上に残してアプリケーション50aを終了して(S202)、図12に示す処理を終了する。
【0104】
一方、アプリケーション終了手段50dは、終了の指示を受けたアプリケーション50aが非常駐アプリケーションではないとS201において判断すると、RAM53上に展開されているアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定情報をRAM53上から削除してアプリケーション50aを終了して(S203)、図12に示す処理を終了する。
【0105】
以上に説明したように、MFP40は、アプリケーション50aを終了する場合、アプリケーション50aが非常駐アプリケーションであるとき(S201でYES)に、RAM53上に展開されている実行ファイルをRAM53上に残す(S202)ので、アプリケーション50aを終了する場合に、アプリケーション50aの種類に関わらず、RAM53上に展開されている実行ファイルをRAM53上に残す構成と比較して、常駐アプリケーションなど、複数回起動される可能性が少ないために動作の遅延に影響が少ないアプリケーション50aの実行ファイルを不必要にRAM53上に残すことを防止することができる。
【0106】
(第3の実施の形態)
本発明の第3の実施の形態に係る画像形成システムの構成は、第1の実施の形態に係る画像形成システム10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る画像形成システムの構成のうち画像形成システム10の構成と同様な構成については、画像形成システム10の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0107】
本実施の形態に係る画像形成システムの動作は、以下に述べる動作を除いて、第1の実施の形態または第2の実施の形態に係る画像形成システムの動作と同様である。
【0108】
MFP40のアプリケーション起動手段50cは、MFP40が起動されると、図13に示す処理を開始する。
【0109】
図13は、不要なアプリケーション50aの実行ファイルをRAM53上から削除する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0110】
図13に示すように、MFP40のアプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されているか否かを判断する(S221)。ここで、起動可能な状態とは、非常駐アプリケーションを起動させるためのボタンが表示部44に表示されている状態など、非常駐アプリケーションが簡単な操作で起動されることが容易に可能である予め定められた状態のことである。
【0111】
アプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されているとS221において判断すると、その非常駐アプリケーションが現在起動されているか否かを判断する(S222)。
【0112】
アプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態ではなく実行ファイルがRAM53上に展開されている非常駐アプリケーションが現在起動されていないとS222において判断すると、RAM53上に展開されているその非常駐アプリケーションの実行ファイルおよび設定情報をRAM53上から削除する(S223)。
【0113】
アプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されていないとS221において判断するか、起動可能な状態ではなく実行ファイルがRAM53上に展開されている非常駐アプリケーションが現在起動されているとS222において判断するか、S223の処理を終了すると、再びS221の処理に戻る。
【0114】
以上に説明したように、MFP40は、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されている場合(S221でYES)、この非常駐アプリケーションが起動されていないときに(S222でNO)、RAM53上に展開されている、この非常駐アプリケーションの実行ファイルをRAM53上から削除する(S223)ので、起動される可能性が少ないために動作の遅延に影響が少ないアプリケーション50aの実行ファイルを不必要にRAM53上に残すことを防止することができる。
【0115】
(第4の実施の形態)
本発明の第4の実施の形態に係る画像形成システムの構成は、第1の実施の形態に係る画像形成システム10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る画像形成システムの構成のうち画像形成システム10の構成と同様な構成については、画像形成システム10の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0116】
本実施の形態に係る画像形成システムの動作は、以下に述べる動作を除いて、第1の実施の形態〜第3の実施の形態の何れかに係る画像形成システムの動作と同様である。
【0117】
MFP40のアプリケーション起動手段50cは、MFP40が起動されると、図14に示す処理を開始する。
【0118】
図14は、必要なアプリケーション50aの実行ファイルをRAM53上に展開する場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0119】
図14に示すように、MFP40のアプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されているか否かを判断する(S241)。
【0120】
アプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されていないとS221において判断すると、メモリーカード41に記憶されている、その非常駐アプリケーションの暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cを復号してアプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルを生成する(S242)。
【0121】
次いで、アプリケーション起動手段50cは、S242において生成した実行ファイルと、S242において生成した設定ファイル内の設定情報とをRAM53上に展開する(S243)。
【0122】
アプリケーション起動手段50cは、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されているとS241において判断するか、S243の処理を終了すると、再びS241の処理に戻る。
【0123】
以上に説明したように、MFP40は、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの実行ファイルがRAM53上に展開されていない場合(S241でNO)、メモリーカード41に記憶されている、この非常駐アプリケーションの実行ファイルを復号してRAM53上に展開する(S242、S243)ので、非常駐アプリケーションの起動の指示を受ける前に、例えばCPU51の使用率に余裕があるときに、メモリーカード41に記憶されている、この非常駐アプリケーションの実行ファイルを復号してRAM53上に展開することができる。したがって、MFP40は、動作の遅延を抑えることができる。
【0124】
(第5の実施の形態)
本発明の第5の実施の形態に係る画像形成システムの構成は、以下に述べる構成を除いて、第1の実施の形態に係る画像形成システム10(図1参照。)の構成と同様である。したがって、本実施の形態に係る画像形成システムの構成のうち画像形成システム10の構成と同様な構成については、画像形成システム10の構成と同一の符号を付して説明を省略する。
【0125】
図15は、本実施の形態に係る画像形成システムのPC20のブロック図である。
【0126】
図15に示すように、本実施の形態に係る画像形成システムのPC20の構成は、アプリケーション50aのインストールパッケージ21dを記憶することが可能である。インストールパッケージ21dは、アプリケーション50aの実行ファイル21eと、アプリケーション50aの設定情報を格納する設定ファイル21fとを格納している。インストールパッケージ21dは、実行ファイル21eおよび設定ファイル21fを格納している状態で全体として暗号化されている。
【0127】
本実施の形態に係る画像形成システムの動作は、以下に述べる動作を除いて、第1の実施の形態〜第4の実施の形態の何れかに係る画像形成システムの動作と同様である。
【0128】
まず、インストールパッケージ21dの生成について説明する。
【0129】
PC20は、インストールパッケージ21dの生成の命令が操作部22を介して入力されると、図7に示す処理ではなく、図16に示す動作を開始する。
【0130】
図16は、インストールパッケージ21dを生成する場合のPC20の動作のフローチャートである。
【0131】
図16に示すように、PC20のインストールパッケージ生成手段30aは、アプリケーション50aの実行ファイル21eと、アプリケーション50aの設定情報を格納する設定ファイル21fとを格納するパッケージを暗号化してインストールパッケージ21dを生成する(S261)。
【0132】
最後に、インストールパッケージ生成手段30aは、S261において生成したインストールパッケージ21dを記憶部21に記憶させて(S262)、図16に示す処理を終了する。
【0133】
次に、アプリケーション50aのインストールについて説明する。
【0134】
MFP40は、PC20に記憶されているインストールパッケージ21dがネットワーク11またはUSBメモリー60を介して入力されると、図8に示す処理ではなく、図17に示す処理を開始する。
【0135】
図17は、アプリケーション50aをインストールする場合のMFP40の動作のフローチャートである。
【0136】
図17に示すように、MFP40のインストール処理手段50eは、インストールパッケージ21dを復号してインストールパッケージ21dからアプリケーション50aの実行ファイル21eおよび設定ファイル21fを取り出す(S281)。
【0137】
次いで、インストール処理手段50eは、アプリケーション50aの実行ファイル21eを暗号化して暗号化済実行ファイル41bを生成する(S282)。
【0138】
次いで、インストール処理手段50eは、アプリケーション50aの設定ファイル21fを暗号化して暗号化済設定ファイル41cを生成する(S283)。
【0139】
次いで、インストール処理手段50eは、S282において生成した暗号化済実行ファイル41bと、S283において生成した暗号化済設定ファイル41cとをメモリーカード41に記憶させて(S284)、図17に示す処理を終了する。
【0140】
以上に説明したように、MFP40は、インストールパッケージ21d内の実行ファイルおよび設定ファイルをそれぞれ暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cとして暗号化してメモリーカード41に記憶させる(図17)ので、アプリケーション50aがインストールされる場合に、アプリケーション50aの実行ファイルおよび設定ファイルをそれぞれ暗号化済実行ファイル41bおよび暗号化済設定ファイル41cとして暗号化された状態でメモリーカード41に記憶することができる。また、MFP40は、インストールパッケージを生成するパッケージ生成装置として、実行ファイルおよび設定ファイルの暗号化の機能を備えた特殊なPC20を用意する必要性をなくすことができる。
【0141】
なお、上述の各実施の形態において、画像形成装置用プログラム41aは、暗号化済実行ファイル41bが記憶されるメモリーカード41に記憶されている。しかしながら、画像形成装置用プログラム41aは、暗号化済実行ファイル41bが記憶されるメモリーカード41とは別の記憶装置に記憶されていても良い。
【0142】
上述の各実施の形態において、PC20およびMFP40は、USBメモリー60を介して互いに情報を受け渡すことが可能である。PC20およびMFP40は、USBメモリー以外の記憶媒体を介して互いに情報を受け渡すことが可能であっても良い。
【0143】
本発明のパッケージ生成装置は、上述の各実施の形態においてPC20であるが、PC以外の装置であっても良い。
【0144】
本発明の画像形成装置は、上述の各実施の形態においてMFP40であるが、プリンター専用機、ファックス専用機、コピー専用機など、MFP以外の画像形成装置であっても良い。
【符号の説明】
【0145】
10 画像形成システム
20 PC(パッケージ生成装置)
21a インストールパッケージ
21b 暗号化済実行ファイル(実行ファイル)
21c 暗号化済設定ファイル(設定ファイル)
21d インストールパッケージ
21e 実行ファイル
21f 設定ファイル
40 MFP(画像形成装置)
40a 筐体
41 メモリーカード(アプリケーション記憶装置)
41a 画像形成装置用プログラム
41b 暗号化済実行ファイル(実行ファイル)
41c 暗号化済設定ファイル(設定ファイル)
41d 暗号化済生成ファイル(生成ファイル)
50a アプリケーション
50b ファイルIOAPI
50c アプリケーション起動手段
50d アプリケーション終了手段
50e インストール処理手段
53 RAM

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置と、前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動手段と、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了手段とを備えており、
前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開し、
前記アプリケーション終了手段は、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残し、
前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記アプリケーション記憶装置は、前記画像形成装置の筐体の外部から着脱可能であることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記アプリケーション起動手段は、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーションの起動の指示を受けたときに、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記アプリケーション終了手段は、前記アプリケーションを終了する場合、前記アプリケーションが非常駐アプリケーションであるときに、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残すことを特徴とする請求項1から請求項3までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記アプリケーション起動手段は、起動可能な状態ではない非常駐アプリケーションの前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、この非常駐アプリケーションが起動されていないときに、前記RAM上に展開されている、この非常駐アプリケーションの前記実行ファイルを前記RAM上から削除することを特徴とする請求項1から請求項4までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記アプリケーション起動手段は、起動可能な状態である非常駐アプリケーションの前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている、この非常駐アプリケーションの前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開することを特徴とする請求項1から請求項5までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記アプリケーション記憶装置は、前記アプリケーションの設定情報を格納する設定ファイルを暗号化された状態で記憶し、
前記アプリケーション起動手段は、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開する場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記設定ファイルを復号して前記設定情報を前記RAM上に展開し、
前記アプリケーション終了手段は、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残す場合、前記RAM上に展開されている前記設定情報を前記RAM上に残し、
前記アプリケーション起動手段は、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルおよび前記設定情報によって前記アプリケーションを起動することを特徴とする請求項1から請求項6までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記アプリケーションが生成したファイルである生成ファイルの入出力を前記アプリケーションが前記アプリケーション記憶装置に対して行う場合に前記アプリケーションによって使用されるアプリケーションプログラミングインターフェイスであるファイルIOAPIを備えており、
前記ファイルIOAPIは、前記RAMから前記アプリケーション記憶装置に入力される前記生成ファイルを暗号化し、前記アプリケーション記憶装置から前記RAMに出力される前記生成ファイルを復号することを特徴とする請求項1から請求項7までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記実行ファイルを格納するインストールパッケージを使用して前記アプリケーションをインストールするインストール処理手段を備えており、
前記インストール処理手段は、前記インストールパッケージ内の前記実行ファイルを暗号化して前記アプリケーション記憶装置に記憶させることを特徴とする請求項1から請求項8までの何れかに記載の画像形成装置。
【請求項10】
請求項1から請求項8までの何れかに記載の画像形成装置と、前記実行ファイルを格納するインストールパッケージを生成するパッケージ生成装置とを備えており、
前記パッケージ生成装置は、前記実行ファイルを暗号化して前記インストールパッケージに格納し、
前記画像形成装置は、前記インストールパッケージを使用して前記アプリケーションをインストールするインストール処理手段を備えており、
前記インストール処理手段は、前記インストールパッケージ内の前記実行ファイルを前記アプリケーション記憶装置に記憶させることを特徴とする画像形成システム。
【請求項11】
アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置とを備えている画像形成装置によって実行される画像形成装置用プログラムであって、
前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動ステップと、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了ステップとを前記画像形成装置に実行させ、
前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開するステップであり、
前記アプリケーション終了ステップは、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残すステップであり、
前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動するステップであることを特徴とする画像形成装置用プログラム。
【請求項12】
アプリケーションの実行ファイルが展開されるRAMと、前記実行ファイルを暗号化された状態で記憶するアプリケーション記憶装置とを備えている画像形成装置におけるアプリケーション実行方法であって、
前記アプリケーションを起動するアプリケーション起動ステップと、前記アプリケーションを終了するアプリケーション終了ステップとを備えており、
前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されていない場合、前記アプリケーション記憶装置に記憶されている前記実行ファイルを復号して前記RAM上に展開するステップであり、
前記アプリケーション終了ステップは、前記アプリケーションを終了する場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルを前記RAM上に残すステップであり、
前記アプリケーション起動ステップは、前記実行ファイルが前記RAM上に展開されている場合、前記RAM上に展開されている前記実行ファイルによって前記アプリケーションを起動するステップであることを特徴とするアプリケーション実行方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−77077(P2013−77077A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215555(P2011−215555)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】