説明

画像形成装置、画像形成方法、およびプログラム

【課題】印刷時の電力コストを削減し、電力料金の安い時間帯に印刷出力が未完となるリスクを減らすと共に、出力が完了しなくても印刷コストが最も安くなるように印刷処理の順番を制御する。
【解決手段】FAX1、PC3などの外部装置から印刷ジョブが入力されると、画像蓄積装置8に蓄積する。CPU5は、蓄積したジョブと、既に蓄積されているジョブを低コスト印刷モードで印刷するときの処理時間を算出し、ジョブの処理時間と、夜間料金終了までの時間を比較し、夜間料金終了時刻まで余裕があるか否かを判定する。夜間終了時刻まで余裕がないときは、蓄積したジョブを低コスト印刷モードで出力する。夜間料金終了時刻まで余裕があるときは、ジョブを蓄積して待機する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷時の電力コストを削減する画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、画像形成装置においてトナー画像を定着する方式としてAC電力により発熱するハロゲンヒータを内蔵したヒートローラーによる熱定着装置が効率的にも有効な手段として一般的に採用されている。複合機においては、画像を転写紙に印刷する際に、上記熱定着装置においてたとえば定着温度が180℃の高温でトナーを転写紙上に定着しているが、この高温の熱エネルギーを発生させるために大量の電力を必要とし、電力コストがかかっていた。そこで、主に熱定着装置が消費する電力コストを抑えるために、たとえば上記高温でトナーを定着せずに、これよりも低い定着温度で、かつ転写紙の搬送速度を遅くして時間をかけてトナーを定着させることで、電力コストを抑制する技術がある。また、電力コストが最も安くなる印刷ジョブの実行タイミングを夜間料金の時間帯に設定する技術も知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記に示されるような特許文献1の技術にあっては、夜間料金が終了する時間帯に、新たな印刷ジョブが発生すると、電力料金が安い時間帯に印刷すべきジョブの出力が完了しないという問題点があった。
【0004】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、印刷時の電力コストを削減し、電力料金の安い時間帯に印刷出力が未完となるリスクを減らすと共に、印刷出力が完了しなくても印刷コストが最も安くなるように印刷処理の順番を制御する画像形成装置、画像形成方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、印刷対象の印刷ジョブを蓄積する印刷ジョブ蓄積手段と、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された印刷ジョブを出力する際に、通常印刷モードと、前記通常印刷モードよりも低速度、低消費電力の低コスト印刷モードと、の何れかの印刷モードに切り替える制御を行う印刷制御手段と、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された全ての印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力する処理時間を推測する印刷時間推測手段と、夜間料金の終了時刻と現在時刻との時間差である、夜間料金の終了までの時間を算出する時間管理手段と、前記時間管理手段により算出された夜間料金の終了までの時間と前記低コスト印刷モードでの処理時間を比較し、その差が所定の時間未満であるか否かを判定する判定手段と、を備え、前記印刷制御手段は、前記判定手段による判定の結果、前記所定の時間未満であると判定されたとき、前記夜間料金の終了時刻までに前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された全ての印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力し、他方、前記所定の時間未満でないと判定されたとき、前記印刷ジョブを前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積して待機することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ジョブ量と夜間料金終了までの残り時間から、通常の印刷と低温度・低速での印刷(低温度・低速でトナーを定着させることにより定着ローラの加熱温度を下げることができる)を切り替え、フルカラー印刷など電力コストの高いジョブを優先して夜間料金中に出力させているので、印刷時のコストが低下し、かつ電力料金が安い夜間にジョブが完了できないというリスクが低減され、さらに電力料金が安い夜間にジョブが完了しなくても低コストで出力できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】図1は、この実施の形態にかかる画像形成装置のシステム構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、CPUで実施される制御部の機能構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、第1の実施の形態にかかる夜間料金時の処理動作を示すフローチャートである。
【図4】図4は、通常印刷モードと低コスト印刷モードを切り替える時間帯を示す説明図である。
【図5】図5は、図3のステップS5の詳細な処理動作を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第2の実施の形態にかかる印刷モード切り替えの処理動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、夜間料金終了時刻直前に、蓄積した印刷ジョブをまとめて出力する際、印刷ジョブの順序を入れ替えない場合を示す説明図である。
【図8】図8は、夜間料金の終了時刻直前に、蓄積した印刷ジョブをまとめて出力する際、印刷ジョブの順序を入れ替える場合を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態について図面により詳細に説明する。本発明は、夜間の待機状態でドキュメントを印刷する命令を受け、低温度、低速度の低コスト印刷モードで出力するとき、夜間の電力コストが安い時間帯が終了するまでに、印刷出力が完了するか否かを判定するものである。
【0009】
(第1の実施の形態)
図1は、この実施の形態にかかる画像形成装置(以下、MFP(複合機:Multi Function Printer)という)のシステム構成を示すブロック図である。MFPは、装置外にあるFAX(ファクシミリ装置)1と、電話回線及び回線I/F装置2を介して、画像データの授受を行うことができる。さらに、MFPの装置外にあるPC(パーソナルコンピュータ)3と、ネットワーク及び外部I/F装置4を介して、各種制御や画像データの入出力を行うことができる。
【0010】
CPU5は、MFPの全体を司るマイクロプロセッサであり、通常印刷モードと低コスト印刷(低速印刷)モードの切り替え、印刷ジョブの処理時間算出、印刷ジョブの順番決定、夜間の低電力時間帯の把握、現在の時刻の把握などの管理を行う。
【0011】
バス制御装置6は、MFP内で必要な画像データや制御コマンド等、各種データのやり取りを行う。画像編集装置7は、画像蓄積装置8に蓄積された画像データに対して、濃度調整、シャープソフト調整、集約、指定色変換などの処理を行う。画像蓄積装置8は、デジタル画像データ、及びデジタル画像データの付帯情報を蓄積するための記憶装置である。メモリ9は、CPU5がMFPの制御を行う際に、プログラムや中間処理データを一時的に記憶するためなどに使用される揮発性メモリである。
【0012】
画像処理装置10は、CPU5から送られてくるデジタル画像データを、プロッタ装置12に合わせた最適な画像に変換する装置である。プロッタI/F装置11は、画像処理装置10から送られてくるCMYKのデジタル画像データを受け取り、プロッタ装置12の専用I/Fに出力する。
【0013】
プロッタ装置12は、CMYK(シアン、マゼンタ、イエロー、ブラック)のデジタル画像データを受け取ると、レーザービームによる光書込み、電子写真プロセスにしたがって配置・構成された各ユニット、給紙搬送部、定着部、などにより、転写紙に画像を形成する。操作表示装置13は、MFPとユーザーのインターフェースを行う部分で、LCD(液晶表示装置)とキースイッチなどを有し、装置の各種状態や操作方法をLCDに表示し、ユーザーからのキースイッチの入力を検知する。S.B.14は、South Bridgeと呼ばれるバスのブリッジ機能を汎用回路化したものである。ROM15は、CPU5がMFPの制御を行う際のプログラムが格納されるメモリである。
【0014】
図2は、CPU5で実施される制御部の機能構成を示すブロック図である。制御部101は、判定部102、印刷ジョブ(ドキュメント)の印刷完了に要する時間を推測する印刷時間推測部103、現在の時刻、電力料金が切り替わる時刻などを管理する時間管理部104、通常印刷モードと低コスト(低消費電力)印刷モードとを切り替える印刷制御部105、蓄積されたドキュメント毎の印刷に必要な消費電力量を推測する消費電力推測部106を備える。
【0015】
また、印刷制御部105は、上記印刷モードの切り替えを行うとともに、印刷ジョブの処理順序の入れ替え制御を実行する。印刷データ入力部107は、たとえばFAX1,PC3などから印刷対象の印刷ジョブを受け入れる。印刷ジョブ蓄積部108は、画像蓄積装置8で実施され、印刷データ入力部107で入力された印刷ジョブをメモリ機能により蓄積する。時間設定部109は、操作表示装置13に設けられ、電力の夜間料金の終了時間の設定、ユーザーの始業・終業時間の設定などの設定機能を有する。画像形成装部110は、プロッタ装置12で実現され、AC電力により発熱するハロゲンヒータを内蔵したヒートローラーを搭載した熱定着装置を有し、電子写真方式で形成された印刷ジョブの画像を出力する。
【0016】
図3は、第1の実施の形態にかかる夜間料金時の処理動作を示すフローチャートである。この処理動作は、制御部101により実行される。
【0017】
図3において、まず、印刷データ入力部107を介してFAX1、PC3などの外部装置から印刷ジョブ(印刷ドキュメント)が入力されると(ステップS1)、入力された印刷ジョブを画像蓄積装置8(印刷ジョブ蓄積部108)に蓄積する(ステップS2)。次に、印刷時間推測部103は、ステップS2で蓄積した印刷ジョブと、既に蓄積されている印刷ジョブを低コスト印刷モードで印刷するときの処理時間を、印刷ジョブの画像データ量を基に算出する(ステップS3)。
【0018】
時間管理部104は、MFP内部の時計から現在時刻を、例えば操作表示部13に設定されている夜間料金の終了時刻を取得する。そして、時間管理部104は、現在時刻から夜間料金の終了時刻の差分である夜間料金終了までの時間を算出する。さらに判定部102は、印刷時間推測部103で算出した印刷ジョブの処理時間と、夜間料金の終了までの時間を比較し、夜間料金の終了時刻まで余裕があるか否かを判断する(ステップS4)。
【0019】
上記判定部102による判断の結果、夜間料金の終了時刻まで余裕がないとき、つまり、予め設定した時間未満のときは(ステップS4で判断YES)、印刷制御部105は、蓄積した印刷ジョブを低コスト印刷(低消費電力)モードで出力するステップS5)。このように夜間料金のうちに出力することで、コスト(消費電力)を抑えて印刷ジョブを実行する。
【0020】
一方、上記判定部102による判断の結果、夜間料金の終了時刻まで余裕があるとき、つまり、予め設定した時間以上のときは(ステップS4で判断No)、印刷ジョブを蓄積して待機する。そして、判定部102は、次の印刷ジョブが入力されるか否かを判断する(ステップS6)。新たな印刷ジョブが入力される場合は(ステップS6で判断YES)、一度印刷ジョブを画像蓄積部8に蓄積し(ステップS2)、新たに蓄積した印刷ジョブと既に蓄積されている印刷ジョブの低コスト印刷モードでの処理時間を算出し(ステップS3)、再び印刷するか否かを判断する(ステップS6)。
【0021】
新たな印刷ジョブが入力されない場合は(ステップS6で判断No)、一度待機する(ステップS7)。そして、一定時間が経過した後に、印刷時間推測部103は、蓄積された全印刷ジョブの低コスト印刷モードでの処理時間を算出し(ステップS3)、判定部102は、再び印刷するか否かを判断する(ステップS6)。
【0022】
上記処理により、印刷ジョブの印刷開始条件を定期的に確認することで、電力料金が低い夜間料金の時間帯に低コスト印刷(低消費電力)モードで印刷ジョブを実行し、ヒートローラーの加熱も一度に行えるため、電力コストを抑えることが可能となる。
【0023】
図4は、通常印刷モードと低コスト印刷モードを切り替える時間帯を示す説明図である。この図では、時間帯を24時間で表している。図4の[1]で示す時間帯は、23時から7時までの夜間料金が適用される時間帯で、電力コストが昼間の時間帯よりも安くなる時間帯である。図4の[2]で示す時間帯は、オフィスでのユーザーが少なくなり、MFPが待機状態になりやすい21時から、夜間料金が始まる23時までの時間である。この時間の長さも操作表示装置13の時間設定部109によりユーザーが設定できる。
【0024】
また、図4の[3]で示す時間帯は、夜間料金が安くなる時間が終了する7時から、オフィスでの仕事が始まる9時までの時間であり、MFPが待機状態であることが多い時間帯である。この仕事が始まる時間は操作表示装置13の時間設定部109によりユーザーが設定できる。
【0025】
[1]の時間帯では、図3に示す夜間料金時の処理フローチャートが適用される。FAX1などからジョブ印刷命令があってもすぐに実行せず、まずウォームアップと低コスト印刷モードで出力した場合の処理時間を算出し、7時までに作業が終わりそうであるならば印刷ジョブを保存し、待機状態を維持する。これはウォームアップによる電力コストを抑えるためである。印刷ジョブが溜まり、処理時間と7時までの残り時間が近づいたときに初めてウォームアップし、低コスト印刷モードで時間をかけて出力する。
【0026】
[2]の時間帯に印刷ジョブ印刷命令が発行され、かつMFPが待機状態である場合は、その場で出力せず、印刷ジョブを保存し、[1]で示す時間帯の状態まで待機する。ウォームアップの回数を減らし、かつ電力料金の安い時間帯に出力することでコストを大幅に下げることができる。
【0027】
[3]の時間帯で、MFPが待機状態で印刷ジョブの印刷命令が発行された場合は、その場で出力せず、印刷ジョブを保存し待機する。そして、9時にユーザーがMFPを利用するときにウォームアップしてまとめて出力する。これにより余計なウォームアップの回数を減らし、電力コストを抑えることができる。
【0028】
[2]、[3]の時間帯に共通することは、MFPが待機状態であるときは、周囲にMFPのユーザーが少ないか、ユーザーが不在である可能性が高い時間帯である。そのため、蓄積された印刷ジョブをその場で出力する必要はなく、他の印刷ジョブと合わせてまとめて出力することができ、結果として印刷処理に要する電力コストを抑える効果がある。
【0029】
図5は、図3のステップS5の詳細な処理動作を示すフローチャートである。この処理動作は、夜間料金時に印刷ジョブを実行する場合について示している。
【0030】
図5において、まず、夜間料金時間が終了する前に蓄積した印刷ジョブをまとめて低コスト印刷モードで印刷しているとき、別の印刷ジョブが追加で入力される場合がある(ステップS11)。このとき、印刷時間推測部103は、実行中の印刷ジョブと追加で蓄積された印刷ジョブを低コスト印刷モードで継続して出力するときの処理時間を算出する(ステップS12)。
【0031】
そして、判定部102は、算出した印刷ジョブの処理時間が夜間料金終了までの時間(夜間料金の終了時刻と現時刻との差分)より少ないか否かを判断する(ステップS13)。判定部102の判定の結果、低コスト印刷モードを継続して実行する場合でも、夜間料金の終了までに印刷ジョブが完了する場合は(ステップS13で判断YES)、印刷制御部105は、蓄積した印刷ジョブを全て低コスト印刷モードで実行する(ステップS14)。低コスト印刷モードを継続して実行すると夜間料金の終了までに印刷ジョブが完了しない場合は(ステップS13でNo)、処理速度の速い通常印刷モードで実行することで、夜間料金中に処理を完了させる(ステップS15)。
【0032】
上記処理により、夜間に蓄積された印刷ジョブを低コスト印刷モードでまとめて出力する際に、印刷ジョブが追加されても電力料金の安い夜間料金の時間帯に処理を完了させることが可能である。
【0033】
したがって、上述した実施の形態によれば、低コスト印刷モードと通常印刷モードを切り替え、夜間の電力料金が安い時間帯に処理を完了させることで、電力コストを削減することができる。
【0034】
(第2の実施の形態)
図6は、第2の実施の形態にかかる印刷モード切り替えの処理動作を示すフローチャートである。図5では、低コスト印刷モードで印刷中に印刷ジョブが追加された場合における印刷モードの切り替えは、低コスト印刷モードでのジョブの処理時間と夜間料金の終了までの時間を比較し、印刷ジョブが追加された時点で処理の切り替えをするか否かを判断した(図5(ステップS13))。
【0035】
この実施の形態では、夜間料金の終了時刻までに印刷ジョブを完了させることを前提に、直前まで低コスト印刷モードで処理を行うことで、電力コストを削減する切り替え方法を説明する。
【0036】
夜間料金の時間が終了する前に、蓄積した印刷ジョブをまとめて低コスト印刷モードで印刷しているとき、別の印刷ジョブが追加で入力される場合がある(ステップS21)。このとき、印刷時間推測部103は、実行中の印刷ジョブと追加で蓄積された印刷ジョブ数の合計n件を低コスト印刷モードで継続して出力するときの処理時間を算出する(ステップS22)。そして、判定部102は、算出した印刷ジョブの処理時間が夜間料金の終了までの時間(夜間料金の終了時刻と現時刻との差分)より少ないか否かを判定する(ステップS23)。
【0037】
判定の結果、低コスト印刷モードを継続して実行する場合でも夜間料金の終了までに印刷ジョブが完了する場合は(ステップS23で判断YES)、印刷制御部105は、蓄積した印刷ジョブ数n件を全て低コスト印刷モードで実行する(ステップS24)。
【0038】
判定の結果、低コスト印刷モードを継続して実行すると夜間料金の終了までに印刷ジョブが完了しない場合は(ステップS23で判断No)、印刷制御部105は、蓄積された印刷ジョブの後ろからm件目からの印刷ジョブを通常印刷モードで実行することで、夜間料金の終了までに処理を完了させる。このとき、mを1から順に増やしていくことで、極力、低コスト印刷モードで実行する。
【0039】
まず、判定部102は、m=nであるか否かを確認する(ステップS25)。m=nのときは(ステップS25で判断YES)、印刷制御部105は、全n件の印刷ジョブを通常印刷モードで実行する(ステップS26)。m≠nのときは(ステップS25で判断No)、印刷時間推測部103は、1〜(n−m)件目の印刷ジョブを低コスト印刷モードで、(n−m)+1〜n件目の印刷ジョブを通常印刷モードで実行したときの処理時間を算出する(ステップS27)。そして、判定部102は、算出した印刷ジョブの処理時間が夜間料金の終了までの時間(夜間料金の終了時刻と現時刻との差分)より少ないか否かを判断する(ステップS28)。
【0040】
上記処理時間が夜間料金の終了までの時間より少ない場合は(ステップS28で判断YES)、印刷制御部105は、1〜(n−m)件目の印刷ジョブを低コスト印刷モードで、(n−m)+1〜n件目の印刷ジョブを通常モードで実行する(ステップS29)。上記処理時間が夜間料金の終了までの時間より多い場合は(ステップS28で判断No)、印刷時間推測部103は、上記mに1を加えて、通常印刷モードで出力する印刷ジョブを1件増やした状態で再度処理時間を算出する。
【0041】
上記処理を実施することで、可能な限り印刷ジョブを低コスト印刷モードで処理することができ、電力コストを節約することが可能となる。
【0042】
したがって、上述した実施の形態によれば、電力料金が安い時間帯が終了するまでに、できる限り印刷ジョブを低コスト印刷モードで出力し、残りを通常印刷モードで出力することで、電力料金が安い時間帯に処理を完了させ、かつ極力低コスト印刷モードを用いることで電力コストを削減することができる。
【0043】
(第3の実施の形態)
図7は、夜間料金終了時刻直前に、蓄積した印刷ジョブをまとめて出力する際、印刷ジョブの順序を入れ替えない場合を示す説明図である。
【0044】
図示するようにAM1:00にモノクロ文書[1]を受信し、AM2:15にフルカラー文書[2]を受信し、AM3:30にモノクロ文書を受信[3]したとする。受信したモノクロ文書の処理時間は共に1分、受信したカラー文書の処理時間が2分だとすると、AM6:56の直前にヒートローラーを加熱し、AM6:56から、[1]→[2]→[3]と蓄積された順に印刷ジョブを処理し、夜間料金の時間帯が終了する時間AM7:00に印刷ジョブを完了する。
【0045】
このとき、AM6:58に処理時間が2分のフルカラー文書[4]の印刷ジョブが追加されたとする。印刷ジョブの順序を入れ替えない場合は、追加された印刷ジョブは最後に出力される。この場合、フルカラー文書[4]は夜間料金が適用されないAM7:00から処理を開始し、AM7:02に処理が完了する。
【0046】
(第4の実施の形態)
図8は、夜間料金の終了時刻直前に、蓄積した印刷ジョブをまとめて出力する際、印刷ジョブの順序を入れ替える場合を示す説明図である。
【0047】
文書を印刷する場合のコストは、モノクロ印刷よりもフルカラー印刷の方が高い。これは使用するトナーの種類が多いことに加え、使用するトナー量も多く、ヒートローラーによる加熱量(加熱時間)が多くなり、これによる電力が増えるためである。
【0048】
したがって、夜間料金が終了したときに印刷ジョブが残ったとしても、電力量が多いフルカラー印刷を夜間料金中に優先して処理し、通常料金の時間帯にモノクロ印刷を行うことで、追加の印刷ジョブが多いときでも効率よくコストを削減することが可能となる。
【0049】
本実施の形態では、夜間料金の終了直前にまとめて印刷ジョブを処理する際、消費電力推測部106が印刷ジョブの消費電力の大きさを基にフルカラー文書を検出し、その検出結果に応じて判定部102が印刷ジョブの順序を入れ替え、フルカラー文書を優先して処理する。
【0050】
図8では、AM1:00にモノクロ文書[2]を受信し、AM2:15にフルカラー文書[1]を受信し、AM3:30にモノクロ文書[3]を受信した例を示す。受信したモノクロ文書の処理時間は共に1分、受信したフルカラー文書の処理時間が2分であるとすると、フルカラー文書[1]を優先して出力するため、AM6:56の直前にヒートローラーを加熱し、AM6:56から[1]→[2]→[3]と蓄積された順番とは別の順で印刷ジョブを処理し、夜間料金が終了する時間AM7:00に印刷ジョブを完了する。
【0051】
このとき、AM6:58に処理時間が2分のフルカラー文書[4]の印刷ジョブが追加されたとする。本実施の形態ではフルカラー文書[4]の印刷を優先するため、処理待ちのモノクロ文書の前に処理を行う。この場合、フルカラー文書[4]の印刷は夜間料金が適用される時間帯のAM6:58から処理を開始し、AM7:00に処理が完了する。モノクロ文書を印刷する印刷ジョブが2件残るが、モノクロ印刷では消費電力量が少なく、通常料金時でもコストは少なくて済む。
【0052】
このように、印刷ジョブの順序を入れ替えることで、夜間料金の時間帯に処理が完了しない場合でも電力コストを節約することが可能である。
【0053】
したがって、上述した実施の形態によれば、蓄積した印刷ジョブに対して消費電力量が多いものから優先的に処理を行い、夜間の電力料金が安い時間帯に消費電力が多い処理を完了させることで、電力コストを削減することができる。
【0054】
ところで、本実施の形態で実行されるプログラムは、メモリ9、あるいはROM15に予め組み込まれて提供するものとしているが、これに限定されるものではない。本実施の形態で実行されるプログラムを、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD(Digital Versatile Disk)等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録してコンピュータプログラムプロダクトとして提供してもよい。
【0055】
また、本実施の形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、本実施の形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成してもよい。
【0056】
本実施の形態で実行されるプログラムは、上述した各部(判定部102、印刷時間推測部103、時間管理部104、印刷制御部105、消費電力推測部106)を含む制御部101によるモジュール構成となっており、実際のハードウェアとしてはCPU5(プロセッサ)が上記記録媒体からプログラムを読み出して実行することにより上記各部がメモリ9等の主記憶装置上にロードされ、判定部102、印刷時間推測部103、時間管理部104、印刷制御部105、消費電力推測部106の各部が主記憶装置上に生成されるようになっている。
【符号の説明】
【0057】
1 FAX
2 回線I/F装置
3 PC
4 外部I/F装置
5 CPU
6 バス制御装置
7 画像編集装置
8 画像蓄積装置
9 メモリ
10 画像処理装置
11 プロッタI/F装置
12 プロッタ装置
13 操作表示装置
14 サウスブリッジ
15 ROM
【先行技術文献】
【特許文献】
【0058】
【特許文献1】特開2008−103837号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷対象の印刷ジョブを蓄積する印刷ジョブ蓄積手段と、
前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された印刷ジョブを出力する際に、通常印刷モードと、前記通常印刷モードよりも低速度、低消費電力の低コスト印刷モードと、の何れかの印刷モードに切り替える制御を行う印刷制御手段と、
前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された全ての印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力する処理時間を推測する印刷時間推測手段と、
夜間料金の終了時刻と現在時刻との時間差である、夜間料金の終了までの時間を算出する時間管理手段と、
前記時間管理手段により算出された夜間料金の終了までの時間と前記低コスト印刷モードでの処理時間を比較し、その差が所定の時間未満であるか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記印刷制御手段は、前記判定手段による判定の結果、前記所定の時間未満であると判定されたとき、前記夜間料金の終了時刻までに前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された全ての印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力し、他方、前記所定の時間未満でないと判定されたとき、前記印刷ジョブを前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積して待機することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記印刷時間推測手段は、前記夜間料金の終了時刻前に、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力しているとき、新たな印刷ジョブが追加入力された場合に、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された実行中の印刷ジョブと新たな印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力する処理時間を推測し、
前記判定手段は、前記印刷時間推測手段が推測した処理時間が、前記夜間料金の終了までの時間を超えるか否かを判定し、
前記印刷制御手段は、
前記夜間料金の終了までの時間を超えないと判定されたとき、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された実行中の印刷ジョブと新たな印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力し、
他方、前記夜間料金の終了までの時間を超えると判定されたとき、前記夜間料金の終了時刻までに、前記印刷ジョブ蓄積手段に蓄積された実行中の印刷ジョブと新たな印刷ジョブの出力が完了するように、前記通常印刷モードに切り替えて出力することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記印刷制御手段は、前記判定手段による判定の結果、超えると判定され、前記蓄積された実行中の印刷ジョブと新たな印刷ジョブの一部の印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力し、残りの印刷ジョブを前記通常印刷モードにより出力する場合の処理時間が、前記夜間料金の終了までの時間を超えないとき、前記一部の印刷ジョブを前記低コスト印刷モードにより出力し、前記残りの印刷ジョブを前記通常印刷モードに切り替えて出力することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記印刷制御手段は、前記蓄積された印刷ジョブを出力する際に、前記印刷ジョブの順序を入れ替えることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記印刷ジョブの印刷出力に必要な消費電力の大きさを推測する消費電力推測手段を備え、前記印刷制御手段は、前記消費電力推測手段が推測した消費電力の大きさを基に、前記印刷ジョブの順序を入れ替えることを特徴とする請求項4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記印刷制御手段は、前記消費電力の大きいカラー印刷が優先して印刷処理されるように、前記印刷ジョブの順序を入れ替えることを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
印刷対象の印刷ジョブを蓄積する印刷ジョブ蓄積工程と、
前記印刷ジョブ蓄積工程で蓄積された全ての印刷ジョブを低消費電力の低コスト印刷モードにより出力する処理時間を推測する印刷時間推測工程と、
夜間料金の終了時刻と現在時刻との時間差である、夜間料金の終了までの時間を算出する時間管理工程と、
前記時間管理工程で算出された夜間料金の終了までの時間と前記低コスト印刷モードでの処理時間を比較し、その差が所定の時間未満であるか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程による判定の結果、前記所定の時間未満であると判定されたとき、前記夜間料金の終了時刻までに前記印刷ジョブ蓄積工程で蓄積された全ての印刷ジョブを、通常印刷モードから前記低コスト印刷モードに切り替えて出力し、他方、前記所定の時間未満でないと判定されたとき、前記印刷ジョブを前記印刷ジョブ蓄積工程で蓄積して待機する印刷制御工程と、
を含むことを特徴とする画像形成方法。
【請求項8】
印刷対象の印刷ジョブを蓄積する印刷ジョブ蓄積ステップと、
前記印刷ジョブ蓄積ステップで蓄積された全ての印刷ジョブを低消費電力の低コスト印刷モードにより出力する処理時間を推測する印刷時間推測ステップと、
夜間料金の終了時刻と現在時刻との時間差である、夜間料金の終了までの時間を算出する時間管理ステップと、
前記時間管理ステップで算出された夜間料金の終了までの時間と前記低コスト印刷モードでの処理時間を比較し、その差が所定の時間未満であるか否かを判定する判定ステップと、
前記判定ステップによる判定の結果、前記所定の時間未満であると判定されたとき、前記夜間料金の終了時刻までに前記印刷ジョブ蓄積ステップで蓄積された全ての印刷ジョブを、通常印刷モードから前記低コスト印刷モードに切り替えて出力し、他方、前記所定の時間未満でないと判定されたとき、前記印刷ジョブを前記印刷ジョブ蓄積ステップで蓄積して待機する印刷制御ステップと、
をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−75086(P2012−75086A)
【公開日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173183(P2011−173183)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】