説明

画像形成装置、画像形成方法、及びプログラム

【課題】ユーザの利便性を高めつつ、出力結果に関する文書データの画像をより適切に生成することを目的とする。
【解決手段】文書データに対応付けられた画像形成装置の属性を示す属性情報を解析し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれているか否かを判断し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていないと判断した場合、当該画像形成装置での画像の生成に用いられる記憶装置に記憶されているデフォルトの属性情報を文書データに対応付けられた属性情報で更新し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断した場合、デフォルトの属性情報を更新せず、記憶装置に記憶されている属性情報に従って文書データの画像を生成することによって課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
印刷属性情報を付与できる文書データを印刷する際に、印刷属性情報が印刷装置で処理可能かを判定し、処理不可能な印刷属性情報に関して情報を表示し、代替手段を利用者に提示する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、文書データに付与された全ての印刷属性情報を無視する印刷モードを設け、利用者に印刷モードを選択させる技術も知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−61652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、利用者は、文書データの印刷の度に文書データに付与されている印刷属性情報を確認して印刷装置の印刷モードを変更するなどの対応をする必要があるので、利便性が低くなるという問題がある。
また、文書データに付与されている印刷属性情報が容易に分離可能な形式である文書データでは、ホストコンピュータ上で文書データを表示させる場合、印刷属性情報を無視した態様で表示されることが多い。このため、文書データに付与されている印刷属性情報の一部が処理可能な印刷装置で印刷処理を行った場合、利用者が予期した出力結果と実際の出力結果とが異なるという問題がある。
【0005】
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、ユーザの利便性を高めつつ、出力結果に関する文書データの画像をより適切に生成することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで、本発明に係る画像形成装置は、文書データに対応付けられた画像形成装置の属性を示す属性情報を解析し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれているか否かを判断する判断手段と、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていないと判断された場合、当該画像形成装置での画像の生成に用いられる記憶装置に記憶されているデフォルトの属性情報を前記文書データに対応付けられた属性情報で更新し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断された場合、前記デフォルトの属性情報を更新しない更新手段と、前記記憶装置に記憶されている属性情報に従って前記文書データの画像を生成する生成手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、ユーザの利便性を高めつつ、出力結果に関する文書データの画像をより適切に生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図2】印刷システムの動作に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図3】印刷ジョブの一例を示す図である。
【図4】Webページの一例を示す図である。
【図5】デフォルトの動作モードを選択するための画面の一例を示す図である。
【図6】文書解析処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
【図7】印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図8】出力枚数の算出に用いられる表、及び算出の結果の一例を示す図である。
【図9】文書解析処理プログラムの一部に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図10】文書解析処理プログラムの一部に係るフローチャートの一例を示す図である。
【図11】印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図12】印刷処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。なお、実施形態は、本発明を限定するものではなく、また、実施形態で説明されている全ての構成が本発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示す図である。印刷システムは、ホストコンピュータ100及び印刷装置120を含んで構成される。ホストコンピュータ100及び印刷装置120は、LAN回線110を介して通信可能に接続されている。
ホストコンピュータ100は、コンピュータの一例であり、ホストコンピュータ100としては、CPU、ディスプレイ、キーボード、マウス、HDD、メモリ、ネットワーク通信用のインタフェース等を有するコンピュータを採用することができる。なお、CPUが、HDDなどに格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、ホストコンピュータ100における機能及び処理が実現される。
そして、ホストコンピュータ100は、アプリケーション部101、印刷属性付与部102、及び印刷ジョブ送信部103を有する。アプリケーション部101は、文書データを作成する。より具体的には、アプリケーション部101は、所謂ワードプロセッサなどにより実現され、ユーザ(利用者)によるキーボード、マウスなどの操作に応答して文書データを作成する。アプリケーション部101を介して作成される文書データとは、文書情報そのものと一般的なレイアウト情報とを有したデータである。また、一般的なレイアウト情報には、各ページに含まれる描画オブジェクトの位置情報の他、各ページの大きさの情報などが含まれる。
【0011】
印刷属性付与部102は、印刷装置120での印刷に係る設定(印刷属性)の内容を示す印刷属性情報を文書データに付与する(対応付ける)。より具体的には、印刷属性付与部102は、キーボード、マウスなどを介して入力された、印刷の動作に必要とされる各種の印刷属性の設定値を印刷属性情報として文書データに付与する。
ここで、印刷属性としては、出力に用いられる記録媒体の一例である用紙を指定する設定(出力用紙設定)、用紙に対するレイアウトを調整する設定(レイアウト設定)などがある。また、レイアウト設定としては、文書データを用紙上に載せる位置を指定する設定、文書データと用紙のサイズとが異なる場合に拡大縮小を指定する設定、ページの集約を指定する(N−up)設定などがある。
また、印刷属性には、印刷装置120に特有の機能の設定を含めることができる。ここで、印刷装置に特有の機能の設定としては、用紙を綴じる位置などを指定する設定(ステイプル設定)、用紙に穴をあける位置などを指定する設定(パンチ設定)、用紙の両面に印刷をするかなどを指定する設定(両面設定)等が挙げられる。
【0012】
印刷ジョブ送信部103は、印刷装置120に印刷を指示する。より具体的には、印刷ジョブ送信部103は、ユーザによる、キーボード、マウスなどの操作に応答して印刷を指示する文書データを選択し、選択した文書データをユーザが所望する印刷装置に転送する。
ここで、印刷ジョブ送信部103が印刷属性付与部102の機能を有する構成を採用してもよい。この場合、印刷ジョブ送信部103で受け付けられた印刷属性の設定値(印刷属性情報)は、文書データに付与されるわけではなく、印刷ジョブの属性情報として文書データとは別に取り扱われるものとする。なお、印刷ジョブ送信部103は、印刷属性付与部102で印刷属性情報が付与される前の文書データ及び付与された後の文書データを印刷装置120に送信可能である。
なお、印刷ジョブ送信部103は、lpr(Line Printer daemon protocol)コマンド、ホストコンピュータ100で表示される印刷装置120と双方向に通信する(インタラクティブな)Webページ等により実現される。
【0013】
印刷装置120は、画像形成装置(コンピュータ)の一例である。印刷装置120としては、CPU、操作パネル、操作ボタン、メモリ、HDD、プリント用のインタフェース、通信用のインタフェース等を有する画像形成装置(プリンタ、複合機など)を採用することができる。なお、CPUが、記憶装置(メモリ、HDDなど)に格納されたプログラムの手順に従って処理を行うことによって、印刷装置120における機能及び処理が実現される。
そして、印刷装置120は、ユーザインタフェース部121、記憶部122、印刷ジョブ受信部123、ジョブ解析部124、文書解析部125、属性判定部126、動作モード判定部127、及び印刷部128を有する。ユーザインタフェース部121は、各種のパラメータ(設定値など)を設定する。記憶部122は、各種のパラメータや各種の解析結果、印刷装置120に固有の各種のパラメータなどを記憶装置に記憶する。
【0014】
印刷ジョブ受信部123は、ホストコンピュータ100から送信される印刷ジョブを受信する。ジョブ解析部124は、受信された印刷ジョブ(ジョブ)を解析する。文書解析部125は、印刷ジョブに含まれる(ジョブで指示された)文書データを解析する。
属性判定部126は、印刷ジョブの文書データに付与された印刷属性情報と記憶部122により格納されている各種のパラメータとによって、文書データに含まれている印刷属性情報が印刷装置120で処理可能であるか否かを判断する。動作モード判定部127は、後述する動作モードを判定する。印刷部128は、文書解析部125の解析結果などに基づいて文書データの印刷処理を行う。
【0015】
次に、図2を参照して、印刷システムの動作について説明する。図2は、印刷システムの動作に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、アプリケーション部101は、ユーザによる、キーボード、マウスなどの操作(ユーザ指示)に応答して文書データを生成(形成)する(S201)。続いて、印刷属性付与部102は、ユーザ指示に基づいて入力された文書データに印刷属性情報を付与する(S202)。続いて、印刷ジョブ送信部103は、印刷を開始する旨のユーザ指示を契機として、ユーザ指示に基づいて設定された内容に従って印刷ジョブを送信(伝送)する(S203)。本実施形態では、印刷ジョブ送信部103がLAN回線110を介して印刷ジョブを印刷装置120に送信した場合を例に挙げて説明する。なお、印刷ジョブ送信部103により送信された印刷ジョブは、印刷装置120の印刷ジョブ受信部123で受信される。
【0016】
続いて、ジョブ解析部124は、印刷ジョブ受信部123で受信された印刷ジョブの解析を行う(S204)。印刷ジョブに含まれている印刷属性情報は、記憶部122により記憶装置に格納される。
続いて、文書解析部125は、ジョブ解析部124の解析結果に基づき、印刷ジョブに含まれる文書データの解析を行う(S205)。文書解析部125は、動作モード判定部127及び属性判定部126と協調して文書データの解析を行う。このとき、文書解析部125は、記憶部122を介して記憶装置に記憶されている、印刷装置120での印刷の設定に用いられる初期設定の情報(印刷設定情報)の更新も行う。S205の処理の詳細については図6を参照して説明する。
続いて、印刷部128は、文書解析部125による解析結果と記憶装置に記憶されている各種のパラメータとに基づき印刷処理を行う(S206)。
【0017】
図3(A)は、印刷ジョブの一例(印刷ジョブ300)を示す図である。印刷ジョブ300は、基本的には、ジョブ制御部310、属性部311、及び文書部312を含んで構成される。ただし、図3(B)に示すように、印刷ジョブ300は、属性部311が含まれないで構成されることもある。
ジョブ制御部310には、印刷ジョブ送信部103で設定されたジョブの制御に係る設定情報が含まれる。また、属性部311には、印刷属性付与部102で付与された印刷属性情報が含まれる。また、文書部312には、アプリケーション部101により生成された文書データが含まれる。
なお、印刷ジョブ送信部103は、印刷属性付与部102で印刷属性情報が付与されていない文書データを送信することも可能であり、その場合の印刷ジョブは、図3(B)に示すような構造となる。
【0018】
図4は、印刷ジョブ送信部103を構成するインタラクティブなWebページの一例(Webページ400)を示す図である。Webページ400は、ユーザインタフェース部121によって生成されてホストコンピュータ100に提供され、ホストコンピュータ100のWebブラウザ上に表示される。
Webページ400は、印刷を指示する文書データを入力するテキストボックス410、及びホストコンピュータ100に保存されている文書データを選択するダイアログボックスを表示するボタン411を有する。テキストボックス410には、ホストコンピュータ100の文書データ以外に、インターネットやLANなどを介して接続されている別のコンピュータにある文書データ、印刷装置120に保存されている文書データ等の場所(位置)を入力することができる。
ラジオボタン420は、文書解析部125の動作モードの選択を受け付ける。なお、動作モードについては後述する。チェックボックス430は、印刷属性の設定値の入力を受け付ける。なお、チェックされた項目(印刷属性)の設定値が印刷属性情報として属性部311に含まれることになる。印刷開始ボタン440は、印刷の開始の指示を受け付け、印刷開始ボタン440が押下されると、印刷ジョブ送信部103は、Webページ400で指定された設定値(各種のパラメータ)に基づき、印刷ジョブを生成して印刷装置120に送信を開始する。
【0019】
図5は、印刷装置120に設けられた操作パネルに表示される、文書解析部125のデフォルトの動作モードを選択するための画面の一例(動作モード設定画面500)を示す図である。なお、動作モードについては後述する。動作モード設定画面500を介して、すなわち入力装置の一例である操作パネルのユーザによる操作(ユーザ操作)に応答して設定された設定値は、記憶装置に記憶される。動作モード設定画面500は、ユーザインタフェース部121によって表示される。
また、ユーザインタフェース部121は、各種の印刷属性のデフォルトの設定値(デフォルト値)を設定するための画面(デフォルト設定画面)を印刷装置120の操作パネルに表示する。デフォルト設定画面を介して設定された設定値は、記憶部122によりデフォルト値として記憶装置に保存される。なお、本実施形態では、デフォルト設定画面を介して設定された設定値が印刷設定情報の初期値とされ、必要に応じて印刷ジョブの印刷属性情報で印刷設定情報が更新され、当該印刷ジョブの印刷設定情報が管理される。詳細については図6を参照して説明する。
【0020】
ラジオボタン420及び動作モード設定画面500を介して指定される設定値は、文書解析部125の動作モードを選択するための値である。動作モードとは、処理の対象の文書データに印刷属性情報が付与されていた場合の印刷属性情報の取扱い方法を規定するものである。
より具体的には、「プリントチケットの設定を有効にする」とは、文書データに付与された印刷属性情報を解析し、印刷装置120で処理可能な属性については文書データに付与された印刷属性情報(指定された設定値)に基づき解析を行うモードである。以下では、動作モード「プリントチケットの設定を有効にする」を動作モード「有効」と称する。
【0021】
「プリントチケットの設定を無視する」とは、文書データに付与された印刷属性情報の解析を行わず、ジョブ解析部124やユーザインタフェース部121で設定された設定値に従って解析を行うモードである。以下では、動作モード「プリントチケットの設定を無視する」を動作モード「無視」と称する。
「自動判定する」とは、文書データに付与された印刷属性情報を解析した上で、設定された印刷装置120の属性の種類に応じて文書データに付与された印刷属性情報を全て無視して解析するか、無視せずに解析するかを自動的に選択して解析を行うモードである。以下では、動作モード「自動判定する」を動作モード「自動判定」と称する。
【0022】
次に、図6を参照して、文書解析部125の動作について主に説明する。図6は、文書解析処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、動作モード判定部127は、記憶部122により格納されている印刷ジョブにおける動作モードを識別する値を読み出し、動作モードが「無視」であるかを判定する(S601)。このとき、動作モードが「無視」ではないと動作モード判定部127が判断した場合、S602の処理が行われる。他方、動作モードが「無視」であると動作モード判定部127が判断した場合、S606の処理が行われる。なお、動作モード判定部127は、印刷ジョブの動作モードを識別する値が記憶装置に記憶されていない場合は、デフォルトの動作モードの値を読み込む。
【0023】
S602では、文書解析部125は、文書データに付与された印刷属性情報の解析を行う。続いて、動作モード判定部127は、動作モードが「有効」であるかを判定する(S603)。このとき、動作モードが「有効」でないと動作モード判定部127が判断した場合、S604の処理が行われる。他方、動作モードが「有効」であると動作モード判定部127が判断した場合、S605の処理が行われる。
S604では、属性判定部126は、S602で解析された文書データに付与された印刷属性情報の全てが印刷装置120で処理可能な情報であるかを判定する。このとき、文書データに付与された印刷属性情報の一部又は全てが印刷装置120で処理可能な情報でないと属性判定部126が判断した場合、S606の処理が行われる。他方、文書データに付与された印刷属性情報の全てが印刷装置120で処理可能な情報であると属性判定部126が判断した場合、S605の処理が行われる。
【0024】
S605では、文書解析部125は、属性のマージを行う。より詳細に説明すると、S604で文書データに付与された印刷属性情報の全てが印刷装置120で処理可能な情報であると判断された場合、文書解析部125は、文書データに付与されていた印刷属性情報で対応する印刷設定情報を上書きする。また、S603で動作モードが「有効」であった場合、文書解析部125は、印刷装置120で処理可能な印刷属性情報のみを対応する印刷設定情報に上書きする。
S606では、文書解析部125は、文書データを解析する。より詳細に説明すると、S601で動作モードが「無視」であると判断した場合には、文書解析部125は、印刷設定情報(初期値)に従って印刷属性以外の文書データの解析を行う。また、その他の場合には、文書解析部125は、上書きされた印刷設定情報に従って印刷属性以外の文書データの解析を行う。
【0025】
以上の構成により、印刷装置は、文書データに付与されている印刷属性情報に応じて、その取扱いを変更することが可能になる。すなわち、印刷装置が、文書データに付与されている印刷属性情報に応じて、印刷属性情報の取扱いを自動的に変更することが可能になるので、ユーザにとってみれば、文書データに付与されている印刷属性情報を確認する手間を省くことができるようになる。
また、動作モードが「自動判定」である場合、文書データにどのような印刷属性情報が付与されていようと、文書データに付与されている印刷属性情報に応じて文書データの解析処理が行われるので、ユーザは、実際に印刷処理が開始されるのを待つ必要がなくなる。
また、印刷装置は、動作モードによっては文書データに付与されている印刷属性情報の解析を行わないので、この場合には文書データの解析を高速に行うことが可能になる。
【0026】
<第2の実施形態>
第1の実施形態では、文書解析部125の動作モードが「自動判定」であり、印刷装置120で処理不可能な印刷属性情報が含まれていた場合、ユーザに問い合わせることなく文書データに付与された全ての印刷属性情報が無視されて出力される例について説明した。しかしながら、設定されている属性によっては、そのような出力が望まれていない場合がある。
そこで、第2の実施形態では、図7に示すような印刷システムを想定する。以下では、第1の実施形態と異なる主な構成について説明する。ホストコンピュータ100は、LAN回線110を介して、印刷装置700、710、720と通信可能に接続されている。印刷装置700は、「両面印刷」と「ステイプル」とを行う機能(能力)を有する。印刷装置710は、「両面印刷」を行う機能を有する。印刷装置720は、「ステイプル印刷」を行う機能を有する。
【0027】
本印刷システムにおいて、「両面印刷」と「ステイプル」とその両方である「両面印刷+ステイプル」との何れかの印刷属性情報が付与されている文書データが印刷されるケースを考える。この場合、設定されている動作モードと、文書データに付与されている印刷属性情報(文書の属性設定)と、印刷装置(処理可能な設定)と、の関係は、図8(A)に示す表のようになる。
ここで、「A:両面」は、両面印刷はされるが、ステイプルはされずに文書データが出力されることを示す。「B:ステイプル」は、ステイプルはされるが、両面印刷はされずに文書データが出力されることを示す。「C:両面+ステイプル」は、両面印刷もステイプルもされて文書データが出力されることを示す。「Z」は、両面印刷もステイプルもされずに文書データが出力されることを示す。
【0028】
図8(B)の表には、文書データが4ページ分のデータである場合に、「A:両面」、「B:ステイプル」、「C:両面+ステイプル」、「Z」の結果として出力される用紙の枚数(出力枚数)が示されている。
ここで、図8(A)、(B)を参照して、処理可能な設定が両面である印刷装置710において、動作モードが「有効」及び「自動判定」の各々の場合に、文書データに付与されている印刷属性情報が「両面+ステイプル」であるときの出力枚数について説明する。この例では、動作モードが「有効」の場合、出力枚数は「2」であり、動作モードが「自動判定」の場合、出力枚数は「4」である。このように、動作モードが「有効」の場合に比べて動作モードが「自動判定」の場合の方が、出力枚数が増える事態が生じることがわかる。
そこで、本実施形態における印刷装置700、710、720では、動作モード「自動判定」と動作モード「有効」とでの出力枚数を比較し、動作モード「自動判定」の場合の出力枚数が多くなってしまう場合には、文書データの印刷の処理を中止する。
【0029】
図9を参照して、印刷ジョブの印刷を中止する構成の一例を説明する。図9は、文書解析処理プログラムの一部に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、動作モード判定部127は、動作モードを判定する(S901)。このとき、動作モードが「自動判定」であると動作モード判定部127が判断した場合、S902の処理が行われる。他方、動作モードが「自動判定」でないと動作モード判定部127が判断した場合、S905の処理が行われる。
S902では、文書解析部125は、動作モードが「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数を計算(算出)する。また、文書解析部125は、動作モードが「有効」で文書データを解析したときの出力枚数を計算する。
【0030】
続いて、文書解析部125は、S902で計算したそれぞれの出力枚数の比較を行う(S903)。このとき、動作モードが「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数が、動作モードが「有効」で文書データを解析したときの出力枚数よりも多い場合、文書解析部125は、S904の処理を行う。他方、動作モードが「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数が、動作モードが「有効」で文書データを解析したときの出力枚数よりも少ない若しくは等しいと文書解析部125が判断した場合、S905の処理が行われる。
S904では、文書解析部125は、印刷ジョブの文書解析処理を中断し、文書データの印刷の処理を中止(ジョブをキャンセル)する。S905では、図6の文書解析処理が行われる。
【0031】
以上の構成により、例えば動作モードが「自動判定」に設定された印刷装置において、動作モードが「有効」に設定されている場合に比べて出力枚数が多くなってしまうジョブの取消を自動的に行うことが可能になる。
【0032】
<第3の実施形態>
第2の実施形態では、動作モードが「自動判定」の場合と動作モードが「有効」の場合との出力枚数を比較して、自動的に文書データの印刷の処理を中止している。しかしながら、印刷の処理を中止する代わりに、動作モードが「有効」である場合と同等の出力を行うことが望ましい場合もある。以下では、第2の実施形態と異なる主な構成について説明する。
本実施形態に係る印刷装置は、まず、動作モード「自動判定」と動作モード「有効」とでの出力枚数を比較する。さらに印刷装置は、動作モード「自動判定」の場合の出力枚数が多くなってしまう場合、「ジョブをキャンセルする」及び「文書データに付与された印刷属性情報の解析結果に従って文書を解析する」の何れかを規定する第2の動作モードを有する。第2の動作モードを識別する値は、ジョブをキャンセルすることを許可するか否かを示す値であり、ユーザインタフェース部121を介して設定され、記憶部122により記憶装置に保持される。
【0033】
図10を参照して、印刷ジョブの印刷を中止する構成の一例を説明する。図10は、文書解析処理プログラムの一部に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、動作モード判定部127は、文書解析部125の動作モードを判定する(S1001)。このとき、文書解析部125の動作モードが「自動判定」であると動作モード判定部127が判断した場合、S1002の処理が行われる。他方、文書解析部125の動作モードが「自動判定」でないと動作モード判定部127が判断した場合、S1007の処理が行われる。
【0034】
S1002では、文書解析部125は、動作モードが「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数を計算すると共に、動作モードが「有効」で文書データを解析したときの出力枚数を計算する。
続いて、文書解析部125は、S1002で計算したそれぞれの出力枚数の比較を行う(S1003)。このとき、文書解析部125が、動作モード「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数が動作モード「有効」で文書データを解析したときの出力枚数よりも多いと判断した場合、S1004の処理が行われる。他方、動作モード「自動判定」で文書データを解析したときの出力枚数が動作モード「有効」で文書データを解析したときの出力枚数よりも少ない若しくは等しいと文書解析部125が判断した場合、S1007の処理が行われる。
【0035】
S1004では、動作モード判定部127は、第2の動作モードを識別する値を参照し、第2の動作モードが「ジョブをキャンセルする」であるかを判定する。このとき、第2の動作モードが「ジョブをキャンセルする」であると動作モード判定部127が判断した場合、S1006の処理が行われる。他方、第2の動作モードが「ジョブをキャンセルする」でないと動作モード判定部127が判断した場合、S1005の処理が行われる。
S1005では、文書解析部125は、解析した文書データに付与された印刷属性情報のうちの出力枚数に係る印刷属性情報を対応する印刷設定情報に上書きする。さらに、文書解析部125は、上書きされた印刷設定情報に基づき、印刷属性以外の文書データの解析を行う。S1006では、文書解析部125は、印刷ジョブの文書解析処理を中断し、ジョブをキャンセルする。S1007では、図6の文書解析処理が行われる。
【0036】
以上の構成により、例えば動作モードが「自動判定」に設定された印刷装置では、動作モードが他の動作モード時に比べて出力枚数が多くなる印刷ジョブに対して、他の動作モードと同等の出力枚数になるように文書データを自動的に解析することが可能になる。
【0037】
<第4の実施形態>
第1の実施形態乃至第3の実施形態では、印刷ジョブは、LAN回線110を経由して印刷装置に投入されていたが、本実施形態では、印刷装置の操作パネルを操作することにより印刷ジョブが投入されるケースを例に挙げて説明する。
図11は、本実施形態に係る印刷システムの構成の一例を示す図である。なお、図11に示す構成と図1に示す構成とが同じものについては同じ符号を付して説明を省略する。
【0038】
印刷装置1100は、印刷ジョブ受信部1130、ジョブ解析部1140、属性判定部1160、及び外部記憶接続部1180を有する。印刷ジョブ受信部1130は、ホストコンピュータ100から送信される印刷ジョブ、印刷装置1100の操作パネルを介して投入される印刷ジョブを受信する。ジョブ解析部1140は、印刷ジョブ受信部1130で受信された印刷ジョブ(ジョブ)を解析する。また、ジョブ解析部1140は、印刷ジョブがホストコンピュータ100から送信されたか、印刷装置1100の操作パネルから投入されたかを判定する。
属性判定部1160は、印刷ジョブに含まれる文書データに付与された印刷属性情報と記憶部122により格納されている各種のパラメータとによって、文書データに含まれている印刷属性情報が印刷装置120で処理可能であるか否かを判断する。また、属性判定部1160は、ジョブ解析部1140の判定結果に従って、文書データに付与された印刷属性情報の取扱いをユーザに問い合わせる画面を生成して表示する。外部記憶接続部1180は、文書データが格納された外部記憶装置を印刷装置1100に接続する。
【0039】
印刷装置1100の操作パネルから投入される印刷ジョブのジョブは、例えば、外部記憶接続部1180に接続可能な外部記憶装置に格納された文書データを印刷するジョブである。なお、インターネットやLANを介して接続されている別のコンピュータ上にある文書データ、印刷装置1100に内蔵される記憶装置に保存された文書データなどを印刷するジョブでもよい。
【0040】
次に、図12を参照して、印刷装置1100の動作について説明する。図12は、印刷処理プログラムに係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、印刷ジョブ受信部1130は、印刷ジョブを受け付ける(S1201)。続いて、ジョブ解析部1140は、受け付けられた印刷ジョブを解析する。この処理は、図2のS204と同様の処理であるので説明を省略する。続いて、ジョブ解析部1140は、受け付けられた印刷ジョブがネットワーク経由でホストコンピュータ100から送信された印刷ジョブであるか、印刷装置1100の操作パネルから投入された印刷ジョブであるかを判定する(S1202)。このとき、ネットワーク経由で投入された印刷ジョブであるとジョブ解析部1140が判断した場合、印刷装置1100は、第1の実施形態で説明した文書解析処理及び印刷処理と同様な処理(図2のS205、S206の処理など)を行う(S1203)。他方、印刷装置1100の操作パネルから投入された印刷ジョブであるとジョブ解析部1140が判断した場合、S1204の処理が行われる。
【0041】
S1204では、文書解析部125は、投入された印刷ジョブの文書データに付与された印刷属性情報を解析する。続いて、属性判定部1160は、S1204で解析された文書データに付与された印刷属性情報の全てが印刷装置1100で処理可能な印刷属性情報であるかを判定する(S1205)。このとき、属性判定部1160は、文書データに付与された印刷属性情報の一部又は全てが印刷装置1100で処理可能な印刷属性情報でなかったと判断した場合、S1206の処理を行う。他方、文書データに付与された印刷属性情報の全てが印刷装置1100で処理可能な印刷属性情報であったと属性判定部1160が判断した場合、S1207の処理が行われる。
S1206では、属性判定部1160は、文書データに付与された印刷属性情報を無視するか問い合わせるための画面を印刷装置1100の操作パネルに表示する。このとき、操作パネルを介して「印刷属性情報を無視する」が指示された場合、S1208の処理が行われ、他方、「印刷属性情報を無視する」が指示されなかった場合、S1207の処理が行われる。
【0042】
S1207では、文書解析部125は、印刷設定情報を更新する。より詳細に説明すると、S1205で文書データに付与された印刷属性情報の全てが当該印刷装置で処理可能な情報であると判断された場合、文書解析部125は、S1204で解析した文書データに付与された印刷属性情報で、対応する印刷設定情報を上書きする。また、S1206で「印刷属性情報を無視する」が指示されなかった場合、文書解析部125は、S1204において印刷装置1100で処理可能な解析した文書データに付与された印刷属性情報で、対応する印刷設定情報を上書きする。
続いて、S1208では、文書解析部125は、印刷設定情報に基づき、印刷属性以外の文書データの解析を行う。なお、S1206においてユーザの入力が「印刷属性情報を無視する」であった場合、文書解析部125は、S1204で解析した印刷属性情報を無視して印刷属性以外の文書データの解析を行う。そして、印刷部128は、文書解析部125の解析結果と記憶部122に記憶されている各種のパラメータとに基づき印刷処理を行う(S1209)。
【0043】
以上の構成により、印刷装置は、操作パネルを介して投入された印刷ジョブであり、文書データに付与された印刷属性情報が当該印刷装置で処理不可能である場合に限り、文書データに付与されている印刷属性情報の取扱いをユーザに問い合わせることが可能になる。
【0044】
<その他の実施形態>
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(又はCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0045】
上述した実施形態の構成によれば、ユーザの利便性を高めつつ、出力結果に関する文書データの画像をより適切に生成することができる。
【0046】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文書データに対応付けられた画像形成装置の属性を示す属性情報を解析し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれているか否かを判断する判断手段と、
当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていないと判断された場合、当該画像形成装置での画像の生成に用いられる記憶装置に記憶されているデフォルトの属性情報を前記文書データに対応付けられた属性情報で更新し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断された場合、前記デフォルトの属性情報を更新しない更新手段と、
前記記憶装置に記憶されている属性情報に従って前記文書データの画像を生成する生成手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記文書データに対応付けられた属性情報のうちの、前記生成手段により生成される画像が記録される記録媒体の数に係る属性の属性情報をもとに前記記録媒体が出力される数を算出すると共に、前記デフォルトの属性情報のうちの前記記録媒体の数に係る属性の属性情報をもとに前記記録媒体が出力される数を算出する算出手段と、
前記文書データの属性情報をもとに算出される前記記録媒体の数が前記デフォルトの属性情報をもとに算出される前記記録媒体の数よりも大きい場合、前記文書データのジョブを取り消す取消手段と、
を更に有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記取消手段は、前記文書データの属性情報をもとに算出される前記記録媒体の数が前記デフォルトの属性情報をもとに算出される前記記録媒体の数よりも大きい場合、前記ジョブを取り消すことを許可するか否かを示す前記記憶装置に記憶されている値を読み出し、読み出した値が前記ジョブを取り消すことを許可することを示す値であると判断したとき、前記ジョブを取り消し、
前記判断手段は、前記ジョブを取り消すことを許可することを示す値でないと前記取消手段で判断された場合、前記文書データに対応付けられた属性情報のうちの前記記録媒体の数に係る属性の属性情報で前記デフォルトの属性情報のうちの前記記録媒体の数に係る属性の属性情報を更新することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記判断手段は、前記文書データが入力装置を介して入力されたか否かを更に判断し、
前記更新手段は、前記文書データが前記入力装置を介して入力され、かつ当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断された場合、前記デフォルトの属性情報を更新するか否かを指示するユーザ操作を受け付け、前記デフォルトの属性情報を更新する指示であると判断したとき、前記文書データに対応付けられた属性情報のうち当該画像形成装置に対応している属性の属性情報について前記デフォルトの属性情報を更新することを特徴とする請求項1乃至3の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
文書データに対応付けられた画像形成装置の属性を示す属性情報を解析し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれているか否かを判断する判断工程と、
当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていないと判断された場合、当該画像形成装置での画像の生成に用いられる記憶装置に記憶されているデフォルトの属性情報を前記文書データに対応付けられた属性情報で更新し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断された場合、前記デフォルトの属性情報を更新しない更新工程と、
前記記憶装置に記憶されている属性情報に従って前記文書データの画像を生成する生成工程と、
を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項6】
コンピュータを、
文書データに対応付けられた画像形成装置の属性を示す属性情報を解析し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれているか否かを判断する判断手段と、
当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていないと判断された場合、当該画像形成装置での画像の生成に用いられる記憶装置に記憶されているデフォルトの属性情報を前記文書データに対応付けられた属性情報で更新し、当該画像形成装置に対応していない属性の属性情報が含まれていると判断された場合、前記デフォルトの属性情報を更新しない更新手段と、
前記記憶装置に記憶されている属性情報に従って前記文書データの画像を生成する生成手段と、
して機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−89022(P2012−89022A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−236702(P2010−236702)
【出願日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】