説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびおよび制御プログラム

【課題】正規のICカードが無いために一時的に利用権限を失っているユーザに対して、セキュリティ面を確保しつつ利便性の高い画像形成装置を提供する。
【解決手段】ICカードが有るかどうかを判断する(ステップS6)。そして、認証がOKであるかどうかを判断する(ステップS8)。認証がOKであると判断した場合には、ユーザ認証の結果を通知する画面を表示する(ステップS10)。ステップS8において、認証が失敗であると判断した場合には、機能制御処理を実行する(ステップS20)。具体的には、スキャンtoBOXの処理のみ実行が可能となる。そして、スキャンした画像データをボックスに格納する。その際、スキャンした画像データとともに、読み取ったカード識別情報が対応付けられて格納される。そして、認証がOKであると判断した場合に、データ検索指示が有る場合には、データ検索処理を実行する(ステップS16)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置において、ICカードを利用したユーザ認証処理に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、たとえばプリンタあるいはMFP(Multi Function Peripheral)等の情報処理装置において、セキュリティの観点から一般的にユーザ認証処理が行なわれている。
【0003】
一例として、情報処理装置と外部認証サーバとがネットワークで接続され、外部認証サーバに登録されたユーザ情報と、情報処理装置において入力されたユーザ情報とが一致するか否かに基づいてユーザ認証処理が実行される。
【0004】
ユーザ認証処理の方式には、種々の方式があり、特開2000−322529号公報、特開2007−94967号公報においては、複数のICカードを用いたユーザ認証処理を実行する方式が提案されている。また、別の方式として、特開2008−80652号公報における印刷装置において、例えば、ICカードでユーザ認証するユーザとは異なるユーザに宛ててデータを格納する方式等も提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−322529号公報
【特許文献2】特開2007−94967号公報
【特許文献3】特開2008−80652号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、上記の方式においては、正規のICカードすなわち予め登録されたICカードを用いてユーザ認証処理を実行するものであり、基本的に正規のICカードで無い場合、すなわち予め登録されていないICカードについては何らの処理を実行することができない。
【0007】
一般的に従来のオフィスにおいては、正規のICカードを忘れた際や、出張者等、正規のICカードを有していないユーザのために一時的に例えば画像形成装置の利用を許可するICカードを貸し出したり、あるいは、パスワード等が不要なパブリックユーザとしての使用を許可したりする場合がある。
【0008】
しかしながら、パブリックユーザの使用を許可すると、意図しないユーザにも画像形成装置の機能を利用することが可能となり、セキュリティ面で問題があった。また、ICカードの貸し出しは、管理が面倒であり、貸し出すユーザに合わせて利用権限を再設定しなければならないという問題もあった。
【0009】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、正規のICカードが無いために一時的に利用権限を失っているユーザに対して、セキュリティ面を確保しつつ利便性の高い画像形成装置、画像形成装置の制御方法および制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、複数の機能の実行が可能な画像形成装置であって、ICカードのカード識別情報を読み取るカード読取手段と、カード読取手段により読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断する認証手段と、複数の機能を制御するとともに、認証手段の判断結果に応じて実行可能な機能を制限する制御手段と、情報を記憶する記憶手段とを備える。制御手段は、認証手段による判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可し、制御手段は、所定機能の実行に応じて、読み取ったデータを記憶手段にカード読取手段で読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶し、認証手段において、カード読取手段で読み取ったICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報をカード読取手段でさらに読み取り、制御手段は、別のカード識別情報に対応付けられたデータが記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行する。
【0011】
好ましくは、制御手段は、データ検索の実行に基づいて記憶手段に別のカード識別情報に対応付けられたデータが記憶手段に記憶されていると判断した場合には、当該データに対するジョブの選択実行の入力を受け付ける。
【0012】
好ましくは、画像形成装置とネットワークで接続された画像形成装置と同一の構成および機能を有する別の画像形成装置をさらに備える。制御手段は、別のカード識別情報に対応付けられたデータがネットワークで接続された別の画像形成装置の記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行する。
【0013】
好ましくは、制御手段は、記憶手段の一時的に格納可能な領域にデータを記憶する。
本発明のある局面に従う画像形成装置の制御方法は、情報を記憶する記憶手段を有し、複数の機能の実行が可能な画像形成装置の制御方法であって、ICカードのカード識別情報を読み取るステップと、読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断するステップと、判断結果に応じて実行可能な機能を制限するステップとを備える。制限するステップは、判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可するステップと、所定機能の実行に応じて、読み取ったデータを記憶手段に読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶するステップとを含む。読み取られたICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報を読み取るステップと、別のカード識別情報に対応付けられたデータが記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行するステップとをさらに備える。
【0014】
本発明のある局面に従う画像形成装置の制御プログラムは、情報を記憶する記憶手段を有し、複数の機能の実行が可能な画像形成装置のコンピュータで実行可能な制御プログラムであって、制御プログラムは、コンピュータに、ICカードのカード識別情報を読み取るステップと、読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断するステップと、判断結果に応じて実行可能な機能を制限するステップとを備える。制限するステップは、判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可するステップと、所定機能の実行に応じて、読み取ったデータを記憶手段に読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶するステップとを含む。読み取られたICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報を読み取るステップと、別のカード識別情報に対応付けられたデータが記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行するステップとをさらに備える、処理を実行させる。
【発明の効果】
【0015】
本発明のある局面に従う画像形成装置は、認証手段による判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可し、制御手段は、所定機能の実行に応じて、読み取ったデータを記憶手段にカード読取手段で読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶する。認証手段において、カード読取手段で読み取ったICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報をカード読取手段でさらに読み取り、制御手段は、別のカード識別情報に対応付けられたデータが記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行する。当該処理により、正規のICカードが無いために一時的に利用権限を失っているユーザであっても所定機能を実行してデータを保存し、そして、後に正規のカードで認証が成功した場合には、保存したデータを検索するデータ検索を実行することが可能であるためセキュリティ面を確保するとともに、利便性が高い。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態1に従う画像形成装置について説明する概略図である。
【図2】本発明の実施の形態1に従うMFP10の構成を説明する概略ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態1に従うMFP10における操作パネル19の構成を説明する図である。
【図4】本発明の実施の形態1に従うログイン画面を説明する図である。
【図5】本発明の実施の形態1に従うユーザ認証情報を説明する図である。
【図6】本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する画面102を説明する図である。
【図7】本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する別の画面110を説明する図である。
【図8】本発明の実施の形態1に従うHDD15に格納されたデータを説明する図である。
【図9】本発明の実施の形態1に従うデータ検索画面200を説明する図である。
【図10】本発明の実施の形態1に従うデータ検索結果画面210を説明する図である。
【図11】本発明の実施の形態1に従うジョブ選択画面220を説明する図である。
【図12】本発明の実施の形態1に従うユーザ認証処理を説明するフロー図である。
【図13】本発明の実施の形態1に従うデータ検索処理を説明するフロー図である。
【図14】本発明の実施の形態2の変形例に従うサーバ5を追加したシステムの構成について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。以下の説明において同一の部品および構成要素には同一の符号を付してある。それらの名称および機能も同一であるものとする。
【0018】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1に従う画像形成装置について説明する概略図である。
【0019】
図1を参照して、ここでは、画像形成装置がネットワーク2を介して別の画像形成装置と接続されている場合について説明する。本発明の実施の形態1に従う画像形成装置は、ICカードのカード識別情報を認識することが可能なMFP(Multi Function Peripheral)として説明する。なお、MFP10とMFP4の構成および機能については同一であるものとする。
【0020】
ネットワーク2は、イーサネット(登録商標)、トークンリング、FDDI等の規格によるコンピュータやネットワーク機器同士を接続したLAN(Local Area Network)や、LAN同士を専用線で接続したWAN(Wide Area Network)、およびインターネット等を含む。なお、ネットワーク2に接続される機器の種類および台数はこれらに限定されるものではない。
【0021】
図2は、本発明の実施の形態1に従うMFP10の構成を説明する概略ブロック図である。
【0022】
図2を参照して、本発明の実施の形態1に従うMFP10は、MFP10全体を制御するためのCPU(Central Processing Unit)11と、CPU11のプログラム部分の実行に必要なデータを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)12と、CPU11で実行されるプログラムやデータを不揮発的に記憶する記憶手段であるハードディスクドライブ15(HDD:Hard Disk Drive)および不揮発性メモリ14と、CPU11で実行されるプログラムが予め格納されたROM(Read-Only memory)13と、各種操作を実行するための操作パネル19と、原稿を読取って画像データを取得するスキャナ17と、画像データを紙媒体に印刷する印刷手段であるプリンタ18と、外部との間でデータを通信を実行するための送信/受信手段であるLANカード等からなるネットワークインタフェースカード(NIC)16と、ICカードのカード識別情報を読み取るカードリーダ21と、ユーザ認証処理としてカードリーダ21で読み取ったカード識別情報に基づいて正規のカードであるか否か、具体的には予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断するためのカード識別モジュール20とを含む。
【0023】
なお、各部は内部バスで接続されており、互いにデータの授受が可能であるものとする。
【0024】
カード識別モジュール20は、カードリーダ21で読み取ったカード識別情報が正規のカードである、すなわち、予め登録されたカード識別情報であると判断した場合には、その結果をCPU11に通知する。
【0025】
また、カード識別モジュール20は、カードリーダ21で読み取ったカード識別情報が正規のカードでない、すなわち、予め登録されたカード識別情報でないと判断した場合には、その結果をCPU11に通知する。
【0026】
CPU11は、上記カード識別モジュール20からの通知結果に基づいて、MFP10が有する機能の実行を許可したり、機能を制限して所定の機能の実行のみ許可したりする。
【0027】
本例においては、一例として、後述するがユーザ認証処理として成功した場合には機能の制限が設けられないが、ユーザ認証処理に失敗した場合には機能が制限され、スキャントゥボックス(スキャンtoBOX)の機能のみの利用が可能であるものとする。スキャントゥボックスとは、原稿をスキャンして、スキャンした画像データをボックスに格納する処理である。したがって、MFP10の成果物としてのコピーや、メール送信としての機能等は実行することができず、単にスキャンしたデータを保存することしかできないものである。
【0028】
図3は、本発明の実施の形態1に従うMFP10における操作パネル19の構成を説明する図である。
【0029】
図3を参照して、スタートキー30は、コピー/スキャン等の動作を開始させるために用いられる。テンキーはコピー枚数等の数値等を入力するために用いられる。クリアキーは、入力された数値のクリア、および蓄積された画像記憶の画像データを破棄等するために用いられる。
【0030】
ストップキー32は、コピー/スキャン動作の停止を指示するために用いられる。パネルリセットキー34は、設定されているモードおよびジョブを破棄するために用いられる。
【0031】
また、操作ディスプレイ36は、各種モードの表示や設定等を実行するためにタッチパネルが取付けられている。
【0032】
このタッチパネルによって、ユーザは操作ディスプレイ36内の表示内容に従った各種設定を行なうことができる。また、タッチパネルにおける設定画面領域には、通常はコピー動作やスキャン動作を実行する際に行なう基本的/応用的な設定のためのボタンが配置されている。各ボタンを押下するとその詳細設定を行なうための階層画面が表示される。
【0033】
本例においては、一例として、コピー動作を実行するための各種詳細設定領域22が示されており、当該領域内において、倍率を調整するためのアイコン、濃度を調整するためのアイコン、画像調整のためのアイコン、用紙を設定するためのアイコンがそれぞれ示されている。
【0034】
本例においては、コピー動作を実行する場合の各種詳細設定のためのアイコンについて説明したが、スキャン動作についても同様の詳細設定領域が表示される。
【0035】
また、左側のジョブ情報画面領域にはその時点でMFP10に投入されているジョブ情報が表示される。表示は実行されるべきジョブの順序で並んでいる。特定のジョブに対して消去変更等の操作を行なう場合は、ジョブ操作ボタンを選択した後、操作対象となるジョブ番号ボタンを押下する。それらの操作によってジョブ操作画面が表示され、特定のジョブに対する操作が可能となる。
【0036】
コピー(Copy)キー46、およびスキャン(Scan)キー44は、MFP10をコピー/スキャナのいずれのモードで動作させるかを設定するための選択キーである。
【0037】
また、ボックス(Box)キー42は、MFP10のハードディスクドライブ15にアクセスするための選択キーである。当該ボックスキー42を選択することにより、当該ボックスに格納されたデータを確認して、格納されたデータのプリント、あるいは送信等の処理が可能である。なお、各個人毎にボックス領域が設けられておりユーザの権限のあるボックスのみにアクセスすることが可能である。なお、本例においては、権限の無いユーザがMFP10を使用した場合にテンポラリボックスにデータが格納される場合について説明する。
【0038】
コピーキー46を押下した場合、MFP10はコピー機として使用可能となる。この状態ではスキャナ動作は実行することはできない。
【0039】
また、スキャンキー44を押下した場合、MFP10はスキャナとなる。この状態ではコピー動作を実行することはできない。
【0040】
なお、コピーキー46とスキャンキー44は排他的動作となり、一方を選択すると自動的に他方は非選択状態となる。
【0041】
また、操作パネル19には、ICカード載置領域50が設けられており、MFP10を利用することを希望するユーザが所持するICカードを当該領域に載置することにより、カードリーダ21によりデータが読み取られて、所定のユーザ認証処理が実行されるものとする。なお、ICカードとしては、接触型、非接触型のいずれも適用可能である。
【0042】
また、操作パネル19には、ログイン/ログアウトボタン28が設けられており、当該ログイン/ログアウトボタン28を押下することによりICカードを用いた所定のユーザ認証処理を実行することが可能である。
【0043】
また、操作パネル19には、ユーザ登録ボタン29が設けられており、当該ボタンを押下することにより、ユーザ認証処理を実行するためのユーザ認証情報をHDD15等に格納するためのユーザ新規登録処理を実行することができる。なお、当該ユーザ新規登録処理は、当該MFP10の管理者が実行する。なお、管理者を介さずにユーザがユーザ新規登録処理を実行するようにしても良い。当該ユーザ新規登録処理に従って各個人毎にボックス領域が設けられるものとする。
【0044】
図4は、本発明の実施の形態1に従うログイン画面を説明する図である。
図4を参照して、本発明の実施の形態1に従うログイン画面100は、上述した操作パネル19の操作ディスプレイ36に表示されるものである。
【0045】
具体的には、操作パネル19のログイン/ログアウトボタン28が押下されることにより当該ログイン画面100が操作ディスプレイ36に表示される。
【0046】
ここでは、「ICカードをICカード載置領域に載置して下さい。」の表示がなされている場合が示されている。当該表示に従って、ユーザがICカード載置領域50に予め登録されたICカードを載置することによりユーザ認証処理が実行される。
【0047】
図5は、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証情報を説明する図である。
図5を参照して、一例としてHDD15に複数のユーザ認証情報が格納されている。
【0048】
登録された順にIDが昇順的につけられ、ユーザIDとともにカードIDが登録されている場合が示されている。
【0049】
上述したように、予め管理者がユーザ新規登録処理を実行して使用するユーザIDとともに当該MFP10のユーザ認証処理で用いる正規のICカードのカード識別情報を登録するものとする。
【0050】
本例においては、一例として、ID「001」に対応してユーザID「佐藤」、カードID(識別情報)「IDAAA」が登録されている場合が示されている。
【0051】
同様に、ID「002」に対応してユーザID「ABC」、カードID(識別情報)「IDBBB」が登録されている場合が示されている。
【0052】
他のユーザ認証情報についても同様である。
カード識別モジュール20は、当該HDD15に格納されたユーザ認証情報の中にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と一致する情報が含まれているか否かを判断する。
【0053】
カード識別モジュール20は、当該HDD15に格納されたユーザ認証情報の中にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と一致する情報が含まれていると判断した場合には、正規のカードである、すなわち予め登録されたカード識別情報であると判断して認証成功としてその結果をCPU11に通知する。
【0054】
一方、カード識別モジュール20は、当該HDD15に格納されたユーザ認証情報の中にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と一致する情報が含まれていないと判断した場合には、正規のカードでない、すなわち予め登録されたカード識別情報でないと判断して認証失敗として読み取ったカード識別情報とともにその結果をCPU11に通知する。
【0055】
図6は、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する画面102を説明する図である。
【0056】
図6を参照して、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する画面102は、上述した操作パネル19の操作ディスプレイ36に表示されるものである。ここでは、ユーザ認証に成功した場合が示されている。
【0057】
具体的には、「認証に成功しました。」の表示とともに、「OK」ボタン106と、「データ検索」ボタン104とが設けられている場合が示されている。
【0058】
「OK」ボタン106を選択することにより当該表示が終了して、例えば、図3の操作ディスプレイ36の表示が実行されて、ユーザ認証処理が成功したユーザは各種の機能を実行することが可能である。
【0059】
「データ検索」ボタン104については後述するが、当該「データ検索」ボタン104を選択することにより後述するデータ検索処理を実行することが可能となる。
【0060】
図7は、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する別の画面110を説明する図である。
【0061】
図7を参照して、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証の結果を通知する画面110は、上述した操作パネル19の操作ディスプレイ36に表示されるものである。ここでは、ユーザ認証に失敗した場合が示されている。
【0062】
具体的には、「認証できませんでした。スキャンtoBOXのみ使用することができます。」の表示とともに、「OK」ボタン112が設けられている場合が示されている。
【0063】
「OK」ボタン112を選択することにより当該表示を終了して、ユーザ認証処理に失敗したユーザは、スキャンtoBOXのみ使用可能となる。すなわち、他の機能の実行は制限されることになる。
【0064】
上述したようにスキャントゥボックス(スキャンtoBOX)とは、原稿をスキャンして、スキャンした画像データをボックスに格納する処理である。
【0065】
その際、画像データは、HDD15のテンポラリボックス領域に格納されるものとする。
【0066】
なお、テンポラリボックス領域には、スキャンした画像データとともに、カードリーダ21で読み取ったカード識別情報が対応付けられて格納されるものとする。
【0067】
図8は、本発明の実施の形態1に従うHDD15に格納されたデータを説明する図である。
【0068】
図8を参照して、ここでは、HDD15に各ユーザ毎に設けられたボックス領域BA,BBと、テンポラリボックス領域BCとが設けられている場合が示されている。
【0069】
一例として、ユーザID「佐藤」に対応するボックス領域BAと、ユーザID「ABC」に対応するボックス領域BBとが設けられている場合が示されている。各ボックス領域に当該ユーザの指示により格納された画像データ(ドキュメント)が格納される。
【0070】
また、テンポラリボックス領域BCには、ユーザ認証処理に失敗したユーザが実行したスキャンtoBOXの画像データ(ドキュメント)が格納される。なお、当該画像データは、ユーザ認証処理の際にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と対応付けられて格納される。なお、処理が実行されたされた日時情報についても当該画像データに付加するようにすることも可能である。なお、格納した際に、ユーザが画像データにファイル名等の名称を付けるようにしても良い。
【0071】
ここで対応付けられるカード識別情報は固有のカード識別情報であればどのようなものでも良い。したがって、正規のカードを一時的に所持していないユーザは、自己が有する任意のICカードを用いてユーザ認証処理を実行した場合にユーザ認証に失敗した場合であってもスキャンtoBOXにより原稿の画像データをテンポラリボックス領域BCに保存することが可能となる。
【0072】
なお、テンポラリボックス領域BCの容量は固定されており、データが一杯になれば古いデータが削除されるものとする。当該設定によりテンポラリボックス領域BCによって他のボックス領域のデータ容量が影響を受けないようにすることが可能である。
【0073】
本例のテンポラリボックス領域BCにより、一時的に正規のカードを所持していないユーザは、原稿をスキャンした画像データをBOXに一時的に保存することのみが可能である。そして、後述するが当該テンポラリボックス領域BCに格納された画像データは、ユーザが正規のカードを用いてユーザ認証処理を実行した場合に、アクセスすることが可能となる。
【0074】
図9は、本発明の実施の形態1に従うデータ検索画面200を説明する図である。
図9を参照して、具体的には、図6で説明したユーザ認証の結果を通知する画面102において設けられている「データ検索」ボタン104を選択した場合に当該画面が表示されるものとする。
【0075】
ここでは、「データ検索に用いるICカードをICカード載置領域に載置して下さい。」の表示がなされている。また、「キャンセル」ボタン202が設けられており、当該データ検索処理を中止することも可能である。
【0076】
当該表示に従って、ユーザがICカード載置領域50に正規のカードではなく、以前にスキャンtoBOXを利用した際に用いたICカードを載置する。
【0077】
カードリーダ21は、ICカード載置領域50に載置されたICカードのカード識別情報を読み取って、CPU11に通知する。なお、カード識別モジュール20を介してCPU11に通知するようにしても良い。
【0078】
CPU11は、カードリーダ21で読み取られたカード識別情報に基づいて、HDD15のテンポラリボックス領域BCに一致する情報が含まれているか否かのデータ検索処理を実行する。
【0079】
図10は、本発明の実施の形態1に従うデータ検索結果画面210を説明する図である。
【0080】
図10を参照して、ここでは、データ検索結果画面210において、データ検索処理の結果が表示されている。
【0081】
具体的には、「データが見つかりました。使用したいファイルを選択して下さい。」の表示とともに、データ検索処理の結果である選択可能なリスト216が示されている。
【0082】
一例として、リスト216は、日時とファイル名とで構成されており、「日時」「2010/10/01 00:00」と、「ファイル名」「ドキュメントAA」とが示されている。
【0083】
CPU11は、ICカードのカード識別情報に基づいて、HDD15のテンポラリボックス領域BCに格納されている一致するカード識別情報に対応付けられた一例として、「ドキュメントAA」を検索し、その結果をリストとして表示する。
【0084】
また、本例のデータ検索結果画面210においては、「OK」ボタン212と、「キャンセルボタン」214とが設けられている。
【0085】
ユーザが「OK」ボタン212を押下することにより当該選択したデータに対するジョブを実行することが可能となる。
【0086】
一方、ユーザが「キャンセル」ボタン214を押下することにより当該データ検索結果画面210が終了されて、通常の処理が実行される。すなわち、図3の操作ディスプレイ36の表示が実行されて、ユーザは各種の機能を実行することが可能である。
【0087】
なお、ここでは、リストとしてデータ検索処理の結果として1つのデータが見つかった場合が示されているが、特に1つに限られず複数のデータが見つかった場合には、当該複数のデータを選択可能な状態に表示するようにすることも当然に可能である。
【0088】
図11は、本発明の実施の形態1に従うジョブ選択画面220を説明する図である。
図11を参照して、ここでは、データ検索結果画面210において、リスト216に表示されたデータを選択して、「OK」ボタンを押下した場合のジョブ選択画面が表示されている。
【0089】
具体的には、「実行するジョブを選択して下さい。」の表示とともに、選択されたデータである、「日時」「2010/10/01 00:00」と、「ファイル名」「ドキュメントAA」とが示されている。
【0090】
そして、当該ジョブ選択画面220においては、「印刷」ボタン222、「保存」ボタン224、「送信」ボタン226、「キャンセル」ボタン228がそれぞれ設けられている。
【0091】
「印刷」ボタン222を選択することにより、当該選択されたデータに対する印刷ジョブを実行することが可能である。具体的には、当該「印刷」ボタン222を選択することにより、テンポラリボックス領域BCに格納されているデータをプリンタ18を介して記録用紙に印刷処理することが可能である。
【0092】
また、「保存」ボタン224を選択することにより、当該選択されたデータに対するボックス保存ジョブを実行することが可能である。具体的には、当該「保存」ボタン224を選択することにより、テンポラリボックス領域BCに格納されているデータをユーザ毎に割り当てられているボックス領域に移動させる処理を実行することが可能である。
【0093】
また、「送信」ボタン226を選択することにより、当該選択されたデータを例えば、メール送信、ファックス送信等のネットワーク2を介した送信ジョブを実行することが可能である。具体的には、当該「送信」ボタン226を選択することにより、送信するあて先を入力して、テンポラリボックス領域BCに格納されているデータとともに、所定のあて先にネットワークを介して送信処理することが可能である。
【0094】
また、「キャンセル」ボタン228を選択することにより、当該選択されたデータに対するジョブの実行の中止を指示することが可能である。当該中止の場合には、図3の操作ディスプレイ36の表示が実行されるものとする。
【0095】
なお、ここでは、「印刷」、「送信」、「保存」のそれぞれのジョブを実行するボタンを設けた場合について一例として説明したが、1つのジョブでもよく、また、それ以外のジョブを実行するボタンを設けるようにすることも可能である。
【0096】
なお、1つのデータに対するジョブの実行について説明しているが、特に1つに限られず複数のデータが見つかった場合には、当該複数のデータのそれぞれについてジョブの実行を指示するようにしても良い。また、1つのデータに対して複数のジョブを実行可能なようにしても良い。
【0097】
図12は、本発明の実施の形態1に従うユーザ認証処理を説明するフロー図である。
図12を参照して、まず、CPU11は、ログインボタンが押下されたかどうかを判断する(ステップS2)。具体的には、図3で説明したログイン/ログアウトボタン28が押下されたかどうかを判断する。CPU11は、ログイン/ログアウトボタン28が押下されたと判断した場合(ステップS2においてYES)には、ログイン画面を表示する(ステップS4)。具体的には、図4で説明したログイン画面100を表示する。
【0098】
次に、ICカードが有るかどうかを判断する(ステップS6)。
具体的には、カードリーダ21がICカード載置領域50に載置されたICカードのカード識別情報を読み取ったかどうかを判断する。
【0099】
次に、ICカードが有ると判断した場合(ステップS6においてYES)には、認証がOKであるかどうかを判断する(ステップS8)。具体的には、カード識別モジュール20は、カードリーダ21で読み取ったカード識別情報が正規のカードである、すなわち、予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断して、その結果をCPU11に通知する。
【0100】
なお、ICカードが無いと判断した場合(ステップS6においてNO)には、ステップS4に戻り、ログイン画面100の表示を維持する。
【0101】
ステップS8において、カード識別モジュール20は、認証がOKであると判断した場合、すなわち、HDD15に格納されたユーザ認証情報の中にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と一致する情報が含まれていると判断した場合には、その結果をCPU11に通知する。
【0102】
そして、CPU11は、ユーザ認証の結果を通知する画面を表示する(ステップS10)。具体的には、図6で説明したように認証が成功した場合の通知画面を表示する。
【0103】
次に、ステップS10のユーザ認証の結果を通知する画面において、CPU11は、データ検索の指示が有ったかどうかを判断する(ステップS12)。具体的には、図6のユーザ認証の結果を通知する画面102において、「データ検索」ボタン104を選択したかどうかを判断する。
【0104】
CPU11は、「データ検索」ボタン104が選択されたと判断した場合には、データ検索指示有り(ステップS12においてYES)としてステップS16に進み、データ検索処理を実行する。データ検索処理については後述する。
【0105】
一方、CPU11は、「データ検索」ボタン104が選択されなかったと判断した場合、例えば「OK」ボタン106が選択された場合には、データ検索指示無し(ステップS12においてNO)として通常処理を実行する(ステップS14)。具体的には、上述した図3の画面を表示し、各種のユーザの指示に従う機能を実行する。そして、処理を終了する(エンド)。
【0106】
一方、ステップS8において、カード識別モジュール20は、認証が失敗であると判断した場合、すなわち、HDD15に格納されたユーザ認証情報の中にカードリーダ21で読み取ったカード識別情報と一致する情報が含まれていないと判断した場合には、その結果をカード識別情報とともにCPU11に通知する。
【0107】
そして、CPU11は、ユーザ認証の結果を通知する画面を表示する(ステップS18)。ここでは、図7で説明したように認証が失敗した場合の通知画面を表示する。
【0108】
そして、CPU11は、機能制限処理を実行する(ステップS20)。具体的には、スキャンtoBOXの処理のみ実行が可能となり、その他の機能の実行は制限される。そして、CPU11は、スキャンtoBOXの処理が実行された場合には、原稿をスキャンして、スキャンした画像データをボックスに格納する。その際、画像データは、HDD15のテンポラリボックス領域に格納されるものとする。なお、テンポラリボックス領域には、スキャンした画像データとともに、カードリーダ21で読み取ったカード識別情報が対応付けられて格納される。そして、処理を終了する(エンド)。
【0109】
次に、データ検索処理について説明する。
図13は、本発明の実施の形態1に従うデータ検索処理を説明するフロー図である。
【0110】
図13を参照して、CPU11は、「データ検索」ボタン104の指示が有ったと判断した場合には、データ検索画面を表示する(ステップS30)。具体的には、図9で説明したデータ検索画面200を表示する。
【0111】
次に、ICカードが有るかどうかを判断する(ステップS32)。
具体的には、カードリーダ21がICカード載置領域50に載置されたICカードのカード識別情報を読み取ったかどうかを判断する。そして、読み取った場合には、当該カード識別情報をCPU11に通知する。
【0112】
次に、ICカードが有ると判断した場合(ステップS32においてYES)には、検索を実行する(ステップS34)。なお、ICカードが無いと判断した場合(ステップS32においてNO)には、ステップS30に戻り、データ検索画面200の表示を維持する。
【0113】
そして、CPU11は、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報に基づいて、HDD15のテンポラリボックス領域BCに一致するデータが有るか否かを判断する。
【0114】
そして、CPU11は、一致するデータが有ると判断した場合(ステップS36においてYES)には、データ検索処理のデータ検索結果画面を表示する(ステップS38)。
【0115】
具体的には、図10に示されるようにデータ検索処理の結果の選択可能なリストを表示する。
【0116】
次に、CPU11は、選択入力が有ったかどうかを判断する(ステップS40)。
具体的には、データ検索結果画面210において、表示したリストの項目が選択されたかどうかを判断する。
【0117】
ステップS40において、CPU11は、選択入力が有ったと判断した場合(ステップS40においてYES)には、ジョブ選択画面を表示する(ステップS42)。具体的には、図11に示されるジョブ選択画面220を表示する。
【0118】
次に、CPU11は、ジョブの実行指示が有るかどうかを判断する(ステップS44)。
【0119】
ステップS44において、CPU11は、ジョブの実行指示が有ると判断した場合(ステップS44においてYES)には、ジョブを実行する(ステップS46)。
【0120】
そして、処理を終了する(リターン)。
一方、ステップS40において、CPU11は、選択入力が無かったと判断した場合(ステップS40においてNO)には、処理を終了する(リターン)。例えば、図10におけるデータ検索結果画面210において、「キャンセル」ボタン214が選択された場合が挙げられる。
【0121】
また、ステップS44において、CPU11は、ジョブの実行指示が無いと判断された場合(ステップS44においてNO)には、処理を終了する(リターン)。例えば、図11におけるジョブ選択画面220において、「キャンセル」ボタン228が選択された場合が挙げられる。
【0122】
一方、ステップS36において、CPU11は、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報に基づいて、HDD15のテンポラリボックス領域BCに一致するデータが無いと判断した場合(ステップS36においてNO)には、図示しないデータ検索結果画面を表示する(ステップS48)。そして、処理を終了する(リターン)。この場合には、データが見つからなかったため、データ検索結果画面においてその結果のみを通知し、処理を終了するものとする。
【0123】
なお、本例においては、操作パネル19にICカードを認識するためのICカード載置領域50を設けた場合について説明したが、特に操作パネルに限られず、当該領域を別の箇所に設けても良い。
【0124】
また、非接触型のICカードである場合には、当該領域を設けることなく、例えば、ユーザがMFP10に近づくことにより、ICカードから電波がICカードリーダ21に発信されて、ICカードリーダ21においてICカード情報が認識されるようにすることも可能である。
【0125】
また、本例においては、カード識別モジュール20をCPU11と別に設けて、当該モジュールにおいてユーザ認証処理を実行する場合について説明したが、当該機能をCPU11に設けてCPU11がユーザ認証処理を実行するようにすることも当然に可能である。その場合には、カード識別モジュール20を設ける必要は無い。
【0126】
上記に従う処理により、正規のカードを一時的に所持していないユーザであって、ユーザ認証処理に成功しないような状況であっても、スキャンtoBOXの機能のみ開放して原稿の画像データをテンポラリボックス領域BCに任意のカードのICカード識別情報に対応付けて保存することが可能となる。そして、正規のカードを用いて再度、ユーザ認証処理した際に、テンポラリボックス領域BCに格納されたデータにアクセスして、当該データに対して所望のジョブを実行することが可能となる。
【0127】
したがって、正規のICカードを本来的に有していないユーザについては、テンポラリボックス領域BCにアクセスすることはできないためセキュリティ面を確保することができるとともに、正規のカードを一時的に有していないユーザについては、任意のICカードを用いて、スキャンtoBOXにより原稿の画像データをテンポラリボックス領域BCに保存して、後に所望のジョブを実行することが可能であるため利便性の高い画像形成装置を実現することができる。
【0128】
(実施の形態2)
上記の実施の形態1においては、一例として正規のカードを一時的に有しないユーザがMFP10のHDD15のテンポラリボックス領域BCにデータを格納し、そして、後にMFP10において、正規のカードによるユーザ認証処理の際に、当該データにアクセスして利用する場合について説明した。
【0129】
本実施の形態2においては、同じMFPに限られず、他のMFPのHDD15のテンポラリボックス領域BCに格納したデータにアクセスする場合について説明する。なお、基本的なユーザ認証処理等のフローについては実施の形態1と同様である。
【0130】
再び、図1を参照して、MFP10は、ネットワーク2を介してMFP4と接続されている。そして、本例においては、互いのIPアドレスがそれぞれMFPに登録されており、ネットワーク2を介して互いにアクセスが可能であるものとする。なお、IPアドレス等の情報は、HDD15に格納されていても良く、また、不揮発性メモリ14に格納されていても良い。また、IPアドレスの入力は、管理者が予め登録しておくものとする。あるいは、ネットワーク2に接続されているMFPを検知して自動的にIPアドレスを登録するようにしても良い。
【0131】
本実施の形態2においては、一例として、例えば、ユーザID「佐藤」であるユーザについてMFP10にユーザ認証情報が登録されており、MFP4には登録されていない場合について説明する。
【0132】
当該場合において、ユーザID「佐藤」であるユーザがMFP4を操作しようとした際には、ユーザ認証情報が登録されていないためユーザ認証処理に成功しない。
【0133】
したがって、MFP4においては、上記の実施の形態1で説明したのと同様に、任意のICカードを用いてスキャンtoBOXにより原稿の画像データがMFP4のHDDのテンポラリボックス領域BCに保存される。
【0134】
そして、再び、ユーザID「佐藤」であるユーザがMFP10を操作する場合には、上述したようにMFP10には、ユーザ認証情報が登録されているためユーザ認証処理が成功する。
【0135】
そして、図13のフローで説明したデータ検索処理を実行するものとする。
本実施の形態2に従うデータ検索処理においては、図13のステップS34において自機であるMFP10のHDD15におけるデータ検索処理のみならず、ネットワーク2で接続されている他のMFPのHDDに対しても同様のデータ検索処理を実行するものとする。
【0136】
具体的には、図13のステップS34において、CPU11は、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報に基づいて、自機であるMFP10のHDD15のテンポラリボックス領域BCに一致するデータが有るか否かを判断する。さらに、CPU11は、NIC16を介して、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報をMFP4に送信する。
【0137】
そして、MFP4のCPUは、MFP10から送信されたカード識別情報に基づいて、MFP4のHDDのテンポラリボックス領域BCに一致するデータが有るか否かを判断する。そして、データが有るならばその結果をMFP10に通知する。
【0138】
MFP10のCPU10は、MFP4からの結果および自機の結果に基づいてデータ検索結果画面を表示する。
【0139】
具体的には、図10で説明したようなデータ検索結果画面210を表示する。
そして、上述したようにデータ検索結果画面210からデータを選択して所望のジョブを実行することが可能である。
【0140】
当該処理により、ネットワーク2で接続された他のMFPのHDDに格納されたデータについてもデータ検索処理が実行される。したがって、部署が異なり、アクセス権限の無い位置に配置されたMFPに対してスキャンtoBOXにより原稿の画像データをテンポラリボックス領域BCに保存することが可能である。そして、ユーザが所属している部署に配置されたアクセス権限のあるMFPに対して正規のICカードを用いてユーザ認証処理に成功した場合には、以前にアクセス権限の無い位置に配置されたMFPのHDDに格納したテンポラリボックス領域BCに格納した画像データについてデータ検索処理によりアクセスすることが可能であり、ユーザの利便性が高い。
【0141】
(実施の形態2の変形例)
上記の実施の形態2に従う構成においては、ネットワーク2を介して複数のMFPが互いにお互いのIPアドレスを登録しておいてデータの授受が可能な構成について説明したが、サーバ5のみがそれぞれのMFPのIPアドレスを登録しておく構成とすることも可能である。
【0142】
図14は、本発明の実施の形態2の変形例に従うサーバ5を追加したシステムの構成について説明する図である。
【0143】
図14を参照して、図1の構成と比較して、さらにサーバ5をネットワーク2に追加した点が異なる。
【0144】
この場合、各MFPは、サーバ5のIPアドレスを登録しておいてサーバ5とデータの授受が可能であるものとする。
【0145】
当該構成においては、例えば、上述のデータ検索処理において、MFP10のCPU11がNIC16を介して、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報をサーバ5に送信する。そして、サーバ5を介してMFP4にカード識別情報を送信するようにしても良い。そして、MFP4のCPUは、サーバ5から送信されたカード識別情報に基づいて、MFP4のHDDのテンポラリボックス領域BCに一致するデータが有るか否かを判断する。そして、データが有るならばその結果をサーバ5に通知する。そして、サーバ5を介してMFP10にデータ検索の結果を送信する。
【0146】
そして、MFP10のCPU10は、サーバ5からのデータ検索の結果および自機の結果に基づいてデータ検索結果画面を表示する。以降の処理についてもサーバ5を介した処理である点のみ以外は同様である。当該構成によりネットワーク2に接続されたMFPの台数が多い場合には1つのサーバ5で各MFPを管理することが可能であるためシステムとして管理が容易になる。
【0147】
また、上記の実施の形態においては、各MFPのHDDのテンポラリボックス領域に格納された画像データに対してデータ検索処理を実行する構成について説明したが、例えば、サーバ5が当該画像データを格納するようにしても良い。具体的には、各MFPのHDDのテンポラリボックス領域に格納された画像データをサーバ5に送信して、サーバ5において備えられたHDDにて格納する。
【0148】
そして、データ検索処理においては、サーバ5のHDDに対してのみデータ検索処理を実行して、カード識別情報に一致するデータがあるか否かを判断すればよい。当該処理によりデータ検索処理を高速に実行することが可能となる。
【0149】
また、サーバ5でユーザ認証処理を実行するようにすることも可能で有る。
上記の実施の形態においては、各MFPにおいてカード識別モジュール20を設けて、登録されたユーザ認証情報に含まれる登録されたカード識別情報と一致するカード識別情報をカードリーダ21で読み取ったかどうかの判断に従ってユーザ認証処理を実行する方式について説明したが、ユーザ認証情報をサーバ5で管理するようにしても良い。すなわち、サーバ5を認証サーバとして利用することによりそれぞれのMFPに対してユーザ認証情報を登録する必要が無く、管理が容易である。具体的には、MFP10のCPU11がNIC16を介して、カードリーダ21が読み取ったカード識別情報をサーバ5に送信する。そして、サーバ5でカードリーダ21で読み取ったカード識別情報が登録されたユーザ認証情報に含まれるカード識別情報と一致するか否かを判断して、MFPにその結果を通知するようにすれば良い。
【0150】
また、上記の実施の形態においては、正規のカードを有していないユーザに対しては、MFPにおいて、スキャンtoBOXの機能のみ開放する場合について説明したがセキュリティ面が確保されるような場合には、他の機能、例えばモノクロコピー等の他の機能のジョブの実行も許可するような構成とすることも可能である。
【0151】
なお、本発明にかかる画像形成装置は、MFPに限定されない。なお、画像形成装置を制御するコンピュータ(CPU)を機能させて、上述のフローで説明したような制御を実行させるプログラムを提供することもできる。このようなプログラムは、コンピュータに付属するフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)およびメモリカードなどの一時的でないコンピュータ読取り可能な記録媒体にて記録させて、プログラム製品として提供することもできる。あるいは、コンピュータに内蔵するハードディスクなどの記録媒体にて記録させて、プログラムを提供することもできる。また、ネットワークを介したダウンロードによって、プログラムを提供することもできる。
【0152】
なお、プログラムは、コンピュータのオペレーションシステム(OS)の一部として提供されるプログラムモジュールのうち、必要なモジュールを所定の配列で所定のタイミングで呼出して処理を実行させるものであってもよい。その場合、プログラム自体には上記モジュールが含まれずOSと協働して処理が実行される。このようなモジュールを含まないプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0153】
また、本発明にかかるプログラムは他のプログラムの一部に組込まれて提供されるものであってもよい。その場合にも、プログラム自体には上記他のプログラムに含まれるモジュールが含まれず、他のプログラムと協働して処理が実行される。このような他のプログラムに組込まれたプログラムも、本発明にかかるプログラムに含まれ得る。
【0154】
提供されるプログラム製品は、ハードディスクなどのプログラム格納部にインストールされて実行される。なお、プログラム製品は、プログラム自体と、プログラムが記録された記録媒体とを含む。
【0155】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0156】
2 ネットワーク、5 サーバ、14 不揮発性メモリ、15 ハードディスクドライブ、17 スキャナ、18 プリンタ、19 操作パネル、20 カード識別モジュール、21 カードリーダ、28 ログイン/ログアウトボタン、29 ユーザ登録ボタン、30 スタートキー、32 ストップキー、34 パネルリセットキー、36 操作ディスプレイ、50 ICカード載置領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の機能の実行が可能な画像形成装置であって、
ICカードのカード識別情報を読み取るカード読取手段と、
前記カード読取手段により読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断する認証手段と、
前記複数の機能を制御するとともに、前記認証手段の判断結果に応じて実行可能な機能を制限する制御手段と、
情報を記憶する記憶手段とを備え、
前記制御手段は、前記認証手段による判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを前記記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可し、
前記制御手段は、前記所定機能の実行に応じて、前記読み取ったデータを前記記憶手段に前記カード読取手段で読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶し、
前記認証手段において、前記カード読取手段で読み取ったICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報を前記カード読取手段でさらに読み取り、
前記制御手段は、前記別のカード識別情報に対応付けられたデータが前記記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行する、画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記データ検索の実行に基づいて前記記憶手段に前記別のカード識別情報に対応付けられたデータが前記記憶手段に記憶されていると判断した場合には、当該データに対するジョブの選択実行の入力を受け付ける、請求項1記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置とネットワークで接続された前記画像形成装置と同一の構成および機能を有する別の画像形成装置をさらに備え、
前記制御手段は、前記別のカード識別情報に対応付けられたデータが前記ネットワークで接続された前記別の画像形成装置の前記記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行する、請求項1または2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記記憶手段の一時的に格納可能な領域に前記データを記憶する、請求項1〜3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
情報を記憶する記憶手段を有し、複数の機能の実行が可能な画像形成装置の制御方法であって、
ICカードのカード識別情報を読み取るステップと、
読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断するステップと、
判断結果に応じて実行可能な機能を制限するステップとを備え、
前記制限するステップは、
判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを前記記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可するステップと、
前記所定機能の実行に応じて、前記読み取ったデータを前記記憶手段に読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶するステップとを含み、
前記読み取られたICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報を読み取るステップと、
前記別のカード識別情報に対応付けられたデータが前記記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行するステップとをさらに備える、画像形成装置の制御方法。
【請求項6】
情報を記憶する記憶手段を有し、複数の機能の実行が可能な画像形成装置のコンピュータで実行可能な制御プログラムであって、
前記制御プログラムは、前記コンピュータに、
ICカードのカード識別情報を読み取るステップと、
読み取られたカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であるか否かを判断するステップと、
判断結果に応じて実行可能な機能を制限するステップとを備え、
前記制限するステップは、
判断結果が予め登録されたカード識別情報でないと判断された場合には、原稿を読み取って読み取ったデータを前記記憶手段に記憶する所定機能の実行を許可するステップと、
前記所定機能の実行に応じて、前記読み取ったデータを前記記憶手段に読み取ったカード識別情報に対応付けて記憶するステップとを含み、
前記読み取られたICカードのカード識別情報が予め登録されたカード識別情報であると判断された場合には、別のICカードの別のカード識別情報を読み取るステップと、
前記別のカード識別情報に対応付けられたデータが前記記憶手段に記憶されているかどうかのデータ検索を実行するステップとをさらに備える、処理を実行させる、制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−84032(P2012−84032A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−231170(P2010−231170)
【出願日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(303000372)コニカミノルタビジネステクノロジーズ株式会社 (12,802)
【Fターム(参考)】