説明

画像形成装置、画像形成装置の制御方法及びプログラム

【課題】 汎用ファイル形式の文書情報に対して後処理の設定を行う場合に、ユーザが設定可能な後処理の位置を容易に特定できる。
【解決手段】 印刷されたシートに対して後処理を行う後処理装置に接続可能な画像形成装置であって、汎用ファイル形式の文書情報を保持する保持手段と、保持手段に保持される文書情報を解析することによって当該文書情報に対応する画像を生成する生成手段と、画像が印刷されるシートのサイズを決定する決定手段と、後処理装置の能力を取得する取得手段と、生成手段によって生成された画像の向きと、決定手段によって決定されたシートのサイズと、取得手段によって取得された後処理装置の能力とに従って、設定可能な後処理の位置を表示部に表示する制御手段とを備えることを特徴とする

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置および画像形成装置の制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、画像形成装置のHDD内に格納した文書情報を、画像形成装置の操作部により操作することで、印刷やデータ送信を行う機能がある。このような機能は、ボックス機能と呼ばれる。
この機能を使用して印刷する場合、2in1や4in1などの縮小レイアウト等のレイアウト設定や、装着されている後処理装置(フィニッシャ)の能力に応じたステイプルやパンチなどの仕上げ設定を操作部121で指定することができる。
ただし、画像形成装置に接続されたフィニッシャ(後処理装置)の能力によって、設定可能なステイプル位置やパンチ位置などに制限がある。特に、フィニッシャには、複数の種類があり、その能力、及び、使用する用紙サイズや画像向きによっていろいろな制限がある。そのため、ユーザは、単に画像の右上、右下、左上、左下等といった選択肢から選ぶことによって印刷設定を行う場合、設定された内容によっては、ユーザの意図とは異なる仕上げ処理が施されたり、仕上げ処理自体が施されないことがあった。
また縮小レイアウトなどのように、1枚の用紙に対して割り付ける画像の数によって、印刷される画像の向きを動的に変化させる印刷設定も存在するため、ユーザは出力結果を想定しながら、注意深く設定を行わなければならない。
【0003】
これらの課題を解決するために、以下のような方法が提案されている。
まず、1つ目の方法では、印刷条件毎の仕上がりレイアウトのイメージを予め蓄積しておく。そして、ユーザに指定された印刷条件に対応する仕上がりレイアウトのイメージを読み出し、読み出した仕上がりレイアウトに対し、ユーザによって指定された用紙などに応じた修正を施す装置である(例えば、特許文献1参照)。
また、2つ目の方法では、印刷設定に従って文書情報に基づくプレビュー画像を作成し、表示するとともに、その時点での印刷設定に応じた範囲で仕上げ設定など所定の項目の変更をユーザに許可する印刷装置もある(例えば、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−227849号公報
【特許文献2】特開2006−11847号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
また、上述した技術とは別に、近年では、PDF形式やXPS形式などの汎用ファイルが扱われるようになってきた。
しかしながら、PDF形式やXPS形式などの汎用ファイル形式の文書情報をHDDに記憶した後、印刷を行う場合、印刷対象の文書の画像サイズや画像向きが分からない。そのため、上述のような技術では、対応する仕上がりレイアウトを判断することができず、ユーザに正しい後処理の設定を提示することができない。
なお、Portable Document Format (ポータブル・ドキュメント・フォーマット、略称PDF) 形式は、アドビシステムズが開発および提唱する、電子上の文書に関するファイルフォーマットである。また、XML Paper Specification (XPS) 形式は、文書の書式を維持したままファイルの共有を可能にする、固定レイアウトの電子ファイル形式です。いずれも汎用ファイルフォーマットの一例である。
【0006】
例えば、特許文献1で提案されている方法では、印刷対象の文書の画像サイズや画像の向きが予め分かっているため、指定された印刷条件に対応する仕上がりレイアウトが判断可能である。そのため、ユーザに仕上がりイメージを提示できた。また、特許文献2で提案されている方法も、プレビュー画像を作成するため、印刷対象の文書の画像サイズや画像向きを判別することは可能である。
しかしながら、いずれも、汎用のファイル形式の文書情報に対するプレビューを行うものではなかった。また、ユーザが印刷設定の変更を指示してからプレビュー画像を再作成しているため、印刷設定変更のパフォーマンスおよびユーザビリティを低下させてしまう。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものである。本発明の目的は、汎用ファイル形式の文書情報に対して後処理の設定を行う場合に、ユーザが設定可能な後処理の位置を容易に特定できる仕組みを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成する本発明の画像形成装置は以下に示す構成を備える。
解析しなければページ画像の向きを判定できない文書情報を保持する保持手段と、前記保持手段に保持される文書情報を解析する解析手段と、印刷設定を受け付ける受付手段と、前記受付手段によって受け付けた印刷設定に基づいて、印刷に用いるシートのサイズを決定し、前記解析手段によって前記文書情報を解析して得られる前記シートに印刷される画像の向きを決定する決定手段と、前記決定手段によって決定されたシートのサイズ及び画像の向きに従って、前記シートに印刷される画像に対して後処理の位置を制限する制御手段と、前記制御手段によって制限されていない位置に後処理を実行する実行手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、汎用ファイル形式の文書情報に対して後処理の設定を行う場合に、ユーザが容易に設定可能な後処理の位置を特定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】画像形成装置の構成を説明するブロック図である。
【図2】MFPのエンジン構成を説明する断面図である。
【図3】画像形成装置のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図4】HDDで管理される画像データ管理テーブルの一例を示す図である。
【図5】画像形成装置のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図6】フィニッシャ部126の能力に関わる情報の一例を示す図である。
【図7】画像形成装置に生成される画像イメージの一例を示す図である。
【図8】画像形成装置のデータ処理手順を示すフローチャートである。
【図9】画像形成装置のユーザインタフェースの一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態について図面を参照して説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、本実施形態を示す画像形成装置の構成を説明するブロック図である。本例は、ネットワークを介して受信する印刷ジョブを保持して管理する機能を備えた画像形成装置であって、例えばMFP(Multi Function Peripheral)100で構成される例である。
図1において、CPU101は、ROM103またはHDD104に記憶された制御プログラムに従って、システムバス107に接続される各種装置とのアクセスを統括的に制御する。また、CPU101は、コントローラ125内部で行われる各種処理についても統括的に制御する。
【0011】
RAM102は、CPU101が動作するためのシステムワークメモリであり、かつ画像データを一時記憶するためのメモリでもある。ROM103には装置のブートプログラムなどが格納されている。
HDD(ハードディスクドライブ)104(保持部)は、システムソフトウェアや画像データやPDF形式やXPS形式などの汎用ファイル形式の文書ファイルを格納することが可能である。操作部I/F105は、システムバス107と操作部121とを接続するためのインタフェース部である。この操作部I/F105は、操作部121(表示部としても機能する)に表示するための画像データをシステムバス107から受取り操作部121に出力すると共に、操作部121を介して受付けた情報をシステムバス107へと出力する。
【0012】
Network I/F106はLANやWAN124及びシステムバス107に接続し、他の機器と双方向にデータをやり取りする。
120は画像データをやり取りするための伝送路である画像バスであり、PCIバス又はIEEE1394で構成されている。スキャナ画像処理部112は、スキャナ部122からスキャナI/F111を介して受け取った画像データに対して、補正、加工、及び編集を行う。埋め込み情報抽出部110は、画像データから背景画像に埋め込まれているパターンの検出や付加情報の抽出の処理を行う。
圧縮部113は画像データを受取り、データを圧縮する。伸張部115は、データを伸張した後にラスタ展開してプリンタ画像処理部117に送る。プリンタ画像処理部117は、伸張部115から送られた画像データを受取り、この画像データに付随させられている属性データを参照しながら画像データに画像処理を施す。
【0013】
また、指示がある場合は符号画像生成部116において生成された符号画像データを画像データに合成する。符号画像生成部116は、二次元コード画像やバーコード画像、情報埋め込み技術により生成された画像等の符号画像データを生成する。なお、符合画像の生成は、RAM102内に格納されたプログラムを実行することによって行われる。画像処理後の画像データは、プリンタI/F118を介してプリンタ部123に出力される。
画像変換部114は、画像データに対して回転や色空間変換、2値多値変換、画像合成、間引きといった所定の変換処理を施す。
RIP部108はPDLコードデータを元に生成された中間データを受取り、ビットマップデータ(多値)を生成する。生成されたビットマップデータは圧縮部109で圧縮されて画像バス120へ送られる。認証処理部119は操作部121で入力されたユーザ情報を使用したユーザやワークグループの認証に加えて、印刷ジョブ認証を行う。また、認証済みユーザやワークグループの情報の管理を行う。
フィニッシャ部126は、画像形成装置に接続可能であり、プリンタ部123から排出された複数枚のシートが束ねられたシート束に対してステイプル処理、パンチ処理、ソートなどの各種後処理を行う。
【0014】
<プリンタ部およびスキャナ部の構成>
図2は、図1に示したMFP100のエンジン構成を説明する断面図である。
図2において、MFP100は、スキャナ部122、プリンタ部123、フィニッシャ部126および操作部121を備える。ここで、スキャナ部122とプリンタ部122は一体的に構成されている。また、フィニッシャ部126はプリンタ部123に対して着脱可能に構成されている。
スキャナ部122には、原稿給送装置201が搭載されている。原稿給送装置201は、原稿トレイ上に上向きにセットされた原稿を先頭ページから順に1枚ずつ左方向へ給紙し、湾曲したパスを介してプラテンガラス202上の所定位置へ搬送する。
【0015】
プラテンガラス202上の所定位置へ搬送された原稿は、その左から右方向へスキャナユニット203により走査され、当該原稿上の画像が読み取られる。スキャナユニット203が原稿を走査する際には、原稿の読み取り面がスキャナユニット203のランプの光で照射され、その原稿からの反射光がミラーを介してレンズに導かれる。
このレンズを通過した光は、イメージセンサ204の撮像面に光学像として結像される。この光学像は、イメージセンサ204によって画像データに変換されて出力される。イメージセンサ204から出力された画像データは、スキャナ画像処理部112において所定の処理が施された後にプリンタ部123の露光制御部205にビデオ信号として入力される。
【0016】
次に、シートの片面に画像形成を行う場合について説明する。
プリンタ部123の露光制御部205 は、入力されたビデオ信号に基づきレーザ光を変調して出力し、該レーザ光は不図示のポリゴンミラーなどにより走査されながら感光ドラム206上に照射される。感光ドラム206上には、走査されたレーザ光に応じた静電潜像が形成される。
この感光ドラム206上の静電潜像は、現像器207から供給される現像剤によって現像剤像として可視像化される。また各カセット208、209、または手差給紙トレイ210からはシートが給紙される。
この給紙されたシートは、その先端がレジストローラ211に突き当てられて一旦停止された後に、レーザ光の照射開始と同期したタイミングで、感光ドラム206と転写部212との間に搬送される。ここで、給紙されたシートの先端がレジストローラ211に突き当てられて当該シートが一旦停止されることによって、シートの斜行が補正される。
【0017】
次いで、感光ドラム206に形成された現像剤像は、転写部212により、給紙されたシート上に転写される。現像剤像が転写されたシートは、定着部213へ搬送される。
定着部213は、シートを熱圧することによって現像剤像をシート上に定着させる。定着部213を通過したシートは、搬送ローラ214により、フラッパ215へ向けて搬送され、フラッパ215により、排出ローラ216へ向けて搬送される。そして、シートは、排出ローラ216を経てプリンタ部123からフィニッシャ部126へ排出される。このときシートはフェイスアップの状態で排出される。
【0018】
また、シートをフェイスダウン状態でフィニッシャ部126へ排出することも可能である。このフェイスダウン排出を行う際には、定着部213を通過したシートを反転搬送パス217へ導くようにフラッパ215が切り換えられ、シートはフラッパ215を経て、各搬送ローラ218、219により、反転搬送パス217内へ搬送される。
反転搬送パス217へ搬送されたシートはスイッチバックされ、これにより、シートの表裏が反転される。そして、表裏が反転されたシートは、排出ローラ216を経てプリンタ部123からフィニッシャ部126へ排出される。
【0019】
フィニッシャ部126は、第1パンチユニット220と、ステイプルスタッカ部221とを有し、これらを用いて複数枚のシートが束ねられたシート束に対してステイプル処理、パンチ処理、ソートなどの各種後処理を行うことができる。
第1パンチユニット220は、多穴パンチ処理を行うためのユニットである。第1パンチユニット220は、プリンタ部123から排出されたシートを第1パンチユニット220内へ受け入れるための入口搬送ローラ222を有する。
第1パンチユニット220内に搬送されたシートは、フラッパ223の切り換え動作に応じて、排出ローラ224へ向けて搬送されるか、または搬送ローラ225へ向けて搬送される。
【0020】
ここで、シートがフラッパ223により排出ローラ224へ向けて搬送される場合は、当該シートが第1パンチユニット220をスルーして直接ステイプルスタッカ部221へ搬送される場合である。また、シートがフラッパ223により搬送ローラ225へ向けて搬送される場合は、当該シートに対して多穴パンチ処理が施される場合である。
搬送ローラ225の下流側には、搬送ローラ226、センサ227、パンチ部228および突き当て板229が設けられている。センサ227は、シートの先端を検知するためのセンサである。
パンチ部228は、シート先端( シートの搬送方向に対して先端となる部位)に多数個の穴例えば30個の穴をあける多穴パンチ処理を行う。突き当て板229は、通常時、シート搬送路を開放する位置にある。突き当て板229は、所定のタイミングでπ/2(rad)角度的に回転され、シート先端と突き当て可能なようにシート搬送路上に突出する。
【0021】
この突き当て板229にシート先端を突き当てることにより、シートをパンチ部228に対して所定の精度で位置決めすることができる。
突き当て板229の下流側には、各搬送ローラ230〜233が設けられ、各搬送ローラ230〜233により、シートを排出ローラ224へ導くための搬送路が形成される。
ステイプルスタッカ部221は、第1パンチユニット220から排出されたシートを当該ユニット内へ受け入れるための入口ローラ234を有する。入口ローラ234を介してステイプルスタッカ部221内へ搬送されたシートは、第2パンチユニット235へ導かれる。
【0022】
第2パンチユニット235は、少数穴パンチ処理が設定されている場合に、シート後端( シートの搬送方向に対して後端となる部位)に少数個の穴例えば2〜4個の穴をあける少数穴パンチ処理を行う。また、第2パンチユニット235は、少数穴パンチ処理が設定されていない場合、シートをスルーさせて下流側へ搬送するように動作する。
この第2パンチユニット235内には、シート後端を検知するためのセンサ236、およびシート後端が突き当てられる突き当て板237が設けられている。
第2パンチユニット235が少数穴パンチ処理を行う際には、センサ236がシートの後端を検知した後の所定のタイミングで第2パンチユニット235内の搬送ローラが逆転される。
【0023】
また、突き当て板237がπ/2(rad)角度的に回転され、搬送路上に突出する。そして、シートは突き当て板237に向けてスイッチバックされ、シート後端が突き当て板237に突き当てられた状態で停止される。このようにしてシートが後端を基準にして位置決めされた状態で、当該シート後端に対して少数個の穴があけられる。その後、シートは上記搬送ローラによりフラッパ238へ向けて搬送される。
フラッパ238は、シートをノンソートパス239または搬送ローラ240へ導くように切り換え動作を行う。ここで、ソート、パンチ、ステイプル処理などの後処理が設定されておらずシートをそのまま排出する場合は、フラッパ238により、シートがノンソートパス239へ導かれる。
【0024】
ノンソートパス239へ導かれたシートは、搬送ローラ241により、スタックトレイ242へ排出される。シートに対してソートやステイプルなどの後処理が設定されている場合、プリンタ部123は、シートをフェイスダウン状態でフィニッシャ部126へ排出する。
そして、フィニッシャ部126内に搬送されたシートは第1パンチユニット220を経てステイプルスタッカ部221へ搬送された後に、フラッパ238により、搬送ローラ240へ導かれる。次いで、シートは搬送ローラ240により、束排紙ベルト243上へ排出する。
ここで、束排紙ベルト243に並行して数ミリ高い位置には、不図示の低摩擦の中間処理トレイが設けられており、実際にはシートは、中間処理トレイ上に排出される。排出されたシートは、中間処理トレイ(束排紙ベルト243)に沿って自重で右下方向に落下する。
【0025】
さらに、扇形の戻しローラ244が反時計方向に回転し、その外縁部に設けられた摩擦部材がシートに当接する。この摩擦部材の当接により、シートには右下方向に落下させる力が作用し、シートの端部がストッパ板245に突き当てられる。これにより、シートに対して縦方向(送り方向)の揃えが行われる。
また、中間処理トレイ上には、その手前側と奥側とのそれぞれに位置する整合板246が設けられている。各整合板246は、中間処理トレイ上にシートが排出される毎に駆動される。これにより、中間処理トレイ上のシートに対して横方向(幅方向)へ揃えが行われる。
【0026】
そして、所定枚数のシートが中間処理トレイ上に排出されて積載されると、束排紙ベルト243が駆動され、シートがスタックトレイ242または247上へ排出される。
また、ステイプルモードが設定されている場合、ステイプルを行う一束分のシートが中間処理トレイ上に排出され、整合板246によりシートの横方向への揃えが行われる。
その後、ステイプルユニット248が駆動されてシート束が綴じられ、綴じられたシート束は、束排紙ベルト243によりスタックトレイ242または247上へ排出される。ここで、各スタックトレイ242、247は昇降動作可能に構成されている。また、各スタックトレイ242、247には、シートの有無を検知するためのセンサ250、249が設けられている。
また、ステイプルユニット248は、シート後端の奥側位置を綴じる「コーナー綴じ」、シート後端を2箇所で綴じる「ダブル綴じ」を行うことが可能である。シートに対する綴じ位置は、ユーザにより設定される。
なお、画像形成装置は、カラー画像形成装置であっても、モノクロ画像形成装置であってもよい。また、ここでは、電子写真方式の画像形成装置で説明するが、インクジェット方式の画像形成装置であってもよい。
【0027】
<サムネイル画像生成処理手順>
図3は、本実施形態を示す画像形成装置のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、複合機100における、出力イメージ生成用画像(以下サムネイル画像)の生成処理例である。また、S301〜S307は各ステップを示し、各ステップは、CPU101がRAM102に制御プログラムをロードして実行することで実現される。
まず、S301で、CPU101はHDD104に格納されている文書情報(文書)の状態を確認する。ここで、CPU101がHDD104内の文書情報に変化がないと判断した場合、文書情報の状態の変化を検知するまで処理を繰り返す。
一方、S301で文書情報の状態の変化を検知した場合、S302で、CPU101は文書情報の格納と削除のいずれが実行されたのかを判断する。
ここで、文書情報の状態の変化が、新たな文書情報の格納によるものであるとCPU101が判断した場合、S303で、CPU101は、HDD104に格納された文書情報を取得し、取得した文書情報よりプリンタ画像処理部117に画像生成要求を行う。
【0028】
次に、S304で、プリンタ画像処理部117はCPU101がHDD104から取得した文書情報のサムネイル画像をRAM102上に生成する。具体的には、プリンタ画像処理部117が取得された文書情報を不図示のインタプリタにより解釈し、RAM102上でラスタライズを行うことでサムネイル画像を生成する。
この際、インタプリタはページヘッダやファイルヘッダを解析し、プリンタ画像処理部117は文書情報に含まれるページ数や画像のページサイズ、画像向き、用紙サイズ等を含むページ情報を取得することができる。
【0029】
このようにしてサムネイル画像の生成が完了すると、S305で、CPU101はプリンタ画像処理部117より文書情報のサムネイル画像情報およびページ情報を取得する。そして、CPU101は、図4に示す画像データ管理テーブル400に生成されたサムネイル画像情報を登録して、本処理を終了する。
一方、S302で、文書情報の状態の変化が文書情報の削除によるものであるとCPU101が判断した場合、S306で、CPU101はHDD104から削除された文書情報を取得する。そして、S307で、CPU101は、画像データ管理テーブル400に登録されているサムネイル画像と画像情報の削除を行い、本処理を終了する。
【0030】
図4は、図1に示したHDD104で管理される画像データ管理テーブルの一例を示す図である。
本実施形態では、HDD104に保存されたり、削除される画像データをID401、保存先402、ファイル名403、画像情報404に基づいて管理している。なお、画像情報404は、さらに、サムネイル画像ID405、ページ数406、ページサイズ407、画像向き408で管理している。
【0031】
<出力イメージの生成処理手順>
図5は、本実施形態を示す画像形成装置におけるデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、複合機100におけるサムネイル画像情報を使用した出力イメージ生成処理例である。なお、S901〜S904は各ステップを示し、各ステップはCPU101がRAM102に制御プログラムをロードして実行することで実現される。
まず、S901で、CPU101は、図4に示した画像データ管理テーブル400を参照して、出力イメージを生成する文書情報に対応する画像情報およびサムネイル画像情報を保存先から取得する。
次に、S902で、CPU101はユーザによって指定された印刷設定を、取得したサムネイル画像に反映させ、出力イメージをRAM102上に生成する。そして、S903で、CPU101は、複合機100に装着されているフィニッシャ部126の能力に関わる情報を取得する。
【0032】
本実施形態では、フィニッシャ部126が有するステイプルユニット248は、前述の通りシート後端の奥側位置または手前位置を綴じる「コーナー綴じ」、シート後端を2箇所で綴じる「ダブル綴じ」を行うことが可能である。フィニッシャ部126の能力に関わる情報として、「コーナー綴じ」、「ダブル綴じ」それぞれ用紙サイズと可能な綴じ位置の一例を図6に示す。
次に、S904で、S902で生成した出力イメージとS903で取得したフィニッシャ部126の能力に関わる情報より、CPU101は設定可能なステイプル位置を判定して、処理を終了する。
ここで、S903で取得したサムネイル画像情報および文書情報と指定された印刷設定により生成される画像イメージの例を図7に示す。
【0033】
図7は、本実施形態を示す画像形成装置に生成される画像イメージの一例を示す図である。本例は、指定文書情報、印刷設定、出力イメージからなる例である。
本実施形態では、図7に示す文書情報と印刷設定により出力イメージの出力用紙サイズや画像向きが決定するため、図6に示すフィニッシャの能力に関わる情報に基づいて、CPU101は設定可能なステイプル位置を決定することができる。
【0034】
<保存文書の印刷設定手順>
図8は、本実施形態を示す画像形成装置のデータ処理手順の一例を示すフローチャートである。本例は、複合機100における、HDD104に格納されている文書の印刷設定処理例である。また、S501〜S511は各ステップを示し、各ステップは、CPU101がRAM102に制御プログラムをロードして実行することで実現される。
【0035】
まず、S501で、CPU101が操作部I/F105を介して、操作部121を用いてユーザが入力した文書リスト表示要求を受信したら、S502で、図9の(A)に示す格納文書リストを操作部121に表示する。
次に、S503で、CPU101が操作部I/F105を介して、操作部121を用いてユーザが入力した印刷機能要求を受信すると、S504で、CPU101は、操作部121に図9の(B)に示す印刷設定画面を表示し、次の要求を受信するために待機する。なお、ユーザは、図9の(B)に示す画面を確認して出力部数や両面、縮小レイアウト等のレイアウト設定といった印刷機能の設定と印刷要求を行うことができる。
【0036】
次に、S505で、CPU101はユーザが操作部121を用いて入力した要求を操作部I/F105を介して受信し、受信した要求が印刷要求であるのか、印刷設定変更要求であるのかを判別する。ここで、ユーザから印刷要求を受信したとCPU101が判断した場合、S511以降の処理を行う。
一方、S505で、ユーザから印刷設定変更要求を受信したとCPU101が判断した場合、さらにS506で、受信した印刷設定変更要求がステイプル設定の変更かどうかをCPU101が判別する。ここで、ステイプル設定の変更ではないとCPU101が判断した場合、S510以降の処理を行う。
【0037】
一方、S506でステイプル設定の変更であるとCPU101が判断した場合、S507がCPU101は設定済みの印刷設定情報を取得する。そして、S508で、CPU101は、図6に示すフィニッシャの能力に関わる情報等を参照して、取得した印刷設定情報に基づく設定が可能であるのかどうかを判定する処理を行い、設定可能なステイプル位置を取得する。
次に、S509で、CPU101は、取得した設定可能なステイプル位置を図9の(C)に示すステイプル設定画面に表示する。
図9の(C)に示すステイプル設定画面は、例えば、A4のportraitの文書に下記の印刷設定されている場合、図7に示す通り、出力イメージはA3のlandscapeと決定される。
ここで、印刷設定は縮小レイアウトが2in1で、出力用紙サイズがA3であるとする。さらに図6に示す通り、フィニッシャ部126が有するステイプルユニット248はA3 landscapeに対し設定可能なステイプル位置は制限されている。具体的に、ステイプル位置は、出力用紙の短辺2箇所に制限されている。
【0038】
よって、設定可能な位置のみを指定可能な表示画面として、図9の(C)に示すようなステイプル設定画面が表示される。このとき、プレビュー画像は、PDFファイルまたはXPSファイルを予め展開して登録しておいた、実際に印刷される画像とともに表示される。
次に、S510で、CPU101はユーザが操作部121を用いた要求を操作部I/F105を介して受信し、当該要求に基づいて印刷設定を変更して、S504に戻る。
一方、S505でCPU101が印刷要求を受信したと判断した場合、S511で、CPU101はプリンタI/F118を介してプリンタ部123に対し印刷開始要求を行い、本処理を終了する。プリンタ部123は、印刷開始要求を受信すると、指定された印刷設定に従って印刷を開始する。
本実施形態によれば、文書格納処理時に、予め生成したサムネイル画像を使用して設定の可否を判定できるため、フィニッシャの能力により実施できない設定をユーザが行うことを防ぐことができる。
【0039】
また、印刷設定を反映した出力画像イメージを、実際に印刷される画像とともに表示することができるため、ユーザは印刷設定を視覚的に確認することができる。さらに、印刷設定変更時にプレビュー用画像を生成する処理を実行しないため、高速に出力イメージを表示することが可能であり、さらにユーザによる設定変更の出力イメージへ反映もすぐに行うことができる。
なお、本発明の各工程は、ネットワーク又は各種記憶媒体を介して取得したソフトウエア(プログラム)をパソコン(コンピュータ)等の処理装置(CPU、プロセッサ)にて実行することでも実現できる。
【0040】
また、本発明は、複数の機器から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置に適用してもよい。また、本発明は、システムあるいは装置にプログラムを供給することによって達成される場合も適応可能である。この場合、本発明を達成するためのソフトウエアによって表されるプログラムを格納した記憶媒体を該システムあるいは装置に読み出すことによって、そのシステムあるいは装置が、本発明の効果を享受することが可能となる。
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づき種々の変形(各実施形態の有機的な組合せを含む)が可能であり、それらを本発明の範囲から除外するものではない。
本発明の様々な例と実施形態を示して説明したが、当業者であれば、本発明の趣旨と範囲は、本明細書内の特定の説明に限定されるのではない。
【符号の説明】
【0041】
100 複合機
122 スキャナ部
123 プリンタ部
121 操作部
126 フィニッシャ部
248 ステイプルユニット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
解析しなければページ画像の向きを判定できない文書情報を保持する保持手段と、
前記保持手段に保持される文書情報を解析する解析手段と、
印刷設定を受け付ける受付手段と、
前記受付手段によって受け付けた印刷設定に基づいて、印刷に用いるシートのサイズを決定し、前記解析手段によって前記文書情報を解析して得られる前記シートに印刷される画像の向きを決定する決定手段と、
前記決定手段によって決定されたシートのサイズ及び画像の向きに従って、前記シートに印刷される画像に対する後処理の位置を制限する制御手段と、
前記制御手段によって制限されていない位置に後処理を実行する実行手段と、
を備えることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記決定手段によって決定されたシートのサイズ及び画像の向きに従って、前記シートに対して印刷される画像に対して設定可能な後処理の位置と、設定不可能な後処理の位置を識別可能に表示部に表示させることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記文書情報に基づいて画像を生成する生成手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記生成手段によって生成された画像とともに、前記設定可能な後処理の位置と、前記設定不可能な後処理の位置を識別可能に前記表示部に表示させることを特徴とする請求項2記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記制御手段が、前記設定可能な後処理の位置と、前記設定不可能な後処理の位置を識別可能に表示した後、ユーザから後処理の位置の設定を受付ける受付手段をさらに備えることを特徴とする請求項2または3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記解析手段は、前記文書情報を受信したことに応じて、前記文書情報を解析することを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
後処理装置の能力を取得する取得手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記取得手段によって取得された前記後処理装置の能力と、前記決定手段によって決定されたシートのサイズ及び画像の向きに従って、前記シートに印刷される画像に対して設定可能な後処理の位置を制限することを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記解析しなければ前記画像形成装置がページのサイズを判定できない文書情報のファイル形式は、PDF形式のファイルまたはXPS形式のファイルであることを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれかに1項に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記後処理は、ステイプル処理であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【請求項9】
解析しなければページ画像の向きを判定できない文書情報を保持部に保持する保持工程と、
前記保持工程にて保持される文書情報を解析する解析工程と、
印刷設定を受け付ける受付工程と、
前記受付工程で受け付けた印刷設定に基づいて、印刷に用いるシートのサイズを決定し、前記解析工程で前記文書情報を解析して得られる前記シートに印刷される画像の向きを決定する決定工程と、
前記決定工程で決定されたシートのサイズ及び画像の向きに従って、前記シートに印刷される画像に対して後処理の位置を制限する制御工程と、
前記制御工程で制限されていない位置に後処理を実行する実行工程と、
を備えることを特徴とする画像形成装置の制御方法。
【請求項10】
請求項9に記載の画像形成装置の制御方法をコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2013−67174(P2013−67174A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−261151(P2012−261151)
【出願日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【分割の表示】特願2009−296515(P2009−296515)の分割
【原出願日】平成21年12月26日(2009.12.26)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】