画像形成装置、画像形成方法およびプログラム
【課題】メモリフルの発生を効果的に回避する画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】印刷ジョブの停止時間がある所定の時間を経過した場合に、この印刷ジョブに対して強制的に印刷出力させたり強制的にジョブを破棄させたりするような強制処理を行うように制御する。このとき、印刷ジョブのユーザに対して強制処理を実施した旨の通知を行う。また、一時停止中の印刷ジョブのユーザに対して、当該印刷ジョブに何らかの処理を行うように促す通知を行う。
【解決手段】印刷ジョブの停止時間がある所定の時間を経過した場合に、この印刷ジョブに対して強制的に印刷出力させたり強制的にジョブを破棄させたりするような強制処理を行うように制御する。このとき、印刷ジョブのユーザに対して強制処理を実施した旨の通知を行う。また、一時停止中の印刷ジョブのユーザに対して、当該印刷ジョブに何らかの処理を行うように促す通知を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリフルの発生を効果的に回避する画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
急ぎの印刷を優先させるために後続ジョブを追い越しさせること等を目的としてジョブの一時停止を行う画像形成装置において、一時停止のジョブが多くなるとその分多くのメモリを消費することなり、ついにはメモリフルで印刷ができなくなるような状況が発生する。
【0003】
このような問題を解決する従来技術として、特許文献1に開示された発明が公知である。特許文献1には、メモリフルが発生した場合、すでにメモリ上に存在するデータのうち、所定の条件を満たすものを2次記憶装置へ転送することで、メモリ上に使用可能領域を確保することを可能にした印刷装置及びその制御方法に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−221037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に開示された発明は、メモリフルが発生した場合、すでにメモリ上に存在するデータを2次記憶装置へ転送することでメモリ上に使用可能領域を確保するという方式をとるため、2次記憶装置がフル状態になった場合にはメモリあるいは2次記憶装置のいずれかの容量が空くまで印刷停止になるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、印刷ジョブの一時停止時間が所定の時間を経過した場合に強制処理を行う画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成装置であって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、画像形成装置は、印刷ジョブを記憶する記憶手段と、印刷ジョブの停止時間を計測するタイマとを有し、制御手段は、タイマにて計測された停止時間に基づき強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は強制処理として、停止中の印刷ジョブを強制的に再開させるよう制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は強制処理として、停止中の印刷ジョブを強制的に破棄させるよう制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、強制処理が行われたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、停止中の印刷ジョブに対して当該印刷ジョブの再開を促すよう通知する第2の通知手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、画像形成装置が印刷ジョブを受け付けた順番であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、印刷ジョブの停止時間が長い順番であることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、印刷ジョブにおける画像形成装置の記憶手段の占有率の高い順番であることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、画像形成装置に対して印刷ジョブを投入したユーザの優先度に基づく順番であることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、停止中の印刷ジョブ全てに対して強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、画像形成装置の記憶手段の空き容量が、設定された閾値を超えるまで強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、画像形成装置の記憶手段の空き容量が、新たに投入された印刷ジョブの使用容量よりも大きくなるまで強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成方法であって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御工程を有することを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止するようコンピュータに実行させるプログラムであって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムによれば、印刷ジョブの一時停止時間が所定の時間を経過した場合に強制処理を行うので、画像形成装置のメモリフル発生を効率よく回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態は、メモリフルなどの状況が発生した場合、一時停止中のジョブに対して何らかの処理(強制処理)を行い、メモリフル状態を回避するものである。所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことにより、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することができる。
【0023】
本実施形態の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
図1は、本実施形態の画像形成装置であるプリンタ1の構成を模式的に示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、コントローラ2と、操作パネル4と、プリンタエンジン13とで構成されている。またプリンタ1は、外部のホストマシン3やネットワーク15と接続可能な状態にある。
【0025】
コントローラ2は、ホストインタフェース(I/F)5と、プログラムROM6と、フォントROM7と、パネルI/F8と、CPU9と、RAM10と、NV−RAM11と、エンジンI/F12と、オプションRAM14と、ネットワークI/F16と、HDD17と、タイマ18とを備えている。
【0026】
プリンタ1のコントローラ2は、その時点で設定されている制御モードや、ホストマシン3、ネットワーク15からの制御コードなどに従って、ホストからの印字データをビデオデータに変換して、プリンタエンジン13に出力する制御機構の総称であり、以下に述べるような各種モジュールにて構成される。
【0027】
ホストI/F5は、ホストマシン3からプリンタ1へ送信される制御信号やデータ、およびプリンタ1からホストマシン3へ送信するステータス信号のインタフェースである。ネットワークI/F16はホストI/F5と同様に、ネットワーク15からプリンタ1へ送信される制御信号やデータ、およびプリンタ1からネットワーク15へ送信するステータス信号のインタフェースである。
【0028】
CPU9は、プリンタ1の主制御部であり、プログラムROM6内に記憶された各種プログラムにしたがってホストマシン3からのデータ(印字データや制御データなどの印刷ジョブ)を処理する。RAM10は、CPU9が各種データを処理する時のワークメモリとしての機能や、ホストマシン3からのデータをページ単位に管理して一次記憶するバッファメモリとしての機能や、バッファメモリに記憶されたデータを実際の印字パターンに変換してビデオデータを記憶するビットマップメモリとしての機能などの使用される。
【0029】
HDD(大容量記憶装置)17は、大容量のデータを記憶する記憶媒体である。NV−RAM11は、電源切断後にも保持したいデータを格納しておくための不揮発性RAMである。オプションRAM14は、RAM10やNV−RAM11などの各種RAMの補助的な役割として機能するRAMである。
【0030】
プログラムROM6は、コントローラ2内でのデータの処理、管理、周辺モジュールなどを制御するためのプログラムが格納されているROMである。フォントROM7は、印字に使用するさまざまな種類のフォントを有する。
【0031】
エンジンI/F12は、コントローラ2からプリンタエンジン13への制御信号やビデオ信号、およびプリンタからコントローラ2へのステータス信号のインタフェースである。プリンタエンジン13は、コントローラ2からのビデオ信号や制御信号により、図示しない感光体上に静電潜像を形成、現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、静電潜像を転写紙上に転写、定着して画像を形成するものである。
【0032】
操作パネル4は、プリンタ1の状態を示す表示部や、プリンタ1の各種モード、フォントなどを切り替えるスイッチ部などで構成される。パネルI/F8は、コントローラ2と操作パネル4とのインタフェースである。タイマ18は、ホストマシン3からの印刷ジョブがメモリフルなどで一時的に停止した場合、その停止時間を計測する。
【0033】
次に、データ処理の概要について説明する。ここでは、ホストマシン3からプリンタ1へ印字処理依頼が送信された場合を例示する。
【0034】
ホストI/F5を介してホストマシン3から送られてきたデータは、CPU9がプログラムROM6上のデータ解析プログラムに従って解析し、印字データ及び印字制御データ(SP、CR,LR,HT,VT,・・・等)と、その他とに分けられる。印字データ及び印字制御データは、RAM10上の受信バッファに一旦記憶される。一旦記憶された受信データは、プログラムROM6上の制御プログラムが1つずつ取り出して、その処理を行う。
【0035】
例えば、取り出したデータが文字コードであれば、印字位置、印字サイズ、文字コード、フォント情報などを備えた中間コードを作成し、RAM10状に設けられた中間バッファに格納する。制御コードやエスケープシーケンスなどのコマンドであった場合、それらに予め定義された処理を行う。例えば、印字位置の指定である場合には、次にきた文字コードのフォント情報を指定されたフォントにする、といった具合に処理を行う。
【0036】
このようにして、ホストマシン3からのプリント命令の処理を行うか、または処理を行ったデータが1ページ分を超えた場合には、次に、中間バッファに蓄積された中間コードを制御プログラムに従ってビデオデータに変換する処理を行う。変換処理が終了したら、コントローラ2は、エンジンI/F12を介してプリンタエンジン13にプリントスタートンの命令を出し、それに同調してビデオデータを転送する。
【0037】
以上のような一連の流れで、ホストマシン3からの印字データ(印刷ジョブ)がプリンタエンジン13を介して印字される。
【0038】
本実施形態の画像形成装置の処理動作について説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。ユーザからジョブが投入された際には、以下のような処理を行う。
【0039】
ジョブが投入されると、画像形成装置がメモリフルか否かを判定する(ステップS101)。メモリフルの場合には(ステップS101/Yes)、一時停止中のジョブがあるかどうかを確認する(ステップS102)。一時停止中のジョブが見つかった場合には(ステップS102/Yes)、見つかったジョブの中から最初に処理を行うジョブを選定する(ステップS103)。そして選定されたジョブの一時停止時間nを取得する(ステップS104)。
【0040】
ここで取得した一時停止時間の値nが予め設定された所定時間の値mよりも大きいか否かを判断する(ステップS105)。nがmよりも大きい場合には(ステップS105/Yes)、選定された当該ジョブに対して強制的な処理を実行する(ステップS106)。このような強制処理としては、例えばジョブの強制再開や強制キャンセルなどが挙げられる。
【0041】
強制処理の実行後には、このジョブのユーザに対して強制処理の内容(例えば、強制再開や強制キャンセルなどが行われたこと)を通知する(ステップS107)。最後に、処理終了条件と現在の処理状況とを照合して、強制処理を続行するか否かを判定する(ステップS108)。処理終了条件を満たす場合には(ステップS108/Yes)処理を終了し、処理終了条件を満たしていない場合には(ステップS108/No)、前述のステップS103へと戻り、再度処理するジョブの選定を行う。
【0042】
また、前述のステップS101にてメモリフルでない場合(ステップS101/No)や、ステップS102にて一時停止中のジョブが見つからない(存在しない)場合(ステップS102/No)、ステップS105にてnがmよりも小さい場合(ステップS105/No)には、それぞれ処理終了条件と現在の処理状況とを照合するステップS108へと移行する。
【0043】
本実施形態によれば、受信した印刷データを一時停止することができる画像形成装置において、所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことができる。したがって、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することができる。また、強制処理を行ったジョブを投入したユーザにその内容を通知することで、ジョブの処理結果を明らかにすることができる。
【0044】
図3は、本実施形態の画像形成装置の動作において、強制処理を促す場合を示すフローチャートである。本処理フローでは、所定の時間を越えて停止しているジョブに対し、そのユーザに通知を行うことで処理を促すものである。
【0045】
ジョブが投入されると、画像形成装置がメモリフルか否かを判定する(ステップS201)。メモリフルの場合には(ステップS201/Yes)、一時停止中のジョブがあるかどうかを確認する(ステップS202)。一時停止中のジョブが見つかった場合には(ステップS202/Yes)、見つかったジョブの中から最初に処理を行うジョブを選定する(ステップS203)。そして選定されたジョブの一時停止時間nを取得する(ステップS204)。
【0046】
ここで取得した一時停止時間の値nが予め設定された所定時間の値mよりも大きいか否かを判断する(ステップS205)。nがmよりも大きい場合には(ステップS205/Yes)、選定されたジョブのユーザに対して処理を実行するように促す通知を行う(ステップS206)。nがmよりも小さい場合には(ステップS205/No)、後述するステップS207へと移行する。
【0047】
ユーザへの通知後、さらに一時停止中である未調査のジョブ(一時停止中で未処理のジョブ)が存在するか否を確認する(ステップS207)。未処理のジョブが存在する場合には(ステップS207/Yes)、前述のステップS203へと戻り、処理するジョブの再選定を行う。一方、未処理のジョブが存在しない場合には(ステップS207/No)、処理を終了する。
【0048】
また、前述のステップS201にてメモリフルでない場合(ステップS201/No)や、ステップS202にて一時停止中のジョブが見つからない(存在しない)場合(ステップS202/No)にも、それぞれ処理を終了する。
【0049】
本実施形態によれば、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合であっても、その旨を通知することにより処理のし忘れを防ぐことができる。
【0050】
図4〜図7を参照しながら、本実施形態の強制処理の順序を決定するキューについて説明する。対応するキューの先頭からジョブを取得することで、ジョブの選定を行う。
【0051】
図4は、ジョブの強制処理を、印刷ジョブの受け付け順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる投入順序キューを示すフローチャートである。
新たな一時停止中のジョブが投入されると(ステップS301)、ジョブを投入された順番に、投入順序キューに追加して行く(ステップS302)。
【0052】
図5は、ジョブの強制処理を、一時停止している時間が長い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる待ち時間キューを示すフローチャートである。
【0053】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS401)、ジョブの一時停止による待ち時間を算出する(ステップS402)。算出した待ち時間と、待ち時間キュー内の各ジョブの待ち時間とを比較する(ステップS403)。比較結果の待ち時間に応じて、ジョブを待ち時間キューの適切な位置に追加する(ステップS404)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS405)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS405/Yes)、前述のステップS401へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS405/No)、そのまま処理を終了する。
【0054】
図6は、ジョブの強制処理を、メモリ占有率の高い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられるメモリ量キューを示すフローチャートである。
【0055】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS501)、一時停止中のジョブのメモリ量(消費メモリ量)を算出する(ステップS502)。算出したメモリ量と、メモリ量キュー内の各ジョブのメモリ量とを比較する(ステップS503)。比較結果のメモリ量に応じて、ジョブをメモリ量キューの適切な位置に追加する(ステップS504)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS505)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS505/Yes)、前述のステップS501へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS505/No)、そのまま処理を終了する。
【0056】
図7は、ジョブの強制処理を、印刷ジョブを投入したユーザの優先順位に基づいて、ジョブ選定に用いられるキューを示すフローチャートである。
【0057】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS601)、一時停止中のジョブのユーザ名を取得する(ステップS602)。取得したユーザ名と、待ち時間キュー内の各ジョブのユーザ名とを比較する(ステップS603)。比較の際には、予め設定された優先順位に従う。比較結果の優先順位に応じて、ジョブを優先ユーザキューの適切な位置に追加する(ステップS604)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS605)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS605/Yes)、前述のステップS601へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS605/No)、そのまま処理を終了する。
【0058】
前述したステップS604では、新たに優先ユーザキューを設けた場合にて説明した。しかし、取得したユーザ名に基づいて、投入順序キュー内のジョブをユーザ名の優先順位の順番に並べ替えて追加することも可能である。投入順序キュー内を並べ替えることの方が、新たに優先ユーザキューを作成することよりも現実的である。
【0059】
本実施形態によれば、ジョブに対する処理を行う際の順序条件によって、使用者の意図に沿ったジョブ処理を行うことができる。
【0060】
図8〜図10を参照しながら、前述した図2中ステップ108における本実施形態の強制処理の終了条件について説明する。
【0061】
図8では、メモリフルが発生した場合に、一時停止中の全てのジョブを対象にした強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が執行(実施)された段階で、一時停止中のジョブが存在するか否かを判定する(ステップS701)。ジョブが存在する場合には(ステップS701/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS702)。ジョブが存在しない場合には(ステップS702/No)、強制処理を終了する。
【0062】
図9では、メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が一定の閾値を越えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が実行された段階で、メモリの空き容量が所定の閾値を越えているか否かを判定する(ステップS801)。メモリの空き容量が閾値を越えていない(閾値よりも少ない)場合には(ステップS801/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS802)。メモリの空き容量が閾値を越えている場合には(ステップS802/No)、強制処理を終了する。
【0063】
図10では、メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が新たに投入された印刷ジョブの印刷に必要な容量を超えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が実行された段階で、メモリの空き容量が次のジョブに必要とされるメモリ量を満たしているか、すなわち次のジョブ印刷用のメモリが確保できているか否かを判定する(ステップS901)。メモリの空き容量が必要なメモリ量を満たしていない場合には(ステップS901/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS902)。メモリの空き容量が必要なメモリ量を満たしている場合には(ステップS902/No)、強制処理を終了する。
【0064】
本実施形態によれば、ジョブに対する処理の終了条件により、強制処理の対象となるジョブ数を制御することができる。
【0065】
なおここでは図示しないが、本実施形態はネットワークで接続された複数台の画像形成装置による画像形成システムにも適用が可能である。例えば、親機と子機とで連動して印刷ジョブを処理するような、いわゆる連結印刷ジョブにも適用できる。
【0066】
本実施形態の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムによれば、所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことができる。したがって、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することが可能となる。
【0067】
また、一時停止中のジョブに対して処理を促す旨の通知を行うので、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れるという状況を防ぐことができる。また、強制処理を行ったジョブを投入したユーザにその内容の通知を行うので、ジョブの処理結果を明らかにすることができる。また、ジョブに対する処理を行う際の順序条件設定を行うことで、使用者の意図に沿ったジョブ処理を行うことができる。さらに、ジョブに対する処理の終了条件設定を行うので、強制処理の対象となるジョブ数を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の強制処理の動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の印刷ジョブの処理を促す通知に係るフローチャートである。
【図4】本実施形態の強制処理を、印刷ジョブの受け付け順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる投入順序キューを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の強制処理を、一時停止している時間が長い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる待ち時間キューを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態の強制処理を、メモリ占有率の高い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられるメモリ量キューを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の強制処理を、印刷ジョブを投入したユーザの優先順位に基づいて、ジョブ選定に用いられるキューを示すフローチャートである。
【図8】メモリフルが発生した場合に、一時停止中の全てのジョブを対象にした強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【図9】メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が一定の閾値を越えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【図10】メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が新たに投入された印刷ジョブの印刷に必要な容量を超えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ
2 コントローラ
3 ホストマシン
4 操作パネル
5 ホストI/F
6 プログラムROM
7 フォントROM
8 パネルI/F
9 CPU
10 RAM
11 NV−RAM
12 エンジンI/F
13 プリンタエンジン
14 オプションRAM
15 ネットワーク
16 ネットワークI/F
17 HDD
18 タイマ
【技術分野】
【0001】
本発明は、メモリフルの発生を効果的に回避する画像形成装置、画像形成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
急ぎの印刷を優先させるために後続ジョブを追い越しさせること等を目的としてジョブの一時停止を行う画像形成装置において、一時停止のジョブが多くなるとその分多くのメモリを消費することなり、ついにはメモリフルで印刷ができなくなるような状況が発生する。
【0003】
このような問題を解決する従来技術として、特許文献1に開示された発明が公知である。特許文献1には、メモリフルが発生した場合、すでにメモリ上に存在するデータのうち、所定の条件を満たすものを2次記憶装置へ転送することで、メモリ上に使用可能領域を確保することを可能にした印刷装置及びその制御方法に関する技術が開示されている。
【特許文献1】特開平5−221037号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし特許文献1に開示された発明は、メモリフルが発生した場合、すでにメモリ上に存在するデータを2次記憶装置へ転送することでメモリ上に使用可能領域を確保するという方式をとるため、2次記憶装置がフル状態になった場合にはメモリあるいは2次記憶装置のいずれかの容量が空くまで印刷停止になるという問題があった。
【0005】
そこで本発明は、印刷ジョブの一時停止時間が所定の時間を経過した場合に強制処理を行う画像形成装置、画像形成方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成装置であって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の画像形成装置において、画像形成装置は、印刷ジョブを記憶する記憶手段と、印刷ジョブの停止時間を計測するタイマとを有し、制御手段は、タイマにて計測された停止時間に基づき強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は強制処理として、停止中の印刷ジョブを強制的に再開させるよう制御することを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、制御手段は強制処理として、停止中の印刷ジョブを強制的に破棄させるよう制御することを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、強制処理が行われたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、請求項1または2記載の画像形成装置において、停止中の印刷ジョブに対して当該印刷ジョブの再開を促すよう通知する第2の通知手段を有することを特徴とする。
【0012】
請求項7に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、画像形成装置が印刷ジョブを受け付けた順番であることを特徴とする。
【0013】
請求項8に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、印刷ジョブの停止時間が長い順番であることを特徴とする。
【0014】
請求項9に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、印刷ジョブにおける画像形成装置の記憶手段の占有率の高い順番であることを特徴とする。
【0015】
請求項10に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段が印刷ジョブに対して強制処理を行う順番は、画像形成装置に対して印刷ジョブを投入したユーザの優先度に基づく順番であることを特徴とする。
【0016】
請求項11に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、停止中の印刷ジョブ全てに対して強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0017】
請求項12に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、画像形成装置の記憶手段の空き容量が、設定された閾値を超えるまで強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0018】
請求項13に記載の発明は、請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置において、制御手段は、画像形成装置の記憶手段の空き容量が、新たに投入された印刷ジョブの使用容量よりも大きくなるまで強制処理を行うよう制御することを特徴とする。
【0019】
請求項14に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成方法であって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御工程を有することを特徴とする。
【0020】
請求項15に記載の発明は、画像データの印刷ジョブを一時的に停止するようコンピュータに実行させるプログラムであって、印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムによれば、印刷ジョブの一時停止時間が所定の時間を経過した場合に強制処理を行うので、画像形成装置のメモリフル発生を効率よく回避することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本実施形態は、メモリフルなどの状況が発生した場合、一時停止中のジョブに対して何らかの処理(強制処理)を行い、メモリフル状態を回避するものである。所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことにより、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することができる。
【0023】
本実施形態の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムについて、図面を参照しながら説明する。なお本実施形態は以下に述べるものに限定されず、その趣旨を逸脱しない範囲において種々変更が可能である。
図1は、本実施形態の画像形成装置であるプリンタ1の構成を模式的に示すブロック図である。
【0024】
図1に示すように、本実施形態のプリンタ1は、コントローラ2と、操作パネル4と、プリンタエンジン13とで構成されている。またプリンタ1は、外部のホストマシン3やネットワーク15と接続可能な状態にある。
【0025】
コントローラ2は、ホストインタフェース(I/F)5と、プログラムROM6と、フォントROM7と、パネルI/F8と、CPU9と、RAM10と、NV−RAM11と、エンジンI/F12と、オプションRAM14と、ネットワークI/F16と、HDD17と、タイマ18とを備えている。
【0026】
プリンタ1のコントローラ2は、その時点で設定されている制御モードや、ホストマシン3、ネットワーク15からの制御コードなどに従って、ホストからの印字データをビデオデータに変換して、プリンタエンジン13に出力する制御機構の総称であり、以下に述べるような各種モジュールにて構成される。
【0027】
ホストI/F5は、ホストマシン3からプリンタ1へ送信される制御信号やデータ、およびプリンタ1からホストマシン3へ送信するステータス信号のインタフェースである。ネットワークI/F16はホストI/F5と同様に、ネットワーク15からプリンタ1へ送信される制御信号やデータ、およびプリンタ1からネットワーク15へ送信するステータス信号のインタフェースである。
【0028】
CPU9は、プリンタ1の主制御部であり、プログラムROM6内に記憶された各種プログラムにしたがってホストマシン3からのデータ(印字データや制御データなどの印刷ジョブ)を処理する。RAM10は、CPU9が各種データを処理する時のワークメモリとしての機能や、ホストマシン3からのデータをページ単位に管理して一次記憶するバッファメモリとしての機能や、バッファメモリに記憶されたデータを実際の印字パターンに変換してビデオデータを記憶するビットマップメモリとしての機能などの使用される。
【0029】
HDD(大容量記憶装置)17は、大容量のデータを記憶する記憶媒体である。NV−RAM11は、電源切断後にも保持したいデータを格納しておくための不揮発性RAMである。オプションRAM14は、RAM10やNV−RAM11などの各種RAMの補助的な役割として機能するRAMである。
【0030】
プログラムROM6は、コントローラ2内でのデータの処理、管理、周辺モジュールなどを制御するためのプログラムが格納されているROMである。フォントROM7は、印字に使用するさまざまな種類のフォントを有する。
【0031】
エンジンI/F12は、コントローラ2からプリンタエンジン13への制御信号やビデオ信号、およびプリンタからコントローラ2へのステータス信号のインタフェースである。プリンタエンジン13は、コントローラ2からのビデオ信号や制御信号により、図示しない感光体上に静電潜像を形成、現像し、また給紙部より転写紙を給紙し、静電潜像を転写紙上に転写、定着して画像を形成するものである。
【0032】
操作パネル4は、プリンタ1の状態を示す表示部や、プリンタ1の各種モード、フォントなどを切り替えるスイッチ部などで構成される。パネルI/F8は、コントローラ2と操作パネル4とのインタフェースである。タイマ18は、ホストマシン3からの印刷ジョブがメモリフルなどで一時的に停止した場合、その停止時間を計測する。
【0033】
次に、データ処理の概要について説明する。ここでは、ホストマシン3からプリンタ1へ印字処理依頼が送信された場合を例示する。
【0034】
ホストI/F5を介してホストマシン3から送られてきたデータは、CPU9がプログラムROM6上のデータ解析プログラムに従って解析し、印字データ及び印字制御データ(SP、CR,LR,HT,VT,・・・等)と、その他とに分けられる。印字データ及び印字制御データは、RAM10上の受信バッファに一旦記憶される。一旦記憶された受信データは、プログラムROM6上の制御プログラムが1つずつ取り出して、その処理を行う。
【0035】
例えば、取り出したデータが文字コードであれば、印字位置、印字サイズ、文字コード、フォント情報などを備えた中間コードを作成し、RAM10状に設けられた中間バッファに格納する。制御コードやエスケープシーケンスなどのコマンドであった場合、それらに予め定義された処理を行う。例えば、印字位置の指定である場合には、次にきた文字コードのフォント情報を指定されたフォントにする、といった具合に処理を行う。
【0036】
このようにして、ホストマシン3からのプリント命令の処理を行うか、または処理を行ったデータが1ページ分を超えた場合には、次に、中間バッファに蓄積された中間コードを制御プログラムに従ってビデオデータに変換する処理を行う。変換処理が終了したら、コントローラ2は、エンジンI/F12を介してプリンタエンジン13にプリントスタートンの命令を出し、それに同調してビデオデータを転送する。
【0037】
以上のような一連の流れで、ホストマシン3からの印字データ(印刷ジョブ)がプリンタエンジン13を介して印字される。
【0038】
本実施形態の画像形成装置の処理動作について説明する。
図2は、本実施形態の画像形成装置の動作を示すフローチャートである。ユーザからジョブが投入された際には、以下のような処理を行う。
【0039】
ジョブが投入されると、画像形成装置がメモリフルか否かを判定する(ステップS101)。メモリフルの場合には(ステップS101/Yes)、一時停止中のジョブがあるかどうかを確認する(ステップS102)。一時停止中のジョブが見つかった場合には(ステップS102/Yes)、見つかったジョブの中から最初に処理を行うジョブを選定する(ステップS103)。そして選定されたジョブの一時停止時間nを取得する(ステップS104)。
【0040】
ここで取得した一時停止時間の値nが予め設定された所定時間の値mよりも大きいか否かを判断する(ステップS105)。nがmよりも大きい場合には(ステップS105/Yes)、選定された当該ジョブに対して強制的な処理を実行する(ステップS106)。このような強制処理としては、例えばジョブの強制再開や強制キャンセルなどが挙げられる。
【0041】
強制処理の実行後には、このジョブのユーザに対して強制処理の内容(例えば、強制再開や強制キャンセルなどが行われたこと)を通知する(ステップS107)。最後に、処理終了条件と現在の処理状況とを照合して、強制処理を続行するか否かを判定する(ステップS108)。処理終了条件を満たす場合には(ステップS108/Yes)処理を終了し、処理終了条件を満たしていない場合には(ステップS108/No)、前述のステップS103へと戻り、再度処理するジョブの選定を行う。
【0042】
また、前述のステップS101にてメモリフルでない場合(ステップS101/No)や、ステップS102にて一時停止中のジョブが見つからない(存在しない)場合(ステップS102/No)、ステップS105にてnがmよりも小さい場合(ステップS105/No)には、それぞれ処理終了条件と現在の処理状況とを照合するステップS108へと移行する。
【0043】
本実施形態によれば、受信した印刷データを一時停止することができる画像形成装置において、所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことができる。したがって、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することができる。また、強制処理を行ったジョブを投入したユーザにその内容を通知することで、ジョブの処理結果を明らかにすることができる。
【0044】
図3は、本実施形態の画像形成装置の動作において、強制処理を促す場合を示すフローチャートである。本処理フローでは、所定の時間を越えて停止しているジョブに対し、そのユーザに通知を行うことで処理を促すものである。
【0045】
ジョブが投入されると、画像形成装置がメモリフルか否かを判定する(ステップS201)。メモリフルの場合には(ステップS201/Yes)、一時停止中のジョブがあるかどうかを確認する(ステップS202)。一時停止中のジョブが見つかった場合には(ステップS202/Yes)、見つかったジョブの中から最初に処理を行うジョブを選定する(ステップS203)。そして選定されたジョブの一時停止時間nを取得する(ステップS204)。
【0046】
ここで取得した一時停止時間の値nが予め設定された所定時間の値mよりも大きいか否かを判断する(ステップS205)。nがmよりも大きい場合には(ステップS205/Yes)、選定されたジョブのユーザに対して処理を実行するように促す通知を行う(ステップS206)。nがmよりも小さい場合には(ステップS205/No)、後述するステップS207へと移行する。
【0047】
ユーザへの通知後、さらに一時停止中である未調査のジョブ(一時停止中で未処理のジョブ)が存在するか否を確認する(ステップS207)。未処理のジョブが存在する場合には(ステップS207/Yes)、前述のステップS203へと戻り、処理するジョブの再選定を行う。一方、未処理のジョブが存在しない場合には(ステップS207/No)、処理を終了する。
【0048】
また、前述のステップS201にてメモリフルでない場合(ステップS201/No)や、ステップS202にて一時停止中のジョブが見つからない(存在しない)場合(ステップS202/No)にも、それぞれ処理を終了する。
【0049】
本実施形態によれば、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合であっても、その旨を通知することにより処理のし忘れを防ぐことができる。
【0050】
図4〜図7を参照しながら、本実施形態の強制処理の順序を決定するキューについて説明する。対応するキューの先頭からジョブを取得することで、ジョブの選定を行う。
【0051】
図4は、ジョブの強制処理を、印刷ジョブの受け付け順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる投入順序キューを示すフローチャートである。
新たな一時停止中のジョブが投入されると(ステップS301)、ジョブを投入された順番に、投入順序キューに追加して行く(ステップS302)。
【0052】
図5は、ジョブの強制処理を、一時停止している時間が長い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる待ち時間キューを示すフローチャートである。
【0053】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS401)、ジョブの一時停止による待ち時間を算出する(ステップS402)。算出した待ち時間と、待ち時間キュー内の各ジョブの待ち時間とを比較する(ステップS403)。比較結果の待ち時間に応じて、ジョブを待ち時間キューの適切な位置に追加する(ステップS404)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS405)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS405/Yes)、前述のステップS401へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS405/No)、そのまま処理を終了する。
【0054】
図6は、ジョブの強制処理を、メモリ占有率の高い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられるメモリ量キューを示すフローチャートである。
【0055】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS501)、一時停止中のジョブのメモリ量(消費メモリ量)を算出する(ステップS502)。算出したメモリ量と、メモリ量キュー内の各ジョブのメモリ量とを比較する(ステップS503)。比較結果のメモリ量に応じて、ジョブをメモリ量キューの適切な位置に追加する(ステップS504)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS505)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS505/Yes)、前述のステップS501へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS505/No)、そのまま処理を終了する。
【0056】
図7は、ジョブの強制処理を、印刷ジョブを投入したユーザの優先順位に基づいて、ジョブ選定に用いられるキューを示すフローチャートである。
【0057】
投入順序キューからジョブを取得すると(ステップS601)、一時停止中のジョブのユーザ名を取得する(ステップS602)。取得したユーザ名と、待ち時間キュー内の各ジョブのユーザ名とを比較する(ステップS603)。比較の際には、予め設定された優先順位に従う。比較結果の優先順位に応じて、ジョブを優先ユーザキューの適切な位置に追加する(ステップS604)。投入順序キューを確認し、未調査のジョブが存在するかを確認する(ステップS605)。未調査のジョブが存在する場合には(ステップS605/Yes)、前述のステップS601へと再度戻り処理を開始する。未調査のジョブが存在しない場合には(ステップS605/No)、そのまま処理を終了する。
【0058】
前述したステップS604では、新たに優先ユーザキューを設けた場合にて説明した。しかし、取得したユーザ名に基づいて、投入順序キュー内のジョブをユーザ名の優先順位の順番に並べ替えて追加することも可能である。投入順序キュー内を並べ替えることの方が、新たに優先ユーザキューを作成することよりも現実的である。
【0059】
本実施形態によれば、ジョブに対する処理を行う際の順序条件によって、使用者の意図に沿ったジョブ処理を行うことができる。
【0060】
図8〜図10を参照しながら、前述した図2中ステップ108における本実施形態の強制処理の終了条件について説明する。
【0061】
図8では、メモリフルが発生した場合に、一時停止中の全てのジョブを対象にした強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が執行(実施)された段階で、一時停止中のジョブが存在するか否かを判定する(ステップS701)。ジョブが存在する場合には(ステップS701/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS702)。ジョブが存在しない場合には(ステップS702/No)、強制処理を終了する。
【0062】
図9では、メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が一定の閾値を越えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が実行された段階で、メモリの空き容量が所定の閾値を越えているか否かを判定する(ステップS801)。メモリの空き容量が閾値を越えていない(閾値よりも少ない)場合には(ステップS801/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS802)。メモリの空き容量が閾値を越えている場合には(ステップS802/No)、強制処理を終了する。
【0063】
図10では、メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が新たに投入された印刷ジョブの印刷に必要な容量を超えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
任意のジョブに対する強制処理が実行された段階で、メモリの空き容量が次のジョブに必要とされるメモリ量を満たしているか、すなわち次のジョブ印刷用のメモリが確保できているか否かを判定する(ステップS901)。メモリの空き容量が必要なメモリ量を満たしていない場合には(ステップS901/Yes)、再度強制処理を実行する(ステップS902)。メモリの空き容量が必要なメモリ量を満たしている場合には(ステップS902/No)、強制処理を終了する。
【0064】
本実施形態によれば、ジョブに対する処理の終了条件により、強制処理の対象となるジョブ数を制御することができる。
【0065】
なおここでは図示しないが、本実施形態はネットワークで接続された複数台の画像形成装置による画像形成システムにも適用が可能である。例えば、親機と子機とで連動して印刷ジョブを処理するような、いわゆる連結印刷ジョブにも適用できる。
【0066】
本実施形態の画像形成装置、画像形成方法およびプログラムによれば、所定の時間を超えて停止しているジョブに対し強制処理を行うことができる。したがって、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れていた場合に、記憶容量の空きが不足して次の処理が行えなくなる事態を回避することが可能となる。
【0067】
また、一時停止中のジョブに対して処理を促す旨の通知を行うので、一時停止中のジョブをユーザが処理し忘れるという状況を防ぐことができる。また、強制処理を行ったジョブを投入したユーザにその内容の通知を行うので、ジョブの処理結果を明らかにすることができる。また、ジョブに対する処理を行う際の順序条件設定を行うことで、使用者の意図に沿ったジョブ処理を行うことができる。さらに、ジョブに対する処理の終了条件設定を行うので、強制処理の対象となるジョブ数を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本実施形態の画像形成装置の構成を示すブロック図である。
【図2】本実施形態の強制処理の動作を示すフローチャートである。
【図3】本実施形態の印刷ジョブの処理を促す通知に係るフローチャートである。
【図4】本実施形態の強制処理を、印刷ジョブの受け付け順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる投入順序キューを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態の強制処理を、一時停止している時間が長い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられる待ち時間キューを示すフローチャートである。
【図6】本実施形態の強制処理を、メモリ占有率の高い印刷ジョブから順に行う場合の、ジョブ選定に用いられるメモリ量キューを示すフローチャートである。
【図7】本実施形態の強制処理を、印刷ジョブを投入したユーザの優先順位に基づいて、ジョブ選定に用いられるキューを示すフローチャートである。
【図8】メモリフルが発生した場合に、一時停止中の全てのジョブを対象にした強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【図9】メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が一定の閾値を越えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【図10】メモリフルが発生した場合に、メモリの空き容量が新たに投入された印刷ジョブの印刷に必要な容量を超えるまで強制処理を行うための終了条件を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0069】
1 プリンタ
2 コントローラ
3 ホストマシン
4 操作パネル
5 ホストI/F
6 プログラムROM
7 フォントROM
8 パネルI/F
9 CPU
10 RAM
11 NV−RAM
12 エンジンI/F
13 プリンタエンジン
14 オプションRAM
15 ネットワーク
16 ネットワークI/F
17 HDD
18 タイマ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記印刷ジョブを記憶する記憶手段と、前記印刷ジョブの前記停止時間を計測するタイマとを有し、
前記制御手段は、前記タイマにて計測された前記停止時間に基づき前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は強制処理として、停止中の前記印刷ジョブを強制的に再開させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は強制処理として、停止中の前記印刷ジョブを強制的に破棄させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記強制処理が行われたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
停止中の前記印刷ジョブに対して当該印刷ジョブの再開を促すよう通知する第2の通知手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記画像形成装置が前記印刷ジョブを受け付けた順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記印刷ジョブの前記停止時間が長い順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記印刷ジョブにおける前記画像形成装置の記憶手段の占有率の高い順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記画像形成装置に対して前記印刷ジョブを投入したユーザの優先度に基づく順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、停止中の前記印刷ジョブ全てに対して前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記画像形成装置の記憶手段の空き容量が、設定された閾値を超えるまで前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記画像形成装置の前記記憶手段の空き容量が、新たに投入された前記印刷ジョブの使用容量よりも大きくなるまで前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成方法であって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止するようコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【請求項1】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成装置であって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記画像形成装置は、前記印刷ジョブを記憶する記憶手段と、前記印刷ジョブの前記停止時間を計測するタイマとを有し、
前記制御手段は、前記タイマにて計測された前記停止時間に基づき前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記制御手段は強制処理として、停止中の前記印刷ジョブを強制的に再開させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は強制処理として、停止中の前記印刷ジョブを強制的に破棄させるよう制御することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記強制処理が行われたことを通知する第1の通知手段を有することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項6】
停止中の前記印刷ジョブに対して当該印刷ジョブの再開を促すよう通知する第2の通知手段を有することを特徴とする請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記画像形成装置が前記印刷ジョブを受け付けた順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記印刷ジョブの前記停止時間が長い順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項9】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記印刷ジョブにおける前記画像形成装置の記憶手段の占有率の高い順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項10】
前記制御手段が前記印刷ジョブに対して前記強制処理を行う順番は、前記画像形成装置に対して前記印刷ジョブを投入したユーザの優先度に基づく順番であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項11】
前記制御手段は、停止中の前記印刷ジョブ全てに対して前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項12】
前記制御手段は、前記画像形成装置の記憶手段の空き容量が、設定された閾値を超えるまで前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項13】
前記制御手段は、前記画像形成装置の前記記憶手段の空き容量が、新たに投入された前記印刷ジョブの使用容量よりも大きくなるまで前記強制処理を行うよう制御することを特徴とする請求項1から4のいずれか1項記載の画像形成装置。
【請求項14】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止する画像形成方法であって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御工程を有することを特徴とする画像形成方法。
【請求項15】
画像データの印刷ジョブを一時的に停止するようコンピュータに実行させるプログラムであって、
前記印刷ジョブの停止時間が所定の時間を経過した場合に、当該印刷ジョブに強制処理を行うように制御する制御処理をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2008−68441(P2008−68441A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−246857(P2006−246857)
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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