画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体
【課題】ジョブスキップ処理を行う際のPDL展開処理を効率よく行うことで、追い越したジョブの印刷をより早いタイミングで行うようにする。
【解決手段】PDL解釈部23,24で印刷ジョブデータのPDL展開処理を行ったとき、そのページを印刷できないと判断された場合は、ジョブ管理部22は、即、その印刷ジョブデータのPDL展開処理を中断し、次の印刷ジョブデータのPDL展開処理をPDL解釈部23,24に実行開始させる。
【解決手段】PDL解釈部23,24で印刷ジョブデータのPDL展開処理を行ったとき、そのページを印刷できないと判断された場合は、ジョブ管理部22は、即、その印刷ジョブデータのPDL展開処理を中断し、次の印刷ジョブデータのPDL展開処理をPDL解釈部23,24に実行開始させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ジョブの印刷を行う際の印刷装置の印刷動作を高速に行えるようにした画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタ装置など、1ページ単位に印刷動作を行うページプリンタ装置が、パーソナルコンピュータ装置などのホスト装置から受信する印刷ジョブ情報には、印刷情報としてPDL(Page Description Language;ページ記述言語)で記述された印刷画像情報が含まれるとともに、それぞれの印刷ページの印刷設定内容を表わす印刷設定情報が含まれる。
また、印刷ジョブ情報には、通常、1ページ以上の印刷ページの情報が含まれ、各々の印刷ページに設定される印刷設定情報は、ホスト装置のユーザにより設定された内容が含まれる。
【0003】
プリンタ装置では、受信した印刷ジョブ情報の印刷画像情報に対して、PDL展開処理を適用し、対応する印刷画像データに変換する。そして、そのPDL展開処理で作成した印刷画像データの印刷物を、プリンタエンジンより記録出力するようにしている。また、その際、各々の印刷ページの印刷物は、その印刷ページに設定される印刷設定情報により指定された用紙に印刷される。
【0004】
通常、プリンタエンジンが1ページの印刷に要する時間に比べて、PDL展開処理が1ページ分の印刷画像データを形成する際に要する時間が短いため、プリンタ装置では、PDL展開処理と、プリンタエンジンの動作を制御する印刷制御処理とを並列に処理して行っている。
例えば、図15(a)に示すように、3つのジョブ(印刷ジョブ)1,2,3のPDL展開処理が順次行われるのと並列的にジョブ1,2,3の印刷処理が行われ、したがって、全体の処理時間を短縮することができ、効率的な印刷動作が可能となる。
【0005】
ところが、図15(b)に示すように、最初のジョブ1の印刷処理において、1ページ目の印刷動作の後の時刻T1に、2ページ目の印刷動作に必要な用紙が切れた場合などで印刷動作の継続ができなくなった場合、その用紙が追加されて印刷可能となる時刻T2まで印刷処理が中断される。この場合、後続のジョブ2、3の印刷動作に必要な用紙が用紙切れを起こしている用紙とは別のものでプリンタ装置が給紙可能なものであり、ジョブ2、3が印刷可能であるにもかかわらず、後続のジョブ2、3は、ジョブ1の印刷終了を待つ必要があり、印刷効率がよくなかった。
【0006】
このような不具合を解消するために、例えば、特許文献1のように、ジョブに設定されている用紙の給紙可/不可を給紙前に判定することで、印刷不可のジョブを事前に停止状態にし、印刷可能な後続ジョブを先に印刷する(すなわち、後続ジョブが前のジョブを追い越す)技術(以下、「ジョブスキップ処理(機能)」という)が提案されている(図15(c)参照)。この特許文献1では、PDL展開処理については、順次展開を行い、印刷処理において印刷不可の場合には印刷保留処理を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この特許文献1では、PDL展開処理をジョブ単位に順次実施しているため、印刷不可となったジョブがまだPDL展開処理を行っている場合には、現在のPDL展開処理の終了後にしか追い越すジョブ(次のジョブ)のPDL展開処理を実施できないため、追い越されるジョブのPDL展開処理の終了を待たなければならない問題があった。
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、ジョブスキップ処理を行う際のPDL展開処理を効率よく行うことで、より早いタイミングで追い越したジョブの印刷を行うことができる画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、上記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って上記画像形成用画像データが示す画像を用紙に画像形成する画像形成手段の制御を行うとともに、上記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置であって、上記ジョブ情報に含まれるページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドを対応する上記画像形成用画像データに変換する描画コマンド変換手段と、上記描画コマンド変換手段により処理される上記ジョブ情報に含まれる設定情報に従って上記画像形成手段の動作状況を調べ、上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えるかどうかを判断する判断手段と、(a)上記判断手段が画像形成動作を行えると判断した場合には、上記描画コマンド変換手段の変換動作を継続して行わせ、描画コマンド変換手段が作成した画像形成用画像データを上記設定情報に従って上記画像形成手段で画像形成出力させる一方、(b)上記判断手段が画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、その中断時に中断したジョブ情報に続く次のジョブ情報がある場合には、上記次のジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に行わせ、その中断時に上記次のジョブ情報がない場合には、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させる上記ジョブスキップ機能を有するジョブ制御手段とを備えたものである。
【0009】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記ジョブ情報に従った画像形成動作を上記判断手段が行えないと判断した時点で、そのジョブ情報に従った画像形成動作により上記画像形成手段が1ページ以上の画像形成出力を行っている時には、上記次のジョブ情報の有無にかかわらず、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0010】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記次のジョブ情報の処理を上記描画コマンド変換手段に行わせた際、上記判断手段が上記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記次のジョブ情報について上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0011】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記判断手段が上記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記次のジョブ情報に従った上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、中断した上記次のジョブ情報に続く後続のジョブ情報がある場合には、その後続のジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に行わせ、上記判断手段が上記後続のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記後続のジョブ情報に従った上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0012】
また、上記判断手段が判断に用いる設定情報は、用紙のサイズおよび種別であり、上記判断手段は、上記設定情報で設定されたサイズかつ上記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが上記画像形成手段にある場合には上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断し、上記設定情報で設定されたサイズかつ上記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが上記画像形成手段にない場合には上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断するとよい。
【0013】
また、上記ジョブ情報のそれぞれの種別について上記ジョブ制御手段が行う上記ジョブスキップ機能を適用するか否かを定めたジョブスキップ対応表を記憶したジョブスキップ対応表記憶手段をさらに備え、判断対象となる上記ジョブ情報の種別について、上記ジョブスキップ機能を適用する旨が上記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、上記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について上記ジョブスキップ機能を適用させる一方、判断対象となる上記ジョブ情報の種別について、上記ジョブスキップ機能を適用しない旨が上記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、上記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について上記ジョブスキップ機能を適用させないようにするとよい。
【0014】
また、上記ジョブスキップ対応表には、ユーザによる操作がされるジョブの種別については、上記ジョブ制御手段が上記ジョブスキップ機能を適用する旨を記憶し、それ以外のジョブの種別については、上記ジョブ制御手段が上記ジョブスキップ機能を適用しない旨を記憶するとよい。
【0015】
また、上記ジョブスキップ対応表には、さらに、それぞれのジョブ種別についてジョブスキップの優先順位が記憶され、上記ジョブ制御手段は、上記ジョブスキップ機能については、それぞれのジョブ情報のジョブ種別に対応して上記ジョブスキップ対応表に記憶されている優先順位に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報の処理を行うか否かを判断するとよい。
【0016】
また、さらに、基準となる未処理データ量を記憶した基準値記憶手段を備え、上記ジョブ制御手段は、上記ジョブスキップ機能については、中断されたジョブのページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドのうち、未処理のものの総データ量と、上記基準となる未処理データ量との比較結果に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報に従った処理を行うか否かを判断するとよい。
【0017】
また、コンピュータに、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、上記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って上記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、上記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置を制御させ、上記いずれかに記載の画像形成装置として機能させるための画像形成プログラムも提供する。
【0018】
また、請求項10に記載の画像形成プログラムを格納した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供する。
【発明の効果】
【0019】
以上のようなこの発明の画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体によれば、ジョブスキップ処理を行うと判断すると、その時点で、追い越されるジョブの描画コマンド変換処理(PDL展開処理)が中断されて、後続のジョブの描画コマンド変換処理が開始されるので、より早いタイミングで後続ジョブの印刷動作を開始でき、印刷に要する時間を短縮できるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例にかかる印刷システムの一例を示したブロック図である。
【図2】プリンタ装置PRNの構成例を示したブロック図である。
【図3】印刷ジョブデータの処理に関するコントローラ100の処理系の構成の一例を示したブロック図である。
【図4】この実施例のジョブスキップ処理について説明するための概略図である。
【図5】この実施例のジョブスキップ処理の一例を示したシーケンス図である。
【図6】この実施例のジョブスキップ処理の他の例を示したシーケンス図である。
【図7】印刷可否の判定例の一例、PDL追い越し判定テーブルなどを示す概略図である。
【図8】PDL展開処理の一例を示したフローチャートである。
【図9】PDL展開処理の他の例を示したフローチャートである。
【図10】ジョブ管理処理の一例を示したフローチャートである。
【図11】ジョブ管理処理の他の例を示したフローチャートである。
【図12】ジョブ管理処理のさらに他の例を示したフローチャートである。
【図13】従来のPDL展開処理と印刷処理との順序関係を説明するための概略図である。
【図14】ジョブ1が印刷不可の場合のPDL展開処理と印刷処理との順序関係を説明するための概略図である。
【図15】従来のジョブスキップについて説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例〕
図1は、この発明の一実施例にかかる印刷システムの一例を示している。この印刷システムは、ユーザ印刷ジョブ情報を形成してプリンタ装置PRNへ送信するホスト装置HSTと、ホスト装置HSTよりユーザ印刷ジョブ情報を受信し、ユーザ印刷ジョブ情報の内容を解釈し、印刷物を記録出力するプリンタ装置PRNから構成されている。
【0022】
ここで、ホスト装置HSTは、例えば、パーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置からなり、印刷データを作成するための文書作成アプリケーション・ソフトウェアと、その文書作成アプリケーション・ソフトウェアが作成した印刷データを、プリンタ装置PRNに適合した仕様(後述)に変換し、ユーザ印刷ジョブ情報を作成するプリンタドライバ・ソフトウェアなどがインストールされる。また、ユーザ印刷ジョブ情報に含まれる各ページの印刷内容を表わす印刷ページ情報は、プリンタ装置PRNで解釈可能な所定のPDLで作成される。
【0023】
また、プリンタ装置PRNは、ユーザ印刷ジョブ情報に含まれるそれぞれのドキュメントの各ページの印刷ページ情報を解釈して、1ページ分の印刷データ(例えば、ビットマップデータなど)を作成し、各印刷ページの印刷物を記録出力する。
【0024】
図2は、プリンタ装置PRNの構成例を示している。
同図において、コントローラ100は、その時設定されている制御モード及びホスト装置HSTからの制御コードに従って、ホスト装置HSTからの印字データを、ビデオデータ(印刷画像データ)に変換してプリンタエンジン7へ出力する制御機構の総称で、以下のようなモジュールで構成される。
【0025】
CPU(中央処理装置)1は、プログラムROM(リード・オンリ・メモリ)2に従ってホスト装置HSTからのデータ(ユーザ印刷ジョブ情報の印字データや制御データ)を処理する。プログラムROM2は、コントローラ100内でのデータの管理や、周辺モジュールを制御する為のプログラムが格納されている。フォントROM3は、印字に使用されるさまざまな種類のフォント・データを有する。
【0026】
RAM(ランダム・アクセス・メモリ)4は、CPU1が処理する時のワークメモリ、ホスト装置HSTからのデータをページ単位に管理して一時記憶するバッファ、バッファに記憶されたデータを実際の印字パターンに変換し、ビデオデータを記憶するビットマップメモリ等に使われる。NV−RAM5は、電源を切っても保持したいデータを格納しておく為の不揮発性RAMである。
【0027】
エンジンI/F(インタフェース)6は、コントローラ100からプリンタエンジン7への制御信号、プリンタ装置PRNからコントローラ100へのステータス信号のインタフェースである。プリンタエンジン7は、コントローラ100からのビデオ信号(画像データ信号)および制御信号により感光体上に静電潜像を作り、現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、転写及び定着し、画像を形成する。ここで、プリンタエンジン7に転送される画像データ信号は、対応するビデオ信号に変換されて、プリンタエンジン7に送信される。
【0028】
操作表示部I/F8は、プリンタ装置PRNの状態、モード、フォント等の切替えを行う為の信号のインタフェースである。操作表示部9は、プリンタ装置PRNの状態を示す表示部、及びプリンタ装置PRNのモード、フォント等を切替えるスイッチ部を含む。
ホストI/F10は、ホスト装置HSTからプリンタ装置PRNへの制御信号およびデータ、プリンタ装置PRNからホスト装置HSTへのステータス信号のインタフェースである。また、オプションRAM11は、RAM4の記憶領域を拡張するためのオプションユニットである。
【0029】
これらのCPU1、プログラムROM2、フォントROM3、RAM4、NV−RAM5、エンジンI/F6、操作表示部I/F8、オプションRAM11は、内部バス12にに接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス12を介して行われている。
【0030】
ホストI/F10を通してホストから送られてきたデータは、CPU1により印字データおよび印字制御データとその他に分けられ、印字データおよび印字制御データは、制御コードに変換されてバッファに記憶される。ホスト装置HSTからのプリント命令またはホストから受け取ったデータが1ページ分を超えた時、コントローラ100はまず、中間コードをビデオデータに変換し、それが終了したら、エンジンI/F6を通してプリンタエンジン7にプリントスタートの命令を出す。
以上のような一連の流れで、ホスト装置HSTからの印字データがプリンタエンジン7を介して印字される。
【0031】
図3は、印刷ジョブデータの処理に関するコントローラ100の処理系の構成の一例を示している。
ホスト装置HSTから受信したユーザ印刷ジョブ情報は、印刷ジョブデータとして通信制御部21を介し、ジョブ管理部22に送られる。ジョブ管理部22は、受信した印刷ジョブデータに印刷データとして含まれるPDLデータ(PDLコマンド)を、2つのPDL解釈部23,24のいずれかに送信するとともに、印刷制御部26に、印刷指示を送信する。
【0032】
PDL解釈部23,24は、受信した印刷データのPDLコマンドを解釈し、対応する画像データ(印刷画像データ)に変換し、その画像データをメモリ25に格納するとともに、印刷データに含まれる印刷設定情報などを抽出して、印刷制御部26に送信する。なお、印刷設定情報もPDLコマンドで記述されている場合には、印刷データと同様にPDL展開された結果が印刷設定情報として認識されることとなる。また、メモリ25は、RAM4やオプションRAM11の記憶領域に設けられるものである。
【0033】
印刷制御部26は、PDL解釈部23,24より受信した印刷設定情報に従って印刷ページについてプリンタエンジン7に給紙トレイなどを設定するとともに、印刷ページの画像データをメモリ25から読み出して、プリンタエンジン7へ送信する。
プリンタエンジン7では、印刷制御部26から設定された給紙トレイ(図示略)から用紙を給紙するとともに、印刷制御部26から受信した画像データの印刷動作を行う。
【0034】
なお、通信制御部21、ジョブ管理部22、PDL解釈部23,24、印刷制御部26は、CPU1で実行される適宜なプログラムで実現され、メモリ26は、RAM4により実現される。また、ジョブ管理部22からPDL解釈部23,24へのデータ転送は、メモリ25を仲介して行うこともできる。すなわち、この場合、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23,24へ、ジョブ印刷データが格納されているメモリ25の記憶領域への参照情報(アドレス情報など)を通知し、PDL解釈部23,24は、その通知された参照情報に従って印刷ジョブデータにアクセスして、メモリ25より読み込む。
【0035】
図4は、この実施例のジョブスキップ処理について説明するための図であり、図5のシーケンス図に従って、動作を説明する。この場合、3つのジョブ(印刷ジョブ)1,2,3のユーザ印刷ジョブ情報を順次受信した場合である。
まず、ジョブ1,2,3の印刷ジョブデータが通信制御部21からジョブ管理部22へ転送され、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23に対してジョブ1の印刷データの処理を依頼し、印刷ジョブデータをPDL解釈部23に送る。
【0036】
それにより、PDL解釈部23は、ジョブ1の印刷ジョブデータを処理して、画像データをメモリ25に格納していくが、1ページ目の画像データの変換を完了した時点で、1ページ目の印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれの給紙トレイにも用意されていないと判明した場合には、その時点で、印刷不可をジョブ管理部22に送信する。それにより、ジョブ管理部22は、PDL処理停止要求をPDL解釈部23へ送信し、それにより、PDL解釈部23は、その時点で、ジョブ1に関するPDL展開処理を中断する。
【0037】
このようにして、最初のジョブ1のPDL展開処理が中断したので、ジョブ管理部22は、PDL解釈部24に対して、ジョブ2の印刷ジョブデータについて、PDL展開処理を開始させるためにPDL処理開始要求を送信し、それにより、PDL解釈部24は、ジョブ2の印刷ジョブデータの処理を行い、それにより得られた画像データをメモリ25に格納していく。
【0038】
このとき、ジョブ2については、印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれかの給紙トレイに用意されていたので、PDL解釈部24は、ジョブ2の印刷ジョブデータについては、処理を完了し、ジョブ管理部22に対して、PDL処理完了を通知する。したがって、ジョブ管理部22は、ジョブ2に対する印刷処理指示を、印刷制御部26に通知する。
【0039】
一方、印刷制御部26では、PDL解釈部24から印刷設定情報を入力するとともに、印刷指示がジョブ管理部22より通知されるので、印刷設定をプリンタエンジン7に対して設定し、メモリ25からジョブ2の印刷データを読み出して、プリンタエンジン7に転送し、ジョブ2の印刷物を記録出力する。
【0040】
ジョブ管理部22は、PDL解釈部24よりジョブ2についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ1の処理を開始するようにPDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。
【0041】
それにより、PDL解釈部23は、中断していたジョブ1の印刷ジョブデータの処理を再開する。ここで、必要な用紙の給紙がされていなかったので、再開されたジョブ1のPDL展開処理は、次のページのPDL展開処理が終了した時点で、再度中断され(図4参照)、次は、ジョブ3についてジョブ2と同様にPDL解釈部24で印刷ジョブデータの処理が行われる。それにより、ジョブ3のPDL展開処理と並列して印刷処理が実行され、ジョブ3の印刷物が記録出力される。
【0042】
また、ジョブ管理部22は、PDL解釈部24よりジョブ3についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ1の処理を再度開始するために、PDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。
これ以降は、ジョブ1について、上述と同じような処理が行われる。
このようにして、ジョブ1,2,3のうち、ジョブ1が印刷不可で、ジョブ2,3が印刷可能な場合、ジョブ1のPDL展開処理が中断され、ジョブ2のPDL展開処理および印刷処理が実行されるので(すなわち、ジョブ1はジョブ2に追い越され、ジョブスキップが発生する)、ジョブ2は、ジョブ1のPDL展開処理が終了するまで待たされることなく、印刷処理されるので、ジョブ2の印刷がより早い時点で開始される。
【0043】
また、ジョブ1,2がともに印刷不可の場合の動作シーケンスの一例を図6に示す。この場合、ジョブ2の開始までは、図5の動作例と同じであるので、説明を省略する。
このとき、ジョブ2については、1ページ目の印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれの給紙トレイにも用意されていなかったので、PDL解釈部24は、印刷不可通知をジョブ管理部22に送信する。それにより、ジョブ管理部22は、PDL処理停止要求をPDL解釈部23へ送信し、それにより、PDL解釈部23は、その時点で、ジョブ2に関するPDL展開処理を中断する。
【0044】
このようにして、ジョブ2のPDL展開処理が中断したので、ジョブ管理部22は、中断したジョブ1の処理を開始するようにPDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。それにより、PDL解釈部23は、中断していたジョブ1の印刷ジョブデータの処理を再開する。この場合、必要な用紙の給紙がされていたので、PDL解釈部23は、ジョブ1の印刷ジョブデータについては、処理を完了し、ジョブ管理部22に対して、PDL処理完了を通知する。したがって、ジョブ管理部22は、ジョブ1に対する印刷処理指示を、印刷制御部26に通知する。それにより、この場合は、ジョブ1のPDL展開処理と並列して印刷処理が実行され、ジョブ1の印刷物が記録出力される。
また、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23よりジョブ1についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ2の処理を再度開始するために、PDL解釈部24にPDL処理再開を要求する。
【0045】
ここで、図7(a)に、印刷可否の判定例の一例を示す。この場合は、用紙サイズ、紙種設定が給紙可能かを調査することで、印刷可能かの判断を行う。調査する検索順としては、Priorityトレイ(システムの優先トレイ)から初めて、トレイ1,2,…,手差しトレイと順次、用紙のセット状況を調べていく。
また、用紙の有無の検出は、各トレイに設けられる周知の用紙センサ(図示略)により行い、用紙サイズの検知は、各トレイに設けられる周知のサイズ検出手段(図示略)により行い、また、用紙の紙種については、例えばプリンタ装置PRNの操作表示部9をユーザが操作することによって設定することができる(いずれも、従来周知事項)。
なお、印刷可否の判定に使用するものとしては、上述した用紙に関するもの以外では、例えば、トナーなどの作像系に使用する色材などを用いることができる。
【0046】
ところで、例えば、ジョブ1の1ページ目と2ページ目とで印刷設定が異なっており、プリンタエンジン7は1ページ目の用紙が使用可能であるが、2ページ目の用紙が紙切れを起こしていて使用不可である場合、1ページ目の印刷処理が行われた時点では、印刷可能なので、1ページ目の印刷物は記録出力されるものの、2ページ目のPDL展開処理を終了した時点で、2ページ目の印刷不可が判定されることとなる。
【0047】
このような場合で後続のジョブ2があるとき、上述と同様にして、ジョブ1の印刷処理をスキップさせて、ジョブ2の印刷処理を実行させると、排紙トレイにジョブ1とジョブ2の印刷物が混在して排出されることとなり、印刷物の仕分けなどに支障を来す。
そこで、このような場合は、ジョブスキップを行わずに、ジョブ1の2ページ目以降の用紙がプリンタエンジン7にセットされるまで待機することが好ましい。
【0048】
図8は、PDL解釈部23,24が実行するPDL展開処理の一例を示している。このPDL展開処理は、処理対象となる印刷ジョブデータがメモリ25に格納されて、ジョブ管理部22によりPDL展開処理の実行開始が指令された時点で開始される。
まず、1ページ分のPDL展開処理を実行する(ステップS1)。ここで、作成ページが印刷できないかどうかを調べる(ステップS2)。例えば、印刷設定されている用紙がプリンタエンジン7の給紙トレイにセットされていなかったり、使用するトナーなどがプリンタエンジン7に不足している場合などは、印刷できないと判断する。
【0049】
ステップS2の結果がNOになる場合には、作成ページについて印刷できる場合である。この場合は、全てのページについてPDL展開が終了したかどうかを調べ(ステップS3)、ステップS3の結果がNOになるときには、ステップS1に戻り、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。ステップS3の結果がYESになるときは、このときの処理を終了する。
【0050】
また、作成ページが印刷不可であると判断された場合で、ステップS2の結果がYESになるときには、そのジョブについて、最初のページが給紙済みであるかどうかを調べる(ステップS4)。ステップS4の結果がYESになるときには、1ページ目の印刷物が印刷出力されているので、そのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。そこで、印刷が可能な状態になるまで待機し(ステップS5のNOループ)、印刷が可能な状態になって、ステップS5の結果がYESになると、ステップS1へ移行し、残りのページのPDL展開処理を行う。
【0051】
また、ステップS4の結果がNOになるときには、そのときのジョブについてPDL展開処理中断が発生した旨をジョブ管理部22へ通知し(ステップS6)、上位システムからの再開指示待ちの状態に移行する(ステップS7,S8)。再開指示が入力され、ステップS8の結果がYESになると、ステップS1へ移行し、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。
このようにして、PDL展開処理では、1ページのPDL展開処理が終了するたびに、印刷可能かどうかを調べ、印刷不可の場合には、PDL展開処理中断というイベントを発生し、上位システムからの再開指示(後述するようにジョブ管理部22から出される;図10〜12参照)に移行する。ただし、1ページ目の印刷物が排出されている場合には、そのジョブについては、PDL展開処理を中断せず、再開が指示されるまで待機させる。
【0052】
図9は、PDL解釈部23,24が実行するPDL展開処理の他の例を示している。この処理は、図8の処理と同じ条件で開始される。
まず、1ページ分のPDL展開処理を実行する(ステップS11)。ここで、作成ページが印刷できないかどうかを調べる(ステップS12)。例えば、印刷設定されている用紙がプリンタエンジン7の給紙トレイにセットされていなかったり、使用するトナーなどがプリンタエンジン7に不足している場合などは、印刷できないと判断する。
【0053】
ステップS12の結果がNOになる場合には、作成ページについて印刷できる場合である。この場合は、全てのページについてPDL展開が終了したかどうかを調べ(ステップS13)、ステップS13の結果がNOになるときには、ステップS11に戻り、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。ステップS13の結果がYESになるときは、このときの処理を終了する。
【0054】
また、作成ページが印刷不可であると判断された場合で、ステップS12の結果がYESになるときには、そのジョブについて、最初のページが給紙済みであるかどうかを調べ(ステップS14)、ステップS14の結果がNOになるときには、そのときに処理中の印刷ジョブについて、未処理データ量があらかじめ設定されている基準値よりも多いかどうかを調べる(ステップS15)。ステップS14の結果がYESになるときには、1ページ目の印刷物が印刷出力されているので、そのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。また、ステップS15の結果がYESになるときには、未処理部分の印刷処理に要する時間があまり長くないと予想されるのでそのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。
したがって、ステップS14の結果がYESになるときと、ステップS15の結果がNOになるときには、印刷が可能な状態になるまで待機し(ステップS16のNOループ)、印刷が可能な状態になって、ステップS16の結果がYESになると、ステップS11へ移行し、残りのページのPDL展開処理を行う。
【0055】
また、ステップS15の結果がYESになるときには、そのときのジョブについてPDL展開処理中断が発生した旨をジョブ管理部22へ通知し(ステップS17)、再開指示待ちの状態に移行する(ステップS18,S19)。再開指示が入力され、ステップS19の結果がYESになると、ステップS11へ移行し、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。
【0056】
このようにして、この場合には、PDL展開処理の中断判定を、中断が発生したジョブの残りのページのデータ量すなわち未処理データ量が多いかどうかということも参酌して行っている。例えば、あらかじめ定められた基準値よりも未処理データ量が多い場合は、未処理部分の印刷処理に要する時間が長くなると予想されるので、中断すると判定する。それに対し、未処理データ量が基準値よりも少ない場合には、未処理部分の印刷処理に要する時間が短いと予想されるので、中断しないと判定する。なお、この基準値は、実際の処理時間を参酌して、実験的に定めることが好ましい。
【0057】
図10は、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。このジョブ管理処理は、通信制御部21より印刷ジョブデータを受信し、1つ以上のジョブデータがRAM4等に格納された時点で、上位システムにより起動される。
まず、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS21)。ステップS21の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS21の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8、9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS22)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS23)。ステップS23の結果がNOになるときには、ステップS21へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0058】
中断が発生した場合で、ステップS23の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS24)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べ(ステップS25)、ステップS25の結果がYESになるときには、ステップS22に戻り、残りの未処理の印刷ジョブについて図8、9に示したPDL展開処理を起動する。
また、未処理の印刷ジョブがない場合で、ステップS25の結果がNOになるときには、中断ジョブとして設定された印刷ジョブについて、再開動作を行う。すなわち、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS26)、ステップS26の結果がYESになるときには、ステップS21へ戻る。
【0059】
また、ステップS26の結果がNOになるときには、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS27)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS27の結果がYESになる。なお、ステップS27の結果がNOになるときには、ステップS26に戻る。
ステップS27の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS28)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS29)。
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS30)。ステップS30の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS31)、ステップS26へ戻る。また、ステップS30の結果がNOになるときには、ステップS26に戻る。
【0060】
ところで、印刷ジョブの種類によっては、上述したPDL展開処理の追い越しを行うことが好ましくないものがある。そこで、例えば、図7(b)に示したようなPDL追い越し判定テーブルを設け、PDL展開処理の追い越しについて制御することが好ましい。
この場合、診断シートやサマリー印刷は機器管理者等が印刷するため、ユーザによる印刷に比べて緊急度が高い。そこで、このPDL追い越し判定テーブルは、それら機器管理者用のジョブが、ユーザの通常の印刷ジョブを追い越して処理されるように設定されている。
ここで、それぞれの印刷ジョブの種類は、例えば、印刷ジョブ情報に含まれる印刷設定情報に設けられているものとする。
【0061】
図11は、この場合に、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。この処理は、図10の処理と同じ条件で開始される。
まず、未処理のジョブデータがあるかどうかを調べる(ステップS41)。ステップS41の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS41の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8、9に示したPDL展開処理を行う(ステップS42)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS43)。ステップS43の結果がNOになるときには、ステップS41へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0062】
中断が発生した場合で、ステップS43の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS44)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS45)。ステップS45の結果がYESになるときには、未処理の印刷ジョブからいずれかの処理対象の印刷ジョブを選択し、その選択した未処理の印刷ジョブの種別と中断ジョブの種別に基づき、図7(b)に示したPDL追い越し判定テーブルを参照して、未処理の印刷ジョブの種類にPDL追い越しする旨が登録されていて未処理の印刷ジョブが中断ジョブを追い越せる場合であるかどうかを調べる(ステップS46,S47)。
【0063】
ここで、PDL追い越し判定テーブルには、プリンタ装置PRNの操作表示部9に設けられている特定の印刷動作を指示する操作キー(図示略)を、ユーザが直接操作した場合に設定される印刷ジョブの種類、例えば、この場合は、「診断シート印刷」、「サマリー印刷」、「蓄積印刷」については、PDL追い越しを行う旨が登録され、それ以外のジョブの種類(この場合は、「通常印刷」)にPDL追い越しを行う旨が登録されない(すなわち、PDL行わない旨が登録される)。
そして、未処理ジョブが中断ジョブを追い越せる場合で、ステップS47の結果がYESになるときには、そのときの未処理ジョブについて、図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS48)。
【0064】
そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS49)。ステップS49の結果がNOになるときには、ステップS45へ戻り、それ以降の処理を実行する。また、中断が発生した場合で、ステップS49の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS50)、ステップS45へ戻る。
【0065】
一方、ステップS45の結果がNOになるときには、全ての印刷ジョブについて印刷動作が終了したか、中断された場合である。したがって、この場合には、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS51)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS51の結果がYESになる。
ステップS51の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS52)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS53)。
【0066】
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS54)。ステップS54の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS55)、ステップS51へ戻る。また、ステップS54の結果がNOになるときには、ステップS55を実行せずにステップS26に戻る。
また、ステップS51の結果がNOになるときには、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS56)、ステップS56の結果がNOになるときには、ステップS51へ戻り、ステップS56の結果がYESになるときには、ステップS41へ戻る。
【0067】
また、ジョブによっては、印刷の優先度が高く、印刷処理を中断することが好ましくない場合がある。そこで、例えば、図7(c)に示すように、優先度を設定したPDL追い越し判定テーブルを設けるとよい。この場合、診断シートやサマリー印刷は機器管理者等が印刷するため、ユーザによる印刷よりも優先度が高く設定される。そのため、それら機器管理者用のジョブの優先度を高く、ユーザによる印刷ジョブを低くすることで、より優先するべきジョブのみPDL展開処理を早く行うことができる。
【0068】
図12は、この場合に、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。この処理は、図10の処理と同じ条件で開始される。
まず、未処理のジョブデータがあるかどうかを調べる(ステップS61)。ステップS61の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS61の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS62)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS63)。ステップS63の結果がNOになるときには、ステップS61へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0069】
中断が発生した場合で、ステップS63の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS64)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS65)。ステップS65の結果がYESになるときには、未処理の印刷ジョブからいずれかの処理対象の印刷ジョブを選択し、その選択した未処理の印刷ジョブの種別と中断ジョブの種別に基づき、図7(c)に示したPDL追い越し判定テーブル(優先度あり)を参照し、未処理の印刷ジョブの種類の優先度が中断ジョブの種類の優先度より高い場合であり、未処理の印刷ジョブが中断ジョブを追い越せるかどうかを調べる(ステップS66,S67)。
【0070】
未処理ジョブが中断ジョブを追い越せる場合で、ステップS67の結果がYESになるときには、そのときの未処理ジョブについて、図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS68)。
そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS69)。ステップS69の結果がNOになるときには、ステップS65へ戻り、それ以降の処理を実行する。また、中断が発生した場合で、ステップS69の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS70)、ステップS65へ戻る。
【0071】
一方、ステップS65の結果がNOになるときには、全ての印刷ジョブについて印刷動作が終了したか、中断された場合である。したがって、この場合には、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS71)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS71の結果がYESになる。
ステップS71の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS72)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS73)。
【0072】
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS74)。ステップS74の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS75)、ステップS71へ戻る。また、ステップS74の結果がNOになるときには、ステップS75を実行せずにステップS26に戻る。
また、ステップS71の結果がNOになるときには、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS76)、ステップS76の結果がNOになるときには、ステップS71へ戻り、ステップS76の結果がYESになるときには、ステップS61へ戻る。
【0073】
ところで、上述した実施例では、1ページ分のPDL展開処理を終了した時点で、そのページの印刷ができるかどうかを判断しているが、この印刷可否判断のタイミングは、これに限ることはない。例えば、1ページ分のPDL展開処理を開始する前のタイミングで行ったり、また、1ページ分のPDL展開処理の内部で、例えば、PDL展開処理をある程度の処理単位(例えば、適宜なPDLコマンド数等)だけ実行するたびに行うようにすることもできる。
【0074】
なお、上述した実施例では、スタンドアローンタイプのプリンタ装置PRNについてこの発明を適用した場合について説明したが、それに限るものではなく、例えば、ネットワークを介して印刷ジョブ情報を受信するネットワーク対応プリンタ装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
この発明は、ジョブスキップ機能を備えたプリンタ装置であれば、種々の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
HST:ホスト装置 PRN:プリンタ装置 100:コントローラ
1:CPU(中央処理装置) 2:プログラムROM(リード・オンリ・メモリ)
3:フォントROM 4:RAM(ランダム・アクセス・メモリ)
5:NVRAM 6:エンジンI/F 7:プリンタエンジン
8:操作表示部I/F 9:操作表示部 10:ホストI/F
11:オプションRAM 21:通信制御部 22:ジョブ管理部
23,24:PDL解釈部 25:メモリ 26:印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2002−200821号公報
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の印刷ジョブの印刷を行う際の印刷装置の印刷動作を高速に行えるようにした画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、レーザプリンタ装置など、1ページ単位に印刷動作を行うページプリンタ装置が、パーソナルコンピュータ装置などのホスト装置から受信する印刷ジョブ情報には、印刷情報としてPDL(Page Description Language;ページ記述言語)で記述された印刷画像情報が含まれるとともに、それぞれの印刷ページの印刷設定内容を表わす印刷設定情報が含まれる。
また、印刷ジョブ情報には、通常、1ページ以上の印刷ページの情報が含まれ、各々の印刷ページに設定される印刷設定情報は、ホスト装置のユーザにより設定された内容が含まれる。
【0003】
プリンタ装置では、受信した印刷ジョブ情報の印刷画像情報に対して、PDL展開処理を適用し、対応する印刷画像データに変換する。そして、そのPDL展開処理で作成した印刷画像データの印刷物を、プリンタエンジンより記録出力するようにしている。また、その際、各々の印刷ページの印刷物は、その印刷ページに設定される印刷設定情報により指定された用紙に印刷される。
【0004】
通常、プリンタエンジンが1ページの印刷に要する時間に比べて、PDL展開処理が1ページ分の印刷画像データを形成する際に要する時間が短いため、プリンタ装置では、PDL展開処理と、プリンタエンジンの動作を制御する印刷制御処理とを並列に処理して行っている。
例えば、図15(a)に示すように、3つのジョブ(印刷ジョブ)1,2,3のPDL展開処理が順次行われるのと並列的にジョブ1,2,3の印刷処理が行われ、したがって、全体の処理時間を短縮することができ、効率的な印刷動作が可能となる。
【0005】
ところが、図15(b)に示すように、最初のジョブ1の印刷処理において、1ページ目の印刷動作の後の時刻T1に、2ページ目の印刷動作に必要な用紙が切れた場合などで印刷動作の継続ができなくなった場合、その用紙が追加されて印刷可能となる時刻T2まで印刷処理が中断される。この場合、後続のジョブ2、3の印刷動作に必要な用紙が用紙切れを起こしている用紙とは別のものでプリンタ装置が給紙可能なものであり、ジョブ2、3が印刷可能であるにもかかわらず、後続のジョブ2、3は、ジョブ1の印刷終了を待つ必要があり、印刷効率がよくなかった。
【0006】
このような不具合を解消するために、例えば、特許文献1のように、ジョブに設定されている用紙の給紙可/不可を給紙前に判定することで、印刷不可のジョブを事前に停止状態にし、印刷可能な後続ジョブを先に印刷する(すなわち、後続ジョブが前のジョブを追い越す)技術(以下、「ジョブスキップ処理(機能)」という)が提案されている(図15(c)参照)。この特許文献1では、PDL展開処理については、順次展開を行い、印刷処理において印刷不可の場合には印刷保留処理を行っている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この特許文献1では、PDL展開処理をジョブ単位に順次実施しているため、印刷不可となったジョブがまだPDL展開処理を行っている場合には、現在のPDL展開処理の終了後にしか追い越すジョブ(次のジョブ)のPDL展開処理を実施できないため、追い越されるジョブのPDL展開処理の終了を待たなければならない問題があった。
この発明は、かかる実情に鑑みてなされたものであり、ジョブスキップ処理を行う際のPDL展開処理を効率よく行うことで、より早いタイミングで追い越したジョブの印刷を行うことができる画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、上記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って上記画像形成用画像データが示す画像を用紙に画像形成する画像形成手段の制御を行うとともに、上記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置であって、上記ジョブ情報に含まれるページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドを対応する上記画像形成用画像データに変換する描画コマンド変換手段と、上記描画コマンド変換手段により処理される上記ジョブ情報に含まれる設定情報に従って上記画像形成手段の動作状況を調べ、上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えるかどうかを判断する判断手段と、(a)上記判断手段が画像形成動作を行えると判断した場合には、上記描画コマンド変換手段の変換動作を継続して行わせ、描画コマンド変換手段が作成した画像形成用画像データを上記設定情報に従って上記画像形成手段で画像形成出力させる一方、(b)上記判断手段が画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、その中断時に中断したジョブ情報に続く次のジョブ情報がある場合には、上記次のジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に行わせ、その中断時に上記次のジョブ情報がない場合には、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させる上記ジョブスキップ機能を有するジョブ制御手段とを備えたものである。
【0009】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記ジョブ情報に従った画像形成動作を上記判断手段が行えないと判断した時点で、そのジョブ情報に従った画像形成動作により上記画像形成手段が1ページ以上の画像形成出力を行っている時には、上記次のジョブ情報の有無にかかわらず、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0010】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記次のジョブ情報の処理を上記描画コマンド変換手段に行わせた際、上記判断手段が上記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記次のジョブ情報について上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0011】
また、上記ジョブ制御手段が備える上記ジョブスキップ機能は、上記判断手段が上記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記次のジョブ情報に従った上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、中断した上記次のジョブ情報に続く後続のジョブ情報がある場合には、その後続のジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に行わせ、上記判断手段が上記後続のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、上記後続のジョブ情報に従った上記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、上記判断手段が上記中断したジョブ情報に従った動作を行えると判断するまで待った後、上記中断したジョブ情報に従った処理を上記描画コマンド変換手段に再開させるようにするとよい。
【0012】
また、上記判断手段が判断に用いる設定情報は、用紙のサイズおよび種別であり、上記判断手段は、上記設定情報で設定されたサイズかつ上記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが上記画像形成手段にある場合には上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断し、上記設定情報で設定されたサイズかつ上記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが上記画像形成手段にない場合には上記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断するとよい。
【0013】
また、上記ジョブ情報のそれぞれの種別について上記ジョブ制御手段が行う上記ジョブスキップ機能を適用するか否かを定めたジョブスキップ対応表を記憶したジョブスキップ対応表記憶手段をさらに備え、判断対象となる上記ジョブ情報の種別について、上記ジョブスキップ機能を適用する旨が上記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、上記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について上記ジョブスキップ機能を適用させる一方、判断対象となる上記ジョブ情報の種別について、上記ジョブスキップ機能を適用しない旨が上記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、上記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について上記ジョブスキップ機能を適用させないようにするとよい。
【0014】
また、上記ジョブスキップ対応表には、ユーザによる操作がされるジョブの種別については、上記ジョブ制御手段が上記ジョブスキップ機能を適用する旨を記憶し、それ以外のジョブの種別については、上記ジョブ制御手段が上記ジョブスキップ機能を適用しない旨を記憶するとよい。
【0015】
また、上記ジョブスキップ対応表には、さらに、それぞれのジョブ種別についてジョブスキップの優先順位が記憶され、上記ジョブ制御手段は、上記ジョブスキップ機能については、それぞれのジョブ情報のジョブ種別に対応して上記ジョブスキップ対応表に記憶されている優先順位に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報の処理を行うか否かを判断するとよい。
【0016】
また、さらに、基準となる未処理データ量を記憶した基準値記憶手段を備え、上記ジョブ制御手段は、上記ジョブスキップ機能については、中断されたジョブのページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドのうち、未処理のものの総データ量と、上記基準となる未処理データ量との比較結果に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報に従った処理を行うか否かを判断するとよい。
【0017】
また、コンピュータに、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、上記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って上記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、上記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置を制御させ、上記いずれかに記載の画像形成装置として機能させるための画像形成プログラムも提供する。
【0018】
また、請求項10に記載の画像形成プログラムを格納した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供する。
【発明の効果】
【0019】
以上のようなこの発明の画像形成装置、画像形成プログラム、および記録媒体によれば、ジョブスキップ処理を行うと判断すると、その時点で、追い越されるジョブの描画コマンド変換処理(PDL展開処理)が中断されて、後続のジョブの描画コマンド変換処理が開始されるので、より早いタイミングで後続ジョブの印刷動作を開始でき、印刷に要する時間を短縮できるという効果を得る。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例にかかる印刷システムの一例を示したブロック図である。
【図2】プリンタ装置PRNの構成例を示したブロック図である。
【図3】印刷ジョブデータの処理に関するコントローラ100の処理系の構成の一例を示したブロック図である。
【図4】この実施例のジョブスキップ処理について説明するための概略図である。
【図5】この実施例のジョブスキップ処理の一例を示したシーケンス図である。
【図6】この実施例のジョブスキップ処理の他の例を示したシーケンス図である。
【図7】印刷可否の判定例の一例、PDL追い越し判定テーブルなどを示す概略図である。
【図8】PDL展開処理の一例を示したフローチャートである。
【図9】PDL展開処理の他の例を示したフローチャートである。
【図10】ジョブ管理処理の一例を示したフローチャートである。
【図11】ジョブ管理処理の他の例を示したフローチャートである。
【図12】ジョブ管理処理のさらに他の例を示したフローチャートである。
【図13】従来のPDL展開処理と印刷処理との順序関係を説明するための概略図である。
【図14】ジョブ1が印刷不可の場合のPDL展開処理と印刷処理との順序関係を説明するための概略図である。
【図15】従来のジョブスキップについて説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、添付図面を参照しながら、この発明の実施の形態を詳細に説明する。
〔実施例〕
図1は、この発明の一実施例にかかる印刷システムの一例を示している。この印刷システムは、ユーザ印刷ジョブ情報を形成してプリンタ装置PRNへ送信するホスト装置HSTと、ホスト装置HSTよりユーザ印刷ジョブ情報を受信し、ユーザ印刷ジョブ情報の内容を解釈し、印刷物を記録出力するプリンタ装置PRNから構成されている。
【0022】
ここで、ホスト装置HSTは、例えば、パーソナルコンピュータ装置などのデータ処理装置からなり、印刷データを作成するための文書作成アプリケーション・ソフトウェアと、その文書作成アプリケーション・ソフトウェアが作成した印刷データを、プリンタ装置PRNに適合した仕様(後述)に変換し、ユーザ印刷ジョブ情報を作成するプリンタドライバ・ソフトウェアなどがインストールされる。また、ユーザ印刷ジョブ情報に含まれる各ページの印刷内容を表わす印刷ページ情報は、プリンタ装置PRNで解釈可能な所定のPDLで作成される。
【0023】
また、プリンタ装置PRNは、ユーザ印刷ジョブ情報に含まれるそれぞれのドキュメントの各ページの印刷ページ情報を解釈して、1ページ分の印刷データ(例えば、ビットマップデータなど)を作成し、各印刷ページの印刷物を記録出力する。
【0024】
図2は、プリンタ装置PRNの構成例を示している。
同図において、コントローラ100は、その時設定されている制御モード及びホスト装置HSTからの制御コードに従って、ホスト装置HSTからの印字データを、ビデオデータ(印刷画像データ)に変換してプリンタエンジン7へ出力する制御機構の総称で、以下のようなモジュールで構成される。
【0025】
CPU(中央処理装置)1は、プログラムROM(リード・オンリ・メモリ)2に従ってホスト装置HSTからのデータ(ユーザ印刷ジョブ情報の印字データや制御データ)を処理する。プログラムROM2は、コントローラ100内でのデータの管理や、周辺モジュールを制御する為のプログラムが格納されている。フォントROM3は、印字に使用されるさまざまな種類のフォント・データを有する。
【0026】
RAM(ランダム・アクセス・メモリ)4は、CPU1が処理する時のワークメモリ、ホスト装置HSTからのデータをページ単位に管理して一時記憶するバッファ、バッファに記憶されたデータを実際の印字パターンに変換し、ビデオデータを記憶するビットマップメモリ等に使われる。NV−RAM5は、電源を切っても保持したいデータを格納しておく為の不揮発性RAMである。
【0027】
エンジンI/F(インタフェース)6は、コントローラ100からプリンタエンジン7への制御信号、プリンタ装置PRNからコントローラ100へのステータス信号のインタフェースである。プリンタエンジン7は、コントローラ100からのビデオ信号(画像データ信号)および制御信号により感光体上に静電潜像を作り、現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、転写及び定着し、画像を形成する。ここで、プリンタエンジン7に転送される画像データ信号は、対応するビデオ信号に変換されて、プリンタエンジン7に送信される。
【0028】
操作表示部I/F8は、プリンタ装置PRNの状態、モード、フォント等の切替えを行う為の信号のインタフェースである。操作表示部9は、プリンタ装置PRNの状態を示す表示部、及びプリンタ装置PRNのモード、フォント等を切替えるスイッチ部を含む。
ホストI/F10は、ホスト装置HSTからプリンタ装置PRNへの制御信号およびデータ、プリンタ装置PRNからホスト装置HSTへのステータス信号のインタフェースである。また、オプションRAM11は、RAM4の記憶領域を拡張するためのオプションユニットである。
【0029】
これらのCPU1、プログラムROM2、フォントROM3、RAM4、NV−RAM5、エンジンI/F6、操作表示部I/F8、オプションRAM11は、内部バス12にに接続されており、これらの各要素間でのデータのやりとりは、主としてこの内部バス12を介して行われている。
【0030】
ホストI/F10を通してホストから送られてきたデータは、CPU1により印字データおよび印字制御データとその他に分けられ、印字データおよび印字制御データは、制御コードに変換されてバッファに記憶される。ホスト装置HSTからのプリント命令またはホストから受け取ったデータが1ページ分を超えた時、コントローラ100はまず、中間コードをビデオデータに変換し、それが終了したら、エンジンI/F6を通してプリンタエンジン7にプリントスタートの命令を出す。
以上のような一連の流れで、ホスト装置HSTからの印字データがプリンタエンジン7を介して印字される。
【0031】
図3は、印刷ジョブデータの処理に関するコントローラ100の処理系の構成の一例を示している。
ホスト装置HSTから受信したユーザ印刷ジョブ情報は、印刷ジョブデータとして通信制御部21を介し、ジョブ管理部22に送られる。ジョブ管理部22は、受信した印刷ジョブデータに印刷データとして含まれるPDLデータ(PDLコマンド)を、2つのPDL解釈部23,24のいずれかに送信するとともに、印刷制御部26に、印刷指示を送信する。
【0032】
PDL解釈部23,24は、受信した印刷データのPDLコマンドを解釈し、対応する画像データ(印刷画像データ)に変換し、その画像データをメモリ25に格納するとともに、印刷データに含まれる印刷設定情報などを抽出して、印刷制御部26に送信する。なお、印刷設定情報もPDLコマンドで記述されている場合には、印刷データと同様にPDL展開された結果が印刷設定情報として認識されることとなる。また、メモリ25は、RAM4やオプションRAM11の記憶領域に設けられるものである。
【0033】
印刷制御部26は、PDL解釈部23,24より受信した印刷設定情報に従って印刷ページについてプリンタエンジン7に給紙トレイなどを設定するとともに、印刷ページの画像データをメモリ25から読み出して、プリンタエンジン7へ送信する。
プリンタエンジン7では、印刷制御部26から設定された給紙トレイ(図示略)から用紙を給紙するとともに、印刷制御部26から受信した画像データの印刷動作を行う。
【0034】
なお、通信制御部21、ジョブ管理部22、PDL解釈部23,24、印刷制御部26は、CPU1で実行される適宜なプログラムで実現され、メモリ26は、RAM4により実現される。また、ジョブ管理部22からPDL解釈部23,24へのデータ転送は、メモリ25を仲介して行うこともできる。すなわち、この場合、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23,24へ、ジョブ印刷データが格納されているメモリ25の記憶領域への参照情報(アドレス情報など)を通知し、PDL解釈部23,24は、その通知された参照情報に従って印刷ジョブデータにアクセスして、メモリ25より読み込む。
【0035】
図4は、この実施例のジョブスキップ処理について説明するための図であり、図5のシーケンス図に従って、動作を説明する。この場合、3つのジョブ(印刷ジョブ)1,2,3のユーザ印刷ジョブ情報を順次受信した場合である。
まず、ジョブ1,2,3の印刷ジョブデータが通信制御部21からジョブ管理部22へ転送され、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23に対してジョブ1の印刷データの処理を依頼し、印刷ジョブデータをPDL解釈部23に送る。
【0036】
それにより、PDL解釈部23は、ジョブ1の印刷ジョブデータを処理して、画像データをメモリ25に格納していくが、1ページ目の画像データの変換を完了した時点で、1ページ目の印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれの給紙トレイにも用意されていないと判明した場合には、その時点で、印刷不可をジョブ管理部22に送信する。それにより、ジョブ管理部22は、PDL処理停止要求をPDL解釈部23へ送信し、それにより、PDL解釈部23は、その時点で、ジョブ1に関するPDL展開処理を中断する。
【0037】
このようにして、最初のジョブ1のPDL展開処理が中断したので、ジョブ管理部22は、PDL解釈部24に対して、ジョブ2の印刷ジョブデータについて、PDL展開処理を開始させるためにPDL処理開始要求を送信し、それにより、PDL解釈部24は、ジョブ2の印刷ジョブデータの処理を行い、それにより得られた画像データをメモリ25に格納していく。
【0038】
このとき、ジョブ2については、印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれかの給紙トレイに用意されていたので、PDL解釈部24は、ジョブ2の印刷ジョブデータについては、処理を完了し、ジョブ管理部22に対して、PDL処理完了を通知する。したがって、ジョブ管理部22は、ジョブ2に対する印刷処理指示を、印刷制御部26に通知する。
【0039】
一方、印刷制御部26では、PDL解釈部24から印刷設定情報を入力するとともに、印刷指示がジョブ管理部22より通知されるので、印刷設定をプリンタエンジン7に対して設定し、メモリ25からジョブ2の印刷データを読み出して、プリンタエンジン7に転送し、ジョブ2の印刷物を記録出力する。
【0040】
ジョブ管理部22は、PDL解釈部24よりジョブ2についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ1の処理を開始するようにPDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。
【0041】
それにより、PDL解釈部23は、中断していたジョブ1の印刷ジョブデータの処理を再開する。ここで、必要な用紙の給紙がされていなかったので、再開されたジョブ1のPDL展開処理は、次のページのPDL展開処理が終了した時点で、再度中断され(図4参照)、次は、ジョブ3についてジョブ2と同様にPDL解釈部24で印刷ジョブデータの処理が行われる。それにより、ジョブ3のPDL展開処理と並列して印刷処理が実行され、ジョブ3の印刷物が記録出力される。
【0042】
また、ジョブ管理部22は、PDL解釈部24よりジョブ3についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ1の処理を再度開始するために、PDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。
これ以降は、ジョブ1について、上述と同じような処理が行われる。
このようにして、ジョブ1,2,3のうち、ジョブ1が印刷不可で、ジョブ2,3が印刷可能な場合、ジョブ1のPDL展開処理が中断され、ジョブ2のPDL展開処理および印刷処理が実行されるので(すなわち、ジョブ1はジョブ2に追い越され、ジョブスキップが発生する)、ジョブ2は、ジョブ1のPDL展開処理が終了するまで待たされることなく、印刷処理されるので、ジョブ2の印刷がより早い時点で開始される。
【0043】
また、ジョブ1,2がともに印刷不可の場合の動作シーケンスの一例を図6に示す。この場合、ジョブ2の開始までは、図5の動作例と同じであるので、説明を省略する。
このとき、ジョブ2については、1ページ目の印刷に必要な用紙がプリンタエンジン7のいずれの給紙トレイにも用意されていなかったので、PDL解釈部24は、印刷不可通知をジョブ管理部22に送信する。それにより、ジョブ管理部22は、PDL処理停止要求をPDL解釈部23へ送信し、それにより、PDL解釈部23は、その時点で、ジョブ2に関するPDL展開処理を中断する。
【0044】
このようにして、ジョブ2のPDL展開処理が中断したので、ジョブ管理部22は、中断したジョブ1の処理を開始するようにPDL解釈部23にPDL処理再開を要求する。それにより、PDL解釈部23は、中断していたジョブ1の印刷ジョブデータの処理を再開する。この場合、必要な用紙の給紙がされていたので、PDL解釈部23は、ジョブ1の印刷ジョブデータについては、処理を完了し、ジョブ管理部22に対して、PDL処理完了を通知する。したがって、ジョブ管理部22は、ジョブ1に対する印刷処理指示を、印刷制御部26に通知する。それにより、この場合は、ジョブ1のPDL展開処理と並列して印刷処理が実行され、ジョブ1の印刷物が記録出力される。
また、ジョブ管理部22は、PDL解釈部23よりジョブ1についての処理が完了した旨を認識すると、中断したジョブ2の処理を再度開始するために、PDL解釈部24にPDL処理再開を要求する。
【0045】
ここで、図7(a)に、印刷可否の判定例の一例を示す。この場合は、用紙サイズ、紙種設定が給紙可能かを調査することで、印刷可能かの判断を行う。調査する検索順としては、Priorityトレイ(システムの優先トレイ)から初めて、トレイ1,2,…,手差しトレイと順次、用紙のセット状況を調べていく。
また、用紙の有無の検出は、各トレイに設けられる周知の用紙センサ(図示略)により行い、用紙サイズの検知は、各トレイに設けられる周知のサイズ検出手段(図示略)により行い、また、用紙の紙種については、例えばプリンタ装置PRNの操作表示部9をユーザが操作することによって設定することができる(いずれも、従来周知事項)。
なお、印刷可否の判定に使用するものとしては、上述した用紙に関するもの以外では、例えば、トナーなどの作像系に使用する色材などを用いることができる。
【0046】
ところで、例えば、ジョブ1の1ページ目と2ページ目とで印刷設定が異なっており、プリンタエンジン7は1ページ目の用紙が使用可能であるが、2ページ目の用紙が紙切れを起こしていて使用不可である場合、1ページ目の印刷処理が行われた時点では、印刷可能なので、1ページ目の印刷物は記録出力されるものの、2ページ目のPDL展開処理を終了した時点で、2ページ目の印刷不可が判定されることとなる。
【0047】
このような場合で後続のジョブ2があるとき、上述と同様にして、ジョブ1の印刷処理をスキップさせて、ジョブ2の印刷処理を実行させると、排紙トレイにジョブ1とジョブ2の印刷物が混在して排出されることとなり、印刷物の仕分けなどに支障を来す。
そこで、このような場合は、ジョブスキップを行わずに、ジョブ1の2ページ目以降の用紙がプリンタエンジン7にセットされるまで待機することが好ましい。
【0048】
図8は、PDL解釈部23,24が実行するPDL展開処理の一例を示している。このPDL展開処理は、処理対象となる印刷ジョブデータがメモリ25に格納されて、ジョブ管理部22によりPDL展開処理の実行開始が指令された時点で開始される。
まず、1ページ分のPDL展開処理を実行する(ステップS1)。ここで、作成ページが印刷できないかどうかを調べる(ステップS2)。例えば、印刷設定されている用紙がプリンタエンジン7の給紙トレイにセットされていなかったり、使用するトナーなどがプリンタエンジン7に不足している場合などは、印刷できないと判断する。
【0049】
ステップS2の結果がNOになる場合には、作成ページについて印刷できる場合である。この場合は、全てのページについてPDL展開が終了したかどうかを調べ(ステップS3)、ステップS3の結果がNOになるときには、ステップS1に戻り、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。ステップS3の結果がYESになるときは、このときの処理を終了する。
【0050】
また、作成ページが印刷不可であると判断された場合で、ステップS2の結果がYESになるときには、そのジョブについて、最初のページが給紙済みであるかどうかを調べる(ステップS4)。ステップS4の結果がYESになるときには、1ページ目の印刷物が印刷出力されているので、そのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。そこで、印刷が可能な状態になるまで待機し(ステップS5のNOループ)、印刷が可能な状態になって、ステップS5の結果がYESになると、ステップS1へ移行し、残りのページのPDL展開処理を行う。
【0051】
また、ステップS4の結果がNOになるときには、そのときのジョブについてPDL展開処理中断が発生した旨をジョブ管理部22へ通知し(ステップS6)、上位システムからの再開指示待ちの状態に移行する(ステップS7,S8)。再開指示が入力され、ステップS8の結果がYESになると、ステップS1へ移行し、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。
このようにして、PDL展開処理では、1ページのPDL展開処理が終了するたびに、印刷可能かどうかを調べ、印刷不可の場合には、PDL展開処理中断というイベントを発生し、上位システムからの再開指示(後述するようにジョブ管理部22から出される;図10〜12参照)に移行する。ただし、1ページ目の印刷物が排出されている場合には、そのジョブについては、PDL展開処理を中断せず、再開が指示されるまで待機させる。
【0052】
図9は、PDL解釈部23,24が実行するPDL展開処理の他の例を示している。この処理は、図8の処理と同じ条件で開始される。
まず、1ページ分のPDL展開処理を実行する(ステップS11)。ここで、作成ページが印刷できないかどうかを調べる(ステップS12)。例えば、印刷設定されている用紙がプリンタエンジン7の給紙トレイにセットされていなかったり、使用するトナーなどがプリンタエンジン7に不足している場合などは、印刷できないと判断する。
【0053】
ステップS12の結果がNOになる場合には、作成ページについて印刷できる場合である。この場合は、全てのページについてPDL展開が終了したかどうかを調べ(ステップS13)、ステップS13の結果がNOになるときには、ステップS11に戻り、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。ステップS13の結果がYESになるときは、このときの処理を終了する。
【0054】
また、作成ページが印刷不可であると判断された場合で、ステップS12の結果がYESになるときには、そのジョブについて、最初のページが給紙済みであるかどうかを調べ(ステップS14)、ステップS14の結果がNOになるときには、そのときに処理中の印刷ジョブについて、未処理データ量があらかじめ設定されている基準値よりも多いかどうかを調べる(ステップS15)。ステップS14の結果がYESになるときには、1ページ目の印刷物が印刷出力されているので、そのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。また、ステップS15の結果がYESになるときには、未処理部分の印刷処理に要する時間があまり長くないと予想されるのでそのときの印刷ジョブをジョブスキップの対象としない。
したがって、ステップS14の結果がYESになるときと、ステップS15の結果がNOになるときには、印刷が可能な状態になるまで待機し(ステップS16のNOループ)、印刷が可能な状態になって、ステップS16の結果がYESになると、ステップS11へ移行し、残りのページのPDL展開処理を行う。
【0055】
また、ステップS15の結果がYESになるときには、そのときのジョブについてPDL展開処理中断が発生した旨をジョブ管理部22へ通知し(ステップS17)、再開指示待ちの状態に移行する(ステップS18,S19)。再開指示が入力され、ステップS19の結果がYESになると、ステップS11へ移行し、残りのページについて、PDL展開処理を実行する。
【0056】
このようにして、この場合には、PDL展開処理の中断判定を、中断が発生したジョブの残りのページのデータ量すなわち未処理データ量が多いかどうかということも参酌して行っている。例えば、あらかじめ定められた基準値よりも未処理データ量が多い場合は、未処理部分の印刷処理に要する時間が長くなると予想されるので、中断すると判定する。それに対し、未処理データ量が基準値よりも少ない場合には、未処理部分の印刷処理に要する時間が短いと予想されるので、中断しないと判定する。なお、この基準値は、実際の処理時間を参酌して、実験的に定めることが好ましい。
【0057】
図10は、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。このジョブ管理処理は、通信制御部21より印刷ジョブデータを受信し、1つ以上のジョブデータがRAM4等に格納された時点で、上位システムにより起動される。
まず、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS21)。ステップS21の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS21の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8、9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS22)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS23)。ステップS23の結果がNOになるときには、ステップS21へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0058】
中断が発生した場合で、ステップS23の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS24)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べ(ステップS25)、ステップS25の結果がYESになるときには、ステップS22に戻り、残りの未処理の印刷ジョブについて図8、9に示したPDL展開処理を起動する。
また、未処理の印刷ジョブがない場合で、ステップS25の結果がNOになるときには、中断ジョブとして設定された印刷ジョブについて、再開動作を行う。すなわち、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS26)、ステップS26の結果がYESになるときには、ステップS21へ戻る。
【0059】
また、ステップS26の結果がNOになるときには、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS27)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS27の結果がYESになる。なお、ステップS27の結果がNOになるときには、ステップS26に戻る。
ステップS27の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS28)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS29)。
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS30)。ステップS30の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS31)、ステップS26へ戻る。また、ステップS30の結果がNOになるときには、ステップS26に戻る。
【0060】
ところで、印刷ジョブの種類によっては、上述したPDL展開処理の追い越しを行うことが好ましくないものがある。そこで、例えば、図7(b)に示したようなPDL追い越し判定テーブルを設け、PDL展開処理の追い越しについて制御することが好ましい。
この場合、診断シートやサマリー印刷は機器管理者等が印刷するため、ユーザによる印刷に比べて緊急度が高い。そこで、このPDL追い越し判定テーブルは、それら機器管理者用のジョブが、ユーザの通常の印刷ジョブを追い越して処理されるように設定されている。
ここで、それぞれの印刷ジョブの種類は、例えば、印刷ジョブ情報に含まれる印刷設定情報に設けられているものとする。
【0061】
図11は、この場合に、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。この処理は、図10の処理と同じ条件で開始される。
まず、未処理のジョブデータがあるかどうかを調べる(ステップS41)。ステップS41の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS41の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8、9に示したPDL展開処理を行う(ステップS42)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS43)。ステップS43の結果がNOになるときには、ステップS41へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0062】
中断が発生した場合で、ステップS43の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS44)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS45)。ステップS45の結果がYESになるときには、未処理の印刷ジョブからいずれかの処理対象の印刷ジョブを選択し、その選択した未処理の印刷ジョブの種別と中断ジョブの種別に基づき、図7(b)に示したPDL追い越し判定テーブルを参照して、未処理の印刷ジョブの種類にPDL追い越しする旨が登録されていて未処理の印刷ジョブが中断ジョブを追い越せる場合であるかどうかを調べる(ステップS46,S47)。
【0063】
ここで、PDL追い越し判定テーブルには、プリンタ装置PRNの操作表示部9に設けられている特定の印刷動作を指示する操作キー(図示略)を、ユーザが直接操作した場合に設定される印刷ジョブの種類、例えば、この場合は、「診断シート印刷」、「サマリー印刷」、「蓄積印刷」については、PDL追い越しを行う旨が登録され、それ以外のジョブの種類(この場合は、「通常印刷」)にPDL追い越しを行う旨が登録されない(すなわち、PDL行わない旨が登録される)。
そして、未処理ジョブが中断ジョブを追い越せる場合で、ステップS47の結果がYESになるときには、そのときの未処理ジョブについて、図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS48)。
【0064】
そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS49)。ステップS49の結果がNOになるときには、ステップS45へ戻り、それ以降の処理を実行する。また、中断が発生した場合で、ステップS49の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS50)、ステップS45へ戻る。
【0065】
一方、ステップS45の結果がNOになるときには、全ての印刷ジョブについて印刷動作が終了したか、中断された場合である。したがって、この場合には、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS51)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS51の結果がYESになる。
ステップS51の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS52)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS53)。
【0066】
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS54)。ステップS54の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS55)、ステップS51へ戻る。また、ステップS54の結果がNOになるときには、ステップS55を実行せずにステップS26に戻る。
また、ステップS51の結果がNOになるときには、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS56)、ステップS56の結果がNOになるときには、ステップS51へ戻り、ステップS56の結果がYESになるときには、ステップS41へ戻る。
【0067】
また、ジョブによっては、印刷の優先度が高く、印刷処理を中断することが好ましくない場合がある。そこで、例えば、図7(c)に示すように、優先度を設定したPDL追い越し判定テーブルを設けるとよい。この場合、診断シートやサマリー印刷は機器管理者等が印刷するため、ユーザによる印刷よりも優先度が高く設定される。そのため、それら機器管理者用のジョブの優先度を高く、ユーザによる印刷ジョブを低くすることで、より優先するべきジョブのみPDL展開処理を早く行うことができる。
【0068】
図12は、この場合に、ジョブ管理部22が実行するジョブ管理処理の一例を示している。この処理は、図10の処理と同じ条件で開始される。
まず、未処理のジョブデータがあるかどうかを調べる(ステップS61)。ステップS61の結果がNOになるときには、この処理を終了する。ステップS61の結果がYESになるときには、いずれかの未処理の印刷ジョブを選択し、そのジョブデータについて図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS62)。そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS63)。ステップS63の結果がNOになるときには、ステップS61へ戻り、それ以降の処理を実行する。
【0069】
中断が発生した場合で、ステップS63の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS64)、未処理の印刷ジョブがあるかどうかを調べる(ステップS65)。ステップS65の結果がYESになるときには、未処理の印刷ジョブからいずれかの処理対象の印刷ジョブを選択し、その選択した未処理の印刷ジョブの種別と中断ジョブの種別に基づき、図7(c)に示したPDL追い越し判定テーブル(優先度あり)を参照し、未処理の印刷ジョブの種類の優先度が中断ジョブの種類の優先度より高い場合であり、未処理の印刷ジョブが中断ジョブを追い越せるかどうかを調べる(ステップS66,S67)。
【0070】
未処理ジョブが中断ジョブを追い越せる場合で、ステップS67の結果がYESになるときには、そのときの未処理ジョブについて、図8,9に示したPDL展開処理を起動する(ステップS68)。
そして、そのPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS69)。ステップS69の結果がNOになるときには、ステップS65へ戻り、それ以降の処理を実行する。また、中断が発生した場合で、ステップS69の結果がYESになるときには、その印刷ジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS70)、ステップS65へ戻る。
【0071】
一方、ステップS65の結果がNOになるときには、全ての印刷ジョブについて印刷動作が終了したか、中断された場合である。したがって、この場合には、そのときに再開可能なジョブがあるかどうかを調べる(ステップS71)。例えば、中断ジョブとして設定されている印刷ジョブのうち、その印刷ジョブに設定されている用紙が利用可能になったとか、あるいはトナーが補給されて印刷可能な状態になった印刷ジョブがある場合には、ステップS71の結果がYESになる。
ステップS71の結果がYESになるときには、その印刷ジョブの中断設定を解除して(ステップS72)、そのジョブについて、PDL展開処理を再開するように、図8,9に示したPDL展開処理に通知する(ステップS73)。
【0072】
それにより、PDL展開処理により、PDL展開処理が再開される。そして、その再開されたPDL展開処理で、処理が中断されたかどうかを調べる(ステップS74)。ステップS74の結果がYESになるときには、そのジョブを中断ジョブとして設定し(ステップS75)、ステップS71へ戻る。また、ステップS74の結果がNOになるときには、ステップS75を実行せずにステップS26に戻る。
また、ステップS71の結果がNOになるときには、全ての中断ジョブについての処理が終了したかどうかを調べ(ステップS76)、ステップS76の結果がNOになるときには、ステップS71へ戻り、ステップS76の結果がYESになるときには、ステップS61へ戻る。
【0073】
ところで、上述した実施例では、1ページ分のPDL展開処理を終了した時点で、そのページの印刷ができるかどうかを判断しているが、この印刷可否判断のタイミングは、これに限ることはない。例えば、1ページ分のPDL展開処理を開始する前のタイミングで行ったり、また、1ページ分のPDL展開処理の内部で、例えば、PDL展開処理をある程度の処理単位(例えば、適宜なPDLコマンド数等)だけ実行するたびに行うようにすることもできる。
【0074】
なお、上述した実施例では、スタンドアローンタイプのプリンタ装置PRNについてこの発明を適用した場合について説明したが、それに限るものではなく、例えば、ネットワークを介して印刷ジョブ情報を受信するネットワーク対応プリンタ装置についても、本発明を同様にして適用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0075】
この発明は、ジョブスキップ機能を備えたプリンタ装置であれば、種々の装置に適用することができる。
【符号の説明】
【0076】
HST:ホスト装置 PRN:プリンタ装置 100:コントローラ
1:CPU(中央処理装置) 2:プログラムROM(リード・オンリ・メモリ)
3:フォントROM 4:RAM(ランダム・アクセス・メモリ)
5:NVRAM 6:エンジンI/F 7:プリンタエンジン
8:操作表示部I/F 9:操作表示部 10:ホストI/F
11:オプションRAM 21:通信制御部 22:ジョブ管理部
23,24:PDL解釈部 25:メモリ 26:印刷制御部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0077】
【特許文献1】特開2002−200821号公報
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、前記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って前記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、前記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置であって、
前記ジョブ情報に含まれるページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドを対応する前記画像形成用画像データに変換する描画コマンド変換手段と、
前記描画コマンド変換手段により処理される前記ジョブ情報に含まれる設定情報に従って前記画像形成手段の動作状況を調べ、前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えるかどうかを判断する判断手段と、
(a)前記判断手段が画像形成動作を行えると判断した場合には、前記描画コマンド変換手段の変換動作を継続して行わせ、描画コマンド変換手段が作成した画像形成用画像データを前記設定情報に従って前記画像形成手段で用紙に形成させる一方、(b)前記判断手段が画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、その中断時に中断したジョブ情報に続く次のジョブ情報がある場合には、前記次のジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に行わせ、その中断時に前記次のジョブ情報がない場合には、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる前記ジョブスキップ機能を有するジョブ制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記ジョブ情報に従った画像形成動作を前記判断手段が行えないと判断した時点で、そのジョブ情報に従った画像形成動作により前記画像形成手段が1ページ以上の画像形成出力を行っている時には、前記次のジョブ情報の有無にかかわらず、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記次のジョブ情報の処理を前記描画コマンド変換手段に行わせた際、前記判断手段が前記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記次のジョブ情報について前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とした請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記判断手段が前記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記次のジョブ情報に従った前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、中断した前記次のジョブ情報に続く後続のジョブ情報がある場合には、その後続のジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に行わせ、前記判断手段が前記後続のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記後続のジョブ情報に従った前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段が判断に用いる設定情報は、用紙のサイズおよび種別であり、前記判断手段は、前記設定情報で設定されたサイズかつ前記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが前記画像形成手段にある場合には前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断し、前記設定情報で設定されたサイズかつ前記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが前記画像形成手段にない場合には前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジョブ情報のそれぞれの種別について前記ジョブ制御手段が行う前記ジョブスキップ機能を適用するか否かを定めたジョブスキップ対応表を記憶したジョブスキップ対応表記憶手段をさらに備え、
判断対象となる前記ジョブ情報の種別について、前記ジョブスキップ機能を適用する旨が前記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、前記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について前記ジョブスキップ機能を適用させる一方、
判断対象となる前記ジョブ情報の種別について、前記ジョブスキップ機能を適用しない旨が前記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、前記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について前記ジョブスキップ機能を適用させないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ジョブスキップ対応表には、ユーザによる操作がされるジョブの種別については、前記ジョブ制御手段が前記ジョブスキップ機能を適用する旨が記憶され、それ以外のジョブの種別については、前記ジョブ制御手段が前記ジョブスキップ機能を適用しない旨が記憶されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ジョブスキップ対応表には、さらに、それぞれのジョブ種別についてジョブスキップの優先順位が記憶され、
前記ジョブ制御手段は、前記ジョブスキップ機能については、それぞれのジョブ情報のジョブ種別に対応して前記ジョブスキップ対応表に記憶されている優先順位に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報の処理を行うか否かを判断することを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、基準となる未処理データ量を記憶した基準値記憶手段を備え、
前記ジョブ制御手段は、前記ジョブスキップ機能については、中断されたジョブのページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドのうち、未処理のものの総データ量と、前記基準となる未処理データ量との比較結果に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報に従った処理を行うか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータに、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、前記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って前記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、前記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置を制御させ、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置として機能させるための画像形成プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成プログラムを格納した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【請求項1】
ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、前記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って前記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、前記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置であって、
前記ジョブ情報に含まれるページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドを対応する前記画像形成用画像データに変換する描画コマンド変換手段と、
前記描画コマンド変換手段により処理される前記ジョブ情報に含まれる設定情報に従って前記画像形成手段の動作状況を調べ、前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えるかどうかを判断する判断手段と、
(a)前記判断手段が画像形成動作を行えると判断した場合には、前記描画コマンド変換手段の変換動作を継続して行わせ、描画コマンド変換手段が作成した画像形成用画像データを前記設定情報に従って前記画像形成手段で用紙に形成させる一方、(b)前記判断手段が画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、その中断時に中断したジョブ情報に続く次のジョブ情報がある場合には、前記次のジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に行わせ、その中断時に前記次のジョブ情報がない場合には、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる前記ジョブスキップ機能を有するジョブ制御手段とを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記ジョブ情報に従った画像形成動作を前記判断手段が行えないと判断した時点で、そのジョブ情報に従った画像形成動作により前記画像形成手段が1ページ以上の画像形成出力を行っている時には、前記次のジョブ情報の有無にかかわらず、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記次のジョブ情報の処理を前記描画コマンド変換手段に行わせた際、前記判断手段が前記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記次のジョブ情報について前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とした請求項1または2のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記ジョブ制御手段が備える前記ジョブスキップ機能は、前記判断手段が前記次のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記次のジョブ情報に従った前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、中断した前記次のジョブ情報に続く後続のジョブ情報がある場合には、その後続のジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に行わせ、前記判断手段が前記後続のジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断した場合には、前記後続のジョブ情報に従った前記描画コマンド変換手段の変換動作を中断させ、前記判断手段が前記中断したジョブ情報に従った動作を行えると判断するまで待った後、前記中断したジョブ情報に従った処理を前記描画コマンド変換手段に再開させる機能であることを特徴とする請求項3記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記判断手段が判断に用いる設定情報は、用紙のサイズおよび種別であり、前記判断手段は、前記設定情報で設定されたサイズかつ前記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが前記画像形成手段にある場合には前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えると判断し、前記設定情報で設定されたサイズかつ前記設定情報で設定された種別の用紙が収容された給紙トレイが前記画像形成手段にない場合には前記ジョブ情報に従った画像形成動作を行えないと判断することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記ジョブ情報のそれぞれの種別について前記ジョブ制御手段が行う前記ジョブスキップ機能を適用するか否かを定めたジョブスキップ対応表を記憶したジョブスキップ対応表記憶手段をさらに備え、
判断対象となる前記ジョブ情報の種別について、前記ジョブスキップ機能を適用する旨が前記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、前記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について前記ジョブスキップ機能を適用させる一方、
判断対象となる前記ジョブ情報の種別について、前記ジョブスキップ機能を適用しない旨が前記ジョブスキップ対応表記憶手段に登録されている場合には、前記ジョブ制御手段は、そのジョブ情報について前記ジョブスキップ機能を適用させないことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記ジョブスキップ対応表には、ユーザによる操作がされるジョブの種別については、前記ジョブ制御手段が前記ジョブスキップ機能を適用する旨が記憶され、それ以外のジョブの種別については、前記ジョブ制御手段が前記ジョブスキップ機能を適用しない旨が記憶されることを特徴とする請求項6記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記ジョブスキップ対応表には、さらに、それぞれのジョブ種別についてジョブスキップの優先順位が記憶され、
前記ジョブ制御手段は、前記ジョブスキップ機能については、それぞれのジョブ情報のジョブ種別に対応して前記ジョブスキップ対応表に記憶されている優先順位に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報の処理を行うか否かを判断することを特徴とする請求項6または7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
さらに、基準となる未処理データ量を記憶した基準値記憶手段を備え、
前記ジョブ制御手段は、前記ジョブスキップ機能については、中断されたジョブのページのページ情報に画像形成用情報として含まれる描画コマンドのうち、未処理のものの総データ量と、前記基準となる未処理データ量との比較結果に従って、中断されたジョブ情報の次のジョブ情報に従った処理を行うか否かを判断することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
【請求項10】
コンピュータに、ホスト装置から受信したジョブ情報に従って画像形成用画像データを作成し、前記ジョブ情報に含まれる画像形成用設定情報に従って前記画像形成用画像データが示す画像を用紙に形成する画像形成手段の制御を行うとともに、前記ジョブ情報に従った画像形成動作が継続できない場合には、そのジョブ情報に従った画像形成動作を一時中止して、次のジョブ情報に従った画像形成動作を開始するジョブスキップ機能を備えた画像形成装置を制御させ、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成装置として機能させるための画像形成プログラム。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成プログラムを格納した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−214773(P2010−214773A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64260(P2009−64260)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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