説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム。

【課題】 画質を維持するためのキャリブレーションが印刷処理と競合し、印刷処理の実行が遅れることがないようにキャリブレーションの実行タイミングを制御する画像形成装置を提供する。
【解決手段】 本発明における画像形成装置は上記課題を解決するため、パッチパターンを印字する印字手段と、前記印字手段で印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正手段と、前記補正手段の実行要求を受信する受信手段と、前記受信手段により実行要求を受信しても、該実行要求に応じずに、消費電力を削減させるべくスリープ状態に移行するまで前記補正手段の実行を延期する延期手段とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はキャリブレーション機能を有する画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カラー印刷を行う画像形成装置には、印刷物の色再現を一定に制御する機能が組み込まれているのが一般的である。この処理は一般にキャリブレーション(校正)処理と呼ばれており、印刷に使用するインクやトナーの階調特性を、一定の特性に制御することを目的としている。
【0003】
このキャリブレーションは、いわゆる電子写真プロセスを応用する画像形成装置、例えばレーザービームプリンタ(以下LBPと称する)で必要とされる。電子写真は感光体上にレーザ光を照射して形成した静電潜像に帯電させたトナー(紛体インク)を付着させることで現像を行い、この像を用紙に転写して熱と圧力で定着させるという手順を基本とする印刷処理方式で印刷を行う。カラーLBPやカラー複写機では、複数色のトナーで描いた画像を一旦中間転写体の表面に形成し、これを用紙に転写して定着させるという方式が用いられている。ここで複数色のトナーには、例えばイエロートナー、マゼンタトナー、シアントナー、ブラックトナーが用いられる。以下、これらのトナーをYMCKトナーと表現する。また、以下の説明では、カラーLBPはYMCKトナーを用いてカラー印刷を行うものとするが、この4色とは異なる色数でカラー印刷を行ってもよい。
【0004】
このような電子写真プロセスで、階調特性が変動する要因としては環境温度と環境湿度が上げられる。環境温度と湿度の変動で、以下のような影響が、電子写真プロセスに現れる。
・感光体上に形成される静電潜像の状態が変わり、次の現像工程でもたらされる画像の濃度が変化する。
・トナーの帯電状態が変わり、次の現像工程でもたらされる画像の濃度が変化する。
・感光ドラムから中間転写体への転写率が変わり、中間転写体上に形成される画像の濃度が変化する。
・中間転写体から用紙への転写率が変わり、用紙上に形成される画像の濃度が変化する。
また、環境温度の変動により定着温度が変わり、定着時のトナーの溶融度合いが変わるため、発色が変わる。
【0005】
以上のように、環境温度や湿度の変動によって、電子写真プロセスの複数の工程で濃度特性の変動が発生する。キャリブレーションとは環境温度や湿度が変動しても一定の色再現をもたらすための処理と位置付けることができる。
【0006】
続いて一般的なキャリブレーションについてさらに詳細に説明する。LBPには前述のように、用紙に転写すべきカラー画像を形成する中間転写体がある。キャリブレーションはこの中間転写体上にパッチパターンと呼ばれる、予め濃度が定められた微小領域を複数個形成する。
【0007】
そして、中間転写体上に形成された各パッチパターンの濃度を濃度センサで読み取って、この読み取った実濃度と指定濃度の関係である実濃度特性を求め、実現したい濃度特性を得るための濃度変換特性を導き出す。
この濃度変換特性に従ってYMCKの各色の入力濃度を変換した上で利用することで、目的の色を出力できる。
中間転写体上に形成したパッチパターンは、濃度センサが読み取った後に消去される(特許文献1参照)。
【0008】
また上述したように、電子写真の階調特性は環境温度や湿度が変動すると、変動する傾向がある。一方、キャリブレーションは環境条件の変動に対して、安定した色再現性能をもたらすための機能なので、環境温度や湿度の変動が発生した場合には、キャリブレーションをやり直す必要がある。一般には電源立ち上げ時や連続印刷を行うことによって機内温度が変動した場合、キャリブレーションが行われる。また、その他に、前回キャリブレーション実行時から一定枚数を印刷した場合や一定時間経過した場合に行われることもある。
【0009】
一方、このキャリブレーションを長時間行わずに、環境温度や湿度が大きく変動すると、印刷の際にトナーが載りすぎてしまい、定着器に印刷媒体が巻きついてしまうといった問題が発生する可能性がある。この巻きつきが発生すると、結果的にLBP本体が故障してしまう可能性があるため、一日に一度程度はキャリブレーションを行い、適切な濃度を保つようにすることが望まれる。
【0010】
よって、安定した色再現性を確保し、本体故障の危険性を低減させるためには、キャリブレーションは必須の処理と言える。しかし、キャリブレーションを実行すると、中間転写体にパッチを形成して濃度センサで濃度を測定するという方法を用いるため、その間LBPをはじめ画像形成装置の本来の目的である印刷処理を行えない。そのため、ユーザーが印刷を行いたいと思ったときにキャリブレーションが行われてしまうと、キャリブレーションが終了するまで印刷が実行されず、ユーザーを待たせてしまうことがある。このため近年、色再現性を一定にすることよりも印刷の実行を優先させたい時に、キャリブレーション終了まで待つことなく、印刷できることを重視するユーザーからはキャリブレーションの実行タイミングの改善が望まれている。
【0011】
これを解決するため、例えば特許文献2では、印刷した時刻と日付等を管理/記録出来る様にし、記録しておいたデータから対象となる画像形成装置の一日の中の使用頻度を導き出す。そして、ユーザーが印刷を実行しない可能性の高い時間に合わせてキャリブレーションを実行する。また、印刷中にキャリブレーションを実行すべき状態になっても、暫くすれば画像形成装置の使用頻度が下がる時間になるのなら、許容範囲内でキャリブレーションの実行を遅らせる構成にしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開昭63−208369
【特許文献2】特開2005−119058
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
上記のように、印刷を行った時刻情報等から導き出した対象となる画像形成装置の一日の中の使用頻度をもとにユーザーが印刷を実行しない可能性の高い時間を予測して制御を行う。すると、ユーザーが意図しないタイミングでキャリブレーションを実行する場合がありえる。
この予測を用いたキャリブレーション実行タイミングの制御は、あくまで過去のデータをもとに行われたものである。よって、画像形成装置の使用頻度が下がる時間帯が近くになければ、ユーザーが印刷中であってもキャリブレーションが実行されてしまうため不具合が生じる。また、連続でジョブが投入されているかなどを確認していないため、ジョブ間等にキャリブレーションを実行してしまう可能性もある。
そこで本発明は、上記のように予測した時間帯ではなく実際にユーザーが暫く印刷を行っておらずキャリブレーションを実行しても問題がないタイミングを見計らいキャリブレーションの実行を制御する画像形成装置の提供を目的とする。具体的には、画像形成装置がプリンタ部からキャリブレーションの実行要求を受けたとしても、これに応じずにキャリブレーションを実行せず、プリンタ部がスリープあるいは電源オフに入るタイミングで延期していたキャリブレーションを実行する。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明における画像形成装置は上記課題を解決するため、パッチパターンを印字する印字手段と、前記印字手段で印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正手段と、前記補正手段の実行要求を受信する受信手段と、前記受信手段により実行要求を受信しても、該実行要求に応じずに、消費電力を削減させるべくスリープ状態に移行するまで前記補正手段の実行を延期する延期手段とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
キャリブレーション実行要求があっても、これに応じずキャリブレーションを実行せずに延期する。そして、画像形成装置の一部がスリープあるいは電源オフに移行するときに延期しておいたキャリブレーションを実行する。これにより印刷処理とキャリブレーションが競合しないようにする。よって、ユーザーが印刷したいときにキャリブレーションが実行されて印刷を待たせてしまう可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。
【図2】画像形成装置の概略構成垂直断面を示す図である。
【図3】実施例1のキャリブレーション実行制御を説明するフローチャートの一例である。
【図4】実施例2のキャリブレーション実行制御を説明するフローチャートの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施例1)
図1は、LBPである画像形成装置のハードウェア構成例を示す図である。画像形成装置100は、コントローラユニット113とプリンタ部114とを備える。コントローラユニット113は、画像形成装置100全体を制御する。すなわち、本実施形態の画像形成装置100の制御方法およびそのコンピュータプログラムは、コントローラユニット113の機能によって実現できる。コントローラユニット113は、プリンタ部114に指示して、画像データの印刷処理を実行させる。また、コントローラユニット113は、プリンタ部114から画像形成装置100の状態を示す情報を取得する。画像形成装置100の状態を示す情報は、例えば、画像形成装置100をキャリブレーションする必要があることを示す情報(以下、キャリブレーション実行要求と呼ぶ)を含む。
【0018】
具体的に述べると、プリンタ部114は温度や湿度の環境変動や、印刷に使用された用紙の枚数の積算量を検知するセンサを有する。
このセンサにより、予め決められた環境変動や用紙枚数の積算量が検知されると、プリンタ部114が有するコントローラ(不図示)にその情報が伝わりプリンタ部114はキャリブレーションを実行する必要性があると判断する。また、プリンタ部114が有するコントローラ(不図示)が時間をカウントし、一定時間経過した場合もプリンタ部114はキャリブレーションを実行する必要性があると判断する。そして、プリンタ部はキャリブレーション実行要求をコントローラユニット113へ送信する。 また、画像形成装置100の状態を示す情報は、例えば、画像形成装置100が印刷中状態、または印刷完了状態であることを示す情報、スリープ中であることを示す情報を含む。コントローラユニット113は、プリンタ部114が予め設定された時間、印刷中でなく印刷処理を受け入れられる状態が続いた場合に、プリンタ部114に対して、スリープ移行指示を送信する。
【0019】
プリンタ部114は、コントローラユニット113からスリープ移行指示を受信するとスリープ状態に移行する。ここで、スリープ状態とはプリンタ部114を構成する回路の一部の電力供給を行わないようにし、消費電力の削減を実現している状態のことである。コントローラユニット113は、プリンタ部114がスリープ中の時に印刷やキャリブレーション等を実行する場合はそれらの実行前にプリンタ部114にスリープ復帰指示を送信する。本実施例ではスリープ状態であってもコントローラユニット113とプリンタ部114は通信が可能であるため、スリープ復帰用のコマンドを送信することでスリープ復帰が可能である。スリープ状態時にコントローラユニット113との通信を行う部分の電力供給を行わないようにする画像形成装置の場合は例えばスリープ移行/復帰用の信号を設け、その信号を利用してスリープ復帰を指示するようにしてもよい。プリンタ部114は、コントローラユニット113からスリープ復帰指示を受信するとスリープ状態を解除する。コントローラユニット113はプリンタ部114がスリープ状態でないときに印刷やキャリブレーション実行指示を行うと、プリンタ部114は指示に従って、処理を実行する。すなわち、コントローラユニット113およびプリンタ部114は、それぞれが連携して印刷やキャリブレーションの実行手段として機能する。
【0020】
コントローラユニット113は、CPU101、FlashROM(Read Only Memory)102、RAM103を備える。また、コントローラユニット113は、NVMEM(Non−Volatile Memory )104、LANI/F111、Image BusI/F107、USBI/F106を備える。また、コントローラユニット113は、RIP(Raster Image Processor)108、プリンタI/F110、画像処理部109を備える。
CPU101は、コントローラユニット113全体を制御するプロセッサである。RAM103は、CPU101が動作するためのシステムワークメモリである。RAM103は、プログラムを記録するためのプログラムメモリや、画像データを一時記録するための画像メモリでもある。NVMEM104は、不揮発性のメモリであり、設定情報等を記録する。FlashROM102は、書き換え可能な不揮発性メモリである。FlashROM102には、画像形成装置100を制御するための各種制御プログラムが予め記録される。USBI/F107は、PC(不図示)とのUSB接続を可能にする。LANI/F111は、PC(不図示)とのLAN接続を可能にする。Image BusI/F107は、システムバス105と画像データを高速で転送する画像バス112とを接続し、データ構造を変換するバスブリッジである。CPU101乃至USBI/F106は、システムバス105上に配置される。
【0021】
画像バス112は、PCI(Peripheral Component Interconnect )バスまたはIEEE1394を備える。RIP108、プリンタI/F110、画像処理部109が、画像バス112上に配置される。RIP108は、PDL(Page Description Language )コードのようなベクトルデータをビットマップイメージデータ(ラスタイメージデータ)に展開する。プリンタI/F110は、プリンタ部114とコントローラユニット113とを接続し、画像データの同期系/非同期系の変換やデータのやりとりを行う。画像処理部109は、入力画像データに対して補正、加工、編集を行ったり、プリント出力画像データに対して、画像形成装置での補正、解像度変換等を行う。また、画像処理部109は、画像データの回転や、多値画像データに対してはJPEG、2値画像データに対してはJBIG、MMR、MH等の圧縮伸張処理を行う。
【0022】
パネル部115はユーザーが画像形成装置100を操作するための入力を行う部分であり、キャリブレーション実行指示などを行うことができる。パネル部115にはユーザーが入力した内容や画像形成装置100の状態を示すLCDなどの表示部が含まれていてもよい。また、本実施形態ではパネル部は画像形成装置100上にあるユーザーインタフェース部として説明を行うが、画像形成装置100と接続されているPC(不図示)上のアプリケーションなどであってもよい。
【0023】
プリンタ部114は、RIP108によって展開されたラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する。プリンタ部114がラスタイメージデータを用紙上の画像に変換する方式には、感光体ドラムや感光体ベルトを用いた電子写真方式、微少ノズルアレイからインクを吐出して用紙上に直接画像を印字するインクジェット方式等がある。プリンタ部114は、これらのどの方式を用いてもよい。プリンタ部114は、CPU101からの指示によってプリント動作の起動を開始する。
【0024】
図2は、図1に記載のハードウェア校正を用いて制御される画像形成装置100全体の構成についての概略である。なお、以下の説明では、第1ステーションをイエロー(Y)色のトナー画像形成用のステーション、第2ステーションをマゼンタ(M)色のトナー画像形成用のステーションとしている。更に、第3ステーションをシアン(C)色のトナー画像形成用のステーション、第4ステーションをブラック(K)色のトナー画像形成用のステーションとしている。
【0025】
しかし、これらの色に限定することはなく、この4色とは異なる色数で印刷を行ってもよい。もちろん、単色のブラック(K)色のトナーのみを用いて印刷を行ってもよい。
また、記録剤としてトナーを用いる例を説明するが、これに限らずインクや、ソリッドインク等、本実施例を実現可能なLBPやプリンタ等の画像処理装置が印刷を行う際に用いることが可能なものであれば何でもよい。
【0026】
(画像形成部)
第1ステーションでは、1aは像担持体としてのOPC(有機光導電体)感光ドラムである。感光ドラム1aは金属円筒上に感光して電荷を生成するキャリア生成層、発生した電荷を輸送する電荷輸送層などからなる機能性有機材料が複数層積層されたものであり、最外層は電気的導電性が低くほぼ絶縁体である。帯電手段として帯電ローラ2aは、感光ドラム1aに当接され、感光ドラム1aの回転(図中、矢印方向に回転)にともない、従動回転しながら感光ドラム1aの表面を均一に帯電する。帯電ローラ2aは、電圧供給手段である帯電バイアス電源20aと接続される。帯電ローラ2aには直流電圧のみ、もしくは直流電圧に交流電圧を重畳した電圧が印加される。そして、帯電ローラ2aと感光ドラム1a表面の当接ニップ部から上下流側の微小な空気ギャップで放電が発生することにより、感光ドラム1aの表面は所定の電位に均一に帯電される。
【0027】
11aは露光手段としての露光装置である。露光装置11aは、レーザ光を不図示の多面鏡によって走査させる不図示のスキャナユニット又はLEDアレイから構成される。そして、画像信号に基づいて変調された走査ビーム12aを感光ドラム1a上(像担持体上)に照射する。このように、走査ビーム12aを感光ドラム1a上に照射することによって、帯電ローラ2aで一様に帯電された感光ドラム1aの表面に画像情報に応じたイエローのトナーで出力すべき静電潜像を形成する。
【0028】
次に、8aは現像手段としての現像ユニットである。現像ユニット8aには、イエロートナーである非磁性一成分現像剤5a(以下、単にトナー5aという)が収納されている。また、現像ユニット8aは、現像ローラ4a、現像剤塗布ブレード7aから構成される。現像ローラ4aは、電圧供給手段である現像バイアス電源21aと接続され、現像バイアス電圧を印加することにより現像を行う。すなわち、現像ローラ4aと感光ドラム1aとの当接ニップ部で、静電潜像が形成された感光ドラム1aにはイエロートナーが付着されることにより現像され、可視画像としてのトナー像が形成される。
【0029】
3aは、後述する一次転写後に感光ドラム1a上に転写されずに残ったトナー(転写残トナーともいう)をクリーニングするためのクリーニングユニットである。なお、定期的にクリーニングを行う際に、感光ドラム1aとクリーニングユニット3aのクリーニングブレードとの摩擦を軽減するために、トナー吐出しが行われる。
以上説明した、感光ドラム1a、帯電ローラ2a、クリーニングユニット3a、現像ユニット8aは、画像形成装置から着脱自在な一体型のプロセスカートリッジ9aとなっている。
【0030】
また、81aは一次転写ローラであり、電圧供給手段である一次転写バイアス電源84aに接続されている。一次転写ローラ81aは後述する中間転写ベルト(80)を挟んで感光ドラム1aと反対側に配置されている。現像ユニット8aにより感光ドラム1a上に形成されたトナー像は、感光ドラム1aと一次転写ローラ81aとの当接ニップ部(一次転写部という)に挟持搬送される後述する中間転写ベルト(80)上に、一次転写される。
また、一次転写ローラ81aの中間転写ベルト80移動方向下流側には除電部材23aが配置されている。
【0031】
以上が第1ステーションの構成であり、第2、第3、第4ステーションも同様の構成をしており、同一の番号の後ろにb、c、dの符号を付加して表記している。
【0032】
中間転写ベルト80は、その張架部材として二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラにより支持されており、適当なテンションが維持されるようになっている。駆動ローラ14を駆動させることにより中間転写ベルト80は感光ドラム1a〜1dに対して順方向(図中、矢印方向(時計回り))に略同速度で移動する。中間転写ベルト80の移動に同調して、先に説明した一次転写部における一次転写がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの各色に対して順次行われ、中間転写ベルト80上に各色のトナー像が重畳された多色のトナー画像を得る。中間転写ベルト80上に一次転写された多色のトナー像は、後述する二次転写部へ担持、搬送される。
駆動ローラ14、テンションローラ15及び除電部材23a、二次転写対向ローラ86は電気的に接地されている。
【0033】
また、プロセスカートリッジ9a〜9dの中間転写ベルト移動方向下流側には濃度センサ90があり、キャリブレーションを実行した際には濃度センサ90でパッチパターンの濃度を読み取り、プリンタ部114が前述した実濃度特性と濃度変換特性を導き出す。
【0034】
(給送部)
本体カセット16から画像形成する際には、カセットピックアップローラ17の回転により、一枚ずつシートPが分離給送される。そして、レジストローラ18によって、二次転写位置である二次転写対向ローラ86と中間転写ベルト80の当接部(二次転写部という)に搬送される。ここで、35はレジストセンサであり、レジストセンサ35の検出結果は、シートPの有無や二次転写部でシートPと中間転写ベルト80上に担持されたトナー像との同期をとるために用いられる。
【0035】
(シート搬送詳細)
本体カセット16より給送されたシートPは、レジストローラ18によって二次転写部に搬送される。
二次転写部を構成するトナー像の担持体としての中間転写ベルト80は、二次転写対向ローラ86、駆動ローラ14、テンションローラ15の3本のローラで張架支持され、全ての感光ドラム1a〜1dに対向して配設されている。中間転写ベルト80は、感光ドラム1a〜1dに対向する外周面にトナーを静電吸着させるべく、駆動ローラ14によって循環移動する。これにより中間転写ベルト80の外周に多色画像が形成され、中間転写ベルト80上に形成されたトナー像は二次転写位置である二次転写ローラ82と中間転写ベルト80の当接部まで搬送される。
シートPの搬送に際しては、二次転写ローラ82に電圧を印加することで、対向している設置された二次転写対向ローラ86に電界を形成し、中間転写ベルト80及びシートPの間に誘電分極を発生させて両者に静電吸着力を生じさせるようになっている。
中間転写ベルト80上に担持されたトナー像は、電源供給手段である二次転写バイアス電源85より印加された二次転写ローラ82によって、シートP上に一括転写される。これにより、シートP上に多色の画像が形成される。そして、シートP上に転写されず中間転写ベルト80上に残存した残存物(残存トナー)が、クリーニングブレード88により、中間転写ベルト80上から取除かれる。
【0036】
(定着部)
定着手段としての定着装置19は、シートP上に形成した画像に熱及び圧力を加えてトナー像を定着させるものであり、図示しない定着ベルトと図示しない弾性加圧ローラとを有している。弾性加圧ローラは定着ベルトを挟み、図示しないベルトガイド部材と所定の圧接力をもって所定幅の定着ニップ部を形成している。
定着ニップ部が所定の温度に立ち上がって温調された状態において、画像形成部から搬送された未定着トナー画像が形成されたシートPが、定着ニップ部の定着ベルトと弾性加圧ローラとの間に画像面が上向き、即ち定着ベルト面に対向して導入される。そして、シートPは、定着ニップ部において画像面が定着ベルトの外面に密着して定着ベルトと一緒に定着ニップ部を挟持搬送されていく。
この定着ニップ部を定着ベルトと一緒にシートPが挟持搬送されていく過程で、シートPは定着ベルトで加熱され、シートP上の未定着トナー画像が加熱定着される。そして、定着処理が終了したシートPは排紙部36に排紙され積載される。
【0037】
(トナー吐出し手段)
また、従来の画像形成装置では、画像形成可能領域に対する実際の印字面積の割合(以下印字率とする)が低い画像を連続で形成すると、カートリッジの現像器内にトナーが長く留まり過剰に帯電し、形成される画像の品質低下の一因となっていた。そこで、定期的或いは低印字率の画像形成が続いたと判断した場合に、現像器内のトナーを強制的に吐出す(以下、トナー吐出しという)。そして、中間転写ベルト80上に吐出されたトナーは、クリーニングブレード88により掻き取られる。
【0038】
図3で実施例1における、キャリブレーション実行制御について説明する。
【0039】
このキャリブレーションとは、従来技術で述べたように、画像形成装置の中間転写体上にパッチパターンと呼ばれる、予め濃度が定められた微小領域を複数個形成する。そして、中間転写体上に形成された各パッチパターンの濃度を濃度センサで読み取って、この読み取った実濃度と指定濃度の関係である実濃度特性を求め、実現したい濃度特性を得るための濃度変換特性を導き出す。
この濃度変換特性に従ってYMCKの各色の入力濃度を変換した上で利用することで、目的の色を出力できる。
【0040】
以上のような処理をキャリブレーションの実行時に行う。
【0041】
まず、コントローラユニット113がパネル部115からのキャリブレーション実行要求があるかどうかを確認する。つまり、ユーザーからのキャリブレ―ション実行要求があるか否かを確認する。(ステップS201)。ステップS201でキャリブレーション実行要求がある場合、コントローラユニットがプリンタ部114がスリープ中かどうかを確認する(ステップS202)。ステップS202でスリープ中だった場合、ユーザーがキャリブレーションを行うことを望んでいるので、コントローラユニット113がプリンタ部114にスリープからの復帰指示を行う(ステップS203)。プリンタ部114スリープから復帰したらコントローラユニット113がプリンタ部114キャリブレーション実行させる
(ステップS204、S205)。
【0042】
ステップS201でキャリブレーション実行要求がない場合、コントローラユニット113はプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求があるかどうかを確認する(ステップS206)。ステップS206でキャリブレーション実行要求がない場合、コントローラユニット113はキャリブレーション実行制御の処理を終了する。ステップS206でキャリブレーション実行要求がある場合、コントローラユニット113がプリンタ部114はスリープ中かどうかを確認する(ステップS207)。ステップS207で、プリンタ部114がスリープ中である場合、コントローラユニット113はキャリブレーションを実行せず、キャリブレーション実行制御の処理を終了する。
【0043】
一方、ステップS207でスリープ中でない場合、コントローラユニット113はプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求を受けるが、これに対応をせず、キャリブレーションを実行しない(延期する)ように制御する(ステップS208)。このキャリブレーションの延期処理は、例えば通常時(スリープ中でないとき)にプリンタ部114がキャリブレーション実行要求をコントローラユニット113に通知する条件(例えば一定枚数印刷)が成立し、キャリブレーション実行要求を受けたときなどに行う。また、スリープ中に一定時間が経過するなどしてプリンタ部114がキャリブレーション実行要求をコントローラユニット113に通知する条件が成立した後に、スリープ復帰した場合などにも行われる。つまり、キャリブレーション要求がいつ、どのような条件で発生したとしても「プリンタ部114からの」キャリブレーション実行要求に対応するキャリブレーションの実行を延期するよう制御する。
【0044】
キャリブレーションの延期を実現するための手段としては、例えばキャリブレーションを延期した場合、RAM103にキャリブレーションを延期していることを示す情報を保持しておくようにする。この場合、揮発性のメモリに情報を保持し、電源をオフすると延期中の情報が消えてしまう。しかし、キャリブレーションが未実行のままであるため、電源ON後に再度キャリブレーション実行要求がプリンタ部114から通知される。よって、キャリブレーション未実行のままであることはない。プリンタ部114が電源ON後に未実行だったキャリブレーションの実行要求を通知しないタイプの画像形成装置の場合、延期中であることを示す情報をNVMEM104に保存するようにしてもよい。
【0045】
ステップS208でプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求による
キャリブレーションを延期している間、コントローラユニット113はプリンタ部114をスリープさせるか、電源をオフにする条件が成立するかどうかを監視する(ステップS209)。ステップS209で、プリンタ部114をスリープさせるか、電源をオフにする条件が成立した場合、コントローラユニット113はステップS208で延期していたキャリブレーションを実行する(ステップS210)。ステップS210でキャリブレーション実行後、コントローラユニット113はキャリブレーション実行のトリガとなった、スリープ移行あるいは電源オフをプリンタ部114に指示し、プリンタ部114はそれを実行する(ステップS211)。なお、画像形成装置100の電源SW(不図示)がソフトスイッチでなく、ハードスイッチの場合、電源オフの前にキャリブレーションを行うことができないため、スリープ移行時にのみ延期していたキャリブレーションを実行するようにしてもよい。
【0046】
以上、実施例1として説明した処理により、スリープ移行時や電源オフ時といった明らかにユーザーが印刷を行っていないタイミングでのキャリブレーション実行が可能になる。これにより、ユーザーが印刷を実行しようとしているときにキャリブレーションが実行中であり、ユーザーを待たせてしまう問題が発生する可能性を低減できる。
【0047】
また、実施例1で説明した処理は、キャリブレーションの実行タイミングを延期させるため、キャリブレーション延期中の画質が少々劣化する可能性がある。そこで、通常はプリンタ部からのキャリブレーション要求を即時実行するモードにしておき、キャリブレーションと印刷の競合を防ぎたい場合には実施例1の動作をするモードにユーザーが切り替えられる構成にしてもよい。
【0048】
(実施例2)
次に、実施例2について説明する。以下の実施例2の説明では、実施例1と異なる点についてのみ説明する。
【0049】
実施例1では、極力ユーザーの印刷していないタイミングでキャリブレーションを実施するようにキャリブレーションの実行タイミングの制御を行うようにした。
しかし実施例1では、長期間電源がオフしていて使用していなかった画像形成装置を電源ONして使用した場合や、長時間スリープした後にスリープ復帰した場合に、環境変化等が大幅に発生して濃度特性が変化した状態で印刷を行ってしまう可能性がある。さらに、前述したようにキャリブレーションを行わず、印刷時にトナーが載りすぎてしまうと定着器に巻きつきが発生し、画像形成装置本体が故障してしまうことも考えられる。そこで実施例2では、画質が大幅に変化したり、画像形成装置本体が故障したりしないように電源ON時やスリープ復帰時にキャリブレーションをするか否かの判断を追加する。
【0050】
図4で本発明の実施例2における、キャリブレーション実行制御について説明する。
【0051】
まず、画像形成装置100の電源SW(不図示)がONになったことを検知したコントローラユニット113は、プリンタ部114からのキャリブレーション実行要求があるかどうかを確認する(ステップS301、S302)。ステップS302でキャリブレーション実行要求がある場合は、前回キャリブレーションから一定時間(図4の例では24時間としている)経過しているかどうかを確認する(ステップS303)。このために、コントローラユニット113は最後にキャリブレーションを実行した日時情報をNVMEM104に書き込んでおく。そしてNVMEM104保存しておいた日時情報と電源ON時の日時情報とを比較する。日時情報は画像形成装置100に搭載されている、計時機能を有するチップ(例えばRTC)や装置を利用する。画像形成装置100にそのような機能がない場合は、画像形成装置100が接続されているPCなどから日時情報を取得するようにしてもよい。また、上記一定時間はユーザーにより設定可能である。
【0052】
ステップS303で、前回キャリブレーションから24時間以上経過していた場合、キャリブレーションを実行し、キャリブレーション実行日時情報をNVMEM104に保存する(ステップS304、S305)。ステップS303で、前回キャリブレーションから24時間以上経過していない場合は、キャリブレーション実行を延期する(ステップS306)。ステップS306でキャリブレーションを延期した場合、後述するステップS311、S321、S325のいずれかでキャリブレーションを実行するまでキャリブレーションを延期していることを示す情報を保持しておく。この情報は、日時情報として、NVMEM104に書き込んでおく。
【0053】
ステップS302でキャリブレーション実行要求がなかった場合は、何もせず次の処理に進む。
【0054】
次に、ユーザーからのキャリブレーション実行要求があるかどうかを確認する(ステップS307)。ユーザーからのキャリブレーション実行要求がある場合、ステップS307でキャリブレーション実行要求がある場合、プリンタ部114がスリープ中かどうかを確認する(ステップS308)。ステップS308でスリープ中だった場合、ユーザーがキャリブレーションを行うことを望んでいるので、コントローラユニット113がプリンタ部114にスリープからの復帰指示を行う(ステップS309)。プリンタ部114スリープから復帰したらコントローラユニット113がプリンタ部114にキャリブレーションを実行させる(ステップS310、S311)。ステップS311でキャリブレーション実行後、キャリブレーション実行日時情報をNVMEM104に保存する(ステップS312)。
【0055】
ステップS312でキャリブレーション実行日時情報を保存後、電源がオフ状態になっていなければステップS307の処理に戻り、電源オフになっていれば、キャリブレーション実行制御を終了する(ステップS313)。
【0056】
ステップS307でキャリブレーション実行要求がない場合、コントローラユニット113は定刻キャリブレーションの実行要求がないかどうかを確認する(ステップS314)。定刻キャリブレーションはユーザーが設定した特定の時刻になったらキャリブレーションを行うものであり、その時刻設定はパネル部115で行われる。前回キャリブレーションを実行してからの経過時間は、保持された日時情報を用いて算出される。
【0057】
ステップS314で定刻キャリブレーション実行要求がある場合、前回キャリブレーションから一定時間以上経過しているかどうかを確認する(ステップS315)。ステップS315で、前回キャリブレーションから一定時間以上経過している場合、プリンタ部114がスリープ中かどうかを確認する(ステップS316)。ステップS316でプリンタ部114がスリープ中でない場合、キャリブレーションを実行し、実行日時情報を保存する(ステップS311、S312)。
【0058】
ステップS315で前回キャリブレーションから一定時間以上経過していない場合、極力キャリブレーションを行う回数を減らし、ユーザーの印刷と競合しないようにするためにキャリブレーションを行わず延期する(ステップS317)。また、ステップS316でプリンタ部114がスリープ中の場合も同様にキャリブレーションを行わず延期する。
【0059】
これは、ユーザーがパネル部115からすぐにキャリブレーションを実行することを指示した場合以外はスリープから復帰させてまでキャリブレーションを行う必要はないためである。ただし、ステップS317でキャリブレーション実行要求を延期しているという情報は保持するようにしているため、前回キャリブレーションから一定時間以上経過していて、かつスリープ中でないという条件が成立したときにはすぐにキャリブレーションを行う。この処理により、ユーザーが印刷を行う前にキャリブレーションが実行されるため、画質が大幅に劣化したり、画像形成装置本体が故障したりせずに印刷を行うことができるようになる。
【0060】
ステップS314で定刻キャリブレーション実行要求がない場合、プリンタ部114からのキャリブレーション実行要求があるかどうかを確認する(ステップS318)。ステップS318でキャリブレーション実行要求がない場合、電源がオフ状態になっていなければステップS307の処理に戻り、電源オフになっていれば、キャリブレーション実行制御を終了する(ステップS313)。ステップS318でキャリブレーション実行要求がある場合、コントローラユニット113がプリンタ部114はスリープ中かどうかを確認する(ステップS319)。
【0061】
ステップS319で、スリープ中の場合、電源がオフ状態になっていなければステップS307の処理に戻り、電源オフになっていれば、キャリブレーション実行制御を終了する(ステップS313)。ここで、プリンタ部114からのキャリブレーション実行要求はキャリブレーションが実行されるまで、コントローラユニット113に通知され続けるため、定刻キャリブレーションのようにキャリブレーション実行を延期したという情報を保持しておく必要はない。ただし、プリンタ部114がキャリブレーション実行要求を1度しかコントローラユニット113に通知しないタイプの画像形成装置の場合はキャリブレーション実行を延期したという情報を保持しておくようにしてもよい。
ステップS319で、スリープ中でない場合、コントローラユニット113はプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求を無視し、キャリブレーションを実行を延期する(ステップS320)。ここで、図4の例ではプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求はすべて実行を延期している。しかし、CRGやITBなどの部品交換に起因するキャリブレーション実行要求の場合は、画質が大きく変わる可能性があるのでキャリブレーションを実行するようにしてもよい。
【0062】
ステップS320でプリンタ部114からのキャリブレーション実行要求による
キャリブレーションを延期している間、コントローラユニット113はプリンタ部114をスリープさせる条件が成立するかどうかを監視する(ステップS321)。ステップS321で、プリンタ部114をスリープさせる条件が成立した場合、コントローラユニット113はステップS320で延期していたキャリブレーション実行要求に基づき、キャリブレーションを実行する(ステップS322)。ステップS322でキャリブレーション実行後、実行日時情報を保存し、コントローラユニット113はプリンタ部114にスリープ移行を指示し、プリンタ部114はそれを実行する(ステップS323、S324)。
【0063】
ステップ321で、スリープ移行条件を満たしていない場合、電源オフする条件が満たされているかどうかを確認する(ステップS325)。ステップS325で
電源オフする条件を満たしていなければステップS307の処理に戻る(ステップS313)。
【0064】
ステップS325で、電源オフする条件を満たしている場合、コントローラユニット113はステップS320で延期していたキャリブレーション実行要求に基づき、キャリブレーションを実行する(ステップS326)。ステップS326でキャリブレーション実行後、実行日時情報を保存し、コントローラユニット113はプリンタ部114に電源オフを指示し、プリンタ部114はそれを実行する(ステップS327、S328)。
【0065】
なお、画像形成装置100の電源SW(不図示)の種類によってはスリープ移行時にのみ延期していたキャリブレーションを実行するようにしてもよいのは実施例1と同様である。
【0066】
実施例2によると、画質が大幅に劣化したり、画像形成装置本体やエンジンが故障したりしないようにするだけでなく、極力画質も維持したいという場合にも対応できる。また、図4のS303やS315で24時間以上経過している場合という条件を設けたが、ここでより短い時間(例えば8時間)経過時や一定枚数印刷後などの条件を設定することでキャリブレーションの実行頻度を調整することが可能である。
【0067】
(実施例3)
次に、実施例3について説明する。以下の実施例3の説明では、実施例1と2と異なる点についてのみ説明する。これまでキャリブレーションの実行制御について、通常時、実施例1の場合、実施例2の場合と説明してきたが、これらをそれぞれ独立のモードとして持っていて、ユーザーがパネル部115から各モードを選択できるようにしてもよい。このようにすることで様々なユーザーの意向に合わせたキャリブレーション実行制御を行える。
【0068】
また、図4のS303やS315で設定している条件をユーザーがパネル部115から設定できるような構成にしてもよい。
【0069】
(実施例4)
これまで、実施例1、2、3ではキャリブレーションという言葉は濃度補正という意味で説明を行ってきた。しかし、タンデム方式のカラー画像形成装置の場合は濃度補正とは別に色ずれ補正という処理も必要となる。色ずれ補正処理も濃度補正処理と同様に画像形成装置100の温度、湿度などの変化やそれに伴う中間転写ベルト80のたわみなどにより、発生する。また、色ずれ補正が必要な画像形成装置の場合、プリンタ部114からコントローラユニット113に色ずれ補正実行要求を通知する構成となっている。以上のことから、図2の濃度センサ90に並んでレジセンサ(不図示)を設ければ、本実施例は色ずれ補正処理においても適用可能である。したがって、本実施例を色ずれ補正、濃度補正の両方、あるいはそれぞれ単独で適用できる構成にしてもよい。
【0070】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パッチパターンを印字する印字手段と、
前記印字手段で印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正手段と、
前記補正手段の実行要求を受信する受信手段と、
前記受信手段により実行要求を受信しても、該実行要求に応じずに、消費電力を削減させるべくスリープ状態に移行するまで前記補正手段の実行を延期する延期手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
パッチパターンを印字する印字手段と、
前記印字手段で印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正手段と、
消費電力を削減させるべく、予め設定された条件が満たされるとスリープ状態に移行するスリープ手段と、
前記補正手段の実行要求を受信する受信手段と、
前記スリープ手段がスリープ状態に移行させるための条件が満たされているか判断する判断手段と、
前記判断手段で、スリープ状態に移行するための条件が満たされていないと判断されると、前記受信手段から実行要求を受信しても該実行要求には応じずに、前記補正手段による出力される画像の濃度の補正を延期し、
前記判断手段で、スリープ状態に移行するための条件が満たされていると判断されると、前記受信手段から実行要求を受信すると該実行要求に応じて、前記補正手段による出力される画像の濃度の補正を実行する制御手段と
を特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段で、前記判断手段にて、スリープ状態に移行するための条件が満たされと判断され、前記受信手段から実行要求を受信すると該実行要求に応じて、前記補正手段による出力される画像の濃度の補正を実行する出力される画像の濃度の補正が実行されると、
前記スリープ手段によってスリープ状態に移行することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記スリープ状態とは、プリンタ部が消費する電力を削減するための状態であり、該プリンタ部の電源がオフになる状態も含むことを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記スリープ状態に移行するための条件とは、
予め設定された時間、印刷処理を受け入れられる状態が続いた場合であることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記補正手段を実行した際の実行日時を保存する保存手段をさらに有しており、
前記受信手段により実行要求を受信し、前記判断手段によりスリープ状態に移行するための条件が満たされていると判断されても、
前記保存手段により保存された実行日時から予め定められた時間が経過するまで前記補正手段による補正を実行しない請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項7】
パッチパターンを印字する印字ステップと、
前記印字ステップで印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正ステップと、
前記補正ステップの実行要求を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにより実行要求を受信しても、該実行要求に応じずに、消費電力を削減させるべくスリープ状態に移行するまで前記補正ステップの実行を延期する延期ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置を制御する方法。
【請求項8】
パッチパターンを印字する印字ステップと、
前記印字ステップで印字されたパッチパターンを用いて出力される画像の濃度を補正する補正ステップと、
消費電力を削減させるべく、予め設定された条件が満たされるとスリープ状態に移行するスリープステップと、
前記補正ステップの実行要求を受信する受信ステップと、
前記スリープステップがスリープ状態に移行させるための条件が満たされているか判断する判断ステップと、
前記判断ステップで、スリープ状態に移行するための条件が満たされていないと判断されると、前記受信ステップから実行要求を受信しても該実行要求には応じずに、前記補正ステップによる出力される画像の濃度の補正を延期し、
前記判断ステップで、スリープ状態に移行するための条件が満たされていると判断されると、前記受信ステップから実行要求を受信すると該実行要求に応じて、前記補正ステップによる出力される画像の濃度の補正を実行する制御ステップと
を特徴とする画像形成装置を制御する方法。
【請求項9】
前記制御ステップで、前記判断ステップにて、スリープ状態に移行するための条件が満たされと判断され、前記受信ステップから実行要求を受信すると該実行要求に応じて、前記補正ステップによる出力される画像の濃度の補正を実行する出力される画像の濃度の補正が実行されると、
前記スリープステップによってスリープ状態に移行することを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置を制御する方法。
【請求項10】
前記スリープ状態とは、プリンタ部が消費する電力を削減するための状態であり、該プリンタ部の電源がオフになる状態も含むことを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置を制御する方法。
【請求項11】
前記スリープ状態に移行するための条件とは、
予め設定された時間、印刷処理を受け入れられる状態が続いた場合であることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置を制御する方法。
【請求項12】
前記補正ステップを実行した際の実行日時を保存する保存ステップをさらに有しており、
前記受信ステップにより実行要求を受信し、前記判断ステップによりスリープ状態に移行するための条件が満たされていると判断されても、
前記保存ステップにより保存された実行日時から予め定められた時間が経過するまで前記補正ステップによる補正を実行しない請求項8に記載の画像形成装置を制御する方法。
【請求項13】
請求項7乃至12に記載の画像形成装置を制御する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−220624(P2012−220624A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−84494(P2011−84494)
【出願日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】