説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法、及びプログラム

【課題】PDLデータの複数ページを並列で処理する画像形成装置におけるPDLデータの処理状況を適切にユーザに提示すること。
【解決手段】PDLデータの複数ページを並列で処理する画像形成装置101は、出力モードとして、印刷データの処理と印刷出力を並行して実行する第1出力モード(RIP while Print)、又は、全ページについて印刷データの処理が完了してから印刷出力を実行する第2出力モード(RIP then Print)の設定入力をユーザから受け付けて、不揮発性メモリに保持しておく。そして、画像形成装置101は、出力モードが第1出力モードの場合、PDLデータの処理が完了したページの中で、連続出力可能ページ数として1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる情報をユーザに提示する。また、出力モードが第2出力モードの場合、展開済ページ数としてPDLデータの処理が完了しているページの数を特定できる情報をユーザに提示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置の印刷データ処理状況の表示に関する。
【背景技術】
【0002】
MFP(Multifunction Peripheral)に代表される印刷装置などの画像形成装置では、コピーやページ記述言語(PDL)を用いた印刷を行える。コピーを行う場合、画像形成装置における各ページの画像展開処理に大きな差が発生することはないため、ユーザはコピー対象のドキュメントのページ数からおおよその出力時間を把握することが可能である。
【0003】
一方、PDLを用いた印刷を行う場合、画像形成装置における各ページの画像展開処理は1秒以下から数十秒、場合によっては1時間を要するなど大きな差が発生することがある。この差は、各ページ中の情報量、情報複雑度によってプロセッサの演算時間が大きく変わることで生ずる。これにより、PDLの印刷に関しては、ユーザが、予め出力時間を知ることは困難であるという問題がある。
【0004】
この問題への対応として、画像形成装置が、受信したPDLデータの未出力ページ数をユーザに提示する技術が提案されている(特許文献1)。
この技術は、PDLコマンドの解析と印刷処理状況から未出力ページ数を算出し、その情報を画像形成装置のユーザインターフェースに表示することで、ユーザにPDLの印刷状況を把握させるものである。ユーザは、未出力ページ数情報と実際の出力状況からPDLの画像展開処理状況を把握可能となる。
【0005】
これにより、ユーザは、PDL印刷時に予め出力時間を知ることは困難ではあるものの、画像展開処理状況に応じた適切なアクションを行うことが可能となる。
例えば、POD印刷などに代表される印刷オペレータが、画像展開処理状況を見て、プレスやポストプレスの作業工程の優先度を変える、などが考えられる。また、基幹印刷システムを構築するようなPDLに造詣の深いユーザが、画像展開処理に大きく時間のかかるページのデータ構成を見直す、といったことも考えられる。このような観点で、特にエキスパートユーザに対し、適切なPDLの画像展開処理状況を提示する機能は重要である。
【0006】
また、近年、ハードウェア技術の向上により、マルチコアのCPUが開発され、パーソナルコンピュータ等では、複数のアプリケーションを同時実行可能となっている。
MFPなどの画像形成装置においても、コピー、PDL印刷等の複数の機能をストレスなく並列実行するために、マルチコアのCPUが搭載されるようになってきている。このようなMFPでは、PDLデータの印刷を行う場合、マルチコアのCPUにより、各ページをそれぞれ並列に画像展開処理し、高速に処理することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−208541号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上述のようなPDLの画像展開処理を並列で行う場合、非同期にPDLの画像展開処理が行われことで、展開後画像がドキュメントのページ順に生成される保証がなくなる。上述した従来の画像展開処理状況をユーザに提示する技術では、ページ並列処理を想定したものでないため、印刷の設定によっては正しい状況をユーザに提示することができない可能性がある。
【0009】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。本発明の目的は、PDLデータの複数ページを並列で処理する画像形成装置におけるPDLの処理状況を適切にユーザに提示する仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、複数の印刷データ処理手段により印刷データの複数のページを並列で処理して印刷出力を実行する画像形成装置であって、出力モードとして、印刷データの処理と印刷出力を並行して実行する第1出力モード、又は、全ページについて印刷データの処理が完了してから印刷出力を実行する第2出力モードの設定入力をユーザから受け付けて、設定保持手段に保持する設定手段と、前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第1出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了したページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる第1情報をユーザに提示する第1提示手段と、前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第2出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了しているページの数を特定できる第2情報をユーザに提示する第2提示手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、印刷データの複数ページを並列で処理する画像形成装置におけるPDLデータの処理状況を適切にユーザに提示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施例を示す画像形成装置101のシステム構成の一例を示す図である。
【図2】画像形成装置101のソフトウェア構成の一例を示す図である。
【図3】本発明におけるPDLデータの構成の一例を示す図である。
【図4】PDL出力モード設定を行う画面(PDL出力モード設定画面)の一例を示す図である。
【図5】PDL出力モード設定処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】実施例1におけるPDLの画像展開処理状況画面の一例を示す図である。
【図7】実施例1におけるPDLの画像展開処理状況画面の一例を示す図である。
【図8】実施例1におけるPDL印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図9】図8のS704に示すPDLジョブ処理の一例を示すフローチャートである。
【図10】実施例1における図9のS806に示す画像展開状況表示処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
【図11】実施例2におけるPDLの画像展開処理状況画面の一例を示す図である。
【図12】図11に示したプログレスバーを描画する際に用いる座標値を示す一例である。
【図13】実施例2におけるPDL印刷処理の一例を示すフローチャートである。
【図14】実施例2における図9のS806に示す画像展開状況表示処理の詳細の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
従来の画像展開処理状況をユーザに提示する技術は、ページ並列処理を想定したものでないため、上述のようなマルチコアのCPUが搭載される画像形成装置においては、以下に述べる課題が発生する。
【0014】
例えば、1000ページのPDLデータがあったとし、3ページ目の画像展開処理に10分を要するが、それ以外のページの画像展開処理は各0.5秒程度である場合を考える。
【0015】
デュアルコアCPUが搭載される画像形成装置では、2並列の画像展開処理が行われることとなる。PDLデータを投入してすぐに3ページ目の画像展開処理でCPUのコアを占有し、もう1つのコアで4ページ目以降の残り全てのページの画像展開処理を行う状況が生ずる。そして、8分過ぎには、3ページ目の画像展開処理を継続中で、残りの全てのページの画像展開処理が完了していることとなる。
【0016】
この時、ユーザに提供される画像展開処理情報の表示としては、展開済みページ数が999ページ分の処理が終わっているので「999」で止まっているか、3ページ目の処理が終わっていないので「2」で止まっているかの、何れかになる。
【0017】
ここで、画像形成装置では、PDL出力モードを、RIP while Printで行うかRIP then Printで行うかを選択可能である。
RIP while Printとは、画像形成装置が、画像展開処理と印刷処理を並行して実行するモード(第1出力モード)であり、1ページ目の画像展開処理が終わるとすぐに1ページ目の印刷処理を開始する。RIP then Printとは、画像形成装置が、投入されたPDLの全てのページの画像展開処理を終えた後に印刷処理を実行するモード(第2出力モード)であり、上記例では1000ページの画像展開処理が完了するまで印刷処理は開始されない。
【0018】
上記例で、PDL出力モードがRIP while Printで、展開済みページ数が「999」と表示された場合、印刷処理が2ページ目排紙時点で停止しているにも関わらず画面表示は「999」となっている。このため、ユーザが機器の不具合と判断してしまう恐れがある。
【0019】
また、PDL出力モードがRIP then Printで、展開済みページ数が「2」と表示された場合、3ページ目の画像展開処理が終わった直後に表示が「2」から「1000」に飛び、ユーザは正確な画像展開処理状況を把握できないこととなる。
【0020】
本発明では、PDLを並列で処理するプリンタにおいて、PDL出力モードの設定に応じて適切なPDLの処理状況をユーザに伝えることを目的とする。
以下、本発明を実施するための形態について図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の一実施例を示す画像形成装置101のシステム構成の一例を示す図である。
101は画像形成装置である。204はマルチコアの中央演算処理装置(以下、CPU)で、画像形成装置101の演算処理や制御などを並列で行うことができる。
【0022】
201はROMで、画像形成装置101におけるCPU204の制御コードを格納する。ROM201は、受信部211、解析部212、中間コード生成部213、展開処理部214、ジョブ管理・UI制御部215、及び、不図示のオペレーティングシステム(OS)等のプログラムをコンピュータ読取可能に記録している。これらのプログラムをCPU204が読み出して実行することにより、後述する図2に示すソフトウェアモジュールを実体化する。
【0023】
202はRAMで、様々な情報を一時格納する。RAM202は、受信バッファ221、ワークメモリ222、フレームバッファ223、ラスタメモリ224を有する。203はネットワークI/Fで、外部デバイスと情報の入出力を行うためのものであり、例えば、外部デバイスから送信された印刷データを受信する。
【0024】
受信部211は、受信バッファ221から読み出した印刷データからPDL(Page Discription Language;ページ記述言語)を特定し、PDLデータをワークメモリ222に入れ、解析部212にPDLデータを渡す。解析部212は、受信部211から渡されたPDLデータをワークメモリ222から読み出し、コマンドを解析する。中間コード生成部213は、解析部212において解析したデータから描画を行なうための内部情報である中間コードを生成し、フレームバッファ223に格納する。
【0025】
展開処理部214は、フレームバッファ223に格納された中間コードを画像データ(ビットマップ)に展開し、ビットマップをラスタメモリ224に格納する。なお、展開処理は、ソフトウェアによる処理では、処理に時間がかかってしまうため、展開処理部214の制御により動作する専用ハードウェア(不図示)を装備し、専用ハードウェアにより展開処理を高速に行っている。ジョブ管理・UI制御部215は、画像形成装置の各種処理状況の管理とパネル表示の制御を行う。
【0026】
受信バッファ221は、ネットワークI/F203を介して受信した印刷データを格納するメモリである。ワークメモリ222は、入力された印刷データから特定されたPDLデータや、中間コードに変換するときに一時的に使用するメモリである。フレームバッファ223は、中間コード生成部213で生成された中間コードを格納するメモリである。ラスタメモリ224は、フレームバッファ223に格納された中間コードから展開処理部214により展開されたラスタイメージを格納するメモリである。
【0027】
205はエンジンI/Fで、プリンタエンジン208との信号の入出力を行う。プリンタエンジン208は、イメージデータに基づいて、周知の電子写真プロセスによって感光ドラム上に潜像を形成し、用紙に転写して定着し印字を行う。
【0028】
206はパネルI/Fで、パネル部207との信号の入出力を行う。207はパネル部で、表示装置上に画像形成装置101の動作を左右するメニューに代表される様々な情報を表示し、ユーザからのボタン押下やタッチパネル入力などの指示を受け付ける。
【0029】
図2は、画像形成装置101のソフトウェア構成の一例を示す図である。
図2において、ネットワーク(Network)モジュール301は、受信部211における受信処理を行う。ネットワークモジュール301は、ネットワークI/F203経由で投入されたPDLの受信に関わる処理だけでなく、例えば画像形成装置の情報開示処理など外部機器との様々な通信処理を受けもつ。
【0030】
302はUIモジュールで、ジョブ管理・UI制御部215におけるUI制御処理を行う。UIモジュール302は、パネル部207からのユーザからの入力をジョブ管理モジュール303に通知したり、ジョブ管理モジュール303からの通知をユーザに対する適切な内容に整理しパネル部207に表示する処理を行う。
【0031】
303はジョブ管理モジュールで、ジョブ管理・UI制御部215におけるジョブ管理処理を行う。ジョブ管理モジュール303は、コピーやPDL印刷のジョブ生成から実行、クロージングに至る様々なステータスを保持し、各ジョブ処理ステータスに関わる処理モジュールに適切な処理実行を指示する。
【0032】
304はPDLインタープリタ管理モジュールで、解析部212におけるPDL解析処理の管理を行う。
305はPDLインタープリタモジュールで、解析部212におけるPDL解析処理を実行し、中間コード生成部213における中間コード生成処理を実行する印刷データ処理部である。図3に示す各ページのPDLコマンドを解釈する処理は、複数の並列実行可能なPDLインタープリタモジュール305で実施される。また、PDLインタープリタモジュールの実体(インスタンス)はCPU204のプロセッサ数分生成され、各PDLインタープリタモジュールの実体は各CPUプロセッサ上で実行される。図2に示す例では、PDLインタープリタモジュール#1,PDLインタープリタモジュール#2により、並列に処理が実行される。即ち、画像形成装置101は、複数のCPUプロセッサにより実行される複数のPDLインタープリタモジュールにより印刷データ(PDLデータ)の複数のページを並列で処理して印刷出力を実行することができる。
【0033】
PDLインタープリタ管理モジュール304は、各PDLインタープリタモジュール305の処理状況を把握する。そして、PDLインタープリタ管理モジュール304は、画像形成装置101全体として最も高速にPDL解析及び中間コード生成処理が実行されるよう、各PDLインタープリタモジュールに対し、PDLデータ中の各ページの解析処理を割り当てる。
【0034】
306はRIPモジュールで、展開処理部214におけるビットマップへの展開処理を行う。この展開処理により形成されたビットマップ画像はビデオ信号に変換され、エンジンI/F205経由でプリンタエンジン208に送信されることとなる。
【0035】
以下に、図2に示すソフトウェア構成の実現について、図1に対応付けて説明する。
画像形成装置101の電源が投入されると、画像形成装置101のCPU204は、ROM201に格納されているプログラムの実行を開始する。最初に、CPU204は、不図示のOSカーネルプログラムを実行し、RAM202初期化、不図示のHDDなどの不揮発性メモリのマウントや各種ドライバの初期化を行う。211〜215のプログラムは、1つのファームウェアのファイルとしてROM201に格納されている。OSカーネルプログラムが、該ファームウェアを起動すると、ファームウェア内のブート処理が開始される。ブート処理は、ブート処理内で生成するタスクのプロセッサ親和性(どのタスクをどのCPUに割り当てるか)を設定する。
【0036】
このブート処理の流れは以下のとおりである。
受信部211内のプログラムが、Networkモジュール301の実体を1つ生成し、CPU#1上で実行される1つのタスクに割り当てる。そして、RAM202上に受信バッファ221領域を静的に確保する。
【0037】
解析部212内のプログラムが、PDLインタープリタ管理モジュール304の実体を1つ生成し、CPU#1上で実行される1つのタスクに割り当てる。そして、RAM202上にワークメモリを静的に確保する。
【0038】
解析部212内及び中間コード生成部213内のプログラムが、PDLインタープリタモジュール305の実体を2つ、即ち、PDLインタープリタモジュール#1とPDLインタープリタモジュール#2の実体を1つずつ生成する。そして、各実体をCPU#1で実行するタスクとCPU#2で実行するタスクに別々に割り当てる。
【0039】
展開処理部214内のプログラムが、RIPモジュール306の実体を1つ生成し、CPU#1上で実行される1つのタスクに割り当てる。ジョブ管理・UI制御部215内のプログラムが、UIモジュール302及びジョブ管理モジュール303の実体を1つずつ作成し、CPU#1上で実行される1つずつのタスクに割り当てる。
【0040】
このように図2に示すソフトウェア構成が実現される。
PDLデータ処理時に、フレームバッファ223は中間コード生成部213内のプログラムによって、ラスタメモリ224は展開処理部214内のプログラムによって、動的にメモリ確保されることとなる。なお、マルチプロセッサ上におけるマルチタスクの処理の詳細は、本発明に直接関係するところではないため、これ以上の説明は割愛する。
【0041】
図3は、本発明におけるPDLデータの構成の一例を示す図である。
PDLデータは以下に示す2つの種類がある。
1つ目は、図3(a)に示すように、PDLデータ中のページ構成を一元的に管理する情報が含まれないものである。この種類のPDLデータでは、PDLデータ中の全てのコマンド(1401−1〜1401−n)を解析しなければ、PDLデータ中の総ページ数を把握することができない。
【0042】
2つ目は、図3(b)に示すよういに、PDLデータ中にページ構成を示すページツリー情報1400が含まれるものである。この種類のPDLデータでは、PDLデータ中の全てのコマンドを解析せずとも、ページツリー情報1400を解析するだけで、PDLデータ中の総ページ数を把握することが可能である。
【0043】
実施例1では、ユーザからのPDL出力モード設定に従い、パネル部207にPDL画像展開処理状況を切り替えて表示する動作に関して、図4から図10を用いて説明する。
図4は、PDL出力モード設定を行う画面(PDL出力モード設定画面)の一例を示す図である。
図4において、1500はPDL出力モード設定画面である。PDL出力モード設定画面1500は、ユーザがパネル部207に表示される不図示の画面からPDL出力モードの設定開始を指示すると、UIモジュール302によりパネル部207に表示される。ユーザは任意のタイミングでこの画面を呼び出して、PDL出力モードの設定変更が可能である。
【0044】
ユーザが、PDL出力モード設定画面1500において、「する」1501を選択してOKボタン1503を押下指示した場合、PDL出力モードはRIP then Printモードに設定される。一方、「しない」1501を選択してOKボタン1503を押下指示した場合、PDL出力モードはRIP while Printモードに設定される。
【0045】
PDLデータがネットワークから投入されると、ジョブ管理モジュール303はPDL出力モードの設定を読み出し、そのPDLデータのPDL処理(後述の図8のS704)に、上記読み出したPDL出力モードの設定を適用する。
【0046】
図5は、PDL出力モード設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中、S601〜S605は各ステップを示す。また、これらの各ステップの処理は、UIモジュール302により実行される。即ち、図5に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0047】
ユーザがパネル部207上で行ったPDL出力モード設定の開始指示を検知すると、UIモジュール302は、本フローチャートの処理を開始する。
まず、S601において、UIモジュール302は、パネル部207に、PDL出力モード設定画面1500(図4)を表示し、S602に処理を進める。
S602では、UIモジュール302は、上記S601で表示したPDL出力モード設定画面1500にて、ユーザからの設定入力を受け付ける。そして、UIモジュール302は、「する」1501又は「しない」1502が選択された状態でOKボタン1503が押下されたことを検知すると、S603に処理を進める。
【0048】
S603では、UIモジュール302は、上記S602の入力で「する」1501が選択されたか「しない」1502が選択されたか判定する。
そして、上記S602の入力で「しない」1502が選択されたと判定した場合、UIモジュール302は、S604に処理を進める。S604では、UIモジュール302が、PDL出力モード設定を"RIP while Print"として不図示の不揮発性メモリの設定保持領域に保持させ、本フローチャートの処理を終了する。
【0049】
一方、上記S602の入力で「する」1501が選択されたと判定した場合、UIモジュール302は、S605に処理を進める。S605では、UIモジュール302が、PDL出力モード設定を"RIP then Print"として不図示の不揮発性メモリの設定保持領域に保持させ、本フローチャートの処理を終了する。
なお、ROM201を書き換え可能なROM、例えば、フラッシュROM等とし、PDL出力モード設定等をROM201内に保持するように構成してもよい。
【0050】
図6,図7は、実施例1におけるPDLの画像展開処理状況画面の一例を示す図である。なお、PDLの画像展開処理状況画面は、PDL出力モードに応じてパネル部207に表示される。
【0051】
なお、図6はPDL出力モードが"RIP while Print"時のPDLの画像展開処理状況画面に対応する。
図6において、400は、PDLの画像展開処理状況画面の全体像を示したものである。RIP while Printモードでは、401に示すように、連続出力可能ページ数として、402のような画像展開処理の完了しているページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値が特定できる情報(第1情報)が表示される。
【0052】
なお、ここでは、402に連続出力可能ページ数を表示する構成を示したが、全ページ数のうち連続出力可能ページ数の割合、即ち、全ページの何%のページが連続出力可能であるかを表示してもよい。
【0053】
図7はPDL出力モードが"RIP then Print"時のPDLの画像展開処理状況画面に対応する。
図7において、500は、PDLの画像展開処理状況画面の全体像を示したものである。RIP then Printモードでは、501に示すように、展開済みページ数として、502のような画像展開処理の完了しているページ数を特定できる情報(第2情報)が表示される。
【0054】
なお、ここでは、502に展開済みページ数を表示する構成を示したが、全ページ数のうちの展開済みページ数の割合、即ち、全ページの何%のページが展開済みであるかを表示してもよい。
【0055】
図8は、実施例1におけるPDL印刷処理の一例を示すフローチャートであり、PDL出力モードに応じたパネル表示を行う。なお、図中、S701〜S704は各ステップを示す。また、これらの各ステップの処理は、図2に示した各モジュールにより実行される。即ち、図8に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0056】
S701において、Networkモジュール301は、PDLデータを受信する。なお、Networkモジュール301は、データを受信するとそのデータを受信バッファ221に格納し、該受信バッファ221に格納されたデータからPDLデータをワークメモリ222に格納する。また、Networkモジュール301は、PDLデータを受信したことを、ジョブ管理モジュール303に通知する。
【0057】
この通知を受けると、ジョブ管理モジュール303は、S702において、不図示の不揮発性メモリから出力モード属性を読み込み、RAM202の保持し、S703に処理を進める。
【0058】
S703では、ジョブ管理モジュール303は、PDLインタープリタ管理モジュール304にジョブの実行(処理の開始)を指示する。
この指示を受けると、PDLインタープリタ管理モジュール304は、S704において、PDLジョブ処理(図9)を実行し、本フローチャートの処理を終了する。
【0059】
図9は、図8のS704に示すPDLジョブ処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中、S801からS818は各ステップを示す。また、S801〜S808に示す処理と、S809〜S813に示す処理と、S814〜S818に示す処理が並列に動作する。さらに、これらの各ステップの処理は、図2に示した各モジュールにより実行される。即ち、図9に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0060】
なお、本実施例では、PDLインタープリタの実体は2つ生成される。そのうちの1つをPDLインタープリタモジュール#1と呼び、もう1つをPDLインタープリタモジュール#2と呼ぶこととする。S809〜S813に示す処理は、PDLインタープリタモジュール#1で実行されるPDL解析処理及び中間コード生成処理に該当する。また、S814〜0818に示す処理は、PDLインタープリタモジュール#2で実行されるPDL解析処理及び中間コード生成処理に該当する。このように、PDLインタープリタモジュール#1とPDLインタープリタモジュール#2は上述の通り、別々のプロセッサで実行される。なお、S801〜S808に示す処理はどちらのプロセッサで実行されてもよい。
【0061】
まず、S801において、PDLインタープリタ管理モジュール304は、PDLインタープリタモジュール#1が処理中状況で無ければ、中間コード生成未処理ページの中で最も若いページ番号をPDLインタープリタモジュール#1に通知する。この通知により、PDLインタープリタモジュール#1は、PDL解析処理及び中間コード生成処理(S809〜S813)を実行する。
【0062】
次に、S802において、PDLインタープリタ管理モジュール304は、PDLインタープリタモジュール#2が処理中状況で無ければ、中間コード生成未処理ページの中で最も若いページ番号をPDLインタープリタモジュール#2に通知する。この通知により、PDLインタープリタモジュール#2は、PDL解析処理及び中間コード生成処理(S814〜S818)を実行する。
【0063】
次に、S803において、PDLインタープリタ管理モジュール304は、上記頁番号を通知した各PDLインタープリタモジュールのうち、処理が完了したPDLインタープリタモジュールから処理完了通知(後述するS813又はS818の通知)を受け取り、処理完了通知を受け取ったPDLインタープリタモジュールの処理状況を更新する。なお、ここで、処理完了通知を受け取らなかったPDLインタープリタモジュールは、その時点では、PDL解析処理又は中間コード生成処理中ということとなる。
【0064】
次に、S804において、PDLインタープリタ管理モジュール304は、中間コードの生成が終わっているページのRIP処理を、RIPモジュール306にページ番号が若い順に指示する。
【0065】
この指示に応じて、RIPモジュール306は、S805において、上記指示されたページの中間コードをフレームバッファ223から読み出し、ビットマップ画像を生成するRIP処理を行い、生成したビットマップ画像をラスタメモリ224に格納するように制御する。なお、RIPモジュール306は、不図示の専用ハードウェアによりRIP処理を高速に実行することができる。このため、RIP処理の処理時間は、PDL解析処理や中間コード生成処理の処理時間と比較して無視できる時間であると仮定する。
【0066】
次に、S806において、RIPモジュール306は、図10に示す画像展開状況表示処理の実行を開始する。この画像展開状況表示処理では、ジョブ管理モジュール303は、RIPモジュール306からRIP処理の完了したページ番号の通知を受信する(図10のS901)。
【0067】
次に、S807において、ジョブ管理モジュール303は、上記RIP処理の完了したページ番号の通知に基づいて、RIP処理状況を判断し、全ページのRIP処理が完了したか否かを判定する。
【0068】
そして、未だ全ページのRIP処理が完了していないと判定した場合(S807でNo)、ジョブ管理モジュール303は、その旨をPDLインタープリタ管理モジュール304に通知する。この通知に応じて、PDLインタープリタ管理モジュール304は、S801に処理を戻す。
【0069】
一方、全ページのRIP処理が完了したと判定した場合(S807でYes)、ジョブ管理モジュール303は、その旨をPDLインタープリタ管理モジュール304に通知する。この通知に応じて、PDLインタープリタ管理モジュール304は、S808に処理を進める。
S808では、PDLインタープリタ管理モジュール304は、各PDLインタープリタモジュール305にジョブ終了を通知し、本処理を終了する。
【0070】
次に、PDLインタープリタモジュール305の処理フロー(S809〜S813及びS814〜S818)を説明するが、各PDLインタープリタモジュールの処理内容は同一であるので、PDLインタープリタモジュール#1,#2の処理を同時に説明する。
【0071】
S809(S814)において、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、PDLインタープリタ管理モジュール304からイベントを受信し、S810(S815)に処理を進める。
【0072】
S810(S815)では、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、上記S810(S815)で受信したイベントの内容が、上述のS802(S803)において送信された「ページ番号」であるか「ジョブ終了」であるかを判定する。
【0073】
そして、受信したイベントの内容が「ページ番号」であると判定した場合、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、S811(S816)に処理を進める。
一方、受信したイベントの内容が「ジョブ終了」であると判定した場合、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、本フローチャートの処理を終了する。
【0074】
S811(S816)では、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、上記受信したページ番号を処理対象ページとし、S812(S817)に処理を進める。
【0075】
S812(S817)では、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、処理対象ページのPDLデータをワークメモリ222から読み出し、PDL解析処理を行う。そして、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、解析したデータから描画を行なうための内部情報である中間コードを生成し、フレームバッファ223に格納する中間コード生成処理を行い、S813(S818)に処理を進める。
【0076】
S813(S818)では、PDLインタープリタモジュール#1(#2)は、PDLインタープリタ管理モジュール304に処理完了を通知し、S809(S814)に処理を戻す。
【0077】
なお、図9のフローチャートでは、2つのCPUプロセッサを有し、2つのPDLインタープリタモジュール(PDLインタープリタモジュール#1,#2)で処理を行う構成を例として説明した。しかし、3つ以上のPDLインタープリタモジュールで処理を行う構成でもよい。
【0078】
図10は、実施例1における図9のS806に示す画像展開状況表示処理の詳細の一例を示すフローチャートである。なお、図中、S901〜S906は各ステップを示す。これらの各ステップの処理は、図2に示した各モジュールにより実行される。即ち、図10に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0079】
S901において、RIPモジュール306は、RIP処理の完了したページ番号をジョブ管理モジュール303に通知する。
この通知に応じて、ジョブ管理モジュール303は、S902において、上述した図8のS702で読み込んだ出力モード属性値を判定する。
【0080】
そして、出力モード属性値が"RIP while Print"であると判定した場合、ジョブ管理モジュール303は、S903に処理を進める。
S903では、ジョブ管理モジュール303は、RIPモジュール306から通知されたRIP処理の完了したページ番号の中で、1から連続したページ番号の最大値を特定し、特定したページ番号をUI表示用ページ番号としてUIモジュール302に通知する。
【0081】
この通知を受けると、UIモジュール302は、S904において、図6の401,402に示したように、上記S903で通知されたページ番号を連続出力可能ページ数として、パネル部207にUI表示用ページ番号を表示し(第1提示ステップ)、本フローチャートの処理を終了する。
【0082】
また、出力モード属性値が"RIP then Print"であると判定した場合、ジョブ管理モジュール303は、S905に処理を進める。
S905では、ジョブ管理モジュール303は、RIPモジュール306から通知されたRIP処理の完了したページ番号の総数をカウントし、カウントしたページの総数をUI表示用ページ数としてUIモジュールに通知する。
【0083】
この通知を受けると、UIモジュール302は、S906において、図7の501,502に示したように、展開済みページ数として、パネル部207にUI表示用ページ数を表示し(第2提示ステップ)、本フローチャートの処理を終了する。
【0084】
以上示したように、実施例1によれば、PDL出力モードがRIP while Printの場合、図6に示したようなPDLの画像展開処理状況画面により、ユーザは、現時点で何ページ目まで(全ページの何%まで)連続出力可能なのかを把握することが可能となる。このため、従来のように、プリントシーケンスが止まっているにも関わらず画像展開処理が進んでいるように見えてユーザが機器の不具合と誤解してしまうといったことも防止できる。
【0085】
また、PDL出力モードがRIP then Printの場合、図7のようなPDLの画像展開処理状況画面により、ユーザは、現時点で全ページ中の何ページ目まで(全ページの何%まで)画像展開処理が終わっているのかを把握することができる。
【0086】
これにより、画像形成装置の操作に慣れていない、オフィスの一般ユーザを始めとするユーザが、業務効率向上のために、使用用途に応じた状況把握を簡易的に行うことを要望した場合であっても、PDL出力モードの設定に応じた適切なPDLの展開処理状況を提示することにより、実施例1を実施することによりユーザの要望を満たすことができる。
【0087】
詳細には、PDL出力モードがRIP while Printの場合、ユーザは、現時点で何ページ目まで連続出力可能なのかを知りたいという欲求があるが(要望が多いが)、それを満たすことができる。また、PDL出力モードがRIP then Printの場合、ユーザは、現時点で全ページ中の何ページの(何%の)画像展開処理が終わっているのかを知りたい欲求があるが(要望が多いが)、それを満たすことができる。
【0088】
従って、PDLデータの印刷を行う場合に、各ページをそれぞれ並列に画像展開処理するマルチコアのCPUを搭載した画像形成装置において、ページ並列処理を想定した適切な画像展開処理状況をユーザに提示することができる。
【実施例2】
【0089】
上記実施例1では、PDL出力モードがRIP while Printの場合、ユーザは何ページまで連続出力が可能かを知ることはできるが、正確な画像展開処理状況の把握はできない。
【0090】
例えば、1000ページのPDL印刷実行時に、3ページ目の画像展開処理を継続中で、残りの全てのページの画像展開処理が完了しているケースを考える。このケースでは、パネル部207に表示される展開済みページ数が「2」から、3ページ目のRIP完了時に一気に「1000」に更新される。
【0091】
実施例2では、現時点で何ページ目まで連続出力可能であるかを示す情報と、何ページの画像展開処理が終わっているのかを示す情報を、同時にパネル部207に表示する構成とする。
【0092】
なお、これらの2つの情報をそれぞれ数値で個別に表示することも本発明に含まれるものである。しかし、実施例2では、ユーザがより直感的に画像展開処理状況を把握出来るように、上述の2つの情報を1つのプログレスバー(プログレスメーター)に同時に表示する構成とする。このような構成により、刻々と変化する画像展開処理状況をユーザがより容易且つ直観的に把握することができるようになる。以下、この構成について、図11〜図13を用いて説明する。
【0093】
なお、実施例2では、後述する図13のS1207で示される「PDLジョブ処理」の詳細は、実施例1でも説明した図9のPDLジョブ処理フローを用いるが、図9のS806で示される「画像展開状況表示処理」の詳細は、図14の画像展開状況処理フローを用いるものとする。
【0094】
図11は、実施例2におけるPDLの画像展開処理状況画面の一例を示す図である。
図11において、(a)は、画面の全体像を示したものである。
画像展開処理状況は、左端が1ページ目で右端が最終ページとして表現されるプログレスバーとして表示され、各PDLインタープリタモジュール305で展開処理中のページがプログレスバー上の相対位置で表示される。
【0095】
具体的には、PDLインタープリタモジュール#1の処理中ページ番号が図中の1001として表示され、PDLインタープリタモジュール#2の処理中ページ番号が図中の1002として表示される。
【0096】
この1001及び1002の表示により、ユーザは、現時点で何ページの画像展開処理が終わっているのかを把握でき、同時に、図中の1003により、何ページ目まで連続出力可能かを把握できる。
【0097】
なお、PDLデータが図3の(b)に示す、ページツリー情報1400を有する種類のデータであった場合には、PDLデータ投入時に総ページ数を把握可能である。この場合、図11中の1004に総ページ数を表示する。
【0098】
一方、PDLデータが図3の(a)に示す、総ページ数を把握できない種類のデータであった場合、図11中の1004には総ページ数は表示しない。なお、総ページ数を把握できない場合でも、図11中の1004に各PDLインタープリタモジュール305が現在処理中のページの中で最大値を表示する。また、全ページの処理が終了した後に、総ページ数が把握できた段階で、1004に総ページ数を表示してもよい。
【0099】
各PDLインタープリタモジュール305の処理が進むにつれ、図11の1001及び1002のマーカーは右に移動し、画像展開状況の表示の部分は、図11の(b)に示すような表示となる。
【0100】
なお、図11の画像展開処理状況の表示は、各PDLインタープリタモジュール305の処理状況を示すものであり、正確にはRIP処理まで含めた画像展開処理状況を示すものではない。しかし、実施例1の図9の説明中に記載したように、RIP処理は不図示の専用ハードウェアにより高速に実行されるため、PDL解析処理や中間コード生成処理と比較して無視できる時間とすることは、実施例2でも同様である。従って、各PDLインタープリタモジュール305の処理状況はほぼ画像展開処理状況に等しいと考えて差し支えないため、各PDLインタープリタモジュール305の処理状況を、RIP処理まで含めた画像展開処理状況とみなす。
【0101】
図12は、図11に示したプログレスバーを描画する際に用いる座標値を示す一例である。
図12において、(a)は、PDLデータにページツリー情報が含まれる場合の表示例に対応する。一方、(b)は、PDLデータにページツリー情報が含まれず、総ページ数を把握できない場合の表示例に対応する。
【0102】
図12(a),(b)において、1101は、プログレスバーの原点位置を示す。また、1102は、プログレスバーの長さを示す。
1103は、PDLインタープリタモジュール#1の処理ページ番号位置を示す。また、1104は、PDLインタープリタモジュール#2の処理ページ番号位置を示す。
【0103】
1105は、最終ページ位置又は最大処理ページ位置を示す表示である。なお、(a)のケースでは、1105に最終ページ位置を表示する。一方、(b)のケースでは、1105に各PDLインタープリタモジュール305の処理ページ番号の中で最大値となるページの位置を表示する。
【0104】
図13は、実施例2におけるPDL印刷処理の一例を示すフローチャートである。なお、図中、S1201〜S1207は各ステップを示す。また、これらの各ステップの処理は、図2に示した各モジュールにより実行される。即ち、図13に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0105】
S1201において、Networkモジュール301は、PDLデータを受信し、受信したPDLデータをワークメモリ222に格納する。また、Networkモジュール301は、PDLデータを受信したことを、ジョブ管理モジュール303に通知する。
【0106】
この通知を受けると、ジョブ管理モジュール303は、S1202において、PDLインタープリタ管理モジュール304にジョブの実行(処理の開始)を指示する。
この指示を受けると、PDLインタープリタ管理モジュール304は、PDLインタープリタモジュール#1に、PDLコマンドの解析を指示する。
【0107】
この指示を受けると、PDLインタープリタモジュール#1は、S1203において、PDLコマンドを解析し、ページツリー情報を検索し、S1204に処理を進める。
S1204では、PDLインタープリタモジュール#1は、PDLデータ内にページツリー情報1400が存在するか否かを判定する。
【0108】
そして、PDLデータ内にページツリー情報1400が存在すると判定した場合、PDLインタープリタモジュール#1は、S1205に処理を進める。S1205では、PDLインタープリタモジュール#1は、ページツリー情報1400から総ページ数情報を読み込み、総ページ数をジョブ管理モジュール303に通知する。
【0109】
一方、PDLデータ内にページツリー情報1400が存在しないと判定した場合、PDLインタープリタモジュール#1は、S1206に処理を進める。S1206では、PDLインタープリタモジュール#1は、総ページ数情報が存在しない旨をジョブ管理モジュール303に通知する。
【0110】
上記S1205又はS1206の通知を受けると、PDLインタープリタ管理モジュール304は、S1207において、PDLジョブ処理(図9)を実行し、本フローチャートの処理を終了する。なお、上述した通り、S1207のPDLジョブ処理内の図9のS806に示される画像展開状況表示処理では、図14の画像展開状況処理フローを実行する。以下、図14に示す実施例2の画像展開状況処理フローについて説明する。
【0111】
図14は、実施例2における図9のS806に示す画像展開状況表示処理の詳細の一例を示すフローチャートである。なお、図中、S1301〜S1313は各ステップを示す。これらの各ステップの処理は、図2に示した各モジュールにより実行される。即ち、図14に示すフローチャートの処理は、ROM201に記録されたプログラムをCPU204が実行することにより実現される。
【0112】
S1301において、PDLインタープリタ管理モジュール304は、中間コード生成未処理ページの有無を判断し、S1302に処理を進める。
S1302では、PDLインタープリタ管理モジュール304は、中間コード生成未処理ページが存在しないと判断した場合、本フローチャートの処理を終了する。
【0113】
一方、PDLインタープリタ管理モジュール304は、中間コード生成未処理ページが存在すると判断した場合、S1303に処理を進める。
S1303では、PDLインタープリタ管理モジュール304は、PDLインタープリタモジュール#1が処理中のページ番号をジョブ管理モジュール303に通知し、S1304に処理を進める。
【0114】
S1304では、PDLインタープリタ管理モジュール304は、PDLインタープリタモジュール#2が処理中のページ番号をジョブ管理モジュール303に通知する。なお、上記S1303及びS1304における「処理中」とは、PDLインタープリタモジュール#1若しくはPDLインタープリタモジュール#2が、PDL解析処理中であるか中間コード生成処理中であることを示す。
【0115】
上記S1303及びS1304の通知を受けると、ジョブ管理モジュール303は、S1305において、総ページ数情報(図13のS1205で通知されている場合のみ)と各PDLインタープリタモジュール305が処理中のページ番号情報を、UIモジュール302に通知する。
【0116】
この通知を受けると、UIモジュール302は、S1306において、プログレスバーのラベル名として「画像展開状況」を表示し、プログレスバー原点位置にページ番号である「1」を表示し、S1307に処理を進める。
【0117】
S1307では、UIモジュール302は、各PDLインタープリタモジュール305が処理中のページ番号の中で、最大値を画像展開処理中ページ最大値として扱い、S1308に処理を進める。
【0118】
S1308では、UIモジュール302は、上記S1305の通知に総ページ数が存在するか否かを判定する。
そして、上記S1305の通知に総ページ数が存在すると判定した場合、UIモジュール302は、S1309に処理を進める。
S1309では、UIモジュール302は、総ページ数を表示最大ページ番号として扱い、S1310に処理を進める。S1310では、UIモジュール302は、プログレスバー原点から予め決められているプログレスバー表示長さ分(図12の1102)加算した位置に総ページ数を表示し、S1312に処理を進める。
【0119】
一方、上記S1305の通知に総ページ数が存在しないと判定した場合、UIモジュール302は、S1311に処理を進める。
S1311では、UIモジュール302は、画像展開処理中ページ最大値を表示最大ページ番号として扱い、S1312に処理を進める。即ち、PDLデータに含まれる総ページ数を取得できた場合には、総ページ数を前記最大ページ番号とし、総ページ数を取得できない場合には、PDLデータの処理が完了したページ番号の最大値を最大ページ番号とする。
【0120】
S1312では、UIモジュール302が、プログレスバー原点から、「{プログレスバー表示長さ}×{PDLインタープリタモジュール#1が処理中のページ番号}÷{表示最大ページ番号}」分加算した位置に、PDLインタープリタモジュール#1の処理ページ数を表示し、S1313に処理を進める。
【0121】
S1313では、UIモジュール302が、プログレスバー原点から、「{プログレスバー表示長さ}×{PDLインタープリタモジュール#2が処理中のページ番号}÷{表示最大ページ番号}」分加算した位置にPDLインタープリタモジュール#2の処理ページ数を表示し、本フローチャートの処理を終了する。
【0122】
なお、図14のフローチャートでは、CPU204が2つのプロセッサを有し、2つのPDLインタープリタモジュール(PDLインタープリタモジュール#1,#2)で処理を行う構成を例として説明した。しかし、CPU204が3つ以上のプロセッサを有し、3つ以上のPDLインタープリタモジュールで処理を行う構成でもよい。
【0123】
図14では、2つのPDLインタープリタモジュールで処理を行う場合であったため、表示最大ページ番号(PDLデータの最終ページ、又はPDLデータの処理が完了したページ番号の最大値)に対する、2つのPDLインタープリタモジュールの処理ページ番号の各相対位置をメーター表示した。
【0124】
しかし、3つ以上のPDLインタープリタモジュールで処理を行う場合、必ずしも全てのPDLインタープリタモジュールの処理ページ番号の、表示最大ページ番号に対する各相対位置を表示しなくてもよい。具体的には、全てのPDLインタープリタモジュールの処理ページ番号のうち、少なくとも最小値と最大値の、表示最大ページ番号に対する各相対位置をメーター表示する構成でもよい。この構成の場合、全てのPDLインタープリタモジュールが処理中のページ番号のうち、最小値の表示位置から連続出力可能ページ数を特定でき、また最大値の表示位置からおおよその展開済ページ数を特定できる。
【0125】
以上示したように、実施例2を実装することにより、実施例1の効果に加え、PDL出力モードの設定に依らず、ユーザは現時点で何ページ目まで連続出力可能なのか、及び、現時点で全ページ中の何ページの(何%の)画像展開処理が終わっているのかを同時に把握することが可能となる。
【0126】
例えば、POD印刷のオペレータなどのエキスパートユーザが、業務効率向上のためにPDL展開処理の現在の状況把握を行うことを要望した場合であっても、実施例2を実施することによりユーザの要望を満たすことができる。
【0127】
従って、PDLデータの印刷を行う場合に、各ページをそれぞれ並列に画像展開処理するマルチコアのCPUを搭載した画像形成装置において、ページ並列処理を想定した適切な画像展開処理状況をユーザに提示することができる。
【0128】
なお、上述した各種データの構成及びその内容はこれに限定されるものではなく、用途や目的に応じて、様々な構成や内容で構成されることは言うまでもない。
以上、一実施形態について示したが、本発明は、例えば、システム、装置、方法、プログラムもしくは記憶媒体等としての実施態様をとることが可能である。具体的には、複数の機器から構成されるシステムに適用しても良いし、また、一つの機器からなる装置に適用しても良い。
また、上記各実施例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【0129】
(他の実施例)
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。
【0130】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施例の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。即ち、上述した各実施例及びその変形例を組み合わせた構成も全て本発明に含まれるものである。
【符号の説明】
【0131】
1101 画像形成装置
204 CPU
302 UIモジュール
303 ジョブ管理モジュール
304 PDLインタープリタ管理モジュール
305 PDLインタープリタモジュール
306 RIPモジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の印刷データ処理手段により印刷データの複数のページを並列で処理して印刷出力を実行する画像形成装置であって、
出力モードとして、印刷データの処理と印刷出力を並行して実行する第1出力モード、又は、全ページについて印刷データの処理が完了してから印刷出力を実行する第2出力モードの設定入力をユーザから受け付けて、設定保持手段に保持する設定手段と、
前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第1出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了したページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる第1情報をユーザに提示する第1提示手段と、
前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第2出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了しているページの数を特定できる第2情報をユーザに提示する第2提示手段と、
を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記第1提示手段は、各印刷データ処理手段が処理完了したページ番号の中で、1から連続したページ番号の最大値を前記第1情報としてユーザに提示し、
前記第2提示手段は、各印刷データ処理手段が処理完了したページ番号の総数を前記第2情報としてユーザに提示する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
複数の印刷データ処理手段により印刷データの複数のページを並列で処理して印刷出力を実行する画像形成装置であって、
前記印刷データの処理が完了したページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる第1情報と、前記印刷データの処理が完了しているページの数を特定できる第2情報とを、ユーザに提示する提示手段を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
前記示手段は、各印刷データ処理手段が処理完了したページ番号の中で、1から連続したページ番号の最大値を前記第1情報としてユーザに提示し、各印刷データ処理手段が処理完了したページ番号の総数を前記第2情報としてユーザに提示する、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記提示手段は、前記印刷データの総ページ数又は前記印刷データの処理が完了したページ番号の最大値を最大ページ番号とし、該最大ページ番号に対する、各印刷データ処理手段の処理中の各ページ番号の各相対位置をメーター表示し、前記処理中のページ番号の最小値の表示位置により前記第1情報を提示し、各処理中のページ番号の表示位置により前記第2情報を提示する、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記提示手段は、前記印刷データの総ページ数又は前記印刷データの処理が完了したページ番号の最大値を最大ページ番号とし、該最大ページ番号に対する、各印刷データ処理手段の処理中の各ページ番号のうち、最小値と最大値の各相対位置をメーター表示し、前記処理中のページ番号の最小値の表示位置により前記第1情報を提示し、前記処理中のページ番号の最大値の表示位置により前記第1情報を提示する、ことを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記提示手段は、印刷データに含まれる総ページ数を取得できた場合には、前記総ページ数を前記最大ページ番号とし、前記総ページ数を取得できない場合には、前記印刷データの処理が完了したページ番号の最大値を最大ページ番号とする、ことを特徴とする請求項6に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記印刷データは、ページ記述言語で記述されたデータであり、
前記複数の印刷データ処理手段は、前記印刷データを画像データに展開するための処理を行う、ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
複数の印刷データ処理手段により印刷データの複数のページを並列で処理して印刷出力を実行する画像形成装置の制御方法であって、
設定手段が、出力モードとして、印刷データの処理と印刷出力を並行して実行する第1出力モード、又は、全ページについて印刷データの処理が完了してから印刷出力を実行する第2出力モードの設定入力をユーザから受け付けて、設定保持手段に保持する設定ステップと、
第1提示手段が、前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第1出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了したページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる第1情報をユーザに提示する第1提示ステップと、
第2提示手段が、前記設定保持手段に保持されている出力モードが前記第2出力モードの場合、前記印刷データの処理が完了しているページの数を特定できる第2情報をユーザに提示する第2提示ステップと、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
複数の印刷データ処理手段により印刷データの複数のページを並列で処理して印刷出力を実行する画像形成装置の制御方法であって、
提示手段が、前記印刷データの処理が完了したページの中で、1ページ目から連続したページ番号の最大値を特定できる第1情報と、前記印刷データの処理が完了しているページの数を特定できる第2情報とを、ユーザに提示する提示ステップを有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項11】
コンピュータを、請求項1乃至8のいずれか1項に記載された画像形成装置の手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−1059(P2013−1059A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137220(P2011−137220)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】