説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラム

【課題】画像形成装置内のデータベースのセキュリティを維持する画像形成装置を提供する。
【解決手段】ジョブの出力先の履歴を表示し、ユーザによる履歴中の送信宛先の選択を受け付ける。そのユーザに選択された送信宛先を、ジョブを実行するときの出力先候補が登録されたデータベースに登録する権限があるか否かを判定する。ユーザに権限があると判定された場合に、送信宛先のデータベースへの登録指示を受付可能に受付表示を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ジョブの履歴を管理する画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
画像形成装置の機能が多くなるにつれ、ジョブ実行時における画面上でのユーザ設定作業はますます複雑になっている。そのために、過去の設定を再利用することによってユーザ設定の利便性を向上させることが行われている。
【0003】
特許文献1には、ユーザ認証に連携して、操作対象の画像形成装置やリモート画像形成装置内の操作履歴を呼び出し、画面操作に再利用する技術が記載されている。また、特許文献2には、操作対象の画像形成装置やリモート画像形成装置に記憶されたジョブ履歴のうち、1つのジョブを特定して再プリントする技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−297488号公報
【特許文献2】特開2007−60126号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のように操作履歴を再利用することは一般的に行われているが、画像形成装置は、PCや携帯電話端末等と異なり、複数のユーザによって共有される場合が多い。そのために、複数のユーザそれぞれがジョブ履歴を再利用して画像形成装置内のアドレス帳等のデータベースを任意に更新することができるとすると、そのデータベースのセキュリティを大きく低下させてしまうことになる。例えば、アドレス帳は一斉送信等に用いられる場合もあるが、無関係の送信先が登録されていたりすると、セキュリティを維持できなくなってしまう。
【0006】
本発明の目的は、このような従来の問題点を解決することにある。上記の点に鑑み、本発明は、画像形成装置内のデータベースのセキュリティを維持する画像形成装置、画像形成装置の制御方法およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る画像形成装置は、ジョブを実行するときに指定可能なデータの送信宛先が登録されたアドレス帳データベースと、ジョブを実行した場合に送信されたデータの送信宛先の履歴を表示する履歴表示手段と、ユーザによる前記履歴中の送信宛先の選択を受け付ける受付手段と、前記ユーザに当該選択された前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録する権限があるか否かを判定する判定手段と、前記判定手段により前記ユーザに権限があると判定された場合に、前記送信宛先の前記アドレス帳データベースへの登録指示を受付可能に表示する受付表示手段とを備えることを特徴とする。

【発明の効果】
【0008】
本発明によると、画像形成装置内のデータベースのセキュリティを維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成システムの構成を示す図である。
【図2】画像形成装置の構成を示す図である。
【図3】機能制限リストの一例を示す図である。
【図4】ユーザ管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】ジョブの実行履歴が格納されるまでの処理の手順を示す図である。
【図6】ログイン画面の一例を示す図である。
【図7】機能一覧を含むメインメニュー画面の一例を示す図である。
【図8】「スキャンして送信」機能の設定画面の一例を示す図である。
【図9】ジョブの状況や履歴を示す画面の一例を示す図である。
【図10】送信宛先を登録する処理の手順を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の好適な実施例を詳しく説明する。尚、以下の実施例は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものでなく、また本実施例で説明されている特徴の組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。なお、同一の構成要素には同一の参照番号を付して、説明を省略する。
【0011】
〔実施例1〕
[画像形成システムの構成]
図1は、画像形成装置10を含む画像形成システム100の構成を示す図である。画像形成システム100において、画像形成装置10と画像形成装置15と画像形成装置20と認証サーバ30は、LAN等のネットワーク80を介して相互に通信可能に接続されている。また、図1に示すように、ユーザ5が画像形成装置10にログインして画像形成装置10の機能を利用している。認証サーバ30にはPC等の一般的な情報処理装置が用いられ、ユーザごとに機能制限情報を定義した機能制限リスト35を内部に保持している。ここで、機能制限情報とは、画像形成システム100内の各画像形成装置が提供可能な機能の利用をユーザごとに制限するための情報である。例えば、所定のユーザに対してコピー機能を許可するが送信機能は禁止するといった情報である。機能制限リストの詳細については後述する。
【0012】
ユーザ5が画像形成装置10の所望の機能を利用する場合の画像形成システム100の動作の概要について説明する。画像形成装置10は、まず、ユーザ5のログイン情報に基づいて認証サーバ30に問い合わせし、その結果を以って当該機能の実行を許可するか否かを判定する。ここで、認証サーバ30は、機能制限リスト35と画像形成装置10から通知された問い合わせ情報とに基づいて、ACT(Access Control Token)トークン40を画像形成装置10に返信する。ACTトークン40には、ユーザ5が画像形成装置10において利用可能な若しくは利用不可能な機能制限情報が記述されている。画像形成装置10は、ACTトークン40を受信すると、そのACTトークン40の内容を参照して、ユーザ5に対して機能制限を行う。ここで、画像形成装置10は、機能制限された機能についてユーザ5に対してエラー表示や警告表示をすることもできる。
【0013】
[画像形成装置の構成]
図2は、画像形成装置10、15、20の構成を示す図である。以下、画像形成装置10について説明するが、画像形成装置15及び20についても同様である。画像形成装置10は、CPU201と補助記憶部202とメモリ203とスキャナ部204とFAX送受信部205と印刷部206と操作パネル207と通信インタフェース208とを含む。上記各部は、内部バス209を介して相互に通信可能に接続されている。補助記憶部202はハードディスク等の大容量記憶装置によって構成され、大容量データを保管したり、プログラムの実行コードや各ジョブの実行履歴を保持している。ここで、ジョブの実行履歴とは、スキャナ部204、印刷部206、FAX送受信部205、通信インタフェース208等がCPU201によって制御されて実行されたコピージョブ、ボックスプリントジョブ、プリントジョブ、送信ジョブ等の履歴をいう。ジョブの実行履歴は、補助記憶部202内のジョブ履歴記憶部2021に保持される。補助記憶部202内のアドレス帳記憶部2022は、送信ジョブの実行時に使用する出力先候補を保持する。その出力先候補は、ユーザが送信ジョブの宛先として指定可能である。補助記憶部202は、後述するメモリ203と比較して長時間保持する必要があるデータを記憶する。
【0014】
メモリ203は、CPU201が実行する各種プログラムを記憶するROMや、制御に必要なデータを一時的に格納するRAMである。スキャナ部204は、原稿等の記録媒体を光学的に読み取る。FAX送受信部205は電話回線に接続されており、外部とのFAX送受信を行う。印刷部206は、データに基づいて記録媒体に画像等を印刷する。印刷部206は、例えば記録ヘッドからインクを吐出することによって記録媒体に印刷を行う。操作パネル207は、ユーザに対してユーザインタフェース画面を表示する。また、操作パネル207は、そのユーザインタフェース画面を介してユーザから指示を受け付ける。通信インタフェース208は、ネットワーク80を介して、電子メール送信や、SMB送信や、認証に必要なデータ送受信を行う。
【0015】
CPU201は、各種プログラムを実行したり、画像形成装置10全体を制御する。CPU201は、補助記憶部202に格納されたプログラムをメモリ203に展開して実行する。その結果、CPU201は、各部を指示して、スキャン、プリント、送信などの各種機能を実現する。また、CPU201は、画像形成装置10を利用する各ユーザについて、各種機能の利用を許可するか否かを判定する。その判定方法については後述する。また、CPU201は、その判定の基となる各ユーザについての機能制限情報を通信インタフェース208及びネットワーク80を介して認証サーバ30から取得する。CPU201は、取得した機能制限情報に従って各部を指示し、各ユーザについての機能制限を実行する。
【0016】
[機能制限リスト]
次に、図3〜図4を参照して、認証サーバ30で保持されている機能制限リスト35を説明する。図3は、機能制限リスト35の一例を示す図である。図3に示す列301〜307はテーブルの列を示す。また、データ308〜311は、機能制限リスト35に定義された各ユーザの属性に対応した機能制限情報を示す。ここで、機能制限情報として「Permit」が定義されている場合には、その属性を有するユーザに対して、その機能の利用が許可されていることを示す。一方、「Deny」が定義されている場合には、その属性を有するユーザに対して、その機能の利用が禁止されていることを示す。機能制限リスト35内の「Color」はカラー印刷が許可されていることを示す。「BW」は、白黒印刷のみが許可されていることを示す。また、数値が定義されている場合や、「Yes」又は「No」が定義されている場合には、列302の各機能詳細に定義された内容に対応した意味で解釈される。
【0017】
列301は、各画像形成装置が提供する機能を示す。列302は、列301に示された機能の詳細を示す。列303〜307は、各ユーザの属性についての機能制限情報を示す。列303は「Administrator」を属性に有するユーザの機能制限情報を示し、列304は「PowerUser」を属性に有するユーザの機能制限情報を示す。また、列305は「GeneralUser」を属性に有するユーザの機能制限情報を示し、列306は「LimitedUser」を属性に有するユーザの機能制限情報を示す。列307は「GuestUser」を属性に有するユーザの機能制限情報を示す。例えば、本実施例において、「GeneralUser」を属性に有するユーザには、データ308及び311に示されるように、新規に宛先を入力して送信を行う新規宛先送信機能や、アドレス帳の編集機能の使用が許可されている。また、「LimitedUser」を属性に有するユーザには、データ309及び310に示されるように、新規宛先送信機能やアドレス帳編集機能が禁止されている。
【0018】
[ユーザ管理テーブル]
画像形成装置10は、内部に図4に示すようなユーザ管理テーブルを保持している。画像形成装置10は、図4に示すようなユーザ管理テーブルを参照することによって、ユーザ5の属性を認識することができる。図4は、ユーザ管理テーブル400の一例を示す図である。管理テーブル400は、ユーザ名401、UID402、グループ名403、GID404、パーミッショングループ405をそれぞれ対応付けて管理する。例えば、ユーザaについて、UID402は「001」であり、グループ名403は「営業N」であり、GID404は「501」であり、パーミッショングループ405は「GeneralUser」である。ここで、パーミッショングループ405が属性を表わしている。
【0019】
[ジョブの実行]
以下、図5のフローチャートを参照しながら、ジョブを実行して、そのジョブの実行履歴が補助記憶部202のジョブ履歴記憶部2021に格納されるまでの処理について説明する。なお、本処理は、CPU201が補助記憶部202に格納されたプログラムをメモリ203に展開して実行することによって実現される。まず、S501では、ユーザ5が画像形成装置10にログインする。そのときに、図6に示すような画面が画像形成装置10の操作パネル207に表示される。図6に示すように、操作パネル207内の液晶操作部600にログイン画面601が表示される。ログイン画面601には、ユーザ名を入力するための入力フィールド602と、パスワードを入力するための入力フィールド603と、OKキー604とが表示される。入力フィールド602には、例えば「a」などのユーザ名が入力される。入力フィールド603には、入力フィールド602に入力されたユーザ名に対応するパスワードが入力される。S502では、ユーザ5によりOKキー604が押下されたか否かを判定する。ここで、押下されたと判定された場合には、S503において、認証サーバ30に対して、ユーザ5によるログインを許可するための認証と、機能制限情報とを問い合わせる。S502の処理は、OKキー604が押下されたと判定されるまで繰り返される。ユーザ5はログイン可であると認証された場合には、S505で、CPU201は、認証サーバ30からACTトークン40を取得する。一方、ユーザ5によるログインが不可であると認証されなかった場合には、認証エラー画面を表示し(S504)、再度S501に戻ってログイン画面を表示する。
【0020】
S506において、CPU201は、S505で取得したACTトークン40の内容に従って、図7に示すような機能一覧を含むメインメニュー画面を表示する。図7は、メインメニュー画面701の一例を示す図である。図7のボタン702はコピー機能を実行するためのボタンであり、押下されると、スキャナ部204で読み取られた画像を印刷部206で複写するための設定画面が表示される。ボタン703は「スキャンして送信」機能を実行するためのボタンであり、押下されると、スキャナ部204で読み取られた画像をFAX送受信部205や通信インタフェース208を介して外部に送信するための設定画面が表示される。ボタン704は「スキャンして保存」機能を実行するためのボタンであり、押下されると、スキャナ部204で読み取られた画像を補助記憶部202に保存するための設定画面が表示される。ボタン705は「保存文書の利用」機能を実行するためのボタンである。ボタン705が押下されると、補助記憶部202に保存されている画像を印刷部206により複写したり、FAX送受信部205や通信インタフェース208を介して外部に送信するための設定画面が表示される。ボタン706は、状況確認/中止ボタンであり、押下されると、現在処理中の、コピー/プリントジョブや、送信ジョブや、受信ジョブや、保存ジョブの状況を確認したり、又は、処理を中止したりするための画面が表示される。ボタン707はログアウトボタンであり、押下されると、ログアウトが実行される。
【0021】
以下、ユーザ名が「a」であるユーザ5が画像形成装置10にログインした場合を説明する。CPU201は、図4に示すユーザ管理テーブルを参照し、ユーザ名「a」のパーミッショングループ405に属性として「GeneralUser」が設定されていることを認識する。CPU201は、図3に示すテーブルを参照し、属性が「GeneralUser」であるユーザに、コピー機能と「スキャンして送信」機能と「スキャンして保存」機能と「保存文書の利用」機能とに「Permit」が設定されている(許可)ことを認識する。また、例えば、属性が「GuestUser」であるユーザに対して、コピー機能以外の全ての機能について、「Deny」が設定されていること、即ち、許可されていないことを認識する。
【0022】
属性が「GeneralUser」であるユーザ5が、ボタン705の「スキャンして送信」機能を選択して押下した場合を説明する。図8は、ボタン705の「スキャンして送信」機能を選択して押下した場合に表示される設定画面の一例である。ここで、ユーザ5がアドレス帳記憶部2022に既に登録されている送信宛先を選択して送信する場合には、アドレス帳ボタン802を押下して設定を行う。一方、送信宛先を新規に入力して送信する場合には、「新規に入力」ボタン803を押下して設定を行う。ボタン804〜807は送信機能設定ボタン群であり、各ボタンが押下されると、原稿設定や送信設定等の変更を行うことができる。図3に示されるように、属性が「GeneralUser」であるユーザに対しては、送信宛先を新規に入力して送信する機能について「Permit」が設定されている。従って、そのユーザは「新規に入力」ボタン803を押下して送信宛先を新規に入力することができる。一方、「Deny」が設定されている場合には、「新規に入力」ボタン803は、そのユーザにより使用できないように、網掛け等が施されて表示される。
【0023】
CPU201は、アドレス帳ボタン802の押下を検出すると、アドレス帳記憶部2022から登録されている送信宛先情報の一覧を取得して表示する。ユーザ5は、その一覧から所望の送信宛先を選択して送信開始を指示する。また、CPU201は、「新規に入力」ボタン803の押下を受け付けると、送信モードを選択する画面(不図示)を操作パネル207に表示する。その場合には、ユーザ5により選択された送信モードに基づき、宛先入力画面が表示され、ユーザ5が所望の宛先を入力して送信開始を指示する。
【0024】
CPU201は送信開始指示を受け付け、ジョブの実行が開始可能か否かを判定する(S507)。ここで、例えばネットワークの通信状況等により実行開始できないと判定された場合には、S506に戻る。一方、実行開始可能であると判定された場合には、CPU201は、指定された機能がユーザ5が実行可能であるか否かを判定する(S508)。例えば、ユーザの属性が「GeneralUser」である場合には、FAX、FTP、NCP、SMB、WebDAVでの送信は許可されているが、E−mail、I−FAXの送信は許可されていない。従って、宛先にE−mailやI−FAXが含まれている場合には、送信できないと判定し、その旨を警告表示し、S506に戻る(S509)。その場合に、警告表示とともに、使用できない機能を網掛け等で表示するようにしても良い。
【0025】
S508でユーザ5が実行可能な機能であると判定された場合には、その機能を実行する(S510)。CPU201は、その機能を実行するジョブが終了したか否かを判定する(S511)。ここで、終了していないと判定された場合には、終了したと判定されるまでS511の処理を繰り返す。一方、終了したと判定された場合には、CPU201は、送信時に設定された設定内容と送信結果の情報とを補助記憶部202のジョブ履歴記憶部2021に書き込む(S512)。
【0026】
[ジョブの実行履歴の一覧表示]
以上のようにしてジョブ履歴記憶部2021に書き込まれたジョブ履歴は、ユーザが状況確認/中止ボタン706を押下することによって一覧表示される。図9はジョブの状況や履歴表示の一覧を表示する画面の一例である。状況確認/中止画面901には、コピー機能ボタン902、プリント機能ボタン903、送信機能ボタン904、受信機能ボタン905の各機能ボタンが表示される。各ボタンが押下されると、各ボタンに対応する機能に関係したジョブの状況や履歴が表示される。例えば、送信機能ボタン904が押下された場合を説明する。また、送信機能ボタン904が押下されて、さらにジョブ状況ボタン906が押下されると、送信中の送信ジョブの状況が表示される。また、送信機能ボタン904が押下されて、さらにジョブ履歴ボタン907が押下されると、実行を完了した送信ジョブの状況が一覧表示される。以下、ジョブ履歴ボタン907が押下された場合を説明する。
【0027】
ジョブ履歴リスト908は、実行を完了した送信ジョブの一覧である。「日時」は、送信が完了した日時を示し、「ジョブ種」は実行時の送信ジョブの種類を示し、「ユーザ名」は実行したユーザの名称を示す。また、「宛先」には、送信ジョブの送信宛先で名称が入っているジョブについてはアドレス帳記憶部2022に登録されている送信宛先が表示され、名称が入っていない送信ジョブについては新規入力で送信された送信宛先が表示される。「結果」は、送信が正常終了、又は、異常終了したかを示す。詳細情報ボタン909が押下されると、各送信ジョブの設定内容の詳細が表示される。宛先の登録ボタン910(登録指示)が押下されると、ジョブ履歴リスト908で選択されている送信ジョブの宛先が、補助記憶部202内のアドレス帳記憶部2022に登録される。閉じるボタン911が押下されると、状況確認/中止画面901を閉じて前画面に戻る。図9に示すように、図5のフローチャートによって実行された送信ジョブの履歴は、ジョブ履歴リスト908のように表示される。
【0028】
[送信宛先の登録]
図10は、送信ジョブ履歴一覧中で選択された送信ジョブの送信宛先をアドレス帳記憶部2022に登録する処理の手順を示すフローチャートである。なお、本処理は、補助記憶部202に格納されたプログラムを、CPU201がメモリ203に展開し実行することによって実現する。まず、CPU201は、ユーザ5がジョブ履歴リスト908を表示する際に、認証サーバ30からACTトークン40を再度、取得する(S1001)。このように、ジョブ履歴リスト908の表示時にも、ACTトークン40を再取得することによって、ユーザ5の操作制限が変更されていた場合でも現在の状況に合わせて適切に機能制限を行うことができる。そして、補助記憶部202内のジョブ履歴記憶部2021から、対応した機能(本例では送信機能)のジョブ履歴データを取得し(S1002)、宛先の登録ボタン910以外を描画する(S1003)。
【0029】
次に、CPU201は、ユーザ5についてアドレス帳記憶部2022への登録機能が許可されているか否かを判定する(S1004)。例えば、ユーザ5のパーミッショングループ405に設定されている属性が「LimitedUser」や「GuestUser」である場合には、アドレス帳編集機能は禁止されている。従って、その場合には、宛先の登録ボタン910を表示しない(S1005)。例えば、属性が「GeneralUser」である場合には、アドレス帳編集機能は許可されていると認識し、次の処理に進む。
【0030】
次に、CPU201は、ジョブ履歴リスト908の履歴中で、ユーザにより所望の送信ジョブの送信先が選択されているか否かを判定する(S1006)。ここで、選択されていないと判定された場合には、宛先の登録ボタン910は網掛け等で指示受付不可に表示される(S1007)。一方、所望の送信ジョブが選択されていると判定された場合には、CPU201は、その選択された送信ジョブが補助記憶部202への登録対象ジョブ種であるか否かを判定する。ここで、登録対象ジョブ種でないと判定された場合には、宛先の登録ボタン910は網掛け等で指示受付不可に表示される(S1008)。ここで、登録対象ジョブ種でないとは、例えば、調整やメンテナンスを目的とするようなジョブである。そのようなジョブは、アドレス帳記憶部2022に登録して管理する必要がないので、登録対象ジョブ種でないと判定される。登録対象ジョブ種であると判定された場合には、CPU201は、ユーザ5について他のユーザのジョブ履歴の再設定機能が許可されているか否かを判定する(S1009)。例えば、ユーザ5の属性が「GuestUser」である場合には、図3に示すように、他のユーザのジョブ履歴の再設定機能は禁止されている。その場合には、CPU201は、選択された送信ジョブがユーザ5自身のジョブであるか否かを判定する(S1010)。ここで、ユーザ5自身のジョブでない、即ち、他のユーザのジョブを選択していると判定された場合には、宛先の登録ボタン910は、網掛け等で指示受付不可に表示される(S1007)。一方、ユーザ5自身のジョブであると判定された場合には、宛先の登録ボタン910を指示受付可能に表示する(S1011:受付表示の一例)。
【0031】
次に、CPU201は、宛先の登録ボタン910が押下されたか否かを判定する(S1012)。S1012の処理は、押下されたと判定されるまで繰り返される。ここで、押下されたと判定された場合には、選択されている送信ジョブの送信宛先はアドレス帳記憶部2022に既に登録済みの送信宛先であるか否かを判定する(S1013:登録判定の一例)。ここで、アドレス帳記憶部2022に既に登録済みの送信宛先であると判定された場合には、登録が重複してしまうので、その旨をユーザに警告通知して、S1012に戻る(S1014:第1警告表示の一例)。ジョブ履歴リスト908上でアドレス帳記憶部2022に既に登録済みであるかが分かるように表示するようにしても良い。
【0032】
一方、アドレス帳記憶部2022にまだ登録されていないと判定された場合には、CPU201は、アドレス帳記憶部2022への登録が実行開始可能か否かを判定する。例えば、他のジョブがスキャン後の送信開始待ちのような実行中である場合には、アドレス帳記憶部2022をその実行に際して使用している可能性があるので、登録を開始できない旨を警告表示する(S1016)。
【0033】
一方、登録開始できると判定された場合には、その選択された送信ジョブの送信結果が正常終了で履歴に登録されたのか、又は、異常終了で履歴に登録されたのかを判定する(S1017:ジョブ判定の一例)。ここで、異常終了で履歴に登録されたと判定された場合には、送信宛先が間違っているおそれがあるので、その旨をユーザに警告表示する(S1018:第2警告表示の一例)。その警告表示においては、例えば、確認ボタン等を表示して、それが押下されることによりS1019に進むようにしても良い。一方、正常終了で履歴に登録されたと判定された場合には、その選択された送信ジョブの送信宛先をアドレス帳記憶部2022に登録する(S1019)。
【0034】
以上のような処理の中で、S1011において宛先の登録ボタン910が表示された後、アドレス帳記憶部2022への登録が可能であるか否かを判定する工程があっても良い。その工程では、例えば、アドレス帳記憶部2022への登録数が上限値に達している場合には、追加登録を行うことができないと判定し、その旨を警告表示する。本実施例においては、S1013又はS1017において警告表示された場合には、一旦、登録を保留してユーザからの指示を待機する。
【0035】
本実施例では、送信宛先を例として説明したが、送信宛先ではなく、例えば、印刷出力先であっても良い。また、画像形成装置10、15、20とネットワーク80を介して接続された認証サーバ30が機能制限リスト35を保持していると説明したが、画像形成装置内で機能制限リスト35を保持するようにしても良い。
【0036】
以上のように、ユーザごとに使用できる機能が制限されているシステムにおいて、操作履歴の情報を利用してアドレス帳記憶部2022のようなアドレス帳データベースの情報を更新する際にも、ユーザ権限に基づいて機能制限を行う。その結果、権限を持たないユーザによるデータベース情報の更新を制限することができ、データベースを不正に改ざんする等を防いでセキュリティを維持することができる。
【0037】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施例の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又はコンピュータ読取可能な各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジョブを実行するときに指定可能なデータの送信宛先が登録されたアドレス帳データベースと、
ジョブを実行した場合に送信されたデータの送信宛先の履歴を表示する履歴表示手段と、
ユーザによる前記履歴中の送信宛先の選択を受け付ける受付手段と、
前記ユーザに当該選択された前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録する権限があるか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段により前記ユーザに権限があると判定された場合に、前記送信宛先の前記アドレス帳データベースへの登録指示を受付可能に表示する受付表示手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録する権限を有するユーザが定義されたテーブルをさらに備え、
前記判定手段は、前記テーブルを参照して、当該選択された前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録する権限があるか否かを判定する、ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記登録指示を受け付けると、当該選択された前記送信宛先が前記アドレス帳データベースに既に登録されているか否かを判定する登録判定手段と、
前記登録判定手段により既に登録されていると判定された場合に、当該既に登録されている旨を警告表示する第1警告表示手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記登録指示を受け付けると、当該選択された前記送信宛先に対応するジョブが正常終了または異常終了していたかを判定するジョブ判定手段と、
前記ジョブ判定手段により異常終了していたと判定された場合に、当該異常終了していた旨を警告表示する第2警告表示手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記警告表示された場合に、当該選択された前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録することを禁止する制御手段を、さらに備えることを特徴とする請求項3又は4に記載の画像形成装置。
【請求項6】
ジョブを実行するときに指定可能なデータの送信宛先が登録されたアドレス帳データベースを備える画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成装置の履歴表示手段が、ジョブを実行した場合に送信されたデータの送信宛先の履歴を表示する履歴表示工程と、
前記画像形成装置の受付手段が、ユーザによる前記履歴中の送信宛先の選択を受け付ける受付工程と、
前記画像形成装置の判定手段が、前記ユーザに当該選択された前記送信宛先を前記アドレス帳データベースに登録する権限があるか否かを判定する判定工程と、
前記画像形成装置の受付表示手段が、前記判定工程において前記ユーザに権限があると判定された場合に、前記送信宛先の前記アドレス帳データベースへの登録指示を受付可能に受付表示を表示する表示工程と、
を有することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像形成装置の各手段としてコンピュータを機能させるコンピュータ読取可能なプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−106103(P2013−106103A)
【公開日】平成25年5月30日(2013.5.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−246863(P2011−246863)
【出願日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】