説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラム

【課題】 画像形成装置の画像形成処理に伴い振動する震動源を考慮して、記憶装置に対するデータ転送速度が低下している要因を特定して、その要因をユーザに通知する。
【解決手段】 駆動部材を駆動させて画像形成処理を行う画像形成装置であって、データを記憶する記憶手段と、画像形成処理の実行中に画像形成用のデータを記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を測定する測定手段と、駆動部材の動作を停止させた状態で所定のデータを記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を特定する特定手段と、測定手段によって測定されたリトライ回数と、特定手段によって特定されたリトライ回数とに従って、記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因を通知する通知手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶装置を備える画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ハードディスク(HDD)のような大容量の記憶装置を搭載し、HDDにジョブのデータを記憶可能な画像形成装置がある。このような画像形成装置において、HDDに対するデータ転送速度が低下する場合がある。その原因には、HDDの故障あるいは劣化によるものと、画像形成装置が動作する際に発生する振動、例えばドラムを回転駆動するモータの振動によるものであることがわかっている。
しかしながら、従来の画像形成装置においては、HDDのデータ転送速度が低下した場合、その低下の原因を特定することができなかった。そこで、画像形成装置においてHDDへのデータ転送レートを測定し、予め定められた閾値と比較し、その結果に応じて記憶装置の異常を通知する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−018602号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、実際に転送する画像データのサイズと、アクセスする物理アドレスが特定できない。つまり、画像形成動作しているという条件と同じ測定条件で記憶装置のデータ転送レートの測定を行うことができない。このため、データ転送レートが遅れた要因が、HDD自身の故障によるものかを特定し難い場合があった。
つまり、HDD自身以外の震動源、例えば画像形成装置の画像形成処理に伴い駆動するモータが発生する震動源の存在を考慮していなかった。
このため、画像形成装置で発生する振動によるものを、HDD自身は正常であるのに、HDDに故障が発生していると誤認して、サービスマン等がHDDを交換してしまうような事態が発生していた。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、本発明の目的は、画像形成処理に伴い振動する震動源を考慮して、記憶装置に対するデータ転送速度が低下している要因を特定して、その要因をユーザに通知することができる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備える。
駆動部材を駆動させて画像形成処理を行う画像形成装置であって、データを記憶する記憶手段と、画像形成処理の実行中に画像形成用のデータを記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を測定する測定手段と、駆動部材の動作を停止させた状態で所定のデータを記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を特定する特定手段と、測定手段によって測定されたリトライ回数と、特定手段によって特定されたリトライ回数とに従って、記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因を通知する通知手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、画像形成装置の画像形成処理に伴い振動する震動源を考慮して、記憶装置に対するデータ転送速度が低下している要因を特定して、その要因をユーザに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】画像形成装置の制御構成を示すブロック図である。
【図2】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【図3】画像形成装置を駆動するモータ制御部の構成を示すブロック図である。
【図4】HDDに割付られるアドレスの一例を説明するメモリマップ図である。
【図5】画像形成装置の制御方法を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
<システム構成の説明>
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像形成装置の例であるデジタル複合機のシステム制御構成を示すブロック図である。なお、なお、本実施形態に示すデジタル複合機は、スキャナ部、プリンタ部、あるいはオプションで接続される後処理部にも複数の震動源を備えている。ここで、震動源には、画像形成装置の画像形成に必要なプロセスで駆動される回転駆動系、用紙搬送系、定着系を駆動する複数の駆動部材(モータ)が含まれる。
【0009】
図1において、200はシステム制御コントローラであり、MFP(Multi Function Peripheral)のコントローラ機能を有するものである。操作部101、スキャナ部109、プリンタ部112と電気的に接続されており、また、LAN(Local Area Network)を介してパーソナルコンピュータや外部の装置などと画像データやデバイス情報の通信が可能となっている。
【0010】
CPU105(Central Processing Unit)は、画像形成装置のブートプログラムが格納されているROM106(Read Only Memory)に基づいてシステムバス202に接続されたデバイスを統括的に制御する。DRAM103(Dynamic Random Access Memory)は、CPU105が動作するためのシステムワークメモリであり、電源オフにより記憶した内容が消去される。
【0011】
SRAM104(Static Random Access Memory)は不揮発性メモリであり、記憶した内容を電源オフ後も保持しておくように電池によるバックアップがされている。ハードディスクコントローラ113は、ディスクドライブ装置として機能するHDD114への画像データの書き込みや読み出しといった情報記憶を行う。ハードディスクコントローラ113は、HDD114と、SATA I/F(Serial Advanced Technology Attachment Inter Face)を介して接続される。操作部I/F102は、システムバス202と操作部101とを接続するためのインタフェース部である。 この操作部I/F102は、操作部に表示するための画像データをシステムバス202から受け取り、操作部101に出力すると共に、操作部101から入力された情報をシステムバス202へと出力する。
【0012】
ネットワークI/F115はLAN及びシステムバス202に接続される。デジタル複合機は、LANを介して外部装置と通信し、外部装置にデジタル複合機の状態を通知する。また、デジタル複合機は、LANを介して外部装置から印刷データを受信する。スキャナ部109で読み取られた画像データは、スキャナI/F108を介してスキャナ画像処理部107に送られる。処理された画像データは、DRAM103に送られて格納される。この画像データは必要に応じて画像処理が施され、再びDRAM103に格納され、DRAM103からハードディスクコントローラ113へ転送される。この画像データはプリンタ画像処理部110に送られる。プリンタ画像処理部110において処理された画像データはプリンタI/F111を介してプリンタ部112に送られる。
【0013】
図2は、本実施形態を示す画像形成装置200における制御を説明するフローチャートである。具体的には、画像形成処理の実行中に画像形成用のデータをHDD114に転送する際に発生したリトライ回数と、駆動部の動作を停止させた状態で発生するリトライ回数の差に基づいてHDD114を診断する処理の例である。なお、リトライ回数値は、データ転送が正常に行われなかったために、CPU105が再度データの書き込みを行った回数のことである。各ステップは、CPU105がROM106に記憶された制御プログラムをDRAM103にロードして実行することで実現される。なお、本実施形態では、HDD114が1つ備える場合を示すが、複数備える画像形成装置であってもよい。
S0で、CPU105は、ジョブが投入されたか否かを判定する。ジョブの種類には、スキャナ部109によって読み取った画像をプリンタ部112で印刷するコピージョブや、外部装置からLANを介して受信した印刷ジョブがある。ここでは、コピージョブを例に説明するが、以降の動作を、印刷ジョブを実行する場合に適用してもよい。ユーザが操作部101で設定するジョブ処理条件に従い、コピージョブを実行するためのジョブが投入されたら、CPU105は、S1へ処理を進める。
そして、S1で、CPU105は、ジョブを開始する前のリトライ回数値を認識し、認識したリトライ回数値AをDRAM103に記憶する。リトライ回数値は、SRAM104に記憶されており、リトライが発生するごとに1ずつ加算されていく。
次に、S2で、CPU105は、投入されたジョブの処理を開始する。ここで、CPU105は、プリンタ部112の駆動部を駆動させ、印刷の準備を開始させる。S3で、図示しないタイマによるタイマチェック処理をスタートさせて、S4へ処理を進める。
そして、CPU105は、スキャナ部109又はネットワークI/F115を通して読み取られた画像データをHDD114へ保存するために、CPU105はHDD領域にファイルを作成し、S5へ処理を進め、そのファイルに画像データを書き込む。
【0014】
次に、S6へ進んで、CPU105は、HDD領域に作成したファイルから画像データを読み出す処理を行う。そして、S7で、CPU105は、読み出し処理が完了した時点で不図示のタイマによるタイマ値を取得し、データの書き込み処理、及び読み出し処理に要したデータ転送処理時間を算出する。そして、CPU105は、算出されたデータ転送処理時間が予め指定された時間以内に収まっているかどうかを判断する。
ここで、指定した時間以内にデータ転送処理時間が収まっているとCPU105が判断した場合、CPU105は、S8へ処理を進め、開始したジョブのデータに対するプリンタ部112による印刷処理を正常に終了して、S9へ進む。
一方、S7で、指定した時間(しきい値時間)内にデータ転送処理を完了していないとCPU105が判断した場合、CPU105は、S12へ処理を進め、データの書き込み及び読み出しを停止する。そして、S13で、CPU105は、操作部101にタイムアウト表示を行い、S9へ処理を進める。
【0015】
そして、S9で、CPU105は、S5,S6を実行した際にHDD114に対するデータ転送処理で測定したリトライ回数値BをDRAM103に保持する。次に、S10で、CPU105は、S1で測定したリトライ回数値Aとリトライ回数値Bとの差分を求める。そして、CPU105は、その差分した値(B−A)がHDD114に記憶されている所定値(しきい値)T1との比較を行い、所定値T1より差分値(B−A)が所定値T1以上であるかどうかを判断する。つまり、データの書き込み処理、及び読み出し処理を行う際に発生したリトライ回数が所定の回数以上であるかどうかを判断する。ここで、CPU105が差分した値(B−A)が所定値T1よりも小さいと判断した場合は、データ転送速度の低下は発生していないと判断し、S11へ処理を進める。S11で、CPU105は、S5でHDD114に書き込んだファイルを消去して、正常に印刷処理を終了する。
一方、S10で、差分した値(B−A)が所定値T1以上であるとCPU105が判断した場合、データ転送速度が低下していると判断し、S14へ処理を進め、画像形成装置の震動源である駆動部の駆動を停止させて、HDD114に影響を与える振動を除去する。なお、所定値T1はROM106に記憶しておくとよい。
【0016】
次に、S15で、CPU105は、HDD114に保存した画像データのファイルを展開し、S16に処理を進め、CPU105は、S5,S6で使用したHDD114の記憶領域と同じ記憶領域に対して任意のデータDをファイルに書き込む。この時の任意データDは画像データと同じサイズで、「0」データが望ましい。
そして、S17で、CPU105はHDD114の上記記憶領域に書き込んだファイルの先頭から画像データを読み出す。そして、画像データの読み出しを終了した後、S18へ処理を進め、CPU105は、HDD114に対するデータ転送処理に伴って発生するリトライ値の測定値をリトライ回数値CとしてDRAM103に記憶する。
次に、S19で、CPU105は、測定してDRAM103に記憶させたリトライ回数値Cとリトライ回数値Bとの差分を求める。そして、CPU105がHDD114に記憶されている所定値T2との比較を行い、差分した値(C−B)が所定値T2以上であるかどうかを判定する。つまり、S19の判定結果からHDD114のデータ転送速度が低下した要因を判定することができる。ここで、所定値T2より差分した値(C−B)が小さいとCPU105が判定した場合は転送速度が低下した原因が震動源の振動による影響であるとCPU105が判定し、S20へ処理を進める。
そして、S20で、CPU105は、転送速度が低下した要因が震動源の振動による影響である旨を操作部101に通知する。このとき、サービスマンを呼び出すサービスマンを呼び出す処理をユーザに要求してもよい。そして、S11へ進み、CPU105は、S16でHDD114の記憶領域に書き込んだファイルを消去して、本処理を終了する。なお、S20でユーザに要求する表示は、CPU105が操作部101に表示可能な画面を介して行う。ただし、表示すべきメッセージ等の内容は、特に限定されず、表示された画面に表示するボタン等で画面を消去することも可能である。
一方で、S19で、所定値T2より差分した値(C−B)が大きいとCPU105が判断した場合は、HDD114に対するデータ転送速度が低下する要因が震動源による振動による要因以外の要因であるとCPU105が判断し、S21へ進む。なお、震動源による振動による要因以外の要因とは、HDD114自身の故障である。
そして、CPU105は、S21でHDD114の異常が振動による影響以外の要因(HDDの故障)であることを操作部101に通知して、ユーザにサービスマンを呼び出すサービスコールを実行する。また、この際に、CPU105は、HDDの交換を促す通知を操作部101に表示してもよい。そして、S11へ進み、S16で、CPU105は、HDD114に書き込んだファイルを消去して、本処理を終了する。
これにより、実際にジョブを処理している状態で、HDD114に対するデータ転送速度の低下が発生した場合、データ転送に伴って使用されるHDD114の記憶領域と同じ記憶領域にデータを書き込む処理等を行い、その低下要因を特定することができる。つまり、実際のジョブ処理で使用するHDD114の記憶領域を用いたデータ転送処理を実行させることで、震動源による振動がデータ転送速度を低下させる要因かどうかを確実に特定することができる。
【0017】
図3は、図1に示した画像形成装置の回転系を駆動する駆動部(モータ制御部)の構成を説明するブロック図である。本例は、コントローラ部300が複数の回転系のモータ(震動源)の駆動を制御する例である。
図3において、コントローラ部300はシステム制御コントローラ200と通信線304で接続されている。CPU400は、プログラムが格納されたROM403に基づいてシステムバス302に接続されたデバイスのアクセスを統括的に制御し、RAM402はシステムワークメモリとして使用される。モータドライバ401はそれぞれ定着モータM1、ドラムモータM2、給紙モータM3を制御する。ここで、定着モータM1とは、図示しない定着ユニット内に収容される定着ローラに回転駆動力を伝達するモータとして機能する。ドラムモードM2とは、図示しない感光ドラム等に回転駆動力を伝達するモータとして機能する。給紙モータM3は、給紙カセット等の用紙収納手段に収容された用紙をピックアップローラや、搬送ローラを駆動するための回転駆動力を伝達するモータとして機能する。なお、各ローラは、図示しないクラッチにより回転駆動力が制御される。CPU105は、これらの複数の震動源を駆動して、コピー処理、プリント処理等を行う。この際、HDD114は、これら震動源からの振動の影響を少なからず受ける。
【0018】
以下、HDD114のアドレスの割り付け状態を説明する。
図4は、図1に示したHDD114に割り付られるアドレスの一例を説明するメモリマップ図である。
図4において、500はHDD114の使用可能記憶領域を表しており、未使用記憶領域501、使用済記憶領域502、画像記憶領域503から構成される。現在、使用可能記憶領域500の状態はHDD領域に作成したファイル(ファイルCreate)、すなわち画像データを保存しているファイルの状態を示している。
CPU105がHDD114に格納されたファイルを展開(ファイルOpen)すると、使用可能記憶領域500のアドレス(先頭アドレス)、つまりファイルの先頭から、ファイルに対して書き込み/読み込み(Write/Read)を実行することができる。以上の内容から、使用可能記憶領域500は、HDD114の物理的に同一領域に同じサイズのデータだけ書き込み、読み込みを行うことができることを示している。
【0019】
〔第2実施形態〕
上記実施形態では、データ転送処理におけるリトライ回数を測定してデータ転送速度が低下しているかどうかを判断する場合について説明した。HDD114に対するデータ転送時間を測定してデータ転送速度が低下しているかどうかを判断する構成としてもよい。以下、その実施形態について詳述する。
図5は、本実施形態を示す画像形成装置における制御の方法を説明するフローチャートである。本例は、HDD114の故障を診断する処理の例である。各ステップは、CPU105がROM106に記憶された制御プログラムをDRAM103にロードして実行することで実現される。
S0で、ユーザが操作部101で設定するジョブ処理条件に従い、ジョブが投入されたら、S1で、CPU105は、操作部101を用いてユーザから要求されたョブの処理を開始し、CPU105は、S2で転送レートを測定するための処理を開始する。そして、S3で、CPU105は、タイマチェックを実行するための図示しないタイマをスタートさせて、S4へ処理を進める。ここで、スキャナ部109又はネットワークI/F115を通して読み取られた画像データをHDD114へ保存するために、CPU105は、HDD領域の未使用領域にファイルを作成し、S5へ処理を進める、そのファイルに画像データを書き込む。
【0020】
次に、S6へ進み、CPU105は、HDD114のHDD領域の未使用領域に作成したファイルからデータを読み出す処理を行い、S7へ処理を進める。そして、S7で、CPU105は、データの読み出し処理を終了した時間が予め指定した時間OKTを経過しているかどうかをS3で開始したタイマが計時した値と比較して判断する。ここで、測定されたデータ処理時間が指定した時間OKT以内であるとCPU105が判断した場合は、S8へ進み、プリンタ部112による印刷処理を正常に終了する。なお、OKTの値は、予めROM106等に格納しておくとよい。
一方、S7で、CPU105は、HDD114のファイルにデータを書き込む処理を開始してから同データを読み出す処理を終了するまでの時間が予め指定した時間OKTを超えているかどうかを判断する。ここで、指定した時間OKTを超えているとCPU105が判断した場合、S12へ処理を進める。S12で、CPU105は、HDD114の記憶領域に上記ファイルにデータを書き込む処理、及び読み出す処理を停止する。そして、S13で、CPU105は、CPU115は、操作部101にタイムアウト表示を行う。
【0021】
次に、S9で、CPU105は、測定した時間とデータ転送量から算出されるデータ転送レートをデータ転送レート値SAとしてDRAM103上に保持する。次に、S10でCPU105は、測定したデータ転送レート値SAと、ROM106に記憶されている所定値T11との比較を行う。
具体的に、CPU105は、データ転送レート値SAがROM106等に保持される所定値T11以上であるかどうかを判断する。ここで、CPU105が測定したデータ転送レート値SAが所定値T11以上であると判断した場合は、データ転送速度の低下が発生していないと判断して、S11へ進む。
そして、S11で、CPU105は、S5でHDD114の記憶領域に書き込んだファイルを当該記憶領域から消去して、本処理を終了する。
一方、S10で、CPU105が測定したデータ転送レート値SAが所定値T11未満であると判断した場合は、データ転送速度が低下していると判断し、S14へ進む。そして、S14で、画像形成装置の振動源である上記各モータM1〜M3の駆動を一時的に停止させて、データ転送処理時に発生する振動を低減させる。なお、駆動を停止するモータについては、振動力の高いいずれかの1つのモータを停止させる構成としてもよい。
【0022】
次に、S15で、CPU105は、HDD114に対するデータ転送レートを測定するための処理を開始し、S16で、CPU105は、HDD114の記憶領域に保存した画像データのファイルを展開する。そして、S17で、任意のデータをHDD114のファイルに書き込む。なお、この時の任意データは画像データと同じサイズで、「0」データが望ましい。
次に、S18で、CPU105は、HDD114の記憶領域に確保されるファイルの先頭から画像データを読み出す処理を開始し、読み出す処理を終了したら、S19へ進む。そして、S19で、CPU105が読み出す処理を終了するまでに測定したデータ転送レートを値SBとしてDRAM103に保持する。
【0023】
次に、S20で、CPU105が測定したデータ転送レートを示す値SBとROM106に記憶されている所定値T12との比較を行い、測定したデータ転送レートを示す値SBが所定値T12以上であるかどうかを判断する。つまり、S20の判定結果からHDD114のデータ転送速度が低下した要因を判定することができる。ここで、データ転送レートを示す値SBが所定値T12以上であるとCPU105が判断した場合は、データ転送速度が低下する要因が振動体の振動によるものであるとCPU105が判断し、S21へ処理を進める。
そして、S21で、CPU105は、HDD114の異常が振動体の振動によるものである旨を操作部101にユーザインタフェースを介して通知する処理を実行する。なお、この処理には、サービスマンを呼び出すサービスコールする処理が含まれる。そして、S11へ進み、CPU105は、HDD114の記録領域に書き込んだファイルを消去して、本処理を終了する。
一方で、S20でデータ転送レートを示す値SBが所定値T12未満であるとCPU114が判断した場合、データ転送速度の低下する要因が振動体の振動による影響以外の要因(HDDの故障)でデータ転送レートが低下しているとCPU105が判断する。そして、CPU105は、S22へ処理を進める。
そして、S22で、HDD114のデータ転送速度を低下させる要因が画像形成装置の駆動部の振動による影響以外の要因(HDDの故障)であると判断する。そして、CPU105は、データ転送速度を低下させる要因が画像形成装置の駆動部の振動による影響以外の要因(HDDの故障)である旨を示すメッセージを操作部101にユーザインタフェースを介して表示する。なお、この処理には、サービスマンを呼び出すサービスコールする処理が含まれる。また、この際に、CPU105は、HDDの交換を促す通知を操作部101に表示してもよい。そして、S11へ進み、CPU105は、HDD114の記録領域に書き込んだファイルを消去して、本処理を終了する。
これにより、実際にジョブを処理している状態で、HDD114に対するデータ転送速度の低下が発生した場合、データ転送に伴って使用されるHDD114の記憶領域と同じ記憶領域にデータを書き込む処理等を行い、その低下要因を特定することができる。つまり、実際のジョブ処理で使用するHDD114の記憶領域を用いたデータ転送処理を実行させることで、震動源による振動がHDD114のデータ転送速度を低下させる要因かどうかを確実に特定することができる。
なお、上述した実施形態では、所定の値T1,T2,T11,T12の値を、ROMに固定の値として記憶する例を説明した。しかしながら、本発明はこれに限らず、所定の値T1,T2,T11,T12の値をSRAM104に記憶し、これらの値を操作部101を介してサービスマン等によって変更可能にしてもよい。また、T1の値とT2の値、T11の値とT12の値とは同じ値であってもよい。
【0024】
本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0025】
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
【符号の説明】
【0026】
101 操作部
105 CPU
106 ROM
114 HDD

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部材を駆動させて画像形成処理を行う画像形成装置であって、
データを記憶する記憶手段と、
前記画像形成処理の実行中に画像形成用のデータを前記記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を測定する測定手段と、
前記駆動部材の動作を停止させた状態で所定のデータを前記記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を特定する特定手段と、
前記測定手段によって測定されたリトライ回数と、前記特定手段によって特定されたリトライ回数とに従って、前記記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因を通知する通知手段とを備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記測定手段によって測定されたリトライ回数が所定の回数以上であるか否かを判定する判定手段をさらに備え、
前記判定手段によって、前記測定手段によって測定されたリトライ回数が所定の回数以上であると判定した場合に、前記特定手段が、前記駆動部材の動作を停止させた状態で所定のデータを前記記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を特定することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記通知手段は、前記記憶手段に記憶されたリトライ回数と前記特定手段によって特定されたリトライ回数の差が、所定の回数以上である場合に、前記記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因が、前記駆動部材の振動の影響によるものであることを通知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記記憶手段に記憶されたリトライ回数と前記特定手段によって特定されたリトライ回数の差が、所定の回数以上ではない場合に、前記記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因が、前記記憶手段の交換を促すことを通知することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記駆動部材は、前記画像形成処理を実行するプリンタ部を駆動する駆動部材を含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
駆動部材を駆動させて画像形成処理を行う画像形成装置の制御方法であって、
前記画像形成処理の実行中に画像形成用のデータを記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を測定し、
前記駆動部材の動作を停止させた状態で所定のデータを前記記憶手段に転送する際に発生したリトライ回数を特定し、
前記測定されたリトライ回数と、前記特定されたリトライ回数とに従って、前記記憶手段へのデータ転送速度の低下の要因を通知することを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項7】
請求項6に記載の画像形成装置の制御方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムを記憶する記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−226811(P2012−226811A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95348(P2011−95348)
【出願日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】