説明

画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体

【課題】本発明は、印刷に対する課金を利用性を向上させつつ適切に行う。
【解決手段】印刷装置10は、印刷装置本体部11のコントローラが、印刷対象データの全ページを印刷条件に基づいて印刷するのに必要な課金額を算出し、該印刷に対する支払金が課金装置20から入金されると、支払金が課金額以上であるか判別して、支払金が課金額未満であると、印刷可能ページ数及び該印刷に要する印刷所要時間を算出して、該印刷所要時間から求めた入金猶予時間内に追加支払金を入金する入金猶予印刷と該支払金の範囲内での支払金内印刷のいずれを行うかの問い合わせを操作部12に行い、操作部12で入金猶予印刷が選択されると、印刷部13で印刷を開始させるとともに、入金猶予時間が経過する前に追加支払金の入金があると、全ページの印刷を行い、支払金内印刷が選択されると、支払金に応じて印刷条件を変更して印刷部13で印刷させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体に関し、詳細には、印刷に対する課金を適切に行う画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
今日、コンビニエンス・ストア(コンビニ)、スーパーマーケット、プリントショップ、公共施設等のオープン・スペースに、有料の複写サービスやプリントサービス等を提供するデジタル複写装置、複合装置、プリンタ等の画像形成装置が設置され、このような画像形成装置は、サービスの提供に際して、まず、課金装置への料金(支払金)の投入を依頼して、投入料金に応じた枚数のコピー出力やプリント出力を顧客に提供するようになっている。この場合、課金装置の課金方法としては、画像形成装置に直接接続されて、現金が投入される場合に限らず、プリペイド・カードを利用したプリペイド・リーダが利用されている場合もあり、また、ネットワークを介して接続されている課金装置によって課金を行う場合もある。
【0003】
このような従来の印刷課金システムは、印刷条件(用紙サイズ、カラー/白黒、集約、両面等)に応じて、印刷1枚(印刷1ページ)当たりの課金額を設定して課金を行っている。
【0004】
そして、従来の画像形成装置は、印刷ページ数をカウントするのは、通常、例えば、印刷(画像形成)が完了して、排紙トレイに排出される用紙を排紙センサで検出して、該排紙センサが排紙トレイに排出される用紙または反転ユニットに送り込まれる用紙を検出すると、課金対象の印刷が1ページ完了したとして課金を行っている。
【0005】
したがって、1ページ分の課金が行われるタイミングでは、画像形成装置によっては、次のページの画像形成のための処理、例えば、電子写真方式の画像形成装置の場合、感光体へのトナー画像の形成が開始されている。
【0006】
そして、課金装置は、両面印刷時に正しく課金されないことがあるという問題があった。例えば、両面印刷時の表面印刷後に課金切れ(課金額に対する投入額が不足している状態)が発生した場合、新たな投入金を確認した後に、裏面の印刷を開始することで、投入金額に応じた印刷ページ数の印刷、すなわち課金を行うことができる。
【0007】
ところが、画像形成装置によっては、排紙センサが用紙を検出して課金切れであると判断したときには、既に裏面の印刷動作を始めてしまっているため、ユーザの入金を待つことなく裏面を印刷してしまって、結果として、ユーザが表面分の料金しか支払っていないにもかかわらず両面を印刷出力する結果となり、適切な課金管理を行うことができないという問題があった。
【0008】
この問題を解消する方法としては、例えば、両面印刷時に、裏面の課金切れが発生するか否かを逐次課金装置と通信して確認することもできるが、課金装置との通信には時間がかかり、印刷効率が低下するという問題がある。
【0009】
そして、従来、印刷動作を開始する前に、印刷データの印刷に必要な全ての課金額を計算し、その課金額以上の入金が行われた後に、印刷を開始する印刷装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0010】
すなわち、この従来技術は、図6に示すように、例えば、印刷装置が印刷装置本体部と操作部を備え、課金装置に接続されていて、外部機器からの印刷データに基づいて課金印刷を行う場合、印刷装置本体部は、外部機器から印刷設定と印刷データが送られてくると(S1001)、印刷装置本体部が、印刷条件と印刷データに基づいて、該印刷データの全てのページを指定の印刷条件で印刷を完了するのに必要な課金額を計算し(S1002)、算出した課金額を操作部のディスプレイに表示する(S1003)。
【0011】
ユーザが操作部のディスプレイの課金額を見て、課金装置20に支払金を入金すると、課金装置が、支払金額を印刷装置本体部に通知し(S1004)、印刷装置本体部が、入金された支払金額及び課金額の管理及び計算を行う(S1005)。従来では、課金額が表示されたときに、課金額以上の支払金を支払えないときには、この時点で、印刷をキャンセルする必要がある。
【0012】
印刷装置本体部は、支払金額が課金額以上であると、印刷を本当に実行するか否かを問い合わせるために、印刷確認表示を操作部のディスプレイに行い(S1006)、印刷指示があると(S1007)、課金装置に支払金額から課金額を引き落とす(S1008)。なお、印刷装置本体部は、支払金額が課金金額よりも少ないときには、印刷することができないため、印刷確認表示を行わないか、支払金額が不足している旨を操作部のディスプレイに表示する。
【0013】
印刷装置本体部は、支払金額から課金額の引き落としを行うと、印刷部を使用して、印刷を開始し(S1009)、1ページ目の印刷から順次最終ページの印刷まで実行して(S1010、S1011)、最終ページの印刷を行うと印刷を終了する(S1012)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、上記公報記載の従来技術にあっては、ユーザの入金の範囲内での印刷ができず、また、課金切れ発生時にユーザが即時に対応する必要があり、利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0015】
すなわち、ユーザが入金した金額の範囲内での印刷を実行できないという問題については、例えば、50ページの文書を印刷するのに、ユーザが40ページ分の金銭しか持ち合わせていない場合、上記公報記載の従来技術にあっては、ユーザが新たな入金を行なうことができないため、1枚も印刷することができず、印刷自体をキャンセルするしか方法がなく、利用性が悪いという問題があった。この問題は、複数部数の印刷を場合においても同様であって、例えば、20部の印刷を行なおうとしたときに、10部分の金銭しか持ち合わせていない場合、印刷部数の設定から印刷設定のやり直しを行わないっ限り、1部も印刷を行うことができず、利用性が悪いという問題があった。
【0016】
また、上記公報記載の従来技術の印刷動作開始前に課金切れが発生した場合の新たな入金を行なうまでの時間的猶予がユーザに与えられていないという問題については、課金切れが発生した際、ユーザが直ちに新たな入金を行なうか、印刷をキャンセルするかのいずれかを選択する必要があり、手元に十分な金銭を用意できていないユーザはキャンセルする以外に方法がなく、利用性を向上させる上で、改良の必要があった。
【0017】
そこで、本発明は、画像形成に必要な課金額に対する支払金額の不足に対して、利用性を向上させつつ適切に対応する画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明は、上記目的を達成するために、印刷対象データの全ページを印刷条件に基づいて画像を被記録媒体に印刷するのに必要な課金額を算出し、該印刷に対する支払金が入金されると、支払金が課金額以上であるか否かを判別して、支払金が課金額未満であると、前記印刷条件で該支払金の範囲内において印刷可能なページ数を算出するとともに、印刷可能なページ数を印刷するのに要する印刷所要時間を算出して、該印刷対象データの印刷を開始してから追加支払金が未入金であることを理由として該印刷を停止するのを待つ入金猶予時間を該印刷所要時間に基づいて算出して、該入金猶予時間内に追加支払金を入金する入金猶予印刷と該支払金の範囲内の支払金内印刷のいずれを行うかを問い合わせ、入金猶予印刷が選択されると、算出された前記印刷可能なページ数の印刷を開始するとともに、該入金猶予時間だけ追加支払金の入金に対して猶予を与えて、該入金猶予時間が経過する前に前記課金額を満たす追加支払金の入金があると、前記印刷対象データの全ページの印刷を継続して実施し、前記支払金内印刷が選択されると、前記支払金の範囲内で該印刷対象データの全ページまたは所定ページを印刷可能な印刷条件に変更して該印刷条件に基づいて該印刷対象データの全ページまたは所定ページの印刷を実施することを特徴としている。
【0019】
また、本発明は、ページの印刷完了から所定の待ち時間が経過すると、消費電力を削減する所定の省電力モードに移行する場合、前記入金猶予時間を、少なくとも前記待ち時間と前記追加支払金が入金されたことが通知されて該追加支払金が前記課金額を満たす追加支払金であるかを判別するまでに要する時間を、前記印刷所要時間から差し引いた時間として算出することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、画像形成に必要な課金額に対する支払金額の不足に対して、利用性を向上させつつ適切に対応することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施例を適用した画像形成システムのシステム構成図。
【図2】支払金額内で印刷条件を変更して印刷する場合の課金印刷制御処理を示す図。
【図3】支払金額内で印刷を先行して入金猶予時間内に追加入金があった場合の課金印刷制御処理を示す図。
【図4】支払金額内で印刷を先行して入金猶予時間内に追加入金がない場合の課金制御処理を示す図。
【図5】読み取り部で読み取った印刷データを支払金額内で印刷条件を変更して印刷する場合の課金印刷制御処理を示す図。
【図6】従来の課金印刷制御処理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施例を添付図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に述べる実施例は、本発明の好適な実施例であるので、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明によって不当に限定されるものではなく、また、本実施の形態で説明される構成の全てが本発明の必須の構成要件ではない。
【実施例1】
【0023】
図1〜図5は、本発明の画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体の一実施例を示す図であり、図1は、本発明の画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体の一実施例を適用した画像形成システム1のシステム構成図である。
【0024】
図1において、画像形成システム1は、印刷装置(画像形成装置)10に課金装置20が接続されており、印刷装置10を利用して課金装置20から印刷データを印刷装置10に送って印刷を要求する外部機器30が接続/切り離し可能に接続される。
【0025】
課金装置(入金手段)20は、現金またはプリペイド・カード等でのユーザによる支払金の入金を受け付け、入金された支払金を管理して、入金された支払金額を印刷装置10に通知するとともに、釣り銭がある場合には、ユーザに釣り銭を返却する。なお、課金装置20としては、減算型課金装置と加算型課金装置があり、本実施例では、課金装置20として、減算型課金装置を用いたものとして説明するが、減算型課金装置であってもよい。なお、減算型課金装置は、入金され金額の残額を計算するものであり、コインラックやICカード等を用いたものである。加算型課金装置は、ユーザ毎に印刷可能な枚数を計算するものであり、キーカードやキーカウンタ等を用いたものである。なお、
外部機器30は、パーソナルコンピュータ等であり、専用線等によって、接続及び切り離し可能に印刷装置10に接続される。すなわち、外部機器30は、印刷装置10に印刷させたい印刷対象データが選択されて、該印刷対象データの印刷先として印刷装置10が指定されて必要な印刷設定が行われると、搭載しているプリンタドライバによって印刷データを生成して印刷ジョブを印刷装置に送信する。すなわち、印刷装置10は、外部機器30が接続されて該外部機器30から印刷データと印刷条件を受け取る外部機器接続部(データ受け取り手段)を備えている。
【0026】
印刷装置10は、印刷装置本体部11と操作部12を備えており、印刷装置本体部11は、印刷部13、タイマ14及び読み取り部15等を備えている。
【0027】
操作部(選択手段、設定手段)12は、印刷装置10を操作するのに必要な各種キーを備えているとともに、ディスプレイ(例えば、液晶ディスプレイ)やLED(Light Emitting Diode)等のランプを備え手いる。操作部12は、操作キーからは、印刷装置10を利用したプリント処理、コピー処理等に必要な各種操作や後述するように課金印刷制御処理における各種操作が行われ、ディスプレイには、操作キーから入力された命令内容や印刷装置10からユーザに通知する各種情報、例えば、印刷可能枚数、課金額、入金猶予時間等を表示する。
【0028】
読み取り部(原稿読み取り手段)15は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor )等を利用したラインイメージセンサ等が用いられており、一般にADF(Auto Document Feeder)を備えている。ADFには、複数枚の原稿がセットされ、ADFは、セットされた原稿を1枚ずつ画像読み取り部15の原稿読み取り位置に送給する。画像読み取り部15は、ADFから搬送されてきた原稿を走査し、原稿の画像を所定の解像度で読み取って、印刷装置本体部11の図示しないコントローラに出力する。
【0029】
コントローラは、読み取り部15で読み取った原稿の画像データや外部機器30から送られてきた印刷データに必要な画像処理を施した後、印刷部13で印刷可能な描画データに変換して印刷部13に出力する。
【0030】
タイマ(計時手段)14は、印刷装置10における各種時間の設定と計時を行い、特に、後述する課金印刷制御処理における課金額に対して支払額が不足していてユーザが支払金を追加する場合の入金猶予時間の設定と該入金猶予時間の計時を行う。
【0031】
印刷部(印刷手段)13としては、例えば、電子写真方式で画像を用紙(被記録媒体)に印刷出力するプリンタエンジンが用いられており、印刷部13は、図示しないが、電子写真方式のプリンタエンジンの場合、例えば、感光体、光書き込み部、現像部、帯電部及びクリーニング部等を備えている。この場合、印刷部13は、描画データ及び制御信号により光書き込み部を動作させて感光体上に静電潜像を形成し、現像部によりトナーを感光体上に供給して現像してトナー画像を形成する。印刷部13は、給紙部から用紙を感光体と転写部との間に給紙して、感光体上のトナー画像を用紙に転写させ、トナー画像の転写された用紙を定着部に搬送して、定着部で加熱・加圧して用紙上のトナー画像を定着させることで、画像を形成して、排紙トレイ上に排出する。
【0032】
印刷部13は、印刷が完了して排紙トレイ上に排出される用紙や反転ユニットに送り込まれる用紙を検出する排紙センサを備えている。すなわち、印刷部13は、片面(表面)への印刷の完了した用紙を、その表裏面を反転させて感光体と現像部との間に搬送して裏面に印刷させる反転ユニットを備えており、排紙センサは、片面への印刷が完了して反転ユニットに送り込まれる用紙をも検出して、検出信号をコントローラに出力する。
【0033】
印刷装置10は、その印刷装置本体部11に、図示しないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)等を有するコントローラを備えており、ROM内には、課金を伴う印刷処理を行う印刷装置10としての基本プログラムや後述する本発明の課金印刷制御処理を行う課金印刷制御プログラム及び必要なシステムデータを記憶している。コントローラは、CPUが、ROM内のプログラムに基づいてRAMをワークメモリとして利用しつつ印刷装置10の各部を制御するとともに、課金装置20と通信して、課金を伴う印刷処理を実行するとともに、後述する本発明の課金印刷制御処理を実行する。コントローラは、課金額算出手段、判別手段、印刷可能ページ算出手段、印刷条件設定変更手段、入金猶予時間算出手段、問い合わせ手段及び制御手段として機能している。
【0034】
すなわち、印刷装置10は、ROM、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable Read Only Memory )、EPROM、フラッシュメモリ、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory )、CD−RW(Compact Disc Rewritable )、DVD(Digital Versatile Disk)、SD(Secure Digital)カード、MO(Magneto-Optical Disc)等のコンピュータが読み取り可能な記録媒体に記録されている本発明の課金印刷制御方法である画像形成制御方法を実行する画像形成制御プログラムを読み込んでROM等に導入することで、後述する課金を適切に行いつつ利用性を向上させた課金印刷制御を行う画像形成制御方法を実行する画像形成装置として構築されている。この画像形成制御プログラムは、アセンブラ、C、C++、C#、Java(登録商標)等のレガシープログラミング言語やオブジェクト指向ブログラミング言語等で記述されたコンピュータ実行可能なプログラムであり、上記記録媒体に格納して頒布することができる。
【0035】
次に、本実施例の作用について説明する。本実施例の画像形成システム1は、課金を適切に行いつつ利用性を向上させた課金印刷制御を行う。
【0036】
印刷システム1は、印刷装置10が、外部機器30からの印刷データまたは読み取り部15で読み取った画像データ(以下、印刷データと画像データを総称して印刷対象データという。)をコントローラで描画データに変換して、印刷部13で、該描画データに基づいて用紙に印刷出力するが、この印刷出力に対して印刷条件(紙サイズ、モノクロ印刷、カラー印刷等)に応じて予め設定された1ページ当たりの単位課金額と印刷ページ数から印刷対象データの全ページを印刷するのに必要な課金額を算出し、課金額が課金装置20から支払われた支払金を超えていると、ユーザにその旨を通知して、支払額の範囲内の課金額となるように印刷条件を変更して印刷する支払金内印刷を行うのか、不足金額(課金額から支払金を差し引いた金額)を追加支払金として支払って印刷する入金猶予印刷を行うのか等の選択を行わせて、選択に応じて印刷処理を実行するとともに、入金猶予印刷が選択されたときには、入金猶予時間を計算して該入金猶予時間内に課金額を満たす追加支払金が支払われると、当初の印刷条件で最終ページまで印刷する。
【0037】
まず、外部機器30から送られてくる印刷データ(印刷対象データ)を、入金された支払金の範囲内で印刷条件を変更して印刷する支払金内印刷を行う場合について、図2に基づいて説明する。
【0038】
この場合、ユーザは、外部機器30を印刷装置10、特に、印刷装置本体部11に接続し、外部機器30を操作して印刷させたいデータを選択して、該データの印刷に対する印刷条件をプリントドライバのユーザインターフェイス等を利用して設定入力する。外部機器30は、印刷対象のデータが指定されて必要な印刷設定が行われた後、スタートが指示操作されると、図2に示すように、印刷データを生成して印刷条件とともに印刷ジョブとして印刷装置本体部11に送信する(S101)。なお、ここでいう印刷条件とは、例えば、片面印刷と両面印刷のいずれであるか、紙サイズ(A4、B5等)、モノクロとカラーのいずれであるか及びページ数等をいう。
【0039】
印刷装置本体部11は、印刷データと印刷条件を受け取ると、そのコントローラにおいて、印刷条件と印刷データに基づいて、該印刷データの全てのページを指定の印刷条件で印刷を完了するのに必要な課金額を計算し(S102)、算出した課金額を操作部12に送って操作部12がディスプレイに表示する(S103)。
【0040】
また、印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の操作部12のディスプレイへの表示とともに、印刷を実行するか否かの確認と印刷を行う場合には、課金額に見合った支払金の課金装置20への支払いを促すメッセージをディスプレイに、該課金額を表示させる印刷確認表示を行う(ステップS104)。
【0041】
課金装置20は、ユーザによって支払金の入金が行われると、入金された支払金額を、印刷装置本体部11のコントローラに通知し(S105)、印刷装置本体部11のコントローラは、入金された支払金額及び課金額の管理及び計算を行う(S106)。なお、この支払金と課金額の計算については、課金装置20で行ってもよいし、印刷装置本体部11のコントローラが行ってもよいが、以下の説明では、コントローラが支払金額と課金額の管理及び計算を行うものとして説明する。
【0042】
そして、いま、コントローラは、支払金額が課金額未満であることを計算によって判別したものとする。
【0043】
ユーザが操作部12から印刷の実行を指示操作すると(S107)、コントローラは、入金額が課金額に対して不足している旨の入金不足を通知確認させる入金不足確認表示を操作部12のディスプレイに表示させる(S108)。
【0044】
この入金不足確認表示には、支払金額の範囲内で印刷条件を変更した支払金内印刷、印刷中止、支払金を追加して支払う入金猶予印刷の選択が可能である旨を同時に表示するとともに、入金猶予印刷を行う場合に、ユーザが追加支払金の入金を行なうまでの入金猶予時間を算出して表示する。ユーザは、この入金猶予時間の表示によって、いつまでに追加の支払金の入金を行なえばよいかを知ることができる。
【0045】
ユーザが、この表示を確認して、支払金内印刷の実行を操作部12で指示操作すると、この支払金内印刷の実行通知が操作部12から印刷装置本体部11のコントローラに通知される(S109)。
【0046】
印刷装置本体部11のコントローラは、支払金内印刷実行指示が操作部12からあると、印刷条件を、支払金額の範囲内で印刷処理が可能な印刷条件に設定変更を行い、変更後の該印刷条件で印刷対象データの全てのページの印刷を行うのに必要な課金額を算出して、該課金額分を支払金額から引き落とすように課金装置20に指示して、課金装置20が引き落としを行う(S111)。ここでいう印刷条件は、印刷部数、印刷ページ数、モノクロ印刷とカラー印刷、用紙サイズ等をいい、印刷条件の変更は、ユーザが操作部12の操作によって、課金額が支払額の範囲内になるように変更操作してもよいし、コントローラが支払額の範囲内に課金額が入るように自動変更してもよい。なお、印刷条件の変更においては、変更可能な印刷条件として、印刷の部単位や文書の章単位等で設定変更するようにしてもよい。
【0047】
印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の引き落としを行うと、印刷部13に印刷を開始させ(S112)、1ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させる(S113)。コントローラは、1ページ目のデータの印刷を完了すると、2ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させるという処理を順次行って、最終ページのデータの印刷を印刷部13に実行させると(S114)、印刷処理を終了する(S115)。なお、図2では、印刷対象データの最終ページまで印刷するように印刷条件を変更して印刷する場合が示されている。
【0048】
次に、支払金額が課金額に対して不足している場合に、入金猶予時間を設定して、ページ数のみを該支払金額の範囲内で印刷可能なページ数に設定して、その他の印刷条件を当初のままとして、支払金額の範囲内でのページ数の印刷を開始し、入金猶予時間内に不足している追加支払金の入金があると、最終ページまで印刷する入金猶予印刷を行う場合について、図3に基づいて説明する。なお、図3において、図2と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与し、その説明を簡略化する。
【0049】
図3において、印刷装置本体部13は、外部機器30から印刷条件と印刷データを含む印刷ジョブが送られてくると(S101)、課金額を算出し(S102)、操作部12のディスプレイに課金額の表示を行う(S103)。
【0050】
また、印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の操作部12のディスプレイへの表示とともに、印刷を実行するか否かの確認と印刷を行う場合には、課金額に見合った支払金の課金装置20への支払いを促すメッセージをディスプレイに表示させる印刷確認表示を行う(ステップS104)。
【0051】
課金装置20は、ユーザによって支払金の入金が行われると、入金された支払金額を、印刷装置本体部11のコントローラに通知し(S105)、印刷装置本体部11のコントローラは、入金された支払金額及び課金額の管理及び計算を行う(S106)。
【0052】
ユーザが操作部12から印刷の実行を指示操作すると(S107)、コントローラは、入金額が課金額に対して不足している旨の入金不足を通知確認させる入金不足確認表示を操作部12のディスプレイに表示させる(S108)。
【0053】
この入金不足確認表示には、支払金内印刷、印刷中止、入金猶予印刷の選択が可能である旨を同時に通知表示するとともに、入金猶予印刷を行う場合に、入金猶予時間を算出して表示する。
【0054】
ユーザが、この表示を確認して、入金猶予印刷の実行を操作部12で指示操作すると、この入金猶予印刷の実行通知が操作部12から印刷装置本体部11のコントローラに通知される(S201)。
【0055】
印刷装置本体部11のコントローラは、入金猶予印刷実行指示が操作部12からあると、印刷条件を変更することなく支払金額の範囲内で印刷可能なページ数を算出し、印刷条件のうち、印刷ページ数のみを該印刷可能ページ数に変更するとともに、印刷対象データの印刷を該印刷条件で該印刷可能ページ数だけ行うのに必要な課金額を算出して、該課金額分を引き落とすように課金装置20に指示して、課金装置20が引き落としを行う(S202)。
【0056】
そして、コントローラは、入金猶予時間の計算を行い(S203)、操作部12のディスプレイに表示するとともに、タイマ14による入金猶予時間の計時(計測)を開始させる(S204)。
【0057】
この入金猶予時間は、上記印刷条件の印刷ページ数(支払金額に応じた印刷可能ページ数)の印刷を行うのに要する印刷所要時間から補正時間を減算した時間である。すなわち、印刷部13は、1ページ分の印刷が完了してから次の1ページの印刷を開始するまでの時間間隔が予め設定されている待機時間経過すると、定着部の温度を定着可能な定着温度よりも低い待機温度等に制御する等の消費電力を削減する省電力モードに移行し、この省電力モードから復帰して次のページの印刷を開始する場合には、省電力モード状態から印刷可能状態まで復帰するのに定着部の温度を待機温度等から定着温度まで加熱する等のある程度長い復帰時間を必要とするため、印刷装置10の利用性が悪化する。
【0058】
そこで、コントローラは、まず、印刷ジョブで指定された当初の印刷条件及び印刷部13の印刷速度等の情報に基づいて処理ステップ202で引き落とした課金額に対応するページ数を印刷するのに要する印刷所要時間を算出する。次に、コントローラは、上記支払金額に応じた印刷可能ページ数の最終ページの印刷が完了してから印刷部13が省電力モードに移行するまでの待機時間と該最終ページの印刷完了からコントローラが課金装置20から追加支払金が入金されたことが通知されて課金額の再計算を行って課金管理を再開するまでに要する課金再処理所要時間等を考慮した補正時間を算出する。そして、コントローラは、印刷所要時間から補正時間を減算して、入金猶予時間を算出する。
【0059】
例えば、印刷速度が、A4サイズの用紙で、毎分30枚、課金単価が、A4サイズで1ページ当たり10円であるとして、ユーザが、A4サイズ300ページの印刷ジョブを外部機器30から送ってきて、課金装置20に支払金として、300円を入金して印刷実行を指示操作した場合、課金額は、300ページ×10円=3000円であるが、支払金額が300円分(=30ページ)であるため、支払金額分のページ数(30ページ)の印刷を先行して開始する。
【0060】
このとき、コントローラは、まず、支払金額分のページ数の印刷に要する印刷所要時間を、以下のように算出する。
【0061】
30枚÷毎分30枚=60秒
次に、支払金額の範囲内におけるページ数の最終ページの印刷が完了した後、印刷部13が省電力モードに移行する前に追加支払金の入金を確認して課金処理を再開し、印刷を継続させるための補正時間を算出する。
【0062】
この補正時間が、3秒であったとすると、コントローラは、以下のように入金猶予時間を算出する。
【0063】
60秒−3秒=57秒
コントローラは、この算出した入金猶予時間を、操作部12のディスプレイに表示させて、ユーザに通知する。
【0064】
印刷装置本体部11のコントローラは、タイマ14に上記入金猶予時間の計時を開始させると(S204)、上記同様に、印刷部13に印刷を開始させ(S112)、1ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させる(S113)。コントローラは、1ページ目のデータの印刷を完了すると、2ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させるという処理を順次行って、上記入金猶予時間が経過する前に、ユーザによって課金装置20に追加の支払金が入金されて入金された追加支払金額とともに入金通知が課金装置20からあると(S205)、入金された支払金額が残りのページ数を印刷するのに必要な課金額を満たしているか否かを判断して、満たしているときには、追加支払金額から必要な課金額を引き落として、釣り銭があるときには、課金装置20に返金処理を行わせ(S206)、操作部12のディスプレイに、印刷データの全ページを印刷するのに必要な追加支払金の入金を確認した旨を通知するための入金完了確認表示を行う(S207)。また、コントローラは、入金された追加支払金額が課金額に対して不足している場合には、追加支払金を引き落とした後、さらに不足分の追加支払金額と入金猶予時間の再計算を行い、タイマ計測処理を更新して、引き落とした追加支払額の範囲内におけるページ数の印刷を継続して、再度ユーザからの追加支払金の入金を待つ。
【0065】
コントローラは、課金額以上の追加支払金が入金されて、入金完了確認表示を行うと、タイマ14に入金猶予時間の計時を終了させ(S208)、印刷部13に印刷を継続させて、最終ページのデータの印刷を印刷部13に実行させると(S114)、印刷処理を終了する(S115)。
【0066】
そして、印刷装置10は、上記入金猶予印刷を開始して、入金猶予時間内に追加支払金の入金がない場合には、図4に示すように、課金印刷制御処理を行う。なお、図4において、図3と同様の処理ステップには、同一のステップナンバーを付与して、その説明を簡略化する。
【0067】
すなわち、印刷装置本体部13のコントローラは、図4に示すように、外部機器30から印刷条件と印刷データを含む印刷ジョブが送られてくると(S101)、課金額を算出し(S102)、操作部12のディスプレイに課金額の表示を行う(S103)。
【0068】
また、印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の操作部12のディスプレイへの表示とともに、印刷を実行するか否かの確認と印刷を行う場合には、課金額に見合った支払金の課金装置20への支払いを促すメッセージをディスプレイに表示させる印刷確認表示を行う(ステップS104)。
【0069】
課金装置20は、ユーザによって支払金の入金が行われると、入金された支払金額を、印刷装置本体部11のコントローラに通知し(S105)、印刷装置本体部11のコントローラは、入金された支払金額及び課金額の管理及び計算を行う(S106)。
【0070】
ユーザが操作部12から印刷の実行を指示操作すると(S107)、コントローラは、入金額が課金額に対して不足している旨の入金不足を通知確認させる入金不足確認表示を操作部12のディスプレイに表示させる(S108)。
【0071】
この入金不足確認表示には、支払金内印刷、印刷中止、入金猶予印刷の選択が可能である旨を同時に通知表示するとともに、入金猶予印刷を行う場合に、入金猶予時間を算出して表示する。
【0072】
ユーザが、この表示を確認して、入金猶予印刷の実行を操作部12で指示操作すると、この入金猶予印刷の実行通知が操作部12から印刷装置本体部11のコントローラに通知される(S201)。
【0073】
印刷装置本体部11のコントローラは、入金猶予印刷実行指示が操作部12からあると、印刷条件のうち、印刷ページ数のみを支払い金額に応じたページ数に変更する印刷条件の変更を行って、該印刷条件で印刷対象データの印刷を該印刷条件で該印刷ページ数行うのに必要な課金額を算出して、該課金額分を課金装置20に支払金額から引き落とす(S202)。
【0074】
そして、コントローラは、上記同様に入金猶予時間の計算を行い(S203)、操作部12のディスプレイに表示するとともに、タイマ14による入金猶予時間の計時を開始させる(S204)。
【0075】
コントローラは、この算出した入金猶予時間を、操作部12のディスプレイに表示させて、ユーザに通知する。
【0076】
印刷装置本体部11のコントローラは、タイマ14に上記入金猶予時間の計時を開始させると(S204)、上記同様に、印刷部13に印刷を開始させ(S112)、1ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させる(S113)。コントローラは、1ページ目のデータの印刷を完了すると、2ページ目のデータの印刷を印刷部13に実行させるという処理を順次行う。
【0077】
そして、タイマ14は、印刷部13での支払金額分の印刷可能ページ数の印刷が完了しても、ユーザによる課金装置20への支払金の入金がないまま、上記入金猶予時間を計時すると、入金猶予時間が経過したことを通知するためのタイマ経過通知を印刷装置本体部11のコントローラに行う。
【0078】
印刷装置本体部11のコントローラは、タイマ14からタイマ経過通知があると、操作部12のディスプレイに、支払金の不足によって印刷を中止(キャンセル)する旨の入金不足印刷キャンセル情報を表示させ(S302)、印刷部13による印刷を終了させる(S303)。
【0079】
このように、入金猶予時間を経過したために印刷をキャンセルすることで、ユーザが何らかの理由で、入金猶予時間内に戻ってこない等の場合にも、他のユーザが印刷システム1を使用することができ、利用性を向上させることができる。
【0080】
また、印刷システム1は、印刷がキャンセルされた後にユーザが戻ってきた場合に備えて、所定の猶予時間を設けて、印刷を速やかに再開する状態に印刷装置10を維持させていてもよい。例えば、操作部12から、キャンセルされた印刷を選択して、印刷を再開できるような表示を行なう等の方策を講じてもよく、この場合、印刷済みのページ数、残りページの印刷に必要な課金額等を不揮発性メモリ等に保持する。また、この場合、印刷対象データのセキュリティ性を向上させるために、印刷ジョブの入力に際して、予めパスワードの入力を行わせて、パスワードによって印刷データの印刷開始要求等を可能にしてもよい。さらに、印刷装置10は、入金猶予時間内に追加支払金の入金が間に合わずに、印刷をキャンセルする場合、部単位や文書の章単位等のような意味のあるまとまり単位で印刷を実行するように、自動的あるいは手動で印刷条件を変更するようにしてもよい。
【0081】
なお、上記説明においては、印刷対象データと印刷条件を含む印刷ジョブが外部機器30から送られてきて、該印刷ジョブに対して課金印刷を行う課金印刷制御処理について説明したが、読み取り部15で紙原稿を読み取った画像データを印刷対象データとして、操作部12から設定される印刷条件で印刷する場合にも、同様に適用することができる。
【0082】
この場合、図5に示すように、読み取り部15で原稿の画像を読み取る前に、操作部12によって印刷条件と印刷ページ数を入力する必要がある。なお、図5は、支払金額が課金額を下回っていて、支払金内印刷が指示された場合を示しているが、入金猶予印刷が指示された場合にも、上記同様に適用することができる。
【0083】
すなわち、ユーザは、紙原稿を読み取り部15で読み取らせて課金印刷を行う場合、まず、操作部12を操作して印刷条件と印刷ページ数の設定入力を行う。操作部12は、印刷条件が入力されると、入力された印刷条件を印刷装置本体部11のコントローラに送り(S401)、コントローラは、印刷条件が送られてくると、該印刷条件を調べて印刷ページ数の情報がないときには、課金額を計算するために、印刷ページ数確認表示を操作部12のディスプレイに行う(S402)。ユーザが印刷ページ数を操作部12で入力操作すると、操作部12が印刷ページ数を印刷装置本体部11に通知する(S403)。
【0084】
印刷装置本体部11のコントローラは、印刷条件と印刷ページ数が決定すると、上記同様に課金額を計算し(S102)、操作部12のディスプレイに課金額の表示を行う(S103)。
【0085】
また、印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の操作部12のディスプレイへの表示とともに、印刷を実行するか否かの確認と印刷を行う場合には、課金額に見合った支払金の課金装置20への支払いを促すメッセージをディスプレイに表示させる印刷確認表示を行う(ステップS104)。
【0086】
課金装置20は、ユーザによって支払金の入金が行われると、入金された支払金額を、印刷装置本体部11に通知し(S105)、印刷装置本体部11のコントローラは、入金された支払金額及び課金額の管理及び計算を行う(S106)。
【0087】
ユーザが操作部12から印刷の実行を指示操作すると(S107)、コントローラは、入金額が課金額に対して不足している旨の入金不足を通知確認させる入金不足確認表示を操作部12のディスプレイに表示させる(S108)。
【0088】
ユーザが、この表示を確認して、支払金内印刷の実行を操作部12で指示操作すると、この支払金内印刷の実行通知が操作部12から印刷装置本体部11のコントローラに通知される(S109)。
【0089】
印刷装置本体部11のコントローラは、支払金内印刷実行指示が操作部12からあると、支払金額の範囲内で印刷処理が可能な印刷条件に印刷条件の設定変更を行い、変更後の該印刷条件で印刷対象データの全てのページの印刷を行うのに必要な課金額を算出して、該課金額分を支払金額から引き落とすように課金装置20に指示して、課金装置20が引き落としを行う(S111)。
【0090】
印刷装置本体部11のコントローラは、課金額の引き落としを行うと、読み取り部15に1ページ目の原稿の読み取りを行わせ(S404)、1ページ目の印刷対象データが印刷装置本体部11に送られてくると、印刷部13に印刷を開始させ(S406)、該印刷対象データに基づいて1ページ目の印刷を行わせる(S407)。コントローラは、1ページ目の印刷を完了すると、2ページ目の原稿の読み取り部15による読み取り、読み取り部15からの読み取った原稿の印刷装置本体部11への出力及び2ページ目の印刷対象データに基づく印刷部13での印刷を順次行わせて、最終ページの読み取る部15による読み取り(S408)と読み取った最終ページの印刷対象データの印刷装置本体部11への出力(S409)及び最終ページの印刷データに基づく印刷部13での印刷(S410)を行わせると、印刷処理を終了する(S411)。
【0091】
また、上記説明においては、印刷開始前に、全てのページの印刷に必要な課金額を算出しているが、課金額の算出は、少なくとも印刷しようとしているページの課金額が、該ページの印刷動作開始前に完了していれば、必ずしも全ての課金額が計算されている必要はない。例えば、50ページの文書の印刷に際して、10ページ毎に課金額を計算して処理を行なうようにしてもよい。
【0092】
このように、本実施例の印刷システム1は、印刷装置10が、印刷部13で印刷対象データの全ページを印刷条件に基づいて画像を用紙(被記録媒体)に印刷するのに必要な課金額を印刷装置本体部11のコントローラで算出し、該印刷に対する支払金が課金装置20から入金されると、コントローラが、支払金が課金額以上であるか否かを判別して、支払金が課金額未満であると、前記印刷条件で該支払金の範囲内において印刷可能なページ数を算出するとともに、印刷可能なページ数を印刷するのに要する印刷所要時間を算出して、該印刷対象データの印刷を開始してから追加支払金が未入金であることを理由として該印刷を停止するのを待つ入金猶予時間を該印刷所要時間に基づいて算出して、入金猶予印刷と支払金内印刷のいずれを行うかの問い合わせメッセージを操作部12のディスプレイに表示する。コントローラは、操作部12で入金猶予印刷が選択されると、算出した前記印刷可能なページ数の印刷を印刷部13に開始させるとともに、該入金猶予時間だけ追加支払金の入金に対して猶予を与えて、該入金猶予時間が経過する前に追加支払金の入金があったことが課金装置20から通知されて該追加支払金が前記課金額を満たしていると、前記印刷対象データの全ページの印刷を印刷部13に継続して実施させ、前記支払金内印刷が操作部12で選択されると、前記支払金の範囲内で該印刷対象データの全ページまたは所定ページを印刷可能に設定変更した印刷条件に基づいて該印刷対象データの全ページまたは所定ページの印刷を印刷部13に実施させる。
【0093】
したがって、課金額に対して支払金が不足している場合に、ユーザの選択に応じて当初の印刷設定で支払金の範囲で印刷可能なページ数だけ印刷を開始して、前もって通知したい入金猶予時間内に追加支払金を入金して最終ページまで印刷する入金猶予印刷と、該支払金の範囲で印刷条件を変更して印刷する支払金内印刷をユーザが選択することができ、該選択に応じて、入金猶予時間をユーザに与えつつ速やかに印刷することができるとともに、支払金に対して正確なページ数の印刷を行って、利用性を向上させつつ課金印刷の適正化を向上させることができる。
【0094】
すなわち、印刷装置10及び課金装置20が設置されている場所は主にコンビニやプリントショップ等であり、今日、このような場所には、ATM(Automatic Teller Machine)などが普及しているため、数分の余裕があれば必要な支払金を用意することが可能である。また、プリペイド式の課金装置20であっても、印刷装置10のすぐ近くでプリペイド・カードを販売していることが多く、既に入金された課金額の範囲内におけるページ数の印刷を先行して実行し、先行して実行している印刷が終わるまでに、新たな入金を受け付けられるようにして、課金切れに対してユーザがより柔軟な対応をとることができ、利用性を向上させることができる。
【0095】
また、本実施例の印刷システム1は、印刷装置10の印刷部13が、ページの印刷完了から所定の待ち時間が経過すると、消費電力を削減する所定の省電力モードに移行する場合、印刷装置本体部11のコントローラが、入金猶予時間を、少なくとも該待ち時間と追加支払金が入金されたことが課金装置20から通知されて該追加支払金が課金額を満たす追加支払金であるかを判別するまでに要する時間を、前記印刷所要時間から差し引いた時間として算出している。
【0096】
したがって、入金猶予時間を印刷部13が省電力モードに入ってしまわない時間の範囲で設定することができ、支払金の範囲における最終ページの印刷が完了した後に、追加支払金を入金した場合であっても、速やかに残りのページの印刷を再開して、利用性を向上させることができる。
【0097】
さらに、本実施例の印刷システム1は、印刷装置10が、原稿の画像を読み取って印刷対象データを出力する読み取り部(原稿読み取り手段)15と該原稿の印刷対象データを印刷する際のページ数を含む印刷条件が設定される操作部(設定手段)12、及び、外部機器30が接続されて該外部機器30から印刷対象データと印刷条件を受け取る外部機器接続部(データ受け取り手段)のうち少なくともいずれか一方を備えており、読み取り部15または該外部機器接続部の取得した印刷対象データを、操作部12または外部機器接続部の取得した印刷条件に基づいて印刷部13で印刷している。
【0098】
したがって、コンピュータ等の外部機器30からの印刷対象データと読み取り部15で読み取った原稿の印刷対象データのいずれに対しても、利用性を向上させつつ、課金印刷をより一層適切な状態で運用することができる。
【0099】
以上、本発明者によってなされた発明を好適な実施例に基づき具体的に説明したが、本発明は上記実施例で説明したものに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【産業上の利用可能性】
【0100】
本発明は、課金して印刷するプリンタ装置、複写装置、複合装置等の画像形成装置、画像形成制御方法、画像形成制御プログラム及び記録媒体に利用することができる。
【符号の説明】
【0101】
1 印刷システム
10 印刷装置
11 印刷装置本体部
12 操作部
13 印刷部
14 タイマ
15 読み取り部
20 課金装置
30 外部機器
【先行技術文献】
【特許文献】
【0102】
【特許文献1】特開2006−312270号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象データと印刷条件に基づいて画像を被記録媒体に印刷する印刷手段と、
前記印刷条件で前記印刷対象データの全ページを印刷するのに必要な課金額を算出する課金額算出手段と
前記印刷手段による印刷に対する支払金の入金を管理する入金手段と、
前記支払金が前記課金額以上であるか否かを判別する判別手段と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別手段が判別すると、前記印刷条件で該支払金の範囲内において印刷可能なページ数を算出する印刷可能ページ数算出手段と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別手段が判別すると、前記印刷条件を該支払金の範囲内で該印刷対象データの全ページまたは所定ページを印刷可能な印刷条件に設定変更する印刷条件設定変更手段と、
前記印刷可能ページ数算出手段の算出した印刷可能なページ数を前記印刷手段で印刷するのに要する印刷所要時間を算出して、該印刷手段による該印刷対象データの印刷を開始してから前記入金手段に追加支払金が未入金であることから該印刷を停止するのを待つ入金猶予時間を該印刷所要時間に基づいて算出する入金猶予時間算出手段と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別手段が判別すると、前記入金猶予時間を通知するとともに、該入金猶予時間内に追加支払金を入金する入金猶予印刷と該支払金の範囲内の支払金内印刷のいずれを行うかを問い合わせる問い合わせ手段と、
少なくとも前記入金猶予印刷と前記支払金内印刷のいずれかを選択する選択手段と、
時間の経過を計時する計時手段と、
前記選択手段で前記入金猶予印刷が選択されると、前記印刷手段に前記印刷可能ページ数算出手段の算出した印刷可能なページ数の印刷を開始させるとともに、前記計時手段に前記入金猶予時間の計時を開始させて、該入金猶予時間が経過する前に前記課金額を満たす追加支払金の入金があると、前記印刷対象データの全ページの印刷を前記印刷手段に継続して実施させ、該選択手段で前記支払金内印刷が選択されると、前記印刷条件設定変更手段の設定変更した印刷条件に基づいて該印刷対象データの全ページまたは所定ページの印刷を前記印刷手段に実施させる制御手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷手段は、
ページの印刷完了から所定の待ち時間が経過すると、消費電力を削減する所定の省電力モードに移行し、
前記入金猶予時間算出手段は、
前記入金猶予時間を、少なくとも前記待ち時間と前記追加支払金が入金されたことが該入金手段から通知されて該追加支払金が前記課金額を満たす追加支払金であるかを判別するまでに要する時間を、前記印刷所要時間から差し引いた時間として算出することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置は、
原稿の画像を読み取って前記印刷対象データを出力する原稿読み取り手段と該原稿の印刷対象データを印刷する際のページ数を含む印刷条件が設定される設定手段、及び、外部機器が接続されて該外部機器から印刷対象データと印刷条件を受け取るデータ受け取り手段のうち少なくともいずれか一方を備えており、該原稿読み取り手段または該データ受け取り手段の取得した該印刷対象データを、該設定手段または該データ受け取り手段の取得した該印刷条件に基づいて前記印刷手段で印刷することを特徴とする請求項1または請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
印刷対象データと印刷条件に基づいて画像を被記録媒体に印刷する印刷処理ステップと、
前記印刷条件で前記印刷対象データの全ページを印刷するのに必要な課金額を算出する課金額算出処理ステップと
前記印刷処理ステップでの印刷に対する支払金の入金を管理する入金処理ステップと、
前記支払金が前記課金額以上であるか否かを判別する判別処理ステップと、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理ステップで判別されると、前記印刷条件で該支払金の範囲内において印刷可能なページ数を算出する印刷可能ページ数算出処理ステップと、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理ステップで判別されると、前記印刷条件を該支払金の範囲内で該印刷対象データの全ページまたは所定ページを印刷可能な印刷条件に設定変更する印刷条件設定変更処理ステップと、
前記印刷可能ページ数算出処理ステップで算出された印刷可能なページ数を前記印刷処理ステップで印刷するのに要する印刷所要時間を算出して、該印刷処理ステップで該印刷対象データの印刷を開始してから前記入金処理ステップで追加支払金が未入金であることから該印刷を停止するのを待つ入金猶予時間を該印刷所要時間に基づいて算出する入金猶予時間算出処理ステップと、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理ステップで判別されると、前記入金猶予時間を通知するとともに、該入金猶予時間内に追加支払金を入金する入金猶予印刷と該支払金の範囲内の支払金内印刷のいずれを行うかを問い合わせる問い合わせ処理ステップと、
少なくとも前記入金猶予印刷と前記支払金内印刷のいずれかを選択する選択処理ステップと、
時間の経過を計時する計時処理ステップと、
前記選択処理ステップで前記入金猶予印刷が選択されると、前記印刷処理ステップに前記印刷可能ページ数算出処理ステップで算出された印刷可能なページ数の印刷を開始させるとともに、前記計時処理ステップに前記入金猶予時間の計時を開始させて、該入金猶予時間が経過する前に前記課金額を満たす追加支払金の入金があると、前記印刷対象データの全ページの印刷を前記印刷処理ステップで継続して実施させ、該選択処理ステップで前記支払金内印刷が選択されると、前記印刷条件設定変更処理ステップで設定変更された印刷条件に基づいて該印刷対象データの全ページまたは所定ページの印刷を前記印刷処理ステップに実施させる制御処理ステップと、
を有していることを特徴とする画像形成制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
印刷対象データと印刷条件に基づいて画像を被記録媒体に印刷する印刷処理と、
前記印刷条件で前記印刷対象データの全ページを印刷するのに必要な課金額を算出する課金額算出処理と
前記印刷処理での印刷に対する支払金の入金を管理する入金処理と、
前記支払金が前記課金額以上であるか否かを判別する判別処理と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理で判別されると、前記印刷条件で該支払金の範囲内において印刷可能なページ数を算出する印刷可能ページ数算出処理と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理で判別されると、前記印刷条件を該支払金の範囲内で該印刷対象データの全ページまたは所定ページを印刷可能な印刷条件に設定変更する印刷条件設定変更処理と、
前記印刷可能ページ数算出処理で算出された印刷可能なページ数を前記印刷処理で印刷するのに要する印刷所要時間を算出して、該印刷処理で該印刷対象データの印刷を開始してから前記入金処理で追加支払金が未入金であることから該印刷を停止するのを待つ入金猶予時間を該印刷所要時間に基づいて算出する入金猶予時間算出処理と、
前記支払金が前記課金額未満であると前記判別処理で判別されると、前記入金猶予時間を通知するとともに、該入金猶予時間内に追加支払金を入金する入金猶予印刷と該支払金の範囲内の支払金内印刷のいずれを行うかを問い合わせる問い合わせ処理と、
少なくとも前記入金猶予印刷と前記支払金内印刷のいずれかを選択する選択処理と、
時間の経過を計時する計時処理と、
前記選択処理で前記入金猶予印刷が選択されると、前記印刷処理に前記印刷可能ページ数算出処理で算出された印刷可能なページ数の印刷を開始させるとともに、前記計時処理に前記入金猶予時間の計時を開始させて、該入金猶予時間が経過する前に前記課金額を満たす追加支払金の入金があると、前記印刷対象データの全ページの印刷を前記印刷処理で継続して実施させ、該選択処理で前記支払金内印刷が選択されると、前記印刷条件設定変更処理で設定変更された印刷条件に基づいて該印刷対象データの全ページまたは所定ページの印刷を前記印刷処理に実施させる制御処理と、
を実行させることを特徴とする画像形成制御プログラム。
【請求項6】
請求項5記載の画像形成制御プログラムを記録したことを特徴とするコンピュータが読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−81620(P2012−81620A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−228674(P2010−228674)
【出願日】平成22年10月8日(2010.10.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】