説明

画像形成装置、画像形成方法、情報処理システム、情報処理方法およびコンピュータプログラム

【課題】画像形成装置間でデータを移行するときに、ある機能が移行先の画像形成装置に存在しなかった場合であっても、ユーザが想定した通りの印刷を可能にする。
【解決手段】ステップS701において、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップS702において、画像形成装置Aは画像形成装置Bの機器情報を受信する。ステップS703において、画像形成装置Aは、受信した機器情報に基づいて、画像データで有効になっている設定が画像形成装置Bに存在していない場合、画像形成装置Bで扱える形式に画像データを変換する。ステップS704において、画像形成装置Aは、変換した画像データを画像形成装置Bに送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、画像形成方法、情報処理システム、情報処理方法およびコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複合機等の画像形成装置は、スキャンした画像データを記憶装置に保存する機能の他に、セキュリティ機能を備えているものがある。セキュリティ機能とは、例えば、印刷時に画像に「Confidential」等の文字を挿入する地紋機能、印刷した原稿を再コピーできなくするスキャンガード機能、用紙がいつどこで印刷されたかといった画像追跡機能等をいう。例えば、特許文献1は、文書データを外部装置に送信する処理が指定された場合に、HDD内の文書に印刷の機能制限設定がなされているときには、印刷する文書に地紋画像を合成する画像形成装置を開示している。
【0003】
また、システム管理者が、複数のセキュリティ機能を持つ画像形成装置を管理しており、使用するユーザが増加したため、セキュリティ機能を持たないが価格が安い画像形成装置を追加する場合がある。また、あるユーザは、新たに追加された安価な画像形成装置の位置が自分に近いため、既存の画像形成装置から新たなに追加した画像形成装置へ保存されている自分のデータを移行したい場合がある。また、システム管理者が、複数のセキュリティ機能を持つ画像形成装置を管理しており、既存の画像形成装置を新しい画像形成装置にリプレイスする場合がある。そして、あるユーザは既存の画像形成装置に保存されたデータをリプレイスする画像形成装置に引き継ぎたい場合がある。
【0004】
このような場合、例えば、特許文献2は、ネットワークから探索された端末のうち、未登録の端末をリスト表示し、その中からリプレイス先を選択すると、リプレイス元機器情報がリプレイス先機器情報で置換する画像形成装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−17059号公報
【特許文献2】特開2007−199958号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に開示された画像形成装置では、記憶装置に保存した画像データにセキュリティ機能、例えば地紋機能を使うかどうかといった情報が付加されているため、複数の画像形成装置間で画像データを単純に移行することができない場合がある。例えば、価格が安い画像形成装置を追加する場合、その安価な画像形成装置がそのセキュリティ機能を有していない場合がある。この場合、画像データを安価な画像形成装置にそのまま移行しても、セキュリティ機能が無効となってしまい、結果としてユーザが想定した通りの印刷ができないという問題がある。
【0007】
また、既存の画像形成装置を新しい画像形成装置にリプレイスする際に、セキュリティ機能の一部のオプションを追加せず、他の拡張機能をオプション追加する場合がある。このような場合において、例えばセキュリティ機能の一部に変更がある場合もある。この場合も、画像データを安価な画像形成装置にそのまま移行しても、セキュリティ機能が無効となり、結果としてユーザが想定した通りの印刷ができないという問題がある。
【0008】
さらに、特許文献2に開示された画像形成装置では、機器をリプレイスするときにアドレス帳等の機器情報を簡単に引き継がせることができるが、画像データに設定された機能を移行先の画像形成装置に引き継ぐ機能は備えていない。したがって、特許文献2に開示された画像形成装置によって装置をリプレイスし、画像データを新たな画像形成装置にそのまま移行しても、例えばセキュリティ機能が無効となり、ユーザが想定した通りの印刷ができないという問題がある。
【0009】
そこで、本発明は上記課題に鑑みて、画像形成装置間でデータを移行するときに、ある機能が移行先の画像形成装置に存在しなかった場合であっても、ユーザが想定した通りの印刷を可能にする画像形成装置等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る画像形成装置は、データを送信する先である送信先装置の機器情報を取得する機器情報取得手段と、前記送信先装置の機器情報に基づいて、前記送信先装置が扱うことができない機能を特定する機能特定手段と、前記送信先装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能を用いて前記データを変換する変換手段と、変換されたデータを前記送信先装置に対して送信する送信手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本実施形態によれば、画像形成装置間でデータを移行するときに、ある機能が移行先の画像形成装置に存在しなかった場合であっても、移行元の画像形成装置の機能を使って画像を変換することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】コントローラ部のブロック図である。
【図3】画像形成装置のソフトウェア構成を示すブロック図である。
【図4】機器情報を管理するテーブルを示す図である。
【図5】地紋機能について示す概念図である。
【図6】スキャンガード機能について示す概念図である。
【図7】第1実施形態で画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【図8】第1実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図9】第2実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図10】第3実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図11】第4実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図12】第5実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図13】第6実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図14】第7実施形態で画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【図15】第7実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図16】第7実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図17】第8実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図18】第9実施形態で画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【図19】第9実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図20】第10実施形態で画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【図21】第10実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図22】第11実施形態で画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【図23】第11実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【図24】第11実施形態の動作処理を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための形態について詳細に説明する。本実施形態では、プリント、コピー、ファックス、スキャン等の複数の機能を備え、ネットワークに接続可能な複合機を例として説明する。
【0014】
<第1の実施形態>
図1は、第1の実施形態である画像形成装置の一例を示す図である。画像形成装置100は、イーサネット(登録商標)等のLAN8を介してホストコンピュータ9に接続されている。画像形成装置100は、画像データの読取処理を行うスキャナ装置(リーダ部)2と、画像データの印刷処理を行うプリンタ装置(プリンタ部)4、操作部5、画像記憶部(ハードディスク)6、FAX装置7及びコントローラ(制御装置)3とを有している。操作部5は、画像データの入出力操作を行うキーボード及び画像データや各種機能の表示/設定などを行う液晶パネルを備える。記憶部(HDD)6は、リーダ部2を制御して読み込んだ画像データや、LAN8を介してホストコンピュータ9より受信したコードデータから生成される画像データを格納する。コントローラ3は、これら各構成要素に接続され、これら構成要素を制御する。
【0015】
リーダ部2は、原稿を搬送する原稿給紙ユニット21と、その原稿を光学的に読み取って電気信号としての画像データに変換するスキャナユニット22とを有している。FAXユニット7は、電話回線10を介してファクシミリデータを送受信する。またプリンタ部4は、シートを収容する複数段の給紙カセットを備えた給紙ユニット42と、画像データをシートに転写して定着するマーキングユニット41とを有している。さらに、印刷されたシートにソート処理やステイプル処理を施して外部に排出する排紙ユニット43を有している。
【0016】
コントローラ3は、リーダ部2を制御して原稿の画像データを読み込み、プリンタ部4を制御して、その画像データをシートに印刷するコピー機能を提供する。また、リーダ部2で読み取った画像データをコードデータに変換し、ネットワーク8を介してホストコンピュータ9へ送信するスキャナ機能を有している。またホストコンピュータ9からネットワーク8を介して受信したコードデータを画像データに変換し、プリンタ部4に出力して印刷するプリンタ機能やその他の機能ブロックを有している。
【0017】
上述した画像形成装置100は、大きく分けて複写機能、画像送信機能、画像保存機能、画像印刷機能、及びファクシミリ受信機能を有している。複写機能は、リーダ部2から入力した画像データをハードディスク6に記憶するとともに、プリンタ部4により印刷するものである。画像送信機能は、リーダ部2から入力した画像データをLAN8を介してホストコンピュータ9に送信する機能である。画像保存機能は、リーダ部2から入力した画像データをハードディスク6に記憶し、必要に応じて画像データの送信や印刷を行なう機能である。また画像印刷機能は、ホストコンピュータ9から送信された例えばページ記述言語を解析し、プリンタ部4で印刷する機能である。またファクシミリ受信機能は、FAXユニット7が電話回線から画像データを受信してプリンタ部4で印刷するか、又は、ハードディスク6に保存する機能である。また、スキャナユニット22から読み込んだデータをハードディスク6に保存して、FAXユニット7を介して電話回線へデータを送信することもできる。また、これらの機能は、各ハードウェアデバイスを排他的に制御し、見かけ上同時に実行することが可能である。
【0018】
次に、図2を参照して、画像形成装置100のコントローラ3のハードウェア構成について説明する。図1と共通する部分は同一の参照番号で示している。なお、図2は簡略化して示している。例えば後述するCPU201、CPU221等にはチップセット、バスブリッジ、クロックジェネレータ等のCPU周辺ハードウェアが多数含まれているが、簡略化のためにこれらを省略して記述している。コントローラ3は、メインボード200と、サブボード220とを備える。メインボード200は、第1制御手段として機能し、画像形成装置100を統括的に制御する制御基板である。また、サブボード220は、第2制御手段として機能し、画像形成装置100が提供する機能の中で高速な画像処理を必要とする機能を制御する制御基板である。
【0019】
メインボード200は、所謂汎用のCPUシステムで、メインボード200全体を制御するCPU201、ブートプログラムが含まれるブートROM202、CPU201がワーク領域として使用するメモリ203を有している。また、外部バスとのブリッジ機能を持つバスコントローラ204、不揮発メモリ205(バッテリ等によりバックアップされたメモリであっても良い)を含む。さらに、メインボード200は、半導体デバイスで構成された比較的小容量なストレージ装置であるフラッシュディスク(SSD等)207を含む。さらに、メインボード200は、当該フラッシュディスク207を制御するディスクコントローラ206、及びUSBメモリ209を制御するUSBコントローラ208を含む。メインボード200は、図2に示すように、USBメモリ209、及び操作部5に接続されている。ハードディスク6は、ディスクコントローラ229によって制御される。
【0020】
サブボード220は、比較的小さな汎用CPUシステムと、画像処理用のハードウェアで構成される。サブボード220はCPU221、当該CPU221がワーク領域として使用するメモリ223、外部バスとのブリッジ機能を持つバスコントローラ224、及び不揮発メモリ225を有している。さらに、サブボード220は、リアルタイムでデジタル画像処理を行なう画像処理部227、デバイスコントローラ226を有する。サブボード220は、図2に示すように、プリンタ部4、リーダ部2、及びFAXユニット7に接続されている。
【0021】
上述したリーダ部2及びプリンタ部4は、それぞれデバイスコントローラ226を介して画像処理部227との間でデジタル画像データの受け渡しを行なう。FAXユニット7は、CPU221によって直接制御される。このように、本実施形態に係る画像形成装置100では、メインの大容量記憶装置となるハードディスク6がサブボード220側に接続され、メインボード200側にはバスコントローラ224、204を介して間接的に接続される。
【0022】
次に複写機能を例にして、コントローラ3の動作を説明する。ユーザが操作部5から複写を指示すると、CPU201がCPU221を介してリーダ部2に読取処理を実行する画像読取命令を送る。これによりリーダ部2は、原稿を光学的にスキャンしてデジタル画像データに変換してデバイスコントローラ226を介して画像処理部227に入力する。画像処理部227はCPU221を介してメモリ223にDMAにより画像データを格納する。
【0023】
CPU201はデジタル画像データがメモリ223に一定量もしくは全て記憶されたことを確認すると、CPU221を介してプリンタ部4に印刷指示を出す。CPU221は画像処理部227にメモリ223の画像データの位置を教える。そしてプリンタ部4からの同期信号に従ってメモリ223上の画像データは、画像処理部227とデバイスコントローラ226を介してプリンタ部4に送信され、プリンタ部4によりシート上に印刷される。
【0024】
また、複数部の印刷を行なう場合には、CPU201は、原稿を一度しか読み取らないため、メモリ223の画像データをハードディスク6に対して保存する。具体的には、CPU201は、メモリ223の画像データを一旦ハードディスク6がアクセス可能なRAMへ転送し、ハードディスク6に対して保存を行う。したがって、2部目以降は、当該ハードディスク6から画像データを読み出し、プリンタ部4によって印刷される。
【0025】
図3は、図1に示した画像形成装置100のソフトウェア構成を示すブロック図である。図3において、機器情報配信処理部401は、機器情報サービス提供側デバイスにおける、各種配信情報の生成、配信情報の送受信等のサービスに関連するさまざまな処理を実行するための処理を行うモジュールである。そして、機器情報配信処理部401は、機器情報配布サービス配信側および受信側デバイスにおける、各種配信情報のサービスに関するさまざまな処理を行う。
【0026】
ネットワークドライバ406は、図1に示すネットワーク8とのデータ送受信の制御を行う。TCP/IP制御部405は、TCP/IPプロトコルによるデータの送受信及び制御を行う。HTTP制御部404は、HTTPプロトコルのサーバあるいはクライアント機能を有している。HTTP制御部404は上位アプリケーションの指示によりHTTPリクエストパケットを生成し、そのデータをネットワーク上の各印刷デバイスに送信する。そして、HTTP制御部404は、印刷デバイスから送信された、HTTPレスポンスパケットを解析して、データをSOAP制御部402、機器情報配信処理部401や印刷制御部412等の上位アプリケーションに引き渡す処理を行う。
【0027】
一方、HTTP制御部404は、ネットワーク上の各デバイスから機器情報配信に関するデータを受信する場合には、受信したHTTPリクエストパケットを解析する。そして、解析したデータをSOAP制御部402、機器情報配信処理部401や印刷制御部412等の上位アプリケーションに引き渡す。そして、HTTP制御部404は、上位アプリケーションの指示によりHTTPレスポンスパケットをネットワーク上の各デバイスに返信する制御を行う。
【0028】
SOAP制御部402はSOAP(Simple
Object Access Protocol)と呼ばれるプロトコルを制御するモジュールである。このモジュールは、ネットワーク上の各デバイスから受信したXML(eXtensible
Markup Language)形式のデータをXMLパーサ403により解析する。そして、印刷制御部412の適切なモジュールを呼び出し、機器情報配信処理部401へネットワーク上の各デバイスから送信されるデータを渡す。そして、これと同時に、各デバイスに返すべきデータをXMLデータに変換し、HTTPサーバ制御部404を介して各デバイスに返信する制御を行う。XMLパーサ403はXML形式データを入力とし解析結果を出力するモジュールである。
【0029】
なお、本実施形態においてはデバイス間の機器情報配信サービスに関するデータ送受信にHTTPやSOAPなどのプロトコルを用いている。しかしながら、双方向通信が可能であれば、既存または独自アプリケーションプロトコルなどの何れの通信プロトコルであってもかまわない。
【0030】
画像格納部410は、リーダ部2から読み込んだ画像データやホストコンピュータ9より受信したコードデータから生成される画像データを格納するモジュールである。印刷制御部412はプリンタ部4を制御し、読取制御部413はリーダ部2を制御するモジュールである。画像格納部410に保存された画像データは、画像フォーマット情報、画像固有情報(γ値、透かし率、シャープネス、主走査・副走査オフセット、有効印字領域、F値、濃度調整など)を含んでいる。さらに、この画像データは、フィニッシャ情報(出力トレイ、折り、パンチ、ステイプル、排紙面、製本、トリマ、ガターシフトなど)、マテリアル情報(ページごとの使用用紙種別、用紙混載、挿入用紙設定など)を含んでいる。さらに、この画像データは、ジョブ情報(コピー数、両面、ページ印字、日付印字、結合ジョブ設定など)、暗号情報(地紋、透かし、画像追跡、スキャンガードなど)などの情報を含でいる。これらの機能を使用できるかどうかに関する情報は、機器情報配信処理部401によって配信される機器情報に含まれている。また、画像変換部411は、地紋、透かし、画像追跡、スキャンガードに関する処理や、画像フォーマット情報の変換などの画像処理を施すモジュールである。
【0031】
図4は、機器情報を管理するテーブルを示す図である。機器情報配信部401によって他の画像形成装置と送受信されるデータは、送信元の画像形成装置の機器設定と、機器設定が使えるかどうかという機能の有無を示す情報を含む。テーブル500は、機能設定を管理するテーブル501と、その機能の有無を管理するテーブル502を含む。テーブル501によって管理される機能設定の項目は、例えば、地紋、スキャンガード、画像追跡等がある。テーブル500は、機器情報の送信や受信がされた時に作成されてもよいし、事前に作成され、HDD6、フラッシュディスク207、又は不揮発メモリ205等の記憶媒体に保存されていてもかまわない。
【0032】
図5は、本実施形態における地紋機能について示す概念図である。地紋機能とは、コンピュータを用いて作られたコンテンツを印刷出力する際に、コンテンツのデータに加え、地紋と呼ばれる画像データを生成し、これらのデータを重ねて出力する機能をいう。具体的には、地紋機能とは、例えば、印刷時に元の画像データにConfidentialなどの画像データを埋め込む機能や、指定した場所に画像を埋め込むPDLフォーム合成機能等がある。図5において、画像データ501は「@TITLE」、「@DATA」、「@SIGNATURE」という挿入項目を含んでいる。そして、画像変換部411は、テンプレート502に「@TITLE」、「@DATA」、「@SIGNATURE」のデータを挿入し、合成画像503を生成する。
【0033】
図6は、本実施形態におけるスキャンガード機能について示す概念図である。スキャンガードとは、地紋機能を応用した機能であり、元の画像データに所定の画像データを合成して出力し、再印刷を抑制する機能である。スキャンガードを施した画像データを印刷し、これを再びスキャナで読み込んだ場合でも、その画像データの再印刷及び保存を抑制し、またはコピー前には認識できなかった画像が顕在化することによって判読できないようにする。
【0034】
具体的には、図6において、画像データを印刷するとき、画像変換部411は、原稿画像601に対して、地紋である背景画像602と潜像画像603を重ねて合成し、印刷画像605を出力する。出力した地紋は、複写物上において顕像化する文字などが隠されているが、この文字等は人間の視覚には認識されない。この印刷物をさらに複写した複写画像606においては、印刷画像605においては隠されていた潜像が現れ、人間の視覚によって認識される。この潜像は、例えば「Copy禁止」等の文字であってもよい。一方、画像データを送信しても、背景画像602や潜像画像603は合成されないので、原稿画像601と同じ送信画像604が送信される。
【0035】
続いて、第1の実施形態である画像形成装置における画像データの移行処理について図7を用いて詳細に説明する。図7は、画像形成装置Aから画像形成装置Bへ画像データを移行する場合のシーケンス図である。
【0036】
ステップS701において、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップS702において、画像形成装置Aは画像形成装置Bの機器情報を受信する。ステップS703において、画像形成装置Aは、受信した機器情報に基づいて、画像データで有効になっている設定が画像形成装置Bに存在していない場合、画像形成装置Bで扱える形式に画像データを変換する。ステップS704において、画像形成装置Aは、変換した画像データを画像形成装置Bに送信する。
【0037】
図8は、第1実施形態である画像形成装置の動作処理を説明するフローチャートである。例えば画像形成装置をリプレイスする場合、画像形成装置Aに保存されている画像データを画像形成装置B(送信先装置)に移行するものとする。まず、ユーザが画像形成装置Aのユーザインターフェースに表示されたボタンを押す。
【0038】
ステップF801において、画像形成装置Aの機器情報配信処理部401は、画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップF802において、機器情報配信処理部401が機器情報を受信したかどうかを判断する。受信していない場合は、機器情報配信処理部401は機器情報を受信するまで待つ。ステップF802において、機器情報配信処理部401は機器情報取得手段として機能する。ステップF802において機器情報を取得した場合には、ステップF803において、機器情報配信処理部401は画像データの保存元である画像形成装置Aの機器情報を管理するテーブル500を生成し、作成した機器情報と受信した機器情報とを比較する。画像形成装置Aが備えているが画像形成装置Bが備えていない機能を特定した場合、機器情報配信処理部401は、この機能に関して画像データの設定が有効になっているかどうかを判断する。ここで、有効になっているかどうかが判断される設定とは、例えば、地紋、スキャンガード、ページ印字等である。ステップF803において、機器情報配信処理部401は機能特定手段として機能する。
【0039】
ステップF803において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF805において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。具体的には、図5を例に説明すると、地紋機能が有効であった場合、画像変換部411はテンプレート502に「@TITLE」、「@DATA」、「@SIGNATURE」のデータを挿入し、合成画像603を生成する。図6を例に説明すると、原稿画像701に対して、地紋である背景画像702と潜像画像703を重ねて合成し、印刷画像705を出力する。
【0040】
一方、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効ではなかった場合、画像変換部411が画像データを変換しない。ステップF804において、画像形成装置AはステップF805にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。なお、ユーザインターフェースに変換した画像データのリストを表示させてもよいし、変換した画像の結果を表示させてもよい。
【0041】
本実施形態によれば、画像形成装置間でデータを移行するときに、ある機能が移行先の画像形成装置に存在しなかった場合であっても、移行元の画像形成装置の機能を使って画像を変換することができる。したがって、移行先の画像形成装置でもユーザが想定した通りの印刷を可能にすることができる。例えば、地紋機能又はスキャンガード機能がある機能が移行先の画像形成装置に存在しなかった場合であっても、移行元の画像形成装置の機能を使って合成画像を生成する。したがって、移行先の画像形成装置においても地紋やスキャンガードが施された画像が印刷されるので、セキュリティの低下を防止することができる。
【0042】
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本第2の実施形態においては、ユーザインターフェースの表示によって画像データを変換するかどうかをユーザに問い合わせることが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第2の実施形態における画像データの変換の問合せ処理について、図9を参照して説明する。
【0043】
ステップF901〜F903までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF903において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF905において、操作部5(図1)のユーザインターフェースが、ユーザに画像データの変換を行うかどうか問い合わせる。ユーザが画像データの変換を選択した場合には、ステップF906において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。一方、ユーザが画像データの変換をしないことを選択した場合には、ステップF904に進む。そして、ステップF904において、画像形成装置AはステップF906にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。
【0044】
<第3の実施形態>
次に、本発明の第3の実施形態について説明する。本第3の実施形態においては、変換後の画像データを再変換させないようにすることが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第3の実施形態における画像データの再変換防止処理について、図10を参照して説明する。
【0045】
ステップF1001〜F1003までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF1003において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF1005において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。続いて、ステップF1006にて、画像変換部411が、変換後の画像データについて、画像処理を行った機能の設定を無効(OFF)にし、その設定を修正不可にする。例えば、地紋機能に関して画像処理を行った場合は、地紋機能をOFFにし、そしてその設定を修正不可にする。そして、ステップF1004において、画像形成装置AはステップF1006にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。本実施形態によれば、画像データが一度変換された後は再変換(例えば、元の画像データに戻すこと)が不可能であるので、変換後の画像データのセキュリティを高めることができる。
【0046】
<第4の実施形態>
次に、本発明の第4の実施形態について説明する。本第4の実施形態においては、変換後の画像データを再変換させないようにすることが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第4の実施形態における画像データの再変換防止処理について、図11を参照して説明する。
【0047】
ステップF1101〜F1103までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF1103において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF1105において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。続いて、ステップF1106にて、機器情報配信処理部401は、変換後の画像データについて、画像処理を行った機能の設定をOFFにし、その設定を修正不可にする。例えば、地紋機能に関して画像処理を行った場合は、機器情報配信処理部401は地紋機能を無効(OFF)にするか、または画像の修正を不可にする。続いて、ステップF1107において、機器情報配信処理部401は、変換後の画像データについて、画像処理を行った機能に関連する機能の設定をOFFにし、その設定を修正不可にする。例えば、地紋機能を応用した機能がスキャンガード機能であるため、ステップF1106で地紋機能をOFFにした場合は、ステップF1107で機器情報配信処理部401はスキャンガード機能を無効(OFF)にする。ステップF1104において、画像形成装置AはステップF1106にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。本実施形態によれば、画像データが一度変換された後は再変換(例えば、元の画像データに戻すこと)ができず、さらに関連した機能も使用できなくなるので、変換後の画像データのセキュリティを高めることができる。
【0048】
<第5の実施形態>
次に、本発明の第5の実施形態について説明する。本第5の実施形態においては、変換後の画像データと変換前の画像データをともに送信することが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第5の実施形態における画像データの送信処理について、図12を参照して説明する。
【0049】
ステップF1201〜F1203までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF1203において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF1205において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。そして、ステップF1204において、画像形成装置AはステップF1206にて変換した画像データを、変換前の画像データとともに画像形成装置Bに送信する。
【0050】
<第6の実施形態>
次に、本発明の第6の実施形態について説明する。本第6の実施形態においては、変換後の画像データとしてリモートプリント形式のデータを送信することが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第6の実施形態における画像データの送信処理について、図13を参照して説明する。
【0051】
ステップF1301〜F1303までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF1303において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF1305において、機器情報配信処理部401は画像変換部411にその機能を用いて画像データを変換させる。そして、ステップF1304において、画像形成装置AはステップF1306にて変換した画像データを、リモートプリント形式に変換して画像形成装置Bに送信する。ここで、リモートプリント形式とは、画像データを他機で代替して印刷するときに用いられるプリンタ言語をいい、例えば、PDL(Page
Description Language)を用いてもよい。
【0052】
本実施形態によれば、画像形成装置AがPDLデータを画像形成装置Bに送信するため、画像形成装置Bは、画像データの設定変更が不要な場合は、印刷処理を素早く実行することが出来る。
【0053】
<第7の実施形態>
次に、本発明の第7の実施形態について説明する。本第7の実施形態においては、変換した画像データに代えて、画像データのリンク情報を送信し、リンク情報を受信した画像形成装置は印刷時にすべき処理を他の画像形成装置に依頼して行ってもらうことが、上述した第1の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第7の実施形態における画像データの送信処理について、図14を参照して説明する。
【0054】
図14は、第7の実施形態により画像形成装置Aから画像形成装置Bへ画像データを移行する場合のシーケンス図である。ステップS1401において、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップS1402において、画像形成装置Aは画像形成装置Bの機器情報を受信する。ステップS1403において、画像形成装置Aは、受信した機器情報に基づいて、画像データで有効になっている設定が画像形成装置Bに存在していない場合、画像形成装置Bで扱える形式に画像データを変換する。ステップS1404において、画像形成装置Aは、画像データのリンク情報を画像形成装置Bに送信する。
【0055】
図15は、第7の実施形態である画像形成装置の動作処理を説明するフローチャートである。例えば画像形成装置をリプレイスする場合、画像形成装置Aに保存されている画像データを画像形成装置Bに移行するものとする。まず、ユーザが画像形成装置Aのユーザインターフェースに表示されたボタンを押す。
【0056】
ステップF1501において、画像形成装置Aの機器情報配信処理部401は、画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップF1502において、機器情報配信処理部401が機器情報を受信したかどうかを判断する。受信していない場合は、機器情報配信処理部401は機器情報を受信するまで待つ。ステップF1502において機器情報を取得した場合には、ステップF1503において、機器情報配信処理部401は画像データの保存元である画像形成装置Aの機器情報を管理するテーブル500を生成し、作成した機器情報と受信した機器情報とを比較する。画像形成装置Aが備えているが画像形成装置Bが備えていない機能があった場合、機器情報配信処理部401は、この機能に関して画像データの設定が有効になっているかどうかを判断する。ここで、有効になっているかどうかが判断される設定とは、例えば、地紋、スキャンガード等である。
【0057】
ステップF1503において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、ステップF1505において、機器情報配信処理部401は、印刷実行時に画像データに対して行う処理の設定があるかどうかを判断する。このステップF1505において判断される設定とは、地紋やスキャンガードのような静的な情報ではなく、日付や出力者等の状況によって動的に変化する情報、例えば画像追跡、日付印字などの設定をいう。ここで、画像追跡機能とは、ユーザが本来プリントしようとする画像に対して追跡情報を含むコード画像を埋め込む機能である。追跡情報としては、出力物を作成したユーザの個人名や組織名、プリントを行った装置の機体番号、IPアドレス、MACアドレス、設置場所、更には、プリント日時、時刻といった情報が含まれ得る。日付印字機能とは、印刷物に印刷の日付等を挿入する機能をいう。
【0058】
ステップF1505において、印刷実行時に画像データに対して行う処理の設定がある場合は、機器情報配信処理部401は画像変換を行わず、画像データのリンク情報を送信する。一方、ステップF1505において、印刷実行時に画像データに対して行う処理の設定がなかった場合は、機器情報配信処理部401は画像変換部411に画像データを変換させる。ステップF1504において、画像形成装置AはステップF1505にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。
【0059】
図16は、第7の実施形態である画像形成装置Bの動作処理を説明するフローチャートである。画像形成装置Aに保存されていた画像データ又は画像データに対するリンク情報は既に画像形成装置Bに移行しているものとする。まず、ユーザが画像形成装置Bのユーザインターフェースから画像データの印刷を開始する。
【0060】
ステップF1621において、機器情報配信処理部401は、ユーザが選択した画像データがリンク情報であるかどうかを判断する。画像情報がリンク情報であったときは、ステップF1623に進み、機器情報配信処理部401はリンク先の機器(例えば、画像形成装置A)に対して、印刷実行時にすべき処理(例えば、画像追跡情報の挿入、又は日付の印字)を行うよう依頼する。依頼を受けた画像形成装置Aは依頼された処理を行い、処理済の画像データを送信する。ステップF1624において、機器情報配信処理部401は、必要な処理が施された画像データを受信したかどうか判断する。機器情報配信処理部401はその画像データを受信するまで待つ。ステップF1624において、画像データを受信したときは、ステップF1622に進み、機器情報配信処理部401は印刷制御部412に画像データを印刷させる。
【0061】
なお、画像形成装置Aに保存されている画像データにパスワードが設定されている場合は、画像形成装置Bからパスワードの入力を受け付けて認証を行って、認証がされた場合のみ画像処理を行ってもよい。また、画像データを画像形成装置Aから画像形成装置Bに送信するときに、暗号化等のセキュリティ処理を施してもよい。
【0062】
本実施形態によれば、ある画像形成装置が印刷時に行うべき処理(例えば、追跡情報の挿入や日付印字)を他の画像形成装置に依頼して行ってもらうので、画像データを新たな画像形成装置に移行しても、ユーザが期待した印刷を行うことができる。
【0063】
<第8の実施形態>
次に、本発明の第8の実施形態について説明する。本第8の実施形態においては、画像データのリンク情報を送信した場合にユーザに通知をするすることが、上述した第7の実施形態と異なる。それ以外は第1の実施形態と同様であるため、以下、本第8の実施形態におけるユーザへの通知処理について、図17を参照して説明する。
【0064】
ステップF1701〜F1705までは、図15のステップF1501〜F1505と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF1705において、印刷実行時に画像データに対して行う処理の設定がある場合は、画像変換を行わず、ステップF1706において画像データのリンク情報を送信する。続いて、ステップF1708において、機器情報配信処理部401は画像データが画像形成装置A内に残っていることを表示する。ステップF1705において、印刷を実行するときに画像データに対して行う処理の設定がなかった場合は、印刷制御部412は画像変換部411に画像データを変換させる。ステップF1704において、画像形成装置AはステップF1705にて変換した画像データ又は変換されなかった画像データを画像形成装置Bに送信する。
【0065】
本実施形態によれば、移行先である画像形成装置Bへ画像データを送らないことをユーザに通知するので、画像データが残っている画像形成装置Aが廃却されても画像データを失うことを防止することができる。
【0066】
<第9の実施形態>
次に、本発明の第9の実施形態である情報処理システムについて説明する。本第9の実施形態においては、画像形成装置A(第1の情報処理装置)から画像データを受信した画像形成装置B(第2の情報処理装置)が、その画像データを処理することができる画像形成装置C(第3の情報処理装置)を探索して、その処理を依頼することが、上述した第1の実施形態と異なる。以下、本第9の実施形態における画像データを処理するための探索及び変換処理について、図18を参照して説明する。
【0067】
図18は、画像形成装置Aから画像形成装置Bへ画像データを移行し、画像形成装置Bが画像形成装置Cに画像データの処理を依頼する場合のシーケンス図である。まず、画像形成装置Aにおいて処理が開始される。ステップS1801において、ユーザが画像形成装置Aにおいて、保存されている画像データの移行を選択する。ステップS1802において、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して、機器情報の配信を要求する。ステップS1803において、画像形成装置Aは画像形成装置Bの機器情報を受信する(機器情報取得手段)。
【0068】
ステップS1804において、画像形成装置Aは、受信した機器情報に基づいて、画像形成装置B扱うことができない機能を特定し(機能特定手段)、その機能に関する設定を取得する。画像データで有効になっている設定が画像形成装置Bに存在していない場合、画像形成装置Bで扱える形式に画像データを変換する。このとき行われる画像変換は、前もって行うことができる処理に限られる。具体的には、地紋機能やスキャンガード機能のような静的な情報の挿入に限られる。動的に変化する情報、例えば画像追跡、日付印字などの設定については、変換は行われず、後述するステップS1806からステップS1813によって処理される。ステップS1805において、画像形成装置Aは、変換した画像データを画像形成装置Bに送信する(第1の送信手段)。
【0069】
次に、画像形成装置Bにおいて処理が開始される。ステップS1806において、ユーザが画像形成装置Bにおいて、保存されている画像データの印刷を指示する。ステップS1807において、画像形成装置Bはネットワークを介して画像形成装置を探索し(検索手段)、各画像形成装置に機器情報の配信を要求する。ステップS1808において、画像形成装置Bは画像形成装置Cから機器情報を受信する。ステップS1809において、画像形成装置Bの印刷制御部412は画像形成装置Cを選択する。
【0070】
ステップS1810において、画像形成装置Bは画像形成装置Cに対して、印刷すべき画像データと機器情報を送信して(第2の送信手段)、画像変換処理を画像形成装置Cに依頼する。このとき依頼される画像変換は、動的な情報に関する画像変換、例えば追跡情報の挿入又は日付印字等である。ステップS1814において、画像形成装置Cは受信した画像データや画像形成装置Bの機器情報を用いて、画像データを変換する(変換手段)。具体的には、画像データに追跡情報を挿入し、又は印刷日付を挿入する。ステップS1812において、画像形成装置Cは画像形成装置Bに変換された画像データを送信する(第3の送信手段)。ステップS1813において、画像形成装置Bが印刷を行う。
【0071】
図19は、第9の実施形態である画像形成装置Bの動作処理を説明するフローチャートである。画像形成装置Aに保存されていた画像データは既に画像形成装置Bに移行しているものとする。まず、ユーザが画像形成装置Bのユーザインターフェースから画像データの印刷を選択する。
【0072】
ステップF1901において、画像形成装置Bの機器情報配信処理部401は選択された画像データが印刷実行時に行うべき処理(例えば、追跡情報の挿入又は日付印字等)を含んでいるかどうかを判断する。画像データがそのような処理を含んでいるときは、ステップF1903に進み、機器情報配信処理部401はネットワークに接続されている他の画像形成装置を検索する。ステップF1904において、機器情報配信処理部401は検索された複数の画像形成装置に対して機器情報の配信を依頼する。ステップF1905において、機器情報配信処理部401は、機器情報を送信した複数の画像形成装置のうち、印刷実行時に行うべき処理を提供する機能(例えば、画像追跡機能及び日付印字機能)を備えており、且つ応答が最も早かった画像通信装置Cを選択する。なお、ステップF1903において、印刷実行時に行うべき処理を提供する機能(例えば、画像追跡機能及び日付印字機能)を備えている画像形成装置が見つからなかった場合には、操作部のディスプレイにエラーを表示してもよい。
【0073】
ステップF1906において、機器情報配信処理部401は選択した画像形成装置Cに対して画像データを送信し、処理を依頼する。この依頼に基づいて、図18に示すように、画像形成装置Cは依頼された画像変換処理を行う。ステップF1907において、機器情報配信処理部401は画像形成装置Cから処理が施された画像データを受信するまで待つ。ステップF1907では、機器情報配信処理部401は、例えば、追跡情報及び日付が挿入された画像データを受信する。ステップF1902において、機器情報配信処理部401は印刷制御部412に画像データの印刷をさせる。
【0074】
本実施形態によれば、画像形成装置Aをリプレイスしてしまって無くなった場合であっても、画像を変換する機能を備える他の画像形成装置を自動的に選択し、印刷実行時に画像データを変換することができる。
【0075】
<第10の実施形態>
次に、本発明の第10の実施形態について説明する。本第10の実施形態においては、画像形成装置Aが画像データとこの画像データを処理するコンピュータプログラムをサーバDに送信し、サーバDがその画像データを処理することが、上述した第1の実施形態と異なる。以下、本第10の実施形態における画像形成装置A、BとサーバDとの間の処理について、図20を参照して説明する。
【0076】
図20は、画像形成装置AからサーバDに画像データとこの画像データを処理するコンピュータプログラムを送信し、サーバDが画像データを処理する場合のシーケンス図である。まず、画像形成装置Aにおいて処理が開始される。まず、画像形成装置Aにおいて処理が開始される。ステップS2001において、ユーザが画像形成装置Aにおいて、保存されている画像データの移行を選択する。続いて、ステップS2002で、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して機器情報の配信を要求する。ステップS2003において、画像形成装置Bは画像形成装置Aに対して機器情報を配信する。ステップS2004において、機器情報の配信を受信した画像形成装置Aは、サーバDに対して、画像データとその画像を変換するためのプログラムと画像形成装置A、Bの機器情報を送信する。このとき、画像形成装置Aは画像形成装置Bが実行できる処理を確認し、画像形成装置Bが実行することができない処理を提供するプログラムのみを送信する。そして、ステップS2005において、画像形成装置Aは画像データのリンク情報(例えば、画像データの保存場所)を画像形成装置Bに送信する。
【0077】
続いて、画像形成装置Bにおいて処理が開始される。ステップS2006において、ユーザが画像形成装置Bにおいて、画像データの印刷を指示する。ステップS2007において、画像形成装置BはサーバDに対して画像データの要求を送信する。これを受けたサーバDは、ステップS2008において、画像データの変換を行う。このとき、ステップS2004において受信した画像変換プログラムが使用される。画像変換は、ステップS2004で受信された画像形成装置A、Bの機器情報に基づいて、画像形成装置Aが備えているが、画像形成装置Bが備えていない機能に関するものが実行される。例えば、画像形成装置が地紋機能を備えており、画像形成装置Bが地紋機能を備えていない場合、サーバDは地紋機能に関するプログラムを用いて画像データに地紋を挿入する。ステップS2009において、画像形成装置Bは変換された画像データをサーバDから受信する。ステップS2010において、画像形成装置Bは受信した画像データを印刷する。
【0078】
図21は、第10の実施形態である画像形成装置Aの動作処理を説明するフローチャートである。ステップF2101〜F2103までは、図8のステップF801〜F803と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF2103において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、機器情報配信処理部401は画像変換を行わない。その代わりに、機器情報配信処理部401は画像データ、その画像を処理するためのプログラム、及び画像形成装置A、Bの機器情報をサーバDに送信する。続いて、ステップF2106において、機器情報配信処理部401は画像データのリンク情報を画像形成装置Bに送信する。一方、ステップF2105において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、機器情報配信処理部401は画像データをそのまま画像形成装置Bに送信する。
【0079】
本実施形態によれば、画像形成装置Aをリプレイスしてしまって無くなった場合であっても、サーバが代替して画像データの変換を行うので、ユーザが期待した印刷を行うことができる。
【0080】
<第11の実施形態>
次に、本発明の第11の実施形態について説明する。本第11の実施形態においては、画像形成装置Bが画像データを処理するコンピュータプログラムをサーバDに送信することが、上述した第10の実施形態と異なる。以下、本第11の実施形態における画像形成装置A、BとサーバDとの間の処理について、図22を参照して説明する。
【0081】
図22は、画像形成装置AからサーバDに画像データを送信し、画像形成装置Bが画像データを処理するコンピュータプログラムをサーバDに送信し、サーバDが画像データを処理する場合のシーケンス図である。まず、画像形成装置Aにおいて処理が開始される。まず、画像形成装置Aにおいて処理が開始される。ステップS2201において、ユーザが画像形成装置Aにおいて、保存されている画像データの移行を選択する。続いて、ステップS2202で、画像形成装置Aは画像形成装置Bに対して機器情報の配信を要求する。ステップS2203において、画像形成装置Bは画像形成装置Aに対して機器情報を配信する。ステップS2204において、機器情報の配信を受信した画像形成装置Aは、サーバDに対して、画像データと画像形成装置A、Bの機器情報を送信する。このとき、画像形成装置Aは、第10の実施形態と異なり、画像を処理するためのプログラムを送信しない。ステップS2205において、画像形成装置Aは画像データのリンク情報(例えば、画像データの保存場所)を画像形成装置Bに送信する。
【0082】
続いて、画像形成装置Bにおいて処理が開始される。ステップS2206において、ユーザが画像形成装置Bにおいて、画像データの印刷を指示する。ステップS2207において、画像形成装置BはサーバDに対して画像変換プログラムを送信するとともに、画像データの要求を送信する。これを受けたサーバDは、ステップS2208において、画像データの変換を行う。画像変換は、ステップS2204で受信された画像形成装置A、Bの機器情報に基づいて、画像形成装置Aが備えているが、画像形成装置Bが備えていない機能に関するものが実行される。例えば、画像形成装置が地紋機能を備えており、画像形成装置Bが地紋機能を備えていない場合、サーバDは地紋機能に関するプログラムを用いて画像データに地紋を挿入する。ステップS2209において、画像形成装置Bは変換された画像データをサーバDから受信する。ステップS2210において、画像形成装置Bは受信した画像データを印刷する。
【0083】
図23は、第11の実施形態である画像形成装置Aの動作処理を説明するフローチャートである。ステップF2301〜F2303までは、図20のステップF2101〜F2103と同様であるので詳細な説明を省略する。ステップF2303において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、機器情報配信処理部401は画像変換を行わず、画像データと画像形成装置A、Bの機器情報をサーバDに送信する。続いて、ステップF2306において、機器情報配信処理部401は画像データのリンク情報を画像形成装置Bに送信する。一方、ステップF2305において、画像形成装置Bで扱うことができない機能に関して画像データの設定が有効であった場合は、機器情報配信処理部401は画像データをそのまま画像形成装置Bに送信する。
【0084】
図24は、第11の実施形態である画像形成装置Bの動作処理を説明するフローチャートである。画像形成装置Aに保存されていた画像データ又は画像データに対するリンク情報は既に画像形成装置Bに移行しているものとする。まず、ユーザが画像形成装置Bのユーザインターフェースから画像データの印刷を開始する。
【0085】
ステップF2401において、機器情報配信処理部401は、ユーザが選択した画像データがリンク情報であるかどうかを判断する。ステップF2401において、画像情報がリンク情報であったときは、ステップF2403に進み、機器情報配信処理部401はサーバDに対して画像処理プログラムを送信し、同時に画像処理(例えば、画像追跡情報の挿入、又は日付の印字)を行うよう依頼する。依頼を受けたサーバDは依頼された処理を行い、処理済の画像データを送信する。ステップF2424において、機器情報配信処理部401は、必要な処理が施された画像データを受信したかどうか判断する。機器情報配信処理部401はその画像データを受信するまで待つ。ステップF2424において、画像データを受信したときは、ステップF2422に進み、機器情報配信処理部401は印刷制御部412に画像データを印刷させる。
【0086】
本実施形態によれば、画像形成装置Aをリプレイスしてしまって無くなった場合であっても、サーバが代替して画像データの変換を行うので、ユーザが期待した印刷を行うことができる。また、本実施形態によれば、画像処理プログラムを送信する機能が、移行先の画像形成装置Bにしかない場合であっても、画像処理を行うことができる。
【0087】
(その他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。この場合、そのプログラム、及び該プログラムを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【符号の説明】
【0088】
100 画像形成装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データを送信する先である送信先装置の機器情報を取得する機器情報取得手段と、
前記送信先装置の機器情報に基づいて、前記送信先装置が扱うことができない機能を特定する機能特定手段と、
前記送信先装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能を用いて前記データを変換する変換手段と
変換されたデータを前記送信先装置に対して送信する送信手段と
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記機能特定手段は、前記送信先装置が扱うことができない機能を特定し、特定された前記機能に関する設定が有効であるかどうかを判断し、前記設定が有効であった場合に前記変換手段が前記データの変換を行う
ことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記送信先装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能を用いて前記データを変換するかどうかを問い合わせる問合せ手段
を備えたことを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記変換手段は前記データを変換した後、前記データの前記機能に関する設定を無効にし、前記設定の修正を不可にすること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記送信手段は、前記変換されたデータと共に、変換前の前記データを送信することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記送信先装置が扱うことができない機能があった場合、前記送信手段が前記データのリンク情報を前記送信先装置に送信し、
前記送信先装置から依頼があった場合、前記変換手段が前記データの変換を行い、前記送信手段が前記変換されたデータを送信すること
を特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記機能が、地紋機能、スキャンガード機能、画像追跡機能及び日付印字機能のいずれかであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項8】
データを送信する先である送信先装置の機器情報を取得する機器情報取得工程と、
前記送信先装置の機器情報に基づいて、前記送信先装置が扱うことができない機能を特定する機能特定工程と、
前記送信先装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能を用いて前記データを変換する変換工程と
変換されたデータを前記送信先装置に対して送信する送信工程と
を備えたことを特徴とする画像形成方法。
【請求項9】
請求項8に記載の画像形成方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項10】
第1の情報処理装置と、第2の情報処理装置と、第3の情報処理装置を含む情報処理システムであって、
前記第1の情報処理装置は、
データを送信する先である第2の情報処理装置の機器情報を取得する機器情報取得手段と、
前記第2の情報処理装置の機器情報に基づいて、前記第2の情報処理装置が扱うことができない機能を特定する機能特定手段と、
前記第2の情報処理装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能に関して変換を行わずに前記データを前記第2の情報処理装置に対して送信する第1の送信手段を備え、
前記第2の情報処理装置は、
前記機能を備えている情報処理装置を検索する検索手段と、
検索された前記第3の情報処理装置に対して、前記データを送信する第2の送信手段とを備え、
前記第3の情報処理装置は、
前記第2の送信手段から受信した前記データを前記機能を用いて変換する変換手段と、
変換されたデータを前記第2の情報処理装置に送信する第3の送信手段とを備えていること
を特徴とする情報処理システム。
【請求項11】
前記第1の情報処理装置の前記第1の送信手段が、前記第3の情報処理装置に対して、前記データを処理するためのプログラムを送信し、
前記第3の情報処理装置の前記変換手段が前記プログラムを使って前記データを変換すること
を特徴とする請求項10記載の情報処理システム。
【請求項12】
前記第2の情報処理装置の前記第2の送信手段が、前記第3の情報処理装置に対して、前記データを処理するためのプログラムを送信し、
前記第3の情報処理装置の前記変換手段が前記プログラムを使って前記データを変換すること
を特徴とする請求項10記載の情報処理システム。
【請求項13】
前記機能が、地紋機能、スキャンガード機能、画像追跡機能及び日付印字機能のいずれかであることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の情報処理システム。
【請求項14】
第1の情報処理装置と、第2の情報処理装置と、第3の情報処理装置を使用する情報処理方法であって、
前記第1の情報処理装置に、
データを送信する先である第2の情報処理装置の機器情報を取得する機器情報取得工程と、
前記第2の情報処理装置の機器情報に基づいて、前記第2の情報処理装置が扱うことができない機能を特定する機能特定工程と、
前記第2の情報処理装置が扱うことができない機能があった場合、前記機能に関して変換を行わずに前記データを前記第2の情報処理装置に対して送信する第1の送信工程を実行させ、
前記第2の情報処理装置に、
前記機能を備えている情報処理装置を検索する検索工程と、
検索された前記第3の情報処理装置に対して、前記データを送信する第2の送信工程とを実行させ、
前記第3の情報処理装置に、
前記第2の送信手段から受信した前記データを前記機能を用いて変換する変換工程と、
変換されたデータを前記第2の情報処理装置に送信する第3の送信工程とを実行させること
を特徴とする情報処理方法。
【請求項15】
請求項14に記載の情報処理方法をコンピュータに実行させることを特徴とするコンピュータプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−63565(P2013−63565A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203174(P2011−203174)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】